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特許7546665プレフィルドシリンジ用の注入終点シグナリングアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】プレフィルドシリンジ用の注入終点シグナリングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/28 20060101AFI20240830BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A61M5/28
A61M5/315 510
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022522777
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 IB2019001115
(87)【国際公開番号】W WO2021094797
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519266638
【氏名又は名称】バイオコープ プロダクション ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコス、アラン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-508275(JP,A)
【文献】特表2018-531643(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0038840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/28
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレフィルドシリンジに装着して使用するように適合され構成された注入終点シグナリングアセンブリであって、前記プレフィルドシリンジは、
近位端および遠位端を有する細長い中空のシリンジ本体であって、近位端に第1の開口部を有し、前記第1の開口部の周りで前記近位端に前記シリンジ本体の外側に突出するカラーを有する、シリンジ本体と、
前記シリンジ本体の前記遠位端に装着された、または装着可能な注射針であって、前記遠位端で前記シリンジ本体の第2の開口部を閉じる、注射針と、
前記シリンジ本体に導入された一定量の注入可能な材料と、
前記シリンジ本体の前記近位端および対応する近位開口部を介して前記シリンジ本体に挿入されるように構成され寸法決めされたプランジャであって、前記プランジャは、プランジャ本体を備え、前記プランジャ本体は、遠位端に配置されたストッパと、近位端に配置されたプランジャヘッドとを有する、プランジャと、
を備え、
前記注入終点シグナリングアセンブリは、
変位可能な電気接点であって、前記プランジャが注入トラベル方向の許容範囲の限界に達する前に注入終点のシグナリングを防止し、前記プランジャが前記注入トラベル方向の前記許容範囲の限界に達したときに注入終点のシグナリングを実行可能にするように構成された、変位可能な電気接点と、
プランジャトラベルロック手段であって、前記注入トラベル方向の前記許容範囲の限界に達すると、前記プランジャが前記注入トラベル方向とは異なるトラベル方向に移動するのを防止するように構成された、プランジャトラベルロック手段とを備え、
前記変位可能な電気接点は、前記プランジャトラベルロック手段が係合されるのと同時に電気接点を形成し、
前記プランジャトラベルロック手段が、前記プランジャ本体に接続された少なくとも1つの半径方向外側に突出するタイン、または複数の半径方向外側に突出するタインを備え、
前記1つまたは複数の半径方向外側に突出するタインが、弾性的に変形可能なアーム、または対応する複数の弾性的に変形可能なアームを介して前記プランジャ本体に接続される、注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項2】
前記プランジャトラベルロック手段が、少なくとも一対の協働する対向する当接面を備える、請求項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも一対の協働する対向する当接面がそれぞれ、材料のリッジ部分を備える、請求項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項4】
前記変位可能な電気接点は、電気接点が確立されていない第1の非接触位置から電気接点を確立する第2の接触位置まで、前記注入トラベル方向とは異なる方向に、電気接点アプリケータの並進運動を介して電気接点を確立する、請求項1に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項5】
前記電気接点アプリケータが、前記プランジャの長手方向軸線に実質的に平行な並進運動を介して変位可能である、請求項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項6】
前記電気接点アプリケータが導電性表面を備える、請求項またはに記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項7】
前記電気接点アプリケータが前記プランジャヘッド内に配置される、請求項のいずれか一項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項8】
前記プランジャが前記注入トラベルの方向に移動するときに前記電気接点アプリケータと係合し、前記注入トラベル方向とは異なる方向に前記電気接点アプリケータを変位させるように構成された変位手段をさらに備える、請求項のいずれか一項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項9】
前記変位手段が、前記シリンジ本体の前記カラー上に少なくとも部分的に配置されるか、または前記カラーに一体化される、請求項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項10】
前記変位手段が、前記シリンジ本体の前記カラーに取り外し可能に取り付けられたシリンジバックストップ上に配置される、請求項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項11】
前記変位手段が隆起した弓形プロファイルを含む、請求項10のいずれか一項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項12】
前記隆起した弓形プロファイルが、前記カラーの近位面または前記シリンジバックストップの近位面のいずれかに、前記プランジャの長手方向軸線の周りに同軸に配置される、請求項10を引用する請求項11に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項13】
電気接点が確立されたとき、および前記プランジャが前記注入トラベル方向の前記許容範囲の限界に達したときに、前記プランジャヘッドへの干渉を防止するように構成された干渉防止手段をさらに備える、請求項12のいずれか一項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項14】
前記干渉防止手段が、前記プランジャの前記長手方向軸線の周りで前記変位手段の半径方向外側に位置し、近位方向に突出する突出壁を備える、請求項12を引用する請求項13に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項15】
前記突出壁は、前記プランジャヘッドの近位面に隣接して、または前記プランジャヘッドの近位面と実質的に同一平面に位置する近位端を有する、請求項14に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項16】
第1の協働する当接面は、前記シリンジバックストップの前記突出壁の内面に配置され、第2の協働する当接面は、前記プランジャヘッドの外面に配置される、請求項14または15に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項17】
前記注入終点シグナリングアセンブリが、無線通信ユニットを備え、前記無線通信ユニットは、近距離無線通信(NFC)回路であり、前記プランジャヘッド内に配置される、請求項1~16のいずれか一項に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項18】
前記近距離無線通信回路は、電気接点が確立されたときにのみ通電することができる、請求項17に記載の注入終点シグナリングアセンブリ。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の注入終点シグナリングアセンブリを含む、プレフィルドシリンジに装着して使用するように適合され構成された部品のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレフィルドシリンジおよび関連技術に関する。特に、本発明は、一般にNFCと略される近距離無線通信回路を使用するプレフィルドシリンジ用のシグナリングアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
プレフィルドシリンジは、それ自体当業者に知られており、医薬品または他の物質にかかわらず、様々な固定用量または単位用量の物質の投与に一般的に使用されている。例えば、プレフィルドシリンジは、一般に、免疫化運動およびプログラムのためのワクチンなどの薬物の投与のために、あるいは例えば糖尿病、または、例えば、蛇もしくはクモの咬傷の治療に使用される抗毒液などの、固定され、予め測定され、貯蔵された用量の薬剤の投与による管理を必要とする他の障害などの長期の病状の治療のために、または、急性疼痛もしくは外傷、心筋梗塞、アナフィラキシー、細菌性もしくは毒性ショックなどの他の潜在的に生命を脅かす状況の治療もしくは発症のための緊急注射のために使用される。したがって、プレフィルドシリンジの用途は周知である。
【0003】
そのようなシリンジは、一般に、
近位端および遠位端を有する細長い中空シリンジ本体であって、近位端に第1の開口部を有し、前記第1の開口部の周りで前記近位端に中空シリンジ本体の外側に突出するカラーまたはフランジを有する、細長い中空シリンジ本体と、
中空の細長いシリンジ本体の遠位端に装着された、または装着可能な注射針であって、前記遠位端で中空の細長いシリンジ本体の第2の開口部を閉じる、注射針と、
中空体に導入された制御された量の注入可能な材料と、
前記中空の細長いシリンジ本体の近位端および対応する近位開口部を介して前記中空の細長いシリンジ本体に挿入されるように構成され寸法決めされたプランジャであって、プランジャは、プランジャ本体の遠位端に配置されたストッパを備えるプランジャ本体と、前記プランジャ本体の近位端に配置されたプランジャヘッドとを有する、プランジャと
を備える。
【0004】
そのようなプレフィルドシリンジに関する一般的な問題の1つは、再使用の試みを回避するために、または追跡目的のために、例えば注入可能な物質がプレフィルドシリンジから投与されたかどうかおよびどれだけ投与されたかを知るために、シリンジが実際にいつ使用されたかを知ることができることである。この目的のために、この一般的な問題を克服しようとするために、様々な追跡システムがそのようなプレフィルドシリンジに関連付けられている。
【0005】
例えば、国際公開第2014089086号パンフレットとして公開された国際特許出願は、アナフィラキシーショックを治療するためのエピネフリンなどの薬剤を含む自動注射器などの電子薬剤デバイスを使用する方法に関する。デバイスは、センサ、RFID、NFCなどのIDタグ、またはBluetooth通信などの短距離無線通信のための他のタグ、メモリ、ディスプレイ、およびスピーカ、ならびにプロセッサおよび通信インターフェースを含み、プロセッサは、構成要素のうちの1つまたは複数を相互接続し、通信インターフェースは、wifi、モバイルキャリアネットワーク、または衛星を介した通信のためのインターフェースを含む。プロセッサは、薬剤の投与および薬剤の有効期限などのイベントの発生に応答して、通信インターフェースを介して携帯電話などの少なくとも1つの遠隔システムと通信するように構成される。センサは、デバイスの起動を検出し、デバイスが起動されたときに電子回路を完成または破壊する脆弱要素を含む。センサは、IDタグに信号を提供して、自動注射デバイスの使用に応答してアクションを実行し、使用時間のログと共に、デバイスが使用されたことを示すようにメモリを変更する。IDタグはまた、自動注射デバイスからNFC対応モバイルデバイス、例えば携帯電話などの無線リーダに情報を提供する。携帯電話は、RFID、NFC、または他の無線通信を使用して、自動注射デバイスにプリントされるか、または自動注射デバイスメモリに記憶された薬剤情報を読み取る。
【0006】
同様に、米国特許第2019038840号明細書として公開された米国特許出願は、外部デバイスに制御信号を送信するように構成された第1の送信アンテナと、制御信号を送信するために送信アンテナに命令を提供するように構成された第1の送信アンテナに接続された制御電子機器と、バイパスアンテナが非外乱位置にあるときに制御電子機器が送信アンテナに命令を提供するのを防止し、バイパスアンテナが非外乱位置から変位したときに制御電子機器が送信アンテナに命令を提供することを可能にするように位置決めされ構成された第2のバイパスアンテナとの2つのアンテナの複雑な配置を含むプレフィルドシリンジを開示している。2つのアンテナおよび制御電子機器の複雑な配置は、シリンジプランジャの近位端に一体化され、押しボタンによって覆われる。バイパスアンテナは、物理的に破壊可能な電気スイッチとして構成され、シリンジのユーザによって押しボタンが押されると電気接点が切断される。押しボタンを押すと、バイパスアンテナへの電気接点が修復不可能に破壊され、一次アンテナ回路が作動し、シリンジの使用開始をシグナリングする。
【0007】
これらの解決策の両方は、一方では、プレフィルドシリンジが有効に使用可能な薬物をまだ含んでいるかどうか、または他方では、注射デバイスが改ざんされているかどうかのセキュリティ面により関心がある。これらの先行技術文献のいずれも、プレフィルドシリンジ内の提供された単位用量の薬物が完全に排出されたか注入されたかを知る問題に関するものではなく、信頼できる程度に対処するものでもない。この状況は、注入終点として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2014089086号パンフレット
【文献】米国特許第2019038840号明細書
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、上述のようなプレフィルドシリンジに装着して使用するように適合および構成された注入終点シグナリングアセンブリを提供することであり、注入終点に関する情報は、シリンジプランジャがシリンジの中空体内の規定された可能なトラベルの最大距離の終わりに到達しただけでなく、それによって注入がシリンジから排出される前にその中に最初に収容された注入可能な物質、例えば薬物の必要な単位のすべてを確実にするときにのみシグナルリングされ得る。本発明の別の目的は、そのような注入終点シグナリングアセンブリを提供することであり、注入終点のシグナリングは、注入中に注入可能な物質、例えば薬物を排出するために通常必要とされるものとは実質的に異なる、例えば逆または反対のトラベル方向で、シリンジプランジャが終点位置から離れるように移動することも防止されるときにのみ可能になり得る。したがって、本発明のさらに別の目的は、上記の目的の両方が同時に満たされるそのような注入終点シグナリングアセンブリを提供することである。
【0010】
これらおよび他の目的は、本明細書から明らかになるように、プレフィルドシリンジに装着して使用するように適合され構成された注入終点シグナリングアセンブリによって提供され、プレフィルドシリンジは、
近位端および遠位端を有する細長い中空シリンジ本体であって、近位端に第1の開口部を有し、前記第1の開口部の周りで前記近位端に中空シリンジ本体の外側に突出するカラーを有する、細長い中空シリンジ本体と、
中空の細長いシリンジ本体の前記遠位端に装着された、または装着可能な注射針であって、前記遠位端で前記中空の細長いシリンジ本体の第2の開口部を閉じる注射針と、
中空体に導入された一定量の注入可能な材料と、
中空シリンジ本体の近位端および対応する近位開口部を介して前記中空の細長いシリンジ本体に挿入されるように構成され寸法決めされたプランジャであって、プランジャはプランジャ本体の遠位端に配置されたストッパを備えるプランジャ本体と、前記プランジャ本体の近位端に配置されたプランジャヘッドとを有する、プランジャと、
を備え、
注入終点アセンブリは、プランジャが注入トラベル方向の許容範囲の限界に達する前に注入終点のシグナリングを防止するように構成されており、
注入終点アセンブリは、プランジャが注入トラベル方向の許容範囲の限界に達し、前記注入トラベル方向とは異なるトラベル方向に移動することが防止されたときに注入終点のシグナリングを可能にするようにさらに構成される。
【0011】
本明細書で使用される場合、「注入トラベル方向の許容範囲の限界」という表現は、中空の細長いシリンジ本体内でシリンジ本体の長手方向軸線に沿ったプランジャの許容された、所定の、予め構成された最大トラベル長さに関するものとして理解されるべきである。一般に、注入トラベル方向の許容範囲のそのような最大限界は、シリンジ本体の長さと、プランジャの遠位端に位置し、シリンジ本体の遠位端でシリンジ本体の内面と当接接触するストッパとの両方によって規定される。これが起こると、シリンジ本体内に残っている注入可能な物質はほとんどまたは実質的にない。シリンジ内の注入可能な物質に対するプランジャの注入トラベル方向の許容範囲の所定の、または予め構成された限界は、それ自体十分に文書化され、当業者に知られている。
【0012】
さらに、注入トラベル方向は、注入可能な物質の注入中にプランジャがトラベルする方向を指すと理解されるべきである。一般に、このトラベル方向は、当業者に一般的に知られているように、注射可能な物質を排出するために、シリンジ本体の遠位端に向かって実質的にまたは完全に遠位方向にあり、これは、そのようなプレフィルドシリンジの一般的な使用パラメータに対応する。
【0013】
上記の目的で述べたように、注入終点アセンブリは、プランジャが注入トラベル方向の許容範囲の限界に達する前に注入終点のシグナリングを防止するように構成される。この表現は、プランジャが注入トラベルの最大限界まで移動されるか、換言すれば、注入可能な物質の注入がすべての意図および目的に対して完了しなければならないときまで、電荷または電流が終点アセンブリ内を流れることを可能にする電気的接続の確立が物理的に防止されるように注入終点アセンブリがオーガナイズされることを意味すると理解されるべきである。これが達成され得るいくつかの方法は、本発明の有利なまたは好ましい目的として以下に記載される。
【0014】
したがって、1つの目的によれば、上記は、注入点のシグナリングを可能にするように構成された変位可能な、すなわち可動の電気接点を終点シグナリングアセンブリに設けることによって達成され得る。そのような変位可能な電気接点は、様々な異なる形態、例えば、単純なスイッチ機構、バイアスされた、もしくは拘束された導電性金属ストリップなど、または好適には可動導電性表面をとることができる。変位可能な、すなわち可動な電気接点は、一般に、電気接点が相互作用する回路に電流が流れ得ない注入終点シグナリング内の第1の位置から、電気接点が作られて電気接点が相互作用する回路に電荷または電流が流れることを可能にする注入終点シグナリングアセンブリ内の第2の位置まで、可動であるすなわち変位するように構成される。
【0015】
さらに別の目的によれば、好適には、変位可能な、すなわち可動の電気接点は、電気接点が確立されていない第1の非接触位置から電気接点を確立する第2の接触位置まで、注入トラベル方向とは異なる方向に、電気接点アプリケータの並進運動を介して電気接点を確立する。電気接点アプリケータは、注入終点シグナリングアセンブリ内に配置された電気回路の電気的ギャップまたは電気的に絶縁された領域に電気接点をもたらすか、または電気接点を印加し、それによって回路を閉じ、例えば、回路に電流が印加されるか、または回路が回路内に電流を流すように通電されたときに、電流または電荷が流れることを可能にするための手段である。
【0016】
さらなる目的によれば、好適には、接点アプリケータは、プランジャの長手方向軸線に実質的に平行な並進運動を介して可動すなわち変位可能である。あるいは、電気接点アプリケータは、プランジャの長手方向軸線の周りの回転運動によって、および/または並進運動と回転運動との組み合わせによって移動または変位させることができる。これらの変形例のすべてにおいて、電気接点アプリケータの変位運動は、注入トラベル方向の変位運動とは異なる方向、好ましくは注入トラベル方向と実質的に反対の方向にある。ほとんどの場合、これは、プランジャの注入トラベルの遠位方向とは対照的に、電気接点アプリケータが近位方向に移動することを意味する。
【0017】
またさらなる目的によれば、好適には、電気接点アプリケータは導電性表面を備える。そのような導電性表面は、例えば、化学的であれ物理的であれ、積層、埋め込み、堆積、エッチング、彫刻、ドーピングなどの当業者に知られている様々な技術のいずれかによって、そのような表面内またはそのような表面上に分布する導電性材料を有用に含むことができる。特に好適な実施形態では、電気接点アプリケータ上に配置された導電性表面は、炭素または金属粒子を含む。この導電性表面は、アプリケータが適切な位置に移動されると電気接点を形成し、接触位置にないとき、注入終点シグナリングアセンブリ内に配置された電気回路内で電流または電荷が流れることを可能にする電気接点の確立を防止する。
【0018】
さらに別の目的によれば、接点アプリケータはプランジャヘッド内に配置される。接点アプリケータは、実質的に任意の位置で適切に機能するように位置決めおよび構成され得るが、これにより、特に回路がプランジャヘッド内またはプランジャヘッドに隣接して設けられている場合に、終点シグナリングアセンブリに含まれる電気部品のサイズの全体的な縮小、およびさらには単純化の両方が可能になるため、電気接点アプリケータをプランジャヘッド内に配置することが特に好適であることが分かっている。さらに、電気接点アプリケータの並進、回転、またはその両方の動きは、それに応じて短い距離に制限され、デバイスの全体的な正確さおよび精度を改善し、十分に安定した電気接点を確立するための潜在的な故障のリスクを低減することができる。
【0019】
別の目的によれば、注入終点シグナリングアセンブリは、注入トラベル方向の許容範囲の限界に達すると、プランジャが注入トラベル方向とは異なるトラベル方向に移動するのを防止するように構成されたプランジャトラベルロック手段を備える。プランジャトラベルロック手段は、ユーザが注入トラベル方向とは異なる方向、例えば注入トラベル方向とは逆方向または反対方向にプランジャをうまく移動させることを防止または実質的に防止するように設計および構成される。プランジャを移動させるために過剰な力を加え、それによって注入終点アセンブリによって行われるシグナリングに潜在的に影響を与えようとすると、プレフィルドシリンジデバイスが再び機能することができなくなる程度の損傷をプレフィルドシリンジデバイスに引き起こす。
【0020】
さらに別の目的によれば、変位可能な電気接点は、プランジャトラベルロック手段が係合されるのと同時に電気接点を形成する。言い換えれば、注入終点アセンブリの様々な構成要素は、プランジャトラベルロック手段が作動または係合されてプランジャ内のトラベル方向が注入トラベル方向とは異なることを防止すると同時に、変位可能なすなわち可動の電気接点が注入終点アセンブリ内の、例えばプランジャヘッド内またはプランジャヘッドに隣接する導電位置に移動するように配置および構成される。
【0021】
さらに別の目的によれば、好適な実施形態では、プランジャトラベルロック手段は、プランジャ本体に接続された少なくとも1つの半径方向外側に突出するタイン、または複数の半径方向外側に突出するタインを備える。突出したタインを、プランジャ本体に、例えばプランジャ本体のほぼ近位領域に直接形成することができ、あるいは、同様に好適には、中間接続手段を介してプランジャ本体に間接的に接続することができる。
【0022】
さらに別の目的およびさらなる好適な実施形態によれば、1つまたは複数の半径方向外側に突出するタインは、弾性的に変形可能なアームまたは対応する複数の弾性的に変形可能なアームを介してプランジャ本体に接続される。そのような実施形態では、弾性的に変形可能なアームは、好適には、プランジャ本体自体と同じまたは同様の材料で作られ、プランジャ本体の遠位に位置する領域からプランジャ本体の近位端に向かって近位方向に延びることができる。アームは、ほぼ半径方向に弾性的に変形可能または弾性的であり、これは、アームに加えられた半径方向の力に応じて、プランジャ本体に向かって移動するか、またはそのような半径方向にプランジャ本体から離れるように移動することができることを意味する。これにより、例えば、プランジャ本体の外側の周りから半径方向の力が加えられたときにアームを圧縮することができ、その場合、そのような半径方向の力は、一般にガラスまたはポリカーボネートなどのかなり剛性の非弾性材料、または例えば注入中にプランジャ本体がシリンジ本体を通って押されるときに当技術分野で知られている他のそのような結晶性または多結晶性材料で作られたシリンジ本体によって加えられるなど、プランジャ本体に向かって内側に作用する。アームの弾性変形はさらに、ユーザがプランジャのトラベル方向を反転させようとする場合に、アームがプランジャ本体から半径方向外側に移動することを可能にする。アームが半径方向に突出するタインをプランジャ本体に接続すると、プランジャ本体をシリンジ本体から近位方向に引き抜こうとすると、これらのタインは半径方向外側に移動し、タインは、シリンジ本体および/またはそのようなタインを受容するように構成された注入終点アセンブリの領域のいずれかに対してロックを形成する。
【0023】
さらに別の目的によれば、注入終点シグナリングアセンブリは、プランジャが注入トラベルの方向に移動するときに接点アプリケータと係合し、前記注入トラベル方向とは異なる方向に接点アプリケータを変位させるように構成された変位手段をさらに備える。変位手段は、電気接点アプリケータが第1の電気的に非接触の位置から第2の電気接点確立位置に変位または移動する手段である。以下に説明するように、信頼性が高く複雑でない解決策を優先して、そのような構成を提供するための様々な動作上の代替案が想定される。
【0024】
したがって、さらに別の目的では、変位手段は、中空シリンジ本体のカラー上に少なくとも部分的に配置されるか、またはカラーに一体化される。例えば、変位手段を、例えば、変位手段を接着または固定することによって、中空シリンジ本体のカラー上に別々に固定して位置決めおよび配置することができ、あるいは、例えばシリンジ本体の成形プロセス中に、カラーの一部として直接一体化することができる。
【0025】
さらに別の目的によれば、好適には、変位手段は、中空シリンジ本体のカラーに取り外し可能に取り付けられたシリンジバックストップ上に配置される。シリンジバックストップの概念を以下に説明する。シリンジバックストップは、一般に人間工学的に成形された翼を有するシリンジ本体の外側に突出したカラーを拡大する。シリンジバックストップの主な目的の1つは、ユーザの指を受け入れる予定の面積が増加したため、シリンジの取り扱いを容易にすることである。これは、粘性物質を投与する場合、または物質、例えば薬物が注射されている組織が薬物の注射に対する対抗抵抗を生成する場合に特に有用である。シリンジバックストップはまた、注入時にユーザが把握できるより大きな表面積を提供することにより、運動能力が低下しているユーザによるシリンジの使用を容易にする。今日販売されているほとんどのバックストップは、プラスチック材料で作られており、シリンジ本体の外向きに突出するカラーまたはフィンガフランジに手動でクリップ留めされており、したがって、通常、様々な既知のカラー形状と適合するように成形されている。そのようなバックストップは、一般に、2つを挙げると、Gerresheimer(Gx(登録商標)バックストップ)およびBecton Dickinson(BDバックストップ)などの会社を介して異なる商品名で入手可能である。
【0026】
上述したように、変位手段は、シリンジバックストップ上に配置されてもよく、またはシリンジ本体のカラーに直接一体化されてもよく、または固定されてもよく、変位手段は、隆起した弓形プロファイルを含む。すべての変形例において、変位手段は、一般に、カラーの近位面、またはシリンジバックストップの近位面の上に持ち上げられ、したがって前記表面から近位方向に突出する突出面を備えるように配置される。好適には、隆起した突出面は、カラーの近位面またはシリンジバックストップの近位面のいずれかに、プランジャの長手方向軸線の周りに同軸に配置される。隆起プロファイルは、様々な構成、例えば隆起物の連続または非連続領域を有することができ、カラーまたはシリンジバックストップの近位面上に様々な幾何学的または非幾何学的配置で位置し、エラストマーまたは弾性材料、例えば、シリコーンエラストマーまたは圧縮に対する適切な弾性および/または機械的抵抗を有する別のポリマー材料で作製される。
【0027】
好ましくは、好適には、隆起プロファイルは、実質的に弓形の形状を有する。変位手段を構成する材料の実質的に弓形は、弓形の材料の本体から規則的または不規則な間隔で突出するスパーでさらに構成され得、シリンジの近位端から長手方向軸線に沿ったときに突出面に実質的に蛇行した外観を与える。突出したスパーは、許容された注入トラベル限界に達したときに、長手方向軸線の周りのプランジャヘッドの位置決めおよび回転の方向づけを容易にする。したがって、変位手段は、シリンジ本体カラーまたはバックストップに対して固定された関係にあり、近位方向に突出する。プランジャヘッドは、注入トラベル中に遠位方向に移動され、その結果、プランジャヘッドがその許容されたトラベル距離の終わり近くに開始すると、変位手段の突出した隆起プロファイルと接触する。プランジャヘッドをその許容された最大注入トラベル距離まで前進させ続けることにより、変位手段はプランジャヘッドとさらに係合し、電気接点アプリケータを注入トラベル方向とは異なる方向に、好ましくはプランジャの長手方向軸線に沿って平行に、第1の電気的に非接触な位置から、プランジャヘッド内に位置する回路の絶縁領域または電気的ギャップへの導電性表面の適用を通じて電気接触が確立される第2の位置まで並進運動に続いて移動させる。電気回路の閉鎖は、例えば、近距離通信ユニットなどの通電可能な通信ユニットが回路に含まれている場合に、電流または電荷が回路に流れることを可能にする。
【0028】
さらに別の目的によれば、プランジャトラベルロック手段は、少なくとも一対の協働する対向する当接面を備える。少なくとも一対の協働する対向する当接面はそれぞれ、材料のそれぞれのリッジ部分、例えばリッジ部分が属する要素または部材の材料と同じ材料であり得る隆起した材料の環状部分を含むか、あるいは材料のリッジ部分を、例えば接着、溶接、様々な他の標準的な接着方法、再成形などによって、問題の要素に追加することができる。
【0029】
さらに別の目的によれば、第1の協働する当接面は、シリンジバックストップの突出壁の内面に配置され、第2の協働する当接面は、プランジャヘッドの外面に配置される。好適には、プランジャヘッドの外面は、以下により詳細に説明するように、プランジャヘッドを実質的に覆うプランジャヘッドキャップである。
【0030】
別の目的によれば、注入終点アセンブリは、無線通信ユニットをさらに備える。そのような無線通信ユニットはそれ自体既知であり、多くの場合、様々な既知の通信プロトコルを実装する1つまたは複数の既知の技術を含む。
【0031】
例示的な無線技術は、「Wi-Fi」としても知られるIEEE802.11a、b、g、n、ac、axなどの規格、GSM、CDMA、GPRS、3G、EDGE、4G、W-CDMA、CDMA2000、HSPDA、LTE、5Gなどのセルラ無線周波数通信プロトコル、ZigBee、Bluetooth、TransferJet、IrDA、RFID、ワイヤレスUSB、DSRC、近距離無線通信(NFC)などの低電力短距離無線通信によってカバーされるか、またはそれらを実装するものである。
【0032】
したがって、さらに別の目的によれば、無線通信ユニットは近距離無線通信(NFC)回路である。RFID技術の派生または進化としての近距離無線通信(NFC)技術は、当業者に周知である。これは、国際規格ISO/IEC14443およびISO/IEC18000-3に詳細に記載されており、前者はNFC IDタグに見られるような情報を記憶するために使用されるIDカードの機能を規定し、後者はNFC搭載デバイスによって使用されるRFID通信を規定する。前の文に示されているように、NFCの基礎は、無線周波数識別、すなわちRFID技術において見出されるべきであり、この技術は、電力を供給し、かつ電力が供給されていないか、すなわち通電されていない、電波を使用するパッシブ電子タグと通信するための適切に装備されたハードウェアを提供する。
【0033】
したがって、本発明で使用されるNFC回路は、例えば、注入可能な物質の種類、単位用量、濃度、有効期限などの情報のセット、およびそのようなNFC IDタグの制限内で適切に記憶することができる任意の他の有用なまたは必要な情報を記憶するパッシブIDタグを備える。NFC回路はまた、NFC回路が通電されるとスマートフォンなどの別のNFC対応デバイスと前記情報を交換することを通常可能にする適切かつ対応する通信構成要素を備える。NFC回路の一部を形成するアンテナも設けられ、NFCプロトコルの所与の機能周波数の電波を捕捉し、それによって回路に通電する。
【0034】
別の目的によれば、好適には、近距離無線通信回路はプランジャヘッド内に位置する。好適には、近距離無線通信回路は、電気接点が確立されたときにのみ通電することができる。NFC回路および接点アプリケータの機能の前述の説明から、接点アプリケータは、接点アプリケータが通信ユニット内で電気接点を確立していない限り、通電電荷がNFC回路内を流れることができず、それによってNFC IDタグ情報が他のNFC搭載デバイスとのシグナリング、通信、または交換ができないように構成されることが容易に理解されよう。このようにして、本発明によるアセンブリの通信ユニットは、接点アプリケータが適切な位置にあり、NFC回路を電気的に閉じるまで非アクティブまたは無効のままである。例えば、接点アプリケータが導電性表面を備える場合、NFC回路は、接点アプリケータの導電性表面が回路を電気的に閉じる位置にあるとき、例えば、NFC回路に設けられたギャップまたは絶縁領域との導電性表面の面間接触によってのみデータを通信することができ、それにより、NFC回路の通電時にNFC回路内に電荷が流れることを可能にする。他のすべての状況では、スイッチは開いたままであり、したがって、NFC回路内に電荷が流れることはできず、したがって、例えば偶然に通電が発生したとしても、IDタグからの情報をNFC回路によってNFC搭載デバイスに通信することはできない。
【0035】
別の目的によれば、注入終点シグナリングアセンブリは、電気接点が確立されたとき、およびプランジャが注入トラベル方向の許容範囲の限界に達したときに、プランジャヘッドの改ざんを防止するように構成された改ざん防止手段をさらに備える。ほとんどの市販のプレフィルドシリンジでは、注入が完了していても、プランジャヘッドはシリンジ本体カラー、または存在する場合はバックストップを越えて突き出る。これは、ユーザがヘッドを引っ張ることによって、または近位方向に近位牽引力を加えることによって、プランジャの通常のトラベル方向を強制的に反転させようとする機会を提供する。したがって、アセンブリには、そのようなシナリオを防止するための改ざん防止手段が設けられている。
【0036】
1つの目的によれば、改ざん防止手段は、プランジャの長手方向軸線の周りで変位手段の半径方向外側に位置し、近位方向に突出する壁を備える。好適には、突出壁は、プランジャがその許容距離または注入トラベル長さをトラベルしたときに、プランジャヘッドの近位面に隣接してまたはほぼ面一に位置する近位端を有する。突出壁の近位端とプランジャヘッドの近位面との実質的な位置合わせは、ユーザが、偶然であろうと意図的であろうと、そのような近位方向の牽引を及ぼすことを防止し、さらに、シリンジの残りの部分からそれを外すための誤った誘導の試みにおいてプランジャヘッドのいかなる回転も防止する。さらにより好適には、プランジャヘッドの近位面は、前記近位面の周縁部で丸みを帯びており、ユーザが終点シグナリングアセンブリを分解しようとする可能性をさらに少なくする。
【0037】
別の目的によれば、プランジャヘッドは、その近位端でプランジャロッドから半径方向外側に延在し、前記プランジャヘッドプレートの周縁から近位方向に延在する環状壁を有する実質的に円形のプランジャヘッドプレートによって画定され、近位開口部を有する近位ウェルを形成する。環状壁の高さは、電気接点アプリケータを完全に収容し、位置決めし、例えば電気的に非接触の位置から電気接点の位置への移動を可能にするのに十分である。
【0038】
別の目的によれば、NFC回路を含む通信ユニットは、例えば、近位プランジャヘッドキャップ内に快適に嵌合するかまたはそれに一体化されるのに適したサイズおよび寸法の小さなプリント回路基板に有用に一体化され得る。近位プランジャヘッドキャップは、例えば、プランジャヘッドのウェルを形成する周辺環状壁の内面に設けられた適切に構成されたねじ山と協働して係合するねじ山付き継手を介してウェル開口部を閉じる。近位キャップへのNFC回路の一体化は、例えば、NFC回路の周りに適切な成形を行うことによって達成され得、次いで、このキャップは、例えば説明したようにねじ山を使用して、あるいはキャップがキャップから近位方向に突出し、プランジャヘッドプレートの位置を越えて遠位に延びる周辺環状壁を有する、キャップとウェルとのスナップ嵌合またはプッシュ嵌合結合部を使用してプランジャヘッドに設けられたウェルに挿入される。換言すれば、そのような構成では、プランジャヘッドキャップの遠位方向に延在する環状壁は、プランジャヘッドウェルを形成する環状壁の高さよりも高い高さを有し、許容された注入トラベル距離に達すると、遠位方向に延在する周辺環状壁の遠位当接面を介して、シリンジバックストップの近位面に当接するようになっている。
【0039】
簡潔には、注入終点アセンブリは、以下のように機能するように設計される。
【0040】
中空シリンジ本体のボアの上方に位置するプランジャヘッドのキャップは、NFC回路との通信ユニットを収容する。この回路は、回路内に電気的絶縁またはギャップが設けられているため、最初は非活性化状態にある。その結果、注入終点アセンブリと位置合わせデバイスとの間に通信を確立することができず、電気的絶縁またはギャップが克服され、電気接点が再確立されて電荷が再確立された回路を通過することが可能になるまで、NFC回路からデータを渡すことができない。したがって、NFC搭載デバイスがプランジャヘッドに接近しても、またはその逆にシリンジがスマートフォンなどの対応するNFC搭載デバイスに接近しても、NFC回路の通電はNFC回路を作動させない。したがって、接点アプリケータの位置決めを介して電気接点が確立されるまで回路が開くと、パッシブIDタグに格納された情報の通信は発生し得ない。
【0041】
プレフィルドシリンジが使用されるとき、プランジャヘッドは、キャップを介して既知の方法で押圧され、プランジャロッドを中空シリンジ本体の長手方向軸線に沿って移動させ、その中に含まれる注入可能な物質を注入または排出させる。プランジャが所定の許容されたトラベル距離の終わりに達すると、プランジャヘッドは、弾性的なまたは弾性的に変形可能なアームおよび半径方向に突出するタインによって注入終点位置にロックされる。
【0042】
同時に、プランジャヘッドが変位手段と接触すると、変位手段は係合し、電気接点アプリケータを近位方向に並進させ、その結果、プランジャがロック位置にあるとき、接点アプリケータは電気接点位置になり、回路を閉じ、電荷または電流が流れる可能性がある。したがって、スマートフォンをプレフィルドシリンジのプランジャヘッドの上に通すことによって、またはその逆に、プレフィルドシリンジのプランジャヘッドをスマートフォンの上に通すことによってなど、NFC回路が別のNFC搭載デバイスによって現在通電されている場合、IDタグに格納された情報の通信が行われ、それによって注入の終点が達成されたことをシグナリングするまたは他の方法で示すことができる。
【0043】
上記の他の目的に加えて、本明細書に記載のプレフィルドシリンジに装着して使用するように適合され構成された部品のキットがさらに提供され、部品のキットは、本出願に記載され提供される注入終点シグナリングアセンブリを含む。そのような部品のキットは、任意の所与の製造業者の仕様に従って、本明細書に記載の終点シグナリングアセンブリを複数の異なるプレフィルドシリンジに適合させることを可能にする。
【0044】
ここで、本発明を、本発明の様々な実施形態の例示を目的として提供される図面に関連してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明による注入終点シグナリングアセンブリを備えたプレフィルドシリンジの概略斜視図である。
図2図1によるプレフィルドシリンジおよび注入終点シグナリングアセンブリの近位端の概略部分破断図である。
図3】初期使用準備完了位置でプレフィルドシリンジに取り付けられた図1による終点シグナリングアセンブリの概略断面図である。
図4】注入開始時の本発明による注入終点シグナリングアセンブリの概略断面図である。
図5図4の終点シグナリングアセンブリの近位端の概略拡大断面図である。
図6】注入終了時の本発明による注入終点シグナリングアセンブリの概略断面図である。
図7図6の終点シグナリングアセンブリの近位端の概略拡大断面図である。
図8】注入開始時の位置における本発明による注入終点シグナリングアセンブリのための代替的なロック手段の概略断面図である。
図9】注入終了時の位置における本発明による注入終点シグナリングアセンブリのための代替的なロック手段の概略断面図である。
図10】注入の開始時における、図8の注入終点シグナリングアセンブリの代替的なロック手段を表す図である。
図11】注入の終了時における、図9の注入終点シグナリングアセンブリの代替的なロック手段を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここで図面を参照すると、プレフィルドシリンジ(1)が図1および図3に示されている。プレフィルドシリンジ(1)は、近位端(3)および遠位端(4)を有する細長い中空シリンジ本体(2)を有し、近位端(3)に第1の開口部(5)と、前記第1の開口部(5)の周りで前記近位端(3)の中空シリンジ本体(2)の外側に突出するカラー(6)またはフランジとを有する。針キャップ(図示せず)によって覆われた注射針(図示せず)は、通常、中空の細長いシリンジ本体(2)の遠位端(4)に取り付けられ、前記遠位端(4)で中空の細長いシリンジ本体(2)の第2の遠位開口部(7)を閉じる。液体または泡の薬物などの制御された量の注入可能な材料(図示せず)が、シリンジ構成要素の組み立て中に中空体(2)に導入される。
【0047】
プランジャ(8)は、中空シリンジ本体(2)の近位端(3)および対応する近位開口部(5)を介して中空の細長いシリンジ本体(2)に挿入されるように構成され寸法決めされ、プランジャ(8)は、プランジャ本体(9)の遠位端(11)に配置されたストッパ(10)を備えるプランジャ本体またはロッド(9)を有する。ストッパ(10)は、既知の方法で、例えば、プランジャ本体(9)の遠位端(11)にねじ山付き突起(12)を設け、近位端(14)でストッパ(10)の内側に対応するねじ山付きボア(13)を設けることによって、プランジャ本体(9)に接続され得る。プランジャ本体(9)は、前記プランジャ本体(9)の近位端(16)に配置されたプランジャヘッド(15)をさらに有する。プランジャ(8)およびシリンジ本体(2)は、シリンジ本体(2)の中心長手方向軸線(17)に沿って実質的に長手方向に整列している。
【0048】
プランジャヘッド(15)は、プランジャ本体(9)の近位端(16)から半径方向外側に延びる実質的に円形のプレート(18)を有する。周辺環状壁(19)は、プレート(18)上に配置され、プレート(18)から近位方向に延びてウェル(20)を形成する。ウェルは、ウェル(20)の周辺環状壁(19)の近位端に配置されたディスクとして図に示されているNFC回路を備える通信ユニット(21)によってその近位端で閉じられる。
【0049】
プランジャキャップまたはカバー(22)は、ウェル(20)を閉じ、ウェル(20)と通信回路(21)の両方を覆い、プランジャキャップ(22)には、キャップ(22)がウェル(20)から脱落または離脱するのを防止するための嵌合手段(23A,23B)、例えば、キャップ(22)の遠位に突出する環状壁(24)の内面に設けられた環状溝(23A)と、ウェル(20)のプレート(18)から突出する周辺環状壁(19)の外面に設けられた対応する嵌合環状リッジ部(23B)とからなるプッシュ嵌合またはスナップ嵌合結合部が設けられている。
【0050】
注入終点アセンブリは、シリンジ本体(2)のフランジまたはカラー(6)上に配置されたバックストップ(25)をさらに備える。ほとんどの市販のバックストップ(25)は、シリンジ本体を受け入れるように適合され、カラー(6)へのバックストップ本体のクリップ嵌合またはプッシュ嵌合を可能にするように構成された中央開口部を有するディスク形状本体を備える。この目的のために、バックストップは一般に、対応する着座溝(26)と、バックストップ(25)が取り付けられるシリンジのタイプに応じて様々な異なる形状のカラー(6)に適切に嵌合されることを可能にする成形されたショルダまたは他の突起とを備える。本実施例では、バックストップ(25)は、バックストップ本体から近位方向に延在し、近位端(28)で終端する実質的に環状の周壁(27)をさらに備え、これは改ざん防止手段として機能するように意図されており、本明細書でより詳細に説明する。
【0051】
また、図1図2、および図3には、例えば堆積または成形によって、遠位方向に突出する隆起プロファイル(30)としてここで例示されている変位手段(30)が取り付けられているかまたは一体化されているバックストップ(25)の近位面(29)も見える。隆起プロファイル(30)は、バックストップ本体の中央開口部の周りに実質的に弓形の形状であり、したがって、長手方向軸線(17)の周りに半径方向に配置される。図示の例における変位手段(30)の隆起プロファイルは、実質的に連続しており、隆起プロファイルから外側に突出するスパー(31A,31B,31C)を設けることができ、変位手段に全体的な蛇行形状を与える。
【0052】
変位手段(30)は、プレート(18)および周辺環状壁(19)によって形成されたウェル(20)内に配置された電気接点アプリケータ(32)の変位の主な機能を提供する。電気接点アプリケータ(32)は、長手方向軸線(17)と同軸に整列した、ディスクまたはプレート(33)などの可動の、好ましくは並進可能な部材である。ディスク(33)は、長手方向軸線(17)と整列している中央ロッド(34)に取り付けられ、このロッド(34)は、プレート(18)の底部からプランジャ(8)の本体(9)内へ近位方向に延びるボア(35)内に摺動可能に配置される。ロッド(34)およびボア(35)の寸法は、ロッドがボア内でそれ自体の自由運動で摺動できないように構成され、むしろロッド(34)は、ボア(35)内で摺動可能になるように力を加えることによって移動するように拘束されなければならない。中央ロッド(34)はまた、ディスク(33)の近位面の上方で近位方向に延在して、少なくとも1つの近位電気接触面(36)を提供し、これは、導電層、例えば堆積炭素の層、または導電性材料の要素形態もしくはマトリックスとしての導電性金属を含むことができ、近位面上に堆積されるか、またはそれに一体化される。所望または適切であれば、ディスク(33)から近位に延在する対応する突起上の中央電気接触面(36)の半径方向に位置する1つまたは複数の周辺位置に、少なくとも1つの代替またはさらなる電気接触面を任意選択的に設けることができる。
【0053】
第1の位置では、図3のようにプレフィルドシリンジが使用準備完了状態にあるとき、または図4および図5に示すように注入の開始時に、電気接点アプリケータ(32)は、ウェルの底部に着座した第1の電気接触なしの位置にあり、ロッド(34)は、ロッドの遠位端がボア(35)の遠位端の近位対向面にほぼ接触するように実質的にボア(35)内に延在する。アプリケータ(32)の着座は、プレート(18)に設けられた開口部(38)を通ってロッド(34)に対して半径方向に離間した関係でディスク(33)から遠位に延在する突起(37)によってさらに提供され得る。この位置では、ディスク(33)から延在する遠位に面する突起(37)は、変位手段(30)の隆起プロファイルと整列して位置するが、変位手段から物理的に離間している。
【0054】
ディスク形状の回路基板と、回路基板に含まれるIDタグを含むパッシブNFC回路と、例えば、NFC回路の周りに螺旋状に分布し、回路基板の周縁部の周りに配置されたアンテナとを一般に備える通信ユニット(21)はまた、回路基板の遠位面、例えば、回路基板の中央位置に、長手方向軸線(17)および電気接触面(36)の両方と軸線方向に整列して設けられた、または代替的におよび/または追加的に、回路基板の周縁部に設けられて、ディスク(33)から延びる近位に面する突起に設けられた代替的および/または追加的な電気接触面と整列する電気的ギャップまたは絶縁領域を有する。図3に示すこの初期使用準備完了位置では、または図4および図5に示す注入の開始時に、回路は開状態のままであり、NFC回路を有する適切に搭載されたスマートフォンのアプローチなど、印加されたRF通電が存在しても、回路内の電荷または電流の流れを防止する。
【0055】
図3図4および図5は、プランジャ(9)に設けられたプランジャトラベルロック手段(39)の存在をさらに示している。プランジャトラベルロック手段(39)は、プランジャ本体(9)に接続された少なくとも1つの半径方向外側に突出するタイン(40)、または複数の半径方向外側に突出するタインを備える。突出したタインを、プランジャ本体に、例えばプランジャ本体のほぼ近位領域に直接形成することができ、あるいは、同様に好適には、図に示すようにアーム(41)などの中間接続手段を介してプランジャ本体に間接的に接続することができる。アーム(41)は、弾性変形可能である。そのような実施形態では、弾性的に変形可能なアームは、好適には、プランジャ本体自体と同じまたは同様の材料で作られ、プランジャ本体(9)に設けられた肩部(42)などの遠位に位置する領域からプランジャ本体の近位端に向かって近位方向に延びることができる。アームは、ほぼ半径方向に弾性的に変形可能または弾性的であり、これは、アームに加えられた半径方向の力に応じて、プランジャ本体に向かって移動するか、またはそのような半径方向にプランジャ本体から離れるように移動することができることを意味する。図4および図5に示すように、注入の開始時に、プランジャ本体(9)がシリンジ本体のボア内に押し込まれ、シリンジ本体の比較的剛性の高い壁により、アーム(41)がプランジャ本体(9)に向かって半径方向内側に圧縮される。さらに、タイン(40)は、バックストップ(25)のディスク本体に設けられた近位方向に面する内向きの傾斜面(43)と接触し、近位方向に面する内向きの傾斜面は、カラー(6)を越えてシリンジ本体のボア内に少なくとも部分的に突出し、ロック肩部(44)を形成する。この状況は、特に図5に示されている。
【0056】
図6および図7は、注入終了時の注入終点シグナリングアセンブリの構成要素の相対位置を示している。さらなる注入圧力が加えられると、プランジャ本体(6)は遠位方向に移動し、アーム(41)の弾性変形と結合された内側に傾斜する肩部(43)の抵抗は、アームの変形を介してタイン(40)を半径方向内側に移動させ、それによってタインをロック肩部(44)の内側に傾斜する表面(43)上にシリンジ本体のボア内に押し込む。したがって、タイン(40)は、シリンジ本体の内壁に摩擦接触して当接するようになる。
【0057】
タイン(40)とシリンジ本体の内壁との間の摩擦接触は、一般に、プランジャ本体(9)に対する後退力が注入方向とは反対の方向に加えられた場合にプランジャ本体(9)の引き抜きを防止するのに十分である。しかしながら、これが起こり得ないことを確実にするために、少なくとも部分的にシリンジ本体のボア内に突出する内側に傾斜した表面(43)によって形成されたロック肩部(44)は、タイン(40)がロック肩部(44)の突出領域に当接するときにプランジャが引き抜かれるのを能動的に防止し、弾性的に変形可能なアーム(41)がタイン(40)を半径方向外側に移動させる自然な傾向は、ロック効果を高めるのに役立つのみである。したがって、注入の終了時に、アセンブリは、注入トラベル方向とは異なる方向に移動することが本質的に防止またはロックされる。
【0058】
注入中にプランジャ本体が遠位方向に移動すると同時に、プランジャ本体(9)のプレート(18)が変位手段(30)の隆起プロファイルに向かって移動する。注入がさらにトラベルすると、開口部(38)を通って遠位に延びる突起(37)が、変位手段(30)の隆起プロファイルと当接接触する。プランジャの連続的な遠位方向の移動は、ロッド(34)およびボア(35)の寸法決めのための労力に対する抵抗に打ち勝つのに十分な力を及ぼし、それにより、電気接点アプリケータ(32)のディスク(33)に固定的に接続された突起(37)は、接点アプリケータを第1の非接触位置から、注入トラベル方向とは反対の方向に、通信回路において電気的接続が確立される第2の位置に向かって移動または並進させる。プランジャが許容される注入トラベルの最大範囲に達すると、ディスク(33)は、遠位突起(37)と変位手段(30)の隆起プロファイルとの相互作用によって反対方向に移動され、これは導電性接触面(36)を回路内の電気的絶縁領域または電気的ギャップと接触させ、それによってその回路を閉じるのに十分である。
【0059】
したがって、この第2の位置では、電気接点が両方とも回路内に確立され、終点シグナリングアセンブリは所定位置にロックされ、プランジャ(8)と電気接点アプリケータ(32)の両方の偶発的または意図的な変位を防止する。回路を閉じることにより、パッシブNFC回路は、NFC搭載デバイス、例えばスマートフォンまたはタブレットまたは他のNFCリーダがプランジャヘッド(15)に十分に近接したとき、またはその逆に、現在空のシリンジのプランジャヘッド(15)がそのようなNFC搭載デバイスに近接したときなど、適切な外部無線周波数によって通電されたときに機能することができる。このようにしてパッシブNFC回路を通電すると、シグナリングを行うことができ、NFC回路のIDタグに格納されたデータを読み取ることができ、したがって注入終点をNFC搭載デバイスに適切にシグナリングすることができる。
【0060】
様々な図からも明らかなように、プランジャヘッドキャップ(21)の遠位方向に突出する環状壁(24)は、プランジャヘッドプレート(18)のレベルまたは位置を越えて遠位方向に延びる。この余分な距離は、注入終点シグナリングアセンブリに設けられ、特に図8図9図10および図11に示されるロック手段の代替実施形態において好適に使用される。同様の参照符号は、図1から図7の同様の対象物を示すために提供される。
【0061】
図8および図10は、注入開始時の注入終点シグナリングアセンブリを表す。図9および図11は、注入トラベルの最大許容距離に達したときの注入終了時の注入終点シグナリングアセンブリを表す。ここで図8および図10を参照すると、図1から図7に関して説明した実施形態間の最も顕著な違いは、プランジャ本体に設けられた半径方向に突出するタインおよび弾性的に変形可能なアームがないことである。図8から図11によって表される実施形態では、プランジャトラベルロック手段は、他の場所に位置する少なくとも一対の対向する当接面、特に近位方向に突出するバックストップ壁(27)の内面(46)に設けられた第1の当接面(45)によって提供される。この第1の当接面は、好ましくはバックストップの近位突出壁が形成される材料と同じである材料のリッジ部分または隆起部分を介して有用に提供されるが、代替的に、例えば溶接、接着、再成形などによって前記内面に追加される適切に弾性変形可能な材料または弾性材料のリッジ部分であってもよい。図8および図10では、リッジ部分は、キャップ(22)の遠位に突出する周辺環状壁(24)の遠位端(47)に、またはそれに隣接して配置される。第2の対向する当接面(48)は、キャップ(22)の外面に設けられ、好ましくはキャップ周辺壁および遠位方向に突出する壁が作られる材料と同じである材料のリッジ部分または隆起部分を介して有用に設けられるが、代替的に、例えば溶接、接着、再成形などによって前記外面に追加される適切に弾性変形可能な材料または弾性材料のリッジ部分であってもよい。図8および図10において、第2の当接面(48)は、第1の当接面(45)の上方に位置するが、第1の面のリッジ部分の近位対向面と当接接触するリッジ部分の遠位対向面を有し、この構成は、キャップをその方向に移動させるための適切な力を加えることなく、キャップが遠位方向に移動するのを防止する。
【0062】
注入されると、力がキャップ(22)に近位方向に加えられる。この力は、例えば、ユーザがキャップを押すときに十分に加えられると、第2の当接面(48)のリッジ部分の遠位当接面が、第1の当接面(45)によって対向される抵抗に打ち勝ち、第1の当接面のリッジ部分を通過して移動して注入をトラベルさせることを可能にする。注入が終了すると、プランジャおよび対応するプランジャヘッドは、注入トラベルの最大許容限界または距離に達している。図9および図11に示すように、この位置では、第2の当接面(48)は第1の当接面の近位に位置する。さらに、第2の当接面(48)のリッジ部分の近位面は、第1の当接面(45)のリッジ部分の遠位面と当接接触している。当接面は、プランジャおよびキャップが注入トラベル方向とは反対の方向に移動するのを防止し、それによって終点シグナリングアセンブリをロックする。電気接点アプリケータは、図1から図7について説明したのと同じ方法で移動され、これは、注入終了時に、電気接点が通信回路内のギャップまたは電気絶縁を閉じ、スマートフォンなどの適切に搭載された通電デバイスの手法による回路の通電によってシグナリングが行われることを可能にすることを意味する。さらに、キャップ(22)は、近位方向に突出するバックストップ壁(29)の近位端(28)に隣接するか、または同一平面にある近位面(49)を有し、丸みを帯びた角部(50)を備えることができ、これらは共に、プランジャキャップを掴んで近位方向の牽引力をその上に与えようとする試みを防止するための改ざん防止手段として機能する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11