(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】車両用バッテリーの過充電防止システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240830BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20240830BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240830BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240830BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240830BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240830BHJP
B60L 58/15 20190101ALI20240830BHJP
B60L 53/10 20190101ALI20240830BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240830BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H02H7/00 K
H02H7/18
H02J7/04
H02J7/10 H
H02J7/00 X
B60L50/60
B60L58/15
B60L53/10
B60L58/12
(21)【出願番号】P 2023501854
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 KR2021014040
(87)【国際公開番号】W WO2022080828
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131717
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0130201
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ヨル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウ・イ
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-075966(JP,A)
【文献】特開2012-019678(JP,A)
【文献】特開2015-104143(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0073237(KR,A)
【文献】国際公開第2013/046250(WO,A1)
【文献】特開2013-070478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/00
H02H 7/18
H02J 7/04
H02J 7/10
B60L 50/60
B60L 58/15
B60L 53/10
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の駆動モーター及び電気式動力取り出し装置(E‐PTO)に電力を供給するように構成された電気自動車バッテリーの過充電を防止する方法において、
バッテリーの過充電を感知する過充電感知ステップと、
前記バッテリーの過充電状態で前記バッテリーに入力される平均入力電力を算出し、算出した平均入力電力に基づいて充電機が低減して出力すべき電力を算出する低減出力電力算出ステップと、
算出された低減出力電力に基づいて充電機に充電電力の低減を要請する充電電力低減要請ステップと、を含むことを特徴とするバッテリーの過充電防止方法。
【請求項2】
出力電力低減の要請を受けた前記充電機が低減済みの充電電力を出力する低減充電電力出力ステップと、
前記低減充電電力出力ステップにおいて出力された低減済みの充電電力を電気式動力取り出し装置(E‐PTO)にのみ入力し、電気式動力取り出し装置(E‐PTO)の足りない電力をバッテリーから供給して過充電されたバッテリーを消耗させる過充電バッテリー電力消費ステップと、
前記過充電されたバッテリーの電力が消費されてバッテリーの充電状態が過充電状態ではない場合に、前記充電機が再び正常電力として出力する正常電力出力ステップと、をさらに含み、
前記バッテリーの充電状態に基づいて、前記低減充電電力出力ステップと前記正常電力出力ステップを繰り返し行うことを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの過充電防止方法。
【請求項3】
前記過充電感知ステップは、
前記バッテリーの過充電状態を確認する充電状態確認ステップと、
前記バッテリーの過充電が確認されたとき、前記バッテリーに入力される過充電電流の入力を感知しかつ測定する過充電電流入力感知ステップと、
を含む請求項1または2に記載のバッテリーの過充電防止方法。
【請求項4】
前記低減出力電力算出ステップは、
感知された前記過充電電流の入力値を用いて過充電電力を算出する入力電力算出ステップと、
算出された前記過充電電力と過充電電流入力の検出時間を用いて平均入力電力を算出する平均入力電力算出ステップと、
算出された前記平均入力電力に基づいて前記充電機に低減を要請すべき低減出力電力を算出する低減出力電力算出ステップと、を含み、
前記低減出力電力は、前記平均入力電力よりも大きな電力であることを特徴とする請求項3に記載のバッテリーの過充電防止方法。
【請求項5】
充電電力低減要請ステップは、電気式動力取り出し装置(E‐PTO)からの要求電力から前記低減出力電力を除した、低減充電電力を出力することを充電機に要請することを特徴をする請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーの過充電防止方法。
【請求項6】
前記過充電状態は、完全充電状態の101%であり、過充電ではない状態を完全充電状態の99%以下に設定して、前記バッテリーの充電状態を100%近くに保持することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーの過充電防止方法。
【請求項7】
電気自動車の駆動モーター及び電気式動力取り出し装置(E‐PTO)に電力を供給するように構成された電気自動車のバッテリーの過充電を防止するシステムにおいて、
前記電気自動車は、
充電機から供給された電気エネルギーを貯蔵するバッテリーと、
前記バッテリーから電気エネルギーを供給されて駆動するモーターと、
前記充電機または前記バッテリーから電気エネルギーを供給されて走行以外の機能をする電子機器に電力を供給する電気式動力取り出し装置(E‐PTO)と、
バッテリーと電気式動力取り出し装置(E‐PTO)に入力される電力と充電機が出力する電力を制御する過充電制御部と、を備え、
前記過充電制御部は、
前記バッテリーの充電状態を確認する充電状態検出部と、
前記バッテリーが過充電のときにバッテリーに印加される入力電流を感知する電流検出部と、
前記入力電流に基づいて入力電力を算出し、前記入力電力と検出時間を用いて平均入力電力を算出し、前記平均入力電力に基づいて充電機が充電電力を低減すべき低減電力量を算出する電力算出部と、
前記算出された低減電力量を前記電気式動力取り出し装置(E‐PTO)が要求する電力から除した低減充電電力を出力することを充電機に要請する電力低減要請部と、を備えることを特徴とする電気自動車のバッテリーの過充電防止システム。
【請求項8】
前記過充電制御部は、バッテリーと一体形に設計されるバッテリー管理システム(BMS)の一構成要素または車両制御ユニット(VCU)の一構成要素であり得ることを特徴とする請求項7に記載の電気自動車のバッテリーの過充電防止システム。
【請求項9】
前記電力算出部において算出する低減電力量は、前記平均入力電力よりも大きな電力量であることを特徴とする請求項7または8に記載の電気自動車のバッテリーの過充電防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バッテリーの過充電を防止する方法に係り、さらに詳しくは、電気式動力取り出し装置(E‐PTO)を装着する車両において用いられるバッテリーの過充電を防止するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近頃、環境汚染の問題で自動車の排ガスに関わる規制が強化されていることを受けて、環境にやさしい自動車の需要が増加し続けており、そのため、外部から電気エネルギーを供給されてバッテリーに充電した後、バッテリーが供給する電気エネルギーにてモーターを駆動して動力を得る電気自動車に関する研究と開発が盛んに行われている。
【0003】
この種の電気自動車のバッテリーは、充放電可能な多数の2次電池が一つのパックとして形成され、外部の充電機からバッテリーを充電する必要があり、バッテリーの容量と充電状態が電気自動車の走行距離に及ぼす影響が大きい。
【0004】
また、電気を動力として用いつつ、冷蔵機器またはリフティング機器など特殊の目的を行う付随機器及び外部機器が装着された電気自動車は、このような付随機器及び外部機器に電力を供給するための電気式動力取り出し装置(E‐PTO:Electric Power Take Off)を構成する。
【0005】
外部の充電機から上記のバッテリーと上記のE‐PTOに電気エネルギーを供給される方法において、E‐PTOに消費される電力をバッテリーとともに充電機から同時に供給されるシステムである場合、電気自動車のバッテリーが完全に充電された以降にも充電機と電気自動車とが接続され続けられていると、E‐PTOにおいて消費できなかった電力がバッテリーを過充電させてしまうという不都合が生じることが懸念される。
【0006】
したがって、従来では、E‐PTOにおいて消費される所要の電力を電気自動車のバッテリーから供給する方法で過充電を防止している。しかしながら、これは、バッテリーが完全に充電された状態で電気自動車を長期間にわたって駐車する場合、バッテリーからE‐PTOへと供給される電力によって出発の際にバッテリーが完全に充電されていない状態となることにより、電気自動車の充電の効率性が低下してしまうというデメリットを生じさせる。
【0007】
本発明の背景となる技術は、下記の特許文献に掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第1490958号公報
【文献】韓国公開特許第2019-0062824号公報
【文献】特許第4831179号公報
【文献】韓国登録特許第1610507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、E‐PTOを搭載した電気自動車においてバッテリーの完全充電状態での効率性の向上と過充電の防止を図る制御システム及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係る過充電防止方法は、バッテリーの過充電を感知する過充電感知ステップと、バッテリーの過充電状態で、前記バッテリーに入力される平均入力電力を算出し、算出された平均入力電力に基づいて充電機が低減して出力すべき電力を算出する低減出力電力算出ステップと、算出された低減出力電力に基づいて充電機に出力電力の低減を要請する出力電力低減要請ステップと、前記出力電力の低減の要請を受けた充電機が低減された電力を出力する低減電力出力ステップと、前記低減電力出力ステップにおいて出力された低減済みの充電電力はE‐PTOにのみ入力され、E‐PTOの足りない電力はバッテリーから供給されて過充電されたバッテリーを消耗させる過充電バッテリー電力消費ステップと、前記過充電バッテリーの電力が消費されてバッテリーの充電状態が過充電状態ではない場合、充電機が再び正常電力として出力する正常電力出力ステップと、を含んでなり、バッテリーの充電状態に基づいて前記低減電力出力ステップと前記正常電力出力ステップを繰り返し行うことを特徴とする。
【0011】
前記過充電感知ステップは、前記バッテリーの過充電状態を確認する充電状態確認ステップと、バッテリーの過充電が確認されたとき、バッテリーに入力される過充電電流入力を感知しかつ測定する過充電電流入力感知ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記低減出力電力算出ステップは、前記感知された過充電電流入力値を用いて過充電電力を算出する入力電力算出ステップと、前記算出された過充電電力と検出時間を用いて平均入力電力を算出する平均入力電力算出ステップと、前記算出された平均入力電力に基づいて充電機に要請する低減されて出力すべき電力を算出する低減出力電力算出ステップと、を含んでなり、前記低減出力電力は、E‐PTOにおいて要求する電力から前記平均入力電力の1倍を超えて2倍を除することを特徴とする。
【0013】
前記充電電力低減要請ステップは、前記低減電力量に基づいて充電機に出力電力の低減を要請する出力電力低減要請ステップを含む。
【0014】
前記過充電状態は、完全充電状態の101%であり、前記過充電状態ではないものは完全充電状態の99%以下に設定して、バッテリーの充電状態を100%の近くに保持することを特徴とする。
【0015】
電気自動車の駆動モーター及びE‐PTOに電力を供給するように構成された電気自動車バッテリーの過充電を防止するシステムにおいて、前記電気自動車は、充電機から供給された電気エネルギーを貯蔵するバッテリーと、前記バッテリーから電気エネルギーを供給されて駆動するモーターと、前記充電機またはバッテリーから電気エネルギーを供給されて走行以外の機能をする電子機器に電力を供給するE‐PTOと、バッテリーとE‐PTOに入力される電力と充電機が出力する電力を制御する過充電制御部と、を備えてなり、前記過充電制御部は、バッテリーの充電状態を確認する充電状態検出部と、前記バッテリーの過充電のときにバッテリーに印加される入力電流を感知する電流検出部と、前記入力される電流に基づいて入力電力を算出し、前記入力された入力電力と検出時間を用いて平均入力電力を算出し、前記平均入力電力に基づいて充電機が低減して出力すべき低減電力量を算出する電力算出部と、前記算出された低減電力量を充電機に要請する電力低減要請部と、を備えてなることを特徴とする。
【0016】
前記過充電制御部は、バッテリーと一体形に設計されるバッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)の一構成要素または車両制御ユニット(VCU:Vehicle Control Unit)の一構成要素であり得ることを特徴とする。
【0017】
前記電力算出部において算出する低減して出力すべき低減電力量は、E‐PTOにおいて要求する電力から前記平均入力電力の2倍を除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、電気自動車を構成する車両制御ユニット(VCU)に充電状態検出部、電流検出部、電力算出部、電力低減要請部を備える過充電制御部を配置することにより、バッテリーが過充電されたときに入力電流を感知して平均入力電力を算出し、算出された結果に基づいて充電機に出力電力の低減を要請する。その結果、過充電状態でのバッテリーはVCUを介して外部の充電機から電気自動車へと供給される電力を制限することにより、E‐PTOが要求する電力を一時的に外部の充電機とバッテリーから供給されることができる。すなわち、VCUが充電機の出力電力を制御してバッテリーが過充電されたときにE‐PTOが要求する要請電力の一部をバッテリーが供給するようにすることで、過充電されたバッテリーの電力を消耗させてバッテリーの過充電を防止することができ、従来の技術よりもバッテリーの充電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る本発明のシステム全体の構成を説明するためのブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るバッテリーの過充電防止方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化されるものである。単に本発明の実施形態は本発明の開示を完全にし、当該分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らしめるために提供されるものである。本発明の実施形態を説明するために図面は誇張され得て、説明とは無関係な部分は図面から省略され得て、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0021】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1を参照すると、本発明は、車両制御ユニット(VCU:Vehicle Control Unit)、E‐PTO、バッテリーを備える電気自動車200と、前記電気自動車200に電気エネルギーを供給する充電機100と、を備える。
【0023】
1.本発明の電気自動車の構成
【0024】
ア.バッテリー
【0025】
バッテリー240は、外部の充電機100からの電気エネルギーを貯蔵して走行の際にモーター241に供給する。本発明のバッテリー240は、走行モーター241だけではなく、E‐PTO230にも電力を供給する役割を果たす。
【0026】
イ.モーター
【0027】
モーター241は、バッテリー241から電気エネルギーを供給されて電気自動車200の走行動力として出力する。
【0028】
ウ.E‐PTO
【0029】
E‐PTO230は、外部の充電機100またはバッテリー240から電気エネルギーを供給されて電気自動車200の外部の電子機器を駆動するのに必要な動力として出力する。
【0030】
エ.電子機器
【0031】
電子機器231は、電気自動車200に装着されてE‐PTO230が出力する電力を伝達されて走行以外の機能を行うものであって、例えば、冷凍冷蔵車用の冷蔵庫、消防用のウォーターポンプ、ウィングボディ開閉用の駆動装置及び高所作業用の昇降装置など多種多様な電子機器231を網羅する。
【0032】
オ.VCU
【0033】
車両制御ユニット(VCU:Vehicle Control Unit)210は、電気自動車200内において充電機100、バッテリー240とE‐PTO230との間での電力を制御し、過充電制御部220を介して過充電状態のバッテリー240に供給される所定の単位時間の間に入力される電力とこれを基に低減すべき入力電力を算出し、これを充電機100に伝送して、充電電力の低減の要請を行う。
【0034】
(1)過充電制御部
【0035】
過充電制御部220は、充電状態検出部221、電流検出部222、電力算出部223、電力低減要請部224を備えてなり、バッテリー240と一体形に設計されるバッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)の一構成要素またはVCU210の一構成要素であってもよい。
【0036】
(2)充電状態検出部
【0037】
充電状態検出部221は、バッテリー240の充電状態、すなわち、バッテリー240のSOC(充電率または充電状態)をリアルタイムにて確認してバッテリー240の過充電状態を感知する。バッテリー240の過充電状態は、所定のSOC上限値、例えば、101%を超えることをもって判断する。
【0038】
前記バッテリー240のSOC上限値は、システムの要求事項に応じて多種多様に設定可能であり、例えば、バッテリー240の満充電SOCの100%を超えるSOCを上限充電容量として設定することができ、下限充電容量は100%未満に設定することができる。
【0039】
(3)電流検出部
【0040】
電流検出部222は、バッテリー240が完全充電状態である場合、すなわち、バッテリー240のSOC測定値が所定の基準値以上、例えば、101%以上である場合にもバッテリー240に入力される電流値を検出する。
【0041】
前記検出された入力電流値は、バッテリー240が所定の基準SOC値以上であるにもかかわらず、バッテリー240に流れ込み続ける電流であるため過充電電流であると判断し、入力された過充電電力量を算出するために所定の時間区間の間の入力電流値を検出し、このとき、バッテリー240に印加される電圧を一緒に測定してこれを電力算出部223に引き渡す。
【0042】
(4)電力算出部
【0043】
電力算出部223においては、過充電状態のバッテリー240に入力される前記過充電入力電流とこのときの電圧を用いて検出された所定の時間区間の間の平均入力電力、すなわち、過充電電力量を算出する。なお、算出された平均入力電力に基づいて充電機100に低減を要請すべき低減電力を算出する。
【0044】
このとき、バッテリー240のSOCが、例えば、101%以上であるにもかかわらず、前記所定の時間区間の間の電力が超過して入力されてバッテリー240が過充電状態となったため、これを正常の状態に戻すためには、バッテリー240の過充電電力を消費しなければならない。本発明は、充電機100から出力される電力がE‐PTO230とバッテリー240に振り分けられて供給されるが、バッテリー240の電力を消費させるための方法として、充電機100において出力する充電電力に対して低減を要請して、E‐PTO230の要求電力よりもさらに小さな電力として出力するように充電機に要請する。その結果、E‐PTO230の要求電力よりもさらに小さく出力される低減済みの充電電力はいずれもE‐PTO230に供給され、かつ、E‐PTO230が要求するE‐PTO230の要求電力において足りない電力はバッテリー240からE‐PTO230へと入力されて供給されることにより、過充電状態のバッテリー240電力を消費する。
【0045】
一方、充電機100に要請する低減出力電力は、E‐PTO230の要求電力から過充電バッテリー240に入力される平均入力電力である過充電電力だけではない、さらに大きな電力を低減出力電力として除して算出することができる。例えば、充電機に出力を要請する低減充電電力は、E‐PTO230の要求電力から過充電状態バッテリー240の平均入力電力(過充電電力)の2倍を除した電力として算出されてもよい。システムの要求事項に応じて、2倍ではなく、1倍以上の他の倍数を除した電力を低減要請してもよい。
【0046】
(5)電力低減要請部
【0047】
電力低減要請部224は、算出された低減出力電力を低減した、低減充電電力を出力することを充電機100に伝える。また、充電状態検出部221において検出されたバッテリー240のSOCが所定の値、例えば、99%以下として検出される場合、低減出力の要請を中断し、正常に充電することを要請する。
【0048】
(カ)充電機
【0049】
充電機100は、電気自動車200と接続されてVCU210の過充電制御部220において感知するバッテリー240のSOC状態に応じて低減出力または正常出力の要請を伝達されて出力する。例えば、SOCが101%以上では、算出された低減出力電力を低減した低減充電電力を出力して過充電を防止し、99%以下では正常電力として出力して、バッテリー240のSOCを100%の近くに保持することができる。
【0050】
2.本発明に係る電気自動車のバッテリーの過充電防止方法
【0051】
図2は、本発明の一実施形態に係る電気自動車200のバッテリー240の過充電防止方法を示すフローチャートである。
【0052】
それぞれの手順について説明すれば、下記の通りである。
【0053】
ア.過充電感知ステップ(S10)
【0054】
まず、充電機100と電気自動車200とを接続してバッテリー240を充電する。
【0055】
過充電感知ステップは、バッテリーが過充電される状態を感知し、過充電状態でバッテリーに充電電流が流れ込み続けることを感知する手順である。
【0056】
これは、過充電状態確認ステップと過充電電流入力感知ステップを含んでいてもよい。
【0057】
(1)過充電状態確認ステップ
【0058】
充電の際に、過充電制御部220の電流検出部222においてバッテリー240の充電状態、すなわち、バッテリー240のSOCをリアルタイムにて確認して充電状態を確認する。
【0059】
充電状態の確認の結果、SOCが所定のSOC上限値、例えば、101%以上になると、過充電状態であると判断する。
【0060】
(2)過充電電流入力感知ステップ
【0061】
過充電電流入力感知ステップは、前記過充電状態確認ステップにおける確認の結果、過充電状態であるにもかかわらず、バッテリーに充電電流が入力され続ける過充電電流の入力を感知しかつ測定するステップである。
【0062】
バッテリー240のSOCが所定の上限値(例えば、101%またはそれ以上)を超えると、電流検出部222において、このときのバッテリー240に入力される電流を検出する。前記検出される入力電流値は、バッテリー240が所定の基準SOC以上であるにもかかわらず、バッテリー240に流れ込み続ける電流であるため過充電電流であると判断し、入力された過充電電力量を算出するために所定の時間区間の間に入力された電流値を検出し、このとき、バッテリー240に印加される電圧を一緒に測定してこれを電力算出部223に引き渡す。
【0063】
前記バッテリー240のSOC上限値は、システムの要求事項に応じて多種多様に設定されることができ、例えば、バッテリー240の満充電SOCの100%を超えるSOCを上限充電容量として設定することができ、下限充電容量は100%未満に設定することができる。
【0064】
イ.低減出力電力算出ステップ(S20)
【0065】
前記測定した過充電入力電流とこのときの電圧を用いて検出された所定の時間区間の間の平均入力電力、すなわち、過充電電力量を算出する。なお、算出された平均入力電力に基づいて充電機100に低減を要請すべき低減出力電力(電力低減量)を算出する。
【0066】
このとき、バッテリー240のSOCが100%であるにもかかわらず、前記所定の時間区間の間の電力が超過入力されてバッテリー240が過充電状態となったため、これを正常の状態に戻すためには、バッテリー240の過充電電力を消費しなければならない。充電機100から出力される電力がE‐PTO230とバッテリー240に振り分けられて供給されるが、バッテリー240の電力を消費するための方法として、充電機100において出力する電力をE‐PTO230の要求電力よりもさらに小さな電力として出力する。その結果、充電機100から出力される電力がE‐PTO230とバッテリー240に振り分けられて供給されるが、バッテリー240の電力を消費するための方法として、充電機100において出力する電力をE‐PTO230の要求電力よりもさらに小さな電力として出力する。
【0067】
したがって、充電機100に要請する低減済みの充電電力はE‐PTO230の要求電力から過充電バッテリー240の平均入力電力だけではない、さらに大きな電力を低減出力電力として除して算出する。例えば、充電機に要請する低減充電電力は、E‐PTO230の要求電力からバッテリー240の平均入力電力の2倍を除した電力として算出されてもよい。システムの要求事項に応じて、2倍ではなく、1倍以上の他の倍数で低減の要請をしてもよい。
【0068】
ウ.充電電力低減要請ステップ(S30)
【0069】
電力低減要請部224は、E‐PTO230の要求電力から前記算出された低減出力電力を低減した、低減充電電力を出力することを充電機100に要請する。また、充電状態検出部221において検出されたバッテリー240のSOCが所定の下限値、例えば、99%以下として検出される場合、充電電力低減の要請を中断し、正常に充電することを要請してもよい。
【0070】
エ.低減充電電力出力ステップ(S40)
【0071】
充電機100は、前記電力低減要請部224から要請された低減充電電力を出力する。なお、充電状態検出部221において検出されたバッテリー240のSOCが所定の下限値、例えば、99%以下として検出される場合、低減出力の要請を中断されて正常の電力として出力してもよい。
【0072】
オ.過充電バッテリー電力消費ステップ(S50)
【0073】
前記低減出力の要請を受けた充電機100から電気自動車200へと入力される低減電力は、E‐PTO230の要求電力によってE‐PTO230にのみ入力される。したがって、バッテリー240は、それ以上過充電されず、また、充電機100は、E‐PTO230において要求する電力をすべて伝送しないため、E‐PTO230は、足りない電力をバッテリー240から供給され、これによって過充電されたバッテリーは電力を消耗して過充電状態を逸脱することになる。
【0074】
カ.正常電力充電ステップ(S60)
【0075】
バッテリー240の過充電状態で前記低減充電電力出力ステップが続くと、バッテリー240の電力の消耗によってSOCが減ってしまうが、バッテリー240のSOCが所定の下限値、例えば、99%以下であると確認されれば、VCU210から充電機100へと伝える充電電力低減の要請を中断して正常充電を行う。
【0076】
本発明のシステム及び方法は、バッテリー240の充電状態に応じて前記過程を周期的に繰り返し行う。結局、バッテリー240は、所定の下限値~上限値、例えば、99%~101%のSOC状態を保持することにより、過充電を防止することができ、満充電状態に近く保持されることになる。
【0077】
本発明の前記実施形態は本発明の説明のためのものであり、本発明の制限のためのものではない。本発明の前記実施形態に開示されている構成と方式は、互いに組み合わせられたり置換されたりして種々の形態に変形されるものであり、これらの変形例もまた、本発明の範囲に含まれるものとみなせるということに留意されたい。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及びこれと均等な技術的思想の範囲内において互いに異なる種々の形態に具体化されるものであり、本発明に属する技術分野における当業者は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施形態が可能であるということが理解できるものである。
【符号の説明】
【0078】
100:充電機
200:電気自動車
210:VCU
220:過充電制御部
221:充電状態検出部
222:電流検出部
223:電力算出部
224:電力低減要請部
230:E‐PTO
231:電子機器
240:バッテリー
241:モーター