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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ブラケット付き窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240830BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
B60J1/00 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021555997
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2020040424
(87)【国際公開番号】W WO2021095529
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019205892
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】523220503
【氏名又は名称】セントラル硝子プロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】辻 篤史
(72)【発明者】
【氏名】小掠 孝
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099048(JP,A)
【文献】特開2019-209714(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0227079(US,A1)
【文献】米国特許第07438774(US,B2)
【文献】独国特許出願公開第10310454(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の窓ガラスと、
上記窓ガラスに保持される、筒状をなすブラケットと、
上記ブラケットに保持される板状部材と、
を備えるブラケット付き窓ガラスであって、
上記ブラケットは、
上記車両用窓ガラスの車室内側の面に覆われる第1開口部と、
上記第1開口部の反対側において上記板状部材を抜き差し可能なように開口した第2開口部と、
一対の側面側内壁と、
を備え、
上記板状部材は、上記一対の側面側内壁に保持されて、上記ブラケットの内部空間を上下それぞれのデバイス収容空間に仕切る、
ブラケット付き窓ガラス。
【請求項2】
上記板状部材を複数有し、これら複数の板状部材が上記ブラケットの異なる高さ位置にそれぞれ配置されている、請求項1に記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項3】
上記側面側内壁は、上記板状部材を保持するガイドを備える、請求項1又は2に記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項4】
上記ガイドは、レール状である、請求項3に記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項5】
上記ガイドは、側面側内壁の溝からなる、請求項3に記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項6】
上記ガイドは、上記第1開口部側に終端部を備える、請求項3~5のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項7】
上記ブラケットは、断面多角形の筒状をなす、請求項1~6のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項8】
上記板状部材の上に電子デバイスが搭載されている、請求項1~7のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項9】
上記第1開口部の開口面は、車両用窓ガラスの車室内側の面に沿った三次元形状をなす、請求項1~8のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項10】
上記第2開口部の開口面は、車体の鉛直方向に沿って形成されている、請求項1~9のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項11】
上記ブラケットは、上記第2開口部を覆う開閉可能ないし着脱可能なカバーを備える、請求項1~9のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項12】
上記ブラケットの底面側内壁は、車体の水平方向に沿って延びている、請求項1~11のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項13】
上記ブラケットの天面側内壁は、車体の水平方向に沿って延びている、請求項1~12のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項14】
上記板状部材は、車体の水平方向に沿って保持されている、請求項1~13のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項15】
上記板状部材は、上記ブラケットにネジで固定されている、請求項1~14のいずれかに記載のブラケット付き窓ガラス。
【請求項16】
車両用の窓ガラスに保持される、筒状をなすブラケットであって、
上記ブラケットは、
上記車両用の窓ガラスの車室内側の面に覆われる第1開口部と、
上記第1開口部の反対側において板状部材を抜き差し可能なように開口した第2開口部と、
一対の側面側内壁と、
を備え、
上記一対の側面側内壁には、上記ブラケットの内部空間を上下それぞれのデバイス収容空間に仕切るための上記板状部材を保持する保持部がそれぞれ設けられている、
上記ブラケット。
【請求項17】
車両用の窓ガラスを製造する工程と、
第1開口部および第2開口部を各々の端部に有するとともに、一対の側面側内壁を有する筒状をなすブラケットを製造する工程と、
上記ブラケットの上記第1開口部を上記車両用の窓ガラスの車室内側の面に接合して、ブラケット付き窓ガラスを提供する工程と、
上記ブラケット付き窓ガラスを車体に取り付ける工程と、
電子デバイスを搭載した板状部材を上記第2開口部から上記ブラケット内に挿入し、かつ上記一対の側面側内壁によって保持させる工程と、
を備える、ブラケット付き窓ガラスの製造方法。
【請求項18】
上記ブラケットは、断面長方形の筒状をなし、
上記第1開口部が窓ガラスの傾斜に沿って傾斜しており、
上記第2開口部が上記第1開口部の傾斜に沿うように複数の立ち上がり辺と前後方向辺とからなる階段状に形成されており、
上記前後方向辺の各々に沿ってそれぞれガイドレールが設けられており、
上記ガイドレールの各々の上に板状部材が保持されている、
請求項1に記載のブラケット付き窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ等の電子デバイスが選択的に装着されるブラケットを備えた車両用のブラケット付き窓ガラスならびにその製造方法およびブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、車両の窓ガラス例えばウインドシールドの上部の内側面に、カメラ等の電子デバイスを配置することが開示されている。電子デバイスとしては、車両の前方や周囲を監視するカメラのほか、障害物を検出するためのレーダーや赤外線レーザー等があり、これらの電子デバイスは、ガラス面に固定されるブラケットを介して窓ガラスに取り付けられている。
【0003】
近年、走行中の前方ないし周囲の状況を画像として記録するいわゆるドライブ・レコーダや、障害物を検出して万一の際に非常ブレーキを作動させる安全技術、あるいは、路面の白線や前方を走行する車両を認識して追尾走行する自動走行技術、などが発展してきており、これに伴って、多種の電子デバイスが車両に搭載される傾向にある。しかしながら、複数の電子デバイスを窓ガラスに取り付けようとすると、それだけブラケットや電子デバイスが占有する面積が大きくなり、運転者や乗員の視界を妨げてしまい、好ましくない。
【0004】
また、上記の自動走行技術などの装備がいわゆるオプション機器として提供されるような場合には、同じ車種の車両であっても1台毎に異なる種類の電子デバイスあるいは異なる組み合わせの複数の電子デバイスが装着されることがあり、窓ガラス上における電子デバイスの設置領域の確保がより困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/188412号公報
【文献】特開2017-114470号公報
【発明の概要】
【0006】
本開示によれば、
車両用の窓ガラスと、
上記窓ガラスに保持される、筒状をなすブラケットと、
上記ブラケットに保持される板状部材と、
を備えるブラケット付き窓ガラスであって、
上記ブラケットは、
上記車両用窓ガラスの車室内側の面に覆われる第1開口部と、
上記第1開口部の反対側において上記板状部材を抜き差し可能なように開口した第2開口部と、
一対の側面側内壁と、
を備え、
上記板状部材は、上記一対の側面側内壁に保持されて、上記ブラケットの内部空間を上下それぞれのデバイス収容空間に仕切る、
ブラケット付き窓ガラス、が提供される。
【0007】
さらに、車両用の窓ガラスを製造する工程と、
第1開口部および第2開口部を各々の端部に有するとともに、一対の側面側内壁を有する筒状をなすブラケットを製造する工程と、
上記ブラケットの上記第1開口部を上記車両用の窓ガラスの車室内側の面に接合して、ブラケット付き窓ガラスを提供する工程と、
上記ブラケット付き窓ガラスを車体に取り付ける工程と、
電子デバイスを搭載した板状部材を上記第2開口部から上記ブラケット内に挿入し、かつ上記一対の側面側内壁によって保持させる工程と、
を備える、ブラケット付き窓ガラスの製造方法、が提供される。
【0008】
上記のブラケットには任意の種類の複数の電子デバイスを収容することができ、窓ガラスの限られた面積の中で1箇所に集約した形で多種の電子デバイスの装着が可能となる。また、窓ガラスに予め取り付けられたブラケットに対して、事後的に電子デバイスの取り付け・取り外しが可能であり、複数種の電子デバイスの多様な組み合わせに容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施例のブラケット付きウインドシールドを備えた車両の正面図。
図2】第1実施例のブラケットを車室内側から見た斜視図。
図3】第1実施例のブラケットの第2開口部の正面図。
図4】第1実施例のブラケットをウインドシールドとともに示す断面図。
図5】第2実施例のブラケットを車室内側から見た斜視図。
図6】第2実施例のブラケットの第2開口部の正面図。
図7】第2実施例のブラケットをウインドシールドとともに示す断面図。
図8】第3実施例のブラケットを車室内側から見た斜視図。
図9】第3実施例のブラケットの第2開口部の正面図。
図10】第3実施例のブラケットをウインドシールドとともに示す断面図。
図11】第4実施例のブラケットを車室内側から見た斜視図。
図12】第4実施例のブラケットの第2開口部の正面図。
図13】第4実施例のブラケットをウインドシールドとともに示す断面図。
図14】第5実施例のブラケットを車室内側から見た斜視図。
図15】第5実施例のブラケットの第2開口部の正面図。
図16】第5実施例のブラケットをウインドシールドとともに示す断面図。
図17】第6実施例のブラケットを車室内側から見た斜視図。
図18】第6実施例のブラケットの第2開口部の正面図。
図19】第6実施例のブラケットをウインドシールドとともに示す断面図。
図20】第7実施例のブラケットを備えたウインドシールドの斜視図。
図21】第7実施例のブラケットを車室外側から見た斜視図。
図22】第7実施例のブラケットを車室内側から見た斜視図。
図23】第7実施例のブラケットの断面斜視図。
図24】第7実施例のブラケットをウインドシールドとともに示す断面図。
図25】板状部材を取り除いて示す第7実施例のブラケットの断面図。
図26】第7実施例のブラケットの分解斜視図。
図27】第8実施例のブラケットを車室内側から見た斜視図。
図28】第8実施例のブラケットの分解斜視図。
図29】ブラケットを2つ備えた変形例を示す車両の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、窓ガラスとしてウインドシールドに適用した好ましい一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施例のブラケット付きウインドシールド1を備えた車両つまり自動車2を示している。
【0012】
ウインドシールド1は、自動車2の運転席前方に斜めに傾斜した形に取り付けられるものであって、一般に左右方向に緩く湾曲した曲面ガラスとして構成されている。このウインドシールド1は、1枚の板ガラスから構成されているものであってもよいが、一般には、2枚の板ガラスを中間の合成樹脂膜を介して貼り合わせた合わせガラスからなる。
【0013】
ウインドシールド1の上部中央には、電子デバイスを搭載するためのブラケット3が取り付けられている。
【0014】
図2図4は、第1実施例のブラケット3を示す。この第1実施例のブラケット3は、筒状、より詳しくは断面が真円形ないし楕円形をなす円筒状をなしており、車室外側へ向かう第1開口部4と、車室内側へ向かう第2開口部5と、を有する。
【0015】
第1開口部4は、図4の断面図に示すように、ウインドシールド1の車室内側の面1aに沿った三次元形状をなしており、ブラケット3がウインドシールド1に取り付けられた状態では、ウインドシールド1の車室内側の面1aによって覆われている。これに対し、第1開口部4とは反対側となる車室内側へ向かう第2開口部5は、後述する板状部材6の抜き差しが可能なように開口している。
【0016】
円筒状のブラケット3は、剛性を有する合成樹脂もしくは硬質ゴムあるいは金属などから形成されており、ウインドシールド1の面1aに沿った形状をなす第1開口部4の開口縁を例えば接着剤を介してウインドシールド1の面1aに接合することで、ウインドシールド1に保持されている。ウインドシールド1の面1aに対するブラケット3の接合は、接着剤に限らず、いかなる接着技術によるものであってもよい。ウインドシールド1に取り付けられた状態では、円筒状をなすブラケット3は、車体のほぼ水平方向に沿って延びている。
【0017】
図3に示すように、円筒状をなすブラケット3は、左右一対の側面側内壁10,11と、車体の鉛直方向上方に位置する天面側内壁12と、鉛直方向下方に位置する底面側内壁13と、を含む。つまり一対の側面側内壁10,11の上端同士が天面側内壁12によって互いに接続されており、一対の側面側内壁10,11の下端同士が底面側内壁13によって互いに接続されている。本実施例では、これらの側面側内壁10,11と天面側内壁12と底面側内壁13とが、全体として円形をなすように連続している。
【0018】
板状部材6は、本実施例では、単純な長方形の平坦な板状をなす。この板状部材6は、ブラケット3とは別の部材として、剛性を有する合成樹脂もしくは硬質ゴムあるいは金属などから形成されている。ブラケット3と同じ材料から形成してもよく、異なる材料から形成してもよい。
【0019】
板状部材6は、円筒状をなすブラケット3の軸方向に沿った寸法である長さと、ブラケット3の径方向に沿った寸法である幅と、を有する。板状部材6の幅は、ブラケット3の左右方向に沿った内径(真円であれば直径)よりも僅かに小さく設定されている。
【0020】
従って、図3から容易に理解できるように、円筒状をなすブラケット3の中で自重により下方へ付勢される板状部材6は、両側縁が左右一対の側面側内壁10,11に密接し、これら側面側内壁10,11によって支持される。特に、板状部材6の幅がブラケット3の内径より僅かに小さいことから、図3に示すように、ブラケット3の円形断面の中で鉛直方向の中心から僅かに下方となる位置に保持される。なお、板状部材6をブラケット3に対して固定する必要はないが、ネジ等で固定してもよい。
【0021】
板状部材6の長さは、このように板状部材6がブラケット3の中に保持された状態において、ブラケット3の長手方向の寸法と合致するように設定されている。つまり、図4に示すように、板状部材6の一端はブラケット3の第1開口部4の開口縁に沿って位置し、他端はブラケット3の第2開口部5の開口縁に沿って位置する。図4のような断面で見ると、板状部材6は、天面側内壁12および底面側内壁13に対して平行に保持されている。
【0022】
またブラケット3の第2開口部5は、図4に示すように、円筒の中心軸線に対してそれぞれ傾斜した上部の第1の傾斜面5aと下部の第2の傾斜面5bとに沿って形成されている。第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bの境界は、板状部材6が支持されている高さ位置に対応して位置している。つまり、第1の傾斜面5aは板状部材6よりも上方にあり、第2の傾斜面5bは板状部材6よりも下方にある。これら第1の傾斜面5aおよび第2の傾斜面5bは、いずれも第1開口部4の傾斜つまりウインドシールド1の傾斜と同じ方向に傾斜しており、第2の傾斜面5bの方がより大きく傾斜している。
【0023】
上記のように板状部材6がブラケット3の中に支持されることで、円筒状をなすブラケット3の内部空間は、上下それぞれのデバイス収容空間14,15に仕切られている。そして、これらのデバイス収容空間14,15の各々に、電子デバイス18A,18B(両者を区別する必要がないときは、まとめて電子デバイス18とする)が収容されている。上方の電子デバイス18Aは、板状部材6の上面に搭載されている。下方の電子デバイス18Bは、ブラケット3の底面側内壁13の上に搭載されている。
【0024】
電子デバイス18は、例えば、カメラ、レーダー、赤外線レーザー、通信モジュール、レインセンサなど、ウインドシールド1付近に配置することが好ましいいかなる種類のものであってもよい。例えば一実施例では、上方の電子デバイス18Aは、自動車2の前方を撮像するカメラであり、下方の電子デバイス18Bは、障害物を検知するための赤外線レーザーである。勿論、他の組み合わせであってもよい。
【0025】
このような第1実施例によれば、1つのブラケット3に2つの電子デバイス18を収容することが可能となり、占有面積の低減ならびに全体的な構成の簡素化が図れる。また、この第1実施例では、板状部材6を挿入可能に案内するガイドレール等の構造物が不要であり、ブラケット3の構成が非常に簡単となる。
【0026】
次に、図5図7を参照して第2実施例のブラケット3を説明する。なお、以下では、第1実施例の説明と重複する説明は省略する。
【0027】
第2実施例のブラケット3は、断面四角形の筒状をなしている。詳しくは、底辺が頂辺よりも幅広となった台形断面の筒状をなしている。このブラケット3は、左右一対の側面側内壁10,11と、鉛直方向上方に位置する天面側内壁12と、鉛直方向下方に位置する底面側内壁13と、を含む。つまり一対の側面側内壁10,11の上端同士が天面側内壁12によって互いに接続されており、一対の側面側内壁10,11の下端同士が底面側内壁13によって互いに接続されている。本実施例では、2つの側面側内壁10,11が互いに対称をなしている。
【0028】
一対の側面側内壁10,11の各々の鉛直方向中央付近の高さ位置には、板状部材6を保持するための複数個のガイド21が一直線上に並んで設けられている。各々のガイド21は、矩形状をなしており、図6に示すように、一方の側面側内壁10のガイド21と他方の側面側内壁11のガイド21とが互いに対向するように内側へ突出している。図示例においては、側面側内壁10,11の各々について、4個のガイド21が点線状をなすように並んで配置されている。
【0029】
板状部材6は、複数個のガイド21の上に沿って第2開口部5側から挿入することで、一対の側面側内壁10,11によって保持されている。ここで、板状部材6の幅は、ガイド21の上に沿って挿入可能な範囲でできるだけ大きく(つまり側面側内壁10,11との間に不必要な隙間が生じないように)設定されている。側面側内壁10,11は上方ほど両者間の間隔が狭くなるように傾斜しており、従って、複数個のガイド21の上に支持された板状部材6は、上方へ移動することができない。換言すれば、傾斜した側面側内壁10,11と組み合わせることで、板状部材6を下方から支持するガイド21のみによって、板状部材6を上下方向に確実に拘束することができる。
【0030】
図示例では側面側内壁10,11の各々に4個ずつ計8個のガイド21が用いられているが、少なくとも各々の面に2個ずつ計4個のガイド21があればよい。また、各々の面のガイド21を、ブラケット3の全長に亘って連続した構成としてもよい。但し、図示例のように部分的にガイド21を設けた方がブラケット3の軽量化の上では有利となる。
【0031】
板状部材6の長さは、図7に示すように、ブラケット3の長手方向の寸法と合致するように設定されている。つまり、板状部材6の一端はブラケット3の第1開口部4の開口縁に沿って位置し、他端はブラケット3の第2開口部5の開口縁に沿って位置する。
【0032】
ブラケット3の第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aに沿った三次元形状をなしており、適宜な接合技術を利用してウインドシールド1の車室内側の面1aに接合されている。これにより、第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aによって覆われている。
【0033】
ウインドシールド1に取り付けられた状態では、ブラケット3の天面側内壁12および底面側内壁13は、車体の水平方向に沿って延びている。
【0034】
第1開口部4とは反対側となる車室内側へ向かう第2開口部5は、板状部材6の抜き差しが可能なように開口している。そして、ウインドシールド1の傾斜と同じ傾斜方向となるように、鉛直方向に対し僅かに傾斜している。図示例では、第2開口部5の開口縁は、一つの傾斜した平面に沿っている。
【0035】
図7に示すように、板状部材6は、天面側内壁12および底面側内壁13に対して平行に保持されている。
【0036】
このようにブラケット3の中に配置される板状部材6によって、断面台形をなすブラケット3の内部空間が2つのデバイス収容空間14,15に仕切られている。そして、これらのデバイス収容空間14,15の各々に、第1実施例と同様に、図示しない電子デバイス18がそれぞれ収容されている。
【0037】
次に、図8図10を参照して第3実施例のブラケット3を説明する。この実施例では、2つの板状部材6A,6Bが用いられる。
【0038】
第3実施例のブラケット3は、断面四角形の筒状をなしている。詳しくは、正方形もしくはほぼ正方形の断面の筒状をなしている。このブラケット3は、左右一対の側面側内壁10,11と、鉛直方向上方に位置する天面側内壁12と、鉛直方向下方に位置する底面側内壁13と、を含む。つまり一対の側面側内壁10,11の上端同士が天面側内壁12によって互いに接続されており、一対の側面側内壁10,11の下端同士が底面側内壁13によって互いに接続されている。
【0039】
一対の側面側内壁10,11の各々には、板状部材6A,6Bを保持するためのガイド溝22A,22Bがそれぞれ直線状に設けられている。各々のガイド溝22A,22Bは、側面側内壁10,11の表面から断面矩形状に凹んでいる。図9に示すように、一方の側面側内壁10のガイド溝22Aと他方の側面側内壁11のガイド溝22Aとが互いに対向して位置し、一方の側面側内壁10のガイド溝22Bと他方の側面側内壁11のガイド溝22Bとが互いに対向して位置している。ブラケット3の断面の中で、ガイド溝22Aは、天面側内壁12寄りに位置し、ガイド溝22Bは、底面側内壁13寄りに位置する。つまり、ガイド溝22Aがガイド溝22Bに対し相対的に上方に位置する。
【0040】
また、図10に示すように、ガイド溝22A,22Bは、いずれも天面側内壁12および底面側内壁13と平行をなしている。これらのガイド溝22A,22Bの長手方向の一端は、ブラケット3の第2開口部5において車室内側へ向かって開放されている。他方、ガイド溝22A,22Bの長手方向の他端は、ブラケット3の第1開口部4近傍の位置において、終端部22Aa,22Baとして閉じた形状をなしている。
【0041】
ブラケット3の第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aに沿って傾斜した三次元形状をなしており、適宜な接合技術を利用してウインドシールド1の車室内側の面1aに接合されている。これにより、第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aによって覆われている。
【0042】
ウインドシールド1に取り付けられた状態では、ブラケット3の天面側内壁12および底面側内壁13は、車体の水平方向に沿って延びている。
【0043】
第1開口部4とは反対側となる車室内側へ向かう第2開口部5は、板状部材6A,6Bの抜き差しが可能なように開口している。そして、第2開口部5は、車体の鉛直方向に沿った一つの平面に沿って形成されている。
【0044】
ブラケット3の第1開口部4の傾斜に伴い、相対的に下方に位置するガイド溝22Bの終端部22Baは、相対的に上方に位置するガイド溝22Aの終端部22Aaよりも車体の前側に位置する。つまり、ガイド溝22Aの長さはガイド溝22Bの長さよりも長い。
【0045】
板状部材6A,6Bは、それぞれガイド溝22A,22Bに沿って第2開口部5側から挿入することで、一対の側面側内壁10,11によって保持されている。ここで、2つの板状部材6A,6Bの幅は互いに等しい。2つの板状部材6A,6Bの長さは、それぞれガイド溝22A,22Bの長さに対応しており、従って、下方に位置する板状部材6Bの方が上方に位置する板状部材6Aよりも長く形成されている。第2開口部5側から挿入された板状部材6A,6Bは、先端縁がガイド溝22A,22Bの終端部22Aa,22Baに突き当たることによって長手方向に位置決めされる。
【0046】
この第3実施例では、それぞれ高さの異なる位置で2つの板状部材6A,6Bがブラケット3の中に配置されることで、ブラケット3の内部空間が3つのデバイス収容空間14,15,16に仕切られている。そして、これらのデバイス収容空間14,15,16の各々に、第1実施例と同様に、電子デバイス18がそれぞれ収容されている。詳しくは、上方のデバイス収容空間14に電子デバイス18Aが、中間のデバイス収容空間15に電子デバイス18Bが、下方のデバイス収容空間16に電子デバイス18C,18Dが、それぞれ収容されている。下方のデバイス収容空間16では、2つの電子デバイス18C,18Dが左右に並んで収容されている。電子デバイス18A,18Bは、板状部材6A,6Bの上に搭載されており、電子デバイス18C,18Dは、ブラケット3の底面側内壁13の上に搭載されている。従って、第3実施例では、第1実施例に比較して、より多数の電子デバイス18を1つのブラケット3に保持させることができる。
【0047】
次に、図11図13を参照して第4実施例のブラケット3を説明する。
【0048】
第4実施例のブラケット3は、断面三角形の筒状をなしている。詳しくは、頂角が鉛直方向下方に位置する二等辺三角形の断面形状を有する筒状をなしている。このブラケット3は、左右一対の側面側内壁10,11と、鉛直方向上方に位置する天面側内壁12と、を含む。つまり一対の側面側内壁10,11の上端同士が天面側内壁12によって互いに接続されており、かつ一対の側面側内壁10,11の下端は、三角形の頂角を形成するように互いに接続されている。
【0049】
一対の側面側内壁10,11の各々の鉛直方向中央付近の高さ位置には、板状部材6を保持するためのガイドレール23が互いに対向して設けられている。ガイドレール23は、詳しくは、一定の間隔を有するように配置された上部レール23aと下部レール23bとを含んでおり、これら上部レール23aおよび下部レール23bは、側面側内壁10,11の表面からそれぞれ内側へ突出している。そして、上部レール23aと下部レール23bの間に、板状部材6の側縁を保持する溝部23dが形成されており、この溝部23dは、第1開口部4側の終端部23cにおいて閉じている。
【0050】
ブラケット3の第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aに沿った三次元形状をなしており、適宜な接合技術を利用してウインドシールド1の車室内側の面1aに接合されている。これにより、第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aによって覆われている。
【0051】
また、図13に示すように、この第4実施例では、車体側方から見たときに、筒状のブラケット3が緩く湾曲している。つまり、天面側内壁12は上に向かって凸となった曲面をなし、頂角となる下端の稜線はやはり上に向かって凸となった曲線をなす。換言すれば、ウインドシールド1の車室内側の面1aに沿うように湾曲している。
【0052】
このようにブラケット3が全体として湾曲していることから、これに対応して、ガイドレール23は、ブラケット3の湾曲に沿って湾曲している。
【0053】
第1開口部4とは反対側となる車室内側へ向かう第2開口部5は、板状部材6の抜き差しが可能なように開口している。そして、ウインドシールド1の傾斜と同じ傾斜方向となるように、鉛直方向に対し僅かに傾斜している。図示例では、第2開口部5の開口縁は、一つの傾斜した平面に沿っている。
【0054】
板状部材6は、ガイドレール23の溝部23dに沿って第2開口部5側から挿入することで、一対の側面側内壁10,11によって保持されている。第2開口部5側から挿入された板状部材6は、先端縁がガイドレール23の終端部23cに突き当たることによって長手方向に位置決めされる。
【0055】
なお、板状部材6は、ガイドレール23の湾曲に沿うように予め湾曲した形状に形成しておくようにしてもよい。あるいは、板状部材6が可撓性を有するように形成し、平板状の板状部材6をガイドレール23に挿入することで湾曲させるようにしてもよい。
【0056】
このようにブラケット3の中に配置される板状部材6によって、三角形をなすブラケット3の内部空間が2つのデバイス収容空間14,15に仕切られている。そして、これらのデバイス収容空間14,15の各々に、第1実施例と同様に、図示しない電子デバイス18がそれぞれ収容されている。
【0057】
次に、図14図16を参照して第5実施例のブラケット3を説明する。この実施例では、第3実施例と同様に、2つの板状部材6A,6Bが用いられる。
【0058】
第5実施例のブラケット3は、図15に示すように断面四角形の筒状をなしている。詳しくは、上下方向に長い長方形断面の筒状をなしている。このブラケット3は、左右一対の側面側内壁10,11と、鉛直方向上方に位置する天面側内壁12と、鉛直方向下方に位置する底面側内壁13と、を含む。つまり一対の側面側内壁10,11の上端同士が天面側内壁12によって互いに接続されており、一対の側面側内壁10,11の下端同士が底面側内壁13によって互いに接続されている。
【0059】
ブラケット3の第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aに沿った三次元形状をなしており、適宜な接合技術を利用してウインドシールド1の車室内側の面1aに接合されている。これにより、第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aによって覆われている。
【0060】
ウインドシールド1に取り付けられた状態では、ブラケット3の天面側内壁12および底面側内壁13は、車体の水平方向に沿って延びている。
【0061】
第1開口部4とは反対側となる車室内側へ向かう第2開口部5は、板状部材6A,6Bの抜き差しが可能なように開口している。ここで、第2開口部5は、図16に示すように、2つの板状部材6A,6Bに対応して3つの立ち上がり辺5c,5d,5eと2つの前後方向辺5f、5gを有する階段状に形成されている。換言すれば、一対の側面側内壁10,11の第2開口部5側の部分が階段状に切り欠かれている。立ち上がり辺5c,5d,5eの各々は、車体の鉛直方向に沿っている。前後方向辺5f、5gの各々は、車体の水平方向に沿っており、つまり、天面側内壁12および底面側内壁13と平行に延びている。最も上方に位置する立ち上がり辺5eに対して中間の立ち上がり辺5dは車体の前側に位置し、最も下方に位置する立ち上がり辺5cは、さらに前側に位置する。つまり、第1開口部4の傾斜(換言すればウインドシールド1の傾斜)に沿った階段状をなしている。
【0062】
一対の側面側内壁10,11の各々には、板状部材6A,6Bを保持するためのガイドレール24A,24Bがそれぞれ直線状に設けられている。各々のガイドレール24A,24Bは、側面側内壁10,11の表面からブラケット3の内側へ突出している。図15に示すように、一方の側面側内壁10のガイドレール24Aと他方の側面側内壁11のガイドレール24Aとが互いに対向して位置し、一方の側面側内壁10のガイドレール24Bと他方の側面側内壁11のガイドレール24Bとが互いに対向して位置している。ブラケット3の断面の中で、ガイドレール24Aは、天面側内壁12寄りに位置し、ガイドレール24Bは、底面側内壁13寄りに位置する。つまり、ガイドレール24Aが相対的に上方に位置する。
【0063】
特に、この実施例では、階段状に形成される側面側内壁10,11および第2開口部5に対応して、図16に示すように、前後方向辺5f、5gに沿った高さ位置にガイドレール24A,24Bがそれぞれ設けられている。
【0064】
板状部材6A,6Bは、それぞれガイドレール24A,24Bの上に沿って第2開口部5側から挿入することで、一対の側面側内壁10,11によって保持されている。第2開口部5側から挿入された板状部材6A,6Bは、先端縁がウインドシールド1に突き当たることによって長手方向に位置決めされる。なお、第1開口部4側にガイドレール24A,24Bの終端部を設けるようにしてもよい。好ましい一例では、2つの板状部材6A,6Bの長さは等しい。つまり、ガイドレール24A,24Bが互いに等しい長さとなるように、第2開口部5の階段状の寸法が設定されている。
【0065】
この第5実施例では、第3実施例と同様に、それぞれ高さの異なる位置で2つの板状部材6A,6Bがブラケット3の中に配置されることで、ブラケット3の内部空間が3つのデバイス収容空間14,15,16に仕切られている。そして、これらのデバイス収容空間14,15,16の各々に、電子デバイス18がそれぞれ収容されている。詳しくは、上方のデバイス収容空間14に電子デバイス18Aが、中間のデバイス収容空間15に電子デバイス18Bが、下方のデバイス収容空間16に電子デバイス18Cが、それぞれ収容されている。電子デバイス18A,18Bは、板状部材6A,6Bの上に搭載されており、電子デバイス18Cは、ブラケット3の底面側内壁13の上に搭載されている。
【0066】
なお、図示例では、階段状に構成される第2開口部5が車室内へ向かって開放されているが、板状部材6A,6Bの挿入後に第2開口部5を覆うように、着脱可能もしくは開閉可能なカバーを設けるようにしてもよい。
【0067】
次に、図17図19を参照して第6実施例のブラケット3を説明する。この実施例では、第3実施例や第5実施例と同様に、2つの板状部材6A,6Bが用いられる。
【0068】
第6実施例のブラケット3は、図18に示すように断面四角形の筒状をなしている。詳しくは、上下方向に長い長方形断面の筒状をなしている。このブラケット3は、左右一対の側面側内壁10,11と、鉛直方向上方に位置する天面側内壁12と、鉛直方向下方に位置する底面側内壁13と、を含む。つまり一対の側面側内壁10,11の上端同士が天面側内壁12によって互いに接続されており、一対の側面側内壁10,11の下端同士が底面側内壁13によって互いに接続されている。
【0069】
ブラケット3の第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aに沿った三次元形状をなしており、適宜な接合技術を利用してウインドシールド1の車室内側の面1aに接合されている。これにより、第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aによって覆われている。
【0070】
ウインドシールド1に取り付けられた状態では、ブラケット3の天面側内壁12および底面側内壁13は、車体の水平方向に沿って延びている。
【0071】
第1開口部4とは反対側となる車室内側へ向かう第2開口部5は、板状部材6A,6Bの抜き差しが可能なように開口しているとともに、板状部材6A,6Bの挿入後に第2開口部5を覆うように、着脱可能なカバー27が取り付けられている。
【0072】
第2開口部5は、図19に示すように、車体の鉛直方向に沿った上部の垂直面5jと、ウインドシールド1の傾斜と同じ方向に傾斜した下部の傾斜面5kと、に沿って形成されている。垂直面5jと傾斜面5kとの境界は、上部の板状部材6Aが支持されている高さ位置に対応して位置している。つまり、垂直面5jは板状部材6Aよりも上方にあり、傾斜面5kは板状部材6Aよりも下方にある。
【0073】
カバー27は、このような第2開口部5の形状に対応して形成されており、垂直面5jと傾斜面5kとに沿って両者の境界で所定角度折れ曲がった形状をなしている。
【0074】
板状部材6A,6Bは、ブラケット3の中に挿入された上で、ブラケット3の側方からねじ込まれるネジ28によってそれぞれ固定されている。つまり、ネジ28を介して一対の側面側内壁10,11によって板状部材6A,6Bが保持されている。図示例では、板状部材6A,6Bの各々が、左右2本ずつ計4本のネジ28で固定・支持されている。なお、ねじ止め前に板状部材6A,6Bを位置決めするために、側面側内壁10,11に適宜な突起や凹溝等を付加するようにしてもよい。
【0075】
図示例では、相対的に上方に位置する板状部材6Aの長さに比較して下方に位置する板状部材6Bの長さが短く形成されている。これらの長さは、第1開口部4と第2開口部5との間の間隔に対応している。
【0076】
この第6実施例では、第3実施例や第5実施例と同様に、それぞれ高さの異なる位置で2つの板状部材6A,6Bがブラケット3の中に配置されることで、ブラケット3の内部空間が3つのデバイス収容空間14,15,16に仕切られている。そして、これらのデバイス収容空間14,15,16の各々に、電子デバイス18がそれぞれ収容されている。詳しくは、上方のデバイス収容空間14に電子デバイス18Aが、中間のデバイス収容空間15に電子デバイス18Bが、下方のデバイス収容空間16に電子デバイス18Cが、それぞれ収容されている。電子デバイス18A,18Bは、板状部材6A,6Bの上に搭載されており、電子デバイス18Cは、ブラケット3の底面側内壁13の上に搭載されている。
【0077】
次に、図20図26を参照して第7実施例のブラケット3を説明する。この実施例では、3つの板状部材6A,6B,6Cが用いられる。
【0078】
第7実施例のブラケット3は、断面四角形の筒状をなしている。詳しくは、上下方向に細長い長方形断面の筒状をなしている。このブラケット3は、左右一対の側面側内壁10,11と、鉛直方向上方に位置する天面側内壁12と、鉛直方向下方に位置する底面側内壁13と、を含む。つまり一対の側面側内壁10,11の上端同士が天面側内壁12によって互いに接続されており、一対の側面側内壁10,11の下端同士が底面側内壁13によって互いに接続されている。
【0079】
一対の側面側内壁10,11の各々には、板状部材6A,6B,6Cを保持するためのガイド溝22A,22B,22Cがそれぞれ直線状に設けられている。各々のガイド溝22A,22B,22Cは、側面側内壁10,11の表面から断面矩形状に凹んでいる。一方の側面側内壁10のガイド溝22A,22B,22Cと他方の側面側内壁11のガイド溝22A,22B,22Cとは互いに対向して位置している。また、図25に示すように、ガイド溝22A,22B,22Cは、いずれも天面側内壁12および底面側内壁13と平行をなしている。これらのガイド溝22A,22B,22Cの長手方向の一端は、ブラケット3の第2開口部5において車室内側へ向かって開放されている。他方、ガイド溝22A,22B,22Cの長手方向の他端は、ブラケット3の第1開口部4近傍の位置において、終端部22Aa,22Ba,22Caとして閉じた形状をなしている。
【0080】
ブラケット3の第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aに沿って傾斜した三次元形状をなしており、適宜な接合技術を利用してウインドシールド1の車室内側の面1aに接合されている。これにより、第1開口部4は、ウインドシールド1の車室内側の面1aによって覆われている。
【0081】
ウインドシールド1に取り付けられた状態では、ブラケット3の天面側内壁12および底面側内壁13は、車体の水平方向に沿って延びている。
【0082】
第1開口部4とは反対側となる車室内側へ向かう第2開口部5は、板状部材6A,6B,6Cの抜き差しが可能なように開口している。そして、第2開口部5は、ウインドシールド1の傾斜と近似した角度でもって車体の鉛直方向に対し傾斜した一つの平面に沿って形成されている。
【0083】
このようにブラケット3の第1開口部4と第2開口部5とが同様に傾斜していることに伴い、図示例では、3つのガイド溝22A,22B,22Cの長さは等しく設定されている。
【0084】
第2開口部5には、カバー27が着脱可能に取り付けられている。ブラケット3内への板状部材6A,6B,6Cの挿入後に、このカバー27を取り付けることによって、第2開口部5は覆われている。
【0085】
板状部材6A,6B,6Cは、それぞれガイド溝22A,22B,22Cに沿って第2開口部5側から挿入することで、一対の側面側内壁10,11によって保持されている。ここで、3つの板状部材6A,6B,6Cの長さは、ガイド溝22A,22B,22Cの長さに対応しており、従って、カバー27を取り付けた状態では、ガイド溝22A,22B,22Cの中で長手方向に確実に位置決めされる。
【0086】
ここで、この実施例では、各々の板状部材6A,6B,6Cは、図26に示すように、第1開口部4側の本体部分6Aa,6Ba,6Caと第2開口部5側のスペーサ部分6Ab,6Bb,6Cbとに分割して構成されている。そして、各々のガイド溝22A,22B,22Cに、本体部分6Aa,6Ba,6Caとスペーサ部分6Ab,6Bb,6Cbとを直列に並べて挿入してある。なお、本体部分6Aa,6Ba,6Caとスペーサ部分6Ab,6Bb,6Cbとに分割せずに一体の板状部材6A,6B,6Cとしてもよい。
【0087】
この第7実施例では、それぞれ高さの異なる位置で3つの板状部材6A,6B,6Cがブラケット3の中に配置されることで、ブラケット3の内部空間が4つのデバイス収容空間14,15,16,17に仕切られている(図24参照)。
【0088】
また、この第7実施例では、板状部材6A,6B,6Cの前寄りの部分に、電子デバイス18A,18B,18Cが搭載されている。従って、ウインドシールド1に比較的近い位置に各電子デバイス18A,18B,18Cが保持されている。一実施例では、電子デバイス18Aはカメラであり、電子デバイス18B,18Cは、レーダー、赤外線レーザー、通信モジュール、などである。
【0089】
次に、図27および図28は、第7実施例を一部変更した第8実施例のブラケット3を示している。
【0090】
この第8実施例においては、第7実施例のカバー27に代えて、板状部材6A,6B,6Cの一部であるスペーサ部分6Ab,6Bb,6Cbに、カバー部27a,27b,27cが設けられている。例えば、合成樹脂材料を用いてスペーサ部分6Ab,6Bb,6Cbにカバー部27a,27b,27cを一体に成形することが可能である。あるいは、別に成形したカバー部27a,27b,27cをスペーサ部分6Ab,6Bb,6Cbに取り付けるようにしてもよい。
【0091】
ブラケット3に板状部材6A,6B,6Cを取り付けた状態では、図27に示すように、3つのカバー部27a,27b,27cが第2開口部5の傾斜に沿って連続し、第2開口部5を実質的に隙間なく覆っている。
【0092】
次に、図29は、ウインドシールド1の上部に2つのブラケット3を配置した自動車2を示している。このように、複数のブラケット3を設けることも可能であり、より多数の電子デバイス18を集約して保持することができる。
【0093】
上記のようなブラケット3を備えたウインドシールド1の製造方法としては、
ウインドシールド1を製造する工程と、
上述した各実施例のブラケット3を製造する工程と、
ブラケット3の第1開口部4をウインドシールド1の車室内側の面1aに接合して、ブラケット付きウインドシールド1を提供する工程と、
このブラケット付きウインドシールド1を車体に取り付ける工程と、
電子デバイス18を搭載した板状部材6をブラケット3の第2開口部5からブラケット3内に挿入し、かつ一対の側面側内壁10,11によって保持させる工程と、を含むことができる。
【0094】
例えば、カメラ等の電子デバイス18を事後的にかつ任意選択的に組み合わせてブラケット3に保持させることが可能である。
【0095】
なお、ウインドシールド1にブラケット3を取り付けた実施例を主に説明したが、ウインドシールド1以外の窓ガラスに同様にブラケット3を配置することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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