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特許7546509造粒炭及びその製造方法、空気清浄機用フィルター、並びに空気清浄機
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  • 特許-造粒炭及びその製造方法、空気清浄機用フィルター、並びに空気清浄機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】造粒炭及びその製造方法、空気清浄機用フィルター、並びに空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/384 20170101AFI20240830BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20240830BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20240830BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20240830BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
C01B32/384
A61L9/014
B01J20/20 E
B01J20/28 Z
B01J20/30
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021058321
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022155011
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591147694
【氏名又は名称】大阪ガスケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】天羽 國顕
(72)【発明者】
【氏名】秋山 穣慈
(72)【発明者】
【氏名】関 建司
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/044587(WO,A1)
【文献】特開2017-178697(JP,A)
【文献】国際公開第2005/113435(WO,A1)
【文献】特開2016-147218(JP,A)
【文献】特開昭57-129813(JP,A)
【文献】特開昭63-011512(JP,A)
【文献】特開2019-209312(JP,A)
【文献】特開2010-064040(JP,A)
【文献】特開平09-290164(JP,A)
【文献】特開平02-160019(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109663564(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00 -32/991
A61L 9/00 - 9/22
B01J 20/00 -20/28
20/30 -20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、側面、及び下面を有する円柱形状であり、
前記上面と前記側面との縁部、及び/又は前記下面と前記側面との縁部が、曲面であり、
前記上面の半径方向における、前記縁部の曲面の長さをR 1 とし、
前記下面の半径方向における、前記縁部の曲面の長さをR 2 とし、
前記上面の半径方向に平行な前記円柱における円形断面のうち最も大きな面積を有する円形断面の半径をrとしたときに、
1 /rとR 2 /rとの平均値が、0.16以上0.69以下であり、
前記円柱における中心軸の長さをLとし、前記上面の半径方向に平行な前記円柱における円形断面のうち最も大きな面積を有する円形断面の直径をDとしたときに、L/Dが1.7以上3.0以下であり、
JIS K1474に準拠して得られた硬度が95%以上である、造粒炭。」
【請求項2】
下記式(1)で示される性能Xが125以上である、請求項1に記載の造粒炭。
性能X=(E/(30/ρ))×100・・・(1)
(式(1)中、EはJEMA1467脱臭性能試験法にて得られた初期の除去率(%)を示し、ρは前記造粒炭の充填密度(g/cm3)を示す)。
【請求項3】
性炭粉末と、機能性粉末と、有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンとを混練する工程と、
前記混練する工程で得られた混練物を造粒する工程と、
前記造粒する工程で得られた造粒物を整粒する工程と、
前記整粒する工程で得られた整粒物を硬化する工程と、を含む、
請求項1又は2に記載の造粒炭の製造方法
【請求項4】
前記活性炭粉末の比表面積が1400m2/g未満である、請求項に記載の造粒炭の製造方法
【請求項5】
性炭粉末と、機能性粉末と、有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンと、金属酸化物とを混練する工程と、
前記混練する工程で得られた混練物を造粒する工程と、
前記造粒する工程で得られた造粒物を整粒する工程と、
前記整粒する工程で得られた整粒物を硬化する工程と、を含み、
前記活性炭粉末の比表面積が1400m2/g以上である、
請求項1又は2に記載の造粒炭の製造方法
【請求項6】
前記金属酸化物の比重が2.5以上である、請求項に記載の造粒炭の製造方法
【請求項7】
前記金属酸化物が、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項又はに記載の造粒炭の製造方法
【請求項8】
前記機能性粉末がスルファニル酸を含む、請求項のいずれか一項に記載の造粒炭の製造方法
【請求項9】
前記機能性粉末の平均粒子径(D50)が30μm以下である、請求項のいずれか一項に記載の造粒炭の製造方法
【請求項10】
前記有機バインダー樹脂の平均粒子径(D50)が1μm以下である、請求項のいずれか一項に記載の造粒炭の製造方法
【請求項11】
請求項1又は2に記載の造粒炭を含む、空気清浄機用フィルター。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の造粒炭を含む、空気清浄機。
【請求項13】
活性炭粉末と、機能性粉末と、有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンと、必要に応じて金属酸化物とを混練する工程と、
前記混練する工程で得られた混練物を造粒する工程と、
前記造粒する工程で得られた造粒物を整粒する工程と、
前記整粒する工程で得られた整粒物を硬化する工程と、を含み、
前記整粒する工程が、前記造粒物を、球形整粒機を用いて整粒する工程である、請求項1又は2に記載の造粒炭の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造粒炭及びその製造方法、空気清浄機用フィルター、並びに空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境社会において、臭気公害対策への関心が高まっている。臭気公害としては、例えば、排ガスによる公害が問題となっている。臭気物質としては、酸性ガス、アルデヒドガス、塩基性ガス、及び硫黄系の中性ガスなどが挙げられる。これらのガスを除去する排ガス処理分野では、空気浄化としての機能性、及び抗菌・抗ウイルスに対する機能性が求められている。各種臭気物質を吸着除去するために、それぞれの臭気物質に対応する薬品(化学物質)を添着した活性炭などの吸着材が用いられている。
【0003】
活性炭にこれらの機能性を付加する方法としては、飽和環状第二アミン(ピペリジン、及びモルホリンなど)を多孔質担体の活性炭に担持(添着)した吸着材(特許文献1)、及びヒドロキシアミン化合物とヒドロキシアミン化合物以外のアミン化合物とを多孔質担体の活性炭に添着した吸着材が知られている(特許文献2)。しかし、その添着手法では、薬剤が水又は有機溶媒に可溶なものに限定され、汎用性に乏しい。
【0004】
そこで、上記添着技術以外にも、結合剤を使用して粉末吸着材と薬剤とを混練する後造粒技術が知られている。この後造粒技術では、添着技術より多量の薬剤を導入できるため、得られる造粒炭は、添着技術で得られる添着炭の問題を生ずることなく、各種有毒ガスだけでなく混合ガスも除去できるなど、より高い除去性能を有することが知られている(特許文献3)。なお、造粒炭は、結合剤を用いて、活性炭と各種薬剤などを混練し、造粒し、硬化させて得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3253323号公報
【文献】特開2018-114463号公報
【文献】特許第5430987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3の後造粒技術で得られる造粒炭は、吸着材としての硬度及び耐摩耗性に課題を有する。
【0007】
また、例えば、吸着材を空気清浄機用フィルターなどに使用する際には、その充填密度を高くすることが求められる。すなわち、造粒炭の充填密度が低い場合では、質量基準に吸着材を充填した際に層高が高くなるため圧力損失が高くなり、通気性に影響を与えるとの問題を有する。そこで体積基準に吸着材を充填することが考えられるが、このように充填した際には、充填される吸着材が少なくなるため、容量当たりの吸着性能が発揮されないとの問題を有する。
【0008】
従って、本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、臭気性ガスに対して十分な吸着性能を有し、硬度及び耐摩耗性に優れ、空気清浄機用フィルターなどに対して高い充填密度で充填することが可能な造粒炭及びその製造方法、空気清浄機用フィルター、並びに空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、上面、側面、及び下面を有する円柱形状であり、上面と側面との縁部、及び/又は下面と側面との縁部が、曲面である造粒炭を用いることで、臭気性ガスに対して十分な吸着性能を有し、硬度及び耐摩耗性に優れ、空気清浄機用フィルターなどに対して高い充填密度で充填することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下の実施形態を含む。
【0011】
[1]上面、側面、及び下面を有する円柱形状であり、前記上面と前記側面との縁部、及び/又は前記下面と前記側面との縁部が、曲面である、造粒炭。
[2]前記上面の半径方向における、前記縁部の曲面の長さをR1とし、前記下面の半径方向における、前記縁部の曲面の長さをR2とし、前記上面の半径方向に平行な前記円柱における円形断面のうち最も大きな面積を有する円形断面の半径をrとしたときに、R1/rとR2/rとの平均値が、0.20以上である、[1]に記載の造粒炭。
[3]前記円柱における中心軸の長さをLとし、前記上面の半径方向に平行な前記円柱における円形断面のうち最も大きな面積を有する円形断面の直径をDとしたときに、L/Dが3.0以下である、[1]又は[2]に記載の造粒炭。
[4]下記式(1)で示される性能Xが125以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の造粒炭。
性能X=(E/(30/ρ))×100・・・(1)
(式(1)中、EはJEMA1467脱臭性能試験法にて得られた初期の除去率(%)を示し、ρは前記造粒炭の充填密度(g/cm3)を示す)。
[5]JIS K1474に準拠して得られた硬度が95%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の造粒炭。
[6]前記造粒炭が、活性炭粉末と、機能性粉末と、有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンとを混練し、造粒し、整粒し、硬化してなる、[1]~[5]のいずれかに記載の造粒炭。
[7]前記活性炭粉末の比表面積が1400m2/g未満である、[6]に記載の造粒炭。
[8]前記造粒炭が、活性炭粉末と、機能性粉末と、有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンと、金属酸化物とを混練し、造粒し、整粒し、硬化してなり、前記活性炭粉末の比表面積が1400m2/g以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の造粒炭。
[9]前記金属酸化物の比重が2.5以上である、[8]に記載の造粒炭。
[10]前記金属酸化物が、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種である、[8]又は[9]に記載の造粒炭。
[11]前記機能性粉末がスルファニル酸を含む、[6]~[10]のいずれかに記載の造粒炭。
[12]前記機能性粉末の平均粒子径(D50)が30μm以下である、[6]~[11]のいずれかに記載の造粒炭。
[13]前記有機バインダー樹脂の平均粒子径(D50)が1μm以下である、[6]~[12]のいずれかに記載の造粒炭。
[14][1]~[13]のいずれかに記載の造粒炭を含む、空気清浄機用フィルター。
[15][1]~[13]のいずれかに記載の造粒炭を含む、空気清浄機。
[16]活性炭粉末と、機能性粉末と、有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンと、必要に応じて金属酸化物とを混練する工程と、前記混練する工程で得られた混練物を造粒する工程と、前記造粒する工程で得られた造粒物を整粒する工程と、前記整粒する工程で得られた整粒物を硬化する工程と、を含み、前記整粒する工程が、前記造粒物を、球形整粒機を用いて整粒する工程である、[1]~[13]のいずれかに記載の造粒炭の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、臭気性ガスに対して十分な吸着性能を有し、硬度及び耐摩耗性に優れ、空気清浄機用フィルターなどに対して高い充填密度で充填することが可能な造粒炭及びその製造方法、空気清浄機用フィルター、並びに空気清浄機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る造粒炭を説明するための模式図である。
図2図1における上面部分の拡大図である。
図3】本発明に係る造粒炭を説明するための別の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
【0015】
[造粒炭]
本実施形態の造粒炭は、上面、側面、及び下面を有する円柱形状であり、上面と側面との縁部、及び/又は下面と側面との縁部が、曲面である。円柱形状において縁部が曲面であると、空気清浄機用フィルターなどに造粒炭を使用する際に、造粒炭から発生する塵埃及び造粒炭同士の衝突などに起因する造粒炭の破損によって引き起こされるトラブルを防止することができる。また、容器及びフィルターなどに造粒炭を高密度で充填することができる。そのため、質量基準にて吸着材を充填する際には、層高とならず、圧力損失を低く抑えることができるため、良好な通気性を与えることができる。また、体積基準にて吸着材を充填する際には、吸着材を多く充填することができるため、容量当たりで高い吸着性能は発揮することが可能となる。
【0016】
次に、本実施形態の造粒炭の形状について、図1乃至3を用いて概説する。
造粒炭は、図1及び2に示すように、上面1と、側面2と、下面3とを有する円柱形状であり、上面1と側面2との縁部4、及び/又は下面3と側面2との縁部4が、曲面である。本実施形態では、図3に示すように、上面1及び下面2がそれぞれ点であり、すなわち、円柱形状と、円柱形状の上部及び下部が半球である形状とを有する造粒炭も包含する。上部、及び下部のいずれかが半球である形状を有する造粒炭であってもよい。
【0017】
本実施形態において、円柱形状とは、幾何学的に厳密な円柱である必要はなく、円柱における中心軸に対して垂直な平面での断面形状(以下、単に「断面形状」という。)が、卵形、直円形、及び楕円形である柱体形状を包含し、円柱が多少湾曲したり、円柱の表面が多少凹凸を有していたりするものも包含する。なお、本実施形態において、直円形又は楕円形としては、例えば、その形状の長軸と短軸との比(長軸/短軸)が3以下のものを意味する。断面形状としては、容器及びフィルターなどに造粒炭をより高密度で充填することが可能となることから、円形、及び楕円形が好ましい。
【0018】
上面1及び下面3の断面形状は、例えば、円形、卵形、直円形、及び楕円形が挙げられる。これらの中でも、容器及びフィルターなどに造粒炭をより高密度で充填することが可能となることから、円形、及び楕円形が好ましい。
【0019】
造粒炭は、例えば、図1及び2に示すように、上面1と側面2との縁部4、及び下面3と側面2との縁部4のいずれか、又は両方が、曲面である。これらの中でも、容器及びフィルターなどに造粒炭をより高密度で充填することが可能となることから、上面1と側面2との縁部4、及び下面3と側面2との縁部4の両方が、曲面であることが好ましい。
なお、本実施形態において、上面1と側面2との縁部4とは、上面1の周と側面2の上周との接続部分を意味し、その接続部分の形状が、凸面の曲面である。曲面の曲率は、全て同じであっても異なっていてもよい。同様に、下面3と側面2との縁部4とは、下面3の周と側面2の下周との接続部分を意味し、その接続部分の形状が、凸面の曲面である。曲面の曲率は、全て同じであっても異なっていてもよい。
【0020】
造粒炭は、図1及び2に示すように、上面1の半径方向における、縁部4の曲面の長さをR1とし、下面2の半径方向における、縁部4の曲面の長さをR2とし、上面1の半径方向に平行な円柱における円形断面のうち最も大きな面積を有する円形断面の半径をrとしたときに、R1/rとR2/rとの平均値が、0.20以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましく、0.30以上であることが更に好ましい。R1/rとR2/rとの平均値の上限は、特に限定されないが、造粒炭の形状を考慮すると、1以下である。
1/rとR2/rについては、いずれかの数値範囲が上記の数値範囲にあることがより好ましく、両方の数値範囲が上記の数値範囲にあることが更に好ましい。
【0021】
なお、本実施形態において、半径方向とは、上面1及び下面3の断面形状が、円形の場合、その円形の半径を意味する。そして、円形の場合、R1及びR2は、その半径に沿った曲面の長さを意味する。一方、上面1及び下面3の形状が、卵形、長円形又は楕円形の場合、半径方向とは、それらの形状において、最も長い方向(即ち、長軸方向)を意味する。そして、R1及びR2は、その長軸に沿った曲面の長さを意味する。なお、本実施形態において、円形とは、真円に加えて、卵形、直円形、及び楕円形も包含する。
【0022】
1/rとR2/rとの平均値が、上記の範囲にあると、硬度及び耐摩耗性に優れる傾向にある。また、容器及びフィルターなどに造粒炭を一層高密度で充填することができるため、より良好な通気性を与えることができ、更に高い吸着性能を発揮できる傾向にある。
【0023】
造粒炭は、図1に示すように、円柱における中心軸の長さをLとし、上面1の半径方向に平行な円柱における円形断面のうち最も大きな面積を有する円形断面の直径をDとしたときに、L/Dが3.0以下であることが好ましく、L/Dが2.5以下であることがより好ましく、L/Dが2.0以下であることが更に好ましい。L/Dの下限は、特に限定されないが、造粒炭の形状を考慮すると、1以上である。
L/Dが、上記の値にあると、容器及びフィルターなどに造粒炭をより高密度で充填することができるため、より良好な通気性を与えることができ、更に高い吸着性能を発揮できる傾向にある。
【0024】
造粒炭は、用途によっても異なるが、容器及びフィルターなどに造粒炭を更に高密度で充填することができることから、L/DのうちLの値は、6mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、4mm以下であることが更に好ましい。Lが、6mmを超えると、容器及びフィルターなどに対する造粒炭の充填密度が更に低くなる傾向にある。Lの下限は、特に限定されないが、造粒炭の形状を考慮すると、2mm以上である。
【0025】
造粒炭は、用途によっても異なるが、L/DのうちDの値は、4mm以下であることが好ましい。また、Dの下限は、1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。Dの値が上記範囲にあると、造粒炭と吸着ガスとの接触効率がより良好となり、十分な除去性能を発揮する傾向にある。また、Dの値が上記範囲にあると、造粒炭は、より好適な大きさと硬度を有するため、容器及びフィルターなどに造粒炭を充填する際に、目詰まりや破損を一層生じにくい傾向にある。
【0026】
本実施形態において、R1、R2、r、L、及びDは、公知の方法で測定することができる。このような方法としては、例えば、ノギスなどの測定用具を用いての測定、及び造粒炭を光学顕微鏡や電子顕微鏡にて拡大後、拡大画像にてメジャーを用いて計測するなどが挙げられる。また、測定回数は、特に限定されないが、通常20回程度を基準とする。具体的な測定方法は、実施例を参照すればよい。
【0027】
造粒炭は、臭気性ガスに対して十分な吸着性能を有することから、下記式(1)で示される性能Xが125%以上であることが好ましく、130%以上であることがより好ましく、135%以上であることが更に好ましい。なお、臭気性ガスとしては、例えば、アルデヒドガスなどの酸性ガス、アンモニアガスなどの塩基性ガス、及び硫黄系の中性ガスなどが挙げられる。本実施形態において、性能Xは、体積基準において、容器および及びフィルター等などに造粒炭を充填した際の吸着性能を示し、性能Xが高いほど、体積基準での吸着性能に優れることを示す。
【0028】
性能X=(E/(30/ρ))×100・・・(1)
式(1)中、EはJEMA1467脱臭性能試験法にて得られる初期の除去率(%)を示し、ρは前記造粒炭の充填密度(g/cm3)を示す。
【0029】
性能Xが、125%未満であると、吸着材としての吸着性能がより低いことや、造粒炭の充填密度がより低いことが示唆され、空気清浄機用フィルターなどに使用する吸着材として十分な性能を有しない傾向にある。
性能Xの具体的な算出方法は、実施例を参照すればよい。
【0030】
造粒炭は、JIS K1474に準拠して測定した硬度が、95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましい。硬度が、上記範囲にあると、空気清浄機用フィルターなどに造粒炭を使用する際に、造粒炭から発生する塵埃及び造粒炭同士の衝突などに起因する造粒炭の破損によって引き起こされるトラブルを一層防止することができる。硬度の具体的な測定方法については、実施例を参照すればよい。
【0031】
造粒炭は、活性炭粉末と、機能性粉末と、有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンと、必要に応じて金属酸化物とを混練し、造粒し、整粒し、硬化してなる。
【0032】
(活性炭粉末)
活性炭粉末としては、種々の活性炭の粉末を使用することができる。活性炭としては、例えば、木材、木粉、ヤシ殻、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜、石炭(泥炭、亜炭、褐炭、及び瀝青炭など)、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、及びコールタールなどの植物系原料又は化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、及びポリアミド樹脂などの各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、及びポリクロロプレンなどの合成ゴム;その他合成木材;合成パルプなどを原料とする活性炭などが挙げられる。これらの中でも、石炭、及びヤシ殻を原料とする活性炭が好ましい。これらの活性炭は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0033】
活性炭は、上記の原料を、必要に応じて炭化又は不融化した後、賦活処理した活性炭であってもよい。炭化方法、不融化方法、及び賦活方法は、特に限定されず、慣用の方法が利用できる。賦活方法としては、例えば、賦活ガス(水蒸気、及び二酸化炭素など)中において、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を500~1000℃程度で熱処理するガス賦活法、並びに炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活剤(リン酸、塩化亜鉛、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムなど)と混合し、300~800℃程度で熱処理する化学的賦活法などが挙げられる。賦活処理して得られる活性炭は、そのまま使用してもよい。また、賦活処理して得られる活性炭は、酸や水による洗浄、及び熱処理を行い、活性炭の付着成分、及び表面官能基などを除去して使用してもよい。
【0034】
活性炭粉末の比表面積は、600~2200m2/gであることが好ましく、1000~2000m2/gであることが好ましく、1200~1650m2/gであることが好ましい。活性炭粉末の比表面積が上記範囲にあると、臭気性ガスに対してより十分な吸着性能を有し、より優れた硬度を有する傾向にある。活性炭の比表面積は、BET法に基づいて測定する。具体的な測定方法は、実施例を参照すればよい。
【0035】
活性炭粉末の比表面積が上記下限値よりも大きいと、臭気性ガスに対してより十分に吸着性能が機能する傾向にある。一方、活性炭粉末の比表面積が上記上限値よりも小さいと、容器及びフィルターなどに対する充填密度がより高くなる傾向あるため、更に良好な通気性を与えることができ、一層高い吸着性能を発揮できる傾向にある。
【0036】
本実施形態において、比表面積が1400m2/g未満である活性炭粉末を用いると、容器及びフィルターなどに造粒炭を一層高密度で充填することができ、容量当たり、高い吸着性能をより発揮することが可能となる傾向にある。
【0037】
比表面積が1400m2/g以上の活性炭粉末を用いる場合、容器及びフィルターなどに対する充填密度を一層高めるために、造粒炭の製造において、活性炭と共に金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物を用いることで、容器及びフィルターなどに対する充填密度をより高めることができるため、良好な通気性を与えることができ、高い吸着性能を一層発揮できる傾向にある。
【0038】
容器及びフィルターなどに造粒炭をより高密度で充填することができることから、活性炭粉末の平均粒子径(D50)は、20~30μmであることが好ましい。平均粒子径(D50)が、20μm以上であると、造粒炭の硬度が更に高まり、容器及びフィルターなどに造粒炭を充填する際に、目詰まりや破損を生じるのを抑制することができる。また、硬度の低下を抑制するためには、結合剤の使用量を増加させることが考えられるが、平均粒子径(D50)が20μm以上であると、結合剤が吸着性能を低下させるのを防ぐことができる。平均粒子径(D50)が、30μm以下であると、容器及びフィルターなどに造粒炭をより高密度で充填することができる傾向にある。
【0039】
本実施形態において、平均粒子径(D50)は、レーザー回折光散乱法粒度分布測定装置を用いて、体積基準のメジアン径として測定される。具体的な測定方法は、実施例を参照すればよい。
【0040】
(金属酸化物)
容器及びフィルターなどに対する充填密度をより高めるために、金属酸化物としては、比重が2.5以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、3.5以上であることが更に好ましい。比重の上限としては、特に限定されないが、容器及びフィルターなどに対する造粒炭の充填密度を考慮すると、10以下である。
【0041】
容器及びフィルターなどに造粒炭をより高密度で充填することができることから、金属酸化物の平均粒子径(D50)は、10~50μmであることが好ましい。
【0042】
臭気性ガスに対する吸着性能を損なうことなく、容器及びフィルターなどに対する充填密度を一層高めることができることから、金属酸化物としては、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムが好ましい。これらの金属酸化物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0043】
金属酸化物の使用量は、粉末活性炭100質量部に対して、5~15質量部であることが好ましく、7~13質量部であることがより好ましい。
【0044】
(機能性粉末)
機能性粉末としては、酸性ガス及び塩基性ガスとの反応性により優れることから、スルファニル酸(4-アミノベンゼンスルホン酸)が好ましい。
【0045】
機能性粉末の平均粒子径(D50)は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。なお、機能性粉末の平均粒子径(D50)の下限は特に限定されず、例えば、5μm以上であってもよい。
【0046】
機能性粉末の使用量は、活性炭粉末100質量部に対して、5~30質量部であることが好ましく、10~20質量部であることがより好ましい。機能性粉末の使用量が、上記範囲にあると、活性炭の物理吸着による除去性能を維持しつつ、機能性粉末の化学吸着による一層の除去性能を有する造粒炭を得ることができる傾向にある。
【0047】
(有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョン)
有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンは、結合剤として用いる。有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンとしては、有機バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)が0~200℃であることが好ましく、0~150℃であることがより好ましく、0~120℃であることが更に好ましい。本実施形態では、有機バインダー樹脂のガラス転移温度が上記範囲にある水系エマルジョンであっても、機能性粉末の融解温度未満で硬化する有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンを用いることが好ましい。
【0048】
有機バインダー樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル系共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂、並びにこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体が挙げられる。なお、本実施形態において、樹脂には、(共)重合体も含む。
【0049】
有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンとしては、自己架橋型のアクリル酸エステル系共重合体を含む水系エマルジョン、フェノール樹脂を含む水系エマルジョン、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む水系エマルジョンが好ましく、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含む水系エマルジョンがより好ましい。エチレン-酢酸ビニル共重合体を含む水系エマルジョンは、固形分を40~60質量%程度含むことが好ましい。
【0050】
有機バインダー樹脂の平均粒子径(D50)は、1μm以下であることが好ましい。
【0051】
有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンの使用量は、活性炭粉末100質量部に対して、固形分換算で、5~20質量部であることが好ましく、7~16質量部であることが好ましい。有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンが上記の範囲にあると、活性炭粉末の細孔を一層閉塞せず、より好適な吸着性能が得られる傾向にある。また、造粒炭の硬度も低下せず、容器及びフィルターなどに造粒炭を充填する際に、目詰まりや破損をより生じない傾向にある。
【0052】
(その他の添加剤)
造粒炭は、活性炭粉末と、機能性粉末と、有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンと、必要に応じて金属酸化物と共に、その他の添加剤を含んで、これらの混合物を混練し、造粒し、整粒し、硬化してなってもよい。
このような添加剤としては、例えば、滑剤などが挙げられる。
【0053】
滑剤しては、例えば、カカオ脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及び重質無水ケイ酸などが挙げられる。滑剤としては、市販品を用いてもよい。
【0054】
[造粒炭の製造方法]
本実施形態の造粒炭の製造方法は、活性炭粉末と、機能性粉末と、有機バインダー樹脂を含む水系エマルジョンと、必要に応じて金属酸化物とを混練する工程と、混練する工程で得られた混練物を造粒する工程と、造粒する工程で得られた造粒物を整粒する工程と、整粒する工程で得られた整粒物を硬化する工程と、を含む。本実施形態において、整粒する工程は、造粒物を球形整粒機を用いて整粒する工程である。
【0055】
混練する工程は、例えば、各成分を、ブレンダー、及びヘンシェルミキサーなどによりブレンドする工程である。該工程では、通常常温で行い、手で握れる状態となるまで混錬すればよい。
【0056】
造粒する工程では、例えば、混練物を押出成形機で押し出し、更に切断して、円柱形状の造粒物を得る。
【0057】
整粒する工程では、例えば、造粒物を、球形整粒機を用いて所定の形状を有する造粒炭に整粒する。整粒する工程を経ることで、造粒物の角が取れて、上面1、側面2、及び下面3を有する円柱形状であり、上面1と側面2との縁部4、及び/又は下面3と側面2との縁部4が、曲面である、整粒物を得ることができる。球形整粒機としては、例えば、(株)ダルトン製マルメライザー(商品名)を用いることができる。
【0058】
硬化する工程では、例えば、流動乾燥機を用いて、整粒物を乾燥させて硬化し、造粒炭を得る。乾燥温度としては、結合剤が硬化し、かつ、機能性粉末が融解しない温度であればよく、例えば、50~150℃程度である。
【0059】
[空気清浄機用フィルター及び空気清浄機]
本実施形態の空気清浄機用フィルターは、造粒炭を含む。また、本実施形態の空気清浄機は、造粒炭を含む。
【0060】
本実施形態の造粒炭は、例えば、アンモニアガス、アルデヒドガス、及び酢酸ガスなどの臭気性ガスに対して十分な吸着性能を有し、硬度及び耐摩耗性に優れ、空気清浄機用フィルターなどに対して高い充填密度で充填することが可能である。それゆえ、空気清浄機用フィルター、及び空気清浄機に好適に用いることができる。なお、空気清浄機用フィルター、及び空気清浄機の形状などは、特に限定されず、造粒炭は、公知の工業製品である、空気清浄機用フィルター、及び空気清浄機に用いることができる。
【実施例
【0061】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0062】
〔評価方法〕
(1)活性炭の比表面積
活性炭の比表面積(m2/g)は、BET法に基づいて測定した。具体的には、比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製BELSORP(登録商標)-miniII(商品名))により測定した。
【0063】
(2)平均粒子径(D50)
平均粒子径(D50)は、レーザー回折光散乱法粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製MT3300EXII)を用いて、体積基準のメジアン径として測定した。
【0064】
(3)活性炭における各寸法
造粒炭におけるR1、R2、r、L、及びDは、ノギス及び走査電子顕微鏡により測定した。
1、及びR2を用いて、平均値R3を算出した。また、R3を用いて、R3/r(すなわち、R1/rとR2/rとの平均値)を算出した。
【0065】
(4)硬度
造粒炭の硬度(%)は、JIS K1474に準拠して測定した。具体的には、測定には下記に記載している充填密度の測定方法で得られた造粒炭を試料として使用した。直径12.7mm及び直径9.5mmの鋼球それぞれ15個と共に硬さ試験用皿に入れ、ふるい振とう機に取り付け、30分間振とうした。粒度表示範囲の下限の2段下に対応する、ふるいの目開きが1.00mmのふるい及び受皿を用い、鋼球を除いた試料を全部入れ、ふるい振とう機に取り付けたのちに3分間振とうした。ふるい上に残った試料の質量(W)、受皿に残った試料の質量(S)をそれぞれ0.01gの桁まで測定し、次の式によって算出した。
硬さ(%)=W/(W+S)×100
【0066】
(5)造粒炭の充填密度
造粒炭の充填密度(ρ、g/cm3)は、次のように測定した。まず、造粒炭を事前に115±5℃の恒温乾燥器中で3時間乾燥し、デシケーター中で室温まで放冷した。その後、造粒炭を貯蔵漏斗に入れた。バイブレータを使用して、造粒炭の供給量が0.75~1.0mL/sとなるように、貯蔵漏斗の下にセッティングした充填密度測定容器(メスシリンダー100mL)の100mLの標線まで充填した。充填密度測定容器から取り出して、その質量を0.01gの桁まで測定した。
【0067】
(6)性能X
造粒炭30gを充填した脱臭フィルター(間口寸法:120mm×120mm)を、空清ファン又は小型ファンに取り付けた。これを、攪拌ファンを有する1m3のアクリル樹脂製の密閉容器内に格納し、密閉した。その後、JEMA1467脱臭性能試験法にて、タバコ吸煙機を用いてタバコ(商品名:メビウス)を5本、燃焼させた。タバコの燃焼終了5分後に、アンモニア、アセトアルデヒド及び酢酸のそれぞれをガス検知管(ガステック社製No.3La、No.3L、No.92L、及びNo.81L(以上、検知管名))で測定し、初期ガス濃度とした。その後、(急速)運転(風量:約1.1m3/分)にて取り付けた空清ファン又は小型ファンを30分間運転し、上記と同様にガス検知管を用いて、30分後のガス濃度を測定した。アンモニア、アセトアルデヒド及び酢酸のそれぞれにおける、初期ガス濃度と30分後のガス濃度を用いて、下記の式から、それぞれの除去率(%)を算出した。
初期の除去率(%)=(初期ガス濃度-30分後のガス濃度)/初期ガス濃度×100
その後、それぞれの除去率(%)から、平均の除去率(%)を算出して、この値をJEMA1467脱臭性能試験法にて得られた初期の除去率(E、%)とした。
この初期の除去率(E、%)と、充填密度(ρ、g/cm3)を用いて、上記式(1)で示される性能X(%)を算出した。
【0068】
〔実施例1〕
ヤシ殻を原料とした活性炭粉末(比表面積:1525m2/g、平均粒子径(D50):25μm)100質量部に対して、機能性粉末としてスルファニル酸(平均粒子径(D50):9μm)14質量部を混合した。この混合物に対して、結合剤としてエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む水系エマルジョン(固形分50~55質量%、平均粒子径(D50):0.7μm)10質量部(固形分換算)と、純水100質量部とを添加し、ヘンシェルミキサーを用いて3分間混練し、混練物を得た。次いで、混練物を押出成形機で直径2mmの成型ダイスを用いて造粒し、円柱形状の造粒物を得た。次いで、造粒物を球形整粒機を用いて整粒し、整粒物を得た。次いで、流動乾燥機を用いて、熱風の投入温度100℃、排出温度80℃に設定し、整粒物を乾燥し、造粒炭を得た。
得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0069】
〔実施例2〕
簡易な整粒を行った以外は、実施例1と同様にして、造粒炭を得た。得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0070】
〔実施例3〕
簡易な整粒を行った以外は、実施例1と同様にして、造粒炭を得た。得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0071】
〔比較例1〕
造粒物を整粒しない以外は、実施例1と同様にして、造粒炭を得た。得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1の結果より、実施例1~3の造粒炭は、比較例1の造粒炭と比べて、容量当たり、高い吸着性能を有することが分かる。
【0074】
〔実施例4〕
ヤシ殻を原料とした活性炭粉末(比表面積:1525m2/g、平均粒子径(D50):25μm)の代わりに、ヤシ殻を原料とした活性炭粉末(比表面積:1300m2/g、平均粒子径(D50):22μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、造粒炭を得た。得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0075】
〔実施例5〕
ヤシ殻を原料とした活性炭粉末(比表面積:1525m2/g、平均粒子径(D50):25μm)の代わりに、ヤシ殻を原料とした活性炭粉末(比表面積:1600m2/g、平均粒子径(D50):27μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、造粒炭を得た。得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0076】
〔実施例6〕
ヤシ殻を原料とした活性炭粉末(比表面積:1525m2/g、平均粒子径(D50):25μm)の代わりに、ヤシ殻を原料とした活性炭粉末(比表面積:1700m2/g、平均粒子径(D50):26μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、造粒炭を得た。得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】
〔実施例7〕
混合物に対して、金属酸化物として酸化鉄(比重:5.24、平均粒子径(D50):30μm)10質量部を更に加えた以外は、実施例5と同様にして、造粒炭を得た。得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0079】
〔実施例8〕
混合物に対して、金属酸化物として酸化銅(比重:6.31、平均粒子径(D50):27μm)10質量部を更に加えた以外は、実施例5と同様にして、造粒炭を得た。得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0080】
〔実施例9〕
混合物に対して、金属酸化物として酸化アルミニウム(比重:3.95、平均粒子径(D50):30μm)10質量部を更に加えた以外は、実施例5と同様にして、造粒炭を得た。得られた造粒炭について、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0081】
【表3】
【符号の説明】
【0082】
1…上面、2…側面、3…下面、4…縁部(曲面)。
図1
図2
図3