(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240830BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240830BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20240830BHJP
B60K 1/00 20060101ALI20240830BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60L50/60
B60L53/16
B60K1/00
B60K11/04 B
(21)【出願番号】P 2021202899
(22)【出願日】2021-12-14
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】東郷 学
(72)【発明者】
【氏名】新良貴 宏
(72)【発明者】
【氏名】萬▲徳▼ 直人
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/059163(WO,A1)
【文献】特開2021-177690(JP,A)
【文献】国際公開第2021/193300(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60L 50/60
B60L 53/16
B60K 1/00
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
前記バッテリを覆うカバー部材と、
充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、
オペレータが搭乗可能な運転部と、を備え、
前記接続部は、前記カバー部材に覆われ
、
前記カバー部材は、前記運転部の前方に配置されている電動作業車。
【請求項2】
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
前記バッテリを覆うカバー部材と、
充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、
オペレータが搭乗可能な運転部と、を備え、
前記接続部は、前記カバー部材に覆われ、
前記カバー部材は、前記運転部の前方に配置されており、
前記接続部は、前記バッテリの前方または後方に配置されている電動作業車。
【請求項3】
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
前記バッテリを覆うカバー部材と、
充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、
オペレータが搭乗可能な運転部
と、を備え、
前記接続部は、前記カバー部材に覆われ、
前記カバー部材は、前記運転部の前方に配置されており、
前記バッテリは、前記カバー部材により囲まれた空間の左端部と右端部とに亘る状態で設けられており、
前記接続部は、前記バッテリの前方または後方に配置されてい
る電動作業車。
【請求項4】
前記カバー部材は、機体左右方向に沿う揺動軸芯周りに揺動することによって開閉可能に構成されており、
前記揺動軸芯は、前記カバー部材の後部に位置しており、
前記接続部は、前記バッテリの前方に配置されており、
前記カバー部材が開状態であるとき、前記接続部は露出している請求項1
から3の何れか一項に記載の電動作業車。
【請求項5】
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
前記バッテリを覆うカバー部材と、
充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、
オペレータが搭乗可能な運転部
と、を備え、
前記接続部は、前記カバー部材に覆われ、
前記カバー部材は、前記運転部の前方に配置されており、
前記カバー部材にヘッドライトが設けられており、
前記接続部は、前記ヘッドライトの上端よりも下側に配置されてい
る電動作業車。
【請求項6】
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
前記バッテリを覆うカバー部材と、
充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、
前記バッテリから延出された支持部材
と、を備え、
前記接続部は、前記カバー部材に覆われ、
前記接続部は、前記支持部材に支持されてい
る電動作業車。
【請求項7】
ラジエータと、
前記ラジエータを支持するラジエータフレームと、を備え、
前記支持部材は、前記ラジエータフレームに連結されている請求項
6に記載の電動作業車。
【請求項8】
前記接続部と前記バッテリとを電気的に繋ぐ電気配線を備え、
前記支持部材は、前記電気配線の上方に位置する庇状の部分を有している請求項
6または
7に記載の電動作業車。
【請求項9】
前記カバー部材は、機体左右方向に沿う揺動軸芯周りに揺動することによって開閉可能に構成されており、
前記カバー部材に覆われた支持アームを備え、
前記支持アームは、前記支持アームの基端部を中心に上下揺動可能であり、且つ、前記支持アームが立ち上がった状態で前記支持アームの遊端部を前記カバー部材に下側から接当させることにより前記カバー部材を開状態で支持可能に構成されており、
前記支持アームの基端部は、前記支持部材に支持されている請求項
6から
8の何れか一項に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと、バッテリから供給される電力により駆動するモータと、を備える電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような電動作業車として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この電動作業車(特許文献1では「トラクタ」)は、モータにより駆動される走行装置(特許文献1では「前車輪」、「後車輪」)により走行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電動作業車において、充電器を接続可能であると共にバッテリと電気的に繋がれた接続部を備えるように構成することが考えられる。この構成であれば、充電器を用いてバッテリを充電することができる。
【0005】
しかしながら、充電器を接続可能な接続部は、強度が比較的低くなりがちである。そのため、充電器を用いた充電作業時以外において、接続部が他物に干渉することを防ぐ必要がある。
【0006】
そして、接続部が他物に干渉することを防ぐために、接続部を保護する専用の保護部材を設けると、製造コストが増大しがちである。
【0007】
本発明の目的は、充電器を用いてバッテリを充電可能であると共に、製造コストの増大を抑制しやすい電動作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、前記バッテリを覆うカバー部材と、充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、オペレータが搭乗可能な運転部と、を備え、前記接続部は、前記カバー部材に覆われ、前記カバー部材は、前記運転部の前方に配置されていることにある。
【0009】
本構成によれば、バッテリを覆うカバー部材によって、接続部が保護される。そのため、接続部を保護するために専用の保護部材を設けることなく、接続部が保護される。これにより、製造コストの増大を抑制しやすい。
【0010】
従って、本構成によれば、充電器を用いてバッテリを充電可能であると共に、製造コストの増大を抑制しやすい電動作業車を実現できる。
【0011】
さらに、本発明における別の電動作業車は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、前記バッテリを覆うカバー部材と、充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、オペレータが搭乗可能な運転部と、を備え、前記接続部は、前記カバー部材に覆われ、前記カバー部材は、前記運転部の前方に配置されており、前記接続部は、前記バッテリの前方または後方に配置されている。
また本発明における別の電動作業車は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、前記バッテリを覆うカバー部材と、充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、オペレータが搭乗可能な運転部と、を備え、前記接続部は、前記カバー部材に覆われ、前記カバー部材は、前記運転部の前方に配置されており、前記バッテリは、前記カバー部材により囲まれた空間の左端部と右端部とに亘る状態で設けられており、前記接続部は、前記バッテリの前方または後方に配置されている。
【0012】
本構成によれば、バッテリを覆うカバー部材によって、接続部が保護される。そのため、接続部を保護するために専用の保護部材を設けることなく、接続部が保護される。これにより、製造コストの増大を抑制しやすい。
従って、本構成によれば、充電器を用いてバッテリを充電可能であると共に、製造コストの増大を抑制しやすい電動作業車を実現できる。
本構成によれば、バッテリの上方、下方、左方、右方に、接続部を配置するためのスペースを確保する必要がない。さらに、バッテリは、カバー部材により囲まれた空間の左端部と右端部とに亘る状態で設けられている。そのため、比較的大きなサイズのバッテリを搭載しやすい。
【0013】
さらに、本発明において、前記カバー部材は、機体左右方向に沿う揺動軸芯周りに揺動することによって開閉可能に構成されており、前記揺動軸芯は、前記カバー部材の後部に位置しており、前記接続部は、前記バッテリの前方に配置されており、前記カバー部材が開状態であるとき、前記接続部は露出していると好適である。
【0014】
本構成によれば、作業者がカバー部材を揺動させて開状態とするだけで、接続部にアクセス可能な状態となる。そのため、充電器を用いた充電作業や、接続部のメンテナンス作業を、容易に行いやすい。
【0015】
さらに、本発明における別の電動作業車は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、前記バッテリを覆うカバー部材と、充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、オペレータが搭乗可能な運転部と、を備え、前記接続部は、前記カバー部材に覆われ、前記カバー部材は、前記運転部の前方に配置されており、前記カバー部材にヘッドライトが設けられており、前記接続部は、前記ヘッドライトの上端よりも下側に配置されている。
【0016】
接続部がヘッドライトの上端よりも上側に配置されている場合、接続部の位置が比較的高くなるため、充電器を接続部へ接続する作業が行いにくくなる事態が想定される。
【0017】
ここで、本構成によれば、バッテリを覆うカバー部材によって、接続部が保護される。そのため、接続部を保護するために専用の保護部材を設けることなく、接続部が保護される。これにより、製造コストの増大を抑制しやすい。
従って、本構成によれば、充電器を用いてバッテリを充電可能であると共に、製造コストの増大を抑制しやすい電動作業車を実現できる。
また、本構成によれば、接続部はヘッドライトの上端よりも下側に配置されている。そのため、充電器を接続部へ接続する作業が行いにくくなる事態を回避しやすい。
【0018】
さらに、本発明における別の作業車は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、前記バッテリを覆うカバー部材と、充電器を接続可能であると共に、前記バッテリと電気的に繋がれた接続部と、前記バッテリから延出された支持部材と、を備え、前記接続部は、前記カバー部材に覆われ、前記バッテリから延出された支持部材を備え、前記接続部は、前記支持部材に支持されている。
【0019】
一般に、電動作業車において、バッテリは比較的高い強度を有している。
【0020】
本構成によれば、バッテリを覆うカバー部材によって、接続部が保護される。そのため、接続部を保護するために専用の保護部材を設けることなく、接続部が保護される。これにより、製造コストの増大を抑制しやすい。
従って、本構成によれば、充電器を用いてバッテリを充電可能であると共に、製造コストの増大を抑制しやすい電動作業車を実現できる。
本構成によれば、接続部は、支持部材を介して、比較的高い強度を有するバッテリに支持される。これにより、接続部が安定的に支持されやすい。
【0021】
さらに、本発明において、ラジエータと、前記ラジエータを支持するラジエータフレームと、を備え、前記支持部材は、前記ラジエータフレームに連結されていると好適である。
【0022】
本構成によれば、接続部は、支持部材を介して、バッテリ及びラジエータフレームに支持されることとなる。これにより、接続部が安定的に支持されやすい。
【0023】
さらに、本発明において、前記接続部と前記バッテリとを電気的に繋ぐ電気配線を備え、前記支持部材は、前記電気配線の上方に位置する庇状の部分を有していると好適である。
【0024】
本構成によれば、支持部材における庇状の部分が、電気配線を上側から覆うこととなる。これにより、電気配線が支持部材により保護される構成を実現できる。
【0025】
さらに、本発明において、前記カバー部材は、機体左右方向に沿う揺動軸芯周りに揺動することによって開閉可能に構成されており、前記カバー部材に覆われた支持アームを備え、前記支持アームは、前記支持アームの基端部を中心に上下揺動可能であり、且つ、前記支持アームが立ち上がった状態で前記支持アームの遊端部を前記カバー部材に下側から接当させることにより前記カバー部材を開状態で支持可能に構成されており、前記支持アームの基端部は、前記支持部材に支持されていると好適である。
【0026】
本構成によれば、支持アームの基端部は、支持部材を介して、比較的高い強度を有するバッテリに支持される。これにより、支持アームが安定的に支持されやすい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】接続部等の構成を示す一部破断左側面図である。
【
図3】接続部等の構成を示す一部破断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、
図1から
図6に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、
図3、
図6から
図8に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、
図1、
図2、
図4、
図5、
図7、
図8に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0029】
〔トラクタの全体構成〕
図1に示すように、トラクタA(本発明に係る「電動作業車」に相当)は、左右の前車輪10(本発明に係る「走行装置」に相当)、左右の後車輪11(本発明に係る「走行装置」に相当)、カバー部材12を備えている。
【0030】
また、トラクタAは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。
【0031】
機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。
【0032】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。言い換えれば、カバー部材12は、運転部3の前方に配置されている。
【0033】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0034】
即ち、トラクタAは、オペレータが搭乗可能な運転部3を備えている。
【0035】
また、トラクタAは、走行用バッテリ4(本発明に係る「バッテリ」に相当)、モータM、伝動装置T、前伝動機構FTを備えている。
【0036】
カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q(
図2、
図4参照)(本発明に係る「揺動軸芯」に相当)周りに揺動可能に構成されている。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成されている。
【0037】
即ち、カバー部材12は、開閉軸芯Q周りに揺動することによって開閉可能に構成されている。より具体的には、カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q周りに揺動することによって開閉可能に構成されている。
【0038】
図2に示すように、開閉軸芯Qは、カバー部材12の後部に位置している。
【0039】
そして、カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリ4は、カバー部材12に覆われている。即ち、トラクタAは、走行用バッテリ4を覆うカバー部材12を備えている。
図3に示すように、走行用バッテリ4は、カバー部材12により囲まれた空間の左端部と右端部とに亘る状態で設けられている。そして、走行用バッテリ4は、モータMへ電力を供給する。
【0040】
モータMは、走行用バッテリ4の下方に配置されている。そして、モータMは、走行用バッテリ4から供給される電力により駆動する。モータMの駆動力は、伝動装置Tへ伝達される。
【0041】
伝動装置Tは、走行用バッテリ4よりも後側であり、且つ、モータMの後方に配置されている。また、前伝動機構FTは、伝動装置Tから前側に延びている。そして、伝動装置Tは、モータMから受け取った駆動力を変速し、左右の後車輪11に伝達する。また、駆動力は、伝動装置Tから、前伝動機構FTを介して、左右の前車輪10にも伝達される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11は駆動される。
【0042】
即ち、トラクタAは、走行用バッテリ4と、走行用バッテリ4から供給される電力により駆動するモータMと、を備えている。また、トラクタAは、モータMにより駆動される左右の前車輪10及び左右の後車輪11を備えている。
【0043】
図1に示すように、トラクタAの後部に、リンク機構LNが設けられている。リンク機構LNに、例えば耕耘装置等の作業装置(図示せず)を連結することができる。
【0044】
伝動装置Tは、モータMから受け取った駆動力の一部を作業装置に伝達可能に構成されている。これにより、作業装置が駆動される。
【0045】
以上の構成により、トラクタAは、左右の前車輪10及び左右の後車輪11によって走行しながら、作業装置によって作業を行うことができる。
【0046】
また、
図1に示すように、カバー部材12にヘッドライト34が設けられている。ヘッドライト34は、カバー部材12の前部の上部に設けられている。
【0047】
また、トラクタAの機体前部に、左右のサイドカバー35が設けられている。サイドカバー35は、空気が通過可能なグリル35aを有している。カバー部材12の左後部における下部、及び、右後部における下部は、サイドカバー35の外形に沿って切り欠かれている。
【0048】
図3及び
図4に示すように、トラクタAは、支持アーム46を備えている。カバー部材12が閉状態であるとき、支持アーム46は、カバー部材12に覆われている。
【0049】
即ち、トラクタAは、カバー部材12に覆われた支持アーム46を備えている。
【0050】
また、
図4に示すように、カバー部材12は、アーム連係部12bを有している。
【0051】
支持アーム46は、基端部46aを中心に上下揺動可能に構成されている。そして、カバー部材12を開状態にしたままで、支持アーム46を立ち上がった状態にして、遊端部46bをアーム連係部12bに連係させることにより、遊端部46bはカバー部材12に下側から接当した状態となる。これにより、支持アーム46は、カバー部材12を開状態で支持する状態となる。
【0052】
このように、支持アーム46は、支持アーム46の基端部46aを中心に上下揺動可能であり、且つ、支持アーム46が立ち上がった状態で支持アーム46の遊端部46bをカバー部材12に下側から接当させることによりカバー部材12を開状態で支持可能に構成されている。
【0053】
〔機体前部の構成について〕
図2及び
図3に示すように、トラクタAは、ラジエータ15を備えている。また、トラクタAは、リザーブタンク5、インバータ14、冷却ファン17、補機用バッテリ18、電圧コンバータ19、オイルクーラCLを備えている。カバー部材12が閉状態であるとき、リザーブタンク5、ラジエータ15、補機用バッテリ18、電圧コンバータ19、オイルクーラCLは、カバー部材12に覆われている。
【0054】
インバータ14は、走行用バッテリ4の下方に配置されている。インバータ14は、走行用バッテリ4からの直流電力を交流電力に変換してモータMへ供給する。
【0055】
リザーブタンク5は、冷却水を貯留することができる。
【0056】
ラジエータ15及びウォータポンプ(図示せず)は、トラクタAにおける冷却水経路に含まれている。ウォータポンプが冷却水を圧送することにより、冷却水が、この冷却水経路を循環する。そして、冷却水は、ラジエータ15を通過することにより冷却される。
【0057】
冷却ファン17は、ラジエータ15の後方に配置されている。冷却ファン17は、後側へ冷却風を送る。これにより、外気が、カバー部材12の前部に設けられた外気導入部12aを介してカバー部材12の内側へ導入され、ラジエータ15を通過する。その結果、ラジエータ15が冷却される。
【0058】
補機用バッテリ18は、各種補機に電力を供給する。また、走行用バッテリ4から、電圧コンバータ19へ電力が送られる。そして、電圧コンバータ19は、走行用バッテリ4からの電力を降圧して補機用バッテリ18へ供給する。
【0059】
トラクタAにおける作動油は、オイルクーラCLを通過することにより冷却される。
【0060】
図2に示すように、走行用バッテリ4及びインバータ14は、機体フレーム2により支持されている。
【0061】
詳述すると、
図2に示すように、機体フレーム2に、インバータ支持部42が支持されている。インバータ支持部42は、水平姿勢の板状の部材である。インバータ支持部42に、インバータ14が載置されている。
【0062】
また、
図2に示すように、第1支持部43a及び第2支持部43bが、インバータ支持部42に支持されている。第3支持部43cが、機体フレーム2に支持されている。そして、第1支持部43a、第2支持部43b、第3支持部43cに支持された状態で、バッテリ支持部44が設けられている。バッテリ支持部44は、水平姿勢の板状の部材である。また、バッテリ支持部44は、走行用バッテリ4の左右端に亘る状態で設けられている。バッテリ支持部44に、走行用バッテリ4が載置されている。
【0063】
また、リザーブタンク5、ラジエータ15、冷却ファン17、補機用バッテリ18、電圧コンバータ19、オイルクーラCLも、機体フレーム2により支持されている。
【0064】
図2及び
図3に示すように、ラジエータ15は、走行用バッテリ4よりも前側に配置されている。言い換えれば、走行用バッテリ4は、ラジエータ15に対して、前側の反対側である後側に配置されている。
【0065】
図2から
図4に示すように、ラジエータ15は、ラジエータフレーム57に支持されている。ラジエータフレーム57は、ラジエータ15の左右側部及び上側部を覆う門型に構成されている。
【0066】
このように、トラクタAは、ラジエータ15を支持するラジエータフレーム57を備えている。
【0067】
〔接続部、入力部、出力部について〕
図3から
図7に示すように、トラクタAは、入力ハーネス51(本発明に係る「電気配線」に相当)、接続部52を備えている。
【0068】
また、走行用バッテリ4の前側の側部に入力部50が設けられている。接続部52は、走行用バッテリ4の前側部と隣り合う位置に設けられている。即ち、接続部52は、走行用バッテリ4のうち入力部50が設けられた側の部分と隣り合う位置に設けられている。
【0069】
より具体的には、接続部52は、走行用バッテリ4の前方において、走行用バッテリ4の前端部の左端部と隣り合う位置に設けられている。
【0070】
このように、接続部52は、走行用バッテリ4の前方に配置されている。ただし、本発明はこれに限定されない。接続部52は、走行用バッテリ4の後方に配置されていても良い。即ち、接続部52は、走行用バッテリ4の前方または後方に配置されている。
【0071】
入力ハーネス51は、接続部52と入力部50とを電気的に繋いでいる。即ち、トラクタAは、接続部52と入力部50とを電気的に繋ぐ入力ハーネス51を備えている。
【0072】
この構成により、接続部52は、入力ハーネス51及び入力部50を介して、走行用バッテリ4と電気的に繋がれている。即ち、トラクタAは、接続部52と走行用バッテリ4とを電気的に繋ぐ入力ハーネス51を備えている。
【0073】
接続部52は、機体横側部において、機体横側方に向けられた状態で配置されている。より具体的には、接続部52は、機体左側部において、機体左側方に向けられた状態で配置されている。より厳密には、接続部52は機体左上方へ向けられている。
【0074】
図6に示すように、接続部52は、平面視で左側に向けられた状態で配置されている。言い換えれば、接続部52は、平面視で右側とは反対側に向けられた状態で配置されている。
【0075】
図2には、第1上端位置P1が示されている。第1上端位置P1は、カバー部材12が閉状態であるときのヘッドライト34の上端の位置である。接続部52は、第1上端位置P1よりも下側に配置されている。即ち、接続部52は、ヘッドライト34の上端よりも下側に配置されている。
【0076】
図5に示すように、接続部52は、接続端子部52cを有している。接続端子部52cには、充電施設等に備わる充電器(図示せず)を接続可能である。尚、充電器及び接続部52の規格は、特に限定されないが、例えば、CHAdeMO(チャデモ)であっても良い。
【0077】
充電器を接続端子部52cに接続することにより、入力ハーネス51及び入力部50を介して、走行用バッテリ4へ電力が供給される。これにより、走行用バッテリ4が充電される。
【0078】
このように、トラクタAは、走行用バッテリ4の側部に設けられると共に、走行用バッテリ4への電力が入力される入力部50を備えている。また、トラクタAは、充電器を接続可能な接続部52を備えている。より具体的には、トラクタAは、充電器を接続可能であると共に、走行用バッテリ4と電気的に繋がれた接続部52を備えている。
【0079】
図1及び
図2に示すように、カバー部材12が閉状態であるとき、接続部52は、カバー部材12に覆われている。
【0080】
図4に示すように、カバー部材12が開状態であるとき、接続部52は、側面視でカバー部材12と重複しない。即ち、カバー部材12が開状態であるとき、接続部52は露出している。
【0081】
図5から
図8に示すように、接続部52は、ハウジング52a及び蓋部52bを有している。接続端子部52cは、ハウジング52a及び蓋部52bにより収容されている。
【0082】
蓋部52bは、接続端子部52cを機体左側から覆っている。
図5、
図6、
図8に示すように、蓋部52bは開閉可能である。
【0083】
このように、接続部52は、充電器を接続可能な接続端子部52cと、接続端子部52cを覆う開閉可能な蓋部52bと、を有している。
【0084】
図5、
図6、
図8において、閉状態の蓋部52bが実線で示されている。また、開状態の蓋部52bが仮想線で示されている。
【0085】
蓋部52bは、蓋部52bの後端部を軸として、後側へ揺動することによって開くように構成されている。即ち、蓋部52bは、走行用バッテリ4側へ揺動することによって開くように構成されている。また、言い換えれば、蓋部52bは、開閉軸芯Q側へ揺動することによって開くように構成されている。
【0086】
図6及び
図7に示すように、走行用バッテリ4の前側の側部に出力部53が設けられている。出力部53は、入力部50の左側に隣接して配置されている。出力部53は、出力ハーネス54を介して、インバータ14と電気的に繋がれている。
【0087】
走行用バッテリ4からの電力は、出力部53及び出力ハーネス54を介して、インバータ14へ供給される。
【0088】
〔入力ハーネス及び出力ハーネスの配置について〕
図3及び
図7に示すように、入力ハーネス51及び出力ハーネス54は、走行用バッテリ4よりも前側に配置されており、且つ、接続部52よりも右側に配置されている。これにより、
図3及び
図6に示すように、入力ハーネス51及び出力ハーネス54は、平面視で走行用バッテリ4と重複しない状態で配置されている。
【0089】
このように、入力ハーネス51は、平面視で走行用バッテリ4と重複しない状態で配置されている。
【0090】
また、
図3に示すように、入力ハーネス51及び出力ハーネス54は、平面視で、配置領域ARに収まるように配置されている。配置領域ARとは、走行用バッテリ4よりも前側且つ接続部52よりも右側の領域である。
【0091】
このように、平面視において、走行用バッテリ4よりも前側且つ接続部52よりも右側の配置領域ARに収まるように、入力ハーネス51が配置されている。言い換えれば、入力ハーネス51は、平面視で配置領域ARからはみ出さないように配置されている。
【0092】
また、
図3には、後端位置REが示されている。後端位置REは、ラジエータ15の後端の位置である。そして、入力ハーネス51及び出力ハーネス54は、平面視で、後端位置REよりも後側に収まるように配置されている。また、接続部52は、平面視で、後端位置REよりも後側に配置されている。
【0093】
即ち、平面視において、配置領域ARのうちラジエータ15よりも後側の部分に収まるように、入力ハーネス51が配置されている。言い換えれば、入力ハーネス51は、平面視で配置領域ARのうちラジエータ15よりも後側の部分からはみ出さないように配置されている。
【0094】
また、
図7には、第2上端位置P2が示されている。第2上端位置P2は、接続部52の上端の位置である。そして、入力ハーネス51及び出力ハーネス54は、第2上端位置P2よりも下側に収まるように配置されている。
【0095】
即ち、接続部52の上端よりも下側に収まるように、入力ハーネス51が配置されている。言い換えれば、入力ハーネス51は、接続部52の上端よりも上側にはみ出さないように配置されている。
【0096】
〔接続部の支持構造〕
図5及び
図6に示すように、トラクタAは、走行用バッテリ4から延出された支持部材70を備えている。接続部52は、支持部材70に支持されている。以下では、支持部材70について詳述する。
【0097】
支持部材70は、第1ステー71、第2ステー72、第3ステー73、第4ステー74、第5ステー75を有している。
【0098】
第1ステー71は、走行用バッテリ4から前側へ延出されている。第1ステー71の後端部は、走行用バッテリ4の左側部における前端部に連結されている。第1ステー71の前端部は、ラジエータフレーム57の左部に連結されている。
【0099】
即ち、支持部材70は、ラジエータフレーム57に連結されている。
【0100】
第2ステー72は、第1ステー71の中間部から上側へ延びている。第2ステー72の上端部は、第5ステー75に連結されている。
【0101】
第3ステー73は、走行用バッテリ4から前下方へ延出されている。第3ステー73の後端部は、走行用バッテリ4の左前部における上部に連結されている。第3ステー73の前端部は、第5ステー75に連結されている。
【0102】
第4ステー74の一端部は、ラジエータフレーム57の上部に連結されている。第4ステー74の他端部は、第5ステー75に連結されている。
【0103】
以上の構成により、第5ステー75は、第2ステー72、第3ステー73、第4ステー74に支持されている。そして、第5ステー75は、接続部52を支持している。
【0104】
図6及び
図8に示すように、第5ステー75は、庇部75aを有している。庇部75aは、第5ステー75における庇状の部分であり、入力ハーネス51の左端部の上方に位置している。
【0105】
このように、支持部材70は、入力ハーネス51の上方に位置する庇状の部分を有している。
【0106】
また、
図6及び
図8に示すように、支持部材70は、第6ステー76を有している。第6ステー76は、第5ステー75から左上方へ延びている。第6ステー76の延出端部に、支持アーム46の基端部46aが、相対回転可能な状態で接続している。これにより、支持アーム46の基端部46aは、支持部材70に支持されている。
【0107】
この構成により、接続部52と支持アーム46の基端部46aとが、何れもトラクタAの機体左前部に配置されることとなる。そのため、カバー部材12を開状態にしてから、カバー部材12が支持アーム46に支持されるように支持アーム46を操作し、蓋部52bを開状態にして、充電器を接続端子部52cに接続するまでの作業を、作業者は、立ち位置を大きく移動することなく行いやすい。
【0108】
また、庇部75aに、保持部47が支持されている。保持部47は、支持アーム46を挟持することにより、支持アーム46を水平姿勢で保持する。作業者は、支持アーム46を保持部47から外して、支持アーム46を立ち上げることができる。
【0109】
以上で説明した構成によれば、走行用バッテリ4を覆うカバー部材12によって、接続部52が保護される。そのため、接続部52を保護するために専用の保護部材を設けることなく、接続部52が保護される。これにより、製造コストの増大を抑制しやすい。
【0110】
従って、以上で説明した構成によれば、充電器を用いて走行用バッテリ4を充電可能であると共に、製造コストの増大を抑制しやすいトラクタAを実現できる。
【0111】
〔その他の実施形態〕
(1)トラクタAは、エンジンを備え、ハイブリッド式に構成されていても良い。
【0112】
(2)入力ハーネス51及び出力ハーネス54が平面視で走行用バッテリ4と重複していても良い。
【0113】
(3)接続部52は、機体横側部以外の位置に配置されていても良い。例えば、接続部52は、機体左右方向中央部に配置されていても良い。また、接続部52の向きは適宜変更可能である。
【0114】
(4)一部または全ての部材の配置が、左右方向に反転していても良い。
【0115】
(5)接続部52は蓋部52bを有していなくても良い。
【0116】
(6)蓋部52bの開閉機構は、いかなる機構であっても良い。例えば、蓋部52bは、スライドすることにより開閉するように構成されていても良いし、着脱可能に構成されていても良い。
【0117】
(7)蓋部52bは、走行用バッテリ4から遠ざかるように揺動することによって開くように構成されていても良い。
【0118】
(8)蓋部52bは、開閉軸芯Qから遠ざかるように揺動することによって開くように構成されていても良い。
【0119】
(9)入力ハーネス51及び出力ハーネス54は、平面視で配置領域ARからはみ出すように配置されていても良い。
【0120】
(10)走行用バッテリ4は、ラジエータ15に対して、前側に配置されていても良いし、左側や右側に配置されていても良い。
【0121】
(11)入力ハーネス51及び出力ハーネス54は、接続部52の上端よりも上側にはみ出すように配置されていても良い。
【0122】
(12)接続部52は、走行用バッテリ4の左方または右方に配置されていても良い。
【0123】
(13)カバー部材12は、前後または上下にスライドすることにより開閉可能であっても良い。
【0124】
(14)接続部52は、ヘッドライト34の上端よりも上側に配置されていても良い。
【0125】
(15)支持部材70が設けられていなくても良い。
【0126】
(16)支持部材70は、ラジエータフレーム57に連結されていなくても良い。
【0127】
(17)支持部材70は、庇部75aを有していなくても良い。
【0128】
(18)支持アーム46の基端部46aは、支持部材70に支持されていなくても良い。
【0129】
(19)接続部52は、走行用バッテリ4のうち入力部50が設けられた側の部分と隣り合う位置に設けられていなくても良い。例えば、上記実施形態において、接続部52が走行用バッテリ4の後方に配置されていても良い。
【0130】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、トラクタだけではなく、コンバイン、田植機、建設作業機等の種々の電動作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0132】
3 運転部
4 走行用バッテリ(バッテリ)
10 前車輪(走行装置)
11 後車輪(走行装置)
12 カバー部材
15 ラジエータ
34 ヘッドライト
46 支持アーム
46a 基端部
46b 遊端部
51 入力ハーネス(電気配線)
52 接続部
57 ラジエータフレーム
70 支持部材
A トラクタ(電動作業車)
M モータ
Q 開閉軸芯(揺動軸芯)