(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】注入のためのシリンジ・ドライバー
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240830BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20240830BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A61M5/142 500
A61M5/168 500
A61M5/172
(21)【出願番号】P 2020564415
(86)(22)【出願日】2019-05-08
(86)【国際出願番号】 US2019031354
(87)【国際公開番号】W WO2019221998
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-11
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バターフィールド、ロバート、ドウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム、マーク
(72)【発明者】
【氏名】アベル、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カロザース、ケビン、グレゴリー
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05647851(US,A)
【文献】特表2003-511104(JP,A)
【文献】特表2010-501286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/168
A61M 5/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入システムであって、前記注入システムは、
モジュール式シリンジ・ポンプを含み、前記モジュール式シリンジ・ポンプは、
シリンジを受け入れるための受容部であって、前記シリンジは、バレル、および、ストッパーを有するプランジャーを含む、受容部と;
前記バレルの中の前記プランジャーを前進させるためのドライブ・ヘッドであって、前記ドライブ・ヘッドは、凹部、および、前記凹部の中に配設された接触プレートを含み、前記接触プレートは、前記プランジャーのプッシュ・ボタンに係合するように構成されている、ドライブ・ヘッドと
を含み、
また、前記注入システムは、
前記ドライブ・ヘッドに連結されているドライブ・メカニズム
であって、前記ドライブ・メカニズムは、スプリット・ナットを含む、ドライブ・メカニズムと;
前記ドライブ・メカニズムに係合するように構成されているドライブトレイン
であって、前記ドライブトレインは、リード・スクリューを含み、前記スプリット・ナットは、前記リード・スクリューの回転運動を前記ドライブ・ヘッドの線形運動に変換する、ドライブトレインと;
前記バレルと前記プランジャーとの間に機械的な振動を印加するための振動デバイスと;
前記ドライブ
トレインをディザーさせるように構成されているモーターであって、ディザーさせることは、
0.25mm~0.5mmの第1の距離だけ前記モーターを前進させ、
0.5~1.0mmの第2の距離だけ前記モーターを後退させ、
0.25~0.5mmの第3の距離だけ前記モーターを前進させ、
前記ドライブトレインの前記リード・スクリューと前記ドライブ・ヘッドのハーフ・ナットとの間のギャップを閉じることによって前記ドライブトレインと前記ドライブ・メカニズムとの間の
係合を保証することを含む、モーターと;
前記シリンジ・ポンプと通信して制御するように構成されているプログラミング・モジュールと
を含み、
前記モジュール式シリンジ・ポンプは、前記プログラミング・モジュールに装着されるように構成されているか、または、別のモジュール式シリンジ・ポンプに装着されるように構成されており、
前記プログラミング・モジュールは、前記モジュール式シリンジ・ポンプにパラメーターを提供するように構成されている、注入システム。
【請求項2】
前記注入システムは、前記バレルの中の前記プランジャーの前進の特質を検出するためのセンサーをさらに含む、請求項1に記載の注入システム。
【請求項3】
前記センサーは、力センサー、変位センサー、圧力センサー、および/またはフロー・センサーである、請求項2に記載の注入システム。
【請求項4】
前記振動デバイスは、前記特質の検出に応答して、前記バレルと前記プランジャーとの間に機械的な振動を印加するようにプログラムされている、請求項2に記載の注入システム。
【請求項5】
前記センサーは、前記ドライブ・ヘッドの前進が前記バレルの中の前記プランジャーの前進を結果として生じさせないときを検出する、請求項2に記載の注入システム。
【請求項6】
前記振動デバイスは、前記プランジャー、前記バレル、または、前記プランジャーおよび前記バレルに接続されている、請求項1に記載の注入システム。
【請求項7】
前記振動デバイスは、触覚デバイス、音声コイル、リニア共振アクチュエーター、偏心質量を有する回転モーター、および圧電アクチュエーターのうちの1つを含む、請求項1に記載の注入システム。
【請求項8】
前記モーターは、前記ドライブ・ヘッドに動作可能に連結されており、前記振動デバイスは、前記モーターを含む、請求項1に記載の注入システム。
【請求項9】
前記振動デバイスは、前記ドライブ・ヘッドが前記プランジャーに力を印加する前に、前記バレルと前記プランジャーとの間に機械的な振動を印加するように構成されている、請求項1に記載の注入システム。
【請求項10】
前記振動デバイスは、前記ドライブ・ヘッドが前記プランジャーに力を印加する間に、前記バレルと前記プランジャーとの間に機械的な振動を印加するように構成されている、請求項1に記載の注入システム。
【請求項11】
前記振動デバイスは、前記ドライブ・ヘッドが前記プランジャーに力を印加した後に、前記バレルと前記プランジャーとの間に機械的な振動を印加するように構成されている、請求項1に記載の注入システム。
【請求項12】
前記モーターは、ステッパー・モーターである、請求項1に記載の注入システム。
【請求項13】
前記第1の距離、前記第2の距離、および前記第3の距離の正味の移動は
、前記シリンジからの流体フローを作り出さない、請求項1に記載の注入システム。
【請求項14】
注入システムであって、前記注入システムは、
モジュール式シリンジ・ポンプを含み、前記モジュール式シリンジ・ポンプは、
シリンジを受け入れるための受容部であって、前記シリンジは、バレル、および、ストッパーを有するプランジャーを含む、受容部と;
前記バレルの中の前記プランジャーを前進させるためのドライブ・ヘッドであって、前記ドライブ・ヘッドは、凹部、および、前記凹部の中に配設された接触プレートを含み、前記接触プレートは、前記プランジャーのプッシュ・ボタンに係合するように構成されている、ドライブ・ヘッドと
を含み、
また、前記注入システムは、
前記ドライブ・ヘッドに連結されているドライブ・メカニズム
であって、前記ドライブ・メカニズムは、スプリット・ナットを含む、ドライブ・メカニズムと;
前記ドライブ・メカニズムに係合するように構成されているドライブトレイン
であって、前記ドライブトレインは、リード・スクリューを含み、前記スプリット・ナットは、前記リード・スクリューの回転運動を前記ドライブ・ヘッドの線形運動に変換する、ドライブトレインと;
前記ストッパーと前記バレルとの間の摩擦が閾値を超えることに応答して
、前記バレルの中の前記プランジャーの前進を修正するようにプログラムされているコントローラーと;
前記ドライブ
トレインをディザーさせるように構成されているモーターであって、ディザーさせることは、
0.25mm~0.5mmの第1の距離だけ前記モーターを前進させ、
0.5~1.0mmの第2の距離だけ前記モーターを後退させ、
0.25~0.5mmの第3の距離だけ前記モーターを前進させ、
前記ドライブトレインの前記リード・スクリューと前記ドライブ・ヘッドのハーフ・ナットとの間のギャップを閉じることによって前記ドライブトレインと前記ドライブ・メカニズムとの間の
係合を保証することを含む、モーターと
を含む、注入システム。
【請求項15】
前記コントローラーは、
前記ストッパーと前記バレルとの間の摩擦が前記閾値を超えていないときには、第1の前進速度で、前記バレルの中の前記プランジャーを前進させることと;
前記ストッパーと前記バレルとの間の摩擦が前記閾値を超えるときには、(1)
摩擦を克服するために、前記第1の前進速度よりも高い第2の前進速度で、前記バレルの中の前記プランジャーを前進させ、および、(2)
摩擦が前記閾値を下回るときには、前記第1の前進速度よりも低い第3の前進速度で、前記バレルの中の前記プランジャーを前進させることと
を実現するようにプログラムされている、請求項
14に記載の注入システム。
【請求項16】
前記注入システムは、前記バレルの中の前記プランジャーの前記前進の特質を検出するためのセンサーをさらに含む、請求項
14に記載の注入システム。
【請求項17】
前記センサーは、力センサーおよび/またはフロー・センサーである、請求項
16に記載の注入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、医療用注入ポンプのためのドライブ・メカニズムに関し、より具体的には、シリンジ・ポンプの中のシリンジのプランジャーを駆動するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の身体の中への医療用流体(たとえば、非経口的流体など)の注入は、多くのケースでは、シリンジ・ポンプによって達成され、非経口的流体を含有するシリンジが、シリンジ・ポンプの中に装着されている。シリンジ・ポンプは、典型的に、固定された位置にバレルを固定し、制御された速度でバレルの中へプランジャー押すかまたは「駆動」し、流体を排出させる。流体投与セットは、排出された流体をバレルから患者へ導く。多くのシリンジ・ポンプは、モーターによって回転させられるネジ山付きのリード・スクリューと、リード・スクリューの回転運動を線形運動へと変換するスクリュー・ドライブ・メカニズム(たとえば、スプリット・ナットなど)とを有している。ドライバー・リンケージは、リード・スクリューの移動にしたがってプランジャーをバレルの中へ押し込むために、スクリュー・ドライブ・メカニズムおよびプランジャーに接続されており、非経口的流体を排出させる。
【発明の概要】
【0003】
主題の技術は、たとえば、下記に説明されているさまざまな態様にしたがって図示されている。これらは、例として提供されており、主題の技術を限定していない。
【0004】
注入システムは、シリンジを受け入れるための受容部であって、シリンジは、バレル、および、ストッパーを有するプランジャーを含む、受容部と;バレルの中のプランジャーを前進させるためのドライブ・ヘッドと;バレルとプランジャーとの間に機械的な振動を印加するための振動デバイスとを含むことが可能である。
【0005】
注入システムは、バレルの中のプランジャーの前進の特質を検出するためのセンサーをさらに含むことが可能である。センサーは、力センサーおよび/またはフロー・センサーであることが可能である。振動デバイスは、特質の検出に応答して、バレルとプランジャーとの間に機械的な振動を印加するようにプログラムされ得る。特質は、ドライブ・ヘッドの前進がバレルの中のプランジャーの前進を結果として生じさせないときを示すことが可能である。振動デバイスは、プランジャーまたはバレルに接続され得る。
【0006】
方法は、シリンジのバレルの中でシリンジのプランジャーを第1の前進速度で前進させるステップであって、プランジャーは、ストッパーを有している、ステップと;ストッパーとバレルとの間の摩擦が閾値を超えるときを検出するステップと;バレルとプランジャーとの間に機械的な振動を印加するステップとを含むことが可能である。
【0007】
前進させるステップは、ドライブ・ヘッドによって行われ得る。検出するステップは、プランジャーとドライブ・ヘッドとの間の力を測定するステップを含むことが可能である。検出するステップは、シリンジからのフローを測定するステップを含み、および/または、運動センサーによって行われ得る。機械的な振動は、プランジャーまたはバレルに印加され得る。
【0008】
方法は、シリンジのバレルの中でシリンジのプランジャーを第1の前進速度で前進させるステップであって、プランジャーは、ストッパーを有している、ステップと;ストッパーとバレルとの間の摩擦が閾値を超えるときを検出するステップと;検出するステップに応答して、所定の期間にわたって、第1の前進速度から、バレルの中のプランジャーの前進を修正するステップとを含むことが可能である。
【0009】
修正するステップは、第1の前進速度よりも高い第2の前進速度で、バレルの中でプランジャーを前進させるステップと;第1の前進速度よりも低い第3の前進速度で、バレルの中でプランジャーを前進させるステップとを含むことが可能である。第2の前進速度および第3の前進速度の組み合わせられた速度は、第1の前進速度に等しくなっていることが可能である。前進させるステップは、ドライブ・ヘッドによって行われ得る。検出するステップは、プランジャーとドライブ・ヘッドとの間の力を測定するステップを含むことが可能である。
【0010】
注入システムは、シリンジを受け入れるための受容部であって、シリンジは、バレルおよびプランジャーを含み、プランジャーは、ストッパーを有している、受容部と;バレルの中のプランジャーを前進させるためのドライブ・ヘッドと;ストッパーとバレルとの間の摩擦が閾値を超えることに応答して、所定の期間にわたって、バレルの中のプランジャーの前進を修正するようにプログラムされているコントローラーとを含むことが可能である。
【0011】
コントローラーは、ストッパーとバレルとの間の摩擦が閾値を超えていないときには、第1の前進速度で、バレルの中のプランジャーを前進させることと;ストッパーとバレルとの間の摩擦が閾値を超えるときには、(1)第1の前進速度よりも高い第2の前進速度で、バレルの中のプランジャーを前進させ、および、(2)第1の前進速度よりも低い第3の前進速度で、バレルの中のプランジャーを前進させることとを実現するようにプログラムされ得る。注入システムは、バレルの中のプランジャーの前進の特質を検出するためのセンサーをさらに含むことが可能である。センサーは、力センサー、フロー・センサー、および/または運動センサーであることが可能である。
【0012】
主題の技術の追加的な特徴および利点は、下記の説明の中に記述されることとなり、部分的に、その説明から明らかになることとなり、または、主題の技術の実践によって学習され得る。主題の技術の利点は、とりわけ、書面の説明およびその特許請求の範囲、ならびに、添付の図面の中に指摘されている構造によって、認識および獲得されることとなる。
【0013】
先述の全体的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的で説明的なものであり、特許請求されているような主題の技術のさらなる説明を提供することを意図しているということが理解されるべきである。
【0014】
添付の図面は、主題の技術のさらなる理解を提供するために含まれており、この説明の一部の中に組み込まれており、この説明の一部を構成しており、添付の図面は、主題の技術の態様を図示しており、明細書とともに、主題の技術の原理を説明する役割を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、シリンジ・ポンプおよびシリンジを含む注入システムの斜視図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、
図1のシリンジ・ポンプのドライブ・ヘッドの部分的な側断面図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、
図1のシリンジを備えた
図1のシリンジ・ポンプのドライブ・ヘッドの部分的な側断面図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、
図1のシリンジ・ポンプの概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、
図1のシリンジ・ポンプのコントローラーを示すブロック図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、プログラミング・モジュールに装着されている
図1のシリンジ・ポンプの図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、ドライブ・シャフト、ならびに、シリンジ・ポンプおよびシリンジの連結の概略図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、多段階シリンジ・ドライバー手順の実験結果を示す図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、多段階シリンジ・ドライバー手順の実験結果を示す図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、複数の手順の実験結果を示す図である。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態による、多段階シリンジ・ドライバー手順の実験結果を示す図である。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態による、ドライブ・メカニズムを制御するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明において、具体的な詳細は、主題の技術の理解を提供するために記述されている。しかし、主題の技術はこれらの具体的な詳細のいくつかなしで実践され得るということが当業者にあきらかになることとなる。他の場合には、周知の構造および技法は、主題の技術を曖昧にしないために、詳細には示されていない。
【0017】
シリンジ・ポンプは、人間の身体の中への医療用流体(たとえば、非経口的流体など)の注入のために使用され得る。多くのケースでは、医療用流体の滑らかな送達が望まれている。たとえば、医療用流体が薬剤を含む場合、一貫したまたは予測可能な流量での送達は、医療専門家が治療を適正に計画および実行することを可能にする。注入システムのパーツ間の機械的な相互作用は、滑らかな送達に対する抵抗を作り出す可能性がある。本明細書で開示されている実施形態の態様は、これらの懸念に対処し、ドライバー動作の間のより一貫したおよび予測可能なフローを提供する。
【0018】
また、迅速な、連続的な、および滑らかな送達が望ましく、任意の意図しない遅延なしに治療が行われるようになっている。たとえば、薬剤は、生物学的半減期または終末相半減期の対象となる可能性があり、生物学的半減期または終末相半減期では、用量の半分が血流から排除されるための所定の期間が定義される。したがって、予期される時間期間内に薬剤が送達されることを保証することは、医療提供者が効果的な投与量を送達することを可能にする。追加的に、低い流量が、いくつかの患者(たとえば、幼児など)のために必要とされ得る。低い流量が遅いドライブ・ヘッド運動によって実現される場合、初期送達における任意の遅延は、ドライブ・ヘッドのプログラムされた遅い移動によって増幅され得る。
【0019】
本開示は、個別にまたは組み合わせて、滑らかにおよび迅速に低い流量で薬剤を送達するために、ポンプ・ドライバーおよびシリンジを含むシステムを改善することができる複数の態様を提示している。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、たとえば、
図1に示されているように、注入システム1は、ドライブトレイン・サブシステムを有するシリンジ・ポンプ30を含むことが可能である。シリンジ32は、図示の明確化のために、ポンプの中に装着されているというよりもむしろ、ポンプの隣に示されている。シリンジ・ポンプ30は、クレードル34を含み、バレル36は、シリンジ・ポンプ30の中に装着されているときに、クレードル34の中に置かれ得る。クレードル34は、クランプ38を含み、クレードル34の中の固定された位置にバレル36をしっかりと保持することが可能であり、軸線方向のおよび横方向の移動が抵抗されるようになっている。クランプ38は、枢動させられ得り、クランプ38が、シリンジ32の装填または除去を可能にする開位置および閉位置へと移動させられ得るようになっており、閉位置では、クランプ38は、クレードル34の上に延在し、装着されたバレル36を保持する。シリンジ32のバレル・フランジ40は、シリンジ・ポンプ30の中のバレル・フランジ溝部42の中に位置付けされ、バレル36の中でのプランジャー44の移動の間の軸線方向の移動からバレル36を固定化することが可能である。
【0021】
シリンジ32は、バレル36およびプランジャー44を含むことが可能である。プランジャー44は、プッシュ・ボタン46を含むことが可能であり、プッシュ・ボタン46は、内側48を有しており、ピストン50によってプランジャー44のストッパー62と相互接続されている。プランジャー44は、バレル36の内側壁部に密封して係合するためのストッパー62を含み、流体がストッパー62を通過して漏出することを防止することが可能である。シリンジ・ポンプ30の中に装着されているときには、プッシュ・ボタン46は、プランジャー・リテイナーを備えたドライブ・ヘッド54によって保持され得り、プランジャー・リテイナーは、1対の枢動可能に装着された爪(第1のリテイナー爪56および第2のリテイナー爪58(
図1において閉位置に示されている))を含む。リテイナー爪56および58は、互いに向けて内向きに湾曲しており、シリンジ・ポンプ30の中に装着されたプッシュ・ボタン46を掴むことが可能である。回転ノブ64が、第1および第2のリテイナー爪56および58の位置を制御するために使用され得り、プッシュ・ボタン46の除去および挿入を可能にし、また、ドライブ・シャフトからスプリット・ナットを解放し、ドライブ・ヘッド54の軸線方向の位置決めを可能にする。シリンジは、異なる量の流体を伴うシリンジ・ポンプとともに使用するように提供され得り、プランジャーは、バレルに対して異なる位置に位置付けされ得る。
【0022】
ドライブ・ヘッド54は、異なる開始プランジャー位置を有するシリンジを収容するために、手動の調節を可能にすることができる。クレードル34の中に挿入されているシリンジは、特定の軸線方向の範囲の中でドライブ・ヘッド54と整合することが可能である。シリンジの軸線方向の中心線がドライバーと交差するポイントは、シリンジのサイズにしたがって変化することが可能であるが、ドライブ・ヘッド54に沿って1つの方向にのみ変化することが可能である。ガイド・デバイス65が、ドライブ・ヘッド54からシリンジ・ポンプ30の本体部の中のポイントへ延在することが可能である。
【0023】
ポンプ30は、ポンプ30の制御のための複数のボタン78を提供する制御パネル76と、ポンプ特有の情報をオペレーターに提示するために使用されるディスプレイ80とを含むことが可能である。ボタン78は、流量、注入されることとなる体積、および他のポンプ・パラメーターに関して、オペレーターがポンプ30をプログラムすることを可能にすることができる。ディスプレイ80は、プログラムされた流量、注入されるために残っている流体の量、ならびに、アラームおよび他の情報を提示することが可能である。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、たとえば、
図2および
図3に示されているように、ドライブ・ヘッド54は、接触プレート70を含むことが可能であり、接触プレート70は、プッシュ表面71を有しており、プッシュ表面71は、ドライブ・ヘッド54がバレル36に向けて前方へ移動しているときに、プッシュ・ボタン46の外側72に接触しており、プランジャー44をシリンジのバレル36の中へ押し込み、流体投与セット・チュービング74を通してシリンジ内容物を患者へ排出する。接触プレート70は、力センサー・システム75に相互接続され得る。接触プレート70がプッシュ・ボタン46に対して力を働かせているときには、力センサー94は、本明細書でさらに議論されているように、検出される力を報告する。凹部88が、ドライブ・ヘッド54の中に形成されており、接触プレート70を収容することが可能である。接触プレート70は、枢動ポイント90において凹部88の内側でドライブ・ヘッド54に取り付けられ得る。接触プレート70は、ドライブ・ヘッド54の内側に位置付けされている力センサー94に連結されているエクステンション・ピース92によってプッシュ・ボタン接触プレート70に対して働かされる付勢に起因して、ドライブ・ヘッド54の表面から、装着されたプッシュ・ボタンに向けて、垂直方向にわずかに外向きに突出させられ得る。接触プレート70の力コンセントレーター84のプッシュ表面71がプッシュ・ボタンに対して力を働かせるとき、力センサー94は、エクステンション・ピース92を通して力を検出し、
図5に関して本明細書でさらに説明されているように、モニタリングのために、センシングされた力をプロセッサーに送信する。使用時に、プランジャーを駆動するときに可動接触プレート70の力コンセントレーター84のプッシュ表面71によって働かされる力は、エクステンション・ピース92が駆動力を力センサー94に伝えることを引き起こす。ストッパー62とバレル36との間の摩擦の場合には、力コンセントレーター84に働かされる力は増加する可能性があり、力センサー94によってセンシングされ得る。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、たとえば
図4に示されているように、システム1は、シリンジ32のバレル36の中でのプランジャー44の前進を制御するためのコンポーネントを含むことが可能である。ドライブ・ヘッド54(それは、シリンジ32のプッシュ・ボタン46に係合している)は、ポンプ30のドライブトレイン114によって移動させられ得る。たとえば、ポンプ30は、モーター112を含むことが可能であり、モーター112は、リード・スクリュー120を回転させるように動作する。リード・スクリュー120は、スクリュー・ドライブ・メカニズム122(たとえば、スプリット・ナットなど)によって係合されており、スクリュー・ドライブ・メカニズム122は、リード・スクリュー120の回転運動を線形運動に変換する。ドライブ・ヘッド54は、スクリュー・ドライブ・メカニズム122およびプランジャー44に接続されており、リード・スクリュー120の移動にしたがってプランジャー44をバレル36の中へ駆動し、バレル36から流体を排出するようになっている。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、モーター112は、ステッパー・モーター、ブラシ付きDC電気モーター、ブラシレスDC電気モーター、サーボ・モーター、ACモーター、または別のタイプのモーターを含むことが可能である。ドライブトレイン114は、適当なギア、車軸、シャフト、チェーン、液圧装置、および/または、モーター112の回転運動をドライブ・ヘッド54の線形運動に変換するための任意の他のコンポーネントを含むことが可能である。いくつかの実施形態によれば、ドライブトレイン114(モーター112を含む)は、リニア・ステッパー・モーターなどのようなリニア作動コンポーネントを含むことが可能である。たとえば、リニア・モーターは、ドライブ・ヘッド54(または、それに取り付けられているコンポーネント)に直接的に作用し、その線形運動を制御することが可能である。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、たとえば
図4に示されているように、注入システム1は、振動デバイス60を含むことが可能であり、振動デバイス60は、バレル36および/またはプランジャー44に連結されている。振動デバイス60は、振動および/または揺動を構造体の中へ伝達する任意のコンポーネントを含むことが可能である。たとえば、振動デバイス60は、触覚デバイス、音声コイル、リニア共振アクチュエーター、偏心質量を有する回転モーター、圧電アクチュエーター、または、それらの組み合わせを含むことが可能である。振動デバイス60は、バレル36および/またはプランジャー44と接触した状態になっていることが可能であり、振動デバイス60の動作が、本明細書でさらに議論されているように、バレル36および/またはプランジャー44の中へ振動および/または揺動を伝達するようになっている。振動誘導デバイスは、同様に、一次ドライブ・シャフト・モーター自体を含むことが可能である。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、たとえば
図5に示されているように、シリンジ・ポンプ30は、プロセッサー110を含むことが可能であり、プロセッサー110は、さまざまな態様の動作を制御する。プロセッサー110は、直接的にまたは間接的に、力センサー94およびフロー・センサー・システム85に接続され得る。フロー・センサー・システム85は、力センサー、変位センサー、圧力センサー、および/またはフロー・センサーなどのような、1つまたは複数のセンサー97を含むことが可能である。これらのデバイスから受信される信号および/または他の信号に基づいて、プロセッサー110は、ドライブ・ヘッド54の移動を制御することが可能である。アナログ-デジタル・コンバーターなどのような変換機器は、プロセッサー110とフロー・センサー・システム85および/または力センサー・システム75との間に提供され得る。プロセッサー110は、ユーザー・インターフェース(図示せず)に接続することが可能である。
【0029】
たとえば、力センサー94は、エクステンション・ピース92からの力を検出し、力信号をプロセッサー110に出力することが可能である。プロセッサー110は、制御信号をモーター112に提供し、モーター112の動作を制御することが可能である。代替的にまたは組み合わせて、プロセッサー110は、振動信号を振動デバイス113に提供し、シリンジ32のコンポーネントの振動を制御することが可能である。代替的にまたは組み合わせて、プロセッサー110は、アラーム信号を提供し、アラーム111を活性化させることが可能である。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、たとえば
図6に示されているように、シリンジ・ポンプ30は、プログラミング・モジュール152に装着され得り、モジュール式患者ケア・システムを一緒に形成している。
図6のプログラミング・モジュール152は、プログラミングおよび通信などのような、ポンプに関するさまざまな機能を果たすことが可能である。制御エレメントおよび機能は、プログラミング・モジュール152によって含まれ得り、少なくとも部分的に、プログラミング・モジュール152によって実施され得る。プログラミング・モジュール152に装着されているシリンジ・ポンプ30に加えて、他のモジュール(たとえば、患者モニタリングまたは治療を提供するものなど)が、また、患者ケア・システムの一部を形成することが可能である。プログラミング・モジュール152は、さまざまな取り付けられたモジュールに関して、集中型のインターフェースを提供することが可能である。1つまたは複数のシリンジ・ポンプは、プログラミング・モジュール152におよび/または互いに装着され得る。
【0031】
ドライブ・ヘッド54は、シリンジ32から患者への流体の迅速で一貫した予測可能な注入を促進させる様式で、シリンジ32と相互作用することが可能である。本明細書で説明されている特徴は、個別にまたは組み合わせて使用され、システム1の能力を改善し、低い流量で迅速に滑らかに薬剤を送達することが可能である。
【0032】
ドライブトレイン剛性
いくつかの実施形態によれば、ドライブトレイン114のコンポーネントは、ドライブトレイン114の活動に対するシリンジの反応性を促進させるのに十分な剛性を提供することが可能である。以前のシステムは、プランジャーを変位させるために使用されるドライブの中に著しい可撓性を許容する。摩擦が、ピストン50のストッパー62とバレル36の内側壁部との間に起こる可能性がある。ドライブ・ヘッド54がプランジャー44に変位を加えようとするときに、ストッパー62の摩擦が、反対の力を加えることとなる。ドライブトレイン114が可撓性のコンポーネントを含有する場合、ドライブトレイン114が摩擦を克服するのに十分に圧縮されるまで、プランジャー44の運動はほとんど起こらないかまたは全く起こらない可能性がある。そのような圧縮の後にのみ、プランジャー44の前進が、プログラムされた速度で開始する。結果として生じる流体の平均流量は、バレル36の内径およびプランジャー44の速度に基づいて決定され得る。
【0033】
プランジャー44を押すドライブトレイン114の十分な剛性(すなわち、「バネ定数」)は、フローが開始するのに必要とされる時間を低減させ、同時に、送達の過程にわたって、「スティック・スリップ」または「スティクション」に起因するフロー変動の発生を緩和する。そのような剛性は、ドライブトレイン114の中の可撓性を低減させる材料および形状を選択することによって実現され得る。そのうえ、ドライブトレイン114のコンポーネント同士の間の連結は、ドライブトレイン114の中の可撓性および緩みを低減させるように最適化され得る。
【0034】
シリンジ据え付け後の初期加速
いくつかの実施形態によれば、ドライブ・ヘッド54は、シリンジ32の初期据え付けの後に特定の方式で相互作用し、注入を開始することが可能である。ドライブ・シャフトは、選択されたモードで、ドライブトレイン114およびシリンジ・ストッパーの中の機械的な緩みのいくらかまたはほとんど(それは、シリンジ32の据え付けおよびドライブ・ヘッド54の係合に続いて存在している)を取ることを意図した加速を提供することが可能である。より大きいシリンジ(たとえば、30cc以上)に関して(それは、短い半減期の薬剤の長期の連続的な注入のために使用され得る)、加速された移動が増やされ、フローの発現における遅延を回避することが可能である。プランジャー44のリジッド部分とバレル36の壁部との間のピストン50の可撓性の(たとえば、ゴム)ストッパーのかなりの厚さに起因して、追加的な加速された移動が、より大きいシリンジ・サイズに提供され得る。ストッパーのこの材料は、バレル壁部インターフェースにおける移動の開始の前に著しく伸びることが可能である。したがって、ドライブ・ヘッド54およびプランジャー44のピストン50が動いているとしても、しばらくの間、流体がほとんど流れないかまたは全く流れない可能性がある。
【0035】
加速された移動は、ドライブ・システムの中の緩み、および、バレル壁部とプランジャー・ヘッドとの間のストッパーの伸びを克服するために、プログラムされた流量に関する公称速度よりも速くなっていることが可能である。ドライブ・ヘッド54が、規則的な注入の間に公称速度で前進するようにプログラムされている場合、ドライブ・ヘッド54は、規則的な注入の前に初期速度で前進するようにさらにプログラムされ得る。初期速度は、公称速度よりも大きくなっていることが可能である。ドライブ・ヘッド54は、シリンジ32が装填されていることを確認すると、初期速度で前進するようにプログラムされ得る。ドライブ・ヘッド54は、一定の時間の後に、所定の距離をトラベルした後に、または、検出可能な条件(たとえば、ドライブ・ヘッド54とプランジャー44との間の力など)を確認すると、公称速度に移行するようにプログラムされ得る。公称速度は、実験的に決定されるおよび/または臨床的に関連する最大値によって境界を定められ得る。初期速度は、任意の注入の始まりに適用され得り、また、ドライブ・ヘッドにおいて検出される力に基づいて、たとえば、フィードバックによって制御され得る。
【0036】
移動速度および量は、特定のシリンジ設計に調整され得る。ポンプは、自動検出によって、および/または、手動の入力によって、シリンジ・サイズを認識することが可能である。この情報に基づいて、ポンプは、特定のシリンジに関する加速局面を最適化するために、事前に記憶されている定数が使用されることを許容する。それぞれのシリンジは、初期速度および公称速度に対して異なる応答を有する可能性がある。初期速度を支配するシリンジ要因は、ピストンのコンプライアンス、摩擦、および撓みを含む。これらの要因を所与として、ポンプは、正確な初期速度プロファイルを変化させ、フロー・スタートまでの時間を最適化することが可能である。対応する特性化は、個々のシリンジに関して決定され得り、および/または、複数のシリンジにわたって共通し得る特定のシリンジ特徴に基づいて決定され得る。
【0037】
いくつかのシリンジ・ポンプにおいて、注入の開始(スタート機能)に続いて、初期運動が、複数のモーター・ステップ(たとえば、4,000モーター・ステップ、または0.25mm)によって作り出される。スタート機能の活性化に続いて、ドライブ・シャフトは、随意的に、事前決定された距離(たとえば、0.25mm)まで前進させられる。たとえば、プランジャーのドライブ・ヘッドの力が、固定された量もしくはパーセントよりも多く増加するとき、または、インライン・センシングされた圧力が同様に増加するときなど、特定の条件を検出するとき、合計の運動は低減され得る。このタイプの加速された移動は、依然として、遅延したフローのスタートにつながる可能性があり、したがって、望ましくない臨床的影響を有する可能性がある。また、それは、望ましくない過剰な初期フローを作り出す可能性がある。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態によれば、追加的な能力が、シリンジ・ポンプに提供され得る。動作の間に、加速移動の詳細が測定され得り、インライン流体フロー、圧力、および/またはピストン力のモニタリングに基づいて、動作が適合され得る。適応加速が、初期段階(たとえば、所定のmmの移動の最初の数十分の1)の間に迅速に前方へドライブ・ヘッド54を移動させ、(たとえば、ドライブトレイン114の中およびシリンジ32の中などにある(たとえば、ストッパーとバレルとのインターフェース))緩みを克服することが可能である。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、動作の初期段階は、どれくらいのモーターの移動が、定常状態ターゲット・フローを達成する際の遅延を回避するために必要とされるかということを予測するために使用され得る。例示的な実施形態の実験結果が、
図7~
図11に示されている。たとえば、
図7は、シリンジ32との相互作用に関するドライブトレイン114の概略表現図を示している。ドライブトレイン114は、たとえば、リード・スクリュー120を含むことが可能であり、リード・スクリュー120は、スプリット・ナットなどのようなスクリュー・ドライブ・メカニズム122によって係合されている。ドライブトレイン114の中のギャップ190は、たとえば、リード・スクリュー120とスクリュー・ドライブ・メカニズム122との間などの、ドライブトレイン114の中の緩みを表すことが可能である。本明細書で説明されているように、流体がシリンジから流れることを引き起こすようにシリンジが作動させられる前に、ギャップ190は閉じられなければならない。
【0040】
市販のAlaris7110ポンプを使用して実施される実験において、活性化が開始した後のおおよそ初期期間の間に(たとえば、4秒)、随意的な「ディザー」動作は、ステッパー・モーターが第1の距離(たとえば、4,000~8,000ステップまたは0.25~0.5mm)だけ前進し、次いで、第2の距離(たとえば、8,000~16,000ステップまたは0.5~1.0mm)だけ後退し、最後に、第3の距離(たとえば、4,000~8,000ステップまたは0.25~0.5mm)だけ前進するということを引き起こす。この「ディザー」動作は、メイン・ドライブ・シャフト歯とのドライブ・ヘッド・アッセンブリのハーフ・ナットの係合を保証するために行われ得る。その動作にわたる正味の移動は、ドライブ・ヘッドをその元の位置に戻し、それによって、任意のフローを作り出さないということが予期される。したがって、第1の、第2の、および第3の距離の程度および方向は、ゼロの組み合わせられた正味の距離を有することが可能である。たとえば、第1および第3の距離の総計は、第2の距離に等しくなっていることが可能であり、第2の距離に関するトラベルは、第1のおよび第3の距離に関してトラベルされる方向とは反対側の方向になっていることが可能である。急速な初期移動は、ユーザーがヘッド・クランプを解放してスプリット・ナットに係合しているときに残されている、任意の残留ギャップを少なくとも一時的に排除することが可能である。プッシュ・ボタンはドライブ・ヘッドの軸線に沿ってどこにでもあることが可能であるので、ギャップのこの変化が初期に存在する可能性があるが、ギア係合は、ドライブ・シャフトのそれぞれの整数値でのみ起こることが可能である(1/20インチ=約1.2mm)。しかし、それが始まった場所にシャフトが戻るときには、ギャップが再び存在する可能性がある。
【0041】
図8に示されているように、前方へのディザー移動が始まった後に、フローの簡潔なパルスが、たとえば、初期段階200(
図8の中の初期のプラスのフロー値)の間に発生させられ得る。その後に、フローは、逆になることが可能であり(
図8の中のマイナスのフロー値)、次いで、回復させられ得る(
図8の中の最終的なプラスのフロー値)。初期段階200の間に、フローが定常状態に到達する前に、一定の時間が経過し得る。初期段階200において、モーターの動作は、たとえば、ドライブトレインの中の緩みまたはギャップに起因して、結果として生じるフローに直接的には対応していない。定常状態において、モーターの動作は、結果として生じるフローに直接的に対応することが可能である。
図9に示されているように、フローの理論的な体積および測定体積が、時間に関して示されている。フローの理論的な体積は、モーター動作および/またはドライブ・ヘッド前進に基づくことが可能である。
図10に示されているように、いくつかのランの検討は、(たとえば、「ディザー」動作の間の)初期の非常に短い時間遅延と通常動作の間の後続の長い遅延との間の良好な相関関係を示した。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態では、ドライブ・システムは、本明細書で説明されているようなディザー移動を必要とするわけではなく、または、利用するわけではないということが理解されることとなる。したがって、初期ドライブ・シャフト移動と力、フロー、または流体圧力の増加の検出との間に測定される時間または距離は、上記に説明されているディザー・アクションのいずれも伴わないこととなる。ディザー・アクションが適用される場合、初期段階動作を利用する方法は、ディザーの第1の前方局面の間の「初期遅延」を測定することとなる。
図8~
図10は、測定値としてフローを示しているが、追加的な実験結果は、ドライブ・ヘッドとプランジャーとの間の力が生産的なフローを示す可能性があるということを実証した。
図11に示されているように、フローは、閾値を上回る力に伴って開始する。したがって、モーター・スタートと力の初期の発現との間の遅延を測定することは、追加的なステップ(それのために、モーターが第4のおよび最終的な予備的な移動段階において稼働するべきである)の数の効果的なプレディクターを提供することが可能である。
【0043】
それぞれの特定のローディング、シリンジのサイズ、および、ドライブ・シャフトの正味の前方への運動の発現からフローまたは代理(力または圧力の上昇)の検出までの時間またはステップの数に基づいて、スピードアップ・ステップの正確な必要な数を予測することによって、ならびに、それらが常に実行されることとなるということを保証することによって、定常状態フローに到達する際の遅延が安全に低減されるかまたは排除されることとなる。
【0044】
フロー変動を低減させるためのドライバー移動
上記に説明されているように、ドライブ・ヘッド54は、ドライブトレイン114によって動作させられ得り、ドライブトレイン114は、モーター112を含み、モーター112は、たとえば、減速システムおよびドライブ・シャフトに連結されているステッパー・モーターなどである。モーターを実装するいくつかのシステムは、駆動されるシリンジからの滑らかなフローを実現しようとして、ドライブ・ヘッドに微細な運動を付与する。運動は、多くの小さいインクリメントによる前進を含むことが可能である。しかし、いくつかの大きいシリンジに関して、遅い速度でプランジャーを移動させることは、プランジャーのストッパー(たとえば、ゴム)がバレルの壁部に付着することを許容し、それによって、静止摩擦から運動摩擦へ抜け出して移行するために、より大きい力が必要とされるという要件を確立する。静止摩擦から運動摩擦へのそれぞれの移行によって、フローは、初期には遅くなっており、その後に、急速な加速を経験する。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、ドライブ・ヘッド54は、ドライブ移動の滑らかさを低減させるように、および、スティクション・パターンの振幅を低減させるように、可変の速度で前進させられ得る。可変の速度は、前進のより一定の速度によって起こるものよりも大きい割合に関して、ストッパー62とバレル36との間の静止摩擦を低減させることが可能である。このアプローチは、いくらかの周期的な変化を導入することが可能であるが、それは、たとえば、薬物挙動およびシリンジ特性などの、送達の条件に関して適当になるように制御され得る。いくつかのサイクルにわたる全体的な結果は、通常に実現され得るものよりも規則的なフローのパターンである。その理由は、弾性的なエネルギーの大きい蓄積が、少量の消散によって回避されるからである。
【0046】
ドライブ・ヘッド54は、少なくとも2つのモードのうちの1つで前進させられ得る。第1のモードにおいて、ドライブ・ヘッド54は、より微細な前進のインクリメントによって移動させられ得る。インクリメントは、シリンジ32からの結果として生じるフローを実現するために、時間にわたって均一に分配され得る。ドライブ・ヘッド54がプランジャー44に作用するときに、力センサー94は、ドライブ・ヘッド54とプランジャー44との間の力を検出することが可能である。ストッパー62とバレル36との間の摩擦が増加するときには、プランジャー44を移動させるためにドライブ・ヘッド54から必要とされる力が、それに対応して増加する可能性がある。そうであるので、プランジャー44を移動させるために必要とされる力は、力センサー94によって検出され得る。代替的にまたは組み合わせて、フロー・センサーは、フローを検出するために、シリンジ32の出口部(たとえば、チュービング74)に提供され得る。ドライブ・ヘッド54が力を印加し、結果として生じるフローが、予期されるフローの量に対応していないときには、システムは、プランジャー44がドライブ・ヘッド54に応答して予期されるようには前進させられなかったということを検出することが可能である。本明細書で説明されている方法のうちの1つまたは複数によって、システムは、摩擦の存在を検出し、第2のモードを開始することが可能である。第2のモードにおいて、ドライブ・ヘッド54は、第1のモードにおいて提供されることとなるものよりも短い期間の中で、より粗い移動を伴って、および/または、複数の連続的なインクリメント移動の突発を伴って移動させられ得る。移動の突発の任意の1つの後に、システムは、ドライブ・ヘッド54の移動を中断することが可能であり、第2のモードにおける前進または注入の平均速度が、第1のモードにおける前進または注入の速度と同じであるかまたは実質的に同じであるようになっている。移動の突発の間に、バレル36に対するプランジャー44(たとえば、ストッパー62を含む)の動的な運動を維持することによって、静止摩擦が回避され得る。静止摩擦が突発同士の間に起こる可能性があるが、全体的な発生率は低減される。その理由は、静止摩擦が移動の多くのインクリメントに関して起こらないからである。したがって、これらの動作のモードを適用するシステムは、移動パターンの動的なおよび適応性の変更を提供し、静止摩擦の存在を低減させる。
【0047】
機械的な振動
プランジャー44とバレル36との間の動的なおよび静止摩擦変動の形成は、フローの遅い開始、および、フロー・スティクションに起因する変化の両方を引き起こす可能性がある。バレル36および/またはプランジャー44を通した機械的な振動および/または揺動は、継続的な相対運動を維持し、高い力の静止摩擦状態の形成を抑制することが可能である。
【0048】
上記に議論されているように、注入システム1は、振動デバイス60を含むことが可能であり、振動デバイス60は、バレル36および/またはプランジャー44に連結されている。振動デバイス60は、バレル36および/またはプランジャー44と接触した状態になっていることが可能であり、振動デバイス60の動作が、バレル36および/またはプランジャー44の中へ振動および/または揺動を伝達するようになっている。結果として、プランジャー44およびバレル36は、所定の期間にわたって小さいスケールで互いに対して移動させられる。振動および/または揺動は、バレル36とストッパー62との間の静止摩擦を解放することが可能である。
【0049】
振動デバイス60は、所与の周波数、振幅、および、持続期間で動作することが可能である。たとえば、振動デバイス60は、ドライブ・ヘッド54がプランジャー44に力を印加する前に、間に、および/または後に、動作させられ得る。摩擦がシステムによって(たとえば、力センサー94および/またはフロー・センサーによって)検出される場合、振動デバイス60は、摩擦の検出に応答して動作させられ得る。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態は、本明細書で議論されている特徴のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態は、硬いドライブトレイン、シリンジ据え付けの後の初期加速、フロー変動を低減させるためのドライブ・ヘッド移動、および/または機械的な振動のうちの1つ、いくつか、またはすべてを含むことが可能である。本明細書で開示されているさまざまな特徴のいずれかは、個別にまたは組み合わせて、流体送達の迅速性および一貫性を増加させることが可能である。特徴は、集合的に協働し、所望の急速なフローの開始を作り出すことが可能であり、スティクションによって誘導される減速および加速によって中断されない滑らかな送達がそれに続く。たとえば、より硬いドライブトレインは、流出経路の閉塞の間にドライブ・ヘッド力および液体圧力をアラーム・レベルまで構築するのに必要とされる時間を低減させることが可能である。モーター・ドライブ、ギアリング、および制御パラメーターは、選択されたシリンジ・サイズ、ブランド、およびモデルに特有である可能性のあるカスタマイズされた加速パターンを可能にすることができる。これらのパターンは、残っている機械的な緩みおよびシリンジ・ストッパー緩みの両方を克服することによって、フローの開始の遅延を最小化するかまたは排除することが可能である。さらにストッパーの中のスティクション力によって作り出されるフロー不規則性を回避するために、機械的な振動は、シリンジおよび/またはバレルに連結され、ストッパーと壁部とのインターフェースの移動を導入し、高い静止摩擦係数の生成を低減させることが可能である。また、剛性の増加は、詰まりを検出するために必要とされる時間を低減させることが可能である。
【0051】
方法
図12に示されているように、方法300は、本明細書で開示されている実施形態にしたがって実施され得る。方法300は、ドライブ・メカニズムの速度、距離、および/または他のパラメーターを制御するために使用され得る。
【0052】
動作302において、ユーザーは、上記に議論されているように、シリンジを据え付けることが可能である。動作304において、ユーザーは、制御システムのための入力として、シリンジの特性を提供することが可能である。特性は、ブランド、タイプ、サイズ、または、シリンジを識別するかもしくは特徴付けるために使用され得る他の情報を含むことが可能である。情報は、随意的に、シリンジに関連する(たとえば、データベースからの)さらなる情報を参照するために、制御システムによって使用され得る。動作306において、ユーザーは、1つまたは複数の動作パラメーターを提供することが可能である。動作パラメーターは、流量、投与速度、または、動作パラメーターを決定するために使用され得る他の情報を含むことが可能である。たとえば、流量、投与速度、および/またはドライバー速度は、ユーザーによってそれぞれ提供され得り、および/または、ユーザーによって提供される他の情報に基づいて計算され、または、制御システムの中へプログラムされ得る。
【0053】
ユーザーおよび/または別のシステムは、制御システムによって実行される手順をスタートさせることが可能である。追加的にまたは代替的に、プロセスは、自動的におよび/または他の入力に基づいて(たとえば、遠隔制御または時間遅延)開始され得る。動作308において、システムは、シリンジおよび/またはフロー・データに基づいてドライバーの加速度および/または速度をモニタリングし、測定し、または、その他の方法で決定する。動作310において、ドライバーの速度は、閾値または範囲と比較される。たとえば、ドライバーの加速度および/または速度が閾値を上回っているかまたはターゲット範囲の中にある場合には、ドライバー速度は、動作326に示されているように、プログラムされた距離に関して、最終的な(たとえば、固定されたまたはターゲット)速度に設定され得る。しかし、ドライバーの加速度および/または速度が閾値を上回っていないかまたはターゲット範囲の中にない場合には、ドライバー速度は、動作312に示されているように、第1の距離(たとえば、最大距離)に関して第1の速度に設定され得る。
【0054】
第1の速度における動作の間に、および/または、ドライバーが第1の距離の中にある間に、システムは、動作314に示されているように、力、フロー、および/または圧力などのような、動作特性をモニタリングし、測定し、または、その他の方法で決定することが可能である。動作316において、システムは、ドライブトレインの中の緩み(たとえば、ギャップ)が存在しているかどうか、または、それが除去されたかどうかを決定することが可能である。たとえば、フロー特性は、緩みが存在しない場合の予期されるフロー特性と比較され得る。ドライブトレインの中のインターフェース同士の間に、緩みが存在している可能性がある。たとえば、緩みは、ドライブ・シャフト(たとえば、リード・スクリュー)とスクリュー・ドライブ・メカニズム(たとえば、スプリット・ナット)との間に、ドライブ・ヘッドとプッシュ・ボタンとの間に、および/または、ストッパーとバレルとの間に存在している可能性がある。緩みが存在しているということを特性が示す場合には、ドライブ動作が、動作312および314に基づいて継続することが可能である。しかし、緩みが存在していない(たとえば、緩みが除去された)ということを特性が示す場合には、ドライバー速度が、動作318に示されているように、第2の距離(たとえば、最大距離)に関して、第2の速度に設定され得る。
【0055】
第2の速度における動作の間に、および/または、ドライバーが第2の距離の中にある間に、システムは、動作320に示されているように、力、フロー、および/または圧力などのような、動作特性をモニタリングし、測定し、または、その他の方法で決定することが可能である。動作322において、システムは、過剰な力、フロー、および/または圧力が存在しているかどうかを決定することが可能である。たとえば、力、フロー、および/または圧力は、1つまたは複数の目標値または範囲と比較され得る。力、フロー、および/または圧力が過度である(たとえば、ターゲットを上回っている)ということを特性が示す場合には、ドライバー速度は、動作326に示されているように、プログラムされた距離に関して最終的な(たとえば、固定されたまたはターゲット)速度に設定され得る。しかし、力、フロー、および/または圧力が過度(たとえば、ターゲットを上回っている)ではないということを特性が示す場合には、システムは、動作324に示されているように、ドライバーが第2の最大距離の中にあるかどうかを決定することが可能である。ドライバーが第2の最大距離に到達していない場合には、ドライブ動作は、動作318および320に基づいて継続することが可能である。ドライバーが第2の最大距離に到達するかまたは超えた場合には、ドライバー速度は、動作326に示されているように、プログラムされた距離に関して、最終的な(たとえば、固定されたまたはターゲット)速度に設定され得る。動作322および324の決定は、任意の順序でおよび/または同時に実施され得るということが理解されることとなる。
【0056】
先述の説明は、本明細書で説明されているさまざまな構成を当業者が実施することを可能にするために提供されている。主題の技術がさまざまな図および構成を参照してとりわけ説明されてきたが、これらは、単に図示目的のためのものに過ぎず、主題の技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないということが理解されるべきである。
【0057】
主題の技術を実装するための多くの他の方式が存在する可能性がある。本明細書で説明されているさまざまな機能およびエレメントは、主題の技術の範囲から逸脱することなく、示されているものとは異なって区分され得る。これらの構成に対するさまざまな修正例が、当業者に容易に明らかになることとなり、本明細書で定義されている一般的原理は、他の構成に適用され得る。したがって、多くの変形例および修正例が、主題の技術の範囲から逸脱することなく、当業者によって、主題の技術に対して作製され得る。
【0058】
開示されているプロセスの中のステップの特定の順序または階層は、例示的なアプローチの図示であるということが理解される。設計の選考に基づいて、プロセスの中のステップの特定の順序または階層は再配置され得るということが理解される。ステップのうちのいくつかは、同時に実施され得る。添付の方法請求項は、サンプル順序でさまざまなステップのエレメントを提示しており、提示されている特定の順序または階層に限定することを意味していない。
【0059】
「ある態様」などのような語句は、そのような態様が主題の技術に必須であるということ、または、そのような態様が主題の技術のすべての構成に該当するということを暗示しているのではない。ある態様に関する開示は、すべての構成、または、1つもしくは複数の構成に該当することが可能である。ある態様は、本開示の1つまたは複数の例を提供することが可能である。「ある態様」などのような語句は、1つまたは複数の態様を指すことが可能であり、その逆もまた同様である。「ある実施形態」などのような語句は、そのような実施形態が主題の技術に必須であるということ、または、そのような実施形態が主題の技術のすべての構成に該当するということを暗示しているのではない。ある実施形態に関する開示は、すべての実施形態、または、1つもしくは複数の実施形態に該当することが可能である。ある実施形態は、本開示の1つまたは複数の例を提供することが可能である。「ある実施形態」などのような語句は、1つまたは複数の実施形態を指すことが可能であり、その逆もまた同様である。「ある構成」という語句は、そのような構成が主題の技術に必須であるということ、または、そのような構成が主題の技術のすべての構成に該当するということを暗示しているのではない。ある構成に関する開示は、すべての構成、または、1つもしくは複数の構成に該当することが可能である。ある構成は、本開示の1つまたは複数の例を提供することが可能である。「ある構成」などのような語句は、1つまたは複数の構成を指すことが可能であり、その逆もまた同様である。
【0060】
本明細書で使用されているように、一連の項目に先行する「のうちの少なくとも1つ」という語句は(項目のいずれかを分離するために「および」または「または」などの語句を伴う)、リストのそれぞれの部材(すなわち、それぞれの項目)というよりもむしろ、全体としてリストを修飾する。「のうちの少なくとも1つ」という語句は、列挙されているそれぞれの項目のうちの少なくとも1つの選択を必要とするのではない。むしろ、その語句は、項目の任意の1つのうちの少なくとも1つ、および/または、項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、および/または、項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」または「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という語句は、Aのみ、Bのみ、もしくは、Cのみ;A、B、およびCの任意の組み合わせ;ならびに/または、A、B、およびCのそれぞれのうちの少なくとも1つをそれぞれ指す。
【0061】
本開示において使用されているような「上部」、「底部」、「前部」、「後部」などのような用語は、通常の重力規準系を参照するというよりもむしろ、任意の規準系を参照するものとして理解されるべきである。したがって、上部表面、底部表面、前部表面、および後部表面は、重力規準系において、上向きに、下向きに、斜めに、または水平方向に延在することが可能である。
【0062】
そのうえ、「含む(include)」または「有する」などの語句が説明または特許請求の範囲の中で使用されている範囲において、そのような用語は、「含む(comprise)」が請求項の中の移行句として用いられるときに解釈されるように、「含む(comprise)」という用語と同様の様式で包含的であるということを意図している。
【0063】
「例示的な」という句は、「例、場合、または図示としての役割を果たす」ということを意味するために本明細書で使用されている。「例示的な」のような本明細書で説明されている任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好適なまたは有利なものとして解釈されるべきであるとは限らない。
【0064】
単数形でエレメントを参照することは、特に記載されていない限り、「1つ、および、1つのみ」を意味するのではなく、むしろ、「1つまたは複数」を意味することを意図している。男性の代名詞(たとえば、彼の)は、女性および中性(たとえば、彼女の、および、その)を含み、その逆もまた同様である。「いくつかの」という用語は、1つまたは複数を指す。下線および/またはイタリック体の見出しおよび小見出しは、単に便宜上のために使用されており、主題の技術を限定しているのではなく、主題の技術の説明の解釈に関連して参照されているのではない。当業者に知られているかまたは後に知られることとなる、本開示の全体を通して説明されているさまざまな構成のエレメントに対するすべての構造的なおよび機能的な均等物は、明示的に、参照により本明細書に組み込まれており、主題の技術によって包含されることを意図している。そのうえ、本明細書で開示されているものは、そのような開示が上記の説明の中に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に提供されたものであるということを意図していない。
【0065】
主題の技術の特定の態様および実施形態が説明されてきたが、これらは、単なる例として提示されてきており、主題の技術の範囲を限定することを意図していない。実際に、本明細書で説明されている新規の方法およびシステムは、その精神から逸脱することなく、さまざまな他の形態で具現化され得る。添付の特許請求の範囲およびその均等物は、主題の技術の範囲および精神の中に入ることとなるように、そのような形態または修正例をカバーすることを意図している。