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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】布地用標識マーキング技術
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/04 20060101AFI20240830BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20240830BHJP
   A61L 27/14 20060101ALI20240830BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A61L31/04
A61L31/06
A61L27/14
A61L27/18
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2021555252
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 US2020022796
(87)【国際公開番号】W WO2020186232
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】62/818,099
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515256855
【氏名又は名称】アテックス テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン マクマーレイ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジェサップ
(72)【発明者】
【氏名】ティム ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】ウェブ ブルサード
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド キャロル
(72)【発明者】
【氏名】モルガン グワルトニー
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー ノリス
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/123945(WO,A1)
【文献】特開2011-087928(JP,A)
【文献】特開2005-052471(JP,A)
【文献】特開2017-006645(JP,A)
【文献】特開昭51-076891(JP,A)
【文献】特開2003-102773(JP,A)
【文献】特表2013-535244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 31/00
D03D 1/00
D04B 1/00
A61F 13/00
A61F 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マークが付された医療用布地であって、
一次方向を有する一次糸と二次方向を有する二次糸を含む医療用布地と、
マーキング標識であって、前記医療用布地の二次糸の前記二次方向に位置合わせされて機械的性能を維持する、マーキング標識と、
を備え
前記マーキング標識がUVレーザーによるマーキングを含み、
前記マーキング標識が二次方向に位置合わせされていることを特徴とするマークが付された医療用布地。
【請求項2】
前記医療用布地が、織布の医療用布地またはニットの医療用布地を含むことを特徴とする請求項1に記載のマークが付された医療用布地。
【請求項3】
前記二次方向が横糸方向を含むことを特徴とする請求項1に記載のマークが付された医療用布地。
【請求項4】
前記医療用布地が平織りを含むことを特徴とする請求項1に記載のマークが付された医療用布地。
【請求項5】
前記医療用布地がポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことを特徴とする請求項1に記載のマークが付された医療用布地。
【請求項6】
前記マーキング標識は文字または図形を含むことを特徴とする請求項1に記載のマークが付された医療用布地。
【請求項7】
文字には、記号、アルファベット、数字、および/またはそれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする請求項に記載の医療用布地。
【請求項8】
前記マーキング標識サイズは、医療用布地の面積の0.001%から100%の間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の医療用布地。
【請求項9】
前記医療用布地の二次糸の前記二次方向に位置合わせされたマーキング標識が、マークが付された表面を形成し、前記マークが付された表面は、医療用布地のマークが付されていない表面に対して同一平面であることを特徴とする請求項1に記載のマークが付された医療用布地。
【請求項10】
前記医療用布地の二次糸の前記二次方向に位置合わせされたマーキング標識が、マークが付された表面を形成し、前記マークが付された表面は、医療用布地のマークが付されていない表面に対して隆起していることを特徴とする請求項1に記載のマークが付された医療用布地。
【請求項11】
前記医療用布地の二次糸の前記二次方向に位置合わせされたマーキング標識が、マークが付された表面を形成し、前記マークが付された表面は、医療用布地のマークが付されていない表面に対して低くなっていることを特徴とする請求項1に記載のマークが付された医療用布地。
【請求項12】
二次糸の前記二次方向がコースまたはうねであることを特徴とする請求項1に記載のマークが付された医療用布地。
【請求項13】
医療用布地の機械的性能を維持しつつ、医療用布地の表面にマークを付ける方法であって、
一種の標識マークを取得し、
医療用布地における、標識マークの最適な方向を決定し、
一次方向を有する一次糸と二次方向を有する二次糸を含む医療用布地であって、1つまたは複数の材料特性を修正して特製の医療用布地を作成し、
紫外線(UV)レーザービームを用いて、前記一種の標識を最適な方向に揃えることにより、特製の医療用布地の表面の少なくとも一部にマークを付ける、
過程を有し、
前記最適な方向は、前記二次方向であり、
前記1つまたは複数の材料特性には、糸の材料、糸の構造、糸のデニール、1インチ当たりの糸撚り数(TPI)、1つまたは複数の糸の繊維、繊維直径、インチあたりのエンド数(EPI)、インチあたりのピック数(PPI)、および/またはそれらの任意の組み合わせが含まれることを特徴とする医療用布地の表面にマークを付ける方法。
【請求項14】
前記特製の医療用布地には、織布の医療用布地、ニットの医療用布地、または組み編みの医療用布地が含まれることを特徴とする請求項1に記載の医療用布地の表面にマークを付ける方法。
【請求項15】
前記特製の医療用布地は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療用布地の表面にマークを付ける方法。
【請求項16】
前記一種の標識マークには、文字または図形が含まれることを特徴とする請求項1に記載の医療用布地の表面にマークを付ける方法。
【請求項17】
前記最適な方向には、横糸方向が含まれることを特徴とする請求項1に記載の医療用布地の表面にマークを付ける方法。
【請求項18】
前記一種の標識マークサイズは医療用布地の面積の0.001%から100%の間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の医療用布地の表面にマークを付ける方法。
【請求項19】
前記一種の標識マークは、不透明、半不透明ないし半透明、またはリン光性であることを特徴とする請求項1に記載の医療用布地の表面にマークを付ける方法。
【請求項20】
マークが付された特製の医療用布地であって、
布地構造を含む医療用布地であって、前記布地構造は、一次方向を有する一次糸と、二次方向を有する二次糸と、1つまたは複数の最適化された材料特性と、を含む、医療用布地と、
紫外線(UV)マーキング標識であって、医療用布地の一部に配置され、機械的性能を維持するために医療用布地の布地構造の前記二次方向に位置合わせされるUVマーキング標識と、を備え、
マークが付された特製の医療用布地の機械的性能の維持は、マークが付されていない医療用布地と実質的に等しい強度を備えていることであり、
前記1つまたは複数の最適化された材料特性は、1インチあたり少なくとも1撚り数(TPI)、釣り合いのとれたエンド、1つまたは複数の繊維直径、のいずれかを含むことを特徴とするマークが付された特製の医療用布地。
【請求項21】
前記布地構造には、織布、ニット布地、または組み編み布地が含まれることを特徴とする請求項20に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項22】
前記1つまたは複数の最適化された材料特性は、1インチあたり少なくとも1撚り数(TPI)を含むことを特徴とする請求項20に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項23】
前記1つまたは複数の最適化された材料特性は、釣り合いのとれたエンドを含み、釣り合いのとれたエンドは、インチあたりのエンド数(EPI)がインチあたりのピック数(PPI)に等しいことを含むことを特徴とする請求項20に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項24】
医療用布地は、ポリエチレンテレフタレート(PET)または超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むことを特徴とする請求項20に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項25】
医療用布地は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート(PC)、ABS、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリアセチル、エラストマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ナイロン、イオノマー、塩化ポリビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)からなる群から選択される材料を含むことを特徴とする請求項20に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項26】
前記1つまたは複数の最適化された材料特性は、1つまたは複数の繊維直径を含み、前記1つまたは複数の繊維直径は、少なくとも30μmであることを特徴とする請求項20に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項27】
前記二次方向は、垂直、水平、または斜めの方向であることを特徴とする請求項20に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項28】
マークが付された特製の医療用布地であって、
第1の領域および第2の領域を含む医療用布地であって、前記第1の領域は第1の布地構造、第1の材料特性および第1の破れ強度を含み、前記第2の領域は第2の布地構造、第2の材料特性および第2の破れ強度を含む、医療用布地と、
紫外線(UV)マーキング標識であって、前記第1の領域の少なくとも一部に配置され、医療用布地の前記第1の領域の前記第1の布地構造の好ましい方向に位置合わせされて、機械的性能を維持する、UVマーキング標識と、を備え、
前記第1の領域の破れ強度は前記第2の領域の破れ強度よりも大きく、
前記第1の布地構造は、一次方向を有する一次糸と二次方向を有する二次糸を含み、前記好ましい方向は、前記二次方向であることを特徴とするマークが付された特製の医療用布地。
【請求項29】
前記第1の布地構造と前記第2の布地構造は同じ布地構造であることを特徴とする請求項28に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項30】
前記第1の布地構造と前記第2の布地構造は異なる布地構造であることを特徴とする請求項28に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項31】
前記第1の材料特性と前記第2の材料特性は同じ材料特性であることを特徴とする請求項28に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項32】
前記第1の材料特性と前記第2の材料特性は異なる材料特性であることを特徴とする請求項28に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項33】
前記第1の布地構造には、織布、ニット布地、組み編み布地、および/またはそれらの任意の組み合わせが含まれ、または、前記第2の布地構造には、織布、不織布、ニット布地、組み編み布地、および/またはそれらの任意の組み合わせが含まれることを特徴とする請求項28に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項34】
前記第1の材料特性または前記第2の材料特性は、インチあたり少なくとも3撚り(TPI)を含むことを特徴とする請求項28に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項35】
前記第1の材料特性または前記第2の材料特性は、釣り合いのとれたエンドを含み、釣り合いのとれたエンドは、1インチあたりのエンド数(EPI)が1インチあたりのピック数(PPI)に等しいことを含むことを特徴とする請求項28に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項36】
前記医療用布地は、ポリエチレンテレフタレート(PET)または超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むことを特徴とする請求項28に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項37】
前記医療用布地は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート(PC)、ABS、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリアセチル、エラストマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ナイロン、イオノマー、塩化ポリビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)からなる群から選択される材料を含むことを特徴とする請求項28に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項38】
前記第1の材料特性または前記第2の材料特性は、1つまたは複数の繊維直径を含み、前記1つまたは複数の繊維直径は、少なくとも30μmであることを特徴とする請求項2に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【請求項39】
前記好ましい方向は、垂直、水平、または斜めの方向であることを特徴とする請求項2に記載のマークが付された特製の医療用布地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年3月13日に出願された「布地用標識マーキング技術」と題された米国仮出願第62/818,099号の利益を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、布地の改良された標識マーキング、およびそれに関連する方法、構造、システム、およびモデルに関する。より具体的には、本明細書に開示されるのは、移植組織、人工器官および医療用移植片を含む医療用布地に使用される織物、ニット、不織布、組み編みおよび/またはフェルトの布地にマーキングおよび/または他の視覚的および/または触覚的に識別可能なしるしを組み込むための改善された方法、構造および/またはシステムである。
【背景技術】
【0003】
多くの場合、製造業者にとって、移植器具および人工器官を含む医療用布地に、器具のさらなる処理および/または使用について支援できるマーキングまたは他の標識を付与することは望ましいことである。異なる色の糸および/または顔料を器具に組み込んで、織り、編み、組み編みなどによって、器具にさまざまなマーキングを与えることができるが、布地を使用するときに生じる1つの課題は、布地の繊維が後続する処理の間にしばしば変形したり斜めになったりして、マーキングの位置および/または配列が変化しまたは改変することである。例えば、血管移植片では、移植片の、個々の撚り糸および/または部分が、特に(3次元で)先細りまたは円錐形である移植片の領域において、三次元の「開口」処理の間に変形しおよび/または斜めになる傾向がある。一般に、変形および/または傾斜は、2次元状態において布地に配置されたマーキングまたは他の標識の位置および/または配列を著しく壊す可能性がある。さらに、布地製造中に、埋め込まれた着色剤および/または異なる種類の繊維を使用すると、結果として得られる移植片の強度、柔軟性、性能、および/または耐久性に大きな影響を与えることが多い。
【0004】
現在、多種多様なインクが、布地移植片に外部から見える標識および/または位置合わせマークを付与するために用いられている。しかしながら、顔料、インク、および/または(ポリマーへの着色剤添加剤だけでなく)その他の補助マーキング材料を使用すると、それを実現するために費用のかかる追加の機器が必要になり、選択されたインク技術によってはインクマーキングが変形したり意図した位置からずれたりし、顔料および/またはインクは使用している間に移植組織から溶出し、および/または処理が可能なのは簡潔で大きなサイズのマークだけであるなど、多くの不都合がある。さらに、インクマーキングは、その後の製造工程によって悪影響を受けたり変更されたりすることがあり、および/または最終製品に対する追加の生体適合性試験が必要になることがあり、これらはすべて望ましくないことである。全体的な印刷品質が低く、マークできる情報の量が制限される。
【0005】
医療用布地について現在使用されている他のマーキング方法は、個々の繊維および/または繊維束への物理的な押印および/または波形付けであり、外部から見えるしるしおよび/またはマーキングを提供するものである。そのような実施に必要な追加の費用および設備の他に、所定の布地内の様々な繊維の物理的な変更および/または圧縮は、布地の所望の形および/または機械的性能をも変更することがあることから、いくつかの用途では望ましくない場合がある。
【0006】
さらに、赤外線レーザーなどの他の技術にもその不都合がある。レーザーマーキングは、表面または材料の大部分の内部で色の変化を生成するか、表面レリーフ(例えば、印付け)の変化または容易に見ることができる構造の変化を生じさせる非接触方式である。レーザーマーキングでは、通常、赤外線で動作する(CO2、固体、またはファイバー)レーザーを用いる。マーキング処理自体は熱的相互作用であり、材料は、色のコントラストを出すために、白くなるまで、炭化するまで、または除去されるまで加熱される。しかし、この加熱によって、炭化などの熱影響領域(HAZ)で材料の化学構造が変化し、また、表面の起伏が生じることがある。この構造は、細菌が付着して成長する場所をもたらすことになり、また、除去が難しいことがある。材料の形状および/または機械的性能に影響を与える熱的相互作用のため、レーザー印付けは特定の材料に限定される。
【0007】
多くの場合、製造業者が、医療用布地および/または移植片のさらなる処理および/または使用を支援し、追加の材料を導入しない、および/または逆に機械的および/または材料の特性を大幅に損なう、医療用布地へマーキングまたは他の標識を付与することは依然と望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第6,994,724号公報
【文献】米国特許第7,921,678号公報
【文献】米国特許第10,364,518号公報
【文献】R46779号公報
【文献】WO2008109019号公報
【文献】米国特許第5,127,919号公報
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、標識マーキング技術の異なる実施形態を列挙する表を示している。
図2図2は、マーキング標識を備えた血管医療用布地の例示的な実施形態を示している。
図3図3は、マーキング標識を備えた血管医療用布地の一実施形態の拡大図を示している。
図4A図4Aは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の一実施形態の正面図を示している。
図4B図4Bは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の一実施形態の正面図を示している。
図4C図4Cは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の一実施形態の正面図を示している。
図4D図4Dは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の一実施形態の正面図を示している。
図5A図5Aは、UV出力設定グリッドの一実施形態のグラフ表示を示している。
図5B図5Bは、UV出力設定グリッドの一実施形態のグラフ表示を示している。
図6A図6Aは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の拡大図を示している。
図6B図6Bは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の拡大図を示している。
図7A図7Aは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の代替実施形態の拡大図を示している。
図7B図7Bは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の代替実施形態の拡大図を示している。
図8図8は、UVマーキング標識を備えた医療用布地の拡大図を示している。
図9図9は、UVマーキング標識を備えた医療用布地の拡大図を示している。
図10A図10Aは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の代替実施形態の拡大図を示している。
図10B図10Bは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の代替実施形態の拡大図を示している。
図10C図10Cは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の代替実施形態の拡大図を示している。
図10D図10Dは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の代替実施形態の拡大図を示している。
図10E図10Eは、UVマーキング標識を備えた医療用布地の代替実施形態の拡大図を示している。
図11図11は、UVマーキング標識を備えた医療用布地のバースト試験のグラフを示している。
図12A図12Aは、UVマーキング標識を備えた糸の様々な機械的検査のグラフを示している。
図12B図12Bは、UVマーキング標識を備えた糸の様々な機械的検査のグラフを示している。
図12C図12Cは、UVマーキング標識を備えた糸の様々な機械的検査のグラフを示している。
図13図13は、エンボスマーキングを備えた医療用布地の拡大図を示している。
図14A図14Aは、それぞれ、押印および波形付けのマーキング標識を備えた医療用布地の拡大図を示している。
図14B図14Bは、それぞれ、押印および波形付けのマーキング標識を備えた医療用布地の拡大図を示している。
図15図15は、着色された糸織りマーキング標識を備えた医療用布地の拡大図を示している。
図16図16は、織布の一実施形態の正面図を示している。
図17A図17Aは、織布の異なるパターンの正面図を示している。
図17B図17Bは、織布の異なるパターンの正面図を示している。
図17C図17Cは、織布の異なるパターンの正面図を示している。
図17D図17Dは、織布の異なるパターンの正面図を示している。
図17E図17Eは、織布の異なるパターンの正面図を示している。
図18A図18Aは、ニット布地の正面図を示している。
図18B図18Bは、ニット布地の正面図を示している。
図19A図19Aは、異なる種類のマーキング標識の実施形態を示している。
図19B図19Bは、異なる種類のマーキング標識の実施形態を示している。
図19C図19Cは、異なる種類のマーキング標識の実施形態を示している。
図19D図19Dは、異なる種類のマーキング標識の実施形態を示している。
図19E図19Eは、異なる種類のマーキング標識の実施形態を示している。
図19F図19Fは、異なる種類のマーキング標識の実施形態を示している。
図19G図19Gは、異なる種類のマーキング標識の実施形態を示している。
図19H図19Hは、異なる種類のマーキング標識の実施形態を示している。
図20A図20Aは、UVマーキング標識を備えた織布の医療用布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図20B図20Bは、UVマーキング標識を備えた織布の医療用布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図21A図21Aは、UVマーキング標識を備えた織布の医療用布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図21B図21Bは、UVマーキング標識を備えた織布の医療用布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図22A図22Aは、UVマーキング標識を備えた織布の医療用布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図22B図22Bは、UVマーキング標識を備えた織布の医療用布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図23A図23Aは、UVマーキング標識を備えた織布の医療用布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図23B図23Bは、UVマーキング標識を備えた織布の医療用布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図24図24は、図20A図20B図21A図21Bおよび図22A図22BのUVマーキング標識を備えた織布の医療用布地の破れ強度試験のグラフで表示している。
図25A図25A図25Bは、UVマーキング標識を備えた医療用ニット布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図25B図25Bは、UVマーキング標識を備えた医療用ニット布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図26A図26Aは、UVマーキング標識を備えた医療用ニット布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図26B図26Bは、UVマーキング標識を備えた医療用ニット布地の破れ強度試験をグラフおよびデータで表している。
図27図27は、図25A図25Bおよび図26A図26BのUVマーキング標識を備えた医療用ニット布地の破れ強度試験のグラフ表示を示している。
図28A図28Aは、UVマーキング標識を備えた糸の機械的性能試験のグラフ表示を示している。
図28B図28Bは、UVマーキング標識を備えた糸の機械的性能試験のグラフ表示を示している。
図29A図29Aは、UVマーキング標識を備えた代替実施形態の糸の機械的性能試験のグラフ表示を示している。
図29B図29Bは、UVマーキング標識を備えた代替実施形態の糸の機械的性能試験のグラフ表示を示している。
図30A図30Aは、UVマーキング標識を備えたUHMWPE織布の拡大図を示している。
図30B図30Bは、UVマーキング標識を備えたUHMWPE織布の拡大図を示している。
図30C図30Cは、UVマーキング標識を備えたUHMWPE織布の拡大図を示している。
図30D図30Dは、UVマーキング標識を備えたUHMWPE織布の拡大図を示している。
図31A図31Aは、図29A~29BのUVマーキング標識を備えた医療用布地の、それぞれUVバックライトおよび通常の照明の下での拡大図を示している。
図31B図31Bは、図29A~29BのUVマーキング標識を備えた医療用布地の、それぞれUVバックライトおよび通常の照明の下での拡大図を示している。
図32A図32Aは、UVマーキング標識を備えたUHMWPE織布の破れ強度試験のグラフ表示を示している。
図32B図32Bは、UVマーキング標識を備えたUHMWPE織布の破れ強度試験のグラフ表示を示している。
図33A図33Aは、UVマーキング標識を備えた組み編み布地の破れ強度試験のグラフ表示を示している。
図33B図33Bは、UVマーキング標識を備えた組み編み布地の破れ強度試験のグラフ表示を示している。
図33C図33Cは、UVマーキング標識を備えた組み編み布地の一実施形態の基準のおよび拡大した図を示している。
図33D図33Dは、UVマーキング標識を備えた組み編み布地の一実施形態の基準のおよび拡大した図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の概要
本明細書に開示される発明は、医療用布地に全体的に機械的影響を及ぼさない、医療用布地の上および/または中に視覚的または他の標識および/または位置合わせマーキングを提供するための改善されたマーキングおよび/または他の技術、人工器官、および/または埋め込み機器の必要性について実現することを含む。様々な実施形態において、開示された思想は、2次元状態における移植片の製造に組み込まれ得るマーキングおよび/または他の標識を含み得、さらに、他の実施形態において、マーキングおよび/または他の標識は、3次元状態における医療用布地に適用されおよび/または組み込まれ得、さらに他の実施形態は、医療用布地の製造および組み立て処置の間の様々な工程で、2次元状態および3次元状態の両方で医療用布地にマーキングおよび/または他の標識を適用および/または、組み込むことができる。その結果、医療用布地の材料特徴ないし材料特性は、医療用布地が好ましい標識マーキング技術でマーキングされた後、医療用布地の全体的な機械的性能が保存および/または維持されることを保証するように修正および/または適合され得る。材料の特徴または特性には、糸を修正することが含まれ得る(例えば、糸材料、糸の構造、糸のデニール、1インチあたりの糸撚り数(TPI)、1つ以上の糸の長繊維、長繊維直径、1インチあたりのエンド数(EPI)、1インチあたりのピック数(PPI)、標識マーキング技術の方向性、および/またはそれらの任意の組み合わせ)。
【0011】
様々な実施形態において、マーキングおよび/または他の標識の、組み込みおよび/または適用は、望ましくは、布地器具および/またはその個々の繊維ないし長繊維の、構造的完全性、柔軟性、および/または機械的性能にほとんど影響を与えないことである(すなわち、「最小限のマーキング技術」)。例えば、様々な実施形態は、布地の個々の糸および/または繊維の部分に対するUV「コールド」レーザーマーキングおよび/または超音波マーキングの使用を含むことができ、さらに、他の実施形態は、個々の繊維および/または繊維束に対する、インク付け、着色、物理的押印、波形付けおよび/またはエンボス加工をして、外部から見える標識および/またはマーキングを提供する様々な方法を含む技術をさらに含むことができる。
【0012】
一実施形態では、マークが施された医療用布地は、織布の医療用布地であって、縦糸と横糸を含む織布の医療用布地と、マーキング標識であって、織布の医療用布地の横糸方向と一直線をなして強度と柔軟性を維持するマーキング標識と、を含む。マーキング標識は、UVレーザーによるマークで構成される。医療用布地は、織布の医療用布地がポリエチレンテレフタレート(PET)で構成された平織りで構成される。マーキング標識は、文字または図形を含み、文字は記号、アルファベット、形状、数字、英数字、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み、および/または図形は、ロゴ、写真、画像、パターン、2次元バーコード、3次元バーコード、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み、マーキング標識はサイズを構成要素とし、このサイズは布地の総面積の0.001%から100%の範囲である。
【0013】
別の実施形態では、医療用布地の強度または柔軟性に著しい影響を与えることなく、医療用布地の表面にマークする方法であって、横糸および縦糸を有する織布の医療用布地を作成する工程と、紫外線(UV)レーザー光を用いて医療用布地の表面の少なくとも一部をマーキングする工程と、マーキングを横糸方向と一直線になるようする工程と、を含む方法である。織布の医療用布地は平織りで構成される。織布の医療用布地は、ポリエチレンテレフタレート(PET)で構成される。マーキングは、文字または図形を含み、文字は記号、アルファベット、数字、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む。マーキング標識はサイズを構成要素とし、サイズは布地の総面積の0.001%から100%の範囲である。
【0014】
他の実施形態では、様々な他の布地マーキング技術を開示された最小マーキング技術と組み合わせて使用して、ハイブリッドマーキング方法を提供することができ、例えば、医療用のインクおよび/または他の着色剤を利用して、それらのいくつかに布地器具に対する、マーキングおよび/または他の標識を提供することができる。いくつかの実施形態では、着色剤および/またはインクは、2次元および/または3次元状態で布地および/または布地繊維の1つまたは複数の外面に塗布され、さらに、他の実施形態では、着色剤および/またはインクは、さまざまな繊維に表されおよび/または処理される。さらに他の実施形態では、着色剤および/またはインクの使用は、特にそのような物質が追加の生体適合性試験を受ける必要がある場合、および/または患者がそのような物質に過度に敏感である場合、あまり望ましくない場合がある。
【0015】
様々な実施形態において、着色剤および/または他の差別化機能(すなわち、異なる表面構造および/または異なる材料特性)を組み込んだ1つ以上の個々の「マーカー」糸は、織られ、編まれ、組み編みされ(braided)、および/またはフェルト化されて医療用布地とされ、ここで、マーカー糸は、材料構造のさらなる処理および/または使用を容易にする、布地材料上の標識および/または他の外部から見えるおよび/または触覚的に識別可能なマーキングをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、マーカー糸は、長手方向に延びるマーカーを含むことができ、このマーカーは、2次元から3次元への「開く」処理中に最小限の乱れおよび/または不整列を被ることがあり得る。
【0016】
本明細書に開示される様々な実施形態は、所定の埋め込み可能な布地器具および/または布地器具製造方法のための適切なマーキング方法を決定するための方法を含むことができる。例えば、所定の布地器具の製造方法および/または人工器官の構造は、特に、器具の1つまたは複数の領域で特に歪みが生じやすく、これにより、2次元製造過程の間それらの場所に織物マーカーを含めることができなくなることがあり、医療用布地が3次元状態に達した後、適用/組み込みに適した方法を用いて、このようなマーカーを含めることを容易にすることがある。望ましくは、様々なマーキングおよび/または他の標識のパターンおよび製造技術は、様々な製造および/または組み立て過程の間のマーキングの斜行および/または他の歪みが生じる状況を望ましく最小限に抑えることである。
【0017】
様々な実施形態において、医療用布地上のマーキングおよび/または他の外部から見える標識は、先に開示されている技術の組み合わせを使用して組み込みおよび/または適用することができる。例えば、1つまたは複数の長手方向に延びるマーカー糸は、移植可能な布地器具に織り込まれることができ、織り込まれたマーカー糸は、追加のマーカーの、整列および適用/組み込みを支援するために(すなわち、マンドレルまたは他の工具での移植片整列のために)用いることができ、これは、例えば、インクの塗布および/または物理的な押印、個々の繊維および/または繊維束の波形付けおよび/またはエンボス加工によって行われ、追加の外部から見える標識および/またはマーキング-例えば、布地上の円周リングマーキングを提供する。別の例示的な実施形態では、UV感受性着色剤(潜在的に、照射されたUV光によって色を変える)または他の物質は、最初に、移植組織の1つまたは複数の糸に構成されることができ、これらの1つまたは複数の糸は、移植組織を織ることおよび/または編むことに用いられ、および/またはUVコールドレーザー(または他のマーキング装置)を用いて、移植組織の個々の糸および/または繊維の部分を「マーキング」するために、着色または他の特徴を変更することができる。
【0018】
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、異なる図面の同様の要素には同じ番号が付されている。必ずしも縮尺どおりではない図面は、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。詳細な説明は、限定ではなく例として、本発明の原理を示している。本説明は、当業者が本発明を作成および使用することを明らかに可能にし、本発明を実施する最良の形態であると現在考えられているものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適合、変形、代替および使用を記述している。
【0019】
多くの場合、製造業者が、繊維および/またはその後に製造される器具のさらなる処理および/または使用を様々な方法で支援することができる医療用布地製品に、マーキングまたは他の標識を与えることは非常に望ましいことである。このようなマーキングには、完成した布地人工器官に見られ得る耐久性の高い標識や、その後の処理の間に色あせたり、見えないようになったり、および/または削除されたりする可能性のある耐久性の低いマーキングが含まれ得る。一般に、医療用布地製品のための極めて望ましいマーキング技術は、布地人工器官の強度、耐久性、柔軟性、および/または性能に大きな影響を与えることなくそのようなマーキングを提供し、より望ましくは、追加の生体適合性試験を必要としないものである。
【0020】
医療用布地
埋め込み可能な布地および/または医療用布地を組み込んだ器具を含む多種多様な医療用布地は、本明細書に記載の様々なマーキング技術から利益を得ることができる。そのような製品には、心臓血管や血管の移植片および移植組織、人工靭帯および腱、縫合糸、軟質移植組織、透析装置、人工肝臓、人工肺、眼科材料、歯科材料、ガーゼ、クレープ包帯、ベッドのシーツ、カバー、外科用マスクなどといった、移植可能な医療用布地、移植不可の医療用布地、体外医療用布地および/または医療および衛生の医療用布地が含まれ得るが、これらに限定されない。医療用布地には、織布、ニット布地、組み編み布、および/または不織布が含まれ得る。そのような布地は、当該技術分野で知られている標準的な方法で製造することができる。より具体的には、布地は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5に従って製造することができ、これらの開示はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
それぞれの医療用布地は、1つまたは複数の材料特性を含み得る。1つまたは複数の材料特性を変更および/または適合させることにより、医療用布地が好ましい標識マーキング技術でマーキングされた後や、布地の損傷を最小にする標識マーキング技術を用いた後、医療用布地の全体的な機械的性能が保存および/または維持されることを確保することができる。1つまたは複数の材料の特徴または特性の変更は、糸の材料、糸の構造、糸のデニール、1インチ当たりの糸撚り数(TPI)、1つまたは複数の糸の長繊維、1つまたは複数の糸の直径、長繊維の直径、1インチあたりのエンド数(EPI)、1インチあたりのピック数(PPI)、糸の素材、長繊維または織物の密度、標識マーキング技術の方向性、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0022】
一実施形態では、医療用布地は、複数の糸を含む。本明細書で使用される糸は、1つまたは複数の長繊維または1つまたは複数の繊維から構成される布地の撚り糸である。それぞれの糸は、単一の繊維(モノフィラメント)、複合したまたは複数の繊維(マルチフィラメント)、ステープル繊維、ワイヤー、および/または織ることまたは編むことができる任意の他の材料を含み得る。複数の糸は、織り目加工されまたは平坦であり得、光沢あり、半光沢、完全に光沢のない、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む、任意の不透明のものであり得る。複数の糸は、吸収性糸材料、非吸収性糸材料、および/またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0023】
1つまたは複数の繊維は、撚られていない(例えば、撚りがゼロまたはTPIがゼロである)か、または折り合わされていないものとすることができる。あるいは、1つまたは複数の繊維は、1つまたは複数のねじれまたは1つまたは複数の織り合わせを含み得る。撚りは、糸の軸の周りの繊維のらせん状の配置であり、単位長さあたりの巻き数によって特定され、1インチあたりの巻き数(TPI)として知られている。一実施形態では、1つまたは複数の撚りは、1撚りから20撚りの範囲を含み、この範囲には、1撚りから15撚りが含まれ得、さらに範囲には、1撚りから10撚りが含まれ得、さらに範囲には、1撚りから5撚りが含まれ得、さらに範囲には、5撚りから15撚りが含まれ得る。好ましい実施形態では、撚りは、6.5TPI~12TPI、および/または少なくとも1つの撚りを含み得る。撚りのS方向またはZ方向は、特定のらせん方向を指している。S撚りとは、繊維の撚りまたは、らせんの方向が文字「S」の中央バーに平行であることを指す。Z撚りとは、繊維の撚りまたは、らせんが文字「Z」の中央バーに平行になる方向を指す。
【0024】
複数の糸は、線密度を構成要素とする。線密度として、40デニール(44デシテックス)以上、40デニール未満、30デニール以下、20デニール以下が含まれる。より具体的には、線密度は5デニールから1000デニールを含む。より具体的には、線密度は、10デニールから60デニールまたは10デニールから100デニールを含み得る。デニールは、9,000メートルの糸のグラム単位の重量である。織布の厚さとして、約25ミル以下、約21ミル以下、約17ミル以下、約10ミル以下、約7ミル以下、約6ミルから約3ミル、約4ミル以下、約4.3ミルから約5.5ミル、約4.0ミル、約3.2ミル以下、または約2ミル以下が含まれる。ミルは長さの単位であり、1ミルは0.001インチに相当する。布地の厚さは、標準試験(ISO 7198)で測定できる。布地は、単位面積あたりの糸の数が、約10糸/cm2以上、約100糸/cm2以上、約150糸/cm2以上、または約177/cm2より多い、約250糸/cm2以上のものである。糸の数は、単位面積、例えば、cm2の単位面積内の縦糸の数と横糸の数を加算して計算される。
【0025】
複数の糸は、1つまたは複数の繊維を含み得る。1つまたは複数の繊維は直径を構成要素とし、直径は30μmから400μmの範囲、30μmから210μmの範囲 とし得る。直径は、また、30μmから175μmの範囲、30μmから150μmの範囲、30μmから125μmの範囲、30μmから100μmの範囲、30μmから75μmの範囲、および/または30μmから50μmの範囲を含むことができる。好ましい実施形態では、直径は45μmから90μmの範囲を含むことができる。
【0026】
一実施形態では、医療用布地は織物構造を含み、この織物構造には、織られた医療用布地、編まれた医療用布地、および/または組み編みされた医療用布地が含まれる。好ましい実施形態では、医療用布地は、図16に示されるように、織られた医療用布地1600を含む。織布は、2本以上の糸を織り交ぜて布または布織物を作成することを含む。織られた医療用布地1600は、一次糸および二次糸を含む。一次糸は、縦糸1602および/または横糸1604を含み得る。二次糸は、縦糸1602および/または横糸1604を含み得る。縦糸1602および/または横糸1604は、図16に示されるように、撚り糸または織り糸を布にするために用いられ、織機に対する糸の方向を説明するために用いられる。縦糸1602は、垂直方向、長さ方向または縦方向に配置され、フレームまたは織機において張力をかけられて静止状態に保たれ、横糸1604が織り交ぜられるビームまたは軸として機能する。横糸1604は、水平方向、緯度方向または横方向に配置され、様々な織りパターンで縦糸を通って引き込まれ、また縦糸の上および下に挿入される。縦糸1602は、ほとんど張力を受けない横糸1604とは異なり、織り過程中に高張力下で保持されるために強い材料でなければならない。それに応じて、緯糸ないし横糸1604は、縦糸1602と交差し、両側で縦糸を結合して耳1606を形成する。縦糸1602は、交差またはループのために、横糸1604がそうであるように織機において伸ばされる必要がなく、一般にそれほど強くないものとすることができる。一次糸と二次糸は同じ材料とすることができ、および/または一次糸と二次糸は異なる材料とすることができる。
【0027】
織りパターンの例としては、図17A図17Eに示されるように、平織り1702、綾織り1700、サテン織り1704、1706、クロス綾織り1708、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。キャラコ、タビー、タフタまたは手織りとしても知られる平織り1702は、横糸が交互の縦糸を通過し、2本のハーネスのみを必要とする。比較的シンプルな構造は、安価な布、太い糸、印刷デザインに適している。バリエーションは、バスケット織りや僧侶の布のように糸のグループを用いることによって、または縦糸うねのベッドフォードコード、ピケ、ディミティー、横糸うねのポプリン、横うね織り、グログランように、細い糸と粗い糸を交互にしてうねやうね織りの布を作ることによって生み出される。第2の主要な織りである綾織り1600は、横糸を2~4本の縦糸に織り交ぜ、各ピックでステップを右または左に移動することによって作成される、ヘリンボーンや、らせんの図案などのバリエーションを可能とする斜めの図案を示している。サテン織り1704、1706は、光を反射する、浮いたないし浮き出しの縦糸が表面にあり、特徴的な光沢を与える。交差していない糸が横糸にある場合、その織りはサテンと呼ばれる。サテン織り1704、1706は、サテン織り1/71704またはサテン織り1/41706をさらに含み得る。畝織り、バスケット織り、絡み織り、オックスフォード織り、ワッフル織り、パイル織り、クレープ織り、ラペット織り、つづれ織り、市松模様織り、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む、他の織りパターンが考えられ得る。
【0028】
別の実施形態では、織られた医療用布地は、1インチあたりのエンド数(EPI)を構成要素とする。EPIは、織布の1インチあたりの縦糸の数である。一般に、1インチあたりのエンド数が多いほど、生地は細かくなる。EPIには、80EPIから450EPIの範囲があり、また、EPIには、80EPIから400EPIの範囲があり、また、EPIには、80EPIから350EPIの範囲があり、また、EPIには80EPIから300EPIの範囲があり、また、EPIには80EPIから250EPIの範囲があり、また、EPIには、80EPIから200EPIの範囲があり、また、EPIには、80EPIから150EPIの範囲があり、また、EPIには、150EPIから400EPIの範囲があり得る。好ましい実施形態では、EPIは、150EPIから350EPIの範囲を含み得る。
【0029】
別の実施形態では、織られた医療用布地は、1インチあたりのピック数(PPI)を構成要素とする。PPIは、織布の1インチあたりの横糸の数である。一般に、1インチあたりのピック数が多いほど、生地は細かくなる。PPIには、10PPIから450PPIの範囲があり、また、PPIには、40PPIから400PPIの範囲があり、また、PPIには、80PPIから350PPIの範囲があり、また、PPIには、80PPIから300PPIの範囲があり、また、PPIには、80PPIから250PPIの範囲があり、また、PPIには、80PPIから200PPIの範囲があり、また、PPIには、80PPIから150PPIの範囲があり得る。好ましい実施形態では、PPIは、100から250PPIの範囲を含み得る。
【0030】
別の実施形態では、医療用布地は不織布を含む。不織布は、ステープル繊維(短い)と長繊維(連続して長い)から作られた布のような材料で構成され、化学的、機械的、熱、または溶剤の処理によって結合されている。結果として、不織布は、繊維ないし細い繊維を絡ませることによって(およびフィルムに穴を開けることによって)、機械的、熱的または化学的に結合されたシートまたは織物の構造として広く定義されるものである。それらは、別々の繊維、溶融プラスチック、またはプラスチックフィルムから直接作られる平らなまたは房状の多孔質シートである。それらは織ることや編むことによって作られておらず、繊維を糸に変換する必要がない。
【0031】
別の実施形態では、医療用布地には、図18A図18Bに示されるようなニット布地1800、1802が含まれる。ニット布地1800、1802は、1本の連続した糸ないし織り糸で作られた布地である。ニット布地は、織物で用いられる複数の縦糸の代わりに、針を用いて連結ループを作成するための、単一の糸ないし織糸で作成される。ニット布地1800、1802は一次糸を含むことができ、一次糸は複数の一次ループを形成し、複数の一次ループは、繰り返し列で、垂直または縦方向に配置され、複数の一次ループはうね模様ないしうねである。ニット布地1800、1802は、二次糸をさらに含むことができ、二次糸は複数の二次ループを形成し、複数の二次ループは、繰り返し列で水平または横方向に配置され、複数の二次ループはコース(course)である。例示的な一実施形態では、ニット布地1800、1802は、一次糸および二次糸を含む。代わりに、ニット布地1800、1802は、少なくとも1本の糸を含む。一次糸と二次糸は、同じ糸または異なる糸を含む。
【0032】
さらに、ニット生地1800、1802は、横編み1800、縦編み1802、特殊な横編み(図示せず)を含む。横糸ないし横編みニット1800は、編み機に対して水平方向に供給されて水平方向または横方向に複数のループを作成する、少なくとも1つの糸および/または一次または二次糸で構成される。縦編みニット1802は、編み機に対して垂直方向または縦方向に供給されて垂直方向または縦方向にループを形成する、少なくとも1つの糸および/または一次または二次糸で構成される。横編みニット1800は、単一の横編みニットまたは二重の横編みニットを含むことができる。単一の横編みニットは、単一のジャージまたはラコステを含むことができる。二重横編みニットは、あぜ編みニット、裏編みニット、インターロックニット、縄編み生地、鳥目模様、カーディガン、ミラノリブ、ポインテル、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。特殊な横糸ニットとしては、象眼細工ニット、ジャカードジャージニット、テリー織ニット、ベロアニット、スライバーニット、フリース、および/またはそれらの任意の組み合わせである。縦編みニットには、トリコット、ラッシェル、および/またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0033】
別の実施形態では、医療用布地は、組み編み布地(図示せず)を含む。この組み編みは、3本以上の糸またはバイアスカットされた細片布地を、互いを交差させて斜めに配置し、平らなまたは管状の生地の狭い細片を形成するように織り合わせる。組み編み布地には、平編み、スータッシュ編み、円形/丸編み、三次元編み、および/またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。組み編み構造は、高い強度、剛性、および構造的完全性をもたらし、幅広い応用に適している。
【0034】
別の実施形態では、医療用布地、1つまたは複数の糸、および/または1つまたは複数の繊維は、材料を構成要素とする。材料には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート(”PC”)、ABS、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリアセタール、エラストマー、熱可塑性ポリウレタン(“TPU”)、ナイロン、イオノマー、塩化ポリビニル(“PVC”)および/またはそれらの任意の組み合わせ、ならびに繊維技術の通常の技術者によって知られている他の医療用の材料が含まれる。ポリエチレン(PE)は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0035】
別の実施形態では、医療用布地は、布地の長さ全体にわたる連続的な、布地構造または材料の特性、および/または布地の長さ全体にわたる異なる布地構造または材料特性を有することができる。結果として、医療用布地は、少なくとも1つの布地構造を含み得る。医療用布地は、長さおよび縦軸を構成要素とすることができる。医療用布地は、少なくとも1つの布地構造をさらに含み得、布地構造は、医療用布地の長さに沿った同じ少なくとも1つの布地構造、および/または医療用布地の縦軸に沿った同じ布地構造とすることができる。代わりに、医療用布地は、複数の布地構造を含み得る。複数の布地構造のそれぞれが異なる布地構造を含み得、および/または複数の布地構造が異なる布地構造を含み得る。布地構造は、織られたもの、不織のもの、編まれたもの、組み編みされたもの、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。さらに、医療用布地は、第1の布地構造および第2の布地構造を含み得る。第1および第2の布地構造は、同じ布地構造を含み、および/または第1および第2の布地構造は、異なる布地構造を含む。
【0036】
あるいは、医療用布地は、第1の領域および第2の領域を含み得る。第1の領域は、第1の布地構造および1つまたは複数の第1の材料特性を含み、第2の領域は、第2の布地構造および1つまたは複数の第2の材料特性を含む。第1の領域の布地構造および第2の領域の布地構造は、同じ布地構造および/または異なる布地構造を含み得る。第1の領域の1つまたは複数の材料特性および第2の領域の1つまたは複数の材料特性は、同じ繊維材料特性または異なる繊維材料特性を含み得る。結果として、第1の領域または第2の領域は、マーキング標識を含むことができる。第1の領域の少なくとも一部および第2の領域の少なくとも一部は、マーキング標識の少なくとも一部を含み得る。例えば、医療用布地は、第1の領域および第2の領域を含む。第1の領域は第2の領域と同じ布地構造を含むことができる。第1の領域は第2の領域と異なる材料特性を含むことができる。第1の領域は第1の破れ強度を含み、第2の領域は第2の破れ強度を含むことができる。第1の領域はマーキング標識を含み、第1の破れ強度は第2の破れ強度よりも大きい。もちろん、第1の領域と第2の領域は互換的に用いることができる。布地構造は、織られたもの、不織のもの、編まれたもの、組み編みされたもの、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。マーキング標識は、少なくとも1つの糸(または一次糸または二次糸)の好ましい方向と整列することができ、好ましい方向は、水平方向、垂直方向、および/または斜め方向を含み得る。好ましい方向は、コース、うね、縦糸、横糸、および/または織模様に対応し得る。第1の領域の1つまたは複数の材料特性は、第2の領域の1つまたは複数の材料特性と同じであっても異なっていてもよい。1つまたは複数の材料特性は、少なくともインチ当たり5糸撚り(TPI)、より高密度の繊維および/または糸、少なくとも20デニールから60デニールの重量、釣り合いのとれたエンドを有する高強度材料、ここで、PPIは実質的にEPIに等しい、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0037】
マーキング識別またはマーキング識別技術
図1は、2次元および/または3次元状態の医療用布の埋め込み可能な器具の中またはその上に視覚的および/または触覚的に識別可能なマーキングおよび/または他のしるしを組み込むための様々な例示的技術および/またはそれらの様々な組み合わせの表を示している。これらの技術には、(1)UVレーザーマーキング/コールドマーキング、(2)エンボス加工、(3)押印/波形付け、(4)超音波マーキング、(5)印刷、および(6)織り/編み/組編みが含まれる。さらに、そのようなマーキングおよび/または他のしるしを付与するために、(1)物理的マーキング(すなわち、鉛筆、ペン、マーカー、塗料)、(2)縫製縞、糸なしおよび/または打ち抜き、(3)エッチング、(4)パターン変更および/または糸の除去、(5)コーティング、縞を作成するためのUV硬化、マスキング剤の利用、(6)偏光を利用したマーキングの表示、(7)シャドウマーキング(すなわち、逆ステンシルまたはマスキング剤のマーキング)、(8)医療用布地材料へのレーザーの切断穴または縞、(9)一部の染色-マスキング剤を用いてまたは用いずに、(10)縞配置の取り外し可能な覆いの使用、(11)医療用布地に対する傷付け(すなわち、参照押印)、(12)ステッカーまたは接着剤を利用する、および/または(13)生地に密度の物理的変化を組み込む(すなわち、布を手動で広げる)、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む他の様々な技術を用いることができる。必要に応じて、本明細書に記載の技術の1つまたは複数を、2次元および/または3次元状態の布地埋め込み可能な器具において用いることができ、および/またはそれらの任意の組み合わせで用いることができる。
【0038】
標識マーキング技術のいずれかを用いて、本明細書では「マーキングされた」医療用布地として知られている医療用布地にマークすることができる。「マーキングされた」医療用布地は、医療用布地と、マーキング標識を含む。医療用布地は、一次糸と二次糸を含む。あるいは、医療用布地は、一次方向を有する一次糸と、二次方向を有する二次糸とを含む。一次糸は、縦糸、横糸、コースおよび/またはうねを含み得る。二次糸は、縦糸、横糸、コースおよび/またはうねを含み得る。一次糸と二次糸は同じ材料を含むことができる。一次糸と二次糸は異なる材料を含むこともできる。マーキング標識は、一次糸または二次糸に整列する。あるいは、マーキング標識は、一次方向の一次糸と整列しおよび/または平行であり、および/またはマーキング標識は、二次方向の二次糸と整列しおよび/または平行である。それに応じて、マーキング標識は、一次糸および二次糸に対して45度の角度で整列しまたは配置される。別の実施形態では、マーキング標識は、一次糸および二次糸に対して30度の角度、または一次糸および二次糸に対して60度の角度、または一次糸および二次糸に対して15度の角度、または一次糸およびと二次糸に対して1度から180度の間の任意の角度で整列しまたは配置される。
【0039】
図2は、ドビーまたはジャカードタイプの織機(またはすでに開発されたおよび/または将来開発される可能性のある他の織機または製造装置の種類)上で、2次元形状で製造できる血管用医療用布地10の例示的な実施形態を示し、それらは特許文献6に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に明示的に組み込まれるものである。この実施形態では、医療用布地10は、中央領域20、第1のテーパー区域30、第2のテーパー区域35、およびそれぞれ第1の近位端部60および第2の遠位端部70を有する、第1の端部区域40および第2の端部区域50を含む。医療用布地10は、さらに、望ましくは、1つまたは複数の斜めのマーカー、1つまたは複数の縦マーカー80、および1つまたは複数の円周マーカー90を含む。開示された実施形態では、円周マーカー90は、細い線97(または他の様々な線のサイズ、色、太さ、および/または線の組み合わせ)と対になった太い線95を含む方向標識を含むことができ、これは、望ましくは、製造技術者および/または医師に、移植中の適切な医療用布地の位置合わせを含む、さまざまな理由で、製造の方向または他の医療用布地の特性(すなわち、上から下または下から上)に関するインデックスおよび/または標識を提供することができる。1つまたは複数の斜めのマーカーは、一次糸および二次糸を横切って斜めに配置されたマーキング標識を含み、この斜めのマーカーは、1度から180度の範囲の角度であり、この範囲には、さらに15度から75度が含まれ、さらに30度から60度が含まれ、さらに45度から60度が含まれ得る。別の実施形態では、1つまたは複数の斜めのマーカーは、第1の領域および第2の領域を含む医療用布地を横切って斜めに配置されたマーキング標識を含む。医療用布地の第1の領域および第2の領域は、布地構造および1つまたは複数の材料特性を構成要素とする。第1の領域の布地構造は、第2の領域と同じとすることができ、および/または第1の領域の布地構造は、第2の領域の布地構造と異なるものとすることもできる。布地構造には、織り、不織、組み編み、編み、および/またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。第1の領域の1つまたは複数の材料特性は、第2の領域の1つまたは複数の材料特性と同じであっても異なっていてもよい。1つまたは複数の材料特性は、少なくともインチ当たり3糸撚り(TPI)、より高密度の繊維および/または糸、少なくとも20デニールから60デニールの重量、釣り合いのとれたエンドを有する高強度材料、ここで、PPIは実質的にEPIに等しい、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0040】
図3は、本明細書に開示されるマーキングおよび/または他の標識を組み込んだ医療用布地100の一例の実施形態の一部を示している。医療用布地100は、UVレーザーマーキング装置を用いて作成することができる、1つまたは一連の円周マーカー120と共に、1つまたは複数の縦マーカー110を含み得る。物理的エンボス加工または「平坦化」過程を用いて作成された円周マーカー130も示され、これは、望ましくは、視覚的および/または触覚的に識別できる、医療用布地の表面においてわずかに平坦化された線を作成したものである。必要に応じて、医療用布地は、圧縮および/または熱処理の過程の間に生地に転写される隆起した特徴部を備えたマンドレル上に配置することができる。同様の過程は、生地を置くことができるプレートまたは他の器具を備えた平らなシートにおいて実施することができる。製造中、医療用布地100は、製造過程の間(すなわち、織り、不織組み立て、編み、組編み、レーザー溶接、エンボス加工、他の製造技術などの間)の追加の布地糸として縦マーカー110を組み込むことができ、また、様々な円周マーカー120および130を、医療用布地が3次元状態に「開かれた」後に医療用布地に追加することができ、この場合、縦方向マーカー110は、任意選択で、医療用布地を(すなわち、マンドレルおよび/または他の位置合わせ技術を用いて)整列させるために用いられ、さらなるマーキングを手助けする。
【0041】
様々な実施形態において、医療用布地は、支持マンドレルを用いてマーキングされるものとしたが、多くの実施形態において、マンドレルは、開示されたマーキング技術が適切に機能するために必要とされない場合がある。例えば、平らな生地は、マンドレルまたは同様の保持器を用いずにマークを付けることができる。UVレーザーマーキングに関して、マーキングレーザーは、単一のレーザー光発生器および/または固定点から発生する1つまたは複数の個別のレーザービームを含むことができ、この場合、1つまたは複数のレーザービームは、マーキングでマークされるべき部分に対処するとき、反射されておよび/または他の方法で角度が付けられる。1つの例示的な実施形態では、UVレーザーの波長は、355ナノメートルまたはその近傍であり、布地に対する露光時間は、数分の1秒とすることができる。
【0042】
様々な実施形態において、標識または他のマーキングには、直線、非直線、織り角に対して、および/または布地または移植組織の縁から実質的に任意の角度(すなわち、器具の縁から90度、45度、30度など)の直線または特徴、破線または実線、幾何学的形状(すなわち、点、正方形、円、三角形、星など)を含む形状、形状のパターン、点および/またはマーキングのパターン、丸みを帯びた、鋭いまたはぼやけた線、太いまたは細い線、1つまたは複数の線、それらの任意の組み合わせ、および/または他のマーキングが含まれる。非限定的な例として、縫い目穴を配置した点のパターンもある。
【0043】
図4Aは、2つのUVレーザーマーカー線160を組み込んだ、ポリエステルテレフタレート(PET)150で構成される医療用布地を示している。医療用布地にマークするためにUVレーザーを用いることは好都合である。ほとんどの材料では、UV光はより長い波長の光よりも強く吸収される。さらに、レーザーの光子は材料内の原子間結合を直接切断し、それによって、フィラーまたは顔料との低温の光化学的相互作用を引き起こし、熱影響域(HAZ)または周囲材料の変化を解消する。これにより、表面ではなく材料内に非常に読みやすいマークが作成される。UVの吸収性が高いことは、材料をより低いレーザー出力(またはパルスエネルギー)で処理できることを意味する。最後に、UV光はIRよりもより強く焦点を合わせることができるため、紫外線レーザーは、2次元バーコードなどの複雑で高解像度のマークを提供する。
【0044】
UVレーザーマーキング線ないしマーキング標識線160は、縦黒色マーカーの縦糸170に対してほぼ垂直に配置される。UVレーザーマーキング線ないしマーキング標識線160は横糸に整列して、布地の最大の機械的性能および完全性を確実にすることができる。結果として、UVレーザーマーキング線ないしマーキング標識線160は横糸に整列し、医療用布地の破れ強度に影響を及ぼさないか、または最小限の影響を与える。この実施形態では、縦糸170は、最初の生地の製造中に生地に組み込まれ、レーザー線が、製造後に完成した生地に追加されている。
【0045】
本明細書に開示される実施形態の多くは、PETおよびUHMWPEの生地におけるマーキング技術を説明しているが、同じおよび/または類似のマーキング技術および/または技術の組み合わせが、高強度および/または熱的に強化された医療用生地を含む様々な医療用の材料および/または布地において実行できることを理解されるはずであり、高強度および/または熱的に強化された医療用生地には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート(”PC”)、ABS、ポリプロピレン(”PP”)、ポリスチレン、ポリエチレン(”PE”)、ポリエステル、ポリアセチル、エラストマー、熱可塑性ポリウレタン(”TPU”)、ナイロン、イオノマー、塩化ポリビニル(”PVC”)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、および/または布地の当業者に知られている他の医療グレードの材料が含まれる。
【0046】
図4Bから図4Dは、単一の超音波(US)マーカー線190を組み込んだ別のポリエチレンテレフタレート(PET)布地を示している。マーカーは、図4Bに示されるように、生地の前側で容易に見ることができ、また、図4Cに示されるように、布の裏側でも容易に見ることができ、図4Bおよび図4Cの両方とも50倍の倍率で示している。図4Dは、図4Cの生地の裏側を200倍の倍率で示しており、マークされた箇所で生地のわずかな膨らみが見られるが、生地の機械的強度の変化は全くないかそれに近い(すなわち、繊維、繊維構造、ないし糸の破損、切断、または損傷がない)。さらに他の実施形態では、非常に薄い生地や膜も、本明細書に記載の様々な技術を用いてマーキングすることができる。
【0047】
様々な実施形態において、マークされた布地は、約0.12mmの厚さを有する生地を含むことができるが、材料の選択および/または医療用途に応じて、様々な布の厚さを用いることができる。様々な実施形態では、0.05mmから0.244mmの厚さを有する生地が望ましい場合があり、さらに他の実施形態では、0.01mmから0.6mmの厚さを有する生地がより望ましい場合があり、さらに他の実施形態では、25ミクロンから1インチの厚さを有する生地が、本明細書に記載の様々なマーキング方法に適している場合がある。
【0048】
図5Aは、異なるレーザー出力設定(“1”-10%出力~“8”-80%)の様々な組み合わせおよび様々な速度設定(2000mm/秒の最低速度の「A」から4000mm/秒の最高速度の“G”まで)で、パルス周波数40kHzおよびスポット変数-40の、生地にマーキングするために紫外線(UV)レーザーを用いて薄いポリエステルPET生地210上に作成された様々なマーキングを有するマーキンググリッド500を示している。この実施形態では、グリッド上の位置1Gは、生地に沿った最も速い通過速度で最低出力レーザーに対応することを表し、一方、位置8Aは、生地に沿った最も遅い通過速度で最高出力レーザーに対応することを表している。
【0049】
図5Bは、機械的性能と完全性に関連した、図5Aの様々なマーキングの表形式の評価502を提供するものである。マーキング線ないしマーキング方式線は、視認性および/またはマーキングされた布地の強度、柔軟性および/または耐久性に対する潜在的な損傷に基づいて評価された。この表の最も暗い領域(つまり、5A、8A、8Cおよび同様の影のある領域の範囲)は、60倍の倍率で下の布地に対する物理的損傷があると評価されたが、この物理的損傷は機械的性能に大きな影響を与えることはなく、機械的性能はメーカーまたは顧客の仕様の範囲内である。この表で薄い影のある領域(つまり、3A、4A、8E、8Fおよび同様の影のある領域の範囲)は、60倍の倍率で明らかな物理的損傷が全くないかそれに近いと評価されたが、分子レベルの生地について重大な損傷および/または破壊が発生する可能性があった。この表の影のない領域(つまり、2A、4C、8F、8Gおよび同様の影の無い領域の範囲)は、60倍の倍率で下にある繊維に物理的な損傷が全くないそれに近く、また、分子レベルで生地の損傷および/または破壊が全くないか礎それに近いと評価された。影のない個々の領域に適度に見えるマーカーがある場合、その領域は所定の布地のマーキングにとって望ましい設定であると見なされ、この例では、領域4Cおよび領域8F(図5Bにおいて“X”として示されている)が望ましいと識別された。しかしながら、ひとたび糸および/または医療用布地が、期待される機械的性能を維持するであろう、最小量の物理的損傷となるよう修正および/または適合されれば、任意のUV設定が望ましいものとなり得る。
【0050】
図6Aは、40倍の倍率での、PET布地600の一実施形態のマークされていない部分の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示している。この実施形態では、縦糸が水平方向に配置された、垂直および水平の織り合わされたPET糸610が示されている。単一の糸の黒マーカー縦糸620(他の糸からわずかに隆起して見える)が、布地600に水平に織り込まれていることが示されている。図6Bは、100倍の倍率での、PET布地600のマークされていない部分の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示し、垂直および水平に織り合わされたPET糸および黒マーカー縦糸620の単一の隆起糸を示している。黒マーク縦糸620は、医療用布地のマークされていない領域に対して隆起したものとすることができる。あるいは、黒マーク縦糸620は、医療用布地のマークされていない領域と等しい高さであってもよい。さらに、黒マーク縦糸620は、医療用布地のマークされていない領域の高さより下であってもよい。
【0051】
図7Aおよび図7Bは、それぞれ40倍および100倍の倍率で、PET布地700の一実施形態上に少なくとも2つのマーキング技術を用いてマーキングされた部分のSEM画像を示す。2つの技術は、黒マーカー縦糸および/またはUVレーザーマーキングとすることができる。この実施形態では、水平方向に配置された縦糸750、縦方向ないし軸方向に配置された横糸740、を備えた、垂直および水平の織り合わされたPET糸710を含む織られた医療用布地が示され、また、単一糸の黒マーカー縦糸720(見ることができるが、他の糸からわずかに隆起している)が布地700に水平に織り込まれていることが示されている。この実施形態では、UVマーキングレーザーの出力/速度設定は、4C(図5Aおよび5Bを参照)に設定され、この場合、UVマーキング標識730が横糸740と整列している。UVマーキング標識730は、PET布地700のマークされていない部分に対して高くなっている。したがって、UVマーキング標識は、横糸740の方向に平行であり、医療用布地の機械的性能および/または完全性を維持することができる。これらの図7A図7Bから分かるように、マーカー糸の生地に対する損傷は明らかでない。UVマーキング標識は、医療用布地のマークされていない範囲に比べて高くなっている場合がある。あるいは、UVマーキング標識は、医療用布地のマークされていない範囲に対して等しい高さであり得る。さらに、UVマーキング標識は、医療用布地のマークされていない範囲の高さより低くなる場合がある。
【0052】
図8は、UVマーキング標識810、820を含む医療用布地800のSEM画像を示している。SEM画像は70倍の倍率であり、UVマーキング標識810、820は、異なる設定を用いて作成されたものである(図5Aのマーキンググリッド200を参照のこと)。この実施形態では、UV電力設定は、マーキンググリッド位置8Dおよび8Eを含み、それぞれ、矢印位置810および820として示されている。これらの位置はどちらも、この倍率での明らかな物理的損傷を示していない。
【0053】
図9は、UVマーキング標識910、920、930、940を含む医療用布地900を示している。この図は、異なるUV設定(図5Aのマーキンググリッド200を参照)を用いた、60倍の倍率での医療用布地900のSEM画像である。この実施形態では、文字「A」の最上部が、グリッド位置7A(図5Aを参照)を含むUV設定を用い、円で囲まれた位置910として示され、これと共に、陰影線920および930は、下向きに延びて位置910の両側に至る「A」の脚を表している。さらに、図5A図5BのUV設定マーキンググリッド200に示される、UVレーザー設定7Aを用いて作成された文字「7」の、UVレーザーで描かれたマーキング標識940の一部が示されている。これらは、陰影線920および930に沿ったひどい物理的損傷はほとんどないが、位置910は、おそらく、文字「A」の頂点での望ましくない量のレーザーの存在時間に起因して重大な損傷がある。頂点では、UVマーキング標識は、全体的な機械的性能に影響を与え得る複数の重なり合うUVビームを受ける。しかしながら、医療用布地の構造および/または材料特性は、マークされていない医療用布地に関連して、マークされた医療用布地の機械的性能を維持するように最適化または修正され得る。そのような修正および/または最適化は、UVビームの重なりによって引き起こされる損傷を排除しまたは低減し得る。
【0054】
図10Aは、異なるUVレーザー設定を使用するUVレーザーマーキング標識1002を含む、50倍の倍率での医療用布地1000のSEM画像を示している。UVレーザー設定は、図5Aのマーキンググリッド200の左下部分に対応し、これは、現在の一連の試験で最大のレーザー出力と遅い通過時間を表している。この実施形態は、UVレーザーを用いて、PET上に円、非直線をマークしたものである。図10A図10Bに示されるように、生地の繊維および/または糸の多くは、マーキングレーザーによって移動、溶融、切断、燃焼、および/またはその他の破壊がなされており、この破壊には生地の他の部分で再堆積したマーク位置からかなりの量の材料が放出されることが含まれる。文字「8」の上部の、100倍の倍率での追加の拡大図が図10Bに示され、布地材料の繊維のレーザーマークの縁にさらなる溶融および再圧密の範囲を示している。
【0055】
図10Cは、異なるUVレーザー設定でのUVレーザーマーキングを含む医療用布地1000の異なる領域の60倍の倍率のSEM画像を示している。UVレーザー設定は、図5Aのマーキンググリッド200のグリッド位置8Aである。グリッドインデックスのうち、レーザー描画された「8」の部分1010が、図の左側に見ることができる。さらに、グリッド位置8Aを含むUVレーザー設定を用いる「A」の最上部は、丸で囲まれた位置1020として示され、影線1030および1040は、下向きに延びて位置1020の両側に至る「A」の脚を表している。この文字「A」の位置1020の200倍の倍率での別の拡大図が図10Dに示され、図10Dは、布地材料の繊維におけるUVレーザーマーキング標識の端におけるさらなる溶融、切断、および再固化の範囲を示している。
【0056】
図10Eは、500倍の倍率で、図5Aのマーキンググリッド200におけるグリッドインデックスのレーザー描画された「8」の中央領域1050を示している。下側の布構造への重大な損傷は明らかであり、これは、最も遅い速度での最大のレーザー設定、および「8」の各円が布地にマークされたときのレーザーマーキングの重なりの発生が原因であり得る。将来的にこのような損傷を回避するために、個々の文字においてレーザーマークの重なりを回避するようにマーキングを計画しおよび実行する必要がある(これにより、このSEM画像に示される損傷の程度を引き起こすことを望ましく回避できる)。
【0057】
図11は、UVレーザーマーキング標識を含む医療用布地におけるプローブ破れ試験のグラフ表示を示している。プローブ破れ試験は、ISO7198の手順(国際標準化機構手順7198-その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に従って実施されたものである。この試験では、3/8インチプローブを生地に押し込むことによる、局所的な引張強度試験を含む。UVレーザーマーキング標識を含む医療用布地に、図5Bに示す4Cのグリッド位置を含むUVレーザー設定を用いたものである。医療用布地は、PET織布が含まれる。試験結果は、マークが付されていない生地とマークが付された生地との間でプローブ破れ強度に実際的な違いを示さなかった(図5Bにおける「4C」の電力/速度設定を用いた)。これは、マークがなされた移植片が物理的に損なわれていないか、その完全性がUVレーザーマーキングの存在によって重大な影響を受けていないことを示唆している。
【0058】
図12Aは、UVレーザーマーキング標識を含む医療用糸の伸び試験のグラフ表示を示している。伸び試験は、手順の参照としてASTM D2256-02を用いて実施した(米国材料試験協会の手順D2256-02-その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。試験糸は、40デニールの、27本の繊維を、テクスチャード加工し、1インチあたり12撚り数で製造されたPETである。試験は、糸が、図12Bに示されるような、糸巻/ボビン/パッケージ上にある間にUVマークが付けられた糸に対して実施された。伸び試験では、グリッド位置4Cおよび8Cを含むUVレーザー設定を用いた医療用糸と、マークがなされていない医療用糸を比較した。試験結果は、UVレーザーは、8CのUVレーザー設定でポリマーを実質的に劣化させたが、4CのUVレーザー設定ではポリマーを劣化させなかったことを示しており、これは、設定8Cの試験片の伸びの有意な低下を反映したものである。
【0059】
さらに、図12Cは、UVレーザーマーキング標識を含む医療用布地の引っ張り強さ試験のグラフ表示を示している。引っ張り強さ試験は、グリッド位置4Cおよび8C(図5Bを参照)を含むUVレーザー設定を用いる医療用布地と、マークがなされていない医療用布地を比較したものである。引っ張り強さ試験は、UVレーザーは、その8Cの設定(~25%)でポリマーを大幅に劣化させることを示しているが、4Cの設定では、マークのなされていない医療用布地と比較して、引っ張り強さの低下を反映したような劣化は生じていない。
【0060】
図33C図33Dは、組み編み3300を含む、またはUVレーザーマーキング技術を用いたマークがなされた組み編み医療用布地3300として知られる、マーク付き医療用布地の基準および拡大の図を示す。マークがなされた組み編み布地3300は、マーキング標識3302およびマークがなされていない部分3304を含む。組み編み医療用布地は、1x2のダイヤモンドが最大のPET、1インチあたりの27ピック数(PPI)、糸のデニールが100、1インチ当たり3撚り数(TPI)で構成されている。図5A図5BのUVマーキンググリッド内に示されている、UVレーザー設定は3Cである。UVレーザーは、材料の元の色を白から灰色に変化させて変色させたが、ポリマーを物理的に劣化させることはなかった。
【0061】
図13は、視覚的および/または触覚的に識別され得るエンボス加工マーキング標識1310を含む医療用布地1300を示す。エンボス加工は、熱および/または圧力を加えることによって、布の表面に画像および/またはパターンを作成可能とする技術である。望ましくは、エンボス加工は、1つまたは複数の隆起したおよび/または低下した面を作るものであるが、それが実行される下側の材料の性質を大幅に変更することはない。さまざまな医療用布地および/またはマーキング種類に適したさまざまなエンボス技術は、ブラインドエンボス(エンボス画像と生地表面画像が同じ)、色合いエンボス(パステル箔またはパールを用いる)シングルレベルエンボス(マーキングが1つのフラットレベルに隆起される)、マルチレベルエンボス(さまざまなマーキングが異なるレベルに隆起され、マーキングに深みを与えることが可能)、印刷エンボス(エンボス部分が、医療用布地において印刷された画像、方向、および/または製造元のロゴを含む)、記録エンボス(印刷された画像がエンボス加工して浮き彫りにされる)、艶出し(エンボス加工されたマーカーが形成されて生地面に輝きを与える)、およびブラインド印刷および/またはレリーフ印刷、を含む。様々な実施形態において、エンボス加工技術を用いて、医療用布地の様々な糸および/または布部分を、望ましくは隆起させおよび/または下降させることができる。
【0062】
本明細書に開示される様々な実施形態において、医療用布地にマーキングするためのエンボス加工および/または他の開示された技術の使用は、様々な技術的理由によって有用であり得る。通常、装飾および/または美的目的で使用される、従来の生地のエンボス加工とは異なり、医療用布地のエンボス加工には、さまざまな処理ステップおよび/または製造操作の間に役立ち得る、位置合わせマーキング、測定標識、折り畳みおよび/または切断の線、ラベルおよび/またはソース識別、工学目的の標識、安全用特徴および/または使用説明などのマーキングおよび/またはその他の特徴を含めることができる。所定のマーキング技術および/または技術の組み合わせが医療用布地に及ぼす構造的および/または生物学的影響を最小限に抑えることによって、開示された方法および/または技術は、医療用布地およびそれから製造された製品の有用性および/または性能を大幅に向上させることができる。
【0063】
図14Aおよび図14Bは、同様に視覚的および/または触覚的に識別され得る押印マーキング標識1405および波形マーキング標識1415を備えた医療用布地移植片1400、1410を示している。この実施形態では、布地より糸の「波形」は、繊維の成長中に自然に、機械的に、または化学的に誘発される、撚り糸の波またはカールのうねりまたは連続として定義することができる。したがって、繊維の波形は、非直線繊維の直線性から外れる程度と見なすことができる。繊維波形は、単位長さあたりの波または波形として、または直線化された繊維と波形が付された繊維の長さの差として表される、繊維のうねりとすることができる。
【0064】
医療用布地の押印および/または波形は、望ましくは、下側の医療用布地材料の構造的完全性、柔軟性、および/または性能に重大な影響を与えることなく、視覚的および/または触覚的に識別可能なマーキングおよび/または他の標識を作成するものである。さらに、これらおよび同様の技術の使用によって、望ましくは、医療用布地から溶出する可能性がある、および/または追加の生体適合性試験を必要とする可能性があるインクまたは他の材料を含めることを回避することができる。
【0065】
図15は、医療用布地1500に織り込まれた着色された糸を用いたマーキング標識を含む医療用布地1500の別の例示的な実施形態を示している。着色された糸のマーキング標識は、縦マーキング1510および円周マーキング1520、および/または医療用布地の布に織り込まれた、不織布の、組編みされた、または編まれた他の標識を組み込むことができる。この実施形態では、着色された糸を機械に導入することができ、その糸ないし複数の糸を医療用布地に編み込みまたは織り込むことができる。この種類のマーキングのパターンおよび製造技術は、望ましくは、2次元から3次元の「開放」過程の間のマーキングのゆがみおよび/または他の歪みを最小限に抑える。この実施形態では、縦マーキング1510および一連の円周バンド1520が示され、縦マーキング1510は、布地に織り込まれた着色された糸を含む一方、円周マーキング1520は、製造過程で後から追加されるインクマーキングである。
【0066】
様々な追加の実施形態では、補足的なマーキング技術を利用して、必要に応じた追加のマーキングを提供することができる。例えば、マーキングおよび/または他の標識を有する医療用布地の1つの例示的な実施形態は、外部から見えるインク配合物(図示せず)で生地に「印刷」されるマーキングを含むことができる。この実施形態では、インクジェットまたは他の種類のプリンタを使用して、インク配合物を医療用布地の外面に付与することができ、このインク配合物は、2次元状態で、3次元状態で、および/または必要に応じて、両方の状態のさまざまな段階で付与することができる。様々な実施形態において、その意図された使用の生体内環境において実質的に無毒であり、そして患者の生理系によって実質的に拒絶されない(すなわち、非抗原性である)材料などの生体適合性インクまたは着色剤製剤を用いることができる。これは、国際標準化機構(ISO)の標準番号10993および/または米国薬局方(USP)23および/または米国食品医薬品局(FDA)ブルーブック覚書番号G95-1、これらは「国際規格ISO-10993の使用、医療機器の生物学的評価パート1:評価と試験」と題されている、に規定されている生体適合性試験に合格する、材料の能力によって評価できる。G95-1、「国際規格ISO-10993の使用、医療機器の生物学的評価パート1:評価と試験」と題されている。通常、これらの試験は、材料の毒性、感染性、発熱性、刺激性、反応性、溶血性、発がん性、および/または免疫原性を測定する。生体適合性のある構造または材料は、大多数の患者に導入された場合、著しく有害で、長命または増大する生物学的応答ないし反応を引き起こさず、通常、外科手術または生体への異物の移植に伴う軽度の一過性の炎症とは区別される。
【0067】
一つの例示的な実施形態では、本明細書で用いられるインク配合物は、例えば、カーボンブラック、または緑、コバルトブルーまたはFDAで安全な混合物である任意の色の着色された線とすることができる。市販のインクも使用できる。たとえば、Marabuwerke GmbH&Co(タム、ドイツ)によって製造されたTPRインクを、Autoroll Print Technologies、LLC(マサチューセッツ州ミドルトン、部品番号3803 57 980)から入手できる。(タム、ドイツ)は、Autoroll Print Technologies、LLC(マサチューセッツ州ミドルトン、部品番号3803 57 980)から入手できます。TPRインク用のシンナーとして、同じくMarabuwerke GmbH&Coによって製造されているTPVシンナーを、Autoroll Print Technologies、LLC(部品番号3501 97 046)からも入手できる。また、Marabuwerke GmbH&Co。製のTPUインクを使用することもできる。必要に応じて、適切な着色剤を未使用のPET樹脂と組み合わせて、D&C Green#6、CAS#128-80-3またはD&C Blue#6、CAS#482-89-3を含む、糸や布地に変換するための着色繊維を製造することができる。
【0068】
様々な実施形態において、医療用布地は、本明細書に開示される1つ以上のマーキング技術の様々な組み合わせを含むことができる。例えば、インクベースの布地マーキング技術を、コールドUVレーザーおよび/または超音波を用いる、開示された最小マーキング技術と組み合わせて用いてハイブリッドマーキング方法を提供することができ、そこでは、医療用インクおよび/または他の着色剤を用いて、それらのいくつかを布地器具にマーキングおよび/または他の標識として提供する。いくつかの実施形態では、着色剤および/またはインクは、2次元および/または3次元状態の布地および/または布地繊維の1つまたは複数の外面に付与され、さらに、他の実施形態では、着色剤および/またはインクは、さまざまな繊維において構築されおよび/または処理される。開示されたマーキング技術が、事実上、任意の組み合わせを本明細書で使用することができ、様々な結果が得られることを理解されたい。
【0069】
様々な実施形態において、埋め込み用布地器具は、医療用布地の内面および/または外面に一体的に形成され、印刷され、および/または他の方法でマークされた1つまたは複数のマーキングおよび/または位置合わせガイドを含み得、これには、医療用布地の中央縦軸にほぼ平行に縦方向に延びる一対の延長線を含み得る(ただし、他の実施形態では、位置合わせガイドは、1つまたは3つ以上の線を含むことができ、または異なる種類のマーキングを含むことができる)。追加のマーキングは、必要に応じて、2次元状態で追加することができ、または必要に応じて、3次元状態の後に追加することもできる。
【0070】
本発明の別の態様によれば、医療用布地に組み込みおよび/または印刷することができる少なくとも1つのマーカーまたは他のしるしを含む医療用布地が提供される。必要に応じて、マーカーは、マーカーが取り付けられている医療用布地の部分のしるしを提供することができ、たとえば、「L」、「R」、「A」、「P」はそれぞれ、左、右、前方、後方を指す。様々な位置合わせおよび/または処理マーキングに加えて、本明細書に記載の様々なマーキングおよび/または他のしるしは、医療用布地を患者に移植する外科医によって用いるための、医療用布地の様々な面における寸法、向き、位置合わせおよび/または切り取りの線を含むことができる。他の実施形態では、マーキングは、必要に応じて、外科的処置の前および/または最中に医療用布地への取り付けを含む、医療用布地の内側および/または外側にステントまたは他の構造を整列および/または配置するために有用であり得る。さまざまなマーキングには、各線の静脈または血管の直径サイズを外科医に示すためのカフ上のしるしを含むことができる。外科医が医療用布地材料の量および/または形状を切り取る必要があることまたは同様の指示を示すために、数値または他のしるしを提供することができる。
【0071】
マーキング標識の種類と特性
図19A図19Hは、医療用布地上に配置されたマーキング標識の種類の様々な実施形態を示している。マーキング標識は、文字または図形を含む。文字は、記号1900、アルファベット1904、数字1902、英数字1906、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む。図形は、ロゴ(図示せず)、形状(図示せず)、写真(図示せず)、画像、1Dバーコード(図示せず)の幾何学的パターン1912、2Dバーコード1908、1910、3Dバーコード1914、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む。二次元バーコードは、線形バーコード、マトリックスバーコード、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0072】
別の実施形態では、マーキング標識は異なる特性を含む。特性には、サイズ、線の太さ、線の間隔、および全体の太さが含まれる。マーキング標識はサイズを含み、サイズは医療用布地における面積の割合を含み得、その割合は、マークがなされていない医療用布地と比較して、機械的性能が影響を受けない最大のサイズを表す。マーキングのサイズは医療用布地の表面積の0.001%から100%の範囲を含み得、マーキングのサイズは医療用布地の表面積の0.001%から75%の範囲を含み得、マーキングのサイズは医療用布地の表面積の0.001%から50%の範囲を含み得、マーキングのサイズは医療用布地の表面積の0.001%から25%の範囲を含み得、マーキングのサイズは医療用布地の表面積の0.05%から25%の範囲を含み得、マーキングのサイズは医療用布地の表面積の0.5%から10%の範囲を含み得る。マーキングのサイズは、医療用布地の表面積の0.001%以上を含むことがある。好ましい実施形態では、マーキングのサイズは、医療用布地の面積の0.5%から8.0%の間の範囲を含む。マーキングのサイズは医療用布地の表面積の0.5%から1%の範囲を含み得、マーキングのサイズは医療用布地の表面積の1%から2%の範囲を含み得、マーキングのサイズは医療用布地の表面積の2%から6%の範囲を含み得、マーキングのサイズは医療用布地の表面積の6%から8%の範囲を含み得る。あるいは、マーキングのサイズは医療用布地の表面積の2%から8%の範囲を含み得、マーキングのサイズは、医療用布地の表面積の4%から8%の範囲を含み得る。
【0073】
マーキング標識には、線の太さが含まれる。各文字はラインビームを含み、各ラインビーム(line beam)は少なくとも0.005mmの線の太さを含む。線の太さは0.005mmから50mmの範囲を含み得、線の太さは0.005mmから40mmの範囲を含み得、線の太さは0.005mmから20mmの範囲を含み得、線の太さは0.005mmから10mmの範囲を含み得る。線の太さは0.005mmより太いことがある。好ましい実施形態では、線の太さは0.005mmより大きいものとできる。好ましい実施形態では、線の太さは0.005mmから0.5mmの範囲とすることができる。線の太さは0.005mmから0.25mmの範囲を含み得、線の太さの範囲はさらに0.005mmから0.1mmの範囲を含み得、線の太さの範囲は0.005mmから0.05mmの範囲をさらに含み得る。あるいは、各文字は複数のラインビームを含み、複数のラインビームは直接隣接し、および/または複数のラインビームの少なくとも一部は、互いに、接合し、接し、または接触し、および/または複数のラインビームの全体が接合し、接し、または接触する。したがって、各文字は複数のラインビームを含み、複数のラインビームは間隔を置いて配置され、間隔ないし隔たりは0.005から1mmの範囲を含み、間隔ないし隔たりは0.0.005mmから1mmの範囲を含み、間隔ないし隔たりは0.05mmから1mmの範囲を含み、間隔ないし隔たりは0.1mmから1mmの範囲を含み、間隔ないし隔たりは0.25mmから1mmの範囲を含み、間隔ないし隔たりは0.5mmから1mmの範囲を含む。さらに、間隔ないし隔たりは、0.005から1mmの範囲を含み、これは、最大1mmまで0.005mm刻みの任意の間隔であり得る。
【0074】
別の実施形態では、各文字は複数のラインビームを含み、複数のラインビームは離間され、複数のラインビームは文字の全幅を構成する。全幅は0.005から2mmの範囲を含み、全幅は0.005mmから2mmの範囲を含み、全幅は0.05mmから2mmの範囲を含み、全幅は0.1mmから2mmの範囲を含み、全幅は0.25mmから2mmの範囲を含み、全幅は0.5mmから2mmの範囲を含み、および/または全幅は1mmから2mmを含む。さらに、全幅には0.005から1 mmの範囲が含まれ、これによって、最大2mmまで0.005mm刻みの任意の間隔とすることができる。
【0075】
別の実施形態では、1つまたは複数のマーキング標識を医療用布地上に配置することができ、1つまたは複数のマーキング標識を布地構造の好ましい方向に位置合わせして、医療用布地の機械的性能を保つことができる。1つまたは複数のマーキング標識は、医療用布地の好ましい方向に対して平行に整列させることができ、好ましい方向には、糸の長手方向または垂直方向が含まれ、および/または水平方向ないし緯度の方向が含まれる。好ましい方向には、縦糸または横糸、コースおよび/またはうねが含まれてもよい。あるいは、1つまたは複数のマーキング標識は、医療用布地の好ましい方向に対して垂直に整列させることができ、好ましい方向には、糸の長手方向または垂直方向が含まれ、および/または水平方向または緯度の方向が含まれる。好ましい方向には、縦糸または横糸、コースおよび/またはうねが含まれてもよい。
【0076】
別の実施形態では、1つまたは複数のマーキング標識を医療用布地の布地構造に対して斜めに医療用布地上に配置し、医療用布地の機械的性能を保つようにしてもよい。布地構造には、織られ、不織の、編まれ、および/または組み編みされたものが含まれてもよい。医療用布地は、医療用布地の長さ全体にわたって同じまたは異なる材料特性を含むことができる。斜めは、医療用布地の軸から少なくとも5度の角度である。斜めは、医療用布地の軸から30度から60度の範囲を含んでもよい。
【0077】
具体的実施形態
図20A図20Bは、UVマーキング標識技術を用いた、織られた医療用布地の破れ強度の結果のグラフ表示およびデータを示している。グラフ表示は、UVマークが付された布地とマークが付されていない布地を比較した破れ強度(重量ポンド)の箱ひげ図で構成されている。織られた医療用布地は、PETの、1インチあたりの250エンド数(EPI)、1インチあたりの150ピック数(PPI)の平織で構成され、PPIは織布における1インチあたりの横糸の数である。1つのピックは単一の横糸である。糸は40デニールで1インチあたり6.5巻き(TPI)である。UVレーザー設定は、図5A図5BにおけるUV設定グリッドに示される3Cである。箱ひげ図は、0.5%、2%、および8%のサイズのマーキング標識をまとめたもので、布地の面積に対するマーキング標識の被覆率として表されている。いくつかのUVマーキング標識は、方向に追従または整列するように位置決めされおよび/または配置され、方向には、横糸に平行な方向、縦糸に平行な方向、および/または横糸および縦糸を45度で横切る方向が含まれる。箱ひげ図の結果は、UVマーキング標識を横糸に合わせることによって、0.5%、2%、8.0%の総ての被覆率で、破れ強度がマークの付されない布地に匹敵することを示している。より具体的には、箱ひげ図の結果は、横糸に平行にUVマーキング標識を整列さることにより、マークの付されていない織布に対し、破れ強度が被覆率0.5%のマーキング標識サイズで等しいか実質的に等しくすることができることを示している(実質的に少なくとも5%から10%の違いでより大きいか小さい、と規定される)。さらに、2%および8%サイズの被覆率の箱ひげ図の結果は、UVマーキング標識を横糸と平行に揃えることが、マークが付されていない布地よりも破れ強度を小さくすることを示している。少ない量は重要ではないが、マークが付されていない布地よりも約20%から33%低くなっている。この少ない量は、それでも製造仕様および/または顧客仕様に対して容易に許容できるものである。横糸方向の密度が低いため、この生地の横糸方向にマーキングすることは好ましいことである。さらに、高密度の布地では、一緒に束ねられて糸を形成する高密度繊維が低密度繊維に比べて隆起しているため、繊維ないし長繊維および/または糸がUVレーザーに近接する。隆起した糸は、糸をUVレーザーに近接するよう、配置される表面から離れるように隆起される。
【0078】
図21A図21Bは、UVマーキング標識技術を用いた、医療用布地の破れ強度結果のグラフ表示およびデータを示している。グラフ表示は、UVマークが付された布地とマークが付されていない布地を比較した破れ強度(重量ポンド)の箱ひげ図で構成されている。織られた医療用布地は、PETの、1インチあたり250エンド数(EPI)、1インチあたり1インチあたり150ピック数(PPI)の平織で構成され、PPIは織布における1インチあたりの横糸の数である。糸は40デニールで1インチあたり6.5巻き(TPI)である。UVレーザー設定は、図5A図5BにおけるUV設定グリッドに示される3Cである。マーキング標識のそれぞれは文字を含み、文字は複数のラインビームを含み、複数のラインビームのそれぞれは線の太さを含み、ラインビームのそれぞれは間隔を置いて配置され、隣接するラインビームと平行に配置されている。複数のラインビームは、全線幅ないし全幅を有する。線の間隔は1mm間隔である。線の幅は0.005mm、0.05mm、0.1mm、0.25mmに設定した。箱ひげ図を要約すると、マーキング標識が、破れ強度がマークが付されていない布地と等しいかまたは実質的に等しい、線の幅が0.005mmの少なくとも1つラインビームを有することである。0.05mm、0.1mm、0.25mm、および0.5mmの他の総ての線幅では、破れ強度はマークが付されていない布地より33%から75%低下する。しかしながら、この少ない量は、それでも製造仕様および/または顧客仕様に対して容易に許容できるものである。
【0079】
図22A図22Bは、UVマーキング標識技術を用いた、医療用布地の破れ強度結果のグラフ表示およびデータを示している。グラフ表示は、UVマークが付された布地とマークが付されていない布地を比較した破れ強度(重量ポンド)の箱ひげ図で構成されている。織られた医療用布地は、PETの、1インチあたり245エンド数(EPI)、1インチあたり190ピック数(PPI)の平織テープで構成され、PPIは織布における1インチあたりの横糸の数である。縦糸は20デニール、1インチあたり12巻き(TPI)で、横糸は20デニールで、撚りはないものである。UVレーザー設定は、図5A図5BにおけるUV設定グリッドに示される3Cである。箱ひげ図は、0.5%および2%のサイズのマーキング標識をまとめたもので、サイズは布地の面積に対するマーキング標識の被覆率として表されている。いくつかのUVマーキング標識は、方向に追従または整列するように位置決めされおよび/または配置され、方向には、横糸の方向、縦糸の方向、および/または横糸および縦糸を45度で横切る方向が含まれる。箱ひげ図の結果は、横糸に平行にUVマーキング標識を整列させることにより、マークの付されていない織布に対し、破れ強度が被覆率0.5%のマーキング標識サイズで等しいか実質的に等しくすることができることを示している(実質的に少なくとも5%から10%の違いでより大きいかより小さい、と規定される)。さらに、2%サイズの被覆率の箱ひげ図の結果は、UVマーキング標識を縦糸と平行に揃えることが、マークが付されていない布地よりも破れ強度が小さくなることを示している。少ない量は重要ではないが、マークが付されていない布地よりも約38%から59%小さくなっている。この少ない量は、それでも製造仕様および/または顧客仕様に対して容易に許容できるものである。したがって、UVマーキング標識を横糸方向に整列させることも、製造仕様および/または顧客仕様に対して許容できる。縦糸が撚られているので、この布地の縦糸方向のマーキングは好ましいものである。横糸は撚られておらず、横糸方向のマーキングによってより小さい破れ強度となり得るが、同等の破れ強度が得られる。糸が撚られているので、撚られていない糸と比較して、マークが糸を切断したり損傷したりすることはない。代わりに、マークは、らせん、渦巻き、または巻きの方向で糸に刻みを入れたり、切り込みを入れたりする。
【0080】
図23A図23Bは、UVマーキング標識技術を用いた、医療用布地の破れ強度結果のグラフ表示およびデータを示している。グラフ表示は、UVマークが付された布地とマークが付されていない布地を比較した破れ強度(重量ポンド)の箱ひげ図で構成されている。医療用布地は、1インチあたり145エンド(EPI)、1インチあたり140ピック(PPI)の平織りであるベロア織りで構成されている。縦糸は、2層の、40デニールのPET(80デニールPET)および1インチあたり7.5巻き(TPI)であり、横糸の番号1は40デニールのPETのS方向で、および横糸の番号2は40デニールのPETのZ方向である。UVレーザー設定は、図5A図5BにおけるUV設定グリッドに示される3Cである。箱ひげ図は、0.5%および2%のサイズのマーキング標識をまとめたもので、サイズは布地の面積に対するマーキング標識の被覆率として表されている。いくつかのUVマーキング標識は、方向に追従または整列するように位置決めされおよび/または配置され、方向には、横糸の方向および縦糸の方向が含まれる。箱ひげ図の結果は、UVマーキング標識を横糸方向または縦糸方向に合わせることにより、マークが付されていない布地に匹敵する破れ強度があることを示している。箱ひげ図の結果は、縦糸または横糸に平行にUVマーキング標識を整列さることにより、マークの付されていない織布に対して、破れ強度を被覆率0.5%および2%のマーキング標識サイズで等しいか実質的に等しくすることができることを示している(実質的に少なくとも3%から13%の違いでより大きいかより小さい、と規定される)。糸の釣り合いにより、この布地では、縦糸に平行または横糸に平行、または縦糸または横糸に対して斜めにマーキングすることができ、-PPIとEPIの両方の釣り合いがとれており(つまり、145:140)、縦糸方向または横糸方向のどちらでも同じ強度が得られ、マークのない布地の破れ強度を保持することが可能となる。さらに、糸の釣り合いは素材の柔軟性を高める。布地が均一の織りパターンを有していることから、糸の釣り合い(PPI=EPI)によって、マーキングを横糸方向、縦糸方向、および/または斜め方向に揃えた後、素材の強度が失われることはない。したがって、UVマーキング標識を横糸方向に整列させることも、製造仕様および/または顧客仕様に対して許容できる。図24は、図20A-20B、図21A-21B、図22A-22B、および図23A-23の総ての医療用布地の破れ強度の結果のグラフ表示を1つのプロットにまとめて示している。
【0081】
図25A図25Bは、UVマーキング標識技術を用いた、ニットの医療用布地の破れ強度結果のグラフ表示およびデータを示している。グラフ表示は、UVマークが付されたニット布地とマークが付されていないニット布地を比較した破れ強度(重量ポンド)の箱ひげ図で構成されている。ニット医療用布地は、PETの、1インチあたり86コース(CPI)、1インチあたり43うね(WPI)の平編み布で構成されている。糸は30デニールのPETで、1インチあたりの撚り数ないし巻き数(TPI)はない。箱ひげ図は、0.5%、2%および8%のサイズのマーキング標識をまとめたもので、サイズは布地の面積に対するマーキング標識の被覆率として表されている。いくつかのUVマーキング標識は、方向に追従または整列するように位置決めされおよび/または配置され、方向には、コースの方向、うねの方向、および/またはコースおよびうねを45度で横切る方向が含まれる。箱ひげ図の結果は、UVマーキング標識をコース、うねおよび/または45度の方向のいずれかに合わせることによっても、0.5%、2%、および8.0%の総ての被覆率で、破れ強度がマークの付されない布地に匹敵することを示している。より具体的には、箱ひげ図の結果は、コース、うねおよび/または45度の方向に平行にUVマーキング標識を整列さることにより、マークの付されていないニット布地に対し、破れ強度が、被覆率0.5%および2%のマーキング標識サイズで等しいか実質的に等しくすることができることを示している(実質的に少なくとも5%から10%の違いでより大きいか小さい、と規定される)。さらに、8%サイズの被覆率の箱ひげ図の結果は、UVマーキング標識をコースまたはうねと平行に揃えることが、マークが付されていないニット布地よりも破れ強度が小さくなることを示している。少ない量は重要ではないが、マークが付されていない布地よりも約20%から25%低くなっている。この少ない量は、それでも製造仕様および/または顧客仕様に対して容易に許容できるものである。
【0082】
図26A図26Bは、UVマーキング標識技術を用いた、ニットの医療用布地の破れ強度結果のグラフ表示およびデータを示している。グラフ表示は、UVマークが付されたニット布地とマークが付されていないニット布地を比較した破れ強度(重量ポンド)の箱ひげ図で構成されている。ニット医療用布地は、PETの、1インチあたり56コース(CPI)、1インチあたり45うね(WPI)の平編み布で構成されている。糸番号1はZ方向に40デニールのテクスチャード加工されたPETであり、糸番号2はS方向に40デニールのテクスチャード加工されたPETで、糸番号は3は、1インチあたり5撚り数(TPI)の40デニールのテクスチャード加工されたPETである。UVレーザー設定は、図5A図5BにおけるUV設定グリッドに示される3Cである。箱ひげ図は、0.5%および2%のサイズのマーキング標識をまとめたもので、サイズは布地の面積に対するマーキング標識の被覆率として表されている。いくつかのUVマーキング標識は、方向に追従または整列するように位置決めされおよび/または配置され、方向には、コースの方向、うねの方向、および/またはコースおよびうねを45度で横切る方向が含まれる。箱ひげ図の結果は、UVマーキング標識をコース、うねおよび/または45度の方向のいずれかに合わせることによっても、0.5%および2%の総ての被覆率で、破れ強度がマークの付されない布地に匹敵することを示している。より具体的には、箱ひげ図の結果は、コース、うねおよび/または45度の方向に平行にUVマーキング標識を整列さることにより、マークの付されていないニット布地に対し、破れ強度が、被覆率0.5%および2%のマーキング標識サイズで等しいか実質的に等しくすることができることを示している(実質的に少なくとも5%から10%の違いでより大きいか小さい、と規定される)。図27は、図25A-25Bおよび図26A-26Bのすべてのニット医療用布地の破れ強度結果のグラフ表示を1つのプロットにまとめて示している。
【0083】
図28A図28Bは、UVマーキング標識技術を用いた糸の伸びおよび糸の引っ張り強さの結果のグラフ表示を示している。グラフ表示は、UVマークが付された糸とマークが付されていない糸を比較して伸び%および引っ張り強さg/デニールで構成されている(例えば、布地の代わりに糸にマークが付される)。糸は、40デニールの、より糸の27繊維で、テクスチャード加工された、1インチあたり12撚り数(TPI)のPETで構成されている。引っ張り強さは、参照標準としてASTMD2256を使用して測定した。UVレーザー設定は、図5A図5BにおけるUV設定グリッドに示される4Cおよび8Cである。グラフの結果は、4CのUV設定の場合、マークが付されていない糸の場合と等しいか実質的に等しい(実質的に少なくとも5%から10%の差でより大きいまたはより小さいと規定される)ことを示している。それに応じて、8C設定のグラフ結果は、伸びおよび引っ張り強さがマークが付されていない糸よりも小さいことを示している。少ない量は重要ではないが、マークが付されていない糸よりも約11%から25%小さくなっている。この少ない量は、それでも製造仕様および/または顧客仕様に対して容易に許容できるものである。
【0084】
図29A図29Bは、UVマーキング標識技術を用いた糸の伸びおよび糸の破断荷重の結果のグラフ表示を示している。グラフ表示は、UVマークが付された糸とマークが付されていない糸を比較して伸び%および破断荷重(g)のグラフで構成されている(たとえば、布地の代わりに糸にマークが付される)。糸は、40デニールの、より糸の27繊維で、テクスチャード加工された、1インチあたり6.5撚り数(TPI)のPETで構成されている。UVレーザー設定は、図5A図5BにおけるUV設定グリッドに示される3D、4C、5Dおよび8Aである。グラフの結果は、伸びと破断荷重の両方がマークが付されていない糸に匹敵することを示している。より具体的には、グラフの結果は、3DのUV設定の場合、マークが付されていない糸の場合と等しいか実質的に等しい(実質的に少なくとも5%から16%の差でより大きいまたはより小さいと規定される)ことを示している。これに応じて、他のすべての設定4C、5D、および8Aのグラフの結果は、伸びと破断荷重が、マークが付されていない糸よりも小さいことを示している。少ない量は重要ではないが、マークが付されていない糸よりも約18%から50%小さくなっている。この少ない量は、それでも製造仕様および/または顧客仕様に対して容易に許容できるものである。さらに、撚りのある糸は、UVレーザーマーキングの用途で糸の強度を維持するのに役立つ。
【0085】
図30A図30Dおよび図31A図31Bは、UVマーキング標識技術を用いた織布の医療用布地の拡大図を示している。織布の医療用布地は、平織りパターンの超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で構成されている。倍率はそれぞれ30倍、150倍、300倍、および600倍である。拡大図は、図5A図5BのUV設定グリッドの総ての設定を用いて、UHMWPE布地が複数の文字でどのようにマークされたかを示している。拡大図によって、図31Bに示されるように、肉眼で検出することができない、マークが付された布地となる。一実施形態では、マーキング標識は肉眼で検出することができない、あるいは言い換えれば、マーキング標識は、リン光性、透明または半透明の文字または図形を含み得る。リン光は、物質が紫外線(UV)光の範囲内の可視光の形で、蓄積されたエネルギーをゆっくりと放出する過程である。マーキング標識は、布地の「マークされた」領域の位置を強調表示または検出するため、および/または「マークされた」領域を蛍光性にするために、別の形態の視覚化を必要とし、それによって視覚化技術を用いて可視光放射として吸収および再放出できるようにし、これを基に、肉眼で検出できる視覚的マークを作り出すことができる。例えば、視覚化技術は、図31Aに示されるようなUVバックライトないし蛍光透視法、またはX線を含む。あるいは、マーキング標識は、不透明または半不透明の文字または図形を含み得る。
【0086】
図32A図32Bは、UVマーキング標識技術を用いた、UHMWPEの医療用布地の破れ強度結果のグラフ表示およびデータを示している。グラフ表示は、UVマークが付されたUHMWPE布地とマークが付されていないUHMWPE布地を比較した破れ強度(重量ポンド)の箱ひげ図で構成されている。UHMWPE医療用布地は、1インチあたり275エンド(EPI)、1インチあたり200ピック(PPI)の平織りテープで構成されている。糸は20デニールのUHMWPEで、1インチあたり6.5撚り数(TPI)である。UVレーザー設定は、図5A図5BにおけるUV設定グリッドに示される3Cである。箱ひげ図は、0.5%、2%および8%のサイズのマーキング標識をまとめたもので、サイズは布地の面積に対するマーキング標識の被覆率として表されている。いくつかのUVマーキング標識は、方向に追従または整列するように位置決めされおよび/または配置され、方向には、横糸の方向、縦糸の方向、および/または横糸および縦糸を45度で横切る方向が含まれる。箱ひげ図の結果は、UVマーキング標識を横糸、縦糸および/または45度の方向のいずれかに合わせることによって、0.5%、2%および8%の総ての被覆率で、破れ強度がマークの付されない布地に匹敵することを示している。より具体的には、箱ひげ図の結果は、横糸、縦糸および/または45度の方向に平行にUVマーキング標識を整列さることにより、マークの付されていないニット布地に対し、破れ強度が、被覆率0.5%、2%および8%のマーキング標識サイズで等しいか実質的に等しくすることができることを示している(実質的に少なくとも5%から10%の違いでより大きいか小さい、と規定される)。
【0087】
図33A図33Bは、UVマーキング標識技術を用いた、PET組み編みの医療用布地の破れ強度結果のグラフ表示およびデータを示している。グラフ表示は、UVマークが付されたPETの組み編み布地とマークが付されていないPETの組み編み布地を比較した破れ強度(重量ポンド)の箱ひげ図で構成されている。PET組み編み医療用布地は、組み編みの、1x2ダイヤモンドフル(これは、ダイヤモンドパターンの方向の角度が45度であることを想定している)と27ピック/インチ(PPI)で構成されている。糸は1インチあたり3撚り数(TPI)の100デニールPETである。UVレーザー設定は、図5A図5BにおけるUV設定グリッドに示される3Cである。箱ひげ図は、0.5%、2%および8%のサイズのマーキング標識をまとめたもので、サイズは布地の面積に対するマーキング標識の被覆率として表されている。いくつかのUVマーキング標識は、好ましい方向に従うかまたは整列するように位置付けされおよび/または配置され、好ましい方向は、水平方向および垂直方向を含む。箱ひげ図の結果は、UVマーキング標識を水平または垂直の好ましい方向のいずれかに合わせることによって、0.5%、2%および8%の総ての被覆率で、破れ強度がマークの付されない布地に匹敵することを示している。より具体的には、箱ひげ図の結果は、水平または垂直の好ましい方向に平行にUVマーキング標識を整列さることにより、マークの付されていない組み編み布地に対し、破れ強度を、被覆率0.5%、2%および8%のマーキング標識サイズで等しいか実質的に等しくすることができることを示している(実質的に少なくとも2%から14%の違いでより大きいか小さい、と規定される)。それに応じて、UVマーキング標識の好ましい方向の位置合わせは、この実施形態では45度である組み編みパターンに平行である。UVマーキング標識は、組み編みの斜角の好ましい方向と整列する。斜めの角度には15度から75度が含まれる。組み編みパターンが異なれば、糸の斜角も異なる。
【0088】
結果として、UVマーキング標識を含む医療用布地の破れ強度を維持することは、このましくは、布地構造および/または1つまたは複数の布地材料特性を最適化または修正することによって達成され得る。あるいは、2つ以上、3つ以上および/または4つ以上の材料特性を修正または最適化して、マークが付された医療用布地の機械的強度を維持することができる。マークが付されていない医療用布地と比較した、医療用布地の機械的性能を維持することができる。一実施形態では、より低密度の布地、糸、および/または繊維を含む1つまたは複数の布地材料特性を最適化または修正する。1つまたは複数の繊維材料特性を最適化または修正することには、インチあたりの撚り数が含まれ、インチあたりの撚り数には、インチあたり少なくとも3撚り数が含まれる。1つまたは複数の繊維材料特性を最適化または修正することには、大きな繊維直径が含まれ、より大きな繊維直径には少なくとも30μmが含まれる。1つまたは複数の繊維材料の特性を最適化または修正することには、高強度の生地または糸が含まれる。1つまたは複数の繊維材料の特性を最適化または修正することには、釣り合いのとれたエンドが含まれ、釣り合いのとれたエンドは、PPIとEPIの1:1の比率として定義されるものである。1つまたは複数の布地材料特性を最適化または修正することには、より低密度の布地、糸、または繊維が含まれ得、1インチあたり少なくとも5撚り数、少なくとも30μmを含むより大きな繊維直径、釣り合いのとれたエンド、高強度生地、および/またはそれらの任意の組み合わせである。
【0089】
参照による援用
本明細書で参照される刊行物、特許文献、および他の参考文献の開示全体は、個々の出典が参照により組み込まれると個別に示されるのと同じ程度に、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
均等物
本発明は、その趣旨またはその本質的特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で実施することができる。従って、上述の実施形態は、あらゆる点において、本明細書に記載の本発明を限定するものではなく、例示的なものとしてみなすべきである。このようにあいて、本発明の範囲は、本明細書で提供される説明の意味および同等の範囲内に入るすべての変更を含むことを意図している。
【0091】
本発明の態様および利点の多くは、添付の図面を参照することにより、より明確に理解および理解され得る。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本発明の実施形態を例示する明細書の一部を形成し、説明とともに、本発明の原理を開示する。
【0092】
上述の発明を、明快に理解するための例示及び例を通じてある程度詳細に説明してきたが、本発明の教示を踏まえた上で、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に対する変更及び修正を施してもよいことは、当業者には直ちに明らかになることである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図19F
図19G
図19H
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図30C
図30D
図31A
図31B
図32A
図32B
図33A
図33B
図33C
図33D