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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】新規方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20240830BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240830BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240830BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240830BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240830BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240830BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240830BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240830BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240830BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240830BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240830BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240830BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61P25/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021510807
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019049061
(87)【国際公開番号】W WO2020047407
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】62/725,944
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/779,920
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ-セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA-CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ポン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・デイビス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ポール・フィンドリー
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539144(JP,A)
【文献】国際公開第2018/031535(WO,A1)
【文献】特表2011-513485(JP,A)
【文献】国際公開第2018/189646(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/071233(WO,A1)
【文献】特表2021-535151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 43/00
A61P 25/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノトシレート塩形態の、ルマテペロン:
【化1】
を含む、経口(消化管)投与用に製剤化されている固体経口剤形であって、該ルマテペロンモノトシレートが固体結晶形態であり、該剤形が即時放出剤形であり、該剤形が、錠剤またはカプレット剤であり、該剤形が、少なくとも(a)微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロースおよび/またはマンニトールから選択される希釈剤/充填剤;(b)ヒドロキシプロピルセルロースである結合剤;(c)クロスカルメロースナトリウムである崩壊剤;(d)ステアリン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセリルから選択される滑沢剤;ならびに(e)二酸化ケイ素およびタルクから選択される流動促進剤を含む1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体を含んでいる、剤形。
【請求項2】
剤形が、モノトシレート塩形態のルマテペロンおよびジトシレート塩形態のルマテペロンの組合せを含む、請求項1記載の剤形。
【請求項3】
ルマテペロンモノトシレートが、固体結晶形態であり、該結晶が、5.68°、12.11°、16.04°、17.03°、18.16°、19.00°、21.67°、22.55°、23.48°および24.30°(該ピークの各々、±0.2°)からなる群から選択される2θ値を有する少なくとも2つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、粉末X線回折データがニッケルフィルター付き銅アノードで動作する回折計で収集される、請求項1または2記載の剤形。
【請求項4】
剤形が、さらに、トルエンスルホン酸を含む、請求項1~3のいずれかに記載の剤形。
【請求項5】
剤形が、トルエンスルホン酸をルマテペロンモノトシレートに対するモル比1:1~1:2で含む、請求項4に記載の剤形。
【請求項6】
剤形が、ルマテペロン遊離塩基0.01~120mgと同等の総単位量で、ルマテペロンモノトシレートを含む、請求項1~5のいずれかに記載の剤形。
【請求項7】
剤形が、ルマテペロン遊離塩基1~60mgと同等の総単位量で、ルマテペロンモノトシレートを含む、請求項1~5のいずれかに記載の剤形。
【請求項8】
剤形が、ルマテペロン遊離塩基35~45mgと同等の総単位量で、ルマテペロンモノトシレートを含む、請求項1~5のいずれかに記載の剤形。
【請求項9】
該1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体が、さらに、(f)発泡剤、(g)ポリマー、(h)可塑剤、(i)乾燥剤(drying agent)または乾燥剤(desiccant)、(j)保水剤、(k)湿潤剤、(l)抗酸化剤、(m)増粘剤、(n)界面活性剤、(o)バッファー、(p)甘味剤またはフレーバー剤、および(q)色素または着色剤のうち1種類以上を含む、請求項1~8のいずれかに記載の剤形。
【請求項10】
剤形が、ルマテペロンモノトシレート、微結晶セルロースまたはケイ化微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、フレーバー剤および/または着色剤および/または抗酸化剤を含む、請求項1~9のいずれかに記載の剤形。
【請求項11】
剤形が、1種類以上のポリマー表面コーティング剤を含み、該剤形が1~10重量%のポリマー表面コーティング剤を含む、請求項1~10のいずれかに記載の剤形。
【請求項12】
剤形が、円形、卵円形または楕円形の錠剤である、請求項1~11のいずれかに記載の剤形。
【請求項13】
ルマテペロンが、(a)平均粒径が1~200μmであり;および/または(b)D90が100μm以下であり;および/または(c)D10が50μm以下である粒子の形態である、請求項1~12のいずれかに記載の剤形。
【請求項14】
剤形が、モノトシレート塩形態のルマテペロンおよび1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体を含み、該剤形が錠剤またはカプレット剤であり、該1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体が、少なくとも(a)ケイ化微結晶セルロースおよび/またはマンニトールである希釈剤/充填剤;(b)ヒドロキシプロピルセルロースである結合剤;(c)クロスカルメロースナトリウムである崩壊剤;(d)ステアリン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセリルから選択される滑沢剤;ならびに(e)二酸化ケイ素およびタルクから選択される流動促進剤を含む、請求項1~13のいずれかに記載の製剤。
【請求項15】
剤形が、ケイ化微結晶セルロース、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよび二酸化ケイ素を含む、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
剤形が、ケイ化微結晶セルロースおよびマンニトール60~90重量%、ヒドロキシプロピルセルロース1~10重量%、クロスカルメロースナトリウム1~10重量%、ステアリン酸マグネシウム0.1~5重量%および二酸化ケイ素0.1~5重量%を含む、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
剤形が、ルマテペロン遊離塩基1~60mgと同等の総単位量で、ルマテペロンモノトシレートを含む、請求項14、15または16に記載の製剤。
【請求項18】
剤形が、ルマテペロン遊離塩基1~20mg、25~35mgまたは35~45mgと同等の総単位量で、ルマテペロンモノトシレートを含む、請求項14、15、16または17に記載の製剤。
【請求項19】
剤形が、(l)抗酸化剤を含み、該抗酸化剤がアスコルビン酸である、請求項1~18のいずれかに記載の製剤。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載の剤形の製造方法であって、
(a)ルマテペロンモノトシレートを、少なくとも1つの希釈剤または担体と組み合わせるステップ;
(b)得られた混合物をブレンドおよび/または粉砕および/または造粒するステップ;
(c)均一な粒径を達成するために、得られた混合物を濾過してもよいステップ;
(d)崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの他の希釈剤または担体を添加するステップ;
(e)得られた混合物をブレンドおよび/または粉砕および/または造粒するステップ;
(f)均一な粒径を達成するために、得られた混合物を濾過してもよいステップ;
(g)該混合物をプレスして、該剤形を形成するステップ;および
(h)製剤がコーティングを含む場合、該剤形に1つ以上のコーティングを適用するステップ
を含む、方法。
【請求項21】
5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)、および/またはドパミンD1/D2受容体シグナル伝達経路が関与するかまたはそれによって媒介される疾患または障害の治療または予防のための、請求項1~19のいずれかに記載の固体経口剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際特許出願は、2018年8月31日に出願された米国仮出願第62/725,944号、および2018年12月14日に出願された米国仮出願第62/779,920号(各々の内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)の優先権および利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、場合によっては1種類以上のさらなる治療剤と組み合わせて、遊離形態または薬学的に許容される塩形態のルマテペロンを含む、固体経口剤形、その製造方法、および疾患の治療または予防における使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
置換複素環縮合γ-カルボリンであるルマテペロン(4-((6bR,10aS)-3-メチル-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(7H)-イル)-1-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノン)は、種々の中枢神経系障害の治療に有用な、セロトニン受容体(5-HT2A)、ドパミン受容体(D1および/またはD2)、ならびにセロトニントランスポーター(SERT)リガンドであることが知られている。
【0004】
ルマテペロンは、セロトニン-2A(5-HT2A)受容体をアンタゴナイズし、および/または重要な細胞内リンタンパク質のレベルでドパミン受容体シグナル伝達を調節する。この化合物は、主に、統合失調症の陽性および陰性症状、うつ病(特に、急性うつ病および双極性うつ病)、不安症および外傷性障害(急性不安および心的外傷後ストレス障害を含む)、ならびに認知症(アルツハイマー病およびそれに関連する症状を含む)の治療に有用であることが知られている。この化合物は、ドパミンD2受容体において、2つの特性を有しており、D2受容体のシナプス後アンタゴニストおよびシナプス前部分アゴニストの両方として作用する。また、中脳辺縁系に特異的にグルタミン酸作動性NMDA NR2BまたはGluN2B受容体のリン酸化を刺激する。抗精神病薬の有効性を媒介すると考えられている脳領域におけるこの局所選択性は、セロトニン作動性、グルタミン酸作動性およびドパミン作動性相互作用とともに、統合失調症に関連する陽性症状、陰性症状、情動症状および認知症状に対する抗精神病薬有効性をもたらし得ると考えられている。本化合物はまた、統合失調感情障害および併存性(co-morbid)うつ病の治療のための、ならびに/または大うつ病性障害の単独の治療(stand-alone treatment)としての抗うつ活性をもたらす、セロトニン再取り込み阻害を示す。ルマテペロンはまた、双極性障害および他の精神障害および神経変性障害、特に認知症、自閉症および他のCNS疾患に関連する行動障害の治療にも有用である。これらの特徴は、統合失調症患者の生活の質を向上させ、社会的機能を強化して、家族および職場に、より十分に溶け込ませるようにすることができる。ルマテペロンは、低用量では5-HT2A受容体を選択的に標的とし、高用量ではD2受容体と徐々に相互作用するという、差次的用量依存的効果を示す。その結果、低用量では、睡眠、攻撃性および激越の治療に有効である。高用量では、急性増悪のおよび残遺型の統合失調症、双極性障害および気分障害を治療することができる。
【0005】
式:
【化1】
を有するルマテペロンは、強力な(Ki=0.5nM)5-HT2A受容体アンタゴニズム、インビボでのシナプス前D2受容体部分アゴニズムおよびシナプス後D2受容体アンタゴニズム(Ki=32nM)と一致する中脳辺縁系/中脳皮質選択的ドパミン受容体タンパク質リン酸化モジュレーターとしての活性、高D1受容体親和性(Ki=52nM)、ならびにセロトニントランスポーター(SERT)の阻害(Ki=26~62nM、SERT活性について異なるアッセイを使用)を有する新規治療剤である。ルマテペロンは、統合失調症、双極性うつ病、およびアルツハイマー病を含む認知症における激越の治療として第III相臨床開発中である
【0006】
ルマテペロンおよび関連化合物は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6(各々、出典明示により本明細書の一部とする)には、不安、うつ病、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、頭部痛に関連する状態、および社会恐怖症などの5-HT2A受容体調節に関連する障害の治療に有用な新規化合物として開示されている。特許文献7および特許文献8(出典明示により本明細書の一部とする)にもまた、置換複素環縮合γ-カルボリンの製造方法、および嗜癖行動および睡眠障害などの中枢神経系障害の制御および予防に有用なセロトニンアゴニストおよびアンタゴニストとしてのこれらγ-カルボリンの使用が開示されている。特許文献9および特許文献10、ならびに特許文献11および特許文献12(各々、出典明示により本明細書の一部とする)には、精神病およびうつ病性障害の組合せ、および精神病患者またはパーキンソン病患者における睡眠障害、うつ病性障害および/または気分障害の治療のため、ならびに認知症に関連する障害、特に行動障害または気分障害、例えば、激越、いら立ち、無謀な/攻撃的な行動(aggressive/assaultive behavior)、怒り、身体的または感情的な爆発、および認知症に関連する精神病および睡眠障害の治療または予防のための特定の置換複素環縮合γ-カルボリンの使用が開示されている。特許文献13および特許文献14(各々、出典明示により本明細書の一部とする)には、特定の置換複素環縮合γ-カルボリンのトルエンスルホン酸付加塩結晶、例えば、4-((6bR,10aS)-3-メチル-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(7H)-イル)-1-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノンのトルエンスルホン酸付加塩の製造方法が開示されている。
【0007】
特許文献15および非特許文献16(各々、出典明示により本明細書の一部とする)には、改良された製剤、例えば、徐放性/制御放出製剤のための、置換複素環縮合γ-カルボリンのプロドラッグ/代謝物が開示されている。この出願には、4-フルオロフェニル(4-ヒドロキシ)ブチル部分でN置換された複素環縮合γ-カルボリンが、4-フルオロフェニルブタノンを含有する複素環縮合γ-カルボリンと比べて、セロトニントランスポーター(SERT)に対して高い選択性を有することが示されることが開示されている。
【0008】
特許文献17(および特許文献18、出典明示により本明細書の一部とする)は、選択された置換複素環縮合γ-カルボリン化合物が、セロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)に対してナノモル親和性を有し、したがって、選択的セロトニン再取り込み阻害剤であることを教示している。
【0009】
また、特許文献19(出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されているように、ルマテペロンは、現存の抗うつ薬と比較して作用発現が迅速なため、急性うつ病および急性不安の治療に特に有効であり得ることも最近判明した。これは、従来のモノアミンシグナル伝達系とは別の神経伝達系を介したシグナル伝達によるものと考えられている。ルマテペロンは、mTOR(例えば、mTORC1)シグナル伝達経路の活性化と相まって、ドパミンD1受容体依存的なNMDAおよびAMPA電流の増強をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第6,548,493号
【文献】米国特許第7,238,690号
【文献】米国特許第6,552,017号
【文献】米国特許第6,713,471号
【文献】米国再発行特許発明第39680号
【文献】米国再発行特許発明第39679号
【文献】PCT/US08/03340
【文献】米国特許第7,081,455号
【文献】国際公開第2009/145900号
【文献】米国特許第8,598,119号
【文献】国際公開第2013/155506号
【文献】米国特許出願公開第2015/0080404号
【文献】国際公開第2009/114181
【文献】米国特許第8,648,077号
【文献】国際公開第2011/133224号
【文献】米国特許第8,993,572号
【文献】国際公開第2009/145900号
【文献】米国特許第8,598,119号
【文献】PCT/US2019/035845
【発明の概要】
【0011】
発明の簡単な概要
本開示は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態のルマテペロンを含む固体経口剤形を提供する。いくつかの実施態様では、該剤形は錠剤である。いくつかの実施態様では、該剤形は、さらに、1種類以上のさらなる治療剤を含む。これらの剤形は、種々の中枢神経系障害の治療または予防に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
ルマテペロンは、強力な(Ki=0.5nM)5-HT2A受容体アンタゴニズム、シナプス前D2受容体部分アゴニズムおよびシナプス後D2受容体アンタゴニズム(Ki=32nM)と一致する中脳辺縁系/中脳皮質選択的ドパミン受容体タンパク質リン酸化モジュレーターとしての活性、高D1受容体親和性(Ki=52nM)、ならびにセロトニントランスポーター(SERT)の阻害(Ki=26~62nM、SERT活性について異なるアッセイを使用)を有する新規治療剤である。ルマテペロンは、統合失調症、双極性うつ病、およびアルツハイマー病を含む認知症における激越の治療として第III相臨床開発中である。
【0013】
本開示は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態(例えば、トシレート塩形態)の、ルマテペロン:
【化2】
を含む、即時放出剤形であってもよい、固体経口剤形(剤形1)を提供する。例えば、剤形1は、以下の通りであり得る:
【0014】
1.1.該剤形が、遊離塩基形態の(例えば、遊離塩基固体アモルファス分散体形態の)ルマテペロンを含む、剤形1;
【0015】
1.2.該剤形が、薬学的に許容される塩形態または共結晶形態のルマテペロンを含む、剤形1;
【0016】
1.3.該剤形が、トシレート塩形態、例えば、モノトシレート塩形態、ジトシレート塩形態およびトリトシレート塩形態にうち1つ以上の、ルマテペロンを含む、剤形1;
【0017】
1.4.該剤形が、モノトシレート塩形態のルマテペロンおよびジトシレート塩形態のルマテペロンの組合せを含む、剤形1.3;
【0018】
1.5.該剤形が、モノトシレート塩形態のルマテペロンを含む、剤形1または1.1~1.3のいずれか;
【0019】
1.6.ルマテペロンモノトシレートが、例えば米国特許第8,648,077号に開示されている物理学的特性および化学的特性、例えば米国特許第8,648,077号に開示されているXRPDスペクトル、IRスペクトルおよび/またはDSC/TGAスペクトルの1つ以上を有する、固体結晶形態である、剤形1.5;
【0020】
1.7.ルマテペロンモノトシレートが固体結晶形態であり、該結晶が、5.68°、12.11°、16.04°、17.03°、18.16°、19.00°、21.67°、22.55°、23.48°および24.30°(該ピークの各々、±0.2°)からなる群から選択される2θ値を有する少なくとも2つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、例えば、粉末X線回折データが、ニッケルフィルター付き銅アノードで動作する回折計で収集される、剤形1.5;
【0021】
1.8.ルマテペロンモノトシレートが固体結晶形態であり、該結晶が、5.68°、12.11°、16.04°、17.03°、18.16°、19.00°、21.67°、22.55°、23.48°および24.30°(該ピークの各々、±0.2°)からなる群から選択される2θ値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、例えば、粉末X線回折データが、ニッケルフィルター付き銅アノードで動作する回折計で収集される、剤形1.5;
【0022】
1.9.ルマテペロンモノトシレートが固体結晶形態であり、結晶が、以下の2θ値を有するピーク:5.6811°、8.5140°、11.3750°、12.1088°、13.3354°、15.7948°、16.0419°、16.4461°、17.0309°、17.2606°、17.5531°、18.1581°、18.9968°、19.8889°、20.7510°、21.6724°、22.25463°、23.4815°、23.7411°、24.3006°、25.9394°、27.2321°、28.3782°、28.9055°、29.6695°、31.6106°、32.2950°、34.8530°、37.5435°、39.4972°、40.2502°および40.8303°(該ピークの各々、±0.2°)を含む粉末X線回折パターンを示し、例えば、粉末X線回折データが、ニッケルフィルター付き銅アノードで動作する回折計で収集される、剤形1.5;
【0023】
1.10.ルマテペロントシレート、例えばルマテペロンモノトシレートが、固体アモルファス形態であるか、または固体アモルファス分散体の形態である、剤形1.3~1.5のいずれか。
【0024】
1.11.ルマテペロントシレート、例えばルマテペロンモノトシレートが、1つ以上の賦形剤、例えば安定化賦形剤と混合された、アモルファスルマテペロントシレートを含む固体アモルファス分散体の形態である、剤形1.10。
【0025】
1.12.該剤形が、ITI-007トシレートのアモルファスを安定化させて該アモルファス形態から結晶形態への変換を防ぐ1つ以上の賦形剤を含む、剤形1.11。
【0026】
1.13.1つ以上の賦形剤が、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタクリレート/アクリル酸メチルコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC-AS)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC-P)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、およびポリエチレングリコール/ポリ酢酸ビニル/ポリビニルカプロラクタムコポリマーからなる群から選択される、剤形1.11または1.12。
【0027】
1.14.該剤形が、さらに、例えばトコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(OPG)、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、カロテノイド、グルタチオン、メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、システイン、メチオニン、セサモール、およびクエン酸の1つ以上から選択される抗酸化剤を含む、剤形1.11~1.13のいずれか。
【0028】
1.15.剤形が、さらに、界面活性剤、例えば、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤または中性界面活性剤を含む、剤形1.11~1.14のいずれか。
【0029】
1.16.該剤形が、さらに、例えば、ルマテペロンモノトシレートに対するモル比約1:1~1:2、例えば、モル比1:1~1:1.5、またはモル比1:1~1:2、またはモル比約1:1で、トルエンスルホン酸を含む、剤形1.5~1.15のいずれか;
【0030】
1.17.該剤形が、ルマテペロン遊離塩基0.01~120mg、例えば、0.01~100mg、0.01~75mg、0.01~50mg、0.01~30mg、0.01~20mg、0.1~20mg、5~20mg、10~20mg、10~30mg、20~30mg、20~50mg、30mg~50mg、50~100mg、1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~20mg、1~10mg、25~35mg、または35~45mg、または約6mg、約14mg、または約28mg、または約42mgと同等の総単位量で、遊離形態および/または薬学的に許容される塩形態のルマテペロンを含む、剤形1または1.1~1.16のいずれか;
【0031】
1.18.さらに、1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体(すなわち、賦形剤)を含む、剤形1または1.1~1.17のいずれか;
【0032】
1.19.該1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体が、(a)希釈剤/充填剤(例えば、セルロースまたは微結晶セルロース(例えば、ケイ化微結晶セルロース)、マンニトール、ラクトース一水和物、リン酸二カルシウム、またはイソマルト)、(b)結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン)、(c)崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンまたはクロスカルメロースナトリウム)、(d)滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはモノステアリン酸グリセリル)、(e)流動促進剤(例えば、二酸化ケイ素またはタルク)、(f)発泡剤、(g)ポリマー、(h)可塑剤、(i)乾燥剤(drying agent)または乾燥剤(desiccant)、(j)保水剤(例えば、ポリオール)、(k)湿潤剤、(l)抗酸化剤(例えば、BHT、クエン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸またはメタ重亜硫酸ナトリウム)、(m)増粘剤(例えば、ゲル化剤)、(n)界面活性剤、(o)バッファー、(p)甘味剤またはフレーバー剤、および(q)色素または着色剤のうち1種類以上を含む、剤形1.18;
【0033】
1.20.該1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体が、1種類以上の親水性の水溶性または水膨潤性ポリマーを含む、剤形1.18;
【0034】
1.21.ポリマーが、天然または変性セルロース系ポリマー、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのポリマー、アクリル酸モノマーを含むポリマー、天然または変性ガム(例えば、キサンタンガム)、天然または変性デンプン(例えば、アルファ化デンプン)、またはそれらの混合物からなる群から選択される、剤形1.20;
【0035】
1.22.該1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体が、1種類以上の疎水性ポリマーまたは水難溶性ポリマー、例えば、シリコーンポリマー、またはポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン)を含む、剤形1.20;
【0036】
1.23.該1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体が、以下のもののいずれかから選択されるものを含む、剤形1.20:アルコール(エタノール、グリセロール、プロピレングリコール)、ガム(例えば、アカシア、グアー、寒天、キサンタン、トラガカント、カラヤ、ジェラン)、多糖類および多糖誘導体(例えば、デンプン、デキストラン、ペクチン、アルギネート、カラゲニン、セルロース、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース))、非ゲル化タイプおよびゲル化タイプを含むゼラチン(例えば、哺乳動物ゼラチン、例えば、ウシゼラチン、ブタゼラチン、トリゼラチン、魚ゼラチン(例えば、高分子量および低分子量混合ゼラチン)、合成ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシドポリマーおよびコポリマー(例えば、ポロクサマー、例えば、ポロクサマー188)、ポリアクリレートポリマー(例えば、カルボポル(carbopol))、ポリアミドポリマー、糖類および糖アルコール(例えば、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、グルコース、リボース、シュークロース、トレハロース、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ガラクチトール、イノシトール)、ポリペプチド/タンパク質、アミノ酸、無機または有機酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、リン酸、硫酸、塩酸、酒石酸、シュウ酸、シクラミン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸)およびそれらの塩(例えば、上記酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩)、無機または有機塩基(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、酸化物)、陰イオン界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム)、陽イオン界面活性剤(例えば、ハロゲン化ベンザルコニウム、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化セトリモニウム、ハロゲン化ベンゼトニウム)、双性イオン界面活性剤(例えば、コカミドアルキルベタイン、例えば、コカミドプロピルベタイン)、非イオン界面活性剤(例えば、脂肪アルコールエトキシレート(例えば、ポリエチレングリコールポリドデシルエーテル))、ソルビタンエステル(例えば、モノラウリル酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン)、ポリエトキシル化ソルビタンエステル(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80)、および抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、パルミチン酸アスコルビル、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、BHT、BHA、TBHQ、没食子酸プロピル、βカロチン、トコフェロール、トコトリエノール、クエン酸、EDTA);
【0037】
1.24.該剤形が、(a)ルマテペロントシレート(例えば、モノトシレート)、ラクトース一水和物、デンプン(例えば、アルファ化デンプン)、セルロース(例えば、微結晶セルロース、ケイ化されていてもよい)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、コポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、デンプングリコール酸ナトリウム、フレーバー剤および/または着色剤および/または抗酸化剤、または(b)ルマテペロントシレート(例えば、モノトシレート)、セルロース(例えば、微結晶セルロース、ケイ化されていてもよい)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);二酸化ケイ素(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、ステアリン酸マグネシウム、フレーバー剤および/または着色剤および/または抗酸化剤を含むかまたはそれらからなる、剤形1または1.1~1.23のいずれか;
【0038】
1.25.該薬学的に許容される担体または希釈剤の各々いずれか1種類以上が、剤形の0.01~80重量%、例えば、0.1~60重量%、または0.1~40重量%、または0.1~30重量%、0.01~15%、または0.01~10重量%、または0.1~20重量%、または0.1~15重量%または0.1~10重量%、または0.5~10重量%、または0.5~5重量%、または1~5重量%、または2.5~5重量%、または1~3重量%、または0.1~1重量%の量で存在し;場合によっては該剤形が、希釈剤/充填剤60~90重量%、例えば、希釈剤/充填剤70~80重量%を含む、剤形1.12~1.24のいずれか;
【0039】
1.26.該剤形が、全ての形態のルマテペロンの総含有量として測定された、組成物の1重量%~90重量%の遊離形態および/または薬学的に許容される塩形態(例えば、トシレート)のルマテペロン、例えば、1重量%~80重量%、または1重量%~70重量%、または1重量%~60重量%、または1重量%~50重量%、または1重量%~40重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~20重量%または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または5重量%~10重量%、または10重量%~20重量%、または20~30重量%の遊離形態および/または薬学的に許容される塩形態のルマテペロンを含む、剤形1.12~1.25のいずれか;
【0040】
1.27.該剤形が、約60~90重量%の希釈剤/充填剤(例えば、セルロースまたは微結晶セルロース(例えば、ケイ化微結晶セルロース)、マンニトール、ラクトース一水和物、リン酸二カルシウム、またはイソマルト)、ならびに約1~10重量%の結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン)、および約1~10重量%の崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンまたはクロスカルメロースナトリウム)、および約0.1~5重量%の滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはモノステアリン酸グリセリル)、および約0.1~5重量%の流動促進剤(例えば、二酸化ケイ素またはタルク)、および約0.1~5重量%の抗酸化剤(例えば、BHT、クエン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸またはメタ重亜硫酸ナトリウム)を含む、いずれかの上記剤形;
【0041】
1.28.該剤形が、1種類以上の表面コーティング剤、例えば、ポリマー表面コーティング剤(例えば、ポリビニルアルコールを含む)を含み、場合によっては該剤形が、1~10重量%のポリマー表面コーティング剤を含む、いずれかの上記剤形;
【0042】
1.29.該剤形が、錠剤、例えば、球状(例えば、円形)またはほぼ球状(例えば、卵円形または楕円形)錠剤である、いずれかの上記剤形;
【0043】
1.30.該剤形が、カプレット、例えば、カプセル型錠剤である、いずれかの上記剤形;
【0044】
1.31.ルマテペロンが、(a)平均粒径が1~200μm、例えば、1~150μm、1~100μm、1~50μm、1~25μm、1~15μm、1~10μm、5~10μm、または1~5μmであり;および/または(b)D90が100μm以下、50μm以下、25μm以下、15μm以下、または10μm以下であり;および/または(c)D10が50μm以下、25μm以下、15μm以下、または10μm以下、または5μm以下であるものである、いずれかの上記剤形;
【0045】
1.32.該剤形が、経口(消化管)投与用に製剤化されている、剤形1または1.1~1.31のいずれか;
【0046】
1.33.該剤形が、経口経粘膜投与用、例えば、舌下または頬側口腔崩壊ように製剤化されている、剤形1または1.1-1.31のいずれか;
【0047】
1.34.ルマテペロンが、さらなる治療剤の有効量と組み合わされている(例えば、固定された組み合わせ(fixed combination)である)、いずれかの上記剤形;
【0048】
1.35.さらなる治療剤が、抗不安剤または抗うつ剤である、剤形1.34;
【0049】
1.36.抗不安剤または抗うつ剤が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、三環系抗うつ薬(TCA)、および非定型抗精神病薬から選択される遊離形態または薬学的に許容される塩形態の1種類以上の化合物、例えば、:
(a)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、シタロプラム(Citalopram)(セレクサ(Celexa))、エスシタプラム(Escitalopram)(レクサプロ(Lexapro)、シプラレックス(Cipralex))、パロキセチン(Paroxetine)(パキシル(Paxil)、セロキサット(Seroxat))、フルオキセチン(Fluoxetine)(プロザック(Prozac))、フルボキサミン(Fluvoxamine)(ルボックス(Luvox))、セルトラリン(Sertraline)(ゾロフト(Zoloft)、ルストラル(Lustral));
(b)セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、例えば、デスベンラファキシン(Desvenlafaxine)(プリスティーク(Pristiq))、デュロキセチン(Duloxetine)(サインバルタ(Cymbalta))、レボミルナシプラン(Levomilnacipran)(フェトジーマ(Fetzima))、ミルナシプラン(Milnacipran)(イクセル(Ixel)、サベラ(Savella))、トフェナシン(Tofenacin)(エラモール(Elamol)、トファシン(Tofacine))、ベンラファキシン(Venlafaxine)(エフェクサー(Effexor));
(c)三環系抗うつ薬(TCA)、例えば、アミトリプチン(Amitriptyline)(エラビル(Elavil)、エンデプ(Endep))、アミトリプチリンオキシド(アミオキシド(Amioxid)、アンビバロン(Ambivalon)、エキリブリン(Equilibrin))、クロミプラミン(Clomipramine)(アナフラニール(Anafranil))、デシプラミン(Desipramine)(ノルプラミン(Norpramin)、ペルトフラン(Pertofrane))、ジベンゼピン(Dibenzepin)(ノベリル(Noveril)、ビクトリル(Victoril))、ジメタクリン(Dimetacrine)(イストニール(Istonil))、ドスレピン(Dosulepin)(プロチアデン(Prothiaden))、ドキセピン(Doxepin)(アダピン(Adapin)、シネクアン(Sinequan))、イミプラミン(Imipramine)(トフラニール(Tofranil))、ロフェプラミン(Lofepramine)(ロモント(Lomont)、ガマニル(Gamanil))、メリトラセン(Melitracen)(ジキセラン(Dixeran)、メリキセラン(Melixeran)、トラウサブン(Trausabun))、ニトロキサゼピン(Nitroxazepine)(シンタミル(Sintamil))、ノルトリプチリン(Nortriptyline)(パメラー(Pamelor)、アベンチル(Aventyl))、ノキシプチリン(Noxiptiline)(アゲダール(Agedal)、エルロノン(Elronon)、ノゲダール(Nogedal))、ピポフェジン(Pipofezine)(アザフェン(Azafen)/アザフェン(Azaphen))、プロトリプチリン(Protriptyline)(ビバクチル(Vivactil))、トリミプラミン(Trimipramine)(スルモンチール(Surmontil));
(d)例えば2-ケト化合物(例えば、クロラゼペート、ジアゼパム、フルラゼピン、ハラゼパム、プラゼパム);3-ヒドロキシ化合物(ロラゼパム、ロルメタゼパム、オキサゼパム、テマゼパム);7-ニトロ化合物(例えば、クロナゼパム、フルニトラゼパム、ニメタゼパム、ニトラゼパム);トリアゾロ化合物(例えば、アジナゾラム、アルプラゾラム、エスタゾラム、トリアゾラム);およびイミダゾ化合物(クリマゾラム、ロプラゾラム、ミダゾラム)から選択される、ベンゾジアゼピン
から選択される遊離形態または薬学的に許容される塩形態の1種類以上の化合物から選択される、剤形1.35;
【0050】
1.37.さらなる抗うつ剤が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、ドパミン再取り込み阻害剤(DRI)、SRI/NRI、SRI/DRI、NRI/DRI、SRI/NRI/DRI(三重再取り込み阻害剤)、セロトニン受容体アンタゴニスト、またはそれらの組合せから選択される、剤形1.35;
【0051】
1.38.さらなる治療剤が、例えばケタミン(例えば、S-ケタミンおよび/またはR-ケタミン)、ヒドロキシノルケタミン、メマンチン、デキストロメトルファン、デキストロアロルファン(dextroallorphan)、デキストロルファン、アマンタジン、およびアグマチン、またはそれらの組合せから選択される、NMDA受容体アンタゴニストである、剤形1.36;
【0052】
1.39.該剤形が、乾式ブレンド法または乾式造粒法によって製造される、いずれかの上記剤形;
【0053】
1.40.該剤形が、1日1回、または1日2回、または1日3回、または1日おき、または3日ごとに投与されることを意図している、いずれかの上記剤形;
【0054】
1.41.該剤形が、ブリスターパック(例えば、プッシュスルーパック)、例えば、いずれかの好適な材料(例えば、アルミニウム箔、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、またはそれらの組み合わせ)で作られているブリスターパックに包装されている、いずれかの上記剤形;
【0055】
1.42.該剤形が、ボトル(例えば、スクリューキャップの蓋またはチャイルドプルーフの蓋を有していてもよい、プラスチックまたはガラス)に包装され、場合によっては該ボトルが乾燥剤(例えば、シリカまたは塩化カルシウム)を保持するためのコンパートメントを有している、いずれかの上記剤形;
【0056】
1.43.該剤形が、即時放出用に製剤化されている、いずれかの上記剤形;
【0057】
1.44.該剤形が、遅延放出または持続放出用に製剤化されている、いずれかの上記剤形。
【0058】
1.45.該剤形が抗酸化剤を含まない、いずれかの上記剤形;
【0059】
1.46.該剤形が、アスコルビン酸およびクエン酸から選択される抗酸化剤を含む、いずれかの上記剤形;
【0060】
1.47.製造時または製造直後の該剤形のアッセイ(例えば、RP HPLCによる)が、該剤形が、ルマテペロン(遊離形態または薬学的に許容される塩形態)のラベル量の90~110%を含むこと、および/または該剤形が、0.5%以下(例えば、RP-HPLCにより測定)の単一の関連物質不純物および合わせて3.0%以下(例えば、RP-HPLCにより測定)の全ての関連物質不純物を含むことを示している、いずれかの上記剤形;
【0061】
1.48.製造時から3か月まで(例えば、1か月、2か月または3か月)後の該剤形のアッセイ(例えば、RP HPLCによる)が、該剤形が、ルマテペロン(遊離形態または薬学的に許容される塩形態)のラベル量の90~110%を含むこと、および/または、例えば、該剤形が、周囲の温度および湿度、または高い温度(例えば、40~50℃)および/または高い湿度(例えば、相対湿度60~75%)で3か月間まで保存された場合、該剤形が、0.5%以下(例えば、RP-HPLCによって測定)の単一の関連物質不純物および合わせて3.0%以下(例えば、RP-HPLCによって測定)の全ての関連物質不純物を含むことを示す、いずれかの上記剤形;
【0062】
1.49.該剤形が、0.1N塩酸水溶液500mLに、15分後に少なくとも75%の程度まで(例えば、80~90%)、および/または30分後に少なくとも90%の程度まで(例えば、92~98%)、および/または45分後に少なくとも92%の程度まで(例えば、95~99%)溶出する、いずれかの上記剤形。
【0063】
いくつかの実施態様では、結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポビドン、ポリビニルアルコール、アラビアガム粉末、ゼラチン、プルランなどのうち1種類以上を含み得る。各固体剤形は、0.5~10重量%、例えば、1~5重量%、または1~3重量%の各結合剤を含み得る。
【0064】
崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、粉末寒天などが使用される。デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤が好ましい。各錠剤は、0.1~15重量%、好ましくは1~5重量%の崩壊剤を含有することができる。
【0065】
いくつかの実施態様では、本開示の固体剤形は、さらに、適切な量のフレーバー剤、滑沢剤、着色剤など、またはガレヌス製剤(galenic formulation)を調製するために一般的に使用される種々の添加剤を含む。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、シュークロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウムなどを挙げることができる。着色剤としては、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号、食用レーキ着色剤、三二酸化鉄などの食用着色剤を挙げることができる。
【0066】
いくつかの実施態様では、例えば、味および臭気のさらなるマスキング、および活性成分、1種類以上の添加剤などで粒子コアをコーティングした後の腸溶性製剤または徐放性製剤の調製を目的として、周知の方法を用いることにより、コーティング混合物を固体剤形に適用してもよい。コーティング混合物は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、およびポリアクリル酸などの好適な水溶性または水膨潤性ポリマーを含んでいてもよい。
【0067】
本開示の固形剤形として、例えば、錠剤、カプレット剤、ピル剤などが挙げられる。それらは、カプセル剤またはカプセルに使用される顆粒剤を含まない。錠剤は、円形、卵円形、正方形、長方形、および楕円形を含むがこれらに限定されない、様々な形状を有することができる。錠剤およびカプレット剤には、切断を容易にするために、傷をつけてもよい。錠剤およびカプレット剤は、異なる目的(例えば、味のマスキング、腸管保護、遅延放出または持続的放出、嚥下の改善)のために設計された1層、2層、3層またはそれ以上の層でコーティングされていてもよい。
【0068】
本開示の固体剤形は、薬学的に許容される溶媒、表面張力調整剤(例えば、界面活性剤)、保存剤、酸化防止剤、着色剤、味覚マスキング剤、フレーバー剤および甘味料のいずれか1つ以上をさらに含むことができる。溶剤の例としては、水、および、水または可溶化剤と混和性があり、経口目的に適しているその他の溶剤が挙げられる。好適な溶媒の例は、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポロクサマー、ソルビトールおよびベンジルアルコールである。いくつかの実施態様では、該溶液に、薬学的に許容される共溶媒であるシクロデキストリンまたはその誘導体(例えば、デキストラン)を添加することによって、ルマテペロンの水性溶解性をさらに高めることができる。
【0069】
繰り返し使用される可能性のある液体製剤において、細菌、酵母および真菌などの微生物の増殖を防ぐために、保存剤を添加することができる。好適な保存剤は、物理化学的に安定で、所望のpH範囲で効果的でなければならない。保存剤の例としては、エタノール、メチルパラベン、プロピルパラベンおよびベンジルアルコールが挙げられる。
【0070】
いくつかの実施態様では、本開示の固体剤形は、活性成分の分解をガードするために1つ以上の抗酸化剤を含む。抗酸化剤の例としては、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール、トコトリエノール、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、βカロチン、クエン酸およびEDTAが挙げられる。
【0071】
いくつかの実施態様では、製品に外観の均一性を導入するため、および/または光に敏感な成分を保護するために、着色剤を使用することができる。好適な着色剤としては、米国食品医薬品局によって承認されたすべての染料およびレーキ(例えば、FD&C着色剤)が挙げられる。
【0072】
いくつかの実施態様では、不快な味をマスクするため、または所望の味を実現するために、甘味料を使用することができる。甘味料の例は、グルコース、ソルビトール、グリセロール、アセスルファムカリウムおよびネオヘスペリジンジヒドロカルコンである。味は、1つ以上のフレーバー物質の添加によってさらに最適化され得る。好適なフレーバー物質は、チェリー、ラズベリー、ブラックカラント、レモンもしくはストロベリーフレーバーなどのフルーツフレーバー、またはリコリス、アニス、ペパーミントおよびキャラメルなどの他のフレーバーである。
【0073】
本開示の固体剤形は、例えば、高速ミキサー造粒機、流動層造粒機乾燥機、遠心タンブリング流動層造粒機コーティング機または混練機などの機械を用いて、遊離形態または薬学的に許容される塩形態のルマテペロン、および1つ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤(すなわち、賦形剤)を、水または結合剤溶液を用いて湿式造粒し;該顆粒に滑沢剤をブレンドまたは噴霧し;次いで、圧縮成形に供することによって調製することができる。別法として、本開示の固体剤形は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態のルマテペロン、および1つ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤(すなわち、賦形剤)、例えば、結合剤(崩壊剤がさらに含まれていてもよい)を、ローラーコンパクターなどの機械を用いて乾式造粒し;該顆粒に崩壊剤(滑沢剤がさらに含まれていてもよい)をブレンドまたは噴霧し;次いで、圧縮成形に供することによって調製することができる。
【0074】
ルマテペロンの好適な形態としては、アモルファス固体分散体を含む遊離塩基形態、アモルファス固体分散体および結晶形態を含む薬学的に許容される塩形態、および薬学的に許容される共結晶形態が挙げられる。ルマテペロン遊離塩基のアモルファス固体分散体形態は、国際公開第2018/71233号およびその関連出願に開示されている(その内容はその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。
【0075】
特に明記しない限り、「薬学的に許容される塩」という用語には、酸の構造上許されるモル比での、ルマテペロンと薬学的に許容される酸(例えば、ブロンステッド酸)との間の酸付加塩が含まれる。例えば、ルマテペロンの「薬学的に許容される塩形態」としては、一塩酸塩、二塩酸塩、三塩酸塩、モノトシレート、ジトシレート、トリトシレート、またはそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施態様では、ルマテペロン塩は、結晶性固体(例えば、塩結晶)である。いくつかの実施態様では、ルマテペロンは、共結晶、すなわち、第2の種と共結晶化したルマテペロン遊離塩基として存在してもよい。ルマテペロンの薬学的に許容される塩および共結晶の形態としては、米国特許第8,648,077号、第9,199,995号および第9,586,960号、および国際公開第2017/1172811号および国際公開第2017/172784号、および米国仮出願第62/563,341号および第62/681,534号に開示されているすべての形態が挙げられる(これらの各内容はその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。
【0076】
第2の態様では、本開示は、剤形1、または1.1~1.49のいずれかの製造のためのプロセスであって、
(a)遊離形態または薬学的に許容される塩形態(例えば、トシレート塩形態)のルマテペロンを、少なくとも1つの希釈剤または担体(例えば、マンニトールなどの充填剤)と組み合わせるステップ;
(b)得られた混合物をブレンドおよび/または粉砕および/または造粒(例えば、乾式造粒)するステップ;
(c)場合によっては、例えば均一な粒径を達成するために、得られた混合物を濾過(例えば、スクリーニング)するステップ;
(d)少なくとも1つの他の希釈剤または担体(例えば、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)、または流動促進剤(例えば、タルク)、または滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、またはそれらの組み合わせ)を添加するステップ;
(e)得られた混合物をブレンドおよび/または粉砕および/または造粒(例えば、乾式造粒)するステップ;
(f)場合によっては、例えば均一な粒径を達成するために、得られた混合物を濾過(例えば、スクリーニング)するステップ;
(g)混合物をプレスして、該剤形を形成するステップ;
(h)場合によっては、1つ以上のコーティングを該剤形に適用するステップ
を含む、プロセス(プロセス1)を提供する。
【0077】
ルマテペロンがアモルファス固体分散体(ルマテペロン遊離塩基またはルマテペロントシレートのいずれか)の形態で提供される本開示の実施形態では、プロセス1のステップ(a)において、それは、少なくとも1つのさらなる希釈剤または担体と組み合わされる分散体であることが理解される。このように、アモルファス固体分散体は、ルマテペロンおよびその固体分散体を形成するのに必要な賦形剤を組み合わせることにより、ステップ(a)の前のステップで調製されるであろう。
【0078】
いくつかの実施態様では、ステップ(d)、(e)および/または(f)は、さらなる希釈剤または担体に対して繰り返され得る。例えば、プロセスステップは、ステップ(a)、(b)、(c)、(d1)、(e1)、(f1)、(d2)、(e2)、(f2)、(g)および(h)を含んでもよい。ステップ(d)、(e)および(f)は、プロセスフローを最適化するために、個々の成分または成分の一部のさらなる添加、ブレンド/粉砕および/または濾過を行うために、任意の回数繰り返し得る。したがって、例えば、いくつかの実施態様では、結合剤成分は、ステップ(a)、(d1)および(d2)におけるように、2つまたは3つの部分で添加されてもよく、または潤滑剤は、最終添加ステップ(例えば、ステップ(d2))で添加されてもよい。いくつかの実施態様では、本プロセスは、任意に、粉末スケールから顆粒スケールに固体粒子のサイズを増加させる役割を果たす1つ以上の乾式造粒ステップ(例えば、ローラー圧縮またはスラッギング)をさらに含む。いくつかの実施態様では、1つ以上のブレンドステップは、ブレンドをローラーコンパクターに通すこと、場合によっては次いでローラーコンパクターリボンを粉砕することをさらに含むことができる。いくつかの実施態様では、乾式造粒ステップの後に、得られた顆粒を1つ以上の他の賦形剤(例えば、滑沢剤)とブレンドするブレンドステップを行ってもよい。
【0079】
いくつかの実施態様では、該剤形をコーティングする最終ステップは、コーティングされていない剤形をコーティングポリマーの水性懸濁液に懸濁させ、続いて乾燥させて水および共溶媒を除去することによって行われる。場合によってはコーティングは高温で行われ、および/または、コーティングされた錠剤は高温(例えば、40~60℃)で乾燥される。いくつかの実施態様では、コーティングは、コーティングされていない剤形にコーティングポリマーの水性懸濁液を噴霧し、続いて乾燥させることによって適用される。
【0080】
第3の態様では、本開示は、5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)、および/またはパミンD1/D2受容体シグナル伝達経路が関与するかまたはそれによって媒介される疾患または障害の治療または予防方法であって、それを必要とする患者に剤形1または1.1~1.49のいずれかによる固体剤形を投与することを含む、方法(方法1)を提供する。いくつかの実施態様では、該疾患または障害は、肥満、拒食症、過食症、うつ病(大うつ病性障害(MDD)、急性うつ病、心的外傷後うつ病を含む)、不安(急性不安、パニック障害、恐怖症、社交不安障害または社会的引きこもりを含む)、精神病(急性精神病を含む)、統合失調症(統合失調症の陽性および/または陰性症状などの統合失調症の残遺症状を含む)、強迫性障害、性障害、片頭痛、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、睡眠障害、頭部痛に関連する状態、怒り障害、激越(急性激越を含む)、認知症(アルツハイマー病およびパーキンソン認知症を包含する)、胃腸管運動機能障害などの胃腸障害、および双極性障害(例えば、双極性うつ病)から選択される。
【0081】
「治療」および「治療する」という用語は、疾患の症状の予防および治療または寛解、および/または疾患の原因の治療を包含するものとして適宜理解されるべきである。特定の実施態様では、「治療」および「治療する」という用語は、疾患の症状の予防または寛解をいう。
【0082】
「患者」という用語は、ヒトまたは非ヒト患者を含み得る。
【0083】
ルマテペロンおよび関連化合物の合成方法は、当該技術分野で知られており、PCT/US08/03340(国際公開第2008/112280号);米国出願第10/786,935号;米国特許第6,548,493号;第7,238,690号;第6,552,017号;第6,713,471号;第7,183,282号;第8,309,722号;第8,779,139号;第9,315,504号;米国再発行特許発明第39680号、および米国再発行特許発明第39679号、および国際公開第2015/154025号(各々の内容はその全体として出典明示により本明細書の一部とする)に開示されている方法が挙げられる。本発明の化合物の塩もまた、米国特許第6,548,493号;第7,238,690号;第6,552,017号;第6,713,471号;第7,183,282号、第8,648,077号;第9,199,995号;第9,588,960号;米国再発行特許発明第39680号;米国再発行特許発明第39679号;および国際公開第2009/114181号(各々の内容はその全体として出典明示により本明細書の一部とする)に同様に記載されているように製造することができる。
【0084】
本発明の化合物のジアステレオマーの単離または精製は、当該技術分野で知られている慣用方法、例えば、カラム精製、分取薄層クロマトグラフィー、分取HPLC、結晶化、トリチュレーション、模擬移動床などによって達成することができる。
【0085】
ルマテペロンの薬学的に許容される塩は、塩基性部位を含む親化合物から、好適な酸との反応により、慣用の化学的方法で合成することができる。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離塩基形態を、化学量論的量の適切な酸と、水中または有機溶媒中、あるいはそれらの混合物中で反応させることによって調製することができる;一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。
【0086】
本開示を実施する際に採用される投与量は、もちろん、例えば、治療されるべき特定の疾患または状態、使用される特定の活性化合物、投与様式、および所望の治療法に応じて変化する。別段の指示がない限り、投与のための活性化合物の量(遊離塩基として投与されるか、塩の形態として投与されるかにかかわらず)は、遊離形態の化合物の量を指すかまたはそれに基づく(すなわち、量の計算は、遊離形態の活性部分の量に基づき、塩の場合は対イオンの重量を考慮しない)。
【0087】
疑念を避けるために、数値範囲の開示、例えば「Xまで」という量は、上限数値Xを含むことを意図している。したがって、「60mgまで」という開示は、60mgを含むことを意図している。
【実施例
【0088】
実施例1: 賦形剤の適合性試験
選択された賦形剤に対するルマテペロンモノトシレートの化学的適合性を研究する。評価された賦形剤は、(1)充填剤(ケイ化微結晶セルロース、およびラクトース一水和物);(2)崩壊剤(デンプングリコール酸ナトリウム);(3)結合剤(アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびコポビドン);および(4)コーティングポリマー(PVA、二酸化チタンおよびタルクを含むポリビニルアルコールベースのフィルムコーティング)である。ルマテペロントシレートを各賦形剤と重量比1:1で混合し、該混合物を、(1)混合直後、(2)25℃および相対湿度60%で4、8および12週間のエージング後、ならびに(3)40℃および相対湿度75%で4、8および12週間の加速エージング後に評価する。賦形剤を使用しない同一条件のルマテペロントシレートと比較する。効力、外観、水分含有量および関連物質レベルを評価する。選択された賦形剤との化学的非適合性はないことが判明する。二成分混合物のすべての効力測定は、対照と同等のルマテペロントシレートレベルを示している。加速エージング条件下では、対照(4~12週間で90.9~93.5%の効力)および二成分混合物の両方で効力のわずかな低下が観察され、これはルマテペロントシレートの空気酸化によるものと考えられる。水分含有量のわずかな増加は、加速エージング群のサンプルで観察され、より含水性の賦形剤(例えば、アルファ化デンプン)でより大きな増加が見られる。関連物質のレベルは、分析したすべての二成分混合物で許容される。
【0089】
実施例2: 錠剤開発プロセス
ルマテペロンモノトシレートの14mg、28mg、42mgの即時放出型フィルムコーティング錠を、以下の表に示す処方に従って調製する。バッチはマルチキログラムスケールで調製され、各バッチは3回の異なるランで調製される:
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
14mg錠剤の場合、マンニトール、二酸化ケイ素、BHT、およびルマテペロントシレートを3立方フィートのVブレンダー中にて配合し、25rpmで5分間混合する。次いで、微結晶セルロースの第1の部分を添加し、混合物をさらに5分間ブレンドする。ブレンドした混合物を、1.6mm開口スクリーンを使用して円形羽根車を有するComilブランド円錐ミルに通し、粉砕/スクリーニングする。セルロースの第2の部分を粉砕し、次いで、粉砕ブレンドおよびセルロースの第3の部分と合わせ、該混合物を25rpmで10分間ブレンドする。HPCおよびクロスカルメロースナトリウム部分を20メッシュスクリーンで事前にスクリーニングし、次いで、ブレンド混合物に添加し、さらに25rpmで5分間ブレンドする。最後に、ステアリン酸マグネシウム部分を30メッシュスクリーンで事前にスクリーニングし、次いで、ブレンド混合物に添加し、25rpmで3分間さらにブレンドする。
【0093】
28mg錠剤および42mg錠剤用の共通ブレンドは、20.5rpmの低速で操作される10立方フィートのV-ブレンダーを用いて、同様のブレンド時間で、同様に調製される。
【0094】
14mgブレンドおよび28/42mgブレンドについて、最終的なブレンドを停止した時点でブレンダー全体からサンプルを採取して(各Vブレンダーについてそれぞれ10箇所をサンプリング)、ブレンド均一性および物理的特性を評価する。平均ブレンド均一性は、各バッチの3回の実行すべてにわたって、14mgバッチでは約97%、共通ブレンドバッチでは約96%であることがわかる。また、粒度分布、嵩密度、タップ密度および流動性を包含する物理的特性は、各バッチの3回の実行間で非常に一貫していることがわかる。
【0095】
各バッチから、0.2000インチ×0.4758インチの修正カプセルエンボスBツーリングおよびテーパーダイ(modified capsule embossed B tooling and tapered dies)を用いる市販の錠剤プレス機を使用して錠剤を調製する。14mg錠剤および28mg錠剤の目標重量は250mgであり、42mg錠剤の目標重量は375mgである。すべてのバッチを、強制フィードフレームを用いて圧縮する。各バッチ実行時に、平均錠剤重量、硬度、厚み、摩損度、および崩壊時間を包含する圧縮パラメータおよび圧縮収率を評価する。すべてのパラメータは、バッチ実行間で準拠しており、一貫していることがわかる。
【0096】
次いで、30インチパンを用いる市販のマルチパンラボラトリーコーティングシステムを使用して、錠剤をコーティングする。1.2mmノズルを備えた2つのアンチベアディング(anti-bearding)ガンを用いて、固形分20wt%を含む市販の水性ポリビニルアルコールコーティング懸濁液を使用して、各バッチを目標重量5wt%コーティングでコーティングする。コーティング懸濁液は、ステンレススチール製タンク内で45分間混合し、次いで、使用前に少なくとも60分間脱気する。目標とするコーティングパラメータは、メーカーのガイドラインに基づく。コーティングプロセスは許容範囲内であることがわかる。
【0097】
次いで、各バッチ実行からのコーティング錠を標準的な溶出アッセイおよびその他の分析アッセイで試験する。溶出媒体として0.1N塩酸水溶液500mLを用いる標準的な溶出試験で各バッチを試験する。14mg錠剤および42mg錠剤についての結果(バッチ平均)を下表に示す。28mg錠剤の結果は同等である。
【0098】
【表3】
【0099】
実施例3: 代替の錠剤製剤およびプロセス
14mg錠剤、28mg錠剤および42mg錠剤について、抗酸化剤を含まない代替の錠剤製剤を以下に示す処方に従って調製する。
【0100】
【表4】
14mg錠剤および28mg錠剤はそれぞれPVAコーティング12.5mg(コアの重量の5wt%)でコーティングし、一方、42mg錠剤はPVAコーティング18.75mg(コアの重量の5wt%)でコーティングする。
【0101】
上記の表に示すように、14mgサイズ、28mgサイズおよび42mgサイズ(遊離塩基等価重量;それぞれ、ルマテペロントシレート20mg、40mgまたは60mgに相当)の錠剤を調製する。錠剤を調製する手順は以下の通りである(カッコ内の量は組成物中の表示成分の総量を参照)。
a.Vブレンダーにマンニトール(例えば、50%)を添加し、ブレンドする;
b.該Vブレンダーにルマテペロントシレート(100%)およびさらなるマンニトール(例えば、50%)を添加し、ブレンドする;
c.該VブレンダーにSMCC(例えば、40%)を添加し、ブレンドする;
d.ステップ(c)からのプレブレンドをComil円錐ミルで粉砕し;さらなるSMCC(例えば、40%)もまたComilで粉砕する;
e.ステップ(d)からの粉砕材料をVブレンダーに戻し、ブレンドする;
f.該Vブレンダーにクロスカルメロースナトリウム(例えば、50%)、HPC(例えば、50%)および二酸化ケイ素(例えば、50%)を添加し、ブレンドする;
g.該Vブレンダーにステアリン酸マグネシウム(例えば、50%)を添加し、ブレンドする;
h.ステップ(g)からのブレンドをローラーコンパクターに通し、粉砕して、顆粒を作る;
i.ステップ(h)からの顆粒をVブレンダーに戻し、さらなるクロスカルメロースナトリウム(例えば、50%)およびHPC(例えば、50%)を添加し、該混合物をブレンドする;
j.該VブレンダーにさらなるSMCC(例えば、20%)を添加し、ブレンドする;
k.該Vブレンダーにさらなるステアリン酸マグネシウム(例えば、50%)を添加し、ブレンドする;
l.該ブレンドを圧縮して、回転式錠剤プレス機で錠剤を形成する;
m.該錠剤を有孔コーティングパンでコーティングする。
【0102】
上記の処方に従って調製された錠剤を、PVC/PE/PCTFEフィルムおよび20ミクロンのアルミニウム箔(ピールプッシュ)を含むブリスターパックで包装する。標準的な手順を用いて、包装された錠剤を安定性について試験する。試験条件は、(1)初期、(2)50℃/周囲湿度で1~3か月間、(3)40℃/相対湿度75%で1~3か月間、(4)25℃/相対湿度60%で1か月間である。逆相HPLCを用いて、該錠剤をルマテペロントシレートの含有量および既知の不純物について測定する。また、錠剤に標準的な溶出試験(0.1N塩酸水溶液500mLへの溶出)を行う。結果(バッチ平均)を下表に示す。
【0103】
【表5】
【0104】
ルマテペロンのアッセイ数値は、錠剤組成のパーセンテージとしてではなく、ラベル量(例えば、14mg、28mgまたは42mg)のパーセンテージとして表示されているので、ラベル表示の正確さを反映している。バッチの許容には、錠剤のバッチを測定して、活性薬物の表示されたラベル量の平均90.0~110.0%であることが必要である。
【0105】
純関連物質不純物の数値は、組成物中の全ての関連物質不純物の割合を示す(HPLCのピーク面積で判断)。括弧内に示されているのは、検出された単一の不純物の中の最も高い割合である。バッチの許容には、関連物質不純物の合計が3.0%以下であり、単一の関連物質不純物が0.5%を超えないことが必要である。
【0106】
定量可能なR.S.(関連物質)不純物の数値は、関連物質不純物に関連する明確な検出可能なHPLCピークの数であり、一方、括弧内の数値は、計量可能性の下限値を超えるそのようなピークの数である。上記の表で報告されているすべての条件について、単一の不純物が0.5%の許容限界を超えることはなかった。
【0107】
試験条件中の漸増量の不純物の存在は、アッセイ数値の低下と同様に、活性成分の不安定性を反映している。このデータは、本発明に従って処方された錠剤が試験されたすべての測定値に基づいて許容できる物理的および化学的安定性を有することを示している。
【0108】
実施例4: 代替の抗酸化剤
抗酸化剤である没食子酸プロピル、アスコルビン酸、クエン酸(無水)およびメタ重亜硫酸ナトリウムの有効性を評価する試験を行った。各抗酸化剤を、琥珀色のシンチレーションバイアル中で、ルマテペロントシレート(純粋なAPI)または実施例3のルマテペロントシレート錠剤製剤最終ブレンド(錠剤にプレスされていない)のいずれかと様々な重量比で組み合わせる。さらに、対照として、1つのバイアルはルマテペロントシレートAPIを保持し、もう1つのバイアルはルマテペロントシレート錠剤製剤最終ブレンド(42mg強度)を保持する。その後、すべてのバイアルを60℃で2週間、4週間、または8週間保存し、その後、バイアルの内容物を、物理的外観、HPLC力価、およびHPLC不純物(関連物質/分解生成物)について検査する。サンプルの概要は以下の通りである。
【0109】
【表6】
【0110】
以下の表は、8週目での試験の結果を提供する:
【0111】
【表7】
【0112】
試験の結果は以下のように要約される。
a.純粋なAPIは8週目までにいくつかの顆粒を形成したが、両方の対照は8週間にわたってオフホワイト色の粉末のままである。純粋なAPIは8週目で完全な効力を維持している(99.7%)が、ブレンド(抗酸化剤なし)は8週目には効力が100.0%から95.7%に低下している。
b.アスコルビン酸は、8週目で完全な物理的安定性(外観の変化なし)を維持した唯一の抗酸化剤であり、ルマテペロントシレートAPIおよびブレンド処方の両方に有効であった。メタ重亜硫酸ナトリウムは、APIと混合した場合、8週目で実質的に変化していなかった(一部顆粒が形成された)が、ブレンド剤と混合した場合、粉末が灰色に変化した。
c.APIと混合したアスコルビン酸は、完全な化学的効力を保持したが、他の抗酸化剤は、純粋なAPI効力を低下させた(99.7%から95.5~98.6%)。
d.どちらの重量比においても、ブレンドと混合したアスコルビン酸は、クエン酸と同様に>95.7%の効力を保持したが、ブレンドと混合した他の抗酸化剤は、8週目での効力を<95.7%にした(したがって、抗酸化剤を含まないブレンドよりも低くなった)。さらに、ブレンドと混合したアスコルビン酸およびクエン酸の両方について、8週間後には、既知および既知関連物質不純物は、ブレンドのみの場合と同等かそれよりも良好であった。
【0113】
全体的に見て、該試験は、アスコルビン酸は、錠剤製剤ブレンドにおけるルマテペロントシレートの物理的および化学的安定性を維持するための好ましい抗酸化剤であることを示唆している。
本願は下記の態様も包含する。
[態様1]
遊離形態または薬学的に許容される塩形態(例えば、トシレート塩形態)の、ルマテペロン:
【化3】
を含む、固体経口剤形であって、場合によっては該剤形が即時放出剤形である、剤形。
[態様2]
剤形が、遊離塩基形態(例えば、遊離塩基固体アモルファス分散体形態)のルマテペロンを含む、態様1記載の剤形。
[態様3]
剤形が、薬学的に許容される塩形態または共結晶形態のルマテペロンを含む、態様1記載の剤形。
[態様4]
剤形が、トシレート塩形態、例えば、モノトシレート塩形態、ジトシレート塩形態およびトリトシレート塩形態のうち1つ以上のルマテペロンを含む、態様3記載の剤形。
[態様5]
剤形が、モノトシレート塩形態のルマテペロンおよびジトシレート塩形態のルマテペロンの組合せを含む、態様3または4記載の剤形。
[態様6]
剤形が、モノトシレート塩形態のルマテペロンを含む、態様3記載の剤形。
[態様7]
ルマテペロンモノトシレートが固体アモルファス形態である、態様6記載の剤形。
[態様8]
ルマテペロンモノトシレートが固体結晶形態である、態様6記載の剤形。
[態様9]
ルマテペロンモノトシレートが、固体結晶形態であり、該結晶が、5.68°、12.11°、16.04°、17.03°、18.16°、19.00°、21.67°、22.55°、23.48°および24.30°(該ピークの各々、±0.2°)からなる群から選択される2θ値を有する少なくとも2つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、例えば、粉末X線回折データがニッケルフィルター付き銅アノードで動作する回折計で収集される、態様8記載の剤形。
[態様10]
剤形が、さらに、トルエンスルホン酸を、例えば、ルマテペロンモノトシレートに対するモル比約1:1~1:2、例えば、モル比1:1~1:1.5、またはモル比1:1~1:2、またはモル比約1:1で含む、態様3~9のいずれかに記載の剤形。
[態様11]
剤形が、ルマテペロン遊離塩基0.01~120mg、例えば、0.01~100mg、0.01~75mg、0.01~50mg、0.01~30mg、0.01~20mg、0.1~20mg、5~20mg、10~20mg、10~30mg、20~30mg、20~50mg、30mg~50mg、50~100mg、1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~20mg、1~10mg、25~35mg、または35~45mg、または約6mg、または14mg、または約28mg、または約42mgと同等の総単位量で、遊離形態および/または薬学的に許容される塩形態のルマテペロンを含む、態様1~10のいずれかに記載の剤形。
[態様12]
さらに、1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体(すなわち、賦形剤)を含む、態様1~11のいずれかに記載の剤形。
[態様13]
該1種類以上の薬学的に許容される希釈剤または担体が、(a)希釈剤/充填剤(例えば、セルロースまたは微結晶セルロース(例えば、ケイ化微結晶セルロース)、マンニトール、ラクトース一水和物、リン酸二カルシウム、またはイソマルト)、(b)結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン)、(c)崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンまたはクロスカルメロースナトリウム)、(d)滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはモノステアリン酸グリセリル)、(e)流動促進剤(例えば、二酸化ケイ素またはタルク)、(f)発泡剤、(g)ポリマー、(h)可塑剤、(i)乾燥剤(drying agent)または乾燥剤(desiccant)、(j)保水剤(例えば、ポリオール)、(k)湿潤剤、(l)抗酸化剤(例えば、BHT、クエン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸またはメタ重亜硫酸ナトリウム)、(m)増粘剤(例えば、ゲル化剤)、(n)界面活性剤、(o)バッファー、(p)甘味剤またはフレーバー剤、および(q)色素または着色剤のうち1種類以上を含む、態様12記載の剤形。
[態様14]
剤形が、(a)ルマテペロントシレート(例えば、モノトシレート)、ラクトース一水和物、デンプン(例えば、アルファ化デンプン)、セルロース(例えば、微結晶セルロース、ケイ化されていてもよい)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、コポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、デンプングリコール酸ナトリウム、フレーバー剤および/または着色剤および/または抗酸化剤、または(b)ルマテペロントシレート(例えば、モノトシレート)、セルロース(例えば、微結晶セルロース、ケイ化されていてもよい)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);二酸化ケイ素(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、ステアリン酸マグネシウム、フレーバー剤および/または着色剤および/または抗酸化剤を含むかまたはそれらからなる、態様1~13のいずれかに記載の剤形。
[態様15]
剤形が、1種類以上の表面コーティング剤、例えば、ポリマー表面コーティング剤(例えば、ポリビニルアルコールを含む)を含み、場合によっては該剤形が1~10重量%のポリマー表面コーティング剤を含む、態様1~14のいずれかに記載の剤形。
[態様16]
剤形が、錠剤、例えば、球状(例えば、円形)またはほぼ球状(例えば、卵円形または楕円形)錠剤であるか、またはカプレット剤、例えば、カプセル型錠剤である、態様1~15のいずれかに記載の剤形。
[態様17]
ルマテペロンが、(a)平均粒径が1~200μm、例えば、1~150μm、1~100μm、1~50μm、1~25μm、1~15μm、1~10μm、5~10μm、または1~5μmであり;および/または(b)D90が100μm以下、50μm以下、25μm以下、15μm以下、または10μm以下であり;および/または(c)D10が50μm以下、25μm以下、15μm以下、または10μm以下、または5μm以下であるものである、態様1~16のいずれかに記載の剤形。
[態様18]
剤形が、経口(消化管)投与用に製剤化されている、態様1~17のいずれかに記載の剤形。
[態様19]
ルマテペロンが、さらなる治療剤の有効量と組み合わされている(例えば、固定された組み合わせ(fixed combination)である)、態様1~18のいずれかに記載の剤形。
[態様20]
態様1~19のいずれかに記載の剤形の製造方法であって、
(a) 遊離形態または薬学的に許容される塩形態(例えば、トシレート塩形態)のルマテペロンを、少なくとも1つの希釈剤または担体(例えば、マンニトールなどの充填剤)と組み合わせるステップ;
(b)得られた混合物をブレンドおよび/または粉砕および/または造粒(例えば、乾式造粒)するステップ;
(c)場合によっては、例えば均一な粒径を達成するために、得られた混合物を濾過(例えば、スクリーニング)するステップ;
(d)少なくとも1つの他の希釈剤または担体(例えば、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)、または流動促進剤(例えば、タルク)、または滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、またはそれらの組合せ)を添加するステップ;
(e)得られた混合物をブレンドおよび/または粉砕および/または造粒(例えば、乾式造粒)するステップ;
(f)場合によっては、例えば均一な粒径を達成するために、得られた混合物を濾過(例えば、スクリーニング)するステップ;
(g)該混合物をプレスして、該剤形を形成するステップ;および
(h)場合によっては、該剤形に1つ以上のコーティングを適用するステップ
を含む、方法。
[態様21]
5-HT 2A 受容体、セロトニントランスポーター(SERT)、および/またはドパミンD1/D2受容体シグナル伝達経路が関与するかまたはそれによって媒介される疾患または障害の治療または予防方法であって、それを必要とする患者に、態様1~19のいずれかに記載の固体剤形を投与することを含む、方法。