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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/60 20060101AFI20240830BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A01F12/60
A01D41/12 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021167172
(22)【出願日】2021-10-12
(65)【公開番号】P2023057610
(43)【公開日】2023-04-24
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】室谷 友哉
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-330123(JP,A)
【文献】特開平11-299342(JP,A)
【文献】特開2016-067221(JP,A)
【文献】実開平02-113936(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/60
A01D 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫物を貯留する収穫物タンクと、
前記収穫物タンクを側方から覆うカバー部材と、を備え、
前記カバー部材に、人為操作によって係止状態と係止解除状態との間で切り替え可能なバックル機構を有する第1係止部と、フック状であると共に前記第1係止部よりも上側または下側に位置する第2係止部と、が設けられており、
前記カバー部材は、前記第1係止部及び前記第2係止部を介して機体に支持されており、
前記収穫物タンクの外壁において、前記第1係止部に対向する箇所及び前記第2係止部に対向する箇所のうちの一方または両方に窪み部が形成され、
前記外壁における前記窪み部の前端部よりも前側の部分と前記窪み部の後端部よりも後側の部分とに亘って取り付けられ、前記窪み部の横外方に配置された被係止部が備えられ、
前記第1係止部及び前記第2係止部のうちの一方または両方が前記被係止部に係止される収穫機。
【請求項2】
前記外壁において、前記第1係止部に対向する箇所に前記窪み部が形成されている請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記バックル機構は、前記カバー部材に対して姿勢変化可能であると共に前記収穫物タンクに係止可能な複数の爪部を有しており、
前記複数の爪部は一体的に姿勢変化するように構成されており、
前記複数の爪部に対応して一つの前記窪み部が形成されており、
前記窪み部は、前記複数の爪部に対応する大きさを有している請求項2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記カバー部材に、前記カバー部材を前記機体に係止するための複数の係止部が設けられており、
前記複数の係止部は、前記第1係止部及び前記第2係止部を含んでおり、
前記窪み部に対向する前記係止部は、前記カバー部材が前記機体に係止された状態、または、前記カバー部材が前記機体に取り付けられる途中の状態、または、前記カバー部材が前記機体から取り外される途中の状態のうちの少なくとも何れか一つの状態において、前記窪み部に入り込んでいる請求項1から3の何れか一項に記載の収穫機。
【請求項5】
前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記収穫物タンクに係止されており、
前記カバー部材は、前記収穫物タンクに支持されている請求項1から4の何れか一項に記載の収穫機。
【請求項6】
前記第2係止部は、前記第1係止部よりも下側に位置している請求項1から5の何れか一項に記載の収穫機。
【請求項7】
前記外壁は、第1外壁部と、前記第1外壁部よりも下側に位置する第2外壁部と、前記第2外壁部よりも下側に位置する第3外壁部と、を有しており、
前記第2外壁部は、前記第1外壁部よりも機体内側に位置しており、
前記第3外壁部は、前記第2外壁部の下端から、機体内側へ、斜め下方に延びており、
前記カバー部材は、前記第2外壁部及び前記第3外壁部を側方から覆っており、
前記窪み部は、前記第2外壁部に形成されており、
前記第1係止部は前記第2外壁部に係止されており、
前記第2係止部は前記第3外壁部に係止されている請求項6に記載の収穫機。
【請求項8】
前記収穫物タンクのうち前記窪み部が形成された部分である窪み形成部は、前記収穫物タンクのうち前記窪み形成部以外の部分とは別体である請求項1から7の何れか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫物を貯留する収穫物タンクを備える収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような収穫機として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この収穫機は、刈取り部を用いて収穫した収穫物(特許文献1では「穀粒」)を、収穫物タンク(特許文献1では「穀粒タンク」)に貯留するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-187909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の収穫機において、収穫物タンクを側方から覆うカバー部材を設けることが考えられる。
【0005】
ここで、このカバー部材に係止部を設けると共に、カバー部材が当該係止部を介して機体に支持されるように構成した場合、当該係止部と、収穫物タンクの外壁と、の干渉を避ける必要がある。そして、係止部と収穫物タンクの外壁との干渉を避けるために、収穫物タンクの外壁を比較的内側に位置させると、収穫物タンクの容量が少なくなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、収穫物タンクを側方から覆うカバー部材を備えながらも、収穫物タンクの容量が少なくなりにくい収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、収穫物を貯留する収穫物タンクと、前記収穫物タンクを側方から覆うカバー部材と、を備え、前記カバー部材に、人為操作によって係止状態と係止解除状態との間で切り替え可能なバックル機構を有する第1係止部と、フック状であると共に前記第1係止部よりも上側または下側に位置する第2係止部と、が設けられており、前記カバー部材は、前記第1係止部及び前記第2係止部を介して機体に支持されており、前記収穫物タンクの外壁において、前記第1係止部に対向する箇所及び前記第2係止部に対向する箇所のうちの一方または両方に窪み部が形成され、前記外壁における前記窪み部の前端部よりも前側の部分と前記窪み部の後端部よりも後側の部分とに亘って取り付けられ、前記窪み部の横外方に配置された被係止部が備えられ、前記第1係止部及び前記第2係止部のうちの一方または両方が前記被係止部に係止されることにある。
【0008】
本構成によれば、窪み部により、第1係止部または第2係止部と、収穫物タンクの外壁と、の干渉を避けることができる。そのため、第1係止部または第2係止部と収穫物タンクの外壁との干渉を避けるために収穫物タンクの外壁を比較的内側に位置させる必要がない。そして、収穫物タンクの外壁を比較的内側に位置させる場合よりも、窪み部を設ける場合の方が、収穫物タンクの容量が少なくなりにくい。
【0009】
従って、本構成によれば、収穫物タンクを側方から覆うカバー部材を備えながらも、収穫物タンクの容量が少なくなりにくい収穫機を実現できる。
【0010】
さらに、本発明において、前記外壁において、前記第1係止部に対向する箇所に前記窪み部が形成されていると好適である。
【0011】
第1係止部が収穫物タンクの外壁の側方に位置している場合、バックル機構の動作等により第1係止部が収穫物タンクの外壁に干渉すると、第1係止部や収穫物タンクの外壁が損傷してしまう事態が想定される。
【0012】
ここで、本構成によれば、窪み部により、第1係止部と、収穫物タンクの外壁と、の干渉を避けることができる。そのため、第1係止部や収穫物タンクの外壁が損傷してしまう事態を回避できる。
【0013】
さらに、本発明において、前記バックル機構は、前記カバー部材に対して姿勢変化可能であると共に前記収穫物タンクに係止可能な複数の爪部を有しており、前記複数の爪部は一体的に姿勢変化するように構成されており、前記複数の爪部に対応して一つの前記窪み部が形成されており、前記窪み部は、前記複数の爪部に対応する大きさを有していると好適である。
【0014】
本構成によれば、窪み部は、複数の爪部に対応する大きさを有している。そのため、窪み部の大きさが、爪部と収穫物タンクの外壁との干渉を避けるために必要な最低限の大きさに比べて過剰に大きくなってしまうことを回避しやすい。
【0015】
さらに、本発明において、前記カバー部材に、前記カバー部材を前記機体に係止するための複数の係止部が設けられており、前記複数の係止部は、前記第1係止部及び前記第2係止部を含んでおり、前記窪み部に対向する前記係止部は、前記カバー部材が前記機体に係止された状態、または、前記カバー部材が前記機体に取り付けられる途中の状態、または、前記カバー部材が前記機体から取り外される途中の状態のうちの少なくとも何れか一つの状態において、前記窪み部に入り込んでいると好適である。
【0016】
本構成によれば、窪み部に対向する係止部が上記三つの状態の何れにおいても窪み部に入り込まない構成に比べて、カバー部材と収穫物タンクの外壁との間隔が比較的狭くなりやすい。その結果、収穫機がコンパクトになりやすい。
【0017】
さらに、本発明において、前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記収穫物タンクに係止されており、前記カバー部材は、前記収穫物タンクに支持されていると好適である。
【0018】
本構成によれば、カバー部材が収穫物タンクに支持される。ここで、収穫機において、収穫物タンクは比較的大きく、安定した部材である。そのため、カバー部材が安定的に支持される。
【0019】
さらに、本発明において、前記第2係止部は、前記第1係止部よりも下側に位置していると好適である。
【0020】
本構成によれば、カバー部材において、第1係止部が比較的高い位置に位置しやすい。第1係止部が比較的高い位置に位置している場合、作業者は、カバー部材を機体から取り外した状態でカバー部材を持ち運ぶ際、第1係止部のバックル機構に、上側から容易に指をかけることができる。これにより、カバー部材の持ち運びが容易になる。
【0021】
即ち、本構成によれば、カバー部材の持ち運びが容易になりやすい。
【0022】
さらに、本発明において、前記外壁は、第1外壁部と、前記第1外壁部よりも下側に位置する第2外壁部と、前記第2外壁部よりも下側に位置する第3外壁部と、を有しており、前記第2外壁部は、前記第1外壁部よりも機体内側に位置しており、前記第3外壁部は、前記第2外壁部の下端から、機体内側へ、斜め下方に延びており、前記カバー部材は、前記第2外壁部及び前記第3外壁部を側方から覆っており、前記窪み部は、前記第2外壁部に形成されており、前記第1係止部は前記第2外壁部に係止されており、前記第2係止部は前記第3外壁部に係止されていると好適である。
【0023】
本構成によれば、窪み部により、第1係止部と収穫物タンクの外壁との干渉を避けることができる。また、第3外壁部が第2外壁部の下端から機体内側へ斜め下方に延びていることにより、第2係止部と収穫物タンクの外壁との干渉を避けやすい。
【0024】
即ち、本構成によれば、第1係止部と収穫物タンクの外壁との干渉を避けることができると共に、第2係止部と収穫物タンクの外壁との干渉を避けやすい収穫機を実現できる。
【0025】
さらに、本発明において、前記収穫物タンクのうち前記窪み部が形成された部分である窪み形成部は、前記収穫物タンクのうち前記窪み形成部以外の部分とは別体であると好適である。
【0026】
本構成によれば、窪み形成部を収穫物タンクから容易に取り外しやすい。そのため、窪み形成部のメンテナンス作業や交換作業等を容易に行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】コンバインの右側面図である。
図2】窪み部等の構成を示す縦断正面図である。
図3】窪み部等の構成を示す横断平面図である。
図4】穀粒タンクの構成を示す右側面図である。
図5】穀粒タンクの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、図1図3図4に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、図2図3図5に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図1図2図4図5に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0029】
〔コンバインの全体構成〕
図1に示すように、自脱型のコンバイン1(本発明に係る「収穫機」に相当)は、刈取部2と、運転部4と、脱穀装置5と、穀粒タンク6(本発明に係る「収穫物タンク」に相当)と、穀粒排出装置7と、を備えている。
【0030】
刈取部2は、コンバイン1の機体前部に設けられている。そして、刈取部2の後上方に、運転部4が設けられている。運転部4は、運転座席41を有している。
【0031】
脱穀装置5は、刈取部2の後方に位置している。また、穀粒タンク6は、脱穀装置5の右側に位置している。
【0032】
刈取部2は、圃場の植立穀稈を刈り取ると共に、刈取穀稈を脱穀装置5へ搬送する。脱穀装置5において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒(本発明に係る「収穫物」に相当)は、穀粒タンク6に貯留される。穀粒タンク6に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置7によって機外に排出される。
【0033】
このように、コンバイン1は、穀粒を貯留する穀粒タンク6を備えている。
【0034】
また、図1に示すように、コンバイン1の下部には、クローラ式の走行装置TRが設けられている。また、コンバイン1は、エンジンEを備えている。走行装置TRは、エンジンEからの動力により駆動する。そして、コンバイン1は、走行装置TRによって走行する。
【0035】
〔穀粒タンクの外壁について〕
図1及び図2に示すように、穀粒タンク6は、外壁3を有している。外壁3は、穀粒タンク6における機体左右方向外側部に位置する側壁である。即ち、外壁3は、穀粒タンク6における右側に位置する側壁である。
【0036】
図2に示すように、外壁3は、第1外壁部31と、第2外壁部32と、第3外壁部33と、を有している。第2外壁部32は、第1外壁部31よりも下側に位置している。第3外壁部33は、第2外壁部32よりも下側に位置している。
【0037】
即ち、外壁3は、第1外壁部31と、第1外壁部31よりも下側に位置する第2外壁部32と、第2外壁部32よりも下側に位置する第3外壁部33と、を有している。
【0038】
第2外壁部32は、第1外壁部31よりも左側に位置している。これにより、第2外壁部32は、第1外壁部31よりも機体左右方向内側に位置している。即ち、第2外壁部32は、第1外壁部31よりも機体内側に位置している。
【0039】
第3外壁部33は、第2外壁部32の下端から、左下方に延びている。これにより、第3外壁部33は、第2外壁部32の下端から、機体左右方向内側へ、斜め下方に延びている。即ち、第3外壁部33は、第2外壁部32の下端から、機体内側へ、斜め下方に延びている。
【0040】
〔カバー部材について〕
図1及び図2に示すように、コンバイン1は、カバー部材8を備えている。カバー部材8は、穀粒タンク6を右側方から覆っている。より具体的には、カバー部材8は、第2外壁部32及び第3外壁部33を右側方から覆っている。
【0041】
即ち、コンバイン1は、穀粒タンク6を側方から覆うカバー部材8を備えている。また、カバー部材8は、第2外壁部32及び第3外壁部33を側方から覆っている。
【0042】
図1及び図2に示すように、カバー部材8に、複数の係止部9が設けられている。係止部9は、カバー部材8を機体に係止するための部材である。
【0043】
即ち、カバー部材8に、カバー部材8を機体に係止するための複数の係止部9が設けられている。複数の係止部9は、第1係止部10及び第2係止部20を含んでいる。即ち、第1係止部10及び第2係止部20は、何れも、係止部9である。
【0044】
〔第1係止部及び第2係止部について〕
図1に示すように、カバー部材8に、前後二つの第1係止部10が設けられている。以下では、後側の第1係止部10について説明する。尚、前側の第1係止部10は、後側の第1係止部10と同様の構成を備えている。
【0045】
図2に示すように、第1係止部10は、カバー部材8の上部に設けられている。
【0046】
図2及び図3に示すように、第1係止部10は、バックル機構Mと、二つのガイド部Gと、を有している。また、第2外壁部32において、第1係止部10に対応する位置に、金具34が設けられている。金具34は、平面視でU字状に形成された棒状の部材である。金具34は、金具34の両端部が第2外壁部32を貫通する状態で、第2外壁部32に右側から取り付けられている。
【0047】
バックル機構Mは、金具34に係止可能に構成されている。これにより、第1係止部10は、金具34を介して第2外壁部32に係止される。
【0048】
即ち、第1係止部10は第2外壁部32に係止されている。
【0049】
二つのガイド部Gは、左側へ開いた凹部GAを有している。凹部GAは、金具34を受け入れるように構成されている。
【0050】
カバー部材8を機体に取り付ける際、各凹部GAに金具34が受け入れられることにより、カバー部材8がガイドされる。これにより、カバー部材8の上下方向での位置が、適切な位置に定まりやすい。
【0051】
バックル機構Mは、操作具11及び二つの爪部12を有している。二つの爪部12は、機体前後方向に並ぶ状態で配置されている。二つの爪部12は、二つのガイド部Gの間に位置している。また、二つの爪部12は、操作具11から機体左右方向内側へ延びている。即ち、二つの爪部12は、操作具11から左側へ延びている。
【0052】
尚、本発明はこれに限定されない。バックル機構Mに設けられる爪部12の個数は、一つでも良いし、三つ以上のいかなる個数でも良い。本実施形態では、バックル機構Mに複数の爪部12が設けられている。
【0053】
図2に示すように、二つの爪部12は、カバー部材8に対して姿勢変化可能である。より具体的には、二つの爪部12は、操作具11と一体的に、前後方向に延びる揺動軸芯P周りにカバー部材8に対して揺動可能である。即ち、二つの爪部12は、互いに一体的に揺動するように構成されている。
【0054】
このように、複数の爪部12は一体的に姿勢変化するように構成されている。
【0055】
操作具11及び二つの爪部12の揺動により、バックル機構Mは、係止状態と係止解除状態との間で切り替え可能である。図2では、係止状態のバックル機構Mが実線で示されている。また、係止解除状態のバックル機構Mが仮想線で示されている。
【0056】
バックル機構Mが係止状態であるとき、二つの爪部12が金具34に係止される。これにより、二つの爪部12は、金具34を介して穀粒タンク6に係止可能である。
【0057】
即ち、バックル機構Mは、カバー部材8に対して姿勢変化可能であると共に穀粒タンク6に係止可能な複数の爪部12を有している。
【0058】
バックル機構Mが係止解除状態になると、金具34への二つの爪部12の係止は解除される。
【0059】
操作具11は、板バネ13により、バックル機構Mが係止状態となる方向に付勢されている。作業者が、板バネ13の付勢力に抗して操作具11を揺動軸芯P周りに揺動させると、バックル機構Mは係止状態から係止解除状態に変化する。また、作業者が操作具11に操作力を与えるのを止めると、バックル機構Mは係止解除状態から係止状態に変化する。即ち、バックル機構Mは、人為操作によって係止状態と係止解除状態との間で切り替え可能である。
【0060】
図2に示すように、カバー部材8の下部に、第2係止部20が設けられている。本実施形態では、カバー部材8の前部及び後部に、それぞれ一つの第2係止部20が設けられている。以下では、後側の第2係止部20について説明する。尚、前側の第2係止部20は、図示されていないが、後側の第2係止部20と同様の構成を備えている。
【0061】
図2に示すように、第2係止部20は、第1係止部10よりも下側に位置している。尚、本発明はこれに限定されず、第2係止部20は、第1係止部10よりも上側に位置していても良い。
【0062】
第2係止部20は、カバー部材8の内壁面から機体左右方向内側へ向けて延びている。即ち、第2係止部20は、カバー部材8の内壁面から左側へ延びている。
【0063】
第2係止部20の左端部に、下側へ開いた係止凹部21が形成されている。これにより、第2係止部20はフック状に構成されている。
【0064】
即ち、カバー部材8に、人為操作によって係止状態と係止解除状態との間で切り替え可能なバックル機構Mを有する第1係止部10と、フック状であると共に第1係止部10よりも上側または下側に位置する第2係止部20と、が設けられている。
【0065】
また、穀粒タンク6の右下部に、垂直姿勢の板状部35が設けられている。板状部35は、第3外壁部33に連結されている。板状部35に、前後方向に延びる棒状部36が固定されている。棒状部36は、板状部35の前側面から前方へ延びている。
【0066】
係止凹部21は、棒状部36に係止可能に構成されている。これにより、第2係止部20は、棒状部36及び板状部35を介して、第3外壁部33に係止される。
【0067】
即ち、第2係止部20は第3外壁部33に係止されている。
【0068】
以上で説明した構成により、第1係止部10及び第2係止部20は、穀粒タンク6に係止されている。そして、カバー部材8は、第1係止部10及び第2係止部20を介して、穀粒タンク6に支持されている。
【0069】
即ち、カバー部材8は、穀粒タンク6に支持されている。また、カバー部材8は、第1係止部10及び第2係止部20を介して機体に支持されている。
【0070】
カバー部材8を機体から取り外す際、作業者は、まず、人為操作によってバックル機構Mを係止解除状態にする。そして、棒状部36から係止凹部21を離脱させることにより、カバー部材8を機体から取り外すことができる。
【0071】
カバー部材8を機体に取り付ける際、作業者は、まず、棒状部36に係止凹部21を係止させる。そして、係止凹部21を揺動支点としてカバー部材8の上部を左側に押し付けるように揺動させると、二つの爪部12が金具34に係止される。これにより、カバー部材8を機体に取り付けることができる。
【0072】
〔窪み部について〕
図2及び図3に示すように、第2外壁部32に、窪み部50が形成されている。窪み部50は、穀粒タンク6の外側から内側へ向かって凹入した形状を有している。
【0073】
即ち、窪み部50は、第2外壁部32に形成されている。
【0074】
本実施形態では、第2外壁部32において、第1係止部10に対向する箇所に窪み部50が形成されている。即ち、外壁3において、第1係止部10に対向する箇所に窪み部50が形成されている。
【0075】
ただし、本発明はこれに限定されず、外壁3において、第2係止部20に対向する箇所にのみ窪み部50が形成されていても良いし、第1係止部10に対向する箇所及び第2係止部20に対向する箇所に窪み部50が形成されていても良い。
【0076】
即ち、穀粒タンク6の外壁3において、第1係止部10に対向する箇所及び第2係止部20に対向する箇所のうちの一方または両方に窪み部50が形成されている。
【0077】
尚、図4に示すように、本実施形態では、外壁3において、機体前側の第1係止部10に対向する箇所、及び、機体後側の第1係止部10に対向する箇所のそれぞれに、窪み部50が形成されている。
【0078】
図2及び図3に示すように、二つの爪部12に対応して一つの窪み部50が形成されている。
【0079】
このように、複数の爪部12に対応して一つの窪み部50が形成されている。
【0080】
また、図2には、爪部12の縦方向の長さL1と、窪み部50の縦方向の長さL2と、が示されている。本実施形態において、窪み部50の縦方向の長さL2は、爪部12の縦方向の長さL1に、比較的近い長さである。より具体的には、窪み部50の縦方向の長さL2は、爪部12の縦方向の長さL1よりも長く、爪部12の縦方向の長さL1の3倍よりも短い。尚、窪み部50の縦方向の長さL2は、鉛直方向の長さであっても良いし、第2外壁部32の傾斜に沿う方向の長さであっても良い。
【0081】
また、図3には、二つの爪部12の前後方向の長さW1と、窪み部50の前後方向の長さW2と、が示されている。二つの爪部12の前後方向の長さW1は、前側の爪部12の前端位置から後側の爪部12の後端位置までの長さである。本実施形態において、窪み部50の前後方向の長さW2は、二つの爪部12の前後方向の長さW1に、比較的近い長さである。より具体的には、窪み部50の前後方向の長さW2は、二つの爪部12の前後方向の長さW1よりも長く、二つの爪部12の前後方向の長さW1の2倍よりも短い。
【0082】
この構成により、窪み部50は、二つの爪部12に対応する大きさを有している。
【0083】
このように、窪み部50は、複数の爪部12に対応する大きさを有している。
【0084】
図2及び図3に示すように、カバー部材8が機体に係止された状態において、二つの爪部12は、窪み部50の縁部51よりも機体左右方向内側まで入り込んでいる。即ち、カバー部材8が機体に係止された状態において、二つの爪部12は、窪み部50に入り込んでいる。
【0085】
尚、二つの爪部12は、カバー部材8が機体に取り付けられる途中の状態において、窪み部50に入り込んでいてもよい。また、二つの爪部12は、カバー部材8が機体から取り外される途中の状態において、窪み部50に入り込んでいてもよい。
【0086】
即ち、窪み部50に対向する係止部9は、カバー部材8が機体に係止された状態、または、カバー部材8が機体に取り付けられる途中の状態、または、カバー部材8が機体から取り外される途中の状態のうちの少なくとも何れか一つの状態において、窪み部50に入り込んでいる。
【0087】
図2図4図5に示すように、穀粒タンク6は、タンク本体61及びタンク下部62(本発明に係る「窪み形成部」に相当)を有している。穀粒タンク6の大部分は、タンク本体61により構成されている。タンク下部62は、穀粒タンク6の下部に位置している。
【0088】
窪み部50は、タンク下部62に形成されている。即ち、タンク下部62は、穀粒タンク6のうち窪み部50が形成された部分である。
【0089】
図4及び図5に示すように、タンク下部62は、タンク本体61とは別体である。即ち、穀粒タンク6のうち窪み部50が形成された部分であるタンク下部62は、穀粒タンク6のうちタンク下部62以外の部分とは別体である。
【0090】
タンク下部62は、タンク本体61に、下方から取り付けられている。図2に示すように、タンク本体61とタンク下部62とは、ボルトTにより締結されている。尚、図2に示されているボルトTは一つのみであるが、本実施形態では、複数のボルトTによって、タンク本体61とタンク下部62とが締結されている。複数のボルトTの締結を解除することにより、タンク本体61からタンク下部62を取り外すことができる。
【0091】
図4では、タンク本体61から取り外された状態のタンク下部62が、実線で示されている。また、タンク本体61に取り付けられた状態のタンク下部62が、仮想線で示されている。タンク下部62がタンク本体61に取り付けられた状態において、タンク下部62は、前後方向に延びるスクリュー63を覆っている。スクリュー63は、穀粒タンク6に貯留されている穀粒を、穀粒排出装置7へ搬送する。
【0092】
以上で説明した構成によれば、窪み部50により、第1係止部10または第2係止部20と、穀粒タンク6の外壁3と、の干渉を避けることができる。そのため、第1係止部10または第2係止部20と穀粒タンク6の外壁3との干渉を避けるために穀粒タンク6の外壁3を比較的内側に位置させる必要がない。そして、穀粒タンク6の外壁3を比較的内側に位置させる場合よりも、窪み部50を設ける場合の方が、穀粒タンク6の容量が少なくなりにくい。
【0093】
従って、以上で説明した構成によれば、穀粒タンク6を側方から覆うカバー部材8を備えながらも、穀粒タンク6の容量が少なくなりにくいコンバイン1を実現できる。
【0094】
〔その他の実施形態〕
(1)一部または全ての部材の配置が、左右方向に反転していても良い。
【0095】
(2)走行装置TRは、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
【0096】
(3)一つの爪部12に対応して一つの窪み部50が形成されていても良い。
【0097】
(4)窪み部50の大きさは、複数の爪部12の大きさに対応していなくても良い。
【0098】
(5)窪み部50に対向する係止部9は、カバー部材8が機体に係止された状態、カバー部材8が機体に取り付けられる途中の状態、カバー部材8が機体から取り外される途中の状態の何れの状態においても、窪み部50に入り込まないように構成されていても良い。
【0099】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、自脱型のコンバインだけでなく、普通型のコンバインやトウモロコシ収穫機、ニンジン収穫機等の種々の収穫機に利用可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 コンバイン(収穫機)
3 外壁
6 穀粒タンク(収穫物タンク)
8 カバー部材
9 係止部
10 第1係止部
12 爪部
20 第2係止部
31 第1外壁部
32 第2外壁部
33 第3外壁部
34 金具(被係止部)
50 窪み部
62 タンク下部(窪み形成部)
M バックル機構

図1
図2
図3
図4
図5