(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】糖を製造するためのバイオマスとして使用される綿織物の廃棄布
(51)【国際特許分類】
C07H 3/02 20060101AFI20240830BHJP
C12P 7/06 20060101ALI20240830BHJP
C12P 19/02 20060101ALI20240830BHJP
C13K 1/02 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
C07H3/02
C12P7/06
C12P19/02
C13K1/02
(21)【出願番号】P 2021578032
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 US2020039954
(87)【国際公開番号】W WO2021003077
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-02-09
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519457546
【氏名又は名称】コットン インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】COTTON INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】6399 Weston Parkway Cary, North Carolina 27513 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ファレル,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】フー,シャ
(72)【発明者】
【氏名】アンケニー,メアリー
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0236945(US,A1)
【文献】国際公開第2016/004482(WO,A1)
【文献】特許第4997221(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 3/02
C12P 7/06
C12P 19/02
C13K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿含有織物から糖を製造するためのプロセスであって、
a.前記綿含有織物を機械的に前処理することであって、機械的な前処理が、前記綿含有織物を分解することを含む、前処理すること;
b.前記機械的に前処理された綿含有織物を
116℃~210℃(240°F~410°F)の範囲内の高温で第1の
酸で酸前処理して、綿スラリーを形成すること;
c.前記(b)の綿スラリーを冷却すること;
d.前記(c)のスラリーに、塩基を添加すること;
e.前記(d)のスラリーに、第2の
酸を添加して、
反応系で緩衝剤を形成すること;
f.加水分解酵素を、前記(e)の緩衝化スラリーに添加して、前記スラリーの酵素加水分解を開始させること;および
g.前記(f)のスラリーをろ過して、加水分解物を綿含有織物残渣から分離すること、を含む、プロセス
。
【請求項2】
前記
酸がリン酸を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記工程(d)における塩基が水酸化ナトリウムを含む、請求項1~
2のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項4】
前記加水分解酵素が、セルラーゼとβ-グルコシダーゼとの組み合わせである、請求項1~
3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記プロセスが、
酸または塩基の使用からの中和、任意の溶媒または前処理助剤の回収、あるいは加水分解および/または発酵の前に除去すべき成分を必要とする前処理から必要とされる洗浄工程を必要とする前処理を含まない、という条件を有する、請求項1~
4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
工程(b)における前記高温が、
121℃~138℃(250°F~280°F)の範囲内である、請求項1~
5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
加水分解物を
発酵させてエタノールを生成することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記加水分解酵素を酵母と組み合わせることをさらに含む、請求項
7に記載のプロセス。
【請求項9】
(a)において、前記分解することが、粉砕すること、細断すること、切断すること、
または刻むことを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
(a)において、前記分解することが、粉砕することを含む、請求項
9に記載のプロセス。
【請求項11】
加水分解効率が少なくとも50%である、請求項1~
10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
加水分解効率が少なくとも60%である、請求項1~
10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
加水分解効率が少なくとも65%である、請求項1~
10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
加水分解効率が少なくとも70%である、請求項1~
10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記機械的に前処理された綿含有織物が、粉末の形態である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記粉末の平均粒径が、0.10mm~2.0mmの間である、請求項
15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記酸が、クエン酸、亜硝酸、乳酸、安息香酸、酢酸、及び炭酸からなる群から選ばれる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記塩基が、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化リチウム、及び水酸化ルビジウムからなる群から選ばれる、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、綿含有織物から糖を製造するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスは生物由来の原料であり、典型的には、後に多くの化学的または物理的プロセスにおいて利用され得る糖、またはその他の付加価値製品を作製するために利用される。典型的には、バイオマスは、酵素がバイオマスに浸透して、セルロースまたはデンプン鎖を加水分解し始めるように、セルロースの周りの保護膜を開くための前処理をまず行わなければならない。トウモロコシや草資源、または木材などのバイオマスを原料としたセルロース系エタノールやデンプンエタノールを製造する産業はすでに存在している。これらのバイオマス資源は栽培のための土地を必要とし、得られる糖の量は綿織物に比べてはるかに少ない。さらに、このような資源(または原料)は典型的に、糖類を得るために過酷な前処理を必要とする。このような過酷な前処理を行うと、次に原料の洗浄や中和が必要となる。
【0003】
綿(草花、茎、繊維など)には積極的な前処理が必要なため、綿は高価値のバイオマス原料としてはあまり考えられていなかった。加えて、綿は典型的に結晶化度が高いため、バイオコンバージョンがさらに一層困難なものとなる。しかしながら、織物の形態をした綿は、90%以上が純粋なセルロースであり、およびそれに続いて、すでに処理されたグルコースであり、消費財としての寿命が尽きた際には、本質的にバイオプロセスのための無料の原料となる。原料として使用するために栽培されたバイオマスの代わりに、使用済みの綿製の衣料品を利用すれば、プロセスに法外な費用がかからない限り、経済的利益に加えて環境的利益も得られる。
【0004】
綿織物またはリサイクルされた綿織物とは、廃棄物である収集された原材料(耐用年数を終えた衣類、衣料品産業からの生地の切れ端、くずなど)と定義され、本来の綿成分は90%超のセルロース(糖に変換できる)で構成されている。
【0005】
エタノール製造のための綿織物の使用は、「Ethanol Production from Cotton-Based Waste Textiles」(JEIHANIPOUR AND TAHERZADEH MJ,BIORESOURCES TECHNOLOGY,Vol.100,No.2、2008年8月23日オンライン公開)という刊行物で知られている。しかし、記述されたプロセスは特に化学的な前処理段階を設けるとされており、収率の点で満足できるものではなく、濃縮された製品を使用する必要があるため、あまり経済的ではなく、工業規模で製造することは困難である。また、Jeihanipour氏のプロセスでは、綿廃棄物にアルカリ前処理を施すと、酸前処理よりも効果的であることがわかった。最終的に、アルカリ前処理を低温(-20~0℃)で行うことで加水分解効率は向上するが、製造設備の中で容易に行うことは現実的ではないであろう。
【0006】
同様に、綿織物の廃棄布の前処理に、濃縮したN-メチルモルホリン-N--オキシド(NMMO)を溶媒として使用して、結晶性の高いセルロースの高分子網目を破壊することが提案されている。NMMO前処理は効果的であることがわかっているが、NMMOが高価であることや大掛かりなプロセス工程が必要であることから、この前処理の採用には費用がかかる。
【0007】
従来、セルロースから糖を製造するのは費用が高いため、開発・実用化が遅れていた。綿織物から糖を製造するためには、低温でエキゾチックな溶媒、高レベルの酸、または高レベルの腐食剤を使用することが提案されてきた。しかしながらこれらの提案は、高レベルの酸または腐食剤を中和するのに必要とされる、溶媒にかかる費用に加え溶媒の回収およびリサイクルをする、ならびに腐食剤のために氷点下に近い温度を維持する、費用および追加の材料のせいで、現実的な解決策とは言えない。酸や腐食剤を中和するだけでなく、中和された成分をさらに洗浄する必要がある。
【0008】
そのため、綿織物廃棄物からエタノールまたはその他の付加価値製品を製造するのに適した、より低費用で過酷でない糖の製造方法が求められている。
【発明の概要】
【0009】
布由来の綿織物廃棄物は、再生可能な燃料資源としてバイオエタノールの製造に有望なバイオマスであることがわかっている。本開示によれば、例えば使用済みの綿織物の観点からの「ゴミ」原料などの綿織物を、トウモロコシ、草資源、または木材のようなその他のバイオマスに用いられるのと同種の過酷な前処理を行わずに、糖の製造に使用することができる。綿は[このような他のバイオマスよりも]結晶化度が高いため、糖の収率を非常に高くすることが難しいことが知られている。しかし、結晶化度が高いにもかかわらず、綿織物の形態をした綿は、高い収率で糖を得るために使用され得る。
【0010】
本発明者らは、綿織物の廃棄布から糖を製造するプロセスを発見した。綿織物の廃棄布から糖を製造するプロセスは、セルロースの構造を膨張させて酵素が影響を与えることを可能にするための弱酸の前処理工程から始まり、続いてセルロースを酵素で分解または加水分解(糖化)して糖類(例えば、グルコース)を製造する。過酷な前処理は実施しない。むしろ、綿含有織物を弱酸で前処理し、それが加水分解酵素の緩衝剤となって、緩衝化pHが酵素の効果の維持を助ける。さらに、強酸または塩基または溶媒の洗浄、中和、回収、または再構成の必要もない。
【0011】
本開示によれば、綿含有織物から糖を製造するためのプロセスは以下を含む:
a.任意で、綿含有織物を機械的に前処理すること;
b.綿含有織物を高温で酸前処理して、綿スラリーを形成すること;
c.(b)の綿スラリーを冷却すること;
d.(c)のスラリーに塩基を添加すること;
e.少なくとも1つの追加の酸を綿スラリーに添加して、原位置で緩衝剤を形成すること;
f.少なくとも1つの加水分解酵素を緩衝化綿スラリーに添加して、スラリーの酵素加水分解を開始させること;および
g.任意で、(f)のスラリーをろ過して、加水分解物を綿の残渣から分離すること。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、綿残渣分析法に基づいて、32の綿織物廃棄物サンプルの各々について測定した加水分解効率を示す。100%綿・ポリエステルのサンプルは黒枠・中空のコラムに、綿・ポリエステル混紡のサンプルは横縞のコラムに、綿・ビスコース・ナイロン混紡のサンプルは市松模様のコラムに、含有物不明のサンプルは上向きの斜め縞のコラムに示される。
【
図2】
図2は、HPLC分析法に基づいて、32の綿織物廃棄物サンプルの各々について測定した効率を示す。100%綿・ポリエステルのサンプルは黒枠・中空のコラムに、綿・ポリエステル混紡のサンプルは横縞のコラムに、綿・ビスコース・ナイロン混紡のサンプルは市松模様のコラムに、含有物不明のサンプルは上向きの斜め縞のコラムに、および100%ポリエステルのサンプルは黒塗りされたコラムに示される。
【
図3】
図3は、RIDA(登録商標)キューブ分析法に基づいて、32の綿織物廃棄物サンプルの各々について測定した加水分解効率を示す。100%綿・ポリエステルのサンプルは黒枠・中空のコラムに、綿・ポリエステル混紡のサンプルは横縞のコラムに、綿・ビスコース・ナイロン混紡のサンプルは市松模様のコラムに、含有物不明のサンプルは上向きの斜め縞のコラムに、および100%ポリエステルのサンプルは黒塗りされたコラムに示される。
【
図4】
図4は、綿100%の廃棄物サンプルが、最初の衣服の形態から始まって、加水分解される段階を示す。
【
図5】
図5は、綿100%のTシャツを加水分解した場合の加水分解効率を示す(すべての方法)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示のプロセスは、過酷な前処理、中和、または洗浄の工程を必要とせずに、綿含有織物から高い糖収率を得る。
【0014】
本開示によれば、綿含有織物から糖を製造するためのプロセスは以下を含む、本質的に以下からなる、または以下からなる:
a.任意で、綿含有織物を機械的に前処理すること、ここで機械的な前処理は、綿含有織物を分解することを含む、そのことから本質的になる、またはそのことからなる;
b.綿含有織物を高温で酸前処理して、綿スラリーを形成すること;
c.(b)の綿スラリーを冷却すること;
d.(c)のスラリーに、少なくとも1つの塩基を添加すること;
e.少なくとも1つの追加の酸を綿スラリーに添加して、原位置で緩衝剤を形成すること;
f.少なくとも1つの加水分解酵素を緩衝化綿スラリーに添加して、スラリーの酵素加水分解を開始させること;および
g.任意で、(f)のスラリーをろ過して、加水分解物を綿の残渣から分離すること。
第1の実施形態では、綿含有織物から糖を製造するためのプロセスは以下を含む、本質的に以下からなる、または以下からなる:
a.任意で、綿含有織物を機械的に前処理すること、ここで機械的な前処理は、綿含有織物を分解することを含む、そのことから本質的になる、またはそのことからなる;
b.綿含有織物を高温で酸前処理して、綿スラリーを形成すること;
c.(b)の綿スラリーを冷却すること;
d.(c)のスラリーに、少なくとも1つの塩基を添加すること;
e.(d)のスラリーに、少なくとも1つの追加の酸を添加して、原位置で緩衝剤を形成すること;
f.少なくとも1つの加水分解酵素を、(e)の緩衝化スラリーに添加して、スラリーの酵素加水分解を開始させること;および
g.(f)のスラリーをろ過して、加水分解物を残った綿の粉末から分離すること;および
h.(g)の加水分解物を発酵させてエタノールを生成すること;
または
g’.(f)のスラリーを発酵させてエタノールを生成すること。
【0015】
一実施形態では、綿含有織物は、綿、および綿とポリエステルとの混紡の衣料品を含むが、これに限定されない、綿混紡衣料品を含む。
【0016】
一実施形態では、工程(a)は、綿含有織物を、限定されないが、粉砕する、細断する、切断する、刻む、またはガーネティング(garneting)などの従来の方法で破壊することを含む、本質的にこのことからなる、またはこのことからなる、機械的な前処理を含む、本質的に機械的な前処理からなる、または機械的な前処理からなる。機械的な前処理は、織物を、効果的に、物理的に分解してより小さい成分にし、および/または織物成分の表面積を増やし、および/または織物の結晶性を低減させて、続く加水分解を助ける。一実施形態では、機械的な前処理は、綿含有織物を粉砕して粉末にすることを含み、粉末の平均粒径は約0.10mm~約2.0mmの間である。別の実施形態では、粉末の平均粒径は、約0.15mm~約1.60mmの間である。別の実施形態では、粉末の平均粒径は、約0.20mm~約1.5mmの間である。別の実施形態では、粉末の平均粒径は、約2.0mm未満である。別の実施形態では、粉末の平均粒径は、約1.70mm未満である。
【0017】
本開示のプロセスは、すでに機械的に前処理されている綿含有織物にも使用することができる。一実施形態では、本開示のプロセスは、例えば、すでに粉砕され、細断され、切断され、刻まれ、またはガーネットされている綿含有織物に使用することができる。一実施形態では、本開示のプロセスは、すでに粉末の形態になっている綿含有織物に使用することができる。一実施形態では、機械的に前処理されている綿含有織物から糖を製造するためのプロセスは以下を含む、本質的に以下からなる、または以下からなる:
b.機械的に前処理されている綿含有織物を高温で酸前処理して、綿スラリーを形成すること、
c.(b)の綿スラリーを冷却すること、
d.(c)のスラリーに、少なくとも1つの塩基を添加すること、
e.(d)のスラリーに、少なくとも1つの追加の酸を添加して、原位置で緩衝剤を形成すること、
f.少なくとも1つの加水分解酵素を、(e)の緩衝化スラリーに添加して、スラリーの酵素加水分解を開始させること、および
g.(d)のスラリーをろ過して、加水分解物を残った綿の粉末から分離すること、
h.(e)の残った綿の粉末を発酵させてエタノールを生成すること、
または
g’.(e)のスラリーを発酵させてエタノールを生成すること。
【0018】
一実施形態では、本開示のプロセスが、すでに粉末の形態である綿含有織物に使用される場合、綿含有織物の粉末の平均粒径は、約0.10mm~約2.0mmの間であってもよい。別の実施形態では、粉末の平均粒径は、約0.15mm~約1.60mmの間である。別の実施形態では、粉末の平均粒径は、約0.20mm~約1.5mmの間である。別の実施形態では、粉末の平均粒径は、約2.0mm未満である。別の実施形態では、粉末の平均粒径は、約1.70mm未満である。
【0019】
一実施形態では、工程(b)は、綿含有織物(または、工程(a)が実行される場合は、機械的に前処理された綿含有織物)に高温で酸前処理して綿スラリーを形成することを含む、本質的にこのことからなる、またはこのことからなる。一実施形態では、酸前処理は、少なくとも1つの酸を含む。一実施形態では、少なくとも1つの酸は、弱酸を含む、本質的に弱酸からなる、または弱酸からなる。弱酸の例としては、リン酸、クエン酸、亜硝酸、乳酸、安息香酸、酢酸、炭酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、強酸とは対照的に、弱酸は水中で完全には分離しないことが知られている酸である。別の実施形態では、酸前処理に使用される少なくとも1つの酸は、リン酸を含む、本質的にリン酸からなる、またはリン酸からなる。一実施形態では、工程(b)における少なくとも1つの酸の濃度は、約0.01M~約0.5Mの間、任意に約0.10M~約0.25Mの間、任意に約0.15M~約0.20Mの間である。
【0020】
一実施形態では、工程(b)において、少なくとも1つの酸が、約2:1~約12:1の範囲の、任意に約4:1~約10:1の範囲の、任意に約6:1の浴比で粉末に添加される。
【0021】
一実施形態では、工程(b)は塩基の添加を含まない―すなわち、綿含有織物の前処理に塩基を使用しない。一実施形態では、工程(b)は、強酸または強塩基の使用からの中和、任意の溶媒または前処理助剤の回収、あるいは加水分解および/または発酵の前に除去すべき成分を必要とする前処理から必要とされる洗浄工程を必要とする前処置を含まない。
【0022】
一実施形態では、工程(b)における高温は、約240°F~約410°Fの範囲内、任意に約250°F~約280°Fの範囲内、任意に約260°F~約270°Fの範囲内、任意に約265°Fである。工程(b)の加熱時間は、約0.5~約5時間の範囲、任意に約1~約3時間の範囲、任意に約2時間である。スラリーの内部混合を促進するために、任意でスラリーに攪拌機を加えてもよい。酸前処理のせいで、得られたスラリーの粘度は大幅に低下している。
【0023】
一実施形態では、工程(c)は、スラリーを、約120°F~約160°Fの範囲、任意に約130°~約150°Fの範囲、任意に約140°Fの温度に冷却することを含む、本質的にこのことからなる、またはこのことからなる。
【0024】
一実施形態では、工程(d)は、(c)のスラリーに少なくとも1つの塩基を添加し、任意でスラリーを撹拌することを含む、本質的にこのことからなる、またはこのことからなる。一実施形態では、少なくとも1つの塩基は、強塩基を含む、本質的に強塩基からなる、または強塩基からなる。強塩基の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウムなどがあるが、これらに限定されるものではない。別の実施形態では、工程(d)で使用される少なくとも1つの強塩基は、水酸化ナトリウムを含む、本質的に水酸化ナトリウムからなる、または水酸化ナトリウムからなる。一実施形態では、水酸化ナトリウムの濃度は、約0.01M~約0.5Mの範囲である。一実施形態では、水酸化ナトリウムの濃度は、先に添加した酸を効果的に中和するのに十分な濃度である。一実施形態では、水酸化ナトリウムの存在によりリン酸が中和され、原位置でリン酸ナトリウムが形成される。その後、このスラリーを、任意に1~120分の間で、約120°F~約160°Fの範囲の、任意に約130°~約150°Fの範囲の、任意に約140°Fの温度で撹拌する。
【0025】
一実施形態では、工程(e)は、工程(d)の綿スラリーに少なくとも1つの追加の酸を添加し、原位置で緩衝剤を形成すること、および任意でスラリーを撹拌することを含む、本質的にこのことからなる、またはこのことからなる。一実施形態では、工程(e)で使用される少なくとも1つの追加の酸は、弱酸を含む、本質的に弱酸からなる、または弱酸からなる。弱酸の例としては、リン酸、クエン酸、亜硝酸、乳酸、安息香酸、酢酸、炭酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、弱酸は水中で完全には分離しない。別の実施形態では、工程(e)で使用される少なくとも1つの追加の酸は、クエン酸を含む、本質的にクエン酸からなる、またはクエン酸からなる。一実施形態では、工程(e)のクエン酸が工程(d)のリン酸ナトリウムと緩衝剤を形成する。クエン酸とリン酸ナトリウムの緩衝剤は、McIlvaine緩衝剤として知られている。
【0026】
一実施形態では、工程(f)における少なくとも1つの酸の濃度は、約0.001M~約1.0Mの間、任意に約0.010M~約0.1Mの間、任意に約0.025M~約0.050Mの間である。
【0027】
一実施形態では、工程(f)は、(e)の緩衝化綿スラリーに少なくとも1つの加水分解酵素を添加してスラリーの酵素加水分解を開始させること、および任意でスラリーを撹拌することを含む、本質的にこのことからなる、またはこのことからなる。セルラーゼとβ-グルコシダーゼを組み合わせたカクテルを用いて、酵素加水分解が行われる。加水分解酵素の例としては、CTEC3(ノボザイムズ(Novozymes)社製Cellic CTec3)、ノボザイム188、Cellulcast 1.5L、Spezyme-CP、セルラーゼ(例えば、セルラーゼAP3)、およびβ-グルコシダーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、加水分解カクテルを添加した後、約24~約120時間の間、任意に約48~80時間の間、任意に約72時間、加水分解を生じる。スラリーは任意に撹拌される。加水分解中の温度は、約80°F~約140°Fの範囲、任意で約110°~約130°Fの範囲、任意で約120°Fである。別の実施形態では、加水分解中の温度は約86°Fであってもよく、その温度では糖化と発酵が同時に起こる可能性がある。
【0028】
一実施形態では、工程(g)は、(f)のスラリーをろ過して、加水分解物を綿の残渣から分離することを含む、本質的にこのことからなる、またはこのことからなる。このろ過は、例えば、米国9,540,665(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものなど、当業者に公知の任意の従来の手段で行うことができる。その後、綿の残渣を、例えばオーブンで乾燥させ、乾燥後に重量を測定する。一実施形態では、綿の残渣は、オーブンで約120°F~約180°Fの範囲内、任意に約140°~約170°Fの範囲内、任意に約158°Fで乾燥される。乾燥時間は任意で、少なくとも約2時間、任意で約4~約48時間の範囲、任意で約10~約24時間の範囲、任意で少なくとも約16時間である。
【0029】
一実施形態では、ろ過工程(g)が生じた場合、工程(h)は、(g)の加水分解物を発酵および糖化してエタノールを生成することをさらに含む。あるいは、ろ過工程(g)が生じない場合、工程(g’)は、(f)のスラリーを発酵および糖化させてエタノールを生成することを含む。
【0030】
別の実施形態では、工程(h)または(g’)が(g)の加水分解物を発酵および糖化することを含む場合、または工程(g’)が(f)のスラリーを発酵および糖化することを含む場合、工程(f)は、加水分解酵素を酵母と組み合わせることをさらに含んでもよい。
【0031】
乾燥後、変換率(または加水分解効率)を算出することができる。例えば、乾燥後、時間=0分、および時間≧15分で、綿の残渣の重量を測定してもよい。そして、綿の添加量と時間≧15分の時点での残渣の重量とに基づいて変換率を算出する。一実施形態では、HPLCとRIDA(登録商標)キューブは、加水分解効率を計算するために溶液のグルコース濃度を測定するために使用できる分析方法である。
【0032】
一実施形態では、加水分解効率は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、少なくとも約57%、少なくとも約58%、少なくとも約59%、少なくとも約60%、少なくとも約61%。少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、または少なくとも約80%である。加水分解効率は、当業者に公知の方法で測定することができる。例示的な分析方法としては、綿残渣(Cotton Residue)、HPLC、RIDA(登録商標)キューブなどがある。一実施形態では、RIDA(登録商標)キューブ法を用いて加水分解効率を測定する。
【0033】
一実施形態では、綿含有織物から糖を製造するためのプロセスは、強酸または強塩基の使用からの中和、任意の溶媒または前処理助剤の回収、あるいは加水分解および/または発酵の前に除去すべき成分を必要とする前処理から必要とされる洗浄工程を必要とする前処理を含まない。
【0034】
一実施形態では、上記の温度、濃度、時間の値は代表的なものであり、制限的なものではない。例えば、酸および/または塩基の濃度を調整することによって、pHおよび緩衝能力を調整することができる。同様に、前処理の時間や温度を短くしたり、長くしたりすることもできる。最終的に、加水分解の時間を短くしたり長くしたりして、必要とされる酵素の量を増やしたり減らしたりしてもよい。また、プロセスの固形物質を調整することも可能である(すなわち、浴比)。
【実施例】
【0035】
トーマス・ワイリー社のミニミル粉砕機を使って、綿含有織物を切断し粉砕して、粉末にする。綿の粉末は、18.22g/Lのリン酸を6:1の浴比で、265°Fで2時間かけてRoaches Pyrotec染色機で前処理される。ボールベアリングを加えて、綿スラリーの内部混合を強化する。酸前処理で、粘度が大幅に低下した均質な綿スラリーが作製される。前処理された綿スラリーを140°Fまで冷却し、各スラリーに8.92g/LのNaOHを添加する。腐食剤はリン酸を効果的に変換し、原位置でリン酸ナトリウムを生成する。前処理された綿、リン酸、および水酸化ナトリウムを含有するスラリーを、Roaches Pyrotec染色機において140°Fで15分間循環させて、リン酸ナトリウムを生成する。
【0036】
次に、各スラリーに8.50g/Lのクエン酸を添加し、リン酸、水酸化ナトリウム、およびクエン酸を含有するスラリーを、再びRoaches Pyrotec染色機において140°Fで15分間循環させる。クエン酸とリン酸ナトリウムの組み合わせは、前処理された綿スラリーにおいて緩衝剤を生成する。次に、10%owgの酵素カクテル(10:1溶液(liquor))を各スラリーに添加し、120°Fで72時間加水分解を行う。
【0037】
本開示の表Aには、32の綿織物廃棄物サンプルが記載されており、該当する場合には綿の割合も含まれている。
【表1-1】
【表1-2】
【0038】
これら32の綿織物廃棄物サンプルについて、同じ条件(すなわち、18.22g/L H
3PO
4、2時間、265
oF 前処理;10%酵素カクテル酵素加水分解、72時間、120
oF)で加水分解効率を評価した。
図1~
図3は、各サンプルについて、綿残渣、HPLC、RIDA(登録商標)キューブの各分析方法に基づいて求めた、加水分解効率を示す。最も高い値は、約73~75%であった(RIDA(登録商標)キューブ法)。綿100%のドレスシャツTW1-33-S5は、3つの分析方法すべてにおいて最も高い加水分解効率(すなわち、綿残渣、HPLC、およびRIDA(登録商標)キューブ法でそれぞれ70.6、72.5、74.3%)を示して、上位2つのサンプルの中にあり、一方でポリエステル100%のシャツTW1-37-13は、HPLC法およびRIDA(登録商標)キューブ法で最も低い値(それぞれ3.0、2.2%)を示した。後者の結果は、酵素カクテルに存在するセルラーゼ、およびその他の酵素によるポリエステル中の加水分解性結合の欠乏から予想されたことである。検出された糖のレベルが低いのは、酵素による還元糖の存在のせいであった可能性が最も高い。3つの分析方法すべてにおいて、次に低い値を示したのは、TW1-33-S1の黒の綿100%シャツであった(すなわち、綿残渣、HPLC、およびRIDA(登録商標)キューブ法でそれぞれ33.2、35.2、34.3%)。その他の黒一色の綿100%の織物廃棄物サンプルの中で見られた値もまた低かった(約47~51%)。しかしながら、その他の染色された綿100%の織物廃棄物サンプルで見られた値は、多くの場合でこの範囲を超えていたことから、これらのサンプルにおける高濃度の黒色染料の存在が加水分解に影響を与えていると示された。
【0039】
分析された32のサンプルのうち、26のサンプルが綿100%であった。綿100%のサンプルの平均加水分解効率は、綿残渣、HPLC、およびRIDA(登録商標)キューブ法でそれぞれ、60.5、62.3、61.2%であった。4種類の混紡素材(綿/ポリエステル、または綿/ビスコース/ナイロンのいずれか)を分析したところ、処理はそれぞれの加水分解に対して効果的であった(約40~69%)。混紡に対する綿残渣法の結果では、HPLCおよびRIDA(登録商標)キューブと比較して、効率がかなり低いことが理解されるべきである。さらに、効率はサンプルの総重量に基づいて与えられる。実際、綿とポリエステルの混紡では、混紡中のグルコースの理論上の量のほぼ完全なる変換が得られた。同様に、赤、53/40/7の綿/ビスコース/ナイロン、セーターであるTW1-31-S5は、3つの分析方法すべてにおいて最も高い効率を示し(すなわち、綿残渣、HPLC、およびRIDA(登録商標)キューブ法でそれぞれ、68.5、65.5、63.8%)、その効率は調査した複数の綿100%の織物廃棄物サンプルと同等であった。このことは混紡に起因する、なぜなら(綿とビスコースの両方からの)セルロースの含有量が最も高かった、すなわち、理論上のグルコースが93%だ、からである。しかし、理論上のグルコースの効率は、綿とポリエステルの混紡よりも低い。これは、酵素の量はサンプルサイズに基づいており、すべての実験で同じにしているにもかかわらず、綿の混紡率を下げると酵素の濃度が高くなるためだと考えられる。
【0040】
図4は、最初の衣服の形態から始まって加水分解された綿100%の廃棄物サンプル(TW1-31-S3)の段階を示す:(1)最初の衣服の形態、(2)粉砕された粉末形態、(3)酸前処理後の状態、(4)ろ過された形態(上層:綿の残渣、ろ液:加水分解物)。この特定のサンプルでは、最大加水分解効率74.9%を達成した(RIDA(登録商標)キューブ法)。
【0041】
高圧高温反応器による前処理、およびそれぞれTW1-34-S1とTW1-34-S2に5%または10%owgの酵素カクテルを使用した後、綿100%のTシャツに加水分解処理を行った。綿のシャツを選んだのは、予備調査で加水分解した際に、3つの分析方法(綿残渣、HPLC、RIDA(登録商標)キューブ)すべてにわたって約71~79%の加水分解効率が得られたからである。
図5は、TW1-34-S1およびTW1-34-S2を加水分解した結果の比較を示す。
【0042】
また
図5は、高圧高温反応器を使わず、10%owgの酵素カクテルを使用して加水分解した同じ綿Tシャツのサンプルである、TW1-33-S7の加水分解の結果も示している。その結果は、反応器を使用することで加水分解効率が向上することを示している。これらの結果から、衣服への酵素投与量を10%から5%に半減させて、前処理温度を上げた場合でも、より低い前処理温度で10%の酵素投与量の場合とほぼ同等の加水分解レベルを得ることが可能であるとわかった。
【0043】
本開示の表Bには、綿残渣、HPLC、RIDA(登録商標)キューブを使用した各分析方法について、表Aのサンプルで観察された加水分解効率(単位:%)が記載されている。
【表2-1】
【表2-2】
【0044】
本明細書に明示的に記載されている以外の実施形態が、本特許請求の範囲の精神と範囲内に入ることは明らかである。したがって、本発明は、上記の説明によって定義されるものではなく、あらゆる同等の組成物および方法を包含するように、特許請求の範囲の完全な範囲を与えられるべきものである。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
綿含有織物から糖を製造するためのプロセスであって、
a.任意で、前記綿含有織物を機械的に前処理することであって、機械的な前処理が、前記綿含有織物を分解することを含む、前処理すること;
b.前記綿含有織物を高温で酸前処理して、綿スラリーを形成すること;
c.前記(b)の綿スラリーを冷却すること;
d.前記(c)のスラリーに、少なくとも1つの塩基を添加すること;
e.前記(d)のスラリーに、少なくとも1つの追加の酸を添加して、原位置で緩衝剤を形成すること;
f.少なくとも1つの加水分解酵素を、前記(e)の緩衝化スラリーに添加して、前記スラリーの酵素加水分解を開始させること;および
g.任意で、前記(f)のスラリーをろ過して、加水分解物を残った綿の粉末から分離すること、を含む、プロセス。
[2]
前記酸前処理が、少なくとも1つの弱酸を添加することを含む、[1]に記載のプロセス。
[3]
前記少なくとも1つの弱酸がリン酸を含む、[2]に記載のプロセス。
[4]
前記少なくとも1つの塩基が強塩基を含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載のプロセス。
[5]
前記少なくとも1つの塩基が水酸化ナトリウムを含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載のプロセス。
[6]
前記少なくとも1つの加水分解酵素が、セルラーゼとβ-グルコシダーゼとの組み合わせである、[1]~[5]のいずれか1項に記載のプロセス。
[7]
前記プロセスが、強酸または強塩基の使用からの中和、任意の溶媒または前処理助剤の回収、あるいは加水分解および/または発酵の前に除去すべき成分を必要とする前処理から必要とされる洗浄工程を必要とする前処理を含まない、という条件を有する、[1]~[6]のいずれか1項に記載のプロセス。
[8]
工程(b)における前記高温が、約240°F~約410°Fの範囲内、任意に約250°F~約280°Fの範囲内、任意に約260°F~約270°Fの範囲内、任意に約265°Fである、[1]~[7]のいずれか1項に記載のプロセス。
[9]
綿含有織物から糖を製造するためのプロセスであって、
a.任意で、前記綿含有織物を機械的に前処理することであって、機械的な前処理が、前記綿含有織物を分解することを含む、前処理すること;
b.前記綿含有織物を高温で酸前処理して、綿スラリーを形成すること;
c.前記(b)の綿スラリーを冷却すること;
d.前記(c)のスラリーに、少なくとも1つの塩基を添加すること;
e.前記(d)のスラリーに、少なくとも1つの追加の酸を添加して、原位置で緩衝剤を形成すること;
f.少なくとも1つの加水分解酵素を、前記(e)の緩衝化スラリーに添加して、前記スラリーの酵素加水分解を開始させること;および
g.前記(f)のスラリーをろ過して、加水分解物を綿の残渣から分離すること;および
h.前記(g)の加水分解物を発酵させてエタノールを生成すること、
または
g’.前記(f)のスラリーを発酵させてエタノールを生成すること、を含む、プロセス。
[10]
(h)が、前記(g)の加水分解物を発酵および糖化してエタノールを生成することを含む、または(g’)が、前記(f)のスラリーを発酵および糖化してエタノールを生成することを含む、[9]に記載のプロセス。
[11]
(f)が、前記加水分解酵素を酵母と組み合わせることをさらに含む、[10]に記載のプロセス。
[12]
(a)が実行される、[1]~[11]のいずれか1項に記載のプロセス。
[13]
(a)において、前記分解することが、粉砕すること、細断すること、切断すること、刻むこと、またはガーネティング(garneting)を含む、[12]のプロセス。
[14]
(a)において、前記分解することが、粉砕することを含む、[12]または[13]に記載のプロセス。
[15]
加水分解効率が少なくとも50%である、[1]~[14]のいずれか1項に記載のプロセス。
[16]
加水分解効率が少なくとも60%である、[1]~[14]のいずれか1項に記載のプロセス。
[17]
加水分解効率が少なくとも65%である、[1]~[14]のいずれか1項に記載のプロセス。
[18]
加水分解効率が少なくとも70%である、[1]~[14]のいずれか1項に記載のプロセス。
[19]
機械的に前処理されている綿含有織物から糖を製造するためのプロセスであって、
b.前記機械的に前処理されている綿含有織物を高温で酸前処理して、綿スラリーを形成すること;
c.前記(b)の綿スラリーを冷却すること、
d.前記(c)のスラリーに、少なくとも1つの塩基を添加すること、
e.前記(d)のスラリーに、少なくとも1つの追加の酸を添加して、原位置で緩衝剤を形成すること、
f.少なくとも1つの加水分解酵素を、前記(e)の緩衝化スラリーに添加して、前記スラリーの酵素加水分解を開始させること、および
g.前記(d)のスラリーをろ過して、加水分解物を綿の残渣から分離すること、および
h.前記(e)の残った綿の加水分解物を発酵させてエタノールを生成すること、
または
g’.前記(e)のスラリーを発酵させてエタノールを生成すること、を含む、プロセス。
[20]
前記機械的に前処理されている綿含有織物が、粉末の形態である、[19]に記載のプロセス。
[21]
前記粉末の平均粒径が、約0.10mm~約2.0mmの間である、[20]に記載のプロセス。