(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】印刷装置、プログラム、及び、制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20240830BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240830BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240830BHJP
H04W 4/80 20180101ALI20240830BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240830BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/12
H04W84/10 110
H04W4/80
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2022149543
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2021058511の分割
【原出願日】2014-07-04
【審査請求日】2022-10-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩内 伸之
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-214802(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0185088(US,A1)
【文献】特開2014-011756(JP,A)
【文献】特開2010-219681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信と前記近距離無線通信より高速な通信が可能なLAN通信とを実行可能な印刷装置であって、
操作
パネルと、
前記LAN通信を行うために使用される第1インタフェースと、
前記操作
パネルを介して、有効化されるインタフェースの指示をユーザから受け付ける受付手段と、
前記受付手段で前記第1インタフェースを有効にする
ための第1のユーザ指示を受け付けた場合、前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報
を前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報から、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報に
前記第1のユーザ指示を受け付けたことに応じて変更する変更手段と、
前記第2近距離無線通信情報を前記近距離無線通信にて通信相手装置に送信する送信手段
と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記有効化された第1インタフェースを介して受信した印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、インクジェット方式により印刷処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷装置と通信相手装置の間で前記近距離無線通信が実行され、かつ、前記通信相手装置が接続しているネットワークに前記印刷装置が接続している場合、前記近距離無線通信を実行した前記通信相手装置から前記ネットワークを介して印刷データを受信し、
前記印刷装置と前記通信相手装置の間で前記近距離無線通信が実行され、かつ、前記通信相手装置が接続しているネットワークに前記印刷装置が接続していない場合、前記印刷装置が通信制御処理を実行することで確立された前記通信相手装置と前記印刷装置間のダイレクト接続を介して前記通信相手装置から印刷データを受信する受信手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ネットワーク情報は、MACアドレスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記近距離無線通信は、Near Field Communication(NFC)通信であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記近距離無線通信情報は、NDEFの情報であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記近距離無線通信は、ブルートゥース通信であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記近距離無線通信よりも高速に通信を行うために使用される第2インタフェースを備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記第1インタフェースは無線通信のためのインタフェースであり、前記第2インタフェースは有線通信のためのインタフェースであることを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記受付手段により有効化されるインタフェースが前記第2インタフェースから前記第1インタフェースに変更された場合、前記変更手段は前記近距離無線通信情報に前記ネットワーク情報が含まれる状態から、前記近距離無線通信情報に前記ネットワーク情報の少なくとも一部が含まれない状態に変更することを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記受付手段は、前記第1インタフェースと前記第2インタフェースから有効化するインタフェースを択一で選択する指示を受け付けることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記受付手段は、無効化されている前記第1インタフェースを有効化する指示を受け付けることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記受付手段で前記第1インタフェースを有効
な状態から
有効でない状態にする
第2のユーザ指示を受け付けた場合、前記変更手段は前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報を、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報から、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報に
前記第2のユーザ指示を受け付けたことに応じて変更することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項15】
前記受付手段で前記第1インタフェースを有効にする指示を受け付けたことに応じて、前記変更手段は前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報を、前記指示に従って前記有効化された第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報から、前記有効化された第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報に変更することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項16】
近距離無線通信と前記近距離無線通信より高速な通信が可能なLAN通信とを実行可能であり、操作
パネルと前記LAN通信を行うために使用される第1インタフェースを有する印刷装置のプロセッサに実行させるためのプログラムであって、
前記操作
パネルを介して、有効化されるインタフェースの指示をユーザから受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記第1インタフェースを有効にする
ための第1のユーザ指示を受け付けた場合、前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報を、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報から、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報に
前記第1のユーザ指示を受け付けたことに応じて変更する変更工程と、
前記第2近距離無線通信情報を前記近距離無線通信にて通信相手装置に送信する送信工程
と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記プロセッサに、前記有効化された第1インタフェースを介して受信した印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷制御工程を更に実行させることを特徴とする請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記印刷制御工程では、インクジェット方式により印刷処理を実行することを特徴とする請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記プロセッサに、
前記印刷装置と通信相手装置の間で前記近距離無線通信が実行され、かつ、前記通信相手装置が接続しているネットワークに前記印刷装置が接続している場合、前記近距離無線通信を実行した前記通信相手装置から前記ネットワークを介して印刷データを受信し、
前記印刷装置と前記通信相手装置の間で前記近距離無線通信が実行され、かつ、前記通信相手装置が接続しているネットワークに前記印刷装置が接続していない場合、前記印刷装置が通信制御処理を実行することで確立された前記通信相手装置と前記印刷装置間のダイレクト接続を介して前記通信相手装置から印刷データを受信する受信工程を更に実行させる
ことを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項20】
前記ネットワーク情報は、MACアドレスであることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項21】
前記近距離無線通信は、Near Field Communication(NFC)通信であることを特徴とする請求項16乃至20のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項22】
前記近距離無線通信情報は、NDEFの情報であることを特徴とする請求項16乃至20のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項23】
前記近距離無線通信は、ブルートゥース通信であることを特徴とする請求項16乃至20のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項24】
前記印刷装置は、前記近距離無線通信よりも高速に通信を行うために使用される第2インタフェースを備えることを特徴とする請求項16乃至23のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項25】
前記第1インタフェースは無線通信のためのインタフェースであり、前記第2インタフェースは有線通信のためのインタフェースであることを特徴とする請求項24に記載のプログラム。
【請求項26】
前記受付工程により有効化されるインタフェースが前記第2インタフェースから前記第1インタフェースに変更された場合、前記変更工程では前記近距離無線通信情報に前記ネットワーク情報が含まれる状態から、前記近距離無線通信情報に前記ネットワーク情報の少なくとも一部が含まれない状態に変更することを特徴とする請求項25に記載のプログラム。
【請求項27】
前記受付工程では、前記第1インタフェースと前記第2インタフェースから有効化するインタフェースを択一で選択する指示を受け付けることを特徴とする請求項25又は請求項26に記載のプログラム。
【請求項28】
前記受付工程は、無効化されている前記第1インタフェースを有効化する指示を受け付けることを特徴とする請求項16乃至27のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項29】
前記受付工程で前記第1インタフェースを有効
な状態から
有効でない状態にする
第2のユーザ指示を受け付けた場合、前記変更工程では前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報を、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報から、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報に
前記第2のユーザ指示を受け付けたことに応じて変更することを特徴とする請求項16乃至28のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項30】
前記受付工程で前記第1インタフェースを有効にする指示を受け付けたことに応じて、前記変更工程では前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報を、前記指示に従って前記有効化された第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報から、前記有効化された第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報に変更することを特徴とする請求項16乃至29のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項31】
近距離無線通信と前記近距離無線通信より高速な通信が可能なLAN通信とを実行可能であり、操作
パネルと前記LAN通信を行うために使用される第1インタフェースを有する印刷装置の制御方法であって、
前記操作
パネルを介して、有効化されるインタフェースの指示をユーザから受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記第1インタフェースを有効にする
ための第1のユーザ指示を受け付けた場合、前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報を、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報から、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報に
前記第1のユーザ指示を受け付けたことに応じて変更する変更工程と、
前記第2近距離無線通信情報を前記近距離無線通信にて通信相手装置に送信する送信工程
と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタと、デジタルカメラや携帯電話等の外部装置との間で無線通信を行い、プリンタが外部装置から画像を受信し印刷することが可能となっている。この際、プリンタと外部装置とが、当初はNFC(Near Field Communication)をはじめとする近距離無線通信によって互いに通信相手を特定する。その後、近距離無線通信とは別の、より高速な無線通信によって、プリンタが外部装置から印刷対象の画像ファイルを受信することも知られている。
【0003】
また、プリンタは有線LANと無線LANといった複数のインタフェースが搭載されており、ユーザーはどちらかのインタフェースを使って、印刷を行うことができる。従来のプリンタでは、複数のインタフェースを有していても、いずれか一方のインタフェースでのみを用いて通信を行うのが一般的である。
【0004】
また、近年ではNFCを利用して、端末装置と外部装置を共通のアクセスポイントに接続させインターネットの接続が切断されないようにする方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1には、端末と装置の両者が同一ネットワーク上にあり、接続可能な場合はよいが、そうでない場合には容易には端末の処理要求(例えば印刷)を行うことができないという問題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、簡便な操作で、処理装置が有する複数のネットワーク接続手段のうち、利用しているネットワークを特定し、端末装置から処理装置に向けて処理要求を送信できる技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、例えば本発明の通信装置は以下の構成を備える。すなわち、
近距離無線通信と前記近距離無線通信より高速な通信が可能なLAN通信とを実行可能な印刷装置であって、
操作パネルと、
前記LAN通信を行うために使用される第1インタフェースと、
前記操作パネルを介して、有効化されるインタフェースの指示をユーザから受け付ける受付手段と、
前記受付手段で前記第1インタフェースを有効にするための第1のユーザ指示を受け付けた場合、前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報を前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報から、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報に前記第1のユーザ指示を受け付けたことに応じて変更する変更手段と、
前記第2近距離無線通信情報を前記近距離無線通信にて通信相手装置に送信する送信手段と、
を備える。
【0009】
また、本発明のプログラムは、近距離無線通信と前記近距離無線通信より高速な通信が可能なLAN通信とを実行可能であり、操作パネルと前記LAN通信を行うために使用される第1インタフェースを有する印刷装置のプロセッサに実行させるためのプログラムであって、
前記操作パネルを介して、有効化されるインタフェースの指示をユーザから受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記第1インタフェースを有効にするための第1のユーザ指示を受け付けた場合、前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報を、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報から、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報に前記第1のユーザ指示を受け付けたことに応じて変更する変更工程と、
前記第2近距離無線通信情報を前記近距離無線通信にて通信相手装置に送信する送信工程と、
を実行させる。
また、本発明の制御方法は、近距離無線通信と前記近距離無線通信より高速な通信が可能なLAN通信とを実行可能であり、操作パネルと前記LAN通信を行うために使用される第1インタフェースを有する印刷装置の制御方法であって、
前記操作パネルを介して、有効化されるインタフェースの指示をユーザから受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記第1インタフェースを有効にするための第1のユーザ指示を受け付けた場合、前記近距離無線通信で通信される近距離無線通信情報を、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれない第1近距離無線通信情報から、前記第1インタフェースに対応するネットワーク情報が含まれる第2近距離無線通信情報に前記第1のユーザ指示を受け付けたことに応じて変更する変更工程と、
前記第2近距離無線通信情報を前記近距離無線通信にて通信相手装置に送信する送信工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、端末装置を処理装置に近づけるという簡単な操作で、処理装置が有する複数のネットワーク接続手段のうち、利用しているネットワークを特定し、端末装置から処理装置に向けて処理要求を送信できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態における印刷システムの構成を示す図。
【
図7】NFCユニットに保存されているNDEFデータ構造を示す図。
【
図10】第2の実施形態における端末装置の処理を示すフローチャート。
【
図11】第4の実施形態における印刷訴追の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を例示的に詳しく説明する。但し、本実施形態に記載されている構成要素の相対配置、表示画面等は、特に、特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
<システム構成>
図1は実施形態におけるネットワーク処理システムの構成を示す図である。このシステムは、ネットワーク100を中心に、そのネットワーク100に接続可能な携帯型の端末装置200及び、端末装置200からの依頼要求を受けて処理を行う処理装置としての印刷装置300で構成される。通信装置としても機能する端末装置200は、通信速度(又は通信可能範囲)が異なる少なくとも2種類以上の無線通信部を有する。端末装置200は、PDA(Personal Digital Assistant)等の個人情報端末、スマートフォンや携帯電話、デジタルカメラ等、印刷対象となるファイルを扱える装置であればその種類は問わない。
【0014】
通信装置としても機能する印刷装置300は、原稿台に載置された原稿を光学的に読み取る読取機能と、インクジェットプリンタ等の印刷エンジンを用いて印刷を行う印刷機能を有しており、その他、FAX機能や電話機能を有していても良い。
【0015】
ネットワーク100と印刷装置300は、有線LANもしくは無線LANで接続されている。ネットワーク100と端末装置200は無線LANで接続されている。端末装置200と印刷装置300は近距離無線通信による通信が実行可能である。また、端末装置200と印刷装置300は共に無線LANの機能を有するため、相互認証をすることによってピアツーピア(以後、P2P)の通信が可能となる。
【0016】
図2は端末装置200の外観を示す図である。本実施形態では、スマートフォンを例にしている。スマートフォンとは、携帯電話の機能の他に、カメラや、ネットブラウザ、メール機能等を搭載した多機能型の携帯電話のことである。
【0017】
NFC(Near Field Communication)ユニット201は、近距離無線通信を行うユニットである。実際にNFCユニット201を相手デバイスのNFCユニット(実施形態では、印刷装置300のNFCユニット)に所定距離(10cm程度)以内に近づけることで通信を行うことができる。
【0018】
無線LANユニット202は、NFC通信よりも高速な無線LANで通信を行うためのユニットであり、端末装置200内に配置されている。表示部203は、例えば、LCD方式の表示機構を備えるディスプレイである。操作部204は、タッチパネル方式の操作機構を備えており、ユーザーの押下情報を検知する。代表的な操作方法には、表示部203がボタンアイコンやソフトウェアキーボードの表示を行い、ユーザーが操作部204を押下することによってボタンが押下されたイベントを発行することである。電源キー205は、電源のオン及びオフをする際に用いる。
【0019】
図3は印刷装置300の外観を示す図である。本実施形態では、読取機能(スキャナ)を有するMulti Function Printer(MFP)を例にしている。
図3(a)において、原稿台301はガラス状の透明な台であり、原稿を載せてスキャナで読み取る時に使用する。原稿蓋302は、スキャナで読取を行う際に読取光が外部に漏れないようにするための蓋である。印刷用紙挿入口303は、様々なサイズの用紙をセットする挿入口である。印刷用紙挿入口303にセットされた用紙は一枚ずつ印刷部に搬送され、印刷を行って印刷用紙排出口304から排出される。
【0020】
図3(b)は、原稿蓋302の上面図である。原稿蓋302の上部には操作表示部305及びNFCユニット306が配置されている。NFCユニット306は、近距離無線通信を行うためのユニットであり、実際に、端末装置200を印刷装置300に近接させる場所である。NFCユニット306から所定距離(約10cm)が接触の有効距離である。無線LANアンテナ307は、無線LANで通信するためのアンテナが埋め込まれている。
【0021】
尚、近距離無線通信とは、NFCに代表される、通信範囲が、比較的小さい所定範囲(例えば、1メートル~数センチ)となる無線通信を意味する。
【0022】
図4は端末装置200のブロック構成図である。端末装置200は、装置全体の制御を行うメインボード210、無線LANユニット202、NFCユニット201、回線接続ユニット206、表示部203及び操作部204を有する。ここで、無線LANユニット202、NFCユニット201、回線接続ユニット206及び優先LANユニット309はいずれも、端末装置200の通信部として機能する。
【0023】
メインボード210に配置されるマイクロプロセッサ形態のCPU211は、内部バス212を介し、接続されているROM形態のプログラムメモリ213に格納されている制御プログラムと、RAM形態のデータメモリ214の内容に従って処理を実行する。
【0024】
CPU211は、無線LAN制御回路215を介して無線LANユニット202を制御することで、他の通信端末装置と無線LAN102による通信を行う。CPU211は、NFC制御回路216を介してNFCユニット201を制御することによって、他のNFC端末とのNFC101による接続を検知したり、他のNFC端末との間でデータの送受信を行うことができる。CPU211は、回線制御回路217を介して回線接続ユニット206を制御することで、携帯電話回線網105に接続し、通話やデータ送受信を行うことができる。
【0025】
CPU211は、操作部制御回路218を制御することによって操作部204を介してのユーザからの指示を受け取ったり、表示部203に各種メニューや画像などの表示を行ったりするが可能である。CPU211は、カメラ部219を制御して画像を撮影することができ、撮影した画像をデータメモリ214中の画像メモリ220に格納する。また、撮影した画像以外にも、携帯電話回線網105、無線LAN102、あるいはNFC101を通じて外部から取得した画像を画像メモリ220に格納したり、逆に外部に送信することも可能である。
【0026】
不揮発性メモリ221は、フラッシュメモリ等のメモリで構成され、電源をオフされた後でも保存しておきたいデータを格納する。例えば、電話帳データや、各種通信接続情報や過去に接続したデバイス情報等の他、保存しておきたい画像データ、あるいは端末装置200に各種機能を実現するアプリケーションソフトウェア等のプログラムが格納される。
【0027】
図5は印刷装置300の構成を示すブロック図である。印刷装置300は、装置全体の制御を行うメインボード310、回線接続ユニット322、無線LANユニット308、NFCユニット306、有線LANユニット309、及び、操作パネル305を有する。ここで、回線接続ユニット322、無線LANユニット308、NFCユニット306及び優先LANユニット309は、印刷装置300の通信部として機能する。なお、無線LANはNFCユニットよりも高速で、有線LANは更に高速な通信が行える。
【0028】
メインボード310に配置されるマイクロプロセッサ形態のCPU311は、内部バス312を介して接続されているROM形態のプログラムメモリ313に格納されている制御プログラムと、RAM形態のデータメモリ314の内容とに従って処理を実行する。
【0029】
CPU311は、スキャナ部315を制御して原稿を読み取り、データメモリ314中の画像メモリ316に格納する。また、CPU311は、印刷部317を制御してデータメモリ314中の画像メモリ316の画像を記録媒体に印刷することができる。
【0030】
CPU311は、無線LAN制御回路318を通じて無線LANユニット308を制御することで、他の通信端末装置と無線LAN102による通信を行う。また、CPU311は、有線LAN制御回路329を通じて優先LANユニット309を制御することで、他の通信端末装置と優先LAN102による通信を行う。また、CPU311は、NFC制御回路319を介してNFCユニット306を制御することによって、他のNFC端末とのNFC101による接続を検知したり、他のNFC端末との間でデータの送受信を行うことができる。CPU311は、回線制御回路321を介して回線接続ユニット322を制御することで、電話回線網323に接続し、FAX送受信やデータ送受信を行うことができる。
【0031】
CPU311は、操作部制御回路320を制御することによって操作パネル305に印刷装置300の状態の表示や機能選択メニューの表示を行ったり、ユーザーからの操作を受け付けることが可能である。このため、操作パネル305は、各種スイッチやボタンをはじめ、タッチパネル付きディスプレイで構成される。
【0032】
図6は端末装置200におけるNFCユニット201あるいは、印刷装置300におけるNFCユニット306で使用されているNFCユニット600の詳細を示すブロック図である。
【0033】
NFCユニット600による近距離無線通信(NFC通信)では、通信時にRF(Radio Frequency)フィールドを出力して通信を開始する装置をイニシエータと呼ぶ。また、イニシエータの発する命令に応答し、イニシエータとの通信を行う装置をターゲットと呼ぶ。そして、NFCユニットの通信モードには、パッシブモードとアクティブモードが存在する。
【0034】
パッシブモードでは、ターゲットは、イニシエータの命令に対し、負荷変調を行うことで応答する。そのため、ターゲットには電力の供給が不要である。一方、アクティブモードでは、ターゲットは、イニシエータの命令に対し、ターゲット自らが発するRFフィールドによって応答する。そのため、ターゲットに電力の供給が必要となる。アクティブモードはパッシブモードと比較して通信速度を高速にできるという特徴もある。
【0035】
図6の説明に戻る。NFCユニット内には、NFCコントローラ部601、アンテナ部602、RF部603、送受信制御部604、NFCメモリ605、電源606、及びデバイス接続部607が存在する。アンテナ部602は、他のNFCデバイスから電波やキャリアを受信したり、他のNFCデバイスに電波やキャリアを送信したりする。RF部603は、アナログ信号をデジタル信号に変復調する機能を備えている。RF部603は、シンセサイザを備えていて、バンド、チャネルの周波数を識別し、周波数割り当てデータによるバンド、チャネルの制御をしている。
【0036】
尚、NFCメモリ605は、読み書き可能な不揮発性メモリで構成される。そして、電源606からの電力が供給されていない状態でも、パッシブモードで誘導起電力が生成されている限り、NFCメモリ605に記憶されているデータを読み書きすることができる。このNFCメモリ605へのデータの読み書きを含むデータの記憶制御は、NFCコントローラ部601によって実現される。なお、電源606からの電力が供給されていない状態とは、端末装置200の電池が無くなった状態、印刷装置300へ電源が供給されていない状態を指す。
【0037】
送受信制御部604は、送受信フレームの組み立て及び分解、プリアンブル付加及び検出、フレーム識別等、送受信に関する制御を行う。送受信制御部604は、NFCメモリ605の制御も行い、各種データやプログラムを読み書きする。アクティブモードとして動作する場合、電源606を介して電力の供給を受ける。そして、デバイス接続部607を通じてデバイス(端末装置200のCPU211や、印刷装置300のCPU311)と通信を行ったり、アンテナ部602を介して送受信されるキャリアにより、通信可能な範囲にある他のNFCデバイスと通信する。パッシブモードとして動作する場合、アンテナ部602を介して他のNFCデバイスからキャリアを受信して、電磁誘導により他のNFCデバイスから電力の供給を受け、キャリアの変調により当該他のNFCデバイスとの間で通信を行ってデータを送受信する。以下では、端末装置200(のNFCユニット201)と印刷装置300の(NFCユニット306)を近づける操作のことを、「NFCタッチ操作」と記すものとする。
【0038】
[第1の実施形態]
本第1の実施形態では、ユーザが端末装置200を操作して印刷対象の画像を選択した後、印刷を行う印刷装置300に対してNFCタッチ操作を行うことで、選択した画像を印刷装置300で印刷するというユースケースについて説明する。
【0039】
図8は、端末装置200で、指定した画像を印刷装置300で印刷する際の処理を示すフローチャートである。なお、本願では、端末装置200において実行されるフローチャートは、端末装置200のCPU211がフローチャートに関係するプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0040】
まず、ユーザは、操作部204からの操作に応じて、画像メモリ220に格納された画像データを選択する。ここで、選択される画像データは単数、複数は問わない。
【0041】
ユーザは、画像が選択状態の端末装置200を、処理の依頼対象である印刷装置300のNFCユニット306に近づける操作(NFCタッチ操作)を行う。この結果、端末装置200と印刷装置300がNFC通信モードに移行する。なお、NFC通信モードへの移行は、例えば印刷装置300の操作パネルにおいてユーザーが設定することで実現されても良いし、NFCタッチ操作によって自動的に実現されても良い。
【0042】
ステップS802で、端末装置200が、印刷装置300のNFCユニット306から、そのNFCユニット306内のNFCメモリ605にあるNDEFメッセージを受信する。
【0043】
図7を用いてNFCユニットに保存されているNDEFデータ構造を説明する。NDEFデータとして、ヘッダ部分を構成する第1のNDEFの「Record1」には、NDEFメッセージが何であるかを示すRecordTypeが格納される。具体的は、ハンドオーバー要求用のメッセージであることを示す“Hq(HandoverRequest)”、又は要求への返答メッセージであることを示す”Hs(HandoverSelect)”等がRecord Type内に記入されている。なお、NDEFデータは、近距離無線通信によって通信相手装置に送信されるため近距離無線通信情報と呼ばれることもある。
【0044】
「Record2」は、このパケットがAサービス設定情報であることを示す内容が含まれるRecordTypeと詳細ネットワーク設定情報が含まれるPayload部で構成される。ネットワーク情報には各通信方式に関するパラメータが格納されている。具体的には、印刷装置300が持つ2つのネットワークインターフェースユニット(もしくはネットワークインターフェースカード:NIC)のうち第1のユニットの第1のMACアドレスと、第2のユニットの第2のMACアドレス情報がネットワーク情報に格納される。例えば、有線LAN用のMACアドレスと無線LAN用のMACアドレスがネットワーク情報に格納されている。これにより、端末装置200は印刷装置300が持つ物理インタフェースであるMACアドレス情報をNDEFメッセージから取得することが可能となる。なお、本願では、印刷装置300が有するネットワークインターフェースユニットの個数が2つの例を示しているが、1以上であればよく、この数に特に制限はない。
【0045】
さらにPayload部には、ピアツーピア接続情報(以下、「ピアツーピア」を単にP2Pと略す)が格納される。具体的には、WiFiダイレクト等のP2P接続のために必要なSSID、暗号方式、認証方式、ネットワークキー等の情報が格納されている。
【0046】
一般に、端末装置200と印刷装置300が同一アクセスポイントに接続してない場合、データ通信を行うことができない。これを回避するため、端末装置200は印刷装置300のNDEFメッセージから取得したP2P情報を用いて、端末装置200側の無線ネットワーク設定を変更する。このようにすることで、端末装置200と印刷装置300とで、ピアツーピア通信が確立し、データ通信を行うことができる。
【0047】
端末装置200は、NDEFメッセージを受信後、ステップS803で、端末装置200からのデータ受信待ちへのモード移行コマンドを印刷装置300に発行したかを判断する。発行したか否かの情報は、端末装置200のデータメモリ214に記憶しておく。モード移行コマンドを発行していない場合、ステップS804で、NDEFメッセージの第1のMACアドレスが端末装置200と同一ネットワーク上に存在するかを確認(探索)する。第1のMACアドレスが同一ネットワーク上に存在する場合、端末装置200は印刷装置300のIPアドレスを認識することができる(ステップS805)。例えば、IPアドレスを認識するために、ICMPやMulticastDNS等を用いる。そして、ステップS806で、端末装置200は印刷装置300に対して、データ受信待ちへのモード移行コマンドを発行する。
【0048】
また、第1のMACアドレスがネットワーク上で検出できない場合、端末装置200は、ステップS810で第2のMACアドレスが端末装置200と同一ネットワーク上に存在するかを確認する。そこで検出できない場合、端末装置200は、ステップS811で印刷装置300のNFCユニット201から取得したNDEFメッセージに格納されているP2P情報を参照し、端末装置200の通信モードがP2P情報の無線LAN設定と同じかを判定する。判定の一例としては、端末装置200は、印刷装置300が備えるアクセスポイントのSSIDと端末装置200に設定されているSSIDとを比較し、同じか否かを判定する。
【0049】
端末装置200の通信モードがP2P情報と一致しない場合、端末装置200は、印刷装置300の通信モードに合わせて、端末装置200の通信モードを変更する(ステップS812)。例えば、端末装置200は、印刷装置300のSSIDを設定する。
【0050】
このように、印刷装置300が複数のインタフェースを備える状況で、いずれかひとつのインタフェース情報しか返さない場合、装置を検出できないおそれがある。例えば、有線LANが有効状態であるにも関わらず、無線LANのMACアドレスがNDEFメッセージに格納されていた場合、端末装置200は無線LANのMACアドレスをネットワーク上から探索することとなる。結果的に、端末装置200と印刷装置300が同一ネットワーク上にあったとしても、NFCでタッチした印刷装置300を探索できない。しかしながら、上記処理を行うことで適切に端末装置200と印刷装置300の接続を確立することが可能となる。
【0051】
ステップS806では、端末装置200は、端末装置からのデータ受信待ちへのモード移行コマンドを印刷装置300に対して発行する。コマンド発行後、ステップS807で、端末装置200は、ユーザーが選択した画像データを印刷装置300が印刷できる形式に変換して、無線LANユニット202を介して印刷装置300に印刷データとして送信する。なお、端末装置200が印刷装置300に無線LANで印刷データを送信するからと言って、印刷装置300が端末装置200から無線LANを介して印刷データを受信するとは限らない。アクセスポイントと接続されている有線LANを介して受信することも起こり得るからである。
【0052】
そして、すべての印字データ送信完了後、ステップS808で、端末装置200は、続けて印刷データを送信するかの判定を行う。この判定は、ユーザー操作でもよいし、一定時間操作がないことを判断してもよい。印刷を終了する際、ステップS809で、端末装置200は印刷装置300に対して、データ受信待ちのモードを解除するコマンドを発行する。この結果、端末装置200と印刷装置300の接続は解除される。
【0053】
次に、
図9のフローチャートを用いて、印刷装置300が端末装置200から受信した画像を印刷する際の処理を説明する。なお、本願では、印刷装置300において実行されるフローチャートは、印刷装置300のCPU311がフローチャートに関係するプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0054】
まず、ユーザが端末装置200(のNFCユニット201)を、印刷装置300(のNFCユニット306)に近づける操作を行う。この結果、双方のNFCユニットによるNFC通信が開始され、ステップS902で、印刷装置300は、印刷装置のNFCユニット306内のNFCメモリに格納されているNDEFメッセージを端末装置200に転送する。
【0055】
NDEFメッセージが端末装置200へ転送されると、ステップS903で、印刷装置300は、すでに端末装置200からのデータ受信待ちへのモード移行コマンドを受信しているかを判定する。
【0056】
モード移行コマンドを受信していなければ、ステップS904で、印刷装置300は端末装置200からIPプロトコルレベルのリクエストがあるかを判断する。IPプロトコルレベルのリクエストがある場合、すでに端末装置200と印刷装置300は同一ネットワーク上に存在することが確定できるので、印刷装置300は端末装置200から発行されるデータ受信待ちへのモード移行コマンドの受信待ちとなる。
【0057】
その後、ステップS905で印刷装置300が端末装置200からのモード移行コマンドを受信する。また、ステップS904でIPプロトコルレベルの通信がないと判断した場合、印刷装置300は、ステップS910で現在の印刷装置300の通信モードをデータメモリ314に記憶(待避)する。そして、印刷装置300は、ステップS911で印刷装置300の通信モードをP2Pモードの通信モードに変更する。その後、端末装置200が、S812の処理を実行することで、印刷装置300が端末装置200と同一ネットワークで接続可能となる。例えば、印刷装置300が、外部のアクセスポイントを用いて通信を行う通信モードで動作している場合、S911によりアクセスポイントを用いて通信を行う通信モードからP2Pモードに通信モードを変更する。
【0058】
ネットワークが確立した後、ステップS907で、印刷装置300は、端末装置200から印字データを受信し、印刷を行う。但し、ネットワークが確立した場合でも、ステップS906で、端末装置200からデータが一定時間送られてこない場合、ステップS909で印刷の通信モードを元に戻す。
【0059】
印刷後、ステップS908で、印刷装置300は端末装置200からデータ受信待ちへのモード解除待ちのコマンドを受信したかを判断する。解除コマンドを受信した場合、ステップS909で印刷の通信モードを変更していれば、NFCを使った印刷を行う直前の通信モード(つまり、S910いて記憶した通信モード)に戻す。
【0060】
具体的な通信モードを戻す例は以下の通りである。例えば、印刷装置300の無線LANが無効の場合、ステップS910で無線LAN無効状態を記憶し、P2Pモードで印刷を実行し、印刷終了後、無線LAN状態を切断して処理を終了する。つまり、印刷装置300の通信モードが無線LAN無効状態へと変更される。また、印刷装置300の無線LANが有効で、端末装置と同じネットワーク上に場合、通信モードはそのままで印刷処理を行い、印刷終了後ステップS909では、通信モードはそのままの状態を保持する。
【0061】
また、印刷装置300の第1、第2のインタフェースのいずれか、もしくは両方が有効状態で、それらが端末装置と同じネットワーク上にない場合、ステップS911で第1、第2のインタフェース状態を記憶する。そして、P2Pモードで印刷を実行し、印刷終了後、第1、第2のインタフェース状態を元に戻して処理を終了する。
【0062】
このように、本実施形態では、ユーザが現在の通信モードを切り替えなくても、端末装置200のNFCタッチ操作によって最適な通信方法が自動的に選択される。ステップS908で一定時間、端末装置200からモード解除待ちのコマンドが送られてこない場合、ステップS912で時間経過をみることで、モード解除待ちのコマンドが一定時間送られてこない場合、通信モードを直前の通信モードに戻すことを可能にする。
【0063】
一定時間を計測するためにタイマを用いることになるが、タイマの開始トリガとして、印刷終了後をトリガにしてもよいし、タイマが開始されても、一定時間を経過する前に次の印刷処理が実行されることで、タイマをクリアしてもよい。これ以外にも、操作パネル305での本体操作によって、通信モードを終了させてもよい。こうすることで、ユーザが通信モードを意識することなく、印刷を実行することが可能となる。
【0064】
[第2の実施形態]
本第2の実施形態でも、ユーザが端末装置200を操作して印刷対象の画像を選択した後、印刷を行うユースケースについて説明する。
【0065】
なお、第1の実施形態との差異は、NFCタッチ操作によって取得するインタフェース情報に有効なMACアドレスを示す情報が含まれる点である。以下、ユーザーが、端末装置200を印刷装置300に対してNFCタッチ操作を行う。そして、端末装置200が、現在有効になっているインタフェース情報を取得し、有効なインタフェースのMACアドレスを使って、選択した画像を印刷装置300で印刷するというユースケースについて説明する。例えば、端末装置200は、有線のMACアドレスと無線のMACアドレスの内、NFCタッチ操作によって現在印刷装置300において有効なMACアドレスを示す情報を取得できる。
【0066】
まず、ユーザは、操作部204からの操作に応じて、画像データを選択する。ここで、画像データは複数選択しても良い。
【0067】
ユーザは端末装置200(のNFCユニット201)を印刷装置300(のNFCユニット306)に近づけるNFCタッチ操作を行う。
【0068】
この結果、ステップS1002で、端末装置200が印刷装置300のNFCユニット306内のNFCメモリ605にあるNDEFメッセージを受信する。
【0069】
端末装置200はNDEFメッセージを受信後、ステップS1003で、端末装置200から印刷装置300へ、データ受信待ちへのモード移行コマンドを発行したかを判断する。発行したか否かの情報は、端末装置200のデータメモリ214に記憶しておく。モード移行コマンドを発行していない場合、ステップS1004で、端末装置200は、NDEFメッセージから取得した現在有効な状態のインタフェース情報を取得する。例えば、端末装置200が、NDEFメッセージに含まれる複数のMACアドレスの内、有効なMACアドレス情報を示す情報を取得することで、S1004を実現できる。ちなみに、有効な状態とは、印刷装置300がネットワーク接続を確立して、IPアドレスが取得可能な状態を指す。
【0070】
ステップS1005で、端末装置200は、NDEFメッセージに記述されている、有効状態であるインタフェースのMACアドレスが端末装置200と同一ネットワーク上に存在するかを確認する。ステップS1006でMACアドレスが同一ネットワーク上に存在する場合、端末装置200は印刷装置300のIPアドレスを認識することができる。IPアドレスを検出できない場合、端末装置200は、ステップS1011-1012を行う。なお、S1011-S1012の処理はS811-S812と同じであるため詳細な説明は省略する。また、S1007-S1010の処理は、S806-S809と同じであるため詳細な説明は省略する。
【0071】
本実施形態により、例えば、複数のMACアドレスを用いてブロードキャストにてデバイス探索を行う場合、無効化されているインタフェースのMACアドレスを使ったデバイス探索を防止できる。そのため、本実施形態は、ネットワーク通信負荷を軽減できる。
【0072】
[第3の実施形態]
上記の第1の実施形態において、NDEFメッセージに記憶された第1のインタフェースのMACアドレスと第2のインタフェースのMACアドレスを順番に参照する形態を説明した。第1のインタフェースと第2のインタフェースに優先順位を設けて、どちらを優先的に接続するか判断するための情報をNDEFメッセージに格納させてもよい。端末装置200は読み取ったNDEFメッセージの優先順位をもとに取得したMACアドレスが同一ネットワーク上に存在するかを検出してもよい。
【0073】
また、実施形態では端末装置200と通信する処理装置は印刷装置(MFP)300として説明したが、処理要求に応える装置であれば特に印刷装置に限定されない。例えば、ネットワークスキャナであても良いし、ネットワークストレージであっても構わない。
【0074】
[第4の実施形態]
本実施形態では、印刷装置300が、有効なインタフェースに応じてNDEFの情報を書き換える処理について
図11を用いて説明する。
【0075】
印刷装置300は、操作パネル305を用いてユーザーから有効化されるべきインタフェースの選択指示を受け付けたか否かを判定する(S1101)。例えば、印刷装置300は、有線LANと無線LANの内、いずれか一方を有効化する指示を受け付ける。なお、印刷装置300と通信可能な端末装置200が有効化するインタフェースを選択するための選択指示を発行しても良い。その他、印刷装置300と通信可能な情報処理装置が有効化するインタフェースを選択するための指示を発行しても良い。
【0076】
S1101において指示を受け付けたと判定された場合、印刷装置300は、ユーザーの指示により有効化されたインタフェースに対応するMACアドレスをNFCユニット600のNFCメモリ605のNDEF内に記述する(S1102)。
図7では、印刷装置300が持つ2つのネットワークインターフェースユニット(もしくはNIC)のうち第1のユニットの第1のMACアドレスと、第2のユニットの第2のMACアドレスがネットワーク情報に格納されると記載した。しかしながら、本実施形態では、印刷装置300が、有効化されたインタフェースに対応するMACアドレスのみを
図7のネットワーク情報に書き込む。例えば、上記指示によって有線LANが有効化された場合、有線LANのMACアドレスのみが
図7のネットワーク情報に記述される。一方、有効化されるインタフェースが有線LANから無線LANに変更された場合、印刷装置300は、
図7のネットワーク情報を有線LANのMACアドレスから無線LANのMACアドレスに書き換える。
【0077】
印刷装置300は、NFCタッチ操作を受け付けたか判定する(S1103)。ここでNFCタッチ操作を受け付けたと判定した場合、S902以降の処理へと進む。一方、NFCタッチ操作を受け付けていない場合、S1101へと処理が戻る。なお、S902以降の処理は、
図9と同じであるため詳細な記述は省略する。
【0078】
以上の処理により、端末装置200は、印刷装置300において有効化されているインタフェースのMACアドレスを取得できるため、適切に印刷装置300と接続することが可能となる。
【0079】
(その他の実施例)
なお、本願では、近距離無線通信の一例としてNFCを用いて説明したが、別の通信方法として、例えばブルートゥース(登録商標)を用いても構わない。また、本願では印刷装置を用いて説明したが、印刷装置とは別の装置としてデジタルカメラや音楽プレイヤーなどを用いても構わない。
【0080】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0081】
100…ネットワーク、200…端末装置、300…印刷装置