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▶ ジボダン エス エーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】フレーバーおよび消費可能な組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/10 20160101AFI20240830BHJP
【FI】
A23L27/10 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020551965
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019057385
(87)【国際公開番号】W WO2019185514
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】1804794.4
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォーレンヴァイダー,サビネ
(72)【発明者】
【氏名】ウェールレ,カブリエレ
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/191548(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03078277(EP,A1)
【文献】特開平04-148654(JP,A)
【文献】特表2018-500043(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1802983(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105325774(CN,A)
【文献】食用ウジ虫を自分のキッチンで育成できるキット「Farm 432」がスゴイ!, Buzzap![online], 2013年8月4日, [retrieved on 2023.02.06], Retrieved from the Internet, URL, https://buzzap.jp/news/20130804-farm-432/
【文献】昆虫色は地球を救う?記者が体当たりレポート, 日経ビジネス[online], 2017年5月15日, [retrieved on 2023.02.06], Retrieved from the Internet, URL, https://business.nikkei.com/atcl/report/16/051100135/051200004/
【文献】SANDRA G.F. BUKKENS,THE NUTRITIONAL VALUE OF EDIBLE INSECTS,Ecology of Food and Nutrition,1997年,Vol.36,p.287-319
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23J
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫由来のタンパク質、昆虫由来の脂肪、およびそれらの組み合わせから選択される昆虫由来の材料を含む、肉を含まないプロセスフレーバー組成物であって、該昆虫由来のタンパク質が、Stratiomyidae科、Acrididae科、およびそれらの組み合わせから選択される昆虫の種から得られ、該組成物が消費物に肉様フレーバーを提供する、前記組成物。
【請求項2】
昆虫の種が、Hermetia illucensである、請求項1に記載のフレーバー組成物。
【請求項3】
昆虫の種が、Locusta migratoriaである、請求項1に記載のフレーバー組成物。
【請求項4】
消費可能なベース、および請求項1~のいずれか一項に記載のフレーバー組成物を含み、肉様フレーバーを有する、肉を含まない消費可能な組成物。
【請求項5】
肉様フレーバーを消費物に付与する方法であって、消費可能なベースを、請求項1~のいずれか一項に記載のフレーバー組成物と合わせることを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、食用の昆虫由来の材料に基づくフレーバー組成物に関する。本開示はまた、ベースおよび昆虫由来のフレーバー組成物を含有する消費可能な組成物、ならびに昆虫由来のフレーバー組成物および消費可能な組成物を作るためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
昆虫(Insecta)(すなわち、昆虫(Insects))は、節足動物門における、六脚類亜門に分類される動物の類である。昆虫は、地球上で見いだされる最も多様な群である。記載される昆虫は百万種を超える;これは、全ての公知の生きている生物の半数を超えることを表す。昆虫は、高度に栄養が多く、および食物の健康的な供給源である。それらは脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル、繊維が多いことが知られている。昆虫を粉末、微粒子、またはペースト形態に加工すること、およびそれらから貴重なタンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラル、キチンを抽出することが可能である。食用の昆虫はまた地球全域の多種多様の生息地を居住地とし、および食料源として潜在的に尽きることのないリソースを表す。昆虫は、野生で容易に捕獲されることができ、または商業農家系において大量に育てられることができ、およびヒトの食物摂取または動物の餌のために加工されることができる。
【0003】
昆虫を食べる行為は食虫性として知られる。国際連合食糧農業機関により、大体2000の異なる種の昆虫がアジア、アフリカおよびアメリカにわたる80より多い国の20億の人々によって規則的に消費される。Edible Insects. Future Prospects For Food and Feed Security, Food and Agricultural Organization of the United Nations, Rome, 2013。いくつかの一般的に消費される昆虫は、アリ、ハナバチ、カブトムシ(ミールワームなど)、毛虫、セミ、コオロギ、トンボ、ハエ、バッタ(grasshopper)、ヨコバイ、ワタリバッタ(locust)、ウンカ、シロアリおよびカリバチを包含する。いくつかの科学的な分析はまた、コオロギ、ワタリバッタ(locust)およびミールワームなどの昆虫のバランスのとれた、および健康的な栄養組成、ならびに昆虫からの餌または食料の生産が他の家畜の生産よりも環境への悪影響が非常に少ないだろうことを確認する。「Insects. Food Safety First - First Time Right. Regulatory Roadmap for Insect Products in Feed and Food Applications. International Producers of Insects for Feed and Food.」
【0004】
国際連合は、人口が2050年までに90億人より多くまで増加することを予測している。ヒトは大まかに陸地および沿岸海水が生産するバイオマスの40%を消費する。地球の総陸地の多くは、既に農業のために使用されている。さらにまた、大洋は、また過度に魚が捕られている。人口におけるかかる増大の食物需要を満たすための努力において、農畜産物の生産のために使用される陸地の量を拡大することまたは大洋での魚の捕獲を増大させること;これらはまた経時的に持続可能な解決ではない。肉(牛肉、豚肉、鶏肉)および魚の大量生産が不明確で持続可能ではない可能性がある場合、必要とされるものは持続可能な栄養源からこれらのおよび他の栄養素を得るための、および昆虫からの栄養価の高いストリーム、とりわけ脂肪およびタンパク質が豊かな栄養素ストリームを組成物に組み込むためのプロセスであり、消費可能なまたは食用の組成物のために適している。
【発明の概要】
【0005】
概要
開示されるのは、食用の昆虫から由来される材料を含むフレーバー組成物、および昆虫由来の材料を含むフレーバー組成物を含有する消費可能な組成物である。
第1の例示的な態様により、フレーバー組成物は昆虫由来のタンパク質を含む。
第2の例示的な態様により、フレーバー組成物は昆虫由来の脂肪を含む。
【0006】
第3の例示的な態様により、消費可能な組成物は、消費可能なまたは食用のベースおよび昆虫由来のタンパク質を含む。
第4の例示的な態様により、消費可能な組成物は、消費可能なまたは食用のベースおよび昆虫由来の脂肪を含む。
加えて提供されるのは、消費物にフレーバーを付与する方法である。第5の例示的な態様により、方法は、消費可能なまたは食用のベースを昆虫由来のタンパク質を含むフレーバー組成物と合わせることを含む。
【0007】
第6の例示的な態様により、フレーバーを消費物に付与する方法は、消費可能なまたは食用のベースを昆虫由来の脂肪を含むフレーバー組成物と合わせることを含む。
加えて提供されるのは、消費物の芳香プロファイルに影響を与える方法である。
第7の例示的な態様により、方法は消費可能なまたは食用のベースを昆虫由来のタンパク質を含むフレーバー組成物と合わせることを含む。
第8の例示的な態様により、消費物の芳香プロファイルに影響を与える方法は、消費可能なまたは食用のベースを昆虫由来の脂肪を含むフレーバー組成物に合わせることを含む。
【0008】
詳細な記載
以下の文は、本開示の種々の異なる態様の広い説明を記載する。あらゆる可能な態様を記載することは、不可能でない場合も実際的でないため、本説明は、例示のみとして解されるべきであり、あらゆる実行可能な態様を記載するものではない。本明細書に記載される任意の特色、特徴、構成要素、組成物、成分、生成物、ステップまたは方法論は、削除されることができ、全体または部分的に、本明細書に記載される任意の他の特色、特徴、構成要素、組成物、成分、生成物、ステップまたは方法論と合わせるかまたは置換されることができるということは理解されるだろう。種々の代替の態様は、現在の技術か、または本特許出願日後に発展した技術のいずれかを使用して実現されることができ、それはなお本特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0009】
用語「comprises(含む)」、「comprising(含む)」、「has(有する)」、「having(有する)」、「includes(包含する)」、「including(包含する)」、「contains(含有する)」、「containing(含有する)」または任意の他のバリエーションは、オープンエンドであり、および列挙されたリストの要素を「comprises(含む)」、「has(有する)」または「includes(包含する)」または「contains(含有する)」、物品、装置、化合物、組成物、組み合わせ、方法、またはプロセスがそれらの要素のみを包含するのではなく、本明細書および特許請求の範囲にはっきりと表示され、列挙され、書かれていない他の要素を包含してもよいなど、要素の非排他的な包含に及ぶことを意図するものである。「・・・を含む(comprises…a)」、「・・・を含有する(contains…a)」、「・・・を有する(has…a)」または「・・・を包含する(includes…a)」という言葉により続けられる要素または特色は、より制約されることなく、要素または特色を含む、含有する、有する、または包含する物品、装置、化合物、組成物、組み合わせ、方法、またはプロセスにおける追加の要素または特色の存在または包含を除外しない。
【0010】
用語「a」および「an」は、ほかにはっきりと言及しない限り、または本明細書において他の言語によって拘束されない限り、1以上として定義される。「a」または「an」によって進められる要素または特色は、列挙される要素または特色の1つ、あるいは1より多い要素または特色として解釈されてもよい。
用語「約(about)」「およそ(approximately)」、「本質的に(essentially)」、「実質的に(substantially)」、任意のその他のバージョン、または任意の他の同様の相対的な用語、または近似の同様の用語は、当該技術分野における通常の技能を有する者により理解されるものに近くなるように定義される。非限定的な、例示的な態様の手段として、これらの用語は列挙された値の10%以内であると定義され、または列挙された値の5%以内であると定義され、または列挙された値の4%以内であると定義され、または列挙された値の3%以内であると定義され、または列挙された値の2%以内であると定義され、または列挙された値の1%以内であると定義され、または列挙された値の0.5%以内であると定義され、または列挙された値の0.25%以内であると定義され、または列挙された値の0.1%以内であると定義される。
【0011】
量または濃度範囲が本開示において記載されるとき、範囲内の、端点を含む、任意のまたはあらゆる量または濃度は明示的に開示されているものとして考慮されると理解されるべきである。例えば、「約1~約10の範囲」の開示は、約1および約10の間の連続体の間の各およびあらゆる可能な数をさすものとして読まれるべきである。発明者らは、範囲内のありとあらゆるデータポイントが特定されていると考慮されるべきであること、および発明者らは、範囲内の全部の範囲およびあらゆる点の所有権を有するということを認識しおよび理解するということが理解されるべきである。
【0012】
開示されたのは、昆虫由来の材料に基づくフレーバー組成物である。昆虫由来の材料は、昆虫由来のタンパク質、昆虫由来の脂肪、およびそれらの組み合わせを包含してもよい。用語「脂肪」は、本明細書において用語「脂質」および「油」と互換的に使用される。本明細書に開示されるフレーバーおよび消費可能な組成物は動物肉および魚源からの構成要素または材料を含まずまたは実質的に調製することができる。
ある例示的な態様により、開示されたのは、昆虫由来のタンパク質を含む、肉を含まない肉フレーバー組成物である。昆虫由来のタンパク質は、フレーバー組成物における肉タンパク質を置き換えるために使用され、肉を含まない肉フレーバー組成物を調製する。
【0013】
ある例示的な態様により、開示されるのは、昆虫由来の脂肪を含む肉を含まない肉フレーバー組成物である。昆虫由来の油は、肉を含まない肉フレーバー組成物を調製するために、フレーバー組成物における肉脂肪を置き換えるために使用される。
昆虫材料がヒトの食事に対するおよび非ヒト動物の餌のための栄養価を有する限り、フレーバー組成物および消費可能な組成物を調製するために使用されることができる、および材料が昆虫から抽出されることができる、食用の昆虫種のタイプは限定されない。用語「昆虫」は、昆虫の成虫、昆虫の幼虫および昆虫の蛹などの任意の発育段階における昆虫を指す。例示的な態様により、脂肪、タンパク質およびキチン画分は、昆虫の幼虫または蠕虫(worm)から得られる。他の例示的な態様により、脂肪、タンパク質およびキチン画分は、昆虫の蛹から得られる。多くの品種の昆虫および蠕虫が使用され得る。例示的に、食用の昆虫または食用の蠕虫が使用される。より例示的に、昆虫は、限定せずに、ハエ、虫(bug)、カ、チョウ、ガ、セミ、シロアリ、ハナバチ、アリ、カリバチ、カブトムシ、バッタ(grasshopper)またはコオロギを包含する。ある例示的な態様により、フレーバー組成物を調製するために使用される食用の昆虫は、節足動物門の中の任意の昆虫から選択される。節足動物門は、外骨格、分節した体および対をなす関節のある肢(appendages)を有する無脊椎動物を包含する。
【0014】
他の例示的な態様により、フレーバー組成物を調製するために使用される食用の昆虫は、六脚類亜門内の任意の昆虫から選択される。六脚類亜門は、節足動物門の最も多い種を包含し、およびまたある他の無翅節足動物門を包含する。六脚類亜門は、外骨格、連結した(consolidated)胸部および3対の関節のある脚を有する無脊椎動物を包含する。
限定せずに、昆虫は以下の種に属してもよい:(アメリカミズアブ(Hermetia illucens)、イエバエ(Musca domestica)、ミールワーム(Tenebrio Molitor)、トノサマバッタ(Locusta migratoria)、コオロギ(Gryllidae)およびそれらの種の組み合わせ。他の例示的に有用な昆虫は、蚕蛹(Bombyx Mori)、タケフシゴカイ科(Bamboo worms)(ヒラタキクイムシ(bamboo borers)とも称される)(Omphisa fuscidentalis)、ツトガの幼虫(Crambidae, fam.)、ヤシゾウムシの幼虫(Rhynchophorus spp.)およびワックスワーム(Pyralidae gen.)を包含する。
【0015】
ある例示的な態様により、フレーバー組成物を調製するために使用される六脚類は、Hermetia illucensである(門、節足動物門;亜門、六脚類;綱、昆虫綱;科、Stratiomyidae科;属、Hermetia;種、H. illucens)。H. illucensは、一般にブラックソルジャー(black soldier fly)と称される。H. illucensは、タンパク質を生産するのに非常に効率が良く、ヒトが食べることができる。H. illucensの幼虫は、ヒトの食事、水産養殖、動物の餌、およびペットの食べ物のための持続可能なタンパク質の供給源として知られる。H. illucensは、42%までのタンパク質、アミノ酸およびカルシウムなどのミネラルを含有してもよいことが報告されている。
【0016】
例示的な態様により、フレーバー組成物を調製するために使用される六脚類は、Tenebrio molitorである。(門、節足動物門;亜門、六脚類;綱、昆虫綱;科 Tenebrionidae;属、Tenebrio;種、 T. molitor)。T. molitorは、一般的に、ミールワーム、イエローミールワーム、ミールワームビートル(mealworm beetles)、およびダークリングビートル(darkling beetles)と称される。T. molitorは、タンパク質含有量が高く、ヒトの食用であることが知られている。T. molitorは、低い品質の食品グレードの植物廃棄物をタンパク質および脂肪が高い動物の餌およびヒトの食料源に再利用することができる。使用されるT. molitorの幼虫はまた、鳥類、魚類、小さい 哺乳動物、および爬虫類のためのペット用食品として使用され、および釣りの餌として使用される。
【0017】
ある例示的な態様により、フレーバー組成物を調製するために使用される六脚類は、Locusta migratoria(門、節足動物門;亜門、六脚類;綱、昆虫綱;科、Acrididae;属、Locusta;種、L.migratoria)である。L.migratoriaは、トノサマバッタと称される。L.migratoriaは、タンパク質および脂肪が豊富であり、ヒトに食用である。
限定せずに、および単なる例示として、昆虫由来の脂肪、タンパク質、ミネラル材料の好適な供給源は、Ynsect (Evry、フランス)から脱脂したTenebrio molitorの幼虫全体(タンパク質P1~P3)、Protix (Dongen、ニュージーランド)からアメリカミズアブの幼虫(脂質X、タンパク質M、タンパク質G、キチンX)が市販されており、例えばWO 2013/191548 A1に開示され、およびこれに従って調製されたものであり、Thailand UniqueのLocusta migratori成虫(バッタ全昆虫粉末)である。
【0018】
昆虫は、栄養素豊かな餌、および当該技術分野において知られているプロセスによるヒトの食物摂取のためのストリーム(streams)に加工されてもよい。ヒトの食物摂取の昆虫からの栄養素豊かなストリームを得るためのプロセスは、その既知の脂肪およびタンパク質含量およびプロファイルに基づく所望の種から選択すること、所望の種の複数の虫または蠕虫をつぶしてパルプ状のもの(pulp)を得ること、および脂肪、タンパク質およびキチン画分を昆虫または蠕虫のパルプ状のものから抽出することを広く含む。脂肪、タンパク質およびキチン画分は、パルプ状のものから物理的な分離ステップによって抽出され、それによってさらなる下流プロセシングのために分けられた脂肪、タンパク質およびキチン画分を提供する。限定せずに、および単なる例示として、本明細書に参照により組み込まれるPCT公報WO 2013/191548 A1は、昆虫および蠕虫をヒトの食物摂取のための貴重な栄養素豊かなストリームに変換するための好適なプロセスを開示する。WO 2013/191548 A1は、ヒトの食物摂取のための脂肪を含有する、タンパク質を含有する、キチンを含有する画分が、昆虫および蠕虫を好適なパルプ状のものにパルプ状にすること/つぶすこと、パルプ状のものを酵素的加水分解および加熱ステップにさらすこと、および加水分解し且つ加熱したパルプ状のものから、脂肪、タンパク質およびキチン画分を抽出することにより昆虫および蠕虫から得ることができるプロセスを開示する。
【0019】
昆虫ベースのまたは昆虫由来のフレーバー組成物は、消費可能なまたは食用の組成物を調製するために使用され得る。食用のまたは消費可能な組成物は、食料品、飲料製品、医薬品、栄養補給食品、および栄養補助食品を包含してもよい。
【0020】
飲料製品は、限定せずに、炭酸飲料、ビール、ワインおよびスピリットなどのアルコール飲料、ソフトドリンク、ミネラル水および炭酸水、果実飲料、果実果汁、コーヒー、代用コーヒー、お茶、ココアなどのノンアルコール飲料を包含し、限定せずに、飲料粉末、ミルクベースの飲料粉末、無糖の飲料粉末、飲料シロップ、飲料濃縮物、インスタントコーヒー、インスタントティー、およびインスタントココアを包含する再構成を必要とする形態を包含する。
【0021】
医薬品、栄養補給食品および栄養補助食品は、粉末、カプレット、固体カプセル、液体カプセル、ゲルカプセル、ゲル、トローチ剤(lozenges)、丸薬(pill)、錠剤(tablet)、液体、溶液、点滴薬、エマルジョン、エリキシル剤、シロップ、溶解性フィルム、および食用フィルムなどの経口的に摂取可能な製品形態であってよい。
食料品は、ヒトの食品および非ヒト動物の食品および餌を包含してもよい。非ヒト動物の食品または餌は、キャットフード、ドッグフード、魚の食品および齧歯類の食品、家畜の餌、および動物園の動物の餌などのペットフードを包含してもよい。
広く、消費物は、これらに限定されないが、全ての種類の食材、セイボリー製品、菓子製品、焼いた製品、甘い製品、発酵製品、乳製品、飲料、口腔ケア製品、栄養補給食品および医薬を包含する。
【0022】
例示の消費物は、これらに限定されないが、冷蔵のスナック、甘いおよびセイボリースナック、果実スナック、チップ/クリスプ(crisp)、押出成形スナック、トルティーヤ/コーンチップ、ポップコーン、プレッツェル、ナッツ、他の甘いおよびセイボリー スナック、スナックバー、グラノーラバー、朝食バー、エネルギーバー、果実バー、他のスナックバー、完全食製品、ダイエット食品、回復期飲料、調理済みの食料、缶詰の調理済みの食料、冷凍の調理済みの食料、乾燥した調理済みの食料、冷蔵の調理済みの食料、夕食ミックス(dinner mixes)、肉類似食品、冷凍ピザ、冷蔵ピザ、スープ、缶詰スープ、乾燥スープ、インスタントスープ、冷蔵スープ、UHTスープ、冷凍スープ、パスタ、缶詰パスタ、乾燥パスタ、冷蔵の/新鮮なパスタ、麺、プレーンの麺、インスタント麺、カップ/ボウルインスタント麺、袋入りのインスタント麺、冷蔵の麺、スナック麺、乾燥食品、デザートミックス、ソース、ドレッシングおよび調味料、ハーブおよび香辛料、スプレッド、ジャムおよび貯蔵食料、ハチミツ、チョコレートスプレッド、ナッツをベースとしたスプレッド、および酵母をベースとしたスプレッドを包含する。
【0023】
例示のセイボリー(セイボリー)製品は、これらに限定されないが、塩味スナック(ポテトチップス、クリスプ、ナッツ、トルティーヤ-トスターダ、プレッツェル、チーズスナック、コーンスナック、ポテト-スナック)、インスタントポップコーン、電子レンジ調理可能なポップコーン、ポークラインズ、ナッツ、クラッカー、クラッカースナック、朝食シリアル、肉、アスピック、保存肉(ハム、ベーコン)、ランチョン/朝食肉(ホットドッグ、コールドカット、ソーセージ)、トマト製品、マーガリン、ピーナッツバター、スープ(澄んだ、缶詰の、クリームの、インスタントの超高濃度の「UHT」)、缶詰の野菜、マヨネーズ、純植物性マヨネーズ風調味料およびパスタソースを包含する。
【0024】
例示の菓子製品は、これらに限定されないが、チューイングガム(これは砂糖化されたガム、無糖のガム、機能ガムおよびフーセンガムを含む)、真ん中が満たされた砂糖菓子、チョコレートおよび他のチョコレート菓子、薬用の菓子、トローチ剤(lozenges)、錠剤(tablets)、トローチ(pastilles)、ミント、標準的なミント、パワーミント、チューイングキャンディー、ハードキャンディー、ボイルドキャンディ、息および他の口腔ケアフィルムまたはストリップス、キャンディーケーン、ロリポップ、グミ、ゼリー、ファッジ、キャラメル、硬い、または柔らかい糖衣商品、トフィー(toffee)、タフィー(taffy)、甘草、ゼラチンキャンディー、ガムドロップ、ゼリービーンズ、ヌガー、フォンダン、上記の1以上の組み合わせ、および上記の1以上を組み込む食用のフレーバー組成物を包含する。
【0025】
例示の焼き製品は、これらに限定されないが、アルフォーレス、パン、パッケージ化された/工業用パン、梱包されていない/職人のパン、ペストリー、ケーキ、パッケージ化された/工業用ケーキ、梱包されていない/職人のケーキ、クッキー、チョコレートでコーティングされたビスケット、サンドイッチビスケット、充填されたビスケット、セイボリービスケットおよびクラッカー、パン代替物を包含する。
【0026】
例示の甘い製品は、これらに限定されないが、朝食シリアル、インスタントの(「rte」)シリアル、ファミリー朝食シリアル、フレーク、ミューズリー、他のインスタントシリアル、子供たちの朝食シリアル、ホットシリアルを包含する。
【0027】
例示の乳製品は、これらに限定されないが、チーズ、チーズソース、チーズをベースとした製品、アイスクリーム、インパルスアイスクリーム、シングルポーション乳製品アイスクリーム、シングルポーションウォーターアイスクリーム、マルチ包装の乳製品アイスクリーム、マルチ包装のウォーターアイスクリーム、持ち帰りのアイスクリーム、持ち帰りの乳製品アイスクリーム、アイスクリームデザート、大容量のアイスクリーム、持ち帰りのウォーターアイスクリーム、フローズンヨーグルト、職人のアイスクリーム、乳製品、ミルク、新鮮な/低温殺菌されたミルク、全脂肪の新鮮な/低温殺菌されたミルク、半脱脂の新鮮な/低温殺菌されたミルク、長持ちする/uhtミルク、全脂肪の新鮮な/uhtミルク、半脱脂の新鮮な/uhtミルク、無脂肪の長持ちする/uhtミルク、ヤギミルク、濃縮された/蒸発されたミルク、プレーンの濃縮された/蒸発されたミルク、フレーバー化した、機能的なおよび他の濃縮されたミルク、フレーバー化したミルク飲料、フレーバー化したるミルク飲料のみの乳製品、フルーツジュースを用いたフレーバー化したミルク飲料、豆乳、乳酸飲料、発酵した乳製品飲料、コーヒー用クリーム、粉ミルク、フレーバー化した粉ミルク飲料、クリーム、ヨーグルト、プレーン/ナチュラルヨーグルト、フレーバー化したーグルト、フルーツ入りのヨーグルト、プロバイオティックヨーグルト、飲むヨーグルト、レギュラーの飲むヨーグルト、プロバイオティックの飲むヨーグルト、冷蔵のおよび常温保存が能なデザート、乳製品ベースのデザート、豆ベースのデザートを包含する。
【0028】
フレーバー組成物はまた他のベース、構成要素、化合物、組成物、要素、成分、および/または材料と混ぜてフレーバー化されたチューイングガムおよびオーラルケア製品を調製してもよい。オーラルケア製品は、虫歯またはその任意の部分をクリーニング、爽やかにすること、治療すること、消臭する目的のために虫歯に適用される任意の組成物を包含し、限定せずに歯磨き粉(tooth paste)、歯磨きゲル、歯磨き粉(tooth powder)、歯のホワイトニング製品、マウスウォッシュ、トローチ(lozenge)、デンタルフロス、つまようじ、歯石防止用組成物、高歯肉炎組成物、喉のトローチ(throat lozenge)、のどあめ、マウスウォッシュ組成物および他のうがい用組成物を包含してもよい。
【0029】
フレーバー組成物はまた、他のベース、構成要素、化合物、組成物、要素、成分、および/または材料と混ぜてフレーバー化したタバコを調製してもよい。例えば、および限定せずに、タバコ製品は、葉巻、巻きタバコ、無煙噛みタバコ、および無煙ディッピングタバコ(湿った嗅ぎタバコとして知られる)を包含する。
【0030】
ある例示的な態様により、昆虫由来のフレーバー組成物は、食用のまたは消費可能な食料品を調製するために使用されることができる。ある例示的な態様により、昆虫由来のフレーバー組成物は、食品ベースに添加して、食用のまたは消費可能な食料品を調製してもよい。昆虫由来のフレーバー組成物は、調理プロセスの前および/または間に未調理の食品ベースに添加されてもよい。ある例示的な態様により、昆虫由来のフレーバー組成物は、調理プロセスに先立ち未調理の食品ベースに添加される。他の例示的な態様により、昆虫由来のフレーバー組成物は、調理プロセスの間、未調理の食品ベースに添加される。さらなる例示的な態様により、昆虫由来のフレーバー組成物は、調理プロセスの前および間の未調理の食品ベースに添加される。昆虫由来のフレーバー組成物の未調理の食品ベースへの添加は、結果として得られる調理された食料品に所望の肉のような、または肉様の味および芳香を付与する。
【0031】
昆虫由来のフレーバー組成物は、食品ベースに添加されて肉様フレーバーおよび/または芳香プロファイルを有する調理済みの食料品を調製してもよい。例えば、および限定なく、昆虫由来のフレーバー組成物は食品ベースに添加されて、牛肉、鶏肉、鴨肉、七面鳥の肉、鹿肉、豚肉、または多の食用肉フレーバーに似た肉様フレーバーおよび/または芳香プロファイルを有する調理済みの食料品を調製してもよい。
【0032】
昆虫由来の材料を含むフレーバー組成物を使用する食料品の調製のために、昆虫由来の脂肪を含むフレーバー組成物を食品ベースに添加すること、または昆虫由来のタンパク質を含むフレーバー組成物を食料品ベースに添加すること、または昆虫由来の脂肪および昆虫由来のタンパク質を混ぜた組み合わせを含むフレーバー組成物を食料品ベースに添加すること、または昆虫由来の脂肪を含む個々のフレーバー組成物および昆虫由来のタンパク質を含む個々のフレーバー組成物を個別に添加することが実行可能である。
【0033】
昆虫由来の材料を用いて開発されたフレーバー組成物を使用する食料品の調製のために、昆虫由来の脂肪を用いて開発されたフレーバー組成物を食料品
ベースに添加すること、または昆虫由来のタンパク質を用いて開発されたフレーバー組成物を食料品ベースに添加すること、または昆虫由来の脂肪および昆虫由来のタンパク質を混ぜた組み合わせを用いて開発されたフレーバー組成物を食料品ベースに添加すること、または昆虫由来の脂肪を用いて開発された個々のフレーバー組成物および昆虫由来のタンパク質を用いて開発された個々のフレーバー組成物を個別に添加することが実行可能である。
【0034】
ある例示的な態様により、昆虫由来のフレーバー組成物は約.001~約10%およびその間におけるあらゆる値の量の食品ベースと混ぜられる。他の例示的な態様により、昆虫由来のフレーバー組成物は、約.01~約5%およびその間におけるあらゆる値の量の食品ベースと混ぜられる。他の例示的な態様により、昆虫由来のフレーバー組成物は、食品ベースと混ぜられる。
【0035】
ある例示的な態様により、昆虫由来のタンパク質を用いて開発されたフレーバー組成物は、約.001~約10%およびその間におけるあらゆる値の量の食品ベースと混ぜられる。他の例示的な態様により、昆虫由来のタンパク質を用いて開発されたフレーバー組成物は、約.01~約5%およびその間におけるあらゆる値の量の食品ベースと混ぜられる。他の例示的な態様により、昆虫由来のタンパク質を用いて開発されたフレーバー組成物は、食品ベースと混ぜられる。
【0036】
ある例示的な態様により、昆虫由来の脂肪を用いて開発されたフレーバー組成物は、約.001~約10%およびその間におけるあらゆる値の量の食品ベースと混ぜられる。他の例示的な態様により、昆虫由来の脂肪を用いて開発されたフレーバー組成物は、約.01~約5%およびその間におけるあらゆる値の量の食品ベースと混ぜられる。他の例示的な態様により、昆虫由来の脂肪を用いて開発されたフレーバー組成物は、食品ベースと混ぜられる。
【0037】
ある例示的な態様により、昆虫由来の脂肪および昆虫由来のタンパク質を用いて開発されたフレーバー組成物は、約.001~約10%およびその間におけるあらゆる値の量の食品ベースと混ぜられる。他の例示的な態様により、昆虫由来の脂肪および昆虫由来のタンパク質を用いて開発されたフレーバー組成物は、食品ベースと混ぜられる。
本開示はまた消費可能な組成物にフレーバーを付与する方法を包含する。方法は、消費可能な食品ベースを昆虫由来のタンパク質および昆虫由来の脂肪から選択される昆虫由来の材料を含むフレーバー組成物と混ぜること、配合すること、合わせること、接触させることまたは混合することを含む。
【0038】
本開示はまた消費可能な組成物のフレーバープロファイルに影響を与える方法を包含する。方法は、消費可能な食品ベースを昆虫由来のタンパク質および昆虫由来の脂肪から選択される昆虫由来の材料を含むフレーバー組成物と混ぜること、配合すること、合わせること、接触させることまたは混合することを含む。用語「影響を与える」は、消費可能な組成物のフレーバープロファイルを増強すること、減らすことまたは調節することを意味する。
【0039】
本開示はまた消費可能な組成物の芳香プロファイルに影響を与える方法を包含する。方法は、消費可能な食品ベースを昆虫由来のタンパク質および昆虫由来の脂肪から選択される昆虫由来の材料を含むフレーバー組成物と混ぜること、配合すること、合わせること、接触させることまたは混合することを含む。用語「影響を与える」は、消費可能な組成物の芳香プロファイルを増強すること、減らすことまたは調節することを意味する。
【0040】

以下の例は専ら例示の目的のために提供され、任意の様式において現在クレームされた主題を限定するものとして解釈するべきではない。クレームされた主題の多くのバリエーションは、本開示および請求項の精神および範囲から逸脱することなく実行可能である。フレーバー組成物、消費可能な組成物、および関連した方法またはフレーバーおよび消費可能な組成物を調製することは、上記の特定の態様に限定されず、別記請求項によって定義されるバリエーション、改変、および等価の態様を包含する。所望される利点、利益および特徴を提供するために様々な態様を合わせることができるので、上記の例示的な態様は、代替手段において必然的ではない。
【0041】
プロセスフレーバーは、従来の動物ベースのタンパク質および脂肪フレーバー、および植物由来の材料と比較されたとおり、昆虫由来のタンパク質または脂肪の性能を評価するために選択された。プロセスフレーバーはまた反応フレーバーと称される。例えばWeerasinghe and Sucan in ACS Symposium Series, American Chemical Society, Chapter 1 “Process and Reaction Flavors: An Overview” at pages 1-23 (2005)、参照。プロセスフレーバーは消費物とは別に創出することができ、またはそれらは消費物の調製/産生の間創出されることができる。
【0042】
試料プロセスフレーバーの調製
昆虫由来のタンパク質および昆虫由来の脂肪は下記の通り異なるプロセスフレーバー配合物において評価された。
タンパク質源は、昆虫タンパク質Gまたは昆虫タンパク質Mのいずれかによって置き換えられた。他の成分はI 1-xと名付けられる。異なるプロセスフレーバーのために、I1-Ixは同じものではない。
【0043】
【表1】

【表2】
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】
【0046】
官能評価プロトコル
試飲会が企画され、本プロセスのフレーバー組成物のフレーバープロファイルを評価するために熟練者であるプロセスフレーバリストと共に行われた。試飲会の結果は、以下の表1で表される:
【表5】

【表6】
【0047】
昆虫由来のプロセスフレーバー組成物の味プロファイルは、動物-材料ベースのフレーバー組成物とは異なる。昆虫由来の試料は、卵黄を用いて伝統的に経験した硫黄ノートを提示しなかった。卵黄の代わりに昆虫由来のタンパク質を含有する昆虫由来のプロセスフレーバーは、多少中性の、ブイヨンまたは白色肉タイプの味プロファイルを提示した。これらの昆虫タンパク質のプロセスフレーバーは、良好な口当たりを発揮し、および酵母抽出物のもののようなかび臭い特性が無く、酵母型のオフノートフレーバーもまた発揮しない。子羊の脂肪の代わりに昆虫由来の油を含有する昆虫由来のプロセスフレーバーは、甘い、油っぽい、ときにはシリアルの味プロファイルを発揮した。昆虫由来の試料はまた、伝統的に子羊の脂肪ベースのフレーバーに関連する動物性のノートを発揮しなかった。
【0048】
これらの結果は、昆虫由来のタンパク質および昆虫由来の脂肪などの昆虫由来の材料が、プロセスまたは反応フレーバーに組み込まれて、伝統的な肉や魚のタンパク質を含まないかまたは実質的に含まないプロセスまたは反応フレーバーを調製することができることを示す。これらの昆虫ベースのプロセスおよび反応フレーバーは、ヒトおよび非ヒト動物のための食材および餌などの多種多様の消費可能な、食用の、摂取可能な組成物の調製のために使用されることができる。
【0049】
本明細書に引用されるあらゆる文献は、任意の相互参照または関連した特許または出願を包含し、これによりはっきりと除外されるかまたは他で限定されない限り、その全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる。任意の文献の引用は、それが本明細書において開示され、および主張された任意の発明に関する先行技術であること、またはそれが単独、または任意の他の参考文献(単数)または参考文献(複数)との組み合わせにおいて、任意のかかる発明を教示、示唆または開示する、という承認ではない。さらに、この文献における用語の任意の意味または定義が参照により組み込まれる文献における同じ用語の任意の意味または定義と矛盾するまで、この文献におけるその用語を当てはめた意味または定義が適用されるだろう。