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特許7546575箱の支持体、箱の梱包方法および箱の輸送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】箱の支持体、箱の梱包方法および箱の輸送方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 61/00 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
B65D61/00 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021543797
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2020033191
(87)【国際公開番号】W WO2021045078
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019159865
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 佳之
(72)【発明者】
【氏名】関根 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】東 洋
(72)【発明者】
【氏名】福岡 徹也
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06012587(US,A)
【文献】米国特許第05115917(US,A)
【文献】米国特許第04265184(US,A)
【文献】西独国特許出願公開第02159650(DE,A1)
【文献】特開2015-129017(JP,A)
【文献】米国特許第04201138(US,A)
【文献】特開平10-310139(JP,A)
【文献】特開2011-143972(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02541970(FR,A1)
【文献】特表2008-526637(JP,A)
【文献】実開昭58-163462(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 61/00-61/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねた複数の箱を支持する支持体であって、
前記箱を積み重ねる方向である長さ方向に直交する断面が、谷折りされたL字形状の柱部と、
前記柱部の谷折りされた内側に配置される少なくとも一以上の突起部と、を有し、
前記柱部は、谷折り曲げられた部位を挟んで板状の右柱部および板状の左柱部を有し、
前記突起部は、前記長さ方向に直交する断面において前記右柱部の幅の範囲内および前記左柱部の幅の範囲内に位置し、
前記柱部の上端および下端にそれぞれ2以上の孔部を有する、支持体。
【請求項2】
前記突起部は、前記柱部と同一の板により一体的に形成され、折り曲げられて前記長さ方向に重なる複数の板部を有する、請求項1に記載の支持体。
【請求項3】
前記柱部は、当該柱部を形成する板が折り曲げられて重なる部位を有する、請求項1または2に記載の支持体。
【請求項4】
前記箱が医療機器の梱包箱である請求項1からのいずれか1項に記載の支持体。
【請求項5】
前記医療機器が、カテーテルまたはガイドワイヤーである請求項に記載の支持体。
【請求項6】
箱の輸送方法であって、
複数の箱を積み重ねる積重ステップと、
前記箱を積み重ねる方向である長さ方向に直交する断面が、谷折りされたL字形状の柱部と、前記柱部の谷折りされた内側に少なくとも一以上の突起部と、を有し、前記柱部の上端および下端にそれぞれ2以上の孔部を有する支持体を、前記箱の角部を通り当該箱の高さ方向へ延在する各々の稜に沿って、前記柱部の内側が前記稜を覆うように配置する配置ステップと、
前記突起部に前記複数の箱のうち最下部に配置した箱の底面の角部の近傍を係合する係合ステップと、
前記複数の箱と前記支持体を囲んで締結する締結ステップと、を有し、
前記締結ステップにより梱包体を形成する梱包方法で第1の梱包体および第2の梱包体を形成するステップと、
前記第1の梱包体の支持体である第1の支持体の下端の孔部である第1孔部と、前記第2の梱包体の支持体である第2の支持体の上端の孔部であって、前記第1孔部と長さ方向に同軸に配置された第2孔部に、長尺体を挿入して前記第1の支持体と前記第2の支持体を連結する、連結ステップと、を有し、
前記連結ステップにより前記第2の梱包体の鉛直方向上方に前記第1の梱包体を配置し、最下部の前記箱の上面に前記箱に表示または規定された最大積重個数を超えた前記箱を配置した、輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱の支持体、箱の梱包方法および箱の輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器のうち、カテーテルなどは、通常滅菌用袋などに包装し、滅菌したものを段ボールなどの紙製の箱に添付文書とともに梱包して輸送するため、重さに対して体積が大きく、特に航空貨物のように容積重量で計算すると輸送費が高くなる。
【0003】
さらに、ISO780(2015)により最下部の箱に積重できる個数(以下最大積重個数)が表示または規定されている箱は、最大積重個数を超えて積み重ねられないため、トラックやコンテナでの輸送時あるいは倉庫で保管するとき、積重した箱の上に隙間が生じ、コンテナ輸送費や倉庫保管費などの物流コストが大きくなる。
【0004】
一方、箱の段ボールを厚くして強固とすれば、最大積重個数は増えるが、材料コストや、輸送後に処理すべき廃棄物および廃棄コストが大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-335504号公報
【文献】特開平7-285554号公報
【文献】特開2001-106253号公報
【文献】特開平7-291359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2には、積重した箱を四隅で固定する固定枠が開示されているが、箱に規定された最大積重個数以上に積重することについて開示されていない。また、特許文献3および4には、支持体のコーナー保護を目的とした、組立可能な保護材について開示されているが、保護材上に箱を戴置する点について開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するのは、以下の本発明である。
【0008】
(1)本発明に係る箱の支持体は、積み重ねた複数の箱を支持する支持体であって、前記箱を積み重ねる方向である長さ方向に直交する断面が、谷折りされたL字形状の柱部と、前記柱部の谷折りされた内側に配置される少なくとも一以上の突起部と、を有し、前記柱部は、谷折り曲げられた部位を挟んで板状の右柱部および板状の左柱部を有し、前記突起部は、前記長さ方向に直交する断面において前記右柱部の幅の範囲内および前記左柱部の幅の範囲内に位置し、前記柱部の上端および下端にそれぞれ2以上の孔部を有するものである
【0009】
(2)前記突起部は、前記柱部と同一の板により一体的に形成され、折り曲げられて前記長さ方向に重なる複数の板部を有してもよい。
【0010】
(3)前記柱部は、当該柱部を形成する板が折り曲げられて重なる部位を有してもよい。
【0011】
(4)前記箱が医療機器の梱包箱である、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の支持体であってもよい。
【0012】
(5)前記医療機器が、カテーテルまたはガイドワイヤーである上記()に記載の支持体であってもよい。
【0014】
)本発明に係る箱の輸送方法は、複数の箱を積み重ねる積重ステップと、前記箱を積み重ねる方向である長さ方向に直交する断面が、谷折りされたL字形状の柱部と、前記柱部の谷折りされた内側に少なくとも一以上の突起部と、を有し、前記柱部の上端および下端にそれぞれ2以上の孔部を有する支持体を、前記箱の角部を通り当該箱の高さ方向へ延在する各々の稜に沿って、前記柱部の内側が前記稜を覆うように配置する配置ステップと、前記突起部に前記複数の箱のうち最下部に配置した箱の底面の角部の近傍を係合する係合ステップと、前記複数の箱と前記支持体を囲んで締結する締結ステップと、を有し、前記締結ステップにより梱包体を形成する梱包方法で第1の梱包体および第2の梱包体を形成するステップと、前記第1の梱包体の支持体である第1の支持体の下端の孔部である第1孔部と、前記第2の梱包体の支持体である第2の支持体の上端の孔部であって、前記第1孔部と長さ方向に同軸に配置された第2孔部に、長尺体を挿入して前記第1の支持体と前記第2の支持体を連結する、連結ステップと、を有し、前記連結ステップにより前記第2の梱包体の鉛直方向上方に前記第1の梱包体を配置し、最下部の前記箱の上面に前記箱に表示または規定された最大積重個数を超えた前記箱を配置した、輸送方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る箱の支持体は、支持体の柱部下端に箱を戴置可能な突起部を設け、突起部上に箱を積重する。突起部は、箱の最大積重個数を超えない間隔で設けることで、最下部の箱に表示または規定された、最大積重個数以上の箱が積重されることなく、最下部の箱の鉛直上方の空間に、箱の最大積重個数を超える個数の箱を配置可能とする。このため、箱上部の無駄な隙間を小さくして輸送費あるいは保管費などの物流コストを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る支持体の展開図である。
図2図2は、組立てた支持体の下方斜視図である。
図3図3は、本発明の変形例1に係る支持体の展開図である。
図4図4は、本発明の変形例2に係る支持体の展開図である。
図5図5は、組立てた、変形例2に係る支持体の下方斜視図である。
図6図6は、本発明の変形例3に係る支持体の展開図である。
図7図7は、最大積重個数表示のある箱の斜視図である。
図8図8は、本発明に係る梱包方法の最下部の箱下面と、箱下面に係合した突起部の底面図である。
図9図9は、本発明に係る梱包方法の、支持体により積重した複数の箱を固定した状態を示す上斜視図である。
図10図10は、本発明に係る梱包方法の第2の梱包体に第1の梱包体を連結可能とするため、第2の梱包体の支持体の柱部上端の孔部に長尺体を挿入した状態を示す上斜視図である。
図11図11は、本発明に係る輸送方法における、最下部の箱の鉛直上方に、箱の最大積重個数を超えた複数の箱を配置した輸送方法である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
【0018】
図1に示す本実施形態に係る支持体10の展開図を示し、以下説明する。図1の紙面における上下方向を長さ、左右方向を幅とし、紙面奥行方向の手前側から見た場合に、支持体10の上部は、右柱部1Aと、左柱部1Bと、中央に谷折り線Cを有する。本実施形態に係る支持体10は、積み重ねた複数の箱100を支持するものである。本明細書において、支持体10の長さ方向は、複数の箱100を積み重ねる方向である。支持体10の幅方向は、対向する2面を有する板状の支持体10の面に沿う方向であり、かつ長さ方向と垂直な方向である。
【0019】
柱部下端4には、突起部2を構成する突起部内側2Aと突起部外側2Bが設けられる。谷折り線Cで谷折りしたときに、支持体10の谷折りした内側に、突起部内側2Aと突起部外側2Bを折りたたんで組立てた突起部2が形成される。
【0020】
本実施例においては、支持体10は厚さ4mmのポリプロピレン製プラスチック段ボールを用いた。
【0021】
ここで、支持体10の幅とは展開図上での右柱部1Aまたは左柱部1Bの幅をいい、あるいは図2に示すように組立てたときの右柱部1Aまたは左柱部1Bの幅としてもよい。
【0022】
支持体10の幅は、支持する箱の大きさによって任意であるが、好ましくは20mm以上、100mm以下であり、本実施例では50mmであった。
【0023】
ここで、支持体10の長さとは展開図上での右柱部1Aまたは左柱部1Bの長さ、いいかえると柱部下端4と柱部上端5の間の長さをいい、図2に示すように組立てたときの右柱部1Aまたは左柱部1Bの長さをいう。
【0024】
支持体10の長さは任意であるが、持ち運びやトラックやコンテナに積載するためであれば、好ましくは300mm以上、2500mm以下であり、より好ましくは500mm以上1500mm以下である。支持体10の長さは、本実施例では600mmであった。
【0025】
右柱部1Aの下端4の右端から10mm左側を起点として突起部内側谷折り線Aが設けられ、突起部内側2Aを構成する幅30mmの板部21A、22A、23A、24A、25Aおよび26Aが下方向に並んで設けられている。各板部の長さは、21A 26mm、22A 40mm、23A 35mm、24A 35mm、25A 35mm、26A 35mmであり、柱部下端4に谷折り線Aが配置され、下方向に、山折り線、山折り線、谷折り線、山折り線、谷折り線の順で配置されている。図では、谷折り線は一点鎖線、山折り線は点線で示されている。板部26Aの左側に長さ35mm、幅30mmの突出した板部27Aが設けられ、板部26Aと板部27Aの間には山折り線が配置されている。
【0026】
左柱部1Bの下端4の左端から10mm右側を起点として突起部外側谷折り線Bが設けられ、突起部外側2Bを構成する幅35mmの板部21B、22B、23B、24B、および25Bが下方向に並んで設けられている。各板部の長さは、21B 30mm、22B 40mm、23B 25mm、24B 35mm、25B 21mmであった。
【0027】
柱部1は、積重した複数の箱を囲んで支持体とともに締結するための締結孔3を複数備え、締結孔3は、右柱部1Aと左柱部1Bのそれぞれに少なくとも1つ以上設けられてもよく、好ましくは右柱部1Aと左柱部1Bそれぞれの上端または下端から等距離の位置に設けられてもよい。
【0028】
これによって、締結する際、均等に締結することができる。柱部の上端5と下端4には、長さ方向に沿って延在する孔部4A、4B(図2を参照)、5Aまたは5B(図9を参照)を設けてもよい。
【0029】
孔部は、上端5および下端4にそれぞれ1つ以上設けられればよく、2以上設けられてもよい。孔部は、上端5または下端4の一方にのみ設けられてもよい。
【0030】
柱部1の材料は、紙、樹脂あるいは金属でもよく、軽量とするため紙あるいは樹脂製の中空体が好ましく、より好ましくは長さ方向に略直線状に形成されたリブと呼ばれる柱とライナーと呼ばれる裏表の両面で構成されたプラスチック段ボール(corrugated cardboard)が好ましい。
【0031】
柱部1の材料がプラスチック段ボールであれば、柱部1は折れにくく、耐水性を有し、さらに柱とライナーで囲まれた部分が、そのまま上端5と下端4の孔部4A、4B、5Aまたは5Bとして用いることができる。すなわち、柱部1の上端5の孔部5Aおよび5Bは、板状の柱部1の両面(外表面および内表面)の間、すなわち柱部1の肉厚内に位置し、上方向へ開口してもよい。また、柱部1の下端4の孔部4Aおよび4Bは、板状の柱部1の両面(外表面および内表面)の間、すなわち柱部1の肉厚内に位置し、下方向へ開口してもよい。
【0032】
樹脂は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂またはポリ塩化ビニール樹脂が好ましく、さらに好ましくはポリプロピレン樹脂である。
【0033】
突起部内側2Aは、紙面奥行方向の手前側から見て山折り線Aと谷折り線Aを配置し、突起部外側2Bは、紙面奥行方向の手前側から見て山折り線Bと谷折り線Bが配置されている。
【0034】
折り線は切込みでもよいが、幅を持っていてもよく、折り癖を付けるため厚みと同じかあるいはそれ以上の幅を有することが好ましい。あるいは、折り線として、板部の一方に溶融あるいは加圧により凹部を設けてもよい。
【0035】
支持体10は、柱部1の長さ方向の谷折り線Cを谷折りし、柱部1の内側に突起部内側2Aを平面L字状の下端から折り目AおよびAに従って折り曲げることで、突起部内側2Aを形成する。
【0036】
次に、突起部外側2Bを下端から折り目BおよびBに従って折り曲げて、突起部内側2Aを突起部外側2Bで囲み、両者と右柱部1Aと左柱部1B同士を固定することで長さ方向に直交する断面が、谷折りされたL字形状の柱部1の内側に突起部2を形成する。
【0037】
右柱部1Aと左柱部1Bの幅は変えてもよく、その場合は、谷折り線Cは柱部の中央から離れた位置に配置される。
【0038】
突起部2の固定方法は特に限定しないが、突起部内側2Aおよび突起部外側2Bの板面同士を接着あるいは融着でもよく、接着テープなどで囲んでもよい。
【0039】
谷折り線Cを直角に曲げて右柱部1Aと左柱部1Bを相対的に略直角に配置することで、断面L字状の柱部1を形成する。
【0040】
図2に示すように断面L字状の柱部1と、柱部1の下端内側に形成した、少なくとも1以上の突起部2によって、箱100を複数個積重した状態で固定することができる。
【0041】
本実施形態では、1箱あたり3-4kg程度の比較的重い箱を支持するために柱部下端4の4Aおよび4Bと突起部下面がほぼ同じ位置にすることが、好ましい。
【0042】
突起部2は柱部1と同一の板から作ったものでもよく、あるいは柱部1に取り付けられるボルトとナットのように別部材でもよく、あるいは簡便にL字状板を取り付けてもよい。1箱当たりの重さが1-2kg程度の比較的軽量の箱であれば、L字状板を右柱部1Aと左柱部1Bそれぞれの下端近傍に取り付け、右柱部1Aと左柱部1Bを相対的に略直角に配置にすることでL字状板の面同士を上下方向に重ね合わせて突起部2を形成してもよい。右柱部1Aおよび左柱部1Bの各々に固定されるL字状板は、右柱部1Aまたは左柱部1Bの内面に固定される固定板と、固定板の上側から略垂直に立ち上がって長さ方向と垂直な面を備える接続板とにより形成される。右柱部1Aと左柱部1Bを相対的に略直角に配置にすることで、右柱部1Aに固定されたL字状板の接続板の面と、左柱部1Bに固定されたL字状板の接続板の面を上下方向に重ね合わせて接続できる。接続された2つのL字状板は、突起部2を形成できる。
【0043】
変形例1として、図3に示すよう展開図から右柱部1A’と左柱部1B’の各々が、2枚の板で構成された支持体10aとしてもよい。あるいは、変形例2として、図4に示す支持体10bのように柱部の上側にも、突起部内側2A”および突起部外側2B”により突起部2”を設けてもよい。これにより、L字に形成された柱部1が平板上に広がるのを抑えることができる。
【0044】
支持体10bを組立てると、図5に示すように山折り線Cに沿って柱部側面にカット面が露出しないため、より作業者は安全に把持でき、箱100表面を傷つける恐れを低減できる。
【0045】
右柱部1A’の下端4’の右端から10mm左側を起点として突起部内側山折り線Aが設けられ、突起部内側2A’を構成する幅35mmの板部21A’、22A’、23A’および24A’が設けられて、板部24A’の左側に長さ40mm、幅35mmの突出した板部25A’と、25A’の上側に板部26A’および27A’が設けられている。各板部の長さは、21A’ 25mm、22A’ 45mm、23A’ 40mm、24A’ 40mm、25A’ 40mm、26A’ 40mm、27A’ 40mmであった。
【0046】
柱部下端4’に山折り線Aが配置され、下に向かう方向に、谷折り線、谷折り線、山折り線が配置されている。板部24A’と板部25A’の間は谷折り線、板部25A’と板部26A’の間は山折り線、板部26A’と板部27A’の間は谷折り線が配置されている。
【0047】
左柱部1B’の下端4’の左端を起点として突起部外側山折り線Bが設けられ、突起部外側2B’を構成する幅45mmの板部21B’、22B’、23B’、24B’、および25B’が設けられている。各板部の長さは、21B’ 30mm、22B’ 40mm、23B’ 25mm、24B’ 35mm、25B’ 20mmであった。
【0048】
柱部が二重になることにより、長さ方向の圧縮や折れに対する耐久性が向上する。さらに、突起部内側2A’の長さが短いため右柱部1A’と左柱部1B’をより長くすることができる。また板部27A’は突起部外側2B’の内側に配置してもよく、あるいは突起部外側2B’の下に配置することで、形成される突起部2の底面の高さ調整に用いてもよい。あるいは変形例3として、図6に示す展開図から支持体10cを形成してもよい。これにより柱部内側と箱を密着し、かつ支持体10c自体が強固であるためより重い箱を支持することができる。
【0049】
また、記載した寸法より±5mm以内の範囲であれば、プラスチック段ボールが変形して空隙を埋めるあるいは隙間を形成することで、箱を支持して安定させることができる。
【0050】
図7に示す箱は、製品を梱包する公知の紙製の段ボール箱である。箱100は高さ方向の稜100A、天面100B、底面100D、底面100Dの四隅の角部100Eおよび側面を有する。
【0051】
箱に、ISO780で規定された最大積重個数表示100Cが記載され、最大積重個数が4と表示されている場合、最下部の箱に4個を超えて5個積重することができない。
【0052】
図8に示すように、箱100は、底面100Dの四隅の角部100Eを、突起部2により支持される。最下部の箱100は天面100Bに2個の箱100を積重し、それぞれの箱の稜100Aを支持体1Aおよび1Bと接して支える。柱部1の内側は、稜100Aを覆うように配置される。柱部1の内側は、稜100Aと接することが好ましいが、稜100Aと接せずに、多少離れていることもあり得る。突起部2は、複数の箱100のうち最下部に配置した箱100の底面100Dの角部100Eの近傍に係合する。このとき、突起部2は、角部100Eと厳密に接してもよく、または接せずに多少離れていることもあり得る。
【0053】
図9に示すように支持体10の柱部1の右柱部1Aと左柱部1Bの、2個ずつ設けた締結孔3にフック11を係合し、隣接する支持体10の締結孔3に係合した各々のフック11との間に締結体12を配置し、締結体12で支持体10同士を締結する。
【0054】
複数個積重した箱100を、箱100の側面に沿って支持体10、フック11および締結体12で囲むことで、支持体10の柱部谷折り線Cの外側に梱包体角部Dを有する梱包体20を形成する。締結体12はゴムバンドのような伸縮可能な素材や、あるいはひもや樹脂製締結バンドでもよい。
【0055】
あるいは、支持体10同士は連結せず、箱100と支持体10を締結バンドで囲んで固定してもよい。
【0056】
最下部の箱100の底面100Dと床面および支持体10の下端4の間には空隙Gaが生じることで、3個の箱の荷重は支持体10にかかるとともに、箱100の汚れと擦過による破損を防止することができる。この場合、梱包体20の荷重は支持体10で支持されるため、梱包体20の最下部の箱100の天面100Bにかかる荷重は梱包体20の箱のうち2個分しかなく、最大積重個数4個を越えない。
【0057】
例えば、箱100の高さ即ち稜100Aの長さが13cm、最大積重個数が12個であれば、締結される箱100の個数が13個であっても、梱包体20の高さが170~180cmとなるため、梱包体20の移動や箱の取り出しが容易となる。
【0058】
最上部の箱100の天面100Bと支持体10の上端5の間にも空隙Gaを生じる。
【0059】
また、柱部下端4の孔部4Aと4Bのそれぞれに棒状の長尺体13を挿入し、長尺体13を、別の支持体10の柱部上端5の孔部5Aおよび5Bにそれぞれ挿入して連結してもよい。
【0060】
図10に示す支持体10の柱部上端5に設けた孔部5Aおよび5Bに長尺体13を挿入した第2の梱包体20’を用意し、第1の梱包体20の支持体10の柱部下端4の孔部4Aおよび4Bに、対応する位置の長尺体13をそれぞれ挿入することで梱包体20と第2の梱包体20’を連結する。したがって、各々の支持体10において、柱部上端5に設けた孔部5Aおよび5Bと、柱部下端4に設けた孔部4Aおよび4Bは、長さ方向に一致する位置に形成されることが好ましい。これにより、下側に配置される支持体10の柱部上端5に設けた孔部5Aおよび5Bと、上側に配置される支持体10の柱部下端4の孔部4Aおよび4Bとを重なるように配置し、長尺体13で連結することができる。
【0061】
図11に示すように、最上部に第1の梱包体20、中間に第2の梱包体20’、さらに第3の梱包体20”を連結する。このとき、第2の梱包体20’の支持体10’の柱部下端4の孔部4Aおよび4Bに、図10と同様に支持体10”の柱部上端5に設けた孔部5Aおよび5Bに長尺体13を挿入した第3の梱包体20”を連結する。また、第1の梱包体20の支持体10の柱部下端4の孔部4Aおよび4Bに、支持体10’の柱部上端5に設けた孔部5Aおよび5Bに長尺体13を挿入した第2の梱包体20’を連結してもよい。
【0062】
第1の梱包体20、第2の梱包体20’および第3の梱包体20”を長尺体13で連結することで、3体の梱包体を鉛直上方に積み重ねた状態で輸送することができる。
【0063】
この場合、第2の梱包体20’の梱包体最上部の箱の天面100Bと、第1の梱包体20の底面100Dおよび突起部2の底面2Bとの間に空隙Gaが生じるため、第2の梱包体20’の上面100Bと、第1の梱包体20の底面100Dおよび突起部2の底面2Bは、直接接触しない。
【0064】
さらに第1の梱包体20の荷重は第2の梱包体20’の支持体10’で支持されるため、第2の梱包体20’の最下部の箱の天面100Bにかかる荷重は、第2の梱包体20’の箱のうち2個分しかない。
【0065】
同様に第2の梱包体20’と連結された第3の梱包体20”の最下部の箱100の天面100Bにかかる荷重は、箱2個分であり最大積重個数である4個分を超えない。
【0066】
第3の梱包体20”の最下部の箱100の天面100Bには最大積重個数の荷重がかからずに、鉛直上方に配置される箱の数は8個であり、最大積重個数である4より4個多く配置することができる。
【0067】
このように複数の梱包体を、鉛直上方に複数積重することで、最上部の梱包体上面の隙間を小さくすることができる。例えばISOコンテナ300のように内部の高さが規格で決まっているものや、航空機貨物室のように、航空機の寸法によって航空会社が高さの上限を設ける場合は、無駄な隙間を小さくすることで、1回当たりの輸送量を大きくし、輸送費を小さくすることができる。
【0068】
あるいは、物流倉庫や病院内で医療機器の保管場所でも、梱包体自体が自立できるので、棚を設ける必要をなくし、棚の段数を減らすことができる。このように、コンテナ300などによる輸送時の輸送費、あるいは倉庫保管の倉庫費などの物流コストを小さくすることができる。
【0069】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【0070】
梱包体の高さが、人が持ち運びやすい160cmから230cm程度、好ましくは180から200cmであれば、積重せずに第1の梱包体20のみを輸送あるいは保管してもよい。
【0071】
この場合、梱包体は、連結するために柱部の上端および下端に孔部を設け、長尺体を準備する必要がなく、さらにコストを減らすことができる。
【0072】
さらに、鉄道車両に乗客が少ない場合や、回送輸送時に、梱包体を、客室の座席の上、座席間の隙間、あるいは通路の隙間に配置することで、輸送料収入を得てもよい。
【0073】
なお、本出願は、2019年9月2日に出願された日本特許出願2019-159865号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
【符号の説明】
【0074】
1 柱部、
1A 右柱部、
1B 左柱部、
2、2’、2” 突起部、
2A、2A’、2A” 突起部内側、
2B、2B’、2B” 突起部外側、
3 締結孔、
4、4’、4” 柱部下端
4A,4B 孔部、
5、5’、5” 柱部上端
5A,5B 孔部、
10 第1の支持体、
10’ 第2の支持体、
10” 第3の支持体、
11 フック、
12 締結体、
13 接続体、
20 第1の梱包体、
20’ 第2の梱包体、
20” 第3の梱包体、
100 箱、
100A 高さ方向の稜、
100B 天面、
100C 最大積重個数表示、
100D 底面、
100E 角部
200 パレット、
300 コンテナ、
突起部内側山折り線、
突起部内側谷折り線、
突起部外側山折り線、
突起部外側 谷折り線、
C 柱部谷折り線、
柱部山折り線、
柱部谷折り線、
D 梱包体角部、
Ga 梱包体下部空隙、
Ga 梱包体上部空隙、
Ga 空隙。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11