(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ハイポサイクロイド減速機構
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
F16H1/32 A
(21)【出願番号】P 2021022224
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】507303985
【氏名又は名称】三菱電機FA産業機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 庸三
(72)【発明者】
【氏名】牟田 義文
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特公昭49-036897(JP,B1)
【文献】特開昭61-153040(JP,A)
【文献】特開昭55-057752(JP,A)
【文献】特開2007-024072(JP,A)
【文献】特表平02-501944(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0106335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターナル歯車、および
前記インターナル歯車の内周側に配置された遊星歯車を備え、
前記インターナル歯車と前記遊星歯車それぞれの転位係数の絶対値合計は
、前記インターナル歯車と前記遊星歯車の歯数差が1の場合は1に、前記歯数差が2以上、7以下の場合は0.8に設定した基準値よりも小さく設定され、
前記インターナル歯車の歯丈は、前記絶対値合計と前記基準値との差に応じて、
日本歯車工業規格の標準歯形寸法による歯丈よりも短縮していることを特徴とするハイポサイクロイド減速機構。
【請求項2】
前記遊星歯車の歯丈も、前記標準歯形寸法の歯丈よりも短縮していることを特徴とする請求項1に記載のハイポサイクロイド減速機構。
【請求項3】
前記インターナル歯車の歯丈の短縮量と前記遊星歯車の歯丈の短縮量が同じであることを特徴とする請求項2に記載のハイポサイクロイド減速機構。
【請求項4】
前記インターナル歯車の噛み合いピッチ円上での歯先ピッチは、前記標準歯形寸法に準じたピッチよりも狭くしており、前記遊星歯車の噛み合いピッチ円上での歯溝ピッチも、前記歯先ピッチに合わせて前記標準歯形寸法に準じたピッチよりも狭くしていることを特徴とする請求項2または3に記載のハイポサイクロイド減速機構。
【請求項5】
前記インターナル歯車の歯丈の短縮量と前記遊星歯車の歯丈の短縮量を合計した値は、前記絶対値合計と前記基準値との差以上、かつ1.0以下の範囲内で設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のハイポサイクロイド減速機構。
【請求項6】
前記歯数差は7以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のハイポサイクロイド減速機構。
【請求項7】
前記歯数差が1であることを特徴とする請求項6に記載のハイポサイクロイド減速機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ハイポサイクロイド減速機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インボリュート歯車を使った遊星減速機としてハイポサイクロイド減速機構があり、例えば、1/20以上の高減速比を1段減速で得ることが可能である。その際、インボリュート歯車を採用することで、歯車を加工する加工機は特殊なものではなく製作がしやすくなるが、トロコイド干渉の問題がある。
【0003】
そこで、インターナル歯車と遊星歯車それぞれの転位係数(インターナル歯車はプラス転位、遊星歯車はマイナス転位)の絶対値合計を、インターナル歯車と遊星歯車の歯数差に応じて決まる値以上に設定することで、トロコイド干渉を回避していた。とくに、インターナル歯車と遊星歯車の歯数差を減速比が最も高くなる1に設定した場合、転位係数の絶対値合計を1以上に設定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-24072号公報(段落0006~0007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、転位係数の絶対値合計を大きくすると、遊星歯車の移動にともない、インターナル歯車歯面と遊星歯車の歯面が大きな接触面積で滑りながら動力を伝達することになり、摩擦損失が大きく効率が悪くなるという欠点があった。歯車寸法を小さくして、歯車摺動面積を少なくすることで、摩擦損失を低減することは可能であるが、歯幅を小さくする必要があり、強度が低下する。結果的に歯車効率と歯車負荷能力の両立が難しいという課題があった。
【0006】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、歯車効率と歯車負荷能力を両立させたハイポサイクロイド減速機構を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示されるハイポサイクロイド減速機構は、インターナル歯車、および前記インターナル歯車の内周側に配置された遊星歯車を備え、前記インターナル歯車と前記遊星歯車それぞれの転位係数の絶対値合計は、前記インターナル歯車と前記遊星歯車の歯数差が1の場合は1に、前記歯数差が2以上、7以下の場合は0.8に設定した基準値よりも小さく設定され、前記インターナル歯車の歯丈は、前記絶対値合計と前記基準値との差に応じて、日本歯車工業規格の標準歯形寸法による歯丈よりも短縮していることを特徴とする徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願に開示されるハイポサイクロイド減速機構によれば、歯幅を小さくすることなく歯面接触面積と摺動速度を抑制できるので、歯車効率と歯車負荷能力を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aと
図1Bは、それぞれ実施の形態1にかかるハイポサイクロイド減速機構の構成を説明するための平面図とインターナル歯車における干渉高さを説明するための拡大模式図である。
【
図2】
図2Aと
図2Bは、それぞれ実施の形態1にかかるハイポサイクロイド減速機構におけるインターナル歯車の歯丈の設定について説明するための拡大模式図とインターナル歯車に対する遊星歯車の歯の移動状態を説明するための模式図である。
【
図3】
図3Aと
図3Bは、それぞれ実施の形態2にかかるハイポサイクロイド減速機構の構成を説明するための平面図と遊星歯車の歯丈の設定について説明するための拡大模式図である。
【
図4】実施の形態2にかかるハイポサイクロイド減速機構におけるインターナル歯車に対する遊星歯車の歯の移動状態を説明するための模式図である。
【
図5】実施の形態3にかかるハイポサイクロイド減速機構の構成を説明するための平面図である。
【
図6】
図6Aと
図6Bは、それぞれ実施の形態2にかかるインターナル歯車と遊星歯車の歯先ピッチと歯溝ピッチを説明するための模式図と実施の形態3にかかるインターナル歯車と遊星歯車の歯先ピッチと歯溝ピッチを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1と
図2は、実施の形態1にかかるハイポサイクロイド減速機構の構成および動作について説明するためのものであり、
図1は、ハイポサイクロイド減速機構を軸方向の離れた位置から見たときの平面図(
図1A)とインターナル歯車における干渉高さを説明するための歯形の拡大模式図(
図1B)である。そして、
図2は、それぞれ実施の形態1にかかるハイポサイクロイド減速機構におけるインターナル歯車の歯丈の設定について説明するための拡大模式図とインターナル歯車に対する遊星歯車の歯の移動状態を説明するための模式図である。
【0011】
本願の実施の形態1にかかるハイポサイクロイド減速機構1は、インボリュート歯車を用いたもので、
図1Aに示すように、インターナル歯車2、およびインターナル歯車2の内周側に設置される遊星歯車3を備えている。遊星歯車3は、遊星歯車中心Xpとインターナル歯車中心Xiとの偏芯量を持つ偏芯軸4に偏芯軸用軸受5などを介して、自由に回転できるように配置されている。この状態で、偏芯軸4が回転することにより、遊星歯車3がインターナル歯車中心Xiを軸に公転することで、偏芯軸4が1回転するとインターナル歯車2と遊星歯車3の歯数差分、偏芯軸4の回転方向と反対方向へ遊星歯車3が回転する。これにより、出力ピン用軸受7などを介した出力ピン6により遊星歯車3の回転を取り出すことができる。
【0012】
なお、本願は歯車部分に特徴を有するため、その他の詳細な構成についての説明を割愛する。一方、ハイポサイクロイド減速機構1で用いるインボリュート歯車については、日本歯車工業会規格で定めた規格(例えば、JIS B1701)では、標準歯形寸法として、歯数の組み合わせに応じて、転位係数、歯丈等についての標準値が定められている。
【0013】
例えば、本実施の形態にかかるハイポサイクロイド減速機構1に対応するインターナル歯車2の歯数が50、遊星歯車3の歯数が49の並歯に対する標準値としての諸元は表1に示すようになる。つまり、転位係数の絶対値合計が1(=|0|+|1|)で、歯丈が2.25(それぞれ、モジュール(M)単位)と与えられる。
【0014】
【0015】
しかし、背景技術で説明したように、絶対値合計(合計転位係数Tと称する)が大きいと、摩擦損失が大きくなって、動力伝達効率(歯車効率)が低下する。そこで、本実施の形態1にかかるハイポサイクロイド減速機構1においては、表2に示すように、合計転位係数Tを0.4(=|-0.4|+|0|)に下げ、それに応じて、インターナル歯車2の歯丈を2.25から1.65まで0.6短縮した。
【0016】
【0017】
ここで、歯丈と合計転位係数との関係について説明する。トロコイド干渉が生じない合計転位係数の基準値Tfよりも小さな合計転位係数Tを採用した場合、標準値の歯丈HC(=2.25M)を有する歯2tCが遊星歯車3と干渉する干渉高さHiは、
図1Bに示すように、基準値Tfと合計転位係数Tとの差にモジュールMを乗じた値となる。そこで、本実施の形態にかかるハイポサイクロイド減速機構1においては、
図2Aに示すように、インターナル歯車2の歯丈Hを標準値の歯丈HCよりも干渉高さHi以上、1.0モジュール以下の範囲の短縮量ΔH分、短縮するようにした。
【0018】
具体的には、歯数差1における基準値Tf(=1)に対して、短縮量ΔHの範囲で最も小さな値である干渉高さHi(0.6M=(1.0-0.4)×M)分短縮するようにした。つまり、インターナル歯車2は、標準値で構成した場合のトロコイド干渉が発生する歯先領域を削除したことになる。これにより、
図2Bに示すように、歯3tの移動(移動方向Dm3)に伴うトロコイド干渉が生じず、摺動摩擦の期間を最小限に抑えた状態で運転することが可能となる。
【0019】
さらに、合計転位係数Tの減少により、標準値に対応した仕様(表1)で構成した場合と比べ、0.971であったインターナル歯車2と遊星歯車3の中心距離が、0.723まで短縮される。そのため、遊星歯車3の摺動速度が小さくなって摩擦損失が少なくなり、歯車効率が向上する。なお、摺動面積が少なくなるが、歯2tと歯3tは面接触しているため、歯面強度は問題とはならない。逆に、インターナル歯車2の歯丈Hが短くなることにより、インターナル歯車2の歯元強度が増し、負荷能力が向上する。
【0020】
なお、本実施の形態1および以降の各実施の形態においては、短縮量ΔHを上述した範囲のうちの最小値に設定する例を示したが、これに限ることはない。最大値である1.0Mに設定してもよい。ただし、1.0Mを超えると、歯先部分に集中して荷重がかかることになり、負荷能力が低下するため、短縮量ΔHは、上限値以下にする必要がある。なお、実施の形態2以降のように、遊星歯車3の歯丈Hも短縮する場合は、それぞれの短縮量ΔHの合計値を基準値Tfと合計転位係数Tとの差にモジュールMを乗じた値以上、1M以下の値に設定する。
【0021】
また、本実施の形態1および以降の各実施の形態においては、トロイダル干渉の影響が最も大きくなる歯数差が1の場合を例示するが、これに限ることはない。歯数差が2枚以上、7枚以下のハイポサイクロイド減速機構1では、歯数差1と比べれば、基準値Tfは小さくなるが、ある一定以上の値(例えば、0.8)に設定する必要がある。そのため、歯数差で決まる基準値Tfよりも合計転位係数Tを小さくし、それに応じた短縮量ΔHで歯丈Hを短縮することで、上述した効果を奏することが可能となる。
【0022】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、短縮量のすべてをインターナル歯車に割り当てた例について説明した。本実施の形態2においては、短縮量を遊星歯車にも割り振った場合について説明する。
図3と
図4は、実施の形態2にかかるハイポサイクロイド減速機構の構成および動作について説明するためのものであり、
図3はハイポサイクロイド減速機構を軸方向の離れた位置から見たときの平面図(
図3A)と遊星歯車の歯丈の設定について説明するための拡大模式図(
図3B)である。そして、
図4はハイポサイクロイド減速機構におけるインターナル歯車に対する遊星歯車の歯の移動状態を説明するための模式図である。
【0023】
本実施の形態2においては、
図3Aに示すように、インターナル歯車2だけでなく、遊星歯車3についても歯丈Hを短縮するようにした。短縮量ΔHは、インターナル歯車2、遊星歯車3ともに、同じ0.3Mとした。つまり、実施の形態1の説明で用いた表2のうち、歯丈についての遊星歯車の欄、インターナル歯車の欄、それぞれの値を1.95に書き換えたものとなる。
【0024】
ここで、インターナル歯車2については、実施の形態1と同様に、歯先部分を削除した形態としている。一方、遊星歯車3の歯3tについては、
図3Bに示すように、標準歯形3tCの歯元部分を短縮量ΔHに応じて削除した形態としている。
【0025】
このように、双方の歯丈Hを短縮することで、加工時間が短縮される。さらに、遊星歯車3の歯丈も短くなるため、遊星歯車3の歯元強度が増し、負荷能力が向上する。
【0026】
実施の形態3.
上記、実施の形態2においては、絶対値合計と基準値との差に応じた歯丈の短縮について説明した。本実施の形態3においては、さらに歯および溝の幅を短縮した例について説明する。
図5と
図6は、実施の形態3にかかるハイポサイクロイド減速機構の構成および動作について説明するためのものであり、
図5はハイポサイクロイド減速機構を軸方向の離れた位置から見たときの平面図である。そして、
図6は、実施の形態2のハイポサイクロイド減速機構におけるインターナル歯車と遊星歯車の歯先ピッチと歯溝ピッチを説明するための模式図(
図6A)と実施の形態3にかかるインターナル歯車と遊星歯車の歯先ピッチと歯溝ピッチを説明するための模式図(
図6B)である。
【0027】
本実施の形態3においては、表3に示すように、歯丈Hについては、実施の形態2と同様に、インターナル歯車2、遊星歯車3それぞれの短縮量を0.3とした。一方、歯先ピッチsiと歯先ピッチsp、歯溝ピッチeiと歯溝ピッチepについては、標準値(si=sp、ei=sp)を用いた実施の形態2(
図6A)とは異なり、短縮するようにした。
【0028】
【0029】
なお、歯先ピッチsiと歯先ピッチspは、それぞれ、インターナル歯車2の噛み合いピッチ円Cpi上での歯2tの幅と、遊星歯車3の噛み合いピッチ円Cpp上での歯3tの幅である。また、歯溝ピッチeiと歯溝ピッチepは、それぞれ、インターナル歯車2の噛み合いピッチ円Cpi上での溝2tsの幅と、遊星歯車3の噛み合いピッチ円Cpp上での溝3tsの幅である。
【0030】
具体的には、
図6Bに示すように、歯丈Hを標準値の歯丈HCからの短縮に応じ、インターナル歯車2の歯先ピッチsiを標準値の半分以下に設定し、それに合わせて遊星歯車3の歯溝ピッチepも標準値の半分以下に設定した。これにより、同一歯数および同一モジュールを有する標準値の歯形で構成したハイポサイクロイド減速機構と比較して、噛み合いピッチ円直径で30%小さくできるため、減速機を小さくできる効果がある。
【0031】
つまり、実施の形態1と同様の歯車効率の向上と、実施の形態2と同様の歯車強度の増大だけでなく、歯車サイズを小さくできる。一方、歯車外径を標準値に準じたサイズにした場合は、同一モジュールでも歯数を多くとることができるため、さらに高減速比を得ることができるなど、設計の裕度を拡大できる効果がある。
【0032】
なお、本願は、例示的な実施の形態が記載されているが、実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、本願は、並歯を基準として例示を行ったが、これに限ることはなく、低歯、高歯を基準としても適用可能である。
【0033】
以上のように、本実施の形態にかかるハイポサイクロイド減速機構1によれば、インターナル歯車2、およびインターナル歯車2の内周側に配置された遊星歯車3を備え、インターナル歯車2と遊星歯車3それぞれの転位係数の絶対値合計Tは、日本歯車工業会規格(例えば、JIS B1701-1:2012、付属書ISO 54)の標準歯形寸法を基準とするインターナル歯車と遊星歯車の歯数差で定まるトロコイド干渉を回避するための基準値Tfよりも小さく設定され、インターナル歯車2の歯丈Hは、絶対値合計Tと基準値Tfとの差に応じて、標準歯形寸法による歯丈HCよりも短縮しているように構成したので、歯車効率と歯車負荷能力を両立させたハイポサイクロイド減速機構1を得ることができる。
【0034】
とくに、遊星歯車3の歯丈Hも、標準歯形寸法の歯丈HCよりも短縮しているように構成すれば、歯車強度も向上する。
【0035】
その際、インターナル歯車2の歯丈Hの短縮量ΔHと遊星歯車3の歯丈Hの短縮量ΔHが同じであるので、歯車強度を最大限に向上させることができる。
【0036】
インターナル歯車2の噛み合いピッチ円Cpi上での歯先ピッチsiは、標準歯形寸法に準じたピッチよりも狭くしており、遊星歯車3の噛み合いピッチ円Cpp上での歯溝ピッチも、前記歯先ピッチに合わせて前記標準歯形寸法に準じたピッチよりも狭くすれば、歯車サイズを小さくできる。あるいは、歯車サイズを変えずに減速比をさらに大きくすることができる。
【0037】
インターナル歯車2の歯丈Hの短縮量ΔHと遊星歯車3の歯丈Hの短縮量ΔHを合計した値は、絶対値合計Tと基準値Tfとの差以上、かつ1.0以下の範囲内で設定されているので、歯車効率と歯車負荷能力を確実に両立させることができる。
【0038】
歯数差は7以下であるので、高い減速比が得られ、歯車効率と歯車負荷能力を両立させたハイポサイクロイド減速機構1を得ることができる。
【0039】
歯数差が1であるので、最大限の減速比が得られ、歯車効率と歯車負荷能力を両立させたハイポサイクロイド減速機構1を得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1:ハイポサイクロイド減速機構、 2:インターナル歯車、 2t:歯、 2ts:溝、 3:遊星歯車、 3t:歯、 3ts:溝、 4:偏芯軸、 5:偏芯軸用軸受、 6:出力ピン、 7:出力ピン用軸受、 Cpi:(インターナル歯車の)噛み合いピッチ円、 Cpp:(遊星歯車の)噛み合いピッチ円、 Dm3:移動方向、 ei:歯溝ピッチ、 ep:歯溝ピッチ、H:歯丈、 Hi:干渉高さ、 M:モジュール、 si:歯先ピッチ、 sp:歯先ピッチ、 T:合計転位係数、 Tf:(歯数差で決まる合計転位係数の)基準値、 Xi:インターナル歯車中心、 Xp:遊星歯車中心、 ΔH:短縮量。