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特許7546746配信サーバ、配信サーバの制御方法、配信サーバの制御プログラム、配信システム、及び通信装置
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  • 特許-配信サーバ、配信サーバの制御方法、配信サーバの制御プログラム、配信システム、及び通信装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】配信サーバ、配信サーバの制御方法、配信サーバの制御プログラム、配信システム、及び通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/24 20090101AFI20240830BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20240830BHJP
   H04W 28/02 20090101ALI20240830BHJP
【FI】
H04W8/24
H04W4/06
H04W28/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023184745
(22)【出願日】2023-10-27
【審査請求日】2024-03-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】盛下 泰暉
(72)【発明者】
【氏名】磯村 周平
(72)【発明者】
【氏名】根岸 宏明
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-047257(JP,A)
【文献】特開2023-015140(JP,A)
【文献】特開2004-253932(JP,A)
【文献】特開2010-220031(JP,A)
【文献】特開2007-110553(JP,A)
【文献】特開2008-092347(JP,A)
【文献】特開2016-039511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバであって、
前記複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する取得部と、
前記複数の通信装置に対し、前記通信品質に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する配信部と、を備え
前記配信部は、一以上の通信装置への前記更新用ソフトウェアの配信が完了した場合に、前記所定の順序において次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置に対する、前記更新用ソフトウェアの配信を、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の数が、前記次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下となるまで待機する、配信サーバ。
【請求項2】
一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバであって、
前記複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する取得部と、
前記複数の通信装置に対し、前記通信品質に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する配信部と、を備え、
前記配信部は、前記複数の通信装置について、所定期間にわたる前記通信品質の平均値、または、最新の前記通信品質を用いて、前記あらかじめ設定された上限台数を決定する、請求項1に記載の配信サーバ。
【請求項3】
前記取得部は、通信装置から受信した、前記通信装置を識別する装置識別情報に基づいて、前記通信装置が接続する基地局を識別する基地局識別情報を取得し、前記基地局識別情報に基づいて、前記一の基地局に接続する前記複数の通信装置を抽出する、請求項1または2に記載の配信サーバ。
【請求項4】
前記配信部は、前記所定の順序として、前記複数の通信装置を前記通信品質が高い順に順序付けた上で、前記更新用ソフトウェアを配信し、前記上限台数は、前記通信品質が高いほど多く設定される、請求項1または2に記載の配信サーバ。
【請求項5】
前記通信装置と前記一の基地局との間の通信は、NB-IoT(Narrow Band Internet of Things)による通信方式に基づく、請求項1または2に記載の配信サーバ。
【請求項6】
一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバの制御方法であって、
配信サーバが、
前記複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得するステップと、
前記複数の通信装置に対し、前記通信品質情報に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信するステップと、
を実行し、
前記配信するステップは、一以上の通信装置への前記更新用ソフトウェアの配信が完了した場合に、前記所定の順序において次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置に対する、前記更新用ソフトウェアの配信を、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の数が、前記次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下となるまで待機する、配信サーバの制御方法。
【請求項7】
一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバの制御プログラムであって、
配信サーバに、
前記複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する機能と、
前記複数の通信装置に対し、前記通信品質情報に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する機能と、を実現させ
前記配信する機能は、一以上の通信装置への前記更新用ソフトウェアの配信が完了した場合に、前記所定の順序において次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置に対する、前記更新用ソフトウェアの配信を、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の数が、前記次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下となるまで待機する、配信サーバの制御プログラム。
【請求項8】
一の基地局に接続する複数の通信装置と、当該複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバとを含む配信システムであって、
前記配信サーバは、
前記複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する取得部と、
前記複数の通信装置に対し、前記通信品質情報に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する配信部と、を備え
前記配信部は、一以上の通信装置への前記更新用ソフトウェアの配信が完了した場合に、前記所定の順序において次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置に対する、前記更新用ソフトウェアの配信を、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の数が、前記次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下となるまで待機する、配信システム。
【請求項9】
一の基地局に接続し、配信サーバから更新用ソフトウェアの配信を受ける通信装置であって、
前記配信サーバに対し、自装置の通信品質に関する通信品質情報を送信する送信部と、
前記更新用ソフトウェアの配信を受けて自装置のファームウェアを更新する更新部と、を備え、
前記配信サーバは、前記通信品質情報に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信し、一以上の通信装置への前記更新用ソフトウェアの配信が完了した場合に、前記所定の順序において次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置に対する、前記更新用ソフトウェアの配信を、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の数が、前記次に前記更新用ソフトウェアを配信する通信装置の通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下となるまで待機する、通信装置。
【請求項10】
一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバの制御方法であって、
配信サーバが、
前記複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得するステップと、
前記複数の通信装置に対し、前記通信品質情報に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信するステップと、
を実行し、
前記配信するステップは、前記複数の通信装置について、所定期間にわたる前記通信品質の平均値、または、最新の前記通信品質を用いて、前記あらかじめ設定された上限台数を決定する、配信サーバの制御方法。
【請求項11】
一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバの制御プログラムであって、
配信サーバに、
前記複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する機能と、
前記複数の通信装置に対し、前記通信品質情報に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する機能と、
を実現させ、
前記配信する機能は、前記複数の通信装置について、所定期間にわたる前記通信品質の平均値、または、最新の前記通信品質を用いて、前記あらかじめ設定された上限台数を決定する、配信サーバの制御プログラム。
【請求項12】
一の基地局に接続する複数の通信装置と、当該複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバとを含む配信システムであって、
前記配信サーバは、
前記複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する取得部と、
前記複数の通信装置に対し、前記通信品質情報に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信する配信部と、を備え、
前記配信部は、前記複数の通信装置について、所定期間にわたる前記通信品質の平均値、または、最新の前記通信品質を用いて、前記あらかじめ設定された上限台数を決定する、配信システム。
【請求項13】
一の基地局に接続し、配信サーバから更新用ソフトウェアの配信を受ける通信装置であって、
前記配信サーバに対し、自装置の通信品質に関する通信品質情報を送信する送信部と、
前記更新用ソフトウェアの配信を受けて自装置のファームウェアを更新する更新部と、を備え、
前記配信サーバは、前記通信品質情報に基づく所定の順序で、前記通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、前記一の基地局を介して前記更新用ソフトウェアを配信し、複数の前記通信装置について、所定期間にわたる前記通信品質の平均値、または、最新の前記通信品質を用いて、前記あらかじめ設定された上限台数を決定する、通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信サーバ、配信サーバの制御方法、配信サーバの制御プログラム、配信システム、及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)デバイス向けの通信規格として、IoTデバイスにIP(Internet Protocol)アドレスを割り当てることなくデータ通信を行う、NIDD(Non-IP Data Delivery)が知られている。インターネットプロトコルを用いない非IP通信方式であるNIDDは、データ通信時のヘッダー情報等を削減でき、通信に必要な電力を抑えて、IoTデバイスのバッテリーを長持ちさせるという優れた利点を有する。
【0003】
なお、従来、無線通信装置には、不具合の修正や機能の追加のために自装置のファームウェア(ソフトウェアプログラム)の更新を無線経由で行う、FOTA(Firmware Over The Air)と呼ばれる技術が知られている。NIDDは、IoTデバイス向けの無線通信技術として標準化されたLPWA(Low Power Wide Area)に分類される通信規格のうち、NB-IoT(Narrow Band-IoT)に最適な通信方式であり、例えば特許文献1には、NB-IoTに準拠するIoTデバイスに対してFOTAを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-14183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
NB-IoTは、携帯電話や無線LANの通信規格であるLTE(登録商標)(Long Term Evolution)やWi-Fi(登録商標)と比較して、低消費電力で長距離通信が可能であるものの、通信帯域が狭く、通信速度が低いとの特徴がある。そのため、ファームウェアの更新用ソフトウェアのような、IoTデバイスが通常の動作で送受信するデータと比較して容量の大きいデータを、基地局のセル内に存在する大量のIoTデバイスに対して配信すると、処理が遅延し、ファームウェアの更新に失敗する確率が高くなる。更新用ソフトウェアを配信するIoTデバイスの数を制限する手法もとられるが、IoTデバイスの数を制限内にしても、ファームウェアの更新が完了するまでにばらつきが生じたり、更新に失敗したりする現象が生じていた。この現象は通信品質の差によってより顕著であり、通信品質の良い通信装置に対しより多くの通信リソースが使用され、通信品質の悪い通信装置は、更新用ソフトウェアの受信に時間を要したり、失敗したりしていた。
【0006】
このような現象に対し、NB-IoTにおけるFOTAを効率的に行うことが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る、一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバは、複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する取得部と、複数の通信装置に対し、通信品質に基づく所定の順序で、通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、一の基地局を介して更新用ソフトウェアを配信する配信部と、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係る配信サーバにおいて、配信部は、一以上の通信装置への更新用ソフトウェアの配信が完了した場合に、所定の順序において次に更新用ソフトウェアを配信する通信装置に対する、更新用ソフトウェアの配信を、一の基地局を介して更新用ソフトウェアを配信する通信装置の数が、次に更新用ソフトウェアを配信する通信装置の通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下となるまで待機してよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る配信サーバにおいて、取得部は、通信装置から受信した、通信装置を識別する装置識別情報に基づいて、通信装置が接続する基地局を識別する基地局識別情報を取得し、配信部は、基地局識別情報に基づいて、一の基地局に接続する複数の通信装置を抽出してよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る配信サーバにおいて、配信部は、所定の順序として、複数の通信装置を通信品質が高い順に順序付けた上で、更新用ソフトウェアを配信し、上限台数は、通信品質が高いほど多く設定されてよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る配信サーバにおいて、配信部は、複数の通信装置について、所定期間にわたる通信品質の平均値、または、最新の通信品質を用いて、あらかじめ設定された上限台数を決定してよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る配信サーバにおいて、通信装置と一の基地局との間の通信は、NB-IoT(Narrow Band Internet of Things)による通信方式に基づいてよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る、一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバの制御方法は、配信サーバが、複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得するステップと、複数の通信装置に対し、通信品質情報に基づく所定の順序で、通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、一の基地局を介して更新用ソフトウェアを配信するステップと、を実行する。
【0014】
本発明の一実施形態に係る、一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバの制御プログラムは、配信サーバに、複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する機能と、複数の通信装置に対し、通信品質情報に基づく所定の順序で、通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、一の基地局を介して更新用ソフトウェアを配信する機能と、を実現させる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る、一の基地局に接続する複数の通信装置と、当該複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバとを含む配信システムは、配信サーバが、複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する取得部と、複数の通信装置に対し、通信品質情報に基づく所定の順序で、通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、一の基地局を介して更新用ソフトウェアを配信する配信部と、を備える。
【0016】
本発明の一実施形態に係る、一の基地局に接続し、配信サーバから更新用ソフトウェアの配信を受ける通信装置は、配信サーバに対し、自装置の通信品質に関する通信品質を送信する送信部と、更新用ソフトウェアの配信を受けて自装置のファームウェアを更新する更新部と、を備え、配信サーバは、通信品質情報に基づく所定の順序で、通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、一の基地局を介して更新用ソフトウェアを配信する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る配信システムの構成を示す概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る配信サーバおよび通信装置の概略構成図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る通信装置及び配信サーバ間のシーケンス図の一例である。
図4図4は、本発明の一実施形態で用いられるデータセットの一例である。
図5図5(a)、(b)は、本発明の一実施形態で用いられるデータセットの一例である。
図6図6(a)~(c)は、本発明の一実施形態による更新用ソフトウェアの配信処理を説明するための概略図である。
図7図7は、本発明の一実施形態で用いられるデータセットの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以降、図を用いて、本開示に係る発明(本発明ともいう)の一実施形態を説明する。なお、図は一例であって、本発明は図に示すものに限定されない。例えば、図示した配信サーバ(情報処理装置)、管理サーバ、データベースサーバ、基地局、通信装置(IoTデバイス)の数、データセット(テーブル)、シーケンス図は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る配信システムの構成例を示す図である。配信システム600は、通信装置200に対し、ファームウェアを更新するための更新用ソフトウェアを配信するシステムであってよい。
【0020】
配信システム600は、配信サーバ100と、管理サーバ101と、データベースサーバ400と、基地局300(300A,300B)と、複数の通信装置200(200Aa,200Ab,…,200Ba,200Bb,…)と、移動通信ネットワーク500とを含んでよい。ここで、移動通信ネットワーク500は、基地局300と通信装置200とがデータをやり取りする無線アクセスネットワークと、コアネットワーク50とを含んでよい。なお、図1において、それぞれ基地局300A,300Bに接続する通信装置200には、それぞれ同一の大文字の英字A,Bを付与し、通信装置間を区別する場合、小文字の英字a,b…を付与する。しかしながら、特に区別する必要がない場合、単に基地局300、通信装置200として説明する。
【0021】
通信装置200は、基地局300に接続され、各基地局300のセル内に存在(在圏)する各種IoTデバイスであってよい。なお、これ以降、通信装置200を、ガス(都市ガス、LPガス)、水道、電気等のスマートメーターに設置され、メーターの検針データ等を送信するIoTデバイスとして説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信装置200としては、橋や道路等のインフラ監視に用いられるIoTセンサや、ウェアラブルデバイスなどであってよい。
【0022】
また、ここでは、通信装置200を、NIDDによるデータ通信が可能なIoTデバイスとして説明する。すなわち、通信装置200と基地局300とは、NB-IoTに準拠した通信方式で通信を行ってよい。NIDDは、上述のように、通信に必要な電力を抑えて、IoTデバイスのバッテリーを長持ちさせるとともに、IoTデバイスを狙った悪意のある攻撃を受けるリスクが低く、高セキュリティーなネットワークを構築することができる。また、NB-IoTは、狭帯域かつ低速のため消費電力が少なく電池による長時間駆動を可能にするほか、運用コストを抑えられるという利点がある。
【0023】
なお、本発明はこれに限定されず、通信装置200は、LPWAに分類されるIoT向けの通信規格であって、例えば、カテゴリーM(Category M)、カテゴリーM1(Category M1)、LoRaWAN(登録商標)、Sigfox(登録商標)等に準拠するデバイスであってもよい。
【0024】
配信サーバ100は、基地局300に接続する各通信装置200のファームウェアのバージョンを管理し、必要に応じて、各通信装置200のファームウェアを更新するための更新用ソフトウェアを送信する機能(FOTAを実行するための機能)を有してよい。なお、更新用ソフトウェアを提供する事業者と、配信する事業者とは異なっていてもよい。例えば、更新用ソフトウェアは、各通信装置200の製造業者によって提供され、基地局300を管理する通信事業者によって、配信サーバ100を介して各通信装置200へ配信されてもよい。
【0025】
管理サーバ101は、各通信装置200から送信された各スマートメーターの検針値等を処理し、スマートメーターの管理者へ必要なデータを受け渡す、IoT-PF(プラットフォーム)として機能してよい。管理サーバ101は、移動通信ネットワーク500を介して、通信装置200を遠隔制御してもよく、管理サーバ101は、管理者が待機する図示しない集中監視センタに接続されてよい。なお、管理サーバ101と配信サーバ100とは、同一のサーバとして設けられてもよいし、さらに複数のサーバにその機能が分散されてもよい。なお、管理サーバ101、配信サーバ100は、各実施形態において記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよく、例えば、サーバ装置、コンピュータ(限定でなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレット等)、コミュニケーションプラットホーム等を含んでもよい。
【0026】
コアネットワーク50は、NB-IoTによる無線通信をサポートし、図示しないMME(Mobility Management Entity:モビリティ管理エンティティ)、S-GW(Serving Gateway:サービング・ゲートウェイ)、P-GW(Packet Data Network Gateway:パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイ)、SCEF(Service Capability Exposure Function)等のノードを含んでよい。MMEは、通信装置200の位置管理、認証管理や、各ノード間のセッションの管理(すなわち、通信ベアラの管理)等を行う機能を有する。また、MMEは、通信装置200を呼び出す際に、基地局300へページングを送信する機能も有する。S-GWは、基地局300とコアネットワーク50との間で、ユーザパケットのルーティングや転送を行うゲートウェイとしての機能を有する。P-GWは、コアネットワーク50以降のIP通信網で使用可能な通信装置200のIP(Internet Protocol)アドレスを割り当て、そのIPアドレスによって、通信装置200と移動通信ネットワーク500の外部ネットワークとの通信を可能とするゲートウェイとしての機能を有する。なお、S-GWとP-GWとは、統合して1つのノードとして実現される場合もある。
【0027】
NB-IoTでは、LTEと同様に、コアネットワーク50において、制御信号を伝送する機能を有する制御プレーン(CPlane:Control Plane)と、通信装置200との間で送受信されるデータ(ユーザデータ)を伝送する機能を有するユーザプレーン(UPlane:User Plane)とが分離されたシステムとなっている。すなわち、ユーザデータは、通信装置200、S-GW、P-GWを経由するユーザプレーンを介して、転送されてよい。また、制御信号は、通信装置200、MME、S-GW、P-GW、配信サーバ100を経由する制御プレーンを介して転送されてよい。なお、NIDDによる通信方式の場合、通信装置200から送信された各種データは、制御プレーンを介して、MME、SCEFを経由して送受信されてよい。また、コアネットワーク50は、さらに、図示しないSCS(Service Capability Server)を含んでもよい。
【0028】
また、配信システム600は、データベースサーバ400をさらに備えてよい。詳細は後述するが、データベースサーバ400には、各通信装置200と各基地局300とを関連付けるための各種データや、各通信装置200と各基地局300との間の通信品質に関する通信品質情報、各通信装置200にFOTAを実行させる際の、基地局300に接続させる上限台数等が格納されてよい。なお、図1では、データベースサーバ400を配信サーバ100とは別個に示してあるが、本発明はこれに限定されず、データベースサーバ400に格納されるデータは、例えば配信サーバ100の記憶部170に記憶されてもよい。また、データベースサーバ400は、格納するデータの種類ごと、また、データベースを管理する主体ごとに、別個に存在してもよい。
【0029】
<通信装置>
図2に、本発明の一実施形態による通信装置200のブロック図の一例を示す。通信装置200は、制御部210、通信部220、入出力部230、及び記憶部270を備えてよい。通信装置200を構成する制御部210や通信部220は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信装置200を構成する制御部210や通信部220は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0030】
通信部220は、所定の通信方式で基地局300との間で通信を行い、移動通信ネットワーク500を介して、配信サーバ100や管理サーバ101との間で各種データの送受信を行ってよい。所定の通信方式は、NB-IoT、Category M, Category M1等であってよい。なお、詳細は後述するが、通信部220は、配信サーバ100に対し、自装置の通信品質に関する通信品質を送信する送信部、及び、更新用ソフトウェアを受信する受信部として機能してよい。なお、本発明の一実施形態による通信装置200は、NIDD通信方式によるデータの送受信が可能であって、NIDD通信方式によってデータの送受信を行うものとして説明する。
【0031】
制御部210は、例えばMPU(Micro Processing Unit)等で構成され、記憶部270に記憶されているプログラムを実行することにより、通信装置200をNB-IoTやNIDDに準拠して動作させるための処理を実現してよい。また、制御部210は、自装置の再起動、移動通信ネットワーク500への接続、及び移動通信ネットワーク500との接続解除等の各種処理を実行してよい。さらに、制御部210は、通信部220を介して、後述する自装置に固有の装置識別情報(UUID(Universally Unique Identifier)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)等)を送信したり、FOTAの更新用ソフトウェアをダウンロードしたりしてよい。また、制御部210は、ダウンロードした更新用ソフトウェアを用いて、自装置のファームウェアの更新を実行する更新部として機能してよい。
【0032】
また、制御部210は、自装置の通信品質に関する通信品質情報を取得し、通信部220を介して管理サーバ101へ送信してよい。通信品質情報は、例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)等であってよいが、これらに限定されない。なお、通信装置200の制御部210は、通信部220が受信した電波の受信強度といった無線通信の状態に基づいて、通信品質情報を測定してよい。さらに、制御部210は、通信部220を介して、定期的にメーターの検針値を管理サーバ101へ送信してよい。
【0033】
記憶部270は、通信装置200が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する。記憶部270は、例えば、半導体メモリ(磁気メモリ、フラッシュメモリ等)を含んでよい。また、記憶部270は、制御部210に対する作業領域を提供するメモリ(RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等)を含んでよい。また、記憶部270は、通信装置200に固有の装置識別情報271を記憶してよい。
【0034】
入出力部230は、センサ等の外部装置とのインタフェースであって、例えば、Uバスインタフェース、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)インタフェース、SPI(Serial Peripheral Interface)インタフェース、I2Cインタフェース等を含んでよい。通信装置200は、入出力部230を介して接続されたセンサが検知したデータを、管理サーバ101等に送信してよい。
【0035】
<配信サーバ>
次に、図2を用いて、本発明の一実施形態に係る配信サーバ100のハードウェア構成、機能構成について説明する。
【0036】
(1)配信サーバのハードウェア構成
配信サーバ100は、制御部110、通信部120、入出力部130及び記憶部170を備えてよい。
【0037】
記憶部170は、典型的には、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等各種の記録媒体により実現され、配信サーバ100が動作するうえで必要とする各種プログラム及びデータを記憶する機能を有してよい。
【0038】
制御部110は、典型的にはプロセッサであって、中央処理装置(CPU)、MPU、GPU(Graphics Processing Unit)等によって実現されてよい。制御部110は、記憶部170に記憶されるプログラムを読み出し、読み出したプログラムに含まれるコード又は命令を実行することによって、各実施形態に示す機能、方法を実行してよい。制御部110は、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。
【0039】
通信部120は、ネットワークアダプタ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、外部装置と各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。例えば、配信サーバ100と通信装置200とは、OMA(Open Mobile Alliance)によって策定されたIoT向けのプロトコルであるLwM2M(Lightweight M2M)、MQTT(Message Queue Telemetry Transport)、及びCoAP(Constrained Application Protocol)等を用いて、データの送受信を行ってよい。通信部120は、配信サーバ100と各通信装置200の間で確立された通信ベアラを用いて、各種データの送受信を行ってよい。
【0040】
入出力部130は、配信サーバ100に対する各種操作を入力する入力装置、及び、配信サーバ100で処理された処理結果を出力する出力装置を含んでよい。入力装置は、例えば、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含む。出力装置は、制御部110で処理された処理結果を出力し、例えば、タッチパネル、スピーカ等を含む。入力装置、出力装置は、図示しない集中監視センタに設置されて、監視者(管理者)からの操作を受け付けたり、監視者に対して各種情報を出力したりしてよい。
【0041】
(2)配信サーバの機能構成
配信サーバ100は、制御部110によって実現される機能として、取得部111、設定部112、順序付け部113、及び配信部114を備えてよい。なお、図2に記載の各機能部のうち、これ以降に説明する各実施形態において、必須でない機能部はなくともよい。また、各機能部の機能又は処理は、実現可能な範囲において、機械学習又はAIにより実現されてもよい。
【0042】
<更新用ソフトウェアの配信処理>
これ以降、配信サーバ100の各機能部の説明とともに、本発明の一実施形態による更新用ソフトウェアの配信処理について、図3~7も用いて説明する。ここで、図3は、配信サーバ100と通信装置200Aa,200Abとの間のシーケンス図である。図3では、通信装置200を2台のみ示してあるが、配信サーバ100は、図示したもの以外の通信装置200との間でデータの送受信を行ってよい。また、図4~7は、配信処理に用いられる各種データテーブルである。なお、シーケンス図には、通信装置200Aa,200Abと配信サーバ100のみを示してあるが、通信装置200Aa,200Abと配信サーバ100とは、管理サーバ101を介してデータのやり取りを行ってよい。また、配信サーバ100は、必要に応じて、データベースサーバ400からデータを取得してよい。
【0043】
まず、図3のシーケンス図を用いて説明する。取得部111は、通信装置200Aa,200Abから、当該通信装置を識別するための装置識別情報及び通信品質情報を取得してよい(ステップS11,S12)。通信装置を識別するための装置識別情報とは、例えば、IMSI、IMEI(International Mobile Equipment Identifier)、UUID等であってよいが、これらに限定されない。また、通信品質情報とは、通信装置200と基地局300との間の通信品質に関する通信品質情報であって、例えば、RSRP、RSRQ、RSSI、SINR等であってよいが、これらに限定されない。なお、これ以降、通信品質情報として、RSRPを例に説明する。
【0044】
なお、通信装置200は、装置識別情報及び通信品質情報を、所定の契機で管理サーバ101へ送信してよい。所定の契機とは、通信装置200において所定の処理が実行されたこと、または、管理サーバ101等から送信された所定の要求を受信したことであってよい。例えば、通信装置200は、自装置に発生した異常に関する処理を実行したことを契機として、異常に関する情報を管理サーバ101に送信してよい。具体的には、例えば、通信装置200は、自装置の異常を検出した場合、または、異常の発生に基づいて基地局300との接続を解除して再起動を実行した場合に、異常の内容等を管理サーバ101に送信してよい。また、通信装置200は、自装置の電池電圧が低下したことを契機として、電池電圧が低下した旨を管理サーバ101に送信してよい。さらに、通信装置200は、管理サーバ101からの要求を契機として、あるいは、あらかじめ設定された時間に到達したことを契機として、スマートメーターの検針値等を管理サーバ101に送信してよい。通信装置200は、上述した情報を送信する際に、装置識別情報、及び通信装置200と基地局との間の通信品質に関する通信品質情報を含ませて、管理サーバ101に送信してよい。配信サーバ100は、装置識別情報と通信品質情報とを、管理サーバ101から取得してよい。
【0045】
なお、通信装置200は、LwM2Mプロトコルを用いて、管理サーバ101や配信サーバ100との間でデータの送受信を行ってよい。LwM2Mでは、データの管理にリソースモデルという形式を用いているが、例えば、通信装置200から管理サーバ101へ送信される上述した検針値や通信品質情報等は、通信装置200における所定のリソースに格納されてよい。
【0046】
配信サーバ100の取得部111は、通信装置200Aa,200Abから取得した装置識別情報に基づいて、複数の基地局300のうち、通信装置200Aa,200Abが接続する基地局を識別するための基地局識別情報を、データベースサーバ400から取得してよい(ステップS13)。基地局識別情報は、これに限定されるものではないが、例えば、セルを一意に識別するECGI(E-UTRAN (Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network) Cell Global Identifier)であってよい。
【0047】
なお、データベースサーバ400は、各通信装置200の接続先の基地局300に関する情報を、あらかじめ記憶してよい。図4は、データベースサーバ400に記憶される、通信装置200の接続先の基地局300に関する基地局情報テーブルの一例である。なお、図は一例であって、基地局情報はこれらに限定されず、含まれる情報はこれ以下でもこれ以上であってもよい。基地局情報テーブルTB10には、通信装置200の装置識別情報と、当該装置識別情報で識別される通信装置200が接続する基地局300の基地局識別情報とが関連付けられて記憶されてよい。なお、図4では、分かりやすさのため、装置識別情報を、図1における通信装置の符号(200Aa,200Bd等)で示し、基地局識別情報を、基地局の符号(300A,300B等)で示してある。
【0048】
配信サーバ100の取得部111は、通信装置200から装置識別情報を取得すると、データベースサーバ400の基地局情報テーブルTB10を参照して、通信装置200の接続先である基地局300の基地局識別情報を取得してよい。これにより、通信装置200の接続先のセルを判定することが可能となる。
【0049】
取得部111は、基地局300ごとの通信品質情報をデータベースサーバ400に蓄積してよい(ステップS14)。例えば、取得部111は、通信品質情報の取得履歴を記憶してよい。図5(a)に、通信品質情報の取得履歴を格納したテーブルTB20の一例を示す。テーブルTB20は、装置識別情報ごとに、各通信装置200から送信された各種情報に含まれる通信品質情報が、取得日とともに格納されたテーブルであってよい。なお、記憶される情報は図示したものに限定されず、時刻の情報を含んでもよいし、装置識別情報ごとに作成されなくてもよい。なお、取得部111は、テーブルTB10,TB20に基づき、所定期間における各基地局300と通信装置200との間の平均の通信品質(平均RSRP)を算出し、装置識別情報ごとに記憶してよい。図5(b)のテーブルTB21は、基地局識別情報ごとの、各通信装置200との間の平均の通信品質(平均RSRP)が格納されたテーブルの一例である。なお、平均をとる期間としては、直近の一週間、3日間等であってよいが、これらに限定されない。
【0050】
順序付け部113は、一の基地局に接続する複数の通信装置を、通信品質に基づく所定の順序で順序付けてよい(ステップS15)。図6(a)に、例えば、基地局300Aに接続する複数の通信装置200を、通信品質に基づく所定の順序で順序付けたテーブルの一例を示す。テーブルTB30は、図5(b)のテーブルTB21のうち基地局300Aについて、通信品質に基づく所定の順序として、例えば、通信品質の高い順に並べたものであってよい。なお、テーブルTB30は説明のために示すものであって、後述する更新用ソフトウェアの配信順序が判定可能であれば、順序通りに記憶されなくてもよい。
【0051】
配信部114は、複数の通信装置200Aa,200Abに対し、通信品質に基づく所定の順序で、通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、一の基地局300Aを介して更新用ソフトウェアを配信してよい。設定部112は、基地局300ごとに、更新用ソフトウェアを配信する通信装置200の上限台数を、通信品質に応じて設定してよい。ここで、上限台数とは、複数の通信装置200のうち、通信により配信サーバ100から更新用ソフトウェアを同時に配信できる通信装置200の上限の台数を意味してよい。なお、上限台数は、例えば通信事業者によってあらかじめ設定されていてもよい。
【0052】
基地局300ごとに設定された上限台数に関する情報は、データベースサーバ400に記憶されてよい。図7は、基地局300ごとの上限台数を記憶する上限台数テーブルの一例である。図7の上限台数テーブルTB40の例では、基地局300Aの上限台数は、通信品質としてRSRPが「-100以上」の通信装置200に対しては「6台」、RSRPが「-100~-115」の通信装置200に対しては「4台」、RSRPが「-115~-130」の通信装置200に対しては「2台」、RSRPが「-130以下」の通信装置200に対しては「1台」であってよい。なお、例えばテーブルTB40のように、基地局300ごとに上限台数が異なってもよい。
【0053】
本発明の一実施形態において、更新用ソフトウェアは、通信装置200が有する通信品質に応じてあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置200に対し配信されてよい。このことを、図3図6(a)~(c)、図7を用いて説明する。上述のように、図6(a)は、基地局300Aに接続する複数の通信装置200を、通信品質の高い順に並べたテーブルである。ここで、図7のテーブル40を参照すると、基地局300Aは、RSRPが「-100以上」の通信装置200に対しては、最大「6台」まで更新用ソフトウェアを配信することができてよい。したがって、配信部114は、RSRPが「-100以上」である通信装置200Aaを含む、通信装置が6台の群10に対し、更新用ソフトウェアを配信してよい。なお、更新用ソフトウェアの配信は、FOTAを実行する旨を示すFOTA指令が通信装置200Aaに送信されることによって行われてよい(図3のステップS16)。FOTA指令には、更新用ソフトウェアのダウンロード先に関する情報(URL)が含まれてよく、通信装置200Aaは、FOTA指令に応じてダウンロード先に接続し、更新用ソフトウェアのダウンロード及びファームウェアの更新を行ってよい(ステップS17)。
【0054】
その後、通信装置200Aaは、ファームウェアの更新が完了すると、FOTAが完了した旨を示す通知を配信サーバ100へ送信してよい(ステップS18)。図6(a)の群10のうちのいずれかの通信装置(図6の例では、通信装置200Aa)への更新用ソフトウェアの配信が完了すると、図6(b)の状態に遷移し、群11に含まれる通信装置200に対し、引き続き更新用ソフトウェアの配信が継続されてよい。また、次に更新用ソフトウェアを配信すべき通信装置(以降、「次の通信装置」とも称する)は、通信装置200Ab(行12)となる。ここで、配信部114は、一以上の通信装置200(図6の場合、通信装置200Aa)への更新用ソフトウェアの配信が完了した場合に、一の基地局300Aを介して更新用ソフトウェアを配信する通信装置の数が、所定の順序において次に更新用ソフトウェアを配信する通信装置200(図6の場合、通信装置200Ab)の通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下であるか否かを判定してよい(ステップS19)。
【0055】
ここで、図7のテーブルTB40より、基地局300Aの場合、RSRPが「-100~-115」の通信装置に対しては、最大「4台」まで更新用ソフトウェアを配信してよい。しかしながら、図6(b)の状態では、群11の「5台」の通信装置200に対して更新用ソフトウェアを配信中であるため、ステップS19において、上限台数以上であると判定されてよい(ステップS19でNO)。したがって、配信部114は、所定の順序において次の通信装置200Abへの更新用ソフトウェアの配信を待機してよい。
【0056】
その後、図6(c)のように、群11に含まれる通信装置200において、さらに2台の通信装置200に対して更新用ソフトウェアの配信が完了したとする。この場合、RSRPが「-100~-115」の通信装置に対する更新用ソフトウェアを配信する上限台数が「4台」であるとの条件を満たすため、ステップS19において、上限台数以下であると判定されてよい(ステップS19でYES)。そして、配信部114は、通信装置200Abへ更新用ソフトウェアを配信してよい(ステップS20)。通信装置200Abは、更新用ソフトウェアのダウンロード及びファームウェアの更新を行ってよい(ステップS21)。このとき、配信部114は、図6(c)の通信装置4台から成る群13に対し、更新用ソフトウェアの配信を行うことになる。
【0057】
このように、本発明の一実施形態によれば、更新用ソフトウェアを配信する通信装置の上限台数を、通信品質に応じて変化させて設定してよい。したがって、通信品質の良い通信装置によって通信リソースを占有されることなく、通信品質の悪い通信装置に対しても、更新用ソフトウェアの配信のための通信リソースを確保することができる。
【0058】
また、本発明の一実施形態によれば、複数の通信装置を、通信品質が高い順に順序付けた上で、更新用ソフトウェアが配信されてよい。また、通信品質に応じて設定される上限台数は、通信品質が高いほど多くてよい。したがって、更新用ソフトウェアの配信を、より多くの通信装置に対して開始することができ、効率的な配信システムを実現することができる。
【0059】
また、本発明の一実施形態によれば、更新用ソフトウェアを配信中の通信装置の数が、次の通信装置の通信品質に設定された上限台数以下となるまで、次の通信装置への更新用ソフトウェアの配信が待機されてよい。これにより、次の通信装置にも通信リソースを割り当てることができる。
【0060】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。例えば、配信サーバ100が備えるとして説明した各構成部は、複数のサーバによって分散されて実現されてもよい。また、配信サーバ100の機能として説明した処理は、通信装置200によって行われても良い。逆に、通信装置200によって行われるとした処理が、配信サーバ100によって行われてもよい。
【0061】
例えば、上述では、上限台数を判定するための通信品質を、所定期間にわたる通信品質の平均値とする態様について説明した。しかしながら、上限台数を判定する通信品質は、取得された通信品質のうち最新のものが用いられてもよい。これにより、更新用ソフトウェアの配信を開始する直前の通信品質に即した上限台数による配信が可能となる。
【0062】
例えば、上述では、各データテーブルがデータベースサーバ400に記憶される態様について説明したが、それら各種情報は、配信サーバ100や管理サーバ101の記憶部に記憶されてもよい。
【0063】
配信サーバ100又は通信装置200の各機能部は、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。また、各機能部は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。
【0064】
本開示の各実施形態のプログラムは、情報処理装置に読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムを記憶可能である。プログラムは、例えば、ソフトウェアプログラムや情報処理装置プログラムを含む。情報処理装置としての配信サーバ100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、配信サーバ100は、プロセッサがメモリ上にロードされたプログラムを実行することにより、取得部111、設定部112、順序付け部113、及び配信部114として機能する。
【0065】
記憶媒体は適切な場合、1つ又は複数の半導体ベースの、又は他の集積回路(IC)(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)等)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ハイブリッド・ハード・ドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピィ・ディスケット、フロッピィ・ディスク・ドライブ(FDD)、磁気テープ、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュア・デジタル・カードもしくはドライブ、任意の他の適切な記憶媒体、又はこれらの2つ以上の適切な組合せを含むことができる。記憶媒体は、適切な場合、揮発性、不揮発性、又は揮発性と不揮発性の組合せでよい。
【0066】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、配信サーバ100に提供されてもよい。
【0067】
また、本開示の各実施形態は、プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。なお、本開示のプログラムは、例えば、JavaScript(登録商標)、Python等のスクリプト言語、C言語、Go言語、Swift,Koltin、Java(登録商標)等を用いて実装されてよい。
【0068】
以上説明した本開示の各態様によれば、5G以降のネットワーク技術に向けたIoTデバイスの監視や保守に係る技術を提供することにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0069】
100 配信サーバ(情報処理装置)
110 制御部
111 取得部
112 設定部
113 順序付け部
114 配信部
120 通信部
130 入出力部
170 記憶部
101 管理サーバ
400 データベースサーバ
200 通信装置(IoTデバイス)
210 制御部
220 通信部
230 入出力部
270 記憶部
300 基地局
500 移動通信ネットワーク
50 コアネットワーク
600 配信システム
【要約】
【課題】NB-IoTにおけるFOTAを効率的に行うこと
【解決手段】一の基地局に接続する複数の通信装置に更新用ソフトウェアを配信する配信サーバは、複数の通信装置から、当該通信装置の通信品質に関する通信品質情報を取得する取得部と、複数の通信装置に対し、通信品質に基づく所定の順序で、通信品質に対してあらかじめ設定された上限台数以下の通信装置に対し、一の基地局を介して更新用ソフトウェアを配信する配信部とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7