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特許7546421仮想IoT制御方法および物理デバイスの仮想化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】仮想IoT制御方法および物理デバイスの仮想化システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/06 20220101AFI20240830BHJP
   H04L 67/00 20220101ALI20240830BHJP
   H04L 69/40 20220101ALI20240830BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H04L41/06
H04L67/00
H04L69/40
H04Q9/00 311W
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020152172
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046234
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-08-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省、令和2年度におけるスマートシティアプリケーションに拡張性と相互運用性をもたらす仮想IoT-クラウド連携基盤の研究開発の委託事業[総務省SCOPE(国際標準獲得型)JPJ000595]、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上杉 充
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2018/142598(JP,A1)
【文献】特開2018-152064(JP,A)
【文献】特開2017-142654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
H04L 41/06
H04L 67/00
H04L 69/40
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザシステムが、仮想デバイスを制御する仮想IoTシステムに対してデータを要求し、
前記仮想IoTシステムが、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法であって、
前記仮想IoTシステムが、
前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、
前記物理デバイスの不備として、既存の前記物理デバイスの仕様が、前記ユーザシステムが要求するデータを仮想デバイスにより生成する上で十分でない旨を前記ユーザシステムに報告し、
前記ユーザシステムが、
既存の前記物理デバイスの仕様が十分でない場合に、要求するデータの仕様を緩和して、前記仮想IoTシステムに対して再度データを要求することを特徴とする仮想IoT制御方法。
【請求項2】
ユーザシステムが、仮想デバイスを制御する仮想IoTシステムに対してデータを要求し、
前記仮想IoTシステムが、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法であって、
前記仮想IoTシステムが、
前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、
前記物理デバイスの不備の詳細内容として、既存の前記物理デバイスの仕様を前記ユーザシステムに報告し、
前記ユーザシステムが、
既存の前記物理デバイスの仕様に適合するように、要求するデータの仕様を緩和して、前記仮想IoTシステムに対して再度データを要求することを特徴とする仮想IoT制御方法。
【請求項3】
前記ユーザシステムが、
前記仮想IoTシステムから前記物理デバイスの不備の報告を受け取ると、
不備のある前記物理デバイスの整備をユーザに促す出力を行うことを特徴とする請求項1に記載の仮想IoT制御方法。
【請求項4】
ユーザシステムが、仮想デバイスを制御する仮想IoTシステムに対してデータを要求し、
前記仮想IoTシステムが、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法であって、
前記仮想IoTシステムが、
前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、その物理デバイスの不備を前記ユーザシステムに報告し、
前記ユーザシステムが、
前記仮想IoTシステムから前記物理デバイスの不備の報告を受け取ると、代行者システムに対して、不備のある前記物理デバイスの整備を要求し、
前記代行者システムが、
前記ユーザシステムからの前記物理デバイスの整備の要求に基づいて、前記物理デバイスの整備の可否を判定し、
前記物理デバイスの整備が必要である場合には、
不備のある前記物理デバイスの整備を代行者に促す出力を行うことを特徴とする仮想IoT制御方法。
【請求項5】
前記代行者システムが、
前記ユーザシステムからの前記物理デバイスの整備の要求の件数が所定のしきい値に達した場合に、前記物理デバイスの整備が必要であると判定することを特徴とする請求項4に記載の仮想IoT制御方法。
【請求項6】
前記代行者システムが、
複数の前記ユーザシステムの各々からの前記物理デバイスの整備の要求で指定された前記物理デバイスの仕様のうちで最もレベルが高い仕様を選択することを特徴とする請求項4に記載の仮想IoT制御方法。
【請求項7】
ユーザシステムが、仮想デバイスを制御する仮想IoTシステムに対してデータを要求し、
前記仮想IoTシステムが、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法であって、
前記仮想IoTシステムが、
前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、
代行者システムに対して、不備のある前記物理デバイスの整備を要求し、
前記代行者システムが、
前記ユーザシステムからの前記物理デバイスの整備の要求に基づいて、前記物理デバイスの整備の可否を判定し、
前記物理デバイスの整備が必要である場合には、
不備のある前記物理デバイスの整備を代行者に促す出力を行うことを特徴とする仮想IoT制御方法。
【請求項8】
ユーザシステムからのデータの要求に応じて、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoTシステムを含む、物理デバイスの仮想化システムであって、
前記仮想IoTシステムが、
前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、
代行者システムに対して、不備のある前記物理デバイスの整備を要求し、
前記代行者システムが、
前記ユーザシステムからの前記物理デバイスの整備の要求に基づいて、前記物理デバイスの整備の可否を判定し、
前記物理デバイスの整備が必要である場合には、
不備のある前記物理デバイスの整備を代行者に促す出力を行うことを特徴とする物理デバイスの仮想化システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、ユーザが要求するデータを仮想デバイスにより生成して、そのデータをユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法および仮想IoTシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(モノのインターネット:Internet of Things)の技術が注目されている。このIoTは、世の中に存在する様々な物理デバイス(IoTデバイス)をセンサとして活用して、その物理デバイスから収集された種々のデータを、インターネットを利用して、多数のユーザで共有できるようにするものである。
【0003】
一方、IoTデバイスを仮想化する技術が知られている(特許文献1参照)。このIoTデバイスの仮想化の技術では、1つの物理デバイスのデータ、あるいは複数の物理デバイスのデータを加工することで、実際には存在しないIoTデバイス(仮想デバイス)のデータを生成することができる。このようなIoTデバイスの仮想化の技術により、元になる物理デバイスとしてのカメラは同一でも、カメラで検出されたデータ(撮影画像)に対して所要の画像解析を行うことで、例えば、あるユーザでは、人物検知装置として認識され、別のユーザでは、混雑度検知装置として認識され、さらに別のユーザでは、獣害回避のための野生動物検知装置として認識されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2018-527651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、IoTデバイスの仮想化の技術では、仮想デバイスによりユーザが要求するデータを生成するにあたり、必要な物理デバイスのデータがなければ、ユーザが要求するデータを仮想デバイスのデータとして生成することができないという問題があった。
【0006】
例えば、ある地点に設置されたカメラのデータ(撮影画像)に基づいて、仮想デバイスとしての人物検知装置のデータ、すなわち、人物検知結果のデータを生成することができる。この場合に、ユーザが、例えば2つの地点における人物検知結果のデータを要望しているが、1つの地点にはカメラが設置されているものの、もう1つの地点にはカメラが設置されていないと、ユーザは1つの地点の人物検知結果のデータしか取得できない。
【0007】
また、複数の物理デバイスのデータに基づいて、ユーザが要求するデータを仮想デバイスのデータとして生成することができる。この場合、仮想デバイスのデータは、必要な複数の物理デバイスのデータが揃って初めて得られるものであり、必要な複数の物理デバイスのうちの1つが欠けていただけでも得られない。例えば、仮想デバイスのデータとして、温度および風力から算出される体感温度を生成する場合、元になる物理デバイスとしての温度計および風力計のいずれかが欠けていると、仮想デバイスのデータとして体感温度を取得することができない。
【0008】
そこで、本発明は、物理デバイスの不備、すなわち、ユーザが要求するデータを生成する仮想デバイスに必要な物理デバイスが整備されていない状態を、仮想IoTシステムから提供されるデータを利用するユーザや、対象エリアの管理者などに認識させて、必要な物理デバイスの整備を促進することができる仮想IoT制御方法および仮想IoTシステムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の仮想IoT制御方法は、ユーザシステムが、仮想デバイスを制御する仮想IoTシステムに対してデータを要求し、前記仮想IoTシステムが、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法であって、前記仮想IoTシステムが、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、前記物理デバイスの不備として、既存の前記物理デバイスの仕様が、前記ユーザシステムが要求するデータを仮想デバイスにより生成する上で十分でない旨を前記ユーザシステムに報告し、前記ユーザシステムが、既存の前記物理デバイスの仕様が十分でない場合に、要求するデータの仕様を緩和して、前記仮想IoTシステムに対して再度データを要求する構成とする。
【0010】
また、本発明の物理デバイスの仮想化システムは、ユーザシステムからのデータの要求に応じて、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoTシステムを含む、物理デバイスの仮想化システムであって、前記仮想IoTシステムが、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、代行者システムに対して、不備のある前記物理デバイスの整備を要求し、前記代行者システムが、前記ユーザシステムからの前記物理デバイスの整備の要求に基づいて、前記物理デバイスの整備の可否を判定し、前記物理デバイスの整備が必要である場合には、不備のある前記物理デバイスの整備を代行者に促す出力を行う構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、仮想デバイス部が、物理デバイスの不備を検知する。このため、物理デバイスの不備を、仮想IoTシステムから提供されるデータを利用するユーザや、対象エリアの管理者などが認識できるようになる。これにより、ユーザや管理者などに、必要な物理デバイスの整備を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図
図2】物理デバイス2の不備の一例を示す説明図
図3】物理デバイス2の不備の一例を示す説明図
図4】第1実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図5】第1実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図6】第2実施形態に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図
図7】第2実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図8】第2実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図9】第2実施形態の第1変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図10】第2実施形態の第2変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図11】第3実施形態に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図
図12】第3実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図13】第3実施形態の第1変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図14】第3実施形態の第2変形例に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図
図15】第3実施形態の第2変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図16】第3実施形態の第3変形例に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図
図17】第3実施形態の第3変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図18】第4実施形態に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図
図19】第4実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
図20】第4実施形態の変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、ユーザシステムが、仮想デバイスを制御する仮想IoTシステムに対してデータを要求し、前記仮想IoTシステムが、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法であって、前記仮想IoTシステムが、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、前記物理デバイスの不備として、既存の前記物理デバイスの仕様が、前記ユーザシステムが要求するデータを仮想デバイスにより生成する上で十分でない旨を前記ユーザシステムに報告し、前記ユーザシステムが、既存の前記物理デバイスの仕様が十分でない場合に、要求するデータの仕様を緩和して、前記仮想IoTシステムに対して再度データを要求する構成とする。
【0014】
これによると、仮想デバイス部が、物理デバイスの不備を検知する。このため、物理デバイスの不備を、仮想IoTシステムから提供されるデータを利用するユーザや、対象エリアの管理者などが認識できるようになる。これにより、ユーザや管理者などに、必要な物理デバイスの整備を促すことができる。また、これによると、既存の物理デバイスの仕様が、ユーザが要求するデータを仮想デバイスにより生成する上で十分でないことを、ユーザが認識することができる。そして、ユーザが、データの仕様の緩和を許容できる場合には、ユーザシステムが、データの仕様を緩和した上でデータの要求を再度行うことで、必要なデータを許容範囲内の仕様で取得することができる。
【0019】
また、第の発明は、ユーザシステムが、仮想デバイスを制御する仮想IoTシステムに対してデータを要求し、前記仮想IoTシステムが、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法であって、前記仮想IoTシステムが、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、前記物理デバイスの不備の詳細内容として、既存の前記物理デバイスの仕様を前記ユーザシステムに報告し、前記ユーザシステムが、既存の前記物理デバイスの仕様に適合するように、要求するデータの仕様を緩和して、前記仮想IoTシステムに対して再度データを要求する構成とする。
【0020】
これによると、ユーザシステムが、仕様を緩和したデータの再要求を1度行うだけで、ユーザが必要とするデータを取得することができる。
【0021】
また、第5の発明は、前記ユーザシステムが、前記仮想IoTシステムから前記物理デバイスの不備の報告を受け取ると、不備のある前記物理デバイスの整備をユーザに促す出力を行う構成とする。
【0022】
これによると、物理デバイスに不備がある場合に、速やかにユーザ自身が必要な物理デバイスの整備に着手することができる。
【0025】
また、第の発明は、ユーザシステムが、仮想デバイスを制御する仮想IoTシステムに対してデータを要求し、前記仮想IoTシステムが、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法であって、前記仮想IoTシステムが、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、その物理デバイスの不備を前記ユーザシステムに報告し、前記ユーザシステムが、前記仮想IoTシステムから前記物理デバイスの不備の報告を受け取ると、代行者システムに対して、不備のある前記物理デバイスの整備を要求し、前記代行者システムが、前記ユーザシステムからの前記物理デバイスの整備の要求に基づいて、前記物理デバイスの整備の可否を判定し、前記物理デバイスの整備が必要である場合には、不備のある前記物理デバイスの整備を代行者に促す出力を行う構成とする。
【0026】
これによると、物理デバイスに不備がある場合に、速やかに代行者が必要な物理デバイスの整備に着手することができる。
【0027】
また、第8の発明は、前記代行者システムが、前記ユーザシステムからの前記物理デバイスの整備の要求の件数が所定のしきい値に達した場合に、前記物理デバイスの整備が必要であると判定する構成とする。
【0028】
これによると、ユーザシステムからの物理デバイス整備要求の件数が多い、すなわち、物理デバイスの需要が高くなったところで、物理デバイスが整備されるため、整備された物理デバイスの有効活用を図ることができる。
【0029】
また、第9の発明は、前記代行者システムが、複数の前記ユーザシステムの各々からの前記物理デバイスの整備の要求で指定された前記物理デバイスの仕様のうちで最もレベルが高い仕様を選択する構成とする。
【0030】
これによると、ユーザから要求された仕様のうちで最もレベルが高い仕様で物理デバイスの整備が行われるため、ユーザが満足する仕様のデータを全てのユーザに提供することができる。
【0039】
また、第の発明は、ユーザシステムが、仮想デバイスを制御する仮想IoTシステムに対してデータを要求し、前記仮想IoTシステムが、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法であって、前記仮想IoTシステムが、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、代行者システムに対して、不備のある前記物理デバイスの整備を要求し、前記代行者システムが、前記ユーザシステムからの前記物理デバイスの整備の要求に基づいて、前記物理デバイスの整備の可否を判定し、前記物理デバイスの整備が必要である場合には、不備のある前記物理デバイスの整備を代行者に促す出力を行う構成とする。
【0040】
これによると、仮想デバイス部が、代行者システムに物理デバイスの整備を要求する。このため、代行者に、必要な物理デバイスの整備を促すことができる。なお、代行者は、ユーザに代わって物理デバイスの整備を行うものであり、例えば対象エリアの管理者などである。
【0041】
また、第の発明は、ユーザシステムからのデータの要求に応じて、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、前記ユーザシステムが要求するデータを仮想デバイスにより生成して、そのデータを前記ユーザシステムに提供する仮想IoTシステムを含む、物理デバイスの仮想化システムであって、前記仮想IoTシステムが、前記ユーザシステムが要求するデータを前記仮想デバイスにより生成するために必要な前記物理デバイスの不備を検知すると、代行者システムに対して、不備のある前記物理デバイスの整備を要求し、前記代行者システムが、前記ユーザシステムからの前記物理デバイスの整備の要求に基づいて、前記物理デバイスの整備の可否を判定し、前記物理デバイスの整備が必要である場合には、不備のある前記物理デバイスの整備を代行者に促す出力を行う構成とする。
【0042】
これによると、仮想IoTシステムが、代行者システムに物理デバイスの整備を要求するため、代行者に、必要な物理デバイスの整備を促すことができる。なお、代行者は、ユーザに代わって物理デバイスの整備を行うものであり、例えば対象エリアの管理者などである。
【0043】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0044】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図である。
【0045】
本実施形態では、仮想IoTシステム1が、スマートシティなどの対象エリアに設置された物理デバイス2(IoTデバイス)から収集されたデータに基づいて、ユーザが要求するデータを仮想デバイスにより生成して、そのデータをユーザシステム3に提供する。
【0046】
物理デバイス2は、例えばカメラや温度計などのセンサデバイスである。この物理デバイス2で検出されたデータが、仮想IoTシステム1により収集される。
【0047】
ユーザシステム3は、スマートフォンやパソコンなどのユーザデバイス(ユーザ端末)などにより構成される。ユーザシステム3には、ユーザのユースケースに応じて、ユーザアプリケーションが導入される。ユーザシステム3は、仮想IoTシステム1に対して、自身のユースケースに応じたデータの提供を要求し、これに応じて、必要なデータを仮想IoTシステム1から取得する。ユーザのユースケースとしては、例えば、駐車場の監視および利用者への案内などを行うシステムや、ゴミ収集場の監視などを行うシステムや、野生動物の被害対策として野生動物の監視などを行うシステムや、安否確認のための人物検知などを行うシステムなどがある。
【0048】
仮想IoTシステム1は、仮想サイロ11(インタフェース部)と、ブローカー12(中継制御部)と、シングバイザー13(仮想デバイス部)と、ルートデータドメイン14(データ収集部)と、を備えている。
【0049】
仮想サイロ11は、ユーザ個別のインタフェースとして機能し、ユーザが要求するデータを、ユーザ固有のデータフォーマットでユーザシステム3に提供する。この仮想サイロ11は、ユーザシステム3からのデータ提供の要求に応じて、ユーザのユースケースごとに作成される。
【0050】
ブローカー12は、シングバイザー13と仮想サイロ11とを中継し、仮想サイロ11から受け取ったユーザの要求内容に応じたシングバイザー13を作成し、また、シングバイザー13で生成された仮想デバイスのデータを仮想サイロ11に提供する。このブローカー12は、例えば、Fed4IoT(仮想IoT-クラウド連携基盤)や、MQTT(Message Queuing Telemetry Transport)などのIoTプラットフォームや、情報指向ネットワーク(ICN:Information Centric Network)などで運用される。
【0051】
シングバイザー13は、ルートデータドメイン14で収集された物理デバイス2のデータの管理および加工を行う。具体的には、シングバイザー13は、ルートデータドメイン14から取得した物理デバイス2のデータに基づいて、仮想デバイスとして、ユーザが要求する仕様(属性)のデータを生成する。このシングバイザー13は、仮想サイロ11と同様に、ユーザシステム3からのデータ提供の要求に応じて、ユーザのユースケースごとに作成される。
【0052】
ルートデータドメイン14は、対象エリアに設置された物理デバイス2の検出結果としてのデータを収集する。このルートデータドメイン14は、例えば、oneM2Mや、FIWAREなどのクラウドプラットフォームである。なお、複数のルートデータドメイン14がゲートウェイを介して相互に接続されて、別のルートデータドメイン14に接続された物理デバイス2のデータを収集できるようにしてもよい。
【0053】
次に、第1実施形態に係るシングバイザー13で検知される物理デバイス2の不備について説明する。図2図3は、物理デバイス2の不備の一例を示す説明図である。
【0054】
仮想IoTシステム1のシングバイザー13は、仮想デバイスとして、物理デバイス2から収集したデータに基づいて、ユーザが要求するデータを生成して、その仮想デバイスのデータをユーザシステム3に提供する。このとき、必要な物理デバイス2に不備があると、仮想デバイスにより、ユーザが要求するデータを生成することができない。
【0055】
図2(A-1),(A-2)に示す例は、物理デバイス2としてのカメラで検出されたデータ(撮影画像)に基づいて、仮想デバイスとしての人物検知装置のデータ、すなわち、人物検知結果のデータを生成する場合である。また、ユーザは、2つの地点における人物検知結果のデータを要望している。
【0056】
ここで、図2(A-1)に示す例では、2つの地点にカメラが設置されているため、ユーザは2つの地点の人物検知結果のデータを取得することができる。一方、図2(A-2)に示す例では、1つの地点にカメラが設置されているものの、もう1つの地点にはカメラが設置されていない。このため、ユーザは1つの地点の人物検知結果のデータしか取得できない。
【0057】
図2(B-1),(B-2)に示す例は、ユーザが、ある地点の体感温度のデータを収集したい場合である。体感温度は、温度および風力から算出されるため、物理デバイス2としての温度計および風力計から、仮想デバイスとしての体感温度計を作成すればよい。
【0058】
ここで、図2(B-1)に示す例では、温度計と風速計との両方が設置されているため、仮想IoTシステム1のシングバイザー13は、温度計および風速計のデータから仮想デバイスとしての体感温度計のデータを生成することができる。一方、図2(B-2)に示す例では、温度計は設置されているものの、風速計が設置されていないため、仮想IoTシステム1のシングバイザー13は、体感温度計のデータを生成することができない。
【0059】
図3(A)に示す例は、ユーザが、スマートシティを対象エリアとして、その対象エリア内の温度を知りたい場合である。ここで、スマートシティでは、物理デバイス2としての温度計が1つも設置されていない。このため、仮想IoTシステム1のシングバイザー13は、温度のデータを取得できない。
【0060】
図3(B)に示す例は、図3(A)に示す例と同様に、ユーザが、スマートシティを対象エリアとして、温度の分布状況を把握するために、温度を10m刻みで知りたい場合である。ここで、スマートシティでは、物理デバイス2としての温度計が100mおきにしか設置されていない。このため、仮想IoTシステム1のシングバイザー13は、ユーザが要求する精度(密度)で温度のデータを取得できない。
【0061】
図3(C)に示す例は、ユーザが、スマートシティを対象エリアとして、体感温度の分布状況を把握するために、体感温度を10m刻みで知りたい場合である。ここで、スマートシティでは、物理デバイス2としての温度計が10mおきに設置されているものの、風力計が設置されていない。このため、仮想IoTシステム1のシングバイザー13は、仮想デバイスとしての体感温度計のデータを取得できない。
【0062】
そこで、本実施形態では、ユーザシステム3が、仮想IoTシステム1に対してデータの提供を要求した際に、ユーザが要求したデータを取得するために必要な物理デバイス2に不備がある場合に、その物理デバイス2の不備をシングバイザー13が検知してユーザシステム3に報告する。ユーザシステム3は、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取ると、データの仕様を緩和した上でデータの要求を再度行うようにユーザに促す。また、ユーザシステム3は、ユーザがデータの仕様を緩和できない場合には、ユーザ自らが物理デバイス2の整備を行うようにユーザに促す。
【0063】
ここで、物理デバイス2の不備とは、まず、ユーザが要求するデータの仕様(属性)に基づいて必要な地点に必要な物理デバイス2が設置されていない場合である。この場合、シングバイザー13が、物理デバイス2の不備として、物理デバイス2が不足していることを検知して、その旨をユーザシステム3に報告する。また、物理デバイス2の整備としては、必要な地点に必要な物理デバイス2が新規に設置される。
【0064】
また、物理デバイス2の不備には、ユーザが要求するデータの仕様に対して、対象エリアにある既存の物理デバイス2だけでは密度が不足する場合も含まれる。この場合、シングバイザー13が、物理デバイス2の不備として、物理デバイス2が不足していることを検知して、その旨をユーザシステム3に報告する。また、物理デバイス2の整備としては、対象エリアに物理デバイス2を新規に設置して物理デバイス2の密度を高くする措置が講じられる。
【0065】
また、物理デバイス2の不備には、必要な種類の物理デバイス2が存在するが、その物理デバイス2の仕様が、ユーザが要求する仕様(属性)のデータを生成する上で十分でない場合も含まれる。この場合、シングバイザー13が、物理デバイス2の不備として、既存の物理デバイス2の仕様(属性)が十分でないことを検知して、その旨をユーザシステム3に報告する。また、物理デバイス2の整備としては、既存の物理デバイス2の仕様の高度化、すなわち、仕様のレベルを上げる措置が講じられる。ここで、物理デバイス2の仕様の高度化とは、具体的には、既存の物理デバイス2を改修したり、既存の物理デバイス2のパラメーターを調整したり、既存の物理デバイス2を例えばより高性能な別の物理デバイス2に置き換えたりすることである。
【0066】
図2(A-2)に示す例では、シングバイザー13が、物理デバイス2の不備として、指定された地点にカメラが設置されていない旨をユーザシステム3に報告する。また、図2(B-2)に示す例では、シングバイザー13が、物理デバイス2の不備として、風速計が設置されていない旨をユーザシステム3に報告する。
【0067】
また、図3(A)に示す例では、シングバイザー13が、物理デバイス2の不備として、温度計が設置されていない旨をユーザシステム3に報告する。また、図3(B)に示す例では、シングバイザー13が、物理デバイス2の不備として、温度計が設置されているものの、ユーザが要求する仕様で温度のデータを取得できない旨をユーザシステム3に報告する。図3(C)に示す例では、シングバイザー13が、物理デバイス2の不備として、風力計が設置されていない旨をユーザシステム3に報告する。
【0068】
次に、第1実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順について説明する。図4図5は、第1実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。図4は、ユーザが要求するデータの取得に必要な物理デバイス2に不備がない場合の手順を示す。図5は、ユーザが要求するデータの取得に必要な物理デバイス2に不備がある場合の手順を示す。
【0069】
図4に示すように、仮想IoTシステム1では、ルートデータドメイン14が、物理デバイス2による検出結果のデータを物理デバイス2から収集(サブスクライブ)する。図4に示す例では、ルートデータドメイン14が、#1,#2の物理デバイス2からデータを収集する。
【0070】
一方、ユーザシステム3は、仮想IoTシステム1に対して、自身のユースケースに応じたデータの提供を要求する。すなわち、ユーザシステム3は、ユーザが要求するデータを提供する仮想サイロ11の作成を要求する。この要求には、ユーザが要求するデータの仕様(属性)、具体的には、対象エリアやデータの内容やデータの精度などに関する情報が含まれる。仮想IoTシステム1は、ユーザシステム3からの要求に応じて、ユーザのユースケースに応じた専用の仮想サイロ11を作成する。
【0071】
仮想サイロ11は、ブローカー12に対して、ユーザが要求するデータを要求する。
【0072】
ブローカー12は、ユーザが要求するデータを生成する仮想デバイスとして機能するシングバイザー13を作成する。
【0073】
シングバイザー13は、まず、ユーザが要求したデータを仮想デバイスにより生成するために必要な物理デバイス2およびその仕様(属性)を取得する。次に、シングバイザー13は、ルートデータドメイン14に対して、必要な物理デバイス2のデータを検索して、その検索結果に基づいて、物理デバイス2の不備を検知する。すなわち、必要な物理デバイス2のデータがルートデータドメイン14にある場合には、シングバイザー13は物理デバイス2に不備がないと判定する。一方、必要な物理デバイス2のデータがルートデータドメイン14にない場合には、シングバイザー13は物理デバイス2に不備があると判定する。
【0074】
このとき、シングバイザー13は、物理デバイス2の不備として、物理デバイス2の不足(未設置)、すなわち、ユーザが要求するデータを生成する仮想デバイスに必要な種類の物理デバイス2が存在しないことを検知する。また、シングバイザー13は、物理デバイス2の不備として、ユーザが要求するデータを生成する仮想デバイスに必要な物理デバイス2が存在するものの、その物理デバイス2が、ユーザが要求するデータの仕様(データの精度など)を満たしていないことを検知する。
【0075】
ここで、シングバイザー13が、物理デバイス2に不備がないと判定すると、該当する物理デバイス2のデータをルートデータドメイン14から取得する。このとき、単一の物理デバイス2のデータのみ必要であれば、その物理デバイス2のデータのみを取得する。また、複数の物理デバイス2のデータが必要であれば、その複数の物理デバイス2のデータを取得する。
【0076】
次に、シングバイザー13が、仮想デバイスとして、物理デバイス2のデータに基づいて、ユーザが要求するデータを生成して、その仮想デバイスのデータを、ブローカー12および仮想サイロ11を経由してユーザシステム3に提供する。
【0077】
一方、図5に示すように、シングバイザー13が、物理デバイス2の不備を検知すると、ブローカー12および仮想サイロ11を経由してユーザシステム3に対して、物理デバイス2の不備を報告する。
【0078】
このように本実施形態では、シングバイザー13が、ユーザシステム3に対して、物理デバイス不備の報告を行うため、ユーザが、物理デバイス2の不備、すなわち、ユーザが要求するデータを仮想デバイスにより生成するために必要な物理デバイス2が整備されていないことを認識することができる。
【0079】
また、本実施形態では、シングバイザー13が、ユーザシステム3に対する物理デバイス不備の報告として、必要な物理デバイス2が整備されていない旨を報告する他に、物理デバイス2の不備の詳細内容を報告する。
【0080】
ここで、物理デバイス2の不備として、物理デバイス2が不足している場合には、詳細内容として、不足している物理デバイス2の種類がユーザに報告される。また、物理デバイス2の不備として、必要な種類の物理デバイス2が存在するものの、その物理デバイス2の仕様が、ユーザが要求する仕様(属性)のデータを生成する上で十分でない場合には、その旨が詳細内容としてユーザに報告される。また、詳細内容として、既存の物理デバイス2の仕様がユーザに報告されるようにしてもよい。
【0081】
なお、シングバイザー13が物理デバイス2の不備を検知した場合に、物理デバイス2に不備があることのみをユーザシステム3に報告する、すなわち、詳細内容を含まない物理デバイス不備の報告を行うようにしてもよい。
【0082】
このように本実施形態では、物理デバイス2の不備の詳細内容をユーザシステム3に報告するため、既存の物理デバイス2の仕様が、ユーザが要求するデータを仮想デバイスにより生成する上で十分でないことを、ユーザが認識することができる。
【0083】
また、本実施形態では、ユーザシステム3が、物理デバイス不備の報告をシングバイザー13から受け取ると、ユーザがデータの仕様を初期のレベルから緩和できる場合には、データの仕様を緩和した上で、仮想IoTシステム1に対して再度データを要求する。
【0084】
ここで、データの仕様を緩和するとは、データの種類を変更したり、データの精度を下げたりすることである。例えば、データの初期の仕様として、データの種類が体感温度と指定されていたが、物理デバイス2としての風速計が設置されていないことから、温度計と風速計とを組み合わせた体感温度を検出する仮想デバイスの構築ができない場合には、データの種類が体感温度から気温に変更される。また、データの初期の仕様として、データの種類が温度と指定されると共に、データの精度が10m刻みと指定されていたが、物理デバイス2としての温度計が10m間隔で設置されていないことから、10m刻みの精度を確保ができない場合には、データの精度が10m刻みから100m刻みに変更される。
【0085】
また、ユーザシステム3が、仮想IoTシステム1に対して、データの仕様を緩和してデータの再要求を行っても、物理デバイス不備の報告を受け取る場合がある。この場合、ユーザシステム3は、データの仕様をさらに緩和してデータの再要求を行うようにしてもよい。また、データの仕様を緩和したデータの再要求を、物理デバイス不備の報告がなくなるまで繰り返すようにしてもよい。
【0086】
このように本実施形態では、ユーザが、データの仕様の緩和を許容できる場合には、ユーザシステム3が、データの仕様を緩和した上でデータの要求を再度行うことで、必要なデータを許容範囲内の仕様で収集することができる。
【0087】
また、シングバイザー13が、ユーザシステム3に対して物理デバイス不備の報告を行う際に、物理デバイス2の不備の詳細内容として、既存の物理デバイス2の仕様をユーザシステム3に報告すると、ユーザシステム3が、既存の物理デバイス2の仕様を具体的に確認することができる。
【0088】
ここで、ユーザが、既存の物理デバイス2の仕様に適合するようにデータの仕様を緩和できる場合には、ユーザシステム3は、既存の物理デバイス2の仕様に適合したデータの仕様に変更した上で、仮想IoTシステム1に対してデータの再要求を行ってよい。これにより、ユーザシステム3は、データの再要求を1度行うだけで、所要のデータを収集することができる。
【0089】
また、本実施形態では、ユーザシステム3が、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取ると、不備のある物理デバイス2の整備をユーザに促す出力を行う。例えば、ユーザシステム3を構成するスマートフォンに、不備のある物理デバイス2の整備を促す画面を表示する。これにより、物理デバイス2に不備がある場合に、速やかにユーザが自身で必要な物理デバイス2の整備に着手することができる。
【0090】
なお、ユーザがデータの仕様を初期のレベルから緩和できない場合には、ユーザ自身が必要な物理デバイス2を整備するようにすればよい。また、前記のように、データの仕様を緩和してデータを再要求しても、シングバイザー13から物理デバイス不備の報告を受け取った場合には、ユーザは既存の物理デバイス2を利用して所要のデータを取得することを断念して、ユーザ自身が必要な物理デバイス2を整備するようにすればよい。
【0091】
また、このようにユーザ自身が必要な物理デバイス2を整備した場合、その物理デバイス2で検出されたデータを、他のユーザにも使用できるようにするとよい。その場合、物理デバイス2を整備したユーザに対してインセンティブを与える、例えば、クーポンを発行したり、デバイス利用に応じた利用料を徴収したり、他のユーザが設置した物理デバイス2のデータを使用する権限を付与したりすると、整備された物理デバイス2のデータの公開を促進できる。
【0092】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図6は、第2実施形態に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図である。図7図8は、第2実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。図7は、ユーザからの物理デバイス整備の要求に対して代行者が初期の仕様のままで物理デバイス2の整備を承諾した場合である。図8は、ユーザからの物理デバイス整備の要求に対して代行者が条件付きで物理デバイス2の整備を承諾した場合である。
【0093】
第1実施形態では、ユーザが要求したデータの取得に必要な物理デバイス2に不備がある場合に、データの仕様を緩和した上でデータの要求を再度行うものとした。また、ユーザがデータの仕様を緩和できない場合には、ユーザ自らが物理デバイス2の整備を行うものとした。
【0094】
一方、本実施形態では、図6に示すように、代行者が物理デバイス2の整備を行う。この代行者は、ユーザに代わって必要な物理デバイス2を整備する者であり、例えば、対象となる物理デバイス2が設置される場所(スマートシティなど)の管理者などである。
【0095】
図7に示すように、ユーザシステム3は、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取ると、代行者システム5(代行者が運用するシステム)に対して直接、必要な物理デバイス2の整備を要求する。図7に示す例では、物理デバイス2の整備として、#2の物理デバイス2の新設を代行者システム5に要求する。
【0096】
代行者システム5は、ユーザシステム3から物理デバイス整備の要求を受け取ると、不備のある物理デバイス2の整備を代行者に促す出力を行う。例えば、ユーザシステム3を構成するスマートフォンに、不備のある物理デバイス2の整備を促す画面を表示する。これにより、物理デバイス2に不備がある場合に、速やかに代行者が必要な物理デバイス2の整備に着手することができる。
【0097】
代行者は、ユーザからの物理デバイス整備の要求を承諾した場合には、その物理デバイス2の整備を実行する。このとき、物理デバイス2が未設置であれば、物理デバイス2の整備として、その物理デバイス2を新規に設置する。また、物理デバイス2の仕様が、ユーザが要求するデータの仕様を満たさない場合には、物理デバイス2の仕様のレベルを上げる改修を行う。
【0098】
なお、ユーザシステム3と代行者システム5との間のやり取りは、仮想IoTシステム1とは独立した通信媒体、例えば通常のIPネットワークで行うようにすればよい。また、ユーザシステム3が、物理デバイス2の整備をユーザに促す出力を行い、これに応じてユーザが、代行者に対して電子メールや電話で物理デバイス2の整備を依頼するようにしてもよい。
【0099】
このように本実施形態では、ユーザが代行者に必要な物理デバイス2の整備を要請することができるため、ユーザが自ら物理デバイス2を整備することが難しい場合でも、必要な物理デバイス2が整備されて、ユーザが必要とするデータを取得することができる。
【0100】
また、本実施形態では、図8に示すように、代行者システム5が、ユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求で指定された物理デバイス2の整備が困難な場合に、ユーザシステム3に対して、物理デバイス2の仕様の緩和を条件にして物理デバイス2の整備を承諾する旨の条件付き整備承諾の通知を行うことができる。図8に示す例では、#2の物理デバイス2の仕様の緩和を条件にして#2の物理デバイス2の整備を承諾する旨がユーザシステム3に対して通知される。
【0101】
これにより、ユーザが要求するデータの初期の仕様では、代行者にとって、整備が必要な物理デバイス2の仕様のレベルが高すぎて、物理デバイス2の整備が困難な場合でも、ユーザが要求するデータの仕様が緩和されることで、整備が必要な物理デバイス2の仕様のレベルが代行者の許容範囲まで下がると、代行者による物理デバイス2の整備が可能となる。
【0102】
一方、ユーザシステム3は、代行者システム5からの条件付き整備承諾の通知を受け取った際に、データの仕様を初期のレベルから緩和できない場合には、物理デバイス2の整備を代行者に依頼することを断念して、ユーザ自身で物理デバイス2の整備を行うか、あるいはデータ提供そのものを断念してもよい。
【0103】
また、ユーザシステム3は、要求するデータの仕様を緩和する余地がある場合には、データの仕様を緩和した上で、代行者システム5に対して、再度、物理デバイス整備の要求を行う。代行者は、ユーザシステム3から提示された緩和された仕様で物理デバイス2の整備が可能であれば、物理デバイス2の整備に着手する。また、このとき、物理デバイス整備の報告(条件なしの整備承諾の通知)をユーザシステム3に対して行うようにしてもよい。
【0104】
このとき、ユーザシステム3が、代行者システム5から物理デバイス整備の報告を受け取るまで、代行者システム5からの条件付き整備承諾の通知に応じて、データの仕様を徐々に緩和して物理デバイス整備の要求を繰り返すようにてもよい。ここで、許容できる範囲内でデータの仕様を緩和しても、代行者システム5から物理デバイス整備の報告を受け取ることができない場合には、物理デバイス2の整備を代行者に依頼することを断念して、ユーザ自身で物理デバイス2の整備を行うか、あるいはデータ提供そのものを断念する。
【0105】
また、代行者システム5が、ユーザシステム3に対して、条件付き整備承諾の通知として、代行者が整備可能な物理デバイス2の仕様をユーザに提案するようにしてもよい。この場合、ユーザシステム3は、代行者システム5からの提案内容を受け入れることができる場合には、その提案内容の仕様、すなわち、代行者が整備可能な物理デバイス2の仕様で物理デバイス整備の要求を行えばよい。
【0106】
(第2実施形態の第1変形例)
次に、第2実施形態の第1変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図9は、第2実施形態の第1変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。
【0107】
第2実施形態では、代行者システム5が、ユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求を受け取ると、代行者に対して物理デバイス2の整備を促す出力を行うものとした。
【0108】
一方、本変形例では、代行者システム5が、ユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求に基づいて、物理デバイス2の整備の可否を判定(整備判定)する。特に本変形例では、物理デバイス2の整備を行うための条件(整備条件)として、ユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求の件数が所定のしきい値に達した場合に、物理デバイス2の整備が行われるようにする。ユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求の件数がしきい値に達しない場合には、物理デバイス2の整備が保留される。
【0109】
図9に示す例では、物理デバイス整備の要求の件数に関するしきい値を3件としている。また、代行者システム5が、#1,#2,#3のユーザシステム3から、#2の物理デバイス整備の要求を順次受け取る。
【0110】
ここで、代行者システム5は、まず、#1のユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求を受け取るが、この段階では物理デバイス整備の要求が1件だけなので、物理デバイス2の整備は保留される。次に、代行者システム5が、#2のユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求を受け取るが、この段階でも物理デバイス整備の要求がまだ2件なので、物理デバイス2の整備は保留される。次に、代行者システム5が、#3のユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求を受け取ると、物理デバイス整備の要求が3件となり、物理デバイス整備の要求の件数がしきい値に達するので、物理デバイス2の整備が行われる。
【0111】
なお、代行者システム5は、物理デバイス2の整備が必要であると判定すると、不備のある物理デバイス2の整備を代行者に促す出力を行い、これに応じて代行者が、物理デバイス2の整備に着手する。
【0112】
このように本変形例では、物理デバイス整備の要求の件数が多い、すなわち、物理デバイス2の需要が高くなったところで、物理デバイス2が整備されるため、物理デバイス2の有効活用を図ることができる。
【0113】
また、本変形例では、代行者システム5が、複数のユーザシステム3の各々からの物理デバイス整備の要求で指定された物理デバイス2の仕様のうちで最もレベルが高い仕様(データ精度が最も高いなど)を選択(仕様決定)し、その選択された仕様で代行者により物理デバイス2の整備が行われるようにする。
【0114】
図9に示す例では、#1のユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求では、中レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備が要求される。また、#2のユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求では、高レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備が要求される。また、#3のユーザシステム3からの物理デバイス整備の要求では、低レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備が要求される。したがって、代行者は、#2のユーザシステム3から要求された高レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備を行う。なお、ここでは、レベルが高い仕様を高レベルの仕様、レベルの低い仕様を低レベルの仕様、高レベルの仕様と低レベルの仕様の間のレベルの仕様を中レベルの仕様と呼ぶ。また、以下でも、同様の内容の仕様を高レベルの仕様、低レベルの仕様および中レベルの仕様と呼ぶことがある。
【0115】
このように本変形例では、ユーザから要求された仕様のうちで最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備が行われるため、全てのユーザに対して満足できるデータを提供することができる。
【0116】
(第2実施形態の第2変形例)
次に、第2実施形態の第2変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図10は、第2実施形態の第2変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。なお、図10において、代行者システム5が#1,#2,#3のユーザシステム3から物理デバイス整備の要求を順次受け取った後に整備判定を行う手順までは第2実施形態の第1変形例(図9参照)と同様である。
【0117】
第2実施形態の第1変形例では、代行者システム5が、複数のユーザシステム3の各々からの物理デバイス整備の要求で指定された物理デバイス2の仕様のうちで最もレベルが高い仕様を選択(仕様決定)して、物理デバイス2の整備が行われるものとした。
【0118】
一方、本変形例では、代行者システム5が、複数のユーザシステム3の各々からの物理デバイス整備の要求で指定された物理デバイス2の仕様のうちで最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備ができるか否かを代行者に問い合わせ、最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備ができない場合には、最もレベルが高い仕様からレベルを下げて整備が可能な仕様を選択(仕様決定)して、物理デバイス2の整備が行われる。
【0119】
図10に示す例では、#1,#2,#3のユーザシステム3の各々からの物理デバイス整備の要求で指定された物理デバイス2の仕様のうちで、#2のシングバイザー13から要求された高レベルの仕様が最もレベルが高い仕様となるが、この最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備ができないため、中レベルの仕様で物理デバイス2の整備が行われる。
【0120】
このように本変形例では、最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備ができない場合に、整備が可能な低いレベルの仕様で物理デバイス2の整備が行われるため、#2のユーザシステム3にとってはレベルが不十分ではあるものの、必要な物理デバイス2の整備は促進することができる。
【0121】
また、本変形例では、代行者システム5が、最もレベルが高い仕様から整備が可能なレベルに下げた仕様を選択した場合、ユーザシステム3に対して、要求したデータの取得に必要となる物理デバイス2を整備した旨の物理デバイス整備の報告と、整備した物理デバイス2の仕様を、ユーザシステム3が要求した仕様より低いレベルの仕様に変更した旨の仕様変更の報告とを行う。
【0122】
このユーザシステム3に対する物理デバイス整備の報告および仕様変更の報告は、整備された物理デバイス2の仕様が要求したレベルより低いユーザシステム3を対象にして行われる。図10に示す例では、高レベルの仕様で物理デバイス2の整備を要求した#2のユーザシステム3に対して、代行者システム5が物理デバイス整備の報告と仕様変更の報告とを行う。
【0123】
このように本変形例では、代行者システム5が、ユーザシステム3に対して物理デバイス整備の報告を行うため、ユーザシステム3が要求したデータに必要となる物理デバイス2が整備されたことをユーザが把握することができる。また、代行者システム5が、ユーザシステム3に対して仕様変更の報告を行うため、整備した物理デバイス2の仕様が、ユーザシステム3が要求した仕様より低いレベルの仕様に変更されたことをユーザが把握することができる。
【0124】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図11は、第3実施形態に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図である。図12は、第3実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。
【0125】
第2実施形態では、ユーザシステム3が、代行者システム5に対して、物理デバイス2の整備を要求するものとした。
【0126】
一方、本実施形態では、ブローカー12が、代行者システム5に対して、物理デバイス整備の要求を行う。
【0127】
また、本実施形態では、ブローカー12が、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告に基づいて、代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求の可否を判定(整備判定)する。特に本変形例では、物理デバイス2の整備を行うための条件(整備条件)として、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告の件数が所定のしきい値に達した場合に、代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求を行う。シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告の件数がしきい値に達しない場合には、物理デバイス整備の要求が保留される。なお、この処理は、第2実施形態の第1変形例と略同様である。
【0128】
図12に示す例では、物理デバイス不備の報告の件数に関するしきい値を3件としている。また、ブローカー12が、#1,#2,#3のシングバイザー13から、#2の物理デバイス2に関する物理デバイス不備の報告を順次受け取る。
【0129】
ここで、ブローカー12は、まず、#1のシングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取るが、この段階では物理デバイス不備の報告が1件だけなので、物理デバイス整備の要求は保留される。次に、ブローカー12が、#2のシングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取るが、この段階でも物理デバイス不備の報告がまだ2件なので、物理デバイス整備の要求は保留される。次に、ブローカー12が、#3のシングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取ると、物理デバイス不備の報告が3件となり、物理デバイス不備の報告の件数がしきい値に達するので、物理デバイス整備の要求が行われる。
【0130】
このように本実施形態では、物理デバイス不備の報告の件数が多い、すなわち、物理デバイス2の需要が高くなったところで、物理デバイス2が整備されるため、整備された物理デバイス2の有効活用を図ることができる。
【0131】
また、本実施形態では、ブローカー12が、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取ると、関係するユーザシステム3に対して、物理デバイス不備の報告を行う。
【0132】
また、本実施形態では、ブローカー12が、所定の整備条件を満足しない場合、すなわち、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告の件数が所定のしきい値に達していない場合には、代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求を保留すると共に、関係するユーザシステム3に対して、物理デバイス不備の報告が所定件数揃えば代行者に対して物理デバイス整備の要求を行う旨の物理デバイス整備の予告を行う。
【0133】
また、本実施形態では、ブローカー12が、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告の件数がしきい値に達した場合には、代行者システム5に対して物理デバイス整備の要求を行うと共に、関係するユーザシステム3に対して、代行者システム5に対して物理デバイス整備の要求を行った旨の物理デバイス整備要求の報告を行う。
【0134】
図12に示す例では、ブローカー12が、まず、#1のシングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取るが、この段階では物理デバイス不備の報告が1件だけなので、物理デバイス整備の要求は保留される。このとき、ブローカー12が、#1のシングバイザー13に関係する#1のユーザシステム3に対して、#2の物理デバイス2が不足している旨の物理デバイス不備の報告と、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告があと2件揃えば代行者に対して物理デバイス2の整備を要求する旨の物理デバイス整備の予告とを行う。
【0135】
次に、ブローカー12が、#2のシングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取るが、この段階でも物理デバイス不備の報告がまだ2件なので、物理デバイス整備の要求は保留される。このとき、#2のシングバイザー13に関係する#2のユーザシステム3に対して、#2の物理デバイス2が不足している旨の物理デバイス不備の報告と、物理デバイス不備の報告があと1件揃えば代行者に対して物理デバイス整備の要求を行う旨の物理デバイス整備の予告とを行う。また、ブローカー12が、#1のユーザシステム3に対して、物理デバイス不備の報告があと1件揃えば代行者に対して物理デバイス整備の要求を行う旨の物理デバイス整備の予告を行う。
【0136】
次に、ブローカー12が、#3のシングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取ると、物理デバイス不備の報告が合計で3件となり、物理デバイス不備の報告の件数がしきい値に達するので、物理デバイス整備の要求が行われる。このとき、#1,#2のユーザシステム3に対して、物理デバイス不備の報告が3件揃ったので代行者に対して物理デバイス整備の要求を行った旨の物理デバイス整備要求の報告を行う。また、#3のユーザシステム3に対して、物理デバイス不備の報告と、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告が3件揃ったので代行者に対して物理デバイス整備の要求を行った旨の物理デバイス整備要求の報告とを行う。
【0137】
このように本実施形態では、ユーザシステム3に対して物理デバイス不備の報告が行われるため、物理デバイス2に不備があることをユーザが確認することができる。また、ユーザシステム3に対して物理デバイス整備の予告が行われるため、物理デバイス2の整備が行われる可能性があることをユーザが確認することができる。また、ユーザシステム3に対して物理デバイス整備の報告が行われるため、代行者に対して物理デバイス整備の要求を行ったことをユーザが確認することができる。
【0138】
また、本実施形態では、ブローカー12が、複数のシングバイザー13から物理デバイス不備の報告を受け取ると、関係する複数のユーザシステム3の各々から要求されたデータの仕様に対応する物理デバイス2の仕様のうちで最もレベルが高い仕様(データ精度が最も高いなど)を選択(仕様決定)して、代行者システム5に対して物理デバイス整備の要求を行う。なお、この処理は、第2実施形態の第1変形例と略同様である。
【0139】
図12に示す例では、#1のユーザシステム3から要求されたデータの仕様では、中レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備が必要である。また、#2のユーザシステム3から要求されたデータの仕様では、高レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備が必要である。また、#3のユーザシステム3から要求されたデータの仕様では、低レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備が必要である。したがって、ブローカー12は、#2のユーザシステム3から要求されたデータの仕様に対応する高レベルの仕様で物理デバイス2の整備を行うように、代行者システム5に対して物理デバイス整備の要求を行う。
【0140】
このように本変形例では、ユーザから要求された仕様のうちで最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備が行われるため、全てのユーザの要望を満足できるデータをユーザに提供することができる。
【0141】
また、本実施形態では、ブローカー12が、関係するシングバイザー13に対して、代行者システム5に対して物理デバイス整備の要求を行った旨の物理デバイス整備要求の報告を行う。なお、整備された物理デバイス2のデータがルートデータドメイン14により収集(サブスクライブ)されれば、物理デバイス2が整備されたことをシングバイザー13が認識できるようになるので、シングバイザー13に対する物理デバイス整備要求の報告は省略されてもよい。
【0142】
なお、ブローカー12が、代行者システム5に対して、物理デバイス整備の要求を行う際に、物理デバイス2の整備に関して代行者にインセンティブ(クーポンの発行など)を与えるようにしてもよい。これにより、必要な物理デバイス2の整備が促進される。
【0143】
(第3実施形態の第1変形例)
次に、第3実施形態の第1変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図13は、第3実施形態の第1変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。なお、図13において、ブローカー12が#1,#2,#3のシングバイザー13から物理デバイス不備の報告を順次受け取った後に整備判定を行う手順までは第3実施形態(図12参照)と同様である。
【0144】
第3実施形態では、ブローカー12が、複数のユーザシステム3の各々から要求されたデータの仕様に対応する物理デバイス2の仕様のうちで最もレベルが高い仕様を選択(仕様決定)して、代行者システム5に対して、物理デバイス整備の要求を行うものとした。また、代行者システム5は、ブローカー12から要求された最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備を行うように代行者を促すものとした。
【0145】
一方、本変形例では、代行者システム5が、ブローカー12から要求された最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備ができるか否かを代行者に問い合わせ、最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備ができない場合には、最もレベルが高い仕様からレベルを下げて整備が可能な仕様を選択(仕様決定)して、物理デバイス2の整備が行われる。
【0146】
図13に示す例では、#1,#2,#3のユーザシステム3の各々から要求されたデータの仕様に対応する物理デバイス2の仕様のうちで、#2のユーザシステム3から要求されたデータの仕様に対応する高レベルの仕様が最もレベルが高い仕様となり、ブローカー12が、高レベルの仕様で物理デバイス2を整備するように物理デバイス整備の要求を代行者システム5に対して行う。そして、代行者システム5が、高レベルの仕様で物理デバイス2を整備できるか否かを代行者に問い合わせ、高レベルの仕様で物理デバイス2を整備できない場合には、#1のユーザシステム3から要求されたデータの仕様に対応する中レベルの仕様で物理デバイス2の整備が行われるようにする。
【0147】
このように本変形例では、最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備ができない場合に、整備が可能な低いレベルの仕様で物理デバイス2の整備を行うため、#2のユーザシステム3にとってはレベルが不十分ではあるものの、物理デバイス2の整備は促進することができる。
【0148】
また、本変形例では、代行者システム5が、ブローカー12から要求された最もレベルが高い仕様からレベルを下げて整備が可能な仕様を選択した場合、ブローカー12に対して、ブローカー12が要求した物理デバイス2の整備を行う旨の物理デバイス整備の報告と、整備した物理デバイス2の仕様を、ブローカー12が要求した仕様より低いレベルの仕様に変更した旨の仕様変更の報告とを行う。
【0149】
ブローカー12は、代行者システム5からの物理デバイス整備の報告と仕様変更の報告とを受け取ると、関係するユーザシステム3に対して、物理デバイス整備の報告と仕様変更の報告とを行う。
【0150】
図13に示す例では、代行者システム5が、物理デバイス整備の報告と仕様変更の報告とをブローカー12に対して行う。また、ブローカー12が、物理デバイス整備の報告と仕様変更の報告とを#1,#2,#3のユーザシステム3に対して行う。
【0151】
このように本実施形態では、代行者システム5が、ブローカー12を経由してユーザシステム3に対して、物理デバイス整備の報告と仕様変更の報告とを行うため、ユーザシステム3が要求したデータを仮想デバイスにより生成するために必要な物理デバイス2を整備したことをユーザが把握することができ、また、整備した物理デバイス2の仕様が、ユーザシステム3が要求した仕様より低いレベルの仕様に変更されたことをユーザが把握することができる。
【0152】
(第3実施形態の第2変形例)
次に、第3実施形態の第2変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図14は、第3実施形態の第2変形例に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図である。図15は、第3実施形態の第2変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。なお、図15において、ブローカー12が#1,#2,#3のシングバイザー13から物理デバイス不備の報告を順次受け取った後に整備判定を行う手順までは第3実施形態(図12参照)と同様である。
【0153】
第3実施形態では、ブローカー12が、物理デバイス2の整備を行うための条件(整備条件)が満たされる、すなわち、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告の件数が所定のしきい値(例えば3件)に達すると、代行者システム5に対して物理デバイス2の整備を要求するものとした。
【0154】
一方、本変形例では、ブローカー12が、整備条件が満たされると、必要な物理デバイス2を整備する代行者を公募し、公募に応えた立候補者の中から代行者を選定して、その代行者が運用する代行者システム5に対して物理デバイス2の整備を要求する。なお、公募に応えた立候補者や、立候補者の中から代行者に選定された者に対して、何らかのインセンティブが与えられるようにすると、立候補を促進することができる。
【0155】
特に本変形例では、WEBシステム7を利用して代行者を公募し、ブローカー12が、WEBシステム7に対して代行者公募の依頼を行う。この代行者公募の依頼には、整備を要求する物理デバイス2の仕様などが含まれる。このWEBシステム7は、代行者を公募するサイトを運用し、立候補者システム8(立候補者が運用するシステム)がWEBシステム7にアクセスすることで、代行者を公募するサイトを立候補者が閲覧することができる。
【0156】
図15に示す例では、ブローカー12が、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告の件数がしきい値(3件)に達したので、WEBシステム7に対して代行者公募の依頼を行う。
【0157】
WEBシステム7は、ブローカー12からの代行者公募の依頼を受け取ると、代行者の公募を行う。この公募では、必要な物理デバイス2の仕様を提示して立候補者を募集する。なお、本実施形態では、WEBシステム7を利用して代行者の公募を行うようにしたが、このような構成に限定されず、その他のシステムを利用して代行者の公募を行うようにしてもよい。
【0158】
立候補者システム8は、立候補者が公募に応募する場合、ブローカー12に対して、立候補の通知を行う。
【0159】
ブローカー12は、立候補者システム8からの立候補の通知を受け取ると、所定の選定基準に基づいて、立候補者を代行者に選定する。そして、ブローカー12は、立候補者システム8に対して、代行者として物理デバイス2の整備を行うように依頼する旨の物理デバイス整備の要求を行う。
【0160】
ここで、立候補者が複数あれば、ブローカー12は、最も条件のよい立候補者を代行者に選定する。このとき、物理デバイス2の整備に係る費用や、物理デバイス2の整備に要する期間や、物理デバイス2の整備および保守に関する実績や、整備される物理デバイス2の品質などに基づいて、代行者の選定が行われる。
【0161】
なお、立候補者が代行者に選定されると、立候補者システム8は代行者システム5として扱われ、ブローカー12からの物理デバイス整備の要求を受け取る。
【0162】
このように本変形例では、ブローカー12にとって代行者が不明なために、代行者に対して物理デバイス2の整備を要請できない場合でも、公募により代行者を見つけ出して、物理デバイス2の整備を要請することができる。また、特定者しか物理デバイス2を設置できない環境でない場合に、公募により代行者を見つけ出すことで、最良の条件で物理デバイス2の整備を要請することができる。
【0163】
(第3実施形態の第3変形例)
次に、第3実施形態の第3変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図16は、第3実施形態の第3変形例に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図である。図17は、第3実施形態の第3変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。
【0164】
第3実施形態では、ブローカー12が、代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求の可否を判定して、整備条件として、シングバイザー13からの物理デバイス不備の報告の件数が所定のしきい値に達した場合に、代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求を行うものとした。
【0165】
一方、本変形例では、ユーザシステム3が、共通する物理デバイス2の整備を必要とする他のユーザシステム3との間で、代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求の可否に関する調整を行い、その調整結果に基づいて、代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求を行う。
【0166】
このとき、代行者システム5に対して物理デバイス整備の要求を行うための条件(例えば、関係するユーザ数)や、代行者システム5に対して物理デバイス整備の要求を行う主体となるユーザシステム3の選定や、物理デバイス整備の要求の相手となる代行者システム5の選定や、要求する物理デバイス2の仕様(例えば、高、中、低のいずれかのレベル)などに関して、関係する複数のユーザシステム3間で調整が行われる。
【0167】
なお、ユーザシステム3間で行われる調整は、ユーザが介在せずにユーザシステム3自体が他のユーザシステム3との間での調整処理を行うようにしてもよいが、ユーザ同士が電子メールや電話などの適宜な通信手段を用いて調整を行い、その調整結果をユーザが各自のユーザシステム3に入力するものとしてもよい。
【0168】
また、本変形例では、ブローカー12が、複数のユーザシステム3が、共通する物理デバイス2の整備を必要とする場合に、各ユーザシステム3に対して、他のユーザシステム3の連絡先(例えば、メールアドレスなど)を通知する。
【0169】
図17に示す例では、ブローカー12が、まず、#1のシングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取るが、この段階では、関係するユーザシステム3が#1のユーザシステム3の1つだけである。そこで、ブローカー12が、物理デバイス2に不備がある旨の物理デバイス不備の報告を、#1のユーザシステム3のみに対して行う。
【0170】
次に、ブローカー12が、#2のシングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取ると、関係するユーザシステム3が#1のユーザシステム3と#2のユーザシステム3との2つとなる。そこで、ブローカー12が、#2のユーザシステム3に関する連絡先の通知を、#1のユーザシステム3に対して行う。また、ブローカー12が、物理デバイス2に不備がある旨の物理デバイス不備の報告と、#1のユーザシステム3に関する連絡先の通知とを、#2のユーザシステム3に対して行う。これにより、#1のユーザシステム3および#2のユーザシステム3が、相互に連絡先を把握することができるので、2者間で代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求の可否に関する調整を行うことができる。ここでは、#1のユーザシステム3と#2のユーザシステム3とで調整を行った結果、もう1人揃うまで、代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求を待つものとする。
【0171】
次に、ブローカー12が、#3のシングバイザー13からの物理デバイス不備の報告を受け取ると、関係するユーザシステム3が#1のユーザシステム3と#2のユーザシステム3と#3のユーザシステム3との3つとなる。そこで、ブローカー12が、#3のユーザシステム3に関する連絡先の通知を、#1のユーザシステム3に対して行う。また、ブローカー12が、#3のユーザシステム3に関する連絡先の通知を、#2のユーザシステム3に対して行う。また、ブローカー12が、物理デバイス2に不備がある旨の物理デバイス不備の報告と、#1のユーザシステム3および#2のユーザシステム3に関する連絡先の通知とを、#3のユーザシステム3に対して行う。これにより、#1のユーザシステム3、#2のユーザシステム3および#3のユーザシステム3が、相互に連絡先を把握することができるので、3者間で代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求の可否に関する調整を行うことができる。ここでは、#1のユーザシステム3と#2のユーザシステム3と#3のユーザシステム3とで調整を行った結果、代行者システム5に対する物理デバイス整備の要求を#2のユーザシステム3が行うものとする。
【0172】
なお、本変形例では、ユーザが、関係する他のユーザとの間で調整を行い、その調整結果に基づいて、代行者に対して物理デバイス整備を要請するものとしたが、ユーザ間での調整により、共通する物理デバイス2の整備を必要とするユーザ自身が物理デバイス2を整備するものとしてもよい。この場合、複数のユーザのうちの1人が単独で物理デバイス2を整備するものとしてもよく、また、複数のユーザが共同で物理デバイス2を整備するものとしてもよい。
【0173】
このように本変形例では、ユーザシステム3が、共通する物理デバイス2の整備を必要とする他のユーザシステム3との間で、物理デバイス2の整備に関する調整を行うため、必要な物理デバイス2の整備が円滑に行われる。また、ブローカー12が、ユーザシステム3に対して、関係する他のユーザシステム3の連絡先を通知するため、関係する複数のユーザシステム3が、相互に連絡先を把握して調整を円滑に行うことができる。
【0174】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図18は、第4実施形態に係る仮想IoT制御方法の概要を示すブロック図である。図19は、第4実施形態に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。
【0175】
第2実施形態では、ユーザシステム3が、代行者システム5に対して、物理デバイス2の整備を要求するものとした。また、第3実施形態では、ブローカー12が、代行者システム5に対して、物理デバイス2の整備を要求するものとした。
【0176】
一方、本実施形態では、シングバイザー13が、代行者システム5に対して、物理デバイス2の整備を要求する。代行者システム5は、シングバイザー13からの物理デバイス整備の要求を受け取ると、その要求で指定された仕様で物理デバイス2の整備を行うように代行者を促す出力を行う。
【0177】
ここで、物理デバイス不備の報告は、単に物理デバイス2に不備がある旨の情報だけを含むものとしてもよいが、不備のある物理デバイス2に関係する情報、すなわち、不備のある物理デバイス2の種類(温度計など)、必要な物理デバイス2が設置されていない区域、既設の物理デバイス2の仕様上の不備(精度不足や密度不足など)などに関する情報を含むようにしてもよい。
【0178】
また、本実施形態では、代行者システム5が、シングバイザー13からの物理デバイス整備の要求に基づいて、物理デバイス2の整備の可否を判定(整備判定)する。特に本実施形態では、物理デバイス2の整備を行うための条件(整備条件)として、シングバイザー13からの物理デバイス整備の要求の件数が所定のしきい値に達した場合に、物理デバイス2の整備が行われるようにする。シングバイザー13からの物理デバイス整備の要求の件数がしきい値に達しない場合には、物理デバイス2の整備が保留される。なお、この処理は、第2実施形態の第1変形例と同様である。
【0179】
図19に示す例では、物理デバイス整備の要求の件数に関するしきい値を3件としている。また、代行者システム5が、#1,#2,#3のシングバイザー13から、#2の物理デバイス2に関する物理デバイス整備の要求を順次受け取る。
【0180】
ここで、代行者システム5は、まず、#1のシングバイザー13からの物理デバイス整備の要求を受け取るが、この段階では物理デバイス整備の要求が1件だけなので、物理デバイス2の整備は保留される。次に、代行者システム5が、#2のシングバイザー13からの物理デバイス整備の要求を受け取るが、この段階でも物理デバイス整備の要求がまだ2件なので、物理デバイス2の整備は保留される。次に、代行者システム5が、#3のシングバイザー13からの物理デバイス整備の要求を受け取ると、物理デバイス整備の要求が3件となり、物理デバイス整備の要求の件数がしきい値に達するので、物理デバイス2の整備が行われる。
【0181】
このように本実施形態では、物理デバイス整備の要求の件数が多い、すなわち、物理デバイス2の需要が高くなったところで、物理デバイス2が整備されるため、物理デバイス2の有効活用を図ることができる。
【0182】
また、本実施形態では、代行者システム5が、複数のシングバイザー13の各々からの物理デバイス整備の要求で指定された物理デバイス2の仕様のうちで最もレベルが高い仕様を選択(仕様決定)し、その選択された仕様で代行者により物理デバイス2の整備が行われるようにする。この処理は、第2実施形態の第1変形例と同様である。
【0183】
図19に示す例では、#1のシングバイザー13からの物理デバイス整備の要求では、中レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備が要求される。また、#2のシングバイザー13からの物理デバイス整備の要求では、高レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備が要求される。また、#3のシングバイザー13からの物理デバイス整備の要求では、低レベルの仕様で#2の物理デバイス2の整備が要求される。したがって、代行者は、#2のシングバイザー13から要求された高レベルの仕様で物理デバイス2の整備を行う。
【0184】
このように本実施形態では、ユーザから要求された仕様のうちで最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備が行われるため、全てのユーザに対して満足できるデータを提供することができる。
【0185】
(第4実施形態の変形例)
次に、第4実施形態の変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図20は、第4実施形態の変形例に係る仮想IoT制御方法の手順を示すシーケンス図である。なお、図20において、代行者システム5が、#1,#2,#3のシングバイザー13からの物理デバイス整備の要求を順次受け取った後に整備判定を行う手順までは第4実施形態(図19参照)と同様である。
【0186】
第4実施形態では、代行者システム5が、複数のシングバイザー13の各々からの物理デバイス整備の要求で指定された物理デバイス2の仕様のうちで最もレベルが高い仕様を選択(仕様決定)して、物理デバイス2の整備が行われるものとした。
【0187】
一方、本変形例では、代行者システム5が、複数のシングバイザー13の各々からの物理デバイス整備の要求で指定された物理デバイス2の仕様のうちで最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備ができるか否かを代行者に問い合わせ、最もレベルが高い仕様で物理デバイス2の整備ができない場合には、最もレベルが高い仕様からレベルを下げて整備が可能な仕様を選択(仕様決定)して、物理デバイス2の整備が行われる。この処理は、第2実施形態の第2変形例と同様である。
【0188】
また、本変形例では、代行者システム5が、最もレベルが高い仕様からレベルを下げた仕様で物理デバイス2の整備を行う場合に、要求元の各シングバイザー13に対して、要求した物理デバイス2を整備した旨の物理デバイス整備の報告と、整備した物理デバイス2の仕様を、シングバイザー13から要求された最もレベルが高い仕様より低いレベルの仕様に変更した旨の仕様変更の報告とを行う。
【0189】
図20に示す例では、代行者システム5が、要求元の#1,#2,#3の各シングバイザー13に対して、物理デバイス整備の報告と仕様変更の報告とを行う。
【0190】
さらに、本変形例では、シングバイザー13が、ユーザシステム3に対して、要求したデータの取得に必要となる物理デバイス2を整備した旨の物理デバイス整備の報告と、整備した物理デバイス2の仕様を、ユーザシステム3が要求した仕様より低いレベルの仕様に変更した旨の仕様変更の報告とを行う。
【0191】
このユーザシステム3に対する物理デバイス整備の報告および仕様変更の報告は、整備された物理デバイス2の仕様が要求したレベルより低いユーザシステム3を対象にして行われる。図20に示す例では、高レベルの仕様で物理デバイス2の整備を要求した#2のユーザシステム3に対して、#2のシングバイザー13が物理デバイス整備の報告と仕様変更の報告とを行う。
【0192】
なお、実際に整備される物理デバイス2の仕様が、ユーザシステム3が要求したレベル以上であるユーザシステム3、図20に示す例では、#1,#3のユーザシステム3に対しても、物理デバイス整備の報告および仕様変更の報告を行うものとしてもよい。
【0193】
このように本実施形態では、レベルを下げた仕様で物理デバイス2の整備が行われることから、一部のユーザの要望が満たされない場合があるが、その要望が満たされないユーザに対して、レベルを下げた仕様で物理デバイス2の整備が行われる旨の報告が行われるため、ユーザ自身が要望した仕様より低いレベルの仕様で物理デバイス2の整備が行われることを、ユーザが確認することができる。
【0194】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明に係る仮想IoT制御方法および仮想IoTシステムは、物理デバイスの不備、すなわち、ユーザが要求するデータを生成する仮想デバイスに必要な物理デバイスが整備されていない状態を、仮想IoTシステムから提供されるデータを利用するユーザや、対象エリアの管理者などに認識させて、必要な物理デバイスの整備を促進することができる効果を有し、IoTを構成する物理デバイスから収集されたデータに基づいて、ユーザが要求するデータを仮想デバイスにより生成して、そのデータをユーザシステムに提供する仮想IoT制御方法および仮想IoTシステムなどとして有用である。
【符号の説明】
【0196】
1 仮想IoTシステム
2 物理デバイス
3 ユーザシステム
5 代行者システム
7 WEBシステム
8 立候補者システム
11 仮想サイロ(インタフェース部)
12 ブローカー(中継制御部)
13 シングバイザー(仮想デバイス部)
14 ルートデータドメイン(データ収集部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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