(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】テキスタイルRFIDトランスポンダ及びテキスタイルRFIDトランスポンダをテキスタイルに適用するための方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/02 20060101AFI20240830BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240830BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20240830BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G06K19/02 070
G06K19/077 280
G06K19/077 296
H01Q9/16
H01Q1/38
(21)【出願番号】P 2023512399
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2021070770
(87)【国際公開番号】W WO2022037900
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-05-17
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521040330
【氏名又は名称】テックストレース アーゲー
【住所又は居所原語表記】Schulstrasse 19, 5070 Frick Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】ブーラー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ボルターズドルフ,ディルク
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-545037(JP,A)
【文献】国際公開第2019/151475(WO,A1)
【文献】特開2010-261145(JP,A)
【文献】特開2013-092972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/02
G06K 19/077
H01Q 9/16
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平らな糸構造を有するテキスタイルキャリア基材と、
前記テキスタイルキャリア基材の平らな糸構造に導入される少なくとも1つの導電性アンテナ糸と、
モジュールアンテナが少なくとも1つの導電性アンテナ糸により形成されたトランスポンダアンテナに誘導結合されるよう、前記テキスタイルキャリア基材の第1面に適用されるチップ結合モジュールアンテナを有するRFIDチップモジュールと、を含むRFIDトランスポンダであって、
少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンがテキスタイルキャリア基材の平らな糸構造に導入され
、
前記平らな糸構造は、編物製品として設計され、
前記平らな糸構造は、キャリアヤーンを有しない少なくとも1つの第2ホットメルト接着性ヤーンを有する、RFIDトランスポンダ。
【請求項2】
前記平らな糸構造は、経編物の経糸として平らな糸構造に編まれる少なくとも1つの第1ホットメルト接着性ヤーンを有する、請求項
1に記載のRFIDトランスポンダ。
【請求項3】
前記平らな糸構造は、平らな糸構造のエッジ領域、RFIDチップモジュールの領域及び/または導電性アンテナ糸の領域で平らな糸構造に編まれる、各々キャリアヤーンを有する複数の第1ホットメルト接着性ヤーンを有する、請求項
2に記載のRFIDトランスポンダ。
【請求項4】
前記平らな糸構造は、
長い緯糸及び/または部分緯糸として平らな糸構造に編まれる、キャリアヤーンを有しない複数の第2ホットメルト接着性ヤーンを有する、請求項
1~3の何れか1項に記載のRFIDトランスポンダ。
【請求項5】
前記平らな糸構造は、前記導電性アンテナ糸の延長部に沿って部分緯糸として平らな糸構造に編まれる、キャリアヤーンを有しない第2ホットメルト接着性ヤーンを有する、請求項
4に記載のRFIDトランスポンダ。
【請求項6】
前記RFIDチップモジュールのチップ結合モジュールアンテナは、ループアンテナである、請求項1~
5の何れか1項に記載のRFIDトランスポンダ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの導電性アンテナ糸は、ダイポールアンテナとして長尺状または波状のトランスポンダアンテナを形成する、請求項1~
6の何れか1項に記載のRFIDトランスポンダ。
【請求項8】
請求項1~
7の何れか1項に記載のRFIDトランスポンダを含む、テキスタイルラベル。
【請求項9】
RFIDトランスポンダ
を製造するための方法であって、
少なくとも1つの導電性アンテナ糸及び少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンが平らな糸構造に導入されるテキスタイルキャリア基材を製造するステップと、
モジュールアンテナが少なくとも1つの導電性アンテナ糸により形成されたトランスポンダアンテナに誘導結合されるよう、前記テキスタイルキャリア基材の第1面にチップ結合モジュールアンテナを有するRFIDチップモジュールを適用するステップと、を含
み、
前記テキスタイルキャリア基材の製造ステップは、平らな糸構造を編むステップと、少なくとも1つの導電性アンテナ糸及び少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンを平らな糸構造に導入するステップと、を含み、
前記テキスタイルキャリア基材の製造ステップは、キャリアヤーンを有しない複数のホットメルト接着性ヤーンを長い緯糸及び/または部分緯糸として平らな糸構造に編むステップを含む、方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンの導入ステップは、平らな糸構造に連結されるステップを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記ホットメルト接着性ヤーンは、キャリアヤーンを有し、前記平らな糸構造のエッジ領域、RFIDチップモジュールの領域及び/または少なくとも1つの導電性アンテナ糸の領域で平らな糸構造に編まれる、請求項
9または
10に記載の方法。
【請求項12】
前記キャリアヤーンを有しない複数のホットメルト接着性ヤーンを編むステップは、キャリアヤーンを有しないホットメルト接着性ヤーンを導電性アンテナ糸の延長部に沿って部分緯糸として平らな糸構造に編むステップを含む、請求項
9~11の何れか1項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~
7の何れか1項に記載のテキスタイルRFIDトランスポンダをラベル付けされるテキスタイルに適用するための方法であって、
前記RFIDチップモジュールがテキスタイルキャリア基材とテキスタイルとの間に置かれるよう、前記ラベル付けされるテキスタイルのテキスタイル材料上にテキスタイルRFIDトランスポンダを配置するステップと、
前記テキスタイルキャリア基材の少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンの接着剤がテキスタイル材料のファイバと接着して融合するよう、前記テキスタイルRFIDトランスポンダ及びテキスタイル材料を所定の時間ホットプレスするステップと、を含む、方法。
【請求項14】
前記ホットプレスステップ中の温度は、所定の時間の間110℃~140℃である、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の時間は、5秒~10秒である、請求項
13または
14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイルRFIDトランスポンダ、特に、テキスタイルキャリア基材に導入された導電性アンテナ糸を有するRFIDトランスポンダに関する。また、本発明は、このようなテキスタイルRFIDトランスポンダを有するテキスタイルラベルに関する。さらに、本発明は、テキスタイルキャリア基材を有するテキスタイルRFIDトランスポンダをラベル付けされるテキスタイルに適用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テキスタイル産業の付加価値連鎖では、いわゆる「無線周波数識別タグ(radio frequency identification tags;RFID tags)」と呼ばれる高周波及び/または超高周波トランスポンダを有するラベルを用いることが一般的である。このようなRFIDトランスポンダには、ラベル付き製品の製造、識別、流通、販売及びマーケティングに関するデータが読み取り可能な方式で保存できる。RFID技術は、製品ライフサイクル管理(product lifecycle management;PLM)、即ち、ライフサイクルまたは使用サイクル全般にわたって、ラベル付きテキスタイルの個別追跡、盗難または誤用の防止、或いは廃棄及びリサイクルの後続措置において、広範囲な応用を可能とする。
【0003】
RFIDトランスポンダは、高周波または超高周波電波の補助により非接触式自動位置設定及び識別に用いられるトランスミッタ側面上のシステム構成要素である。RFIDトランスポンダは、電子識別子またはコードを個別に指定することにより、システムレシーバの構成要素に関して取り付けられている客体を識別することができるモバイルトランスミッタである。トランスミッタとレシーバは、RFIDトランスポンダからリーダにデータを送信可能なようにリーダにより生成された高周波電波または短距離交番磁界を通じて連結される。また、受動型RFIDトランスポンダは、この電磁結合によりエネルギーの供給を受けることができる。
【0004】
上着などの非常に軽くて微細なテキスタイル素材の場合、省スペース方式でテキスタイルに一体化でき、テキスタイル材料の使用者にほぼ妨害となることなく、洗浄工程及びその他機械的負荷に安定的で強いRFIDトランスポンダを開発することが求められる。
【0005】
文献US2014/0291409A1は、可撓性材料で製造された製品に取り付けられる、衣類及び洗濯製品などの可撓性材料で製造された製品のためのRFIDタグを開示している。これらのRFIDタグは、RFIDラベルを形成するための連続的なRFIDアンテナ本体を有する。文献EP3 640 850 A1は、キャリア材料に適用される電磁波を送信及び/または受信するためのアンテナ及びRFIDチップを有するRFIDシステムを開示している。アンテナは、線状の交点のない構造を形成する導電性糸(electrically conductive thread)から構成される。導電性糸のセグメントは、接触することなくRFIDチップの周囲を包み、これによりRFIDチップに誘導結合される。文献WO2009/036155A1は、熱可塑性の可溶性ヤーン(thermoplastic fusible yarn)を含む織物(woven fabric)、及び熱可塑性の可溶性ヤーンを含む織物物品を製造する方法を開示している。
【発明の概要】
【0006】
よって、本発明の目的の1つは、特に、テキスタイル産業の付加価値連鎖で使用するために、テキスタイル基材におけるRFIDトランスポンダの一体性を最適化するための解決方法を探すことに基づいている。
【0007】
これらの目的及び他の目的は、請求項1の特徴を有するRFIDトランスポンダ、請求項11の特徴を有するテキスタイルラベル、請求項12の特徴を有するRFIDトランスポンダの製造方法、及び請求項19の特徴を有するテキスタイルRFIDトランスポンダをテキスタイルに適用するための方法により達成される。
【0008】
本発明の第1態様によると、RFIDトランスポンダは、平らな糸構造を有するテキスタイルキャリア基材を含む。少なくとも1つの導電性アンテナ糸がテキスタイルキャリア基材の平らな糸構造に導入される。モジュールアンテナが少なくとも1つの導電性アンテナ糸により形成されたトランスポンダアンテナに誘導結合されるよう、チップ結合モジュールアンテナを有するRFIDチップモジュールがテキスタイルキャリア基材の第1面に適用される。少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンがテキスタイルキャリア基材の平らな糸構造に導入される。
【0009】
本発明の第2態様によると、テキスタイルラベルは、本発明の第1態様によるRFIDトランスポンダを含む。
【0010】
本発明の第3態様によると、RFIDトランスポンダ、特に、本発明の第1態様によるRFIDトランスポンダの製造方法は、少なくとも1つの導電性アンテナ糸及び少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンが平らな糸構造に導入されるテキスタイルキャリア基材を生成するステップと、モジュールアンテナが少なくとも1つの導電性アンテナ糸により形成されたトランスポンダアンテナに誘導結合されるよう、テキスタイルキャリア基材の第1面にチップ結合モジュールアンテナを有するRFIDチップモジュールを適用するステップと、を含む。
【0011】
本発明の第4態様によると、本発明の第1態様によるテキスタイルRFIDトランスポンダをラベル付けされるテキスタイルに適用するための方法は、RFIDチップモジュールがテキスタイルキャリア基材とテキスタイル材料との間に置かれるよう、前記ラベル付けされるテキスタイルのテキスタイル材料上にテキスタイルRFIDトランスポンダを配置するステップと、テキスタイルキャリア基材の少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンの接着剤がテキスタイルのファイバと接着して融合するよう、前記テキスタイルRFIDトランスポンダとテキスタイルを、例えば、5秒~10秒の所定の時間、ホットプレスするステップと、を含む。ホットプレス工程の温度は、所定の時間、例えば、110℃~140℃の所定の温度範囲で維持できる。
【0012】
本発明の本質的な考えは、ラベル付けされる材料とのホットプレス中に、テキスタイルRFIDトランスポンダを材料の一部となるように設計することにある。これは、平らな糸構造が電気または電子コンポーネント用キャリア基材として用いられ、平らな糸構造がホットプレス中にホットメルト接着性ヤーンを用いてラベル付けされる材料に一体的に連結できるという点で達成できる。これは、テキスタイルRFIDトランスポンダがホットプレス中に透明且つ柔らかくなるという特別な利点を提供する。その結果、ほとんど見えなくなり、材料の外観を損傷することなく、あらゆる色相の材料に適用できる。一体型のテキスタイルRFIDトランスポンダが視覚的にも着用者の快適さの観点においても妨害となる異物として作用しないため、これは、Tシャツ、ブラウスなどのような高品質及び/または軽量の衣類品目に特に有利である。
【0013】
テキスタイルRFIDトランスポンダがラベル付けされる材料の一体型の部品になると、ホットメルト接着性ヤーンの接着剤の接着力のため、ラベル付けされた材料を破壊したり損傷させずにそれを除去することはできない。これは、テキスタイル産業の付加価値連鎖に沿ってリサイクルに至る材料の一対一のトレーサビリティまたは盗難防止の観点において大きな利点を提供する。
【0014】
また、ラベル付き材料の一体型部品として、テキスタイルRFIDトランスポンダは、ラベル付き材料と同様の伸縮性及び弾性を有することができるため、ラベル付き材料の機能性が損傷しなかったり最小限に損傷するので有利である。本発明の第2態様によるテキスタイルラベルは、RFIDチップモジュール用モジュール基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、FR4(ガラス繊維ファブリックとエポキシ樹脂で製造される複合材料)及びポリエテールエーテルケトン(PEEK)からなる群からの材料のうち少なくとも1つを有することができる。RFIDチップモジュールは、基本的に多層ラミネートとして設計できる。これは、テキスタイルラベルに用いられる場合、洗濯堅牢度、水密性、及び/または汗や洗浄剤などの物質に対する耐化学性に関する必要条件を満たす際に利点を提供する。
【0015】
本発明によるRFIDトランスポンダの一部の実施形態によると、平らな糸構造は、織物または編組(braided)製品として設計できる。代案として、本発明によるRFIDトランスポンダのさらなる一部の実施形態によると、平らな糸構造は、編物製品、特に経編物(warp knitted fabric)として設計できる。編物製品は、編物(「単糸編物」ともいう)または糸がループで絡み合っている編物(「ステッチ」ともいう)として製造される。一般に、編物製品は、高い弾性を有し、局所的なかみ合い(intermeshing)により、織物よりも緩い。縦方向と横方向の両方における弾性、成形性、伸縮性及び軽量性により、編物製品、特に、経編物は、テキスタイルRFIDラベル用に好適である。編物製品の基材に基づくテキスタイルRFIDラベルは、織物よりもシワが少なく、空気と湿気の良好な交換を可能とする。単糸編物またはかぎ針(crocheted)編物は、かぎ針編み工程または編み工程により製造され、ステッチの各行は、隣接するステッチの行のループにかみ合うループを形成する単糸を有する。編物の場合、例えば、緯編(weft knitting)技術の場合と同様に、同期して作動できる多数の編み針が用いられ、機械的ステッチの形成が編み針の列全体にわたって同時に発生する。経編技術において、平行な経糸は、緯糸を介して縦方向に互いに連結される。
【0016】
本発明によるRFIDトランスポンダのさらなる一部の実施形態によると、平らな糸構造は、経編物の経糸として平らな糸構造に編まれる少なくとも1つの第1ホットメルト接着性ヤーンを有することができる。さらなる一部の実施形態によると、平らな糸構造は、複数の第1ホットメルト接着性ヤーンを有することができ、各々キャリアヤーンを有し、平らな糸構造のエッジ領域、RFIDチップモジュールの領域、及び/または導電性アンテナ糸の領域で平らな糸構造に編まれる。キャリアヤーンが接着剤でコーティングされているホットメルト接着性ヤーンは、一方ではより安定的で、他方ではより多量の接着剤を有する。その結果、このようなキャリアヤーンを有するホットメルト接着性ヤーンは、RFIDトランスポンダに必要な安定性と接着力を提供するために、エッジ、チップモジュールの周辺領域及びトランスポンダアンテナに沿った領域などのRFIDトランスポンダの機械的により強い応力を受ける部品に特に好適である。
【0017】
本発明によるRFIDトランスポンダのさらなる一部の実施形態によると、平らな糸構造は、キャリアヤーンを有しない少なくとも1つの第2ホットメルト接着性ヤーンを有することができる。この場合において、さらなる一部の実施形態によると、平らな糸構造は、キャリアヤーンを有しない複数の第2ホットメルト接着性ヤーンを有することができ、これは、長い緯糸及び/または部分緯糸として平らな糸構造に編まれる。キャリアヤーンを有しないホットメルト接着性ヤーンは、キャリアヤーンを有するホットメルト接着性ヤーンよりも接着力が少なく、より軽い。これにより、機械的安定性を過度に損傷させることなく、RFIDトランスポンダを薄くて柔軟で軽い状態に保つことができる。一部の実施形態において、特に、導電性アンテナ糸の延長部に沿った部分緯糸として、キャリアヤーンを有しないホットメルト接着性ヤーンを平らな糸構造に編むことができる。これは、アンテナ糸にさらなる寸法安定性を提供する。
【0018】
本発明によるRFIDトランスポンダのさらなる一部の実施形態によると、RFIDチップモジュールのチップ結合モジュールアンテナは、ループアンテナであり得る。本発明によるRFIDトランスポンダのさらなる一部の実施形態によると、少なくとも1つの導電性アンテナ糸は、ダイポールアンテナとして長尺状(elongated)または波状(undulating)のトランスポンダアンテナを形成することができる。これに対する代案として、トランスポンダアンテナとして、パッチアンテナの形態で導電性アンテナ糸を設計することも可能であり得る。
【0019】
本発明によるRFIDトランスポンダのさらなる一部の実施形態によると、RFIDチップモジュールは、テキスタイル転写接着剤でコーティングされ、テキスタイル転写接着剤により洗濯時に安全な(wash-proof)やり方でテキスタイルキャリア基材に連結できる。
【0020】
本発明の第3態様による方法の一部の実施形態によると、テキスタイルキャリア基材の製造は、製織または編組を含むことができる。代案として、本発明の第3態様による方法の一部の他の実施形態によると、平らな糸構造は、編物製品、特に、経編物として設計できる。少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンの導入は、それを平らな糸構造に連結することを含むことができる。編物製品は、編物(「単糸編物」ともいう)または糸がループで絡み合っている編物(「ステッチ」ともいう)として製造される。一般に、編物製品は、高い弾性を有し、局所的なかみ合いにより、織物よりも緩い。縦方向と横方向の両方における弾性、成形性、伸縮性及び軽量性により、編物製品、特に、経編物は、テキスタイルRFIDラベル用に好適である。編物製品の基材に基づくテキスタイルRFIDラベルは、織物よりもシワが少なく、空気と湿気の良好な交換を可能とする。単糸編物またはかぎ針編物は、かぎ針編み工程または編み工程により製造され、ステッチの各行は、隣接するステッチの行のループにかみ合うループを形成する単糸を有する。編物の場合、例えば、緯編技術の場合と同様に、同期して作動できる多数の編み針が用いられ、機械的ステッチの形成が編み針の列全体にわたって同時に発生する。経編技術において、平行な経糸は、緯糸を介して縦方向に互いに連結される。
【0021】
本発明の第3態様による方法の一部の実施形態によると、ホットメルト接着性ヤーンは、キャリアヤーンを有することができる。一部の実施形態において、平らな糸構造のエッジ領域、RFIDチップモジュールの領域、及び/または少なくとも1つの導電性アンテナ糸の領域でホットメルト接着性ヤーンが平らな糸構造に編まれることが可能であり得る。これは、ホットメルト接着性ヤーンを溶融させたとき、向上した接着力により各領域における機械的安定性が局所的に強化されるという結果をもたらす。
【0022】
本発明の第3態様による方法の一部の実施形態によると、テキスタイルキャリア基材の製造は、長い緯糸及び/または部分緯糸として、キャリアヤーンを有しない複数のホットメルト接着性ヤーンを平らな糸構造に編むことを含むことができる。
【0023】
本発明の第3態様による方法の一部の実施形態によると、キャリアヤーンを有しない複数のホットメルト接着性ヤーンを編むことは、導電性アンテナ糸の延長部に沿った部分緯糸として、キャリアヤーンを有しないホットメルト接着性ヤーンを平らな糸構造に編むことを含むことができる。
【0024】
前記設計及び開発は、このような組み合わせが有用であれば、必要に応じて互いに組み合わせることができる。本発明のさらに考えられる構成、開発及び実現は、明示的に言及していないものの、実施形態に関して上述したり以下に説明する本発明の特徴の組み合わせも含む。特に、当業者は、本発明の特定の基本形態に改善または補足として個別の態様も追加することができる。
【0025】
以下、概略図に示す実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態による概略的な平面図におけるテキスタイルRFIDトランスポンダを示す。
【
図2】本発明の可能な実施形態により、
図1によるテキスタイルRFIDトランスポンダのキャリア基材の概略的に示される細部事項を示す。
【
図3】本発明のさらなる実施形態により、ラベル付けされるテキスタイルにテキスタイルRFIDトランスポンダを適用するためのホットプレスシステムの機能的な構成要素の概略図である。
【
図4】本発明のさらなる実施形態により、その内部に一体化したRFIDトランスポンダを有するテキスタイルで製造された衣類品目の図示である。
【
図5】本発明のさらなる実施形態により、RFIDトランスポンダを製造するための例示的な方法の抽象的な流れ図を示す。
【
図6】本発明のさらなる実施形態により、ラベル付けされるテキスタイルにテキスタイルRFIDトランスポンダを適用するための例示的な方法の抽象的な流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図面は、本発明の実施形態をさらに理解するためのものである。それらは、本発明の実施形態を示し、詳細な説明と共に本発明の原理及び概念を説明する役割を行う。言及される他の実施形態や多くの利点を図面で示し得る。図面の要素は、必ずしも互いに比例することが示されているわけではない。「上部」、「下部」、「左側」、「右側」、「上」、「下」、「水平」、「垂直」、「前方」、「後方」及び類似する詳細な説明などの方向用語は、説明の目的としてのみ用い、図面に示す特定の実施形態の普遍性を制限するものではない。
【0028】
図面の数字において、特に言及しない限り、同一である要素、特徴及び構成要素、機能的に同一である要素、特徴及び構成要素、同一に作動する要素、特徴及び構成要素は、それぞれ同一の参照符号として提供する。
【0029】
本発明の脈絡におけるRFIDトランスポンダは、実質的に電子メモリチップと、前記メモリチップに結合されモジュール内に一体化したアンテナとを有する電子モジュールである。RFIDトランスポンダは、例えば、125kHz(「低周波」、LF)及び5.8GHz(「超高周波」、SHF)の範囲などの異なる周波数帯域において電磁信号を送受信することができる。一体化したアンテナの設計は、所望の周波数帯域に応じて選択される。約13.56MHz(「高周波」、HF)及び860MHz~960MHz(「超高周波」、UHF)の周波数帯域が特に重要である。
【0030】
UHF周波数帯域は、例えば、HFチャンネルに比べて、これらのチャンネルでさらに広範囲のアクセスや読み取りが達成できるので、物流分野で用いることができる。所望のアクセスや読み取りの範囲、干渉や環境の影響に対する堅牢性、互いに干渉するRFIDトランスポンダに対する堅牢性を保障するために、周波数、アンテナ形状及びアンテナサイズを適切に選択することができる。リーダとRFIDトランスポンダの統合アンテナの間の電磁場を通じて無線インターフェースを設定することができ、これにより、RFIDトランスポンダのメモリチップとリーダのプロセッサの間に指定されたデータ交換プロトコルを用いてデータを無線で交換することができる。
【0031】
本発明の脈絡におけるホットメルト接着性ヤーンは、および10dtex~200dtexの範囲の粗い繊度、及び略80℃~140℃の溶融範囲を有する紡績可能なファイバを含む。本発明の脈絡におけるホットメルト接着性ヤーンは、例えば、ポリアミドモノマーの共重合された三元混合物や共重合されたエチレン酢酸ビニル混合物などの共重合により得られたポリアミドまたはポリエステルを含有することができる。ホットメルト接着性ヤーンの共重合は、例えば、11-アミノウンデカン酸、ラウロラクタム、カプロラクタム、ラウロラクタムまたはヘキサメチレンジアミンからなり、これらのモノマーは、調整可能な溶融温度の紡績可能なヤーンを得るために、窒素雰囲気下で加熱される。溶融温度は、共重合に用いられるモノマーの体積百分率の割合に応じて変わる。
【0032】
本発明の脈絡におけるホットメルト接着性ヤーンは、共重合により得られるポリアミドまたはポリエステルでのみ構成できるが、溶融性ヤーンの構成要素を用いてホットメルト接着性ヤーンの一部のみを形成し、耐熱性ヤーンを用いて他のヤーンを形成することも可能であり得る。これらのキャリアヤーンを「コア」と呼ぶ場合がある。溶融可能なヤーンの構成要素の割合は、所望の溶融特性に応じて変わる。コアは、例えば、約100dtex~800dtexの範囲のより高い繊度を有するエラストマーポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂により形成でき、これは、溶融可能なヤーンの構成要素の溶融範囲の十分に高い耐熱性だけでなく、テキスタイル工程において一般に用いられる界面活性剤及び溶剤に対する優れた耐性を有する。
【0033】
本発明の脈絡におけるホットメルト接着性ヤーンは、例えば、織物または編物製品の製造工程などの従来のテキスタイル加工工程で加工できる。このようなホットメルト接着性ヤーンは、ループ編み、製織、撚糸(twisting)、編むこと(knitting)、編組(braiding)または縫い付けること(sewing)により平らな糸構造に導入できる。ホットメルト接着性ヤーンが導入された平らな糸構造をホットメルト接着性糸の溶融点よりも約10℃~20℃高く短時間加熱すると、溶融可能なヤーンの構成要素のポリマーは、隣接するファイバに流入し始め、平らな糸構造が冷却された後、再度固化する。固化中に、加熱されたポリマーは、結合または接着工程で流入したファイバを結合する。例えば、ホットメルト接着性ヤーンの構成要素を有する2つの異なる平らな糸構造を互いに粘着させるために、熱硬化工程を用いることが可能であり得る。
【0034】
図1は、例えば、テキスタイルラベルとして用いることができるRFIDトランスポンダ20を示す。RFIDトランスポンダ20は、それ自体でテキスタイルラベルを示すことができるか、またはRFIDトランスポンダは、テキスタイルラベル10を形成するために、さらなるラベル基材に装着できる。
【0035】
RFIDトランスポンダ20は、例えば、製織されたまたは編まれたテキスタイル材料で製造されるテキスタイルキャリア基材19を含む。このために、テキスタイルキャリア基材19は、例えば、製織技術、編み技術、編組技術またはループ編み技術を用いて形成できる適切に設計された平らな糸構造16を有することができる。例えば、テキスタイルキャリア基材19は、実質的に矩形の外部輪郭を有することができ、衣類品目に縫い付けたり粘着するために提供できる。
【0036】
例えば、導電性アンテナ糸17で構成されるダイポールアンテナは、テキスタイルキャリア基材19の平らな糸構造16に編まれたり製織され、平らな糸構造16の形成技術に応じて、製織糸、緯糸または経糸として平らな糸構造16に導入できる。ダイポールアンテナは、超高周波遠距離場または高周波遠距離場で信号伝送に用いられる。このために、ダイポールアンテナは、例えば、線状に動いたり、矩形、波形または三角形の波状を有する2つの長尺状アームを有することができる。
図1及び
図2の実施例において、普遍性を制限することなく、トランスポンダアンテナ18としての役割を行う実質的に長尺状の導電性アンテナ糸17の矩形の波状を示している。トランスポンダアンテナ18は、縦方向の延長部に沿ってテキスタイルキャリア基材19の中央領域の一側に開放されたループアンテナ部17をさらに有することができる。また、一部分でのみトランスポンダアンテナ18の2つの長尺状アームに沿って波状または蛇行状の領域を形成することが可能であり得る。ダイポールアンテナアームを折りたたんで蛇行状、フラクタル構造または波状を形成すると、電気的特性に関して良好な折衷案がなされ、同時に、ダイポールアンテナの寸法を省スペース方式で制限することができる。
【0037】
RFIDチップモジュール15は、第1面(
図1の上面、即ち、ビューアに向かう面)でテキスタイルキャリア基材19に適用される。このRFIDチップモジュール15は、チップ結合モジュールアンテナ11(例えば、ループアンテナ)を有する。RFIDチップモジュール15は、モジュールアンテナ11が導電性アンテナ糸17により形成されたトランスポンダアンテナ18に誘導結合される方式で、トランスポンダアンテナ18に関して配置される。RFIDチップモジュール15は、例えば、キャリア基材19の中心に対して中央または側面方向にずれて配置でき、必要に応じて、トランスポンダアンテナ18のループアンテナ部上に配置できる。誘導結合領域は、参照符号13によって
図1に概略的に表示する。
【0038】
例えば、RFIDチップモジュール15は、テキスタイル転写接着剤で下面にコーティングできる。このテキスタイル転写接着剤は、RFIDチップモジュール15の永久的な接着力をテキスタイルキャリア基材19に提供する。特に、RFIDトランスポンダ20がテキスタイルラベルとして或いはテキスタイルラベルに用いられる場合、RFIDチップモジュール15とテキスタイルキャリア基材19との連結を損傷することなく数回洗浄できる方式で、テキスタイル転写接着剤を選択することができる。
【0039】
RFIDチップモジュール15は、例えば、RFIDプロセッサチップ14及びモジュールアンテナ11が配列されるモジュール基材を有することができる。RFIDプロセッサチップ14は、RFID技術により求められるデータ処理ステップを実施するために、例えば、マイクロプロセッサ、FPGAまたはASICなどの適切な電子回路を有することができる。RFIDチップモジュール15は、RFIDプロセッサチップ14に一体化できるデータメモリ(図示せず)をさらに含み、キャパシタなどのRFIDプロセッサチップ14の一時的な作動のための電気エネルギーの仮エネルギー貯蔵所を選択的に含む。
【0040】
モジュール基材は、例えば、1つの材料または様々な材料で構成できる。材料及び材料の組み合わせの例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、FR4及びポリエテールエーテルケトン(PEEK)である。モジュール基材には、モジュール基材と、洗濯サイクルまたはその他従来のテキスタイル処理ステップに対して適用される回路要素とを保護し、RFIDトランスポンダ20の機能性を維持するために、PETフィルム、架橋接着剤及び/または感圧性接着剤(PSA)の多層ラミネートをさらに提供することができる。モジュールアンテナ11は、例えば、ステンシルエッチング、PVD、CVDによりモジュール基材に蒸着されるアルミニウムや銅などの導電性層から形成できる。また、グラフェンや導電性インクなどの導電性材料を適用するための添加剤工程が可能である。
【0041】
図1に示すように、少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンは、テキスタイルキャリア基材19の平らな糸構造16に導入され、
図1で参照符号12によって例として示される。例えば、第1ホットメルト接着性ヤーンは、経編物として設計された平らな糸構造16に経糸12として編むことができる。
【0042】
図2において、複数の第1ホットメルト接着性ヤーンは、例として示され、各々は、経編物の経糸12として平らな糸構造16に編まれる。これらの第1ホットメルト接着性ヤーンは、各々、ホットメルト接着剤で覆われたキャリアヤーンを有することができる。キャリアヤーンを有するホットメルト接着性ヤーンは、一般にキャリアヤーンを有しないホットメルト接着性ヤーンよりもさらに安定的であり、また、単位長さ当たりさらに多量のホットメルト接着剤を有する。キャリアヤーンを有する第1ホットメルト接着性ヤーンは、例えば、より大きな機械的安定性が求められる平らな糸構造16の地点で用いることができる。さらに、単位長さ当たりのホットメルト接着剤の量を増加させると、ラベル付けされるテキスタイル材料により大きな応力を受ける領域の接着力を増加させることができる。より高い機械的安定性が求められる領域は、例えば、平らな糸構造16のエッジ、RFIDチップモジュール15の周辺領域及び/または導電性アンテナ糸17に沿った領域であり得る。
【0043】
図2に示すように、1つ以上の第2ホットメルト接着性ヤーンが平らな糸構造16に導入できる。これらの第2ホットメルト接着性ヤーンは、例えば、キャリアヤーンを有し得ない。キャリアヤーンを有しない第2ホットメルト接着性ヤーンは、例えば、第1及び第2の長い緯糸16a、16b、即ち、経糸を横方向に共に固定する糸として、平らな糸構造16に編むことができる。長い緯糸16a、16bに加えて、ホットメルト接着性ヤーンは、部分緯糸16cとして平らな糸構造16に編むことができる。例えば、RFIDトランスポンダ20をラベル付けされる材料に適用するためのホットプレス工程の場合、導電性アンテナ糸17の局所安定性を向上させ、導電性アンテナ糸17により形成されたトランスポンダアンテナ18の電気送受信特性が延伸、圧縮またはシワにより好ましくなく劣化することを防止するために、導電性アンテナ糸17の平らな糸構造16への延長部に沿った領域で、このような部分緯糸16cが特に有利である。
【0044】
図3は、
図1及び
図2に関して説明したRFIDトランスポンダ20などのテキスタイルRFIDトランスポンダをラベル付けされるテキスタイルに適用するためのホットプレスシステムの機能的な構成要素の概略図を示す。例えば、ホットプレスシステムは、
図4に例として示すように、上着アイテムなどのラベル付けされるテキスタイル10の材料1にRFIDトランスポンダ20を適用するために用いることができる。
【0045】
ホットプレスシステムは、2つのホットプレスプレート2及び3を含み、その間にラベル付けされるテキスタイル材料1が最も低い層として導入される。この上で、RFIDトランスポンダ20のテキスタイルキャリア基材19は、テキスタイルキャリア基材19の第1面がラベル付けされるテキスタイル材料1の方向に向かう方式、即ち、RFIDチップモジュール15がテキスタイルキャリア基材19とラベル付けされるテキスタイル材料1との間に置かれる方式で挿入される。結果として、RFIDトランスポンダ20のより感度が高い部分、即ち、RFIDチップモジュール15は、キャリア基材19と、ラベル付けされるテキスタイル材料1との間にカプセル状で覆われる。これにより、このようなRFIDトランスポンダ20を用いて、上着アイテムの着用者の快適さを増加させ、洗浄中の機械的応力及び化学的応力からRFIDチップモジュール15を保護する。
【0046】
図5は、テキスタイルRFIDトランスポンダを製造するための方法M1の抽象的な流れ図を示す。方法M1は、
図1及び
図2に関して説明したように、特に、テキスタイルRFIDトランスポンを製造するために用いることができる。
【0047】
第1ステップM11において、テキスタイルキャリア基材19が製造され、ここで、少なくとも1つの導電性アンテナ糸17及び少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンが平らな糸構造16に導入される。この製造ステップでは、例えば、製織または編組ステップを含むことができる。代案として、第1ステップM11による製造ステップでは、平らな糸構造16の編みステップをさらに含むことができる。平らな糸構造16が編まれるとき、少なくとも1つの導電性アンテナ糸17及び少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンの導入ステップでは、各場合において、例えば、連結により平らな糸構造16に編まれるステップを含むことができる。複数の異なるホットメルト接着性ヤーンを用いることができ、例えば、キャリアヤーンを有するホットメルト接着性ヤーンを用いることができ、これらは、平らな糸構造16のエッジ領域、RFIDチップモジュール15の領域及び/または導電性アンテナ糸17の領域で平らな糸構造16に編まれる。これに加えて、或いは代案として、キャリアヤーンを有しない1つ以上のホットメルト接着性ヤーンを長い緯糸16a、16bとして用いることができ、及び/または部分緯糸16cはまた平らな糸構造16に編まれる。この場合において、キャリアヤーンを有しないホットメルト接着性ヤーンは、特に、導電性アンテナ糸17の延長部に沿った領域で部分緯糸16cとして好適である。
【0048】
次いで、第2ステップM12において、チップ結合モジュールアンテナ11を有するRFIDチップモジュール15は、モジュールアンテナ11が少なくとも1つの導電性アンテナ糸17により形成されたトランスポンダアンテナ18に誘導結合される方式で、テキスタイルキャリア基材19の第1面に適用される。
【0049】
このような方式で製造されたRFIDトランスポンダ20は、
図4に示す上着10アイテムなどのラベル付けされるテキスタイルにテキスタイルRFIDトランスポンダ20を適用するために、
図6に例として示す方法M2で用いるテキスタイルラベルに或いはテキスタイルラベルとして用いることができる。第1ステップM21として、方法M2は、ラベル付けされるテキスタイル10のテキスタイル材料1上にテキスタイルRFIDトランスポンダ20を置くステップを含む。RFIDトランスポンダ20は、RFIDチップモジュール15がテキスタイルキャリア基材19とテキスタイルファブリック1との間に置かれる方式で、即ち、キャリア基材19の第1面がテキスタイル材料1に向かう方式で配向される。次いで、第2ステップM22において、テキスタイルRFIDトランスポンダ20及びテキスタイル材料1がホットプレスされる。ホットプレスは、所定の時間維持される所定の温度で施される。この場合において、テキスタイルキャリア基材19の少なくとも1つのホットメルト接着性ヤーンの接着剤は、テキスタイル材料1のファイバと接着して融合する。温度は、例えば、110℃~140℃であり得る。ホットプレス工程中、この温度は、例えば、用いられたホットメルト接着性ヤーンのホットメルト接着剤が完全にまたは少なくともほぼ溶融されるよう、5秒~10秒間維持でき、テキスタイル材料1のファイバに流入し、冷却すると、RFIDトランスポンダ20をテキスタイル材料に接着して連結する。
【0050】
上述の詳細な説明において、表現の説得力を高めるために、多様な特徴を1つ以上の例として要約している。しかし、上記説明は単に例示的なものであるだけで、本質的に制限するものではないことを明らかにすべきである。これは、多様な特徴や実施形態のあらゆる代案、修正、等価物を含む役割をする。他の多くの実施例は、上記説明の観点において、当業者にとってその技術的知識に基づいて即刻または直接明らかになるであろう。
【0051】
実施形態は、本発明が基盤とする原理や、できるだけ効果的に実際に実行可能な応用を提示できるように選択し説明している。これにより、当業者は、目的の用途に関して、本発明及びその多様な実施形態を最適に修正して用いることができる。請求範囲及び説明において、用語「含む(including)」及び「有する」は、対応する用語「含む(comprising)」に対する中立的な用語として用いられる。また、用語「a」及び「an」の使用は、原則としてこのように記載された複数の特徴や構成要素を排除してはならない。