(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】導波路構造およびそれを用いた表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20240830BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240830BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
G02B6/12
(21)【出願番号】P 2022169058
(22)【出願日】2022-10-21
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2022-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】傅 柏翰
(72)【発明者】
【氏名】謝 馨儀
(72)【発明者】
【氏名】王 唯科
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/133965(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/169383(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0227316(US,A1)
【文献】特開2015-118273(JP,A)
【文献】特開2009-186794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0278498(US,A1)
【文献】特開2010-262320(JP,A)
【文献】特開2017-004004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0141146(US,A1)
【文献】特開2008-139618(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0225498(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0081246(US,A1)
【文献】中国実用新案第217156853(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 27/02
G02B 27/01
G02B 6/00
G02B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層された導波路結合器を含み、
各前記導波路結合器は、
導波路板、および
前記導波路板上に配置された入力カプラを含み、
少なくとも1つの前記導波路結合器の前記入力カプラは第1のグレーティングピラーを含み、
各前記第1のグレーティングピラーは3つ以上の
積層を有し、
前記第1のグレーティングピラーの底部に位置する
前記積層の屈折率が最大であり、
前記第1のグレーティングピラーの頂部に位置する
前記積層の屈折率が最小であり、
前記第1のグレーティングピラーは、前記屈折率が
最小屈折率から
最大屈折率まで徐々に増加するように、構成されている導波路構造。
【請求項2】
前記導波路結合器は、第1導波路結合器及び第2導波路結合器を含み、
前記第1導波路結合器は、380nm~750nmの波長を有する異なる色の光を結合し、
前記第2導波路結合器は、380nm~750nmの波長を有する異なる色の光を結合する請求項1に記載の導波路構造。
【請求項3】
前記第1のグレーティングピラーの前記積層の数は
3以上、30以下であり、
前記第1のグレーティングピラーの前記積層の全高は、40nm~1000nmの範囲にある請求項1に記載の導波路構造。
【請求項4】
前記最大屈折率と前記最小屈折率との差は0より大きく、2.1以下であり、
徐々に
増加する
前記屈折率は、1.4~3.5の範囲にあり、
前記導波路板は、1.5~3.0の範囲で一定の屈折率を有する請求項1に記載の導波路構造。
【請求項5】
前記第1のグレーティングピラーは周期的な配列で形成され、
前記周期的な配列の周期は、250nm~750nmの範囲にある請求項1に記載の導波路構造。
【請求項6】
前記導波路構造の断面図から見て、各前記第1のグレーティングピラーのプロファイルは、2つの平行な辺を有し、各前記第1のグレーティングピラーの前記プロファイルは台形であり、前記2つの平行な辺は、上底および下底であり、前記下底は前記上底より前記導波路板に近く、前記下底は前記上底より長い請求項1に記載の導波路構造。
【請求項7】
各前記導波路結合器は、
前記導波路板上に配置され、前記入力カプラに隣接するエキスパンダーをさらに含み、
前記エキスパンダーは第2のグレーティングピラーを含み、
2つの隣接する第2のグレーティングピラー間の距離は一定であり、
前記2つの隣接する第2のグレーティングピラーは、異なる幅、又は、異なる厚さを有する請求項1に記載の導波路構造。
【請求項8】
各前記導波路結合器は、前記導波路板上に配置された出力カプラをさらに含み、
前記エキスパンダーは、前記入力カプラと前記出力カプラとの間に配置される請求項7に記載の導波路構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波路構造およびそれを用いた表示装置に関するものであり、特に、徐々に変化する屈折率を有する入力カプラを含む導波路結合器を含む導波路構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)装置で用いられるようなニアアイディスプレイは、技術の進歩に伴いますます普及している。ニアアイディスプレイは、仮想オブジェクトを表示、または実オブジェクトを仮想オブジェクトの画像と組み合わせることができる。例えば、ユーザーは、ARシステムで仮想オブジェクト(例えば、コンピューター生成画像(CGI))と周囲の環境の混合画像を同時に見ることができ、医療、教育、物流、e-Health、および製造など様々な分野で幅広く用いられることができる。
【0003】
しかしながら、仮想オブジェクトの画像がユーザーの視野(FoV)に送信されるとき、色により波長が異なるため、結合効率が低く、視野が十分でないなどの問題がしばしば生じる。これは、例えば、画像表示が不完全、誤った縮尺で表示、または色ずれなど、さまざまな望ましくない状態が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導波路構造およびそれを用いた表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態では、表示装置(例えば、AR、VE、またはMR装置)は、互いに積層された導波路結合器を含む導波路構造を含む。導波路結合器の少なくとも1つの入力カプラは、徐々に変化する屈折率を有し、結合効率とユーザーの視野(FoV)を効果的に改善することができる。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態による、導波路構造が提供される。導波路構造は、互いに積層された導波路結合器を含む。各導波路結合器は、導波路板、および導波路板上に配置された入力カプラを含む。少なくとも1つの導波路結合器の入力カプラは第1のグレーティングピラーを含み、各第1のグレーティングピラーは徐々に変化する屈折率を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、2つ以上の導波路結合器がある。
【0008】
いくつかの実施形態では、各第1のグレーティングピラーは積層を有し、2~30の積層がある。
【0009】
いくつかの実施形態では、積層の厚さは異なる。
【0010】
いくつかの実施形態では、積層の全高は、40nm~1000nmの範囲にある。
【0011】
いくつかの実施形態では、徐々に変化する屈折率は、最大屈折率および最小屈折率を有し、最大屈折率と最小屈折率との差は0より大きく、2.1以下である。
【0012】
いくつかの実施形態では、徐々に変化する屈折率は、1.4~3.5の範囲にある。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のグレーティングピラーは周期的な配列で形成され、この周期的な配列の周期は、250nm~750nmの範囲にある。
【0014】
いくつかの実施形態では、導波路構造の断面図から見て、各第1のグレーティングピラーのプロファイルは、2つの平行な辺を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、各第1のグレーティングピラーのプロファイルは台形であり、2つの平行な辺は、上底および下底であり、下底は上底より導波路板に近い。
【0016】
いくつかの実施形態では、下底は上底より長い。
【0017】
いくつかの実施形態では、導波路板は、1.5~3.0の範囲で一定の屈折率を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、各導波路結合器は、導波路板上に配置され、入力カプラに隣接するエキスパンダーをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、エキスパンダーは第2のグレーティングピラーを含み、2つの隣接する第2のグレーティングピラー間の距離は一定である。
【0020】
いくつかの実施形態では、第2のグレーティングピラーは異なる幅を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2のグレーティングピラーは異なる厚さを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、各導波路結合器は、導波路板上に配置された出力カプラをさらに含み、エキスパンダーは、入力カプラと出力カプラとの間に配置される。
【0023】
いくつかの実施形態では、導波路結合器は、異なる色の光を結合するように用いられ、異なる色の光は、380nm~750nmの波長を有する。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態による、表示装置が提供される。表示装置は、画像ソース、および画像ソースからの光を結合するように構成された導波路構造を含む。導波路構造は、互いに積層された導波路結合器を含む。各導波路結合器は、導波路板、および導波路板上に配置された入力カプラを含む。少なくとも1つの導波路結合器の入力カプラは、第1のグレーティングピラーを含み、各第1のグレーティングピラーは徐々に変化する屈折率を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、表示装置は、画像ソースと導波路構造との間に配置されたコリメータをさらに含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、結合効率とユーザーの視野(FoV)を効果的に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による表示装置を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による導波路板およびグレーティングピラー(grating pillars)を示す部分断面図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態によるグレーティングピラーを示す拡大図である。
【
図3B】
図3Bは、本開示のいくつかの他の実施形態によるグレーティングピラーを示す異なる拡大図である。
【
図3C】
図3Cは、本開示のいくつかの他の実施形態によるグレーティングピラーを示す異なる拡大図である。
【
図3D】
図3Dは、本開示のいくつかの他の実施形態によるグレーティングピラーを示す異なる拡大図である。
【
図3E】
図3Eは、本開示のいくつかの他の実施形態によるグレーティングピラーを示す異なる拡大図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態によるエキスパンダー(expander)を示す部分断面図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示のいくつかの他の実施形態によるエキスパンダーを示す部分断面図である。
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による導波路板およびグレーティングピラーを示す部分断面図である。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの他の実施形態による表示装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態または例を提供する。本開示を簡潔に説明するために、複数の要素および複数の配列の特定の実施形態が以下に述べられる。これらはもちろん単に例示するためであり、これに限定するという意図はない。例えば、下記の開示において、第1の特徴が第2の特徴の上に形成されるということは、第1と第2の特徴が直接接触して形成される複数の実施形態を含むことができ、且つ第1と第2の特徴が直接接触しないように、付加的な特徴が第1と第2の特徴間に形成される複数の実施形態を含むこともできる。
【0029】
追加のステップが、例示された方法の前、間、または後に実施されてもよく、例示された方法のその他の実施形態では、いくつかのステップが置き換えられるか、または省略されてもよい。
【0030】
さらに、(以下の詳細な説明において)、「下の方」、「下方」、「下部」、「上」、「上方」、「上部」およびこれらに類する語のような、空間的に相対的な用語は、図において1つの要素または特徴と、別の(複数の)要素と(複数の)特徴との関係を記述するための説明を簡潔にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用または操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。装置は、他に方向づけされてもよく(90度回転、または他の方向に)、ここで用いられる空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0031】
本開示では、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、一般的に、記載されている値の+/-20%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-10%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-5%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-3%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-2%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-1%を意味し、さらにより一般的に、記載されている値の+/-0.5%を意味する。本開示に記載されている値は、概算値である。即ち、「約」、「およそ」、「実質的に」の具体的な説明がない場合、「約」、「およそ」、「実質的に」の意味が暗示され得る。
【0032】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本開示の実施形態では、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないことを理解されたい。
【0033】
本開示は、以下の実施形態において同じ構成要素の符号または文字を繰り返し用いる可能性がある。繰り返し用いる目的は、簡易化した、明確な説明を提供するためのもので、説明される様々な実施形態および/または構成の関係を限定するものではない。
【0034】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による表示装置100を示す概略図である。いくつかの構成要素は、
図1では実際の構造で示されておらず、表示装置100のいくつかの構成要素は、簡潔にするために省略されていることに留意されたい。また、表示装置100は、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、または混合現実(MR)に適用可能なニアアイディスプレイであることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、表示装置100は画像ソース10を含む。例えば、画像ソース10は、仮想オブジェクトの画像を表示するように用いられることができる。画像ソース10は、可視波長範囲(例えば、約380nmから約750nmまでの波長)の異なる色の光を発することができる様々な光源であることができるが、本開示はこれらに限定されない。画像ソース10は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)、シリコン上の液晶(LCoS)、デジタル光処理(DLP)、RGBレーザー、その他の適用可能なデバイス、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、表示装置100は、画像ソース10からの光(例えば、赤色光R、緑色光G、および/または青色光B)を結合するように構成された導波路構造WSを含む。
図1は、導波路構造WSの断面図を示していることに留意されたい。
図1に示すように、いくつかの実施形態では、導波路構造WSは、互いに積層された導波路結合器30および導波路結合器40を含む。特に、導波路結合器30は、導波路結合器40上に配置される。
【0037】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器30は導波路板31を含む。例えば、導波路板31は、約1.5~約3.0の範囲で一定の屈折率を有する透明な誘電材料(例えば、ガラス)を含むことができるが、本開示はこれに限定されない。さらに、導波路板31は、化学気相堆積(CVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、スピンコーティングプロセス、その他の適用可能なプロセス、またはそれらの組み合わせなどの堆積プロセスによって形成されることができるが、本開示は、これらに限定されない。
【0038】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、導波路結合器30は、導波路板31上に配置された入力カプラ33を含む。
図1に示すように、いくつかの実施形態では、導波路結合器30の入力カプラ33はグレーティングピラー331を含み、各グレーティングピラー331は徐々に変化する屈折率を有する。いくつかの実施形態では、徐々に変化する屈折率は、約1.4~約3.5の範囲にある。入力カプラ33に含まれる複数のグレーティングピラー331は、コリメータ20から出力される平行光の一部を導波路板31の内側に向けて屈折させるように構成されてもよい。
【0039】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による導波路板31およびグレーティングピラー331を示す部分断面図である。いくつかの実施形態では、各グレーティングピラー331は積層S1(
図2を参照)を有し、2~30の積層S1が存在する。例えば、
図2に示されるように、各グレーティングピラー331は積層S1を有し、11の積層S1が存在するが、本開示はこれらに限定されない。また、積層S1は、堆積プロセスによって形成されることができる。堆積プロセスの例は上述されており、ここでは繰り返されない。
【0040】
いくつかの実施形態では、グレーティングピラー331の積層S1は、異なる材料を含むかまたは異なる濃度を有し、グレーティングピラー331は徐々に変化する屈折率を有するようにする。いくつかの実施形態では、グレーティングピラー331の徐々に変化する屈折率は、最大屈折率(例えば、グレーティングピラー331の底部にあるスタック層S1Bの屈折率)および最小屈折率(例えば、グレーティングピラー331の頂部にあるスタック層S1Tの屈折率)を有し、最大屈折率と最小屈折率との差は0より大きく、約2.1以下である。言い換えると、複数のグレーティングピラー331は、最大屈折率から最小屈折率の差が0より大きく、約2.1以下であり、屈折率が最大屈折率から最小屈折率まで徐々に変化するように、構成されてもよい。
【0041】
例えば、グレーティングピラー331の上部にある積層S1Tの屈折率は、約1.77であることができ、グレーティングピラー331の底部にある積層S1Bの屈折率は、約2.40であることができ、積層S1Bの屈折率と積層S1Tの屈折率との差は約0.63であるが、本開示はこれに限定されない。
【0042】
また、積層S1Tと積層S1Bとの間の積層の屈折率は、約1.77~約2.40の範囲にある。即ち、グレーティングピラー331は上部から底部に徐々に増加する屈折率を有することができるが、本開示はこれに限定されない。
【0043】
図2に示された実施形態では、各積層S1は同一の厚さを有するが、本発明はこれに限定されない。いくつかの他の実施形態では、積層S1の厚さは異なる。
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、積層S1の全高H331は、約40nm~約1000nmの範囲にある。
【0044】
図1および
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、グレーティングピラー331は周期的な配列で形成され、この周期的な配列の周期P33は、約326nmなど、約250nm~約750nmの範囲にある。換言すれば、2つの隣接するグレーティングピラー331間の距離は一定であり得るが、本開示はこれに限定されない。レーティングピラー331は、導波路板31の上面に沿う方向で、周期的に配列されてもよい。
【0045】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態によるグレーティングピラー331を示す拡大図である。
図1および
図3Aに示されるように、導波路構造WSの断面図から見て、各グレーティングピラー331のプロファイル(断面形状)は台形である。なお、導波路構造WSの断面は、導波路板31の上面に対して垂直な面である。
図3Aに示されるように、いくつかの実施形態では、各グレーティングピラー331のプロファイルは、2つの平行な辺、上底UBおよび下底LBを有し、下底LBは上底UBより導波路板31に近い。
【0046】
図3Aに示されるように、いくつかの実施形態では、下底LBは上底UBより長い。即ち、下底LBの幅WLBは、上底UBの幅WUBより大きくてもよいが、これに限定されない。
図1および
図3Aに示されるように、グレーティングピラー331の下底LBは、導波路板31に取り付けられることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
図3B~
図3Eは、本開示のいくつかの他の実施形態によるグレーティングピラー331を示す異なる拡大図である。いくつかの実施形態では、導波路構造WSの断面図から見て、各グレーティングピラー331のプロファイルは、2つの平行な辺を有する。
【0048】
図3Bに示されるように、各グレーティングピラー331のプロファイルは長方形であり、2つの平行な辺は上辺USと下辺LSである。
図3Cに示されるように、各グレーティングピラー331のプロファイルは平行四辺形であり、2つの平行な辺は上辺USおよび下辺LSである。
図3Dに示されるように、各グレーティングピラー331のプロファイルは等脚台形であり、2つの平行な辺は上底UBと下底LBである。
図3Eに示されるように、各グレーティングピラー331のプロファイルは正方形であり、2つの平行な辺は上辺USおよび下辺LSである。各グレーティングピラー331のプロファイルは、
図3A~
図3Eに限定されず、必要に応じて変更されることができる。
【0049】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器30は、導波路板31上に配置され、入力カプラ33に隣接するエキスパンダー35をさらに含む。例えば、エキスパンダー35は、二次元(2D)瞳拡大技術(pupil expansion technique)を用いることができ、表示画像を解放するグレーティング構造を含むことができるが、本開示はこれに限定されない。
【0050】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態によるエキスパンダー35を示す部分断面図である。
図4Aに示すように、いくつかの実施形態では、エキスパンダー35はグレーティングピラー353を含み、2つの隣接するグレーティングピラー353間の距離は一定である。換言すれば、いくつかの実施形態では、グレーティングピラー353は周期的な配列で形成され、この周期的な配列の周期P1は一定である。グレーティングピラー353は、
図4Aの導波路板351上に配置されるが、導波路板351は、必要に応じて調整され得る別の導波路板または導波路板31の一部であってもよいことに留意されたい。
【0051】
いくつかの実施形態では、グレーティングピラー353は異なる幅を有する。例えば、
図4Aに示されるように、グレーティングピラー353-1の幅W1は、隣接するグレーティングピラー353-2の幅W2より短いが、本開示はこれに限定されない。
【0052】
図4Bは、本開示のいくつかの他の実施形態によるエキスパンダー35を示す部分断面図である。同様に、
図4Bに示すように、エキスパンダー35はグレーティングピラー353を含み、2つの隣接するグレーティングピラー353間の距離は一定である。換言すれば、いくつかの実施形態では、グレーティングピラー353は周期的な配列で形成され、この周期的な配列の周期P1は一定である。
【0053】
いくつかの実施形態では、グレーティングピラー353は異なる厚さを有する。例えば、
図4Bに示されるように、グレーティングピラー353-1の厚さT1は、隣接するグレーティングピラー353-2の厚さT2より小さいが、本開示はこれに限定されない。なお、
図4Bに示すように、各グレーティングピラー353の上面は同じ高さに位置しており、各グレーティングピラー353の下面(底面)は異なる高さに位置してもよい。
【0054】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器30は、導波路板31上に配置された出力カプラ37を含む。より詳細には、エキスパンダー35は、導波路板31の上面において、入力カプラ33と出力カプラ37との間に配置される。
【0055】
図1に示すように、導波路結合器40は、導波路結合器30と同様の構造を有する。
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器40は、導波路板41、および導波路板41上に配置された入力カプラ43を含む。
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器40の入力カプラ43は、グレーティングピラー431を含む。
【0056】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による導波路板41およびグレーティングピラー431を示す部分断面図である。いくつかの実施形態では、各グレーティングピラー431は積層S2(
図5を参照)を有し、2~30の積層S2が存在する。例えば、
図5に示されるように、各グレーティングピラー431は積層S2を有し、11の積層S2が存在するが、本開示はこれらに限定されない。いくつかの他の実施形態では、グレーティングピラー431の積層S2の数は、グレーティングピラー331の積層S1の数と異なる。また、積層S2は、堆積プロセスによって形成されることができる。堆積プロセスの例は上述されており、ここでは繰り返されない。
【0057】
いくつかの実施形態では、グレーティングピラー431の積層S2は、同じ材料を含むかまたは同じ濃度を有し、グレーティングピラー431は一定の屈折率を有するようにする。例えば、グレーティングピラー431の上部にある積層S2Tの屈折率は、約2.40であることができ、グレーティングピラー431の底部にある積層S2Bの屈折率は、約2.40であることができ、積層S2Bの屈折率と積層S2Tの屈折率との差は約0であるが、本発明はこれに限定されない。
【0058】
いくつかの他の実施形態では、グレーティングピラー431の積層S2は、グレーティングピラー331の積層S1と同様である。即ち、グレーティングピラー431の積層S2は、異なる材料を含むか、または異なる濃度を有し、グレーティングピラー431は徐々に変化する屈折率を有するようにする。
【0059】
図5に示された実施形態では、各積層S2は同じ厚さを有するが、本発明はこれに限定されない。いくつかの他の実施形態では、積層S2の厚さは異なる。
図5に示されるように、いくつかの実施形態では、積層S2の全高H431は、約40nm~約1000nmの範囲にある。
【0060】
図1および
図5に示されるように、いくつかの実施形態では、グレーティングピラー431は周期的な配列で形成され、周期的な配列の周期P43は、約449nmなど、約250nm~約750nmの範囲にある。換言すれば、2つの隣接するグレーティングピラー431間の距離は一定であり得るが、本開示はこれに限定されない。いくつかの他の実施形態では、グレーティングピラー431のプロファイルは、各グレーティングピラー331のプロファイルと異なり、必要に応じて調整されることができる。
【0061】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器40は、導波路板41上に配置され、入力カプラ43に隣接するエキスパンダー45をさらに含む。同様に、エキスパンダー45は、二次元(2D)瞳拡大技術を用いることができ、表示画像を解放するグレーティング構造を含むことができるが、本開示はこれに限定されない。この実施形態では、エキスパンダー45は、エキスパンダー35と同様の構造を有するが、本開示はこれに限定されない。
【0062】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器40は、導波路板41上に配置された出力カプラ47を含む。より詳細には、エキスパンダー45は、入力カプラ43と出力カプラ47との間に配置される。
【0063】
いくつかの実施形態では、導波路結合器30および導波路結合器40は、異なる色の光を結合するように用いられ、異なる色の光は、約380nm~約750nmの波長を有する(例えば、可視光)。すなわち、導波路結合器30および導波路結合器40は、それぞれの導波路結合器30,40で異なる色の光を結合するように用いられている。例えば、
図1に示されるように、導波路結合器30は緑色光Gと青色光Bを結合するように用いられることができ、導波路結合器40は赤色光Rと緑色光Gを結合するように用いられることができるが、本開示はこれらに限定されない。
【0064】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、表示装置100は、画像ソース10と導波路構造WSとの間に配置されたコリメータ20をさらに含む。コリメータ20は、画像ソース10からの発散光または他の放射線を平行ビームに変換し、画像ソース10からの光が導波路構造WSに円滑に入ることができるようにする。
図1に示されるように、画像ソース10からの画像(光)は、コリメータ20を介して導波路構造WSに入り、次いでユーザーの目Eに伝達されて提示され得る。
【0065】
従来のニアアイディスプレイに比べ、本開示の実施形態による表示装置100は、導波路構造WSにより、結合効率を、例えば約62%から約83%に効果的に向上させることができる。さらに、ユーザーの視野(FoV)も、例えば約42.5°から約60°に改善され、これは固有の材料の制限に近い値である。
【0066】
図6は、本開示のいくつかの他の実施形態による表示装置102を示す概略図である。同様に、いくつかの構成要素は、
図6においてそれらの実際の構造で示されておらず、表示装置102のいくつかの構成要素は、簡潔にするために省略されている。
【0067】
図6に示すように、表示装置102は、表示装置100と同様の構造を有する。いくつかの実施形態では、表示装置102の導波路構造WSは、導波路結合器30および導波路結合器40上に積層された導波路結合器50をさらに含む。より詳細には、導波路結合器40は、導波路結合器30と導波路結合器50との間に配置されることができるが、本開示は、これに限定されない。
【0068】
図6に示すように、導波路結合器50は、導波路結合器30または導波路結合器40と同様の構造を有する。
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器50は、導波路板51、および導波路板51上に配置された入力カプラ53を含む。
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器50の入力カプラ53は、グレーティングピラー531を含む。
【0069】
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器50は、導波路板51上に配置され、入力カプラ53に隣接するエキスパンダー55をさらに含む。同様に、エキスパンダー55は、二次元(2D)瞳拡大技術を用いることができ、表示画像を解放するグレーティング構造を含むことができるが、本開示はこれに限定されない。この実施形態では、エキスパンダー55は、エキスパンダー35またはエキスパンダー45と同様の構造を有するが、本開示はこれに限定されない。
【0070】
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路結合器50は、導波路板51上に配置された出力カプラ57を含む。より詳細には、エキスパンダー55は、入力カプラ53と出力カプラ57との間に配置される。
【0071】
いくつかの実施形態では、導波路結合器30、導波路結合器40、および導波路結合器50は、異なる色の光を結合するように用いられ、異なる色の光は、約380nm~約750nmの波長を有する(例えば、可視光)。例えば、
図6に示されるように、導波路結合器30は青色光Bと結合するように用いられることができ、導波路結合器40は緑色光Gと結合するように用いられることができ、導波路結合器50は赤色光Rと結合するように用いられることができるが、本開示はこれらに限定されない。
【0072】
導波路管結合器の数は、
図1に示される実施形態(2つの導波路結合器がある)または
図6に示される実施形態(3つの導波路結合器がある)に限定されないことに注意されたい。いくつかの実施形態では、2つ以上の導波路結合器がある。
【0073】
要約すると、本開示のいくつかの実施形態では、表示装置(例えば、AR、VE、またはMR装置)は、互いに積層された導波路結合器を含む導波路構造を含む。導波路結合器の少なくとも1つの入力カプラは、徐々に変化する屈折率を有し、結合効率とユーザーの視野(FoV)を効果的に改善することができる。
【0074】
前述の内容は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、同じ目的を実行するため、および/または本明細書に導入される実施形態の同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解できる。当業者はまた、そのような同等の構造が本開示の精神および範囲から逸脱せず、且つそれらは、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で様々な変更、置換、および代替を行うことができることを理解するべきである。従って、保護の範囲は特許請求の範囲を通じて決定される必要がある。さらに、本開示のいくつかの実施形態が上記に開示されているが、それらは、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0075】
本明細書全体にわたる特徴、利点、または同様の用語への言及は、本開示で実現され得る全ての特徴および利点が、本開示の任意の単一の実施形態で実現されるべきまたは実現され得ることを意味するのではない。むしろ、特徴および利点に言及する用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、利点、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味すると理解される。従って、本明細書全体にわたる特徴および利点、ならびに類似の用語の議論は、必ずしもそうではないが、同じ実施形態を指すことがある。
【0076】
さらに、1つまたは複数の実施形態では、本開示の説明された特徴、利点、および特性は、任意の適切な方法で組み合わせてもよい。当業者は、本明細書の説明に基づいて、特定の実施形態の1つまたは複数の特定の特徴または利点なしに本開示を実施できることを認識するであろう。他の例では、本開示の全ての実施形態に存在しない可能性がある、追加の特徴および利点が特定の実施形態において認識され得る。
【符号の説明】
【0077】
100、102 表示装置
10 画像ソース
20 コリメータ
30、40、50 導波路結合器
31、351、41、51 導波路板
33、43、53 入力カプラ
331、353、353-1、353-2、431、531 グレーティングピラー
35、45、55 エキスパンダー
37、47、57 出力カプラ
B 青色光
E 目
G 緑色光
H331、H431 全高
LB 下底
LS 下辺
P1、P33、P43 周期
R 赤色光
S1、S1B、S1T、S2、S2B、S2T 積層
T1、T2 厚さ
UB 上底
US 上辺
W1、W2 幅
WS 導波路構造
WLB 下底LBの幅
WUB 上底UBの幅