(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】光検知測距のための干渉軽減
(51)【国際特許分類】
G01S 7/487 20060101AFI20240830BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20240830BHJP
【FI】
G01S7/487
G01S17/89
(21)【出願番号】P 2022500148
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(86)【国際出願番号】 US2020026925
(87)【国際公開番号】W WO2021002912
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518183103
【氏名又は名称】ベロダイン ライダー ユーエスエー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】リコウ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ネスティンジャー、スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、アーロン
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-161340(JP,A)
【文献】特開昭61-149879(JP,A)
【文献】国際公開第2018/129408(WO,A1)
【文献】特開2000-076454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0327646(US,A1)
【文献】特開2012-221456(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130770(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S17/00-17/95
G01C 3/06- 3/08
G01B11/00-11/30
G06T 1/00
G06T 7/00- 7/90
G06V10/00-40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気パルス信号に従い、外部の状況の対象物に向かうパルス光信号を生成するようになされた発光器であって、前記第1電気パルス信号は
複数の非均一間隔のパルスの第1セットを備える、発光器と;
前記対象物で反射された1つまたは複数の戻り光信号を受信し、前記戻り光信号を電気信号に変換するようになされた受信機と;
前記受信機と通信するフィルターサブシステムであって、
前記受信機からの前記電気信号を受信し、
前記対象物の少なくとも部分的な表面を表すポイントセットから、
対象物の推定面法線を示す法線ベクトルに基づいて2つの実質的に直交する第1方向と第2方向を決め、前記ポイントセットのポイントと、前記ポイントセットの
ポイントの少なくとも
前記第1方向と
前記第2方向の
対応隣接ポイントとの間に一貫性があるかを判定することにより、前記ポイントをノイズとして除去するようになされた、フィルターサブシステムとを備え
;
前記一貫性は、前記ポイントセットのポイントと前記対応隣接ポイントの推定面法線を示す法線ベクトルに基づいて決定される、
光検知測距装置。
【請求項2】
前記パルスの第1セットの2つの隣接パルスは、時間領域でランダム化された距離だけ離れている;
請求項1に記載の光検知測距装置。
【請求項3】
前記発光器は、第2電気パルス信号に従い第2パルス光信号を生成するようになされ、
前記第2電気パルス信号は、非均一間隔のパルスの第2セットを備え、
前記パルスの第2セットの少なくとも1つのパルスは、前記パルスの第1セットの対応パルスとは異なった時間領域の場所に位置する;
請求項1に記載の光検知測距装置。
【請求項4】
前記発光器は、第3電気パルス信号に従い第3パルス光信号を生成するようになされ、
前記第3電気パルス信号は、非均一間隔のパルスの第3セットを備え、
前記パルスの第3セットには、前記パルスの第1セットのパルスとは同じ時間領域の場所を共有するパルスはない;
請求項1に記載の光検知測距装置。
【請求項5】
前記第1、第2および第3電気パルス信号はそれぞれ、パルス署名を備える;
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光検知測距装置。
【請求項6】
前記パルス署名は、前記第1、第2および第3電気パルス信号のそれぞれにユニークである;
請求項5に記載の光検知測距装置。
【請求項7】
前記第1方向および前記第2方向は、直交座標系における2つの方向である;
請求項1に記載の光検知測距装置。
【請求項8】
前記ポイントと前記対応隣接ポイントの前記一貫性を判定することは:
前記ポイントの前記隣接ポイントに備わる情報を調べることと;
前記ポイントと前記隣接ポイントが共に同じ前記対象物の前記表面を表しているかを判定することを備える;
請求項1に記載の光検知測距装置。
【請求項9】
前記隣接ポイントに備わる情報は、少なくとも前記隣接ポイントの場所または前記隣接ポイントの色を含む;
請求項1に記載の光検知測距装置。
【請求項10】
光検知測距装置を用いて外部の状況の対象物を検知する方法であって:
電気パルス信号に従い前記対象物に向けてパルス光信号を前記光検知測距装置の発光器によって放射する工程であって、前記電気パルス信号は非均一間隔のパルスの第1セットを備える、工程と;
前記対象物で反射された1つまたは複数の戻り光信号を前記光検知測距装置の受信機で受信する工程と;
前記1つまたは複数の戻り光信号を電気信号に前記受信機で変換する工程と;
ターゲットポイントを、
対象物の推定面法線を示す法線ベクトルに基づいて2つの実質的に直交する第1方向と第2方向を決め、前記第1方向と
前記第2方向における前記ターゲットポイントの対応隣接ポイントとの間に一貫性があるかを判定することにより、前記対象物の少なくとも部分的な表面を表すポイントセットからノイズとしてフィルター除去する工程とを備え
;
前記一貫性は、前記ターゲットポイントと前記対応隣接ポイントの推定面法線を示す法線ベクトルに基づいて決定される、
方法。
【請求項11】
前記パルスの第1セットの2つの隣接パルスは、時間領域でランダム化された距離だけ離れている;
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第2電気パルス信号に従い第2パルス光信号を放射する工程であって、前記第2電気パルス信号は、非均一間隔のパルスの第2セットを備え、
前記パルスの第2セットの少なくとも1つのパルスは、前記パルスの第1セットの対応パルスとは異なった時間領域の場所に位置する;
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
第3電気パルス信号に従い第3パルス光信号を放射する工程であって、前記第3電気パルス信号は、非均一間隔のパルスの第3セットを備え、
前記パルスの第3セットには、前記パルスの第1セットのパルスとは同じ時間領域の場所を共有するパルスはない;
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1、第2および第3電気パルス信号はそれぞれ、パルス署名を備える;
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記パルス署名は、前記第1、第2および第3電気パルス信号のそれぞれにユニークである;
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
直交座標系における2つの直交方向を前記第1方向および前記第2方向として選定する工程を備える;
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ターゲットポイントと前記対応隣接ポイントの前記一貫性を判定することは:
前記ターゲットポイントの前記隣接ポイントに備わる情報を調べることと;
前記ターゲットポイントと前記隣接ポイントが共に同じ前記対象物の前記表面を表しているかを判定することを備える;
請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記隣接ポイントに備わる情報は、前記隣接ポイントの場所を含む;
請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記隣接ポイントと前記ターゲットポイント間の距離が所定の閾値を超えると前記ターゲットポイントをフィルター除去することを備える;
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記隣接ポイントに備わる情報は、前記隣接ポイントの色を含む;
請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記隣接ポイントと前記ターゲットポイント間の色の差が所定の閾値を超えると前記ターゲットポイントをフィルター除去することを備える;
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ターゲットポイントをフィルター除去する工程は:
前記ターゲットポイントにバウンディングボックスを構築することと;
前記ターゲットポイントと一貫性を有する隣接ポイントの数を決定することと;
一貫性を有する隣接ポイントの前記数が所定の閾値以下であると前記ターゲットポイントをフィルター除去することを備える;
請求項10に記載の方法。
【請求項23】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、そこに記憶され、方法を実行するプログラムコードを含む、プロセッサコードを有し、その方法は:
電気パルス信号に従い対象物に向けてパルス光信号を光検知測距装置の発光器によって放射する工程であって、前記電気パルス信号は非均一間隔のパルスの第1セットを備える、工程と;
前記対象物で反射された1つまたは複数の戻り光信号を前記光検知測距装置の受信機で受信する工程と;
前記1つまたは複数の戻り光信号を電気信号に前記受信機で変換する工程と;
ターゲットポイントを、
対象物の推定面法線を示す法線ベクトルに基づいて2つの実質的に直交する第1方向と第2方向を決め、前記第1方向と
前記第2方向における前記ターゲットポイントの対応隣接ポイントとの間に一貫性があるかを判定することにより、前記対象物の少なくとも部分的な表面を表すポイントセットからノイズとしてフィルター除去する工程とを備え
;
前記一貫性は、前記ターゲットポイントと前記対応隣接ポイントの推定面法線を示す法線ベクトルに基づいて決定される、
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
前記パルスの第1セットの2つの隣接パルスは、時間領域でランダム化された距離で離れている;
請求項23に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項25】
前記ターゲットポイントと前記対応隣接ポイントの前記一貫性を判定することは:
前記ターゲットポイントの前記隣接ポイントに備わる情報を調べることと;
前記ターゲットポイントと前記隣接ポイントが共に同じ前記対象物の前記表面を表しているかを判定することを備える;
請求項23に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
前記隣接ポイントに備わる情報は、少なくとも前記隣接ポイントの場所または前記隣接ポイントの色を含む;
請求項23に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
前記ターゲットポイントをフィルター除去する工程は:
前記ターゲットポイントにバウンディングボックスを構築することと;
前記ターゲットポイントと一貫性を有する隣接ポイントの数を決定することと;
前記一貫性を有する隣接ポイントの数が所定の閾値以下であると前記ターゲットポイントをフィルター除去することを備える;
請求項23に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光検知測距(LIDAR)は、パルスレーザーの形の光を用いて、周囲の状況までの変化する距離を測定するリモートセンシング法である。LIDARシステムは、自動運転や表面の空中写真図化を含め広範な用途を有する。これらの用途は、動作の安全性、正確性および信頼性に高い優先度を置くであろう。開示される実施形態は、複数のLIDARセンサがある場合に信号の干渉を減じまたは最少化し、それにより周囲の状況の表面の特徴を決定するための信頼性のあるデータを生成する方法とシステムを提供する。開示された技術のさらなる特徴と利点とは、それらのさらなる用途や実施と同様に、以下の部分で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】
図1は、本技術によるLIDARセンサの例示の模式図を示す。
【0003】
【
図2】
図2は、本技術によるLIDARシステムの例示の模式図を示す。
【0004】
【
図3】
図3は、本技術によるLIDARシステムの別の例示の模式図を示す。
【0005】
【
図4】
図4は、コントローラにより生成された例示のパルス信号を描写する。
【0006】
【0007】
【0008】
【
図6】
図6は、本技術による例示のディザーパルス信号を示す。
【0009】
【
図7】
図7は、本技術によるパルス信号のディザー後の例示の干渉パターンを示す。
【0010】
【
図8】
図8は、本技術によるフィルタープロセスの例を示す。
【0011】
【
図9】
図9は、本技術による光検知測距装置を用いて外部の状況にある対象物を検知する方法のフローチャート表現である。
【0012】
【
図10】
図10は、本開示の技術の種々の部分を実行するのに用いられるコンピュータシステムまたは他の制御装置のアーキテクチャの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
LIDARシステムは、対象物から反射する一連の光パルスを送信することにより動作する。反射した信号、または戻り信号は、光検知測距システムにより受信される。検出された飛行時間(TOF)に基づき、システムは、システムと対象物間の距離/間隔を決定する。
【0014】
図1は、本技術によるLIDARセンサ100の例示の模式図を示す。LIDARセンサ100は、外部の状況内の対象物111に光信号を放射する発光器101と、対象物111で反射された戻り信号を受信する受信機103を含む。いくつかの実施形態では、LIDARセンサ100は、光信号を対象物111に誘導するビームステアリング機構を採用する。いくつかの実施形態では、LIDARセンサ100は、より大きな視野(例えば、水平360°の視野)を達成するために、軸回りに回転するように構成されてもよい。受信機103は、戻り信号を対応する電気信号に変換するアナログ-デジタル(A2D)変換器(不図示)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、LIDARセンサ100は、オプションとしてコントローラ105を含んでもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、LIDARシステムの一部である。コントローラ105は、発光器101と受信機103の双方と通信し、コントローラ105は、発光器101による光放射をコントロールし、受信機103からの電気信号を処理することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ105は、得られた距離に基づいて、点群のような1組のポイントを用いて、周囲の状況にある対象物111の少なくとも部分的な表面を表す。点群のポイントは、対象物111の表面の特徴を表す、または、示すことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、発光器101は、複数の光ビームを放射できる。
図2は、本技術によるLIDARシステム200の例示の模式図を示す。LIDARシステム200はある角度範囲に亘って複数のビームを放射するLIDARセンサ201を含む。この特定の例では、発光器は、32ビームの光(32チャンネルとも言われる)を放射できる。いくつかの実施形態では、LIDARシステムは、対象物の正確な表現のためのデータの稠密集合を得るために、複数のLIDARセンサを含む。
図3は、本技術によるLIDARシステム300の例示の模式図を示す。この例で描写されるLIDARシステム300は、第1LIDARセンサ301と第2LIDARセンサ303を含む。これらLIDARセンサのいずれもが、複数の光ビームを放射することが可能である。これらのセンサは単一のLIDARシステム内で互いに近接して位置しているので、センサ間でのクロストーク干渉が生じ得る。さらに、周囲の状況の障害物を検知し避けるためにLIDARシステムを備えた自動運転車の数が増えると、複数のLIDARセンサ間の直接干渉が生じ得る。無関係な光信号の受信は、ゴーストターゲットや信号対雑音比の低下などの問題を生じる。本書で開示されるのは、複数のLIDARセンサ間の干渉の影響を減じまたは最少化する種々の実施形態で実行される技術であり、それにより安全な運転のための周囲の状況を表す、より信頼できるモデルを提供する。
【0016】
いくつかのLIDARシステムでは、発光器は、コントローラにより提供されるパルス電気信号に応答してパルス光放射を生成する。
図4は、コントローラにより生成された例示のパルス電気信号400を描写する。パルス電気信号400は、複数の均等または非均等間隔のパルスを含む。例えば、パルスは、期間Tpで均等に分散してもよい。すなわち、近接するパルスは、時間領域でtという同じ間隔で離されている。上記のように、同じパルス信号に従って生成された複数の光ビームがあると、信号間の直接またはクロストーク干渉が生じがちである。例えば、複数センサLIDARシステムでは、センサ間干渉が生じ、それは、センサが互いに向き合っているときに直接干渉を、そして、複数のセンサからの信号が対象物で反射するとき間接干渉を含む。単一センサ・複数ビームLIDARシステムでは、センサ内干渉が起こり得る。複数ビームからの信号は対象物に反射し、干渉パターンを形成し得る。同じ時間領域の場所の信号が干渉すると、結果としての干渉は、LIDARセンサからほぼ等距離に位置するゴーストターゲットに変換されることがある。
図5A、5Bは、点群に現れ得る例示の干渉パターンを示す。これらの例では、干渉は、点群のデータセットの曲面として現れる。曲面は周囲状況の実際の障害物として解釈され、したがってコントローラの計算と、その後のLIDARシステムを搬送する車両のナビゲーションに大きく影響を与え得る。
【0017】
このような干渉の影響を最小化する一つの方法は、LIDARセンサの視野に亘って干渉信号を分散させることである。干渉が、LIDARセンサから様々な距離に位置する小さなゴーストポイントとして現れたならば、コントローラがこれらの信号を固体の障害物と解釈する可能性は低い。時間領域で均等に間隔を開けたパルスを生成する代わりに、コントローラは、パルス信号をディザリングして、パルスの放射時間を期間Tpでランダムにするように、発光器をコントロールできる。
図6は、本技術による例示のディザーパルス信号を示す。ランダム化されたΔtrandomを加え、または、パルスの各発射の時間tから減じる。よって、近接するパルスは、時間領域で異なった距離(t±Δtrandom)で離される。例えば、Δtrandomは、疑似乱数生成アルゴリズムにより生成され得る。いくつかの実施形態では、Δtrandomは、約1マイクロ秒までである。
図6に示される特定の例では、t
1=t±Δtrandom
1、t
2=t±Δtrandom
2、t
3=t±Δtrandom
3で、t
1≠t
2≠t
3である。疑似乱数生成の性質のため、時として2つの近接パルスが、他の並びの2つのパルスと比べて同じ間隔を有することもある。例えば、
図6のt
4は、
図4のtと同じであり得る。しかし、パルスの時間領域の間隔は、ランダム性のために十分に異なっており、干渉は、それが起こるとしても、より均一なノイズパターンを形成するような距離で分散される。
【0018】
いくつかの実施形態では、発射シーケンスは動的に並べ替えられ、Δtrandomのより大きな範囲を許容する。いくつかの実施形態では、本書で説明するディザリング技術は、その内容の全てがこの特許書面の開示の一部として参照して組み込まれる米国特許公開番号第2019/0178991号で説明されるパルス信号署名と組み合わされ、干渉の影響をさらに減じ、または、最小化する。例えば、各パルス信号には、パルス信号署名が与えられる。いくつかの実施形態では、各パルス信号は、ユニークな署名を有し、生成されたデータの安全性と信頼性を保証する。いくつかの実施形態では、LIDARセンサで使用可能なユニークな署名の数(コードベースとも言われる)は、種々の要素により限定されてもよい。少ないコードベースを与えられると、2つのLIDARセンサは、同じ時間に同じ署名を有することがあり、
図5に示すような干渉パターンとなり得る。ディザリング技術をユニークなパルス署名のコードベースと組み合わせることで、同じパルス信号を共有する2つのLIDARセンサによる信号の干渉の可能性を大いに減少することができる。
【0019】
図7は、本技術による、パルス信号をディザリングした後の例示の干渉パターンを示す。
図7に示されるように、干渉は、より均一に分散されて、ホワイトノイズパターンに類似する。ここでコントローラは、フィルタープロセスを適用して、干渉であると思われるポイントを取り除く。
【0020】
図8は、本技術によるフィルタープロセスの例を示す。
図8では、一組のポイントが集められ、周囲の状況の対象物または対象物の少なくとも部分的表面を表す。集められたポイントは、ノイズとして示されるかなりの量の干渉をも含む。特定のポイントが干渉/ノイズであるのか、対象物を表す実際のデータであるのかを判定するために、コントローラは、隣接するポイントに備わる情報をチェックし、それらのポイントの間に一貫性があるかを判定できる。
【0021】
いくつかの実施形態では、点群データセットのポイントは、直交座標系を用いて表される。x、yおよび/またはz方向の隣接ポイントに備わる、場所や色などの情報を用いてそのポイントと隣接ポイントが同一表面を表しているか否かを判定できる。例えば、
図8に示されるように、ポイント801がx、yおよび/またはz方向の隣接ポイントに対してチェックされる。ポイント801のx方向の隣接ポイントは、それらもノイズのようであるので、充分な情報を提供しない。しかし、ポイント801のy方向の隣接ポイントは、ポイント801と隣接ポイントのいくつかとの間に一貫性がないことを示し、それらが2つの別れた面を表すように見える。ポイント801は、よって、ノイズポイントとしてフィルター除去される。同様に、ポイント802も隣接ポイントに対しチェックされる。x方向とy方向の隣接ポイントは共に、ポイント802と隣接ポイントとの間に一貫性があることを示す。よって、ポイント802はモデルに残る。
【0022】
いくつかの実施形態では、点群のポイントは、対象物の推定面法線を示す法線ベクトルNを備える。法線ベクトルNに基づいて、2つの実質的に直交する方向x′とy′を決めることができる。x′とy′の隣接ポイントが備える情報を用いて、そのポイントと隣接ポイントが同一表面を表すのかを判定できる。例えば、いくつかの実施形態では、各ポイントが色情報を備える。ポイントが隣接ポイントと同じ色を有していれば(または、色の違いが、所定の閾値以下であれば)ポイントの一貫性がある。別の例として、ポイントと隣接ポイントの差が所定の閾値より大きければ、コントローラは、そのポイントと隣接ポイントの間に一貫性はないと判定できる。ポイントと隣接ポイントの間に一貫性がなければ、そのポイントは、ノイズとしてモデルから取り除かれ、または、フィルター除去される。
【0023】
2つ以上の方向で隣接ポイントを調べることで、対象物が尖った表面特徴または1方向で小さな寸法を有するときに、より信頼性のあるポイントの一貫性の判定を提供することができる。例えば、対象物が細い、長いポールであると、直交座標系のx方向のポイントを調べることでは、少しの表面ポイントしか使えないので、充分な量の情報を提供できないこともある。しかし、y方向のポイントを調べることで、ターゲットポイント(可能性としてのノイズポイント)と対象物の間に一貫性があるかを判定するのに、システムがポールのより多くの表面のポイントを用いることを可能にする。
【0024】
いくつかの実施形態では、ターゲットポイントの周りにバウンディングボックスが置かれる。同一チャンネルからの前および/または次の信号、または、鉛直方向に近接するチャンネルからの同時/前/次の信号により生成されたターゲットポイントの空間的な隣接ポイントが調べられる。隣接ポイントとターゲットポイントの間の距離が閾値以下であると、ターゲットポイントは、隣接ポイントに一貫性を有するポイントであると考えることができる。対象物の色、対象物の反射率、信号強度、信号の信号対雑音比(SNR)などの他の要素も、一貫性を判定するのに考慮される。いくつかの実施では、バウンディングボックス内の一貫性を有するポイントの数が所定の閾値(例えば、9の隣接リターン)を越えると、ターゲットポイントは、ノイズ/干渉ではなく有効なデータポイントと考えられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、最適なリアルタイムの動作を得るために、LIDARセンサは、周囲の状況の対象物についての全てのデータセットの代わりに、点群データセット中のポイントの小さなセットを追跡してもよい。よって、一度に全てのデータセットをフィルターする代わりに、LIDARセンサまたはLIDARセンサのフィルターサブシステムは、リアルタイム・フィルターリングを実行する。リアルタイム・フィルターリングは、選択されたいくつかのフレーム内の1つの対象物、または1フレーム内の複数の対象物に対して実行され得る。コントローラまたはフィルターサブシステムは、対象物についてのある仮定(例えば、平滑性、色、場所、寸法)をすることもでき、ノイズ/干渉ポイントのリアルタイム・フィルターリングを容易にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、フィルタープロセスの有効性の信頼度は、バウンディングボックスの一貫性を有するポイントの数に基づいて導くことができる。上記のように、LIDARセンサは同時に複数セットの信号を放射することができる。フィルタープロセスでの低い有効性の信頼度とディザリングパターン(例えば、複数チャンネルのバースト性)との組合せを一緒に用いて、ターゲットポイントが直接またはクロストーク干渉の結果であるかを示すことができる。
【0027】
図9は、本技術による光検知測距装置を用いて外部の状況の対象物を検知する方法900のフローチャート表現である。方法900は、動作902で、電気パルス信号に従い対象物に向けてのパルス光信号を光検知測距装置の発光器により放射する工程を含む。電気パルス信号は、非均一間隔のパルスの第1のセットを備える。方法900は、動作904で、対象物で反射された1つまたは複数の戻り光信号を光検知測距装置の受信機で受信する工程を含む。方法900は、動作906で、1つまたは複数の戻り光信号を電気信号に変換する工程を含む。方法900は、動作908で、対象物の表面を表す複数のポイントを備えるモデルを電気信号に基づいて生成する工程を含む。方法900は、動作910で、ターゲットポイントとモデルの第1方向と第2方向のターゲットポイントの対応隣接ポイントとの間に一貫性があるかを判定することにより、対象物の少なくとも部分的表面を表すポイントセットからターゲットポイントをノイズとしてフィルター除去する工程を含む。
【0028】
図10は、
図1に示すコントローラ105のような、本開示技術の種々の部分を実行するのに用いることのできるコンピュータシステムまたは他のコントロール装置1000のアーキテクチャの例を示すブロック図である。
図10では、コンピュータシステム1000は、インターコネクト(相互接続)1025を介して接続される1つまたは複数のプロセッサ1005とメモリ1010を含む。インターコネクト1025は、適切なブリッジ、アダプタ、またはコントローラにより接続された1つまたは複数の別々の物理バス、ポイント間接続、またはその両方を表してもよい。したがって、インターコネクト1025は、例えば、システムバス、周辺機器接続(PCI)バス、ハイパートランスポートまたはインダストリスタンダードアーキテクチャ(ISA)バス、小型計算機システムインタフェース(SCSI)バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、IIC(I2C)バス、または、ときどき「Firewire
(登録商標)」とも呼ばれる、アイ・トリプル・イー(IEEE)規格674バスを含んでもよい。
【0029】
プロセッサ1005は、例えばホストコンピュータの総合的動作をコントロールする中央処理装置(CPU)を含んでもよい。ある実施形態では、プロセッサ1005は、メモリ1010に記憶されたソフトウェアまたはファームウェアを実行することによりこのことを遂行する。プロセッサ1005は、1つ以上のプログラム可能な汎用または専用マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、またはそのような装置の組合せであっても、それらを含んでもよい。
【0030】
メモリ1010は、コンピュータシステムのメインメモリであることが、またはメインメモリを含むことができる。メモリ1010は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、等、またはそれらの組合せの何れの適切な形を意味する。使用において、メモリ1010は、何よりも、プロセッサ1005で実行されるとプロセッサ1005を動作させて本開示技術の実施形態を実行する1セットの機械命令を含むであろう。
【0031】
インターコネクト1025を通じてプロセッサ1005に接続されるものはさらに、(オプションの)ネットワークアダプタ1015である。ネットワークアダプタ1015は、コンピュータシステム1000に、ストレージクライアントおよび/または他のストレージサーバーなどのような遠隔装置と通信する機能を提供し、例えば、イーサネット(登録商標)アダプタまたはファイバチャンネルアダプタであってもよい。
【0032】
よって、開示された技術は種々の実施形態で実行されて、LIDARセンサおよびLIDARシステムで信号の干渉の影響を効果的に減少することが明らかである。一例示の態様として、光検知測距装置は、第1電気パルス信号に従い、外部の状況内の対象物に向けられたパルス光信号を生成するようになされた発光器を含む。第1電気パルス信号は、非均一間隔のパルスの第1セットを備える。光検知測距装置は、対象物によって反射された1つ以上の戻り光信号を受信し、戻り光信号を電気信号に変換するようになされた受信機と、受信機と通信するフィルターサブシステムを含む。フィルターサブシステムは、受信機から電気信号を受信し、対象物の少なくとも部分的表面を表すポイントセットからポイントを、そのポイントとポイントセットの少なくとも第1方向と第2方向とのそのポイントの対応隣接ポイントの間に一貫性があるかを判定することによりノイズとして取り除くように構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、パルスの第1セットの2つの近接パルスが、時間領域でランダム化された距離で離れる。いくつかの実施形態では、発光器は第2電気パルス信号に従い第2パルス光信号を生成するようになされ、ここで第2電気パルス信号は非均一間隔のパルス第2セットを備え、パルスの第2セットの少なくとも1つのパルスはパルスの第1セットの対応するパルスとは異なった時間領域での場所に位置する。いくつかの実施形態では、発光器は、第3電気パルス信号に従い第3パルス光信号を生成するようになされ、ここで、第3電気パルス信号は、非均一間隔のパルスの第3セットを備え、パルスの第3セットには、パルスの第1セットのパルスと時間領域で同じ場所を共有するパルスはない。いくつかの実施形態では、第1、第2および第3電気パルス信号のそれぞれは、パルス署名を備える。パルス署名は、第1、第2および第3電気パルス信号のそれぞれに対してユニークであり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、各ポイントは、対象物の推定面法線を示すベクトルについての情報を備え、第1方向と第2方向はそのベクトルに基づき決定される。いくつかの実施形態では、第1方向と第2方向は、直交座標系における2つの方向である。
【0035】
いくつかの実施形態では、ポイントと対応する隣接ポイントとの間の一貫性を判定することは、そのポイントの隣接ポイントに備えられる情報を調べ、そのポイントと隣接ポイントとが同じ対象物の表面を表しているかを判定することを備える。いくつかの実施形態では、隣接ポイントに備えられる情報は、少なくとも隣接ポイントの場所または隣接ポイントの色を含む。
【0036】
別の例示の態様では、光検知測距装置を用いて外部の状況の対象物を検知する方法は、電気パルス信号に従い対象物に向けてパルス光信号を光検知測距装置の発光器により放射することを含み、電気パルス信号は非均一間隔のパルスの第1セットを備える。その方法は、光検知測距装置の受信機により、対象物で反射した1つ以上の戻り光信号を受信すること、および、受信器で1つまたは複数の戻り光信号を電気信号に変換することを含む。その方法は、対象物の少なくとも部分的な表面を表すポイントセットから、ターゲットポイントとモデルの第1方向と第2方向のターゲットポイントの対応隣接ポイントとの間に一貫性があるかを判定することにより、ターゲットポイントをノイズとしてフィルター除去することをも含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、パルスの第1セットの2つの近接パルスは、時間領域でランダム化された距離だけ離れている。いくつかの実施形態では、その方法は、第2電気パルス信号に従い第2パルス光信号を放射することを含む。第2電気パルス信号は、非均一間隔のパルスの第2セットを備え、パルスの第2セット中の少なくとも1つのパルスは、パルスの第1セットの対応するパルスとは異なる時間領域の場所に位置する。いくつかの実施形態では、その方法は、第3電気パルス信号に従い第3パルス光信号を放射することを含む。第3電気パルス信号は、非均一間隔のパルスの第3セットを備え、パルスの第3セットには、パルスの第1セットのパルスと時間領域で同じ場所を共有するパルスはない。いくつかの実施形態では、第1、第2および第3電気パルス信号のそれぞれは、パルス署名を備える。パルス署名は、第1、第2および第3電気パルス信号のそれぞれに対してユニークであり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、各ポイントは、対象物の推定面法線を示すベクトルについての情報を備える。その方法は、ベクトルに基づき、第1方向と第2方向として2つの直交方向を決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、直交座標系における2つの直交方法を第1方向および第2方向として選定することを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、ターゲットポイントと対応隣接ポイント間の一貫性を判定することは、ターゲットポイントの隣接ポイントに備わる情報を調べ、ターゲットポイントと隣接ポイントとが、同じ対象物の表面を表しているかを判定することを含む。いくつかの実施形態では、隣接ポイントに備わる情報は、隣接ポイントの場所を含む。いくつかの実施形態では、その方法は、隣接ポイントとターゲットポイント間の距離が所定の閾値を超えたことを判定すると、そのターゲットポイントをフィルター除去することを含み得る。いくつかの実施形態では、隣接ポイントに備わる情報は、隣接ポイントの色を含む。その方法は、隣接ポイントとターゲットポイントとの色の違いが所定の閾値を超えたことを判定すると、そのターゲットポイントをフィルター除去することを含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、ターゲットポイントをフィルター除去することは、ターゲットポイントに対してバウンディングボックスを設定し、ターゲットポイントと一貫性を有する隣接ポイントの数を決定し、一貫性のある隣接ポイントの数が所定の閾値以下であると判定されるとそのターゲットポイントをフィルター除去することを備える。
【0041】
別の例示の態様では、そこにプロセッサコードを有する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、電気パルス信号に従い対象物にパルス光信号を光検知測距装置の発光器により放射することを備える方法を実行するためのプログラムコードを含み、電気パルス信号は非均一間隔のパルスの第1セットである。その方法は、対象物によって反射された1つまたは複数の戻り光信号を光検知測距装置の受信機によって受け取ることと、1つまたは複数の戻り光信号を受信機により電気信号に変換することとを含む。その方法は、対象物の少なくとも部分的な表面を表すポイントセットからターゲットポイントを、ターゲットポイントとモデルの第1方向および第2方向のターゲットポイントの対応隣接ポイントとの間に一貫性があるかを判定することにより、ノイズとしてフィルター除去することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、パルスの第1セットの2つの隣接パルスは、時間領域でランダム化された距離だけ離れる。いくつかの実施形態では、ターゲットポイントと対応する隣接ポイント間の一貫性を判定することは、ターゲットポイントの隣接ポイントに備わる情報を調べることと、ターゲットポイントと隣接ポイントとが共に同じ対象物の表面を表しているかを判定することとを備える。いくつかの実施形態では、隣接ポイントに備わる情報は、少なくとも隣接ポイントの場所または隣接ポイントの色を含む。いくつかの実施形態では、ターゲットポイントをフィルター除去することは、ターゲットポイントにバウンディングボックスを設定すること、ターゲットポイントと一貫性のある隣接ポイントの数を決定すること、および一貫性のある隣接ポイントの数が所定の閾値以下であることが判定されるとそのターゲットポイントをフィルター除去することを備える。
【0043】
本特許文書に説明される主題と機能的動作の実施は、本明細書で説明されたストラクチャやストラクチャと均等なものを含む種々のシステム、デジタル電子回路、または、コンピュータ・ソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェア、またはそれらの1つ以上の組合せで実行できる。この明細書で説明された主題の実施は、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品、例えば、データ処理機械で実行される、またはデータ処理機械の動作をコントロールする、有形的非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でエンコードされたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュール、として実行されてもよい。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶回路基板、メモリ装置、機械可読伝播信号、または、それらの1つ以上の組合せであってもよい。用語「データ処理装置」または「データ処理機械」は、データ処理のための全ての器具、装置および機械を網羅し、例として、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサやコンピュータを含む。器具は、ハードウェアに加えて、問題になっているコンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらの1つ以上の組合せを構成するコードを含んでもよい。
【0044】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイル型またはインタープリタ型言語を含み、いかなる型のプログラミング言語で書かれ、スタンドアロンプログラム、あるいは、モジュール、コンポーネント、サブルーティン、またはコンピュータ環境で適切に使用できる他のユニットを含んで、いかなる形式にも展開できる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステムにおけるファイルに対応していない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部に(例えば、マークアップ言語文書に保存される1つ以上のスクリプト)、問題となっているプログラム専用の単一ファイルに、または、複数のコーディネートされたファイル(coordinated files)(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラムまたはコードの一部を保存するファイル)に保存できる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータまたは1つのサイトに置かれ、または複数のサイトに分散され通信ネットワークで相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0045】
本明細書で説明されたプロセスおよび論理流れは、インプットデータに基づいて動作しアウトプットを生成することにより機能を果たす1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサにより実行できる。プロセスおよび論理流れはまた、例えばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路により実行でき、装置もまた専用論理回路として実現される。
【0046】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例示として、汎用および専用マイクロプロセッサの双方、およびいかなる種類のデジタルコンピュータの1つ以上のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサはリードオンリメモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方からの命令とデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令とデータを記憶する1つ以上のメモリ装置である。一般的に、コンピュータは、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディクなどのデータを記憶する1つ以上の大容量記憶装置を含み、または、そこからデータを受信し、そこへデータを伝達し、または両方をするように、動作可能に接続される。しかし、コンピュータはそのような装置を持っていなくてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適するコンピュータ可読媒体は、例示として、例えばEPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリ装置などのセミコンダクタメモリ装置を含む、不揮発性メモリ、メディアおよびメモリ装置の全ての形式を含む。プロセッサとメモリは、専用論理回路で補完され、または、組み込まれてもよい。
【0047】
明細書は、図面と共に、例示だけとして考えられることを意図しており、ここで、例示とは例であることを意味する。本書で用いられる単数形「a」、「an」および「前記」は、逆のことが明確に示されない限り、同様に複数形を含むことが意図される。さらに、「または」の使用は、逆のことが明確に示されない限り、「および/または」を含むことが意図される。
【0048】
この特許文書は多くの詳細を含むが、それらは発明の範囲または請求項で記載された事項の制限ではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に特有の特徴の説明と解釈されるべきである。本特許文書で説明される複数の特定の特徴は、別の実施形態においては、単一の実施形態において組合せて実行できる。反対に、単一の実施形態において説明された種々の特徴は、複数の実施形態で別々に、または、いかなる適切なサブコンビネーションで実行することもできる。さらに、上記ではある組み合わせで作用するものとして特徴が説明され、当初にはそのように特許請求の範囲で記載されていたとしても、特許請求の範囲での組合せからの1つまたは複数の特徴はいくつかのケースでは組み合わせから削除されることができ、特許請求の範囲での組合せはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形とされてもよい。
【0049】
同様に、図面では特定の順番で動作が示されているが、このことは、そのような動作が、所望の結果を達成するために、示された特定の順番で、または順次に実行されること、または、図示の動作の全てが実行されることを求めていると解されてはならない。さらに、本特許文書で説明された実施形態の種々のシステム構成の分離は、全ての実施形態でそのような分離を求めているものと解してはならない。
【0050】
いくつかの実施と例とだけが説明され、他の実施、強化および変更は、本特許文書で説明されまた図示されたものに基づいてなされ得る。