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特許7546714包装用積層材料、外層接着剤及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】包装用積層材料、外層接着剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/085 20060101AFI20240830BHJP
   B32B 15/088 20060101ALI20240830BHJP
   B32B 15/09 20060101ALI20240830BHJP
   B32B 15/095 20060101ALI20240830BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240830BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240830BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20240830BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20240830BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240830BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B32B15/085
B32B15/088
B32B15/09 A
B32B15/095
B65D65/40 D
C08G18/10
C08G18/42
C08G18/76 014
C08G18/76 057
C09J11/08
C09J175/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023038601
(22)【出願日】2023-03-13
(65)【公開番号】P2024096511
(43)【公開日】2024-07-16
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】112100008
(32)【優先日】2023-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】盛 修業
(72)【発明者】
【氏名】林 昭賢
(72)【発明者】
【氏名】袁 ▲敬▼堯
(72)【発明者】
【氏名】馬 登科
(72)【発明者】
【氏名】張 振偉
(72)【発明者】
【氏名】李 漢義
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-193284(JP,A)
【文献】特開2000-7748(JP,A)
【文献】特開2020-37187(JP,A)
【文献】国際公開第2017/142008(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08G 18/00-18/87
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン高分子膜及びポリ塩化ビニル高分子膜から選択される少なくとも1つである、内層高分子膜と、
ナイロン高分子膜、ポリエステル高分子膜、及びナイロン/ポリエステル高分子多層膜から選択される少なくとも1つである、外層高分子膜と、
前記内層高分子膜と前記外層高分子膜との間に設置された、アルミニウム箔金属膜と、
前記内層高分子膜と前記アルミニウム箔金属膜との間に接着されたポリオレフィン接着剤である、内層接着剤と、
前記外層高分子膜と前記アルミニウム箔金属膜との間に接着されたポリウレタン接着剤である、外層接着剤と、
を備える包装用積層材料であって、
前記外層接着剤は、ポリオール材料とイソシアネート材料とを反応して形成され、
前記ポリオール材料は、環境にやさしいポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料及びバイオマス原料から選択される少なくとも1つに由来のポリエステルポリオールであり、
前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、25,000~75,000の重量平均分子量、18,000~55,000の数平均分子量、及び-30℃~60℃のガラス転移温度を有し、
前記イソシアネート材料は、トルエンジイソシアネート(TDI)に2~4官能価のC4~C15ポリオールが付加した付加物(adduct)である、第1のイソシアネート成分、を含むことを特徴とする、包装用積層材料。
【請求項2】
前記イソシアネート材料は、第2のイソシアネート成分を更に含み、
第2のイソシアネート成分は、800~2500の重量平均分子量及び2~4官能価を有するポリエーテルポリオールと、トルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)から選択される少なくとも1つのイソシアネートとを付加してなる付加物である、請求項1に記載の包装用積層材料。
【請求項3】
前記外層接着剤の前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、30,000~68,000の重量平均分子量、21,000~48,500の数平均分子量、-20℃~50℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の包装用積層材料。
【請求項4】
前記外層接着剤の前記環境にやさしいポリエステルポリオールの、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn ratio)は、1.2~2.2である、請求項1に記載の包装用積層材料。
【請求項5】
1の防食処理層と、
2の防食処理層と
を、更に備え
前記第1の防食処理層及び前記第2の防食処理層は、前記アルミニウム箔金属膜の錆を防ぐように、前記アルミニウム箔金属膜の互いに反対側に位置する2つの外面に形成される、請求項1に記載の包装用積層材料。
【請求項6】
前記包装用積層材料は、食品包装材、医療用包装材、電子包装材から選択される少なくとも1つである、請求項1~5のいずれか一項に記載の包装用積層材料。
【請求項7】
ポリオール材料とイソシアネート材料とを反応して形成されたポリウレタン接着剤である、包装用積層材料の外層接着剤であって、
前記ポリオール材料は、環境にやさしいポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料及びバイオマス原料の中の少なくとも1つに由来し、
前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、25,000~75,000の重量平均分子量、18,000~55,000の数平均分子量、及び-30℃~60℃のガラス転移温度を有し、
前記イソシアネート材料は、トルエンジイソシアネート(TDI)にC4~C15の炭素鎖長及び2~4官能価のポリオールが付加した付加物(adduct)である第1のイソシアネート成分を含むことを特徴とする、外層接着剤。
【請求項8】
前記イソシアネート材料は、第2のイソシアネート成分を更に含み、
第2のイソシアネート成分は、800~2500の重量平均分子量及び2~4官能価を有するポリエーテルポリオールと、トルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)から選択される少なくとも1つのイソシアネートとを付加してなる付加物である、請求項7に記載の外層接着剤。
【請求項9】
ポリオール材料を提供することと、
イソシアネート材料を提供することと、
前記ポリオール材料と前記イソシアネート材料とを反応させて、包装用積層材料の外層接着剤を形成することと、
を含む、包装用積層材料の外層接着剤の製造方法であって、
前記ポリオール材料は、環境にやさしいポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料及びバイオマス原料から選択される少なくとも1つに由来し、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、25,000~75,000の重量平均分子量、18,000~55,000の数平均分子量、及び-30℃~60℃のガラス転移温度を有し、
前記イソシアネート材料は、トルエンジイソシアネート(TDI)にC4~C15の炭素鎖長及び2~4官能価のポリオールが付加した付加物(adduct)である第1のイソシアネート成分を含む、包装用積層材料の外層接着剤の製造方法。
【請求項10】
前記環境にやさしいポリエステルポリオールが前記ポリエステル再生材料由来である場合、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、前記ポリエステル再生材料を回収・アルコール分解し、次に、エステル化反応と重合反応とをこの順に行って、前記環境にやさしいポリエステルポリオールを形成する工程によって形成され、前記ポリエステル再生材料は、リサイクルポリエステルボトルフレーク又はリサイクルポリエステル織物であり、
前記環境にやさしいポリエステルポリオールが前記バイオマス原料由来である場合、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、前記バイオマス原料を提供し、エステル化反応と重合反応とをこの順に行って、前記環境にやさしいポリエステルポリオールを形成する工程によって形成され、前記環境にやさしいポリエステルポリオールの前記重量平均分子量及び前記数平均分子量は、前記エステル化反応及び前記重合反応の過程において制御される、請求項9に記載の包装用積層材料の外層接着剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用積層材料に関し、特に、包装用積層材料、外層接着剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、包装用積層材料の外層接着剤は主に、石油化学原料で合成されたポリエステル接着剤及び硬化剤から調製され、金属フィルムに塗布され、外層フィルムに貼り付けられ、次に内層接着剤を金属フィルムの他面に塗布すると共に、前記他面に内層フィルムを貼り合わせて包装用積層材料を製造する。前記包装用積層材料は、電子包装や医療包装などのアルミニウムとプラスチックの複合積層材料に適用できる。しかし、石油化学原料を原料として製造されたポリエステル接着剤は、環境に配慮した原料を使用していないため、包装用積層材料を作る際の環境への配慮に欠ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術の課題は、従来技術の不足に対し、環境保護ができると共に、環境にやさしい、包装用積層材料、外層接着剤及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、包装用積層材料を提供する。前記包装用積層材料は、ポリオレフィン高分子膜及びポリ塩化ビニル高分子膜の中の少なくとも1つである内層高分子膜と、ナイロン高分子膜、ポリエステル高分子膜、及びナイロン/ポリエステル高分子多層膜(共押出フィルム又はインフレーションフィルム)の中の少なくとも1つである外層高分子膜と、前記内層高分子膜と前記外層高分子膜との間に設置されたアルミニウム箔金属膜と、前記内層高分子膜と前記アルミニウム箔金属膜との間に接着されたポリオレフィン接着剤である、内層接着剤と、前記外層高分子膜と前記アルミニウム箔金属膜との間に接着されたポリウレタン接着剤である、外層接着剤と、を備え、前記外層接着剤は、ポリオール材料とイソシアネート材料とを反応して形成され、前記ポリオール材料は、環境にやさしいポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料及びバイオマス原料の中の少なくとも1つに由来のポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、25,000~75,000の重量平均分子量、18,000~55,000の数平均分子量、及び-30℃~60℃のガラス転移温度を有し、前記イソシアネート材料は、トルエンジイソシアネート(TDI)に2~4官能価のC4~C15ポリオールが付加した付加物(adduct)である、第1のイソシアネート成分、を含む。
【0005】
好ましくは、前記イソシアネート材料は、長い炭素鎖及び2~4官能価を有するポリオールとイソシアネートとを付加してなる付加物である、第2のイソシアネート成分を更に含み、前記イソシアネートは例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の中の少なくとも1つである。
【0006】
好ましくは、前記外層接着剤の前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、30,000~68,000の前記重量平均分子量、21,000~48,500の前記数平均分子量、-20℃~50℃の前記ガラス転移温度を有する。
【0007】
好ましくは、前記外層接着剤の前記環境にやさしいポリエステルポリオールの、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn ratio)は、1.2~2.2である。
【0008】
好ましくは、前記包装用積層材料は、前記内層接着剤と前記アルミニウム箔金属膜との間にある第1の防食処理層と、前記外層接着剤と前記アルミニウム箔金属膜との間にある第2の防食処理層とを、更に備える。
【0009】
好ましくは、前記包装用積層材料は、食品包装材、医療用包装材、電子包装材の中の少なくとも1つである。
【0010】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用するもう一つの技術的手段は、包装用積層材料の外層接着剤を提供する。前記外層接着剤は、ポリオール材料とイソシアネート材料とを反応して形成されたポリウレタン接着剤であり、前記ポリオール材料は、環境にやさしいポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料及びバイオマス原料の中の少なくとも1つに由来のポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、25,000~75,000の重量平均分子量、18,000~55,000の数平均分子量、及び-30℃~60℃のガラス転移温度を有し、前記イソシアネート材料は、トルエンジイソシアネート(TDI)に2~4官能価のC4~C15ポリオールが付加した付加物(adduct)である、第1のイソシアネート成分、を含む。
【0011】
好ましくは、前記イソシアネート材料は、長い炭素鎖及び2~4官能価を有するポリオールとイソシアネートとを付加してなる付加物である、第2のイソシアネート成分を更に含み、前記イソシアネートは例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の中の少なくとも1つである。
【0012】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用するもう一つの技術的手段は、外層接着剤の製造方法を提供する。外層接着剤の製造方法は、ポリオール材料を提供することと、イソシアネート材料を提供することと、前記ポリオール材料と前記イソシアネート材料とを反応させて、外層接着剤を形成することとを、含み、前記ポリオール材料は、環境にやさしいポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料及びバイオマス原料の中の少なくとも1つに由来のポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、25,000~75,000の重量平均分子量、18,000~55,000の数平均分子量、及び-30℃~60℃のガラス転移温度を有し、前記イソシアネート材料は、トルエンジイソシアネート(TDI)に2~4官能価のC4~C15ポリオールが付加した付加物(adduct)である、第1のイソシアネート成分、を含む。
【0013】
好ましくは、前記環境にやさしいポリエステルポリオールが前記ポリエステル再生材料由来である場合、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、前記ポリエステル再生を回収・アルコール分解し、次に、エステル化反応と重合反応とをこの順に行って、前記環境にやさしいポリエステルポリオールを形成する工程によって形成され、前記ポリエステル再生材料は、リサイクルポリエステルボトルフレーク又はリサイクルポリエステル織物である。前記環境にやさしいポリエステルポリオールが前記バイオマス原料由来である場合、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、前記バイオマス原料を提供し、エステル化反応と重合反応とをこの順に行って、前記環境にやさしいポリエステルポリオールを形成する工程によって形成される。前記環境にやさしいポリエステルポリオールの前記重量平均分子量及び前記数平均分子量は、前記エステル反応及び前記重合反応の過程において制御される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有利な効果として、本発明に係る包装用積層材料に含まれた外層接着剤は、環境にやさしいポリエステルポリオールを採用する。環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料又はバイオマス原料から製造する過程において(例えば、リサイクルポリエステルボトルフレークのアルコール分解、若しくはバイオマス原料から合成された酸/アルコール原料を、エステル化及び重合反応にかけることによって製造する過程において)、特定の重量平均分子量/数平均分子量及びガラス転移温度に制御することができると共に、特定の化学構造を有するイソシアネート材料とを組み合わせることができる。それによって、前記外層接着剤は、良好な接着性、加工成形性、耐熱性及び耐水性を有するだけでなく、環境にやさしい利点を有する。尚、本発明の実施形態に係る包装用積層材料は、食品包装材、医療用包装材及び電子包装材に特に適用する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る包装用積層材料を示す図である。
図2】本発明のもう1つの実施形態に係る包装用積層材料を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る外層接着剤の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照されたい。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0017】
以下、所定の具体的な実施態様によって本発明の実施形態を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行または適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際のサイズに基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。
【0018】
理解すべきことは、本明細書では、「第1」、「第2」、「第3」といった用語を用いて各種の成分又は記号を叙述することがあるが、これらの成分又は記号は、これらの用語によって制限されるものではない。これらの用語は主に、1つの成分ともう1つの成分、又は1つの記号ともう1つの記号を区別するためのものである。また、本明細書において使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つ又は複数の組み合わせを含むことがある。
【0019】
[包装用積層材料]
図1に示すように、図1は、本発明の1つの実施形態に係る包装用積層材料100(アルミプラスチック積層材とも呼ばれられる)を示す。包装用積層材料100は、内層高分子膜1と、外層高分子膜2と、アルミニウム箔金属膜3と、内層接着剤4と、外層接着剤5と、を備える。
【0020】
積層の順次について、前記アルミニウム箔金属膜3は、内層高分子膜1と外層高分子膜2との間に設置され、前記内層接着剤4は、内層高分子膜1とアルミニウム箔金属膜3との間に接着され、前記外層接着剤5は、外層高分子膜2とアルミニウム箔金属膜3との間に接着される。即ち、前記包装用積層材料100は、上から下まで積層された、外層高分子膜2と、外層接着剤5と、アルミニウム箔金属膜3と、内層接着剤4と、内層高分子膜1とを、備える。
【0021】
材料について、前記内層高分子膜1は、ポリオレフィン高分子膜(polyolefin polymer film,例えば、CPPフィルム)及びポリ塩化ビニル高分子膜(polyvinyl chloride polymer film,例えば、PVC膜)の中の少なくとも1つである。前記外層高分子膜2は、ナイロン高分子膜(nylon polymer film)、ポリエステル高分子膜(polyester polymer film)及びナイロン/ポリエステル高分子膜(共押出しフィルム(co-extruded polymer film)やブローフィルム(blown film))の中の少なくとも1つである。前記アルミニウム箔金属膜3は、アルミホイル(aluminum foil)である。前記内層接着剤4は、ポリオレフィン接着剤(polyolefin adhesive)である。前記外層接着剤5は、ポリウレタン接着剤(polyurethane adhesive)である。
【0022】
厚みについて、前記内層高分子膜1の厚みは20μm~100μmであり、前記外層高分子膜2の厚みは12μm~60μmであり、前記アルミニウム箔金属膜3の厚みは20μm~70μmであり、前記内層接着剤4の厚みは1μm~5μmであり、前記外層接着剤5の厚みは1μm~5μmであるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0023】
図1に示した包装用積層材料100は、医療用包装材料に特に適用するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0024】
図2に示すように、図2は、本発明のもう1つの実施形態に係る包装用積層材料200を示す。包装用積層材料200は、内層高分子膜1と、外層高分子膜2と、アルミニウム箔金属膜3と、内層接着剤4と、外層接着剤5と、を備える。
【0025】
前記各材料層の積層方法及び材料は、図1に示した包装用積層材料100と類似する。それらの相違点については、図2に示す包装用積層材料200は、第1の防食処理層L1及び第2の防食処理層L2を更に備える。前記第1の防食処理層L1は、内層接着剤4とアルミニウム箔金属膜3との間にあり、前記第2の防食処理層L2は、外層接着剤5とアルミニウム箔金属膜3との間にある。
【0026】
前記第1の防食処理層L1及び前記第2の防食処理層L2は、アルミニウム箔金属膜3の錆を防ぐように、アルミニウム箔金属膜3の反対側にある2つの外面に形成される。前記第1の防食処理層L1及び前記第2の防食処理層L2の材料は例えば、無機塗料又は有機ー無機塗料であってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、前記第1の防食処理層L1及び第2の防食処理層L2は、リン酸塩処理層であってもよい。
【0027】
図2に示した包装用積層材料200は、電子包装材に特に適用するが、本発明はこれに制限されるものではない。全体的に説明すると、前記包装用積層材料100、200は、食品包装材、医療用包装材、又は電子包装材に特に適用する。
【0028】
更に説明すると、図1及び図2に示す通り、前記外層接着剤5は、外層高分子膜2とアルミニウム箔金属膜3との間に接着される。前記外層接着剤5は、ポリオール材料(polyol material)とイソシアネート材料(isocyanate material)との架橋反応で形成される。
【0029】
本発明に係る実施形態において、前記ポリオール材料は、環境にやさしいポリエステルポリオール(eco-friendly polyester polyol)であると共に、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料(polyester recycled material)及びバイオマス原料(biomass raw material)の少なくとも1つに由来して形成される。
【0030】
環境にやさしいポリエステルポリオールを用いた上で、接着剤の接着特性を考量すると、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料及びバイオマス原料から製造される過程において、25,000~75,000の重量平均分子量(weight average molecular weight,Mw)、18,000~55,000の数平均分子量(number average molecular weight,Mn)、及び-30℃~60℃のガラス転移温度(glass transition temperature,Tg)を有するように制御される。前記重量平均分子量及び数平均分子量の単位はいずれも、g/molである。
【0031】
好ましくは、前記外層接着剤5の環境にやさしいポリエステルポリオールは、30,000~68,000の前記重量平均分子量、21,000~48,500の前記数平均分子量、及び-20℃~50℃の前記ガラス転移温度を有するように制御される。特に好ましくは、前記外層接着剤5の環境にやさしいポリエステルポリオールは、32,000~67,000の前記重量平均分子量、22,000~48,000の前記数平均分子量、及び-18℃~48℃の前記ガラス転移温度を有するように制御される。
【0032】
更に説明すると、前記外層接着剤5の環境にやさしいポリエステルポリオールにおける、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn ratio)は、1.2~2.2であり、1.3~2.0であることが好ましく、1.4~1.9であることが特に好ましいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0033】
一方、外層接着剤5は、良好な接着剤物性を有する必要があるため、前記イソシアネート材料は、トルエンジイソシアネート(TDI)に2~4官能価のポリオールが付加した付加物(adduct)である、第1のイソシアネート成分を含む。又、前記ポリオールの炭素鎖の長さは、C4~C15である。例えば、前記ポリオールは、2官能価、3官能価又は4官能価の、C4~C15ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールであってもよい(ポリエーテルポリオールであることが好ましい)。即ち、前記付加物は、イソシアネート成分である。
【0034】
本発明の一つの実施形態において、前記イソシアネート材料は、長い炭素鎖且つ2~4官能価のポリオール(例えば、Mwが800~2500であるポリエーテルポリオール)とイソシアネートとを付加した付加物である、第2のイソシアネート成分を更に含む。前記イソシアネートは例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の中の少なくとも1つである。
【0035】
本発明の一つの実施形態において、前記外層接着剤5を合成する際に、例えば、合成添加物(例えば、触媒、重合防止剤、鎖延長剤、架橋剤の中の少なくとも1つである)を微量に添加してもよく、それは、本技術分野の通常知識であるため、ここで詳しく説明しない。
【0036】
上述した構成により、本発明の実施形態に係る包装用積層材料100、200に含まれた外層接着剤5として、環境にやさしいポリエステルポリオールを採用する。環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料又はバイオマス原料から製造される過程において(例えば、リサイクルポリエステルボトルフレークのアルコール分解、若しくはバイオマス原料から合成された酸/アルコール原料を、エステル化及び重合反応にかけることによって製造される過程において)、特定の範囲を有する重量平均分子量/数平均分子量及びガラス転移温度にするように制御されると共に、特定の化学構造を有するイソシアネート材料とを組み合わせることによって形成される。それによって、前記外層接着剤5は、良好な接着性、加工成形性、耐熱性及び耐水性を有するだけでなく、環境にやさしい利点及びコストの低い、などの利点を有する。尚、本発明の実施形態に係る包装用積層材料は、食品包装材、医療用包装材及び電子包装材に特に適用する。
【0037】
より具体的に説明すると、前記重量平均分子量/数平均分子量及びガラス転移温度は、製造プロセスのパラメータ又はモノマーの選択によって制御されることができる。製造プロセスは例えば、添加の順番、真空度、反応時間、及び/又は反応温度であってもよい。それによって、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、環境にやさしく、コストを制御することができる利点を有すると共に、重量平均分子量/数平均分子量及びガラス転移温度の制御(例えば、重量平均分子量が25,000~75,000であり、数平均分子量が18,000~55,000であり、ガラス転移温度が-30℃~60℃であるようにする制御)によって、材料に良好な接着性、成形性及び耐水性を与えることができる。前記環境にやさしいポリエステルポリオールの重量平均分子量/数平均分子量及び/又はガラス転移温度が前記範囲より高い、若しくは未満であると、前記外層接着剤の接着性が低くなること、加工成形性が悪化すること、又は耐水性が悪化となること(例えば、高温高湿又は水に浸すことにより泡立つこと)がある。
【0038】
更に説明すると、前記イソシアネート材料で採用した第1のイソシアネート成分は、トルエンジイソシアネート(TDI)に2~4官能価のポリオールが付加した付加物(adduct)であると共に、前記ポリオールの炭素鎖長は、C4~C15である。
【0039】
そのうち、トルエンジイソシアネートは、その化学構造にベンゼン環を有し、ベンゼン環は、耐熱性及び耐化学腐食性などの特性を与えられる。また、特定の炭素鎖長(C4~C15)を有するポリオールが付加することによって、材料の柔軟性を制御することができると共に、架橋として用いられる。
【0040】
炭素鎖長が低過ぎると(例えば、C4未満)、接着剤は硬くすぎることがあり、接着剤の加工成形性が悪化することがある(例えば、結晶しやすくなる)。一方、炭素鎖長が長すぎると(例えば、C15を超える)、接着剤は、柔らかすぎて、加工成形性も悪化することがある(例えば、硬化成形し難くなる)と共に、耐熱性又は耐化学腐食性が悪化することがある。
【0041】
それによって、一部として特定の炭素鎖長(C4~C15)を有するポリオールを用いることによって、材料に良好な接着性を与えることができる。
【0042】
より具体的に説明すると、前記イソシアネート材料が採用した第2のイソシアネート成分は、長い炭素鎖及び2~4官能価を有するポリオールをイソシアネートに付加した付加物である。そのうち、前記イソシアネートは例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の中の少なくとも1つである。
【0043】
前記第2のイソシアネート成分を採用する考慮事項は、材料に対する柔軟性の設計(例えば、使用量を調整)、反応性の向上、及び黄変の発生を減少することを含む。
【0044】
又、前記第2のイソシアネート成分の選択は、材料の耐熱性及び黄変の発生を減少することができる。
【0045】
特筆すべきことは、前記第1のイソシアネート成分及び第2のイソシアネート成分の使用量比は、製品の設計要求(例えば、接着性)に基づいて調整を行うが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0046】
[包装用積層材料の外層接着剤]
本発明の実施形態に係る包装用積層材料の構造及び材料について説明する。特筆すべきことは、前記実施形態に係る外層接着剤は、単独に販売する製品であってもよい。
【0047】
より具体的に説明すると、前記外層接着剤は、ポリオール材料とイソシアネート材料とを反応して形成されたポリウレタン接着剤である。
【0048】
前記ポリオール材料は、環境にやさしいポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料及びバイオマス原料の中の少なくとも1つに由来する。
【0049】
本発明の一つの実施形態において、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、25,000~75,000の重量平均分子量、18,000~55,000の数平均分子量、及び-30℃~60℃のガラス転移温度を有する。
【0050】
本発明の一つの実施形態において、前記イソシアネート材料は、トルエンジイソシアネート(TDI)に2~4官能価のポリオールが付加した付加物(adduct)である、第1のイソシアネート成分である、第1のイソシアネート成分を含み、前記ポリオールの炭素鎖長は、C4~C15である。前記イソシアネート材料は、長い炭素鎖且つ2~4官能価のポリオールをイソシアネートに付加した付加物である、第2のイソシアネート成分を更に含む。そのうち、前記イソシアネートは例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の中の少なくとも1つである。前記外層接着剤の他の材料の特徴は、上述実施形態で説明したので、ここでは重複して説明しない。
【0051】
前記外層接着剤は、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム又はナイロン/ポリエステル共押出フィルムである外層に特に適用する。コーティングで貼り合わせたアルミプラスチック積層材は、優れた接着性、加工成形性、耐熱性及び耐水性を有すると共に、環境にやさしく且つコストが低いなどの利点を有する。
【0052】
[外層接着剤の製造方法]
上述した内容は、本発明の実施形態に係る外層接着剤の特徴の説明であり、以下にて本発明の実施形態の外層接着剤の製造方法を説明する。当該製造方法は、工程S110~工程S130を含む。
【0053】
説明すべきことは、本実施形態における各工程の順番や操作方式はニーズに応じて調整することが可能であり、これに制限されるものではない。
【0054】
前記工程S110において、ポリオール材料を提供する。前記ポリオール材料は、環境にやさしいポリエステルポリオールであり、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料及びバイオマス原料の中の少なくとも1つに由来する。そのうち、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、25,000~75,000の重量平均分子量、18,000~55,000の数平均分子量、及び-30℃~60℃のガラス転移温度を有する。
【0055】
前記工程S120において、イソシアネート材料を提供する。前記イソシアネート材料は、トルエンジイソシアネート(TDI)に2~4官能価のポリオールが付加した付加物(adduct)である、第1のイソシアネート成分を含む。又、前記ポリオールの炭素鎖長は、C4~C15である。前記イソシアネート材料は、長い炭素鎖を有し且つ2~4官能価のポリオールをイソシアネートに付加した付加物である、第2のイソシアネート成分を選択的に含んでもよい。そのうち、前記イソシアネートは例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の中の少なくとも1つである。
【0056】
前記工程S130において、前記ポリオール材料とイソシアネート材料とを反応(例えば、架橋反応)させて、外層接着剤を形成する。
【0057】
本発明の一つの実施形態において、前記環境にやさしいポリエステルポリオールが前記ポリエステル再生材料由来である場合、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、前記ポリエステル再生材料を回収・アルコール分解し、次に、エステル化反応と重合反応とをこの順に行って、前記環境にやさしいポリエステルポリオールを形成する工程によって形成される。前記ポリエステル再生材料は、リサイクルポリエステルボトルフレーク又はリサイクルポリエステル織物である。
【0058】
前記環境にやさしいポリエステルポリオールが前記バイオマス原料である場合、前記環境にやさしいポリエステルポリオールは、前記バイオマス原料を提供し、エステル化反応と重合反応とをこの順に行って、前記環境にやさしいポリエステルポリオールを形成する工程によって形成される。
【0059】
前記二種の製造方法において、前記環境にやさしいポリエステルポリオールの重量平均分子量及び数平均分子量は、前記エステル化反応及び前記重合反応の過程において制御される。
【0060】
[実験データの測定]
以下、実施例1~4及び比較例1~2により、本発明の内容を詳しく説明するが、それらの実施例は、本発明を理解するためのものであり、本発明はこれに制限されるものではない。
【0061】
<実施例1>
0.948モルのネオペンチルグリコール(NPG)、0.190モルのリサイクルジエチレングリコール(r-DEG)、0.948モルのリサイクルエチレングリコール(r-EG)、0.751モルのリサイクルテレフタル酸(r-TPA)、0.3モルのテレフタル酸(r-IPA)及び0.876モルのアジピン酸(AA)を、反応槽に供給した。次に、酸化防止剤(0.03wt%のHONGSHOU製の亜りん酸エステル(品番:6601)及び0.08wt%のHONGSHOU製のヒンダードフェノール(品番:6602))を添加して、大気圧下で反応槽を240℃まで加熱した。加熱の過程において、反応槽の温度を約160℃に加熱する際に、窒素ガスを導入して撹拌した後に、反応槽の中に水分が生じた。又、反応槽の温度を約240℃まで徐々に加熱する際に、反応槽に触媒である0.08wt%の酢酸アンチモン及び0.02wt%のオクタン酸第一スズを添加すると共に、常圧でエステル化反応を行った。
【0062】
次に、反応槽で脱水した水の量が66.35gに至ると、反応槽での圧力を徐々に低減させることで、陰圧脱水を行った。本実施例において、反応槽での20分あたりの圧力の減少量は約50torrであった。反応槽での圧力が50torrまで低減された後に、反応槽の圧力を0~10torrとするように真空引きすると共に、2時間陰圧脱水を行った。次に、少量の窒素ガスを導入して2時間窒素密封を行った後に、真空を切って、触媒として0.027wt%の酢酸アンチモンを更に添加した。そして、常圧から0~10torrとなるように真空引きして、少量の窒素ガスを導入して2時間窒素密封を行った後に、真空破れ、サンプルを取って、約120℃に冷却し、ブタノンを徐々に添加・撹拌して、50%に希釈した後に、冷却し、窒素ガスで真空を置換してから、リサイクル材料由来の成分を含むポリエステルポリオールを得た。
【0063】
次に、表2の配合に示すように、外層接着剤を調製した(詳しくは、表2を参酌されたい)。環境にやさしいリサイクルポリエステルポリオールと、第1のイソシアネート成分と、第2のイソシアネート成分とを組み合わせ、添加した助剤の種類は、カップリング剤、レベリング剤、消泡剤、接着促進剤の中の少なくとも一種であった。尚、上述した材料を撹拌機で調製すると共に、金属フィルムに塗布して、外層高分子膜に貼り合わせた。その後、金属フィルムの反対面に内層接着剤を塗布して、内層高分子膜に貼り合わせた後に、貼り合わせて得たサンプルをオーブンに60℃、4日に放置して、電子又は医薬包材などの製品を製造し、それらの物性の評価を行った。
【0064】
<実施例2>
0.948モルのネオペンチルグリコール(NPG)、0.190モルのバイオマスジエチレングリコール(Bio-DEG)、0.948モルのバイオマスエチレングリコール(Bio-EG)、0.751モルのテレフタル酸(TPA)、0.3モルのイソフタル酸(IPA)、0.476モルのアジピン酸(AA)及び0.4モルのバイオマスセバシン酸(Bio-SA)を、反応槽に供給した。次に、酸化防止剤(0.03wt%の亜りん酸エステル(品番:6601)及び0.08wt%のヒンダードフェノール(品番:6602))を添加し、大気圧下で反応槽を240℃まで加熱した。加熱の過程において、反応槽の温度を約160℃に加熱する際に、窒素ガスを導入して撹拌した後に、反応槽の中に水分が生じた。又、反応槽の温度を約240℃まで徐々に加熱する際に、反応槽に触媒0.08wt%の酢酸アンチモン及び0.02wt%のオクタン酸第一スズを添加すると共に、常圧でエステル化反応を行った。
【0065】
次に、反応槽で脱水した水の量が66.35gに至ると、反応槽での圧力を徐々に低減させることで、陰圧脱水を行った。本実施例において、反応槽での20分あたりの圧力の減少量は約50torrであった。反応槽での圧力が50torrまで低減された後に、反応槽の圧力を0torrとするように真空引きすると共に、2時間陰圧脱水を行った。次に、少量の窒素ガスを導入して2時間窒素密封を行った後に、真空を切って、触媒として0.027wt%の酢酸アンチモンを更に添加した。そして、常圧から約0torrとなるように真空引きして、少量の窒素ガスを導入して2時間窒素密封を行った後に、真空破れ、サンプルを取って、約120℃に冷却し、ブタノンを徐々に添加・撹拌して、50%に希釈した後に、冷却し、窒素ガスで真空を置換してから、バイオマス由来の成分を含むポリエステルポリオールを得た。
【0066】
次に、表2の配合に示すように、外層接着剤を調製した(詳しくは、表2を参酌されたい)。バイオマス原料で調製された環境にやさしいポリエステルポリオールと、第1のイソシアネート成分及び第2のイソシアネート成分とを組み合わせ、添加した助剤の種類は、カップリング剤であった。他の工程は、実施例1と同様の方式に基づいて、外層接着剤を調製、塗布、貼り合わせることによって、電子又は医薬用包材を製造し、それらの物性の評価を行った。
【0067】
<実施例3>
前記<実施例1>の製造方法とほぼ同様であった。それらの相違点について、実施例3における、リサイクル原料で製造されたポリエステルポリオールは、表1の条件で製造されると共に、0.948モルのネオペンチルグリコール(NPG)、0.190モルのリサイクルジエチレングリコール(r-DEG)、0.948モルのリサイクルエチレングリコール(r-EG)、0.751モルのリサイクルテレフタル酸(r-TPA)、0.3モルのリサイクルテレフタル酸(r-IPA)及び0.876モルのアジピン酸(AA)を含んだ。酸化防止剤として、0.03wt%のHONGSHOU製の亜りん酸エステル(品番:6601)及び0.08wt%のHONGSHOU製のヒンダードフェノール(品番:6602)を採用した。触媒として、0.08wt%の酢酸アンチモン、0.02wt%の1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフトール(品番:T1111)、及び0.02wt%のオクタン酸第一スズを採用した。実施例3では、表2の配合に示すように、外層接着剤を調製した(詳しくは、表2を参酌されたい)。異なる分子量及びガラス転移温度(Tg)を有する環境にやさしいリサイクルポリエステルポリオールと、第1のイソシアネート成分と、第2のイソシアネート成分とを組み合わせ、添加した助剤の種類は、カップリング剤であった。他の工程は、実施例1と同様の方式に基づいて、外層接着剤を調製、塗布、貼り合わせることによって、電子又は医薬用包材を製造し、それらの物性の評価を行った。
【0068】
<実施例4>
前記<実施例2>の製造方法とほぼ同様であった。それらの相違点について、実施例4における、バイオマス原料で製造されたポリエステルポリオールは、表1の条件に示し、0.948モルのネオペンチルグリコール(NPG)、0.190モルのバイオマスジエチレングリコール(Bio-DEG)、0.190モルの1,4-ブタンジオール(Bio-1,4BG)、0.948モルのバイオマスエチレングリコール(Bio-EG)、0.751モルのテレフタル酸(TPA)、0.3モルのイソフタル酸(IPA)、0.476モルのアジピン酸(AA)、0.4モルのバイオマスブタン酸(Bio-BA)、0.4モルのバイオマスセバシン酸(Bio-SA)を含んだ。酸化防止剤として、0.03wt%のHONGSHOU製の亜りん酸エステル(品番:6601)及び0.08wt%のHONGSHOU製のヒンダードフェノール(品番:6602)を採用した。触媒として、0.08wt%の酢酸アンチモン、0.02wt%の1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフトール(品番:T1111)、及び0.02wt%のオクタン酸第一スズを採用した。
【0069】
実施例4では、表2の配合に示すように、外層接着剤を調製した(詳しくは、表2を参酌されたい)。バイオマス原料で調製された異なる分子量及びガラス転移温度(Tg)を有する環境にやさしいポリエステルポリオールと、第1のイソシアネート成分と、第2のイソシアネート成分とを組み合わせ、添加した助剤の種類は、カップリング剤であった。他の工程は、実施例2と同様の方式に基づいて、外層接着剤の調製、塗布、貼り合わせることによって、電子又は医薬用包材を製造し、それらの物性の評価を行った。
【0070】
<比較例1>
石油化学原料で製造されたポリエステルポリオールを採用した。石油化学原料で製造されたポリエステルポリオールは、表1の条件に基づいて製造され、0.948モルのネオペンチルグリコール(NPG)、0.190モルのジエチレングリコール(DEG)、0.948モルのエチレングリコール(EG)、0.751モルのテレフタル酸(TPA)、0.3モルのイソフタル酸(IPA)及び0.876モルのアジピン酸(AA)を含んだ。酸化防止剤として、0.03wt%のHONGSHOU製の亜りん酸エステル(品番:6601)及び0.08wt%のHONGSHO製ヒンダードフェノール(品番:6602)を採用した。触媒として、0.08wt%の酢酸アンチモン及び0.02wt%のオクタン酸第一スズを採用した。
【0071】
比較例1では、表2の配合に示すように、外層接着剤を調製した(詳しく、表2を参酌されたい)。従来の石油化学ポリエステルポリオールと、第1のイソシアネート成分とを組み合わせ、添加した助剤の種類は、カップリング剤であった。他の工程は、実施例1と同様の方式に基づいて、外層接着剤を調製、塗布、貼り合わせることによって、電子又は医薬用包材を製造し、それらの物性の評価を行った。
【0072】
<比較例2>
表2の配合に示すように、外層接着剤を調製した(詳しくは、表2を参酌されたい)。市販の石油化学ポリエステルポリオール(韓国SK215)と、市販の第1のイソシアネート成分とを組み合わせ、添加した助剤の種類は、カップリング剤であった。他の工程は、実施例1と同様の方式に基づいて、外層接着剤を調製、塗布、貼り合わせることによって、電子又は医薬用包材を製造し、それらの物性の評価を行った。
【0073】
なかでも、各成分のプロセス条件は、下表1に示すとおりである。
【0074】
次に、実施例1~4及び比較例1~2で製造された外層接着剤の物理化学特性を測定することによって、それらの外層接着剤の物理化学特性を得た。例えば、接着性、成形性、耐熱性、耐水性。
【0075】
測定の方法について後述の通りであり、その測定の結果を、表2にまとめた。
【0076】
<接着性>
サンプリング:サンプルのサイズは、150mm×15mmであった。サンプルの剥離:20mmの箇所にサンプルの短辺と平行な割線を引いた。割線に沿って数回折り曲げた後、外層膜をアルミニウム箔からゆっくりと剥がし、外層膜がアルミ箔層から10mm以上完全に離すように剥がれた後、剥離測定を行った。チャック距離:50mmであった。剥離方法:T型試験方法であった。測定速度:50mm/minであった。作動距離:少なくとも50mmの移動量が必要である。接着性(接着強度)の数値単位は、N/mmとした。
【0077】
<成形性>
サンプリング:サンプルのサイズは、100mm×140mmであった。打ち抜き:サイズが60mmx90mの金型を用いて、打ち抜き深さを調整して、成形したサンプルに穴・割れ目があるか否か、若しくは深さを基準にして、成形性の評価を行った。成形性の数値単位は、mmとした。
【0078】
<耐熱性>
取樣:サイズが100mmx100mmであるサンプルを、130℃のオーブンで一日放置して、サンプルの泡立ち及び分層が発生するか否かを観察した。
【0079】
<耐水性>
成形したサンプルを、温度85℃/相対湿度85%の高温高湿炉で放置して耐久性試験を行い、サンプルが分層するか否か、白化するか否か、又は泡立ちが発生するか否かを観察した。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
[測定結果の検討]
実施例1~4の外層接着剤の物性から明らかなように、実施例1~4では、リサイクルポリエステルポリオール又はバイオマスポリエステルポリオールのいずれを採用しても、第1のイソシアネート成分と、第2のイソシアネート成分とを組み合わせることによって、石油化学原料であるポリエステルポリオールと第1のイソシアネート成分とを組み合わせる比較例1と同等、若しくはより優れた耐水性及び成形性を達成した。加えて、実施例1~4はいずれも、比較例2より優れた。
【0083】
比較例1及び比較例2をみると、比較例1において、石油化学原料のポリエステルポリオールと第1のイソシアネート成分とを組み合わせた結果、その物性は、本発明の実施例に近いものの、第2のイソシアネートイソシアネート成分を用いていないため、成形性及び耐水性がやや劣っている。一方、比較例1の物性は、市販品のポリエステルポリオールと第1のイソシアネート成分とを組み合わせた比較例2より優れていた。
【0084】
[実施形態による有利な効果]
本発明の有利な効果として、本発明に係る包装用積層材料に含まれる外層接着剤は、環境にやさしいポリエステルポリオールを採用する。環境にやさしいポリエステルポリオールは、ポリエステル再生材料又はバイオマス原料から製造される過程において(例えば、リサイクルポリエステルボトルフレークのアルコール分解、若しくはバイオマス原料から合成された酸/アルコール原料を、エステル化及び重合反応にかけることによって製造される過程において)、特定の重量平均分子量/数平均分子量及びガラス転移温度に制御することができると共に、特定の化学構造を有するイソシアネート材料とを組み合わせることができる。それによって、前記外層接着剤は、良好な接着性、加工成形性、耐熱性及び耐水性を有するだけでなく、環境にやさしい利点を有する。尚、本発明の実施形態に係る包装用積層材料は、食品包装材、医療用包装材及び電子包装材に特に適用する。
【0085】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
100,200・・・包装用積層材料
1・・・内層高分子膜
2・・・外層高分子膜
3・・・アルミニウム箔金属膜
4・・・内層接着剤
5・・・外層接着剤
L1・・・第1の防食処理層
L2・・・第2の防食処理層
図1
図2
図3