(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】連続移植用連続集合鉢体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20240830BHJP
【FI】
A01G9/02 603A
A01G9/02 620A
(21)【出願番号】P 2023540409
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2022029969
(87)【国際公開番号】W WO2023013731
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2021128980
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231981
【氏名又は名称】日本甜菜製糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄基
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 秀和
(72)【発明者】
【氏名】千葉 一彦
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-129968(JP,A)
【文献】特開平8-205687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の六角筒状の個別鉢体を集合してなる連続移植用連続集合鉢体であって、
帯状のシートを幅方向の両側、1/6幅を同一片面に折返し、折返した内面を水溶性接着剤にて貼着して形成される第1折返し部と、その折返しとは反対側に、折返した幅と同一幅に折返し、この折返した内面を水溶性接着剤にて貼着して形成される第2折返し部とを含む連結片を、前記第1折返し部が対向する向きで連結片の全幅の1/2幅分ずらして千鳥状に相互に同数配列し、前記第1折返し部の両側端部を対向する前記第1折返し部に非水溶性接着剤にて貼着した連続体と、
前記第1折返し部と、該第1折返し部に対向する前記第1折返し部との間に形成される個別鉢体とを備え、
前記連続体は、その一端に貼着された、前記連結片を形成する前記シートの全長の略2/3の全長をなす帯状のシートから形成され、蛇腹状に3つの山折りして、一端から順に第1折返し部と第2折返し部と第3折返し部とが形成され、該山折りした部分の内面を水溶性接着剤にて貼着して形成された第1接続片と、
前記連続体の他端に貼着された、前記連結片を形成する前記シートの全長の略1/2の全長をなす帯状のシートから形成され、蛇腹状に2つの山折りして、第1折返し部と第2折返し部とが形成され、該山折りした部分の内面を水溶性接着剤にて貼着して形成された第2接続片と、を備え、
前記第1接続片は、前記シートの一端から略3/4の幅を略均等の幅となるように蛇腹状に2つの山折りして、その一端から順に前記第1折返し部と前記第2折返し部とが形成され、かつ、前記シートの他端から略1/4の幅を略均等の幅となるように山折りして前記第3折返し部が形成され、
前記第2接続片は、前記シートを約三等分に蛇腹状に2つの山折りして前記第1折返し部と前記第2折返し部とが形成され、
前記第1接続片の前記第1折返し部の両側端部と、前記連続体の一端に設けられた前記連結片の前記第1折返し部の両側端部とが非水溶性接着剤にて貼着され、前記連結片の前記第1折返し部と、前記第1折返し部に対向する前記第1接続片の前記第1折返し部との間に個別鉢体が形成され、
前記第2接続片の前記第1折返し部の両側端部と、前記連続体の他端に配置された前記連結片の前記第1折返し部の両側端部とが非水溶性接着剤にて貼着され、前記連結片の前記第1折返し部と、前記第1折返し部に対向する前記第2接続片の前記第1折返し部との間に個別鉢体が形成され、
前記第1接続片の前記第1折返し部の端部が、対向して貼着される前記連結片の略中央に位置し、
前記第2接続片の前記第1折返し部の端部が、対向して貼着される前記連結片の略中央に位置し、
前記連続体を交互に上面の向きを保ったまま180度反転させて多数重ね合せると共に、重ね合せた前記連続体の相互間を水溶性接着剤にて貼着し、
当該上段の連続体の個別鉢体は、当該下段の連続体において隣り合う2つの個別鉢体の中間に位置するように千鳥状に配列され、
一方の前記連続体に設けられた前記第1接続片の前記第3折返し部と、他方の前記連続体に設けられた前記第2接続片の前記第2折返し部とが非水溶性接着剤にて貼着され、
一方の前記連続体の一端に設けられた前記連結片の前記第1折返し部に対向する前記第1接続片の前記第1折返し部の間に形成された前記個別鉢体の中心部と、他方の前記連続体の一端に設けられた前記連結片の前記第1折返し部に対向する前記第2接続片の前記第1折返し部の間に形成された前記個別鉢体の中心部とが千鳥状に配列されることを特徴とする連続移植用連続集合鉢体。
【請求項2】
前記連結片に、六角筒状の前記個別鉢体の稜の位置にミシン目を形成することを特徴とする請求項1に記載の連続移植用連続集合鉢体。
【請求項3】
複数の六角筒状の個別鉢体を集合してなる連続移植用連続集合鉢体の製造方法であって、
帯状のシートを幅方向の両側、1/6幅を同一片面に折返し、折返した内面を水溶性接着剤にて貼着して形成される第1折返し部と、その折返しとは反対側に、折返した幅と同一幅に折返し、この折返した内面を水溶性接着剤にて貼着して形成される第2折返し部とを含む連結片を形成する第一次工程と、
前記第1折返し部が対向する向きで連結片の全幅の1/2幅分ずらして千鳥状に相互に同数配列し、前記第1折返し部の両側端部を対向する前記第1折返し部に非水溶性接着剤にて貼着して、連続体を形成すると共に、前記第1折返し部と、該第1折返し部に対向する前記第1折返し部との間に、個別鉢体を形成する第二次工程と、
前記連続体を交互に上面の向きを保ったまま180度反転させて多数重ね合せると共に、重ね合せた前記連続体の相互間を水溶性接着剤にて貼着する第三次工程と、を含み、
前記第二次工程には、前記連結片を形成する前記シートの全長の略2/3の全長をなす帯状のシートから形成され、蛇腹状に3つの山折りして、一端から順に第1折返し部と第2折返し部と第3折返し部とが形成され、該山折りした部分の内面を水溶性接着剤にて貼着して形成された第1接続片を前記連続体の一端に貼着し、
前記連結片を形成する前記シートの全長の略1/2の全長をなす帯状のシートから形成され、蛇腹状に2つの山折りして、第1折返し部と第2折返し部とが形成され、該山折りした部分の内面を水溶性接着剤にて貼着して形成された第2接続片を前記連続体の他端に貼着する工程を含み、
前記第1接続片は、前記シートの一端から略3/4の幅を略均等の幅となるように蛇腹状に2つの山折りして、その一端から順に前記第1折返し部と前記第2折返し部とを形成し、かつ、前記シートの他端から略1/4の幅を略均等の幅となるように山折りして、前記第3折返し部を形成して、
前記第2接続片は、前記シートを約三等分に蛇腹状に2つの山折りして前記第1折返し部と前記第2折返し部とを形成し、
前記第1接続片の前記第1折返し部の両側端部と、前記連続体の一端に設けられた前記連結片の前記第1折返し部の両側端部とを非水溶性接着剤にて貼着し、前記連結片の前記第1折返し部と、前記第1折返し部に対向する前記第1接続片の前記第1折返し部との間に個別鉢体を形成し、
前記第2接続片の前記第1折返し部の両側端部と、前記連続体の他端に配置された前記連結片の前記第1折返し部の両側端部とを非水溶性接着剤にて貼着し、前記連結片の前記第1折返し部と、前記第1折返し部に対向する前記第2接続片の前記第1折返し部との間に個別鉢体を形成し、
前記第1接続片の前記第1折返し部の端部が、対向して貼着される前記連結片の略中央に位置し、
前記第2接続片の前記第1折返し部の端部が、対向して貼着される前記連結片の略中央に位置し、
前記第三次工程は、一方の前記連続体に設けられた前記第1接続片の前記第3折返し部と、他方の前記連続体に設けられた前記第2接続片の前記第2折返し部とが非水溶性接着剤にて貼着することを含み、
一方の前記連続体の一端に設けられた前記連結片の前記第1折返し部に対向する前記第1接続片の前記第1折返し部の間に形成された前記個別鉢体の中心部と、他方の前記連続体の一端に設けられた前記連結片の前記第1折返し部に対向する前記第2接続片の前記第1折返し部の間に形成された前記個別鉢体の中心部とを千鳥状に配列し、
一方の前記連続体の個別鉢体は、他方の前記連続体において隣り合う2つの個別鉢体の中間に位置するように千鳥状に配列する、ことを特徴とする連続移植用連続集合鉢体の製造方法。
【請求項4】
前記第二次工程には、前記連結片に、六角筒状の前記個別鉢体の稜の位置にミシン目を形成することを特徴とする請求項3に記載の連続移植用連続集合鉢体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜、花卉等の作物の育苗、移植に用いる連続移植用連続集合鉢体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙または紙のようなシートを展開することにより形成される四角または六角筒状の個別鉢体を連結片にて連結して連続体となし、連続体を重ね合せると共に、重ね合せた連続体の相互間を水溶性接着剤にて貼着してなる育苗移植用連続集合鉢体が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。このような育苗移植用連続集合鉢体は、保管時に圧扁状態として、使用時に展開することでハニカム状に多数の個別鉢体が密に集合した状態で出現し、個別鉢体に栽培土を充填してこれに播種することにより集中的に多数の苗を育成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-129968号公報
【文献】特開平8-205687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された育苗移植用連続集合鉢体では、密に集合させる必要上、連結片の長さが個別鉢体の一側面(六角筒状の1辺分)の幅と同等~略7倍に設定されており、簡易移植機を用いて連続的に苗を植付けようとすると、その株間間隔は連結片の長さによって制限され、育苗作物の種類によっては株間間隔が狭すぎて、作物の育苗、移植に用いることができないという問題がある。
【0005】
特許文献2に記載された育苗移植用連続集合鉢体では、連結片に個別鉢体の一側面の幅より長い増長部分を設けているが、連結片の増長部分の折畳み部分への潅水の浸透が不足し、育苗中における水溶性接着剤の退化が不十分となって、移植時に連結片の折畳み部分が円滑に分離、伸長せず、株間間隔にバラツキが生じ易い。また、連結片の増長部分を折畳んで相互に接着剤により貼着しなければならないことに加え、この折畳み部分を個別鉢体に貼着しなければならないため、製造が煩雑になり、製造コストが高くなるという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、株間間隔が広い育苗作物に対応することができ、製造が容易であり、製造コストを抑えた連続移植用連続集合鉢体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の連続移植用連続集合鉢体は、複数の六角筒状の個別鉢体を集合してなる連続移植用連続集合鉢体であって、帯状のシートを幅方向の両側、1/6幅を同一片面に折返し、折返した内面を水溶性接着剤にて貼着して形成される第1折返し部と、その折返しとは反対側に、折返した幅と同一幅に折返し、この折返した内面を水溶性接着剤にて貼着して形成される第2折返し部とを含む連結片を、前記第1折返し部が対向する向きで千鳥状に配列し、前記第1折返し部の両側端部を対向する前記第1折返し部に非水溶性接着剤にて貼着した連続体と、前記第1折返し部と、該第1折返し部に対向する前記第1折返し部との間に形成される個別鉢体とを備えることを特徴とする。
また、本発明の連続移植用連続集合鉢体の製造方法は、複数の六角筒状の個別鉢体を集合してなる連続移植用連続集合鉢体の製造方法であって、帯状のシートを幅方向の両側、1/6幅を同一片面に折返し、折返した内面を水溶性接着剤にて貼着して形成される第1折返し部と、その折返しとは反対側に、折返した幅と同一幅に折返し、この折返した内面を水溶性接着剤にて貼着して形成される第2折返し部とを含む連結片を形成する第一次工程と、前記第1折返し部が対向する向きで千鳥状に配列し、前記第1折返し部の両側端部を対向する前記第1折返し部に非水溶性接着剤にて貼着して、連続体を形成すると共に、前記第1折返し部と、該第1折返し部に対向する前記第1折返し部との間に、個別鉢体を形成する第二次工程と、前記連続体を交互に上面の向きを保ったまま180度反転させて多数重ね合せると共に、重ね合せた前記連続体の相互間を水溶性接着剤にて貼着する第三次工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、株間間隔が広い育苗作物に対応することができ、製造が容易であり、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る連続移植用連続集合鉢体の構造の概略平面図である。
【
図2】
図1の連続移植用連続集合鉢体の圧扁状態を示す模式図である。
【
図3】
図1の連続移植用連続集合鉢体の引き出し状態を示す模式図である。
【
図4】
図2に示す連続移植用連続集合鉢体を製造する工程を示す概略図である。
【
図5】
図2に示す連続移植用連続集合鉢体の連結片の折り返し工程を示す概略図である。
【
図6】
図2に示す連続移植用連続集合鉢体の第1接続片の折り返し工程を示す概略図である。
【
図7】
図2に示す連続移植用連続集合鉢体の第2接続片の折り返し工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を添付した図を参照して説明する。添付した図については、図中の符号の向きにあわせて、図の上下左右などの位置を定めることとする。
図1及び
図2に示すように、連続移植用連続集合鉢体1(以下、連続集合鉢体という)は、複数の六角筒状の個別鉢体11を集合させたものであり、複数の連結片3と、第1接続片5と、第2接続片7とを連結した連続体ユニット9を交互に180度反転(転回)させて多数重ね合せ、その相互間を水溶性接着剤21にて貼着することにより形成される。
【0011】
連結片3は、
図2に示すように、矩形帯状のシートを、シートの幅方向(
図2の左右方向)に折返してなる断面視略Ω字型の形状を呈する。連結片3は、
図2及び
図5に示すように、帯状のシートの幅方向(
図2の左右方向)の両側、略1/6幅を同一片面に折返し、折返した内面を水溶性接着剤21にて貼着して形成される第1折返し部3aと、その折返しとは反対側に、折返した幅と略同一幅に折返し、この折返しの内面を水溶性接着剤21にて貼着して形成される第2折返し部3bとを備える。連結片3の幅W2(
図2参照)は、個別鉢体11の一側面(六角筒状の1辺)の幅W1(
図1参照)の略7倍に設定されている。
【0012】
第1接続片5は、連結片3を形成するシートの全長の略2/3の全長をなす帯状のシートから形成され、蛇腹状に3つの山折りが形成された形状からなる。具体的には、
図2及び
図6に示すように、第1接続片5は、シートの幅方向の一端から略3/4の幅を略均等の幅となるように2つの山折り、すなわち、外三つ折り(Z字型折り)して、その一端から順に第1折返し部5a及び第2折返し部5bが形成され、この第1折返し部5a及び第2折返し部5b(外三つ折りした部分)のそれぞれの内面を水溶性接着剤21にて貼着しつつ、シートの幅方向の他端から略1/4の幅を略均等の幅となるように山折りして、第3折返し部5cを形成し、この第3折返し部5c(山折りした部分)の内面を水溶性接着剤21にて貼着することにより形成される。第1接続片5の幅W3(
図2参照)は、個別鉢体11の一側面の幅W1の略5.3倍に設定されている。
【0013】
第2接続片7は、連結片3を形成するシートの全長の略1/2の全長をなす帯状のシートから形成され、蛇腹状に2つの山折りが形成された形状からなる。具体的には、
図2及び
図7に示すように、第2接続片7は、シートを約三等分に外三つ折りして、第1折返し部7a及び第2折返し部7bが形成され、この第1折返し部7a及び第2折返し部7b(外三つ折りした部分)の内面を水溶性接着剤21にて貼着することにより形成される。第2接続片7の幅W4(
図2参照)は、個別鉢体11の一側面の幅W1の略3.5倍に設定されている。
【0014】
次に、連続体ユニット9について説明する。
図2に示すように、連続体ユニット9は、複数の連結片3からなる連続体13と、第1接続片5と、第2接続片7とを貼着することで構成される。具体的には、連結片3の第1折返し部3aと、相対する連結片3の第1折返し部3aとが対向する向きで、1/2ピッチ(1ピッチは、連結片3の全幅に略等間隔)ずらして、2列に千鳥状をなすように所定数配列し(図示では、4つ配列)、連結片3の第1折返し部3aと、この第1折返し部3aと対向する第1折返し部3aとの両側端部を非水溶性接着剤23にて貼着する。その結果、複数の連結片3による連続体13が構成される。そして、連続体13の両側端部(連結片3の第1折返し部3a)と、第1接続片5の第1折返し部5a及び第2接続片7の第1折返し部7aとを非水溶性接着剤23にてを貼着する。具体的には、外三つ折りによって形成された第1接続片5の第1折返し部5aが、一側(
図2の左側)の連結片3の第1折返し部3aに対向する向きで配置しつつ、第1接続片5の第1折返し部5aの端部が連結片3の略中央に位置するように、一側の連結片3の第1折返し部3aと、第1接続片5の第1折返し部5aとの両端部を非水溶性接着剤23にて貼着する。また、第2接続片7の第1折返し部7aを他側(
図2の右側)の連結片3の第1折返し部3aに対向する向きで配置しつつ、第2接続片7の第1折返し部7aの端部が連結片3の略中央に位置するように、他側の連結片3の第1折返し部3aと、第2接続片7の第1折返し部7aとの両端部を非水溶性接着剤23にて貼着する。これにより、連続体13(複数の連結片3)と、第1接続片5と、第2接続片7とが連結されて、1つの連続体ユニット9が形成される。このとき、連結片3の第1折返し部3aと、この第1折返し部3aに対向する第1折返し部3aとの間に、連結片3の第1折返し部3aと、第1折返し部3aに対向する第1接続片5の第1折返し部5aとの間に、及び、連結片3の第1折返し部3aと、第1折返し部3aに対向する第2接続片7の第1折返し部7aとの間に、個別鉢体11が形成される。具体的には、非水溶性接着剤23にて貼着した箇所(貼着部)間に形成される未貼着部が個別鉢体11として供与される。
【0015】
なお、所定数の連続体ユニット9を交互に上面の向きを保ったまま180度反転(転回)させて重ね合せて、その相互間を水溶性接着剤21(図示省略)にて貼着し、さらに、一の連続体ユニット9の第1接続片5の第3折返し部5cと、この連続体ユニット9に重ね合うことにより貼着する他の連続体ユニット9の第2接続片7の第2折返し部7bが、非水溶性接着剤23(
図2の左側)にて貼着することにより、連続集合鉢体1(
図2では、2つの連続体ユニット9からなる連続集合鉢体1)が形成される。このとき、一の連続体ユニット9の一側端部となる第1接続片5の第3折返し部5cの稜線と、この連続体ユニット9に重ね合うことにより貼着する他の連続体ユニット9の一側端部となる第2接続片7の第2折返し部7bの端部が、上下に重なり合うように配置することにより、未貼着部(個別鉢体11)は、
図2に示すように、未貼着部の中心部がその上段及び下段の連続体ユニット9,9における隣り合う2つの未貼着部間の中間に位置するように千鳥状に配列される。
【0016】
連続集合鉢体1は、保管時、圧扁状態(
図2参照)で提供される。また、連続集合鉢体1の育苗時には、圧扁状態から展開、すなわち、連続集合鉢体1の積層方向に引き伸ばされることにより、
図1に示すように、多数の個別鉢体11がハニカム状に展開し、集合した状態で出現する。さらに、育苗後の移植時では、連続集合鉢体1を引き出し方向に引き伸ばすことで、連結片3、第1接続片5及び第2接続片7の圧扁状態が解除されて、各個別鉢体11が一列に引き出される(
図3参照)。このとき、第1接続片5と第2接続片7との、非水溶性接着剤23の貼着部の貼着面、すなわち、第1接続片5の第3折返し部5cと、第2接続片7の第2折返し部7bが、非水溶性接着剤23により貼着することにより形成された貼着面が、個別鉢体11の引出し方向と並行になっている。
【0017】
次に、連続移植用連続集合鉢体1(連続集合鉢体)の製造方法について、
図4~
図7に基づいて説明する。
連続集合鉢体1の製造方法は、
図4に示すように、連結片3、第1接続片5及び第2接続片7を形成する工程S1(第一次工程)と、連結片3、第1接続片5及び第2接続片7とを連結して1つの帯状連続体ユニット61を形成する工程S2(第二次工程)と、連続集合鉢体1を形成する工程S3(第三次工程)とを含む。
【0018】
まず、連結片3、第1接続片5及び第2接続片7を形成する工程S1において、複数の連結片3(図示では2つ)、第1接続片5及び第2接続片7を形成するためのシート33a,33b,34,35(原紙)の各々が巻かれた各原紙ロール31から原紙33a,33b,34,35を引き出し、引き出された各原紙33a,33b,34,35は、それぞれに対応するスリッター37によって所定幅で、かつ、所定枚数の帯状シート39a,39b,40,41に裁断する。その後、各帯状シート39a,39b,40,41は、それぞれに対応する製筒糊付ローラ43及び製筒装置45(成型樋)に順次送られ、製筒糊付ローラ43によって、片面に水溶性接着剤21が塗布されると共に(
図5a,
図6a及び
図7a参照)、製筒装置45によって円筒状に成形される。そして、円筒状に成形された各帯状シート39a,39b,40,41は、圧着ローラ47に送られ、内面が貼着される。その結果、連結片3及び第2接続片7に対応する帯状シート39a,39b,41では、第1折返し部3a,7aが形成され(
図5b及び
図7b参照)、第1接続片5に対応する帯状シート40では、第1折返し部5a及び第3折返し部5cが形成される(
図6b参照)。
【0019】
その後、各折返し部が形成された各帯状シート39a,39b,40,41は、製筒糊付ローラ49、製筒装置51(成型樋)及び圧着ローラ53に順次送られ、製筒糊付ローラ49によって、片面に水溶性接着剤21が塗布されると共に(
図5b,
図6b及び
図7b参照)、製筒装置51によって円筒状に成形されて、圧着ローラ53によって、内面が貼着される。これにより、各帯状シート39a,39b,40,41に第2折返し部3b,5b,7bが形成されて、帯状の連結片55a,55b、帯状の第1接続片57及び帯状の第2接続片59が形成される(
図5c,
図6c及び
図7c参照)。これらが形成された後、第二次工程S2に進む。
【0020】
次に、帯状の連結片55a,55b、帯状の第1接続片57及び帯状の第2接続片59とを連結して1つの帯状連続体ユニット61を形成する工程S2において、帯状の連結片55a,55bは、上下2段に千鳥状に配列され、連結片糊付装置31によって下段の帯状の連結片55bに非水溶性接着剤23が筋状に塗布され、圧扁ローラ63に送られる。そして、圧扁ローラ63によって、帯状の連結片55aと帯状の連結片55bとが貼着されて、帯状の連続体が形成される。このとき、帯状の連続体の一方の端部には、帯状の第1接続片57が配列され、帯状の連続体の他方の端部には、帯状の第2接続片59が配列されており、非水溶性接着剤23にて、帯状の第1接続片57が上段の帯状の連結片55aに貼着され、帯状の第2接続片59が下段の帯状の連結片55bに貼着されている。その結果、帯状連続体ユニット61が形成される。帯状連続体ユニット61が形成された後、第三次工程S3に進む。
【0021】
次に、連続集合鉢体1を形成する工程S3において、帯状連続体ユニット61は、糊付ローラ65及び糊付装置67に順次送られ、糊付ローラ65によって帯状連続体ユニット61の上面に水溶性接着剤21が塗布されると共に、糊付装置67によって、帯状連続体ユニット61の側端に位置する帯状の第2接続片59に非水溶性接着剤23が塗布される。
【0022】
水溶性接着剤21及び非水溶性接着剤23が塗布された帯状連続体ユニット61は、ロータリーカッタ69によって所定幅(個別鉢体11の高さに相当)に切断され、連続体ユニット9が形成される。そして、連続体ユニット9は、反転機71に送られ、反転機71によって一枚おきにその上面の向きを保ったまま180度反転され、積層貼合装置73に送られる。そして、積層貼合装置73にて、連続体ユニット9を相互に水溶性接着剤21及び非水溶性接着剤23を介して積層貼着する。これにより、連続集合鉢体1が形成される(
図2参照)。
【0023】
なお、
図4では略されているが、糊付ローラ65には、帯状連続体ユニット61の送り量を検出する検出器が設けられており、所定量の帯状連続体ユニット61がロータリーカッタ69に送られると、連続体ユニット9の幅(個別鉢体11の高さ)に相当する分だけ、帯状連続体ユニット61の上面に水溶性接着剤21及び非水溶性接着剤23を塗布しないようになっている。これにより、連続体ユニット9は、積層貼合装置73によって、所定枚数積層貼着されるようになり、連続集合鉢体1として1つずつ取出すことが可能になる。
【0024】
本実施形態に係る連続集合鉢体1によれば、次のような作用効果を得ることができる。
展開状態(
図1参照)の連続集合鉢体1の各個別鉢体11で所定日数育苗すると、育苗中の潅水によって、連結片3、第1接続片5及び第2接続片7の折り返し面に塗布された水溶性接着剤21、及び、連続体ユニット9の相互間に塗布された水溶性接着剤21が退化する。これにより、育苗後の移植に際し、連続集合鉢体1の一端を引くと、
図3に示すように、個別鉢体11のそれぞれが一列に引き出されるので、効率のよい植付けが可能になる。
【0025】
また、連続集合鉢体1によれば、個別鉢体11のそれぞれが一列に引き出された際(
図3参照)、個別鉢体11と個別鉢体11との間の長さが、個別鉢体11の一側面(六角筒状の1辺)の幅W1の略15倍となり、広い株間間隔を必要とする作物の栽培に有効に対応することができる。
【0026】
さらに、連続集合鉢体1によれば、第1接続片5の第3折返し部5cと、第2接続片7の第1折返し部7bとを対向する向きに配置して、第1接続片5の第3折返し部5cと、第2接続片7の第2折返し部7bとを非水溶性接着剤23にて貼着することで、個別鉢体11の移植時、第1接続片5と第2接続片7との、非水溶性接着剤23の貼着部の貼着面が、個別鉢体11の引出し方向と並行になり(
図3参照)、十分な強度が確保される。これにより、移植時に貼着部が剥がれることがなく、個別鉢体11の引出しが安定する。
【0027】
連続集合鉢体1によれば、連続体ユニット9を相互に水溶性接着剤21を介して積層貼着する際、貼着部間に形成される未貼着部分(個別鉢体11の形成箇所)が連続集合鉢体1の展開方向に未貼着部の中心部がその上段及び下段の連続体ユニット9,9における隣り合う2つの未貼着部間の中間に位置するように千鳥状に配列されているので、展開方向への開口によって拡張する六角形状の各個別鉢体11が相互に干渉しないため、各個別鉢体11の六角形状を略均一にすることができる。
【0028】
連続集合鉢体1の製造方法によれば、連結片3、第1接続片5及び第2接続片7を形成し、形成した連結片3、第1接続片5及び第2接続片7を非水溶性接着剤23にて貼着することにより、連続体ユニット9が形成され、この連続体ユニット9を相互に水溶性接着剤21を介して積層貼着することで、連続集合鉢体1が形成される。このため、複雑な工程を経ることなく、連続集合鉢体1を容易に製造することができるので、製造コストを抑えると共に、製造精度の向上に寄与することができる。
【0029】
なお、連続集合鉢体1を展開することにより形成される個別鉢体11(六角筒状)の稜に相当する位置に、ミシン目を形成するようにしてもよい。このように、ミシン目を形成する場合、本製造方法の第二次工程S2において、圧扁ローラ63の直後にミシン目加工装置75(
図4参照)を設けて、連続体ユニット9にミシン目を形成することとなる。このように、個別鉢体11の稜にミシン目を形成することで、均等に展開するようになり、展開時に必要となる張力が低減されて作業者の労力が軽減される。なお、ミシン目の切込み幅や間隔などは適宜変更することができるが、個別鉢体11を移植するに際、ミシン目から切断されない強度を有していることが条件となる。
【符号の説明】
【0030】
1…連続移植用連続集合鉢体(連続集合鉢体)、3…連結片、3a…第1折返し部、3b…第2折返し部、5…第1接続片、7…第2接続片、11…個別鉢体、21…水溶性接着剤、23…非水溶性接着剤