(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】水中安全衣服、関連する装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/012 20060101AFI20240830BHJP
G08B 21/08 20060101ALI20240830BHJP
B63C 9/15 20060101ALI20240830BHJP
B63C 9/18 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A41D13/012 105
G08B21/08
B63C9/15 100
B63C9/18 C
(21)【出願番号】P 2021545968
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 US2020016705
(87)【国際公開番号】W WO2020163423
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-12
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521345730
【氏名又は名称】ブースト アイディアズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガーナー、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】メトカルフ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】アーバン スコット
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-519122(JP,A)
【文献】特開昭56-145870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0057510(US,A1)
【文献】国際公開第2010/036207(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/012
G08B 21/08
B63C 9/15
B63C 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中衣服であって、
本体と、
前記本体に取り付けられた少なくとも1つの膨張可能チャンバと、
前記少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させるために前記少なくとも1つの膨張可能チャンバに連結された少なくとも1つの膨張機構と、
前記本体上に配置された筐体であって、前記筐体は第1のチャンバを有し、前記第1のチャンバは、
前記第1のチャンバの端部に、前記第1のチャンバと流体連通する開口部を有し、
それにより、前記第1のチャンバが水中に導入されたときに液体水が前記第1のチャンバ内に入る
ように前記第1のチャンバ内に通過可能
であり、且つ前記第1のチャンバが水から取り出されたときに前記液体水が前記第1のチャンバから排出されることも可能に
し、前記第1のチャンバは前記本体のネック上に配置され、それにより前記第1のチャンバは、前記本体を着用しているユーザの口及び鼻が水面下にあるところまで前記ユーザが少なくとも沈んだときに、液体水で満たされることができる、筐体と、
前記第1のチャンバ内の液体水を検出するように少なくとも部分的に前記第1のチャンバ内に配置された第1のセンサ要素を有する少なくとも1つのセンサ要素であって、前記第1のセンサ要素は、水中に沈んでいる前記本体を着用しているユーザの頭の少なくとも一部を検出するよう配置される、少なくとも1つのセンサ要素と、
前記本体を着用している前記ユーザの前記頭の前記少なくとも一部の、事前選択された期間にわたる連続的な水没が検出できるように、前記少なくとも1つのセンサ要素及び前記膨張機構に接続された制御デバイスであって、前記ユーザの前記頭の前記少なくとも一部の前記水没が、前記事前選択された期間にわたって連続的に生じたという判断に応答して、前記膨張機構を作動させ、それにより前記少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させるよう構成されている制御デバイスと
を有
し、
前記制御デバイスがタイマを有し、前記タイマは、前記少なくとも1つのセンサ要素によって得られた電流又は電圧に対する抵抗値が、前記第1のチャンバ内に通過した液体水によって第1の事前選択された閾値まで減少したと判断されると作動し、また前記タイマは、前記タイマの作動に応答して、前記事前選択された期間までカウントするように構成され、
前記制御デバイスは、前記抵抗値が前記第1の事前選択された閾値を超える値まで、又は、前記液体水の排出及び前記第1のチャンバ内で空気と置き換えられた前記液体水により第2の事前選択された閾値を超える値まで増加したと判断すると、前記タイマをリセットするように構成されている、水中衣服。
【請求項2】
前記膨張機構が、トリガに連結されたガス源を有し、前記トリガが、前記制御デバイスに接続されている、請求項1に記載の水中衣服。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサ要素が、第2のセンサ要素も有する、請求項1に記載の水中衣服。
【請求項4】
前記第1のチャンバが垂直方向に延び、前記筐体が、垂直方向に延びる第2のチャンバも有し、前記第2のセンサ要素が、前記第2のチャンバ内の液体水の存在を検出するために少なくとも部分的に前記第2のチャンバ内に配置されている、請求項3に記載の水中衣服。
【請求項5】
前記第1のセンサ要素が、水平方向に延びる金属ピンであり、前記第2のセンサ要素が、水平方向に延びる金属ピンである、請求項4に記載の水中衣服。
【請求項6】
前記第1のセンサ要素が、前記第1のチャンバを横切る方向に延びる金属ロッド又は金属ピンである、請求項
1に記載の水中衣服。
【請求項7】
前記制御デバイスがプリント回路基板(PCB)を有する、請求項1に記載の水中衣服。
【請求項8】
前記制御デバイスは、前記タイマが作動した後、前記第1の事前選択された閾値を
前記第2の事前選択された閾値に調整するように構成され、また前記制御デバイスは、前記抵抗値が前記第2の事前選択された閾値を超える
前記値まで増加したと判断すると、前記タイマをリセットするように構成されている、請求項
1に記載の水中衣服。
【請求項9】
前記第2の事前選択された閾値は、前記第1の事前選択された閾値より小さい、請求項8に記載の水中衣服。
【請求項10】
前記制御デバイスに接続された出力デバイスと、前記制御デバイスに接続された入力デバイスとを有し、前記制御デバイスは、前記タイマをリセットするために前記入力デバイスを介して入力が与えられない限り、前記出力デバイスを作動させて、前記膨張機構の膨張が生じるであろうことを示す少なくとも1つの警告を発するように構成されている、請求項9に記載の水中衣服。
【請求項11】
前記制御デバイスが、前記膨張機構の作動後に、無線通信で緊急信号を送信するよう構成されている、請求項
1に記載の水中衣服。
【請求項12】
前記本体が、ベストとして構成されている、請求項1に記載の水中衣服。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサ要素が、第2のセンサ要素も有し、前記第1のチャンバが垂直方向に延び、前記筐体が、垂直方向に延びる第2のチャンバと、前記第1のチャンバを前記第2のチャンバから分割する壁とをさらに有し、前記第1のセンサ要素は、前記第1のチャンバ内の液体水の存在を検出するために、前記第1のセンサ要素を少なくとも部分的に前記第1のチャンバ内に配置するように前記筐体の第1のセンサ要素用開口部内に配置され、前記第2のセンサ要素は、前記第2のチャンバ内の液体水の存在を検出するために、前記第2のセンサ要素を少なくとも部分的に前記第2のチャンバ内に配置するように前記筐体の第2のセンサ要素用開口部内に配置される、請求項1に記載の水中衣服。
【請求項14】
前記制御デバイスは、前記タイマが作動した後、前記第1の事前選択された閾値を
前記第2の事前選択された閾値に調整するように構成され、また前記制御デバイスは、前記抵抗値が前記第2の事前選択された閾値を超える
前記値まで増加したと判断すると、前記タイマをリセットするように構成されている、請求項
13に記載の水中衣服。
【請求項15】
前記第2の事前選択された閾値は、前記第1の事前選択された閾値より小さい、請求項14に記載の水中衣服。
【請求項16】
前記制御デバイスに接続された出力デバイスと、前記制御デバイスに接続された入力デバイスとを有し、前記制御デバイスは、前記タイマをリセットするために前記入力デバイスを介して入力が与えられない限り、前記出力デバイスを作動させて、前記膨張機構の膨張が起こるであろうことを示す少なくとも1つの警告を発するように構成されている、請求項
15に記載の水中衣服。
【請求項17】
水中衣服を膨張させる方法であって、前記方法が、
水中で前記水中衣服の本体を着用するステップ
を含み、
前記水中衣服は、
前記本体に取り付けられた少なくとも1つの膨張可能チャンバと、
前記少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させるために前記少なくとも1つの膨張可能チャンバに連結された少なくとも1つの膨張機構と、
前記本体上に配置された筐体であって、前記筐体は第1のチャンバを有し、前記第1のチャンバは、
前記第1のチャンバと流体連通する第1の開口部を有し、前記
第1の開口部は、前記第1のチャンバが水中に導入されたときに液体水が前記第1のチャンバ内に入ることを可能にし、且つ前記第1のチャンバが水から取り出されたときに前記液体水が前記第1のチャンバから排出されることも可能にするようなサイズ及び形状とされ、前記第1のチャンバは前記本体のネック上に配置され、それにより前記第1のチャンバは、前記本体を着用しているユーザの口及び鼻が水面下にあるところまで前記ユーザが少なくとも沈んだときに、液体水で満たされることができる、筐体と、
水中に沈んでいる前記本体を着用しているユーザの頭の少なくとも一部を検出するよう配置された少なくとも1つのセンサ要素であって、前記第1のチャンバ内の液体水を検出するように少なくとも部分的に前記第1のチャンバ内に配置された第1のセンサ要素を有する少なくとも1つのセンサ要素と、
前記本体を着用している前記ユーザの前記頭の前記少なくとも一部の、事前選択された期間にわたる連続的な水没が検出できるように、前記少なくとも1つのセンサ要素及び前記膨張機構に接続された制御デバイスと
も有し、
前記制御デバイスは、前記少なくとも1つのセンサ要素によって得られた電流又は電圧に対する抵抗値が、前記第1のチャンバ内に通過した液体水によって第1の事前選択された閾値まで減少したと判断されるとタイマを作動し、また前記タイマは、前記タイマの作動に応答して、事前選択された期間までカウントするように構成され、
前記制御デバイスは、前記抵抗値が前記第1の事前選択された閾値を超える値まで、又は、前記液体水の排出及び前記第1のチャンバ内で空気と置き換えられた前記液体水により第2の事前選択された閾値を超える値まで増加したと判断すると、前記タイマをリセットするように構成され、
前記制御デバイスが、前記膨張機構を作動させ、それにより前記少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させるように構成され、
前記制御デバイスが、前記第1のセンサ要素によって、前記本体を着用している前記ユーザの前記頭の前記少なくとも一部の、事前選択された期間にわたる連続的な水没を検出し、前記第1のセンサ要素は、前記第1のチャンバが水で満たされている間の前記事前された期間にわたる前記第1のチャンバ内の液体水を検出し、また
前記制御デバイスが、前記ユーザの前記頭の前記少なくとも一部の前記水没を検出することに応答して前記膨張機構を作動させ、それにより前記少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させる、方法。
【請求項18】
前記タイマが作動した後、前記第1の事前選択された閾値を前記第2の事前選択された閾値に調整するステップであって、それにより、前記抵抗値が前記第2の事前選択された閾値を超える前記値まで増加したと判断すると、前記タイマをリセットするステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の事前選択された閾値は、前記第1の事前選択された閾値より小さい、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の事前選択された閾値は、前記第1の事前選択された閾値より小さく、また前記第1の開口部は、前記第1のチャンバの端部又は側部にある、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月6日に出願された米国仮特許出願第62/801,988号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、水中安全装備用の安全装備、より詳細には、自動的に膨張可能な浮揚デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な状況で溺れるリスクを軽減するために、自動的に膨張可能な浮揚デバイスを個人に装備することが知られている。一実例として、Beach-Drummondの米国特許第9,139,271号は、スイミング・プール及び他の水域周辺の子供、水泳が苦手な人、及び非水泳者の溺れるリスクの高まりを強調している。これに対処するために、個人用浮揚デバイスには水で起動するインフレータが付属している。Beach-Drummondのデバイスは、水しぶき、雨、及び一般的に濡れた環境による、意図しない膨張を抑えるよう設計されている。
【0004】
このような浮揚デバイスは有用であるが、水での活動中、泳ぐことができる着用者、又はその他の方法で安全に、完全に又は部分的に潜水することができる着用者にとっては、あまり有用ではなく、又は支障となることさえある。たとえば、浅いプールで短時間息を止める練習をする十分に経験豊富な着用者であれば、好ましからざる膨張のために、かかるデバイスによってそうすることを妨げられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
水中安全衣服(water safety garment;水域安全衣服)の実施例、関連する装置の実施例、及び装置及び/又は水中安全衣服を製造及び利用する方法の実施例が、本明細書に提示されている。水中安全衣服及び装置の実施例は、衣服を所定の期間、膨張させることなく水没させることを可能にするよう構成され得る。所定の時間が経過した後、衣服又は他の装置は、衣服を着用している人が水上に浮く助けとなるよう膨張し、過度に長い間水中にいることによって生じる可能性のある、溺水又は他の潜在的に有害な状態を回避するよう構成され得る。
【0007】
いくつかの実施例では、水中安全衣服は、少なくとも1つの膨張可能チャンバ、膨張機構、及び起動機構を備える、衣服本体を備えることができる。膨張機構は、起動機構が所定の期間にわたって水没したままになった後、少なくとも1つの膨張可能チャンバに連結され、少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させるよう動作可能であり得る。いくつかの実施例では、起動機構は、制御デバイスによって衣服の膨張を作動させるよう構成することができ、その結果、衣服を着用している人は、水中に沈められたままとどまることができない。
【0008】
いくつかの実施例では、起動機構は、水没状態の検出及び/又は人がもはや水没していないことの検出を容易にするよう構成された、検出チャンバ内に配置された、2つの離間された電気接点を備えることができる。チャンバ内の離間された電気接点は、水がチャンバ内に十分に満たされているとき、その後完成される常開回路をもたらすよう構成され得る。他の実施例では、単一の電気接点のみ、又は3つ以上の電気接点があり得る。
【0009】
検出チャンバは、検出チャンバの外壁に画定された1つ又は複数の開口部を有することができ、検出チャンバが水中に入れられ、また水から取り出されるときに、水が自由に出入りすることを可能にする。検出チャンバに、電気接点間の回路を閉じるのに十分な浸水があると、膨張機構のタイマが起動され得る。回路が所定の時間にわたって閉じられたままである場合、膨張機構のトリガは、少なくとも1つの検出チャンバの自動膨張を開始することができる。所定の時間に達する前に検出チャンバが十分に排水される場合、水の十分な排水によって回路が開かれ得る。回路が開かれることにより、タイマがリセットされるか、さもなければタイマが停止され、膨張機構のトリガを阻止するよう構成され得る。
【0010】
いくつかの実施例では、水中衣服は、本体と、本体に取り付けられた少なくとも1つの膨張可能チャンバと、少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させるために、少なくとも1つの膨張可能チャンバに連結された少なくとも1つの膨張機構と、水中に沈んでいる本体を着用しているユーザの頭の少なくとも一部を検出するよう配置された、少なくとも1つのセンサ要素と、事前に選択された期間にわたる連続的な、本体を着用しているユーザの頭の少なくとも一部の水没が検出可能となるように、少なくとも1つのセンサ要素及び膨張機構に接続された制御デバイスとを備えることができる。制御デバイスは、ユーザの頭の少なくとも一部の水没が、事前に選択された期間にわたって連続的に生じたという判断に応答して、少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させるために、膨張機構を作動させるよう構成され得る。
【0011】
いくつかの実施例では、膨張機構は、トリガに連結されたガス源を有する。トリガは、制御デバイスに接続され得る。いくつかの実施例では、トリガは、制御デバイスからの信号によって作動される抵抗器又はモータを備えることができる。
【0012】
少なくとも1つのセンサ要素は、単一の要素として構成されてもよく、又は複数の要素を含んでもよい。たとえば、少なくとも1つのセンサ要素は、第1のセンサ要素だけを含んでもよく、又は少なくとも第1のセンサ要素及び第2のセンサ要素を含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施例では、水中衣服は、衣服の本体のネックに取り付けられた筐体を備えることができる。筐体は、垂直方向に延在する第1のチャンバと垂直方向に延在する第2のチャンバとを備えることができる。第1のセンサ要素は、第1のチャンバ内の液体水の存在を検出するために、少なくとも部分的に第1のチャンバ内に配置することができ、第2のセンサ要素は、第2のチャンバ内の液体水の存在を検出するために、少なくとも部分的に第2のチャンバ内に配置することができる。いくつかの実施例では、第1のセンサ要素は、水平方向に延在する金属ピンとして構造化することができ、第2のセンサ要素は、水平方向に延在する金属ピンとして構造化することができる。他の実施例では、第1及び第2のセンサ要素は、制御デバイス190又は他の種類のセンサ要素から延びるリード線の末端であり得る。
【0014】
いくつかの実施例では、筐体は、衣服の本体のネックに取り付け可能なサイズであり、取り付け可能に構成され得る。筐体は、垂直方向に延在する第1のチャンバ及び垂直方向に延在する第2のチャンバと、第1のチャンバを第2のチャンバから分割する壁と、第1のチャンバ内の液体水の存在を検出するように、第1のチャンバ内に少なくとも1つの第1のセンサ要素を少なくとも部分的に配置するための筐体の少なくとも1つの第1のセンサ要素用開口部内に配置される、少なくとも1つの第1のセンサ要素と、第2のチャンバ内の液体水の存在を検出するように、第2のチャンバ内に少なくとも1つの第2のセンサ要素を少なくとも部分的に配置するための筐体の少なくとも1つの第2のセンサ要素用開口部内に配置される、少なくとも1つの第2のセンサ要素とを備えることができる。
【0015】
いくつかの実施例では、水中衣服は、垂直方向に延在する第1のチャンバを備える、筐体を備えることができる。第1のセンサ要素は、第1のチャンバ内の液体水を検出するように、少なくとも部分的に第1のチャンバ内に配置され得る。他の実施例では、液体水を検出するために、それぞれが少なくとも部分的に第1のチャンバ内にある、第1のセンサ要素と、さらに第2のセンサ要素との両方があり得る。第1のセンサ要素は、第1のチャンバを横切る方向に延在する、金属ロッド又は金属ピンであり得る。第2のセンサ要素は(存在する場合)、やはり第1のチャンバを横切る方向に延在する、金属ロッド又は金属ピンであり得る。
【0016】
制御デバイスは、ハードウェアを備えることができる。制御デバイスは、たとえば、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)を備えることができる。制御デバイスはまた、非一時的なコンピュータ可読媒体(たとえば、メモリ)、コンピュータ可読媒体に接続された少なくとも1つのプロセッサ、並びにプロセッサ及び/又はコンピュータ可読媒体に接続された1つ又は複数のトランシーバも備えることができる。制御デバイスはまた、PCBに組み込まれ、且つ/又はプロセッサ及び/若しくはコンピュータ可読メモリに接続された、少なくとも1つの回路も備えることができる。制御デバイスは、少なくとも1つのセンサ要素によって取得された電流又は電圧に対する抵抗値が、第1の事前に選択された閾値まで減少したと判断すると作動する、タイマを備えるよう構成され得る。タイマは、タイマの作動に応じて、事前に選択された期間までカウントするよう構成され得る。制御デバイスは、抵抗値が第1の事前に選択された閾値を超える値まで増加したと判断すると、タイマをリセットするよう構成され得る。制御デバイスはさらに(又は別法として)、タイマが作動した後、第1の事前に選択された閾値を第2の事前に選択された閾値に調整するよう構成され得る。制御デバイスは、抵抗値が第2の事前に選択された閾値を超える値まで増加したと判断すると、タイマをリセットするよう構成され得る。
【0017】
水中衣服は、他の要素を備えることができる。たとえば、水中衣服はまた、制御デバイスに接続された出力デバイスと、制御デバイスに接続された入力デバイスとを備えることができる。制御デバイスは、入力デバイスを介してタイマをリセットするための入力が与えられない限り、出力デバイスを作動させて、今後膨張機構の膨張が起こることを示す少なくとも1つの警告を発するよう構成され得る。制御デバイスはまた、膨張機構の作動後に、無線通信で緊急信号を送信するよう構成され得る。
【0018】
いくつかの実施例では、膨張機構は、傾斜面で分割されたシリンダ/チューブと係合する、キャップ/ストッパ部品によって圧縮状態で保持される、ばねを備えることができる。コードは、シリンダの外側の周囲に巻き付けられ、シリンダを圧縮状態で保持することができる。コードを加熱及び切断し、これによりシリンダ/チューブが、シリンダ/チューブの圧縮状態から広がり、外方へ移動して、キャップ及びばねを解放することができるよう構成された、抵抗器。分割されたシリンダ/チューブは、シリンダ/チューブの圧縮状態と伸長状態との間を移動するときに、シリンダ/チューブの部分がヒンジを中心にして移動する、少なくとも1つのヒンジを備えることができる。抵抗器は、コードを溶融してコードを切断するよう構成され得る。コードの一部をシリンダ/チューブの周りに配置することができ、それによりコードは、抵抗器によって溶融されると、コードのさらなる切断のために、切断ワイヤと係合する。シリンダ/チューブは、ばねとキャップ/ストッパ部品との位置合わせの助けとなる、非円形の断面を有することができる。
【0019】
水中衣服本体は、様々なやり方で構造化され得る。たとえば、水中衣服本体は、ベスト、シャツ、又はジャケットとして構成され得る。
【0020】
水中衣服を膨張させる方法は、水中で水中衣服の一実施例を着用するステップを含むことができる。この方法の実施例はまた、制御デバイスが、少なくとも1つのセンサ要素によって、事前に選択された期間にわたって連続的に、本体を着用しているユーザの頭の少なくとも一部が水没していることを検出するステップと、制御デバイスが、ユーザの頭の少なくとも一部の水没を検出するステップに応答して、少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させるために、膨張機構を作動させるステップとを含むことができる。
【0021】
本発明のこうした諸目的、態様、及び利点並びに他の諸目的、態様、及び利点は、図面及び以下の、本発明の特定の例示的な実施例の詳細な説明を考慮して、より適切に理解されよう。
【0022】
水中安全衣服の例示的な実施例、溺れるのを回避するように自動膨張するための関連する装置、並びに装置を製造及び使用する方法の実施例が、添付の図面に示されている。図面で使用されている同様の参照番号は、同様の構成要素を識別することができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の例示的な実施例による、水中安全衣服の正面図である。
【
図3】
図1の水中安全衣服の、膨張した後の正面図である。
【
図4】
図1の水中安全衣服の、膨張機構及び起動機構の斜視図である。
【
図5】本発明の例示的な実施例による、水中安全衣服の膨張機構及び起動機構の斜視図である。
【
図6】本発明の例示的な実施例による、水中安全衣服の膨張機構の概略構成図である。
【
図7】本発明の例示的な実施例による、水中安全衣服の膨張機構の斜視図である。
【
図8】本発明の例示的な実施例による、水中安全衣服の膨張機構の斜視図である。
【
図9】本発明の例示的な実施例による、水中安全衣服の膨張機構の斜視図である。
【
図10】本発明の例示的な実施例による、水中安全衣服の背面図である。
【
図11】水中安全衣服(たとえば、
図1の水中安全衣服)の実施例のための、膨張機構と通信する、起動機構の例示的な実施例の断片的斜視図である。
【
図12】
図11に示されている起動機構の、別の断片的斜視図である。第1及び第2のセンサ要素121及び122は、第1のセンサ要素保持用開口部120p及び第2のセンサ要素保持部120qをよりよく示すために、
図12では削除されている。
【
図13】
図11~
図12に示されている起動機構の、機構の内部構成要素を示すために一部が切り取られている状態の、別の断片的斜視図である。
図13では、第1のセンサ要素121及び第2のセンサ要素122が、第1及び第2のセンサ要素保持用開口部120p及び120q内に示されている。
【
図14】機構の例示的なサイズを示す助けとなるように、10セント硬貨の隣に置かれた、
図11~
図13に示されている起動機構の斜視図である。
【
図15】水中安全衣服(たとえば、
図1の水中安全衣服)の実施例のための、膨張機構と通信する、別の例示的な起動機構の斜視図である。
【
図16】
図15に示されている起動機構の、別の斜視図である。
【
図17】起動機構が配置され得る例示的な場所を示す、人が着用している水中安全衣服の概略図である。
【
図18】膨張機構の作動を制御するために利用され得る、膨張機構の例示的な構成要素を示す、例示的な膨張機構の断片的斜視図である。
【
図19】
図18に示されている構成要素を使用することによる膨張機構の作動を示す、
図18に示されている膨張機構の概略図である。
【
図20】構成要素の例示的な状態を示す、
図18に示されている構成要素の概略図である。
【
図21】膨張機構の作動を阻止する係止状態の構成要素を示す、別の例示的な膨張機構の概略図である。
【
図22】付勢機構によって膨張機構の作動を可能にする解放状態の構成要素を示す、
図21に示されている例示的な膨張機構の概略図である。
【
図23】膨張機構の作動を制御するために利用され得る、膨張機構の例示的な構成要素を示し、構成要素は、膨張機構の作動を阻止する係止状態で示されている、例示的な膨張機構の断片的斜視図である。
【
図24】膨張機構の作動を可能にし得る、解放状態での膨張機構の作動を制御するために利用され得る、膨張機構の例示的な構成要素を示す、例示的な膨張機構の断片的斜視図である。
【
図25】膨張機構の作動を制御するために利用され得る、構成要素の配置を示し、構成要素は、膨張機構の作動を阻止する係止状態で示されている、例示的な膨張機構の概略図である。
【
図26】膨張機構の作動を制御するために利用され得る、構成要素の配置を示し、構成要素は、膨張機構の作動を阻止する係止状態で示されている、例示的な膨張機構の概略図である。
【
図27】膨張機構の作動を制御するために利用され得る、構成要素の配置を示し、構成要素は、膨張機構の作動を阻止する係止状態から膨張機構の作動を可能にする解放状態へ、調整されていることが示されている、例示的な膨張機構の概略図である。
【
図28】起動機構と、さらに膨張機構と通信可能に接続することができ、水中安全衣服(たとえば、
図1の水中安全衣服)の実施例に取付け可能な、例示的な制御デバイスの斜視図である。制御デバイスは、タイミング機構の例示的な実施例を実施することができる。
【
図29】内部構成要素(たとえば、プリント回路基板及び他のハードウェア要素など)をよりよく示すためにカバーが取り外された、
図28に示されている例示的な制御デバイスの斜視図である。
【
図30】電源を制御デバイス内に組み込み、それにより電源が、制御デバイス、起動機構、及び膨張機構に接続され、これらの要素に電力を供給することができる、例示的な制御デバイスの斜視図である。
【
図31】制御デバイス、起動機構、及び膨張機構に接続され、これらの要素に電力を供給することができる電源を、制御デバイス内に組み込む別の例示的な制御デバイスの概略図である。
【
図32】制御デバイスと接続可能であり、やはり水中安全衣服(たとえば、
図1の水中安全衣服)の実施例に取付け可能な、例示的な制御インタフェース・デバイスの斜視図である。
【
図33】水中安全衣服の実施例と併せて利用され得る例示的なプロセスを示す、例示的な流れ図である。
【
図34】ガス源に少なくとも1つの膨張可能チャンバを膨張させる、膨張機構の作動を制御するために利用され得る構成要素の配置を示す、例示的な膨張機構の概略図である。
【
図35】衣服の本体上の膨張可能チャンバの例示的な位置を示す、水中安全衣服の例示的な実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の例示的な実施例による
図1~
図2を参照すると、水中安全衣服10は、複数の膨張可能チャンバ14、膨張機構16、及び起動機構20を備える、衣服本体12を備える。各膨張可能チャンバ14は、衣服を着用する人が、その人が水中にいる可能性のある水域の水面まで押し上げられるように、各膨張可能チャンバに供給されているガスによって膨張し、衣服10をより浮力のある状態にすることができる、膨張可能浮袋として構成され得る。
【0025】
膨張機構16は、膨張可能チャンバ14に連結することができ、たとえば、
図3で分かるように、起動機構20が所定の期間水没したままとなった後に、膨張可能チャンバ14を膨張させるよう構成することができる。
【0026】
図示の実施例では、衣服本体12は、ベストとして構成されている。衣服本体12は、たとえば、ネック及び/又は腕のカラー、シャツ、ジャケット、ガードルなど、他の形態をとることができることが理解されよう。衣服本体12及び膨張可能チャンバ14は、一般的には、膨張後に所望の位置で、最も典型的には着用者の口と鼻とが水面から離れている状態で、着用者を支持するよう構成され得る。膨張可能チャンバ14の数、衣服10の本体12のこうしたチャンバの位置、及びこうしたチャンバのサイズは、様々なサイズの人々にとって十分な弾力性をもたらすよう構成され得る。たとえば、子供用サイズの小さな衣服は、1つの比較的小さい膨張可能チャンバ14、又は少数の比較的小さい膨張可能チャンバ14だけを備え、一方、身長183センチメートル(6フィート)を超える人、又は体重100キログラムを超える可能性のある人向けのサイズの本体12を備える衣服10は、はるかに大きいもう1つの膨張可能チャンバ14を備えることができる。
【0027】
衣服の一実施例は、たとえば、
図35に示されているように、衣服のネックの周りに配置される第1の中央膨張可能チャンバ14aを含む、非対称配置の膨張可能チャンバ14を備えることができる。第2の膨張可能チャンバ14b及び第3の膨張可能チャンバ14cは、衣服が着用されたときに人の肩があるだろう場所に隣接する、衣服の左右両側部に配置され得る。第2の膨張可能チャンバ14b及び第3の膨張可能チャンバ14cはそれぞれ、同じサイズであり、また、第1の中央膨張可能チャンバより小さくすることができる。他の実施例では、第2及び第3のチャンバ14b及び14cは、相異なるサイズであっても、又はほぼ同じサイズであってもよいと考えられる。他の実施例は、もちろん、1つ又は複数の膨張可能チャンバの他の配置を利用することができる(たとえば、第4の膨張可能チャンバ及び/又は第5の膨張可能チャンバを使用する、2つ以下の膨張可能チャンバを使用する、相異なる場所で単一の膨張可能チャンバを使用する、など)。
【0028】
いくつかの実施例では、膨張可能チャンバは、衣服の本体12のネックの周りに非対称に配置された膨張可能チャンバを含むことができる。少なくとも1つの膨張可能チャンバ14は、本体12のネックの両側に隣接して配置することができ(たとえば、左側部及び右側部)、また、衣服10が着用されたときに人の胸、腹、及び/又は背中に対応する本体12の部分に配置される、1つ又は複数の膨張可能チャンバがあり得る。
【0029】
膨張機構16及び起動機構20は、衣服本体12のネック22の周囲に配置され得る。膨張機構16及び/又は起動機構20はさらに(又は別法として)、他の場所(たとえば、ゴーグル、マスク、水泳用帽子など)に配置され得る。膨張機構16は、たとえば、それぞれの膨張可能チャンバ14内に供給されるガス源26(たとえば、第1の膨張可能チャンバ14内の第1のガス源26、第2の膨張可能チャンバ14内の第2のガス源など)を備えることができる。膨張可能チャンバ内にある、このように配置された膨張機構の一実例は、ガス源を備える膨張機構が
図10の膨張可能チャンバ14内にあることを示すために、破線で示されている。
【0030】
別の実例として、ガス源26は、起動機構20によって行われ得る膨張機構16の作動時に、そうしたチャンバを膨張させるガスを供給するために、少なくとも1本の導管15を介して1つ又は複数の膨張可能チャネルと流体連結され得る。少なくとも1つのガス源は、たとえば、膨張可能チャンバ14の外面に取り付けられ、ガス源の開口部がガス源から膨張可能チャンバ14内にガスを供給してチャンバを膨張させることができるように、膨張可能チャンバ14に取り付けられ得る。別の実例として、少なくとも1つのガス源26は、膨張機構の作動時に、ガス源からのガスが膨張可能チャンバ内に直接供給されるように、膨張可能チャンバ14内に又は膨張可能チャンバ14に接して配置され得る。
【0031】
さらに別の実例として、ガス源26を備える複数の膨張機構16があり得る。たとえば、
図1~
図2及び
図10に示されているように、少なくとも1つは、少なくとも1つの膨張可能チャンバ14内に取り付けるか又は配置することができ、少なくとも第2の膨張機構16は、導管15を介して他の膨張可能チャンバ14に連結することができる。導管15は、衣服本体に織り合わされるか、縫い合わされるか、留められるか、又は他の方法で組み込まれ得(たとえば、本体12に縫い付けられたか又は他の方法で形成された、ポケット内に延在するよう配置されるなど)、筐体24及び/又はガス源26から膨張可能チャンバ14へ延在する管又はダクトであり得る。
【0032】
センサ要素を備える起動機構20が着用者の首の近く又は首に接する配置は、ネック22の前部、側部、又は後部に配置された起動機構20のセンサ要素の水没が、概して、水中での着用者の潜在的に危険な向きを示すという点で、有利であり得ると考えられる。
【0033】
膨張機構16は、少なくともガス源26が内部に配置された筐体24を備える。電源30、タイマ32、及びトリガ34も、この筐体24内に配置され得るか、又は相異なる筐体内に配置されてもよく、事前に選択された期間に及ぶ水没事故を検出したときに、ガス源を開いて1つ又は複数の膨張可能チャンバ14を膨張させるために、ガス源と動作可能に連結され得る。事前に選択された期間は、2分、2分超、又は2分未満であり得る。いくつかの実施例では、事前に選択された期間は、10秒から6分、20秒から6分、20秒から5分、又は他の期間の範囲であり得る。たとえば、大半の商業的な実施例で利用される事前に選択された期間は、6分から、6分未満であるが0秒より長い時間までの範囲であり得ると考えられる。
【0034】
いくつかの実施例では、タイマ32の事前に選択された期間はまた、20秒から5分の範囲であり得る入力の選択肢の範囲から、ユーザが選択可能であるよう構成され得る。たとえば、ユーザは、ユーザ・インタフェース220を使用して、その人のニーズを最もよく満たすことができる、事前に選択された期間を選択するための入力を行うことができる。より上級の泳者又はサーファは、その人が水中を泳ぐことができる時間の長さを考慮して、人が水中を泳いでいる間の望ましからざる膨張を回避するよう、確実に膨張を遅らせるために、事前に選択された期間に、3分、4分、又は5分の期間を選択することができる。上級者より劣る泳者又は衣服を着用することがある子供の親は、より低い水泳スキル又は他の健康上の懸念を考慮して、はるかに短い期間を選択することができる。たとえば、子供用に、20秒、30秒、若しくは45秒の事前に選択された期間が利用され得るか、又は上級者より劣る泳者用に、1分若しくは2分以下の期間が選択され得る。
【0035】
ガス源26は、たとえば、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、空気、又は他のガス若しくはガス混合物などの、ガスの供給源であり得る。ガス源26は、たとえば、CO2、別のガス、又はガス混合物(たとえば、CO2、N2、及び酸素(O2)を有する空気)を保持する容器として構造化され得る。
【0036】
任意の好適なガス源及び対応するトリガが使用され得ることを理解されたい。ガス源26は、たとえば、1つ又は複数の圧縮ガス・シリンダを備えることができ、トリガは、シリンダを穿刺するか、さもなければシリンダを開口し、ガスが、ガス源26からチャンバ14に流れ込むことを可能にするよう機能する。別の実例として、ガス源26は、1つ又は複数の化学反応を使用して膨張ガスを発生させるガス発生器を備えることができ、トリガは、膨張可能チャンバを膨張させるガスを発生させるために、化学反応を開始させるよう機能する。
【0037】
電源30は、好ましくは、1つ又は複数の電池を備えている。いくつかの実施例では、電源30は、ただ1つの単4サイズの電池、ただ1つのコイン型電池、又はただ1つの他の種類の電池として構成され得る。他の実施例では、電源には、複数の電池(たとえば、複数の単3型電池、A型電池、単4型電池、単2型電池、コイン型電池、ボタン型電池など)が含まれ得る。
【0038】
筐体24は、好ましくは、水密であり、且つ/又は個々の内部電気構成要素は、水の侵入に対して十分に密封されている。さらに、膨張機構の様々な構成要素が、構成要素間に水密式接続が行われている状態で、様々な場所に分散され得る。
【0039】
タイマ32は、アナログ又はデジタル構成要素を使って実装され得る。いずれの場合でも、タイマ32は、膨張機構16及び衣服10の膨張をトリガする前に、所望の遅延に一致する所定の期間を測定するよう設定され得る。上記で論じられているように、所定の期間は、ユーザが選択することができ、ユーザの選択は、メモリに格納することができ、その結果、タイマは、水没事故の検出に応答してタイマが起動されると、ユーザが選択した期間を利用した。たとえば、30秒から60秒の範囲の所定の期間は、着用者が水中でかなりの時間を過ごすことができる十分な長さでありながら、着用者の空気源が確実に使い果たされていないようにするには十分な短さであるので、有利であると考えられる。本明細書で論じられているように、所定の期間は、タイマ32に恒久的に事前設定され得るか、又は膨張機構16は、着用者が、好ましくは事前設定範囲内で、所定の期間を修正するのを可能にすることができる。
【0040】
起動機構20は、絶縁されたリード36を介して電源30及びタイマ32に接続されている、起動回路として構成され得る。いくつかの実施例において、起動機構20は、制御デバイス190内に備えられ得る。リード36の末端40は、チャンバ42の内部に露出され、常開回路を形成するように離間されている。チャンバ42は、非導電性であってもよく、又は起動機構20、タイマ32、及び/又は膨張機構16の動作におけるエラーの発生を回避することができる、最小量の導電性を有するように設計されてもよい。たとえば、チャンバは、ポリマー材料(たとえば、プラスチック、研磨されたプラスチックなど)から構成される本体であり得る。チャンバ42の形状は、円筒形、管状、多角形、又は設計基準の特定のセットを満たすことができる他の形状であり得る。
【0041】
チャンバ42の外壁44は、外壁44に画定された複数の開口部46、又は外壁44に画定された少なくとも1つの開口部を有することができる。開口部46は、チャンバ42が水中に入れられ、水から取り出されると、水がチャンバ42内に自由に浸水し、チャンバ42から排出されることを可能にするサイズ及び形状であり得る。
図5に示されている実施例では、チャンバ42は、有利なことには、開放端、及び外壁44である周方向の側壁に複数の追加の開口部を有する、管状シリンダとして形成されている。
【0042】
当業者は、この開示の利益を享受した後、水中安全衣服10上に、非導電性チャンバ42を確実に、適切に動作させるよう配置される可能性がある、いくつかの有利な位置があることを理解するであろう。
図10に示されているように、水中安全衣服10は、ハイ・ネックの線上に非導電性チャンバ42を備えることができ、それにより、ユーザが、少なくともユーザの口及び鼻が水中にあるところまで沈まない限り、非導電性チャンバ42が、使用中に水で満たされないことを保証する。非導電性チャンバ42の位置に関する追加の非限定的な実例として、水中安全衣服10は、耳栓又は一対の付随するゴーグルの前部に、非導電性チャンバ42を備える可能性もある。
【0043】
チャンバ構成は、概ね、エアロックとウォーターロックとの両方が不完全な充填又は排水につながり、所望の膨張を妨げるか、又は望ましからざる膨張を引き起こすのを回避するよう構成され得る。好ましくは、衣服本体12に接続された起動機構では、リード36の末端40が、チャンバ42内で、一時的に水が入るのではなく、チャンバ42の充填レベルが着用者の水没した状態を示す場合にだけ、末端40間の回路が閉じられるように、向きを合わせられる。
【0044】
運用時に、着用者は、衣服本体12を身に着ける。次いで、着用者は水に入る。着用者が、チャンバ42を満たし、末端40間の接続を閉じるのに十分なほど水に入ると、タイマ32は、所定の期間のカウント・ダウンを開始する。末端間の回路が閉じられたままで所定の期間に達すると、トリガ34がガス源26を起動し、膨張可能チャンバ14が自動的に膨張する。チャンバ42が排水し、回路が末端40間で開くと、タイマはリセットされ、チャンバの次の浸水の準備ができた状態で保持される。
【0045】
本発明の少なくとも1つの実施例による膨張機構16は、非導電性チャンバ42内の流体の電気抵抗値を測定することができる抵抗センサ51を備えることができる。抵抗センサ51は、水没状態を検出するよう構成された、少なくとも1つのセンサ要素を備えることができる。好ましくは、衣服本体12に接続された起動機構20では、抵抗センサ51が、チャンバ42内で、センサ51がチャンバ42内の流体の電気抵抗値を測定することができるように、向きを合わせられる。当業者は、この開示の利益を享受した後、膨張機構の非導電性チャンバ42内で向きを合わせられた抵抗センサ51が、チャンバ42を満たす流体が空気である場合、高レベルの抵抗値を測定することを認識されよう。
【0046】
運用時に、着用者が、チャンバ42を水で満たすほど十分に水に入ると、抵抗センサ51は、チャンバ42内の流体の抵抗値の急速な減少を測定することができる。水がチャンバ42から流出し、空気に置き換わると、抵抗センサ51は、チャンバ42内の流体の抵抗値の急激な増加を測定することになる。抵抗センサ51で、チャンバ42内の流体の抵抗値の急激な減少が検出されると、タイマ32をトリガすることができ、急激な増加が検出されると、タイマ32をリセットすることができる。
【0047】
図11~
図16を参照すると、起動機構20の例示的な実施例は、水中衣服の本体12とは反対側に面する外面120aと、水中衣服の本体12に面する内面120bとを有する、筐体120を備えることができる。いくつかの実施例では、内面120bは、水中衣服の本体12に直接取り付けられ、直接接触することができる。たとえば、筐体120は、筐体120が縫い合わされ、且つ/又は他の方法(たとえば、筐体120を、開口部120gを通して本体12に縛り付けるために配置されたストラップ、筐体120を、本体に固定するためのリベット、ボタン、留め具、U字型留め金など、それらの組合せ、など)で水中衣服の本体に固定され得るように、筐体に画定された少なくとも1つの取付け用開口部120gを有することができ、それにより内面が、水中衣服の本体12に接触する。
【0048】
筐体120は、検出本体120s、及びリード線36がセンサ要素(たとえば、第1のセンサ要素121及び第2のセンサ要素122)間を通過することができる、導管120cを画定することができる。導管120cは、筐体120の検出本体120s部分に画定された第1及び第2のセンサ要素保持用開口部120p及び120qと連通することができ、それにより、第1のリード線36の末端は、第1のセンサ要素121に接続することができ、第2のリード線36の末端は、第2のセンサ要素122に取り付けることができる。センサ要素保持用開口部120p及び120qは、それぞれが、少なくとも1つのチャンバ42と連通するように画定され得る。たとえば、第1のセンサ要素保持用開口部120pは、筐体の検出本体120sに画定された第1のチャンバ120eと連通することができ、第2のセンサ保持用開口部120qは、センサ保持本体120sの第2のチャンバ120fと連通することができる。各センサ保持用開口部120p、120qは、水がチャンバ内に満たされ、さらにチャンバから排出され得るように、上側開放端と下側開放端との間を垂直に延在するよう配置され得る。第1のセンサ要素121は、第1のセンサ要素121の少なくとも端部が第1のチャンバ120e内にあるように、第1のセンサ要素保持用開口部120p内に配置され得る。第2のセンサ要素122は、第2のセンサ要素122の少なくとも端部が第2のチャンバ120f内にあるように、第2のセンサ要素保持用開口部120q内に配置され得る。いくつかの実施例では、第1及び第2のチャンバ120e及び120fは、チャンバ間にある少なくとも1つの壁120wによって分離された別個のチャンバであり得る。壁120wは、センサ検出本体120sによって画定されるか、又はチャンバを分離するためにセンサ検出本体120sに取り付けられた、別個の構成要素であり得る。
【0049】
いくつかの実施例では、特定のセンサ要素にエラーがある場合に、冗長構成を容易にするセンサ要素の配置があり得る。たとえば、第1のチャンバ120e内に2つの第1のセンサ要素121があってもよく、第2のチャンバ120f内に2つの第2のセンサ要素122があってもよい。各第1のセンサ要素は、第1のチャンバ120eと連通しているそれぞれの第1のセンサ保持用開口部120p内にあってもよく、各第2のセンサ要素122は、第2のチャンバ120fと連通しているそれぞれの第2のセンサ保持用開口部120q内にあってもよい。さらに他の実施例では、さらに一層の冗長構成を設けるために、各チャンバ内に3つ以上のセンサ要素があってもよい。
【0050】
冗長なセンサ要素は、いくつかの実施例では利用されない場合があることを理解されたい。たとえば、いくつかの実施例では、第1及び第2のチャンバ120e及び120f内に配置された、単一の第1のセンサ要素121及び単一の第2のセンサ要素122だけを使用することができる。別の実例として、他の実施例では、チャンバ42内の単一のセンサ要素だけを使用することができる。
【0051】
壁120wは、筐体120が水中に浸かっていないときに水滴がセンサ要素121及び122を誤って橋渡しするのを防ぐことができる、第1及び第2のチャンバ120e及び120fの仕切りとして機能するよう配置され得る。かかる誤って橋渡しする事象は、筐体120が水の外に出て、各チャンバ内の水がチャンバから排出された後、センサ要素と接触したまま残った水の小滴に起因して発生する。筐体120が研磨されることが、具体的には、第1及び第2のチャンバ120e及び120f(並びに/又はチャンバ42)の表面領域を画定する部分が、排水後も小滴が残る場合に、液体水が効果的に排出され、玉を形成すること(beading)を容易にする助けとなるよう研磨されることが、好適であり得る。これは、センサ要素を橋渡しして偽陽性の検出をもたらす可能性がある、水の小滴が玉を形成せずに広がるのを回避する助けとなり得る。多くの場合、液体水がチャンバ(たとえば120e、120f、及び/又は42)からほとんど排出された後、センサ要素のすぐ隣にある開口部又はチャンバ内に、水が残る可能性がある。水がチャンバに沿って薄い層状に広がるのを防ぐために、研磨された表面によって実現される、水の小滴が玉を形成するのを容易にすることが、この問題の、偽陽性の状態を回避する助けとなり得る。したがって、筐体120によって画定されるチャンバの表面領域は、液体水が玉を形成することを容易にする、事前に選択された表面の滑らかさ(又は粗さ)を実現するために、研磨されるか又はその他の方法で形成され得る。加えて、ポリプロピレン、アセタール、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの、低表面エネルギー材料を使用することが、水が玉を形成し、水をはじくのを容易にする助けとなり得る。
【0052】
第1及び第2のセンサ要素121及び122は、少なくとも1つの膨張機構16を起動するのに使用する、水没状態を検出するよう構成され得る、起動機構20の起動回路の一部であり得る。各センサ要素は、たとえば、金属ピン(たとえば、ステンレス鋼ロッド、ステンレス鋼ピン、金属体など)であり得る。各センサ要素は、少なくとも1つのチャンバ42、120e、及び/若しくは120f内の、又はチャンバ120e及び120fを横切る、抵抗の測定を容易にするよう構成され得る。筐体120は、導電性センサ要素の機能が、容易にチャンバ内の電流に対する抵抗値を測定する助けとなるように、比較的非導電性である低表面エネルギーのプラスチック材料で構成され得る。この測定は、センサ要素121、122と、センサ要素121及び122が接続されているリード線36に接続されている制御デバイス190との間を流れる電流を使って実現可能であり、電流又は電圧、並びにセンサ要素が配置されているチャンバが、液体水で満たされているか又は水が空になっている(たとえば、液体水がチャンバから排出され、チャンバが、液体水ではなく空気で満たされている)ことによって生じ得る抵抗値の変化に起因して、電流及び/又は電圧に対する抵抗値がどれほど変化するかを測定する。
【0053】
図15~
図16に示されている実施例などの他の実施例では、第1及び第2のチャンバ120e及び120fは、単一のチャンバ120zとして構造化されている、より大きなチャンバ42のセグメントであり得る。他の実施例では、第1及び第2のチャンバ120e及び120fはそれぞれ、水が通過できる別個のチャンバであり得、その結果、センサ要素は、チャンバ内の水、及び/又はチャンバが水で満たされるか若しくは水が空になる速度を、検出することができる(たとえば、
図11~
図14の実施例でのように)。
【0054】
筐体120は、センサ要素121及び122が、筐体120内に位置するよう配置することができ、その結果センサ要素121及び122は、センサ要素121及び122の長手方向に沿って水平に(たとえば、少なくとも1つのチャンバ(42、120e、及び/若しくは120f)の長手方向に垂直に)延在するか、又はセンサ要素121及び122の長手方向に沿って、チャンバ(42、120e、及び/若しくは120f)の長手方向に対して横方向に延在することができる。かかる配置により、水で満たされ、また水を排出するよう使用されるチャンバが、危険な水没状態を検出するために、完全に垂直又は実質的に垂直に延在することが可能となり得(たとえば、完全な垂直の±5°以内、又は完全な垂直の±10°以内)、その結果、チャンバは、膨張機構16の望ましからざる作動をもたらすことになる偽陽性の検出を回避するために、チャンバ内に満たされた水を迅速に空にすることができる。
【0055】
衣服又は衣服を着用している人に取り付けるために、起動機構20用の、ただ1つの筐体120があり得る。別法として、様々な場所(たとえば、衣服のネックの左側部及び右側部、衣服のネックの左側部及び右側部、並びに衣服のネックの傍らの、衣服の後部及び/又は前部など)に配置された、複数の筐体120があってもよい。各筐体120は、水平方向に延在し、筐体120のチャンバ内に遠位端を有する、第1及び第2のセンサ要素121、122を備えることができる。各センサ要素の反対側の端部は、センサ要素と制御デバイス190との間に延在するリード線36に接続され得る。
【0056】
筐体120の実施例に関して、ここで好ましいサイズは、
図14から理解することができ、いくつかの実施例では、米国通貨の10セント硬貨の表面領域が、筐体120よりもわずかに大きくなり得ることを示している。筐体120の他の実施例は、設計基準の特定のセットを満たすために、より大きくても又はさらに小さくてもよい。
【0057】
第1及び第2のセンサ要素121及び122を備える起動機構120の筐体120の好ましい位置決めは、
図17から理解され得る。具体的には、最も好ましい位置は、衣服を着用している人の首の比較的高い位置にある、衣服のネックの左側部及び/又は右側部であり得る。この位置は、衣服10の本体12を着用している人の頬骨及び/又は耳の近くであり得る。
【0058】
実施された研究に基づいて、センサ要素を備える筐体120がより低いところに配置された場合、膨張可能空隙の望ましからざる膨張につながる可能性がある多くの偽陽性をもたらし得ると判断した。筐体120が、境界線上にあるか又は水位そのものを上下に出入りして揺れるように配置された場合、筐体120内のセンサ要素は、タイマ34が、膨張機構16をトリガするのに必要なタイマ34のタイミング機能を完了することができるほど、十分長く連続して浸からない可能性がある。筐体120を首の左側部及び/又は右側部の、人の頬骨及び/又は耳の近くに配置することが、人が、うつ伏せになって呼吸することができないか、又は波の力若しくは他の理由により、より長期間にわたって完全に浸かっており、かかる泳者が水面に到達するか又は水面の上に留まることが困難である場合に、センサ要素が筐体120のチャンバを通る液体水中に浸かることになるのを確実にする助けになると判断した。筐体120のかかる配置はまた、ユーザが安全に仰向けに浮いているか、さもなければ水中で上体をそらしているときに、筐体が、水から出ているか又は水面近くにある可能性を高める助けとなり得る。
【0059】
以下の表1は、センサ要素を備える筐体120の、様々な位置での試験結果をさらに示している。
【表1】
【0060】
また、筐体120を首の左側部及び/又は右側部に配置することにより、筐体を、水域の周囲又は水域内で衣服10の本体12を着用している活発な人が、サーフボード上で漕ぐ、泳ぐ、立ち泳ぎする、肩に物を担いで運ぶなどの際の、腕によって妨げられるところからどけて配置することができる。
【0061】
筐体の配置、さらに筐体120のサイズによって得られる副次的な好ましい特徴は、比較的漠然としたものであり得、たとえば、所望の美的効果を実現するように、いくらか又は完全に視界から隠れている。美的効果は、衣服10の黒色生地の本体12と一致し得る黒色、又は衣服10の本体12の白色に一致する白色のプラスチックでできている、筐体120と一致する衣服の白色の本体12など、筐体120を特定の不透明な色に着色することによって、さらに実現され得る。筐体120を少なくとも部分的に隠す、又は筐体120の視認性を低下させる、かかる視覚効果は、透明なプラスチックでできている筐体によって実現され得る。
【0062】
この好ましい所望の美的効果はまた、筐体120の衣服10の本体への固定部を、隠すか、覆うか、又は他の方法で見えにくくすることができる(たとえば、本体の一部を縫い合せるか又は輪で結ぶために、開口部120gを使用する、したがって、固定に使用するために、フランジ要素を使用する、など)、筐体120の構造的構成によって促進され得る。
【0063】
起動機構20は、タイマ32を備える制御デバイス190に接続され得る。制御デバイス190はまた、膨張機構16に接続することができ、それにより、閾値期間以上となる危険な水没状態を検出すると、膨張機構がトリガされ得る。制御デバイス190は、プロセッサに接続された非一時的メモリ、及び制御デバイス190を膨張機構16に接続するインタフェースなどの他のハードウェアと、リード線36を介した、筐体120の第1及び第2のセンサ要素121、122と、電源から電力を受け取って、制御デバイス190の動作、絶縁導管36a内のリード線36を介した制御デバイス190のセンサ要素との通信及びセンサ要素の使用、膨張機構16を作動させるための膨張機構16に、電力を供給する電源30とを備える、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)を備えることができる。
【0064】
制御デバイス190の実施例の実例は、
図28~
図31から理解され得る。制御デバイス190は、水密式である筐体を備えることができる。筐体は、蓋が閉じられたときには、筐体の内部が水密に密封された状態を維持するが、蓋が開かれたときには、制御デバイス190のPCB及び他のハードウェアへのアクセスを設けるために、開閉できる可動蓋を備えることができる。
【0065】
制御デバイス190のメモリは、PCBのプロセッサによって実行される、メモリ上に格納された少なくとも1つのアプリケーションを有することができる。アプリケーションは、制御デバイスが、水没状態が事前に選択された期間に連続して存在する状態で維持されているかどうかを判断すべく、タイマの使用を開始して水没状態を検出するために、リード線36を介して得られた第1及び第2のセンサ要素121、122からの抵抗測定値、及び液体水又は液体の塩水で満たされているのに比べて、空気で満たされた筐体120のチャンバの抵抗値を比較することによって測定され得る抵抗値の差を、使用する方法を定義することができる。その連続的な水没状態が検出されると、制御デバイス190は、膨張機構16と通信して、膨張可能チャンバ14の膨張を作動させることができ、その結果、水中衣服の本体12は、衣服10を着用している人が、その人が入っている水域の上部に運ばれ、溺れるのを回避するという結果をもたらすことになる、高い浮力を有する。
【0066】
制御デバイスは、偽陽性の検出を回避する助けとなるように、制御デバイス190が、チャンバ(42、102e、102fなど)が水没しているか又は乾いているかを判断するのに使用される、抵抗値の閾値を動的に更新するように、プロセッサ及び/又はPCBに取り付けられたメモリに格納されたアプリケーションによって構成され得る。制御デバイス190は、初期の第1の閾値(たとえば、最初の水没)を下回る抵抗値を検出すると、その値を使用して、新しい第2の閾値(たとえば、第1の閾値よりも低い又は高い閾値)を設定することができる。第2の抵抗値の閾値について、連続的に更新される移動平均、最初の水没が検出された後に最初に設定され、次いでセッションの残りの期間保持される平均であり得るか、又は制御デバイス190は、検出された最小抵抗値(水没を示す値である必要がある)を参照することができる。第2の閾値及び/又は第1の閾値は、小さな変動を許容する若干の安全係数を加えるが、水没のために排水されたチャンバ内に残っている小滴の小さな経路又は軽い湿りを間違えるほどの高さではない、平均値又は最小値を超える所定の割合又は倍数であり得る。
【0067】
最初の水没状態が検出された後、制御デバイスによってタイマ32が開始されることを理解されたい。事前に選択された期間までカウントするタイマ32の継続時間全体にわたって水没状態が存在していると、制御デバイス190は、水没状態が危険であると判断し、したがって膨張を作動させるために、信号を膨張機構16に送信するよう構成され得る。タイマ32が事前に選択された期間に達する前に水没状態がもはや存在していないと判断されると、制御デバイス190は、状態が危険ではなかったと判断し、その後の使用のためにタイマ32を0秒にリセットすることができる。
【0068】
いくつかの実施例では、制御デバイス190はまた、ボタン220a及び/又は他の入力機構(たとえば、防水タッチ・スクリーン・ディスプレイ、キー・パッドなど)を備える制御デバイスとして構成され得る、ユーザ・インタフェース220に接続され得る。ユーザ・インタフェースは、制御デバイス190が水没状態を検出したことを示すために、衣服10の本体12を着用している人に振動及び/又は音を発するようトリガされ得る、振動機構又は他の出力デバイスも備えることができる。この出力は、タイマが作動し、事前に選択された閾値までカウントしている間に発生する場合がある。出力デバイスは、人に対して信号を出力することができ、それにより人は、ボタン220aを使用して手動でタイマをリセットし、人が危険にさらされていないことを示すことができる。これにより、人が、制御デバイス190による偽陽性の検出によって発生する可能性がある、望ましからざる膨張の事象を回避することが可能となり得る。
【0069】
制御デバイス190は、タイマ32の所定の期間が、PCBのメモリに格納されるよう構成され得る。次いでタイマは、PCBのメモリに格納されている事前に選択された期間まで、カウント・ダウン又はカウント・アップすることができる。制御デバイス190は、メモリに格納可能な期間が、多くの相異なる選択肢(たとえば、20秒、30秒、40秒、45秒、1分、2分、5分など)のうちの1つを選択したユーザ入力によって、選択肢の許容範囲内で変更され得るか、又は許容範囲(たとえば、10秒から5分若しくは15秒から6分、6分未満で5秒を超える時間など)内の、任意の期間を選択するための入力が与えられることを可能にし得るように、構成され得る。いくつかの実施例では、制御デバイス190は、過度に危険であることを表す期間(たとえば、6分を超える期間又は7分を超える期間)を超過する、タイマの期間設定を防止するよう構成され得る。制御デバイス190はまた、この期間の意図しない変更を回避し、且つ/又は小さな子供がタイマ設定を、親又は保護者が安全でないと見なす可能性がある設定に変更するのを防ぐために、タイマ32の事前に選択された期間を変更するための、パスワード又は他の許可検証入力のエントリを要求するよう構成され得る。
【0070】
タイマ32が閾値までカウントしている間にボタン220aが押下され、出力デバイスがボタン220a押下の警告を発したことに応答して、タイマ32は、制御デバイスによってリセットされ得る。次いでタイマ32は、水没状態が依然として検出される場合、直ちに再開され得るか、又はタイマは、人がボタン220aを押下して、危険にさらされておらず、膨張機構16を作動させたくないことを示した後も、水没状態が依然として検出される場合、カウントする前に一時停止期間にわたって、一時停止され得る。タイマが閾値までカウントを開始するたびに、又は閾値に達するある一定の時間(たとえば、閾値の10秒又は15秒以内である警告時間)内になるたびに、制御デバイス190は、出力デバイスを作動させて、可聴及び/又は触知できる警告をユーザに与えることができる。
【0071】
制御デバイス190はまた、他のセンサに接続され、水没状態を検出する際に使用するための、且つ/又は膨張機構16が作動される前にカウントされるべき、タイマ32の事前に選択された期間を調整するための、追加データを受信することができる。かかるセンサには、加速度計、圧力センサ、及び/又は温度センサが含まれ得る。かかるセンサは、衣服の本体12又は筐体120に取り付けられ、少なくとも1本のワイヤ、リード線、又は他のデータ通信伝送接続を介して、制御デバイスに通信可能に接続され得る。
【0072】
いくつかの実施例では、制御デバイス190は、加速度計のデータを利用して、かなりの衝撃があったという判断に応答して、タイマ32の期間を調整するよう構成され得る(たとえば、加速度計のデータは、事前に選択された衝撃の閾値を超える、人の非常に速い動きを示す)。制御デバイス190はまた、加速度計のデータから判断されたユーザの向きに基づいて、タイマの長さを調整するよう構成され得る。たとえば、制御デバイス190は、人が水中に水平に置かれていると判断したことに応答して、又は衣服10が事前に選択された立ち泳ぎの閾値を超える、十分なペースで動いていないと判断したことに応答して、タイマ32の期間を短縮することができる。
【0073】
制御デバイス190は、圧力センサのデータを利用するよう構成することができ、その結果、タイマは、衣服が水面下のどれほど深くにあり得るかを考慮するよう調整される。ユーザが膨張に応じて水の上に上がるのに、どれほど時間がかかる可能性があるかを考慮する助けとなるように、この時間の短縮を使用することができる。圧力センサのデータはまた、制御デバイスによって、タイマ期間を評価するのに使用するように、衣服が水面に向かって移動しているか、又は水面よりさらに下に沈んでいるかを判断するために、また衣服が水面に向かって上昇していると検出されたので(たとえば、圧力の低下が検出されたため)、タイマ期間を長くする必要があるか、又は衣服が水面下でより深く移動していると検出されたので(たとえば、圧力の上昇が検出されたため)、タイマ期間を短くする必要があるかを判断するために、使用され得る。
【0074】
制御デバイス190はまた、温度センサ(たとえば、熱電対、温度計など)からの温度データを利用するよう構成され得る。たとえば、温度が温度閾値を下回っている場合、制御デバイスは、水が冷たいため、タイマ期間を短縮するよう構成され得る。
【0075】
制御デバイス190はまた、位置センサ(たとえば、GPSセンサ)に接続され得るか、又は位置データを取得するために、無線ネットワークのアクセス・ポイント信号から位置データを取得することができる。制御デバイス190は、位置データを利用してタイマ期間を調整するよう構成され得る。たとえば、制御デバイス190は、ユーザが特定の場所(たとえば、無線アクセス・ポイント、水域の識別された海岸線など)からの、事前に選択された安全区域の距離を超える距離を移動したと判断すると、期間を短縮するよう構成され得る。
【0076】
制御デバイス190はまた、スイミング・プール、湖、又は他の水泳領域の近くにいる監視員、成人、又は他の人が聞くことができる可聴信号が発せられ、膨張機構16が作動されたか、又は作動されようとしている場合の可聴警報を与えるように、信号を出力デバイスに送信するよう構成され得る。たとえば、出力デバイスは、可聴警告に加えて、助けを必要としている可能性がある、衣服10を着用している人を、より速くより簡単に識別して、その人をより容易に探し出して救助するよう試みるために、光又は点滅光を発するよう構成され得る。
【0077】
ユーザ・インタフェース220はまた、制御デバイス190に通信可能に接続され、ユーザが、制御デバイス190に入力し、且つ/又は制御デバイス190からの出力を受信することを可能にすることができる。ユーザ・インタフェース220は、たとえば、制御デバイス190、起動機構20、及び膨張機構16が、衣服10が水中で使用される必要があるときは、オンにすることができ、使用される必要がないときは、電池の電力を節約するためにオフにすることができるように、ユーザがボタン220aを押下して電源30をオン又はオフにすることを可能にするよう構成され得る。ユーザ・インタフェース220はまた、電源30の電力レベルの状況を示し、さらに使用する前に電池を交換する必要があるかどうかなどを示すことができる、少なくとも1つの出力デバイスを備えることができる。ユーザ・インタフェースはまた、制御デバイスが、制御デバイス190のメモリに格納されたアプリケーションで定義されている、制御デバイスの診断機能によって検出され得る他のデータ(たとえば、修理を必要とする可能性がある、膨張機構又はガス源などで検出された問題など)を、ユーザに提示するために利用され得る。
【0078】
ユーザ・インタフェース220は、たとえば、システム内のどこかで、連続性がない又は短絡しているなど、ある種の障害がある場合、エラー又は障害ライトが点灯され得るように構成され、障害ライトが点灯している原因が解決されるまで、水中安全のために、衣服10が使用されるべきではないことを示すことができる。
【0079】
ユーザ・インタフェース220は、可変色LEDをオンにする、システム電圧をチェックするために押下され得るボタン220a又はスイッチを備えることができ、このLEDは、許容電圧では緑、限界電圧では橙又は黄、許容できない電圧では赤を示す。ユーザ・インタフェースに、膨張機構16を電気的に作動させるために(たとえば、ユーザが、膨張機構を手動で起動して膨張可能チャンバ14を充填するために、トリガ34に連結された手動式引き綱を引くだけの十分な体力がない場合)、入力デバイスを使用して手動で膨張機構を起動する、起動スイッチも設けられ得る。水中安全デバイスを着用している人を助ける友人又は救助隊員も、この機能を利用して、膨張機構をすばやく簡単に起動することができる。
【0080】
制御デバイス190はまた、様々なシステム用の主電源スイッチ及び電圧インジケータも備えることができる(たとえば、トリガ34に電力を供給する電池及び/又は制御デバイス190に電力を供給する電池)。制御デバイス190はまた、ある期間にわたってオンのままにされており、活動状態での使用がないことが加速度計又は他の手段によって検出される場合に、制御デバイス190用電池の電力を保存するために自動的に発動され得る、スリープ機能を有するよう構成され得る。主電源スイッチも、ユーザ・インタフェース220上に配置され得る。
【0081】
いくつかの実施例では、制御デバイス190は、設定された長さの非活動状態の後に、制御デバイス190自体を遮断するよう構成された回路を備えることができる。かかる制御デバイス190は、第1のセンサ要素121及び/又は第2のセンサ要素122に接続された「ウェイクアップ」回路も備えることができる。水が、少なくとも1つのチャンバ42を満たす水を介して、センサ要素を通る連続性によって回路を完成させると、電源投入するための信号がシステムにもたらされ得る。その最初のウェイクアップは、抵抗値を感知できない可能性があるが、制御デバイス及び膨張機構16を完全に電力オンにするための、水/湿り/伝導性の存在を単に検出することはできる。制御デバイス190が完全に電力オンされた後、制御デバイス190は、抵抗値測定回路によって抵抗値を測定し、抵抗値が第1の閾値以下であることを検出すると、本明細書で論じられているように、その後の膨張機構16の作動のためにタイマを作動させることができる。
【0082】
いくつかの実施例では、制御デバイス190は、トランシーバ、又は他の要素と無線で通信するための他の無線通信トランシーバを備えることができる。制御デバイス190は、たとえば、衣服の膨張機構が作動されたこと、及びそのデバイスのユーザが医療処置を必要とする可能性があることを示すために、制御デバイス190が、近くにいる可能性のある他の人に警告を伝送することを可能にし得る、少なくとも1つのトランシーバ又は送信機を備えることができる。かかる通信部は、ブルートゥース(登録商標)型トランシーバ、無線ネットワーク・トランシーバ、無電トランシーバ、又は近距離無線通信トランシーバを備える任意の電子デバイスが、かかる通信を受信できるように作製され得る。
【0083】
たとえば、制御デバイス190は、アプリの有無にかかわらず、スマート・フォンへブルートゥース(登録商標)信号を発するよう構成され得るか、或いは別の無線信号が、送信機から近傍にある相異なるデバイスに送信され得るか、又はアレクサ若しくは他の家庭用ベースのハブなどと通信するWIFIネットワークと組み合わされ得る。これは、具体的には、WIFIネットワークが到達範囲内にあるスイミング・プール、又は衣服10を着用しているユーザの範囲内にWIFIネットワークを備えることができる、ボートの近くでの泳ぎに適用可能であり得る。
【0084】
制御デバイス190は、搭載された受信機を使用してGPS衛星と係合し、緯度及び経度座標を生成し、米国沿岸警備隊(USCG:U.S.Coast Guard)へのVHF DSC(超短波デジタル選択呼出:Very High Frequency Digital Selective Calling)を使って、制御デバイスの位置を沿岸警備隊に送信する回路を備えることもできる。アンテナは、衣服の本体上に配置することができ、かかるデータ送信を容易にするために、制御デバイス190に接続されている。いくつかの実施例では、アンテナは、衣服が着用されたときにアンテナが人の肩の上にくるように、衣服の本体12上に位置するよう配置され得る。アンテナは、人が、アンテナを伸ばして水面の上での送信を向上させることができるように、伸縮式アンテナとして構成され得る。少なくとも1つの発光デバイスが、やはりアンテナに取り付けられ得る(たとえば、アンテナの末端)。発光デバイスは、制御デバイス190が危険な水没状態を検出することに応答して、水位の視認性をより高めるために、発光デバイスが特定の事前に選択されたパターンで点滅又は他の方法で点灯するように、制御デバイス190に接続されるか、又は他の方法で構成され得る。
【0085】
別の実例として、一連の又は一群の安全衣服10などがユーザのグループによって着用されるとき、安全衣服10は、安全衣服10の制御デバイス190の無線トランシーバを介して互いに通信するよう構成され得る。仲間の泳者は、次いで、膨張を警告する自身のバイブレータのパターンとは異なる、パルスの特定の振動又はパルスの何らかの特定のパターンで通知され得る。仲間、友人、親、又は監視員は、次いで、助けが必要な可能性がある、問題を抱えていることがわかった人を探し始めることができる。このような早期の警告は、時間が非常に重要になる可能性があるので、人々を救うか、又は水中活動におけるより深刻な問題のリスクを低減する助けとなり得る。
【0086】
制御デバイス190は、位置検出機構(たとえば、全地球測位システム要素など)を備えることができ、制御デバイス190の場所を検出し、衣服10を着用している人が、さらに医療処置を必要とする可能性があることを示す送信に、制御デバイス190の場所を含めるために使用され得ることが意図されている。これは、緊急時に他の人が、衣服10を着用している人を見つけて助けるのに役立ち得る。
【0087】
制御デバイス190は、電源30の電池電圧をチェックして、数時間動作するのに十分な電圧であることを確認するよう構成された回路を備えることができ、トリガ34の起動機構(たとえば、溶融ワイヤ、トリガ34のアクチュエータ用電源など)の連続性をチェックすることもできる。制御デバイス190は、比較的短く、非常に低いアンペア数の信号を送信して、連続性をチェックし、トリガ34が起動可能であることを確認するよう構成され得る。十分に短く、十分に低いアンペア数の信号は、トリガ34を作動させる(たとえば、コード71を溶融するか、又は他の方法で破断して、コードをぐんなりした位置に移動させる、モータ84を作動させる、など)には不十分なはずである。このチェックは、ユーザが入力デバイス(ボタン220aなど)を使って開始することも、定期的に自動で実行することもできる。
【0088】
実施例で利用され得る例示的な膨張機構16は、
図4~
図10及び
図18~
図27から最もよく理解され得る。たとえば、膨張機構16は、トリガ34に連結されたガス源26を備えることができる。トリガ34は、制御デバイス190からの信号又は他の通信に応答して、トリガが作動され、ガス源26が連結されている膨張可能チャンバ14を膨張させるためにガス源26を開くことができるように、制御デバイス190に接続され得る。ガス源26は、チャンバ内に配置されることによって、又は導管を介して膨張可能チャンバ14に連結されることによって、膨張可能チャンバに連結することができ、その結果、ガス源が開かれると、ガス源26からのガスが膨張可能チャンバ内に供給され、チャンバを膨張させ、ユーザが、水の上により容易に浮き、溺れるのを回避することができるように、衣服の本体12の浮力を高める。
【0089】
いくつかの実施例では、トリガ34は、ぴんと張った位置とぐんなりした位置との間で使い捨ての、第1の端部72と第2の端部73とを有するコード71、並びに格納方向と伸長方向との間で使い捨ての、ばね74を内蔵することができる。
図7に示されているように、コード71は、ぴんと張った位置にあるとき、ばね74を格納方向に圧縮することができる。コード71の第1及び第2の端部72、73の少なくとも一方は、ガス源26を穿刺して、閉じられたガス源26を開くよう設計及び構成された、穿刺ピン75を備えている。
図7及び
図18~
図20にさらに示されているように、ぴんと張った位置にあるとき、コード71は、ばね74を圧縮し、穿刺ピン75をガス源26から離れさせ、ガス源26を閉じられた状態で維持する。
【0090】
トリガ34はまた、コード71をぴんと張った位置とぐんなりした位置との間で移動させるよう設計及び構成された、抵抗器76も備えることができる。たとえば、抵抗器76は、電流を受け取ることができ、その結果、制御デバイス190が、衣服10を着用しているユーザが過度に長い間水中にいると判断したときに、抵抗器76が加熱してコード71を燃焼させる。抵抗器76によってもたらされるコードの燃焼は、コード71の燃焼によってコード71が破断された後、コードがぴんと張った位置からぐんなりした位置に移動するように、ぴんと張ったコードを切断するという結果をもたらし得る。他の実施例では、コード71は、トリガ34及び/又は制御デバイス190によって作動する、剪断機構又は他の種類の切断デバイス(たとえば、コード71を切断するよう構成されたモータ制御式機械的切断デバイスなど)を使って、切断することができる。
【0091】
他の実施例では、トリガ34は、中央開口部130aを有するよう構成されたキャリッジ130を備えることができ、その結果、キャリッジ130の本体は、ばね74を備える付勢機構140の端部150と係合し、膨張用ガス源を開くために穿刺ピン75をガス源26へ打ち込む、ばね74の付勢力を抑制することができる。いくつかの実施例では、キャリッジ130は、カートリッジ式で構成され得る。
【0092】
コード71は、キャリッジ130の周囲に延在し、コードをぴんと張った位置に維持することができるので、キャリッジは、圧縮されて、ばね74を備える付勢機構140の端部150に接触して係合し、ばね74の伸長を防止する(たとえば、ばね74を圧縮位置に保持する)。制御デバイス190からの信号に応答して、トリガ34は、コード71を切断するために、キャリッジ130に取り付けられた抵抗器76を加熱し、それによりコード71を破断して、コード71がもはやぴんと張っていない状態にする(たとえば、ぐんなりした位置に移動する)ように、作動することができ、その結果キャリッジ130は、端部150から離れる方向に広がり、端部150との係合を解除し、ばね74が伸びて、膨張用ガス源を開くためにガス源26の弁又はピン受容部分26a内に伸びる穿刺ピン75を、移動させるよう駆動することができる。
【0093】
抵抗器76が所望の時間(たとえば、トリガ34が制御デバイスから信号を受信した、たとえば抵抗器が制御デバイス190によって電流を受け取った直後に、膨張が作動するような短い期間)内に、コード71を貫いて完全に切断するのを容易にする助けとなるように、抵抗器76は、コード71に軽く跳ね返されるように、又はキャリッジ130への抵抗器の取付け部を介してコード71と接触するように、配置され得る。たとえば、抵抗器76は、コード71が通過する開口部を有することができ、それにより、抵抗器は、抵抗器76がコード71を完全に切断することができるように、コード71を複数の周辺の側部又はコード71の周縁全体によって溶融することができる。
【0094】
さらに、コード71は、コードが抵抗器76の外側にも巻き付けられるように、キャリッジ130の周りに配線することができ、その結果、コードが抵抗器76によって切断されるときに、キャリッジ130がヒンジ式に動くので、コード71が抵抗器76内により一層引き込まれ得る。抵抗器76の一部は、コード71が抵抗器76内により一層引き込まれるほどに、抵抗器がコード71を切断するように、切断ワイヤ又は他の種類の切断デバイスとして構成され得る。
【0095】
コード71がぐんなりした位置に移動すると、ばね74は解放されて伸長し、これにより穿刺ピン75が外方へ、伸長方向に押し出され、ガス源26と係合する関係となり、ガス源26が連結されている膨張可能チャンバ14を膨張させるために、ガス源を開く。ばね74は、たとえば、穿刺ピン75の一部が外方へ伸びて、コード71がガス源26を開くためにコード71のぐんなりする位置に移動した後、ガス源26の一部と係合するように、穿刺ピン75を付勢する。
【0096】
穿刺ピン75がガス源26に衝突し、ばね74の付勢効果のためにガス源26を通って伸びると、穿刺ピン75は外方へ、ばね74から離れる方向に押し出され、それによってガス源26を穿刺し、ガスを膨張可能チャンバ14内に放出する。
【0097】
他の実施例では、トリガ34は、キャリッジ130を回転させて、付勢機構140の端部150に接触して係合する中央開口部130aのサイズを調整するよう構成され得る。たとえば、
図21~
図22から分かるように、トリガは、制御デバイス190からの信号によって作動され、キャリッジを回転させて、中央開口部130aを小さな係合位置からより大きな解放位置に拡大し、付勢機構140を解放することができるので、ばねが伸張し、少なくとも1つの膨張可能チャンバ14を膨張させるために、穿刺ピン75をガス源26と係合させる。いくつかの実施例では、キャリッジ130に接続されたモータは、キャリッジ130の回転を直接駆動するか、又はモータをキャリッジ130に連結する、少なくとも1つの噛み合う歯車若しくは他のモータ連結要素を介して駆動するよう構成され得る。他の実施例では、制御デバイス190からの信号に応答して、キャリッジの回転を駆動し、開口部130aを拡大するために、別の種類のアクチュエータが利用され得る。
【0098】
図18~
図22に示されている実施例から理解され得るように、トリガ34は、ばね74が、キャリッジ130の中央開口部130a内で、キャリッジ130に係合する付勢機構140の端部150によって、圧縮状態に保持され得るように構成され得る。付勢機構140のこの端部150は、キャリッジ130に係合するキャップ部品又はストッパ部品として構成され得る。キャリッジ130は、傾斜面で分割されたシリンダ又は分割されたチューブとして構造化され得る。コード71は、シリンダ又はチューブの外側の周囲に巻き付けることができ、キャリッジ130のシリンダ又はチューブを圧縮状態で保持する。コード71を加熱及び切断し、これによりキャリッジ130のシリンダ又はチューブ本体が、シリンダ又はチューブ本体の圧縮状態から外れて広がり、外方へ移動して、キャップ又はストッパ部品を解放し、ばね74が伸張することを可能にし得るよう構成された、抵抗器76。キャリッジ130の分割されたシリンダ又はチューブは、シリンダ又はチューブの圧縮状態と伸長状態との間を移動するときに、シリンダ又はチューブの部分がヒンジを中心にして移動する、少なくとも1つのヒンジを備えることができる。抵抗器76は、コード71を溶融してコード71を切断するよう構成され得る。キャリッジ130のシリンダ又はチューブの断面形状は、膨張機構16を作動させるための、キャリッジ130との円滑な位置合わせ及び係合/係合解除を容易にする助けとなり、それによりガス源26が、制御デバイス190が危険な水没状態が存在すると判断するのに応答して、少なくとも1つの膨張可能チャンバ14を膨張させることができるように、多角形又は他の非円形の形状であってもよい。
【0099】
抵抗器76の一部は、切断ワイヤとして構成することができ、その結果、コード71を溶融すると、キャリッジ130が1つ又は複数のヒンジを中心にして移動することによって広がるので、コード71が抵抗器76に向かって引き寄せられる。コード71が抵抗器76に引き寄せられると、コード71は、コード71の切断を容易にするために、抵抗器76の切断ワイヤ部分(又は抵抗器に取り付けられた切断ワイヤ)と接触することができ、その結果コード71は分割されて、コード71のぐんなりした位置に完全に移動し、少なくとも1つの膨張可能チャンバ14を膨張させるガス源26を作動させるために、ばね74を解放することを可能にする。抵抗器76のワイヤ切断部分又は抵抗器76に取り付けられた切断デバイスに向かってコード71を引き込むことは、キャリッジ130の周囲に、そして抵抗器76の本体に画定された開口部を通して、コードを巻き付けることにより容易となり得る。
【0100】
別の例示的な実施例では、トリガ34は、モータ84によって、格納位置と伸長位置との間で使い捨ての、第1の端部82及び第2の端部83を有するねじ81を備えることができる。たとえば、モータ84は、制御デバイス190が、衣服10を着用しているユーザが過度に長い間水中にいると判断すると、ねじ81を第1の回転方向に回転させ、それによりねじ81は、収縮位置から伸長位置に移動することができる。
【0101】
モータ84は、ねじ81を格納位置と伸長位置との間で移動させるのを補助する歯車85(たとえば、ウォーム歯車、平歯車、相互接続された歯車のセットなど)を備えることができる。ねじ81の第1及び第2の端部82、83の少なくとも一方は、ねじ81が伸長位置にあるとき、ガス源26を穿刺するよう設計及び構成された、穿刺ピンを備えている。
図8にさらに示されているように、格納位置にあるとき、モータ84は、ねじ81が収縮位置にあるので、穿刺ピンをガス源26から離れさせる。
【0102】
ねじ81が伸長位置に移動されると、穿刺ピンは、ガス源26と係合する関係になって、ガス源を開くことになる。より具体的には、穿刺ピンの一部は外方へ伸びて、ガス源26の一部と係合することになる。最終的に、穿刺ピンはガス源26に衝突し、ガス源26を通って伸び、空気を膨張可能チャンバ14内に放出する。
【0103】
さらに別の実例では、トリガ34は、ガス源26が弁92と係合されている場合に、ガス源26を通って伸びる穿刺ピン91に連結された弁92を備えることができる。弁92は、開位置及び閉位置を有することができ、これによりガス源26は、弁92が閉位置にある間、空気を膨張可能チャンバ14内に放出することを防がれ、またガス源26は、弁92が開位置にある間、空気を膨張可能チャンバ14内に放出することができる。トリガ34は、弁92に連結された少なくとも1つの歯車85の回転を駆動するよう作動され得る、モータ84を備えることができ、その結果、モータで駆動される歯車85の回転によって、弁92が、閉位置と開位置との間を移動する。
【0104】
図9に示されているように、トリガ34はまた、トリガ34の外側に配置された圧力ピン93を備えることができ、圧力ピン93は、ユーザから見え得る。圧力ピン93は上位置及び下位置を有することができ、それにより、圧力ピン93は、弁92が開位置に移動した場合に、係合されているガス源26内の空気が膨張可能チャンバ14を充填するのに十分な圧力下にあるかどうかを示す。当業者は、この開示の利益を享受した後、係合されているガス源26内の空気圧が不十分な場合、たとえば、ガス源26が使い果たされている場合、又はトリガ34に封止漏れがある場合に、圧力ピン93は、下位置に移動するよう構成され得ることを認識されよう。
【0105】
トリガ34は、衣服10の本体12に組み込まれた膨張可能チャンバ14を膨張させる、少なくとも1つのガス源26を開くために、制御デバイス190からの作動信号に応答する、モータ又は他の種類のアクチュエータを利用するよう構成され得る。トリガ34は、逆鉤部材(sear member)131を移動させるよう駆動するモータ又は他の種類のアクチュエータを利用して、少なくとも1つの膨張可能チャンバ14を膨張させるための膨張機構16を、起動することができる。
【0106】
逆鉤部材131は、たとえば、
図23に示されているように、最初は、ばね74を圧縮位置に保持するために、ばね74を備える付勢機構140の端部150内の、逆鉤部材用穴又は他の種類の外形に配置される、係合位置にあり得る。逆鉤部材131は、トリガ34を作動させることによって移動させることができ、それにより逆鉤部材131は、付勢機構140の端部150内での係合状態から外れるように移動し、その結果ばね74は、膨張させるようガス源26を開くために、自由に伸張して、穿刺ピンをガス源26に向かって打ち込むか、又はガス源26が連結されている膨張可能チャンバを膨張させるようガス源26を開くために、自由に伸張して、弁を動かすよう駆動する。
図24は、逆鉤部材131による、かかる係合解除の実例を示している。
【0107】
図25及び
図26から理解され得るように、逆鉤部材131を利用することができる他の実施例がある。たとえば、トリガ34の実施例は、制御デバイス190からの信号によって作動され、逆鉤部材131を移動させて、ばね74を備える付勢機構140との係合から外れるように駆動することができる、モータ又は他の種類のアクチュエータ(たとえば、ガスばね)を利用することができ、それによりばねを圧縮位置から伸張して、少なくとも1つのガス源26を開くよう駆動することができる。この作動は、膨張機構16を起動するための制御デバイスからの信号に応答して起動される、モータ又は他のアクチュエータ(たとえば、ガスばね、他の種類のアクチュエータ)によって駆動される、引っ張り力によるものであり得る。逆鉤部材131は、制御デバイス190の制御信号に応答する、モータ又は他のアクチュエータによって駆動される起動レバー又はカムの動きによって、付勢機構140を解放するために、直線的に移動するよう構成され得る。
【0108】
さらに他の実施例では、付勢機構140は(たとえば、
図27に示されているように)、制御デバイス190から受信された信号に応答してトリガ34によってトリガされる、解放機構132を使って解放され得る。かかる実施例は、アクチュエータ132が動かされ、第2の脚180bに枢動連結された第1の脚180aを備える脚組立体180を動かすよう構成することができ、それにより脚は、互いに対して枢動し、少なくとも1つの膨張可能チャンバ14を膨張させるガス源を開くために、付勢機構のばね74が伸びることを可能にする。いくつかの実施例では、アクチュエータ132はまた、制御デバイス190からの第2の信号に応答して、脚を収縮位置から伸長位置に移動させ、付勢機構140のばね74を圧縮して、ガス源を閉じて膨張可能チャンバの膨張を停止させるよう構成され得る。
【0109】
さらに他の実施例では、制御デバイス190からの信号によって作動される膨張機構のトリガ34は、電子火工品発射機構であり得る。この機構の実例が、
図34に示されている。たとえば、トリガ34は、制御デバイス190からの信号によって作動し、火薬を点火して、薬莢136をガス源26のシェル受容部分26b内に打ち込む小さな爆発137を引き起こす、弾丸のない薬莢136を備える、火薬カートリッジ135を備えることができ、シェル受容部分26bは、薬莢136が当たるのに応答して、膨張可能チャンバ14を膨張させるガス源26を開くために、砕けて開くよう構成されている。
【0110】
電源30は、制御デバイス190の中に組み込まれる制御デバイス190のモジュールであり得るか、又は衣服10の本体12の相異なる部分に配置された別個のデバイスであり得る。電源30の実施例の実例は、
図30及び
図31から最もよく分かる。電源30は、1つ又は複数の電池を保持する筐体200を備えることができる。電源はまた、電池によって制御デバイス190に供給可能な電流を供給するための、インタフェースも備えることができる。電源30はまた、膨張機構16及び起動機構20(たとえば、第1及び第2のセンサ要素121、122)に電流を供給するためのインタフェースも備えることができる。
【0111】
図33は、膨張機構16を作動させることができる例示的な方法を示している。電源30(たとえば、制御デバイス190、膨張機構16、及び水没検出器などが動作するための電力を供給することができるPCB用電池)をオンにすることができ、センサ要素からの信号を制御デバイスで評価することができる。本明細書で論じられているように、少なくとも事前に選択された閾値と同じくらい長い間、連続的に存在する水没した状態を検出することに応答して、制御デバイスは、1つ又は複数の膨張可能チャンバ14を膨張させる少なくとも1つのガス源26を開くために、トリガ34に、付勢機構140を作動させる、作動信号を送信することができる。これは、コード71を溶融するか、コード71を切断するか、逆鉤を移動させるか、又は他の方法でアクチュエータ(たとえば、モータ、ガスばねなど)を作動させて、付勢機構140のばね74を解放するか、又は他の方法でガス源26を開くよう駆動することによって実現することができる。いくつかの実施例では、付勢機構140はまた、ガス源に連結された引き紐を使って解放することができ、それにより、ユーザが引き紐を引っ張ると、膨張可能チャンバ14を膨張させるようガス源が開く。
【0112】
いくつかの実施例では、衣服10は、繰り返し膨張させる用途向けに構成され得る。かかる実施例では、各膨張可能チャンバ14が圧力解放弁に接続され、ガスがチャンバから放出されることを可能にし得る。ガス源26はまた、かかる実施例において、膨張可能チャンバ14を複数回膨張させる、衣服の繰り返し使用を容易にするために、交換され得る。
【0113】
本明細書に記載の、溺れるのを回避するよう構成された水中安全衣服及び装置は、衣服10の着用者が依然として水をより完全に楽しみ、水と接することを可能にしながらも、溺れるのを防ぐ助けとなるように、自動的に動作するよう設計され得るので有益である。起動機構20及び制御デバイス190によって、水没後所定の期間にわたって膨張を遅らせることにより、着用者は、衣服の望ましからざる膨張なしに、完全に又は部分的に水中で、繰り返し潜水及び水泳ができる。
【0114】
前述の内容は、説明及び例示目的で提示されており、本発明は必ずしもそれに限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、当業者は、本明細書に示され、説明されているように、本発明の範囲内で、様々な修正、並びに特定の状況への適応が可能であることを理解されよう。
【0115】
たとえば、一部の構成要素、特徴、及び/又は構成は、1つの特定の実施例だけに関連して説明されていることがあるが、これらの同じ構成要素、特徴、及び/又は構成が、他の多くの実施例に適用又は使用され得ることを理解されたい。また、別段の記載がない限り、又はかかる構成要素、特徴、及び/若しくは構成を他の実施例で使用することが技術的に不可能でない限り、他の実施例に適用可能であると解釈されたい。したがって、様々な実施例の構成要素、特徴、及び/又は構成は、任意のやり方で一体に組み合わせることができ、かかる組合せは、この記述によって明確に企図され、開示されている。したがって、水中安全衣服の特定の例示的な実施例、溺れるのを回避するよう構成された装置、及び該装置を製造及び使用する方法が上記で示され、説明されているが、本発明は、それに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲内で、他の方法で様々に具現化及び実施され得ることを、明確に理解されたい。