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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
B65G1/04 521
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022170391
(22)【出願日】2022-10-25
(62)【分割の表示】P 2017251860の分割
【原出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2022186875
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2017118492
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】河野 龍太
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-116318(JP,U)
【文献】特開平01-247305(JP,A)
【文献】特開2016-016986(JP,A)
【文献】特開2015-157686(JP,A)
【文献】特開2018-104127(JP,A)
【文献】米国特許第04218616(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133,1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向、列方向および段方向に沿って設けられ、複数の荷を保管可能な棚部と、
荷を入庫または出庫するための入出庫部と、
前記棚部と前記入出庫部との間で荷を搬送する搬送台車と、
前記搬送台車に設けられ、前記搬送台車の列方向の一方側から回収対象の荷の前記一方側の第1端部までの第1距離と、前記搬送台車の列方向の他方側から前記回収対象の荷の前記他方側の第2端部までの第2距離と、を非接触で検知するセンサと、
前記センサの検知結果を使用して前記搬送台車の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1距離と、前記第2距離とが略等しくなる位置で前記搬送台車を停止させてから、前記搬送台車によって前記回収対象の荷を前記搬送台車に回収するように前記搬送台車の動作を制御することを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項2】
前記センサは、前記搬送台車の進行方向で前記荷を検知可能な第1位置センサと、前記進行方向とは反対方向で前記荷を検知可能な第2位置センサとを含む、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記センサは、前記センサよりも高位置にある対象物を検知可能に構成される、請求項2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記センサの検知角度範囲は、前記搬送台車の上に乗っている荷を検知できる程の角度的な広がりを有する、請求項に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記搬送台車は、前記棚部に置かれた荷の下に潜り込んだ状態と、当該荷を持ち上げた状態との両方の状態で前記センサによって当該荷の両端を検知できる、請求項4に記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
前記第1位置センサは、前記搬送台車の進行方向の一端側に設けられた第1距離計測器であり、前記第2位置センサは、前記搬送台車の進行方向の他端側に設けられた第2距離計測器であり、
前記第1位置センサおよび前記第2位置センサは、それぞれ回収対象の荷までの距離を計測し、
前記制御部は、前記回収対象の荷を回収する際、
(i)前記第1距離計測器が前記回収対象の荷を検知したとき、前記搬送台車を減速させ、
(ii)前記第1距離計測器が前記回収対象の荷を検知した後に前記第2距離計測器が前記回収対象の荷を検知したとき、前記搬送台車を更に減速させ、
(iii)前記第2距離計測器が前記回収対象の荷を検知した後に前記第1、第2距離計測器それぞれが計測した前記回収対象の荷までの距離が等しくなったとき、前記搬送台車を停止するように、前記搬送台車の動作を制御する、請求項2に記載の自動倉庫システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記センサの検知結果に基づいて前記荷の位置を検知し、検知された前記荷の位置に応じて、前記搬送台車から前記荷の位置までの距離が閾値以下の場合に前記搬送台車の進行を停止させるように制御する、請求項に記載の自動倉庫システム。
【請求項8】
前記棚部は、列方向に連設された複数の保管部を有し、
前記搬送台車は、前記複数の保管部の下に設けられた列方向に連続する通路を移動しながら、前記保管部に置かれた荷を検知するために前記センサを有し、
前記荷を行方向に搬送すると共に上下方向に昇降させる移動手段をさらに備える、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷を入庫・出庫可能な自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な倉庫システムとして、立体的に構成された自動倉庫に台車を用いて荷の搬送を行う自動倉庫システムが知られている。例えば、特許文献1には、物品を複数収容可能な収容棚が配置され、収容棚にアクセス可能な走行レールを敷設し、この走行レールを自走可能な搬送台車を利用して物品を搬入・搬出する倉庫が記載されている。特許文献1の搬送台車は、物品を載置支持する昇降自在な載置台を車体上に備え、車体に内蔵した充電池により走行レールを自走可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-157683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動倉庫は、荷を搬送台車の載置部に載置するときや荷を保管部に収納するときに、対象の荷をより適切な位置に誘導できることが求められている。荷を適切な位置に誘導するためには、対象の荷の位置に応じて搬送台車の動作を制御できることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の搬送台車には、荷の位置に応じて動作を制御するという観点から改善すべき課題がある。
【0005】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、荷の位置に応じて搬送台車の動作を制御することが可能な自動倉庫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、荷を保管可能な自動倉庫システムであって、荷を載せて第1方向に走行可能な搬送台車と、対象の荷と搬送台車との相対位置関係を検知する位置センサと、搬送台車の動作を制御する制御部と、を備える。位置センサは、搬送台車の第1方向の一端側に取り付けられ、測定対象物までの距離を計測する第1距離計測器と、搬送台車の第1方向の他端側に設けられ、測定対象物までの距離を計測する第2距離計測器と、を含む。
【0007】
この態様によると、前記搬送台車の一端側と他端側とに、測定対象物との距離を計測する第1および第2距離計測器を設けることができる。
【0008】
本発明の別の態様もまた、自動倉庫システムである。この自動倉庫システムは、荷を保管可能な自動倉庫システムであって、荷を保管する保管棚部と、荷を載せる載置部を有し、第1方向に走行可能な搬送台車と、対象の荷と搬送台車との相対位置関係を検知する位置センサと、搬送台車の動作を制御する制御部と、を備える。制御部は、保管棚部に保管された対象の荷と載置部との第1方向における相対位置関係が、所定の相対位置関係となる位置で搬送台車を停止させて、搬送台車によって当該対象の荷を回収するように搬送台車の動作を制御する。
【0009】
本発明のさらに別の態様もまた、自動倉庫システムである。この自動倉庫システムは、荷を保管可能な自動倉庫システムであって、荷を保管する保管棚部と、荷を載せる載置部を有し、第1方向に走行可能な搬送台車と、載置部に乗せられた対象の荷と、保管棚部内で対象の荷が収納される位置に隣接し、対象の荷よりも前に収納された別の荷との、相対位置関係を検知する位置センサと、搬送台車の動作を制御する制御部と、を備える。制御部は、対象の荷と別の荷との位置関係が、所定の相対位置関係となる位置で搬送台車を停止させて、搬送台車によって保管棚部に対象の荷を収納するように搬送台車の動作を制御する。
【0010】
本発明のさらに別の態様もまた、自動倉庫システムである。この自動倉庫システムは、荷を保管可能な自動倉庫システムであって、荷を保管する保管棚部と、荷を載せる載置部を有し、第1方向に走行可能な搬送台車と、対象の荷と搬送台車との相対位置関係を検知する位置センサと、搬送台車の動作を制御する制御部と、を備える。制御部は、対象の荷と載置部との第1方向における相対位置関係が、所定の相対位置関係となる位置で載置部に対象の荷を載置し、載置後に搬送台車を移動させて、保管棚部に当該対象の荷を収納するように搬送台車の動作を制御する。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、荷の位置に応じて搬送台車の動作を制御することが可能な自動倉庫システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る自動倉庫システムの斜視図である。
図2図1の自動倉庫システムの平面図である。
図3図1の自動倉庫システムの軌条の配置の一例を示す平面図である。
図4図1の自動倉庫システムの搬送台車の一例を示す平面図である。
図5図4の搬送台車の側面図である。
図6図4の搬送台車の周辺を示す正面図である。
図7図4の搬送台車の位置センサの周辺を拡大して示す正面図である。
図8図1の自動倉庫システムの中間台車の一例を示す平面図である。
図9図8の中間台車の側面図である。
図10図1の自動倉庫システムのブロック図である。
図11図1の自動倉庫システムの出庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートである。
図12図1の自動倉庫システムの出庫時の搬送動作の一例を示す説明図である。
図13図1の自動倉庫システムの出庫時の搬送台車の動作を示す説明図である。
図14図1の自動倉庫システムの入庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートである。
図15図1の自動倉庫システムの入庫時の搬送動作の一例を示す説明図である。
図16図1の自動倉庫システムの入庫時の搬送台車の動作を示す説明図である。
図17】第2の実施形態に係る自動倉庫システムの対象の荷と載置部との相対位置関係を示す正面視の模式図である。
図18図17の自動倉庫システムの載置部の端部と回収対象の荷との相対位置関係を示す正面視の模式図である。
図19】第3の実施形態に係る自動倉庫システムの収納対象の荷と既収納の別の荷との相対位置関係を示す正面視の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
近年、倉庫の高密度化や高速化のニーズが高まる中、本発明者は搬送台車を用いる自動倉庫システムについて考察し、以下の認識を得た。
【0015】
荷を搬送台車の載置部に載置する際に、荷が載置部の端部に片寄った位置に積載されると、搬送台車が走行する際に振動や衝撃によって、荷が載置部からはみ出して落下する荷崩れを生じる懸念がある。荷崩れが生じると、崩れた荷に他の台車が衝突してその荷に衝撃を与えるおそれがある。また、荷崩れを生じた状態から回復するために余計な手間が掛かるという問題も考えられる。荷崩れを生じる可能性を小さくするために、対象の荷の状態に基づいて載置動作を制御することが望ましい。
【0016】
より具体的に説明する。自動倉庫システムにおいて、物品と当該物品を載せたパレットとを含む荷を搬送台車によって、所定の通路を自走可能な方向(以下、第1方向という)に搬送することが考えられる。例えば、搬送台車を対象の荷の下方に移動させて、搬送台車の載置部を上昇させてその荷を保管棚部から浮上させ、その状態で搬送するように構成してもよい。
【0017】
対象の荷を載置部の中心から外れた位置に載置すると、走行の振動などによって、その荷が載置部からはみ出して荷崩れを起こすことが考えられる。このため、搬送台車は、対象の荷を載置部の中央に載置することが望ましい。例えば、第1方向において、対象の荷の中心が載置部の中心と略一致する状態で、その荷を載置部に載置することが考えられる。
【0018】
大きさの異なる荷を効率的に保管するため、大きな荷は第1方向の長さ寸法(以下、第1寸法という)が大きな大型パレットに搭載し、小さな荷は第1寸法が小さな小型パレットに搭載して保管することが考えられる。つまり、第1寸法が小さな荷とそれより第1寸法が大きな荷とを一緒に保管することによって、倉庫の保管効率を高めることが可能である。第1寸法が異なる荷を搬送するために、搬送台車を使い分けてもよいが、ひとつの搬送台車で搬送できる方が、搬送台車の入れ替えの手間が省かれる分倉庫の稼働率が向上して好ましい。
【0019】
第1寸法が異なる荷に対応する場合、対象の荷の一方の端部のみを検知する構成では、対象の荷を載置部の適切な位置に載置することは難しい。そこで、本発明者は、対象の荷の大きさに基づいて搬送台車の載置位置を決定することを想起した。つまり、対象の荷の第1方向の一方の端部(以下、第1端部という)および第1方向の他方の端部(以下、第2端部という)を検知した状態で対象の荷を載置部に載置することにより、対象の荷を適切な位置に載置可能なことを見出した。また、第1端部および第2端部の位置から第1寸法を把握し、第1寸法に基づいて搬送台車の載置位置を決定することにより、対象の荷を一層適切な位置に載置可能なことを見出した。
【0020】
第1寸法を把握するため、搬送台車は対象の荷と載置部との相対位置関係を検知する位置センサを備えることが考えられる。この位置センサは、第1方向における搬送台車の一端側に取り付けられ、測定対象物との距離を計測する第1距離計測器と、第1方向における搬送台車の他端側に設けられ、測定対象物との距離を計測する第1距離計測器と、を含んでもよい。第1距離計測器は第1端部までの距離を計測し、第2距離計測器は第2端部までの距離を計測することができる。
【0021】
搬送台車の動作を制御するため、自動倉庫システムは制御部を備えてもよい。この制御部は、第1方向における、対象の荷の中心と、載置部中心とが、略一致する位置で搬送台車を停止させた後、この搬送台車によって当該対象の荷を回収するように搬送台車の動作を制御することができる。一例として、第1距離計測器によって計測された第1端部までの第1距離と、第2距離計測器によって計測された第2端部までの第2距離と、が略等しくなる位置に搬送台車を停止させ、載置部を上昇させて対象の荷を持上げて回収するように制御してもよい。このように制御することにより、対象の荷を載置部の適切な位置に載置することが可能になる。
実施の形態はこのような思索に基づいて案出されたもので、以下にその具体的な構成を説明する。
【0022】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態、比較例および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0023】
[第1の実施形態]
図1図10を参照して第1の実施形態に係る自動倉庫システム10の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る自動倉庫システム10の斜視図である。図2は自動倉庫システム10の平面図である。第1の実施形態に係る自動倉庫システム10は、多数の荷12を入庫・出庫可能な自動倉庫を含むシステムである。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向、Z軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。特に、後述する行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向に対応する。第1の実施形態では、荷12が物品と当該物品を載せたパレットとを含む例を示しており、本明細書において荷12の中心や荷12の位置というときは、パレットを含む状態における荷の中心や荷の位置を指すものとする。なお、パレットを含むことは必須ではない。
【0024】
図2に示すように、自動倉庫システム10は、保管棚部20と、収容棚部30と、搬送台車14と、中間台車16と、制御部18と、第1軌条41と、第2軌条42と、第3軌条43と、を主に含む。
【0025】
保管棚部20は多数の荷12を収容して保管する、いわば高密度保管型の保管スペースである。収容棚部30は、複数の荷12を一時的に収容する、いわば仮置き用の収容スペースである。保管棚部20および収容棚部30については後述する。
【0026】
第1軌条41は、保管棚部20において列方向に延びるレールの対である。第2軌条42は、収容棚部30において列方向に延びるレールの対である。第3軌条43は、保管棚部20と収容棚部30の間において行方向に延びるレールの対である。第1軌条41、第2軌条42および第3軌条43を総括するときは、軌条44と表記する。
【0027】
搬送台車14は、第1軌条41を列方向である第1方向に走行し、保管棚部20に対して荷12を出し入れする。搬送台車14は、第2軌条42を第1方向に走行し、収容棚部30に対して荷12を出し入れする。中間台車16は、第3軌条43を行方向に走行し、保管棚部20と収容棚部30の間において、搬送台車14を搬送する。中間台車16は、空荷の状態または荷12を積載した状態の搬送台車14を搬送する。搬送台車14と、中間台車16と、第1軌条41と、第2軌条42と、第3軌条43と、を総括するときは、中間搬送機構40と表記する。換言すると、中間搬送機構40は、保管棚部20と収容棚部30との間で荷12を搬送する機構である。
【0028】
自動倉庫システム10では、一例として、荷12を入庫する際、荷12は外部搬送装置であるフォークリフト50によって収容棚部30に搬入される。収容棚部30に搬入された荷12は、中間搬送機構40によって、保管棚部20の所定の保管部に搬送されて保管される。自動倉庫システム10では、一例として、荷12を出庫する際、出庫する荷12は中間搬送機構40によって予め保管棚部20の所定の保管部から収容棚部30に搬送される。収容棚部30に搬送された荷12は、例えばフォークリフト50により搬出されて出庫される。
【0029】
(軌条)
図3は、軌条44の配置の一例を示す平面図であり、第1軌条41、第2軌条42および第3軌条43の配置の一例を示している。第1軌条41は、保管棚部20の各保管部を接続した保管部列の中に設けられる。第1軌条41は、搬送台車14を第1方向に走行させるように各段に設けられる。第2軌条42は、収容棚部30の各収容部の中に設けられる。第2軌条42は、搬送台車14を第1方向に走行させるように各段に設けられる。第3軌条43は、中間台車16を行方向に走行させるように各段に設けられる。第1軌条41および第2軌条42の延伸方向は第3軌条43の延伸方向と直交している。
【0030】
(搬送台車)
図4は、搬送台車14の一例を示す平面図である。図5は、搬送台車14の側面図である。図5は、搬送台車14が荷12を載せた状態で第1軌条41上を走行する状態を示している。図6は、搬送台車14の周辺を示す正面視の模式図である。図6は、搬送台車14が荷12を載せた状態で走行する状態を示している。図7は、位置センサ24の周辺を拡大して示す正面視の模式図である。
【0031】
搬送台車14は、第1軌条41を第1方向に走行して搬送する走行台車である。搬送台車14は、各段の第1軌条41または第2軌条42にそれぞれ配置される。搬送台車14は、空荷または荷12を載せた状態で中間台車16に進入して搬送されることができる。搬送台車14は、車体14bと、載置部14cと、リフト機構14dと、4つの車輪14eと、位置センサ24と、を主に含む。
【0032】
車体14bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体14bの内部には、車輪14eを駆動するモータ(不図示)と、このモータを駆動するバッテリー(不図示)と、これらを制御する制御回路(不図示)と、を搭載している。
載置部14cは、荷12を持上げて保持する部分である。
【0033】
リフト機構14dは、載置部14cを昇降させる機構である。載置部14cを上昇させて荷12を保管部21または収容部31から持上げることができる。リフト機構14dは、載置部14cを降下させて荷12を保管部21または収容部31に降ろすことができる。この例では、保管部21は第1軌条41上に設けられ、収容部31は第2軌条42上に設けられているので、実際の動作では、リフト機構14dは、第1軌条41または第2軌条42に荷12を降ろし、第1軌条41または第2軌条42から荷12を持上げる。
【0034】
図5は、載置部14cが荷12を第1軌条41から持上げた状態を示している。車輪14eは、車体14bの4隅に回転可能に支持される。搬送台車14は、4つの車輪14eを軌条にて回転させることによって軌条を走行する。図5に示すように、搬送台車14は、荷12を載せた状態で第1軌条41上および第2軌条42上を走行することができる。搬送台車14の走行動作およびリフト機構14dの昇降動作は、制御部18によって制御される。
【0035】
(載置部)
載置部14cは、上下方向に薄い略板状の部分である。載置部14cの平面形状に特別な制限はない。一例として、載置部14cは、平面視において、第1方向に離間して配置される一対の対辺14fと、第1方向に垂直な方向に離間して配置される一対の対辺14gと、を含む略矩形状を有する。
【0036】
(位置センサ)
位置センサ24は、対象の荷12と搬送台車14との相対位置関係を検知する。位置センサ24は、第1方向に離間して設けられる第1距離計測器24bと第2距離計測器24cとを含む。特に、第1距離計測器24bは、搬送台車14の第1方向の一端側に取り付けられ、測定対象物までの距離を計測する。第2距離計測器24cは、搬送台車14の第1方向の他端側に設けられ、測定対象物までの距離を計測する。第1距離計測器24bと第2距離計測器24cを総括するときは各距離計測器という。
【0037】
各距離計測器の種類は、測定対象物までの距離を計測できれば、特に限定されない。第1の実施形態では、各距離計測器は、レーザ光24eによって測定対象物までの距離を計測するレーザセンサである。
【0038】
各距離計測器は、載置部14cに載置された荷12までの距離を計測するように配置される。特に、第1距離計測器24bは、載置部14cに載置された荷12の第1方向の一端側の端部12eまでの距離L1を計測するように設けられもよい。第2距離計測器24cは、載置部14cに載置された荷12の第1方向の他端側の端部12fまでの距離L2を計測するように設けられもよい。第1距離計測器24bは、一端側の端部12eを検知した際のレーザ光24eの照射角度を検知可能に構成されてもよい。第2距離計測器24cは、他端側の端部12fを検知した際のレーザ光24eの照射角度を検知可能に構成されてもよい。
【0039】
(通路)
各距離計測器と測定対象物との間において、載置部14cがレーザ光24eを遮ることによって、各距離計測器の計測範囲が制限されることが考えられる。そこで、第1の実施形態では、載置部14cに、レーザ光24eを通過させるための通路14hが設けられている。通路14hは、例えば、載置部14cを上下方向に貫通して設けられてもよい。通路14hの平面形状は、レーザ光24eが通過可能であれば、特に限定されない。第1の実施形態では、通路14hは、第1方向に離間して配置された一対の対辺14gに設けられた一対の凹部14jを含んでいる。一対の凹部14jそれぞれは、一対の対辺14gから第1方向に凹んだ形状を有する。
【0040】
荷を高密度に保管するためには、隣接する荷との間の間隔(以下、荷間隔という)を小さくすることが考えられる。荷間隔を小さくすると、荷12が別の荷12に衝突する可能性が高くなる。このような衝突の可能性は小さい方が好ましい。そこで、第1の実施形態では、荷間隔を所定の範囲にするように制御している。特に、制御部18は、荷12が隣接する別の荷12に接近して荷間隔が過度に小さくならないように、荷間隔を検知し、検知した荷間隔に応じて搬送台車14の動作を制御している。
【0041】
荷間隔を検知するために、各距離計測器の他に別のセンサを設けるようにしてもよいが、第1の実施形態では、各距離計測器によって荷間隔も検知するようにしている。特に、各距離計測器は、計測方向を変更可能に構成されている。具体的には、各距離計測器は、レーザ光24eの照射方向を水平方向に対して所定の角度傾斜した方向にスキャン可能に設けられている。各距離計測器の計測方向はレーザ光24eのスキャンにしたがって変化する。第1の実施形態では、このスキャン方向の水平方向に対する傾斜角度は90°に設定されており、レーザ光24eは上下方向にスキャンされる。なお、この傾斜角度は90°に限定されない。
【0042】
図6図7において、搬送台車14の載置部14cに載置された荷を、搬送台車14の載置部14cから第1方向に離れた位置にある別の荷を荷12(B)と、表記する。図7は、搬送台車14が荷12(A)を載せた状態で矢印Eの方向に走行している状態において、第1距離計測器24bによって荷12(B)の端部12gまでの距離L3を検知する様子を示している。荷12(B)を検知した場合、端部12gまでの距離L3は、計測した距離の極小値として取得することができる。荷12(A)と荷12(B)との間の距離Dmは、距離L1、L3および距離L1、L3を検知したときのレーザ光24eの照射角度から演算により取得することができる。
【0043】
このように構成された各距離計測器は、計測方向を変更して、載置部14cから第1方向に離れた位置にある別の荷12(B)などの測定対象物までの距離を計測することができる。
【0044】
制御部18は、搬送台車14の動作を制御可能に構成される。特に、制御部18は、各距離計測器から第1方向に離れた測定対象物までの距離に応じて、搬送台車14の移動方向、移動速度および移動の停止を制御可能に構成されている。制御部18は、荷12(A)と別の荷12(B)との間の距離Dmが、所定の閾値Dt以下になるまで、搬送台車14を矢印Eの方向に走行させる。制御部18は、距離Dmが閾値Dt以下になったときに搬送台車14を停止させる。閾値Dtは、所望の荷間隔に応じて設定することができる。高密度に保管する観点から閾値Dtは小さいことが望ましく、接触を抑制する観点から閾値Dtは大きいことが望ましい。これらの観点から、閾値Dtは、好ましくは20mm~300mmの範囲、より好ましくは30mm~200mmの範囲、最も好ましくは40mm~160mmの範囲に設定されてもよい。第1の実施形態では、閾値Dtは、50mm~120mmの範囲に設定されている。制御部18の制御および自動倉庫システム10の動作については後述する。
【0045】
(中間台車)
図8は、中間台車16の一例を示す平面図である。図9は、中間台車16の側面図である。中間台車16は、第3軌条43を行方向に走行して、荷12を行方向に搬送する走行台車である。中間台車16は各段の第3軌条43にそれぞれ配置される。各段に中間台車16を設けることにより、各中間台車16を独立して同時に動作させることが可能で、収容棚部30と保管棚部20との間の搬送効率を向上させることかできる。中間台車16は、車体16bと、積載部16cと、4つの車輪16dと、を主に含む。車体16bは、上下方向に薄い偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体16bの内部には、車輪16dを駆動するモータ(不図示)と、このモータを駆動するバッテリー(不図示)と、これらを制御する制御回路(不図示)と、を搭載している。積載部16cは、搬送台車14を積載する部分で、上面視で略矩形で、側面視で車体16bの上面から下方に後退した凹形状を有する。
【0046】
図8図9に示すように、積載部16cの大きさは、搬送台車14が積載部16cの周面と干渉することなく図中で第1方向(X軸方向)に走行できるように、搬送台車14の大きさに十分な量のマージンを加えた大きさとされる。4つの車輪16dは、車体16bの4隅に回転可能に支持される。中間台車16は、4つの車輪16dを軌条にて回転させることによって、軌条を走行する。中間台車16は、荷12および搬送台車14を載せた状態で第3軌条43上を走行することができる。中間台車16の走行動作は、後述する制御部18によって制御される。
【0047】
(制御部)
次に制御部18について説明する。図10は、第1の実施形態に係る自動倉庫システム10のブロック図である。図10に示す制御部18の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0048】
制御部18は、保管部荷検知部54b、収容部荷検知部54c、中間台車位置検知部54dおよび搬送台車位置検知部54eの検知結果に応じて、主に中間台車16および搬送台車14の動作を制御する制御ユニットである。制御部18は、操作結果取得部18bと、第1荷検知結果取得部18cと、第2荷検知結果取得部18dと、中間台車位置検知部18eと、搬送台車位置検知部18fと、表示制御部18gと、検知結果取得部18mと、搬送台車制御部18jと、中間台車制御部18hと、を主に含む。
【0049】
操作結果取得部18bは、操作部54kからその操作結果を取得する。第1荷検知結果取得部18cは、保管部荷検知部54bからその検知結果を取得する。第2荷検知結果取得部18dは、収容部荷検知部54cからその検知結果を取得する。中間台車位置検知部18eは、中間台車位置検知部54dからその検知結果を取得する。搬送台車位置検知部18fは、搬送台車位置検知部54eからその検知結果を取得する。操作部54k、保管部荷検知部54b、収容部荷検知部54c、中間台車位置検知部54dおよび搬送台車位置検知部54eについては後述する。
【0050】
表示制御部18gは、所定の表示をするように表示部54mを制御する。表示部54mについては後述する。検知結果取得部18mは、位置センサ24からその検知結果を取得する。特に、検知結果取得部18mは、第1距離計測器24bおよび第2距離計測器24cから、測定対象物までの距離の計測結果を取得する。搬送台車制御部18jは、搬送台車14の走行および載置部14cの昇降動作を制御する。中間台車制御部18hは、中間台車16の走行を制御する。
【0051】
(保管棚部)
特に、図1図2を参照する。保管棚部20の構成は、複数の荷12を収容・保管可能であれば、特に限定されない。第1の実施形態の保管棚部20は、水平面に沿って配置される、M(Mは2以上の整数)行、N(Nは2以上の整数)列の保管部21を有する保管部配列23を含む。つまり、Mは行数であり、Nは列数である。この各保管部21は荷12を保管可能に構成される。各行の保管部21それぞれは列方向に接続され、列方向に伸びる保管部列22を構成する。荷12は、保管部列22の中を列方向に搬送されることができる。
【0052】
各保管部列22は行方向に接続されて保管部配列23を構成する。各保管部列22の収容棚部30側の端部には、荷12を出し入れするための出入口部22bが設けられる。各保管部配列23は、K(Kは1以上の整数)段、上下方向に層状に接続されて保管棚部20を構成する。つまり、Kは段数である。第1の実施形態では、保管棚部20の列数、行数および段数は、一例として、5列、6行、3段としている。つまり、保管棚部20は、5列の保管部21を接続した保管部列22を、行方向に6行連ねた保管部配列23を、3段重ねて構成されている。
【0053】
(収容棚部)
収容棚部30に収容可能な荷12の数は、保管棚部20に収容可能な荷12の数より小さくてもよい。収容棚部30は、複数の荷12を一時的に収容可能であれば、構造に特別な制限はない。第1の実施形態の収容棚部30は、水平面に沿って配置される、M行の収容部31を有する収容部配列33を含む。この各収容部31は外部から荷12を受け入れて収容可能に構成されている。各収容部31は行方向に接続されて収容部配列33を構成する。収容棚部30は、収容部配列33を、K段上下方向に層状に重ねて構成される。収容部配列33の行数、列数および段数は、任意に設定することができる。つまり、収容部配列33に含まれる収容部31の列数は1列に限られない。第1の実施形態では、動作の円滑化の観点から、収容部配列33の行数は保管部配列23の行数と同数の6行とし、収容部配列33の段数は保管部配列23の段数と同数の3段としている。つまり、収容棚部30は、1列の収容部31を、行方向に6行連ねた収容部配列33を、3段重ねて構成されている。
【0054】
収容棚部30は、保管棚部20の列方向に離隔して配置される。収容棚部30と保管棚部20の間には中間台車16が走行可能な空間が介在する。各収容部31は、外部出入口部31bと、内部出入口部31cと、を備える。外部出入口部31bは、倉庫に荷を搬入・搬出するための外部搬送装置との間で荷の授受をするためのポートである。内部出入口部31cは中間搬送機構40との間で荷の授受をするためのポートである。外部出入口部31bは、例えば各収容部31の保管棚部20と反対側に設けられる。内部出入口部31cは、例えば各収容部31の保管棚部20に近い側に、外部出入口部31bとは別に設けられる。
【0055】
(作業スペース)
図1に示すように、自動倉庫システム10には、外部搬送装置が作業するための作業スペース58が設けられる。作業スペース58は、収容棚部30の保管棚部20とは反対側に設けられる空間である。作業スペース58は、収容棚部30の列方向に隣接して設けられてもよい。作業スペース58は、フォークリフト50などの外部搬送装置が収容棚部30に荷12を搬入・搬出できる程度の立体的な大きさを有する。つまり、作業スペース58は、荷12の搬入・搬出が可能な程度の、X軸方向寸法と、Y軸方向寸法と、Z軸方向寸法と、を有する。例えば、作業スペース58のX軸方向寸法は、収容棚部30のX軸方向寸法より大きく設定されてもよい。作業スペース58を有することで、荷12の搬入・搬出が容易になり、作業効率が向上する。
【0056】
次に、第1の実施形態の自動倉庫システム10のその他の構成を説明する。図10に示すように、自動倉庫システム10は、操作部54kと、表示部54mと、保管部荷検知部54bと、収容部荷検知部54cと、中間台車位置検知部54dと、搬送台車位置検知部54eと、制御盤56と、をさらに含む。制御盤56は、制御部18と、操作部54kと、表示部54mと、を収容するために、収容棚部30または保管棚部20の近傍に設けられる。
【0057】
保管部荷検知部54bは、各保管部21において、荷12の有無を検知して、その検知結果を制御部18に出力するセンサ機構である。収容部荷検知部54cは、各収容部31において、荷12の有無を検知して、その検知結果を制御部18に出力するセンサ機構である。中間台車位置検知部54dは、第3軌条43において、中間台車16の位置を検知して、その検知結果を制御部18に出力するセンサ機構である。搬送台車位置検知部54eは、第1軌条41および第2軌条42において、搬送台車14の位置を検知して、その検知結果を制御部18に出力するセンサ機構である。
【0058】
操作部54kは、自動倉庫システム10を制御するための操作を受け入れて、その操作結果を制御部18に出力する操作ユニットである。操作部54kは、例えば自動倉庫システム10の起動や停止などの操作を受け入れる。表示部54mは、制御部18の制御により、自動倉庫システム10の動作状況を表示する表示ユニットである。表示部54mは、例えば、各台車の動作状況や保管部21や収容部31における荷12の保管状況などを表示するようにしてもよい。操作部54kおよび表示部54mは、例えば制御盤56の正面に設けられてもよい。
【0059】
次に、このように構成された自動倉庫システム10の動作を説明する。
【0060】
(出庫動作)
図11~13を参照して、自動倉庫システム10の出庫時の搬送動作の一例を説明する。この搬送動作は、出庫する荷12を、保管棚部20の保管部21から、収容棚部30の収容部31に搬送する動作を含む。収容部31に搬送された荷12は、外部搬送装置により搬出される。図11は、出庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートであり、この動作に関する処理S60を示している。図12は、自動倉庫システム10の出庫時の搬送動作の一例を示す平面視の説明図である。図13は、搬送台車14の動作を示す正面視の説明図である。
【0061】
(前進走行モード)
処理S60が開始されると、制御部18は、搬送台車14を前進走行モードに制御する。前進走行モードでは、制御部18は、空荷の搬送台車14を搬送元の保管部21に向かって第1方向に走行させる(ステップS61)。
【0062】
前進走行モードにおいて、制御部18は、位置センサ24から検知結果を取得し、第1距離計測器24bが対象の荷12(以下、荷12(A)という)を検知したか否かを判定する(ステップS62)。このステップにおいて、第1距離計測器24bは、レーザ光24eを一定の方向に向けて照射してもよいが、第1の実施形態では、レーザ光24eを上下方向にスキャンしている。この場合、荷12(A)を検知可能な範囲を拡げ、遠方の荷12(A)を早期に検知することができる。図13(a)は、搬送台車14がレーザ光24eをスキャンしながら矢印Eの方向に走行する状態を示している。
【0063】
第1距離計測器24bが荷12(A)を検知していない場合(ステップS62のN)、制御部18は、処理をステップS61の先頭に戻し、前進走行モードを継続し搬送台車14をさらに第1方向に走行させる。
【0064】
(位置決めモード)
第1距離計測器24bが荷12(A)を検知した場合(ステップS62のY)、制御部18は、搬送台車14を位置決めモードに切り替えて制御する。位置決めモードにおいて、制御部18は、第1距離計測器24bが対象の荷12(A)を検出したとき、搬送台車14を減速させる。位置決めモードにおいて、制御部18は、搬送台車14を減速させた状態でさらに第1方向に走行させる(ステップS63)。このステップでは、制御部18は、搬送台車14を出庫対象の荷12の下に徐々に進行させる。図13(b)は、第1距離計測器24bが荷12(A)を検知した状態で搬送台車14が矢印Eの方向に進行する状態を示している。
【0065】
制御部18は、位置センサ24から検知結果を取得し、第2距離計測器24cが対象の荷12(A)を検知したか否かを判定する(ステップS64)。このステップにおいて、第2距離計測器24cは、レーザ光24eを上下方向にスキャンしている。この場合、荷12(A)を早期に検知することができる。
【0066】
第2距離計測器24cが荷12(A)を検知していない場合(ステップS64のN)、制御部18は、処理をステップS63の先頭に戻し、減速状態の搬送台車14をさらに第1方向に走行させる。
【0067】
第2距離計測器24cが荷12(A)を検知した場合(ステップS64のY)、処理をステップS67に移行するようにしてもよいが、第1の実施形態の処理S60は、ステップS65、S66を含むようにしている。ステップS65、S66を含むことによって、荷12(A)をより載置部14cの中心に近い位置に位置決めすることが可能になる。以下、ステップS65、S66を含む例について説明する。
【0068】
第1距離計測器24bが対象の荷12(A)を検出した後に第2距離計測器24cが対象の荷12(A)を検出したとき、制御部18は、搬送台車14を更に減速させる。具体的には、第2距離計測器24cが荷12(A)を検知した場合(ステップS64のY)、制御部18は、搬送台車14を減速して第1方向に走行させる(ステップS65)。ステップS63、S65において2段階で減速した結果、制御部18は、直ぐ止まれる程度の速度で搬送台車14は走行しているため、後述のように搬送台車14の停止制御を行った際には、その停止制御を行った場所と殆ど変わらない場所に搬送台車14を停止することができる。なお、搬送台車14の停止制御を行ったときにその場に停止することができるのであれば、ステップS63、S65における減速は必ずとも実行せずともよい。図13(c)は、第2距離計測器24cが荷12(A)を検知した状態で搬送台車14が矢印Eの方向に進行する状態を示している。
【0069】
制御部18は、位置センサ24から検知結果を取得し、第1距離計測器24bが計測した荷12(A)の一端側の端部12eまでの距離L1と、第2距離計測器24cが計測した荷12(A)の他端側の端部12fまでの距離L2と、が所定の条件を満たす位置に搬送台車14を停止するように制御してもよい。一例として、制御部18は、第2距離計測器24cが対象の荷12(A)を検出した後に第1、第2距離計測器24b、24cそれぞれが計測した対象の荷12(A)までの距離L1、L2が略等しくなったとき、搬送台車14を停止させるように制御している。
【0070】
ステップS65を実行した制御部18は、位置センサ24から検知結果を取得し、距離L2が距離L1と等しいか否かを判定する(ステップS66、図6も参照)。
【0071】
距離L2が距離L1と等しくない場合(ステップS66のN)、制御部18は、処理をステップS65の先頭に戻し、搬送台車14をさらに第1方向に走行させる。
【0072】
距離L2が距離L1と等しい場合(ステップS66のY)制御部18は、搬送台車14を停止させ、荷12(A)を持ち上げる(ステップS67)。これらが等しいと判定をした後も、搬送台車14は、急には停止せず、慣性などにより短距離だけ移動することが考えられる。このため、この現象による移動距離を距離L2または距離L1に足して判定するようにしてもよい。したがって、距離L2が距離L1と等しい場合には、距離L2または距離L1にこの現象による移動距離を足した距離において、距離L2が距離L1と等しい場合を含む。
【0073】
ステップS67では、制御部18は、リフト機構14dにより載置部14cを上昇させて、保管部21から荷12(A)を持ち上げる。図13(d)は、停止した搬送台車14が載置部14cにより荷12(A)を持ち上げた状態を示している。この動作により、荷12(A)は載置部14cに載置され、荷12は搬送可能な状態になる。
【0074】
(後進走行モード)
荷12(A)を載置部14cに載置すると、制御部18は、搬送台車14を後進走行モードに切り替えて制御する(ステップS68)。後進走行モードにおいて、制御部18は、荷12を載せた搬送台車14を出入口部22bに向かって移動させる(図12(a)を参照)。このとき、図13(e)に示すように、搬送台車14は、第1方向で矢印Eと反対向きの矢印Fに示す方向に走行する。
【0075】
(荷ずれ確認走行モード)
荷12を載置して前進走行または後進走行する際に、荷12が載置部14cからずれて荷崩れを生じる可能性がある。荷崩れを生じると荷にダメージを与える懸念がある。荷崩れを防ぐために、搬送台車14の走行速度を低く設定することも考えられるが、この場合、倉庫全体の稼働効率が低下する。そこで、第1の実施形態では、制御部18は、荷ずれ確認走行モードによって搬送台車14を制御する。荷ずれ確認走行モードでは、制御部18は、荷ずれを確認しながら走行するように搬送台車14を制御する。つまり、搬送台車14を戻している際、第1方向における、回収した対象の荷12の中心と、載置部14cの中心と、の距離が閾値以上である場合に、制御部18は、対象の荷12を降ろすように搬送台車14の動作を制御する。
【0076】
具体的には、荷ずれ確認走行モードでは、制御部18は、検知した距離L1と距離L2からその差分dLを取得して、dLが荷ずれの閾値以下か否かを判定する(ステップS69)。図13(e)は、荷ずれ確認走行モードにより、荷12(A)を載せた搬送台車14が矢印Fの方向に走行する状態を示している。
【0077】
距離L1と距離L2の差分dLが閾値以下でなく閾値を超える場合(ステップS69のN)、制御部18は、搬送台車14を停止させる(ステップS70)。荷崩れを生じる前に、搬送台車14を止めて荷ずれを回復する動作をすることによって荷崩れの可能性を低減することができる。
【0078】
(荷ずれ回復動作)
荷ずれ回復動作では、制御部18は、搬送台車14を停止させ、荷12(A)を降ろし、搬送台車14を移動させて差分dLを減らし、その状態で再び荷を持ち上げるように搬送台車14を制御する。
【0079】
搬送台車14を停止させたら、制御部18は、載置部14cを下降させて、荷12(A)を第1軌条41に降ろす(ステップS71)。
【0080】
対象の荷12を降ろした状態で、制御部18は、第1方向における、対象の荷12の中心と載置部14cの中心とが略一致する位置に搬送台車14を移動させて、搬送台車14によって対象の荷12を再度回収するように搬送台車14の動作を制御する。
【0081】
具体的には、荷12(A)を降ろしたら、制御部18は、搬送台車14を距離L1と距離L2が等しくなる方向に移動させる(ステップS72)。つまり、制御部18は、荷ずれの大きさである差分dLが減る方向に搬送台車14を移動させる。このステップにおいて、制御部18は、直ぐ止まれる程度の速度で走行するように搬送台車14を制御してもよい。
【0082】
制御部18は、距離L2が距離L1と等しいか否かを判定する(ステップS73)。
【0083】
距離L2が距離L1と等しくない場合(ステップS73のN)、制御部18は、処理をステップS72の先頭に戻し、搬送台車14をさらに移動させる。
【0084】
距離L2が距離L1と等しい場合(ステップS73のY)制御部18は、処理をステップS67の先頭に戻し、リフト機構14dにより載置部14cを上昇させて、保管部21から荷12(A)を持ち上げ、搬送台車14を出入口部22bに向かって移動させる。
【0085】
距離L1と距離L2の差分dLが閾値以下である場合(ステップS69のY)、制御部18は、搬送台車14が出入口部22bに到着したか否かを判定する(ステップS74)。
【0086】
搬送台車14が出入口部22bに到着していない場合(ステップS74のN)、制御部18は、処理をステップS78の先頭に戻し、搬送台車14をさらに移動させる。
【0087】
搬送台車14が出入口部22bに到着した場合(ステップS74のY)、制御部18は、荷12を載せた搬送台車14を出入口部22bから中間台車16の積載部16cに進入させる(ステップS75、図12(b)を参照)。このステップで、制御部18は、搬送台車14を中間台車16に載せる。
【0088】
制御部18は、積載部16cに搬送台車14を載せた中間台車16を、搬送先の収容部31の行に移動させる(ステップS76、図12(c)を参照)。
【0089】
中間台車16が搬送先に到着したら、制御部18は、荷12(A)を載せた搬送台車14を、中間台車16から退出させて搬送先の収容部31に移動させる(ステップS77、図12(d)を参照)。
【0090】
搬送台車14が収容部31に移動したら、制御部18は、搬送台車14の載置部14cを下降させて荷12(A)を収容部31に降ろさせる(ステップS78)。荷12(A)を降ろすことでこの処理S60は終了する。
【0091】
収容部31に搬送された荷12は、フォークリフト50により外部出入口部31bから搬出され、トラックなどに積み入れされる。荷12を降ろした搬送台車14は、例えばその位置で待機するようにしてもよい。
上述の処理S60はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えてもよい。
【0092】
(入庫動作)
次に、図14~16を参照して、自動倉庫システム10の入庫時の搬送動作の一例を説明する。図14は、入庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートであり、この動作に関する処理S80を示している。図15は、自動倉庫システム10の入庫時の搬送動作の一例を示す平面視の説明図である。図16は、搬送台車14の動作を示す正面視の説明図である。入庫時の搬送動作は、収容棚部30の収容部31から、入庫する対象の荷12(以下、荷12(A)という)を、保管棚部20の保管部21に搬送する動作を含む。入庫する荷12(A)は、この搬送動作の前に外部搬送装置により収容部31に搬入される。
【0093】
処理S80が開始されると、制御部18は、中間台車16を搬送先の保管部21の行に移動させて、空荷の搬送台車14を出入口部22bから積載部16cに進入させる(ステップS81)。このステップで、制御部18は、搬送台車14を中間台車16に載せる。
【0094】
次に、制御部18は、積載部16cに搬送台車14を載せた中間台車16を、搬送元の収容部31の行に移動させる(ステップS82)。
【0095】
中間台車16を収容部31の行に移動させたら、制御部18は、搬送台車14を搬送元の収容部31にて対象の荷12(A)の下側に進入させる(ステップS83)。
【0096】
制御部18は、搬送台車14の載置部14cを上昇させて収容部31から荷12(A)を持ち上げる(ステップS84)。この動作により、荷12(A)は載置部14cに載置され、荷12(A)は搬送可能な状態になる。このステップにおいて、制御部18は、上述した位置決めモードにより距離L2が距離L1と等しくなるように、搬送台車14の動作を制御するようにしてもよい。
【0097】
荷12(A)を搬送台車14に載せたら、制御部18は、荷12(A)を載せた搬送台車14を、中間台車16の積載部16cに載せる(ステップS85)。図15(a)は、搬送台車14が中間台車16の積載部16cに進入する状態を示している。
【0098】
搬送台車14を中間台車16に載せたら、制御部18は、搬送台車14を載せた中間台車16を搬送先の保管部21の行に移動させる(ステップS86)。図15(b)は、搬送台車14を載せた中間台車16が保管部21の行に移動する状態を示している。
【0099】
中間台車16が保管部21の行に到着したら、制御部18は、荷12(A)を載せた搬送台車14を、出入口部22bから搬送先の保管部21に向かって第1方向に走行させる(ステップS87)。図15(c)は、荷12(A)を載せた搬送台車14が第1方向に走行する状態を示している。
【0100】
(衝突低減動作)
荷12(A)を載せた搬送台車14が走行する状態において、自動倉庫システム10は、荷12(A)が別の荷12(以下、荷12(B)という)や他の障害物と衝突する可能性を低減するように動作する。一例として、この動作はステップS87~S91を含んでもよい。
【0101】
搬送台車14を走行させた状態で、制御部18は、位置センサ24から検知結果を取得し、第1距離計測器24bが第1方向で進行方向側に位置する。荷12(B)を検知したか否かを判定する(ステップS88)。このステップにおいて、第1距離計測器24bは、レーザ光24eを上下方向にスキャンしている。この場合、荷12(B)を検知可能な範囲を拡げ、遠方の荷12(B)を早期に検知することができる。図16(a)は、搬送台車14がレーザ光24eをスキャンしながら矢印Eの方向に走行する状態を示している。
【0102】
ステップS88において、第1距離計測器24bが荷12(B)を検知していない場合(ステップS88のN)、制御部18は、処理をステップS87の先頭に戻し、前進走行モードを継続し荷12(A)を載せた搬送台車14をさらに第1方向に走行させる。図15(d)は、荷12(A)を載せた搬送台車14が第1方向に走行する状態を示している。
【0103】
(減速走行モード)
ステップS88において、第1距離計測器24bが荷12(B)を検知した場合(ステップS88のY)、制御部18は、搬送台車14を減速走行モードにより制御してもよい。減速走行モードでは、制御部18は、搬送台車14を減速してさらに第1方向に走行させる(ステップS89)。図16(b)は、搬送台車14が減速しながら矢印Eの方向に走行する状態を示している。このステップにおいて、制御部18は、直ぐ止まれる程度の速度で走行するように搬送台車14を制御してもよい。
【0104】
減速走行モードにおいて、制御部18は、位置センサ24の検知結果から取得した荷12(A)と荷12(B)との間の距離Dmが所定の閾値Dt以下か否かを判定する(ステップS90)。
【0105】
ステップS90において、距離Dmが所定の閾値Dtより大きく、閾値以下でない場合(ステップS90のN)、制御部18は、処理をステップS89の先頭に戻し、減速走行モードで搬送台車14を第1方向に走行させる。ステップS89において、制御部18は、距離Dmが小さいほど減速するように搬送台車14を制御してもよい。
【0106】
ステップS90において、距離Dmが所定の閾値Dt以下の場合(ステップS90のY)、制御部18は、搬送台車14を停止させる(ステップS91)。図16(c)は、ステップS91において搬送台車14が停止した状態を示している。
【0107】
前述したように、ステップS90における所定の閾値Dtは、荷12(A)と荷12(B)との間の所望の荷間隔に応じて設定することができる。
【0108】
搬送台車14を停止させたら、制御部18は、搬送台車14の載置部14cを下降させて荷12(A)を保管部21に降ろさせる(ステップS92)。荷12を降ろすことでこの処理S80は終了する。図16(d)は、ステップS92において搬送台車14が荷12を降ろした状態を示している。荷12を降ろした搬送台車14は、例えばその位置で待機するようにしてもよい。
【0109】
上述の処理S80はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えてもよい。
【0110】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、荷12の回収時に載置部14cと対象の荷12の中心が略一致する位置に搬送台車14を停止させた。これに対し、本実施形態では載置部14cと対象の荷12の端部が略一致する位置に搬送台車14を停止させる。
【0111】
本実施形態によって搬送台車14が荷12を回収する際における、載置部14cと対象の荷12との相対位置制御について説明する。
【0112】
図17は、荷12と載置部14cとの相対位置関係を示す正面視の模式図である。図17(a)は、第1の相対位置関係を示し、図17(b)は、第2の相対位置関係を示している。なお、図17(a)には荷12の方が載置部14cよりも第1方向におけるサイズが大きい場合を、図17(b)には荷12の方が載置部14cよりも第1方向におけるサイズが小さい場合をそれぞれ示している。
【0113】
これらの図において、線分12mは、荷12の第1方向範囲を2等分した2等分線を示し、線分14mは、載置部14cの第1方向範囲を2等分した2等分線を示している。対象の荷12の第1方向における中心は線分12m上にあり、載置部14cの第1方向における中心は線分14m上にある。線分12mと線分14mとは、図17(a)では重複している。すなわち、図17(a)に示す第1の相対位置関係は載置部14cと対象の荷12の中心が略一致するような位置関係であり、第1の実施形態における位置関係に対応する。一方、図17(b)では線分12mと線分14mとは重複していないが、載置部14cと対象の荷12の右側端部が一致している。すなわち、図17(b)に示す第2の相対位置関係は載置部14cと対象の荷12の端部が略一致するような位置関係であり、第2の実施形態(本実施形態)における位置関係に対応する。
【0114】
荷12の方が載置部14cよりも第1方向におけるサイズが大きい場合、第1の実施形態で記載したように、図17(a)に示すような荷12と載置部14cの中心が略一致する位置関係で荷12の回収を行うことが好ましい。上述のように、荷崩れが生じる可能性を小さくすることができるためである。
【0115】
一方、荷12の第1方向のサイズが載置部14cより小さいなどの場合には、図17(b)に示すように、相対位置関係は、対象の荷12の第1方向における端部12eと、載置部14cの第1方向における端部14nと、が略一致する位置関係とした方が好ましい。この理由について以下に説明する。
【0116】
図18は、載置部14cの端部14nと回収対象の荷12(A)および別の荷12(B)との相対位置関係を示す正面視の模式図である。図18(a)は、回収対象の荷12(A)と別の荷12(B)が第1方向において隙間なく収納されている際に、回収対象の荷12(A)と載置部14cの中心が略一致する位置関係で回収するときの模式図である。このとき、回収対象の荷12(A)の第1方向におけるサイズが載置部14cよりも小さいと、図18(c)に示すように、回収対象の荷12(A)の端部14nが別の荷12(B)と干渉してしまう。このように載置部14cの第1方向における端部14nが対象の荷12から第1方向に張出していると、破線円Fで示すように、その端部14nが別の荷12(B)と干渉する可能性がある。この状態で、回収対象の荷12(A)をピックアップするために、載置部14cを上昇させると、端部14nが別の荷12(B)の端部12Fを持上げ、場合によっては別の荷12(B)の端部12Fを傷つけるおそれがある。
【0117】
図18(b)は、回収対象の荷12(A)と別の荷12(B)が第1方向において隙間なく収納されている際に、回収対象の荷12(A)と載置部14cの端部が略一致する位置関係で回収するときの模式図である。図18(b)の破線円Gに示すように、回収対象の荷12(A)と載置部14cの端部が略一致する位置関係で回収すれば、図18(a)のような端部14nの別の荷12(B)に対する干渉は生じない。このように、回収対象の荷12(A)の方が載置部14cよりも第1方向におけるサイズが小さく、且つ、回収対象の荷12(A)と別の荷12(B)が隙間なく収納されているときには、回収対象の荷12(A)と載置部14cの端部が略一致する位置関係とした方が、荷崩れの可能性は高くなるものの、別の荷12(B)と干渉することがないため、好ましい。
【0118】
このような干渉を防ぐために荷と荷の間の距離を大きく設定することも考えられるが、この場合、同じ大きさの保管棚部20に収納可能な荷の数が少なくなる。したがって、保管棚部20内の荷の収納数を多くするためには、荷と荷の間の距離を小さくする必要があり、この場合には対象の荷12の第1方向における端部12eと、載置部14cの第1方向における端部14nと、が略一致する位置関係とする方が好ましくなる。
【0119】
[第3の実施形態]
第1の実施形態では、荷12の収納時に収納対象の荷12(A)と既収納の荷12(B)の第1方向の間の距離Dmが閾値Dt以下となったときに搬送台車14を停止させたが、この閾値Dtは適宜異なる値を設定できる。本実施形態では、閾値Dtの候補を複数通り記憶しており、場合によって複数通りの閾値の候補の中から1つを選択し、閾値Dtとして設定する。
【0120】
図19は、収納対象の荷12(A)と既収納の別の荷12(B)との相対位置関係を示す正面視の模式図である。図19では、搬送台車14の載置部14c以外の部分の記載を省略している。
【0121】
同じ長さの保管棚部20に、より多くの荷12を収納するためには、第2の実施形態にも記載したが、対象の荷12(A)との別の荷12(B)との間の距離を小さくすることが好ましい。最も多くの荷12を収納するためには、閾値Dtをほぼ0とする。そうすると、対象の荷12(A)の収納する際に、図19(a)に示すように、対象の荷12(A)と別の荷12(B)の第1方向の間の距離Dmがほぼ0となったときに搬送台車14が停止する。したがって、対象の荷12(A)の第1方向の一端側の端部12eと、別の荷12(B)の第1方向の他端側の端部12fと、が略一致する位置関係となり、収納数を最多とすることができる。
【0122】
なお。図19(a)に示すように対象の荷12(A)と別の荷12(B)の間隔をあけずに荷を収納する場合、対象の荷12(A)と載置部14cの端部が略一致する位置関係で対象の荷12(A)を載置部14cに載置し、対象の荷12(A)の収納を行うことが好ましい。
【0123】
特に、対象の荷12(A)の方が載置部14cよりも第1方向におけるサイズが小さい場合には、対象の荷12(A)と載置部14cの端部が略一致する位置関係とすることにより、対象の荷12(A)と別の荷12(B)の干渉を抑えることが可能となる。逆に、対象の荷12(A)の方が載置部14cよりも第1方向におけるサイズが大きい場合には、上述の干渉が生じないため、収納時の荷崩れを抑えるために対象の荷12(A)と載置部14cの中心が略一致する位置関係とすることが好ましい。
【0124】
一方で、図19(a)のように対象の荷12(A)と別の荷12(B)との間の距離を小さくすると、第2の実施形態でも説明したように、対象の荷12(A)の方が載置部14cよりも第1方向におけるサイズが大きい場合には、対象の荷12(A)の回収時に端部が別の荷12(B)と干渉してしまう虞がある。この干渉を抑えるためには、収納の際に予め対象の荷12(A)と別の荷12(B)との間の距離を大きくすることが考えられる。この場合には、閾値Dtを0よりも大きい(図19(a)におけるDmよりも大きい)値とする。そうすると、図19(b)に示すように、対象の荷12(A)と別の荷12(B)の第1方向の距離Dmがある程度離間した状態で搬送台車14が停止する。このため、対象の荷12(A)の第1方向の一端側の端部12eと、別の荷12(B)の第1方向の他端側の端部12fと、が所定距離だけ離間するような位置関係となり、回収時の干渉を避けることができる。
【0125】
なお、図19(b)のように対象の荷12(A)と別の荷12(B)の間の距離をあけて収納する場合、対象の荷12(A)と載置部14cの中心が略一致する位置関係で対象の荷12(A)を載置部14cに載置し、対象の荷12(A)の収納を行うことが好ましい。対象の荷12(A)と別の荷12(B)の間隔があいているため、収納時に対象の荷12(A)と別の荷12(B)の干渉は生じにくい。したがって、中心が略位置する位置関係とし、収納時の荷崩れを抑制した方がよいのである。
【0126】
第2、第3の実施形態で説明したように、荷の回収時、収納時のいずれにおいても、状況によって対象の荷12(A)と載置部14cの好ましい位置関係は異なる。したがって、予め複数通りの位置関係(例えば図17(a)の中心が略一致する位置関係と、図17(b)の端部が略一致する位置関係)を制御部(ROM)に記憶しておき、それらの複数通りの位置関係の中から状況に応じて1つの位置関係を決定し、回収、収納のときの位置関係に設定してもよい。
【0127】
例えば、第2、第3の実施形態で説明したように、荷12の第1方向におけるサイズによって荷と荷の間の適切な距離が異なることが考えられる。このため、対象の荷12(A)と別の荷12(B)との所定の相対位置関係は、制御部(CPU)が荷12の第1方向におけるサイズに応じて決定してもよい。
【0128】
保管される荷12の数が多い場合は、荷と荷の間の距離を小さくして高密度に収納することが望ましい。保管される荷12の数が少ない場合は、荷と荷の間の距離を大きくして、搬送台車14の移動速度を高めることが望ましい。このため、対象の荷12(A)と別の荷12(B)との所定の相対位置関係は、制御部(CPU)が保管棚部20内に保管される荷12の数に応じて決定してもよい。
【0129】
保管棚部20の長さが長い場合は、荷と荷の間の距離を大きくして搬送台車14の移動速度を高めることが望ましい。保管棚部20の長さが短い場合は、荷と荷の間の距離を小さくして高密度に収納することが望ましい。このため、制御部(CPU)が対象の荷12(A)と別の荷12(B)との所定の相対位置関係は、保管棚部20の長さに応じて決定してもよい。
【0130】
載置部14cと対象の荷12との所定の相対位置関係および収納対象の荷12(A)と既収納の別の荷12(B)との所定の相対位置関係(以下、これらの相対位置関係という)は、倉庫内で一定であってもよいし、異なっていてもよい。これは、倉庫内の保管スペースが非直方体形状である場合もあるからである。これらの相対位置関係は、倉庫内のエリア毎、保管棚部20毎、保管部列22毎、あるいは別の保管単位毎に決定されてもよい。
【0131】
これらの相対位置関係を記憶手段(ROM)に記憶させ、制御部18は、その記憶手段からこれらの相対位置関係を取得してもよい。制御部18は、エリア毎、保管棚部20毎、保管部列22毎、あるいは別の保管単位毎に設けられたバーコードやタグなどの情報提示手段からこれらの相対位置関係を取得してもよい。制御部18は、カメラなどの撮像手段の撮像結果に基づいて、これらの相対位置関係を取得してもよい。
【0132】
これらの相対位置関係は、制御部(CPU)によって決定されるのでなく、ユーザの入力に応じて決定されてもよい。これは、保管している荷12の数や、荷12の種類などによっては、ユーザが荷と荷の間隔を詰めたり、広げたりしたい場合があるからである。荷と荷の間隔を詰めて多数の荷を保管したい場合等は、ユーザは荷と載置部の位置関係をそれぞれの端部が略一致する位置関係(第2の相対位置関係)に設定する。逆に間隔をあけて荷の干渉を抑制したい場合等は、ユーザは荷と載置部の位置関係をそれぞれの中心が略一致する位置関係に設定する。なお、荷の方が載置部よりも第1方向におけるサイズが大きく干渉の問題がそもそも生じない場合には、荷崩れを抑制するため、荷と載置部の中心が略一致する位置関係に自動的に設定してもよい。この場合、荷の方が載置部よりも第1方向におけるサイズが小さい場合において、ユーザによる相対位置関係の決定を行う。
【0133】
上記ではユーザが自ら相対位置関係を設定すると記載したが、予め自動倉庫システムの設計時に設計者がユーザの希望に合わせて相対位置関係を設定しておいてもよい。
【0134】
載置部14cと対象の荷12との相対位置制御および収納対象の荷12(A)と既収納の別の荷12(B)との相対位置制御は、公知の多様な制御装置によって行うことができる。一例として、これらの相対位置制御は、搬送台車14に備える制御手段(不図示)、自動倉庫システム10に備える制御手段(不図示)、あるいは通信ネットワークを介して別途設置された制御手段(不図示)によって実行されてもよい。これらの制御手段は、互いに情報を交換し、互いに協働して相対位置制御を行うこともできる。
【0135】
次に、このように構成された本発明の第1の実施形態に係る自動倉庫システム10の概要と特徴を説明する。
【0136】
実施の形態に係る自動倉庫システム10は、荷12を保管可能な自動倉庫システムであって、荷12を載せて第1方向に走行可能な搬送台車14と、対象の荷12と搬送台車14との相対位置関係を検知する位置センサ24と、搬送台車14の動作を制御する制御部18と、を備え、位置センサ24は、搬送台車14の第1方向の一端側に取り付けられ、測定対象物までの距離を計測する第1距離計測器24bと、搬送台車14の第1方向の他端側に設けられ、測定対象物までの距離を計測する第2距離計測器24cと、を含んでいる。この構成によれば、第1距離計測器24bおよび第2距離計測器24cにより、搬送台車14に載せる荷12までの距離や、進行方向の障害物までの距離を取得することができる。取得した距離に応じて搬送台車14の動作を制御することによって、搬送台車14を好ましい位置に移動させることができる。またこのように制御することによって、隣接する別の荷12との距離を好ましい範囲に調整することができる。
【0137】
第1距離計測器24bは、搬送台車14に載置された荷12の第1方向の一端部までの距離を計測可能に設けられ、第2距離計測器24cは、搬送台車14に載置された荷12の第1方向の他端部までの距離を計測可能に設けられている。この場合、載置した荷12の両端部までの距離を計測可能なため、荷12の相対位置を取得することができる。取得した相対位置に応じて荷12の載置位置を調整することができる。荷12の両端側までの距離を計測可能なため、寸法の異なる荷12それぞれを、搬送台車14の好ましい位置に載置することができる。搬送中に荷12の載置位置がずれたことを検知可能なため、その荷12を好ましい位置に積み直すことができる。
【0138】
第1距離計測器24bは、計測方向を変更して搬送台車14から第1方向に離れた位置にある測定対象物までの距離を計測可能に構成されている。この場合、載置した荷12までの距離と、離れた位置にある障害物までの距離と、を第1距離計測器24bによって取得することが可能になるので、それぞれについて別個のセンサを設ける構成に比べて、センサを減らすことができ、その分自動倉庫システムを簡素に構成することができる。
【0139】
制御部18は、搬送台車14から進行方向前方の測定対象物までの距離が閾値以下の場合に前記搬送台車14の移動を停止させる。この場合、搬送台車14が障害物や別の荷12などと衝突する可能性を減らすことができる。
【0140】
第1距離計測器24bは、測定対象物までの距離をレーザ光24eで計測するレーザセンサであり、搬送台車14の荷12を載せる載置部14cにレーザ光24eを通過させるための通路14hが設けられてもよい。この場合、レーザ光の光路上において載置部14cによる干渉を減らし、第1距離計測器24bの測定可能範囲を拡大することができる。また、測定可能範囲を一定にした場合に載置部14cを大きくすることが可能になる。
【0141】
実施の形態に係る自動倉庫システム10は、荷12を保管可能な自動倉庫システムであって、荷12を保管する保管棚部20と、荷12を載せる載置部14cを有し、第1方向に走行可能な搬送台車14と、対象の荷12と搬送台車14との相対位置関係を検知する位置センサ24と、搬送台車14の動作を制御する制御部18と、を備え、制御部18は、保管棚部20に保管された対象の荷12と載置部14cとの第1方向における相対位置関係が、所定の相対位置関係となる位置で搬送台車14を停止させて、搬送台車14によって当該対象の荷12を回収するように搬送台車14の動作を制御する。この構成によれば、所定の相対位置関係となる位置で対象の荷12を回収できるから、対象の荷12を載置部14cの好ましい位置に回収することができる。
【0142】
所定の相対位置関係は、対象の荷12の第1方向における中心と、載置部14cの第1方向における中心と、が略一致する位置関係であってもよい。この場合、対象の荷12を載置部14cの中央に回収することができるので、走行中に荷崩れを生じる可能性を低減することができる。
【0143】
位置センサ24は、搬送台車14の第1方向の一端側に取り付けられ、対象の荷12までの距離を計測する第1距離計測器と、搬送台車14の第1方向の他端側に設けられ、対象の荷12までの距離を計測する第2距離計測器と、を含み、制御部18は、対象の荷12を回収する際、(i)第1距離計測器が対象の荷12を検出したとき、搬送台車14を減速させ、(ii)第1距離計測器が対象の荷12を検出した後に第2距離計測器が対象の荷12を検出したとき、搬送台車14を更に減速させ、(iii)第2距離計測器が対象の荷12を検出した後に第1、第2距離計測器それぞれが計測した対象の荷12までの距離が略等しくなったとき、搬送台車14を停止するように、搬送台車14の動作を制御してもよい。この場合、搬送台車14を減速させない構成に比べて、搬送台車14をより適切な位置に停止させることができる。
【0144】
制御部18は、対象の荷12を回収した後、載置部14cに対象の荷12を乗せた状態で搬送台車14を戻すように搬送台車14の動作を制御してもよい。制御部18は、搬送台車14を戻している際、第1方向における、回収した対象の荷12の中心と、載置部14cの中心と、の距離が閾値以上である場合に、対象の荷12を降ろし、対象の荷12を降ろした状態で、第1方向における、対象の荷12の中心と載置部14cの中心とが略一致する位置に搬送台車14を移動させて、搬送台車14によって対象の荷12を再度回収するように搬送台車14の動作を制御してもよい。この場合、対象の荷12の位置が過度にずれたときに、一旦、対象の荷12を降ろして載置部14cの好ましい位置に再度回収するので、荷崩れを生じる可能性を一層低減することができる。
【0145】
所定の相対位置関係は、対象の荷12(A)の第1方向における端部12eと、載置部14cの第1方向における端部14nと、が略一致する位置関係であってもよい。この場合、端部14nが対象の荷12(A)から張り出している構成に比べて、載置部14cの端部14nが対象の荷12(A)に隣接する別の荷12(B)と干渉する可能性を抑制することができる。このため、図18で説明したように、対象の荷12(A)のピックアップが容易になる。また、この場合、対象の荷12(A)と隣接する別の荷12(B)との間の距離を小さくして、同じ大きさの保管棚部20に一層多くの荷12を収納することができる。
【0146】
実施の形態に係る自動倉庫システム10は、荷12を保管可能な自動倉庫システムであって、荷12を保管する保管棚部20と、荷12を載せる載置部14cを有し、第1方向に走行可能な搬送台車14と、載置部14cに乗せられた対象の荷12(A)と、保管棚部20部内で対象の荷12が収納される位置に隣接し、対象の荷12(A)よりも前に収納された別の荷12(B)との、相対位置関係を検知する位置センサ24と、搬送台車14の動作を制御する制御部18と、を備え、制御部18は、対象の荷12(A)と別の荷12(B)との位置関係が、所定の相対位置関係となる位置で搬送台車14を停止させて、搬送台車14によって保管棚部20に対象の荷12を収納するように搬送台車14の動作を制御する。この構成によれば、対象の荷12(A)と別の荷12(B)との位置関係が好適な関係になるように、対象の荷12(A)を収納することができる。
【0147】
所定の相対位置関係は、対象の荷12(A)の第1方向の一端側の端部と、別の荷12(B)の第1方向の他端側の端部と、が略一致する位置関係であってもよい。この場合、対象の荷12(A)と別の荷12(B)との間の距離を小さくして、同じ長さの保管棚部20により多くの荷12を収納することができる。
【0148】
所定の相対位置関係は、対象の荷12(A)の第1方向の一端側の端部と、別の荷12(B)の第1方向の他端側の端部と、が所定距離だけ離間するような位置関係であってもよい。この場合、対象の荷12(A)と別の荷12(B)との間の距離を大きくして、これらの荷が接触する可能性を低くすることができる。
【0149】
実施の形態に係る自動倉庫システム10は、荷12を保管可能な自動倉庫システムであって、荷12を保管する保管棚部20と、荷12を載せる載置部14cを有し、第1方向に走行可能な搬送台車14と、対象の荷12(A)と搬送台車14との相対位置関係を検知する位置センサ24と、搬送台車14の動作を制御する制御部18と、を備え、制御部18は、対象の荷12(A)と載置部14cとの第1方向における相対位置関係が、所定の相対位置関係となる位置で載置部14cに対象の荷12(A)を載置し、載置後に搬送台車14を移動させて、保管棚部20に当該対象の荷12を収納するように搬送台車14の動作を制御する。この構成によれば、対象の荷12(A)を所望の位置関係に応じて載置部14cに載置することができる。
【0150】
所定の相対位置関係は、対象の荷12(A)の第1方向における中心と、載置部14cの第1方向における中心と、が略一致する位置関係であってもよい。この場合、第1方向におけるサイズが大きい荷12(A)を、既収納の別の荷12(B)に接近した位置に収納することができる。サイズが大きい荷12(A)について荷崩れが生じる可能性を小さくすることができる。
【0151】
所定の相対位置関係は、対象の荷12の第1方向における端部と、載置部14cの第1方向における端部と、が略一致する位置関係であってもよい。この場合、第1方向におけるサイズが小さい荷12(A)を、既収納の別の荷12(B)に接近した位置に収納することができる。
【0152】
複数の相対位置関係の中から所定の相対位置関係を決定する決定手段を更に備えてもよい。この場合、決定手段により所望の位置関係を決定することができる。例えば、決定手段は、制御部18に設けてもよい。
【0153】
上述の決定手段は、荷12の第1方向におけるサイズ、保管棚部20内に保管される荷12の数、保管棚部20の長さのいずれかに応じて所定の相対位置関係を決定するように構成されてもよい。この場合、荷12のサイズ、保管される荷12の数、保管棚部20の長さのいずれかによって規定される適切な距離を空けて荷12を収納することができる。また、保管される荷12の数が多い場合は、それぞれの荷12の間の距離を小さくして高密度に収納し、荷12の数が少ない場合は、それぞれの荷12の間の距離を大きくして、搬送台車14の移動速度を高めることができる。また、保管棚部20の長さが長い場合は、それぞれの荷12の間の距離を大きくして、搬送台車14の移動速度を高め、保管棚部20の長さが短い場合は、それぞれの荷12の間の距離を小さくして高密度に収納することができる。
【0154】
上述の決定手段は、ユーザの入力に応じて所定の相対位置関係を決定するように構成されてもよい。この場合、ユーザの判断によって規定される適切な距離を空けてそれぞれの荷12を収納することができる。このため、自動倉庫システム10の稼働状況に応じて相対位置関係を変更することができる。
【0155】
以上、本発明のいくつかの実施形態をもとに説明した。これらの各実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0156】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、各実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。各実施形態と重複する説明を適宜省略し、各実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0157】
(第1変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、位置決めモードにおけるステップS65~S67において、制御部18が、距離L1、L2が等しくなる位置で搬送台車14を停止させる例について説明したが、これに限られない。搬送台車14の停止位置は、距離L1、L2に応じて別のアルゴリズムによって決定されてもよい。例えば、距離L1、L2に基づいて荷12(A)の第1方向の中心位置を取得し、取得した中心位置が、載置部14cの第1方向中心位置に略一致するように搬送台車14の停止位置が決定されてもよい。
【0158】
(第2変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、位置決めモードにおけるステップS65~S67において、制御部18が、距離L1、L2に応じて搬送台車14の停止位置を決定する例について説明したが、これに限られない。例えば、制御部18は、一端側の端部12eおよび他端側の端部12fを検知するときの各レーザ光24eの照射角度に応じて搬送台車14の停止位置を決定するようにしてもよい。例えば、制御部18は、各レーザ光24eの照射角度が所定の条件を満たす位置に搬送台車14を停止するように制御してもよい。この所定の条件は、搬送台車14に対して対象の荷12(A)が所望の相対位置にある場合における、一端側の端部12eおよび他端側の端部12fを検知するときの各レーザ光24eの照射角度に設定されてもよい。
【0159】
(第3変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、中間台車16が昇降機構を備えない例について説明したが、これに限られない。例えば、中間台車は昇降機構を有するスタッカークレーンであってもよい。この場合、荷12を行方向に搬送すると共に上下方向に昇降することができる。スタッカークレーンを備えることにより、収容棚部30の任意の段の収容部31と、保管棚部20の別の段の保管部21との間で荷12を搬送することができる。
【0160】
(第4変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、荷12を載せた搬送台車14を中間台車16に進入・退出させることで、中間台車16から荷12を出し入れする例について説明したが、これに限定されない。中間台車は、可動アームなど公知の移載機構を備え、この移載機構により、搬送台車14に対して荷を出し入れするようにしてもよい。
【0161】
(第5変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、荷12がパレット12pを含む例について説明したがこれに限定されない。荷がパレットを含むことは必須ではなく、自動倉庫システムは、パレットを含まない荷を取り扱うようにしてもよい。
【0162】
(第6変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、フォークリフト50を用いて収容棚部の荷を出し入れする例について説明したがこれに限定されない。例えば、クレーンを備えた移載装置など、別の種類の移載装置によって収容棚部の荷を出し入れするようにしてもよい。
【0163】
(第7変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、中間台車16は行方向にのみ移動して、上下方向には移動しない例について説明したがこれに限定されない。例えば、中間台車16を上下方向へ昇降させる昇降装置を設けて、中間台車16を各段間で移動可能にしてもよい。
【0164】
(第8変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、搬送台車14が搭載バッテリーの電力によって駆動される例について説明したがこれに限定されない。例えば、棚側に設けられた給電線などの給電機構から搬送台車14へ給電するようにしてもよい。この場合、搬送台車14は、給電された電力により駆動されるので、バッテリーを搭載しても搭載しなくてもよい。
【0165】
(第9変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、搬送台車14が各段の各行に設けられる例について説明したがこれに限定されない。搬送台車14が各段の各行に設けられることは必須ではなく、必ずしも各段に設けられなくてもよい。
【0166】
(第10変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、収容棚部30の段数と保管棚部20の段数とが一致している例について説明したがこれに限定されない。収容棚部30の段数と保管棚部20の段数とが一致していることは必須ではない。例えば、中間台車16を上下方向へ昇降させる昇降装置を設けることで、収容棚部30を保管棚部20の段数と異なる段数にて構成することができる。
【0167】
(第11変形例)
第1の実施形態の自動倉庫システム10の説明では、搬送台車14が車輪などの走行機構を備えて、自走可能に構成される例について説明したがこれに限定されない。例えば、棚側にベルトやチェーンなどによる搬送機構を備え、搬送台車は、この搬送機構によって第1方向に搬送されてもよい。この場合、搬送台車は走行機構を備えても備えなくてもよい。
【0168】
これらの各変形例は、第1の実施形態の自動倉庫システム10と同様の構成を具備することで、上述した自動倉庫システム10と同様の作用効果を奏する。
【0169】
説明に使用した図面では、部材の関係を明瞭にするために一部の部材の断面にハッチングを施しているが、当該ハッチングはこれらの部材の素材や材質を制限するものではない。
【符号の説明】
【0170】
10・・自動倉庫システム、 12・・荷、 14・・搬送台車、 16・・中間台車、 18・・制御部、 20・・保管棚部、 22・・保管部列、 24・・位置センサ、 30・・収容棚部、 41・・第1軌条、 42・・第2軌条、 43・・第3軌条、 44・・軌条、 50・・フォークリフト、 56・・制御盤、 58・・作業スペース。
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