(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】密なBEOLピッチでの台形相互接続
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20240830BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240830BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240830BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20240830BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20240830BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H01L21/88 B
H01L21/28 L
H01L21/285 C
H01L21/88 F
H01L21/88 R
H01L21/90 J
(21)【出願番号】P 2022516311
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(86)【国際出願番号】 IB2020057667
(87)【国際公開番号】W WO2021053419
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-01-20
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ランツィッロ、ニコラス、アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ショバ、ホサドゥーガ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ファイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジュンリ
(72)【発明者】
【氏名】本山 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ペニー、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】クレベンガー、ローレンス
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0323151(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0005880(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0096888(US,A1)
【文献】特開2004-193326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/768
H01L 23/52
H01L 23/522-23/532
H01L 21/28-21/288
H01L 21/44-21/445
H01L 29/40-29/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互接続構造体を形成するための方法であって、
誘電体に少なくとも1つのトレンチをパターニングするステップであり、パターニングされたときの前記少なくとも1つのトレンチが、底部が丸みを帯びたV字形プロファイルを有する、前記パターニングするステップと、
前記少なくとも1つのトレンチを広げて前記少なくとも1つのトレンチ内に台形状プロファイルを生成する物理的気相堆積(PVD)を使用して、前記少なくとも1つのトレンチ内にライナを堆積させ、裏打ちするステップと、
前記ライナを前記少なくとも1つのトレンチから前記誘電体に対して選択的に除去するステップであって、それによって、除去した後に、前記台形状プロファイルを有する前記少なくとも1つのトレンチが前記誘電体に残る、前記除去するステップと、
前記台形状プロファイルを有する前記少なくとも1つのトレンチ内に共形のバリア層を堆積させ、裏打ちするステップと、
前記共形のバリア層を覆って、前記台形状プロファイルを有する前記少なくとも1つのトレンチ内に導体を堆積させ、充填するステップと、
前記導体および前記共形のバリア層を前記誘電体まで研磨するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記誘電体が、酸化ケイ素(SiOx)、有機ケイ酸塩ガラス(SiCOH)、多孔質有機ケイ酸塩ガラス(pSiCOH)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ライナが、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ライナが30Åよりも大きい厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ライナが35Å~50Åの厚さを有し、それらの間の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記共形のバリア層がTa、TaN、TiN、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記共形のバリア層が20Å未満の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記共形のバリア層が10Å~15Åの厚さを有し、それらの間の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記共形のバリア層をPVD、原子層堆積(ALD)または化学気相堆積(CVD)を使用して堆積させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記導体がコバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記導体が銅(Cu)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記バリア層を覆って、前記台形状プロファイルを有する前記少なくとも1つのトレンチ内に共形の湿潤層を堆積させるステップであって、前記共形の湿潤層を前記導体の前に堆積させる、前記堆積させるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記共形の湿潤層がCo、Ru、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記共形の湿潤層が30Å未満の厚さを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記共形の湿潤層が15Å~20Åの厚さを有し、それらの間の範囲にある、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記共形の湿潤層をALDまたはCVDを使用して堆積させる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互接続技術に関し、より詳細には、狭い後工程(BEOL:Back-End-Of-Line)ピッチで台形状相互接続を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コバルト(Co)およびルテニウム(Ru)は、抵抗が低く、エレクトロマイグレーションが改良されるため、銅(Cu)のような従来の相互接続金属に対する好ましい代替品と考えられている。Co/Ruベースの相互接続を形成する場合、典型的には、特徴(例えば、トレンチ)が最初に誘電体にパターニングされる。次いで、特徴は、薄いバリア層で裏打ちされ、その上にCoまたはRuあるいはその両方を堆積させて相互接続を形成する。
【0003】
バリア層の厚さは、重要な考慮すべき点である。すなわち、バリアが厚くなるほど、Co/Ru充填金属に利用可能な特徴の領域が少なくなる。特徴のサイズが小さくなると、導体の領域が減少したときに抵抗が大幅に増加する可能性があるため、バリアと充填金属との比がさらに重要になる。
【0004】
したがって、CoまたはRuのような代替の導体を用いて実現可能な相互接続技術を実施するためには、ライナの厚さを制御するための技術が必要である。しかしながら、そうすることは、化学気相堆積(CVD)および原子層堆積(ALD)などの薄膜堆積技術が、単にトレンチのプロファイルに共形になるだけであり、既に狭くなっている空間をさらに減少させるため困難である可能性がある。
【0005】
したがって、改良された相互接続製造技術が望まれている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、密な後工程(BEOL)ピッチで台形状相互接続を形成するための技術を提供する。本発明の一態様では、相互接続構造体を形成する方法が提供される。本方法は、誘電体に少なくとも1つのトレンチをパターニングすることであって、パターニングされたときの(as-patterned)少なくとも1つのトレンチが、底部が丸みを帯びたV字形プロファイルを有する、パターニングすることと、少なくとも1つのトレンチを広げて少なくとも1つのトレンチ内に台形状プロファイルを生成する物理的気相堆積(PVD)を使用して、少なくとも1つのトレンチ内にライナを堆積させ、裏打ちすることと、ライナを少なくとも1つのトレンチから誘電体に対して選択的に除去することであって、それによって、除去した後に、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチが誘電体に残る、除去することと、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に共形のバリア層を堆積させ、裏打ちすることと、共形のバリア層を覆って、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に導体を堆積させ、充填することと、導体および共形のバリア層を誘電体まで研磨することと、を含む。
【0007】
本発明の別の態様では、相互接続構造体を形成する別の方法が提供される。本方法は、誘電体に少なくとも1つのトレンチをパターニングすることであって、パターニングされたときの少なくとも1つのトレンチが、底部が丸みを帯びたV字形プロファイルを有する、パターニングすることと、少なくとも1つのトレンチを広げて少なくとも1つのトレンチ内に台形状プロファイルを生成するPVDを使用して、少なくとも1つのトレンチ内にライナを堆積させ、裏打ちすることと、ライナを少なくとも1つのトレンチから誘電体に対して選択的に除去することであって、それによって、除去した後に、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチが誘電体に残る、除去することと、PVD、原子層堆積(ALD)または化学気相堆積(CVD)を使用して、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に共形のバリア層を堆積させ、裏打ちすることであって、共形のバリア層が、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、およびそれらの組合せから選択される材料を含み、共形のバリア層が約20Å未満の厚さを有する、裏打ちすることと、共形のバリア層を覆って、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に導体を堆積させ、充填することであって、導体が、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、およびそれらの組合せから選択される、充填することと、導体および共形のバリア層を誘電体まで研磨することと、を含む。
【0008】
本発明のさらに別の態様では、相互接続構造体を形成するさらに別の方法が提供される。本方法は、誘電体に少なくとも1つのトレンチをパターニングすることであって、パターニングされたときの少なくとも1つのトレンチが、底部が丸みを帯びたV字形プロファイルを有する、パターニングすることと、少なくとも1つのトレンチを広げて少なくとも1つのトレンチ内に台形状プロファイルを生成するPVDを使用して、少なくとも1つのトレンチ内にライナを堆積させ、裏打ちすることと、ライナを少なくとも1つのトレンチから誘電体に対して選択的に除去することであって、それによって、除去した後に、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチが誘電体に残る、除去することと、PVD、ALDまたはCVDを使用して、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に共形のバリア層を堆積させ、裏打ちすることであって、共形のバリア層が、Ta、TaN、TiN、およびそれらの組合せから選択される材料を含み、共形のバリア層が約20Å未満の厚さを有する、裏打ちすることと、ALDまたはCVDを使用して、バリア層を覆って、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に共形の湿潤層(wetting layer)を堆積させることであって、共形の湿潤層が、Co、Ru、およびそれらの組合せから選択される材料を含み、共形の湿潤層が約30Å未満の厚さを有する、堆積させることと、共形のバリア層を覆って、共形の湿潤層上で、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に導体を堆積させ、充填することであって、導体が銅(Cu)を含む、充填することと、導体および共形のバリア層を誘電体まで研磨することと、を含む。
【0009】
本発明のさらに別の態様では、相互接続構造体が提供される。相互接続構造体は、台形状プロファイルを有する、誘電体にパターニングされた少なくとも1つのトレンチと、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチを裏打ちする共形のバリア層であって、Ta、TaN、TiN、およびそれらの組合せから選択される材料を含み、約20Å未満の厚さを有する、共形のバリア層と、共形のバリア層を覆って、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に配置された導体と、を含む。
【0010】
本発明のより完全な理解、ならびに本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による、底部が丸みを帯びたV字形トレンチ・プロファイルと台形状トレンチ・プロファイルとを比較する断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、少なくとも1つのトレンチを誘電体にパターニングし、これによって、パターニングされたときのトレンチが、底部が丸みを帯びたV字形プロファイルを有することを示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、トレンチ側壁/底部に対するイオン衝撃により、トレンチを広げてトレンチ内に台形状プロファイルを生成する物理的気相堆積(PVD)を使用して、トレンチ内に厚い共形のライナを堆積させ、裏打ちしたことを示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、(台形状)トレンチ・プロファイルをそのまま残して、PVDライナが誘電体に対して選択的にトレンチから除去されたことを示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、原子層堆積(ALD)または化学気相堆積(CVD)を使用して、薄い共形のバリア層を(台形状)トレンチ内に堆積させ、裏打ちしたこと示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、バリア層を覆って、(台形状)トレンチ内に導体(例えば、コバルト(Co)またはルテニウム(Ru)あるいはその両方)を堆積させ、充填したことを示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、導体およびバリア層が誘電体の表面まで研磨されたことを示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、
図2に続く断面図である、トレンチの側壁/底部に対するイオン衝撃により、トレンチを広げてトレンチ内に台形状プロファイルを生成するPVDを使用して、トレンチ内に厚い共形のライナを堆積させ、裏打ちしたことを代替の実施形態に従って示している。
【
図9】本発明の一実施形態による、(台形状)トレンチ・プロファイルをそのまま残して、PVDライナが誘電体に対して選択的にトレンチから除去されたことを示す断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態による、ALDまたはCVDを使用して、薄い共形のバリア層を(台形状)トレンチ内に堆積させ、裏打ちしたことを示す断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態による、ALDまたはCVDを使用して、バリア層を覆って、(台形状)トレンチ内に薄い共形の湿潤層を堆積させたこと示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態による、バリア層を覆って、湿潤層上で、(台形状)トレンチ内に導体(例えば、銅(Cu))を堆積させ、充填したことを示す断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態による、導体、バリア層、および湿潤層が誘電体の表面まで研磨されたこと示す断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態による、V字形プロファイルのトレンチ内に形成された相互接続と比較して、台形状トレンチ内に形成された相互接続のライン抵抗がより低いことを示す図である。
【
図15】本発明の一実施形態による、V字形プロファイルのトレンチ内に形成された相互接続と比較して、台形状トレンチ内に形成された相互接続を利用してチップ性能が向上したことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述したように、コバルト(Co)またはルテニウム(Ru)などの代替の導体を用いた相互接続形成中に、化学気相堆積(CVD)および原子層堆積(ALD)などの薄膜堆積技術のみでは、トレンチ・プロファイルに共形のバリア層が生成されるだけであり、したがって、既に狭くなっている空間がさらに狭くなる。その結果、導体領域が最小化され、相互接続抵抗が増大する。バリア堆積のための物理的気相堆積(PVD)を使用することにより、(すなわち、誘電体に対するイオン衝撃により)台形状トレンチを生成することができる。台形状トレンチは、より多くの導体領域を提供する。しかしながら、PVDバリアは厚く、領域を取りすぎる。
【0013】
例えば、
図1を参照されたい。
図1に示すように、誘電体にパターニングされたときのトレンチは、丸みを帯びたトレンチ・プロファイルおよび浅い側壁角、すなわち、底部が丸み帯びたV字形プロファイルを有する。このV字形プロファイルは、導体を充填するための限られた領域しか提供しない。したがって、CVDまたはALDを使用してバリアをトレンチ内に単に堆積させた場合、この限られた領域がさらに狭くなる。
図1の点線で示すように、PVDを使用して、(イオン衝撃により)トレンチを「広げ(open-up)」、台形状プロファイルを生成することができる。しかしながら、上記で強調したように、PVD層は厚すぎ、導体領域の多くを取りすぎる。
【0014】
有利には、本明細書では、最初に厚いPVD層をトレンチ内に堆積させ、それによって領域が増加した台形状トレンチ・プロファイルを生成し、次いでPVD層を除去し、これを(薄い)CVD、ALD、またはPVDバリアで置き換えることによって、CVDまたはALDの薄膜機能とPVDのプロファイル再成形/強化機能の両方の利益を活用する技術が提供される。
【0015】
本発明の技術は、銅(Cu)などの従来の導体だけでなく、CoまたはRuなどの代替の導体と組み合わせて実施することができる。例えば、
図2~
図7の説明に関連して説明される第1の例示的な実施形態では、Co/Ru相互接続を形成するための例示的な方法論が説明される。その説明に続くのは、同じPVD、次いでCVD/ALDスキームを使用するCu相互接続の形成を含む第2の例示的な実施形態である。
【0016】
第1の例示的な実施形態では、
図2を参照すると、プロセスは、誘電体202に少なくとも1つのトレンチ204をパターニングすることから始まる。適切な誘電体202としては、酸化シリコン(SiOx)、または有機ケイ酸塩ガラス(SiCOH)、あるいは例えば2.7未満の誘電率κを有する超低κ層間誘電体(ULK-ILD)材料、あるいはその組合せなどの酸化物材料が挙げられるが、これらに限定されない。比較すると、二酸化ケイ素(SiO
2)は、誘電率κの値が3.9である。適切な超低κ誘電体材料としては、多孔質有機ケイ酸塩ガラス(pSiCOH)が挙げられるが、これに限定されない。標準的なリソグラフィおよびエッチング技術を用いて、誘電体202にトレンチ204をパターニングすることができる。単なる例として、反応性イオン・エッチング(RIE)などの指向性(すなわち異方性)エッチング・プロセスをトレンチ・エッチングに使用することができる。
【0017】
図2に示すように、パターニングされたときのトレンチ204は、丸みを帯びたトレンチ・プロファイルおよび浅い側壁角、すなわち、底部が丸みを帯びたV字形プロファイルを有し、この形状は、導体の充填に利用可能な領域を過度に制限する。トレンチ204を共形のバリアまたはバリア/湿潤層で単に裏打ちすると、この既に制限された導体領域がさらに減少する。
【0018】
しかしながら、
図3に示すように、PVDプロセス中のトレンチ側壁/底部に対するイオン衝撃により、トレンチ204を広げ、トレンチ204内に台形状プロファイルを生成するPVDを最初に使用して、厚い共形のライナ302をトレンチ204内に堆積させ、裏打ちする。適切なライナ302材料としては、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、または窒化チタン(TiN)、あるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態によると、ライナ302を、約30オングストローム(Å)を超える厚さ、例えば、約35Å~約50Å、およびそれらの間の範囲の厚さに堆積させる。
【0019】
この台形状プロファイルであっても、ライナ302の厚さは、トレンチ204の導体領域のかなりの部分を占める。したがって、PVDライナ302上に導体を充填すると、望ましくないほど高い抵抗になる。有利には、本明細書では、次にトレンチ204からPVDライナ302を選択的に除去して、台形状プロファイルを残し、その場所により薄い(PVD、ALDまたはCVD)バリア層を配置することが提案される。すなわち、トレンチ204内に台形状プロファイルを生成するためには、より厚いPVDライナ(例えば、約30Åより大きい-上記参照)の堆積が必要であるが、堆積させるPVDの層が薄いほど、トレンチ204を広げて台形プロファイルを生成するのに十分な誘電体のイオン衝撃とならない。したがって、置換バリアが薄く保たれる限り(例えば、約20Å未満-以下参照)、置換バリアを堆積させる際にPVDを用いることもできる。
【0020】
図4に示すように、PVDライナ302は、誘電体202に対して選択的にトレンチ204から除去される。例示的な実施形態によると、誘電体202は、SiOx、SiCOH、またはpSiCOH、あるいはその組合せなどの酸化物材料であり(上記参照)、ライナ302(例えば、Ta、TaN、またはTiN、あるいはその組合せ)は、選択的非指向性(すなわち、等方性)湿式化学エッチングなどの選択的エッチング・プロセスを使用して除去される。選択的エッチング・プロセスを使用すると、トレンチ・プロファイルがそのまま残る。したがって、残るのは、台形状プロファイルを有するトレンチ204であり、これは、パターニングされたときのトレンチ(すなわち、底部が丸みを帯びたV字形プロファイル-
図2(上述)参照)のものと比較して有利には増加した導体領域を提供する。
【0021】
次いで、PVD、ALDまたはCVDを使用して、薄い共形のバリア層502を(台形状)トレンチ204内に堆積させ、裏打ちする。
図5を参照されたい。
図5に示すように、バリア層502は、(PVDライナ302の堆積およびその後の除去から生じる)トレンチ204の台形状プロファイルと共形である。適切なバリア層502の材料には、Ta、TaN、またはTiN、あるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態によると、バリア層502を、約20Å未満、例えば、約10Å~約15Å、およびそれらの間の範囲の厚さに堆積させる。上述したように、これらの薄い厚さでは、PVDは、台形プロファイルを生成しない。バリア層502は、誘電体202内への導体(この場合、コバルト(Co)またはルテニウム(Ru)あるいはその両方)の拡散を防止する。
【0022】
堆積させたときのバリア層502は、トレンチ204のみならず誘電体202の頂面上にも配置される。
図5を参照されたい。しかしながら、導体の充填後に、例えば化学機械研磨(CMP)などのプロセスを使用して、オーバーバーデン(overburden)が除去され、それと共に、誘電体202の上の過剰なバリア層502が除去される。
【0023】
すなわち、次に、バリア層502を覆って、(台形状)トレンチ204内に導体602を堆積させ、充填する。
図6を参照されたい。適切な導体としては、CoまたはRuあるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。上記で強調したように、本明細書では、銅(Cu)などのより伝統的な導体を用いた実施形態も提示される。蒸着、スパッタリング、電気化学めっきなどのプロセスを使用して、トレンチ204内に導体602を堆積させることができる。
図6に示すように、堆積させると、導体602は、トレンチ204を過充填する。次いで、隣接する構造体への短絡を回避するために、このオーバーバーデンを除去する。
【0024】
例えば、
図7に示すように、CMPなどのプロセスを使用して、導体602およびバリア層502を誘電体202の表面まで研磨する。その結果、導体602を誘電体202から分離する薄い(例えば、約20Å未満、例えば、約10Å~約15Å、およびそれらの間の範囲-上記参照)共形のバリア層502を有する、誘電体202に埋め込まれた台形状(CoまたはRuあるいはその両方の)相互接続702が得られる。
【0025】
上記で強調したように、本技術は、Cuなどの従来の導体と併せて実施することもできる。例えば、
図8~
図13の説明に関連して説明される別の例示的な実施形態では、Cu相互接続を形成するための例示的な方法論が説明される。
【0026】
プロセスは、上記の例と同じ一般的なやり方で、誘電体202(例えば、SiOx、SiCOH、またはpSiCOH、あるいはその組合せ)に少なくとも1つのトレンチ204をパターニングすることから開始する。したがって、
図8に示されるものは、
図2に示されている構造体から続いており、同様の構造体は、図において同様に番号付けされている。上述したように、RIEなどのエッチング・プロセスでは、パターニングされたときのトレンチ204は、丸みを帯びたトレンチ・プロファイルおよび浅い側壁角、すなわち、底部が丸みを帯びたV字形プロファイルを有することになる。この形状は、導体の充填に利用可能な領域を過度に制限する。したがって、トレンチ204を、この場合、バリア層および湿潤層で単に裏打ちすると、この既に制限された導体領域がさらに減少する。
【0027】
したがって、
図8に示すように、PVDを使用して、厚い共形のライナ802をトレンチ204内に堆積させ、裏打ちする。上述したように、PVDプロセス中のトレンチ側壁/底部に対するイオン衝撃は、トレンチ204を広げ、トレンチ204内に台形状プロファイルを生成するように働く。適切なライナ802材料には、Ta、TaN、またはTiN、あるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態によると、ライナ802を、約30Åよりも大きい厚さ、例えば約35Å~約50Å、およびその間の範囲の厚さに堆積させる。
【0028】
図8に示すように、トレンチ204は、台形状プロファイルを有する。上記で詳述したように、導体領域を増加させるためには、厚いPVDライナ802を除去する必要がある。本実施形態では、そうすることで、例えばPVD、ALDまたはCVDを使用して、薄いバリア層ならびに薄い湿潤層を配置して、Cuギャップ充填特性を高めることが可能になる。したがって、次に、PVDライナ802がトレンチ204から選択的に除去される。
図9を参照されたい。
【0029】
図9に示すように、PVDライナ802は、誘電体202に対して選択的にトレンチ204から除去されている。例示的な実施形態によると、誘電体202は、SiOx、SiCOH、またはpSiCOH、あるいはその組合せなどの酸化物材料であり(上記参照)、ライナ802(例えば、Ta、TaN、またはTiN、あるいはその組合せ)は、選択的非指向性(すなわち、等方性)湿式化学エッチングなどの選択的エッチング・プロセスを使用して除去される。選択的エッチング・プロセスを使用すると、トレンチ・プロファイルがそのまま残る。したがって、
図9に示すように、残るのは、台形状プロファイルを有するトレンチ204であり、これは、パターニングされたときのトレンチのもの(すなわち、底部が丸みを帯びたV字形プロファイル-
図2(上述)参照)と比較して有利には増加した導体領域を提供する。
【0030】
次に、
図10に示すように、PVD、ALDまたはCVDを使用して、薄い共形のバリア層1002を、(台形状)トレンチ204内に堆積させ、裏打ちする。バリア層1002は、(厚いPVDライナ802の堆積とその後の除去から生じる)トレンチ204の台形状プロファイルに共形である。適切なバリア層1002の材料としては、Ta、TaN、またはTiNあるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態によると、バリア層1002を、約20Å未満、例えば、約10Å~約15Å、およびそれらの間の範囲の厚さに堆積させる。上述したように、これらの薄い厚さでは、PVDは、台形プロファイルを生成しない。バリア層1002は、湿潤層材料(この場合、CoまたはRuあるいはその両方)または導体(この場合、Cu)あるいはその両方の誘電体202への拡散を防止する。
【0031】
Cuのギャップ充填特性を向上させるために、次に、ALDまたはCVDを使用して、バリア層1002を覆って、(台形状)トレンチ204内に薄い共形の湿潤層1102を堆積させる。
図11を参照されたい。適切な湿潤層1102の材料としては、CoまたはRuあるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。Co/Ru上にCuを充填することには、顕著な利点がある。例えば、Cuは、Ruに対して優れた濡れ性を有し、Cuは、TaよりもCoをよく濡らす。例示的な実施形態によると、湿潤層1102を、約30Å未満、例えば約15Å~約20Å、およびその間の範囲の厚さに堆積させる。
【0032】
堆積させたときのバリア層1002および湿潤層1102は、トレンチ204内、ならびに誘電体202の上面上に配置される。
図11を参照されたい。しかしながら、導体の充填に続いて、例えばCMPのようなプロセスを使用して、オーバーバーデンが除去され、それと共に、誘電体202の上の過剰なバリア層1002および湿潤層1102が除去される。
【0033】
すなわち、次に、バリア層1002を覆って、湿潤層1102上で、(台形状)トレンチ204内に導体1202を堆積させ、充填する。
図12を参照されたい。本例示的な実施形態では、導体1202はCuを含むが、これに限定されない。蒸着、スパッタリング、電気化学めっきなどのプロセスを使用して、トレンチ204内に導体1202を堆積させることができる。
図12に示すように、堆積させると、導体1202は、トレンチ204を過充填する。次いで、隣接する構造体への短絡を回避するために、このオーバーバーデンを除去する。
【0034】
例えば、
図13に示すように、CMPなどのプロセスを使用して、導体1202、バリア層1002、および湿潤層1102を誘電体202の表面まで研磨する。その結果、導体1202を誘電体202から分離する薄い(例えば、約20Å未満、例えば、約10Å~約15Å、およびそれらの間の範囲の-上記参照)共形のバリア層1002と、薄い共形の(例えば、約30Å未満、例えば、約15Å~約20Å、およびそれらの間の範囲の-上記参照)湿潤層1102と、を有する、誘電体202に埋め込まれた台形状(Cu)相互接続1302が得られる。
【0035】
本技術は、以下の非限定的な例を参照することによってさらに説明される。最初に、
図14に示すように、高さ対幅のアスペクト比が1.5であり、ALDバリア層の厚さが2nmの台形状トレンチ・プロファイル(「PVDプロファイル」と表示)を有する本技術を用いて形成されたCo相互接続では、底部が丸みを帯びたV字形プロファイル(「ALDプロファイル」と表示)を有する対応するトレンチと比較して、15%低いR/Cが見られる。
図14では、トレンチ限界寸法(CD)(ナノメートル(nm)単位で測定)がX軸にプロットされ、ライン抵抗(オーム/マイクロメートル(Ohm/μm)単位で測定)がY軸にプロットされている。台形状トレンチ内に形成された相互接続のより低いライン抵抗は、V字形プロファイル(すなわち、パターニングされたときの)トレンチ内に形成された相互接続と比較して、導体の量が増加したことに起因する。
【0036】
図15は、V字形プロファイル(すなわち、パターニングされたときの)トレンチ(「ALDプロファイル」と表示)内に形成された相互接続と比較して、台形状トレンチ(「PVDプロファイル」と表示)内に形成された相互接続内の導体の量が増加したことに起因してチップ性能が向上したことを再び示す図である。すなわち、本例では、後工程(BEOL)において30nmピッチを有する本V字形プロファイルCo相互接続設計を使用して、5nmVTFETで3%の周波数性能ゲージ(FPG:Frequency Performance Gauge)の改善が示された。FPGは、チップが動作することができる最大周波数の尺度であり、すなわち、周波数が高いほど、チップはより高速/より強力になる。
図15では、X軸にパワーがプロットされ、Y軸に周波数(ギガヘルツ(GHz)単位で測定)がプロットされている。
【0037】
本発明の例示的な実施形態を本明細書で説明してきたが、本発明は、それらの正確な実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく当業者によって様々な他の変更および修正を行うことができることを理解されたい。
【0038】
本明細書に記載される本発明の好ましい実施形態では、相互接続構造体を形成する方法が提供され、本方法は、誘電体に少なくとも1つのトレンチをパターニングするステップであって、パターニングされたときの少なくとも1つのトレンチが、底部が丸みを帯びたV字形プロファイルを有する、パターニングするステップと、少なくとも1つのトレンチを広げて少なくとも1つのトレンチ内に台形状プロファイルを生成するPVDを使用して、少なくとも1つのトレンチ内にライナを堆積させ、裏打ちするステップと、ライナを少なくとも1つのトレンチから誘電体に対して選択的に除去するステップであって、それによって、除去した後に、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチが誘電体に残る、除去するステップと、PVD、ALDまたはCVDを使用して、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に共形のバリア層を堆積させ、裏打ちするステップであって、共形のバリア層が、Ta、TaN、TiN、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料を含み、共形のバリア層が約20Å未満の厚さを有する、裏打ちするステップと、共形のバリア層を覆って、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に導体を堆積させ、充填するステップであって、導体が、Co、Ru、およびそれらの組合せからなる群から選択される、充填するステップと、導体および共形のバリア層を誘電体まで研磨するステップと、を含む。
【0039】
本明細書に記載される本発明の別の好ましい実施形態では、相互接続構造体を形成するための方法が提供され、本方法は、誘電体に少なくとも1つのトレンチをパターニングするステップであって、パターニングされたときの少なくとも1つのトレンチが、底部が丸みを帯びたV字形プロファイルを有する、パターニングするステップと、少なくとも1つのトレンチを広げて少なくとも1つのトレンチ内に台形状プロファイルを生成するPVDを使用して、少なくとも1つのトレンチ内にライナを堆積させ、裏打ちするステップと、ライナを少なくとも1つのトレンチから誘電体に対して選択的に除去するステップであって、それによって、除去した後に、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチが誘電体に残る、除去するステップと、PVD、ALDまたはCVDを使用して、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に共形のバリア層を堆積させ、裏打ちするステップであって、共形のバリア層が、Ta、TaN、TiN、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料を含み、共形のバリア層が約20Å未満の厚さを有する、裏打ちするステップと、ALDまたはCVDを使用して、バリア層を覆って、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に共形の湿潤層を堆積させるステップであって、共形の湿潤層が、Co、Ru、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料を含み、共形の湿潤層が約30Å未満の厚さを有する、堆積させるステップと、共形のバリア層を覆って、共形の湿潤層上で、台形状プロファイルを有する少なくとも1つのトレンチ内に導体を堆積させ、充填するステップであって、導体がCuを含む、充填するステップと、導体および共形のバリア層を誘電体まで研磨するステップと、を含む。