(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】表示パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240830BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240830BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240830BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240830BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/33
G09F9/30 349C
G09F9/30 349Z
G09F9/00 342
G09F9/00 343
H01L33/58
(21)【出願番号】P 2022542450
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2022097370
(87)【国際公開番号】W WO2023221195
(87)【国際公開日】2023-11-23
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】202210541196.X
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 紅照
(72)【発明者】
【氏名】劉 浄
(72)【発明者】
【氏名】陳 昊
(72)【発明者】
【氏名】陳 林楠
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-529587(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0214838(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112099284(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103910728(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106405823(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109188821(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L33/00
33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられる発光層であって、複数の発光ユニットを含み、いずれか2つの前記発光ユニットの間に第1のギャップを有する発光層と、
前記発光層の前記基板から遠い側に設けられ、その内に複数の黒色の感光性粒子を有する調節構造と、を含む表示パネルであって、
前記表示パネルが点灯状態にある場合、前記発光ユニットの出射光は前記黒色の感光性粒子に照射され、前記黒色の感光性粒子は前記第1のギャップに対応する位置へ移動する、
表示パネル。
【請求項2】
前記表示パネルが消灯状態にある場合、前記黒色の感光性粒子は前記調節構造内に均一に分散されている、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記黒色の感光性粒子はベースと、前記ベースを取り囲む改質層とを含み、前記改質層の材料は光触媒特性を有する化学物質を含む、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記ベースの材料は黒色炭素粉末又はグラファイトを含む、請求項3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記改質層の材料はオキシヨウ化ビスマスを含む、請求項3に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記調節構造は、
前記発光層の前記基板から遠い側に設けられる第1の透明基板と、
前記第1の透明基板と対向して設けられ、前記第1の透明基板の前記基板から遠い側に位置する第2の透明基板と、
前記第1の透明基板と前記第2の透明基板との間に設けられる透明液体と、
前記透明液体を取り囲み、前記第1の透明基板と前記第2の透明基板との間に位置するフレームシール剤と、をさらに含み、
前記黒色の感光性粒子は前記透明液体に分散されている、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記第1の透明基板の材質はPETを含む、請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第2の透明基板の材質はPETを含む、請求項6に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記透明液体の材質はPVAを含む、請求項6に記載の表示パネル。
【請求項10】
各前記発光ユニットは、少なくとも1つの赤色LEDと、少なくとも1つの緑色LEDと、少なくとも1つの青色LEDとを含み、前記黒色の感光性粒子のそれぞれの感光エネルギーは前記赤色LEDが発光する赤色の光の光子エネルギーよりも小さい、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記基板の前記発光層に近い側の表面に設けられ、前記第1のギャップと個別に対応する複数の遮光ユニットをさらに含む、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記基板における前記遮光ユニットの投影と前記基板における前記第1のギャップの投影とは重なり合っている、請求項11に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記遮光ユニットの材質はエポキシ系遮光材料とシリカゲル系遮光材料のうちの一種又は複数種を含む、請求項11に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記基板と前記発光層との間に設けられる薄膜トランジスタ層をさらに含み、
前記発光層は前記薄膜トランジスタ層と電気的に接続される、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項15】
前記発光層と電気的に接続される駆動チップをさらに含む、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項16】
前記基板の材質はガラス板、プリント回路板、BT樹脂板及びアルミニウム板のうちの1つを含む、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項17】
表示パネルの製造方法であって、
基板に発光層を製造するステップであって、前記発光層は複数の発光ユニットを含み、いずれか2つの前記発光ユニットの間に第1のギャップを有するステップと、
前記発光層の前記基板から遠い側に調節構造を製造するステップであって、前記調節構造内に複数の黒色の感光性粒子を有し、前記表示パネルが点灯状態にある場合、前記発光ユニットの出射光は前記黒色の感光性粒子に照射され、前記黒色の感光性粒子は前記第1のギャップに対応する位置へ移動するステップと、
を含む、表示パネルの製造方法。
【請求項18】
前記表示パネルが消灯状態にある場合、前記黒色の感光性粒子は前記調節構造内に均一に分散されている、請求項17に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項19】
前記発光層の前記基板から遠い側に調節構造を製造するステップは、
第1の透明基板を提供することと、前記第1の透明基板に、前記第1の透明基板と共に収容チャンバーを形成するフレームシール剤を製造することと、前記収容チャンバーに透明液体を加えることと、前記透明液体に黒色の感光性粒子を加えることと、前記フレームシール剤の前記第1の透明基板から遠い側に、第1の透明基板、フレームシール剤、透明液体、黒色の感光性粒子と共に前記調節構造を形成する第2の透明基板を設けることとを含む、請求項17に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項20】
前記発光層の前記基板から遠い側に調節構造を製造するステップは、
モールドプレス、粘着、結合及び静電吸着のうちの1つのプロセスによって、前記調節構造を前記発光層の前記基板から遠い側に設けることをさらに含む、請求項17に記載の表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、表示の技術分野に関し、具体的には、表示パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、新型な表示の分野は、急速に発展しており、オールスクリーン又は超大スクリーンへのニーズが高まってきている。MLEDは、ミニ発光ダイオード(Mini LED)とマイクロ発光ダイオード(Micro LED)の総称であり、応答が速く、色域が広く、画素密度(PPI)が高く、エネルギー消費が少ないといった利点があるので、将来の表示技術の注目点へと発展していくことになる。
今のところ、Mini LEDとMicro LEDの技術、特にマストランスファー技術と発光ダイオード粒子の微小化は、比較的複雑である。現在のMLED表示パネルのプロセスは、バックプレーンの作製、ブラックオイルの作製、表面実装(Surface Mounted Technology、SMT)ピックアンドプレース、フリップチップフィルムのボンディング、組立て等の工程に大分されて完成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
SMTピックアンドプレースは、MLEDをバックプレーンに転送することを目的とし、主にローディング、ハンダペーストスクリーン印刷、ハンダペースト検査(Solder Paste Inspection、SPI)、LEDトランスファー、自動光学検査(Automatic Optic Inspection,AOI)、ハンダリフロー、AOI、自己修理機、封止、点灯エージング試験等の工程を含む。
【0004】
現在の封止手段は以下の二つがある。その一つは、黒色接着剤で面全体を封止させるものであり、このような手段では、出射光の50%が遮断され、表示パネルの輝度の低下をもたらしてしまい、また、黒色接着剤の表面が平坦ではなく、インク色の一様性が悪い。もう一つは、隣接する2つの発光ダイオードの間を封止させてから、面全体に透明エポキシ層を設けるものであり、このような手段では、黒色接着剤に凸凹があり、平坦性が悪く、製造プロセスが複雑で、場所によってコンストラストが異なり、また、透明エポキシ層に凸凹があり、場所によって光乱反射の程度が異なり、鑑賞体験に影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従来の表示パネルに存在する輝度が低く、封止テープの表面が平坦ではなく、コンストラストが低く、製造プロセスが複雑で、効率が低い等の問題を解決できる、表示パネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明は、基板と、前記基板に設けられる発光層であって、複数の発光ユニットを含み、いずれか2つの前記発光ユニットの間に第1のギャップを有する発光層と、前記発光層の前記基板から遠い側に設けられ、その内に複数の黒色の感光性粒子を有する調節構造と、を含み、前記表示パネルが点灯状態にある場合、前記発光ユニットの出射光は前記黒色の感光性粒子に照射され、前記黒色の感光性粒子は前記第1のギャップに対応する位置へ移動する、表示パネルを提供する。
【0007】
さらには、前記表示パネルが消灯状態にある場合、前記黒色の感光性粒子は前記調節構造内に均一に分散されている。
【0008】
さらには、前記黒色の感光性粒子はベースと、前記ベースを取り囲む改質層とを含み、前記改質層の材料は光触媒特性を有する化学物質を含む。
【0009】
さらには、前記ベースの材料は黒色炭素粉末又はグラファイトを含む。
【0010】
さらには、前記改質層の材料はオキシヨウ化ビスマスを含む。
【0011】
さらには、前記調節構造は、前記発光層の前記基板から遠い側に設けられる第1の透明基板と、前記第1の透明基板と対向して設けられ、前記第1の透明基板の前記基板から遠い側に位置する第2の透明基板と、前記第1の透明基板と前記第2の透明基板との間に設けられる透明液体と、前記透明液体を取り囲み、前記第1の透明基板と前記第2の透明基板との間に位置するフレームシール剤と、をさらに含み、前記黒色の感光性粒子は前記透明液体に分散されている。
【0012】
さらには、前記第1の透明基板の材質はPETを含む。
【0013】
さらには、前記第2の透明基板の材質はPETを含む。
【0014】
さらには、前記透明液体の材質はPVAを含む。
【0015】
さらには、各前記発光ユニットは、少なくとも1つの赤色LEDと、少なくとも1つの緑色LEDと、少なくとも1つの青色LEDとを含み、前記黒色の感光性粒子のそれぞれの感光エネルギーは前記赤色LEDが発光する赤色の光の光子エネルギーよりも小さい。
【0016】
さらには、前記表示パネルは、前記基板の前記発光層に近い側の表面に設けられ、前記第1のギャップと個別に対応する複数の遮光ユニットをさらに含む。
【0017】
さらには、前記基板における前記遮光ユニットの投影と前記基板における前記第1のギャップの投影とは重なり合っている。
【0018】
さらには、前記遮光ユニットの材質はエポキシ系遮光材料とシリカゲル系遮光材料のうちの一種又は複数種を含む。
【0019】
さらには、前記表示パネルは、前記基板と前記発光層との間に設けられる薄膜トランジスタ層をさらに含み、前記発光層は前記薄膜トランジスタ層と電気的に接続される。
【0020】
さらには、前記表示パネルは、前記発光層と電気的に接続される駆動チップをさらに含む。
【0021】
さらには、前記基板の材質はガラス板、プリント回路板、BT樹脂板及びアルミニウム板のうちの1つを含む。
【0022】
前記した課題を解決するために、本発明は、基板に発光層を製造するステップであって、前記発光層は複数の発光ユニットを含み、いずれか2つの前記発光ユニットの間に第1のギャップを有するステップと、前記発光層の前記基板から遠い側に調節構造を製造するステップであって、前記調節構造内に複数の黒色の感光性粒子を有し、前記表示パネルが点灯状態にある場合、前記発光ユニットの出射光は前記黒色の感光性粒子に照射され、前記黒色の感光性粒子は前記第1のギャップに対応する位置へ移動するステップと、を含む、表示パネルの製造方法をさらに提供する。
【0023】
さらには、前記表示パネルが消灯状態にある場合、前記黒色の感光性粒子は前記調節構造内に均一に分散されている。
【0024】
さらには、前記発光層の前記基板から遠い側に調節構造を製造する前記ステップは、第1の透明基板を提供することと、前記第1の透明基板に、前記第1の透明基板と共に収容チャンバーを形成するフレームシール剤を製造することと、前記収容チャンバーに透明液体を加えることと、前記透明液体に黒色の感光性粒子を加えることと、前記フレームシール剤の前記第1の透明基板から遠い側に、第1の透明基板、フレームシール剤、透明液体、黒色の感光性粒子と共に前記調節構造を形成する第2の透明基板を設けることとを含む。
【0025】
さらには、前記発光層の前記基板から遠い側に調節構造を製造する前記ステップは、モールドプレス、粘着、結合及び静電吸着のうちの1つのプロセスによって、前記調節構造を前記発光層の前記基板から遠い側に設けることをさらに含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、発光層に調節構造が設けられ、調節構造内に複数の黒色の感光性粒子が設けられ、前記表示パネルが点灯状態にある場合、前記発光ユニットの出射光は前記黒色の感光性粒子に照射され、前記黒色の感光性粒子は前記第1のギャップに対応する位置へ移動する。これによって、発光している発光ユニットでの黒色の感光性粒子は発光していない第1のギャップへ移動し、発光ユニットでの黒色の感光性粒子の含有量が減少し、発光ユニットでの輝度が向上される一方、第1のギャップでの黒色の感光性粒子の含有量が増加し、第1のギャップでの輝度が低下され、表示パネルのコンストラストがさらに向上される。
【0027】
本発明では、先行技術における発光層上の面全体の黒色接着剤を除去したため、先行技術に存在した輝度が低く、品質が悪いという問題を回避した。本発明では、先行技術における発光ユニット間のブラックオイルを除去したため、先行技術に存在したコンストラストが低く、製造プロセスが複雑で、効率が低い等の問題を回避した。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本出願の実施例における技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の記述に必要な図面を簡単に紹介するが、当然の事ながら、以下の記述における図面は、本出願の実施例の一部に過ぎず、当業者にとっては、これらの図面をもとにすれば、創造性のある労働をしないうえで他の図面も得られる。
【
図1】
図1は実施例1に係る表示パネルの消灯状態における構造の模式図である。
【
図2】
図2は実施例1に係る表示パネルの点灯状態における構造の模式図である。
【
図3】
図3は黒色の感光性粒子の構造の模式図である。
【
図4】
図4は実施例1に係る表示パネルの製造の工程図である。
【
図5】
図5は第1の透明基板にフレームシール剤を製造する模式図である。
【
図6】
図6は第1の透明基板とフレームシール剤とによって形成される収容チャンバーに透明液体を製造する模式図である。
【
図7】
図7は透明液体に黒色の感光性粒子を加える模式図である。
【
図8】
図8はフレームシール剤の第1の透明基板から遠い側に第2の透明基板を製造する模式図である。
【
図9】
図9は実施例2に係る表示パネルの消灯状態における構造の模式図である。
【
図10】
図10は実施例2に係る表示パネルの点灯状態における構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、明細書の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施例を詳細的に説明する。これによって、本発明の技術内容を当業者に完全に紹介し、例示して本発明が実施可能であることを証明し、本発明に開示された技術内容をより明らかにし、当業者は、本発明の実施方法をより容易に理解できる。しかしながら、本発明は、多数の異なる形式の実施例によって実現でき、本発明の保護範囲は、本明細書に提示された実施例のみに限定されておらず、後述する実施例の説明は、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【0030】
本発明において、例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」、「側面」などの方向を示す用語は、図面における方向を意味するに過ぎず、本明細書に用いる方向を示す用語は、本発明の保護範囲を限定するためのものではなく、本発明を解釈・説明するためのものである。
【0031】
図面において、構造が同一の部材に同一の符号を付し、各部位の構造又は機能が類似した部材に類似した符号を付すこととする。また、理解・記述の便宜上、図面に示された各部材の寸法や厚みは、任意に示されたものであり、本発明では、各部材の寸法と厚みが限定されていない。
【0032】
実施例1
本実施例は、表示パネル100を提供する。本実施例において、前記表示パネルはMini LED表示パネルである。他の実施例において、表示パネル100は、Micro LED表示パネルであってもよい。
【0033】
図1、
図2に示すように、表示パネル100は、基板1と、発光層2と、調節構造3と、を含む。
【0034】
基板1は、ガラス板、プリント回路板、BT樹脂板及びアルミニウム板のうちの1つを含む。本実施例において、前記基板1はガラス板である。
【0035】
本実施例において、前記表示パネル100は、薄膜トランジスタ層4をさらに含む。薄膜トランジスタ層4は、前記基板1と前記発光層2との間に設けられる。前記発光層2は前記薄膜トランジスタ層4と電気的に接続され、薄膜トランジスタ層4は主に、発光層2を駆動して発光表示させるために用いられる。
【0036】
他の実施例において、駆動チップを前記発光層2と電気的に接続させ、駆動チップによって発光層2を駆動して発光表示させてもよい。駆動チップはMicro ICであってもよいし、PM driver ICであってもよい。
【0037】
発光層2は、前記薄膜トランジスタ層4の前記基板1から遠い側の表面に設けられる。
【0038】
発光層2は、複数の発光ユニット21を含み、いずれか2つの前記発光ユニット21の間に第1のギャップ5を有する。各前記発光ユニット21は、少なくとも1つの赤色LED 211と、少なくとも1つの緑色LED 212と、少なくとも1つの青色LED 213とを含む。
【0039】
本実施例の前記表示パネル100は、複数の遮光ユニット6をさらに含む。遮光ユニット6は、前記薄膜トランジスタ層4の前記発光層2に近い側の表面に設けられ、前記第1のギャップ5と個別に対応する。即ち、前記第1のギャップ5のそれぞれにおいて、前記薄膜トランジスタ層4の前記発光層2に近い側の表面に遮光ユニット6が一つ設けられている。本実施例における前記基板1における遮光ユニット6の投影と前記基板1における前記第1のギャップ5の投影とは重なり合っている。遮光ユニット6はエポキシ系ブラックオイル、シリカゲル系ブラックオイル等の遮光材料であってもよい。
【0040】
調節構造3は、前記発光層2の前記基板1から遠い側に設けられる。前記調節構造3は、第1の透明基板31と、第2の透明基板32と、透明液体33と、フレームシール剤34と、複数の黒色の感光性粒子35とを含む。
【0041】
第1の透明基板31は、前記発光層2の前記基板1から遠い側に設けられる。本実施例において、第1の透明基板31の材質はPET樹脂である。これによって、調節構造3は良好な光透過率を有することを保証できる。他の実施例において、第1の透明基板31は、他の透明材料により製造されたものであってもよい。
【0042】
第2の透明基板32は、前記第1の透明基板31と対向して設けられ、前記第1の透明基板31の前記基板1から遠い側に位置する。本実施例において、第2の透明基板32の材質はPET樹脂である。これによって、調節構造3は良好な光透過率を有することを保証できる。他の実施例において、第2の透明基板32は、他の透明材料により製造されたものであってもよい。
【0043】
透明液体33は、前記第1の透明基板31と前記第2の透明基板32との間に設けられる。本実施例において、透明液体33の材質はPVA樹脂である。これによって、調節構造3は良好な光透過率を有することを保証できる。他の実施例において、透明液体33は、他の透明材料により製造されたものであってもよい。
【0044】
フレームシール剤34は、前記透明液体33を取り囲み、前記第1の透明基板31と前記第2の透明基板32との間に位置する。
【0045】
黒色の感光性粒子35は、前記透明液体33内に分散されている。
【0046】
図3に示すように、黒色の感光性粒子35は、ベース351と、前記ベース351を取り囲む改質層352と、を含む。本実施例において、前記ベース351の材料は黒色炭素粉末を含み、前記改質層352の材料はオキシヨウ化ビスマスを含む。他の実施例において、前記ベース351の材料はグラファイトを含んでもよく、前記改質層352の材料は光触媒特性を有する他の化学物質を含んでもよい。
【0047】
赤色LED 211の発光波長は一般的に、615~650nmであり、緑色LED 212の発光波長は495~530nm、青色LED 213の発光波長は450~480nmである。
【0048】
公式E=hc/λ(ただし、Eはエネルギーを示し、hはプランク定数、cは光の真空下の速度、λは波長である)によれば、赤色LED 211は、発光波長が最も長いので、放射する赤色の光の光子エネルギーが最も小さく、また、青色LED 213は、発光波長が最も短いので、放射する青色の光の光子エネルギーが最も大きく、また、他の色の波長は赤色の光の波長と青色の光の波長との間にあり、即ち、他の色の光の光子エネルギーは赤色の光の光子エネルギーと青色の光の光子エネルギーとの間にある。前記黒色の感光性粒子35のそれぞれの感光エネルギーは前記赤色LED 211が発光する赤色の光の光子エネルギーよりも小さいことにより、赤色LED 211が発光する赤色の光が黒色の感光性粒子35に照射される場合、黒色の感光性粒子35の照射された一面に得られるエネルギーと、照射されていない一面に得られるエネルギーとは等しくなくなり、黒色の感光性粒子35が移動するように励起される。他の光線の光子エネルギーはいずれも赤色の光の光子エネルギーよりも大きいことにより、黒色の感光性粒子35はいずれの色の光線からもエネルギーが得られ、光を避けて移動可能であることを保証できる。
【0049】
図1に示すように、前記表示パネル100が消灯状態にある場合、黒色の感光性粒子35は照射されておらず、黒色の感光性粒子35の表面に得られるエネルギーは一様であり、前記黒色の感光性粒子35は前記調節構造3内に均一に分散されている。
【0050】
図2に示すように、前記表示パネル100が点灯状態にある場合、前記発光ユニット21の出射光は前記黒色の感光性粒子35に照射され、前記黒色の感光性粒子35は前記第1のギャップ5に対応する位置へ移動する。これによって、発光している発光ユニット21での黒色の感光性粒子35は発光していない第1のギャップ5へ移動し、発光ユニット21での黒色の感光性粒子35の含有量が減少し、発光ユニット21での輝度が向上される一方、第1のギャップ5での黒色の感光性粒子35の含有量が増加し、第1のギャップ5での輝度が低下されることで、発光ユニット21はより明るくなり、第1のギャップ5はより暗くなり、表示パネル100のコンストラストはさらに向上される。
【0051】
本実施例に係る表示パネル100は、先行技術における発光層2上の面全体の黒色接着剤を除去したため、先行技術に存在した輝度が低く、品質が悪いという問題を回避した。
【0052】
図4に示すように、本実施例は、基板1に発光層2を製造するステップであって、前記発光層2は複数の発光ユニット21を含み、いずれか2つの前記発光ユニット21の間に第1のギャップ5を有するステップS10と、前記発光層2の前記基板1から遠い側に調節構造3を製造するステップであって、前記調節構造3内に複数の黒色の感光性粒子35を有し、前記表示パネル100が点灯状態にある場合、前記発光ユニット21の出射光は前記黒色の感光性粒子35に照射され、前記黒色の感光性粒子35は前記第1のギャップ5に対応する位置へ移動し、前記表示パネル100が消灯状態にある場合、前記黒色の感光性粒子35は前記調節構造3内に均一に分散されているステップS20と、を含む、本実施例に係る表示パネル100の製造方法をさらに提供する。
【0053】
図5に示すように、S20は、第1の透明基板31を提供することと、前記第1の透明基板31に、前記第1の透明基板31と共に収容チャンバー36を形成するフレームシール剤34を製造することとを含む。
【0054】
図6に示すように、S20は、前記収容チャンバー36に透明液体33を加えることをさらに含む。
【0055】
図7に示すように、S20は、前記透明液体33に黒色の感光性粒子35を加えることをさらに含む。
【0056】
図8に示すように、S20は、前記フレームシール剤34の前記第1の透明基板31から遠い側に、第1の透明基板31、フレームシール剤34、透明液体33、黒色の感光性粒子35と共に前記調節構造3を形成する第2の透明基板32を設けることをさらに含む。
【0057】
S20は、モールドプレス、粘着、結合及び静電吸着のうちの1つのプロセスによって、調節構造3を前記発光層2の前記基板1から遠い側に設けることをさらに含む。
【0058】
実施例2
本実施例は、表示パネル100を提供する。本実施例において、前記表示パネルはMini LED表示パネルである。他の実施例において、表示パネル100は、Micro LED表示パネルであってもよい。
【0059】
図9、
図10に示すように、表示パネル100は、基板1と、発光層2と、調節構造3と、を含む。
【0060】
基板1は、ガラス板、プリント回路板、BT樹脂板及びアルミニウム板のうちの1つを含む。本実施例において、前記基板1はガラス板である。
【0061】
本実施例において、前記表示パネル100は、薄膜トランジスタ層4をさらに含む。薄膜トランジスタ層4は、前記基板1と前記発光層2との間に設けられる。前記発光層2は前記薄膜トランジスタ層4と電気的に接続され、薄膜トランジスタ層4は主に、発光層2を駆動して発光表示させるために用いられる。
【0062】
他の実施例において、駆動チップを前記発光層2と電気的に接続させ、駆動チップによって発光層2を駆動して発光表示させてもよい。駆動チップはMicro ICであってもよいし、PM driver ICであってもよい。
【0063】
発光層2は、前記薄膜トランジスタ層4の前記基板1から遠い側の表面に設けられる。
【0064】
発光層2は、複数の発光ユニット21を含み、いずれか2つの前記発光ユニット21の間に第1のギャップ5を有する。各前記発光ユニット21は、少なくとも1つの赤色LED 211と、少なくとも1つの緑色LED 212と、少なくとも1つの青色LED 213とを含む。
【0065】
調節構造3は、前記発光層2の前記基板1から遠い側に設けられる。前記調節構造3は、第1の透明基板31と、第2の透明基板32と、透明液体33と、フレームシール剤34と、複数の黒色の感光性粒子35とを含む。
【0066】
第1の透明基板31は、前記発光層2の前記基板1から遠い側に設けられる。本実施例において、第1の透明基板31の材質はPET樹脂である。これによって、調節構造3は良好な光透過率を有することを保証できる。他の実施例において、第1の透明基板31は、他の透明材料により製造されたものであってもよい。
【0067】
第2の透明基板32は、前記第1の透明基板31と対向して設けられ、前記第1の透明基板31の前記基板1から遠い側に位置する。本実施例において、第2の透明基板32の材質はPET樹脂である。これによって、調節構造3は良好な光透過率を有することを保証できる。他の実施例において、第2の透明基板32は、他の透明材料により製造されたものであってもよい。
【0068】
透明液体33は、前記第1の透明基板31と前記第2の透明基板32との間に設けられる。本実施例において、透明液体33の材質はPVA樹脂である。これによって、調節構造3は良好な光透過率を有することを保証できる。他の実施例において、透明液体33は、他の透明材料により製造されたものであってもよい。
【0069】
フレームシール剤34は、前記透明液体33を取り囲み、前記第1の透明基板31と前記第2の透明基板32との間に位置する。
【0070】
黒色の感光性粒子35は、前記透明液体33内に分散されている。
【0071】
図3に示すように、黒色の感光性粒子35は、ベース351と、前記ベース351を取り囲む改質層352と、を含む。本実施例において、前記ベース351の材料は黒色炭素粉末を含み、前記改質層352の材料はオキシヨウ化ビスマスを含む。他の実施例において、前記ベース351の材料はグラファイトを含んでもよく、前記改質層352の材料は光触媒特性を有する他の化学物質を含んでもよい。
【0072】
赤色LED 211の発光波長は一般的に、615~650nmであり、緑色LED 212の発光波長は495~530nm、青色LED 213の発光波長は450~480nmである。
【0073】
公式E=hc/λ(ただし、Eはエネルギーを示し、hはプランク定数、cは光の真空下の速度、λは波長である)によれば、赤色LED 211は、発光波長が最も長いので、放射する赤色の光の光子エネルギーが最も小さく、また、青色LED 213は、発光波長が最も短いので、放射する青色の光の光子エネルギーが最も大きく、また、他の色の波長は赤色の光の波長と青色の光の波長との間にあり、即ち、他の色の光の光子エネルギーは赤色の光の光子エネルギーと青色の光の光子エネルギーとの間にある。前記黒色の感光性粒子35のそれぞれの感光エネルギーは前記赤色LED 211が発光する赤色の光の光子エネルギーよりも小さいことにより、赤色LED 211が発光する赤色の光が黒色の感光性粒子35に照射される場合、黒色の感光性粒子35の照射された一面に得られるエネルギーと、照射されていない一面に得られるエネルギーとは等しくなくなり、黒色の感光性粒子35が移動するように励起される。他の光線の光子エネルギーはいずれも赤色の光の光子エネルギーよりも大きいことにより、黒色の感光性粒子35はいずれの色の光線からもエネルギーが得られ、光を避けて移動可能であることを保証できる。
【0074】
図9に示すように、前記表示パネル100が消灯状態にある場合、黒色の感光性粒子35は照射されておらず、黒色の感光性粒子35の表面に得られるエネルギーは一様であり、前記黒色の感光性粒子35は前記調節構造3内に均一に分散されている。
【0075】
図10に示すように、前記表示パネル100が点灯状態にある場合、前記発光ユニット21の出射光は前記黒色の感光性粒子35に照射され、前記黒色の感光性粒子35は前記第1のギャップ5に対応する位置へ移動する。これによって、発光している発光ユニット21での黒色の感光性粒子35は発光していない第1のギャップ5へ移動し、発光ユニット21での黒色の感光性粒子35の含有量が減少し、発光ユニット21での輝度が向上される一方、第1のギャップ5での黒色の感光性粒子35の含有量が増加し、第1のギャップ5での輝度が低下されることで、発光ユニット21はより明るくなり、第1のギャップ5はより暗くなり、表示パネル100のコンストラストはさらに向上される。
【0076】
本実施例に係る表示パネル100は、先行技術における発光層2上の面全体の黒色接着剤を除去したため、先行技術に存在した輝度が低く、品質が悪いという問題を回避した。本実施例では、先行技術における発光ユニット間のブラックオイルを除去したため、先行技術に存在したコンストラストが低く、製造プロセスが複雑で、効率が低い等の問題を回避した。
【0077】
さらには、以上、本出願が提供する表示パネル及びその製造方法を詳細的に紹介し、本明細書では具体的な例によって本出願の原理及び実施形態を説明したが、これらの実施例の説明は本出願の方法及びその趣旨をより容易に理解させるためのものに過ぎない。なお、当業者にとっては、本出願の精神により、具体的な実施形態と適用範囲に変形を加えることができる。上記によって、本明細書の内容は本出願を制限するものと理解すべきではない。
【符号の説明】
【0078】
100 表示パネル
1 基板
2 発光層
3 調節構造
4 薄膜トランジスタ層
5 第1のギャップ
6 遮光ユニット
21 発光ユニット
211 赤色LED
212 緑色LED
213 青色LED
31 第1の透明基板
32 第2の透明基板
33 透明液体
34 フレームシール剤
35 黒色の感光性粒子
36 収容チャンバー
351 ベース
352 改質層