(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】生産制御装置及び生産方法とプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240830BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G06F3/12 375
G06F3/12 308
G06F3/12 356
G06F3/12 359
G06T1/00 310A
(21)【出願番号】P 2020155755
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 利彦
(72)【発明者】
【氏名】金本 好司
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-101895(JP,A)
【文献】特開2015-179525(JP,A)
【文献】特開2003-291312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と
、
前記検査手段により取得した前記検査結果に基づいて品質報告データを作成する作成手段と、を有
し、
前記品質報告データには、前記第1の検査項目と前記第2の検査項目とが識別可能に含まれる生産制御装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の生産制御装置であって、
前記第2の決定手段は、前記生産装置ごとに予め関連付けられた検査項目に基づいて前記第2の検査項目を決定する、
生産制御装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の生産制御装置であって、
前記作成手段は、予め定められた前記第2の検査項目ごとの評価基準に基づいて前記品質報告データを作成する、
生産制御装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の生産制御装置であって、
前記品質報告データを、前記印刷物の発注者に送信する、
生産制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の生産制御装置であって、
少なくとも1つの画像形成装置を前記生産装置として用いることができ、
前記第2の検査項目は、前記画像形成装置により形成される画像の品質に関する検査項目を含む、
生産制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の生産制御装置であって、
少なくとも1つの後加工装置を前記生産装置として用いることができ、
前記第2の検査項目は、前記後加工装置により加工される印刷物の品質に関する検査項目を含む、
生産制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の生産制御装置であって、
少なくとも1つの検査装置を前記検査のために用いることができ、
前記第2の決定手段により決定した前記第2の検査項目に対応付けられた前記検査装置により、前記第2の検査項目の検査を行わせる、
生産制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の生産制御装置であって、
前記生産指示とともに前記品質要求データを受信していない場合、前記検査手段は、前記第1の検査項目はないものとして前記第2の検査項目の検査を行わせる、
生産制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の生産制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項10】
情報処理装置により、
印刷物の生産指示を受信し、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定し、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定し、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、決定された前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得
し、
前記検査手段により取得した前記検査結果に基づいて品質報告データを作成し、
前記品質報告データには、前記第1の検査項目と前記第2の検査項目とが識別可能に含まれる
印刷物の生産方法。
【請求項11】
印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と
を有し、
少なくとも1つの画像形成装置を前記生産装置として用いることができ、
前記第2の検査項目は、前記画像形成装置により形成される画像の品質に関する検査項目を含む生産制御装置。
【請求項12】
印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と
を有し、
少なくとも1つの後加工装置を前記生産装置として用いることができ、
前記第2の検査項目は、前記後加工装置により加工される印刷物の品質に関する検査項目を含む生産制御装置。
【請求項13】
印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と
を有し、
少なくとも1つの検査装置を前記検査のために用いることができ、
前記第2の決定手段により決定した前記第2の検査項目に対応付けられた前記検査装置により、前記第2の検査項目の検査を行わせる生産制御装置。
【請求項14】
印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と
を有し、
前記生産指示とともに前記品質要求データを受信していない場合、前記検査手段は、前記第1の検査項目はないものとして前記第2の検査項目の検査を行わせる生産制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生産制御装置及び生産方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業印刷分野において、発注者が印刷業者に依頼する成果物の品質に関する要求と報告に関する情報交換を電子することが求められる。それを実現するための仕様の一例としてPQX/PRX(Print Quality eXchange/Print Request eXchange)やJDF(Job Definition Format)等の標準規格があげられる。このように、発注者が印刷業者に求める成果物の品質の要求をPRXによって伝達し、印刷業者が生産した成果物の品質をPQXによって発注者に報告することで、一連の処理を電子化する。これによって、印刷物や印刷データに対して知識を有する発注者は、色味などの印刷データに依存する品質項目を細かく指定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷装置には様々な印刷方式の装置があり、生成する印刷物の種類や印刷を行うメディア、生成する部数などの条件によって使い分けられる。そして、印刷装置の印刷方式によって生成した印刷物に生じる欠陥が異なることが知られている。例えば、比較的少部数を印刷するのに用いられるオンデマンド印刷機は構造上用紙と画像の位置合わせの精度が他の形式よりも劣るため、印字位置のずれが生じることがある。また大量印刷に用いられるグラビア印刷機では紙粉、機械油などの異物の混入や用紙面の凹凸によってピンホールと呼ばれる丸型の白抜け部が生じることがある。そのためこれらの印刷装置による印刷物については、生じる可能性のある欠陥に関する検査が必要とされる。
【0005】
また印刷装置に限らず、後処理装置例えば製袋装置で処理を行う場合には異物混入検査、製本装置を用いる場合には増落丁検査が必要であるというように、生産に用いる装置によって必要な検査がある。発注者は印刷業者の印刷作業や印刷装置に対して知識を持っているわけではないため、装置に依存する品質検査項目を指定することは難しい。
【0006】
更に、それぞれの装置が固有で持つ特性、例えば特定の色で色ずれが発生しやすいというような特性を有する場合もある。こういった装置固有の特性は装置を所有する印刷業者だけが知る情報であるので、発注者が意識をして品質要求に検査および品質評価基準を含めることはできない。
【0007】
印刷装置や後処理装置を含む生産装置に応じた検査内容を決定する方法として、特許文献1では生産装置の部位が変更された際に、その部位が影響を与える検査のみを実施する手法が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、発注者からの要求品質と生産に用いられる装置の特性の両方を考慮して、必要な検査を決定し、それを実施することは困難である。
【0009】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、品質要求で指定された検査に加えて、製品の生産に用いられる装置の特性を考慮して製品の品質評価を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明の一側面によれば、印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と、
前記検査手段により取得した前記検査結果に基づいて品質報告データを作成する作成手段と、を有し、
前記品質報告データには、前記第1の検査項目と前記第2の検査項目とが識別可能に含まれる生産制御装置が提供される。
また発明の他の側面によれば、印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と
を有し、
少なくとも1つの画像形成装置を前記生産装置として用いることができ、
前記第2の検査項目は、前記画像形成装置により形成される画像の品質に関する検査項目を含む生産制御装置が提供される。
また発明のさらに他の側面によれば、印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と
を有し、
少なくとも1つの後加工装置を前記生産装置として用いることができ、
前記第2の検査項目は、前記後加工装置により加工される印刷物の品質に関する検査項目を含む生産制御装置が提供される。
また発明のさらに他の側面によれば、印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と
を有し、
少なくとも1つの検査装置を前記検査のために用いることができ、
前記第2の決定手段により決定した前記第2の検査項目に対応付けられた前記検査装置により、前記第2の検査項目の検査を行わせる生産制御装置が提供される。
また発明のさらに他の側面によれば、印刷物の生産指示を受信する受信手段と、
前記生産指示に応じて、印刷物の生産に用いる生産装置を決定する第1の決定手段と、
前記生産指示とともに受信した品質要求データに応じた第1の検査項目と、前記生産装置に応じた第2の検査項目とをそれぞれ決定する第2の決定手段と、
前記生産装置を用いて生産した前記印刷物について、前記第2の決定手段により決定した前記第1の検査項目および前記第2の検査項目それぞれを検査させ、検査結果を取得する検査手段と
を有し、
前記生産指示とともに前記品質要求データを受信していない場合、前記検査手段は、前記第1の検査項目はないものとして前記第2の検査項目の検査を行わせる生産制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発注者から受け付けた品質要求と、発注された製品を生産にするのに用いられる装置とに基づいて製品の品質評価を行うことができる。これにより生産に用いる装置の特性を考慮した検査を実施することができ、品質を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図5】印刷業者システムの情報処理装置のソフト構成図
【
図6】発注者システムの情報処理装置のソフト構成図
【
図7】受発注システム全体の処理フローを説明するためのシステムフロー
【
図8】ワークフロー作成における制御部205の制御の流れを示すフローチャート
【
図9A】発注者指定検査の決定で用いる各種対応テーブルの模式図
【
図9B】発注者指定検査の決定で用いる各種対応テーブルの模式図
【
図10】品質報告作成における制御部205の制御の流れを示すフローチャート
【
図11】印刷業者に発注を行うためのウェブページの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
[実施形態1]
●システム構成
図1は、本実施形態に係るシステムを示すブロック図である。システムは、発注者システム109、印刷業者システム100、そして印刷業者の親会社システム111に大別され、それらはインターネット108によって相互に接続されている。発注者システム109には少なくとも1以上の情報処理装置110が含まれる。同様に親会社システム111にも少なくとも1以上の情報処理装置112が含まれる。同様に親会社システム111にも少なくとも1以上の情報処理装置112が含まれる。なお
図1のシステム全体を情報処理システム或いはワークフローシステムと呼ぶことにする。しかし後述するワークフローソフトウェアにより管理される印刷業者システム100をワークフローシステムと呼ぶこともある。また印刷業者システム100に含まれる各種装置は印刷物の生産に用いられる装置であり、生産装置と呼ぶこともできる。
【0015】
以下、印刷業者システム100の内部構成について詳細に説明する。
図1に示す通り複数の装置がネットワーク105によって相互に接続されている。これら装置としては情報処理装置102、各種の画像形成装置101、各種の後加工装置103、各種の検査装置104がある。画像形成装置101はそれぞれ異なる印刷方式の複数の画像形成装置を含む。これにより、印刷機構の異なる装置を用いて印刷業者が発注者から依頼された成果物を最適な態様で生産することを可能としている。印刷方式には、たとえば電子写真方式、インクジェット方式など、原稿が不要な方式を含む。このほかいったん原版を作成し、印刷を行う方式を含んでもよい。後処理装置103には、たとえばニスコーター、無線綴じ機、断裁装置などを含む。検査装置104にはたとえば、バーコード検査機,測色機,透視画像検査装置、印字検査装置などを含む。
【0016】
各装置は情報処理装置102上で動作するワークフローソフトウェアの配下のもと制御され、発注者システム109より入稿されたジョブデータを処理し、成果物を生産する。また、発注者システム109から入稿されるジョブデータは、画像データ、ジョブチケット、そして品質要求データを含む。ジョブチケットは例えばJDF形式あるいはPDF形式などの入稿データである。品質要求データは例えばPRX(Print Request eXchange)形式のデータである。PRX形式のデータを単にPRXと呼ぶことがある。印刷業者システム100内の情報処理装置102は、上述した各装置の処理結果の通知を受信するとともに、検査装置104から受けた検査データを品質報告データに変換し発注サーバ112に送信する機能も有する。品質報告データの形式は例えばPQX(Print Quality eXchange)形式のフォーマットである。
【0017】
なおワークフローとはたとえば、製品である印刷物を製造するために、製造工程の上流から下流へと、それぞれの工程を担当する装置あるいは担当者のためのジョブを作成し、それぞれのジョブを実行させる一連の処理を指す。それぞれのジョブを、製造工程に従ってそれぞれの装置または担当者により実行させることで、最終的な製品が得られる。
【0018】
●画像形成装置のハードウェア
図2は、画像形成装置101のハードウェア構成について説明する図である。画像形成装置101は、シート上の画像を読み取る読取機能、シートに画像を印刷する印刷機能を有する。また、画像形成装置101は、画像が印刷された複数のシートを綴じたり、複数のシートを揃えたり、複数のシートの排出先を複数のトレイに分けたりする後処理機能を有する。なお、シートには、普通紙や厚紙などの用紙、フィルムシートなどが含まれる。同図に示す画像形成装置101は、複数の異なる役割を持つ装置が相互に連結され、複雑なシート処理が可能なよう構成されている。
【0019】
画像形成装置101は、展開されたイメージ画像データを給紙部212に格納されたメディアを搬送し、該メディア上にトナーを用いて画像形成するための装置である。画像形成装置101には、スキャナ部201、および操作部204が備え付けられている。操作部204は画像形成装置101の各種設定や操作などをオペレータが行う場合の各種インタフェースを提供する。本実施形態における画像形成装置101は、各種付随装置が装着可能なよう構成されている。本実施形態では付随装置の一例としてシート処理装置210を示している。
【0020】
シート処理装置210は、プリンタ部203によって画像形成された後のメディアに対して各種加工を施した成果物を得るための装置である。出力トレイ213は、シート処理装置210によって処理された出力物を排出し、積載するためのトレイ部を形成する。ハードディスク209(以下、HDDとも呼ぶ)は、不揮発性メモリであって、複数の処理対象となるジョブのデータや、各種管理情報などを記憶する。
【0021】
スキャナ部201から受付けたジョブデータを、該HDD209を介してプリンタ部203で印刷する。外部装置から通信部の一例に該当する外部I/F部202ユニットを介して受付けたジョブデータを、該HDD209を介してプリンタ部203で印刷する。外部I/F部202は、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置と画像データなどを送受する。
【0022】
操作部204は、ユーザインタフェース部に相当し、ここでは、表示部を有する。
【0023】
コントローラ部205(制御部、或いは、CPUとも呼ぶ)は、画像形成装置101が具備する各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。ROM207には、後述するフローチャートの各種処理等を実行する為のプログラムを含む本形態にて要する各種の制御プログラムが記憶されている。
【0024】
又、ROM207には、ユーザインタフェース画面(以下、UI画面と呼ぶ)を含む、操作部204の表示部に各種のUI画面を表示させる為の表示制御プログラムも記憶されている。
【0025】
コントローラ部205は、ROM207のプログラムを読出実行することで、本実施形態にて説明する各種の動作を本画像形成装置101により実行させる。PDFなどの印刷データ(ページ記述言語、画像データ)を形成するコードデータを解釈し、ラスターイメージデータ(ビットマップ画像データ)に展開する動作を実行する為のプログラム等もROM207に記憶されている。印刷データは、例えば外部I/F202を介して図示しない外部装置(例えば情報処理装置102)から受信されてよい。また外部I/F202を介して図示しない外部装置から受信した印刷ジョブを解釈し処理するためのプログラム等もROM207に記憶されている。これらは、主にソフトウェアによって処理される。ROM207に格納される各種プログラムの詳細については後述する。
【0026】
また、HDD(ハードディスク)209は、圧縮展開部206によって圧縮された画像データを記憶する大容量の記憶装置である。HDD209は、処理対象となるジョブのプリントデータ等複数のデータを保持可能に構成されている。コントローラ部205は、スキャナ部201や外部I/F部202等の各種入力ユニットを介して入力された処理対象となるジョブのデータを、HDD209を介して、プリンタ部203でプリント可能に制御する。又、コントローラ部205は、外部I/F202を介して外部装置へ送信できるようにも制御する。このようにHDD209に格納した処理対象ジョブのデータの各種出力処理を実行可能にコントローラ部205により制御する。さらに、HDD209内に構築されたファイルシステムを外部の装置に対してファイル共有や送受信等の機能を、コントローラ部205がROM207のプログラムを読出し、実行することによって実現可能な様、構成されている。
【0027】
圧縮展開部206は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データ等を圧縮・伸張動作を行う。以上のような構成のもと、本印刷システムが具備する制御部の一例としてのコントローラ部205が、各シート処理装置210の動作も制御する。
【0028】
メディア管理部211は、メディア種に関する情報を管理するためのモジュールである。
【0029】
●情報処理装置のハードウェア
図3は、情報処理装置102、110、112の構成を示すブロック図である。同図において、CPU301は、ROM303のプログラム用ROMに記憶された、或いはHDD311からRAM302にロードされたOSや一般アプリケーションのプログラムを実行する。CPU301のことを制御部301と呼ぶこともある。ROM303はまたフォントROMやデータROMを有している。RAM302は、CPU301の主メモリ、ワークエリア等として機能する。キーボードコントローラ(KBC)305は、キーボードやポインティングデバイス(不図示)からの入力を制御する。表示コントローラCRTC306は、表示部CRT310への表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)307は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ等を記憶するHDD311等とのアクセスを制御する。ネットワークコントローラ(NIC)312は、ネットワークに接続されて、そのネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。バス304は、CPU301とRAM302、ROM303及び各種コントローラ等を接続して、データ信号や制御信号を搬送している。
【0030】
なお、携帯端末の場合にはキーボードコントローラ(KBC)305の代わりにタッチパネルコントローラ等を構成に含む場合がある。また、HDD311の代わりとなる大容量記憶装置を備える場合もある。さらに、ネットワークコントローラ(NIC)312は、備える装置が有線LAN、無線LAN其々の場合、あるいは双方を備える場合とで、内部構成が異なる。ただし、これらの内部構成による差異は、ネットワークコントローラ(NIC)312内部に隠蔽され、同図に示す他のモジュールには等価なものとしてシステムを制御可能な様、構成される。
【0031】
●画像形成装置のソフトウェア
図4は、画像形成装置101のプログラムを説明する図である。これらプログラムはROM207に格納され、画像形成装置101のコントローラ部205により読み出されて実行される。
【0032】
ブートローダ401は、画像形成装置101の電源投入直後に実行されるプログラムである。このプログラムには、システムの起動に必要となる各種起動シーケンスを実行するためのプログラムが含まれる。
【0033】
オペレーティングシステム402は、画像形成装置101の機能を実現する各種プログラムの実行環境を提供することを目的としたプログラムである。これは、主に画像形成装置101のメモリ、即ちROM207やRAM208,HDD209等の資源管理、及び
図2に示すその他各部の基本的な入出力制御等の機能を提供する。
【0034】
ネットワーク制御プログラム403は、ネットワークを介して接続される機器に対してデータを送受信する際に実行されるプログラムである。このプログラムは、印刷するファイルの受信処理や、外部装置からのデータ送信、コマンドの送受信の各種処理実行時に利用される。ネットワーク制御プログラムには外部I/F202を制御するためのドライバプログラムも含まれる。
【0035】
データ受信プログラム404は、情報処理装置102からの各種指示や情報を受け付けるためのプログラムである。当該プログラムが受信対象とする情報や指示のうちには印刷データが含まれる。
【0036】
データ送信プログラム405は、情報処理装置102へ情報を送信するためのプログラムである。当該プログラムが送信対象とする情報のうちに、印刷処理の実行結果を通知するためのデータが含まれる。
【0037】
印刷ジョブ管理プログラム406は、印刷ジョブデータが外部I/F202経由で画像形成装置101に受信された場合に、外部I/F202の指示でコントローラ部205によって実行されるプリント機能を実行するプログラムである。このプリント機能では、このプログラムに記述された処理順序、処理条件に基づいてコントローラ部205が適切な順序で
図2記載の各デバイスの動作を順次指示する。その結果として最終的にプリント処理が実行されるように制御される。各デバイスには、シート処理装置210、プリンタ部203、HDD209、圧縮伸張部206、RAM208等が含まれる。また、外部I/F202経由で受信された印刷データの解析処理及び、解析処理の結果、正しくない設定が含まれるか否かの判別処理、及び正しくない設定を解消するための設定変更等を行うプログラム処理も含まれる。
【0038】
印刷データ管理プログラム407は、印刷対象画像データが外部I/F202経由で画像形成装置101によって受信された場合に、コントローラ部205によって実行される印刷データの展開処理、並びに印刷機能を実行する。このプログラムに記述された処理順序、処理条件に基づいてコントローラ部205によって適切な順序で
図2記載の各デバイスの動作を順次指示する。その結果として最終的にPDLプリント処理が実行されるように制御される。これら各デバイスには、シート処理装置210、プリンタ部203、HDD209、圧縮伸張部206、RAM208等が含まれる。また、印刷処理実行時の各種指定として印刷ジョブ管理プログラム406と共に動作するよう本実施形態における印刷データ管理プログラムは構成される
メディア管理プログラム408は、画像形成装置101が利用可能なシートに関連する管理機能を実行するためのプログラムである。このプログラムによって管理されるシート関連情報は、HDD209に格納される。
【0039】
●印刷業者システムにおける情報処理装置のソフトウェア
図5は、印刷業者システム100における情報処理装置102が有するプログラムの構成を例示した図である。情報処理装置102は、印刷物の生産指示に応じてワークフローを設定し、その各工程を対応する装置あるいは作業者に振り分けて適時に実行させる。また、生産物である印刷物を検査してその品質評価を取りまとめる。このため情報処理装置102のことを生産制御装置と呼ぶこともある。
【0040】
ブートローダ501は、情報処理装置102の電源投入直後に実行されるプログラムである。これらプログラムには、システムの起動に必要となる各種起動シーケンスを実行するためのプログラムが含まれる。
【0041】
オペレーティングシステム502は、情報処理装置102の機能を実現する各種プログラムの実行環境を提供することを目的としたプログラムである。これは、情報処理装置のメモリ、即ちROM303やRAM302,HDD311等の資源管理等の機能を提供する。
【0042】
ネットワーク制御プログラム503は、ネットワークを介して接続される機器に対してデータを送受信する際に実行されるプログラムである。すなわち、印刷ジョブデータを画像形成装置101に送信し、印刷処理を指示する際に用いられる。また印刷後の成果物に加飾処理を施したり、後加工したりするために後処理装置103に対し指示する際にも用いられる。また、検査装置104から検査データを受信するため、作成した品質報告を発注サーバ112に送信するためにも用いられる。
【0043】
ウェブサーバ504は、ネットワーク経由で接続された外部機器に対しウェブサービスを利用させるためのサーバプログラムである。ウェブサーバ504が提供するサービスは様々なものが考えられる。しかしながら本実施形態においては発注者システム109から印刷業者システム100に対し注文対象であるデータを入稿する際の手段として供する場合の例を示すものである。また、入稿時に発注者が印刷業者に対して設定した品質要求を達成しているか否かを確認するための品質報告を取得する手段としても供する場合の例を示している。
【0044】
ワークフロー制御プログラム505は印刷業者システム100内部のネットワーク105を介して接続された機器間の処理や制御、ジョブ実行等を集中的に管理するためのプログラムであり、印刷業者システム100の中核をなすものである。複数工程、すなわち複数の装置を用いて成果物を製造する際に、その実行順序やジョブの実行制御等を行う。また、使用する装置の選択、切り替え、リカバリ生産等の制御もワークフロー制御プログラム505が実行する。また、印刷業者システム100を使用するオペレータに対し各種の指示を出す処理もワークフロー制御プログラム505が実行する。
【0045】
入稿システムプログラム506は、主に発注者システム109から生産の依頼を受けたデータを印刷会社システム100内で保持および管理するための役割を担うソフトウェアである。またウェブサーバ504と協調し、受発注関連業務に必要な各種機能、例えばデータの送信、請求書の発行等の一連の処理を発注者システム109、印刷会社システム100間で電子的に実行するために用いられるシステムである。発注者システム109、印刷会社システム100間の通信仕様は任意であるが、標準仕様としてPrintTalkをサポートしたシステムが広く知られている。
【0046】
入稿データ管理プログラム507は、入稿システムプログラム506が受け付けた入稿データを管理するプログラムである。本実施形態における入稿データ管理プログラム507は、入稿データに含まれる品質要求の識別子とバージョン情報によって入稿データを管理する。入稿データ管理プログラムは、指定された識別子を持つ入稿データ(品質要求情報を含む)のうちもっともバージョンが新しいものを検索して応答する入稿データ検索機能を有する。
【0047】
品質報告作成プログラム508は発注者システム109に対し、生産物が品質要求によって指定された品質条件を満たしているかを示す品質報告を作成するためのプログラムである。品質報告作成プログラム508は、ワークフロー制御プログラム505からの指示を受けて品質報告を作成する。品質報告作成プログラム508は、検査装置104から検査結果データを受信および蓄積し、適宜のタイミングにおいて品質報告のデータに変換し、発注サーバ112に送信する。作成される品質報告データは例えばPRX形式であってよい。
【0048】
●発注者システムにおける情報処理装置のソフトウェア
図6は、発注者システム109における情報処理装置110が有するプログラムの構成を例示した図である。
【0049】
ブートローダ601は、情報処理装置110の電源投入直後に実行されるプログラムである。これらプログラムには、システムの起動に必要となる各種起動シーケンスを実行するためのプログラムが含まれる。
【0050】
オペレーティングシステム602は、情報処理装置110の機能を実現する各種プログラムの実行環境を提供することを目的としたプログラムである。これは、情報処理装置のメモリ、即ちROM303やRAM302,HDD311等の資源管理等の機能を提供する。
【0051】
ネットワーク制御プログラム603は、ネットワークを介して接続される装置に対してデータを送受信する際に実行されるプログラムである。すなわちインターネット108を介して印刷業者システム100との間のデータの送受信の実行等を実行する際に用いられる。後述するウェブブラウザを使用した描画表示処理、データ送受信処理時にも用いられる。
【0052】
ウェブブラウザ604は、ネットワーク経由で接続された外部システムが提供するウェブサービスを利用する為のクライアントプログラムプログラムである。ウェブブラウザ604が利用するサービスは様々なものが考えられる。本実施形態においては印刷業者システム100に対し発注対象であるデータ入稿依頼をするために用いる。データ入稿依頼は、印刷物の生産を指示する生産指示ということもでき、その生産指示には印刷設定や原稿データが含まれる。生産指示にはさらに品質要求が含まれてもよい。また、入稿時に発注者が印刷業者に対して設定した品質要求を達成しているか否かを確認するための品質レポートである品質報告を取得するためにも用いる。また、品質要求(例えばPRX)を印刷業者システム100に引き渡すために用いてもよい。
【0053】
印刷データ作成プログラム605は、発注者システム109から印刷業者システム100に生産を依頼する際に、印刷するデータを作成するためのプログラムである。印刷データとしてはPDF(Portable Data Format)、PS(PostScript)などが広く使われており、これらのデータを作成する様々なアプリケーションが存在する。
【0054】
●印刷物の作成および検査シーケンス
図7は、発注者システム109ならびに印刷業者システム100、およびこれら操作者である発注者すなわちユーザが、システムが提供する機能を利用する際のシステムフロー図である。ユーザ701は発注者システム109における情報処理装置110の利用者を示している。
【0055】
以下、ユーザ701、発注者の情報処理装置110、受注サーバ112、印刷業者の情報処理装置102、画像形成装置101、後加工装置103,検査装置104のシステム間で送受信される制御のフローを示す。
【0056】
ステップS720でユーザ701は、発注操作を行い発注サーバ112に発注データを送信する。発注操作はウェブブラウザ604を操作し、ウェブサーバ部703から送信されるWEBページに必要な情報を入力して、最後に発注データを送信する指示(生産指示ということもできる)を行うことである。
図11にWEBページの例を示す。本図では発注データを送信する指示のみを記載しているが、複雑な発注が可能なWEBページは対話型に構成され複数回のデータの送受信が行われる。発注処理の結果ウェブサーバ部703に発注データが送信される。この通信はTLSなどの規格を用いて暗号化されていなくてはならない。
図11の詳細については後述する。
【0057】
ステップS721でウェブサーバ部703は、ウェブブラウザ604から送信された発注データの受信処理を行う。受信したデータをストレージ部に格納し、受注システム部704に対し受注処理を依頼する。ウェブブラウザ604との接続は維持したままとなる。受注システム部704は、たとえば入稿システムプログラム506の実行により実現されてよい。
【0058】
ステップS722で受注システム部704は、受注処理を行う。受注システム部704は、受注データを解析し、受注した内容が受付可能なものであるかを判定する。受付可能であるかの判定は、他の受注状況との比較から指定された納期が実現可能であるか、入力された発注者情報に不足がないかなどのチェックをすることで行う。受注可能である場合、受注システム部が管理する帳票に発注データを登録し、ウェブサーバ部703に受注処理結果として受注受付完了を通知する。受注受付完了通知には、一意に帳票に登録した発注データのIDを受注番号として含める。受注ができない場合、ウェブサーバ部703に受注処理結果として受注不可を通知する。受注不可通知には、受注ができないと判定された原因を特定するためのエラーIDやエラーメッセージなどが含まれる。
【0059】
ステップS723でウェブサーバ部703は、受け付けた受注処理結果に応じた発注結果ウェブページを生成する。受注受付完了通知を受け付けた場合には、帳票のID受注番号を含むウェブページを生成する。受注不可通知を受け付けた場合には、受注が受け付けられなかったことを示すメッセージと原因を特定できる情報を含むウェブページを生成する。ウェブページを生成したらステップS720で受け付けた発注指示の接続の応答としてウェブブラウザ604に送信する。ステップS724でウェブブラウザ604は受信したウェブページを解析し、発注結果として表示する。
【0060】
以上、ステップS720からステップS724が受発注に係るシステムの処理の流れである。
【0061】
受注できた場合、ステップS725で受注システム部704は、ワークフロー制御部705に生産指示を行う。この処理はステップS722で帳票に登録した注文に対して行う処理であり、ワークフロー制御部705に受注データを渡し、生産の開始を指示するものである。生産指示の方法としては一日に生産する注文をまとめて指示する方法や、注文ごとに逐次指示を行う方法などがある。本発明は生産指示を行う方法を限定するものではない。実施形態の説明では生産を行う注文ごとにステップS725からステップS733で示す一連の処理を行うものとする。なおワークフロー制御部705はワークフロー制御プログラム505をCPU301が実行することで実現されてよい。
【0062】
ステップS726でワークフロー制御部705はワークフロー処理を行う。ワークフロー処理では受注データを解析し、注文をうけた製品を生成するために必要な一連の工程を作成し、各工程を実施する装置に対し実施指示を行う。注文データからワークフローを作成する方法は
図8、および
図9を用いて説明をする。生成したワークフローに従って、各工程に用いる装置に処理を実施するよう指示を行う。指示はネットワークなどを介してワークフロー制御部705が行う場合や、生産工程が記載された作業指示書を出力し、作業指示書に従ってオペレータの各装置を操作する場合などがある。どちらの場合
も適用可能であるが、本実施形態の説明はネットワークを介して直接指示を行うものとして記載する。
【0063】
ステップS727からステップS732で示される工程は、ワークフロー制御部705からの装置への指示と指示の実行完了および結果の送信を組としている。ステップS726のワークフロー処理で作成した生産工程に対応するジョブが、対応する装置により、作成した生成工程の順番で実施される。従って順番は図に示したものと一致するとは限らない。また複数の画像形成装置、後加工装置、検査装置に指示を行う場合もありうる。ここでは説明の都合上、印刷処理、後加工処理、検査処理がそれぞれ一つずつとし、この順で実施するものとする。ステップS726のワークフロー処理では、最初の処理である印刷処理を行う画像形成装置101に印刷指示を行い、発注データに従って作成した印刷設定と発注データに含まれる原稿データ(印刷ファイル)を送信する。印刷ファイルの送信により印刷の指示および指示に応じた処理を印刷ジョブと呼ぶこともある。なお原稿データを画像形成装置101がそのまま処理できればこれでよいが、そのまま処理できない場合には処理可能は印刷データに変換して送信してよい。
【0064】
ステップS727で画像形成装置101のプリント制御部706は、ワークフロー制御部705から受け付けた印刷指定と印刷ファイルを解析し印刷処理を行う。印刷が終わったらワークフロー制御部705に印刷完了通知を行う。プリント制御部706は、たとえば印刷ジョブ管理プログラム406およびメディア管理プログラム408などをコントローラ部205により実行することで実現されてよい。
【0065】
ステップS728でワークフロー処理部705は、次の工程を実施する装置に対し実施指示を行う。ここでは後加工装置103とし、後加工指示を行う。ステップS729で後加工装置103は、ワークフロー制御部705から受け付けた後加工指示を解析し、後加工処理を行う。後加工処理は、たとえば、印刷装置101による印刷物を作業者が後加工装置103の所定の位置に載置し、後加工装置103に送信されている後加工ジョブの実行を指示することで開始されてよい。あるいは後加工装置103と画像形成装置101とがシート搬送系で接続されている場合には、作業者による手作業は必要なく、印刷に引き続いて後加工が行われてよい。後加工が終わったら後加工装置103はワークフロー制御部705に後加工完了通知を行う。
【0066】
ステップS730でワークフロー処理部705は、次の工程を実施する装置に対し実施指示を行う。ここでは検査装置104とし検査指示を行う。検査装置104bにおける検査処理も、後加工と同様に実行されてよい。ステップS731で検査装置104は、ワークフロー制御部705から受け付けた検査指示を解析し検査処理を行う。検査が終わったらワークフロー制御部705に検査結果の通知を行う。
【0067】
ステップS732でワークフロー処理部705は、受け付けた検査結果を使用して品質報告を作成する。品質報告を作成したら、ワークフロー処理部705はウェブサーバ部703に品質報告登録指示を行い、品質報告を受け渡す
ステップS733でウェブサーバ部703は、受け付けた品質報告のデータを受注番号と紐付けて格納する。
【0068】
●ワークフロー作成処理
図8はステップS726のワークフロー処理のワークフロー作成における情報処理装置102の制御部301による処理の流れを示すフローチャートである。
【0069】
ステップS801で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、発注システム部704から受け付けた発注データから作業工程を決定する。本実施形態の説明では作業工程は受注した製品の種類によって決定するものとする。製品の種類と作業工程の対応は予めHDD301に格納されており、ワークフロー制御部705がロードしてRAM302に読み出してアクセス可能なようにしている。
図9(A)に製品の種類と作業工程の対応の例を示す。なおステップS720で製品の種類の他に詳細な設定、例えばフォトブックの表紙にラミネート加工をするというようなオプションの指定ができる場合には、製品の種類、オプションの種類の2つに対し作業工程が対応付けられる。
図8の説明後に
図9(A)の詳細を記述する。作業工程を決定したらステップS802に進む。
【0070】
ステップS802で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、決定した作業工程の各工程を行う装置を決定する。作業工程と実施装置の対応も、製品の種類と作業工程の対応と同様に予め定められているものとする。
図9(B)に工程と実施装置の対応の例を示す。本実施形態の説明では、各工程を実施する装置は工程と製品の種類、部数によって決定するものとする。この他に納期や発注時の指定、製品のページ数や用紙サイズなどと対応付けられることも考えられる。工程を実施する装置を決定したらステップS803に進む。
【0071】
ステップS803で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、使用する装置に対応付けられた検査(装置必須検査と呼ぶ)を決定する。工程を実施する装置の形式や、個体の特性によって発生する不良に傾向ができることが知られている。発注者であるユーザ701は生産に用いられる装置に依存する不良の傾向を知ることはなく、また意識する必要もないが、生産者である印刷業者は意識し、不良が発生していないことを確認しなくてはならない。
図9(C)に装置と装置必須検査の対応の例を示す。印刷業者が予め登録し、ワークフロー制御部705が参照可能なようにHDD301に格納する。装置必須検査対応テーブル920を参照し、ステップS802で決定した各工程で使用される実施装置に対応する検査を取得する。取得したすべての検査を装置必須検査として決定し、RAM302に記憶する。装置必須検査を決定したらステップS804に進む。
【0072】
ステップS804で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、ステップS726で解析した受注データの中に品質要求が含まれていたかを判別する。前述の通り、品質要求はステップS720の発注操作でユーザ701が品質要求に関する指定を行った場合に含まれる。品質要求が含まれている場合にはステップS805に進み、含まれていない場合にはステップS807に進む。
【0073】
ステップS805で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、品質要求を解析する。解析はステップS726で行っても良い。解析したらステップS806に進む。
【0074】
ステップS806で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、品質要求で要求された品質項目から発注者指定検査を決定する。品質要求には品質項目が記載されているので、
図9(D)の検査装置対応テーブル930を用いることで検査に用いる装置を決定することができる。発注者指定検査を決定したらステップS808に進む。
【0075】
ステップS807で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、ステップS803で決定した装置必須検査を実施検査として決定する。実施検査を決定したらフローチャートを終了する。
【0076】
ステップS808で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、ステップS803で決定した装置必須検査とステップS806で決定した発注者指定検査を実施検査として決定する。また決定した検査を実施する検査装置を決定し、実施検査と関連付けて記憶する。検査指示はこの情報に基づいて発行される。実施検査を決定したらフローチャートを終了する。
【0077】
本フロー図のフローチャートに従って検査結果を決定することにより、発注者が指定した検査とは別に、使用する装置の特性に基づいた検査および品質評価基準を決めることができる。予め装置に対応付けて検査と品質評価基準を記録しておくことで、発注内容から自動的に必要な検査と品質評価基準を決定することができるのである。
【0078】
●ワークフロー処理で用いられるテーブル
図9はステップS726のワークフロー処理、ステップS806の発注者指定検査の決定で用いる各種対応テーブルである。それぞれ印刷業者のオペレータが操作部を操作してワークフロー制御部705に登録することで作成するものである。作成されたテーブルはHDD301に格納され、必要に応じてRAM302に読み出される。
【0079】
図9(A)は、S726のワークフロー処理で参照される受注した製品の種類と作業工程を対応付ける作業工程決定テーブル900である。製品の種類列901の値に対し、作業工程列902の値が対応付けられて登録されている。発注におけるオプションなどの指定が作業工程に影響を与える場合は、作業工程の有無も登録を行う。
【0080】
図9(B)は、S726のワークフロー処理において、各工程を実施する装置を決定するために参照する工程実施装置決定テーブル910である。工程例911、部数例913の値の組み合わせによって、工程列915の工程を実施する装置が決まる場合の例を示している。製品の種類例912および装置の種類914は説明のために記載した列であり、対応付けには必要がない。工程は作業工程決定テーブル900を参照して決定した作業工程に含まれる各工程である。製品の種類および部数は発注者から指定されたものであり発注データに含まれる値である。工程例911に含まれていない工程は装置を使わずに人が行うものとする。また"-"が記載されている項目は装置の決定に影響を与えないことを意味する。
【0081】
図9(C)は、
図8のS803で参照される、装置を使用する場合に必ず実施する検査を決定するための装置必須検査決定テーブル920である。装置必須検査決定テーブル920では、装置名列921の値に装置必須検査列923の値が対応付けられている。装置必須検査決定テーブル920は、装置の種類列922は説明のために記載した列であり、対応付けには必要がない。装置の形式や固有の特徴に基づいて作成するテーブルであり、印刷現場の知識を有するものや、実際に装置を扱うオペレータの経験が必要である。
【0082】
例えば、オフセット印刷機に固有の画像不良にヒッキーがある。オフセット印刷機では版にインクを添付し、用紙に転写させる仕組みで印刷を行うが、版から直接用紙に転写するわけではなく、ブランケットと呼ばれるゴムシートを介して用紙に転写される。用紙の表面に付着している紙粉が転写時にブランケットに付着したり、用紙の表面が転写時にインクの粘力により剥けてしまった場合に、その部分だけ転写されずに印刷物の表面に白い点状の汚れが出る。ブランケットの改良や定期的な洗浄によってヒッキーの発生を軽減することはできるが、オフセット印刷機の仕組み上、完全に防ぐことはできない。
【0083】
他の例では、オンデマンド印刷機では表と裏の印刷位置がずれる表裏ずれが発生する。オンデマンド印刷機はローラーを用いて用紙を搬送し、レジストレーションによって印字する画像と用紙の位置合わせを行う。レジストレーションは用紙の先端をつき当て部材当てることで行うものが一般的である。改良された様々な方法が存在するが、爪で挟んで用紙を搬送するオフセット印刷機と比べると位置精度が劣り、裏表のずれなどの印刷位置のずれを完全に防ぐことはできない。位置の精度はオンデマンド印刷機の種類や固有の特徴に依存する。
【0084】
このように画像形成装置の形式や固有の特徴によって発生する画像不良の傾向は異なっており、どの装置を使うかによって必要な検査が異なる。発注者は印刷現場についての知識があるわけではなく、更には装置の個体の特性は知り得ない情報である。本実施形態では、ステップS803で装置必須検査決定テーブル920を参照することで、ワークフロー処理部705が自動的に装置に依存する検査を決定する。
【0085】
図9(D)はS808において検査を実施する装置を決定するための検査装置決定テーブル930である。検査列931の値に検査装置名列933、品質評価基準列934の値が対応付けられている。検査装置の種類例932は説明のために記載した列であり、対応付けには必要がない。検査装置名933に記載されている装置が検査列931に記載の検査を実施する際に用いられる検査装置である。品質評価基準列934は品質報告を作成する場合の、検査の結果を評価する基準を格納する列である。すべての検査に必ずしも評価の基準を定めなくてはいけないわけではない。また品質報告を作成しない場合には品質評価基準列934は不要である。本図で示す例では10を最も品質の良い評価とし、8の基準を満たしていれば製品としての要求を満たすものとしている。8の基準を満たさないものは不合格とする。このように品質評価基準列934は、要求される品質レベル(あるいは評価ランク)ごとに定義されていてよい。
【0086】
なお、検査装置に検査内容をプリセットとして登録できる場合や、検査装置に対して指示する検査またはそのセットが1種類しかない場合などには、装置必須検査決定テーブル920を用いずに、生産に用いる装置と、検査装置を直接対応付けてもよい。その場合、検査装置決定テーブル930は装置名列921と検査装置名933、および品質評価基準列934からなるテーブルとなる。なお
図9(D)において、検査項目のうち異物混入は画像形成装置のほか、後加工装置によっても生じ得る事象であり、増落丁は後加工装置の1つである無線綴じ製本機により生じ得る事象である。このように、検査対象には画像形成装置により形成される画像品質だけではなく、後加工の品質も含まれる。もちろんここに記載されていない、後加工に関する検査項目もあり得る。
【0087】
●検査処理の手順
図10はステップS732の品質報告作成における制御部205の制御の流れを示すフローチャートである。
【0088】
ステップS1001で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、検査装置104から受信した検査結果の解析を行う。
【0089】
ステップS1002で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、ステップS1002で受け付けた検査結果がステップS803で決定した装置必須検査に含まれている検査の結果であるかを判定する。装置必須検査に含まれている検査の結果である場合、ステップS1003に進み、含まれていない場合ステップS1005に進む。
【0090】
ステップS1003で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、受け付けた結果を検査に対応する品質評価基準で評価をする。品質評価基準は品質評価基準列934から取得したものである。たとえば検査項目ごとの検査結果に相当する評価ランクを、その検査項目の評価としてよい。検査結果を評価したらステップS1004に進む。なお品質評価基準が指定されていない場合このステップは飛ばして良い。
【0091】
ステップS1004で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、品質報告に付加要素を作成し、受け付けた検査結果および評価を格納する。付加要素は装置必須検査の結果を発注者指定検査の結果と区別できるようにするために定義するものである。結果を品質報告に格納したらステップS1005に進む。
【0092】
ステップS1005で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、ステップS1002で受け付けた検査結果がステップS806で決定した発注者指定検査に含まれている検査の結果であるかを判定する。発注者指定検査に含まれている検査の結果である場合、ステップS1006に進み、含まれていない場合ステップS1008に進む。なおひとつの検査結果(あるいは検査項目)が、装置必須検査と発注者指定検査の両方に含まれる場合があってもよい。
【0093】
ステップS1006で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、受け付けた結果を検査に対応する品質評価基準で評価をする。品質評価基準はステップS805の品質要求の解析結果から取得したものである。検査結果を評価したらステップS1007に進む。
【0094】
ステップS1007で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、品質報告に標準要素を作成し、受け付けた検査結果および評価を格納する。結果を品質報告に格納したらステップS1008に進む。
【0095】
ステップS1008で印刷業者の情報処理装置102の制御部301は、検査装置から受け付けた検査結果のうち、ステップS1001からステップS1007の処理を行っていない検査結果があるかを判定する。未処理の検査結果がある場合にはステップS1001に進み処理を行う。未処理の検査結果がない場合にはフローチャートを終了する。
【0096】
本フローチャートに従うことで、印刷会社が装置必須検査として指定した検査結果および評価と、発注者が指定した検査結果および評価を区別できるように品質報告を作成することができる。両方に同じ検査がある場合でも、それぞれが指定した品質評価基準によって評価されるため、より厳しい基準での評価結果を参照するような使い方が可能となる。
【0097】
●ウェブページの例
図11は発注者システム109における情報処理装置110において印刷業者に発注を行うためのウェブページの例を示したものである。
【0098】
図11(A)は受注サーバである印刷会社の情報処理装置112が発注者の情報処理装置110からの要求に応じて送信する発注ページのうち、製品選択ページ1100の例を示すものである。ウェブブラウザ604が受信したXMLを解析して表示部に表示する。印刷の発注のような複数の関連する選択操作を要するウェブページは、通常対話型のウェブページとなる。
図11では対話型の選択により遷移するウェブページのうち、本実施形態に関連するページのみを説明する。
【0099】
URL表示部1101はウェブページのURLを表示するための部位である。対応したURLを入力することで発注ページにアクセスすることができる。
【0100】
ウェブブラウザタブ部1102は複数のウェブページを一つのウィンドウで切り替えて表示できるようにするためのボタンである。ウェブブラウザタブ部1102には表示しているウェブページの名前が表示される。
【0101】
名刺選択ボタン1103からフィルムパッケージ選択ボタン1106は発注する製品を選択するためのボタンである。それぞれボタンに表示されている製品を選択することができ、ボタンが選択されるとより細かい発注指定を行うための画面に遷移する。
【0102】
図11(B)は製品選択ページ1100でチラシ選択ボタン1104が選択された場合に、ウェブブラウザ604が操作部に表示する画面のチラシ詳細発注画面1110である。この画面ではチラシの発注に関して詳細な設定を行うことができる。
【0103】
用紙サイズ選択メニュー1111は、発注するチラシの用紙サイズを選択するためのメニューである。選択することで用紙サイズのリストが表示され、用紙サイズを選択することができる。用紙サイズの選択は必須である。必須選択の項目が選択されていない場合、不図示の次へボタンを選択することができない。
【0104】
用紙の厚さ選択メニュー1112は、発注するチラシの用紙の厚さを選択するためのメニューである。選択することで用紙の厚さのリストが表示され、用紙の厚さを選択することができる。用紙の厚さの選択は必須である。
【0105】
用紙の種類選択メニュー1113は、発注するチラシの用紙の種類を選択するためのメニューである。選択することで用紙の種類のリストが表示され、用紙の種類を選択することができる。用紙の種類の選択は必須である。
【0106】
発注部数メニュー1114は、発注するチラシの部数を指定するためのメニューである。チラシのような1枚の出力物の場合、部数は50部単位や100部単位で発注を受け付けることが多い。フォトブックのような複数ページからなる製品の場合、1部単位での指定が可能なことが多い。1部単位で指定を受け付ける場合、用紙の種類選択メニュー1114は任意の数字を入力可能なフィールドとなる。発注部数の選択は必須である。
【0107】
オプション指定メニュー1115は、発注するチラシに対して行う追加の指定である。折り加工などの後加工処理や、ラミネート加工などの加飾処理といった項目が選択可能であることが多い。図の例では2つ折りが指定されている。オプション指定メニュー1115の選択は必須ではない。選択されていない場合、追加の指定を行わない。なお複数の指定ができるようにメニューを複数配置したり、加工処理ごとにラジオボタンによって実施、非実施が選択できるようになっていても良い。
【0108】
図11(C)は発注ページのうち原稿データと品質要求をアップロードするための画面であるファイルアップロード画面1120である。
【0109】
原稿ファイル選択ボタン1121はアップロードする原稿ファイルを選択するためのボタンである。原稿ファイル選択ボタン1121が選択されると、ウェブブラウザが有するファイル選択ダイアログが表示され、HDD311内のファイルやネットサークを介して接続されている外部サーバに保存されているファイルを選択することができる。ファイルが選択されると左の領域には選択されたファイルのアドレスが表示される。原稿ファイルの選択は必須項目である。原稿ファイルが選択されていない場合、アップロードボタン1123を選択することができない。
【0110】
品質要求ファイル選択ボタン1122はアップロードする品質要求ファイルを選択するためのボタンである。原稿ファイル選択ボタン1121と同様、ファイルの選択ダイアログでファイルを選択でき、選択したファイルが表示される。品質要求ファイルはオプションの項目である。必ずしも設定する必要はない。品質要求ファイルの例は
図12に示す。
【0111】
アップロードボタン1123は原稿ファイル選択、品質要求ファイル選択で選択されたファイルをアップロードする指示を行うためのボタンである。はじめは選択不可状態となっており、原稿ファイル選択により原稿ファイルが選択されている場合にのみ選択可能状態となる。アップロードボタン1123が選択されると、原稿ファイル選択、品質要求ファイル選択で選択されているファイルが発注サーバ112に送信される。ファイルアップロード後、不図示の発注者情報入力ページに遷移する。
【0112】
戻るボタン1124はファイルのアップロードの中止を選択するためのボタンである。戻るボタン1124が選択されると、ファイルアップロード画面1120に遷移する前のページであるチラシ詳細発注画面1110に遷移する。この際、原稿ファイル選択、品質要求ファイル選択のファイル選択状態は破棄される。
【0113】
●品質要求データ及び品質報告データの例
図12は本実施形態で送受信させるデータの例を示したものである。本発明に特徴的なものだけを述べる。
【0114】
図12はファイルアップロード画面1120で選択、送信される品質要求ファイル(品質要求データあるいは品質要求情報とも呼ぶ)1200の例である。本実施形態の説明では品質要求ファイルにPRXフォーマットを用いている。
【0115】
要求品質規定部1201は、成果物に対して要求する品質を定義する部位である。要求品質規定部では様々な品質項目に対して指定を行うことができる。ここでは発注者が色品質と欠陥としてヒッキーを指定した場合のものを示している。
【0116】
色品質情報規定部1202は、成果物の色品質を規定する情報から成る。さらに色品質情報規定部1202は、色品質の評価に関する情報を格納する色品質評価規定部1203と、測定に関する情報を格納する色品質測定規定部1204の部位から構成される。
【0117】
色品質評価規定部1203には測定した色品質を評価する基準に関する情報が規定される。この図の例では測色値の色差が0.4以下だった場合に、ランク10と評価することが記載されている。ParameterScoreを複数定義することで、複数のランクと判定基準を定義することが出きる。
【0118】
色品質測定規定部1204には測定を行う位置と参照する色情報が規定される。この図ではpositionCol1として定義された位置(334.0,423.0)の測色をし、CxF001の色情報を参照して色差を算出するように記載されている。色品質測定規定部1204は複数指定することができる。
【0119】
欠陥規定部1205は成果物の欠陥の検査及び評価に関する規定を行うための部位である。この図の例ではヒッキーと呼ばれる欠陥が検出されないか、1.5mm2以下の場合に、ランク10と評価することが記載されている。色品質評価規定部1203と同様に複数のランクを指定することができる。
【0120】
●品質報告データの例
図13A-
図13BはステップS732で生成させる品質報告データの例である。本実施形態の説明では品質報告データにPQXフォーマットを用いている。なお
図13A-
図13Bはひとつの品質報告データ1210を2分割して示している。
【0121】
品質評価報告部1211は品質を評価した結果を格納するための部位である。要求品質規定部1201に規定された基準または品質評価基準934で規定された基準に基づいて測定結果を評価した結果が格納される。
【0122】
色品質評価報告部1212は色品質を評価した結果を格納のするための部位である。色品質測定規定部1204で指定された位置の測色を行い、同じく色品質測定規定部1204で指定された基準色との色差を計算する。求めた色差が色品質評価規定部1203で規定されたランクのどれに当たるかを判定し、色品質評価報告部1212に格納する。図示した例ではすべての測色位置の色差が色品質評価規定部1203で規定された0.4以下であったため、ランク10と判定されている。
【0123】
第一欠陥評価報告部1213は欠陥を評価した結果を格納するための部位である。第一欠陥評価報告部1213には結果のうち、ヒッキーを評価した結果が記載されている。第一欠陥評価報告部1213には標準要素の結果1214と付加要素の結果1215が含まれている。標準要素の結果1214はステップS1007で加えられるものであり、欠陥規定部1205に記載されていた品質評価基準で欠陥を評価した結果である。付加要素の結果1215はステップS1004で加えられるものであり、品質評価基準列934から取得した品質評価基準で結果を評価した結果である。付加要素の結果1215にはName属性がAppendedのTag要素が定義され、Value属性の値にtrueが格納されているため、標準要素の結果1214と識別可能である。ヒッキーの検査は装置必須検査にも発注者指定検査にも含まれているため、両方の基準で評価されている。欠陥規定部1205の例ではヒッキーのサイズが1.5mm2以下であればランク10、品質評価基準列934の例では1.0mm2以下がランク10、2.0mm2以下がランク8と規定されている。このように2つの品質評価基準が異なる場合、標準要素の結果1214と付加要素の結果1215の評価結果が異なる。
【0124】
第二欠陥評価報告部1216はゴーストを評価した結果が記載されている。ゴーストの検査は欠陥規定部1205には記載がなく、装置必須検査にのみ含まれる検査項目である。そのため第二欠陥評価報告部1216全体が付加要素となり、Name属性がAppendedのTag要素が定義されている。
【0125】
測定結果格納部1217は検査によって得られた測定値を格納するための部位である。指定された測定箇所、または欠陥が検出された箇所の測定値が格納される。
【0126】
測色結果格納部1218は測定結果のうち1箇所の測色データを格納したものである。色品質測定規定部1204で指定された検査位置の印刷用紙城の位置、および測色したデータが格納されている。
【0127】
検出欠陥格納部1219は測定結果のうち1箇所の欠陥データを格納したものである。検出された欠陥の種類と位置、大きさが格納されている。
【0128】
以上のように、品質報告データには、発注者が指定した品質要求に応じた検査結果と、それとは別に印刷業者により設定された装置必須検査の検査結果とが識別可能に含まれる。そのため、この品質報告データを受信したウェブブラウザ604は、そのタグに応じて、品質報告を、検査項目ごとに表示することができる。たとえば、Name属性がAppendedであり、Value属性の値がtrueのTag要素が含まれた検査報告部があれば、それを装置必須検査の検査結果として表示する。一方、そのタグが含まれていない検査報告部があれば、それを品質要求に対応した検査結果として表示する。もちろん印刷する場合も同様であってよい。それにより、発注者は、発注者自身が指定して品質要求の水準を満たしていることに加えて、発注者が知りえない品質劣化あるいは欠陥についても、一定の品質レベルが維持されていることを確認できる。
【0129】
本実施形態によれば、印刷物の生成において必要な検査が使用される装置から自動的に決定される。装置に依存する品質項目が自動的に決定され品質報告が作成されるため、発注者は色味などの印刷データに依存する品質項目のみを品質要求で指定すればよい。
【0130】
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0131】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0132】
101 画像形成装置、102 情報処理装置、103 後加工装置、104 検査装置