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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】地表灌漑のための装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 23/04 20060101AFI20240830BHJP
   A01C 15/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A01C23/04 F
A01C15/00 J
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021510318
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019071001
(87)【国際公開番号】W WO2020043435
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】16/116,951
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512064505
【氏名又は名称】エヴァーリス・インターナショナル・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】田畑 正秀
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-068167(JP,A)
【文献】実開昭55-160155(JP,U)
【文献】特開平11-018533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0112625(US,A1)
【文献】実開平06-052407(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 15/00-23/04
A01G 25/00-29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表灌漑に使用するために液体組成物を灌漑用水に分注するように構成された装置であって、
前記液体組成物は、リザーバタンク内で5%(w/w)以上50%(w/w)以下の質量濃度を有する液体媒体中の製品を備え、
前記装置は、
分注されることになる前記液体組成物を内部に有するリザーバタンクを備え、
前記リザーバタンクは、複数の放出手段と連通する出口接続部を含み、
前記放出手段は、オンラインドリッパまたは一体型ドリッパであり、
前記装置は、前記液体組成物のみを灌漑用水に分注するように構成されており、
前記装置は、操作前に前記リザーバタンク内への前記液体組成物のバッチ供給を受容するか、または操作前に前記リザーバタンク内への溶媒のバッチ供給および製品のバッチ供給を受容するように配置されており、
前記装置は、前記液体組成物を分注するように構成され、前記液体組成物は、液体媒体中の肥料および/または農薬を含む製品の溶液または懸濁液であり、
前記装置は、前記リザーバタンク内の前記液体組成物の表面と前記リザーバタンクの底面との間の垂直距離である高さH1と、高さH2とを有し、
前記放出手段が前記灌漑用水の外側に位置する場合、前記H2は、前記リザーバタンクの前記底面と前記放出手段との間の垂直距離であり、
前記放出手段が前記灌漑用水中に浸漬されている場合、前記H2は、前記リザーバタンクの前記底面と前記灌漑用水の表面との間の垂直距離であり、その両方に垂直である線に沿って測定され、
前記H2は、前記H1の2倍よりも大きい、
装置。
【請求項2】
前記放出手段は、式Iに従って決定される前記液体組成物の流量で前記液体組成物を分注するように構成されており、
=F×V+F×V・・・・・・・+F×V(I)
式中、
「F」は、操作中の前記装置の全放出手段から分注される1時間あたりの前記液体組成物の総流量であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第1の放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、前記液体組成物についての前記第1の放出手段の粘性係数であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第2の放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、前記液体組成物についての前記第2の放出手段の粘性係数であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第nの放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、前記液体組成物についての第nの放出手段の粘性係数である、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記放出手段は、前記灌漑用水の外側に配置され、前記リザーバタンクの底面と前記放出手段との間の前記垂直距離である前記H2は、その両方に垂直である線に沿って測定されて、50cmもしくは50cm超であるか、または前記放出手段は、0.05バールもしくは0.05バール超の圧力で前記液体組成物を分注する、請求項またはに記載の装置。
【請求項4】
前記放出手段は、前記灌漑用水中に浸漬されるか、または前記灌漑用水の前記表面上に配置され、前記リザーバタンクの底面と前記灌漑用水の表面との間の前記垂直距離である前記H2は、その両方に垂直である線に沿って測定されて、50cmもしくは50cm超であるか、または前記放出手段は、0.05バールもしくは0.05バール超の圧力で前記液体組成物を分注する、請求項またはに記載の装置。
【請求項5】
前記H2は70cm以上で50メートル以下である請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、地表灌漑のために使用される灌漑用水を含む、請求項に記載の装置。
【請求項7】
地表灌漑に使用するために液体組成物を灌漑用水に分注するための方法であって、前記方法は、
5%(w/w)以上50%(w/w)以下の質量濃度を有する前記製品を含む前記液体組成物を備える請求項1からの何れか1項に記載の装置を提供することと、
前記液体組成物を前記装置の前記リザーバタンクから前記複数の放出手段を介して、作物または植物の地表灌漑のために使用される灌漑用水に投与することを含み、
前記装置は、前記液体組成物のみを分注するように構成されており、
操作前に前記液体組成物のバッチが前記リザーバタンク内へ供給されるか、または操作前に溶媒のバッチおよび製品のバッチが前記リザーバタンク内へ供給され、
前記液体組成物は、液体媒体中の肥料および/または農薬を含む製品の溶液または懸濁液であり、
前記液体組成物の流量は、H1の2倍以上大きいH2を選択することによって設定され、
前記H1は、前記リザーバタンク内の前記液体組成物の表面と前記リザーバタンクの底面との間の垂直距離であり、
前記放出手段が前記灌漑用水の外側に位置する場合、前記H2は、前記リザーバタンクの前記底面と前記放出手段との間の垂直距離であり、
前記放出手段が前記灌漑用水中に浸漬されている場合、前記H2は、前記リザーバタンクの前記底面と前記灌漑用水の表面との間の垂直距離であり、その両方に垂直である線に沿って測定される、方法。
【請求項8】
地表灌漑のために使用される浸漬水に対する前記液体組成物の希釈比は、少なくとも100である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記放出手段は、式Iに従って決定される前記液体組成物の流量で前記液体組成物を分注するように構成されており、
=F×V+F×V・・・・・・・+F×V (I)
式中、
「F」は、操作中の前記装置の全放出手段から分注される1時間あたりの前記液体組成物の総流量であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第1の放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、前記液体組成物についての前記第1の放出手段の粘性係数であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第2の放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、前記液体組成物についての前記第2の放出手段の粘性係数であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第nの放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、前記液体組成物についての第nの放出手段の粘性係数である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記放出手段は、前記灌漑用水の外側に配置され、前記リザーバタンクの底面と前記放出手段との間の前記垂直距離である前記H2は、その両方に垂直である線に沿って測定されて、50cmもしくは50cm超であるか、または前記放出手段は、0.05バールもしくは0.05バール超の圧力で前記液体組成物を分注する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記放出手段は、前記灌漑用水中に浸漬されるか、または前記灌漑用水の前記表面上に配置され、前記リザーバタンクの底面と前記灌漑用水の表面との間の前記垂直距離である前記H2は、その両方に垂直である線に沿って測定されて、50cmもしくは50cm超であるか、または前記放出手段は、0.05バールもしくは0.05バール超の圧力で前記液体組成物を分注する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記液体組成物は、水盤灌漑された田んぼに分注される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、施肥およびケミゲーションのシステムおよび方法、より具体的には、地表灌漑で使用するための施肥およびケミゲーションのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
灌漑用水を使用する、作物への溶存栄養素の送達は、施肥として知られている。ケミゲーションは、栄養素を送達するのみならず、灌漑用水を使用して作物に、生物刺激剤および駆除剤、例えば、除草剤、殺虫剤、成長調節剤、および防カビ剤などの、農薬を送達することも指す。施肥/ケミゲーションのシステムは、灌漑および肥料/農薬の適用を組み合わせるために開発され、これは、特定の作物および、例えば、植物に十分な水が提供されてない状況で特に重要である。施肥/ケミゲーションのシステムでは、肥料などの栄養素および/または駆除剤などの農薬は、圧力差、ベンチュリポンプ、および置換ポンプなどの様々な方法を介して灌漑ネットワークに注入され得る。従来の施肥方法は、作物への栄養素の送達手段への実行可能な添加となるように設計されているが、いくつかの制限がないわけではない。
【0003】
地表灌漑は、伝統的な灌漑方法であり、依然として、最も一般的に使用されている灌漑の方法の1つである。地表灌漑は、作物畑が所定の深さまで湛水される灌漑システムを指す。地表灌漑システムは、重力流によって水を畑の表面に適用する。畑全体が湛水され得る(水盤灌漑)か、水が小さい水路(溝)または尺地(境界)に供給され得る。施肥技術が地表灌漑に採用されることは少なく、これは、栄養収量/品質の低下、栄養流出の増加、および畑への栄養素の不均一な送達を結果的にもたらす。
【0004】
しかしながら、地表灌漑のために使用される原始的な施肥方法が存在する。例えば、1つの方法は、作物に送達されるべき必要な肥料の量を測定することと、湛水された畑の水入口箇所に肥料を配置することと、を含む。水入口から生成された水流は、経時的に、湛水された畑全体に栄養素を拡散させる。この方法は、操作が簡単で経済的であるが、畑への栄養素の均一な送達を達成することができない。
【0005】
タンク排出システム(例えば、Masaru Kubotaの日本特許公開第1999-018533号を参照)は、溶存栄養素を封入するタンクの下側に設置された単一の蛇口から排出される液滴の自由落下の原理に基づいている。排出された液滴は、湛水された田んぼの水入口箇所で水面に落下する。液滴の流量は、蛇口の開口位置および/または内径サイズによって調整され得、タンクの高さではなく、主にタンク内の液面の高さに影響され、それによって、液面の高さが減少するにつれて徐々に低下する。しかしながら、このシステムは、例えば、液体投与率が地表灌漑の全期間にわたって比例していないため、マイクロ施肥システムほど正確ではない。
【0006】
フロートバルブ調整放出体(例えば、Tsuneo Onoderaらの日本特許公開第2017-77210号を参照)は、田んぼへの地表灌漑の比例流体投与率を提案している。このシステムは、複雑であり、その可動構成要素は、摩耗および損傷し易い。作物畑への栄養素の均一な送達を改善する必要性が存在する。
【0007】
水田などの完全に湛水された作物畑に施肥するために最も一般的に使用される方法は、生育期の間に動力の有無にかかわらず、手またはナップザック散布機によって地表に固体の粒状肥料を散布することによるものである。栄養素の均等な分配を達成するために、高度な技能を有する労働者が必要とされる。それにもかかわらず、特に施肥量が単位面積あたりで比較的少ないとき、植物あたりの比較的均等な栄養分配は、容易に達成することができない。それは、薄く散在した肥料に起因して、いくつかの植物が、施肥される粒状肥料から離れており、他の植物が、あまり離れていないためである。生理学的には、総投与量を変更せずに、生育期にわたって作物への施肥数を分割することがより理想的である。しかしながら、上述のように、少量の肥料を均一に施肥することは難しく、固形の粒状肥料を散布することによって頻繁に施肥することは時間がかかる。
【0008】
重力滴下灌漑システムは、マイクロ灌漑方法として知られており、灌漑用水を加圧するために加圧水源または外部電源を必要としないが、重力エネルギーを使用して、灌漑用水を高架リザーバから灌漑システムを介して作物に送る。500平方メートルまでの小規模な畑をカバーするための十分な圧力を生成するために、リザーバタンクを1.0メートル超、高くすることが推薦される。500平方メートルまでの可能な限り広い畑をカバーするための重力滴下灌漑システムについて、滴下ラインの長さは、最大化されることを必要とするが、1.0メートル未満のリザーバタンクの高さは、滴下ラインの端における望ましくない圧力降下に起因して、滴下ラインの長さを最大化することができない。カバーされるべき畑のサイズと重力滴下灌漑システムのリザーバタンクの高さとの間には、トレードオフの関係が存在する。
【0009】
加えて、500平方メートルあたり数百を超える滴下放出体が、通常、1つまたは数個の植物に水を供給する滴下放出体用の重力滴下灌漑システム用に位置する。より多くの植物が滴下放出体でカバーされている場合、より不均一な水の分配は、好ましくない農学的特性をもたらす。
【0010】
重力滴下灌漑またはマイクロ灌漑システムの主な目的は、作物に水を送達することである。高濃度の栄養溶液は、作物に有毒であるため、重力滴下灌漑システムによって送達されない。
【0011】
したがって、栄養素および農薬の送達分野では、施肥および/またはケミゲーションに使用するために、具体的には、地表灌漑に使用するために、より具体的には、水盤灌漑、例えば、水田の施肥および/またはケミゲーションに使用するために、上述の欠点を克服する経済的で正確に装置を操作および設置する既存の必要性が存在する。
【0012】
サイズおよび成長段階が変化する作物を有する様々な湛水された作物畑では、栄養素および/または農薬を効率的に拡散する装置を設計することも望ましい。
【0013】
栄養素および/または農薬を収容する装置のリザーバタンクが、地表灌漑される畑から低い高さに配置される装置を設計することも望ましい。
【0014】
操作中の目詰まりおよび障害を受け難い装置を設計することも望ましい。
【0015】
施肥される肥料または農薬の量が単位面積あたりで比較的少ない場合でも、植物あたりの均等な栄養素および農薬の分配を達成し得る、施肥および/またはケミゲーション中に正確に操作される装置を設計することも望ましい。
【0016】
重力滴下灌漑システムとは区別され、リザーバタンクのより低い高さ、畑の単位面積あたりの大幅に少ない数の放出手段、およびリザーバタンク内に封入され、地表灌漑される畑に送達される高濃度の栄養溶液または懸濁液を可能にする装置を設計することも望ましい。
【0017】
本発明は、上述の問題のうちの1つ以上を解決するためのそのような投与装置および方法を提供する。本発明の他の特徴および利点は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0018】
本発明の特徴および利点は、以下の図面を参照することで理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】装置を示す本発明の実施形態の平面図および斜視図であり、放出手段が、オンラインドリッパであり、水面上に位置する。
図2】装置を示す本発明の実施形態の平面図および斜視図であり、放出手段が、オンラインドリッパであり、水面上に位置する。
図3】オンラインドリッパを介して地表灌漑用水に液体組成物を投与する装置を示す本発明の実施形態の拡大図である。
図4】装置を示す本発明の別の実施形態の図であり、放出手段が、一体型ドリッパであり、灌漑用水に浸漬されている。
図5】装置を示す本発明の別の実施形態の図であり、放出手段が、一体型ドリッパであり、灌漑用水に浸漬されている。
図6】装置を示す本発明の別の実施形態の図であり、放出手段が、一体型ドリッパであり、灌漑用水に浸漬されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、本発明の上記のおよび他の態様が詳細に説明される。以下に記載される詳細な説明は、本発明を実施する際に当業者を支援するために提供される。しかしながら、本明細書に説明され特許請求される本発明は、特定の実施形態が本発明のいくつかの態様の例示として意図されているため、本明細書に開示される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。
【0021】
以下に記載される実施形態は、本発明による他の開示された実施形態とともに実施され、組み合わせられてもよい。任意の同等の実施形態は、本発明の範囲内にあることが意図される。実際、本明細書に示され記載されたものに加えて、本発明の様々な変更例が、本発明の発見の概念または範囲から逸脱しない上記の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような変更もまた、添付の特許請求の範囲の概念に収まることが意図される。
【0022】
本出願に引用された全ての刊行物、特許、特許出願、および他の参考文献は、各個々の刊行物、特許、特許出願、または他の参考文献があらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれることが具体的に、かつ個別的に示された場合と同程度に、あらゆる目的のためにその全体を参照することにより組み込まれる。本明細書における参考文献の引用は、それが本発明の先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0023】
本発明の一態様では、液体組成物を分注するための装置が提供される。一実施形態では、本発明による装置は、液体組成物を放出手段に分注するように配置されたリザーバタンクを備え、放出手段は、パラメータまたは一連のパラメータに基づいて、決定された流量で液体組成物を分注するように設計、配置、制御、および/またはプログラムされる。これらのパラメータとしては、限定されるものではないが、操作中の装置の全放出手段から分注される1時間あたりの液体組成物の総流量、放出手段の数、液体組成物の粘性係数、放出手段の操作圧力、液体組成物の密度、重力定数、全高、リザーバタンクの容量、分注時間、またはこれらのパラメータの任意の組み合わせが挙げられる。
【0024】
本明細書に使用される際、「装置」という用語は、本明細書に説明される任意の構成要素または構成要素群を含み得る。装置はまた、任意の装置、構成要素、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、装置は、リザーバタンクおよび放出手段(例えば、オンラインおよび/または一体型ディッパ)の組み合わせを含む。したがって、「装置」および「システム」という用語は、互換的に使用され得る。
【0025】
本明細書に使用される際、「液体組成物」という用語は、液体媒体または水などの溶媒中の製品または2つ以上の製品の混合物の溶液または懸濁液を指す。任意選択的に、溶液は、固体粒子が溶媒中に細かく分散している懸濁液によって置換され得る。任意選択的に、リザーバタンクの内側の液体媒体または溶媒(例えば水)中の製品(例えば、肥料および/または農薬)の質量パーセント濃度(w/w)は、少なくとも約5%、任意選択的に少なくとも約10%、任意選択的に約10~50%である。任意選択的に、1リットルあたり少なくとも50g、60g、70g、80g、90g、または任意選択的に100gの製品がリザーバタンク中に存在する。任意選択的に、地表灌漑のために使用される浸漬水に対する液体組成物の希釈比は、少なくとも100、任意選択的に少なくとも1000である。
【0026】
本明細書に使用される際、「濃度」という用語は、液体媒体または水などの溶媒の単位体積あたりに含有される、本明細書に論じられる肥料および/または農薬などの製品の量の尺度を指す。例えば、重量/体積パーセント濃度(w/v)は、リザーバタンクの内側に存在する液体媒体または溶媒の体積(例えば、L)あたりの肥料の質量または重量(例えば、グラム)を指す。質量パーセント濃度(w/w)は、液体媒体または溶媒の質量あたりの肥料および/または農薬などの製品の質量を指す。
【0027】
本明細書に使用される「製品」という用語はまた、製品の混合物またはブレンドを含み得る。
【0028】
本発明の製品は、肥料、殺生物剤、除草剤、防カビ剤などの駆除剤、湿潤剤もしくは生物刺激剤、他の植物の成長、健康、増殖、もしくは発達を促進する製品、ミネラル、化学物質、塩、またはそれらの任意の組み合わせから選択され得る。肥料は、特に、窒素、リン、またはカリウムなどの任意の主要栄養素を含有する水溶性肥料から選択され得る。一実施形態では、本発明の肥料は、尿素、リン酸尿素、硫酸アンモニウム(AS)、リン酸一アンモニウム(MAP)、リン酸二アンモニウム(DAP)、リン酸一カリウム(MKP)、ペカシッド(Talia Avivらの米国特許公開第US9278890号)、Magphos、硝酸アンモニウム、塩化カリウム(KCl)、硫酸カリウム、および硝酸カリウムなどの水溶性肥料である。本発明の「製品(複数可)」は、対象の処理に使用される固体、粉末、顆粒、および/または錠剤の形態を指す。
【0029】
本明細書に使用される「投与」という用語は、一般に、測定された量の液体組成物を地表灌漑用水中に提供することとして理解されるべきである。
【0030】
本明細書に使用される際、「リザーバタンク」、「タンク」などの用語は、本発明の液体組成物を受容、貯蔵、および/または分注するように配置された任意の硬質または半硬質タンクを指す。リザーバタンクの他の同義語は、タンク、コンテナ、ドラム、リザーバなどである。本発明のリザーバタンクは、任意のサイズ、形状、および容量を有することができ、任意の材料、任意選択的に、ステンレス鋼、プラスチック樹脂、特に、PE(ポリエチレン)またはPVCなどの非腐食性材料で作製され得る。任意選択的に、リザーバタンクは、30L~1500Lの硬質プラスチックタンクである。任意選択的に、リザーバタンクの高さは、30cm~120cmである。任意選択的に、リザーバタンクは、バッグのような可撓性を有し得る。任意選択的に、リザーバタンクは、リザーバタンクの内側の温度を制御および調整するための熱制御層(例えば、電子ヒートジャケット)を備える。任意選択的に、リザーバタンクは、リザーバタンクに残っている液体組成物の量を確認するために液面計を有する。任意選択的に、リザーバタンクの形状は、その中の液体組成物の高さを調整するために、より広く、かつより短くすることができる。任意選択的に、リザーバタンクは、本発明の液体組成物を排他的に(液体組成物のみを)貯蔵および/または分注するように構成されている。任意選択的に、灌漑用水は、貯水タンクの内側を流れない。
【0031】
一実施形態では、装置、特に、リザーバタンクが、操作中に灌漑用水の連続供給を受容するのではなく、操作前にリザーバタンク内への液体組成物のバッチ供給を受容するか、または操作前にリザーバタンク内への溶媒/液体媒体および製品のバッチ供給を受容するように配置されている。操作前とは、装置が操作モードになく、液体組成物が装置を介して灌漑用水に分注されることができないことを意味する。任意選択的に、液体組成物のバッチは、リザーバタンクの外側で調製され、例えば、製品および溶媒は、リザーバタンク内に配置される前に混合および調製される。任意選択的に、製品および液体媒体または溶媒は、リザーバタンクの内側で調製および混合される。
【0032】
例えば、液体組成物のバッチ供給または製品のバッチ供給における「バッチ」という用語は、特定の量の液体組成物、液体媒体/溶媒、または製品を指す。
【0033】
本明細書に使用される際、「放出手段」、「放出体」、「放出デバイス」などの用語は互換的に使用され、液体組成物を送達するもの、または液体組成物がその構造を通って流れることができる任意のデバイスもしくは構造を指す。放出体は、リザーバタンク内の液体組成物を、所与の圧力で特定の流量で水盤灌漑された田んぼなどの地表灌漑された畑に送達するように配置されている。放出体としては、限定されるものではないが、オンラインドリッパ、一体型ドリッパ、フラグ放出体、噴射ノズル、スプレーノズル、開放オリフィスなどが挙げられる。任意選択的に、装置は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の放出手段、例えば、オンラインドリッパおよび/または一体型ドリッパを備える。任意選択的に、装置は、所与の圧力で同じ流量を有する放出手段を含む。任意選択的に、装置は、所与の圧力で異なる流量を有する放出手段を含む。任意選択的に、装置は、様々な異なる放出手段、例えば、オンラインドリッパおよび一体型ドリッパの組み合わせ、または様々なもしくは同様のサイズおよび/もしくは流量を有するオンラインドリッパおよびオリフィスの組み合わせを含む。
【0034】
一実施形態では、装置は、地表灌漑に使用するために液体組成物を灌漑用水に分注するように構成され、当該装置は、分注されることになる液体組成物を内部に有するリザーバタンクを備え、リザーバタンクは、放出手段と連通する出口接続部を含み、リザーバタンクは、放出手段と連通している出口接続部を含み、リザーバタンク、放出手段、および装置は、液体組成物のみを分注するように構成されている。装置は、作物および植物に灌漑用水を供給しない、または供給することができないように構成されている。例えば、地表灌漑のために使用された灌漑用水は、リザーバタンク内に流入することができず、オンラインおよび一体型などの放出手段は、灌漑用水を分配することができない。本明細書に使用される「灌漑用水」という用語は、生きているまたは成長している植生、葉、木、植物、イネなどの作物、低木、雑草、草の必要水量を供給するために使用される水を指し、この水量は、本発明によるリザーバタンクおよび放出手段によって提供されない。この実施形態では、灌漑用水は、液体組成物を収容するリザーバタンクの内側を流れない。灌漑用水は、例えば、水田の地表灌漑用に異なるまたは別個のデバイスを介して供給されるか、または供給されている。例えば、灌漑用水は、自治体の水道管を介して提供され得る。任意選択的に、放出体(複数可)は、本発明の製品、例えば、リザーバタンク内に貯蔵された肥料、栄養素、および/または農薬を含む液体組成物を供給するためだけに配置され、したがって、限られた数の放出手段のみが、本発明の装置のために必要とされる。
【0035】
一実施形態では、放出手段(例えば、オンラインドリッパおよび/または一体型ドリッパ)は、リザーバタンクと連通しており、放出手段は、リザーバタンクの容積、リザーバタンクの所与の圧力または容積における特定の流量を有する放出手段の数、および放出手段の総流量を含む1つ以上のパラメータに基づいて(事前)決定された液体組成物の流量で液体組成物を分注するように設計、配置、および/またはプログラムされている。例えば、タンク内の液体組成物の体積が50Lである場合、1L/時の流量を有する8つのオンラインドリッパが使用される。
【0036】
一実施形態では、放出手段(例えば、オンラインおよび/または一体型ドリッパ)は、リザーバタンクと連通しており、放出手段は、リザーバタンク内の液体組成物の全高、所与の圧力、放出手段の数、および分注時間における放出手段あたりの水の流量を含む1つ以上のパラメータに基づいて(事前)決定された液体組成物の流量で液体組成物を分注するように設計、配置、および/またはプログラムされている。例えば、田んぼ内に十分な水を充填するための地表灌漑時間が5時間である場合、分注時間もまた、5時間である。50Lの肥料溶液が必要とされ、1L/時の流量を有する放出手段が使用される場合、10個の放出体が必要とされることが決定され得る。
【0037】
一実施形態では、装置は、全高、放出手段の数、粘性係数、重力定数、およびリザーバタンク内の液体組成物の容積を含む特性に基づいて決定される液体組成物の流量で液体組成物を導入するようにプログラム、設計、配置、監視、制御、および/または調整される。それによって、本発明の装置の使用者は、灌漑時間を製品の液体組成物の投与と同期させるために必要とされる分注時間および/または液体組成物の容積を予測することができる。例えば、使用者が1L/時の流量を有する10個の放出体を選択した場合、使用者は、50Lの肥料溶液が5時間分注されることがわかる。
【0038】
一実施形態では、上記の実施形態のいずれかによる本発明の投与装置は、式1によって決定される流量を有するように監視、制御、設計、および/または構成されている。
=F×V+F×V・・・・・・・+F×V (I)
式中、
「F」が、操作中の装置の全放出手段から分注される1時間あたりの液体組成物の総流量であり、
「F」が、所与の圧力における水についての第1の放出手段の1時間あたりの流量であり、「V」が、液体組成物についての第1の放出手段の粘性係数であり、
「F」が、所与の圧力における水についての第2の放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」が、液体組成物についての第2の放出手段の粘性係数であり、
「F」が、所与の圧力における水についての第nの放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」が、液体組成物についての第nの放出手段の粘性係数である。
【0039】
式1に示されるように、放出体の流量は、放出体上の液体組成物の圧力によって決定される。圧力は、単に液体組成物のカラム高さの関数である。任意選択的に、配管およびフィルタの圧力損失は、配管およびフィルタが適切に設計および寸法決めされている場合、無視することができる。各放出手段の所与の圧力は、式IIによって決定され得る。
P=D×g×H (II)
式中、
「P」=放出手段の操作圧力(Pa)であり、
「D」=液体組成物の密度(kg/m)であり、
「g」=重力定数(典型的に、9.8m/s)であり、
「h」=全高(m)であり、
放出手段が灌漑用水の外側に位置する場合、全高が、リザーバタンク内の液体組成物の表面と放出手段との間の垂直距離であり、その両方に垂直である線に沿って測定されるか、または
放出手段が灌漑用水中に浸漬されている場合、全高が、リザーバタンク内の液体組成物の表面と灌漑用水の表面との間の垂直距離であり、その両方に垂直である線に沿って測定される。
【0040】
任意選択的に、図1および図4に示されるように、全高は、H1+H2であり、H1は、リザーバタンク内の液体組成物の高さであり、H2は、リザーバタンクの底面と放出手段(放出手段が灌漑用水の外側に位置する場合)または灌漑用水(放出手段がリザーバタンク内で浸漬されている場合)との間の垂直距離である。
【0041】
任意選択的に、H2は、約70cmまたは70cm超である。H2が高いほど、必要とされる放出手段の数が少なくなる。H2が70cmよりもはるかに低い場合、1時間あたりの流量が低すぎるため、放出手段が正しく安定して動作するために十分な圧力が生成されない。地形的に70cm超の高さが得られる場合、スタンドフレームは、必要ない。さらに、H2は、H1より2倍超高いことが好ましい。H2がH1の2倍未満である場合、施肥開始時の流量と施肥終了時の流量とのギャップが広過ぎて、分注時間にわたって地表灌漑地に栄養素を均等に分配することができない。それゆえに、流量の点から広いギャップをもたらさないように、H1は、H2の1/2よりも低いことが好ましい。
【0042】
好ましくは、最大H2は、50メートルである。地形的な高さが利用可能である丘陵地帯では、放出手段または湛水された畑の地表水位から50メートルの高さの地点にリザーバタンクを配置することができる。しかし、50メートルの高さを超えると比較的高い圧力が生成されるため、放出手段の数を変更することによって流量を調整することができない。さらに、50メートル超の長さの流体チューブは、タンクが空になった後でも、実質的に余分な液体組成物を保持し得る。施肥の流量は、50メートル超の長さの流体チューブに残っている余分な液体組成物が空になるまで、比較的長い時間、徐々に減少する。それはまた、分注時間にわたって地表灌漑地に栄養素を均等に分配するには広過ぎるギャップをもたらす。
【0043】
本明細書に使用される際、「スタンドフレーム」、「スタンド」または「プラットフォーム」という用語は、地形的な高さが利用可能でないか、または約0.070バールを発生させるために十分でない場合、リザーバタンクを放出手段または湛水された畑の地表水位(灌漑用水の表面)から人工的に上昇させる手段(例えば、デバイス)を指す。任意選択的に、スタンドは、リザーバタンクとは別個の構成要素である。任意選択的に、スタンドの高さは、全高が約70cm以上になるように調整される。任意選択的に、スタンドの主軸は、地面に対して垂直に配向される。任意選択的に、スタンドの上面は、リザーバタンクの底面に対して平行に配向される。任意選択的に、スタンドは、液体組成物およびリザーバタンクの重量を積む能力を有する。任意選択的に、スタンドは、傾斜した地面でもスタンドの上面を水平にする伸縮自在の脚を有する。
【0044】
さらなる実施形態では、図1図3を参照すると、放出手段(9)は、オンラインドリッパであり、リザーバタンク(1)の下に位置する。放出手段(9)は、任意選択的に流体チューブ(8)を介してリザーバタンク(1)の出口接続部(3)に接続されて、畑(14)の地表灌漑のために使用される灌漑用水(15)上に液体組成物を導入する。液体組成物が、所望の投与時間に対して特別に計算された流量を有する放出手段(9)によって灌漑用水上に分注されるように。任意選択的に、装置は、通過する流体の流れを制御、閉塞、または開放するためのバルブ(5)と、放出手段(9)の通路よりも大きい異物および不溶性物質を排除するためのフィルタ(4)と、を含む。
【0045】
さらなる実施形態では、図1~3を参照すると、本発明の滴下導管(10)は、液体組成物の液滴を絶対的な正確さで対象上にガイドし、他の放出手段による干渉および/または天然の障壁が放出手段の出口を閉塞することを防止するために、滴下ガイドペグ(11)と接触している。ドリッパ手段の予期しない巻き上げまたはねじれは、放出手段の出口からの流れを遮断し、予期せずに流量を低減させる可能性がある。
【0046】
さらなる実施形態では、図4図6を参照すると、放出手段(9)としての一体型ドリッパは、水盤灌漑された田んぼなどの地表灌漑の畑で最も強い灌漑用水流が発生する地点に任意選択的に配置するためのループした端を有する。さらなる実施形態では、図2を参照すると、放出手段(9)としての一体型ドリッパは、灌漑用水中に浸漬されて、外気との直接接触によって引き起こされ得る目詰まりトラブルおよび滴下放出体の頻繁な洗浄を防止する。さらなる実施形態では、放出手段(9)としての一体型滴下ラインは、栄養素の拡散を促進する複数の滴下出口を有する。
【0047】
さらなる実施形態では、本発明の放出手段(9)は、浮きおよび移動を防止するための固定手段を含む。固定手段は、浮きを防止するための重りまたは移動を防止するためのペグとすることができる。
【0048】
さらなる実施形態では、放出手段(9)は、例えば、液体組成物が屋外にあるとき、および/または灌漑用水中に浸漬されているときに、重力によって液体組成物を分注するように設計されている。
【0049】
図に示されるように、任意選択のフィルタ(4)は、任意の形状、任意選択的に、円筒形を有し得、放出手段の合計の流量が遅延なく連続的に通過する限り、任意のサイズを有し得、任意の材料、任意選択的に、ステンレス鋼、プラスチック樹脂、特に、PE(ポリエチレン)またはPVCなどの非腐食性材料で作製され得る。本発明のフィルタは、任意のタイプ、任意選択的に、スクリーン、ディスク、テキスタイル、膜、またはそれらの任意の組み合わせなどの表面フィルタとすることができる。任意選択的に、フィルタ表面は、交換可能および/または使い捨てとすることができる。本発明では、フィルタは、有意な圧力降下を生じさせないと想定される。
【0050】
本明細書に使用される際、「出口(3)」または「出口接続部」という用語は、液体組成物がリザーバタンクを出る手段(例えば、デバイス)を指す。一実施形態では、出口は、リザーバタンクとは別個の構成要素である。一実施形態では、出口の主軸は、リザーバタンクの主軸に対して垂直に配向されている。別の実施形態では、出口の主軸は、リザーバタンクの主軸に対して平行に配向されている。一実施形態では、出口は、チューブの形態である。別の実施形態では、出口は、パイプの形態である。任意選択的に、出口は、任意の非被腐食性材料、任意選択的に、任意の非腐食性材料で作製される。任意選択的に、出口は、25mmのPVCパイプまたは25mmのPEパイプである。
【0051】
本明細書に使用される際、「流体チューブ(8)」という用語は、液体組成物が出口接続部および放出手段と連通しているパイプの形態の手段を指す。任意選択的に、流体チューブは、任意の材料、任意選択的に、任意の非被腐食性材料で作製される。任意選択的に、流体チューブは、外径が25mm、内径が21mmであるPEパイプである。別の実施形態では、流体チューブは、自然に浮き上がるように大気に対して鈍角である屈曲辺を有する。
【0052】
本明細書に使用される際、「滴下導管(10)」という用語は、液体組成物が放出手段と連通している、例えば、パイプの形態の手段を指す。任意選択的に、滴下導管は、任意の材料、任意選択的に、任意の非被腐食性材料で作製される。任意選択的に、滴下導管は、外径が5mm、内径が3mmであるPVCパイプマイクロチューブである。
【0053】
本明細書に使用される際、「滴下ガイドペグ(11)」または「ガイドペグ」という用語は、フックおよび/またはクリップのように滴下導管の出口を固定し、液体組成物の滴下を湛水された畑の水入口箇所に向ける手段を指す。滴下ガイドペグは、放出手段と連通している滴下導管と接触している。一実施形態では、滴下ガイドペグは、滴下導管とは別個の構成要素である。一実施形態では、滴下ガイドペグは、尖った端を有する。一実施形態では、滴下ガイドペグは、滴下導管の出口が外部の障害物によって遮断されることを防止する後外側溝および/または長手方向リブを有する。任意選択的に、滴下ガイドペグは、任意の材料、任意選択的に、任意の非被腐食性材料で作製される。任意選択的に、滴下ガイドペグは、プラスチックで作製される。
【0054】
任意選択のバルブ(5)が、フィルタの前に配置され得る。一実施形態では、バルブ(5)は、電気的に制御され、かつ遠隔で操作されるピンチバルブと置換され得る。
【0055】
さらなる実施形態では、本発明の装置は、リザーバタンクの外側に配置され、かつリザーバタンク(1)の出口と連通して、流体チューブ(8)および放出手段(9)内への空気混入を可能にしない、大気開放チューブ(7)を備える。任意選択的に、大気開放チューブ(7)は、透明材料で作製され得、リザーバタンク(1)の液面計として使用され得、リザーバタンク(1)および流体チューブ(7)と連通し、大気開放弁としても機能する。大気開放チューブ(7)を介した大気開放を促進するために、流体管(8)は、90度または鋭角の屈曲を有していないが、鈍角または鈍い曲率の屈曲を有することが好ましい。
【0056】
装置で使用され得る放出手段としてのオンラインドリッパの一例は、表1に従って所与の圧力で所定の流量を有するオンラインドリッパである。
【表1】
【0057】
装置で使用され得る放出手段としての一体型ドリッパの一例は、表2に従って所与の圧力で所定の流量を有する一体型ドリッパである。
【表2】
【0058】
様々な市販のオンラインドリッパ(例えば、Rivulis(商標)のE1000)および一体型ドリッパ(例えば、Netafim(商標)のMicrodrip 8mm)が存在する。本発明による装置は、一実施形態では、リザーバの容積を含むいくつかのパラメータに基づいて、Rivulis E1000(商標)およびNetafimのMicrodrip 8mmなどの既知の市販の放出体を構成および調整し、地表灌漑の畑の施肥および/またはケミゲーションにおける使用、具体的には、水盤灌漑における使用、より具体的には、水稲の水盤灌漑における使用のために、施肥および/または農薬を送達するように配置される。
【0059】
任意選択的に、本発明の放出手段は、約0.05バールなどの比較的低圧で液体組成物を分注し、このことは、約50cmのタンクの最小高さ(例えば、図に示されるH2)が必要とされることを意味する。任意選択的に、放出手段は、約0.05バール~約5.0バールの圧力で液体組成物を分注し、任意選択的に、放出体は、約0.1バール~約0.070バールの流量低下を有する。任意選択的に、放出手段は、約0.07バールの圧力で液体組成物を分注し、このことは、約70cmのタンクの最小高さが必要とされることを意味する。
【0060】
一実施形態では、放出手段としてのオンラインドリッパは、流体チューブおよび滴下導管と連通している。別の実施形態では、放出手段としての一体型ドリッパラインは、流体チューブと連通している。
【0061】
例えば、表1を参照すると、放出体あたりの水の流量は、0.1バールで1.1L/時であり、これは、液体組成物の粘性係数が1.0であり、かつ液体組成物の密度が1.0である場合、全高が0.98メートルであることによって達成され、8つの放出体が液体組成物の8.8L/時の流量を達成するために投与装置に必要とされる。
【0062】
本明細書に使用される際、「粘性係数」などの用語は、特定のタイプの放出手段の水の粘性と比較して、液体組成物の粘性によってどれだけの流量が低減するかを意味する、因子の指標を指す。液体組成物の粘性に敏感ではない放出手段が存在するが、一方、液体組成物の粘性に敏感である特定のタイプの放出手段が存在する。放出手段がオンラインドリッパまたは粘性に敏感である任意の他の手段である場合、「粘性係数」が顕著になる。「粘性係数」の指標は、経験的に計算され、指標の範囲は、0~1.0である。例えば、放出体の水の流量が0.65L/時であり、放出体の液体組成物の流量が0.36L/時である場合、液体組成物の粘性係数は、0.36/0.65=0.55である。
【0063】
本明細書に使用される際、「密度」という用語は、液体組成物の体積の重量を指す。
【0064】
本明細書に使用される際、「対象(複数可)」などの用語は、任意の、生きているか、または成長している植生、葉、木、植物、イネなどの作物、低木、雑草、草、菌類、および昆虫を有する地表灌漑の畑を指す。一実施形態では、対象は、水盤灌漑された田んぼ、任意選択的に、0.3~2.0ヘクタールの水盤灌漑された田んぼである。対象はまた、灌漑用水を指す場合もある。灌漑用水は、畑の入口箇所にあってもよく、および/または流れている灌漑用水であってもよい。
【0065】
本明細書に使用される際、「対象の処理」、「対象を処理する」などの用語は、成長または収量を促進するための施肥/ケミゲーション、施肥、栄養供給、昆虫防除、駆除剤、除草剤、殺菌剤、防カビ剤の塗布を含み、対象の観賞性または外観を改善または変更することを含む。
【0066】
本明細書に使用される際、「水溶性」という用語は、温度などの所与の物理的条件で所与の量の水に溶解することができる製品を指す。一般に、「水溶性」という用語は、部分的または完全に溶解した形態を指す。例えば、製品または製品の混合物(例えば、肥料(複数可))は、溶解形態で存在することができ、80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超、および最も好ましくは99%超の量に溶解される。任意選択的に、製品または製品の混合物は、100%溶解される。
【0067】
「連通する」という用語は、システムのある構成要素と別の構成要素との間の別の材料または層を通じた直接的または間接的であり得る物理的接続を包含する。例えば、本発明の出口接続部および放出手段は、互いに連通するように設計されている。
【0068】
本明細書に使用される際、「溶解度」という用語は、所与の温度で水などの所与の量の流体中に溶解され得る本発明の製品の最大量を指す。例えば、所与の温度における製品の溶解度の尺度は、特定の流体100g毎に何グラムの製品が溶解されて飽和溶液を形成し得るかである。
【0069】
本明細書に使用される際、「流量」という用語は、正確な設定流量からの比較的小さいプラスまたはマイナス変動、例えば、プラスまたはマイナス1~10%の変動で経時的に事前選択された設定流量を維持するように、本発明によってプログラム、制御、設計、または構成されたドリッパ放出手段の能力を含む。例えば、8リットル/時の流量は、+/-10%、または7.2リットル/時~8.8リットル/時を含む。事前選択された設定流量は、全高、所与の圧力におけるドリッパ放出体あたりの水の流量、放出手段の数、粘性係数、比重、および投与時間を含む特性に基づいて決定される。
【0070】
「投与時間」、「分注時間」、「操作時間」、「施肥時間」などの用語は、互換的に使用され、放出手段を介してリザーバタンクから外に、具体的には、リザーバタンクから対象に液体組成物を分注するための指定された期間を指す。例えば、一実施形態では、本発明の分注時間は、4~8時間である。十分な貯留水高さを得るために灌漑時間を投与時間と同期させることが理想的である。
【0071】
さらに、本発明の目的のために、「a」または「an」実体という用語は、別途限定されない限り、その実体の1つ以上を指す。したがって、「a」または「an」、「1つ以上」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
【0072】
本発明の別の態様では、液体組成物を対象および/または灌漑用水に分注するための方法が提供される。本発明の方法は、特に、施肥、ケミゲーション、および/または灌漑のために使用される。上記の実施形態の全てが適用され、参照によりその全体がこの実施形態に組み込まれる。
【0073】
一実施形態では、方法は、上記の実施形態のいずれかによる装置を介して、液体組成物を対象および/または灌漑用水に分注することを含む。任意選択的に、方法は、地表灌漑、特に、水田の水盤灌漑のために使用される灌漑用水の外側に放出手段(例えば、オンラインおよび/または一体型ドリッパ)を配置することを含む。任意選択的に、方法は、放出手段(例えば、オンラインおよび/または一体型ドリッパ)を配置することを含み、放出手段は、地表灌漑のために使用される灌漑用水の表面上にある。任意選択的に、方法は、地表灌漑のために使用される灌漑用水中に沈水または浸漬された放出手段(例えば、オンラインおよび/または一体型ドリッパ)を配置することを含む。
【0074】
一実施形態では、方法は、肥料(複数可)および/または農薬を含む(またはそれらからなる)液体組成物を、放出手段(例えば、オンラインおよび/または一体型ドリッパ)を介して、対象(例えば、水稲)に、または灌漑用水に分注することを含む。
【0075】
本発明の別の態様では、地表灌漑、特に湛水された表面の施肥および/またはケミゲーション(水盤、境界、畝間灌漑された畑を含む地表灌漑)のための上記の実施形態のいずれかによる装置の使用が提供される。任意選択的に、上記の実施形態のいずれかによる装置は、水稲、牧草(例えば、アルファルファ、クローバ)、木(例えば、シトラス、バナナ)、広大な畑で栽培されている作物(例えば、穀類)、ある程度のタバコなどの条植え作物などの、地表灌漑された(例えば、水盤灌漑された)作物畑の施肥および/またはケミゲーションのために使用される。一般に、上記の実施形態のいずれかによる装置は、作物が24時間よりも長い期間、湛水された地表に立ち得る地表灌漑のために使用される灌漑用水に製品(例えば、肥料および駆除剤などの農薬)を分注するために使用され得る。
【0076】
一実施形態では、本開示の実施形態のいずれかにおける「備える」という用語は、「からなる」または「本質的にからなる」という用語と置換される。
【0077】
一実施形態では、本開示の任意の実施形態による装置は、灌漑用水を含み、すなわち、システムまたは装置は、図に示されるように、地表灌漑のために使用される灌漑用水(15)を含む。任意選択的に、装置/システムは、地表灌漑に使用するために液体組成物を灌漑用水に分注するように構成され、当該システム/装置は、リザーバタンク、放出手段、および灌漑用水を含み、液体組成物は、分注されるか、またはリザーバタンク内に貯蔵され、リザーバタンクは、放出手段と連通する出口接続部を含み、リザーバタンク、放出手段、および/または装置は、液体組成物のみを灌漑用水に分注するように構成されている。本開示の全ての実施形態は、この実施形態、例えば、放出手段、装置、リザーバタンク、それらの流量、H1、H2、全高、放出手段のタイプ、放出手段分注速度、圧力などに関する実施形態に、完全に組み込まれ得る。
【実施例
【0078】
植え替えまたは播種前の基肥として徐放性肥料(CRF、主にポリマー被覆尿素)を含有するバルクブレンド肥料の単回散布が、80年代半ばから日本の稲作のために広く使用されている。追肥のために30kgのナップザック散布機を背負いながら、炎天下に泥だらけの田んぼを歩くことは、大変な労力である。ベース肥料にブレンドされたCRFは、複数回の追肥散布の労力に取って代わり、日本における主要な窒素栄養管理になった。この単回散布技術は広く受け入れられているが、穀物充填期間中の繰り返しの高温傷害、大規模稲作農家のコスト意識、および遠隔検知技術の開発により、要求に応じた追肥の重要性が再び脚光を浴びている。しかしながら、複数回の追肥の解決策を提供するための安価な労力または技術が存在しない。装置、その使用、および実施形態のいずれかによる本開示の方法は、イネの施肥を提供する。システムは、例えば、畑の外の水入口箇所における水溶性肥料(窒素、リン酸塩、およびカリウム)の溶解を可能にし、灌漑を通じて田んぼに溶液を継続的に供給する。
【0079】
行われた試験の材料および方法
場所:Ryugasaki-shi、Ibaraki prefecture、Japan
土壌タイプ:泥炭土壌
処理する畑のサイズ(施肥):0.34ha(79m×45m)
イネ品種:Akidawara
植栽密度(列内30cm×植物内20cm)
施肥肥料:水溶性肥料(ICL特殊肥料の製品、尿素、リン酸モノアンモニウム、および塩化カリウムの混合物)
装置:図1図3に示される本開示のイネ施肥デバイス。2つの装置は0.34haの田んぼの2つの消火栓の隣位置した。H1=38cm、H2=70cm、装置あたりの液体組成物の量=50L、50Lの液体組成物を分注するために約5時間かかった。
施肥プログラム(kg/ha):
【表3】
使用された装置は、田んぼ全体に栄養素を均等に分配し、均一な草丈および葉の色を示すことが証明された。経済的で、トラブルがなく、ユーザフレンドリで正確に操作することができる。従来の粒状肥料の散布と比較して、収量レベルを維持するために装置を介した肥料の投入を低減することが期待される。
【0080】
以下の番号付きの段落は、本開示の特定の実施形態に関連すると考えられる特徴の特定の組み合わせを記載する。
1.地表灌漑に使用するために液体組成物を灌漑用水に分注するように構成された装置であって、当該装置は、
分注されることになる液体組成物を内部に有するリザーバタンクを備え、
リザーバタンクは、放出手段と連通する出口接続部を含み、
リザーバタンク、放出手段、および/または装置は、液体組成物のみを分注するように構成されている、装置。
2.装置は、操作中に灌漑用水の連続供給を受容するのではなく、操作前にリザーバタンク内への液体組成物のバッチ供給を受容するか、または操作前にリザーバタンク内への溶媒のバッチ供給および製品のバッチ供給を受容するように配置されている、段落のいずれかに記載の装置。
3.装置は、少なくとも5%(w/w)の質量濃度を有する製品を含む液体組成物を分注するように構成されている、段落のいずれかに記載の装置。
4.装置は、液体組成物を分注するように構成され、液体組成物は、液体媒体中の肥料および/または農薬の溶液または懸濁液である、段落のいずれかに記載の装置。
5.放出手段は、灌漑用水の外側に配置され、リザーバタンクの底面と放出手段との間の垂直距離は、その両方に垂直である線に沿って測定されて、約50cmもしくは50cm超であるか、または放出手段は、約0.05バールもしくは約5バール超の圧力で液体組成物を分注する、段落のいずれかに記載の装置。
6.放出手段は、灌漑用水中に浸漬されるか、または灌漑用水の表面上に配置され、リザーバタンクの底面と灌漑用水の表面との間の垂直距離は、その両方に垂直である線に沿って測定されて、約50cmもしくは約50cm超であるか、または放出手段は、約0.05バールもしくは約5バール超の圧力で液体組成物を分注する、段落のいずれかに記載の装置。
7.放出手段は、式Iに従って決定される液体組成物の流量で液体組成物を分注するように構成されており、
=F×V+F×V・・・・・・・+F×V (I)
式中、
「F」は、操作中の装置の全放出手段から分注される1時間あたりの液体組成物の総流量であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第1の放出手段の1時間あたりの流量であり、「V」は、液体組成物についての第1の放出手段の粘性係数であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第2の放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、液体組成物についての第2の放出手段の粘性係数であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第nの放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、液体組成物についての第nの放出手段の粘性係数である、段落のいずれかに記載の装置。
8.圧力は、式IIに従って決定され、
P=D×g×H (II)
式中、
「P」=圧力(Pa)であり、
「D」=液体組成物の密度(kg/m)であり、
「g」=重力定数(典型的に、9.8m/s)であり、
「h」=全高(m)であり、
放出手段が灌漑用水の外側に位置する場合、全高は、リザーバタンク内の液体組成物の表面と放出手段との間の垂直距離であり、その両方に垂直である線に沿って測定されるか、または
放出手段が灌漑用水中に浸漬されている場合、全高は、リザーバタンク内の液体組成物の表面と灌漑用水の表面との間の垂直距離であり、その両方に垂直である線に沿って測定される、特許請求の範囲の段落に記載の装置。
9.放出手段は、オンラインドリッパおよび/または一体型チューブドリッパである、段落のいずれかに記載の装置。
10.装置は、地表灌漑のために使用される灌漑用水をさらに含む、段落のいずれかに記載の装置。
11.作物および/または植物の地表灌漑に使用するために液体組成物を灌漑用水に分注するための方法であって、当該方法は、
放出手段を介してリザーバタンク内の液体組成物を、作物および/または植物の地表灌漑のために使用される灌漑用水に投与することを含み、
リザーバタンク、放出手段、および/または装置は、液体組成物のみを分注するように構成されている、方法。
12.装置は、操作中に灌漑用水の連続供給を受容するのではなく、操作前にリザーバタンク内への液体組成物のバッチ供給を受容するか、または操作前にリザーバタンク内への溶媒のバッチ供給および製品のバッチ供給を受容するように配置されている、段落のいずれかに記載の方法。
13.液体組成物は、少なくとも約5%(w/w)の質量濃度を有する製品を含む、段落のいずれかに記載の方法。
14.投与された液体組成物は、液体媒体中の肥料および/または農薬の溶液または懸濁液である、段落のいずれかに記載の方法。
15.放出手段は、灌漑用水の外側に配置され、リザーバタンクの底面と放出手段との間の垂直距離は、その両方に垂直である線に沿って測定されて、約50cmもしくは50cm超であるか、または放出手段は、約0.05バールもしくは約0.05バール超の圧力で液体組成物を分注する、段落のいずれかに記載の方法。
16.放出手段は、灌漑用水中に浸漬されるか、または灌漑用水の表面上に配置され、リザーバタンクの底面と灌漑用水の表面との間の垂直距離は、その両方に垂直である線に沿って測定されて、約50cmもしくは約50cm超であるか、または放出手段は、約0.05バールもしくは約0.05バール超の圧力で液体組成物を分注する、段落のいずれかに記載の方法。
17.放出手段は、式Iに従って決定される液体組成物の流量で液体組成物を分注するように構成されており、
=F×V+F×V・・・・・・・+F×V (I)
式中、
「F」は、操作中の装置の全放出手段から分注される1時間あたりの液体組成物の総流量であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第1の放出手段の1時間あたりの流量であり、「V」は、液体組成物についての第1の放出手段の粘性係数であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第2の放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、液体組成物についての第2の放出手段の粘性係数であり、
「F」は、所与の圧力における水についての第nの放出手段の1時間あたりの流量であり、
「V」は、液体組成物についての第nの放出手段の粘性係数である、段落のいずれかに記載の方法。
18.圧力は、式IIに従って決定され、
P=D×g×H (II)
式中、
「P」=圧力(Pa)であり、
「D」=液体組成物の密度(kg/m)であり、
「g」=重力定数(典型的に、9.8m/s)であり、
「h」=全高(m)であり、
放出手段が灌漑用水の外側に位置する場合、全高は、リザーバタンク内の液体組成物の表面と放出手段との間の垂直距離であり、その両方に垂直である線に沿って測定されるか、または
放出手段が灌漑用水中に浸漬されている場合、全高は、リザーバタンク内の液体組成物の表面と灌漑用水の表面との間の垂直距離であり、その両方に垂直である線に沿って測定される、段落のいずれかに記載の方法。
19.放出手段は、オンラインドリッパおよび/または一体型チューブドリッパである、段落のいずれかに記載の方法。
20.液体組成物は、水盤灌漑された田んぼに分注される、段落のいずれかに記載の方法。
21.地表灌漑、好ましくは水盤灌漑、より好ましくは作物および/または植物の水盤灌漑のために使用される灌漑用水に液体組成物を分注するための段落のいずれかに記載の、装置および/または方法の使用。
22.上記の特許請求の範囲のいずれかの装置および/または方法は、水田の水盤灌漑のために使用される灌漑用水に液体組成物を分注するために使用され、好ましくは、液体組成物は、肥料および/または農薬を含む、段落のいずれかに記載の装置および/または方法の使用。
23.使用される放出手段は、オンラインドリッパおよび/または一体型ディッパである、段落のいずれかの上記装置および/または方法のいずれかの使用。
【符号の説明】
【0081】
(1)リザーバタンク
(2)スタンドフレーム
(3)出口接続部
(4)フィルタ
(5)バルブ
(6)T字形接続部
(7)大気開放弁
(8)流体チューブ
(9)放出手段
(10)滴下導管
(11)滴下ガイドペグ
(12)エンドキャップ
(13)水入口箇所
(14)湛水された畑
(15)灌漑用水
図1
図2
図3
図4
図5
図6