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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】背負式動力噴霧機の噴頭
(51)【国際特許分類】
   B05B 9/08 20060101AFI20240830BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B05B9/08
A01M7/00 M
A01M7/00 Q
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020217748
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102794
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】宮本 武緒
(72)【発明者】
【氏名】森谷 圭一
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-125626(JP,A)
【文献】米国特許第07065944(US,B1)
【文献】実開昭59-048763(JP,U)
【文献】実開昭59-127765(JP,U)
【文献】特公昭45-008466(JP,B1)
【文献】実開平02-137944(JP,U)
【文献】特開昭62-106861(JP,A)
【文献】特開2015-218353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 9/08
A01M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源(4)、ファン、ファンケース(6)、薬液タンク(3)を備える作業機本体(1)を作業者が背負い、前記駆動源(4)の駆動により前記ファンを駆動し、前記ファンケース(6)内の前記ファンからの送風を、送風管(2)を介して当該送風管(2)の先端に送ると共に、前記薬液タンク(3)からの薬液を、送液ホース(14)を介して前記送風管(2)内に設置したノズル(11)へ供給し、前記ノズル(11)から吐出される前記薬液を前記送風管(2)の前記先端から霧状に噴霧する背負式動力噴霧機(100)の前記先端を構成する噴頭(10)であって、
前記噴頭(10)は、前記ノズル(11)より下流側の内周面に、前記噴頭(10)の軸心方向に延在するように突出し周方向に対向する側壁リブ(20,20)の組を複数組備え、
前記側壁リブ(20,20)の組は、前記側壁リブ(20,20)同士の間が上流側から下流側へ向かって先細となるように設けられ、
前記側壁リブ(20,20)の組の前記側壁リブ(20,20)同士の間の下流側には、前記側壁リブ(20,20)同士を連結すると共に、前記噴頭(10)の内周面から前記噴頭(10)の軸心へ向かって延出する延出リブ(21)が設けられ、
前記側壁リブ(20,20)同士及び前記延出リブ(21)により、噴頭ノズル(18)が構成されていることを特徴とする背負式動力噴霧機(100)の噴頭(10)。
【請求項2】
前記延出リブ(21)は、上流から下流に向かうに従い、前記噴頭(10)の軸心へ向かうように傾斜していることを特徴とする請求項1記載の背負式動力噴霧機(100)の噴頭(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は背負式動力噴霧機の噴頭に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、背負式動力噴霧機として、以下の特許文献1に記載のものが知られている。この背負式動力噴霧機にあっては、作業者が、ファン(送風機)や薬液タンクが搭載された作業機本体を背負いながらファンを駆動し、ファンからの送風を、送風管(蛇管、送気管等)を介して当該送風管の先端の噴頭に送ると共に、薬液タンクからの薬液を、送液ホース(送液管)を介して送風管先端の噴頭内に設置したノズル(ミストノズル)へ供給し、作業者が、送風管を持ちながら、ノズルからの薬液を噴頭から所望の方向へ霧状に噴霧できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5235071
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、送風管の下流側を持ち上げて薬液を斜め上方や真上(以下単に上方と呼ぶ)へ噴霧すると、噴頭の上流側の部分の内周面に、ノズルからの薬液が水滴となって滞留する虞がある。特に、ノズルが、送風管において噴頭より上流側の例えば直噴管(送気管)等の噴頭から離れている位置に設置されている場合には、より顕著となる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、送風管においてノズルより下流側の内周面に滞留する薬液を容易に霧化でき、より好適な噴霧ができる背負式動力噴霧機の噴頭を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による背負式動力噴霧機(100)の噴頭(10)は、駆動源(4)、ファン、ファンケース(6)、薬液タンク(3)を備える作業機本体(1)を作業者が背負い、駆動源(4)の駆動によりファンを駆動し、ファンケース(6)内のファンからの送風を、送風管(2)を介して当該送風管(2)の先端に送ると共に、薬液タンク(3)からの薬液を、送液ホース(14)を介して送風管(2)内に設置したノズル(11)へ供給し、ノズル(11)から吐出される薬液を送風管(2)の先端から霧状に噴霧する背負式動力噴霧機(100)の先端を構成する噴頭(10)であって、噴頭(10)は、ノズル(11)より下流側の内周面に、噴頭(10)の軸心方向に延在するように突出し周方向に対向する側壁リブ(20,20)の組を複数組備え、側壁リブ(20,20)の組は、側壁リブ(20,20)同士の間が上流側から下流側へ向かって先細となるように設けられ、側壁リブ(20,20)の組の側壁リブ(20,20)同士の間の下流側には、側壁リブ(20,20)同士を連結すると共に、噴頭(10)の内周面から噴頭(10)の軸心へ向かって延出する延出リブ(21)が設けられ、側壁リブ(20,20)同士及び延出リブ(21)により、噴頭ノズル(18)が構成されていることを特徴としている。
【0007】
このような背負式動力噴霧機(100)の噴頭(10)によれば、噴頭(10)の内周面に設けられ、噴頭(10)の軸心方向に延在するように突出し周方向に対向する側壁リブ(20,20)同士、及び、噴頭(10)の内周面において側壁リブ(20,20)同士の下流側に設けられて側壁リブ(20,20)同士を連結すると共に、噴頭(10)の内周面から噴頭(10)の軸心へ向かって延出する延出リブ(21)により、噴頭ノズル(18)が周方向に沿って複数形成され、噴頭ノズル(18)においては側壁リブ(20,20)同士及び延出リブ(21)により先細の流路(41)が形成され当該流路(41)が絞られている。このため、流路(41)に負圧が発生し、送風管(2)においてノズル(11)より下流側の内周面に滞留する薬液は、先細の流路(41)に集められて当該流路(41)により噴頭(10)の軸心側へ向かって導かれ、ファンからの送風により容易に霧化でき、より好適な噴霧ができる。
【0008】
ここで、延出リブ(21)は、上流から下流に向かうに従い、噴頭(10)の軸心へ向かうように傾斜していると、水滴が、流路(41)を構成する延出リブ(21)を伝って流れる際の抵抗を低減でき、より効果的に霧化できる。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、送風管においてノズルより下流側の内周面に滞留する薬液を容易に霧化でき、より好適な噴霧ができる背負式動力噴霧機の噴頭を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る噴頭を備えた背負式動力噴霧機を右後方且つ上方から見た斜視図である。
図2図1中の噴頭を下流側から見た斜視図である。
図3図1中の噴頭を下流側から見た上面図である。
図4図1中の噴頭を上流側から見た底面図である。
図5図3中のV-V線に沿う断面図である。
図6図2図5からリング部を外し下流側から見た噴頭の斜視図である。
図7図6に示す噴頭を上流側から見た斜視図である。
図8図6及び図7に示す噴頭の上面図である。
図9図8に示す噴頭の底面図である。
図10図8中のX-X線に沿う断面図である。
図11図8中のXI-XI線に沿う断面図である。
図12図2図5中のリング部を下流側から見た斜視図である。
図13図12に示すリング部を上流側から見た斜視図である。
図14図12及び図13に示すリング部の側面図である。
図15図14に示すリング部の上面図である。
図16図14に示すリング部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る背負式動力噴霧機の噴頭の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上下、前後、左右等の方向を表す語は、背負式動力噴霧機を背負った作業者を基準とした方向を表すものとし、作業者にとり前方を「前」と定める。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る噴頭を備えた背負式動力噴霧機を右後方且つ上方から見た斜視図、図2図5は、図1中の噴頭を示す各図、図6図11は、リング部を外した噴頭の各図、図12図16は、リング部を示す各図である。
【0013】
図1に示すように、背負式動力噴霧機100は、作業者が背負いバンドを介して作業機本体1を背負いながら、作業機本体1に接続される送風管2を用いて薬液を噴霧するものである。なお、ここでは、背負いバンドは取り外され、描かれていない。
【0014】
作業機本体1は、薬液を内部に貯留し作業機本体1の上部を構成すると共に前部の背当てを兼用する薬液タンク3と、作業機本体1の後部且つ下部を構成する駆動源としてのエンジン4と、薬液タンク3の下方に配置され、エンジン4の駆動により回転駆動する送風機としてのファンと、ファンを収容するファンケース6と、を概略備えている。
【0015】
ファンケース6の送風の出口には、ファンからの送風を先端側へ送り先端から薬液を噴霧するための送風管2が接続されている。送風管2は、ファンケース6に接続される蛇管7と、蛇管7に接続され真っ直ぐに延びる直噴管(ストレート管)9と、直噴管9に接続される噴頭10と、を備えている。
【0016】
噴頭10内の上流側には、ノズル11が配置されている。このノズル11には、送液ホース(送液管)14を介して薬液タンク3の下部の薬液流出口15が接続されている。すなわち、薬液タンク3内の薬液は、送液ホース14を介してノズル11へ供給されるようになっている。ノズル11は、従来技術(特許5235071)の管状のノズルを始めとし、管状をなし吐出口が前方を向く公知のノズルが用いられている。
【0017】
図1図2及び図5に示すように、噴頭10は、略円筒状に形成され、直噴管9に接続される接続部16と、接続部16に連設されラッパ状に拡径するラッパ部分(噴頭10の先端部分)17と、を備えている。
【0018】
噴頭10内には、ノズル11より下流側に、図2図5に示すように、噴頭ノズル18及びリング部19が設けられている。なお、図2図5においては、噴頭ノズル18及びリング部19の理解を容易とするため、噴頭10内にはノズル11は描かれていない。
【0019】
ここで、本実施形態においては、噴頭10は、その内周面に、噴頭ノズル18及びリング部19の少なくても一方を備えるものとする。
【0020】
噴頭ノズル18は、図1図2及び図5に示すように、噴頭10においてノズル11より下流側の内周面に滞留する薬液を霧化するためのものであり、リング部19は、噴頭10の先端部分17の内周面に溜まった水滴を霧化するためのものである。噴頭ノズル18、リング部19は、上流から下流に向けて、この順に設けられている。
【0021】
以下、噴頭ノズル18について説明する。噴頭10においてノズル11より下流側の内周面には、図6図11に示すように、噴頭10の軸心方向に延在するように突出し周方向に対向する側壁リブ20の組が複数組(ここでは4組)設けられている。側壁リブ20の組は、それぞれ周方向に沿って90°離間して形成されている。
【0022】
対向する側壁リブ20,20は、側壁リブ20、20同士の間が上流側から下流側へ向かって先細となるように設けられている。また、側壁リブ20の組の側壁リブ20,20同士の間の下流側には、側壁リブ20,20同士を連結すると共に、噴頭10の内周面から噴頭10の軸心へ向かって延出する延出リブ21が設けられている。そして、これらの対向する側壁リブ20,20及び延出リブ21により、噴頭ノズル18が構成されている(図10及び図11参照)。
【0023】
また、噴頭10の内周面には、噴頭10の軸心へ向かって円環状に張り出す張出部23が設けられており、延出リブ21は、張出部23に含まれ張出部23の一部を構成している。延出リブ21の先端は、張出部23の延出リブ21を除く部分より噴頭10の軸心側に位置している。この延出リブ21を含む張出部23は、上流から下流に向かうに従い、噴頭10の軸心へ向かうように傾斜している。この張出部23は、リング部19を好適に装着するためのものとしても機能する。
【0024】
図12図16に示すように、リング部19は、円環状に構成され、その外周面24に、噴頭10の軸心方向に延び両端が開放される外溝25を、周方向に沿って等間隔で複数備えている。
【0025】
リング部19は、その底面(上流側の面)26に、外周面24に円環状に連設される平坦面27と、平坦面27に円環状に連設される傾斜面28と、を備えている。平坦面27は、リング部19(噴頭10)の軸心に対して垂直をなし、傾斜面28は、上流側となる底面側から下流側となる上面側に向かうに従い、リング部19の軸心へ向かうように傾斜し円環状の内周面29に連設される傾斜面とされている。
【0026】
リング部19の平坦面27及び傾斜面28を備える底面26には、底面26を凹設した底溝30が、周方向に沿って等間隔で多数設けられている。
【0027】
底溝30の一部31は、平坦面27に凹設され、外溝25の底部側の端部(上流端部)に連通すると共に、傾斜面28に、傾斜面28に倣って凹設され(傾斜溝とされ)、内周面29に連通し内方へ開放される底溝とされている。
【0028】
底溝30の残り32は、外溝25,25同士の間に設けられ、平坦面27に凹設されると共に、傾斜面28に、傾斜面28に倣って凹設され(傾斜溝とされ)、リング部19の内周面29に連通し内方へ開放される底溝とされている(図13及び図16参照)。リング部19の残り32のうち、周方向に90°離間した4箇所の位置の底溝33は、リング部19の軸心近くに向かうように延出している(図13図15及び図16参照)。
【0029】
このような構成のリング部19は、図5に示すように、その底面26の傾斜面28が、噴頭10の内周面から張り出し傾斜する張出部23に密着した状態で、図2図3及び図5に示すように、締結手段(ここでは、タッピンネジ)34を介して張出部23(図6図8及び図9参照)上に装着されている。このとき、図12図16に示すリング部19は、そのタッピンネジ34用の孔42が、図6及び図8に示す張出部23のタッピンネジ34用の雌螺子43に合うように、図12図16に示す状態から回転し取り付けられている。
【0030】
この状態で、リング部19の4箇所で延出する底溝33(図13及び図16参照)は、噴頭10の軸心近くに向かい、図2図5に示すように、噴頭ノズル18の延出リブ21上に位置している。そして、4箇所の底溝33の内周側の開放端は、延出リブ21の先端より多少内側に位置した状態となっている(図3参照)。
【0031】
この状態で、図5に示すように、リング部19の外周側の上流端部となる平坦面27と、この平坦面27に対面する張出部23の外周側の端部(傾斜する根元部)35との間に、円環状の隙間Sが形成され、この隙間Sに、複数の外溝25及び複数の底溝30が連通している。
【0032】
具体的には、底溝30の一部31(図13及び図16参照)は、外溝25と隙間S(図5参照)を介して折り返すようにして直線状に連通し、底溝30の残り32(図13及び図16参照)は、外溝25とは連通せず、隙間Sとのみ連通している。
【0033】
そして、この状態で、図2図3及び図5に示すように、噴頭10の内周面とリング部19の外溝25との間に、外側流路36が形成され、図5に示すように、張出部23においてリング部19の底面26の傾斜面28に対面する上面と傾斜面28の底溝30との間に、内側流路37が形成されている。この内側流路37は、底溝30の一部31(図16参照)による一部の内側流路39(図5及び図16参照)と、底溝30の残り32(図16参照)による残りの内側流路40(図5及び図16参照)とからなる。
【0034】
このように構成された背負式動力噴霧機100によれば、図1を参照すれば、作業機本体1を作業者が背負い、エンジン4を駆動することによりファンが駆動し、ファンケース6内のファンからの送風が、送風管2を介して当該送風管2の先端に送られると共に、薬液タンク3からの薬液が、送液ホース14を介してノズル11へ供給され、ノズル11から吐出された薬液が送風管2の先端の噴頭10から霧状に噴霧され、使用に供される。
【0035】
ここで、作業者が、送風管2の直噴管9を持ち上げて薬液を上方へ噴霧すると、噴頭10の先端部分(ラッパ部分)17の内周面に水滴が溜まり、噴霧作業後に、溜まった水滴がボタ落ちしたり、噴頭10の上流側の部分でノズル11より下流側の内周面に、ノズル11からの薬液が水滴となって滞留することがある。
【0036】
本実施形態によれば、噴頭10の上流側の部分でノズル11より下流側の内周面に滞留する水滴は、以下のように対処される。すなわち、図10及び図11に示すように、噴頭10の内周面に設けられ、噴頭10の軸心方向に延在するように突出し周方向に対向する側壁リブ20,20同士、及び、噴頭10の内周面において側壁リブ20,20同士の下流側に設けられて側壁リブ20,20同士を連結すると共に、噴頭10の内周面から噴頭10の軸心へ向かって延出する延出リブ21により、噴頭ノズル18が周方向に沿って複数形成され、噴頭ノズル18においては側壁リブ20,20同士及び延出リブ21により先細の流路41が形成され当該流路41が絞られている(図2図5図10及び図11参照)。このため、流路41に負圧が発生し、噴頭10の上流側の部分でノズル11より下流側の内周面に滞留する水滴は、図5の矢印Cで示すように、先細の流路41に集められて当該流路41により噴頭10の軸心側へ向かって導かれ、矢印Dで示すように、ファンからの送風により容易に霧化でき、より好適な噴霧ができるようになっている。
【0037】
また、本実施形態によれば、延出リブ21は、上流から下流に向かうに従い、噴頭10の軸心へ向かうように傾斜しているため、水滴が、流路41を構成する延出リブ21を伝って流れる際の抵抗を低減でき、より効果的に霧化できるようになっている。なお、延出リブ21は、ファンからの送風が向かい風とならない方向へ水滴を流すのが好ましく、噴頭10の軸心に対して垂直をなしていても良い。
【0038】
さらに、本実施形態によれば、以下の作用・効果も奏する。すなわち、図5に示すように、リング部19の外周面24の外溝25と噴頭10の内周面との間に形成された外側流路36、外側流路36に連通する隙間S、隙間Sに連通しリング部19の底面26の傾斜面28と傾斜面28の底溝30との間に形成された内側流路37が、負圧となるため、噴頭10の先端部分17の内周面に溜まった水滴は、噴頭10を通るファンからの送風に引っ張られて、矢印Aで示すように、外側流路36を上流側へ向かって流れ、底溝30による内側流路37を通して当該内側流路37の開放端から吸い上げられ、矢印Bで示すように、ファンからの送風により容易に霧化される。このため、より好適な噴霧が可能となっている。特に、噴頭10の軸心での風速が速いため、底溝30による内側流路37の開放端のうち、4箇所の底溝33(図5図13図15及び図16参照)に対応する開放端からは、水滴がより容易に吸い上げられる。
【0039】
また、図5に示すように、リング部19の底溝30による内側流路37は、上流から下流に向かうに従い、噴頭10の軸心へ向かうように傾斜しているため、水滴が内側流路37を伝って吸い上げられやすくなり、より効果的な噴霧が可能となっている。なお、底溝30による内側流路37は、ファンからの送風が向かい風とならない方向へ水滴を流すのが好ましく、噴頭10の軸心に対して垂直をなしていても良い。
【0040】
また、リング部19の外周側の上流端部となる平坦面27と、この平坦面27に対面する張出部23の外周側の端部35との間に隙間Sが形成され、この隙間Sを介して複数の外溝25による外側流路36及び複数の底溝30による内側流路37が連通しているため、隙間Sを通して外側流路36及び内側流路37に負圧が確実に均等に作用し、水滴をより好適に流すことができる。
【0041】
また、底溝30による内側流路37は、外溝25による外側流路36より多く設けられ(図13図14及び図16参照)、底溝30の一部31による一部の内側流路39と外溝25とは隙間Sを介して直線状に連通し(図13及び図16参照)、底溝30の残り32による残りの内側流路40は、隙間Sとのみ連通しているため(図5参照)、隙間Sを通して各流路36,37に負圧が確実に均等に作用し、水滴をより好適に流すことができる状態で、より多くの内側流路37から水滴が吸い上げられ、より好適な噴霧ができるようになっている。
【0042】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、駆動源をエンジン4としているが、電動機等であっても良い。
【0043】
また、上記実施形態においては、外側流路36に対して直線状に連通する一部の内側流路39を設け、水滴をより好適に流すようにしているが、一部の内側流路39がなく、隙間Sに連通する残りの内側流路40のみであっても良い。
【0044】
また、上記実施形態においては、リング部19の外周側の上流端部27と、これに対面する張出部23の外周側の端部35との間に、円環状の隙間Sを設け、隙間Sを通して各流路36,37(39,40)に負圧が確実に均等に作用するようにしているが、例えばリング部19の底面26を、平坦面27がない傾斜面28のみ等として円環状の隙間Sをなくしても良い、その場合には、外側流路36と直線状に連通する一部の内側流路39が設けられていれば良い。
【0045】
また、上記実施形態においては、張出部23においてリング部19の底面26の傾斜面28に対面する上面と底溝30(31,32)との間に、管状の内側流路37(39,40)を形成し、水滴をより好適に流すようにしているが、張出部23がなく、管状ではない底溝30(31,32)のみの流路であっても良い。
【0046】
また、上記実施形態においては、リング部19を設けているが、リング部19はなくても良い。また、円環状の張出部23はなくても良く、延出リブ21が噴頭10の内周面から突設し、延出リブ21及び対向する側壁リブ20,20同士から構成される噴頭ノズル18が設けられていれば良い。
【0047】
また、上記実施形態においては、ノズル11は噴頭10に設置されているが、噴頭10より上流の何れかの管、例えば直噴管9等に設置されていても良い。また、直噴管9と蛇管7との間に例えば曲り管等の他の管を接続し、ノズル11が他の管に設置されている場合にも適用可能である。このように、送風管2においてノズル11の設置位置が噴頭10から離れるほど、送風管2においてノズル11より下流側の内周面に薬液が滞留する虞が高まるため、このような背負式動力噴霧機に適用するのが好適である。
【符号の説明】
【0048】
1…作業機本体、2…送風管、3…薬液タンク、4…エンジン(駆動源)、6…ファンケース、10…噴頭、11…ノズル、14…送液ホース、18…噴頭ノズル、20…側壁リブ、21…延出リブ、100…背負式動力噴霧機。
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