(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】カメラ校正方法及びカメラ校正システム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/80 20170101AFI20240830BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240830BHJP
【FI】
G06T7/80
H04N23/60
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197035
(22)【出願日】2023-11-20
【審査請求日】2023-11-20
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】張 書馨
(72)【発明者】
【氏名】呂 坤憲
(72)【発明者】
【氏名】蘇 奕宇
(72)【発明者】
【氏名】孫 偉程
(72)【発明者】
【氏名】蕭 裕憲
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-287074(JP,A)
【文献】特開2017-40549(JP,A)
【文献】特開2011-87308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/80
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを空間に設置することと、
前記空間において第1垂直線分と第2垂直線分を選択又は確立することであって、前記第1垂直線分は第1端点と第2端点とを含み、前記第2垂直線分は第3端点と第4端点とを含むことと、
前記カメラにより前記空間中の前記第1垂直線分と前記第2垂直線分とを含む画像を撮像することと、
前記第1端点の第1端点高さと、前記第2端点の第2端点高さと、前記第3端点の第3端点高さと、前記第4端点の第4端点高さとを取得することと、
前記画像における前記第1端点に対応する第1端点画像座標と、前記第2端点に対応する第2端点画像座標とを取得することと、
前記画像における前記第3端点に対応する第3端点画像座標と、前記第4端点に対応する第4端点画像座標とを取得することと、
前記第1端点画像座標及び前記第1端点高さと、前記第2端点画像座標及び前記第2端点高さと、前記第3端点画像座標及び前記第3端点高さと、前記第4端点画像座標及び前記第4端点高さとに基づき、前記カメラの焦点距離と、第1回転角と、第2回転角と、並進ベクトルの第3並進ベクトル要素とを算出することと、
前記空間の基準方向と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角とに基づき、前記カメラの第3回転角を算出することと、
前記空間の基準点と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角と、前記第3回転角と、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素とに基づき、前記カメラの前記並進ベクトルの第1並進ベクトル要素と第2並進ベクトル要素とを算出することと
を含む、
カメラ校正方法。
【請求項2】
前記第1端点画像座標及び前記第1端点高さと、前記第2端点画像座標及び前記第2端点高さと、前記第3端点画像座標及び前記第3端点高さと、前記第4端点画像座標及び前記第4端点高さとに基づき、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角と、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素とを算出することは、
前記第1垂直線分に対応する前記画像中の第1投影線分を延伸させることと、前記第2垂直線分に対応する前記画像中の第2投影線分を延伸させることとにより形成される交点の交点座標を算出することと、
前記交点座標に基づき、前記カメラの前記第1回転角を算出することと
を更に含む、
請求項1に記載のカメラ校正方法。
【請求項3】
前記交点座標に基づき、前記交点と前記画像の画像原点との間の交点距離を算出すること
を更に含む、
請求項2に記載のカメラ校正方法。
【請求項4】
前記交点距離と、前記カメラの前記第1回転角と、前記第1端点画像座標及び前記第1端点高さと、前記第2端点画像座標及び前記第2端点高さと、前記第3端点画像座標及び前記第3端点高さと、前記第4端点画像座標及び前記第4端点高さとに基づき、前記カメラの前記第2回転角を算出すること
を更に含む、
請求項3に記載のカメラ校正方法。
【請求項5】
前記カメラの前記第2回転角と前記交点距離とに基づき、前記カメラの前記焦点距離を算出すること
を更に含む、
請求項3に記載のカメラ校正方法。
【請求項6】
前記第1垂直線分に対応する前記第1端点高さと、前記第2端点高さと、前記第1端点画像座標と、前記第2端点画像座標と、前記カメラの前記第1回転角と、前記カメラの前記第2回転角と、前記交点距離とに基づき、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素を算出すること
を更に含む、
請求項3に記載のカメラ校正方法。
【請求項7】
前記空間の前記基準方向と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角とに基づき、前記カメラの前記第3回転角を算出することは、
前記基準方向の基準起点に対応する前記画像中の投影起点の投影起点座標と、前記基準方向の基準終点に対応する前記画像中の投影終点の投影終点座標と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角とに基づき、第2中間座標系における前記投影起点の投影起点中間座標と前記投影終点の投影終点中間座標とを算出すること
を更に含む、
請求項1に記載のカメラ校正方法。
【請求項8】
前記基準方向の水平成分に対する垂直成分の勾配と、前記投影起点中間座標と、前記投影終点中間座標とに基づき、第1距離乗数と第2距離乗数の第1比率を算出すること
を更に含み、
前記第1距離乗数は、前記カメラと前記基準終点との間の第1距離が前記カメラと前記投影終点との間の第2距離に対するものであり、
前記第2距離乗数は、前記カメラと前記基準起点との間の第3距離が前記カメラと前記投影起点との間の第4距離に対するものである、
請求項7に記載のカメラ校正方法。
【請求項9】
ワールド座標系における前記基準方向の第1基準方向要素及び第2基準方向要素と、前記投影起点中間座標と、前記投影終点中間座標と、前記第1比率とに基づき、前記カメラの前記第3回転角を算出すること
を更に含む、
請求項8に記載のカメラ校正方法。
【請求項10】
前記空間の基準点と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角と、前記第3回転角と、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素とに基づき、前記カメラの前記並進ベクトルの前記第1並進ベクトル要素と前記第2並進ベクトル要素とを算出することは、
前記空間中の前記基準点に対応する前記画像中の投影基準点の投影基準点座標と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角と、前記第3回転角とに基づき、前記投影基準点の第1中間座標系における投影基準点中間座標を算出すること
を更に含む、
請求項1に記載のカメラ校正方法。
【請求項11】
前記基準点の第3基準座標要素と、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素と、前記投影基準点中間座標の第3投影基準点中間座標要素とに基づき、第5距離と第6距離の第2比率を算出すること
を更に含み、
前記第5距離は前記カメラと前記基準点との間の距離であり、
前記第6距離は前記カメラと前記投影基準点との間の距離である、
請求項10に記載のカメラ校正方法。
【請求項12】
前記基準点の第1基準座標要素と、前記基準点の第2基準座標要素と、前記投影基準点中間座標の第1投影基準点中間座標要素と、前記投影基準点中間座標の第2投影基準点中間座標要素と、前記第2比率とに基づき、前記並進ベクトルの前記第1並進ベクトル要素と前記第2並進ベクトル要素とを算出すること
を更に含む、
請求項11に記載のカメラ校正方法。
【請求項13】
空間に設置され、第1垂直線分と第2垂直線分とが確立される前記空間の画像を撮像するカメラと、
記憶ユニットと、
前記カメラと前記記憶ユニットに接続される処理ユニットと
を含み、
前記第1垂直線分は第1端点と第2端点とを含み、前記第2垂直線分は第3端点と第4端点とを含み、
前記記憶ユニットは、前記第1端点の第1端点高さと、前記第2端点の第2端点高さと、前記第3端点の第3端点高さと、前記第4端点の第4端点高さと、前記画像中の前記第1端点に対応する第1端点画像座標と、前記画像中の前記第2端点に対応する第2端点画像座標と、前記画像中の前記第3端点に対応する第3端点画像座標と、前記画像中の前記第4端点に対応する第4端点画像座標とを格納し、
前記処理ユニットは、
前記第1端点画像座標及び前記第1端点高さと、前記第2端点画像座標及び前記第2端点高さと、前記第3端点画像座標及び前記第3端点高さと、前記第4端点画像座標及び前記第4端点高さとに基づき、前記カメラの焦点距離と、第1回転角と、第2回転角と、並進ベクトルの第3並進ベクトル要素とを算出するプロセスと、
前記空間の基準方向と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角とに基づき、前記カメラの第3回転角を算出するプロセスと、
前記空間の基準点と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角と、前記第3回転角と、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素とに基づき、前記カメラの前記並進ベクトルの第1並進ベクトル要素と第2並進ベクトル要素とを算出するプロセスと
を実行するよう構成される、
カメラ校正システム。
【請求項14】
前記第1端点画像座標及び前記第1端点高さと、前記第2端点画像座標及び前記第2端点高さと、前記第3端点画像座標及び前記第3端点高さと、前記第4端点画像座標及び前記第4端点高さとに基づき、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角と、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素とを算出するプロセスにおいて、前記処理ユニットは、
前記第1垂直線分に対応する前記画像中の第1投影線分を延伸させることと、前記第2垂直線分に対応する前記画像中の第2投影線分を延伸させることとにより形成される交点の交点座標を算出する動作と、
前記交点座標に基づき、前記カメラの前記第1回転角を算出する動作と、
前記交点座標に基づき、前記交点と前記画像の画像原点との間の交点距離を算出する動作と
を実行するよう更に構成される、
請求項13に記載のカメラ校正システム。
【請求項15】
前記処理ユニットは、
前記交点距離と、前記カメラの前記第1回転角と、前記第1端点画像座標及び前記第1端点高さと、前記第2端点画像座標及び前記第2端点高さと、前記第3端点画像座標及び前記第3端点高さと、前記第4端点画像座標及び前記第4端点高さとに基づき、前記カメラの前記第2回転角を算出する動作と、
前記カメラの前記第2回転角と前記交点距離とに基づき、前記カメラの前記焦点距離を算出する動作と
を実行するよう更に構成される、
請求項14に記載のカメラ校正システム。
【請求項16】
前記処理ユニットは、
前記第1垂直線分に対応する前記第1端点高さと、前記第2端点高さと、前記第1端点画像座標と、前記第2端点画像座標と、前記カメラの前記第1回転角と、前記カメラの前記第2回転角と、前記交点距離とに基づき、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素を算出する動作
を実行するよう更に構成される、
請求項14に記載のカメラ校正システム。
【請求項17】
前記空間の前記基準方向と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角とに基づき、前記カメラの前記第3回転角を算出する動作において、前記処理ユニットは、
前記基準方向の基準起点に対応する前記画像中の投影起点の投影起点座標と、前記基準方向の基準終点に対応する前記画像中の投影終点の投影終点座標と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角とに基づき、第2中間座標系における前記投影起点の投影起点中間座標と前記投影終点の投影終点中間座標とを算出する動作
を実行するよう更に構成される、
請求項13に記載のカメラ校正システム。
【請求項18】
前記処理ユニットは、
前記基準方向の水平成分に対する垂直成分の勾配と、前記投影起点中間座標と、前記投影終点中間座標とに基づき、第1距離乗数と第2距離乗数の第1比率を算出する動作と、
ワールド座標系における前記基準方向の第1基準方向要素及び第2基準方向要素と、前記投影起点中間座標と、前記投影終点中間座標と、前記第1比率とに基づき、前記カメラの前記第3回転角を算出する動作と
を実行するよう更に構成され、
前記第1距離乗数は、前記カメラと前記基準終点との間の第1距離が前記カメラと前記投影終点との間の第2距離に対するものであり、
前記第2距離乗数は、前記カメラと前記基準起点との間の第3距離が前記カメラと前記投影起点との間の第4距離に対するものである、
請求項17に記載のカメラ校正システム。
【請求項19】
前記空間の基準点と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角と、前記第3回転角と、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素とに基づき、前記カメラの前記並進ベクトルの前記第1並進ベクトル要素と前記第2並進ベクトル要素とを算出する動作において、前記処理ユニットは、
前記空間中の前記基準点に対応する前記画像中の投影基準点の投影基準点座標と、前記カメラの前記焦点距離と、前記第1回転角と、前記第2回転角と、前記第3回転角とに基づき、前記投影基準点の第1中間座標系における投影基準点中間座標を算出する動作
を実行するよう更に構成される、
請求項13に記載のカメラ校正システム。
【請求項20】
前記処理ユニットは、
前記基準点の第3基準座標要素と、前記並進ベクトルの前記第3並進ベクトル要素と、前記投影基準点中間座標の第3投影基準点中間座標要素とに基づき、第5距離と第6距離の第2比率を算出する動作と、
前記基準点の第1基準座標要素と、前記基準点の第2基準座標要素と、前記投影基準点中間座標の第1投影基準点中間座標要素と、前記投影基準点中間座標の第2投影基準点中間座標要素と、前記第2比率とに基づき、前記並進ベクトルの前記第1並進ベクトル要素と前記第2並進ベクトル要素とを算出する動作と
を実行するよう更に構成され、
前記第5距離は前記カメラと前記基準点との間の距離であり、
前記第6距離は前記カメラと前記投影基準点との間の距離である、
請求項19に記載のカメラ校正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ校正方法及びカメラ校正システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
技術の進展に伴い、画像を取得するよう構成されたカメラの機能は既に画像の保存に限られず、カメラにおける物体の画像座標をワールド座標に更に変換可能であり、次いで、インテリジェントビデオ監視、ロボットビジョン、車両ビジョンといったコンピュータビジョンの分野に応用するため、物体を検出、追跡、位置決めする。
【0003】
ワールド座標系と画像座標との間で座標を正確に変換するため、コンピュータビジョン分野においてカメラ校正は重要な課題である。カメラ校正は、カメラの内部パラメータと外部パラメータを取得するために用いられる。
【0004】
消失点法といった一般的なカメラ校正方法は、三次元空間におけるXYZ軸の平行線を校正パターンとして用いており、応用分野は四角い外観の建築物に限られる。加えて、例えば、チェスボード校正法は二次元チェスボードを校正ツールとして用い、入力パラメータにはチェスボードの各交点のワールド座標と画像座標を含む。また、例えば、直接線形変換(DLT)校正法は、少なくとも6つの基準点のワールド座標と画像座標を要する。上記2つの方法のいずれも複数の基準点のワールド座標を取り込む必要がある。このため、空間測定はカメラ校正及び画像位置決めに関する応用を構築するための主要コストとなる。
【0005】
他のカメラ校正方法は、カメラの内部パラメータ及び外部パラメータを提供するために、正確な解析解ではなく数値解を用いる。これら方法は、例えば、水平面上に位置する複数の直立物体又は一次元物体を校正パターンとして用いる。ただし、数値法を用いるカメラパラメータの校正は、不適切な初期値設定のために誤った結果に収束してしまうことが多い。これに基づき、構築コスト、精度、多様な分野への応用性の間のバランスをどう取るかが当業者にとって課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、カメラの内部パラメータ及び外部パラメータを取得するために空間中の2つの垂直線分を通じてカメラ校正を実行可能な、カメラ校正方法及びカメラ校正システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は下記を含むカメラ校正方法を提供する。カメラを空間に設置する。空間において第1垂直線分と第2垂直線分とを選択又は確立することであって、第1垂直線分は第1端点と第2端点とを含み、第2垂直線分は第3端点と第4端点とを含む。カメラにより空間中の第1垂直線分と第2垂直線分とを含む画像を撮像する。第1端点の第1端点高さと、第2端点の第2端点高さと、第3端点の第3端点高さと、第4端点の第4端点高さとを取得する。第1端点に対応する第1端点画像座標と、第2端点に対応する第2端点画像座標とを取得する。第3端点に対応する第3端点画像座標と、第4端点に対応する第4端点画像座標とを取得する。第1端点画像座標及び第1端点高さと、第2端点画像座標及び第2端点高さと、第3端点画像座標及び第3端点高さと、第4端点画像座標及び第4端点高さとに基づき、カメラの焦点距離と、第1回転角と、第2回転角と、並進ベクトルの第3並進ベクトル要素とを算出する。空間の基準方向と、カメラの焦点距離と、第1回転角と、第2回転角とに基づき、カメラの第3回転角を算出する。空間の基準点と、カメラの焦点距離と、第1回転角と、第2回転角と、第3回転角と、並進ベクトルの第3並進ベクトル要素とに基づき、カメラの並進ベクトルの第1並進ベクトル要素と第2並進ベクトル要素とを算出する。
【0008】
本発明は、カメラ校正システムを提供する。カメラ校正システムは、カメラと、記憶ユニットと、処理ユニットとを含む。カメラは空間の画像を撮像するために用いられ、第1垂直線分と第2垂直線分とが空間に確立され、第1垂直線分は第1端点と第2端点とを含み、第2垂直線分は第3端点と第4端点とを含む。記憶ユニットは、第1端点の第1端点高さと、第2端点の第2端点高さと、第3端点の第3端点高さと、第4端点の第4端点高さと、画像中の第1端点に対応する第1端点画像座標と、画像中の第2端点に対応する第2端点画像座標と、画像中の第3端点に対応する第3端点画像座標と、画像中の第4端点に対応する第4端点画像座標とを格納するために用いられる。処理ユニットはカメラ及び記憶ユニットに接続され、第1端点画像座標及び第1端点高さと、第2端点画像座標及び第2端点高さと、第3端点画像座標及び第3端点高さと、第4端点画像座標及び第4端点高さとに基づき、カメラの焦点距離と、第1回転角と、第2回転角と、並進ベクトルの第3並進ベクトル要素とを算出するために用いられる。加えて、処理ユニットは更に、空間の基準方向と、カメラの焦点距離と、第1回転角と、第2回転角とに基づき、カメラの第3回転角を算出するために用いられる。処理ユニットはまた、空間の基準点と、カメラの焦点距離と、第1回転角と、第2回転角と、第3回転角と、並進ベクトルの第3並進ベクトル要素とに基づき、並進ベクトルの第1並進ベクトル要素と第2並進ベクトル要素を算出するために用いられる。
【発明の効果】
【0009】
上記に基づき、本発明におけるカメラ校正方法及びカメラ校正システムは、異なる位置の2つの垂直線分、基準方向、及び基準点を通じてカメラを校正することができ、取得された内部パラメータ及び外部パラメータは画像座標系とワールド座標系との間の座標変換の計算に用いることができる。
【0010】
本発明を更に詳細に説明するため、いくつかの例示的な実施形態を図面と併せて以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の1つの例示的な実施形態によるカメラ校正システムのブロック図である。
【
図2】本発明の1つの例示的な実施形態による座標系変換の概略図である。
【
図3】本発明の1つの例示的な実施形態による座標系変換の概略図である。
【
図4】本発明の1つの例示的な実施形態によるカメラ校正方法のフロー図である。
【
図5】本発明の1つの例示的な実施形態による2つの垂直線分の情報の取得の概略図である。
【
図6】本発明の1つの例示的な実施形態による第1段階カメラ校正の詳細なフロー図である。
【
図7】本発明の1つの例示的な実施形態による交点の計算を表す概略図である。
【
図8】本発明の1つの例示的な実施形態による第1回転角の計算の概略図である。
【
図9】本発明の1つの例示的な実施形態による第2中間座標系とワールド座標系における2つの垂直線分の端点の間の高さの差の関係を示す概略図である。
【
図10】本発明の1つの例示的な実施形態によるカメラの第2回転角と焦点距離との間の関係を示す概略図である。
【
図11】本発明の1つの例示的な実施形態による上面視での2つの垂直線分の上方端点と下方端点の空間座標を表す概略図である。
【
図12】本発明の1つの例示的な実施形態による第2段階カメラ校正のフロー図である。
【
図13】本発明の1つの例示的な実施形態による第3回転角の計算の概略図である。
【
図14】
図13における第3回転角の計算の詳細な概略図である。
【
図15】本発明の1つの例示的な実施形態による第3段階カメラ校正のフロー図である。
【
図16】本発明の1つの例示的な実施形態による並進ベクトルの計算の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態の説明において、ワールド座標系及びカメラ座標系はいずれも三次元座標系である。三次元座標系は、原点と、互いに垂直なX軸、Y軸、Z軸から成る。三次元座標系は、X軸、Y軸、Z軸の方向の間の相対関係に基づいて、左手座標系と右手座標系に分けることができる。左手座標系は、左手親指がZ軸の正の方向を指し、及び残りの4つの指が手のひらへ屈曲する方向がX軸の正の方向からY軸の正の方向である。右手座標系は、右手親指がZ軸の正の方向を指し、残りの4つの指が手のひらへ屈曲する方向がX軸の正の方向からY軸の正の方向である。ワールド座標系及びカメラ座標系は、両方が左手座標系に属するか、両方が右手座標系に属することができる。本発明はこれに限定されない。
【0013】
ワールド座標系は、現実世界における物体の空間位置を標示するために用いられる座標系である。座標系のZ軸の正の方向は、地球の中心からz=0で示される地面を通って上向きの方向であり、XY面はZ軸に垂直である。例えば、ワールド座標系は世界測地系(WGS)を用いることにより実現可能である、又は、本発明の他の実施形態において、原点位置、X軸方向、Y軸方向は全て観察により取得される。これは、観察者が物体の位置を記述するために用いることを予期する基準システムに依存する。本発明はこれに限定されない。
【0014】
カメラ座標系は、カメラレンズの中心点を原点として形成される三次元座標系である。カメラ座標系は、左手座標系又は右手座標系に対応する方式において三次元座標系の3軸方向を定義する。本発明の例示的な実施形態において、カメラ座標系はカメラレンズが直視する方向をx軸の正の方向とし、左手座標系では、カメラ画像の右方向に対応して空間におけるx軸に垂直な方向がカメラ座標系のy軸の正の方向として決定され、カメラ画像の上方向に対応してx軸に垂直な方向がカメラ座標系のz軸の正の方向として決定されるが、本発明はこれに限定されない。
【0015】
画像座標系は、カメラにより撮像された画像が属する座標系であり、即ち、画像座標形は実際には二次元座標系である。画像座標系は、画像原点、u軸、v軸から成る。本発明の例示的な実施形態において、画像座標系の原点は画像平面の中心に位置し、u軸の方向は右へ平行であり、v軸の方向は垂直に上向きであるが、本発明はこれに限定されない。画像座標系はカメラ座標系に関連する。具体的には、物体の座標が画像座標系とワールド座標系の間で変換される場合、中間カメラ座標系を通じて変換される。
【0016】
図1は、本発明の1つの例示的な実施形態によるカメラ校正システムのブロック図である。
【0017】
図1を参照し、カメラ校正システム100は、カメラ110と、記憶ユニット120と、処理ユニット130とを含む。
【0018】
カメラ110は画像を撮像するために用いられ、カメラ110は対応する外部パラメータと内部パラメータとを有する。外部パラメータは、例えば回転情報と並進情報であるがこれらに限定されない、ワールド座標系とカメラ座標系との間の変換に対応する。内部パラメータは、例えばカメラ焦点距離と画像中心点であるがこれらに限定されない、カメラ座標系と画像座標系との間の変換に対応する。カメラ110は、任意のモデル及び任意のブランドの写真レンズと制御モジュールにより実現されてよく、本発明はこれに限定されない。
【0019】
記憶ユニット120は、カメラ校正システム100が実行されるために必要な様々なコード及びデータを格納するために用いられる。具体的には、記憶ユニット120はカメラ校正プロセスの間に使用及び生成される値を格納するために用いられてよく、またカメラ校正プロセスの間に様々な座標変換テンプレートを格納してよい。記憶ユニット120は、例えば任意のタイプの静的又は動的ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、又は類似のコンポーネント、又は上記コンポーネントの組合せであるがこれらに限定されず、本発明はこれに限定されない。
【0020】
処理ユニット130はカメラ110と記憶ユニット120に接続され、カメラ校正システム100により必要とされる様々な動作を完了するため、カメラ110からの画像、記憶ユニット120のアクセスコードとデータを受け取り、データ計算及び処理等を実行するために用いられる。具体的には、処理ユニット130は、画像座標系における画像座標とワールド座標系におけるワールド座標との間の変換を行うため、本発明のカメラ校正方法を実行するよう構成される。処理ユニット130は、例えば、中央処理装置(CPU)、又は他のプログラム可能な汎用又は特定用途向けマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の類似のコンポーネント、又は上記コンポーネントの組合せであるが、本発明はこれに限定されない。
【0021】
図2は、本発明の1つの例示的な実施形態による座標系変換の概略図である。
【0022】
図2に示すように、カメラ校正システム100によるワールド座標系210を画像座標系260へ変換する連続したプロセスの間に、3つの中間座標系が定義される。先ず、ワールド座標系210の原点(0,0,0)及びXYZ軸でカメラレンズ中心点P
0の位置(X
0,Y
0,Z
0)へ並進する操作211が実行されて、第1中間座標系220となる。ワールド座標系210に対して、第1中間座標系220のX’Y’Z’軸の方向はワールド座標系210のXYZ軸の方向と同一に維持される。第2ステップにおいて、第1中間座標系220でZ’軸を中心としてθ
z回転する操作221が実行され(
図3の(1)に示したカメラの上面図を参照、θ
z310はヨー角とも呼ばれる)、X’’軸が第1中間座標系220のX’Y’面上に投影されたカメラレンズ主軸と整列され、第2中間座標系230となる。第2中間座標系230のZ’’軸は第1中間座標系220のZ’軸と同一方向に維持されつつ、第1中間座標系220のX’軸とY’軸の方向に対して、第2中間座標系230のX’’軸とY’’軸はθ
z310回転される。第3ステップにおいて、第2中間座標系230でY’’軸を中心としてθ
y回転する操作231が実行され(
図3の(2)に示したカメラの側面図を参照、θ
y320はピッチ角とも呼ばれる)、X’’’軸はカメラの主軸方向と整列され、第3中間座標系240となる。第3中間座標系240のY’’’軸は第2中間座標系230のY’’軸と同一の方向に維持されつつ、第2中間座標系230のX’’軸とZ’’軸に対して、第3中間座標系240のX’’’軸とZ’’’軸の方向はθ
y320回転される。第4ステップにおいて、第3中間座標系240でX’’’軸を中心としてθ
x回転する操作241が実行され(
図3の(3)に示したカメラの正面図を参照、θ
x330はロール角とも呼ばれる)、y軸及びz軸の方向はそれぞれ画像平面のu軸及びv軸と整列され、カメラ座標系250となる。カメラ座標系250のx軸の方向は、第3中間座標系240のX’’’軸の方向と同一に維持されつつ、y軸及びz軸の方向は第3中間座標系240のY’’’軸及びZ’’’軸の方向に対してθ
x330回転される。最後に、カメラ座標系250の空間中のx=f面に対応する画像平面265上に画像座標系260が確立され、画像座標系260の原点p
0は、カメラ座標系250のx軸が該平面を通過する交点であり、画像座標系260のu軸及びv軸の方向はそれぞれカメラ座標系250のy軸及びz軸の方向と等しい。左手座標系に対応する方向関係に基づき、カメラ座標系250のカメラ座標(f,y,z)は画像座標系260の画像座標(u,v)に変換され、座標値マッピングはu=y、v=zである。同様に、右手座標系に対応する方向関係に基づき、カメラ座標系250のカメラ座標(f,y,z)は画像座標系260の画像座標(u,v)に変換され、座標値マッピングはu=-y、v=zであり、これはx軸次元削減251を意味する。
【0023】
上述した画像座標系260の原点p0は、画像平面265上のカメラレンズ中心点P0の垂直投影点に等しい。この方法は簡略化したカメラ校正モデルに基づいており、画像座標系の原点p0がカメラの出力画像フレームの中心点に位置すると仮定するものである。
【0024】
本発明のカメラ校正方法は、画像座標系260をワールド座標系210へ戻すこともできる。
図2に示すように、画像座標系260からワールド座標系210へ逆に戻すプロセスは次のとおりである。先ず、画像座標系260において、画像平面265の原点p
0を垂直に通過する法線方向において、p
0からfの距離で間隔が空けられた点P
0がカメラ座標系250の原点として定義され、P
0からp
0への方向はカメラ座標系250のx軸の方向として定義され、画像座標系260のu軸及びv軸の方向はそれぞれカメラ座標系250のy軸及びz軸の方向として定義される。左手座標系に対応する方向関係に基づき、画像座標系260の画像座標(u,v)は、x=f、y=u、z=vに設定することによりカメラ座標系250のカメラ座標(x,y,z)に変換される。同様に、右手座標系に対応する方向関係に基づき、画像座標系260の画像座標(u,v)は、x=f、y=-u、z=vに設定することによりカメラ座標系250のカメラ座標(x,y,z)に変換され、これはx軸次元追加252を意味し、カメラ座標系250が形成される。第2ステップにおいて、カメラ座標系250でx軸を中心として-θ
x回転する操作が実行され、第3中間座標系240となる。カメラ座標系250に対して、第3中間座標系240のX’’’軸はカメラ座標系250のx軸と同一方向に維持される。第3ステップにおいて、第3中間座標系240でY’’’軸を中心として-θ
y回転する操作232が実行され、第2中間座標系230となる。第3中間座標系240に対して、第2中間座標系230のY’’軸は第3中間座標系240のY’’’軸と同一方向に維持される。第4ステップにおいて、第2中間座標系230でZ’’軸を中心として-θ
z回転する操作222が実行され、第1中間座標系220となる。第2中間座標系230に対して、第1中間座標系220のZ’軸は第2中間座標系230でZ’’軸と同一方向に維持される。最後に、第1中間座標系220の原点及びX’Y’Z’軸に(-X
0,-Y
0,-Z
0)でワールド座標系210の原点(0,0,0)への逆並進の操作212が実行され、ワールド座標系210となる。第1中間座標系220に対して、ワールド座標系210のXYZ軸は第1中間座標系220のX’Y’Z’軸と同一方向に維持される。
【0025】
上記の画像座標系260からワールド座標系210への変換プロセスに基づき、空間中の物体が画像平面上の投影点p*の画像座標(up,vp)を有するとする。左手座標系を適用する場合、画像平面上の投影点p*はカメラ座標系250に基づき、対応する空間座標(xp,yp,zp)を(f,up,vp)として有する。
【0026】
更に、投影点p
*は第2中間座標系230に対応する空間座標を次として有する。
【数1】
【0027】
更に、投影点p
*は第1中間座標系220に対応する空間座標を次として有する。
【数2】
【0028】
同様に、右手座標系を用いる場合、画像平面の投影点p*は、カメラ座標系250に基づいて空間座標(xp,yp,zp)は(f,-up,vp)に対応する。このため、これに対応して式1と式2における係数upの符号が逆に調整される。
【0029】
実際、三次元座標系(ワールド座標系210、第1中間座標系220、第2中間座標系230、第3中間座標系240、カメラ座標系250を含む)から二次元座標系(画像座標系260)への変換は、次元削減を経ている。逆に、画像座標系260からカメラ座標系250、第3中間座標系240、第2中間座標系230、第1中間座標系220、そしてワールド座標系210へと変換する変換プロセスの間、投影点p
*はカメラレンズ中心点P
0から画像平面265上の投影点p
*を通過して形成される直線となるよう次元追加され、空間中の所与の物体は直線上の一点に位置する。カメラ座標系250に基づき、直線の式はs(x
p,y
p,z
p)であり、s>0である。同様に、第2中間座標系230及び第1中間座標系220に基づき、直線の式はそれぞれs(X’’
p,Y’’
p,Z’’
p)及びs(X’
p,Y’
p,Z’
p)である。更に、ワールド座標系210に基づき、投影点p
*に対応する直線の式は次となる。
【数3】
【0030】
図4は、本発明の1つの例示的な実施形態によるカメラ校正方法のフロー図である。
【0031】
【0032】
【0033】
図4を参照し、ステップS410において、カメラを空間に設置し、第1垂直線分と第2垂直線分を空間中に選択又は確立し、第1垂直線分は第1端点と第2端点とを有し、第2垂直線分は第3端点と第4端点とを有する。カメラは、空間中の第1垂直線分及び第2垂直線分を含む画像を撮像し、ステップS420において、第1端点の第1端点高さ、第2端点の第2端点高さ、第3端点の第3端点高さ、第4端点の第4端点高さを取得する。第1端点に対応する第1端点画像座標及び第2端点に対応する第2端点画像座標を取得する。第3端点に対応する第3端点画像座標及び第4端点に対応する第4端点画像座標を取得する。
【0034】
図5は、本発明の1つの例示的な実施形態による2つの垂直線分の情報の取得の概略図である。
【0035】
【0036】
次に、
図4を再び参照し、ステップS430において、第1端点画像座標と第1端点高さ、第2端点画像座標と第2端点高さ、第3端点画像座標と第3端点高さ、第4端点画像座標と第4端点高さに基づいて、カメラの焦点距離、第1回転角、第2回転角、並進ベクトルの第3並進ベクトル要素を算出する。ここで、ステップS430はここで開示するカメラ校正方法の第1段階カメラ校正のステップである。
【0037】
図6は、本発明の1つの例示的な実施形態による第1段階カメラ校正の詳細なフロー図である。
【0038】
図6を参照し、ステップS431において、第1垂直線分に対応する画像中の第1投影線分を延伸し、第2垂直線分に対応する画像中の第2投影線分を延伸することにより形成された交点の交点座標を算出し、交点座標に基づいてカメラの第1回転角を算出する。
【0039】
図5と
図7を参照し、処理ユニットは、カメラのX軸の回転角θ
xを算出するため、画像平面265上のp
A1=(u
A1,v
A1)、p
A2=(u
A2,v
A2)、p
B1=(u
B1,v
B1)、p
B2=(u
B2,v
B2)の情報を用いる。計算プロセスは画像座標系260に基づく。
【0040】
画像平面265上の2つの点p
A1及びp
A2を通過する直線L
A(u,v)の式は次のとおりである。
【数7】
【0041】
【0042】
同様に、2つの点p
B1及びp
B2を通過する直線L
B(u,v)の式は次のとおりである。
【数9】
【0043】
ここで、α
B、b
Bは次のとおりである。
【数10】
【0044】
直線L
A(u,v)及びL
B(u,v)と交点p
Cの座標は次のとおりである。
【数11】
【0045】
物理的意味において、p
CはZ軸の消失点を表す。カメラが俯角で撮像するとき、空間中の無限に下向きに延伸する鉛直線は画像平面上の交点p
Cで消失する。
図5に示すように、ワールド座標系210において、画像平面265上のp
Cは画像平面265を通過するカメラレンズ中心点P
0の直下の鉛直線の交点に対応する。同様に、カメラの仰角での視野で、上方へ無限に延伸する空間中の鉛直線は画像平面上のp
Cで消失する。ワールド座標系210において、画像平面265上のp
Cは、画像平面265を通過するカメラレンズ中心点P
0直上の鉛直線の交点に対応する。
【0046】
図7は、本発明の1つの例示的な実施形態による交点の計算を表す概略図である。
図8は、本発明の1つの例示的な実施形態による第1回転角の計算の概略図である。
【0047】
【0048】
右手座標系を用いる場合、カメラのx軸を中心とした時計回り回転はθxの増加に対応する。このため、右手座標系に基づき取得されるθxは式(7)の反数である。
【0049】
図6を再び参照し、ステップS432において、交点と画像の画像原点との間の交点距離を交点座標に基づいて算出する。交点距離rは、画像平面265上の画像原点p
0と交点p
Cとの間の距離として表される。式(6)における交点p
Cの座標に基づき、交点距離rは次のように得られる。
【数13】
【0050】
【0051】
画像平面上のp
A1、p
A2、p
B1、p
B2の画像座標は、それぞれ第2中間座標系230の座標に変換される。左手座標系に基づき、式(1)によると、p
A1、p
A2、p
B1、p
B2の第2中間座標は次のとおりである。
【数15】
【0052】
右手座標系を用いる場合、uA1、uA2、uB1、uB2係数の符号は対応して反数に調整される。
【0053】
図2を再び参照し、第2中間座標系230のZ’’軸はワールド座標系210のZ軸と同一方向に維持され、第2中間座標系230における空間中の任意の2つの点の相対する高さの差はワールド座標系210におけるものと同一に維持される。
【0054】
図9は、本発明の1つの例示的な実施形態による第2中間座標系とワールド座標系における2つの垂直線分の端点の間の高さの差の関係を示す概略図である。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
連立方程式(10)~(12)を解くプロセスにおいて、側面視及び上面視それぞれから得られた幾何学的相関関係に基づいて、解くべき未知の数の間の相関関係が設定される。
【0060】
図10は、本発明の1つの例示的な実施形態によるカメラの第2回転角と焦点距離との間の関係を示す概略図である。
【0061】
図10を参照し、
図10は側面図の観点からの図を示しており、カメラが俯角で撮像するときのワールド座標系210におけるカメラレンズ中心点P
0と画像平面265との間の関係を示しており、次いでカメラのY軸の回転角θ
yとカメラの焦点距離fが取得される。
図10に示すように、カメラが俯角で撮像するとき、三次元空間における画像平面上のp
Cはカメラレンズ中心点P
0直下の鉛直線が画像平面265を通過する交点に対応する。同様に、カメラが仰角で撮像するとき、三次元空間における画像平面上のp
Cはカメラレンズ中心点P
0直上の鉛直線が画像平面265を通過する交点に対応する。このため、下記式となる。
【数21】
【0062】
【0063】
カメラが仰角で撮像するとき、交点pCのv座標値は0より大きく、式(6)と式(14)に基づいてαA<αBが得られ、次いで式(8)に基づいてr<0が得られ、式(13)に基づいてθy<0が得られる。同様に、カメラが俯角で撮像するとき、交点pCのv座標値は0未満であり、式(6)と式(14)に基づいてαA>αBが得られ、次いで式(8)に基づいてr>0が得られ、式(13)に基づいてθy>0が得られる。
【0064】
【0065】
これを式(9)に代入し、第2中間座標系230におけるp
A1の座標は次のように得られる。
【数25】
【0066】
【0067】
【0068】
同様に、式(9)において、第2中間座標系230における他の3つの点p
A2、p
B1、p
B2の座標はそれぞれ次となる。
【数28】
【0069】
ここで、S
A2、S
B1、S
B2はそれぞれ次となる。
【数29】
【0070】
右手座標系が用いられる場合、sA1、sA2、sB1、sB2に含まれるuA1、uA2、uB1、uB2係数の符号は対応して反数に調整される。
【0071】
【0072】
次に、上面図の観点から、第2中間座標系における同一線分の上方及び下方端点の投影点の座標関係が更に得られる。
【0073】
図11は、本発明の1つの例示的な実施形態による上面視での2つの垂直線分の上方端点と下方端点の空間座標を表す概略図である。
【0074】
【0075】
式(15)及び式(16)に基づき、次となる。
【数32】
【0076】
【0077】
右手座標系を用いる場合、kAに含まれるuA1及びuA2係数の符号は対応して反数に調整される。
【0078】
k
Aを式(16)に代入し、式(15)に基づいて次が得られる。
【数34】
【0079】
上記式を式(10)に代入すると、次が得られる。
【数35】
【0080】
【0081】
【0082】
右手座標系を用いる場合、kBに含まれるuB1及びuB2係数の符号は対応して反数に調整される。
【0083】
k
Bを式(18)に代入し、式(17)に基づいて次が得られる。
【数38】
【0084】
上記式を式(11)に代入すると次が得られる。
【数39】
【0085】
式(19)と式(20)を式(12)に代入すると次が得られる。
【数40】
【0086】
式(15)と式(17)に基づき、次となる。
【数41】
【0087】
そして式(21)に代入すると、次が得られる。
【数42】
【0088】
【0089】
【0090】
カメラが俯角で撮像するとき(θ
y>0)、画像平面上の交点p
Cに対応するv座標は0よりも小さい。逆に、カメラが仰角で撮像するとき(θ
y<0)、画像平面上の交点p
Cに対応するv座標は0よりも大きい。このため、式(6)、式(14)、式(22)を組み合わせて次が得られる。
【数45】
【0091】
【0092】
図6を再び参照し、ステップS434において、カメラの焦点距離をカメラの第2回転角と交点距離に基づいて算出する。換言すれば、Y軸の回転角θ
yと交点距離rに基づき、カメラ焦点距離fを算出する。式(13)に基づき、次が得られる。
【数47】
【0093】
【0094】
【0095】
式(19)、式(15)、式(25)に基づいて次が得られる。
【数50】
【0096】
カメラ校正方法の第1段階において、処理ユニットは、2つの垂直線分のそれぞれの端点と、それぞれの投影点の画像座標とを取得し、次いで、カメラの焦点距離、X軸の回転角(ロール角に等しい)、Y軸の回転角(ピッチ角に等しい)、並進ベクトルのZ軸値を算出する。
【0097】
図4を再び参照し、ステップS440において、カメラ校正方法の第2段階カメラ校正のステップを説明する。空間の基準方向、カメラの焦点距離、第1回転角、第2回転角、カメラの第3回転角を算出する。換言すれば、カメラ校正システム100は、基準方向、及び上述したカメラ校正方法の第1段階において取得したカメラの焦点距離f、X軸の回転角θ
x、Y軸の回転角θ
yに基づいてカメラのZ軸の回転角θ
zを算出する。下記プロセスは第2中間座標系230に基づく。ここで、ステップS440はここで開示するカメラ校正方法の第2段階カメラ校正のステップである。
【0098】
図12は、本発明の1つの例示的な実施形態による第2段階カメラ校正のフロー図である。
【0099】
図12を参照し、ステップS441において、基準方向の基準起点に対応する投影起点の投影起点座標、基準方向の基準終点に対応する画像中の投影終点の投影終点座標、カメラの焦点距離、第1回転角、第2回転角に基づき、第2中間座標系における投影起点及び投影終点の投影起点中間座標と投影終点中間座標を算出する。
【0100】
図13は、本発明の1つの例示的な実施形態による第3回転角の計算の概略図である。
【0101】
【0102】
【0103】
式(1)に基づき、画像平面上の投影起点p
Sの画像座標を次の式のように第2中間座標系230の座標に変換する。
【数53】
【0104】
【0105】
同様に、画像平面上の投影終点p
Eの画像座標を次の式のように第2中間座標系230の座標に変換する。
【数55】
【0106】
【0107】
右手座標系を用いる場合、uS及びuE係数の符号は対応して反数に調整される。
【0108】
【0109】
【0110】
第1の状況において、ez=0である。
【0111】
【0112】
【0113】
第2の状況において、ez≠0である。
【0114】
図14は、
図13における第3回転角の計算の詳細な概略図である。
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
式(29)に基づいて余分な根を取り除くことにより正確なkQを得ることができる。
【0122】
【0123】
最後に、ステップS443において、ワールド座標系における基準方向の第1基準方向要素及び第2基準方向要素、投影起点中間座標、投影終点中間座標、第1比率に基づいてカメラの第3回転角を算出する。換言すれば、ワールド座標系210における基準方向
のX及びY座標値、第2中間座標系230における投影起点p
S及び投影終点p
EのX’’及びY’’座標値、及び比率k
Qに基づいて、カメラのZ軸の回転角θ
zを算出する。
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
図4を再び参照し、ステップS450において、空間の基準点、カメラの焦点距離、第1回転角、第2回転角、第3回転角、並進ベクトルの第3並進ベクトル要素に基づいて、並進ベクトルの第1並進ベクトル要素と第2並進ベクトル要素を算出する。ここで、ステップS450はここで開示するカメラ校正方法の第3段階カメラ校正のステップである。
【0133】
図15は、本発明の1つの例示的な実施形態による第3段階カメラ校正のフロー図である。そして
図16は、本発明の1つの例示的な実施形態による並進ベクトルの計算の概略図である。
【0134】
図15と
図16を参照し、基準点P
R、カメラの焦点距離f、XYZ軸の回転角θ
x、θ
y、θ
z、並進ベクトルのZ座標値t
zが与えられ、次いでカメラの並進ベクトルのX座標値t
xとY座標値t
yを算出する。該計算プロセスは、第1中間座標系220に基づく。ステップS451において、空間中の投影基準点、カメラの焦点距離、第1回転角、第2回転角、第3回転角、投影基準点の第1中間座標系における投影基準点中間座標を算出する。即ち、空間中に基準点P
Rが与えられ、基準点P
Rのワールド座標が(X
R,Y
R,Z
R)であると仮定し、基準点P
Rに対応する画像平面265上の投影基準点p
Rの画像座標は(u
R,v
R)である。
【0135】
本段階において、先ず、準点PRに対応する投影基準点pRの画像座標(uR,vR)、カメラの焦点距離f、XYZ軸の回転角θx、θy、θzに基づいて、第1中間座標系220における投影基準点pRの座標値を算出する。
【0136】
式(2)に基づき、画像平面上の投影基準点p
Rの画像座標(u
R,v
R)を下記式のように第1中間座標系220の座標に変換する。
【数76】
【0137】
右手座標系を用いる場合、uR係数の符号は対応して反数に調整される。
【0138】
このため、第1中間座標系220に基づき、PRの座標は(kRX’R,kRY’R,kRZ’R)であり、ここでkRは基準点の距離乗数であり、kR>0である。
【0139】
次に、ステップS452において、基準点の第3基準座標要素、並進ベクトルの第3並進ベクトル要素、投影基準点中間座標の第3投影基準点中間座標要素に基づき、第5距離と第6距離の比率を算出し、ここで第5距離はカメラと基準起点との間の距離であり、第6距離はカメラと投影基準点との間の距離である。換言すれば、基準点PRのZ座標値ZR、カメラのZ座標値tz、第1中間座標系220における投影基準点pRのZ座標値Z’Rに基づき、カメラレンズ中心点P0と基準点PRとの間の距離と、カメラレンズ中心点P0と投影基準点pRとの間の距離との比率を算出する。
【0140】
【0141】
第1中間座標系220におけるP
RのZ座標値の式に基づき、式(33)が得られる。
【数78】
【0142】
最後に、ステップS453において、基準点の第1基準座標要素、基準点の第2基準座標要素、投影基準点中間座標の第1投影基準点中間座標要素、投影基準点中間座標の第2投影基準点中間座標要素、第2比率に基づいて、並進ベクトルの第1並進ベクトル要素と第2並進ベクトル要素を算出する。換言すれば、基準点PRのX座標値XR及びY座標値YR、第1中間座標系220における投影基準点pRのX座標値X’R及びY座標値Y’R、比率kRに基づいて、並進ベクトルのtxとtyを算出する。
【0143】
第1中間座標系220におけるP
RのX座標値に基づき、式(34)が得られる。
【数79】
【0144】
第1中間座標系220におけるP
RのY座標値に基づき、式(35)が得られる。
【数80】
【0145】
【0146】
カメラ校正方法の第3段階において、基準点PR、カメラの焦点距離f、XYZ軸の回転角θx、θy、θz、並進ベクトルのZ座標値tzが与えられ、第1中間座標系220を通じてカメラの並進ベクトルのX座標値txとY座標値tyを算出する。
【0147】
本発明の上記第3段階を通じて取得されるカメラ校正パラメータはカメラ画像に適用可能であり、カメラ画像の座標値はワールド座標系の座標値に変換される。
【0148】
まとめると、本発明は、ワールド座標系と画像座標系との間の各点の座標変換テンプレート(又は座標変換式)を、ワールド座標系における既知の情報を有する2つの異なる垂直線分、1つの基準方向、及び1つの基準点のみを通じて、垂直線分の位置の選択並びに空間環境のパターンを制限することなく取得可能である。このようにして、構築コスト及びカメラ校正の難易度を低減するために、オンサイト操作において単純且つ高速で、低い専門的スキルで、一般的な分野に応用可能な高精度のカメラ校正方法を提供する。
【0149】
当業者にとって、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、開示された実施形態の構造に対して様々な改変及び変形を行うことができることは明らかであろう。上記を考慮し、本発明は、下記の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある限り、本発明の改変及び変形を包含することを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明のカメラ校正方法及びカメラ校正システムは、インテリジェントビデオ監視、ロボットビジョン、車両ビジョンといったコンピュータビジョンの分野に応用することができる。
【符号の説明】
【0151】
100:カメラ校正システム
110:カメラ
120:記憶ユニット
130:処理ユニット
210:ワールド座標系
211:並進
212:逆並進
220:第1中間座標系
221:回転角θz
222:回転角-θz
230:第2中間座標系
231:回転角θy
232:回転角-θy
240:第3中間座標系
241:回転角θx
242:回転角-θx
250:カメラ座標系
251:x軸次元削減
252:x軸次元回復
260:画像座標系
265:画像平面
310:θz
320:θy
330:θx
S410、S420、S430、S440、S450、S431、S432、S433、S434、S435、S441、S442、S443、S451、S452、S453:ステップ
P0:カメラレンズ中心点
PA1、PA2、PB1、PB2:端点
PD:交点
p0:画像座標系の原点
pC:交点
r:交点距離
LA(u,v)、LB(u,v):直線の等式
hA1、hA2、hB1、hB2:垂直線分上の端点の高さ
lA、lB:垂直線分の長さ
pA1、pA2、pB1、pB2:投影端点
p*、PG:投影点
PR:基準点
pR:投影基準点
f:焦点距離
θx、θy、θz:回転角
PE:基準方向の終点
pE:投影終点
PS:基準方向の起点
pS:投影起点