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特許7546738多重入力結合照光式マルチスポットレーザプローブ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】多重入力結合照光式マルチスポットレーザプローブ
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A61F9/008 120A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023129149
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2020531771の分割
【原出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2023138671
(43)【公開日】2023-10-02
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】62/597,550
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/598,653
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ホルン
(72)【発明者】
【氏名】アリレザ ミルセパッシ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ティー.スミス
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513454(JP,A)
【文献】実開昭55-067702(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0107384(US,A1)
【文献】国際公開第2001/037769(WO,A1)
【文献】特開2011-248022(JP,A)
【文献】特表2014-512851(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188718(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
A61B 18/22,90/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明及びマルチスポットレーザ多重化システムであって、
コリメートされたレーザ光ビームを発するレーザ源と、
前記コリメートされたレーザ光ビームを受け、且つマルチスポットレーザパターンを生成するように構成される回折光学素子(DOE)と、
照明光ビームを発する照明システムと、
前記照明システムから受けられた前記照明光ビームをコリメートするコリメートレンズと、
マルチコア光ファイバケーブルと、
前記マルチコア光ファイバケーブルと結合するように構成された光ファイバケーブルポートと、
集光レンズと、
前記マルチスポットレーザパターンを前記集光レンズに向けて反射し、且つ前記照明ビームを前記コリメートレンズから前記集光レンズに向けて透過し、それにより前記マルチスポットレーザパターン及び前記照明光ビームを多重化するように構成されるビームスプリッタと、
を含み、
前記集光レンズは、前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン及び前記照明ビームを前記光ファイバケーブルポートとの界面上に集束させるように構成され、
前記集光レンズは、前記照明ビームが前記マルチコア光ファイバケーブルの第1の外側コアの全長にわたって伝播されるように、且つ前記レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンにおける前記レーザ光ビームの各々が、前記外側コア内に含まれる複数の内側コアの1つの全長にわたって伝播するように、前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットレーザパターン及び前記照明ビームを前記マルチコア光ファイバケーブルの近位端の界面上に集束させるように構成される、照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【請求項2】
前記DOEは、前記DOEを、前記コリメートされたレーザ光ビームのビーム経路に選択的に位置決めするように構成されるリニアスライド内に収容される、請求項1に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【請求項3】
前記レーザ源、前記DOE、前記照明システム、前記コリメートレンズ、前記光ファイバケーブルポート、前記ビームスプリッタ、及び前記集光レンズは、1つ又は複数の眼科処置を実行するように構成された手術コンソール内に統合される、請求項1に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【請求項4】
前記ビームスプリッタは、第1の狭帯域及び第2の狭帯域の光を反射し、前記ビームスプリッタは、前記第1の狭帯域及び前記第2の狭帯域の外側に前記照明光ビームを透過する、請求項1に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【請求項5】
前記レーザ源は、532nmの波長を有する外科治療用ビーム及び635nmの波長を持つ外科用エイミングビームに対応する光の電磁スペクトルの2つの狭帯域のうちの少なくとも1つに含まれる波長を有するレーザ光ビームを交互に放出するように構成されたユーザ選択可能なレーザ源を備える、請求項4に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【請求項6】
照明及びマルチスポットレーザ多重化システムであって、
コリメートされたレーザ光ビームを発するレーザ源と、
照明光ビームを発する照明システムと、
前記照明システムから受けられた前記照明光ビームをコリメートするコリメートレンズと、
集光レンズと、
前記コリメートされたレーザ光ビームを前記集光レンズに向けて反射し、且つ前記照明ビームを前記コリメートレンズから前記集光レンズに向けて透過し、それにより前記レーザ光ビーム及び前記照明光ビームを多重化するように構成されるビームスプリッタと、
前記多重化されたレーザ光ビーム及び前記照明ビームを受け、且つ前記照明ビーム内にレーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを生成するように構成される回折光学素子(DOE)と、
マルチコア光ファイバケーブルと、
前記マルチコア光ファイバケーブルと結合するように構成される光ファイバケーブルポートと、
を含み、
前記集光レンズは、前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン及び照明ビームを前記光ファイバケーブルポートとの界面上に集束させるように構成され、
前記集光レンズは、前記照明ビームが前記マルチコア光ファイバケーブルの第1の外側コアの全長にわたって伝播されるように、且つ前記レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンにおける前記レーザ光ビームの各々が、前記外側コア内に含まれる複数の内側コアの1つの全長にわたって伝播するように、前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットレーザパターン及び前記照明ビームを前記マルチコア光ファイバケーブルの終端の界面上に集束させるように構成される、照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【請求項7】
前記DOEは、前記DOEを、前記コリメートされたレーザ光ビームのビーム経路に選択的に位置決めするように構成されるリニアスライド内に収容される、請求項6に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【請求項8】
前記レーザ源、前記DOE、前記照明システム、前記コリメートレンズ、前記光ファイバケーブルポート、前記ビームスプリッタ、及び前記集光レンズは、1つ又は複数の眼科処置を実行するように構成された手術コンソール内に統合される、請求項6に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【請求項9】
前記ビームスプリッタは、第1の狭帯域及び第2の狭帯域の光を反射し、前記ビームスプリッタは、前記第1の狭帯域及び前記第2の狭帯域の外側に前記照明光ビームを透過する、請求項6に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【請求項10】
前記レーザ源は、532nmの波長を有する外科治療用ビーム及び635nmの波長を持つ外科用エイミングビームに対応する光の電磁スペクトルの2つの狭帯域のうちの少なくとも1つに含まれる波長を有するレーザ光ビームを交互に放出するように構成されたユーザ選択可能なレーザ源を備える、請求項9に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、その発明者らがJochen Horn、Alireza Mirsepassi及びRonald T.Smithである、2017年12月14日出願の「MULTIPLE-INPUT-COUPLED ILLUMINATED MULTI-SPOT LASER PROBE」という名称の米国仮特許出願第62/598,653号明細書の優先権の利益を主張し、これは、本明細書中で全体的且つ完全に説明されるかのように参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、多重入力結合照光式マルチスポットレーザプローブに関し、特にマルチスポットレーザ光ビームを生成し、照明光及びマルチスポットレーザ光ビームを多重化し、且つマルチコア光ファイバケーブルを介して外科用ハンドピースに多重光を送出するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの眼科治療において、外科医は、患者の目に様々な器具を用いる必要がある。例えば、硝子体網膜手術中、外科医は、多くの場合、患者の解剖学的構造を観察するために照明光ビームを網膜表面に向けるための第1のハンドピースを操作し、また患者の解剖学的構造を治療するためのレーザ治療用ビームを送出するための更なるレーザプローブハンドピースも操作する。しかし、多重入力結合され、照光されるマルチスポットレーザプローブに対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本技術の開示する実施形態は、照明光及びマルチスポットレーザ光を多重化するための多重入力結合照光式マルチスポットレーザプローブ、アダプタ及び他のシステム並びに照明光及びマルチスポットレーザ光を多重化し、且つ多重光を患者の解剖学的構造に送出するための方法に関する。
【0005】
本技術の幾つかの実施形態は、外科用レーザシステム、照明光源、外科用プローブアセンブリ及びレーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成し、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化し、且つ照明光及びレーザ光ビームのマルチスポットパターンを同時に伝送するために多重光ビームを外科用プローブに送出するためのレーザシステムポートアダプタを伴う。レーザシステムポートアダプタは、レーザ源と結合するための第1のポートアームと、照明システムと結合するための第2のポートアームと、レーザプローブの光ファイバケーブルと結合するための第3のポートアームと、多重交差領域とを含むことができる。場合により、第2のポートアーム及び第3のポートアームは、交差領域にわたって略同一線上にあり、第1のポートアームは、多重交差領域において第2のポートアーム及び第3のポートアームに略直交する。
【0006】
レーザシステムポートアダプタの交差領域は、コリメートされたレーザ光ビームを光学素子から受け、且つレーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを生成するように構成される回折光学素子(DOE)を含むことができる。場合により、DOEは、レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを2×2配列パターンとして生成する。
【0007】
交差領域は、外科用レーザシステムによって発せられるレーザ光の波長に対応する光の電磁スペクトルの複数の狭帯域を反射するように構成されるビームスプリッタも含むことができる。ビームスプリッタは、レーザ光ビームのマルチスポットパターン及び照明システムからの照明ビームの両方を更に受けることができる。ビームスプリッタは、レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを第3のポートアームに向けて反射し、且つ電磁スペクトルの少なくとも2つの狭帯域内に含まれない照明ビームの一部を第3のポートアームに向けて透過する。場合により、第2のポートアームは、ビームスプリッタにおいて照明光をコリメートするためのコリメートレンズを含む。また、場合により、レーザビームの強度及び照明ビームの強度は、レーザ光ビームの透明な多重化マルチスポットレーザパターン及び照明ビームを生成するように調整され得る。
【0008】
第1のポートアームは、レーザ源のメス型ポート内に固く結合するように構成される直径を有するフェルールを含むことができ、レーザ源からの集束レーザスポットが第1のポートアームに入ることを可能にするための開口を含むことができる。第1のポートアームは、レーザ光ビームをコリメートするための光学素子も含むことができる。場合により、第1のポートアーム及び光学素子は、レーザ源からの集束レーザスポットの地点に略隣接して光学素子を配置するように構成される長さを有する。また、第1のポートアームには、ナットと共に締め付けると、第1のポートアームをレーザ源のメス型ポートに結合し、レーザ源からの集束レーザスポットの地点に略隣接して光学素子を維持する外ネジを含むことができる。
【0009】
第3のポートアームは、多重交差領域においてビームスプリッタに略隣接する集光レンズを含むことができる。集光レンズは、レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターン及び照明ビームを外科用プローブアセンブリのマルチコア光ファイバケーブルの終端の界面上に集束させるように選択され得る。
【0010】
マルチコア光ファイバケーブルは、外側コアクラッドによって囲まれる第1の外側コアと、外側コア内に含まれる複数の内側コアとを含むことができ、複数の内側コア内の各内側コアは、内側コアクラッドによって囲まれる。場合により、外側コア内に含まれる複数の内側コアは、DOEからのレーザ光ビームの2×2マルチスポットパターンと一致する2×2配列を形成する。
【0011】
様々なコア及び様々なクラッドのための材料は、集束照明ビームがマルチコア光ファイバケーブルの第1の外側コアの全長にわたって伝播されるように、且つレーザ光ビームのマルチスポットレーザパターン内のレーザ光ビームの各々が、外側コア内に含まれる複数の内側コアの1つの全長にわたって伝播されるように選択され得る。
【0012】
場合により、外側コアの屈折率は、外側コアクラッドの屈折率よりも大きく、複数の内側コア内の内側コアのそれぞれの屈折率は、内側コアクラッドの屈折率よりも大きく、複数の内側コア内のそれぞれ又は内側コアの屈折率は、外側コアクラッドの屈折率よりも大きい。更に、集光レンズは、レーザ光ビームの多重マルチスポットパターン内のレーザビームの各々を複数の内側コア内のそれぞれの内側コアとの界面上に集束させるように選択され得、集束レーザビームのそれぞれのスポットサイズ、集束レーザビームのそれぞれの角度の広がり、内側コアの屈折率及び内側コアクラッドの屈折率は、レーザ光ビームがマルチコア光ファイバケーブルの長さに対して空間的に充填し、複数の内側コアを通して伝播する原因となる。
【0013】
同様に、集光レンズは、第1の外側コアの少なくとも一部、複数の内側コアの少なくとも一部及び内側コアクラッドの少なくとも一部に入射するスポットサイズを有する光円錐として照明ビームを集束させるように選択され得る。照明ビームの光円錐は、光円錐の狭い半角部分及び光円錐の広い半角部分を含むことができる。これらの場合、マルチコア光ファイバケーブルの様々なコア及びクラッドのための屈折率と、光円錐の狭い半角部分及び広い半角部分の角度とは、照明ビームがマルチコア光ファイバケーブルの外側コアの長さを空間的に充填し、伝播する原因となる。また、照明ビームの狭い半角部分は、外側コア領域内に閉じ込めることができ、照明ビームの広角部分は、外側コア領域、内側クラッド領域及び内側コア領域内を自由に伝播する。
【0014】
場合により、外科用プローブアセンブリは、レーザシステムポートアダプタ又は他の多重化システムと結合するためのフェルールを含む。外科用プローブアセンブリはまた、マルチコアファイバケーブルと、マルチコア光ファイバケーブルの遠位端に結合されるプローブチップを有するハンドピースとを含むことができる。プローブチップは、プローブチップの遠位端に略位置するレンズを有することができ、マルチコア光ファイバケーブルは、レンズとの界面において終端することができる。レンズは、マルチコア光ファイバケーブルの遠位端からターゲット面上にレーザ光ビームの多重化マルチスポットレーザパターン及び照明ビームの形状寸法を変換するようにも選択され得る。
【0015】
本技術の幾つかの実施形態は、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化する方法を伴う。方法は、レーザ光ビームをコリメートするためにレーザ光ビームを光学素子に向け、且つコリメートされたレーザ光ビームを回折光学素子(DOE)に向けて、レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを生成することを伴い得る。同様に、方法は、レーザ光ビーム及び照明光ビームのマルチスポットパターンをビームスプリッタに向けることを伴い得る。次いで、方法は、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを集光レンズに向けて反射し、且つ照明光ビームを集光レンズに透過し、それによりレーザ光ビーム及び透過照明ビームのマルチスポットパターンを多重化するビームスプリッタを伴う。方法は、レーザ光ビーム及び透過照明ビームの多重化マルチスポットパターンをマルチコア光ファイバケーブルとの界面上に集束させる集光レンズも伴い得る。また、方法は、レーザ光ビーム及び透過照明ビームの多重化マルチスポットパターンを、マルチコア光ファイバケーブルを介して、プローブチップにおけるレンズ上に向けることを伴い得る。次いで、レンズは、マルチコア光ファイバケーブルの遠位端からターゲット面上にレーザ光ビーム及び照明ビームの多重化マルチスポットレーザパターンの形状寸法を変換する。
【0016】
本技術の幾つかの実施形態は、レーザ光ビームのマルチスポットパターン及び照明光の多重ビームの画像を作成する方法を伴う。この方法は、マルチコア光ファイバケーブルのために、外側コアのための第1の屈折率を有する材料、外側コアクラッドのための第2の屈折率を有する材料、外側コアに含まれる複数の内側コアのための第3の屈折率を有する材料及び複数の内側コアのそれぞれのための内側コアクラッドのための第4の屈折率を有する材料を選択することを伴い得る。方法はまた、レーザ源からのレーザ光ビームの開口数及び照明光源からの照明光ビームの開口数を特定することと、マルチコア光ファイバケーブルの界面上にレーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン及び照明ビームを集束させるように集光レンズを選択することとを含み得る。次いで、方法は、照明ビームが外側コアにわたって伝播し、且つレーザビームが複数の内側コアにわたって伝播するように、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化することと、レーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン及び照明ビームをマルチコア光ファイバケーブルの界面上に集束させることとを含み得る。方法は、レーザ光ビームのマルチスポットパターン及び照明光の多重ビームを、外科用ハンドピース内のレンズを通して向けることも伴い得る。
【0017】
本技術の幾つかの実施形態は、統合された照明及びマルチスポットレーザ多重化システムを伴う。統合システムは、コリメートされたレーザ光ビームを発するレーザ光源と、コリメートされたレーザ光ビームを受け、且つマルチスポットレーザパターンを生成するように構成される回折光学素子(DOE)とを含むことができる。統合システムはまた、略白色光を発する照明システムと、照明システムから受けられた略白色光をコリメートするコリメートレンズとを含む。統合システムは、マルチコア光ケーブルファイバをシステムに結合する光ファイバケーブルポートと、マルチスポットレーザパターンを集光レンズに向けて反射し、且つコリメートされた照明ビームを集光レンズに向けて透過し、それによりマルチスポットレーザ光ビーム及び照明光ビームを多重化するビームスプリッタとを含む。集光レンズは、レーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン及び照明ビームを、マルチコア光ファイバケーブルを通して光ファイバケーブルポートとの界面上に、且つレーザ光ビームの多重化マルチスポットレーザパターン及び照明光ビームの寸法形状をターゲット面上に変換する外科用ハンドピースのチップ内のレンズに更に集束させることができる。
【0018】
本技術の幾つかの実施形態は、統合された照明及びマルチスポットレーザ多重化システムを伴う。システムは、コリメートされたレーザ光ビームを発するレーザ源と、レーザ光のマルチスポットレーザパターンを生成する回折光学素子(DOE)と、略白色光を発する照明システムと、照明システムから受けられた略白色光をコリメートするコリメートレンズとを含むことができる。システムは、コリメートされたレーザ光ビームを反射し、且つコリメートされた照明ビームを集光レンズに向けて透過させるビームスプリッタを更に含む。DOEは、レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを生成し、ビームスプリッタは、レーザ光ビームのパターン及び照明光ビームを多重化する。システムは、多重光をマルチコア光ケーブルファイバに結合する光ファイバケーブルポートを更に含む。
【0019】
本技術、その特徴及びその利点のより詳細な理解のために、添付図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本開示の特定の実施形態による、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成し、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化し、且つ多重光ビームを外科用プローブに送出するためのシステムを示す。
図2A図2Aは、本開示の特定の実施形態によるレーザシステムポートアダプタを示す。
図2B図2Bは、本開示の特定の実施形態による、外科用レーザシステム及び照明光源と結合されるレーザシステムポートアダプタを示す。
図3図3は、本開示の特定の実施形態による、レーザ光ビームのマルチスポットパターン及び照明光を多重化するための方法を示す。
図4A-4B】図4A図4Bは、本開示の特定の実施形態による、レーザ源及び照明光源を含む光多重化コンポーネントを含むシステムを示す。
図4C図4Cは、本開示の特定の実施形態による、レーザ源を含むレーザ光多重化モジュールと、照明光源を含む照明モジュールとを含むシステムを示す。
図5A-5B】図5Aは、本開示の特定の実施形態によるマルチコア光ファイバケーブルの終端の平面図を示す。図5Bは、本開示の特定の実施形態によるマルチコア光ファイバケーブル上の複数の光円錐の界面の側面図を示す。
図5C図5Cは、本開示の特定の実施形態による本技術の幾つかの実施形態に従うマルチコア光ファイバケーブルの断面図を示す。
図5D図5Dは、本開示の特定の実施形態による、レーザビームスポットが内側コアと並び、照明光ビームスポットが外側コアと並んだマルチコア光ファイバケーブルの近位界面端を示す。
図5E-5G】図5Eは、本開示の特定の実施形態による、3つのビームの全てがそれらのそれぞれのコアを完全に空間的に満たすように広がったマルチコア光ファイバケーブルの遠位端を示す。図5F図5Gは、本開示の特定の実施形態によるマルチコア光ファイバケーブルを通る多重光の伝播を示す。
図5H-5K】図5H図5Kは、本開示の特定の実施形態によるマルチコア光ファイバケーブルを通る多重光の伝播を示す。
図5L-5N】図5L図5Mは、本開示の特定の実施形態によるマルチコア光ファイバケーブルを通る多重光の伝播を示す。図5Nは、本開示の幾つかの実施形態による別のマルチコア光ファイバケーブルの断面図を示す。
図6A-6B】図6A図6Bは、本開示の特定の実施形態による外科用ハンドプローブのチップの展開側面図を示す。
図7図7は、本開示の特定の実施形態によるレーザ光ビームのマルチスポットパターン及び照明光の多重ビームの画像を生成する方法を示す。
図8A図8Aは、本開示の特定の実施形態による、多重化されたレーザエイミング及び治療用ビーム並びにレーザ照明光ビームを送出するためのマルチルーメンチューブの端面図を示す。
図8B図8Bは、本開示の特定の実施形態による、近位端においてそれらのそれぞれのファイバコアを空間的にアンダーフィルするレーザエイミング及び治療用ビーム並びにレーザ照明光ビームのそれぞれを示す。
図8C図8Cは、本開示の特定の実施形態による、遠位端においてそれらのコアを空間的に完全に満たすレーザエイミング及び治療用ビーム並びにレーザ照明光ビームのそれぞれを示す。
図8D図8Dは、本開示の特定の実施形態による、集束レンズにおいて又はその近傍でマルチルーメンチューブ内のガラスファイバのアレイを越えて延在するナノファイバの遠位端を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
多様な医療処置において、レーザ光は、処置を補助し、患者の解剖学的構造を治療するために用いられる。例えば、硝子体網膜手術は、多くの場合、網膜組織の光凝固のためのレーザ治療用ビームを用いることを伴う。硝子体網膜処置は、一般に、エイミングレーザビームを交互に発して網膜組織上のターゲットスポットを選択し、治療用レーザビームを発して、ターゲットスポットにおいて光凝固を行うことができるレーザプローブを含む。多くの場合、レーザプローブは、エイミングビームに電磁スペクトルの赤色帯域の光を利用し、治療用ビームに電磁スペクトルの緑色帯域の光を利用する。また、汎網膜レーザ光凝固中、外科医は、網膜組織上の何千ものスポットを選択して治療用レーザビームを照射し、結果として極めて長くて面倒な処置をもたらす。従って、レーザ光のマルチスポットパターンを生成することができるレーザプローブが望まれている。
【0022】
硝子体網膜処置は、眼内及び網膜組織上に向けられる照明光からも恩恵を受ける。硝子体網膜外科医は、多くの場合、レーザエイミング及び治療用ビームを送出するためのレーザプローブハンドピースを用い、また患者の解剖学的構造を観察するために網膜表面に照明光ビームを向けるための追加のハンドピースを用いる。
【0023】
硝子体網膜手術の分野は、他の医療用レーザ手術と同様に、照明光及びマルチスポットレーザ光を多重化することから恩恵を受ける。従って、本明細書中に説明する技術は、照明光及びマルチスポットレーザ光を多重化するための多重入力結合照光式マルチスポットレーザプローブ、アダプタ及び他のシステム並びに照明光及びマルチスポットレーザ光を多重化し、且つ多重光を患者の解剖学的構造に送出する方法を含む。
【0024】
図1は、本開示の特定の実施形態による、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成し、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化し、且つ照明光及びレーザ光ビームのマルチスポットパターンを同時に伝送するための外科用プローブ115に多重光ビームを送出するためのシステム100を示す。
【0025】
システム100は、眼科処置中に用いるレーザビームを生成するための1つ以上のレーザ源を含む外科用レーザシステム105を含む。例えば、眼科外科用レーザシステム105は、約532ナノメートル(nm)の波長を有する外科治療用ビーム及び約635nmの波長を有するレーザエイミングビームを選択的に生成することができる。外科医又は外科担当員は、外科用レーザシステム105を制御して(例えば、フットスイッチ、音声コマンド等を介して)選択的にレーザエイミングビームを放出し、治療用ビームを発射して、患者の解剖学的構造を治療する(例えば、光凝固術を行う)ことができる。レーザビームは、外科用レーザシステム105内のポート106を通して放出することができる。
【0026】
システム100は、キセノン照明、RGB発光ダイオード(LED)照明器、白色光LED照明器、レーザ励起蛍光体照明器、スーパーコンティニュウム白色レーザ照明器等の1つ以上を含むことができる照明光源110も含む。照明光源110は、眼科処置の多様な態様を監視及び制御することができる外科用コンソールであり得る。例えば、外科用コンソールは、硝子体網膜手術で用いるために構成することができ、硝子体切除プローブに電力を供給し、制御することができ、加圧注入デリバリ及び眼内圧補償を統合することができ、外科用照明を提供すること等ができる。場合により、照明光源110は、照明ケーブル111を介して照明光を送出することができる。
【0027】
システム100は、眼科外科用レーザシステム105からの1つのレーザ光ビームから複数のレーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成し、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを、照明光源110から受けられた照明光ビームと多重化するための光学素子(図示せず)を含むレーザシステムポートアダプタ150も含む。アダプタ150は、外科用レーザ源105、照明光源110及び外科用プローブ115にそれぞれ結合する複数のポートアーム152、154、156を含むことができる。
【0028】
システム100は、マルチコア光ファイバケーブル130を介してポートアーム156から外科用プローブ115に多重光ビームを送出して、照明光及びレーザ光ビームのマルチスポットパターンを患者の眼125の網膜120に同時に提供する能力を外科用プローブ115に提供することができる。外科用プローブ115は、マルチコア光ファイバケーブル130を収容及び保護するプローブ本体135及びプローブチップ140を含む。プローブチップ140の遠位端145は、マルチコア光ファイバケーブルの遠位端からの多重光ビームを網膜120上に移すレンズ(図示せず、以下でより詳細に説明する)も含む。
【0029】
本明細書中に開示するように、様々なシステム及び方法が、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化するレーザ光ビームのマルチスポットパターンを作成するために採用され得る。上で簡単に説明したように、場合により、ポートアダプタは、マルチスポットパターンを作成し、光ビームを多重化するための光学素子を含むことができる。図2Aは、本開示の幾つかの実施形態によるレーザシステムポートアダプタ250を示す。レーザシステムポートアダプタ250は、レーザ源と結合するための第1のポートアーム252と、照明システムと結合するための第2のポートアーム254と、レーザプローブの光ファイバケーブルと結合するための第3のポートアーム256とを含む。レーザシステムポートアダプタ250は、第1のポートアーム252、第2のポートアーム254及び第3のポートアーム256が交差する多重交差領域280も含む。場合により、第2のポートアーム254及び第3のポートアーム256は、多重交差領域280にわたって略同一線上にあり、第1のポートアーム252は、多重交差領域280において第2のポートアーム254及び第3のポートアーム256に略直交する。
【0030】
第1のポートアーム252は、レーザシステムのメス型チムニーポート(図示せず)のためのオス型カップリングとして機能するフェルール258を含む。フェルール258は、レーザ源からのレーザ光が第1のポートアーム252に入ることを可能にする開口部262を有する。また、フェルール258は、フェルール258内に含まれる光学素子264を収容することができる。光学素子264は、レーザ源から受けられたレーザ光をコリメートするように構成される。例えば、光学素子264は、以下でより詳細に説明するように、光学素子264が、多重交差領域280内に含まれる回折光学素子(DOE)282に隣接する選択された距離で開口部262において受けるレーザ光をコリメートするように選択される長さ及びピッチを有する屈折率分布型(GRIN)レンズであり得る。
【0031】
第1のポートアーム252は、ナットが外ねじに締め付けられる場合、第1のポートアームを略完全に外科用レーザシステム105のメス型ポートに引き込む外ねじ260も含む。場合により、光学素子264は、開口部262と面一であるフェルール258内に位置決めされ、外科用レーザシステム105は、メス型ポートの終端にレーザスポットを集束させるように構成される。従って、外ねじ260は、外科用レーザシステムによって生成されたレーザの集束レーザスポットが光学素子264の端部に実質的に入射するように、光学素子264が外科用レーザシステム105に対してある点に位置決めされることを容易にし得る。
【0032】
照明システムと結合するための第2のポートアーム254は、略円筒形の外側フレーム266、内側キャビティ268、内側キャビティ268の第1の端部におけるコリメートレンズ270及び内側キャビティ268の第2の端部における開口部272を有するメス型ポートを含むことができる。第2のポートアーム254の内側キャビティ268は、照明光源110から照明光ビームを送出する光ケーブル111のフェルールを受けるように構成することができる。場合により、コリメートレンズ270が、多重交差領域280内に含まれるビームスプリッタ284に略コリメートされた照明光を送出するように、光ケーブル内に含まれる光ファイバから発せられた照明が広がってコリメートレンズ270に入射するように、照明光ビームを送出する光ケーブルのフェルールは、ナットによって第2のポートアーム254に固定される。
【0033】
レーザプローブの光ファイバケーブルと結合するための第3のポートアーム256は、略円筒形の外側フレーム274、内側キャビティ276、内側キャビティ276の第1の端部における集光レンズ278及び内側キャビティ276の第2の端部における開口部275を有するメス型ポートを含むことができる。
【0034】
第3のポートアーム256の内側キャビティ276は、以下でより詳細に説明するように、多重光を外科用プローブ115に送出するマルチコア光ファイバケーブル130のフェルールを受けるように構成することができる。場合により、以下でより詳細に説明するように、照明ビーム及びレーザエイミング/治療用ビームがマルチコア光ファイバケーブルの全長にわたって伝播するように、集光レンズ278が多重光をマルチコア光ファイバケーブルの終端の界面290上に正確に集束させるように、マルチコア光ファイバケーブルのフェルールは、ナットによって第3のポートアーム256に固定される。
【0035】
上で説明したように、レーザシステムポートアダプタ250は、第1のポートアーム252、第2のポートアーム254及び第3のポートアーム256が交差する多重交差領域280も含む。多重交差領域は、コリメートされたレーザ光ビームを第1のポートアーム252の光学素子264から受け、レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを生成するように構成される回折光学素子(DOE)282を含むことができる。DOE282は、入射レーザ光を目的とするターゲットの形状寸法と合致するマルチスポットパターンに回折させるように選択することができる。例えば、DOE282は、以下でより詳細に説明するように、多重光を外科用プローブ115に送出するマルチコア光ファイバケーブルの内側コアの2×2配列と略一致するレーザ光ビームの2×2配列パターンを生成するように選択することができる。
【0036】
多重交差領域280は、光スペクトルの一部を反射し、光スペクトルの残りの部分を透過するように構成されるビームスプリッタ284も含む。更に具体的に言うと、ビームスプリッタ284は、a)外科用レーザシステム105からのレーザエイミング及び治療用ビームを第3のポートアーム256及び集光レンズ278に向けて反射することと、b)照明光源110からの照明光を第3のポートアーム256及び集光レンズ278に向けて透過することとの両方を行うように構成することができる。また、上述のように、集光レンズ278は、以下でより詳細に説明するように、照明ビーム及びレーザエイミング/治療用ビームがマルチコア光ファイバケーブル130の全長にわたって伝播するように、多重光をマルチコア光ファイバケーブル130の終端の界面290上に正確に集束させるように選択することができる。
【0037】
上で説明したように、硝子体網膜処置は、多くの場合、レーザエイミングビームに電磁スペクトルの赤色帯域の光を利用し、レーザ治療用ビームに電磁スペクトルの緑色帯域の光を利用する。従って、ビームスプリッタ284は、赤色スペクトルの狭帯域及び緑色スペクトルの狭帯域の光を高反射するように構成され、且つ残りの電磁スペクトルを透過するように構成され得る。幾つかの実施形態において、ビームスプリッタ284は、約532ナノメートル(nm)の第1の狭帯域及び約635nmの第2の狭帯域の光を反射し、残りのスペクトルを透過させる。ビームスプリッタ284は、ダイクロイックビームスプリッタキューブ、ビームスプリッタプレート等であり得る。
【0038】
照明光源110からの照明光の一部(例えば、赤色及び緑色部分)は、ビームスプリッタ284によって反射されるため、システムポートアダプタ250は、集光モジュール286を含むことができる。例えば、集光モジュール286は、ビームダンプ、パワーモニタ等であり得る。
【0039】
図2Bは、外科用レーザシステム205と結合されるレーザシステムポートアダプタ250、照明光源110から照明光ビームを送出する光ケーブル111のフェルール212及び多重光を外科用プローブ115に送出するマルチコア光ファイバケーブル130のフェルール132を示す。
【0040】
外科用レーザシステム205は、レーザ光が外科用レーザシステム202を出ることを可能にするメス型ポート202の近位端における開口部206とのメス型ポート202を含む。メス型ポート202は、第1のポートアーム252内の光学素子264が開口部206に略隣接するように、レーザシステムポートアダプタ250の第1のポートアーム252を受けるように構成される。外科用レーザシステム205は、開口部206及び光学素子264の略界面上にレーザ光を集束させるように構成される。また、ナット204は、レーザシステムポートアダプタ250を外科用レーザシステム205と共に固定し、メス型ポート202内の開口部206との光学素子264の近接を維持するために用いることができる。
【0041】
上で説明したように、眼科外科用レーザシステム105は、約532ナノメートル(nm)の波長(すなわち緑色)を有する外科治療用ビーム及び約635nmの波長(すなわち赤色)を有するレーザエイミングビームを選択的に生成することができる。しかし、赤色及び緑色の入射レーザ光は、異なる回折角でDOEから回折する。レーザビームがコリメートされていない場合、それらの焦点も影響を受け、すなわち、赤色及び緑色は、異なる軸位置に集束する。これは、以下でより詳細に説明するような緑色及び赤色両方のレーザビームをマルチコアファイバの同じ内側コア領域に集束させようと試みることを大幅に複雑にする。従って、幾つかの実施形態は、DOEから生じる複数のビームもコリメートされるように、DOEに入射する複数のビームをコリメートすることを伴う。十分な集束を有するマルチスポットレーザパターンを実現するために、外科用レーザシステム205からのレーザ光は、それがDOE282に入射する場合にコリメートされるべきである。従って、場合により、光学素子264は、外科用レーザシステム205からのレーザ光をコリメートし、レーザ光を再び焦点に戻し、レーザ光がDOE282においてコリメートされるようにレーザ光を再度コリメートするのに十分な長さ(例えば、16.54mm)であるように選択することができる。
【0042】
場合により、光学素子264は、レーザ集束入力ビームを受け、GRINレンズの遠位端でコリメートしたビームを出力する、0.75ピッチ、0.20NAのGRINリレーレンズである。GRINレンズは、ビームをコリメートし、次いで焦点を合わせるのに十分な長さであり、次いでそれを再度コリメートする。幾つかの他の場合、光学素子264は、屈折レンズリレーシステムである。
【0043】
DOE282は、コリメートされたレーザ光を受け、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成する。例えば、場合により、DOE282は、以下でより詳細に説明するように、多重光を外科用プローブ115に送出するマルチコア光ファイバケーブル130の内側コアの2×2配列と略一致するレーザ光ビームの2×2配列パターンを生成することができる。幾つかの他の場合、DOE282は、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを作成するためにプリズム及び/又はビームスプリッタのアセンブリで置き換えることができる。
【0044】
図2Bにも示すように、レーザシステムポートアダプタ250の第2のポートアーム254はまた、照明光源110から照明光ビームを送出する光ケーブル111のフェルール212と結合される。場合により、第2のポートアーム254の内側キャビティの長さは、光ケーブル111内に含まれる光ファイバの終端がコリメートレンズ270から所定の距離に位置決めされるように選択される。コリメートレンズ270及び/又はコリメートレンズ270からの光ファイバの所定の距離は、照明光がビームスプリッタ284において略完全にコリメートされるように選択することができる。また、ナットは、フェルール212を内側キャビティ268に固定し、コリメートレンズ270から光ファイバ218の所定の距離を維持することができる。
【0045】
また、上述のように、ビームスプリッタ284は、a)外科用レーザシステム105からのレーザエイミング及び治療用ビームを第3のポートアーム256及び集光レンズ278に向けて反射することと、b)照明光源110からの照明光を第3のポートアーム256及び集光レンズ278に向けて透過することとの両方を行うように構成することができる。
【0046】
図2Bにも示すように、レーザシステムポートアダプタ250の第3のポートアーム254は、多重光を外科用プローブ115に送出するマルチコア光ファイバケーブル130のフェルール132と結合される。また、集光レンズ278は、以下でより詳細に説明するように、照明ビーム及びレーザエイミング/治療用ビームがマルチコア光ファイバケーブル130の全長にわたって伝播するように、多重光をマルチコア光ファイバケーブル130の終端の界面290上に正確に集束させるように選択することができる。
【0047】
図3は、本開示の特定の実施形態による、レーザ光ビーム及び照明光のマルチスポットパターンを多重化するための方法300を示す。方法300は、レーザ光ビームを屈折率分布型(GRIN)レンズに向けることによってレーザ光ビームをコリメートすること305と、コリメートされたレーザ光ビームを回折光学素子(DOE)に向けることによってレーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成すること310と、レーザ光ビームのマルチスポットパターンをビームスプリッタに向けること315とを伴う。
【0048】
方法300はまた、コリメートレンズを用いて照明ビームをコリメートすること320と、コリメートされた照明ビームをビームスプリッタに向けること325とを伴う。次に、方法300は、ビームスプリッタを用いて、レーザ光のマルチスポットパターンを、コリメートされた照明ビームと多重化すること330を伴う。更に具体的に言うと、場合により、レーザ光のマルチスポットパターンを、コリメートされた照明ビームと多重化することは、ビームスプリッタが外科用レーザシステムからのレーザエイミングビーム及び治療用ビームを集光レンズに向けて反射し、照明光源からの照明光を集光レンズに向けて透過することを伴い得る。
【0049】
方法300はまた、以下でより詳細に説明するように、集光レンズにより、レーザ光及び照明光のマルチスポットパターンの多重ビームを外科用ハンドピースのマルチコア光ファイバケーブルとの界面上に集束させること335と、その後、レーザ光ビーム及び照明光のマルチスポットパターンの多重ビームを、外科用ハンドピース内のレンズを通して向けること340とを伴う。
【0050】
場合により、白色照明及びレーザエイミングビームの強度を調整して(例えば、それぞれ照明光源及び外科用レーザシステムにおいて)白色に対して適正量のレーザエイミングビームコントラストを提供する一方、十分な白色照明を提供して網膜を簡単に見ることができる。
【0051】
図1に示し、本明細書中で説明するシステム100は、別個の外科用レーザシステム及び照明光源を有するモジュール式アプローチを伴う。しかし、場合により、外科用レーザシステム及び照明光源は、単一のモジュールに統合することができ、モジュールは、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成し、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化し、且つ照明光及びレーザ光ビームのマルチスポットパターンを同時に伝送するために多重光ビームを外科用プローブに送出するための適切な光学部品を含むことができる。
【0052】
図4Aは、本開示の特定の実施形態による、レーザ源405及び照明光源410を含む光多重化コンポーネント402を含むシステム400を示す。レーザ源は、略コリメートされたレーザビーム(例えば、赤色エイミングビーム、緑色治療用ビーム)を生成し、レーザビームをビームスプリッタ484に向けることができる。また、リニアスライド450(又は回転ホイール)は、レーザ源405とビームスプリッタ484との間のビーム経路に位置決めすることができる。リニアスライド450は、レーザ源405とビームスプリッタ484との間のビーム経路に選択的に摺動することができる複数の光学的特徴を含むことができる。例えば、リニアスライド450は、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成する回折光学素子(DOE)と、レーザ光が影響を受けずに通過することができ、結果として単一スポットのレーザビームを生じる透明窓又は中空セクションとを含むことができる。
【0053】
照明光源410は、白色LED、RGB LED、キセノンレーザ、励起蛍光体レーザ、ディスクリートレーザ、スーパーコンティニュウムレーザ等であり得る。照明光源は、照明光を生成し、それをコリメートレンズ470に対して及びビームスプリッタ484に向ける。
【0054】
ビームスプリッタ484は、レーザ源405から集光レンズ478に向けてレーザエイミング及び治療用ビームの両方を反射し、照明光源410から集光レンズ478に向けてコリメートされた照明光を透過するように構成することができる。集光レンズ478は、以下でより詳細に説明するように、照明ビーム及びレーザエイミング/治療用ビームがマルチコア光ファイバケーブル430の全長にわたって及び外科用ハンドピース415内に伝播するように、多重光をマルチコア光ファイバケーブル430の終端の界面490上に正確に集束させるように選択することができる。
【0055】
図4Bは、レーザ源405及び照明光源410を含む光多重化コンポーネント402’を含む別のシステム400’を示す。ここで、ビームスプリッタ484は、多重光ビームが回転ホイール450’に入射する前に、レーザ源405からのレーザ光及び照明光源410からのコリメートされた照明光を多重化することができる。回転ホイール450がDOEをビーム経路に位置決めすると、DOEは、照明光内にレーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成することができる。また、システム400’は、多重光ビームをマルチコア光ファイバケーブル430の終端の界面490上に集束させるように集光レンズ478を含むことができる。
【0056】
図4Cは、レーザ源405を含むレーザ光多重化モジュール403と、照明光源410を含む照明モジュール407とを含む、本開示の特定の実施形態による別のシステム499を示す。照明モジュール407は、光源410からの光をコリメートするコリメートレンズ409と、コリメートレンズ409からのコリメート光のビーム経路内外に選択的に位置決めすることができるスライド可能ミラー411とを含む。スライド可能ミラー411がコリメートレンズ409からのコリメート光のビーム経路内に位置決めされると、スライド可能ミラーは、コリメート光を光ファイバカップリング413及び光ファイバ送出ケーブル417に向ける。スライド可能ミラー411がコリメートレンズ409からのコリメート光のビーム経路外に位置決めされると、コリメート光は、純粋な照明光の送出のために用いられる照明プローブ423に結合される光ファイバケーブル421に光を集束させる集光レンズ419に向けられる。
【0057】
光ファイバ送出ケーブル417は、照明モジュールからの照明光をレーザ光多重化モジュール403内のコリメートレンズ425に送出する。コリメートレンズ425は、照明光をコリメートし、コリメート光をビームスプリッタ427に向ける。また、レーザ源405は、略コリメートされる(すなわちレーザ光源405からのレーザ光の略点源の性質により略コリメートされる)ことをビームスプリッタ427に向ける。ビームスプリッタ427は、レーザ源によって発せられる波長(例えば、赤色及び緑色レーザ光)に対応する光スペクトルの一部を透過するように構成され、且つ光スペクトルの残りの部分を反射するように構成される。更に具体的に言うと、ビームスプリッタ427は、レーザ源405からのレーザエイミング及び治療用ビームの両方を反射し、コリメートレンズ425からの照明光を透過するように構成することができる。この構成において、ビームスプリッタ427は、レーザ源405からのレーザ光と照明光源410からのコリメート照明光とを効果的に多重化する。多重光ビームは、照明光内にレーザ光ビームのマルチスポットパターンを生成するようにDOEをビーム経路内に選択的に位置決めするリニアスライド450に入射する。また、レーザ光多重化モジュール403は、外科用ハンドピース415への送出のために、多重光ビームをマルチコア光ファイバケーブル430の終端の界面490上に集束させる集光レンズ429を含む。
【0058】
場合により、光多重化コンポーネント402、402’及び/又はレーザ光多重化モジュール403は、外科処置の態様を制御するための手段を含む外科用コンソールにも統合される。例えば、光多重化コンポーネント402、402’及び/又はレーザ光多重化モジュール403は、硝子体切除プローブに電力を供給し、制御することができ、加圧注入デリバリ及び眼内圧補償を統合することができ、外科用照明を提供すること等ができる、硝子体網膜手術で用いるために構成される外科用コンソール内に統合することができる。また、場合により、光多重化コンポーネント402、402’及び/又はレーザ光多重化モジュール403は、外科用コンソールと一緒に用いることができる独立型モジュールである。
【0059】
上述のように、集光レンズは、照明ビーム及びレーザエイミング/治療用ビームがマルチコア光ファイバケーブルの全長にわたって及び外科用ハンドプローブに伝播するように、多重光をマルチコア光ファイバケーブルの終端の界面に正確に集束させるように選択することができる。更に具体的に言うと、集光レンズは、照明ビーム及びレーザエイミング/治療用ビームが適切なコアファイバ、マルチコア光ファイバケーブルの全長にわたって伝搬するように、照明ビーム及びレーザエイミング/治療用ビームからの光の結果として生じる光円錐が、マルチコア光ファイバケーブルにおいて用いられる様々なファイバコア及びクラッド材との界面に対する受光角及び開口数(NA)を有するように選択することができる。
【0060】
図5Aは、本開示の幾つかの実施形態によるマルチコア光ファイバケーブル530の近位端の平面図を示す。マルチコアファイバケーブル530は、比較的大きい直径及び比較的多いNAを有する外側コアファイバ510の内側において、比較的小さい直径及び比較的少ないNAを有する4つの内側コアファイバ505を含むことができる。外側コアファイバ510は、屈折率(nclad1)を有する外側コアクラッド515内に含まれ得、内側コアファイバ505は、屈折率(nclad2)を有する内側コアクラッド520内に含まれ得る。また、外側コア510は、コア直径(dcore2)を有し、内側コア505は、コア直径(dcore1)を有することができる。
【0061】
図5Bは、本開示の幾つかの実施形態によるマルチコア光ファイバケーブル530の終端上の複数の光円錐535、540、545の界面の側面図を示す。図5Bのマルチコア光ファイバケーブル530は、外側コアファイバ510及び2つの内側コアファイバ505を示す。画像を明瞭にするために、外側コアクラッド515及び内側コアクラッド520は、図5Bに示されていない。また、表されているのは、照明光円錐535の広角部分、照明光円錐540の狭角部分及びレーザ光円錐545である。集光レンズの選択は、各光円錐の半角に関連している。従って、集光レンズを選択することは、光のNA、光円錐の受光角並びに外側コアファイバ510、外側コアクラッド515、内側コアファイバ505及び内側コアクラッド520の材料の屈折率に基づいて集光レンズを選択することを伴い得る。
【0062】
集光レンズは、所望のビームNAとのマルチコアファイバ界面上にレーザ光を集束させるように設計されている。内側コアファイバ505及び内側被覆コアクラッド520の屈折率は、内側コアのNAがビームのNA以上であり、それにより、それらが内側コアファイバ505の長さにわたって伝搬する際に内側コア領域内のビームの閉じ込めを確実にするように、NA計算(以下に示す)に従って選択される。
【0063】
再度図5Aを参照すると、外側コアファイバ510の屈折率(ncore2)は、外側コアクラッド515の屈折率(nclad2)よりも大きい。また、各内側コアファイバ505の屈折率(ncore1)は、内側コアクラッド520の屈折率(nclad1)よりも大きい。更に、それぞれ又は内側コアファイバ505の屈折率(ncore1)は、外側コアクラッド515の屈折率(nclad1)よりも大きい。
【0064】
外側コアファイバ510及び外側コアクラッド515のための開口数(NA2)は、以下のように計算することができる。
【数1】
【0065】
同様に、内側コアファイバ505及び内側コアクラッド520のための開口数(NA1)は、以下のように計算することができる。
【数2】
【0066】
本開示の幾つかの実施形態において、外側コアファイバ510、外側コアクラッド515、内側コアファイバ505及び内側コアクラッド520の材料は、NA2がNA1よりもはるかに大きいように選択される。特定の実施形態において、外側コアは、略1.46の指数を有する非ドープの溶融シリカであり得る。
【0067】
また、幾つかの実施形態において、赤色エイミングレーザビームは、約0.044のNAを有し、緑色治療用レーザビームは、約0.0657のNAを有する。従って、内側コアファイバ505のための開口数(NA1)が0.0657よりも大きければ、赤色及び緑色レーザビームは、それらがプローブに伝搬する際に内側コア505内に閉じ込められたままとなる。そのため、外側コア510のために用いられる0.22のNAを有するシリカファイバは、レーザビームを閉じ込め得る。
【0068】
また、照明光は、約0.63のNAを有することができ、コア直径は、dcore2をアンダーフィル又は一致するように構成することができる。外側コアファイバ510及び外側コアクラッド515のための開口数(NA2)は、例えば、ホウケイ酸ファイバ構造のNA≧0.63を有するように設計することができる。
【0069】
照明ビームのエタンデュが外側コア510のエタンデュよりも大きい場合、外側コア510への結合効率は、集光レンズの焦点距離の選択に関係なく、100パーセント未満である。しかし、照明ビームのエタンデュ(照明ビームの角度幅とスポット幅の積)が外側コア510のエタンデュよりも小さい場合、集光レンズの焦点が正しく設計されていれば、100パーセントの結合効率(フレネル反射損失を無視)が生じる可能性がある。集光レンズが短すぎる焦点を有すると、集束ビームは、コア510のNAよりも大きいNAを有する可能性があり、結合効率が低下する可能性がある。集光レンズが長すぎる焦点距離を有すると、集束したビームの直径は、510の直径よりも大きい可能性があり、結合効率が低下する可能性がある。しかし、ビームNAがファイバNA以下であり、ビーム径がファイバコア径以下になるように集光レンズの焦点距離が調整されると、100パーセント又は100パーセント近くの結合効率が生じる可能性がある。
【0070】
従って、照明ビームは、空間的にも角度的にも外側コア510をアンダーフィルする可能性があり、これにより結合効率の損失なく空間的及び角度的不整合を可能にする。また、照明ビームNAは、>>NA1であるため、軸外光線は、光線がマルチコア光ファイバケーブル530の長さにわたって伝搬するにつれて、内側コア505及び内側コアクラッド520の内外を頻繁に通過することができる。
【0071】
図5Cは、本開示の幾つかの実施形態によるマルチコア光ファイバケーブル550の断面図を示す。マルチコアファイバケーブル550は、直径300マイクロメートル及び0.47のNAを有する非ドープ溶融シリカ外側コアファイバ510の内側に直径75マイクロメートル及び0.22の開口数(NA)を有する4つの溶融シリカ内側コアファイバ505を含む。外側コアファイバ510は、厚さ25マイクロメートルを有する低屈折率ポリマークラッド515内に含まれ得、内側コアファイバ505は、厚さ15マイクロメートルを有するフッ素ドープ溶融シリカ内側コアクラッド520内に含まれ得る。マルチコア光ファイバケーブル550は、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)コーティング575に更に含まれ得る。
【0072】
4つの溶融シリカ内側コアファイバ505は、532ナノメートルにおいて1.46の屈折率を有する。非ドープ溶融シリカ外側コアファイバ510は、532ナノメートルにおいて1.46の屈折率を有する。フッ素ドープ溶融シリカ内側コアクラッド520は、532ナノメートルにおいて1.4433の屈折率を有することができる。低屈折率ポリマークラッド515は、532ナノメートルにおいて1.38228の屈折率を有することができる。
【0073】
図5Dは、赤色レーザエイミングビームスポット及び緑色レーザ治療用ビームスポットが内側コア505と並び、照明光ビームスポットが外側コア510と並んだマルチコア光ファイバケーブルの近位界面端を示す。図5Eは、3つのビームの全てがそれらのそれぞれのコアを完全に空間的に満たすように広がったマルチコア光ファイバケーブルの遠位端を示す。図5F~5Lは、マルチコア光ファイバケーブルを通る多重光の伝播を示す。
【0074】
図5Fは、赤色レーザエイミングビームスポット及び緑色レーザ治療用ビームスポットが内側コア505と並んだマルチコア光ファイバケーブルの近位界面端を示す。図5Gは、マルチコア光ファイバケーブルの長さにわたって伝搬するレーザ光のマルチスポットパターンからの2つの光円錐を示す(画像を明瞭にするために多重化された照明光が発せられている)。図5Hは、内側コア505を完全に空間的に満たすように広がったレーザビームを示す。同様に、図5Iは、レーザビームが内側コア505を完全に空間的に満たすように広がったマルチコア光ファイバケーブルの遠位端を示す。
【0075】
図5Jは、照明光スポットが外側コア510と並んだマルチコア光ファイバケーブルの近位界面端を示す。図5Kは、光円錐が光円錐の狭い半角部分及び広い半角部分を含む照明光の光円錐を示す(画像を明瞭にするためにレーザ光ビームの多重化マルチスポットパターンが発せられている)。光円錐の狭い半角部分は、外側コア510の長さを伝播するが、内側コア505から除外されている。照明光円錐の広い半角部分は、外側コア510及び内側コア505の長さを満たしている。
【0076】
図5Lは、外側コア510を完全に空間的に満たすように広がった照明ビームを示す。同様に、図5Mは、照射ビームが外側コア510及び内側コア505にわたって広がったマルチコア光ファイバケーブルの遠位端を示す。
【0077】
図5Nは、本技術の幾つかの実施形態による別のマルチコア光ファイバケーブル580の断面図を示す。マルチコアファイバケーブル580は、直径300マイクロメートル及び0.47のNAを有する非ドープ溶融シリカ外側コアファイバ590の内側に直径75マイクロメートル及び0.22の開口数(NA)を有する4つのゲルマニウムドープシリカ内側コアファイバ585を含む。外側コアファイバ590は、厚さ25マイクロメートルを有する低屈折率ポリマークラッド595内に含まれ得る。マルチコア光ファイバケーブル580は、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)コーティング576に更に含まれ得る。
【0078】
4つのゲルマニウムドープシリカ内側コアファイバ585は、532ナノメートルにおいて略1.47648の屈折率を有する。非ドープ溶融シリカ外側コアファイバ590は、532ナノメートルにおいて1.46の屈折率を有する。低屈折率ポリマークラッド595は、532ナノメートルにおいて1.38228の屈折率を有することができる。
【0079】
マルチコア光ファイバケーブルの特定の寸法形状を本明細書中で明示的に示す一方、本開示の利点を有する当業者は、マルチコア光ファイバケーブルに対する多様な構成が可能であることを容易に正しく認識するであろう。図5A~5Nに示す構成において、マルチコア光ファイバの遠位端における白色照明スポットは、レーザスポットの2×2配列よりも幾らか大きい。場合により、網膜治療ターゲット領域及び幾つかの周囲網膜の両方に照明を提供し、照明スポットが白色光を相当に収束させておくのに十分小さいため、この寸法形状が望まれる。また、寸法形状は、比較的小さいコア径のファイバにより網膜において適切な白色放射照度を可能にする。更に、上で説明したように、白色照明及びレーザエイミングビームの強度を調整して(例えば、それぞれ照明光源及び外科用レーザシステムにおいて)白色に対して適正量のレーザエイミングビームコントラストを提供する一方、十分な白色照明を提供して網膜を簡単に見ることができる。
【0080】
本技術の幾つかの実施形態において、マルチコア光ファイバケーブルの遠位端は、患者の目に挿入される外科用ハンドプローブのチップ内で終端する。外科用ハンドプローブのチップは、多重ビームを患者の解剖学的構造、例えば網膜上に画像化するレンズも含むことができる。
【0081】
図6Aは、本開示の幾つかの実施形態による外科用ハンドプローブのチップ605の展開側面図を示す。プローブチップ605は、カニューレ遠位端630を有するカニューレ635(例えば、ステンレス鋼カニューレ)と、マルチコア光ファイバ610及びレンズ615を含むプローブチップとを含むことができる。レンズ615は、屈折率分布型(GRIN)レンズであり得、エアギャップ625は、GRINレンズ615とマルチコア光ファイバ610の遠位端との間で開口されたままにすることができる。エアギャップ625は、マルチコア光ファイバ610から発せられた光がGRINレンズ615に入射する前にある程度の広がりを経験し、GRINレンズ615が患者の解剖学的構造上に光を投影するような大きさにすることができる。
【0082】
場合により、エアギャップは、マルチコア光ファイバ610の遠位端とレンズ615の近位端との間に許されない。ここで、マルチコア光ファイバ610及びレンズ615は、正の圧力により互いに実質的に接合されてエアギャップ許容差の問題を回避し、周辺の軸外光線が軸から十分に遠くまで移動してGRINレンズの円筒形側壁から反射する可能性を低減することができる。しかし、GRINレンズの代わりに従来のレンズを用いることは、マルチコア光ファイバ610とレンズ615との間のエアギャップを伴って光を適切に集束させる。
【0083】
場合により、レンズ615は、光学接着剤620によってプローブチップ605内に固定される。図6Aに示すように、緑色の532nmレーザ光のマルチスポットパターンは、カニューレ遠位端630から4ミリメートルに位置する網膜組織に照射される。
【0084】
図6Bは、本開示の幾つかの実施形態による外科用ハンドプローブの別のチップ640の展開側面図を示す。再度、プローブチップ640は、カニューレ遠位端650を有するカニューレ645と、マルチコア光ファイバ655及びレンズ660を含むプローブチップとを含むことができる。図6Bに示すレンズ660は、平凸ガラスレンズである。また、平凸レンズ660は、保持機能665によってカニューレ635に固定される。再度、エアギャップ670は、マルチコア光ファイバ655から発せられた光が平凸レンズ660に入射する前にある程度の広がりを経験し、平凸レンズ660が患者の解剖学的構造上に光を投影するような大きさにすることができる。
【0085】
図7は、本開示の特定の実施形態による、レーザ光ビーム及び照明光のマルチスポットパターンの多重ビームの画像を作成する方法700を示す。方法は、上で説明したように、マルチコア光ファイバケーブルのための材料を選択して、ファイバケーブルの長さにわたって伝搬する際に様々なコア領域内におけるビームの閉じ込めを確実にすること705を伴う。方法700はまた、レーザ源からのレーザ光ビームの開口数及び照明光源からの照明光ビームの開口数を特定すること725と、マルチコア光ファイバケーブルの界面へのレーザ光ビーム及び照明ビームの多重化マルチスポットパターンを集束させるように集光レンズを選択すること730とを伴う。
【0086】
次いで、方法700は、レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化すること735と、レーザ光ビーム及び照明ビームの多重化マルチスポットパターンをマルチコア光ファイバケーブルの界面に集束させること740と、レーザ光ビーム及び照明光のマルチスポットパターンの多重ビームを外科用ハンドピース内のレンズを通して向けること745とを伴う。
【0087】
上で説明したように、マルチコア光ファイバケーブルのための多様な構成が可能である。例えば、非干渉性白色光照明光源は、白色レーザシステム(例えば、スーパーコンティニュームレーザシステム)で置き換えることができる。この場合、白色レーザビームのエタンデュは、ナノファイバのエタンデュよりも小さく、ナノファイバに効率的に結合することができる点で十分に小さいため、上で説明したようなマルチコア光ファイバケーブルは、多重化されたレーザエイミング及び治療用ビーム並びに白色レーザ照明を送出するために用いることができる。
【0088】
図8A~8Dは、レーザエイミング及び治療用ビーム並びに照明光を多重化するためのシステムの別の実施例を示す。図8Aは、多重化されたレーザエイミング及び治療用ビーム並びにレーザ照明光ビームを送出するためのマルチルーメンチューブ800の端面図を示す。マルチルーメンチューブ800は、中央ナノファイバ805と、マルチルーメンチューブ800内に含まれるガラスレーザファイバ810のアレイとを含む。中央ナノファイバ805は、白色レーザビームを担持するための多数のNAファイバであり得、ガラスレーザファイバ810は、レーザエイミング及び治療用ビーム(例えば、赤色エイミングビーム及び緑色治療用ビーム)を担持するための小径、少数のNAガラスファイバであり得る。場合により、中央ナノファイバ805は、構造支持のための極小、剛性、円筒形又は正方形、黒色の吸光又は反射型カニューレ内に密閉することができ、任意選択的に構造支持のための集束レンズ(下で説明する)にも同様に取り付けることができる。
【0089】
図8B~8Cにおいて示すように、レーザエイミング及び治療用ビーム並びにレーザ照明光ビームのそれぞれは、それらのそれぞれのファイバコアを近位端において空間的にアンダーフィルするが(図8B)、遠位端においてそれらのコアを完全に充填する(図8C)。この場合、網膜においてマルチスポットレーザビームパターンよりも空間的に大きい白色レーザ照明ビームを有するために、ナノファイバ815の遠位端820が、図8Dに示すように、集束レンズ830(例えば平凸レンズ)の近位端又はその近傍になるまで、ナノファイバ815の遠位端820をマルチルーメンチューブ800内のガラスファイバ810のアレイの遠位端825を越えて延在させる必要がある。
【0090】
上で開示した主題は、例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲内に入る全てのかかる修正形態、改良形態及び他の実施形態を網羅することを目的としている。従って、法により許可される最大限の範囲で、本開示の適用範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の最も広範に許容される解釈によって特定されるべきであり、前述の詳細な説明によって制限又は限定されるべきではない。
なお、本開示の態様には以下のものも含まれる。
〔態様1〕
レーザシステムポートアダプタであって、
レーザ源と結合するための第1のポートアームであって、光の電磁スペクトルの2つの狭帯域の少なくとも一方内に含まれる波長を有するレーザ光ビームをコリメートするための光学素子を含む第1のポートアームと、
照明システムと結合するための第2のポートアームと、
レーザプローブの光ファイバケーブルと結合するための第3のポートアームと、
前記第1のポートアーム、前記第2のポートアーム及び前記第3のポートアームが交差する多重交差領域であって、
コリメートされたレーザ光ビームを前記光学素子から受け、且つレーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを生成するように構成される回折光学素子(DOE)と、
前記光の電磁スペクトルの前記少なくとも2つの狭帯域を反射し、前記レーザ光ビームのマルチスポットパターンを受け、前記レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを前記第3のポートアームに向けて反射し、前記照明システムから照明ビームを受け、且つ前記電磁スペクトルの前記少なくとも2つの狭帯域内に含まれていない前記照明ビームの一部を前記第3のポートアームに向けて透過するように構成されるビームスプリッタと
を含む多重交差領域と
を含むレーザシステムポートアダプタ。
〔態様2〕
前記第2のポートアーム及び前記第3のポートアームは、前記交差領域にわたって略同一線上にあり、前記第1のポートアームは、前記多重交差領域において前記第2のポートアーム及び前記第3のポートアームに略直交する、態様1に記載のレーザシステムポートアダプタ。
〔態様3〕
第1のポートアームは、前記レーザ源と結合する第1の端部から、前記交差領域において前記DOEまで延在する第2の端部までの長さ(L)を有し、前記光学素子は、Lの距離において前記レーザ光ビームをコリメートするピッチを有する屈折率分布型(GRIN)レンズを含む、態様1に記載のレーザシステムポートアダプタ。
〔態様4〕
前記第2のポートアームは、前記多重交差領域内の前記ビームスプリッタまで延在する前記第2のポートアームの第1の端部においてコリメートレンズを含む、態様1に記載のレーザシステムポートアダプタ。
〔態様5〕
前記第3のポートアームは、前記多重交差領域内の前記ビームスプリッタに略隣接する前記第3のポートアームの第1の端部において集光レンズを含む、態様1に記載のレーザシステムポートアダプタ。
〔態様6〕
前記集光レンズは、前記照明ビームがマルチコア光ファイバケーブルの第1の外側コアの全長にわたって伝播されるように、且つ前記レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンにおける前記レーザ光ビームの各々が、前記外側コア内に含まれる複数の内側コアの1つの全長にわたって伝播するように、前記レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターン及び前記照明ビームを前記マルチコア光ファイバケーブルの終端の界面上に集束させるように構成される、態様5に記載のレーザシステムポートアダプタ。
〔態様7〕
レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化する方法であって、
レーザ光ビームをコリメートするために前記レーザ光ビームを光学素子に向けることであって、前記レーザ光ビームは、光の電磁スペクトルの2つの狭帯域の少なくとも一方内に含まれる波長を有する、向けること、
前記コリメートされたレーザ光ビームを、レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを生成するように構成される回折光学素子(DOE)に向けること、
前記レーザ光ビームのマルチスポットパターンをビームスプリッタに向けること、
照明光ビームを前記ビームスプリッタに向けることであって、前記ビームスプリッタは、前記光の電磁スペクトルの前記少なくとも2つの狭帯域を反射し、且つ前記電磁スペクトルの前記少なくとも2つの狭帯域内に含まれない前記光の電磁スペクトルの一部を透過し、それにより前記レーザ光ビームのマルチスポットパターン及び透過照明ビームを多重化するように構成される、向けること、
前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン及び透過照明ビームをマルチコア光ファイバケーブルの近位端の界面上に集束させるために、前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン及び透過照明ビームを集光レンズに向けること
を含む方法。
〔態様8〕
前記マルチコア光ファイバケーブルは、
外側コアクラッドによって囲まれる第1の外側コアと、
前記レーザ光ビームのマルチスポットパターンに略一致するパターンで前記外側コア内に配置される複数の内側コアであって、前記複数の内側コア内の各内側コアは、内側コアクラッドによって囲まれる、複数の内側コアと
を含む、態様7に記載のレーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化する方法。
〔態様9〕
照明及びマルチスポットレーザ多重化システムであって、
コリメートされたレーザ光ビームを発するレーザ源と、
前記コリメートされたレーザ光ビームを受け、且つマルチスポットレーザパターンを生成するように構成される回折光学素子(DOE)と、
略白色光を発する照明システムと、
前記照明システムから受けられた前記略白色光をコリメートするコリメートレンズと、
マルチコア光ケーブルファイバと結合するように構成される光ファイバケーブルポートと、
集光レンズと、
前記マルチスポットレーザパターンを前記集光レンズに向けて反射し、且つ照明ビームをコリメートレンズから前記集光レンズに向けて透過し、それにより前記マルチスポットレーザ光ビーム及び前記照明光ビームを多重化するように構成されるビームスプリッタと
を含み、
集光レンズは、前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン及び照明ビームを前記光ファイバケーブルポートとの界面上に集束させるように構成される、照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
〔態様10〕
前記DOEは、前記DOEを、前記コリメートされたレーザ光ビームのビーム経路に選択的に位置決めするように構成されるリニアスライド内に収容される、態様9に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
〔態様11〕
前記集光レンズは、前記照明ビームがマルチコア光ファイバケーブルの第1の外側コアの全長にわたって伝播されるように、且つ前記レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンにおける前記レーザ光ビームの各々が、前記外側コア内に含まれる複数の内側コアの1つの全長にわたって伝播するように、前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットレーザパターン及び前記照明ビームを前記マルチコア光ファイバケーブルの近位端の界面上に集束させるように構成される、態様9に記載の照明及びマルチスポットレーザ多重化システム。
〔態様12〕
レーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化する方法であって、
レーザ光ビームをコリメートするために前記レーザ光ビームを光学素子に向けることであって、前記レーザ光ビームは、光の電磁スペクトルの2つの狭帯域の少なくとも一方内に含まれる波長を有する、向けること、
前記コリメートされたレーザ光ビームを、レーザ光ビームのマルチスポットレーザパターンを生成するように構成される回折光学素子(DOE)に向けること、
前記レーザ光ビームのマルチスポットパターンをビームスプリッタに向けること、
白色レーザビームをビームスプリッタに向けること、
照明光ビームを前記ビームスプリッタに向けることであって、前記ビームスプリッタは、前記光の電磁スペクトルの前記少なくとも2つの狭帯域を反射し、且つ前記電磁スペクトルの前記少なくとも2つの狭帯域内に含まれない前記光の電磁スペクトルの一部を透過し、それにより前記レーザ光ビームのマルチスポットパターン、前記白色レーザビーム及び透過照明ビームを多重化するように構成される、向けること、
前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン、前記白色レーザビーム及び透過照明ビームをマルチコア光ファイバケーブルの近位端の界面上に集束させるために、前記レーザ光ビームの多重化マルチスポットパターン、前記白色レーザビーム及び透過照明ビームを集光レンズに向けること
を含む方法。
〔態様13〕
前記マルチコア光ファイバケーブルは、
外側コアクラッドによって囲まれる第1の外側コアと、
前記レーザ光ビームのマルチスポットパターンに略一致するパターンで前記外側コア内に配置される複数の内側コアであって、前記複数の内側コア内の各内側コアは、内側コアクラッドによって囲まれる、複数の内側コアと、
前記白色レーザビームを受けるための中央ナノファイバと
を含む、態様12に記載のレーザ光ビームのマルチスポットパターンを照明光ビームと多重化する方法。
〔態様14〕
マルチスポットレーザプローブアセンブリであって、
マルチコア光ファイバケーブルであって、
外側コアクラッドによって囲まれる第1の外側コアと、
前記外側コア内に含まれる複数の内側コアであって、前記複数の内側コア内の各内側コアは、内側コアクラッドによって囲まれる、複数の内側コアと
を含み、
前記外側コアの屈折率は、前記外側コアクラッドの屈折率よりも大きく、及び
前記複数の内側コア内の前記内側コアのそれぞれの屈折率は、前記内側コアクラッドの屈折率よりも大きい、マルチコア光ファイバケーブルと、
前記マルチコア光ファイバケーブルの遠位端と結合されるプローブチップを含むハンドピースであって、前記プローブチップは、前記プローブチップの遠位端に略位置するレンズを含み、
前記マルチコア光ファイバケーブルの前記遠位端は、前記レンズとの界面において終端し、及び
前記レンズは、前記マルチコア光ファイバケーブルの前記遠位端からのレーザ光を変換して、ターゲット面上にレーザビームのマルチスポットパターンを生成するように構成される、ハンドピースと
を含むマルチスポットレーザプローブアセンブリ。
〔態様15〕
前記複数の内側コアにおけるそれぞれ又は前記内側コアの前記屈折率は、前記外側コアクラッドの前記屈折率よりも大きい、態様14に記載のマルチスポットレーザプローブアセンブリ。
図1
図2A
図2B
図3
図4A-4B】
図4C
図5A-5B】
図5C-5D】
図5E-5G】
図5H-5K】
図5L-5N】
図6A-6B】
図7
図8A-8C】
図8D