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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】端末、通信方法及び集積回路
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0446 20230101AFI20240830BHJP
   H04W 72/232 20230101ALI20240830BHJP
   H04W 72/1268 20230101ALI20240830BHJP
   H04W 72/1273 20230101ALI20240830BHJP
【FI】
H04W72/0446
H04W72/232
H04W72/1268
H04W72/1273
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021550372
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2020028440
(87)【国際公開番号】W WO2021070448
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2019187624
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】堀内 綾子
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/159235(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/193732(WO,A1)
【文献】ZTE,On PDCCH enhancements for NR URLLC[online],3GPP TSG RAN WG1 #98bis R1-1910100,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_98b/Docs/R1-1910100.zip>,2019年10月08日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下りリンクの制御情報を受信する受信回路と、
前記制御情報に基づいた時間リソースに対するデータの配置制御において、或る条件に基づいて、前記時間リソースに前記データを配置する位置の基準を制御する制御回路と、
を具備し、
前記制御情報がPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の送信を指示する場合は、前記基準はスロットの先頭シンボルに対応するシンボル位置であり、
前記制御情報がPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の受信を指示する場合は、前記基準はスロットにおける前記制御情報を受信したシンボルに対応するシンボル位置である、
端末。
【請求項2】
前記制御情報を受信したシンボルは前記制御情報の受信ごとに異なる、
請求項に記載の端末。
【請求項3】
前記制御情報は時間リソース割当情報を含み、
前記時間リソース割当情報および前記基準を用いて前記データを配置する位置が特定される、
請求項1に記載の端末。
【請求項4】
端末は、
下りリンクの制御情報を受信し、
前記制御情報に基づいた時間リソースに対するデータの配置制御において、或る条件に基づいて、前記時間リソースに前記データを配置する位置の基準を制御
前記制御情報がPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の送信を指示する場合は、前記基準はスロットの先頭シンボルに対応するシンボル位置であり、
前記制御情報がPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の受信を指示する場合は、前記基準はスロットにおける前記制御情報を受信したシンボルに対応するシンボル位置である、
通信方法。
【請求項5】
前記制御情報を受信したシンボルは前記制御情報の受信ごとに異なる、
請求項に記載の通信方法。
【請求項6】
前記制御情報は時間リソース割当情報を含み、
前記時間リソース割当情報および前記基準を用いて前記データを配置する位置が特定される、
請求項に記載の通信方法。
【請求項7】
下りリンクの制御情報を受信する処理と、
前記制御情報に基づいた時間リソースに対するデータの配置制御において、或る条件に基づいて、前記時間リソースに前記データを配置する位置の基準を制御する処理と、を具備
前記制御情報がPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の送信を指示する場合は、前記基準はスロットの先頭シンボルに対応するシンボル位置であり、
前記制御情報がPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の受信を指示する場合は、前記基準はスロットにおける前記制御情報を受信したシンボルに対応するシンボル位置である、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線サービスの拡張及び多様化を背景として、Internet of Thing(IoT)の飛躍的な発展が期待されており、モバイル通信の活用は、スマートフォン等の情報端末に加え、車、住宅、家電、又は産業用機器といったあらゆる分野へと拡大している。サービスの多様化を支えるためには、システム容量の増加に加え、接続デバイス数の増加又は低遅延性といった様々な要件について、モバイル通信システムの大幅な性能及び機能の向上が求められる。こうした背景を受けて研究開発及び標準化が進められている第5世代移動通信システム(5G: 5th Generation mobile communication systems)は、モバイルブロードバンドの高度化(eMBB: emhanced Mobile Broadband)、多数機器間接続(mMTC: massive Machine Type Communication)、及び、超高信頼低遅延(URLLC: Ultra Reliable and Low Latency Communication)により、多種多様なニーズに応じて、柔軟に無線通信を提供できる。
【0003】
国際標準化団体である3rd Generation Partnership Project(3GPP)では、5G無線インタフェースの1つとしてNew Radio(NR)が検討され、eMBB及び基礎的なURLLCを実現するRelease 15の仕様の策定を完了した(例えば、非特許文献1-4を参照)。
【0004】
Release 15におけるURLLCでは、例えば、32byteのパケット送信時に1ms以下の無線区間遅延、かつ、信頼度99.999%の実現が要求条件である。一方、Release 16では、遠隔運転又は産業用IoTに代表される多様なユースケースへURLLCを拡張するため、パケットサイズの増加、遅延の更なる削減、及び、信頼度の向上といったRelease 15と比較して高い要求条件を実現する機能の拡張が検討されている(例えば、非特許文献5及び6を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】3GPP TS 38.211 V15.7.0, "NR; Physical channels and modulation (Release 15)," September 2019.
【文献】3GPP TS 38.212 V15.7.0, "NR; Multiplexing and channel coding (Release 15)," September 2019.
【文献】3GPP TS 38.213 V15.7.0, "NR; Physical layer procedure for control (Release 15)," September 2019.
【文献】3GPP TS 38.214 V15.7.0, "NR; Physical layer procedures for data (Release 15)," September 2019.
【文献】RP-191584, “Revised WID: Physical layer enhancements for NR ultra-reliable and low latency communication (URLLC),” Huawei, HiSilicon, June 2019.
【文献】RP-191561, “Revised WID: Support of NR industrial Internet of Things (IoT),” Nokia, Nokia Shanghai Bell, June 2019.
【文献】R1-1908798, “PDCCH enhancements for NR URLLC,” Panasonic, August 2019.
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、無線通信における信号の割当方法については検討の余地がある。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、無線通信における信号の割当効率を向上できる端末及び通信方法の提供に資する。
【0008】
本開示の一実施例に係る端末は、下りリンクの制御情報を受信する受信回路と、前記制御情報に基づいた時間リソースに対するデータの配置制御において、或る条件に基づいて、前記時間リソースに前記データを配置する位置の基準を制御する制御回路と、を具備する。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0010】
本開示の一実施例によれば、無線通信における周波数利用効率を向上できる。
【0011】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】3GPP NRシステムの例示的なアーキテクチャの図
図2】NG-RANと5GCとの間の機能分離を示す概略図
図3】RRC接続のセットアップ/再設定の手順のシーケンス図
図4】大容量・高速通信(eMBB:enhanced Mobile BroadBand)、多数同時接続マシンタイプ通信(mMTC:massive Machine Type Communications)、および高信頼・超低遅延通信(URLLC:Ultra Reliable and Low Latency Communications)の利用シナリオを示す概略図
図5】非ローミングシナリオのための例示的な5Gシステムアーキテクチャを示すブロック図
図6】下りリンクデータに対する時間リソースの割当例を示す図
図7】上りリンクデータに対する時間リソースの割当例を示す図
図8】下りリンクデータに対する時間リソースの割当例を示す図
図9】上りリンクデータに対する時間リソースの割当例を示す図
図10】下りリンクデータに対する時間リソースの割当例を示す図
図11】上りリンクデータに対する時間リソースの割当例を示す図
図12】Repetitionが適用された下りリンクデータに対する時間リソースの割当例を示す図
図13】Repetitionが適用された上りリンクデータに対する時間リソースの割当例を示す図
図14】端末の一部の構成例を示すブロック図
図15】基地局の構成例を示すブロック図
図16】端末の構成例を示すブロック図
図17】端末の動作例を示すフローチャート
図18】動作例1-1に係る時間リソースの割当例を示す図
図19】動作例1-2に係る時間リソースの割当例を示す図
図20】実施の形態1の変形例に係る時間リソースの割当例を示す図
図21】時間リソースの割当例を示す図
図22】実施の形態2に係る時間リソースの割当例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<5G NRのシステムアーキテクチャおよびプロトコルスタック>
3GPPは、100GHzまでの周波数範囲で動作する新無線アクセス技術(NR)の開発を含む第5世代携帯電話技術(単に「5G」ともいう)の次のリリースに向けて作業を続けている。5G規格の初版は2017年の終わりに完成しており、これにより、5G NRの規格に準拠した端末(例えば、スマートフォン)の試作および商用展開に移ることが可能である。
【0015】
例えば、システムアーキテクチャは、全体としては、gNBを備えるNG-RAN(Next Generation - Radio Access Network)を想定する。gNBは、NG無線アクセスのユーザプレーン(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルのUE側の終端を提供する。gNBは、Xnインタフェースによって互いに接続されている。また、gNBは、Next Generation(NG)インタフェースによってNGC(Next Generation Core)に、より具体的には、NG-CインタフェースによってAMF(Access and Mobility Management Function)(例えば、AMFを行う特定のコアエンティティ)に、また、NG-UインタフェースによってUPF(User Plane Function)(例えば、UPFを行う特定のコアエンティティ)に接続されている。NG-RANアーキテクチャを図1に示す(例えば、3GPP TS 38.300 v15.6.0, section 4参照)。
【0016】
NRのユーザプレーンのプロトコルスタック(例えば、3GPP TS 38.300, section 4.4.1参照)は、gNBにおいてネットワーク側で終端されるPDCP(Packet Data Convergence Protocol(TS 38.300の第6.4節参照))サブレイヤ、RLC(Radio Link Control(TS 38.300の第6.3節参照))サブレイヤ、およびMAC(Medium Access Control(TS 38.300の第6.2節参照))サブレイヤを含む。また、新たなアクセス層(AS:Access Stratum)のサブレイヤ(SDAP:Service Data Adaptation Protocol)がPDCPの上に導入されている(例えば、3GPP TS 38.300の第6.5節参照)。また、制御プレーンのプロトコルスタックがNRのために定義されている(例えば、TS 38.300, section 4.4.2参照)。レイヤ2の機能の概要がTS 38.300の第6節に記載されている。PDCPサブレイヤ、RLCサブレイヤ、およびMACサブレイヤの機能は、それぞれ、TS 38.300の第6.4節、第6.3節、および第6.2節に列挙されている。RRCレイヤの機能は、TS 38.300の第7節に列挙されている。
【0017】
例えば、Medium-Access-Controlレイヤは、論理チャネル(logical channel)の多重化と、様々なニューメロロジーを扱うことを含むスケジューリングおよびスケジューリング関連の諸機能と、を扱う。
【0018】
例えば、物理レイヤ(PHY)は、符号化、PHY HARQ処理、変調、マルチアンテナ処理、および適切な物理的時間-周波数リソースへの信号のマッピングの役割を担う。また、物理レイヤは、物理チャネルへのトランスポートチャネルのマッピングを扱う。物理レイヤは、MACレイヤにトランスポートチャネルの形でサービスを提供する。物理チャネルは、特定のトランスポートチャネルの送信に使用される時間周波数リソースのセットに対応し、各トランスポートチャネルは、対応する物理チャネルにマッピングされる。例えば、物理チャネルには、上り物理チャネルとして、PRACH(Physical Random Access Channel)、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)があり、下り物理チャネルとして、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、PBCH(Physical Broadcast Channel) がある。
【0019】
NRのユースケース/展開シナリオには、データレート、レイテンシ、およびカバレッジの点で多様な要件を有するenhanced mobile broadband(eMBB)、ultra-reliable low-latency communications(URLLC)、massive machine type communication(mMTC)が含まれ得る。例えば、eMBBは、IMT-Advancedが提供するデータレートの3倍程度のピークデータレート(下りリンクにおいて20Gbpsおよび上りリンクにおいて10Gbps)および実効(user-experienced)データレートをサポートすることが期待されている。一方、URLLCの場合、より厳しい要件が超低レイテンシ(ユーザプレーンのレイテンシについてULおよびDLのそれぞれで0.5ms)および高信頼性(1ms内において1-10-5)について課されている。最後に、mMTCでは、好ましくは高い接続密度(都市環境において装置1,000,000台/km2)、悪環境における広いカバレッジ、および低価格の装置のための極めて寿命の長い電池(15年)が求められうる。
【0020】
そのため、1つのユースケースに適したOFDMのニューメロロジー(例えば、サブキャリア間隔、OFDMシンボル長、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)長、スケジューリング区間毎のシンボル数)が他のユースケースには有効でない場合がある。例えば、低レイテンシのサービスでは、好ましくは、mMTCのサービスよりもシンボル長が短いこと(したがって、サブキャリア間隔が大きいこと)および/またはスケジューリング区間(TTIともいう)毎のシンボル数が少ないことが求められうる。さらに、チャネルの遅延スプレッドが大きい展開シナリオでは、好ましくは、遅延スプレッドが短いシナリオよりもCP長が長いことが求められうる。サブキャリア間隔は、同様のCPオーバーヘッドが維持されるように状況に応じて最適化されてもよい。NRがサポートするサブキャリア間隔の値は、1つ以上であってよい。これに対応して、現在、15kHz、30kHz、60kHz…のサブキャリア間隔が考えられている。シンボル長Tuおよびサブキャリア間隔Δfは、式Δf=1/Tuによって直接関係づけられている。LTEシステムと同様に、用語「リソースエレメント」を、1つのOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対する1つのサブキャリアから構成される最小のリソース単位を意味するように使用することができる。
【0021】
新無線システム5G-NRでは、各ニューメロロジーおよび各キャリアについて、サブキャリアおよびOFDMシンボルのリソースグリッドが上りリンクおよび下りリンクのそれぞれに定義される。リソースグリッドの各エレメントは、リソースエレメントと呼ばれ、周波数領域の周波数インデックスおよび時間領域のシンボル位置に基づいて特定される(3GPP TS 38.211 v15.6.0参照)。
【0022】
<5G NRにおけるNG-RANと5GCとの間の機能分離>
図2は、NG-RANと5GCとの間の機能分離を示す。NG-RANの論理ノードは、gNBまたはng-eNBである。5GCは、論理ノードAMF、UPF、およびSMFを有する。
【0023】
例えば、gNBおよびng-eNBは、以下の主な機能をホストする:
- 無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、無線アドミッション制御(Radio Admission Control)、接続モビリティ制御(Connection Mobility Control)、上りリンクおよび下りリンクの両方におけるリソースのUEへの動的割当(スケジューリング)等の無線リソース管理(Radio Resource Management)の機能;
- データのIPヘッダ圧縮、暗号化、および完全性保護;
- UEが提供する情報からAMFへのルーティングを決定することができない場合のUEのアタッチ時のAMFの選択;
- UPFに向けたユーザプレーンデータのルーティング;
- AMFに向けた制御プレーン情報のルーティング;
- 接続のセットアップおよび解除;
- ページングメッセージのスケジューリングおよび送信;
- システム報知情報(AMFまたは運用管理保守機能(OAM:Operation, Admission, Maintenance)が発信源)のスケジューリングおよび送信;
- モビリティおよびスケジューリングのための測定および測定報告の設定;
- 上りリンクにおけるトランスポートレベルのパケットマーキング;
- セッション管理;
- ネットワークスライシングのサポート;
- QoSフローの管理およびデータ無線ベアラに対するマッピング;
- RRC_INACTIVE状態のUEのサポート;
- NASメッセージの配信機能;
- 無線アクセスネットワークの共有;
- デュアルコネクティビティ;
- NRとE-UTRAとの緊密な連携。
【0024】
Access and Mobility Management Function(AMF)は、以下の主な機能をホストする:
- Non-Access Stratum(NAS)シグナリングを終端させる機能;
- NASシグナリングのセキュリティ;
- Access Stratum(AS)のセキュリティ制御;
- 3GPPのアクセスネットワーク間でのモビリティのためのコアネットワーク(CN:Core Network)ノード間シグナリング;
- アイドルモードのUEへの到達可能性(ページングの再送信の制御および実行を含む);
- 登録エリアの管理;
- システム内モビリティおよびシステム間モビリティのサポート;
- アクセス認証;
- ローミング権限のチェックを含むアクセス承認;
- モビリティ管理制御(加入およびポリシー);
- ネットワークスライシングのサポート;
- Session Management Function(SMF)の選択。
【0025】
さらに、User Plane Function(UPF)は、以下の主な機能をホストする:
- intra-RATモビリティ/inter-RATモビリティ(適用可能な場合)のためのアンカーポイント;
- データネットワークとの相互接続のための外部PDU(Protocol Data Unit)セッションポイント;
- パケットのルーティングおよび転送;
- パケット検査およびユーザプレーン部分のポリシールールの強制(Policy rule enforcement);
- トラフィック使用量の報告;
- データネットワークへのトラフィックフローのルーティングをサポートするための上りリンククラス分類(uplink classifier);
- マルチホームPDUセッション(multi-homed PDU session)をサポートするための分岐点(Branching Point);
- ユーザプレーンに対するQoS処理(例えば、パケットフィルタリング、ゲーティング(gating)、UL/DLレート制御(UL/DL rate enforcement);
- 上りリンクトラフィックの検証(SDFのQoSフローに対するマッピング);
- 下りリンクパケットのバッファリングおよび下りリンクデータ通知のトリガ機能。
【0026】
最後に、Session Management Function(SMF)は、以下の主な機能をホストする:
- セッション管理;
- UEに対するIPアドレスの割当および管理;
- UPFの選択および制御;
- 適切な宛先にトラフィックをルーティングするためのUser Plane Function(UPF)におけるトラフィックステアリング(traffic steering)の設定機能;
- 制御部分のポリシーの強制およびQoS;
- 下りリンクデータの通知。
【0027】
<RRC接続のセットアップおよび再設定の手順>
図3は、NAS部分の、UEがRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDに移行する際のUE、gNB、およびAMF(5GCエンティティ)の間のやり取りのいくつかを示す(TS 38.300 v15.6.0参照)。
【0028】
RRCは、UEおよびgNBの設定に使用される上位レイヤのシグナリング(プロトコル)である。この移行により、AMFは、UEコンテキストデータ(これは、例えば、PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線性能(UE Radio Capability)、UEセキュリティ性能(UE Security Capabilities)等を含む)を用意し、初期コンテキストセットアップ要求(INITIAL CONTEXT SETUP REQUEST)とともにgNBに送る。そして、gNBは、UEと一緒に、ASセキュリティをアクティブにする。これは、gNBがUEにSecurityModeCommandメッセージを送信し、UEがSecurityModeCompleteメッセージでgNBに応答することによって行われる。その後、gNBは、UEにRRCReconfigurationメッセージを送信し、これに対するUEからのRRCReconfigurationCompleteをgNBが受信することによって、Signaling Radio Bearer 2(SRB2)およびData Radio Bearer(DRB)をセットアップするための再設定を行う。シグナリングのみの接続については、SRB2およびDRBがセットアップされないため、RRCReconfigurationに関するステップは省かれる。最後に、gNBは、初期コンテキストセットアップ応答(INITIAL CONTEXT SETUP RESPONSE)でセットアップ手順が完了したことをAMFに通知する。
【0029】
したがって、本開示では、gNodeBとのNext Generation(NG)接続を動作時に確立する制御回路と、gNodeBとユーザ機器(UE:User Equipment)との間のシグナリング無線ベアラがセットアップされるように動作時にNG接続を介してgNodeBに初期コンテキストセットアップメッセージを送信する送信部と、を備える、5th Generation Core(5GC)のエンティティ(例えば、AMF、SMF等)が提供される。具体的には、gNodeBは、リソース割当設定情報要素(IE: Information Element)を含むRadio Resource Control(RRC)シグナリングを、シグナリング無線ベアラを介してUEに送信する。そして、UEは、リソース割当設定に基づき上りリンクにおける送信または下りリンクにおける受信を行う。
【0030】
<2020年以降のIMTの利用シナリオ>
図4は、5G NRのためのユースケースのいくつかを示す。3rd generation partnership project new radio(3GPP NR)では、多種多様なサービスおよびアプリケーションをサポートすることがIMT-2020によって構想されていた3つのユースケースが検討されている。大容量・高速通信(eMBB:enhanced mobile-broadband)のための第一段階の仕様の策定が終了している。現在および将来の作業には、eMBBのサポートを拡充していくことに加えて、高信頼・超低遅延通信(URLLC:ultra-reliable and low-latency communications)および多数同時接続マシンタイプ通信(mMTC:massive machine-type communicationsのための標準化が含まれる。図4は、2020年以降のIMTの構想上の利用シナリオのいくつかの例を示す(例えばITU-R M.2083 図2参照)。
【0031】
URLLCのユースケースには、スループット、レイテンシ(遅延)、および可用性のような性能についての厳格な要件がある。URLLCのユースケースは、工業生産プロセスまたは製造プロセスのワイヤレス制御、遠隔医療手術、スマートグリッドにおける送配電の自動化、交通安全等の今後のこれらのアプリケーションを実現するための要素技術の1つとして構想されている。URLLCの超高信頼性は、TR 38.913によって設定された要件を満たす技術を特定することによってサポートされる。リリース15におけるNR URLLCでは、重要な要件として、目標とするユーザプレーンのレイテンシがUL(上りリンク)で0.5ms、DL(下りリンク)で0.5msであることが含まれている。一度のパケット送信に対する全般的なURLLCの要件は、ユーザプレーンのレイテンシが1msの場合、32バイトのパケットサイズに対してブロック誤り率(BLER:block error rate)が1E-5であることである。
【0032】
物理レイヤの観点では、信頼性は、多くの採り得る方法で向上可能である。現在の信頼性向上の余地としては、URLLC用の別個のCQI表、よりコンパクトなDCIフォーマット、PDCCHの繰り返し等を定義することが含まれる。しかしながら、この余地は、NRが(NR URLLCの重要要件に関し)より安定しかつより開発されるにつれて、超高信頼性の実現のために広がりうる。リリース15におけるNR URLLCの具体的なユースケースには、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、e-ヘルス、e-セイフティ、およびミッションクリティカルなアプリケーションが含まれる。
【0033】
また、NR URLLCが目標とする技術強化は、レイテンシの改善および信頼性の向上を目指している。レイテンシの改善のための技術強化には、設定可能なニューメロロジー、フレキシブルなマッピングによる非スロットベースのスケジューリング、グラントフリーの(設定されたグラントの)上りリンク、データチャネルにおけるスロットレベルでの繰り返し、および下りリンクでのプリエンプション(Pre-emption)が含まれる。プリエンプションとは、リソースが既に割り当てられた送信が停止され、当該既に割り当てられたリソースが、後から要求されたより低いレイテンシ/より高い優先度の要件の他の送信に使用されることを意味する。したがって、既に許可されていた送信は、後の送信によって差し替えられる。プリエンプションは、具体的なサービスタイプと無関係に適用可能である。例えば、サービスタイプA(URLLC)の送信が、サービスタイプB(eMBB等)の送信によって差し替えられてもよい。信頼性向上についての技術強化には、1E-5の目標BLERのための専用のCQI/MCS表が含まれる。
【0034】
mMTC(massive machine type communication)のユースケースの特徴は、典型的には遅延の影響を受けにくい比較的少量のデータを送信する接続装置の数が極めて多いことである。装置には、低価格であること、および電池寿命が非常に長いことが要求される。NRの観点からは、非常に狭い帯域幅部分を利用することが、UEから見て電力が節約されかつ電池の長寿命化を可能にする1つの解決法である。
【0035】
上述のように、NRにおける信頼性向上のスコープはより広くなることが予測される。あらゆるケースにとっての重要要件の1つであって、例えばURLLCおよびmMTCについての重要要件が高信頼性または超高信頼性である。いくつかのメカニズムが信頼性を無線の観点およびネットワークの観点から向上させることができる。概して、信頼性の向上に役立つ可能性がある2つ~3つの重要な領域が存在する。これらの領域には、コンパクトな制御チャネル情報、データチャネル/制御チャネルの繰り返し、および周波数領域、時間領域、および/または空間領域に関するダイバーシティがある。これらの領域は、特定の通信シナリオにかかわらず一般に信頼性向上に適用可能である。
【0036】
NR URLLCに関し、ファクトリーオートメーション、運送業、および電力の分配のような、要件がより厳しいさらなるユースケースが想定されている。厳しい要件とは、高い信頼性(10-6レベルまでの信頼性)、高い可用性、256バイトまでのパケットサイズ、数μs程度までの時刻同期(time synchronization)(ユースケースに応じて、値を、周波数範囲および0.5ms~1ms程度の短いレイテンシ(例えば、目標とするユーザプレーンでの0.5msのレイテンシ)に応じて1μsまたは数μsとすることができる)である。
【0037】
さらに、NR URLLCについては、物理レイヤの観点からいくつかの技術強化が有り得る。これらの技術強化には、コンパクトなDCIに関するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)の強化、PDCCHの繰り返し、PDCCHのモニタリングの増加がある。また、UCI(Uplink Control Information)の強化は、enhanced HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)およびCSIフィードバックの強化に関係する。また、ミニスロットレベルのホッピングに関係するPUSCHの強化、および再送信/繰り返しの強化が有り得る。用語「ミニスロット」は、スロットより少数のシンボルを含むTransmission Time Interval(TTI)を指す(スロットは、14個のシンボルを備える)。
【0038】
<QoS制御>
5GのQoS(Quality of Service)モデルは、QoSフローに基づいており、保証されたフロービットレートが求められるQoSフロー(GBR:Guaranteed Bit Rate QoSフロー)、および、保証されたフロービットレートが求められないQoSフロー(非GBR QoSフロー)をいずれもサポートする。したがって、NASレベルでは、QoSフローは、PDUセッションにおける最も微細な粒度のQoSの区分である。QoSフローは、NG-Uインタフェースを介してカプセル化ヘッダ(encapsulation header)において搬送されるQoSフローID(QFI:QoS Flow ID)によってPDUセッション内で特定される。
【0039】
各UEについて、5GCは、1つ以上のPDUセッションを確立する。各UEについて、PDUセッションに合わせて、NG-RANは、例えば図3を参照して上に示したように少なくとも1つのData Radio Bearers(DRB)を確立する。また、そのPDUセッションのQoSフローに対する追加のDRBが後から設定可能である(いつ設定するかはNG-RAN次第である)。NG-RANは、様々なPDUセッションに属するパケットを様々なDRBにマッピングする。UEおよび5GCにおけるNASレベルパケットフィルタが、ULパケットおよびDLパケットとQoSフローとを関連付けるのに対し、UEおよびNG-RANにおけるASレベルマッピングルールは、UL QoSフローおよびDL QoSフローとDRBとを関連付ける。
【0040】
図5は、5G NRの非ローミング参照アーキテクチャ(non-roaming reference architecture)を示す(TS 23.501 v16.1.0, section 4.23参照)。Application Function(AF)(例えば、図4に例示した、5Gのサービスをホストする外部アプリケーションサーバ)は、サービスを提供するために3GPPコアネットワークとやり取りを行う。例えば、トラフィックのルーティングに影響を与えるアプリケーションをサポートするために、Network Exposure Function(NEF)にアクセスすること、またはポリシー制御(例えば、QoS制御)のためにポリシーフレームワークとやり取りすること(Policy Control Function(PCF)参照)である。オペレーターによる配備に基づいて、オペレーターによって信頼されていると考えられるApplication Functionは、関連するNetwork Functionと直接やり取りすることができる。Network Functionに直接アクセスすることがオペレーターから許可されていないApplication Functionは、NEFを介することにより外部に対する解放フレームワークを使用して関連するNetwork Functionとやり取りする。
【0041】
図5は、5Gアーキテクチャのさらなる機能単位、すなわち、Network Slice Selection Function(NSSF)、Network Repository Function(NRF)、Unified Data Management(UDM)、Authentication Server Function(AUSF)、Access and Mobility Management Function(AMF)、Session Management Function(SMF)、およびData Network(DN、例えば、オペレーターによるサービス、インターネットアクセス、またはサードパーティーによるサービス)をさらに示す。コアネットワークの機能およびアプリケーションサービスの全部または一部がクラウドコンピューティング環境において展開されかつ動作してもよい。
【0042】
したがって、本開示では、QoS要件に応じたgNodeBとUEとの間の無線ベアラを含むPDUセッションを確立するために、動作時に、URLLCサービス、eMMBサービス、およびmMTCサービスの少なくとも1つに対するQoS要件を含む要求を5GCの機能(例えば、NEF、AMF、SMF、PCF、UPF等)の少なくとも1つに送信する送信部と、動作時に、確立されたPDUセッションを使用してサービスを行う制御回路と、を備える、アプリケーションサーバ(例えば、5GアーキテクチャのAF)が提供される。
【0043】
[時間リソース割当]
NRでは、例えば、基地局(例えば、gNBとも呼ぶ)は、端末(例えば、UE:User Equipmentとも呼ぶ)に対して、下りリンク制御情報(例えば、DCI:Downlink Control Information)に基づいて、下りリンクデータチャネル(例えば、PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)又は上りリンクデータチャネル(例えば、PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)をスケジューリングする。
【0044】
DCIは、例えば、下りリンク制御チャネル(例えば、PDCCH: Physical Downlink Control Channel)において基地局から端末へ送信される。例えば、データチャネルに割り当てられる時間領域の無線リソース(以下、「時間リソース」と呼ぶ)は、DCIによって制御される。
【0045】
また、NRでは、例えば、低遅延性を実現するため、時間リソースは、より柔軟に割り当てされ得る。例えば、NRでは、1スロット(例えば、スロットあたり14シンボル)を単位とする割り当て(換言すると、基本的な割り当て)に加え、「ミニスロット」とも呼ばれるスロットよりも更に短い単位(例えば、1~数シンボル)の割り当てが可能である。
【0046】
例えば、データチャネルに割り当てられる時間リソースは、DCIの時間リソース割当(例えば、TDRA:Time Domain Resource Assignment)フィールドによって制御されてよい。
【0047】
例えば、上位レイヤ(例えば、radio resource control(RRC))のシグナリングによって時間リソースの割り当てのパターン(以下、「割当パターン」と呼ぶ)が端末に複数設定される。基地局は、DCI(例えば、TDRAフィールド)において、端末に設定された複数の割当パターンのうち1つの割当パターンを指示し、時間リソースを端末に割り当てる(例えば、非特許文献2-4を参照)。
【0048】
ここで、端末に設定される時間リソースの割当パターンには、例えば、端末がDCIを受信したスロットを基準としたスロットの位置を示す「スロットオフセット(Slot offset)」、スロット内においてデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置(例えば、「開始シンボル(Start symbol)」)、及び、シンボル数(例えば、「シンボル長(Length)」)といったパラメータが含まれてよい。
【0049】
例えば、スロット内のデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置には、スロットの先頭シンボル(換言すると、スロット境界)を基準としたシンボル位置が設定される。図6及び図7は、DCIのTRDAフィールドによる時間リソース割当例を示す。図6は、下りリンクデータ(例えば、PDSCH)に対する時間リソース割当例を示し、図7は、上りリンクデータ(例えば、PUSCH)に対する時間リソース割当例を示す。
【0050】
なお、以下の説明では、スロット内の先頭シンボルを第0シンボルと呼ぶ。換言すると、図6及び図7では、1スロットは、第0シンボル~第13シンボルの14シンボルを含む。
【0051】
URLLCでは、例えば、割り当てられるシンボル数のより少ないデータチャネル(例えば、PDSCH又はPUSCH)のスロット内への複数割り当てを可能とすることにより、低遅延を実現し得る。また、URLLCでは、端末がDCIを受信する頻度は、例えば、eMBBのように1スロット間隔(例えば、各スロット先頭の数シンボルでPDCCHを受信)ではなく、1スロット内の複数回とすることにより、パケット発生からスケジューリングまでの時間を短縮できる。
【0052】
図8及び図9は、端末がPDCCH(例えば、DCIを含む)を1スロット内において複数回受信可能な場合の時間リソースの割当例を示す。図8は、PDSCHに対する時間リソース割当例を示し、図9は、PUSCHに対する時間リソース割当例を示す。
【0053】
Release 15では、例えば、スロット内のデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置が異なる場合には、シンボル数(例えば、Length)が同一の時間リソース割り当てでも、複数の異なる割当パターン(例えば、Start symbolが異なり、Lengthが同一の複数の割当パターン)が設定される。例えば、図8及び図9では、4シンボル長(Length=4)のデータチャネルの割り当てを可能とする場合に、スロット内のデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置がそれぞれ異なる3つの割当パターンが設定される。このように、スロット内のデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置の候補が増加するほど、割当パターン数が増加し得る。割当パターン数の増加は、DCIにおけるTDRAフィールドのビット数の増加につながる。このような同一シンボル長のデータ割り当てに対する複数の異なる割当パターンの設定は非効率である。
【0054】
そこで、Release 16では、時間リソースの割当パターンに含まれるパラメータのうち、スロット内のデータに割り当てられるシンボル位置(例えば、データの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置)の基準(例えば、reference pointとも呼ばれる)を、Release 15におけるスロットの先頭シンボルの代わりに、DCIが含まれるPDCCHを端末が受信したスロット内のシンボル位置に設定することが検討されている(例えば、非特許文献7を参照)。
【0055】
図10及び図11は、PDCCH受信のシンボル位置を基準にした場合の時間リソースの割当例を示す。図10は、PDSCHに対する時間リソース割当例を示し、図11は、PUSCHに対する時間リソース割当例を示す。
【0056】
例えば、図10に示す例(Index=0が通知される場合)では、端末は、或るスロットにおいてPDCCH(DCIを含む)を受信したシンボル位置(例えば、第0シンボル、第4シンボル、又は、第8シンボル)に対応する、PDCCHを受信したスロットと同一スロット(例えば、Slot offset=0)におけるシンボル位置を基準に決定する。そして、端末は、基準から2シンボル目(例えば、Start symbol=2)のシンボル位置(例えば、第2シンボル、第6シンボル、又は、第10シンボル)を、PDSCHの先頭シンボル位置に設定する。
【0057】
また、例えば、図11に示す例(Index=0が通知される場合)では、端末は、或るスロットにおいてPDCCH(DCIを含む)を受信したシンボル位置(例えば、第0シンボル、第4シンボル、又は、第8シンボル)に対応する、PDCCHを受信したスロットの次のスロット(例えば、Slot offset=1)におけるシンボル位置を基準に決定する。そして、端末は、基準から2シンボル目(例えば、Start symbol=2)のシンボル位置(例えば、第2シンボル、第6シンボル、又は、第10シンボル)を、PUSCHの先頭シンボル位置に設定する。
【0058】
図10及び図11に示すように、1つの割当パターンが通知された場合でも、端末がPDCCHを受信したスロット内のシンボル位置に応じて、PDSCH又はPUSCHに割り当てられる時間リソース(例えば、シンボル位置)は異なる。
【0059】
例えば、端末が1スロット内においてDCIを複数回受信可能な場合、スロット内におけるPDCCH受信のシンボル位置に基づく基準に従ってPDSCH又はPUSCHの時間リソース割当を設定することにより、同一シンボル長(例えば、図10及び図11では4シンボル)の割り当ては、1つの割当パターンによって設定可能である。この割当パターンの設定により、DCIにおけるTDRAフィールドのビット数を低減できる。また、例えば、TDRAフィールドビット数が固定の場合には、別の時間リソースの割当パターンを設定できるので、時間リソース割当の柔軟性を向上できる。
【0060】
Release 16 URLLCでは、例えば、ミニスロット単位の繰り返し送信(例えば、Repetitionとも呼ぶ)、又は、複数のスロットに亘るリソース割当といったPUSCHに対する処理を柔軟に設定可能な技術「例えば、PUSCH送信の高度化(例えば、PUSCH enhancement)と呼ぶ」が検討されている(例えば、非特許文献5を参照)。PUSCH送信の高度化により、例えば、低遅延かつ高信頼な上りリンクデータ(例えば、PUSCH)の伝送を実現できる。
【0061】
PUSCH送信の高度化では、例えば、DCIにより、繰り返し送信回数(又は、Repetition回数とも呼ぶ)、又は、各繰り返し送信に対する時間リソース割当(例えば、先頭シンボル位置及びシンボル長の少なくとも一つ)の制御が検討されている。しかし、PUSCH送信の高度化におけるPDCCH受信のシンボル位置を基準とした時間リソース割当に関しては十分に検討されていない。
【0062】
例えば、PUSCH送信の高度化では、各繰り返し送信に対する時間リソース割当を制御するDCIの共通化が検討されている。例えば、各繰り返し送信に対する時間リソースの割当パターンを共通のTDRAフィールドにおいて基地局から端末へ通知する方法が検討されている。この方法により、制御情報のオーバーヘッドを低減できる。
【0063】
図12は、繰り返し送信に対する時間リソースの割当例を示す。図12では、一例として、繰り返し送信回数を2回(1回目のPUSCH送信(1st repetition)及び2回目のPUSCH送信(2nd repetition)とする。なお、繰り返し送信回数は2回に限らず、3回以上でもよい。
【0064】
例えば、図12に示す各繰り返し送信に対する時間リソースの割当パターンは、上位レイヤ(例えば、RRC)のシグナリングによって、基地局から端末へ複数設定されてよい。基地局は、例えば、DCIのTDRAフィールドにおいて、端末に設定された複数の割当パターンの中から1つの割当パターンを端末へ指示し、端末に時間リソースを割り当てる。このとき、図12に示すように、各繰り返し送信に対する時間リソース割当の先頭シンボル位置は、例えば、上述したように、PDCCH受信のシンボル位置に基づく基準に従って決定されてよい。この基準の設定により、例えば、端末が1スロット内においてDCIを複数回受信可能な場合、繰り返し回数及び各繰り返し送信のシンボル長が同一である時間リソースの割当は、1つの割当パターンによって設定可能である。
【0065】
しかしながら、例えば、図13に示すように、繰り返し送信が複数のスロットに亘って設定される場合、繰り返し回数及び各繰り返し送信のシンボル長が同一である時間リソースの割当は、1つの割当パターンによって設定できない場合がある。
【0066】
図13(a)、(b)及び(c)に示す時間リソース割当の例は、繰り返し回数及び各繰り返し送信のシンボル長が同一の割り当て(繰り返し回数:2回、シンボル長:4シンボル)である。例えば、図13(a)及び(b)に示す例では、繰り返し送信されるデータが1つのスロット内に割り当てられる。よって、図13(a)及び(b)に示すそれぞれの時間リソース割当は、1つの割当パターン(例えば、Index=0)によって設定可能である。
【0067】
これに対して、例えば、図13(c)に示す例では、繰り返し送信されるデータは2つのスロットに亘って割り当てられる。よって、図13(c)に示す時間リソース割当は、図13の(a)及び(b)に対する割当パターン(例えば、Index=0)と異なる割当パターン(例えば、Index=1)によって設定され得る。換言すると、図13(a)、(b)及び(c)に示す例は、繰り返し回数及び各繰り返し送信のシンボル長が同一の割り当てであるものの、複数の割当パターンによって設定され得る。
【0068】
また、PDCCH受信シンボル位置に基づく基準に従う場合、繰り返し送信されるデータが複数のスロットに亘って割り当てられる場合(例えば、図13(c)の場合)、当該複数のスロットにおいて、基準より前のシンボル位置も設定されるので、データの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置の設定範囲は、例えば、-13~13となる。例えば、Release 15においてスロット先頭に基づく基準に従う場合、データの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置の設定範囲は、例えば、0~13であるので、PDCCH受信シンボル位置に基づく基準に従う場合(-13~13の範囲の場合)には上位レイヤ信号のオーバーヘッドが増加する。
【0069】
また、例えば、スロット内のデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置の設定範囲(例えば、Start symbolの範囲)を0~13に設定する場合には、端末は、PDCCH受信シンボル位置に基づく基準に従って特定されるデータの先頭シンボル位置が、時間リソースパターンのスロットオフセット(Slot offset)によって指示されたスロットと同一か否かを判定する処理を行うので、端末における時間リソースの特定に関する処理が複雑になり得る。例えば、端末は、PDCCH受信シンボル位置(例えば、第0シンボル~第13シンボルの何れか)と時間リソースパターンの先頭シンボル位置(例えば、0~13の何れか)とによって指示された値がスロット内シンボル数(例えば、14)を超えるか否かを判定する。
【0070】
また、PUSCH送信の高度化では、下りリンク(DL)シンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されたシンボルでは、端末は信号を送信できない。そのため、例えば、DCIにより割り当てられたPUSCHの時間リソース(又は、時間リソースパターン)に、DLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されたシンボルが含まれる場合、当該シンボルに割り当てられたPUSCH送信のドロップ(換言すると、非送信)、又は、次の送信機会(例えば、上りリンクシンボル)までの送信延期が検討されている。なお、端末は、スロット内のDLシンボルの位置を、例えば、制御情報(例えば、SFI:Slot Format Indicator)の通知によって特定できる。
【0071】
このとき、例えば、各繰り返し送信に対する時間リソース割当の先頭シンボル位置(例えば、Start symbol)について、上述したPDCCH受信のシンボル位置に基づく基準に従う場合、端末は、通知される時間リソースが、DLシンボル(又は、Flexibleシンボル)と一致するか否かを判定する処理を行うので、端末における時間リソースの特定に関する処理が複雑になり得る。
【0072】
そこで、本開示の一実施例では、例えば、URLLCにおいて時間リソース割当の効率を向上する方法について説明する。本開示の一実施例によれば、例えば、URLLCにおける時間リソース割当の効率を向上でき、端末における時間リソースの特定処理の複雑化を抑制できる。
【0073】
例えば、本開示の一実施例では、端末は、DCIによって通知されるデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置を、スロット先頭シンボル位置に基づく基準によって決定するか、PDCCH受信シンボル位置に基づく基準によって決定するかを、或る条件(例については後述する)に基づいて切り替える。
【0074】
[通信システムの概要]
本開示の各実施の形態に係る通信システムは、基地局100及び端末200を備える。
【0075】
図14は、本開示の一実施例に係る端末200の一部の構成例を示すブロック図である。図14に示す端末200において、受信部201(例えば、受信回路に相当)は、下りリンクの制御情報(例えば、DCI)を受信する。制御部205(例えば、制御回路に相当)は、制御情報に基づいた時間リソースに対するデータ(例えば、PDSCH又はPUSCH)の配置制御において、或る条件に基づいて、時間リソースにデータを配置する位置(例えば、シンボル位置)の基準を制御する。
【0076】
[基地局の構成]
図15は、実施の形態1に係る基地局100の構成例を示すブロック図である。図15において、基地局100は、制御部101と、上位制御信号生成部102と、下りリンク制御情報生成部103と、符号化部104と、変調部105と、信号割当部106と、送信部107と、受信部108と、抽出部109と、復調部110と、復号部111と、を有する。
【0077】
制御部101は、例えば、端末200におけるDCI受信に関する情報を決定し、決定した情報を上位制御信号生成部102へ出力する。DCI受信に関する情報には、例えば、control resource set(CORESET)の設定、サーチスペースの設定、又は、端末がPDCCHを受信する1スロット内のシンボルの設定といった情報が含まれてよい。
【0078】
また、制御部101は、例えば、端末200に対する上位レイヤパラメータを含む設定情報(例えば、Radio Resource Control(RRC)設定情報と呼ぶ)を決定し、決定したRRC設定情報を上位制御信号生成部102へ出力する。RRC設定情報には、例えば、DCIのTDRAフィールドにおいて通知される時間リソースの割当パターンに関する情報が含まれてよい。
【0079】
また、制御部101は、下りリンクデータ信号(例えば、PDSCH)、上位制御信号、又は、下りリンク制御情報(例えば、DCI)を送信するための下りリンク信号に関する情報を決定する。下りリンク信号に関する情報には、例えば、符号化・変調方式(MCS:Modulation and Coding Scheme)、及び、無線リソース割当といった情報が含まれてよい。また、下りリンク信号に関する情報には、例えば、TDRAに関する情報、又は、繰り返し送信(例えば、Repetition)に関する情報が含まれてもよい。制御部101は、例えば、決定した情報を符号化部104、変調部105、及び信号割当部106へ出力する。また、制御部101は、下りリンク信号に関する情報を下りリンク制御情報生成部103へ出力する。
【0080】
また、制御部101は、端末200が上りリンクデータ信号(例えば、PUSCH)を送信するための情報を決定し、決定した情報を下りリンク制御情報生成部103、抽出部109、復調部110及び復号部111へ出力する。上りリンクデータ信号を送信するための情報には、例えば、符号化・変調方式及び無線リソース割当が含まれてよい。また、上りリンクデータ信号を送信するための情報には、例えば、TDRAに関する情報、又は、繰り返し送信(例えば、Repetition)に関する情報が含まれてもよい。
【0081】
上位制御信号生成部102は、制御部101から入力される情報(例えば、DCI受信に関する情報、又は、RRC設定情報)に基づいて、上位レイヤ制御信号ビット列を生成し、上位レイヤ制御信号ビット列を符号化部104へ出力する。
【0082】
下りリンク制御情報生成部103は、制御部101から入力される情報に基づいて、下りリンク制御情報(例えば、DCI)ビット列を生成し、生成したDCIビット列を符号化部104へ出力する。なお、制御情報が複数の端末向けに送信されることもある。このため、下りリンク制御情報生成部103は、DCIを送信するPDCCHを、端末固有の識別情報によってスクランブルしてもよい。端末固有の識別情報は、例えば、C-RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)、及び、MCS-C-RNTI(Modulation and Coding Scheme C-RNTI)といった情報の何れであってもよく、他の情報(例えば、他のRNTI)でもよい。他のRNTIは、例えば、URLLC向けに導入されるRNTIでもよい。
【0083】
符号化部104は、例えば、制御部101から入力される情報(例えば、符号化率に関する情報)に基づいて、下りリンクデータ、上位制御信号生成部102から入力されるビット列、又は、下りリンク制御情報生成部103から入力されるDCIビット列を符号化する。符号化部104は、符号化ビット列を変調部105へ出力する。
【0084】
変調部105は、例えば、制御部101から入力される情報(例えば、変調方式に関する情報)に基づいて、符号化部104から入力される符号化ビット列を変調して、変調後の信号(例えば、シンボル列)を信号割当部106へ出力する。
【0085】
信号割当部106は、制御部101から入力される無線リソースを示す情報に基づいて、変調部105から入力されるシンボル列(例えば、下りリンクデータ又は制御信号を含む)を無線リソースにマッピングする。信号割当部106は、信号がマッピングされた下りリンクの信号を送信部107に出力する。
【0086】
送信部107は、信号割当部106から入力される信号に対して、例えば、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)といった送信波形生成処理を行う。また、送信部107は、cyclic prefix(CP)を付加するOFDM伝送の場合には信号に対して逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理を行い、IFFT後の信号にCPを付加する。また、送信部107は、信号に対して、D/A変換、アップコンバートといったRF処理を行い、アンテナを介して端末200に無線信号を送信する。
【0087】
受信部108は、アンテナを介して受信された端末200からの上りリンク信号に対して、ダウンコバート又はA/D変換といったRF処理を行う。また、受信部108は、OFDM伝送の場合、受信信号に対して高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理を行い、得られる周波数領域信号を抽出部109へ出力する。
【0088】
抽出部109は、制御部101から入力される情報に基づいて、端末200が送信する上りリンク信号が送信された無線リソース部分を抽出し、抽出した無線リソース部分を復調部110へ出力する。
【0089】
復調部110は、制御部101から入力される情報に基づいて、抽出部109から入力される信号(例えば、上りリンクデータ)を復調する。復調部110は、例えば、復調結果を復号部111へ出力する。
【0090】
復号部111は、制御部101から入力される情報、及び、復調部110から入力される復調結果に基づいて、上りリンクデータの誤り訂正復号を行い、復号後の受信ビット系列を得る。
【0091】
[端末の構成]
図16は、本開示の一実施例に係る端末200の構成例を示すブロック図である。例えば、図16において、端末200は、受信部201と、抽出部202と、復調部203と、復号部204と、制御部205と、符号化部206と、変調部207と、信号割当部208と、送信部209と、を有する。
【0092】
受信部201は、基地局100からの下りリンク信号(例えば、下りリンクデータ又は下りリンク制御情報)を、アンテナを介して受信し、無線受信信号に対してダウンコバート又はA/D変換といったRF処理を行い、受信信号(ベースバンド信号)を得る。また、受信部201は、OFDM信号を受信する場合、受信信号に対してFFT処理を行い、受信信号を周波数領域に変換する。受信部201は、受信信号を抽出部202へ出力する。
【0093】
抽出部202は、制御部205から入力される、下りリンク制御情報の無線リソースに関する情報に基づいて、受信部201から入力される受信信号から、下りリンク制御情報が含まれ得る無線リソース部分を抽出し、復調部203へ出力する。また、抽出部202は、制御部205から入力されるデータ信号の無線リソースに関する情報に基づいて、下りリンクデータが含まれる無線リソース部分を抽出し、復調部203へ出力する。
【0094】
復調部203は、抽出部202から入力される信号を復調し、復調結果を復号部204へ出力する。
【0095】
復号部204は、復調部203から入力される復調結果に対して誤り訂正復号を行い、例えば、下りリンク受信データ、上位レイヤ制御信号、又は、下りリンク制御情報を得る。復号部204は、上位レイヤ制御信号及び下りリンク制御情報を制御部205へ出力し、下りリンク受信データを出力する。また、復号部204は、下りリンク受信データの復号結果に基づいて、応答信号(例えば、ACK/NACK又はHARQ-ACKとも呼ぶ)を生成してもよい。
【0096】
制御部205は、例えば、復号部204から入力される上位レイヤ制御信号情報に含まれるDCI受信に関する情報、RRC設定情報情報、及び、下りリンク制御情報に含まれる無線リソース割当に関する情報に基づいて、下りリンクデータ信号及び上りリンクデータ信号の少なくとも一つの無線リソースを決定する。制御部205は、例えば、決定した下りリンクデータ信号の無線リソースを示す情報を抽出部202へ出力し、決定した上りリンクデータ信号の無線リソースを示す情報を信号割当部208へ出力する。また、制御部205は、例えば、下りリンク制御情報に基づいて、上りリンク信号の送信に関する情報を決定し、決定した情報を、符号化部206へ出力してよい。
【0097】
符号化部206は、制御部205から入力される情報に基づいて、上りリンクデータ信号を符号化し、符号化ビット列を変調部207へ出力する。
【0098】
変調部207は、符号化部206から入力される符号化ビット列を変調し、変調後の信号(シンボル列)を信号割当部208へ出力する。
【0099】
信号割当部208は、制御部205から入力される情報に基づいて、変調部207から入力される信号を無線リソースへマッピングし、信号がマッピングされた上りリンク信号を送信部209へ出力する。
【0100】
送信部209は、信号割当部208から入力される信号に対して、例えば、OFDMといった送信信号波形生成を行う。また、送信部209は、CPを用いるOFDM伝送の場合、信号に対してIFFT処理を行い、IFFT後の信号にCPを付加する。または、送信部209は、シングルキャリア波形を生成する場合には、変調部207の後段又は信号割当部208の前段にDFT(Discrete Fourier Transform)部が追加されてもよい(図示せず)。また、送信部209は、送信信号に対してD/A変換及びアップコンバートといったRF処理を行い、アンテナを介して基地局100に無線信号を送信する。
【0101】
[基地局100及び端末200の動作例]
以上の構成を有する基地局100及び端末200における動作例について説明する。
【0102】
図17は、本実施の形態に係る端末200の動作の一例を示すフローチャートである。
【0103】
図17において、端末200は、例えば、時間リソースの割当パターンに関する情報を取得する(ST101)。時間リソースの割当パターンに関する情報は、例えば、上位レイヤパラメータ(例えば、RRCパラメータ)又はDCIといった制御信号によって基地局100から端末200に設定(換言すると、通知又は指示)されてもよく、規格に従って端末200に予め設定されてもよい。
【0104】
端末200は、例えば、DCIを含むPDCCHを受信する(ST102)。端末200は、例えば、DCI(例えば、TDRAフィールド)に含まれる時間リソース割当情報(例えば、割当パターンの何れか一つを示すインデックス)を取得する(ST103)。
【0105】
端末200は、例えば、データの送信又は受信を開始するシンボル位置を特定するための条件を満たすか否かを判定する(ST104)。例えば、端末200は、「条件A」及び「条件B」の何れを満たすかを判定してよい。なお、条件A及び条件Bの例については後述する。
【0106】
条件Aを満たす場合、端末200は、PDCCHを受信したシンボル位置に基づく基準に従って、データの送信又は受信を開始するシンボル位置を特定する(ST105)。
【0107】
条件Bを満たす場合、端末200は、スロットの先頭シンボル位置に基づく基準に従って、データの送信又は受信を開始するシンボル位置を特定する(ST106)。
【0108】
端末200は、特定したシンボル位置に基づいて、データの送信又は受信を行う(ST107)。
【0109】
[時間リソースの割当例]
次に、時間リソースの割当例について説明する。
【0110】
本実施の形態では、例えば、端末200は、Repetitionをサポートする。例えば、端末200は、PUSCHの繰り返し送信、及び、基地局100から繰り返し送信されるPDSCHの受信の少なくとも一方をサポートする。
【0111】
また、端末200が送信するPUSCHの時間リソース(例えば、「PUSCHリソース」とも呼ぶ)、又は、端末200が受信するPDSCHの時間リソース(例えば、「PDSCHリソース」とも呼ぶ)は、例えば、DCIに含まれるTDRAフィールドによって制御されてよい。
【0112】
例えば、時間リソースの割当パターンは、上位レイヤ(例えば、RRC)のシグナリングによって、基地局100から端末200へ複数設定されてよい。例えば、時間リソースの割当パターンには、各割当パターンを識別する情報(例えば、インデックス)が関連付けられてよい。基地局100は、DCIのTDRAフィールドにおいて、端末200に設定された複数の割当パターンのうち1つの割当パターン(例えば、インデックス)を端末200へ指示し、端末200に時間リソースを割り当てる。
【0113】
なお、端末200に設定される時間リソースの割当パターンには、例えば、スロットオフセット(例えば、Slot offset)、スロット内におけるデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置(例えば、Start symbol)、及び、シンボル数(例えば、Length)といったパラメータが含まれてよい。なお、割当パターンに含まれるパラメータは、これらに限らず、時間リソースに関する他のパラメータでもよい。例えば、PUSCHの繰り返し送信又はPDSCHの繰り返し受信の場合には、割当パターンには、繰り返し送信回数又は各繰り返し送信に対する時間リソースの割当に関するパラメータが含まれてよい。
【0114】
本実施の形態では、端末200は、例えば、以下に説明する動作例1-1、動作例1-2又は動作例1-3に基づいて、データに割り当てられる時間リソース(例えば、スロット内のシンボル位置)を特定してよい。
【0115】
<動作例1-1>
動作例1-1では、端末200は、DCIに基づいた時間リソースに対するPUSCH又はPDSCHの配置制御において、PUSCH送信又はPDSCH受信においてRepetitionが適用されるか否かに基づいて、時間リソースにPUSCH又はPDSCHを配置する位置の基準(例えば、reference point)を制御する。換言すると、端末200は、データに対するRepetitionの適用の有無に基づいて、時間リソースにPUSCH又はPDSCHを配置する位置の基準を切り替える。
【0116】
例えば、端末200は、PUSCHを繰り返し送信しない場合、又は、PDSCHを繰り返し受信しない場合、DCIが含まれるPDCCHを受信したスロット内シンボル位置に基づく基準に従って、スロット内のデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置を特定する。
【0117】
一方、例えば、端末200は、PUSCHを繰り返し送信する場合、又は、PDSCHを繰り返し受信する場合、スロットの先頭シンボルに基づく基準に従って、スロット内のデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置を特定する。
【0118】
換言すると、動作例1-1では、図17における条件Aは、端末200にRepetitionが適用されないことであり、条件Bは、端末200にRepetitionが適用されることである。
【0119】
なお、基地局100は、端末200に対してRepetitionが適用されない場合と、Repetitionが適用される場合とで、異なる割当パターンを通知してもよい。
【0120】
図18は、動作例1-1に係るPUSCHの時間リソースの割当例を示す。例えば、図18の上段は、端末200に対してRepetitionが適用されない場合に対応する時間リソースの割当パターン(例えば、TDRA table)及び時間リソースの割当例を示す。また、図18の下段は、端末200に対してRepetitionが適用される場合に対応する時間リソースの割当パターン(例えば、TDRA table)及び時間リソースの割当例を示す。
【0121】
図18に示すように、端末200に対してRepetitionが適用されない場合と、Repetitionが適用される場合とでは、同じ割当パターン(例えば、Index=0)に含まれるパラメータ(例えば、パラメータの値又は数)は異なってよい。
【0122】
例えば、図18の上段に示すように、端末200に対してRepetitionが適用されない場合、端末200は、DCIを含むPDCCHの受信シンボルに基づく基準に従って、PUSCHリソースに関する割当パターンに含まれるスロット内のデータを配置するシンボル位置を特定する。
【0123】
例えば、図18の上段では、端末200は、或るスロット内の第8シンボルにおいてPDCCHを受信する。また、図18の上段では、端末200は、受信したPDCCHに含まれるDCIのTDRAフィールドにおいてインデックス=0を指示されている。よって、図18の上段では、端末200は、PDCCHを受信したスロットの次のスロット(例えば、Slot offset=1)における第8シンボル(換言すると、他のスロットにおいてPDCCHを受信したシンボル位置に対応するシンボル位置)を、PUSCHを配置する位置の基準に決定する。そして、端末200は、例えば、PDCCHを受信したスロットの次のスロット内において、基準から2シンボル目(例えば、Start symbol=2)のシンボル位置である第10シンボルを、PUSCHの送信を開始する先頭シンボル位置に特定する。例えば、図18の上段では、シンボル長は4シンボル(Length=4)であるので、端末200は、スロット内の第10シンボル~第13シンボルの4シンボルにおいてPUSCHを送信する。
【0124】
また、例えば、図18の下段に示すように、端末200に対してRepetitionが適用される場合、端末200は、スロットの先頭シンボルに基づく基準に従って、PUSCHリソースに関する割当パターンに含まれるスロット内のデータを配置するシンボル位置を特定する。
【0125】
例えば、図18の下段では、端末200は、或るスロット内の第8シンボルにおいてPDCCHを受信する。また、図18の下段では、端末200は、受信したPDCCHに含まれるDCIのTDRAフィールドにおいてインデックス=0を指示されている。よって、図18の下段では、端末200は、PDCCHを受信したスロットの次のスロット(例えば、Slot offset=1)における第0シンボル(先頭シンボル)を、PUSCHを配置する位置の基準に決定する。そして、端末200は、例えば、PDCCHを受信したスロットの次のスロット内において、基準から10シンボル目(例えば、Start symbol=10)のシンボル位置である第10シンボルを、1回目の繰り返し送信におけるPUSCHの送信を開始する先頭シンボル位置に特定する。同様に、図18の下段では、端末200は、PDCCHを受信したスロットの2つ後(例えば、Slot offset=2)のスロットにおける第0シンボル(先頭シンボル)を、PUSCHを配置する位置の基準に決定する。そして、端末200は、例えば、PDCCHを受信したスロットの2つ後のスロット内において、基準から0シンボル目(例えば、Start symbol=0)のシンボル位置である第0シンボルを、2回目の繰り返し送信におけるPUSCHの送信を開始する先頭シンボル位置に特定する。例えば、図18の下段では、各繰り返し送信におけるシンボル長は4シンボル(Length=4)であるので、端末200は、PDCCHを受信したスロットの1つ後のスロット内の第10シンボル~第13シンボルの4シンボル、及び、2つ後のスロット内の第0シンボル~第3シンボルの4シンボルにおいてPUSCHを送信する。
【0126】
なお、図18では、PUSCHリソースの割当例について説明したが、PDSCHリソースの割当についても同様にして、Repetitionの適用の有無に応じて動作してよい。
【0127】
動作例1-1によれば、Repetitionが適用された際、スロットの先頭シンボルを基準に時間リソースが決定されるので、端末200は、例えば、特定されるデータの先頭シンボル位置が、時間リソースパターンのスロットオフセットで指示されたスロットと同一か否かを判定しなくてよい。よって、PUSCHに適用されるRepetitionが複数のスロットに亘って設定される場合でも(例えば、図18の下段)、端末200は、PUSCHの送信に使用可能な時間リソースを簡易に特定できる。
【0128】
また、例えば、スロット内のDLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されるシンボルは、例えば、スロット単位の情報であるSFIによって基地局100から端末200へ通知される。よって、PUSCHにRepetitionが適用される場合、端末200は、スロット単位のDLシンボル(又は、Flexibleシンボル)の設定と、スロット単位のPUSCHリソースの設定とを比較して、PUSCHリソースに含まれる各シンボルが使用可能か否かを判定できる。この判定により、端末200は、例えば、DCIによって割り当てられたPUSCHの時間リソースパターンにDLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されたシンボルが含まれる場合(図示せず)でも、PUSCHの送信に使用可能な時間リソースを簡易に特定できる。
【0129】
よって、動作例1-1によれば、端末200における時間リソースの特定に関する処理の複雑化を抑制できる。
【0130】
また、Repetitionが適用された際、スロットの先頭シンボルを基準に時間リソースが決定されるので、例えば、データの先頭シンボル位置の設定範囲は、0~13となり、例えば、図13に示す例のような上位レイヤ信号のオーバーヘッドの増加を抑制できる。
【0131】
また、動作例1-1によれば、Repetitionが適用されない場合、端末200は、PDCCH受信のシンボル位置に基づく基準に従ってPDSCH又はPUSCHの時間リソースを決定する。この割当により、例えば、同一シンボル長の割り当てを、1つの割当パターンによって設定可能となる。よって、動作例1-1によれば、例えば、DCIにおけるTDRAフィールドのビット数を低減できる。または、動作例1-1によれば、例えば、TDRAフィールドビット数が固定の場合には、別の時間リソースの割当パターンを設定できるので、時間リソース割当の柔軟性を向上できる。
【0132】
<動作例1-2>
動作例1-2では、端末200は、DCIに基づいた時間リソースに対するPUSCH又はPDSCHの配置制御において、繰り返し送信されるPUSCH又は繰り返し受信されるPDSCHが1つのスロットに割り当てられるか否かに基づいて、時間リソースにPUSCH又はPDSCHを配置する位置の基準(例えば、reference point)を制御する。換言すると、端末200は、Repetitionされるデータが割り当てられるスロット数に基づいて、時間リソースにPUSCH又はPDSCHを配置する位置の基準を切り替える。
【0133】
例えば、端末200は、繰り返し送信するPUSCHの時間リソース又は繰り返し受信するPDSCHの時間リソースが1スロット内に含まれる場合、DCIが含まれるPDCCHを受信したスロット内シンボル位置に基づく基準に従って、スロット内のデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置を特定する。
【0134】
一方、例えば、端末200は、繰り返し送信するPUSCHの時間リソース又は繰り返し受信するPDSCHの時間リソースが複数のスロットに亘って設定される場合、スロットの先頭シンボルに基づく基準に従って、スロット内のデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置を特定する。
【0135】
換言すると、動作例1-2では、図17における条件Aは、Repetitionされるデータが1つのスロットに割り当てられることであり、条件Bは、Repetitionされるデータが複数のスロットに割り当てられることである。
【0136】
なお、基地局100は、Repetitionされるデータが1スロットに割り当てられる場合と、Repetitionされるデータが複数のスロットに割り当てられる場合とで、異なる割当パターンを通知してもよい。
【0137】
図19は、動作例1-2に係るPUSCHリソースの割当例を示す。例えば、図19の上段は、RepetitionされるPUSCHの時間リソースが1スロット内に含まれる場合に対応する時間リソースの割当パターン(例えば、TDRA table)及び時間リソースの割当例を示す。また、図19の下段は、RepetitionされるPUSCHの時間リソースが複数のスロットに亘って設定される場合に対応する時間リソースの割当パターン(例えば、TDRA table)及び時間リソースの割当例を示す。
【0138】
図19に示すように、RepetitionされるPUSCHの時間リソースが1スロット内に含まれる場合と、RepetitionされるPUSCHの時間リソースが複数のスロットに亘って設定される場合とでは、同じ割当パターン(例えば、Index=0)に含まれるパラメータ(例えば、パラメータの値)は異なってよい。
【0139】
例えば、図19の上段では、端末200は、DCIを含むPDCCHの受信シンボルに基づく基準に従って、PUSCHリソースに関する割当パターンに含まれるスロット内のデータを配置するシンボル位置を特定する。
【0140】
例えば、図19の上段では、端末200は、或るスロット内の第4シンボルにおいてPDCCHを受信する。また、図19の上段では、端末200は、受信したPDCCHに含まれるDCIのTDRAフィールドにおいてインデックス=0を指示されている。よって、図19の上段では、端末200は、PDCCHを受信したスロットの次のスロット(例えば、Slot offset=1)における第4シンボル(換言すると、他のスロットにおいてPDCCHを受信したシンボル位置に対応するシンボル位置)を、PUSCHを配置する位置の基準に決定する。そして、端末200は、例えば、PDCCHを受信したスロットの次のスロット内において、基準から2シンボル目(例えば、Start symbol=2)のシンボル位置である第6シンボルを、1回目の繰り返し送信におけるPUSCHの送信を開始する先頭シンボル位置に特定する。同様に、図19の上段では、端末200は、PDCCHを受信したスロットの次のスロット(例えば、Slot offset=1)において、基準から6シンボル目(例えば、Start symbol=6)のシンボル位置である第10シンボルを、2回目の繰り返し送信におけるPUSCHの送信を開始する先頭シンボル位置に特定する。例えば、図19の上段では、各繰り返し送信におけるシンボル長は4シンボル(length=4)であるので、端末200は、PDCCHを受信したスロットの1つ後のスロット内の第6シンボル~第13シンボルの8シンボルにおいてPUSCHを送信する。
【0141】
また、例えば、図19の下段では、端末200は、スロットの先頭シンボルに基づく基準に従って、PUSCHリソースに関する割当パターンに含まれるスロット内のデータを配置するシンボル位置を特定する。
【0142】
例えば、図19の下段では、端末200は、或るスロット内の第8シンボルにおいてPDCCHを受信する。また、図19の下段では、端末200は、DCIのTDRAフィールドにおいてインデックス=0を指示されている。よって、図19の下段では、端末200は、PDCCHを受信したスロットの次のスロット(例えば、Slot offset=1)における第0シンボル(先頭シンボル)を、PUSCHを配置する位置の基準に決定する。そして、端末200は、例えば、PDCCHを受信したスロットの次のスロット内において、基準から10シンボル目(例えば、Start symbol=10)のシンボル位置である第10シンボルを、1回目の繰り返し送信におけるPUSCHの送信を開始する先頭シンボル位置に特定する。同様に、図19の下段では、端末200は、PDCCHを受信したスロットの2つ後(例えば、Slot offset=2)のスロットにおける第0シンボル(先頭シンボル)を、PUSCHを配置する位置の基準に決定する。そして、端末200は、例えば、PDCCHを受信したスロットの2つ後のスロット内において、基準から0シンボル目(例えば、start symbol=0)である第0シンボルを、2回目の繰り返し送信におけるPUSCHの送信を開始する先頭シンボル位置に特定する。例えば、図19の下段では、各繰り返し送信におけるシンボル長は4シンボル(length=4)であるので、端末200は、PDCCHを受信したスロットの1つ後のスロット内の第10シンボル~第13シンボルの4シンボル、及び、2つ後のスロット内の第0シンボル~第3シンボルの4シンボルにおいてPUSCHを送信する。
【0143】
なお、図19では、PUSCHリソースの割当例について説明したが、PDSCHリソースの割当についても同様にして、Repetitionされるデータが割り当てられるスロットに応じて動作してよい。
【0144】
動作例1-2によれば、Repetitionされたデータが複数のスロットに亘って割り当てられる場合、スロットの先頭シンボルを基準に時間リソースが決定されるので、端末200は、例えば、特定されるデータの先頭シンボル位置が、時間リソースパターンのスロットオフセットで指示されたスロットと同一か否かを判定しなくてよい。よって、PUSCHに適用されるRepetitionが複数のスロットに亘って設定される場合でも(例えば、図19の下段)、端末200は、PUSCHの送信に使用可能な時間リソースを簡易に特定できる。
【0145】
また、例えば、スロット内のDLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されるシンボルは、例えば、スロット単位の情報であるSFIによって基地局100から端末200へ通知される。よって、RepetitionされるPUSCHが複数のスロットに割り当てられる場合、端末200は、スロット単位のDLシンボル(又は、Flexibleシンボル)の設定と、スロット単位のPUSCHリソースの設定とを比較して、PUSCHリソースに含まれる各シンボルが使用可能か否かを判定できる。この判定により、端末200は、例えば、DCIによって割り当てられたPUSCHの時間リソースパターンにDLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されたシンボルが含まれる場合(図示せず)でも、PUSCHの送信に使用可能な時間リソースを簡易に特定できる。
【0146】
よって、動作例1-2によれば、端末200における時間リソースの特定に関する処理の複雑化を抑制できる。
【0147】
また、Repetitionされるデータが複数のスロットに亘って割り当てられる場合、スロットの先頭シンボルを基準に時間リソースが決定されるので、例えば、データの先頭シンボル位置の設定範囲は、0~13となり、例えば、図13に示す例のような上位レイヤ信号のオーバーヘッドの増加を抑制できる。
【0148】
また、動作例1-2によれば、Repetitionされるデータが1つのスロットに割り当てられる場合、端末200は、PDCCH受信のシンボル位置に基づく基準に従ってPDSCH又はPUSCHの時間リソースを決定する。この割当により、例えば、同一シンボル長の割り当てを、1つの割当パターンによって設定可能となる。よって、動作例1-2によれば、例えば、DCIにおけるTDRAフィールドのビット数を低減できる。または、動作例1-2によれば、例えば、TDRAフィールドビット数が固定の場合には、別の時間リソースの割当パターンを設定できるので、時間リソース割当の柔軟性を向上できる。
【0149】
<動作例1-3>
動作例1-3では、端末200は、DCIが含まれるPDCCHを受信したスロット内シンボル位置に基づく基準に従って、時間リソースの割当パターンに含まれるパラメータにおけるスロット内の先頭シンボル位置を特定する。
【0150】
また、動作例1-3では、端末200は、PDCCHをスロット内の特定のシンボルにおいて受信した場合に、Repetition(例えば、PUSCHの繰り返し送信又はPDSCHの繰り返し受信)を適用する。
【0151】
例えば、端末200は、PDCCH(例えば、DCI)をスロット内の特定のシンボルにおいて受信する条件を満たす場合、当該スロット内においてDCIを受信したシンボルの位置に対応する、PUSCH又はPDSCHに割り当てられたスロット内のシンボル位置を、RepetitionされるPUSCH又はPDSCHに対する基準に決定する。
【0152】
一方、端末200は、PDCCHをスロット内の特定のシンボルと異なるシンボルにおいて受信した場合に、Repetitionを適用しない。
【0153】
「特定のシンボル」は、例えば、各スロットの先頭シンボルを含む少なくとも1つのシンボルでもよい。又は、「特定のシンボル」は、例えば、各スロットの先頭シンボル付近の少なくとも1つのシンボルでもよい。
【0154】
動作例1-3によれば、端末200が特定のシンボルにおいてPDCCHを受信した場合にRepetitionが適用される。例えば、特定のシンボルが各スロットの先頭シンボルを含むシンボルの場合、PDCCHの受信シンボルには、スロットの先頭シンボルが含まれ得る。よって、この場合、PDCCHを受信したスロット内シンボル位置に基づく基準は、スロットの先頭シンボルに基づく基準と等しいので、Repetition時には、例えば、動作例1-1と同様の効果が得られる。
【0155】
なお、動作例1-3において、端末200は、例えば、PDCCHを特定のシンボルで受信した場合に、複数のスロットに亘って設定されるPUSCHの繰り返し送信又はPDSCHの繰り返し受信を適用してもよい。例えば、端末200は、PDCCH(例えば、DCI)をスロット内の特定のシンボルにおいて受信する条件を満たす場合、当該スロット内においてDCIを受信したシンボルの位置に対応する、PUSCH又はPDSCHに割り当てられたスロット内のシンボル位置を、複数のスロットに亘ってRepetitionされるPUSCH又はPDSCHに対する基準に決定する。この動作により、複数のスロットに亘ってデータがRepetitionされる場合に、例えば、動作例1-2と同様の効果が得られる。
【0156】
以上、動作例1~3について説明した。
【0157】
以上より、本実施の形態では、端末200は、例えば、受信したDCIに基づいた時間リソースに対するデータの配置制御において、或る条件に基づいて、時間リソースにデータを配置する位置の基準を制御する。この制御により、端末200は、例えば、データが割り当てられる時間リソース又はRepetitionの適用に応じて、データを配置する位置の基準を切り替えることにより、例えば、端末200における時間リソースの特定に関する処理の複雑化を抑制できる。よって、本実施の形態によれば、例えば、URLLC等の無線通信における信号の割当効率を向上できる。
【0158】
[実施の形態1の変形例]
実施の形態1では、例えば、Repetitionが適用される場合、端末200は、スロットの先頭シンボルを基準として、スロット内におけるデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置を特定する。
【0159】
このとき、端末200がDCIを1スロット内において複数回受信可能な場合、PDCCHを受信するタイミングによっては、端末200に設定された時間リソースの割当パターンのうち1つ又は複数の割当パターンは、PUSCH又はPDSCHの割り当てに有効ではないパターンである可能性がある。
【0160】
一例として、図8に示すようなPDSCHリソースの割当パターンが設定され、端末200がスロット内の第0シンボル、第4シンボル、及び、第8シンボルの何れかにおいてPDCCHを受信可能な場合を想定する。この場合、スロット内の第4シンボルにおいて受信されるPDCCHに含まれるDCIでは、PDCCHの受信タイミングより後の受信タイミングに対応するIndex=1(例えば、Start symbol=6)、又は、Index=2(例えば、Start symbol=10)によるPDSCHの割り当ては有効である。一方、PDCCHの受信タイミングより前の受信タイミングに対応するIndex=0(例えば、Start symbol=2)によるPDSCHの割り当ては有効ではない。
【0161】
また、PUSCH送信では、端末200がDCIを受信してからPUSCHを生成するまでの処理時間に相当する期間(例えば、「N2シンボル」)が設定され得る。一例として、N2=16シンボルとし、図9に示すようなPUSCHリソースの割当パターンが設定され、端末200がスロット内の第0シンボル、第4シンボル、及び、第8シンボルの何れかにおいてPDCCHを受信可能な場合を想定する。この場合、スロット内の第4シンボルにおいて受信されるPDCCHに含まれるDCIでは、PDCCHの受信タイミングからN2(=16)シンボル以降のPUSCHの送信タイミングに対応するIndex=1(例えば、Start symbol=6)又はIndex=2(例えば、Start symbol=10)によるPUSCHの割り当ては有効である。一方、PDCCHの受信タイミングからN2(=16)シンボルより前のPUSCHの送信タイミングに対応するIndex=0(例えば、Start symbol=2)によるPUSCHの割り当ては有効ではない。
【0162】
ところで、PUSCH repetitionでは、前述した通り、DLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されるシンボルにおいて端末200はPUSCHを送信できない。そのため、DCIによって割り当てられたPUSCHの時間リソースパターンに、DLシンボル(又はFlexibleシンボル)に設定されるシンボルが含まれる場合、端末200は、例えば、当該シンボルに割り当てられるPUSCHの送信のドロップ(換言すると、非送信)、又は、次の送信機会(例えば、上りリンクシンボル)までの送信延期を決定し得る。
【0163】
なお、これらのPUSCH送信を行えないシンボルは、例えば、「無効シンボル(Invalid symbol)」と呼ばれることもある。
【0164】
実施の形態1の変形例では、例えば、PUSCH repetitionの適用時に、端末200がPDCCHを受信してからN2(例えば、N2=16)シンボルより前のPUSCHリソースを割り当てることを許容する。また、端末200は、例えば、端末200がPDCCHを受信してからN2シンボルより前のPUSCHリソースに相当するシンボル(又は、当該シンボルを含むPUSCHリソースの単位)を無効シンボルと判断してよい。
【0165】
例えば、端末200は、無効シンボルと判断したシンボルに割り当てられるPUSCHの送信をドロップしてもよく、次の送信機会(例えば、上りリンクシンボル)までPUSCHの送信を延期してもよい。
【0166】
図20は、実施の形態1の変形例における時間リソースの割当例を示す。図20では、N2=16シンボルとし、端末200はPDCCHを受信してからN2=16シンボル後からPUSCHを送信可能である。また、一例として、図20(a)、(b)及び(c)の何れのDCIにおいてもIndex=0が通知される。なお、N2は、16シンボルに限らず、他のシンボル数でもよい。
【0167】
また、図20では、例えば、PUSCH repetitionでは、TDRAフィールにおいて1回目のPUSCH repetitionの時間リソースの割当が通知され、2回目以降のRepetitionの時間リソースの割り当ては、1回目のPUSCH repetitionと同じシンボル数のPUSCHを連続するシンボルの送信が割り当てられている。なお、図20に示す例では、Repetition回数は2回であるが、Repetition回数は3回以上でもよい。
【0168】
例えば、図20(a)のように、端末200が或るスロットの第0シンボルにおいてPDCCHを受信する場合、次のスロット(例えば、Slot offset=1)の第2シンボル(例えば、Start symbol=2)は、PDCCHを受信してからN2=16シンボル後である。よって、図20(a)では、端末200は、TDRAフィールドによって通知されたPUSCHの時間リソースを用いてPUSCH送信を開始する。
【0169】
一方、例えば、図20(b)のように、端末200が或るスロットの第4シンボルにおいてPDCCHを受信する場合、次のスロット(例えば、Slot offset=1)の第2シンボル(例えば、Start symbol=2)は、PDCCHを受信してからN2=16シンボルより前であり、無効シンボルである。よって、図20(b)では、端末200は、例えば、PUSCHの送信延期を決定して、N2=16シンボル後の有効シンボル(例えば、第6シンボル以降)においてPUSCHを送信してよい。なお、図20(b)において、端末200は、無効シンボルにおけるPUSCHのドロップを決定してもよい。
【0170】
同様に、例えば、図20(c)のように、端末200が或るスロットの第8シンボルにおいてPDCCHを受信する場合、次のスロット(例えば、Slot offset=1)の第2シンボル(例えば、Start symbol=2)は、PDCCHを受信してからN2=16シンボルより前であり、無効シンボルである。よって、図20(c)では、端末200は、例えば、PUSCHの送信延期を決定して、N2=16シンボル後の有効シンボル(例えば、第10シンボル以降)においてPUSCHを送信してよい。なお、図20(c)において、端末200は、無効シンボルにおけるPUSCHのドロップを決定してもよい。
【0171】
実施の形態1の変形例において、無効シンボルは、例えば、端末200がPDCCHを受信してからN2シンボルより前のシンボルでもよい。
【0172】
また、無効シンボルは、例えば、端末200がPDCCHを受信してからN2シンボルより前のシンボルが含まれるPUSCHリソースの割当単位(例えば、TDRAフィールドにおいて通知されるPUSCHリソースの単位)でもよい。
【0173】
または、無効シンボルは、例えば、端末200がPDCCHを受信してからN2(=16)シンボルより前のシンボルが含まれるDMRSとPUSCHとの組でもよい。換言すると、PUSCHリソースの割当単位のうち、端末200がPDCCHを受信してからN2シンボルより前のシンボルを除いたシンボルに、DMRSが含まれない場合、PUSCHリソースの割当単位全体を無効シンボルに設定してもよい。
【0174】
実施の形態1の変形例によれば、端末200は、端末200におけるデータの処理時間に相当する期間(例えば、N2)内に、時間リソースにおいてデータが割り当てられるシンボルが含まれる場合、データのドロップ、又は、データの送信延期を決定する。この処理により、端末200は、例えば、端末200がPDCCHを受信するタイミングに依らず、端末200に設定された時間リソースの割当パターンを用いることができる。このため、DCIにおけるTDRAフィールドのビット数を低減できる。または、時間リソースをより柔軟に割り当てることができる。
【0175】
なお、実施の形態1の変形例は、PUSCH repetitionに限らず、PDSCH repetitionに適用してもよい。PDSCH repetitionの場合、例えば、PDCCH受信より前の時間リソースを無効シンボルに設定してもよい。
【0176】
(実施の形態2)
PUSCH送信の高度化において、上述したように、DLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されたシンボルでは、端末はPUSCHを送信できない。そのため、端末は、例えば、DCIによって割り当てられたPUSCHの時間リソースパターンに、DLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されたシンボルが含まれる場合、当該シンボルのPUSCH送信のドロップ、又は、次の送信機会(例えば、上りリンクシンボル)までPUSCH送信の延期を決定し得る。また、端末は、スロット内のDLシンボルの位置を、例えば、SFIの通知によって特定できる。
【0177】
また、上りリンク(UL:Uplink)シンボルにおいても、端末は、当該端末又は他の端末が上りリンク制御チャネル(例えば、PUCCH:Physical Uplink Control Channel)又は参照信号(例えば、SRS:Sounding Reference Signal)を送信するシンボルにおいて、PUSCHを送信できない。
【0178】
しかしながら、端末は、PUSCHを送信できないシンボル(換言すると、上りリンクデータの送信が許容されないシンボル。以下、「無効ULシンボル」と呼ぶ)の位置を、例えば、SFIによって特定できない。
【0179】
そこで、本実施の形態では、無効ULシンボル位置を端末が特定する方法について説明する。
【0180】
本実施の形態に係る基地局及び端末の構成は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200の構成と共通でよい。
【0181】
本実施の形態では、例えば、端末200は、PUSCHの繰り返し送信(換言すると、Repetition)をサポートする。
【0182】
また、端末200が送信するPUSCHの時間リソース(例えば、PUSCHリソース)は、例えば、DCIのTDRAフィールドによって制御される。例えば、時間リソースの割当パターンが、上位レイヤのシグナリングによって、端末200に複数設定される。また、DCIのTDRAフィールドによって、端末200に設定された複数の割当パターンのうち1つの割当パターンが基地局100から端末200に指示されることにより、端末200にPUSCHリソースが割り当てられる。
【0183】
なお、端末200に設定される時間リソースの割当パターンには、例えば、スロットオフセット(Slot offset)、スロット内においてデータの送信又は受信を開始する先頭シンボル位置(Start symbol)、及び、シンボル数(Length)といったパラメータが含まれてよい。また、割当パターンには、例えば、PUSCHの繰り返し送信、又は、PDSCHの繰り返し受信が適用される場合には、繰り返し送信回数又は各繰り返し送信に対する時間リソース割当が含まれてもよい。
【0184】
また、本実施の形態では、基地局100は、例えば、無効ULシンボル位置に関する情報を端末200へ通知する。無効ULシンボル位置に関する情報は、例えば、DCI(例えば、1つの割当パターンを含むDCI)によって端末200へ指示されてよい。また、無効ULシンボル位置に関する情報は、TDRAフィールドと異なるフィールドにおいて通知されてもよく、TDRAフィールドにおいて通知される時間リソースの割当パターンに含まれてもよい。
【0185】
また、本実施の形態では、スロット内においてデータを送信開始する先頭シンボル位置と、スロット内における無効ULシンボル位置とでは、シンボル位置を特定するための基準が異なる。
【0186】
例えば、端末200は、例えば、DCIが含まれるPDCCHを受信したスロット内シンボル位置に基づく基準に従って、時間リソースの割当パターンに含まれるパラメータにおけるスロット内の先頭シンボル位置を特定する。一方、端末200は、例えば、スロットの先頭シンボルに基づく基準に従って、無効ULシンボル位置を特定する。
【0187】
図21は、仮に、端末200がPDCCHを受信したスロット内のシンボル位置に基づく基準に従って無効ULシンボル位置を特定する場合の時間リソースの割当例を示す。
【0188】
一方、図22は、本実施の形態に係る時間リソースの割当例を示す。換言すると、図22は、スロットの先頭シンボルを基準として無効ULシンボル位置を特定する場合の時間リソースの割当例を示す。
【0189】
図21及び図22の双方とも、例えば、PUSCHリソースは、PDCCHを受信したスロット内シンボル位置に基づいて、PUSCHを配置する位置の基準が決定される。例えば、端末200は、DCIに基づいてPUSCHの時間リソースを特定する際、或るスロットにおいてDCIを受信したシンボル位置(例えば、第0シンボル又は第4シンボル)に対応する、PUSCHが割り当てられるスロット(例えば、Slot offset=1に対応する次のスロット)内のシンボル位置を、PUSCHが配置される位置に対する基準に決定する。
【0190】
また、図21及び図22は、無効ULシンボル(例えば、invalid UL symbol)のPUSCH送信がドロップされる例を示す。
【0191】
例えば、図21に示すように無効ULシンボル位置に対する基準を、PDCCHを受信したシンボル位置に基づく基準とする場合、例えば、割当パターンに含まれるStart symbolが同一の場合には、PDCCHの受信タイミング(図21では、第0シンボル及び第4シンボル)が異なると、特定される無効ULシンボル位置は異なる。このため、図21に示すように、1つ無効ULシンボル位置(例えば、図21では第6シンボル)を通知するための割当パターンは、PDCCHの受信タイミング毎に設定され得る。換言すると、図21では、同一位置の無効ULシンボル位置に対して、複数の割当パターンが設定されるので、割当パターンを設定するための上位レイヤ信号のオーバーヘッドが増加し得る。
【0192】
これに対して、図22では、端末200は、無効ULシンボル位置を特定する場合には、PUSCHが割り当てられるスロットの先頭シンボル位置を、無効ULシンボルが配置される位置に対する基準に決定する。例えば、図22に示すように、PDCCHの受信タイミング(図22では、第0シンボル及び第4シンボル)が異なる場合でも、1つの割当パターン(例えば、図22では、Index=0)によって、端末200は、無効ULシンボル位置(例えば、第6シンボル)を特定できる。換言すると、図22では、PDCCHの受信タイミングに依らず、1つの無効ULシンボル位置を通知するために1つの割当パターンが設定される。
【0193】
このように、本実施の形態では、端末200は、基地局100から通知されるPDCCH(例えば、DCI)のうち、PUSCHが配置される位置に関する情報に基づく場合(例えば、第1条件)には、PDCCH受信シンボル位置に基づく基準に従ってPUSCHリソースを特定し、無効ULシンボル位置に関する情報に基づく場合(例えば、第2条件)には、スロットの先頭シンボル位置に基づく基準に従って無効ULシンボル位置を特定する。
【0194】
この処理により、本実施の形態によれば、基地局100から端末200に対して、PDCCH受信タイミングに依らずに、無効ULシンボル位置を通知できるので、無効ULシンボル位置の通知のためのパターンを削減できる。
【0195】
(実施の形態3)
Release 16のURLLCでは、例えば、ミニスロット単位の繰り返し送信又はスロット間のリソース割当を柔軟に設定できるPUSCH送信の高度化が検討されている。これに対して、下りリンクについては、Release 15の動作の適用が検討されている。
【0196】
このため、下りリンクについては、ミニスロット単位の繰り返し送信又はスロット間のリソース割当を柔軟に設定する方法は適用されない可能性がある。
【0197】
そこで、本実施の形態では、下りリンク及び上りリンクそれぞれに応じた時間リソースの割当方法について説明する。
【0198】
本実施の形態に係る基地局及び端末の構成は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200の構成と共通でよい。
【0199】
例えば、端末200は、DCIに基づいた時間リソースに対するPUSCH又はPDSCHの配置制御において、割当対象のデータがPUSCHであるか、PDSCHであるかに基づいて、時間リソースにPUSCH又はPDSCHを配置する位置の基準を制御する。換言すると、端末200は、データがPUSCHであるか、PDSCHであるかに基づいて、時間リソースにPUSCH又はPDSCHを配置する位置の基準を切り替える。
【0200】
例えば、端末200は、PDSCHの時間リソースが割り当てられる場合、DCIが含まれるPDCCHを受信したスロット内シンボル位置に基づく基準に従って、スロット内のPDSCHの受信を開始する先頭シンボル位置を特定する。
【0201】
一方、端末200は、例えば、PUSCHの時間リソースが割り当てられる場合、スロットの先頭シンボルに基づく基準に従って、スロット内のPUSCHの送信を開始する先頭シンボル位置を特定する。
【0202】
換言すると、本実施の形態では、図17における条件Aは、PDSCHの時間リソースが割り当てられること(例えば、下りリンクの場合)であり、条件Bは、PUSCHの時間リソースが割り当てられること(例えば、上りリンクの場合)である。
【0203】
なお、基地局100は、PDSCHの時間リソース割当の場合と、PUSCHの時間リソース割当の場合とで、異なる割当パターンを通知してもよい。
【0204】
本実施の形態によれば、PUSCH送信の場合、スロットの先頭シンボルを基準に時間リソースが決定されるので、端末200は、例えば、特定されるデータの先頭シンボル位置が、時間リソースパターンのスロットオフセットで指示されたスロットと同一か否かを判定しなくてよい。よって、PUSCHに適用されるRepetitionが複数のスロットに亘って設定される場合でも、端末200は、PUSCHの送信に使用可能な時間リソースを簡易に特定できる。
【0205】
また、例えば、スロット内のDLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されるシンボルは、例えば、スロット単位の情報であるSFIによって基地局100から端末200へ通知される。よって、Repetitionが適用され得るPUSCH送信の場合、端末200は、スロット単位のDLシンボル(又は、Flexibleシンボル)の設定と、スロット単位のPUSCHリソースの設定とを比較して、PUSCHリソースに含まれる各シンボルが使用可能か否かを判定できる。この判定により、端末200は、例えば、DCIによって割り当てられたPUSCHの時間リソースパターンにDLシンボル(又は、Flexibleシンボル)に設定されたシンボルが含まれる場合(図示せず)でも、PUSCHの送信に使用可能な時間リソースを簡易に特定できる。
【0206】
よって、本実施の形態によれば、端末200における時間リソースの特定に関する処理の複雑化を抑制できる。
【0207】
また、Repetitionが適用され得るPUSCH送信の際、スロットの先頭シンボルを基準に時間リソースが決定されるので、例えば、データの先頭シンボル位置の設定範囲は、0~13となり、例えば、図13に示す例のような上位レイヤ信号のオーバーヘッドの増加を抑制できる。
【0208】
また、本実施の形態によれば、Repetitionが適用され得ないPDSCH送信の場合、端末200は、PDCCH受信のシンボル位置に基づく基準に従ってPDSCHの時間リソースを決定する。この割当により、例えば、同一シンボル長の割り当てを、1つの割当パターンによって設定可能となる。よって、本実施の形態によれば、例えば、DCIにおけるTDRAフィールドのビット数を低減できる。または、本実施の形態によれば、例えば、TDRAフィールドビット数が固定の場合には、別の時間リソースの割当パターンを設定できるので、時間リソース割当の柔軟性を向上できる。
【0209】
以上、本開示の一実施例に係る各実施の形態について説明した。
【0210】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態では、DCIによって時間リソースが制御される場合に、スロット内においてデータの送信又は受信を開始する位置を、スロット先頭を基準に特定するか、PDCCH受信のシンボル位置を基準に特定するかを、条件によって切り替えることにより、端末200における時間リソースの特定に関する処理の複雑さを低減する方法について説明した。しかし、データを配置する位置の基準を切り替える条件は、上述した各実施の形態において説明した条件に限らず、他の条件でもよい。
【0211】
例えば、PDSCHの時間リソース割当に対しては、応答信号(例えば、ACK/NACK又はHARQ-ACKとも呼ばれる)の送信方法(換言すると、HARQ codebook)の違いを条件に設定してもよい。例えば、Type-1(準静的) codebookでは、スロット先頭を基準とし、Type-2(動的)codebookでは、PDCCH受信のシンボル位置を基準としてもよい。
【0212】
また、例えば、PDSCHの時間リソース割当に対しては、スケジューリング方法の違いを条件に設定してもよい。例えば、Semi-Persistent Scheduling(SPS)では、スロットの先頭を基準とし、Dynamic schedulingでは、PDCCH受信のシンボル位置を基準としてもよい。
【0213】
また、データを配置する位置の基準を切り替える条件は、これらに限定されず、他の条件でもよい。
【0214】
また、本開示の一実施例において、端末200がスロット内の第nシンボルにおいてPDCCHを受信した場合、PUSCHの送信又はPDSCHの受信を開始するスロット内シンボル位置は、n+Sと表してよい。ここで、Sは上述したDCIのTDRAフィールドにおいて通知される値(例えば、start symbol)に相当する。例えば、スロット先頭を基準とする場合は、PDCCHの受信タイミングに依らず、n=0となる。
【0215】
また、上記実施の形態では、データ(例えば、下りリンクデータ又は上りリンクデータ)に対する時間リソースの割当方法について説明したが、時間リソースの割当対象は、データに限定されない。例えば、参照信号(例えば、復調用参照信号(DMRS:Demodulation Reference Signal)、チャネル状態推定用参照信号(CSI-RS: Channel State Information RS)、SRS)に対する時間リソースの割当に、本開示の一実施例を適用してもよい。
【0216】
また、上記実施の形態では、端末がDCIを含むPDCCHを受信するシンボルが1シンボルである場合について説明したが、これに限定されず、端末がDCIを含むPDCCHを受信するシンボルが複数シンボルでもよい。端末がDCIを含むPDCCHを受信するシンボルが複数シンボルの場合、端末200は、当該複数のシンボルのうち、何れか一つのシンボル(例えば、先頭(又は開始)シンボル)の位置に基づいて、データを配置する基準を決定してもよい。
【0217】
また、上記実施の形態では、端末から基地局へ信号を送信する上りリンクの通信、又は、基地局から端末へ信号を送信する下りリンクの通信を想定した。しかし、本開示の一実施例は、これに限らず、端末同士の通信(例えば、sidelinkの通信)に適用されてもよい。
【0218】
また、下りリンク制御チャネル、下りリンクデータチャネル、上りリンク制御チャネル、及び、上りリンクデータチャネルは、それぞれ、PDCCH、PDSCH、PUCCH、及び、PUSCHに限らず、他の名称の制御チャネルでもよい。
【0219】
また、時間リソースの単位は、上記各実施の形態において説明した時間リソース(例えば、スロット又はサブスロット)に限定されず、他の時間リソース単位(例えば、サブフレーム又はフレーム等)でもよい。
【0220】
上記各実施の形態では、スロット(換言すると、単位時間区間)の構成シンボル数が14シンボルの場合について説明したが、スロットの構成シンボル数は、14シンボルに限らず、他のシンボル数(例えば、12シンボル)でもよい。また、上記各実施の形態において示した信号(例えば、PDCCH、PDSCH又はPUSCH)、又は、無効シンボル(又は、無効ULシンボル)の配置位置は一例であり、他の位置に配置されてもよい。
【0221】
また、本開示の一実施例において説明した実施の形態1(例えば、動作例1-1、動作例1-2、動作例1-3、及び変形例)、実施の形態2、及び、実施の形態3の少なくとも2つを組み合わせてもよい。
【0222】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0223】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0224】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0225】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0226】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0227】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0228】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0229】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0230】
本開示の一実施例に係る端末は、下りリンクの制御情報を受信する受信回路と、前記制御情報に基づいた時間リソースに対するデータの配置制御において、或る条件に基づいて、前記時間リソースに前記データを配置する位置の基準を制御する制御回路と、を具備する。
【0231】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、第1の条件を満たす場合、前記時間リソースの第1の単位区間内において前記制御情報を受信したシンボルの位置に対応する、第2の単位区間におけるシンボル位置を前記基準に決定し、第2の条件を満たす場合、前記第2の単位区間の先頭シンボル位置を前記基準に決定する。
【0232】
本開示の一実施例において、前記第1の条件は、前記データに対してレピティションが適用されないことであり、前記第2の条件は、前記データに対してレピティションが適用されることである。
【0233】
本開示の一実施例において、前記第1の条件は、レピティションされる前記データが1つの前記第2の単位区間に割り当てられることであり、前記第2の条件は、レピティションされる前記データが前記第2の単位区間と前記第2の単位区間に続く第3の単位区間とに亘って割り当てられることである。
【0234】
本開示の一実施例において、前記第1の条件は、前記データが下りリンクデータであることであり、前記第2の条件は、前記データが上りリンクデータであることである。
【0235】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記制御情報を前記時間リソースにおける第1の単位区間内の或るシンボルにおいて受信したことであり、前記制御回路は、前記条件を満たす場合、前記第1の単位区間内において前記制御情報を受信した前記シンボルの位置に対応する、前記時間リソースにおける第2の単位区間内のシンボル位置を、前記第2の単位区間内においてレピティションされる前記データに対する前記基準に決定する。
【0236】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記制御情報を前記時間リソースにおける第1の単位区間内の或るシンボルにおいて受信したことであり、前記制御回路は、前記条件を満たす場合、前記第1の単位区間内において前記制御情報を受信した前記シンボルの位置に対応する、前記時間リソースにおける第2の単位区間内のシンボル位置を、前記第2の単位区間と前記第2の単位区間に続く第3の単位区間とに亘ってレピティションされる前記データに対する前記基準に決定する。
【0237】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記データの処理時間に相当する期間内に、前記時間リソースにおいて前記データが割り当てられるシンボルが含まれる場合、前記データの非送信、又は、前記データの送信延期を決定する。
【0238】
本開示の一実施例において、前記制御情報は、前記時間リソースにおいて前記データが配置される第1の位置に関する第1の情報、及び、前記データの送信が許容されない第2の位置に関する第2の情報を含み、前記条件は、前記第1の情報に基づく第1の条件、及び、前記第2の情報に基づく第2の条件を含み、前記制御回路は、前記第1の条件を満たす場合には、前記時間リソースにおける第1の単位区間内において前記制御情報を受信したシンボルの位置に対応する、前記時間リソースにおける第2の単位区間内のシンボル位置を、前記第1の位置に対する前記基準に決定し、前記第2の条件を満たす場合には、前記第2の単位区間の先頭シンボル位置を前記第2の位置に対する前記基準に決定する。
【0239】
本開示の一実施例に係る通信方法において、端末は、下りリンクの制御情報を受信し、前記制御情報に基づいた時間リソースに対するデータの配置制御において、或る条件に基づいて、前記時間リソースに前記データを配置する位置の基準を制御する。
【0240】
2019年10月11日出願の特願2019-187624の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0241】
本開示の一実施例は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0242】
100 基地局
101,205 制御部
102 上位制御信号生成部
103 下りリンク制御情報生成部
104,206 符号化部
105,207 変調部
106,208 信号割当部
107,209 送信部
108,201 受信部
109,202 抽出部
110,203 復調部
111,204 復号部
200 端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22