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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ダイカストマシン
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20240830BHJP
   B22D 17/26 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B22D17/32 E
B22D17/26 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020204506
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091590
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】柴田 光貴
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-039330(JP,U)
【文献】実開昭55-080502(JP,U)
【文献】実開昭58-038003(JP,U)
【文献】実開昭58-038004(JP,U)
【文献】特開平01-150457(JP,A)
【文献】特開2009-228706(JP,A)
【文献】特開2010-025236(JP,A)
【文献】特開2013-139316(JP,A)
【文献】特開2018-003979(JP,A)
【文献】特開2020-142245(JP,A)
【文献】国際公開第2010/038321(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0041461(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 15/00 - 17/32
F15B 11/02 - 11/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内に形成されたキャビティに連通するスリーブと、
前記スリーブ内で前記キャビティに向けて前進することによって、前記スリーブ内の溶湯金属を前記キャビティに供給するプランジャと、
作動油がヘッド室に供給されることによって前記プランジャを前進させ、作動油がロッド室に供給されることによって前記プランジャを後退させる油圧シリンダと、
前記ヘッド室及び前記ロッド室に作動油を給排する油圧回路と、
前記油圧回路の動作を制御する制御装置とを備えるダイカストマシンであって、
前記油圧回路は、
作動油を貯留する作動油タンクと、
予め蓄圧した作動油を排出するアキュームレータと、
前記アキュームレータから前記ヘッド室に至る第1ヘッド側供給流路に配置されて、第1流量の作動油を前記ヘッド室に供給する第1供給位置、及び前記第1ヘッド側供給流路を閉塞する第1閉塞位置に切替可能な絞り弁と、
前記アキュームレータから前記ヘッド室に至る第2ヘッド側供給流路に配置されて、前記第1流量より多い第2流量の作動油を前記ヘッド室に供給する第2供給位置、及び前記第2ヘッド側供給流路を閉塞する第2閉塞位置に切替可能なチェック弁と、
前記ロッド室から前記作動油タンクに至る戻り流路に配置されて、前記戻り流路を開放して前記プランジャの前進を許容する許容位置、及び前記戻り流路を遮断して前記プランジャの前進を制動する制動位置の間で開度を調整可能なサーボ弁とを備え、
前記制御装置は、
前記サーボ弁を前記制動位置にして前記ロッド室内の作動油が前記作動油タンクに還流するのを阻止した状態で、前記絞り弁を前記第1供給位置にし、前記チェック弁を前記第2閉塞位置にすることによって、前記ロッド室内を加圧する加圧処理と、
前記加圧処理で前記ロッド室内が所定の圧力に達した後に、前記サーボ弁の開度を第1開度にして前記ロッド室内の作動油が前記作動油タンクに還流するのを許容し、前記チェック弁を前記第2供給位置にすることによって、前記プランジャを前進させる射出前進処理とを実行することを特徴とするダイカストマシン。
【請求項2】
前記金型の開閉及び型締を行う型締装置と、
前記スリーブ、前記プランジャ、前記油圧シリンダ、及び前記油圧回路を有し、型締された前記金型の前記キャビティ内に計量された溶湯金属を射出する射出装置とを備え、
前記制御装置は、
前記型締装置に前記金型を型締させた状態で、前記加圧処理及び前記射出前進処理を実行し、
前記射出前進処理を実行した後に前記型締装置に前記金型を型開させた状態で、前記絞り弁を前記第1供給位置にし、前記チェック弁を前記第2閉塞位置にし、前記サーボ弁の開度を前記第1開度より小さい第2開度にすることによって、前記プランジャに前記金型からビスケットを押し出させる突出し処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のダイカストマシン。
【請求項3】
前記チェック弁は、
前記第2ヘッド側供給流路の前記アキュームレータ側に接続された流入ポート、前記第2ヘッド側供給流路の前記ヘッド室側に接続された流出ポート、前記戻り流路から分岐した第1パイロット流路に接続された第1パイロットポート、及び前記アキュームレータから延びる第2パイロット流路に接続された第2パイロットポートを備えるスプールと、
前記スプール内に配置されて、前記流入ポート及び前記流出ポートを連通させて前記ヘッド室に作動油を供給する前記第2供給位置、及び前記流入ポート及び前記流出ポートの間を遮断して前記第2ヘッド側供給流路を閉塞する前記第2閉塞位置の間で移動可能なポペットと、
前記ポペットを前記第2閉塞位置に向けて付勢する付勢部材とを備え、
前記ポペットは、
前記第1パイロットポートに圧力が付与され且つ前記第2パイロットポートに圧力が付与されていないときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記第2供給位置に移動し、
前記第2パイロットポートに圧力が付与されたときに、前記第2閉塞位置に移動し、
前記油圧回路は、前記第2パイロット流路に配置されて、前記アキュームレータから排出される作動油を前記第2パイロットポートに供給する供給位置、及び前記第2パイロットポートの作動油を前記作動油タンクに還流させる還流位置に切替可能な方向切換弁を有し、
前記制御装置は、
前記加圧処理において、前記方向切換弁を前記供給位置にし、
前記射出前進処理において、前記方向切換弁を前記還流位置にすることを特徴とする請求項1または2に記載のダイカストマシン。
【請求項4】
金型内に形成されたキャビティに連通するスリーブと、
前記スリーブ内で前記キャビティに向けて前進することによって、前記スリーブ内の溶湯金属を前記キャビティに供給するプランジャと、
作動油がヘッド室に供給されることによって前記プランジャを前進させ、作動油がロッド室に供給されることによって前記プランジャを後退させる油圧シリンダと、
前記ヘッド室及び前記ロッド室に作動油を給排する油圧回路とを備えるダイカストマシンであって、
前記油圧回路は、
作動油を貯留する作動油タンクと、
予め蓄圧した作動油を排出するアキュームレータと、
前記アキュームレータから前記ヘッド室に至る第1ヘッド側供給流路に配置されて、第1流量の作動油を前記ヘッド室に供給する第1供給位置、及び前記第1ヘッド側供給流路を閉塞する第1閉塞位置に切替可能な絞り弁と、
前記アキュームレータから前記ヘッド室に至る第2ヘッド側供給流路に配置されて、前記第1流量より多い第2流量の作動油を前記ヘッド室に供給する第2供給位置、及び前記第2ヘッド側供給流路を閉塞する第2閉塞位置に切替可能なチェック弁と、
前記ロッド室から前記作動油タンクに至る戻り流路に配置されて、前記戻り流路を開放して前記プランジャの前進を許容する許容位置、及び前記戻り流路を遮断して前記プランジャの前進を制動する制動位置の間で開度を調整可能なサーボ弁とを備え、
前記チェック弁は、
前記第2ヘッド側供給流路の前記アキュームレータ側に接続された流入ポート、前記第2ヘッド側供給流路の前記ヘッド室側に接続された流出ポート、前記戻り流路から分岐した第1パイロット流路に接続された第1パイロットポート、及び前記アキュームレータから延びる第2パイロット流路に接続された第2パイロットポートを備えるスプールと、
前記スプール内に配置されて、前記流入ポート及び前記流出ポートを連通させて前記ヘッド室に作動油を供給する前記第2供給位置、及び前記流入ポート及び前記流出ポートの間を遮断して前記第2ヘッド側供給流路を閉塞する前記第2閉塞位置の間で移動可能なポペットと、
前記ポペットを前記第2閉塞位置に向けて付勢する付勢部材とを備え、
前記ポペットは、
前記第1パイロットポートに圧力が付与され且つ前記第2パイロットポートに圧力が付与されていないときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記第2供給位置に移動し、
前記第2パイロットポートに圧力が付与されたときに、前記第2閉塞位置に移動し、
前記油圧回路は、前記第2パイロット流路に配置されて、前記アキュームレータから排出される作動油を前記第2パイロットポートに供給する供給位置、及び前記第2パイロット流路の作動油を前記作動油タンクに還流させる還流位置に切替可能な方向切換弁を有することを特徴とするダイカストマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶湯金属を金型内に射出して成形品を成形するダイカストマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金型のキャビティに連通するスリーブ内に配置されたプランジャと、スリーブ内でプランジャを進退させる油圧シリンダとを備えるダイカストマシンが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、特許文献2に記載されているようなサーボバルブを、油圧シリンダのロッド室から作動油タンクに至る戻り油路に配置して、プランジャの前進速度を制御するダイカストマシンも存在する。
【0004】
より詳細には、油圧シリンダのヘッド室に所定の圧力の作動油を供給し、サーボバルブのスプール開度を調整することによって、プランジャがスリーブ内を所定の前進速度で前進して、金型に溶湯金属を射出する(以下、「射出前進処理」と表記する。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-155478号公報
【文献】特開昭54-6775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成のダイカストマシンにおいて、ロッド室内の圧力が低い状態で射出前進処理を開始すると、プランジャが急激に飛び出してしまう。その結果、スリーブ内の溶湯金属の波打ちが大きくなってエアーを巻込み、成形品に巻込み巣などが発生するという課題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、射出前進処理におけるプランジャの急激な飛び出しを防止可能なダイカストマシンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、金型内に形成されたキャビティに連通するスリーブと、前記スリーブ内で前記キャビティに向けて前進することによって、前記スリーブ内の溶湯金属を前記キャビティに供給するプランジャと、作動油がヘッド室に供給されることによって前記プランジャを前進させ、作動油がロッド室に供給されることによって前記プランジャを後退させる油圧シリンダと、前記ヘッド室及び前記ロッド室に作動油を給排する油圧回路と、前記油圧回路の動作を制御する制御装置とを備えるダイカストマシンであって、前記油圧回路は、作動油を貯留する作動油タンクと、予め蓄圧した作動油を排出するアキュームレータと、前記アキュームレータから前記ヘッド室に至る第1ヘッド側供給流路に配置されて、第1流量の作動油を前記ヘッド室に供給する第1供給位置、及び前記第1ヘッド側供給流路を閉塞する第1閉塞位置に切替可能な絞り弁と、前記アキュームレータから前記ヘッド室に至る第2ヘッド側供給流路に配置されて、前記第1流量より多い第2流量の作動油を前記ヘッド室に供給する第2供給位置、及び前記第2ヘッド側供給流路を閉塞する第2閉塞位置に切替可能なチェック弁と、前記ロッド室から前記作動油タンクに至る戻り流路に配置されて、前記戻り流路を開放して前記プランジャの前進を許容する許容位置、及び前記戻り流路を遮断して前記プランジャの前進を制動する制動位置の間で開度を調整可能なサーボ弁とを備え、前記制御装置は、前記サーボ弁を前記制動位置にして前記ロッド室内の作動油が前記作動油タンクに還流するのを阻止した状態で、前記絞り弁を前記第1供給位置にし、前記チェック弁を前記第2閉塞位置にすることによって、前記ロッド室内を加圧する加圧処理と、前記加圧処理で前記ロッド室内が所定の圧力に達した後に、前記サーボ弁の開度を第1開度にして前記ロッド室内の作動油が前記作動油タンクに還流するのを許容し、前記チェック弁を前記第2供給位置にすることによって、前記プランジャを前進させる射出前進処理とを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、射出前進処理におけるプランジャの急激な飛び出しを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るダイカストマシンの側面図である。
図2】油圧回路の回路図である。
図3】ダイカストマシンのハードウェア構成図である。
図4】射出制御処理のフローチャートである。
図5】加圧処理における油圧回路の状態を示す図である。
図6】射出前進処理における油圧回路の状態を示す図である。
図7】突出し処理における油圧回路の状態を示す図である。
図8】射出後退処理における油圧回路の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係るダイカストマシン10の側面図である。ダイカストマシン10は、金型内に溶湯金属を射出して、成形品を製造する。図1に示すように、ダイカストマシン10は、型締装置20と、射出装置30とを主に備える。
【0012】
型締装置20は、金型21の開閉及び型締を行う。具体的には、型締装置20は、固定側金型22を支持する固定ダイプレート23と、可動側金型24を支持する可動ダイプレート25とを主に備える。固定側金型22及び可動側金型24は、ダイカストマシン10の左右方向(水平方向)において、互いに対面するように支持されている。
【0013】
可動ダイプレート25は、型開閉シリンダ26の駆動力がトグルリンク機構27を通じて伝達されることによって、タイバー28に沿って左右方向に移動する。可動ダイプレート25が左方向に移動すると、固定側金型22と可動側金型24とが離間(型開)する。一方、可動ダイプレート25が右方向に移動すると、固定側金型22と可動側金型24とが当接(型閉)する。そして、可動ダイプレート25を右方向に移動させる向きの圧力がさらに加わると、固定側金型22及び可動側金型24が型締される。
【0014】
射出装置30は、型締された金型21内に溶湯金属を射出する。射出装置30は、射出スリーブ(スリーブ)31と、プランジャ32と、油圧シリンダ33と、油圧回路40とを主に備える。本実施形態に係る射出装置30は、型締装置20と水平方向(型締装置20の右方)に離間して配置されている。
【0015】
射出スリーブ31は、固定ダイプレート23に取り付けられた円筒形状の部材である。射出スリーブ31の先端部は、型締された金型21の内部空間(以下、「キャビティ」と表記する。)に連通している。また、射出スリーブ31には、ラドル(図示省略)によって供給された溶湯金属が貯留される。
【0016】
プランジャ32は、射出スリーブ31内に進退可能に収容されている。プランジャ32が前進すると、射出スリーブ31に貯留された溶湯金属がキャビティに供給される。一方、プランジャ32が後退すると、ラドルから供給される溶湯金属を貯留する空間が射出スリーブ31内に形成される。
【0017】
油圧シリンダ33は、作動油が供給及び排出(以下、「給排」と表記する。)されて伸縮することによって、プランジャ32を進退させる。油圧シリンダ33への作動油の給排は、油圧回路40によって行われる。図2に示すように、油圧シリンダ33は、シリンダチューブ34と、ピストン35と、ロッド36とで構成される。
【0018】
ピストン35は、シリンダチューブ34内を移動可能に構成されている。また、ピストン35は、シリンダチューブ34内を、ヘッド室37及びロッド室38に区画する。ロッド36は、基端がピストン35に接続され、シリンダチューブ34の外部に突出して、先端にプランジャ32が接続されている。
【0019】
ヘッド室37に作動油が供給され且つロッド室38から作動油が排出されると、ピストン35がロッド室38側に移動して、ロッド36が伸長する。これにより、射出スリーブ31内でプランジャ32が前進する。一方、ロッド室38に作動油が供給され且つヘッド室37から作動油が排出されると、ピストン35がヘッド室37側に移動して、ロッド36が縮小する。これにより、射出スリーブ31内でプランジャ32が後退する。
【0020】
また、図2に示すように、ロッド36の位置は、位置センサ39によって検知される。位置センサ39は、ロッド36の位置を検知し、検知結果を示す位置信号を後述する制御装置60に出力する。位置センサ39は、例えば、リニアエンコーダである。
【0021】
図2は、油圧回路40の回路図である。図2に示すように、油圧回路40は、作動油タンク41と、モータ42と、油圧ポンプ43と、アキュームレータ44と、チャージ弁45と、電磁比例絞り弁(絞り弁)46と、逆止弁47、51と、チェック弁48と、方向切換弁49と、開閉弁50、53と、フィルタ52、54cと、サーボ弁54とを主に備える。
【0022】
油圧ポンプ43とアキュームレータ44とは、チャージ流路Lによって接続されている。アキュームレータ44と油圧シリンダ33のヘッド室37とは、チャージ流路Lから分岐した第1ヘッド側供給流路Lと、第1ヘッド側供給流路Lからさらに分岐した第2ヘッド側供給流路Lとによって接続されている。油圧シリンダ33のヘッド室37と作動油タンク41とは、ヘッド側戻り流路Lによって接続されている。油圧ポンプ43と油圧シリンダ33のロッド室38とは、チャージ流路Lから分岐したロッド側供給流路Lによって接続されている。油圧シリンダ33のロッド室38と作動油タンク41とは、ロッド側供給流路Lから分岐したロッド側戻り流路Lによって接続されている。
【0023】
作動油タンク41は、作動油を貯留する。モータ42は、油圧ポンプ43を駆動するための駆動力を発生させる。油圧ポンプ43は、モータ42の駆動力が伝達されて、作動油タンク41に貯留された作動油をチャージ流路Lに圧送する。
【0024】
アキュームレータ44は、作動油を圧縮した状態で貯留(蓄圧)し、圧縮された作動油を供給する。より詳細には、アキュームレータ44には、チャージ流路Lを通じて油圧ポンプ43から供給される作動油が蓄圧される。また、アキュームレータ44から排出される作動油は、第1ヘッド側供給流路L及び第2ヘッド側供給流路Lを通じてヘッド室37に供給され、第2パイロット流路L(後述)を通じて第2パイロットポート55d(後述)に供給される。
【0025】
チャージ弁45は、チャージ流路Lに配置されている。より詳細には、チャージ弁45は、チャージ流路Lの第1ヘッド側供給流路Lとの分岐位置より油圧ポンプ43側で、且つロッド側供給流路Lとの分岐位置よりアキュームレータ44側に配置されている。チャージ弁45は、非チャージ位置Aと、チャージ位置Bとに切替可能に構成されている。
【0026】
非チャージ位置Aは、チャージ流路Lを閉塞して、油圧ポンプ43から供給される作動油をアキュームレータ44にチャージ不能にする位置である。チャージ位置Bは、チャージ流路Lを開放して、油圧ポンプ43から供給される作動油をアキュームレータ44にチャージ(蓄圧)可能にする位置である。
【0027】
チャージ弁45の初期位置は、非チャージ位置Aである。また、チャージ弁45は、制御装置60から制御電圧が印加されることによって、非チャージ位置Aからチャージ位置Bに切り替えられる。さらに、チャージ弁45は、制御装置60からの制御電圧の印加が停止することによって、再びチャージ位置Bから非チャージ位置Aに切り替えられる。
【0028】
電磁比例絞り弁46は、第1ヘッド側供給流路Lに配置されている。より詳細には、電磁比例絞り弁46は、第1ヘッド側供給流路Lの第2ヘッド側供給流路Lとの分岐点よりヘッド室37側で、逆止弁47よりアキュームレータ44側に配置されている。電磁比例絞り弁46は、制御装置60の制御に従って第1ヘッド側供給流路Lを流れる作動油の流量を制御する。
【0029】
本実施形態に係る電磁比例絞り弁46は、第1供給位置と、第1閉塞位置とに切り替え可能に構成されている。第1供給位置は、アキュームレータ44から排出される作動油の流量を、第1流量に絞ってヘッド室37に供給する位置である。第1閉塞位置は、第1ヘッド側供給流路Lを閉塞する位置である。
【0030】
電磁比例絞り弁46の初期位置は、第1閉塞位置である。また、電磁比例絞り弁46は、制御装置60から制御電圧が印加されることによって、第1閉塞位置と第1供給位置との間で開度を調整することができる。さらに、電磁比例絞り弁46は、制御装置60からの制御電圧の印加が停止することによって、再び第1閉塞位置に切り替えられる。
【0031】
逆止弁47は、第1ヘッド側供給流路Lに配置されている。より詳細には、逆止弁47は、電磁比例絞り弁46よりヘッド室37側に配置されている。逆止弁47は、アキュームレータ44からヘッド室37への向かう作動油の流れを許容し、ヘッド室37からアキュームレータ44へ向かう作動油の流れを遮断する。
【0032】
チェック弁48は、第2ヘッド側供給流路Lに配置されている。より詳細には、チェック弁48は、第2ヘッド側供給流路Lの第1ヘッド側供給流路Lとの分岐点よりヘッド室37側に配置されている。チェック弁48は、スプール55と、ポペット56と、コイルバネ(付勢部材)57とを主に備える。
【0033】
スプール55は、内部空間を有する筒状の部材である。スプール55には、スプール55の内部空間を外部(流路)に連通させる流入ポート55a、流出ポート55b、第1パイロットポート55c、及び第2パイロットポート55dが形成されている。流入ポート55aは、第2ヘッド側供給流路Lのアキュームレータ44側に接続されている。流出ポート55bは、第2ヘッド側供給流路Lのヘッド室37に接続されている。第1パイロットポート55cは、ロッド側戻り流路Lから分岐した第1パイロット流路Lに接続されている。第2パイロットポート55dは、第1ヘッド側供給流路Lから分岐した第2パイロット流路Lに接続されている。
【0034】
ポペット56は、スプール55内に収容されている。ポペット56は、第1パイロットポート55cに対面する第1受圧部56aと、第2パイロットポート55dに対面する第2受圧部56bとを有する。第1受圧部56aは、第1パイロット流路Lを通じて第1パイロットポート55cに供給される作動油の圧力を受ける部分である。第2受圧部56bは、第2パイロット流路Lを通じて第2パイロットポート55dに供給される作動油の圧力を受ける部分である。そして、第2受圧部56bの受圧面積は、第1受圧部56aより大きく設定されている。
【0035】
ポペット56は、スプール55の内部において、第2供給位置と、第2閉塞位置との間を移動可能に構成されている。第2供給位置は、流入ポート55a及び流出ポート55bを連通させて(すなわち、第2ヘッド側供給流路Lを開放して)、アキュームレータ44から排出された作動油をヘッド室37に供給する位置である。チェック弁48が第2供給位置のときに、アキュームレータ44からヘッド室37に供給される作動油の流量は、第1流量より多い第2流量に設定されている。第2閉塞位置は、流入ポート55a及び流出ポート55bの間を遮断して、第2ヘッド側供給流路Lを閉塞する位置である。
【0036】
コイルバネ57は、ポペット56を第2閉塞位置に向けて付勢する。コイルバネ57の付勢力をF、加圧処理(後述)及び射出前進処理(後述)において第1受圧部56aが受ける力をF、加圧処理において第2受圧部56bが受ける力をFとすると、F<F、F+F>Fの関係が成立する。
【0037】
すなわち、第1受圧部56a及び第2受圧部56bの両方に圧力が付与されていないとき、チェック弁48(ポペット56)は、第2閉塞位置に位置する。また、第1受圧部56aに圧力が付与され且つ第2受圧部56bに圧力が付与されていないとき、チェック弁48(ポペット56)は、コイルバネ57の付勢力に抗して第2供給位置に位置する。さらに、第1受圧部56a及び第2受圧部56bの両方に圧力が付与されているとき、チェック弁48(ポペット56)は、第2閉塞位置に位置する。
【0038】
方向切換弁49は、第2パイロット流路Lに配置されている。より詳細には、方向切換弁49は、第2パイロット流路Lの第1ヘッド側供給流路Lとの分岐位置と第2パイロットポート55dとの間に配置されている。方向切換弁49は、制御装置60の制御に従って、第2パイロットポート55dに対して作動油を給排する。
【0039】
方向切換弁49は、一対のパイロットポート49a、49bを有する。そして、方向切換弁49は、制御装置60がパイロットポート49a、49bの一方に制御電圧を印加することによって、遮断位置Cと、供給位置Dと、還流位置Eとに切替可能に構成されている。
【0040】
遮断位置Cは、アキュームレータ44と第2パイロットポート55dとの間を遮断する位置である。供給位置Dは、アキュームレータ44から排出される作動油を第2パイロットポート55dに供給して、第2受圧部56bを加圧する位置である。還流位置Eは、第2パイロットポート55dの作動油を作動油タンク41に還流させる位置である。
【0041】
方向切換弁49の初期位置は、遮断位置Cである。また、方向切換弁49は、制御装置60からパイロットポート49aに制御電圧が印加されることによって、遮断位置Cから供給位置Dに切り替えられる。また、方向切換弁49は、制御装置60からパイロットポート49bに制御電圧が印加されることによって、遮断位置Cから還流位置Eに切り替えられる。さらに、方向切換弁49は、制御装置60からの制御電圧の印加が停止することによって、再び遮断位置Cに切り替えられる。
【0042】
開閉弁50は、ヘッド側戻り流路Lに配置されている。より詳細には、開閉弁50は、ヘッド室37と作動油タンク41との間に配置されている。開閉弁50は、閉塞位置Fと、開放位置Gとに切替可能に構成されている。閉塞位置Fは、ヘッド側戻り流路Lを閉塞する位置である。開放位置Gは、ヘッド側戻り流路Lを開放して、ヘッド室37内の作動油を作動油タンク41へ還流させる位置である。
【0043】
開閉弁50の初期位置は、閉塞位置Fである。また、開閉弁50は、制御装置60から制御電圧が印加されることによって、閉塞位置Fから開放位置Gに切り替えられる。さらに、開閉弁50は、制御装置60からの制御電圧の印加が停止することによって、再び開放位置Gから閉塞位置Fに切り替えられる。
【0044】
逆止弁51は、ロッド側供給流路Lに配置されている。より詳細には、逆止弁51は、ロッド側供給流路Lのロッド側戻り流路L及び第1パイロット流路Lとの分岐点より油圧ポンプ43側に配置され、フィルタ52よりロッド室38側に配置されている。逆止弁51は、油圧ポンプ43からロッド室38への向かう作動油の流れを許容し、ロッド室38から油圧ポンプ43へ向かう作動油の流れを遮断する。
【0045】
フィルタ52は、ロッド側供給流路Lに配置されている。より詳細には、フィルタ52は、逆止弁47より油圧ポンプ43側で且つ開閉弁53よりロッド室38側に配置されている。フィルタ52は、油圧ポンプ43から供給された作動油が通過することによって、作動油に含まれる異物(例えば、金属粉など)を除去する。また、フィルタ52は、着脱(交換)可能に構成されている。
【0046】
開閉弁53は、ロッド側供給流路Lに配置されている。より詳細には、開閉弁53は、ロッド側供給流路Lの逆止弁51(より詳細には、フィルタ52)より油圧ポンプ43側に配置されている。開閉弁53は、閉塞位置Hと、開放位置Iとに切替可能に構成されている。
【0047】
閉塞位置Hは、ロッド側供給流路Lを閉塞して、油圧ポンプ43からロッド室38への作動油の供給を停止する位置である。開放位置Iは、ロッド側供給流路Lを開放して、油圧ポンプ43からロッド室38へ作動油を供給する位置である。
【0048】
開閉弁53の初期位置は、閉塞位置Hである。また、開閉弁53は、制御装置60から制御電圧が印加されることによって、閉塞位置Hから開放位置Iに切り替えられる。さらに、開閉弁53は、制御装置60からの制御電圧の印加が停止することによって、再び開放位置Iから閉塞位置Hに切り替えられる。
【0049】
サーボ弁54は、ロッド側戻り流路Lに配置されている。サーボ弁54は、制御装置60の制御に従って、制動位置J、ループ位置K、許容位置Lの間でスプール開度(開度)を調整可能な比例弁である。より詳細には、サーボ弁54は、一対のパイロットポート54a、54bを備える。サーボ弁54は、アキュームレータ(図示省略)から一対のパイロットポート54a、54bのいずれかにパイロット圧油が供給されることによって、制動位置Jと、ループ位置Kと、許容位置Lとの間でスプールが移動する。また、アキュームレータからパイロットポート54a、54bに至る流路には、フィルタ54cが配置されている。
【0050】
制動位置Jは、ロッド側戻り流路Lを遮断して、ロッド室38内の作動油が作動油タンク41に還流するのを阻止(換言すれば、プランジャ32の前進を制動)する位置である。ループ位置Kは、ロッド側戻り流路Lのロッド室38側と、ロッド側戻り流路Lの作動油タンク41側とを、独立したループ流路にする位置である。許容位置Lは、ロッド側戻り流路Lを開放して、ロッド室38内の作動油が作動油タンク41に還流するのを許容(換言すれば、プランジャ32の前進を許容)する位置である。
【0051】
サーボ弁54の初期位置は、制動位置Jである。また、サーボアンプ(図示省略)は、制御装置60から出力されるプランジャ32の前進速度の指令値に従って、パイロットポート50a、50bへのパイロット圧油の供給量を制御することによって、制動位置Jからループ位置Kまたは許容位置Lに向けてスプール開度を調整する。さらに、サーボアンプは、プランジャ32の現実の前進速度(以下、「実測値」と表記する。)を検出し、実測値が指令値に近づくようにスプール開度を調整する。
【0052】
図3は、ダイカストマシン10のハードウェア構成図である。ダイカストマシン10は、制御装置60を備える。制御装置60は、例えば、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)61、各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)62、及び演算手段の作業領域となるRAM(Random Access Memory)63を備える。そして、ROM62に記憶されたプログラムをCPU61が読み出して実行することによって、後述する各処理を実現してもよい。
【0053】
但し、制御装置60の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0054】
制御装置60は、ダイカストマシン10全体の動作を制御する。より詳細には、制御装置60は、位置センサ39から出力される位置信号を取得する。また、制御装置60は、チャージ弁45、電磁比例絞り弁46、方向切換弁49、開閉弁50、53へ制御電圧を印加及び印加停止する。さらに、制御装置60は、サーボ弁54のサーボアンプに指令値を出力することによって、プランジャ32の前進速度を制御する(所謂、ALL-OUT制御)。
【0055】
より詳細には、制御装置60は、チェック弁48を開放することによって、第2ヘッド側供給流路Lを通じてアキュームレータ44からヘッド室37に予め定められた圧力(流量)の作動油を供給する。また、制御装置60は、サーボ弁54のスプール開度を調整することによって、ロッド側戻り流路Lを通じてロッド室38から作動油タンク41に還流する作動油の流量を調整する。
【0056】
すなわち、制御装置60は、サーボ弁54のスプール開度を増大させることによって、プランジャ32を加速させる。一方、制御装置60は、サーボ弁54のスプール開度を減小させることによって、プランジャ32を減速(制動)させる。また、サーボ弁54のスプール開度が小さいほど、プランジャ32の減速度(制動力)は大きくなる。
【0057】
次に、図4図8を参照して、射出制御処理を説明する。図4は、射出制御処理のフローチャートである。図5は、加圧処理における油圧回路40の状態を示す図である。図6は、射出前進処理における油圧回路40の状態を示す図である。図7は、突出し処理における油圧回路40の状態を示す図である。図8は、射出後退処理における油圧回路40の状態を示す図である。
【0058】
射出制御処理は、複数の成形品を連続して成形する処理である。射出制御処理の開始時点において、金型21は型締され、射出スリーブ31には溶湯金属が貯留され、アキュームレータ44には所定圧力の作動油が蓄圧され、チャージ弁45は非チャージ位置Aに、電磁比例絞り弁46は第1閉塞位置に、チェック弁48は第2閉塞位置に、方向切換弁49は遮断位置Cに、開閉弁50は閉塞位置Fに、開閉弁53は閉塞位置Hに、サーボ弁54は制動位置Jに位置しているものとする。
【0059】
まず、制御装置60は、図5に示すように、チャージ弁45を非チャージ位置Aにし、電磁比例絞り弁46を第1供給位置にし、方向切換弁49を供給位置Dにし、開閉弁50を閉塞位置Fにし、開閉弁53を閉塞位置Hにし、サーボ弁54を制動位置Jにする(S11)。そして、方向切換弁49が供給位置Dに切り替えられることによって、チェック弁48が第2閉塞位置に切り替えられる。ステップS11の処理は、加圧処理の一例である。
【0060】
これにより、第1ヘッド側供給流路Lを通じてヘッド室37に第1流量の作動油が供給され、ピストン35がロッド室38側に押圧される。しかしながら、制動位置Jのサーボ弁54によってロッド側戻り流路Lが閉塞されているので、ロッド室38から作動油が排出されない。その結果、ロッド室38内の作動油が加圧され、ピストン35をヘッド室37に押す力(以下、「背圧」と表記する。)が生じる。
【0061】
また、ロッド室38内の圧力は、第1パイロット流路Lを通じて第1パイロットポート55cに付与され、第1受圧部56aを押圧する。但し、第2受圧部56bにも圧力が付与されているので、チェック弁48は第2閉塞位置に維持される。
【0062】
次に、制御装置60は、ロッド室38内の作動油が所定の圧力に達するまで(S12:No)、ステップS11の状態を維持する。なお、制御装置60は、圧力センサ(不図示)によってロッド室38内の圧力を検知してもよいし、予め定められた時間が経過するまでステップS11の状態を維持してもよい。
【0063】
次に、制御装置60は、ロッド室38内の作動油が所定の圧力に達したことに応じて(S12:Yes)、図6に示すように、チャージ弁45を非チャージ位置Aにし、電磁比例絞り弁46を第1供給位置にし、方向切換弁49を還流位置Eにし、開閉弁50を閉塞位置Fにし、開閉弁53を閉塞位置Hにし、サーボ弁54のスプール開度を第1開度にする(S13)。そして、第1受圧部56aが押圧された状態で方向切換弁49が還流位置Eに切り替えられることによって、チェック弁48が第2供給位置に切り替えられる。ステップS13の処理は、射出前進処理の一例である。
【0064】
これにより、第1ヘッド側供給流路L及び第2ヘッド側供給流路Lを通じてヘッド室37に作動油が供給され、ロッド側戻り流路Lを通じてロッド室38内の作動油が作動油タンク41に還流する。射出前進処理でヘッド室37に流入する作動油の流量(第1流量+第2流量)は、加圧処理でヘッド室37に流入する作動油の流量(第1流量)より多い。なお、制御装置60は、射出前進処理において、電磁比例絞り弁46を第1閉塞位置にしてもよい。
【0065】
その結果、第1開度に対応する射出前進速度でプランジャ32が前進し、射出スリーブ31内の溶湯金属がキャビティ内に射出される。なお、射出前進処理において、サーボ弁54のスプール開度を調整することによって、プランジャ32の射出前進速度を切り替えることができる。すなわち、射出前進処理は、スプール開度が相対的に小さい低速前進処理と、スプール開度が相対的に大きい高速前進処理とを含んでもよい。
【0066】
次に、制御装置60は、位置センサ39から出力される位置信号に基づいて、プランジャ32が予め定められた前進位置に到達するまで(S14:No)、ステップS13の状態を維持する。そして、制御装置60は、プランジャ32が前進位置に到達した後に(S14:Yes)、型締装置20に金型21を型開させると共に、可動側金型24に保持された成形品をロボットアーム(図示省略)に取り出させる。
【0067】
また、制御装置60は、型締装置20による型開き動作に連動して、図7に示すように、チャージ弁45を非チャージ位置Aにし、電磁比例絞り弁46を第1供給位置にし、方向切換弁49を供給位置Dにし、開閉弁50を閉塞位置Fにし、開閉弁53を閉塞位置Hにし、サーボ弁54のスプール開度を第1開度より小さい第2開度にする(S15)。ステップS15の処理は、突出し処理の一例である。これにより、プランジャ32は、射出前進速度から第2開度に対応する突出し速度まで減速(制動)し、低速でビスケットに押し付けられて、型開き動作に連動して固定側金型22からビスケットを突き出す。
【0068】
なお、ビスケットとは、型開された固定側金型21内において、射出スリーブ31とキャビティとの間の空間(湯口)に残存する固化した金属を指す。また、突出し速度は、射出前進速度よりも十分に遅い速度である。さらに、ステップS15の処理中は、アキュームレータ44から作動油を供給せずに、不図示の流路を通じて油圧ポンプ43から作動油が供給されるようにしてもよい。
【0069】
次に、制御装置60は、ビスケットの突出しが完了すると、図8に示すように、チャージ弁45を非チャージ位置Aにし、電磁比例絞り弁46を第1閉塞位置にし、方向切換弁49を供給位置Dにし、開閉弁50を開放位置Gにし、開閉弁53を開放位置Iにし、サーボ弁54を制動位置Jにする(S16)。ステップS16の処理は、射出後退処理の一例である。これにより、ロッド側供給流路Lを通じて油圧ポンプ43からロッド室38に作動油が供給され、ヘッド側戻り流路Lを通じてヘッド室37から作動油タンク41に作動油が還流する。その結果、プランジャ32が後退する。
【0070】
次に、制御装置60は、位置センサ39から出力される位置信号に基づいて、プランジャ32が予め定められた後退位置に到達するまで(S17:No)、ステップS16の状態を維持する。そして、制御装置60は、プランジャ32が後退位置に到達したタイミングで(S17:Yes)、チャージ弁45を非チャージ位置Aにし、電磁比例絞り弁46を第1閉塞位置にし、方向切換弁49を遮断位置Cにし、開閉弁50を閉塞位置Fにし、開閉弁53を閉塞位置Hにし、サーボ弁54を制動位置Jにする(S18)。ステップS18の処理は、油圧回路40を射出制御処理の開始時点の状態に戻す初期化処理の一例である。
【0071】
また図示は省略するが、制御装置60は、ステップS16~S18の処理と並行して、射出スリーブ31に溶湯金属を貯留する。さらに図示は省略するが、制御装置60は、アキュームレータ44内の作動油の圧力が下限値を下回った場合に、チャージ弁45をチャージ位置Bに切り替える。これにより、チャージ流路Lを通じて油圧ポンプ43からアキュームレータ44に作動油が供給される。そして、制御装置60は、アキュームレータ44内の作動油の圧力が上限値に達したタイミングでチャージ弁45を非チャージ位置Aに切り替える。アキュームレータ44に作動油をチャージする処理は、例えば、型開、成形品の取出し、溶湯金属の補給などと並行して実行される。
【0072】
次に、制御装置60は、所定の数の成形品を成形したか否かを判定する(S19)。そして、制御装置60は、未だ所定の数の成形品を成形していないと判定した場合に(S19:No)、ステップS11~S18の処理を再び実行する。一方、制御装置60は、所定の数の成形品を成形したと判定した場合に(S19:Yes)、射出制御処理を終了する。すなわち、制御装置60は、所定の数の成形品を成形するまでステップS11~S18の処理を繰り返す。
【0073】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0074】
上記の実施形態によれば、射出前進処理(S13)に先立って加圧処理(S11)を実行することによって、ピストン35に背圧を付与した状態でプランジャ32の射出前進を開始することができる。その結果、射出前進処理におけるプランジャ32の急激な飛び出しを防止することができる。
【0075】
また、上記の実施形態によれば、加圧処理(S11)でロッド側戻り流路Lに生じた圧力を利用して、チェック弁48を開放することができる。これにより、従来の油圧回路において、チェック弁48を開閉するための油圧部品を省略することができるので、シンプルな油圧回路40で射出制御処理が実現できる。
【0076】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
10…ダイカストマシン、20…型締装置、21…金型、22…固定側金型、23…固定ダイプレート、24…可動側金型、25…可動ダイプレート、26…型開閉シリンダ、27…トグルリンク機構、28…タイバー、30…射出装置、31…射出スリーブ、32…プランジャ、33…油圧シリンダ、34…シリンダチューブ、35…ピストン、36…ロッド、37…ヘッド室、38…ロッド室、39…位置センサ、40…油圧回路、41…作動油タンク、42…モータ、43…油圧ポンプ、44…アキュームレータ、45…チャージバルブ、46…電磁比例弁、47,51…逆止弁、48…チェック弁、49…方向切換弁、49a,49b,54a,54b…パイロットポート、52…フィルタ、53…開閉弁、54…サーボ弁、55…スプール、55a…流入ポート、55b…流出ポート、55c…第1パイロットポート、55d…第2パイロットポート、56…ポペット、56a…第1受圧部、56b…第2受圧部、57…コイルバネ、60…制御装置、61…CPU、62…ROM、64…報知装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8