(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】基地局、通信方法及び集積回路
(51)【国際特許分類】
H04W 72/56 20230101AFI20240830BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20240830BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20240830BHJP
H04W 72/21 20230101ALI20240830BHJP
H04W 72/23 20230101ALI20240830BHJP
H04W 72/512 20230101ALI20240830BHJP
【FI】
H04W72/56
H04W28/04 110
H04W72/0446
H04W72/21
H04W72/23
H04W72/512
(21)【出願番号】P 2023067124
(22)【出願日】2023-04-17
(62)【分割の表示】P 2020534054の分割
【原出願日】2019-03-25
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2018144982
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】リ ホンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/056786(WO,A1)
【文献】OPPO,Summary of offline discussion on PUCCH resource allocation,3GPP TSG RAN WG1 #92 R1-1803428,2018年03月02日
【文献】Panasonic,Discussion on SR for URLLC and multiplexing with HARQ-ACK,3GPP TSG RAN WG1 adhoc_NR_AH_1706 R1-1710942,2017年06月30日
【文献】Qualcomm Incorporated,Considerations for URLLC resource allocation for PUCCH,3GPP TSG RAN WG1 #93 R1-1807362,2018年05月25日
【文献】Huawei, HiSilicon,Resource allocation for PUCCH HARQ-ACK feedback,3GPP TSG RAN WG1 #91 R1-1719398,2017年12月01日
【文献】Spreadtrum Communications,Considerations on PUCCH resource allocation for NR,3GPP TSG RAN WG1 #90b R1-1717749,2017年10月13日
【文献】Panasonic,Discussion on resource allocation for uplink control channel,3GPP TSG RAN WG1 #90b R1-1718260,2017年10月13日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の優先度である第1の上り制御情報のために第1の上りリンク制御チャネル(PUCCH)リソースセット及び第2の優先度である第2の上り制御情報のために第2のPUCCHリソースセットを示す情報を送信する送信機と、
前記第1の上り制御情報及び前記第2の上り制御情報の少なくとも一方を受信する受信機と、を具備し、
前記第1の上り制御情報に含まれる応答信号のために第1のスロット位置の集合が決定され、前記第2の上り制御情報に含まれる応答信号のために第2のスロット位置の集合が決定され、
下り制御情報における第1の情報に基づいて、前記第1の優先度及び前記第2の優先度の何れか一方の優先度が決定され、前記何れか一方の優先度に基づいて、前記第1のスロット位置の集合及び前記第2のスロット位置の集合の何れか一方が決定され、
前記下り制御情報における第2の情報に基づいて、前記第1のスロット位置の集合及び前記第2のスロット位置の集合の何れか一方の中から一つのスロット位置が決定される、
基地局。
【請求項2】
前記第1の上り制御情報は前記第1のPUCCHリソースセットから選択された第1のPUCCHリソースを用いて受信され、前記第2の上り制御情報は前記第2のPUCCHリソースセットから選択された第2のPUCCHリソースを用いて受信される、
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記第1のPUCCHリソースセット及び前記第2のPUCCHリソースセットは上位レイヤ信号を用いて通知される、
請求項1に記載の基地局。
【請求項4】
前記第1のPUCCHリソースは、下りリンク制御情報を用いて、前記第1のPUCCHリソースセットの中から決定される、
請求項2に記載の基地局。
【請求項5】
前記第1のPUCCHリソースは、前記第1の上り制御情報におけるビット総数に基づいて決定される、
請求項2に記載の基地局。
【請求項6】
前記第1の上り制御情報に用いられる第1のスロット構成は、前記第2の上り制御情報に用いられる第2のスロット構成と異なる、
請求項1に記載の基地局。
【請求項7】
前記第1の優先度は前記第2の優先度よりも高く、
前記第1の優先度である前記第1の上り制御情報と前記第2の優先度である前記第2の上り制御情報とがオーバーラップする場合、前記第2の上り制御情報がドロップされる、
請求項1に記載の基地局。
【請求項8】
前記第1の上り制御情報及び前記第2の上り制御情報は応答信号及びチャネル状態情報を含む、
請求項1に記載の基地局。
【請求項9】
基地局は、
第1の優先度である第1の上り制御情報のために第1の上りリンク制御チャネル(PUCCH)リソースセット及び第2の優先度である第2の上り制御情報のために第2のPUCCHリソースセットを示す情報を送信し、
前記第1の上り制御情報及び前記第2の上り制御情報の少なくとも一方を受信し、
前記第1の上り制御情報に含まれる応答信号のために第1のスロット位置の集合が決定され、前記第2の上り制御情報に含まれる応答信号のために第2のスロット位置の集合が決定され、
下り制御情報における第1の情報に基づいて、前記第1の優先度及び前記第2の優先度の何れか一方の優先度が決定され、前記何れか一方の優先度に基づいて、前記第1のスロット位置の集合及び前記第2のスロット位置の集合の何れか一方が決定され、
前記下り制御情報における第2の情報に基づいて、前記第1のスロット位置の集合及び前記第2のスロット位置の集合の何れか一方の中から一つのスロット位置が決定される、
通信方法。
【請求項10】
前記第1の上り制御情報は前記第1のPUCCHリソースセットから選択された第1のPUCCHリソースを用いて受信され、前記第2の上り制御情報は前記第2のPUCCHリソースセットから選択された第2のPUCCHリソースを用いて受信される、
請求項9に記載の通信方法。
【請求項11】
前記第1のPUCCHリソースセット及び前記第2のPUCCHリソースセットは上位レイヤ信号を用いて通知される、
請求項9に記載の通信方法。
【請求項12】
前記第1のPUCCHリソースは、下りリンク制御情報を用いて、前記第1のPUCCHリソースセットの中から決定される、
請求項10に記載の通信方法。
【請求項13】
前記第1のPUCCHリソースは、前記第1の上り制御情報におけるビット総数に基づいて決定される、
請求項10に記載の通信方法。
【請求項14】
前記第1の上り制御情報に用いられる第1のスロット構成は、前記第2の上り制御情報に用いられる第2のスロット構成と異なる、
請求項9に記載の通信方法。
【請求項15】
前記第1の優先度は前記第2の優先度よりも高く、
前記第1の優先度である前記第1の上り制御情報と前記第2の優先度である前記第2の上り制御情報とがオーバーラップする場合、前記第2の上り制御情報がドロップされる、
請求項9に記載の通信方法。
【請求項16】
前記第1の上り制御情報及び前記第2の上り制御情報は応答信号及びチャネル状態情報を含む、
請求項10に記載の通信方法。
【請求項17】
第1の優先度である第1の上り制御情報のために第1の上りリンク制御チャネル(PUCCH)リソースセット及び第2の優先度である第2の上り制御情報のために第2のPUCCHリソースセットを示す情報を送信する処理と、
前記第1の上り制御情報及び前記第2の上り制御情報の少なくとも一方を受信する処理と、を制御し、
前記第1の上り制御情報に含まれる応答信号のために第1のスロット位置の集合が決定され、前記第2の上り制御情報に含まれる応答信号のために第2のスロット位置の集合が決定され、
下り制御情報における第1の情報に基づいて、前記第1の優先度及び前記第2の優先度の何れか一方の優先度が決定され、前記何れか一方の優先度に基づいて、前記第1のスロット位置の集合及び前記第2のスロット位置の集合の何れか一方が決定され、
前記下り制御情報における第2の情報に基づいて、前記第1のスロット位置の集合及び前記第2のスロット位置の集合の何れか一方の中から一つのスロット位置が決定される、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、第5世代移動通信システム(5G:5th Generation mobile communication sysmtems)の実現に向けて、Release 15 NR(New Radio access technology)の仕様策定が完了した。NRでは、モバイルブロードバンドの高度化(eMBB: enhanced Mobile Broadband)の基本的な要求条件である高速及び大容量と合わせ、超高信頼低遅延通信(URLLC: Ultra Reliable and Low Latency Communication)をサポートしている(例えば、非特許文献1-4を参照)。
【0003】
3GPPが定義するRelease 15におけるURLLCへの要求条件として、片道0.5ms以下のユーザプレーン遅延、かつ、一定の信頼性を担保し、1ms以下の遅延を達成することが求められている。
【0004】
Release 15 NRでは、サブキャリア間隔又は送信シンボル数を柔軟に制御してTTI(Transmit Time Interval)を短縮することにより低遅延を実現する。また、低い目標ブロック誤り率(BLER: Block Error Rate)を達成するための変調符号化方式(MCS: Modulation and Coding Scheme)又はチャネル状態報告(CQI:Channel Quality Indicator)を設定又は通知することにより高信頼なデータ伝送を実現する。例えば、目標誤り率(又は、目標BLER)は、通常モード(例えば、BLER=10-1)と、高信頼モード(例えば、BLER=10-5)とが設定できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】3GPP TS 38.211 V15.2.0, "NR; Physical channels and modulation (Release 15)," March 2018.
【文献】3GPP TS 38.212 V15.2.0, "NR; Multiplexing and channel coding (Release 15)," June 2018.
【文献】3GPP TS 38.213 V15.2.0, "NR; Physical layer procedure for control (Release 15)," June 2018.
【文献】3GPP TS 38.214 V15.2.0, "NR; Physical layer procedures for data (Release 15)," June 2018.
【文献】H. Shariatmadari, Z. Li, S. Iraji, M. A. Uusitalo, and R. Jantti, “Control channel enhancements for ultra-reliable low-latency communications,” Proc. The 10th International Workshop on Evolutional Technologies and Ecosystems for 5G and Beyond (WDN-5G ICC2017), May 2017.
【文献】山本哲矢, 河内涼子, 湯田泰明, 鈴木秀俊, “Release 16 NR URLLCのための1シンボル上りリンク制御チャネルに関する一検討,” 信学会ソサイエティ大会2018, September 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
NRにおいて、上りリンク制御情報の送信方法について十分に検討されていない。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、上りリンク制御情報を適切に送信できる端末及び通信方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施例に係る端末は、上りリンク制御情報に対する要求条件に応じて、前記上りリンク制御情報又は前記上りリンク制御情報の送信に用いる上りリンク制御チャネルに対する処理態様を決定する回路と、前記決定された処理態様に基づいて、前記上りリンク制御チャネルを用いて前記上りリンク制御情報を送信する送信機と、を具備する。
【0009】
本開示の一実施例に係る通信方法は、上りリンク制御情報に対する要求条件に応じて、前記上りリンク制御情報又は前記上りリンク制御情報の送信に用いる上りリンク制御チャネルに対する処理態様を決定し、前記決定された処理態様に基づいて、前記上りリンク制御チャネルを用いて前記上りリンク制御情報を送信する。
【0010】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施例によれば、上りリンク制御情報を適切に送信できる。
【0012】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る端末の一部の構成を示すブロック図
【
図2】実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
【
図3】実施の形態1に係る端末の構成を示すブロック図
【
図4】実施の形態1に係る基地局及び端末の処理を示すシーケンス図
【
図5】実施の形態1に係るACK/NACKの送信処理の一例を示す図
【
図6】実施の形態1のOption 1に係るACK/NACKのマッピング例を示す図
【
図7】実施の形態1のOption 2に係るACK/NACKのマッピング例を示す図
【
図8】実施の形態1のOption 3に係るACK/NACKのマッピング例を示す図
【
図9】実施の形態1のOption 4に係るACK/NACKのマッピング例を示す図
【
図10A】実施の形態2のOption 1に係るACK/NACK及の送信処理の一例を示す図
【
図10B】実施の形態2のOption 1に係るACK/NACK及の送信処理の一例を示す図
【
図11A】実施の形態2のOption 2に係るACK/NACK及の送信処理の一例を示す図
【
図11B】実施の形態2のOption 2に係るACK/NACK及の送信処理の一例を示す図
【
図12】実施の形態3に係るACK/NACK及の送信処理の一例を示す図
【
図13】実施の形態4に係るACK/NACK及の送信処理の一例を示す図
【
図14】実施の形態4に係るACK/NACK及の送信処理の他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
LTE(Long-Term Evolution)又はNRにおけるeMBBのユースケースでは、セルスループット又は周波数利用効率を最大化することが求められる。このような場合、データの目標誤り率を比較的高い値(例えば、BLER=10-1)に設定して運用されることが一般的である。これは、ハイブリッド自動再送要求(HARQ: Hybrid Automatic Repeat Request)を適用しているためである。eMBBでは、例えば、HARQによる数回の再送による合成利得を考慮した上で、最終的に高信頼のパケット伝送(例えば、BLER=10-5)を実現することを許容している。
【0016】
一方、URLLCでは、高信頼のパケット伝送(例えば、BLER=10-5)を1ms以下の遅延で実現することが求められる。例えば、上述したHARQでは、データ伝送に誤りが発生した場合に再送要求が起こり、データが再送されるため、再送回数の増加に応じて遅延時間が長くなり、低遅延の要求条件を満たせなくなる。よって、URLLCでは、HARQによる再送無しで高信頼のパケット伝送を可能とするために、上述したような高信頼モード(データの目標誤り率を比較的低い値(例えば、BLER=10-5)に設定するモード)により1回目の送信においてデータを確実に伝送できるように運用することが考えられる。
【0017】
低い目標誤り率を設定することは、高信頼のデータ伝送につながるものの、高い目標誤り率を設定する場合と比較して、無線リソースをより多く必要とする。Release 15 NRでは、URLLCのデータサイズは、比較的小さい32byteに制限されているため、低い目標誤り率の設定によるリソース利用効率への影響はそれほど大きくなかった。
【0018】
一方で、Release 16又は今後のURLLCでは、Release 15 NRよりも大きなデータサイズを扱い、URLLCのユースケースを拡大していくことが期待される。この場合、低い目標誤り率を設定すると、1回の送信によって高信頼のパケット送信を実現するためには、膨大な無線リソースを必要とする可能性があり、リソース利用効率の観点から非効率である。
【0019】
したがって、比較的大きなデータサイズを扱うURLLCのユースケースでは、例えば、高速なHARQ再送制御の適用が想定される。高速なHARQ再送制御では、例えば、1回目の送信において高い目標誤り率(例えば、BLER=10-1又はBLER=10-2等)を設定し、1回目の送信において誤りが発生しても次の再送(2回目の送信)においてデータを確実に伝送する運用が行われる。このように、高速なHARQ再送制御は、リソース利用効率を向上させつつ、低遅延で高信頼なパケット伝送を行うために有効である。
【0020】
ここで、下りリンクにおけるHARQ伝送に着目すると、端末(UE:User Equipment)は、下りリンクデータに対する誤り検出結果を示す応答信号(ACK/NACK:Acknowledgement / Negative Acknowledgement。又は、HARQ-ACKと呼ぶ)を基地局(例えば、eNB又はgNB)へ送信する。
【0021】
このとき、応答信号の伝送に必要とされる信頼度又は遅延要求は、下りリンクデータ伝送の信頼度、遅延要求、又は、ユースケース(またはサービス)の種類(又はusage scenario)によって異なる。
【0022】
例えば、URLLCにおいて、1回目の送信において誤りが発生しても次の送信(再送)においてデータを確実に伝送できるような運用を想定する。この場合、1回目のデータ送信の目標誤り率が高いほど、より高い信頼度の応答信号の伝送(換言すると、目標誤り率がより低い応答信号の伝送)が求められる。例えば、1回目のデータ送信の目標誤り率がBLER=10-1である場合、応答信号にはBLER=10-4以下の誤り率が求められ、1回目のデータ送信の目標誤り率がBLER=10-3である場合、応答信号にはBLER=10-2以下の誤り率が求められる(例えば、非特許文献5を参照)。
【0023】
また、eMBBとURLLCとでは、URLLCのデータ伝送に対する応答信号は、eMBBのデータ伝送に対する応答信号と比較してより低遅延が要求される。
【0024】
しかしながら、Release 15 NRでは、端末からの応答信号のフィードバック機構において、信頼性、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に関する動作について十分に検討されていない。
【0025】
また、端末は、上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)を用いて応答信号を基地局へ送信する。しかしながら、Release 15 NRでは、再送を許容するURLLCにおいて応答信号の伝送に要する信頼度に関する要求条件(例えば、BLER=10-4以下の誤り率)を実現するようなPUCCHは設計されていない。
【0026】
また、NRの端末は、複数のユースケース又はサービス(例えば、eMBB及びURLLC等)に対応することが想定される。また、NRの端末は、URLLCにおいて、目標誤り率の異なる複数のデータ伝送に対応することも想定される。このとき、上りリンクの同一スロット内において、端末が、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なるデータ伝送にそれぞれ対応する応答信号を同時に送信する場合が発生する可能性がある。
【0027】
Release 15 NRでは、1スロット内において応答信号を送信できるPUCCHの数は1つに制限されている。したがって、仮に、上述したように同一スロット内において信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なるデータ伝送に対応する応答信号が同時に送信される場合、これらの応答信号は、1つのPUCCHに多重して送信される。
【0028】
例えば、Release 15 NRにおける方法では、要求される信頼度が異なる応答信号が多重される場合、高い信頼度が要求される応答信号の要求条件を満たすために、高い信頼度が要求される応答信号の信頼度に合わせてPUCCHに対する無線リソースを設定することが考えられる。しかし、この場合、当該高い信頼度が要求される応答信号と比較して低い信頼度が要求される応答信号(換言すると、高い信頼度が要求されない応答信号)に対しても、高い信頼度が要求される応答信号と同様にPUCCHに対する無線リソースが設定されるため、リソース利用効率の観点から非効率である。
【0029】
また、要求される信頼度が異なる応答信号が多重される場合、応答信号を多重するためのHARQ-ACKコードブック(応答信号ビット列)では、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に関係なく、時間的に早く受信した下りリンクデータに対応する応答信号から順に並べられる。例えば、遅延要求が異なる応答信号(例えば、eMBB及びURLLCに対応する応答信号)が1つのPUCCHに多重して送信される場合、低遅延を要求されない応答信号(例えば、eMBBの応答信号)の送信が遅延のボトルネックとなる場合がある。
【0030】
そこで、本開示の一実施例では、信頼度、遅延要求、又は、ユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号の送信方法について説明する。換言すると、信頼度、遅延要求又はユースケース(又はサービス)の種類等の「要求条件」に応じた応答信号の送信方法について説明する。
【0031】
以下、各実施の形態について、詳細に説明する。
【0032】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本開示の各実施の形態に係る通信システムは、基地局100及び端末200を備える。
【0033】
図1は、本開示の各実施の形態に係る端末200の一部の構成を示すブロック図である。
図1に示す端末200において、制御部211は、上りリンク制御情報(UCI。例えば、下りリンクデータに対する応答信号)に対する要求条件(例えば、信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類)に応じて、上りリンク制御情報又は上りリンク制御情報の送信に用いる上りリンク制御チャネル(例えば、PUCCH)に対する処理態様(例えば、送信方法又はパラメータ設定など)を決定する。送信部216は、決定された処理態様に基づいて、上りリンク制御チャネルを用いて上りリンク制御情報を送信する。
【0034】
[基地局の構成]
図2は、本開示の実施の形態1に係る基地局100の構成を示すブロック図である。
図2において、基地局100は、制御部101と、データ生成部102と、符号化部103と、再送制御部104と、変調部105と、上位制御信号生成部106と、符号化部107と、変調部108と、下り制御信号生成部109と、符号化部110と、変調部111と、信号割当部112と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部113と、送信部114と、アンテナ115と、受信部116と、FFT(Fast Fourier Transform)部117と、抽出部118と、復調部119と、復号部120と、判定部121と、を有する。
【0035】
制御部101は、端末200の下りリンクデータ送信に関する情報を決定し、決定した情報を符号化部103、変調部105及び信号割当部112に出力する。下りリンクデータ送信に関する情報には、例えば、PDSCHにおいて送信される下りリンクデータの変調符号化方法(例えば、MCS)、又は、PDSCHの無線リソース(以下、「PDSCHリソース」と呼ぶ)等が含まれる。また、制御部101は、決定した情報を下り制御信号生成部109に出力する。
【0036】
また、制御部101は、端末200の下りリンクデータの信頼度、遅延要求又はユースケース(又はサービス)の種類に関する情報(換言すると、応答信号の要求条件に関する情報)を決定し、決定した情報を上位制御信号生成部106又は下り制御信号生成部109へ出力する。この情報は、端末200(例えば、制御部211)へ通知される。
【0037】
また、制御部101は、端末200の上りリンク制御情報(UCI:Uplink Control Information)の送信に関する情報を決定し、決定した情報を、抽出部118及び復号部120へ出力する。また、制御部101は、UCIの送信に関する情報を上位制御信号生成部106又は下り制御信号生成部109へ出力する。UCIの送信に関する情報には、例えば、UCI(例えば、応答信号又はCSI等)又はUCIの送信に用いるPUCCHの送信方法又はパラメータ等が含まれる。
【0038】
また、上位制御信号生成部106に出力される情報には、例えば、PUCCH resource setに関する情報、準静的(Semi-static)に設定されるスロット位置(例えば、PDSCH-to-HARQ-ACK timing)の集合に関する情報、又は、UCIの最大符号化率に関する情報等が含まれる。また、下り制御情報生成部109に出力される情報には、例えば、PUCCH resource set内の実際に用いるPUCCHの無線リソース(以下、PUCCHリソース)を指示するための情報、準静的に設定されるスロット位置の集合内の実際に用いるPDSCH-to-HARQ-ACK timingを指示するための情報等が含まれる。
【0039】
また、制御部101は、上位レイヤの制御信号(上位制御信号)又は下りリンク制御情報を送信するための下りリンク制御信号に対する無線リソース割当、及び、下りリンクデータに対する無線リソース割当を決定し、決定した情報を信号割当部112へ出力する。
【0040】
データ生成部102は、端末200に対する下りリンクデータを生成し、符号化部103へ出力する。
【0041】
符号化部103は、データ生成部102から入力される下りリンクデータに対して、制御部101から入力される情報(例えば、符号化率に関する情報)に基づいて誤り訂正符号化を行い、符号化後のデータ信号を再送制御部104へ出力する。
【0042】
再送制御部104は、初回送信時には、符号化部103から入力される符号化後のデータ信号を保持するとともに、変調部105へ出力する。また、再送制御部104は、後述する判定部121から、送信したデータ信号に対するNACKが入力されると、対応する保持データを変調部105へ出力する。一方、再送制御部104は、判定部121から、送信したデータ信号に対するACKが入力されると、対応する保持データを削除する。
【0043】
変調部105は、制御部101から入力される情報(例えば、変調方式に関する情報)に基づいて、再送制御部104から入力されるデータ信号を変調して、データ変調信号を信号割当部112へ出力する。
【0044】
上位制御信号生成部106は、制御部101から入力される制御情報を用いて、制御情報ビット列(上位制御信号)を生成し、生成した制御情報ビット列を符号化部107へ出力する。
【0045】
符号化部107は、上位制御信号生成部106から入力される制御情報ビット列に対して誤り訂正符号化を行い、符号化後の制御信号を変調部108へ出力する。
【0046】
変調部108は、符号化部107から入力される制御信号を変調して、変調後の制御信号を信号割当部112へ出力する。
【0047】
下り制御信号生成部109は、制御部101から入力される制御情報を用いて、制御情報ビット列(下り制御信号。例えば、DCI)を生成し、生成した制御情報ビット列を符号化部110へ出力する。なお、制御情報が複数の端末向けに送信されることもあるため、下り制御信号生成部109は、各端末向けの制御情報に、各端末の端末IDを含めてビット列を生成してもよい。なお、端末IDには、後述するスクランブリング系列が用いられてもよい。
【0048】
符号化部110は、下り制御信号生成部109から入力される制御情報ビット列に対して誤り訂正符号化を行い、符号化後の制御信号を変調部111へ出力する。
【0049】
変調部111は、符号化部110から入力される制御信号を変調して、変調後の制御信号を信号割当部112へ出力する。
【0050】
信号割当部112は、制御部101から入力される無線リソースを示す情報に基づいて、変調部105から入力されるデータ信号、変調部108から入力される上位制御信号、又は、変調部111から入力される下り制御信号を、無線リソースにマッピングする。信号割当部112は、信号がマッピングされた下りリンクの信号をIFFT部113へ出力する。
【0051】
IFFT部113は、信号割当部112から入力される信号に対して、OFDM等の送信波形生成処理を施す。IFFT部113は、CP(Cyclic Prefix)を付加するOFDM伝送の場合には、CPを付加する(図示せず)。IFFT部113は、生成した送信波形を送信部114へ出力する。
【0052】
送信部114は、IFFT部113から入力される信号に対してD/A(Digital-to-Analog)変換、アップコンバート等のRF(Radio Frequency)処理を行い、アンテナ115を介して端末200に無線信号を送信する。
【0053】
受信部116は、アンテナ115を介して受信された端末200からの上りリンク信号波形に対して、ダウンコンバート又はA/D(Analog-to-Digital)変換などのRF処理を行い、受信処理後の上りリンク信号波形をFFT部117に出力する。
【0054】
FFT部117は、受信部116から入力される上りリンク信号波形に対して、時間領域信号を周波数領域信号に変換するFFT処理を施す。FFT部117は、FFT処理により得られた周波数領域信号を抽出部118へ出力する。
【0055】
抽出部118は、制御部101から入力される情報(例えば、UCIの送信に関する情報)に基づいて、FFT部117から入力される信号から、PUCCHが送信された無線リソース成分を抽出する。抽出部118は、抽出した無線リソース成分を復調部119へ出力する。
【0056】
復調部119は、抽出部118から入力されるPUCCHに対応する無線リソース成分に対して、等化及び復調を行い、復調結果(復調系列)を復号部120へ出力する。
【0057】
復号部120は、制御部101から入力されるUCIの送信に関する情報(例えば、UCIの符号化に関する情報)に基づいて、復調部119から入力される復調結果に対して誤り訂正復号を行い、復号後のビット系列を判定部121へ出力する。
【0058】
判定部121は、復号部120から入力されるビット系列に基づいて、端末200から送信された応答信号が、送信したデータ信号に対してACK(誤り有り)又はNACK(誤り無し)の何れを示しているかを判定する。判定部121は、判定結果を再送制御部104に出力する。
【0059】
[端末の構成]
図3は、本開示の実施の形態1に係る端末200の構成を示すブロック図である。
図3において、端末200は、アンテナ201と、受信部202と、FFT部203と、抽出部204と、下り制御信号復調部205と、復号部206と、上位制御信号復調部207と、復号部208と、データ復調部209と、復号部210と、制御部211と、符号化部212と、変調部213と、信号割当部214と、IFFT部215と、送信部216と、を有する。
【0060】
受信部202は、アンテナ201を介して受信された基地局100からの下りリンク信号(データ信号又は制御信号)の信号波形に対して、ダウンコンバート又はA/D(Analog-to-Digital)変換などのRF処理を行い、得られる受信信号(ベースバンド信号)をFFT部203に出力する。
【0061】
FFT部203は、受信部202から入力される信号(時間領域信号)に対して、時間領域信号を周波数領域信号に変換するFFT処理を施す。FFT部203は、FFT処理により得られた周波数領域信号を抽出部204へ出力する。
【0062】
抽出部204は、制御部211から入力される制御情報(例えば、下りリンクデータ又は制御信号の無線リソースに関する情報)に基づいて、FFT部203から入力される信号から、下り制御信号(例えば、DCI)、上位制御信号、又は、下りリンクデータを抽出する。抽出部204は、下り制御信号を下り制御信号復調部205へ出力し、上位制御信号を上位制御信号復調部207へ出力し、下りリンクデータをデータ復調部209へ出力する。
【0063】
下り制御信号復調部205は、抽出部204から入力される下り制御信号を等化及び復調して、復調結果を復号部206へ出力する。
【0064】
復号部206は、下り制御信号復調部205から入力される復調結果を用いて誤り訂正復号を行い、制御情報を得る。復号部206は、得られた制御情報を制御部211に出力する。
【0065】
上位制御信号復調部207は、抽出部204から入力される上位制御信号を等化及び復調し、復調結果を復号部208へ出力する。
【0066】
復号部208は、上位制御信号復調部207から入力される復調結果を用いて誤り訂正復号を行い、制御情報を得る。復号部208は、得られた制御情報を制御部211に出力する。
【0067】
データ復調部209は、抽出部204から入力される下りリンクデータを等化及び復調し、復号結果を復号部210へ出力する。
【0068】
復号部210は、データ復調部209から入力される復調結果を用いて誤り訂正復号を行う。また、復号部210は、下りリンクデータに対して誤り検出を行い、誤り検出結果を制御部211に出力する。また、復号部210は、誤り検出の結果、誤り無しと判定した下りリンクデータを受信データとして出力する。
【0069】
制御部211は、復号部206又は復号部208から入力される制御情報に含まれる、端末200のUCIの送信に関する情報に基づいて、UCI(例えば、ACK/NACK又はCSI)又はUCIの送信に用いるPUCCHの送信方法又はパラメータ(例えば、MCS又は無線リソース等)を決定する。制御部211は、決定した情報を符号化部212、変調部213及び信号割当部214へ出力する。
【0070】
また、制御部211は、復号部210から入力される誤り検出結果を用いて応答信号(ACK/NACK)を生成し、符号化部212に出力する。
【0071】
また、制御部211は、復号部206又は復号部208から入力される制御情報に含まれる、下りリンクデータ又は制御信号の無線リソースに関する情報を、抽出部204に出力する。
【0072】
符号化部212は、制御部211から入力される情報に基づいて、応答信号(ACK/NACKのビット系列)を誤り訂正符号化し、符号化後の応答信号(ビット系列)を変調部213へ出力する。例えば、符号化部212は、後述するように、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類等の要求条件の異なる応答信号に対して、異なる符号化方法を適用して符号化ビット列を生成してもよい。
【0073】
変調部213は、制御部211から入力される情報に基づいて、符号化部212から入力される応答信号を変調して、変調後の応答信号(変調シンボル列)を信号割当部214へ出力する。例えば、変調部213は、符号化部212から、異なる符号化方法が適用された符号化ビット列が入力される場合、各符号化ビット列に対して変調を行う。
【0074】
信号割当部214は、変調部213から入力される応答信号(変調シンボル列)を、制御部211から指示されるPUCCHの無線リソースにマッピングする。信号割当部214は、応答信号がマッピングされた信号をIFFT部215へ出力する。
【0075】
IFFT部215は、信号割当部214から入力される信号に対して、OFDM等の送信波形生成処理を施す。IFFT部215は、CP(Cyclic Prefix)を付加するOFDM伝送の場合には、CPを付加する(図示せず)。または、IFFT部215がシングルキャリア波形を生成する場合には、信号割当部214の前段にDFT(Discrete Fourier Transform)部が追加されてもよい(図示せず)。IFFT部215は、生成した送信波形を送信部216へ出力する。
【0076】
送信部216は、IFFT部215から入力される信号に対してD/A(Digital-to-Analog)変換、アップコンバート等のRF(Radio Frequency)処理を行い、アンテナ201を介して基地局100に無線信号を送信する。
【0077】
[基地局100及び端末200の動作]
以上の構成を有する基地局100及び端末200における動作について詳細に説明する。
【0078】
図4は、本実施の形態に係る基地局100及び端末200の処理のフローを示す。
【0079】
基地局100は、PUCCHに関する情報を端末200へ送信する(ST101)。端末200は、基地局100から通知されるPUCCHに関する情報を取得する(ST102)。PUCCHに関する情報には、例えば、PUCCH resource setに関する情報、又は、PUCCHの符号化率に関する情報が含まれる。
【0080】
基地局100は、下りリンクデータに関する情報を含むDCIを、端末200へ送信する(ST103)。端末200は、例えば、基地局100から通知されるDCIに基づいて、下りリンクデータのスケジューリング情報、又は、PUCCHに関する情報を取得する(ST104)。
【0081】
基地局100は、下りリンクデータを端末200へ送信する(ST105)。端末200は、例えば、基地局100から通知されているDCIに基づいて、下りリンクデータ(PDSCH)を受信する(ST106)。
【0082】
端末200は、応答信号に対する要求条件(換言すると、信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類)に応じて、応答信号又は応答信号の送信に関する動作を制御する(ST107)。例えば、端末200は、応答信号に対する要求条件に応じて、応答信号又はPUCCHに対する処理態様を決定する。応答信号又はPUCCHに対する処理態様の決定では、例えば、応答信号の符号化方法、PUCCHリソースの決定方法、又は、PUCCH送信に関するパラメータ等が決定されてもよい。
【0083】
端末200は、決定した動作に基づいて、PUCCHを用いてUCI(例えば、応答信号を含む)を基地局100へ送信する(ST108)。基地局100は、端末200から送信されるUCIを受信する(ST109)。
【0084】
次に、端末200におけるUCI送信に関する動作(例えば、
図4のST107の処理)の制御方法について詳細に説明する。
【0085】
[符号化方法]
端末200は、信頼度、遅延要求、又は、ユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号(換言すると、要求条件の異なる応答信号)に対して、異なる符号化方法を適用して、HARQ-ACKビットを生成する。
【0086】
そして、端末200は、異なる符号化方法を適用した符号化後の応答信号をPUCCHに多重して送信する。
【0087】
例えば、端末200は、信頼度、遅延要求、又は、ユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に対して、異なる符号化率による符号化処理を適用する。
【0088】
例えば、端末200は、高い信頼度が要求される応答信号に対して、低い符号化率(例えば、閾値以下の符号化率)を用いて応答信号を符号化して、HARQ-ACKビットを生成する。低い符号化率を適用することにより、応答信号の信頼度を向上できる。
【0089】
一方、端末200は、高い信頼度が要求されない応答信号に対して、高い符号化率(例えば、閾値より高い符号化率)を用いて応答信号を符号化して、HARQ-ACKビットを生成する。高い符号化率を適用することにより、応答信号のビット数の増加を抑えて、リソース利用効率を向上できる。
【0090】
応答信号に対する符号化処理に差異を生じさせる例として、応答信号の信頼度が異なる場合について説明する。例えば、URLLCにおいて、1回目のデータ送信の目標誤り率が高い(例えば、BLER=10-1)下りリンクデータに対する応答信号と、1回目のデータ送信の目標誤り率が低い(例えば、BLER=10-5)下りリンクデータに対する応答信号と、で符号化処理に差異を生じさせてもよい。
【0091】
具体的には、1回目のデータ送信の目標誤り率が高い場合、データを確実に再送させるために、応答信号には高い信頼度が要求されるため、応答信号に対して、低い符号化率の符号化方法が適用される。一方、1回目のデータ送信の目標誤り率が低い場合、データの誤りが発生しにくいので、応答信号にはそれほど高い信頼度が要求されないため、応答信号に対して高い符号化率の符号化方法が適用される。
【0092】
また、応答信号に対する符号化処理に差異を生じさせる他の例として、応答信号の遅延要求が異なる場合、又は、応答信号のユースケース(またはサービス)の種類(例えば、URLLC又はeMBB等)が異なる場合がある。
【0093】
一例として、
図5は、URLLCとeMBBとで異なる符号化方法(符号化処理)が応答信号に適用される例を示す。
図5では、端末200は、eMBBの下りリンクデータ(eMBB PDSCH)に対する応答信号に対して符号化処理1(encoding process 1)を適用し、URLLCの下りリンクデータ(URLLC PDSCH)に対する応答信号に対して符号化処理2(encoding process 2)を適用する。
【0094】
例えば、URLLCでは高い信頼度が要求されるため、応答信号に対する符号化処理2では、低い符号化率の符号化方法が適用される。一方、eMBBでは、URLLCと比較して高い信頼度が要求されないため、応答信号に対する符号化処理1では、高い符号化率の符号化方法が適用される。
【0095】
図5において、端末200は、URLLCの応答信号及びeMBBの応答信号に対してそれぞれ異なる符号化方法を適用してHARQ-ACKビットをそれぞれ生成し、生成したHARQ-ACKビットを1つのPUCCHに多重して基地局100へ送信する。
【0096】
このように、本実施の形態によれば、端末200は、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に応じて、応答信号毎に適切な符号化方法(例えば、符号化率)を適用できる。これにより、1つのPUCCHに多重される応答信号の要求条件が異なる場合でも、各応答信号の要求条件に応じた符号化方法を用いて各応答信号が符号化されるので、リソース利用効率の観点から効率的なPUCCH送信が可能になる。
【0097】
なお、ACK/NACK毎に異なる符号化処理は、上述した信頼度、又は、ユースケース(サービス)の種類に基づいて決定される場合に限定されず、例えば、信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類の少なくとも1つに基づいて決定されればよい。
【0098】
[マッピング方法]
次に、信頼度、遅延要求、又は、ユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号(換言すると、要求条件の異なる応答信号)のPUCCHリソースへのマッピング方法について説明する。
【0099】
例えば、端末200は、より高い信頼度が要求される応答信号の順に、又は、遅延要求においてより低遅延が要求される応答信号の順に、PUCCHにマッピングする。具体的には、端末200は、まず、より高い信頼度又はより低遅延が要求される応答信号をPUCCHリソースへマッピングする。次に、端末200は、高い信頼度又は低遅延が要求されない応答信号をPUCCHリソースへマッピングする。
【0100】
以下、一例として、1又は2シンボルで構成されるShort-PUCCH(例えば、PUCCH Format 2)及び4シンボル以上のシンボルで構成されるLong-PUCCH(例えば、PUCCH Format 3又はPUCCH Format 4)における応答信号のマッピング方法についてそれぞれ説明する。
【0101】
<Short PUCCHの場合>
Short PUCCHにおける応答信号のPUCCHリソースへのマッピングとしては、以下の2つの方法(Option 1及びOption 2)を適用できる。
【0102】
[Option 1]
図6は、Option 1における応答信号のRE(Resource Element)へのマッピング例を示す。
【0103】
図6に示すように、Option 1では、端末200は、応答信号(HARQ-ACK)を変調した後の変調シンボル列を、「Frequency-first-time-second形式」に基づいて、参照信号(RS: Reference Signal。例えば、DMRS:Demodulation RS)がマッピングされるリソースエレメント(RE: Resource Element)を除いたREへマッピングする。換言すると、端末200は、PUCCHにおいて、応答信号を、周波数方向から時間方向の順にマッピングする。
【0104】
具体的には、REへのマッピングにおいて、上述したように、高い信頼度又は低遅延が要求される応答信号(
図6では、URLLCに対するHARQ-ACK)が最初にPUCCHリソースへマッピングされ、続いて、高い信頼度又は低遅延がそれほど要求されない応答信号(
図6では、eMBBに対するHARQ-ACK)がPUCCHリソースへマッピングされる。
【0105】
Option 1のマッピング方法により、
図6では、URLLCに対するHARQ-ACKは、PUCCHを構成する1シンボル目の全てのRE(ただし、DMRSがマッピングされたREを除く)と、2シンボル目の一部のREにマッピングされ、eMBBに対するHARQ-ACKは、2シンボル目の残りのREにマッピングされる。
【0106】
Option 1のマッピング方法によれば、例えば、より低遅延が要求される応答信号がPUCCHの先頭シンボルへマッピングされるので、2シンボルのShort PUCCHの場合に、遅延の削減効果が得られる。
【0107】
[Option 2]
図7は、Option 2における応答信号のREへのマッピング例を示す。
【0108】
図7に示すように、Option 2では、端末200は、応答信号(HARQ-ACK)を変調した後の変調シンボル列を、Option 1と同様に「Frequency-first-time-second形式」に基づいて、参照信号がマッピングされるREを除いたREへマッピングする。更に、Option 2では、端末200は、周波数方向において割当帯域内の応答信号が分散されるようにマッピングする。
【0109】
具体的には、REへのマッピングにおいて、上述したように、高い信頼度又は低遅延が要求される応答信号(
図7では、URLLCに対するHARQ-ACK)が最初にPUCCHリソースへマッピングされ、続いて、高い信頼度又は低遅延がそれほど要求されない応答信号(
図7では、eMBBに対するHARQ-ACK)がPUCCHリソースへマッピングされる。また、
図7では、URLLCに対するACK/NACK及びeMBBに対応するACK/NACKは、周波数方向において分散してマッピングされる。
【0110】
Option 2のマッピング方法により、
図7では、URLLCに対するHARQ-ACKは、PUCCHを構成する1シンボル目の全てのRE(ただし、DMRSがマッピングされたREを除く)と、2シンボル目の一部のREにマッピングされ、eMBBに対するHARQ-ACKは、2シンボル目の残りのREにマッピングされる。また、
図7では、PUCCHの2シンボル目において、URLLCに対するHARQ-ACK及びeMBBに対するHARQ-ACKは、PUCCHの割り当て帯域(例えば、4RB(Resource Block))において周波数方向に分散してそれぞれマッピングされている。
【0111】
Option 2のマッピング方法によれば、Option 1のマッピング方法と同様、より低遅延が要求される応答信号がPUCCHの先頭シンボルへマッピングされるので、2シンボルのShort PUCCHの場合に、遅延の削減効果が得られる。
【0112】
また、Option 2のマッピング方法によれば、周波数方向への分散的なマッピングにより、周波数ダイバーシチ効果を得ることができるので、より高品質な応答信号(換言すると、より高信頼度の応答信号)の伝送を実現できる。
【0113】
<Long PUCCHの場合>
Long-PUCCHにおける応答信号のPUCCHリソースへのマッピングとしては、以下の2つの方法(Option 3及びOption 4)を適用できる。
【0114】
[Option 3]
Option 3では、NRのPUCCH Format 3又はPUCCH Format 4におけるHARQ-ACKビットとCSI(CSI Part 1及びCSI Part 2)とのマッピング関係と同様の方法(例えば、非特許文献2を参照)を、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に対するマッピングに適用する。
【0115】
図8は、Option 3における応答信号のREへのマッピング例を示す。
【0116】
図8に示すように、Option 3では、端末200は、応答信号(HARQ-ACK)を変調した後の変調シンボル列を、「Frequency-first-time-second形式」に基づいて、RS(
図8ではDMRS)がマッピングされるREを除いたREへマッピングする。また、
図8に示すように、端末200は、より高い信頼度が要求される応答信号ほど、PUCCHにおいて参照信号(例えば、DMRS)がマッピングされたシンボルにより近いシンボルにマッピングする。
【0117】
具体的には、
図8に示すように、REへのマッピングにおいて、上述したように、最初に、高い信頼度が要求されるURLLCに対するHARQ-ACKが、DMRSがマッピングされたシンボルに近いシンボル(前後のシンボル)に順にマッピングされる。続いて、
図8に示すように、高い信頼度がそれほど要求されないeMBBに対するHARQ-ACKビットが残りのPUCCHリソースへマッピングされる。
【0118】
Option 3のマッピング方法によれば、より高い信頼度が要求されるHARQ-ACKビットが、チャネル推定精度の高いシンボル(DMRSがマッピングされたシンボルに近いシンボル)へマッピングされる。このため、Option 3によれば、より高品質な応答信号(換言すると、より高信頼度の応答信号)の伝送を実現できる。
【0119】
[Option 4]
図9は、Option 4における応答信号のREへのマッピング例を示す。
【0120】
図9に示すように、Option 4では、端末200は、応答信号(HARQ-ACK)を変調した後の変調シンボル列を、「Frequency-first-time-second形式」に基づいて、RSがマッピングされるREを除いたREへマッピングする。また、
図9に示すように、端末200は、遅延要求においてより低遅延が要求される応答信号ほど、PUCCHのより早いシンボルにマッピングする。
【0121】
具体的には、
図9に示すように、REへのマッピングにおいて、上述したように、最初に、低遅延が要求されるURLLCに対するHARQ-ACKがより早いタイミングのシンボル(例えば、先頭シンボル)から順にマッピングされる。続いて、
図9に示すように、低遅延がそれほど要求されないeMBBに対するHARQ-ACKが残りのPUCCHリソースへマッピングされる。
【0122】
Option 4のマッピング方法によれば、より低遅延が要求される応答信号がPUCCHの先頭シンボルへマッピングされるので、遅延の削減効果がある。
【0123】
以上、応答信号のPUCCHリソースへのマッピング方法について説明した。
【0124】
このように、端末200は、高い信頼度又は低遅延が要求される応答信号、つまり、要求条件が厳しい応答信号を、PUCCHリソースへ優先的にマッピングする。これにより、端末200は、例えば、PUCCHに多重される応答信号のうち、より高い信頼度又はより低遅延が要求される応答信号を、高い信頼度又は低遅延を実現できるPUCCHリソースへ優先的にマッピングできる。よって、本実施の形態によれば、端末200は、応答信号に対する要求条件に適したPUCCHリソースを用いて、応答信号を送信できる。
【0125】
なお、Option 3及びOption 4では、4シンボル以上を用いるLong-PUCCHに対する応答信号のマッピング方法について説明した。一方で、例えば、URLLCでは、Long-PUCCHを用いることは遅延削減の観点から望ましくない。そこで、本実施の形態では、信頼度、遅延要求又はユースケース(又はサービス)の種類が異なる応答信号を1つのPUCCHに多重することを許容するのは、Short-PUCCHに限定してもよい。これにより、低遅延の要求条件を満たしつつ、複数のPUCCH formatに対する設計を省くことができる。
【0126】
また、応答信号のPUCCHリソースへのマッピング方法は、上述したOption 1~4に限定されない。また、例えば、Option 1~4の何れかを組み合わせてもよい。例えば、Option 3(
図8を参照)又はOption 4(
図9を参照)において、Option 2(
図7を参照)のように、応答信号(HARQ-ACK)は、周波数方向において分散してマッピングされてもよい。
【0127】
[PUCCHリソースの決定方法]
次に、本実施の形態におけるPUCCHリソースの決定方法について説明する。
【0128】
NRでは、端末の下りリンクデータに対する応答信号を送信するためのPUCCHリソースの特定に関して、基地局が、端末固有の上位レイヤ信号(例えば、RRC(Radio Resource Control)シングナリング)によって、準静的なPUCCHリソースの集合(PUCCH resource set)を通知し、下りリンクデータを割り当てるDCI(Downlink Control Information)によって、PUCCH resource setの中の実際に用いるPUCCHリソースを通知する方法を採用する(例えば、非特許文献3を参照)。
【0129】
ここで、PUCCHリソースは、例えば、スロット内のシンボル位置、スロット内のシンボル数、周波数領域位置、周波数領域のリソース数(例えば、RB数又はPRB(Physical RB)数)、周波数ホッピングの適用の有無、又は、符号リソース(例えば、巡回シフト系列又は直交符号)の少なくとも1つからなるパラメータで構成される。
【0130】
また、基地局は、端末に対して複数のPUCCH resource setを通知できる。端末は、PUCCHを用いて送信する上りリンク制御情報(UCI: Uplink Control Information)のビット数に基づいて、通知された複数のPUCCH resource setのうちのどのPUCCH resource setを用いるかを決定できる。
【0131】
本実施の形態では、端末200は、PUCCHに多重される応答信号(HARQ-ACK)の符号化後のビット数の合計に基づいて、PUCCH resource setを決定する。
【0132】
また、本実施の形態では、PUCCHリソースの決定に係るパラメータについて、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号(換言すると、要求条件の異なる応答信号)に対して、異なる値が設定されてもよい。
【0133】
例えば、NRでは、PUCCH format毎に最大符号化率が設定されている。端末は、PUCCHの送信に用いるRB数を、PUCCHを用いて送信するUCIのビット数と最大符号化率とから決定する。ただし、PUCCHの送信に用いるRB数について、上述したPUCCH resource setにより通知されるPUCCHリソースのRB数が上限となる。
【0134】
本実施の形態では、最大符号化率は、PUCCH format毎、かつ、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類毎(換言すると応答信号の要求条件毎)にそれぞれ設定される。
【0135】
例えば、端末200は、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号の各々に対して、応答信号の符号化後のビット数と、設定された最大符号化率とに基づいて、応答信号の送信に用いるリソース量(例えば、RE数)を算出する。そして、端末200は、1つのPUCCHに多重される各応答信号の送信に用いるRE数に基づいて、当該PUCCHの送信に用いるRB数を決定する。
【0136】
これにより、端末200は、例えば、上述したように、応答信号毎に設定される符号化方法による符号化後のビット数に基づいて、要求条件の異なる応答信号が多重されるPUCCHにおけるPUCCH resource setを決定できる。例えば、端末200は、応答信号の信頼度、遅延要求またはユースケース(またはサービス)の種類に応じた適切なリソース量を算出できるため、リソース利用効率の観点から効率的なPUCCH送信が可能になる。
【0137】
なお、PUCCHの送信に用いるRB数については、上述したように、PUCCH resource setにより通知されるPUCCHリソースのRB数が上限となる。このため、例えば、応答信号のビット数と最大符号化率とから決定されるRB数が、PUCCH resource setにより通知される上限値を超える場合には、応答信号の実際の符号化率は、設定された最大符号化率を超える場合がある。この場合、PUCCHの送信において要求される品質を満たせない可能性がある。
【0138】
そこで、本実施の形態では、端末200は、応答信号の実際の符号化率が所定の閾値を超える場合、PUCCHを用いて送信する応答信号の一部をドロップしてもよい。これにより、PUCCHリソースにおいて、応答信号の一部をドロップした分のリソースは、残りの応答信号に使用されるので、PUCCHの送信における品質を向上できる。
【0139】
ここで、閾値は、例えば、PUCCH format毎、かつ、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類毎に設定される最大符号化率でもよい。また、最大符号化率とは別に、一部の応答信号をドロップするための閾値が基地局100から端末200へ新たに通知されてもよい。
【0140】
また、端末200は、PUCCHを用いて送信される応答信号(又はUCI)のビット数と、最大符号化率とから算出されるRB数が所定の閾値(上限値)を超える場合、PUCCHを用いて送信する応答信号の少なくとも一部をドロップしてもよい。これにより、PUCCHリソースにおいて、応答信号の一部をドロップした分のリソースは、残りの応答信号に使用されるので、PUCCHの送信における品質を向上できる。
【0141】
また、ドロップする応答信号は、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に応じて設定される優先度(換言すると、要求条件毎に設定される優先度)に応じて決定されてもよい。例えば、端末200は、優先度の高い要求条件の応答信号を優先的に送信してもよい。換言すると、端末200は、優先度の低い要求条件の応答信号を優先的にドロップしてもよい。
【0142】
優先度の一例として、応答信号の信頼度が異なる場合、例えば、URLLCにおいて、1回目のデータ送信の目標誤り率が高い(例えば、BLER=10-1)下りリンクデータに対する応答信号の優先度は、1回目のデータ送信の目標誤り率が低い(例えば、BLER=10-5)下りリンクデータに対する応答信号の優先度よりも高く設定される。または、応答信号の遅延要求が異なる場合又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる場合、例えば、URLLCの優先度は、eMBBの優先度よりも高く設定される。
【0143】
信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号の少なくとも1つの符号化率が閾値を超えた場合、端末200は、優先度の低い応答信号からドロップしてもよい。これにより、優先度の高い応答信号、つまり、より高い信頼度が要求される応答信号の伝送品質の劣化を抑えることができる。
【0144】
また、信頼度、遅延要求またはユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号がある場合、異なる応答信号に対してPUCCH内のリソース(例えば、RE)をどのような割合で共有又は分割するかを示す情報(例えば、resource sharing factor又はresource splitting factor)を基地局100から端末200へ予め通知してもよい。
【0145】
以上、PUCCHリソースの決定方法について説明した。
【0146】
このように、本実施の形態では、端末200は、下りリンクデータの応答信号に対する要求条件(例えば、信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類)に応じて、応答信号又はPUCCHに対する処理態様を決定する。具体的には、端末200は、要求条件の異なる応答信号に対して、異なる符号化方法を適用する。そして、端末200は、符号化後の応答信号を、PUCCHに多重して送信する。
【0147】
これにより、本実施の形態によれば、要求条件が異なる応答信号がPUCCHに多重される場合でも、端末200は、PUCCHに多重される応答信号に要求される要求条件に応じた処理(例えば、符号化処理)又は無線リソースの設定(例えば、マッピング方法又はPUCCHリソースの決定)をそれぞれ行うことができる。例えば、端末200は、応答信号に要求される信頼度に応じたPUCCHリソースの位置又は量を設定することにより、PUCCHにおけるリソース利用効率を向上できる。また、例えば、端末200は、応答信号に対する遅延要求に応じたPUCCHリソースの位置を設定することにより、応答信号の遅延を削減できる。
【0148】
以上より、本実施の形態によれば、端末200は、応答信号を含むUCIを適切に送信できる。
【0149】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、
図2及び
図3を援用して説明する。
【0150】
本実施の形態では、端末200は、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号(換言すると、要求条件の異なる応答信号)に対して、PUCCHリソース又はPUCCHリソースセットの決定方法を異ならせる。
【0151】
また、本実施の形態では、1スロット内において端末200が応答信号を送信できるPUCCHの数を1つに制限しない。換言すると、本実施の形態では、1スロット内において端末200が応答信号を送信できるPUCCHの数は、1つ以上である。
【0152】
例えば、端末200は、要求条件の異なる各応答信号を、スロット内の異なるPUCCHを用いてそれぞれ送信する。例えば、複数のPUCCHは、時間分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)、周波数分割多重(FDM:Frequency Division Multiplexing)、又は、符号分割多重(CDM:Code Division Multiplexing)により同一スロット内に多重される。
【0153】
これにより、端末200は、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に応じて、応答信号毎に適切なPUCCHリソースを割り当てることができる。換言すると、端末200は、要求条件の異なる応答信号を、1つのPUCCHに多重せずに、個別のPUCCHを用いて送信できる。このため、リソース利用効率の観点から効率的なPUCCH送信が可能となる。
【0154】
また、本実施の形態によれば、端末200は、例えば、遅延要求の異なる応答信号を、異なるPUCCHを用いて送信できる。このため、例えば、URLLCのように低遅延が要求される応答信号をShort-PUCCHを用いて送信し、eMBBのように低遅延がそれほど要求されない応答信号をLong-PUCCHを用いて送信することにより、遅延要求に対するボトルネックを解消できる。
【0155】
例えば、端末200の下りリンクデータに対する応答信号を送信するためのPUCCHリソースの特定に関して、基地局100は、端末固有の上位レイヤ信号(例えば、RRCシグナリング)によって、準静的なPUCCHリソースの集合(例えば、PUCCH resource set)を通知する。端末200は、例えば、以下の2つの方法(Option 1及びOption 2)の何れかに基づいてPUCCH resource setを決定する。
【0156】
[Option 1]
Option 1では、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号(換言すると、要求条件の異なる応答信号)に対して、異なるPUCCH resource setのグループが設定される。よって、端末200は、要求条件の異なる応答信号に対して、異なるグループに含まれるPUCCH resource setをそれぞれ設定する。
【0157】
図10Aは、Option 1におけるPUCCH resource setの設定例を示す。
【0158】
図10Aでは、eMBB及に対するPUCCH resource setのグループ(例えばグループX)、及び、URLLCに対するPUCCH resource setのグループ(例えば、グループY)が設定されている。例えば、
図10Aでは、グループXには、PUCCH resource set X0, X1, X2及びX3が含まれ、グループYには、PUCCH resource set Y0, Y1, Y2及びY3が含まれる。
【0159】
端末200は、例えば、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号毎に、PUCCHを用いて送信するUCIのビット数(例えば、HARQ-ACKビット数)に基づいて、各グループ内のどのPUCCH resource setを用いるかを決定する。
【0160】
例えば、
図10Aでは、端末200は、eMBBに対する応答信号のビット数に基づいて、グループX内のPUCCH resource setの中から、PUCCH resource set X1を選択する。また
図10Aでは、端末200は、URLLCに対する応答信号のビット数に基づいて、グループY内のPUCCH resource setの中から、PUCCH resource set Y0を選択する。
【0161】
また、端末200には、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号の各々に対応する下りリンクデータを割り当てるDCI(例えば、
図10Bに示すDL assignment for eMBB又はDL assignment for URLLC)によって、選択したPUCCH resource setの中の実際に用いるPUCCHリソースが通知される。端末200は、選択したPUCCH resource setのうち、DCIによって通知されたPUCCHリソースを用いて、応答信号を送信する。
【0162】
Option 1によれば、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類毎にPUCCH resource setが個別に設定されるので、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に適したPUCCHリソースをより柔軟に割り当てることができる。
【0163】
なお、
図10Aに示すPUCCH resource setの設定例は一例であって、限定されない。例えば、eMBB及びURLLCに対するPUCCH resource setのグループ内に含まれるPUCCH resource setの数は、4個に限定されず、他の個数でもよい。また、eMBB及びURLLCに対するPUCCH resource setの各グループ内に含まれるPUCCH resource setの数は同一でもよく、異なってもよい。また、
図10Aでは、要求条件の異なる場合の一例として、eMBB及びURLLCについて説明したが、これに限定されず、例えば、異なる信頼度又は異なる遅延要求の少なくとも一方に応じてPUCCH resource setのグループが設定されてもよい。
【0164】
[Option 2]
Option 2では、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号(換言すると、要求条件の異なる応答信号)に対して、同一のPUCCH resource setのグループが設定される。よって、端末200は、要求条件の異なる応答信号に対して、同一グループに含まれるPUCCH resource setをそれぞれ設定する。
【0165】
図11Aは、Option 2におけるPUCCH resource setの設定例を示す。
【0166】
図11Aでは、PUCCH resource set 0, 1, 2及び3を含むグループが設定されている。
【0167】
端末200は、例えば、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に依らず、PUCCHを用いて送信するUCIのビット数(例えば、HARQ-ACKビット数)に基づいて、同一グループ内のどのPUCCH resource setを用いるかを決定する。
【0168】
例えば、
図11Aでは、端末200は、eMBBに対する応答信号のビット数に基づいて、PUCCH resource set 0~3の中から、PUCCH resource set 1を選択する。また、
図11Aでは、端末200は、URLLCに対する応答信号のビット数に基づいて、PUCCH resource set 0~3の中から、PUCCH resource set 0を選択する。
【0169】
また、端末200には、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号の各々に対応する下りリンクデータを割り当てるDCI(例えば、
図11Bに示すDL assignment for eMBB又はDL assignment for URLLC)によって、選択したPUCCH resource setの中の実際に用いるPUCCHリソースが通知される。端末200は、選択したPUCCH resource setのうち、DCIによって通知されたPUCCHリソースを用いて、応答信号を送信する。
【0170】
Option 2によれば、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に依らず、選択可能なPUCCH resource setは同一である。このため、PUCCH resource setの通知に係るオーバヘッドを削減できる。
【0171】
また、端末200は、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号の各々のビット数に基づいて、実際に用いるPUCCH resource setを個別に決定できる。このため、端末200は、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に適したPUCCHリソースをそれぞれ用いることができる。
【0172】
以上、PUCCH resource setの決定方法について説明した。
【0173】
このように、本実施の形態では、端末200は、要求条件(例えば、信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類)の異なる応答信号に対して、異なるリソース決定方法を適用する。そして、端末200は、各応答信号に対して設定したPUCCHリソースを用いて、当該応答信号を送信する。
【0174】
これにより、本実施の形態によれば、端末200は、応答信号に要求される要求条件に応じた無線リソースをそれぞれ個別に設定できるので、リソース利用効率の向上、又は、応答信号の遅延を削減できる。以上より、本実施の形態によれば、端末200は、応答信号を含むUCIを適切に送信できる。
【0175】
なお、本実施の形態では、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に対して、異なるPUCCHリソース又は異なるPUCCHリソースセットを決定する方法について説明した。ただし、本実施の形態におけるリソース決定方法に基づいて各応答信号に対して決定されたPUCCHリソースが同一である場合、端末200は、実施の形態1と同様の処理を適用してもよい。
【0176】
また、本実施の形態に係るOption 1では、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類毎に、異なるPUCCH resource setのグループが設定される場合について説明した。これに対して、さらに、PUCCH resource setに関するパラメータについて、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類毎に設定可能な値(または値の範囲)に差異を生じさせてもよい。
【0177】
例えば、NRのPUCCH Format 0では、Sequence selectionが用いられる(例えば、非特許文献1を参照)。また、Release 15 NRでは、PUCCH送信に割り当て可能な送信帯域幅は1RBであり、1RB=12サブキャリアに相当する系列長12の送信系列が用いられる。また、NRでは、1セル繰り返しの周波数割当が用いられる。1セル繰り返しでは、セル間干渉が特性劣化の主要因である。特に、Short-PUCCHでは、利用するシンボル数(1シンボル又は2シンボル)が少ないため、複数シンボルを利用することによる干渉の平均化効果によるセル間干渉の抑圧ができない。
【0178】
このため、応答信号に対して高い信頼度が要求される場合、セル間干渉の抑圧が必要である。セル間干渉を抑圧する方法として、送信帯域幅(系列長)の拡大が有効である(例えば、非特許文献6を参照)。
【0179】
そこで、例えば、PUCCH Format 0について、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に応じて、PUCCHの設定可能なRB数または系列長を異ならせてもよい。
【0180】
例えば、高い信頼度が要求される応答信号に対するPUCCH resource setでは、可変のPRB数(例えば、1,2,および4PRBの何れか)を設定可能としてもよい。一方、高い信頼度が要求されない応答信号に対するPUCCH resource setでは、設定可能なPRB数を1PRBとしてもよい。なお、各要求条件に対して設定可能なPRB数は、上記例に限定されず、他の個数でもよい。
【0181】
これにより、PUCCH Format 0において、応答信号に対して高い信頼度が要求される場合でも、送信帯域幅(系列長)の拡大によってセル間干渉を抑圧できる。
【0182】
また、PUCCH Format 0については、時間領域の繰り返し送信(Repetition)も特性改善に有効な技術である。
【0183】
そこで、PUCCH Format 0について、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に応じて、PUCCHの設定可能なRepetition回数を異ならせてもよい。
【0184】
例えば、高い信頼度が要求される応答信号に対するPUCCH resource setでは、Repetitionを設定可能とし、可変のRepetition回数(例えば、1,2,および4回の何れか)を設定可能としてもよい。一方、高い信頼度が要求されない応答信号に対するPUCCH resource setでは、Repetitionを設定可能としない。なお、各要求条件に対して設定可能なRepetition回数は、上記例に限定されず、他の回数でもよい。
【0185】
これにより、PUCCH Format 0において、応答信号に対して高い信頼度が要求される場合でも、Repetitionによって、特性改善の効果を得ることができる。
【0186】
なお、時間領域のRepetitionには、同一の系列を複数シンボルに渡り繰り返し送信する方法がある。この方法では、受信側(例えば、基地局100)においてRepetition信号を同相合成することにより、受信信号の電力向上による特性改善効果が期待できる。また、時間領域のRepetitionには、系列長を拡大し、拡大した系列の一部を異なるシンボルで送信する方法がある。例えば、系列長を12から24に拡大し、系列長24の前半部分が最初のシンボルで送信され、後半部分が次のシンボルで送信される。この方法では、長い系列長を用いることによる干渉抑圧の効果が期待できる。
【0187】
上述したように、PUCCH format 0について、高い信頼度が要求される応答信号に対するPUCCH resource setに対して、Release 15 NRとは異なるパラメータを設定可能とすることにより、Release 15 NRでは考慮されていない再送を許容するURLLCの応答信号の信頼度に関す要求条件(例えば、BLER=10-4以下の誤り率)を実現するPUCCH送信が可能となる。
【0188】
(実施の形態2のバリエーション)
実施の形態2では、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に対して、PUCCHリソース又はPUCCHリソースセットの決定方法を異ならせる場合について説明した。
【0189】
NRでは、端末は下りリンクデータに対する応答信号を送信するためのPUCCHのスロット位置(又は、下りリンクデータを受信したスロットからPUCCHを送信するスロットまでの時間)の特定に関して、基地局が端末固有の上位レイヤ信号(例えば、RRCシグナリング)によって準静的なスロット位置の集合を通知し、下りリンクデータを割り当てるDCIによって、スロット位置の集合の中の実際に用いるスロット位置を通知する方法が採用されている(例えば、非特許文献3を参照)。
【0190】
そこで、実施の形態2のバリエーションでは、応答信号を送信するためのPUCCHのスロット位置の集合についても同様に、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号(換言すると、要求条件の異なる応答信号)毎に設定可能とする。
【0191】
実施の形態2のバリエーションによれば、端末200は、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に応じて、応答信号に対する適切な送信スロットを用いることができる。例えば、異なる遅延要求に対して異なるスロット位置の集合が設定されていれば、端末200は、遅延要求の異なる応答信号を異なるPUCCHを用いてそれぞれ送信する場合でも、遅延要求の異なる応答信号の各々に対して、遅延要求に適したより柔軟なスロット割当が可能になる。
【0192】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、
図2及び
図3を援用して説明する。
【0193】
本実施の形態では、端末200は、同一スロット内に、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なるデータ伝送に対する応答信号を同時に送信する場合、PUCCHの優先度に応じて、応答信号を送信するPUCCHの全てをドロップ、又は、一部をパンクチャする。
【0194】
ドロップ又は一部をパンクチャするPUCCHは、ACK/NACKの信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に応じて付与される優先度に基づいて決定されてもよい。
【0195】
具体的には、端末200は、要求条件の異なる応答信号の送信タイミングが同一の場合、要求条件に基づく優先度がより低いPUCCHの全てをドロップ又は一部をパンクチャする。
【0196】
PUCCHの優先度の一例として、応答信号の信頼度が異なる場合について説明する。例えば、URLLCにおいて、1回目のデータ送信の目標誤り率が高い(例えば、BLER=10-1)下りリンクデータに対する応答信号を送信するPUCCHの優先度は、1回目のデータ送信の目標誤り率が低い(例えば、BLER=10-5)下りリンクデータに対する応答信号を送信するPUCCHの優先度よりも高く設定される。つまり、端末200は、1回目のデータ送信の目標誤り率が低い(例えば、BLER=10-5)下りリンクデータに対する応答信号を送信するPUCCHの全てをドロップ又は一部をパンクチャする。
【0197】
また、応答信号の遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる場合について説明する。例えば、
図12は、URLLC及びeMBBの2つのサービスが存在する場合を示す。URLLCに対応するPUCCHの優先度は、eMBBに対応するPUCCHの優先度よりも高く設定される。つまり、端末200は、eMBBに対応するPUCCHの全てをドロップ又は一部をパンクチャする。例えば、
図12では、端末200は、URLLCに対応するPUCCH(URLLC PUCCH)を用いて、URLLCに対応する応答信号を送信し、eMBBに対応するPUCCH(eMBB PUCCH)の全てをドロップする。
【0198】
本実施の形態によれば、より高い信頼度又は低遅延が要求される応答信号のためのPUCCH送信に対して、別の応答信号のためのPUCCH送信が影響を与えることがなくなるため、より高い信頼度又は低遅延が要求される応答信号の品質を保証できる。
【0199】
なお、PUCCHの一部をパンクチャする場合、例えば、異なる応答信号のPUCCH送信において、時間的に重なるシンボルをパンクチャする方法、又は、時間及び周波数が重なるREをパンクチャする方法がある。
【0200】
時間的に重なるシンボルをパンクチャする方法は、例えば、端末200が複数の上りリンク信号を同時に送信できない場合、又は、端末200に複数の上りリンク信号を同時送信できる能力があるものの、送信電力の総和が最大送信電力を超える場合において、何れか一方の信号を送信しなければならない場合に適用できる。
【0201】
また、時間及び周波数が重なるREをパンクチャする方法は、例えば、端末200に複数の上りリンク信号を同時に送信できる能力があり、かつ、複数の上りリンク信号を同時に送信しても端末200の最大送信電力を超えない場合に適用できる。
【0202】
(実施の形態4)
例えば、実施の形態1では、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に対して異なる符号化処理を適用する場合について説明した。しかし、異なる符号化処理を行うことは、端末の処理量を増大させるため、実装を複雑にする恐れがある。
【0203】
そこで、本実施の形態では、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に対して、1つの符号化処理を適用する方法について説明する。
【0204】
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、
図2及び
図3を援用して説明する。
【0205】
端末200は、下りリンクデータを受信してから、下りリンクデータの復号、応答信号の生成、及び、PUCCH送信までに要する処理時間に関する能力(UE capability。以下、「N1」と表す)を有する。NRでは、端末200は、「N1」を基地局100へ報告する。
【0206】
基地局100は、端末200が下りリンクデータに対する応答信号を送信するためのPUCCHのスロット位置(又は、下りリンクデータを受信したスロットからPUCCH(例えば、応答信号)を送信するスロットまでの時間:「PDSCH-to-HARQ-ACK timing」)を設定し、端末200へ通知する。このとき、基地局100は、PDSCH-to-HARQ-ACK timingについて、端末200から報告された端末200の処理能力(N1)を超える値(換言すると、N1より小さい値)を設定及び通知できない。
【0207】
本実施の形態では、端末200は、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号の送信に対する能力(N1)をそれぞれ規定し、基地局100へ報告する。また、端末200は、基地局100から設定及び通知されたPDSCH-to-HARQ-ACK timingの値と、規定したN1の値とに基づいて、応答信号又は応答信号の送信に用いるPUCCHの送信方法及びパラメータ(換言すると、応答信号又はPUCCHに対する処理態様)を決定する。
【0208】
例えば、端末200は、下りリンクデータを受信してから、データを復号し、応答信号を生成し、PUCCHを送信するまでに必要な処理時間に関する能力(N1)について、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に応じた2つ以上の能力を有する。端末200は、2つ以上の能力(N1)を基地局100へ報告する。
【0209】
一例として、端末200は、eMBBに対するN1(以下、「N1_X」又は「N1_eMBB」と表す)、及び、URLLCに対するN1(以下、「N1_Y」又は「N1_URLLC」と表す)の2つの端末能力(UE capability)を有してもよい。例えば、URLLCでは、eMBBよりも低遅延が要求される可能性が高いので、URLLCに対するN1は、eMBBに対するN1よりも小さい値が設定されてもよい。
【0210】
実施の形態2のバリエーションで説明したように、下りリンクデータに対する応答信号を送信するためのPUCCHのスロット位置(PDSCH-to-HARQ-ACK timing)の特定に関して、基地局100が端末固有の上位レイヤ信号(例えば、RRCシグナリング)によって準静的なスロット位置の集合を通知し、下りリンクデータを割り当てるDCIによって、集合の中のどのPDSCH-to-HARQ-ACK timingを実際に用いるかを通知する。
【0211】
同一スロット内において、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なるデータ伝送に対応する応答信号の送信が同時に発生する場合、端末200は、各応答信号に対するPDSCH-to-HARQ-ACK timingの値と、端末200が有する能力(N1)とに基づいて、応答信号に対する処理を決定する。
【0212】
例えば、
図13に示すように、各応答信号に対するPDSCH-to-HARQ-ACK timingの値の最小値(
図13では、PDSCH-to-HARQ-ACK timing for URLLC)が、eMBBに対するN1(N1_X又はN1_eMBB)以上である場合、端末200は、eMBBに対応する応答信号及びURLLCに対応する応答信号に対して共通の符号化処理(joint encoding)を行い、HARQ-ACKビットを生成する。
【0213】
具体的には、
図13では、端末200がURLLC用のPDSCHを受信してから、PDSCH-to-HARQ-ACK timing for URLLCに相当する時間が経過するまでの間に、端末200は、eMBBに対応する応答信号を生成し、当該応答信号を含むPUCCHを送信するまでの処理を完了できる(換言すると、N1_X/N1_eMBB ≦ PDSCH-to-HARQ-ACK timing for URLLC)。よって、端末200は、端末200がURLLC用のPDSCHを受信してから、PDSCH-to-HARQ-ACK timing for URLLCに相当する時間が経過するまでの間に、URLLCの応答信号とeMBBの応答信号とに対して共通の符号化処理を行うことができる。
【0214】
一方、
図14に示すように、高い信頼度又は低遅延が要求される応答信号、又は、URLLCに対応する応答信号に対するPDSCH-to-HARQ-ACK timingの値(
図14ではPDSCH-to-HARQ-ACK timing for URLLC)が、eMBBに対応するN1(N1_X又はN1_eMBB)未満である場合、端末200は、eMBBに対応する応答信号及びURLLCに対応する応答信号に対して共通の符号化処理を行うことができない。
【0215】
具体的には、
図14では、端末200がURLLC用のPDSCHを受信してから、PDSCH-to-HARQ-ACK timing for URLLCに相当する時間が経過するまでの間に、端末200は、eMBBに対応する応答信号を生成し、当該応答信号を含むPUCCHを送信するまでの処理を完了できない(換言すると、N1_X/N1_eMBB > PDSCH-to-HARQ-ACK timing for URLLC)。
【0216】
よって、端末200は、端末200がURLLC用のPDSCHを受信してから、PDSCH-to-HARQ-ACK timing for URLLCに相当する時間が経過するまでの間に、URLLCのACK/NACKと、eMBBのACK/NACKをまとめて符号化処理できない。この場合、端末200は、実施の形態3又は実施の形態1の何れかの方法を用いる。
【0217】
例えば、実施の形態3の方法を用いる場合、信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類が異なる応答信号に対して、符号化処理を全体で1つに抑えることができるため、端末200の実装を簡易にできる利点がある。また、実施の形態1の方法を用いる場合、端末200は、
図14に示すように、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に応じた適切な符号化(または符号化率)によりHARQ-ACKビットを生成できるため、リソース利用効率の観点から効率的なPUCCH送信が可能になる。
【0218】
このように、本実施の形態によれば、端末200の処理能力に応じて、符号処理をできる限り共通化することができるため、端末200の処理量の増大又は実装の複雑さを軽減できる。
【0219】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0220】
(1)上記実施の形態では、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に応じて、応答信号又はPUCCHの送信方法、及びパラメータに差異を生じさせた。
【0221】
ここで、応答信号又はPUCCHの送信方法、及びパラメータに差異を生じさせる例としては、応答信号の信頼度が異なる場合がある。例えば、URLLCにおいて、1回目のデータ送信の目標誤り率が高い(例えば、BLER=10-1)下りリンクデータに対する応答信号と、1回目のデータ送信の目標誤り率が低い(例えば、BLER=10-5)下りリンクデータに対する応答信号とで、応答信号又はPUCCHの送信方法、及びパラメータに差異を生じさせることができる。前者の応答信号には高い信頼度が要求される一方、後者の応答信号にはそれほど高い信頼度が要求されない。
【0222】
また、応答信号又はPUCCHの送信方法、及びパラメータに差異を生じさせる例として、応答信号の遅延要求が異なる場合又はユースケース(またはサービス)が異なる場合がある。例えば、URLLCに対応する応答信号とeMBBに対応する応答信号とで、応答信号又はPUCCHの送信方法、及びパラメータに差異を生じさせることもできる。前者の応答信号には高い信頼度又は低遅延が要求される一方、後者の応答信号にはそれほど高い信頼度又は低遅延が要求されない。また、URLLCには、上述したように、1回目のデータ送信の目標誤り率が高い(例えば、BLER=10-1)下りリンクデータに対する応答信号と、1回目のデータ送信の目標誤り率が低い(例えば、BLER=10-5)下りリンクデータに対する応答信号とが含まれる場合がある。
【0223】
また、応答信号又はPUCCHの送信方法の差異を生じさせる例としては、信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に限らず、例えば、物理層のパラメータが異なる場合でもよい。例えば、eMBBを「スロット単位の送信」と置き換え、URLLCを「非スロット単位の送信」と置き換えてもよい。また、eMBBを「PDSCH mapping type A」又は「PUSCH mapping type A」と置き換え、URLLCを「PDSCH mapping type B」又は「PUSCH mapping type B」と置き換えてもよい。また、eMBB及びURLLCに対応する送信に限定されず、例えば、eMBBを送信区間(例えば、スロット長又はシンボル長)が長い送信と置き換え、URLLCを前述の送信区間よりも送信区間が短い送信と置き換えてもよい。
【0224】
また、本開示において、目標誤り率は、上述したように1回目のデータ送信の目標誤り率でもよく、再送が発生する場合は、再送における目標誤り率でもよい。また、目標誤り率は、1回目及び再送の各々の目標誤り率という意味で「瞬時目標誤り率」と呼んでもよい。
【0225】
(2)上記実施の形態において説明した、応答信号の「信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類」(換言すると、要求条件)を判断する方法には、例えば、以下の例1~例5のような方法がある。
【0226】
[例1:スクランブル系列]
例1では、端末200は、各応答信号に対応する下りリンクデータ伝送をスケジューリングするDCIに用いられる端末固有のスクランブリング系列に基づいて、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類を判断する。
【0227】
例えば、eMBBを想定したPDSCH用のDCIでは、端末固有のスクランブリング系列に、C-RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identifier)又はCS-RNTI(Configured Scheduling-RNTI)等が用いられる。そこで、端末200は、検出したスクランブリング系列がC-RNTI及びCS-RNTIと異なる場合、応答信号の信頼度が高い、遅延要求が厳しい、又は、URLLCであると判断する。また、端末200は、検出したスクランブリング系列がC-RNTI又はCS-RNTIである場合、応答信号の信頼度が高くない、遅延要求が厳しくない、又は、eMBBであると判断する。
【0228】
例えば、基地局100の制御部101(例えば、
図2を参照)は、端末200の下りリンクデータの信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報を決定する。決定した情報は、基地局100の下り制御信号生成部109へ出力される。下り制御信号生成部109は、上述したように、端末200の下りリンクデータの信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類に応じたスクランブリング系列を用いてDCIのビット列を生成する。
【0229】
一方、端末200の復号部206(例えば、
図3を参照)は、検出したスクランブリング系列を制御部211へ出力する。制御部211は、得られたスクランブリング系列に基づいて、下りリンクデータの信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報を判断する。
【0230】
[例2:MCSテーブル]
例2では、端末200は、各応答信号に対応する下りリンクデータ伝送のスケジューリングに用いられるMCSテーブルに基づいて、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類を判断する。
【0231】
例えば、Release 15 NRでは、目標BLER=10-1を達成するためのMCSテーブル、及び、目標BLER=10-5を達成するためのMCSテーブルの何れを用いるかを設定できる。
【0232】
例えば、端末200は、URLLCにおいて設定されたMCSテーブルが目標BLER=10-1を達成するためのMCSテーブルである場合、応答信号に要求される信頼度が高いと判断する。一方、端末200は、URLLCにおいて設定されたMCSテーブルが目標BLER=10-5を達成するためのMCSテーブルである場合、応答信号に要求される信頼度は高くないと判断する。
【0233】
例えば、基地局100の制御部101は、端末200の下りリンクデータの信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報を決定する。決定した情報は、基地局100の下り制御信号生成部109、符号化部103及び変調部105へ出力される。下り制御信号生成部109は、下りリンクデータ伝送に用いられるMCSテーブルに関する情報をDCIのビット列に含める。また、符号化部103及び変調部105は、制御部101から入力されるMCSテーブルに関する情報を用いて、下りリンクデータを符号化及び変調する。
【0234】
一方、端末200の復号部206は、DCIを復号し、復号結果を制御部211へ出力する。制御部211は、DCIから得られるMCSテーブルに関する情報に基づいて、下りリンクデータの信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報を判断する。
【0235】
[例3:PDSCH-to-HARQ-ACK timing又はPDSCHの送信シンボル数]
例3では、端末200は、各応答信号に対応する下りリンクデータ伝送をスケジューリングするDCIによって通知された「PDSCH-to-HARQ-ACK timing」又はPDSCHの送信シンボル数に基づいて、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類を判断する。
【0236】
例えば、端末200は、PDSCH-to-HARQ-ACK timingが所定の値以下、又は、PDSCHの送信シンボル数が所定のシンボル数以下である場合、応答信号の遅延要求が厳しい又はURLLCのための応答信号であると判断する。一方、端末200は、PDSCH-to-HARQ-ACK timingが所定の値より大きい、又は、PDSCHの送信シンボル数が所定のシンボル数より多い場合、応答信号の遅延要求が厳しくない又はeMBBのための応答信号であると判断する。
【0237】
なお、上記所定の値又は所定のシンボル数は、規格において予め決まった値でもよく、基地局100が上位レイヤ信号によって端末200へ設定可能な値でもよい。
【0238】
例えば、基地局100の制御部101は、端末200の下りリンクデータに対する応答信号を送信するスロット位置を示すPDSCH-to-HARQ-ACK timing又はPDSCHの送信シンボル数を決定する。決定した情報は、基地局100の下り制御信号生成部109、信号割当部112及び抽出部118へ出力される。下り制御信号生成部109は、PDSCH-to-HARQ-ACK timing又はPDSCHの送信シンボル数に関する情報をDCIのビット列に含める。
【0239】
一方、端末200の復号部206は、DCIを復号し、復号結果を制御部211へ出力する。制御部211は、DCIから得られるPDSCH-to-HARQ-ACK timing又はPDSCHの送信シンボル数に関する情報に基づいて、下りリンクデータの信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報を判断する。
【0240】
[例4:CQIテーブル]
例4では、端末200は、各応答信号に対応する下りリンクデータ伝送用に設定されるCQIテーブルに基づいて、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類を判断する。
【0241】
例えば、Release 15 NRでは、目標BLER=10-1を達成するためのCQIテーブル、及び、目標BLER=10-5を達成するためのCQIテーブルの何れを用いるかを設定できる。
【0242】
例えば、端末200は、URLLCにおいて設定されたCQIテーブルが目標BLER=10-1を達成するためのCQIテーブルである場合、応答信号に要求される信頼度が高いと判断する。一方、URLLCにおいて設定されたCQIテーブルが目標BLER=10-5を達成するためのCQIテーブルである場合、応答信号に要求される信頼度は高くないと判断する。
【0243】
例えば、基地局100の制御部101は、端末200の下りリンクデータ伝送用に設定されるCQIテーブルに関する情報を決定する。決定した情報は、上位制御信号生成部106へ出力される。上位制御信号生成部106は、CQIテーブルに関する情報を上位制御信号に含める。
【0244】
一方、端末200の復号部208は、上位制御信号を復号し、復号結果を制御部211へ出力する。制御部211は、上位制御信号から得られるCQIテーブルに関する情報に基づいて、下りリンクデータの信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報を判断する。
【0245】
[例5:DCIによる明示的な通知]
例5では、端末200は、各応答信号に対応する下りリンクデータ伝送をスケジューリングするDCI内の数ビットによる明示的な通知により、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類を判断する。
【0246】
明示的な通知は、応答信号自体の信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報でもよく、PDSCHの信頼度(例えば目標BLER)、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報でもよい。
【0247】
例えば、基地局100の制御部101は、端末200の下りリンクデータに対する応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報を決定する。決定された情報は、下り制御信号生成部109へ出力される。下り制御信号生成部109は、応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報をDCIのビット列に含める。
【0248】
一方、端末200の復号部206は、DCIを復号し、復号結果を制御部211へ出力する。制御部211は、DCIから応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(サービス)の種類に関する情報を得る。
【0249】
以上、応答信号の「信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類」を判断する方法について説明した。なお、「応答信号の信頼度、遅延要求又はユースケース(またはサービス)の種類」を判断する方法は、上述した例1~例5に限定されず、要求条件に関する他の情報に基づく判断方法でもよい。
【0250】
(3)また、上記実施の形態では、下りリンクデータ伝送に対する応答信号がPUCCHを用いて送信される場合を一例として説明した。しかし、本開示においてPUCCHを用いて送信されるUCIは応答信号に限らない。例えば、上記実施の形態において、「応答信号(ACK/NACK又はHARQ-ACK)」をチャネル状態情報(CSI)に置き換えてもよく、応答信号とCSIとを含むUCIに置き換えてもよい。
【0251】
(4)また、本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0252】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0253】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0254】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0255】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0256】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0257】
本開示の一実施例における端末は、上りリンク制御情報に対する要求条件に応じて、前記上りリンク制御情報又は前記上りリンク制御情報の送信に用いる上りリンク制御チャネルに対する処理態様を決定する回路と、前記決定された処理態様に基づいて、前記上りリンク制御チャネルを用いて前記上りリンク制御情報を送信する送信機と、を具備する。
【0258】
本開示の一実施例における端末において、前記回路は、前記要求条件の異なる前記上りリンク制御情報に対して、異なる符号化方法を適用し、前記送信機は、前記上り制御チャネルにおいて、符号化後の前記上りリンク制御情報を多重して送信する。
【0259】
本開示の一実施例における端末において、前記要求条件には、信頼度又は遅延要求が含まれ、より高い前記信頼度が要求される前記上りリンク制御情報の順に、又は、前記遅延要求においてより低遅延が要求される前記上りリンク制御情報の順に、前記上り制御チャネルにマッピングされる。
【0260】
本開示の一実施例における端末において、前記上りリンク制御情報は、前記上り制御チャネルにおいて、周波数方向から時間方向の順にマッピングされる。
【0261】
本開示の一実施例における端末において、前記上りリンク制御情報は、周波数方向において分散してマッピングされる。
【0262】
本開示の一実施例における端末において、より高い前記信頼度が要求される前記上りリンク制御情報ほど、前記上り制御チャネルにおいて参照信号がマッピングされたシンボルにより近いシンボルにマッピングされる。
【0263】
本開示の一実施例における端末において、前記遅延要求においてより低遅延が要求される前記上りリンク制御情報ほど、前記上り制御チャネルのより早いシンボルにマッピングされる。
【0264】
本開示の一実施例における端末において、前記上り制御チャネルに多重される前記上りリンク制御情報の符号化後のビット数の合計に基づいて、前記上り制御チャネルのリソースセットが決定される。
【0265】
本開示の一実施例における端末において、前記上りリンク制御情報に対する前記要求条件毎に、最大符号化率が設定される。
【0266】
本開示の一実施例における端末において、前記上りリンク制御情報の符号化率が所定の閾値を超える場合、前記上り制御チャネルにおいて前記上りリンク制御情報の少なくとも一部がドロップされる。
【0267】
本開示の一実施例における端末において、前記所定の閾値は、前記最大符号化率である。
【0268】
本開示の一実施例における端末において、前記所定の閾値は、基地局から前記端末へ通知される。
【0269】
本開示の一実施例における端末において、前記ドロップされる上りリンク制御情報は、前記要求条件毎に設定される優先度に応じて決定される。
【0270】
本開示の一実施例における端末において、前記上りリンク制御情報のビット数と前記最大符号化率とから算出されるリソースブロック数が所定の閾値を超える場合、前記上り制御チャネルにおいて前記上りリンク制御情報の少なくとも一部がドロップされる。
【0271】
本開示の一実施例における端末において、前記上り制御チャネルにおいて、前記要求条件の異なる前記上りリンク制御情報間で共有するリソースの割合を示す情報が、基地局から前記端末へ通知される。
【0272】
本開示の一実施例における端末において、前記要求条件の異なる前記上りリンク制御情報に対して、前記上り制御チャネルにおいて異なるリソース決定方法を適用する。
【0273】
本開示の一実施例における端末において、1スロット内の前記上りリンク制御情報を送信する上り制御チャネルの数は1つ以上であり、前記送信機は、前記要求条件の異なる前記上りリンク制御情報を、前記1スロット内の異なる上り制御チャネルを用いてそれぞれ送信する。
【0274】
本開示の一実施例における端末において、前記回路は、前記要求条件の異なる前記上りリンク制御情報に対して、異なるグループに含まれるリソースセットをそれぞれ設定する。
【0275】
本開示の一実施例における端末において、前記回路は、前記要求条件の異なる前記上りリンク制御情報に対して、同一グループに含まれるリソースセットをそれぞれ設定する。
【0276】
本開示の一実施例における端末において、前記リソースセットに関するパラメータは、前記要求条件の異なる前記上りリンク制御情報毎に異なる。
【0277】
本開示の一実施例における端末において、前記パラメータは、前記上り制御チャネルのリソースブロック数又は系列長である。
【0278】
本開示の一実施例における端末において、前記パラメータは、前記上りリンク制御情報のレピティション回数である。
【0279】
本開示の一実施例における端末において、前記要求条件の異なる前記上りリンク制御情報毎に、前記上りリンク制御情報を送信するためのスロット位置が設定される。
【0280】
本開示の一実施例における端末において、前記回路は、前記要求条件の異なる前記上りリンク制御情報の送信が同一タイミングの場合、前記要求条件に基づく優先度がより低い前記上り制御チャネルの全てをドロップ又は一部をパンクチャする。
【0281】
本開示の一実施例における端末において、前記上りリンク制御情報は、下りリンクデータに対する応答信号であり、前記下りリンクデータの受信から前記応答信号の送信までに要する処理時間に関する前記端末の能力が、前記要求条件毎に規定され、前記下りリンクデータの受信から前記応答信号の送信までの時間を示すタイミング情報が、基地局から前記端末へ通知され、前記回路は、前記タイミング情報と前記能力とに基づいて、前記処理態様を決定する。
【0282】
本開示の一実施例における通信方法は、上りリンク制御情報に対する要求条件に応じて、前記上りリンク制御情報又は前記上りリンク制御情報の送信に用いる上りリンク制御チャネルに対する処理態様を決定し、前記決定された処理態様に基づいて、前記上りリンク制御チャネルを用いて前記上りリンク制御情報を送信する。
【0283】
2018年8月1日出願の特願2018-144982の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0284】
本開示の一実施例は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0285】
100 基地局
101,211 制御部
102 データ生成部
103,107,110,212 符号化部
104 再送制御部
105,108,111,213 変調部
106 上位制御信号生成部
109 下り制御信号生成部
112,214 信号割当部
113,215 IFFT部
114,216 送信部
115,201 アンテナ
116,202 受信部
117,203 FFT部
118,204 抽出部
119 復調部
120,206,208,210 復号部
121 判定部
200 端末
205 下り制御信号復調部
207 上位制御信号復調部
209 データ復調部