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特許7546782無線通信ネットワークの性能を推定する方法、デバイス、コンピュータプログラム製品、及び非一時的情報記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】無線通信ネットワークの性能を推定する方法、デバイス、コンピュータプログラム製品、及び非一時的情報記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/391 20150101AFI20240830BHJP
   H04W 24/06 20090101ALI20240830BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20240830BHJP
【FI】
H04B17/391
H04W24/06
H04W16/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023546734
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2021046655
(87)【国際公開番号】W WO2022158194
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】21305079.2
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03716506(EP,A1)
【文献】特開2016-136714(JP,A)
【文献】Chittabrata Ghosh, et al.,Markov Chain Existence and Hidden Markov Models in Spectrum Sensing,2009 IEEE International Conference on Pervasive Computing and Communications,IEEE,2009年03月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/391
H04W 24/06
H04W 16/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の時間-周波数リソース割り当てに関する無線通信ネットワークの性能を推定する方法であって、前記無線通信ネットワークにおける通信は、周波数ホッピングシーケンスに従って定義された時間リソース及び周波数リソースのサブセット上で行われ、
前記通信は、干渉体が時刻tにおいて活性であるか否かを示す2値確率変数bによってアクティベーションがモデル化される干渉を受け、離散時間確率過程{bt∈[-∞;+∞]が、有限空間上でのメモリM付きマルコフ連鎖によってモデル化され、Mは正の整数であり、前記方法は、
干渉アクティベーションの連続した観測値
【数1】
の少なくとも1つの集合を受信機から取得することと、
前記干渉アクティベーション
【数2】
の連続した観測値の少なくとも1つの集合に関連付けられた周波数チャネルシーケンス
【数3】
を前記周波数ホッピングシーケンスから求めることであって、
【数4】
は、時刻tにおける通信に用いられる周波数チャネルのインデックスであることと、
求められた周波数チャネルシーケンスに関連付けられたマルコフ連鎖を特定することと、
取得された干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に従って、特定されたマルコフ連鎖の確率の集合を更新することと、
の少なくとも1つの反復を含む、方法。
【請求項2】
更新された確率の集合に応じて、第1の所与の時間-周波数リソース割り当てに関する前記無線通信ネットワークの性能を表すメトリックの値を推定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Npを、タイムスロットに分割された所与の時間窓の間に送信されるパケットの数とし、n(p)を、第pのパケットが送信されるタイムスロットのインデックスとして、第1の所与の時間-周波数リソース割り当て
【数5】
に関する前記無線通信ネットワークの性能を表すメトリックの値を前記更新された確率の集合から推定することは、
+Mを、タイムスロットの数として、全ての可能な干渉アクティベーション構成の少なくとも部分集合
【数6】
の各干渉アクティベーション構成について、
Np個の値
【数7】
を、周波数チャネルシーケンスn(n(p)-M),...,n(n(p))に関連付けられたメモリ付きマルコフ連鎖から取得することであって、ここで、pは1からNpまで変化し、n(n(p))は、前記周波数ホッピングシーケンスに従って定義された前記第pのパケットの送信に使用される周波数チャネルのインデックスであることと、
取得されたNp個の値
【数8】
の積として第1の値を計算することと、
【数9】
に等しい第2の値を取得することであって、ここで、f()は、アプリケーションレイヤにおける前記無線通信ネットワークの性能を表し、
【数10】
であり、
【数11】
は、いずれかの干渉体が活性であるときに周波数チャネルn(n(p))上で測定される信号対雑音比であり、
【数12】
は、いずれの干渉体も活性でないときに周波数チャネルn(n(p))上で測定される信号対雑音比であることと、
前記第1の値と前記第2の値との積として第3の値を計算することと、
前記部分集合の全ての干渉アクティベーション構成にわたって前記第3の値を合算することと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
全ての可能な干渉アクティベーション構成の部分集合
【数13】
の各干渉アクティベーション構成について前記取得されたNp個の値
【数14】
の積として第1の値を計算することは、2分木の実施態様を使用することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
【数15】
であり、ここで、P(・)は、パケットを受信するときのエラーの確率を表す関数である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
【数16】
であり、ここで、D(・)は、時間-周波数リソース上で送信することができるビット数を表す関数である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
前記干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合を受信機から取得することは、少なくとも1つのタイムスロットについて、
干渉プラス雑音レベルを測定することと、
前記測定された干渉プラス雑音レベルを閾値と比較することと、
前記比較に応じて干渉の存在を推論することと、
を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記取得された干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に従って、前記特定されたマルコフ連鎖の確率の集合を更新することは、
前記干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に対応するイベントの全ての発生の数を記憶する値に1単位を加算することと、
前記特定されたマルコフ連鎖の発生の総数に1単位を加算することと、
これらの値に応じて、確率p(b|bt-1,...,bt-M)の前記確率の集合を計算することと、
を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記取得された干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に従って、前記特定されたマルコフ連鎖の確率の集合を更新することは、少なくとも1つの観測値が未知の状態にある場合には、
前記少なくとも1つの観測値が未知の状態にある前記干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に対応する各イベントについて、そのイベントの全ての発生の数を記憶する値に1単位を加算することと、
前記特定されたマルコフ連鎖の発生の総数に1単位を加算することと、
これらの値に応じて、確率p(b|bt-1,...,bt-M)の前記確率の集合を計算することと、
を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
更新された確率の集合に応じて、第2の所与の時間-周波数リソース割り当てに関する前記無線通信ネットワークの性能を表すメトリックの値を推定することと、最良のメトリックの値に関連付けられた時間-周波数リソース割り当ての所与の集合を選択することとを更に含む、請求項2~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
所与の時間周波数リソース割り当てに関する無線通信ネットワークの性能を推定するように構成されるデバイスであって、前記無線通信ネットワークにおける通信は、周波数ホッピングシーケンスに従って定義された時間リソース及び周波数リソースのサブセット上で行われ、
前記通信は、干渉体が時刻tにおいて活性であるか否かを示す2値確率変数bによってアクティベーションがモデル化される干渉を受け、離散時間確率過程{bt∈[-∞;+∞]が、有限空間上でのメモリM付きマルコフ連鎖によってモデル化され、Mは正の整数であり、前記デバイスは、
干渉アクティベーションの連続した観測値
【数17】
の少なくとも1つの集合を受信機から取得することと、
前記干渉アクティベーション
【数18】
の連続した観測値の少なくとも1つの集合に関連付けられた周波数チャネルシーケンス
【数19】
を前記周波数ホッピングシーケンスから求めることであって、
【数20】
は、時刻tにおける通信に用いられる周波数チャネルのインデックスであることと、
前記求められた周波数チャネルシーケンスに関連付けられたマルコフ連鎖を特定することと、
前記取得された干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に従って、前記特定されたマルコフ連鎖の確率の集合を更新することと、
の少なくとも1つの反復を実施するように構成される少なくとも1つのプロセッサを備える、デバイス。
【請求項12】
前記プロセッサは、更新された確率の集合に応じて、第1の所与の時間-周波数リソース割り当てに関する前記無線通信ネットワークの性能を表すメトリックの値を推定するように更に構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
プログラマブルデバイスにロードすることができるプログラムコード命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコード命令が前記プログラマブルデバイスによって実行されると、前記プログラムコード命令は、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法の実施を引き起こす、コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
プログラマブルデバイスにロードすることができるプログラムコード命令を記憶する非一時的情報記憶媒体であって、前記プログラムコード命令が前記プログラマブルデバイスによって前記非一時的情報記憶媒体から読み出されて実行されると、前記プログラムコード命令は、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法の実施を引き起こす、非一時的情報記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態のうちの少なくとも1つは、包括的には、所与の時間-周波数リソース割り当てに関する無線通信ネットワークの性能を推定する方法及びデバイスに関し、より詳細には、無線通信ネットワークにおける通信が、周波数ホッピングシーケンスに従って定められた時間リソース及び周波数リソースのサブセット上で行われる場合における方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
CBTC(無線式列車制御)システム上で動作される無線ネットワークでは、公共の無線周波数帯域を使用する。特に、2.4GHz ISM(産業/科学/医療)周波数帯域は、CBTCシステムで展開される無線ネットワーク用に検討されてきた。しかしながら、この帯域は、多くの無線周波数デバイス(例えば、WiFiホットスポット、マイクロ波機器)によっても広く使用されている。その結果、CBTC無線ネットワークにおける無線伝送は、そのような外部デバイスによる干渉を受ける場合がある。そのような干渉のために、CBTCシステム上のある端末によって送信される多くのパケットが、別の端末によって受信されない場合がある。
【0003】
しかしながら、いくつかのCBTCシステムでは、少なくとも1つのパケットを所定の期間(通常1秒~1.5秒)内に2つの端末間で交換しなければならず、そうでない場合には、CBTCシステムは列車停止手順を開始する。列車の停止は複数の列車の運行に影響を与えるので、列車の停止は、1年に1回以上、10年に1回、更には20年に1回、発生しないことが望ましい。
【0004】
所与の時間フレーム内における列車停止の回数を削減する解決策が開発されている。例えば、列車停止の回数を削減するように、干渉測定値のデータベースに従って時間-周波数リソースを動的に割り当てることが知られている。この目的のために、時間窓内の無線伝送エラーの確率のそれぞれの推定された分布に基づいて無線ネットワークのメトリックを推定することによって、所与のリソース割り当てに関するCBTCシステムの性能を評価することが知られている。しかしながら、このメトリックは、干渉信号の時間/周波数独立性を前提としている。さらに、この仮説は、Wi-Fi干渉体のような広帯域散発的干渉体の場合には有効でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特に、干渉信号が時間及び周波数において相関している場合、例えばWi-Fi干渉体のような広帯域散発的干渉体の場合には、無線ネットワークの性能をより良好に評価するためにメトリックを適切に定義することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1つの実施の形態の全般的な態様によれば、所与の時間-周波数リソース割り当てに関する無線通信ネットワークの性能を推定する方法が開示される。この無線通信ネットワークにおける通信は、周波数ホッピングシーケンスに従って定義された時間リソース及び周波数リソースのサブセット上で行われる。通信は、干渉体が時刻tにおいて活性であるか否かを示す2値確率変数bによってアクティベーションがモデル化される干渉を受け、離散時間確率過程{bt∈[-∞;+∞]が、有限空間上でのメモリM付きマルコフ連鎖によってモデル化される。ここで、Mは整数である。方法は、
干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合を受信機から取得することと、
干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に関連付けられた周波数チャネルシーケンスを周波数ホッピングシーケンスから求めることと、
求められた周波数チャネルシーケンスに関連付けられたマルコフ連鎖を特定することと、
取得された干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に従って、特定されたマルコフ連鎖の確率の集合を更新することと、
の少なくとも1つの反復を含む。
【0007】
この方法は、特に、干渉信号が時間及び周波数において相関している場合、例えばWi-Fi干渉体のような広帯域散発的干渉体の場合には、無線ネットワークの性能の評価を改善する。実際に、学習されたマルコフ連鎖では、干渉の時間/周波数相関を考慮して、周波数ホッピングシステムの所与のリソース上での伝送の性能を推定することが可能になる。
【0008】
一実施の形態において、方法は、更新された確率の集合に応じて、第1の所与の時間-周波数リソース割り当てに関する無線通信ネットワークの性能を表すメトリックの値を推定することを更に含む。
【0009】
一実施の形態において、Npを、タイムスロットに分割された所与の時間窓の間に送信されるパケットの数とし、n(p)を、第pのパケットが送信されるタイムスロットのインデックスとして、第1の所与の時間-周波数リソース割り当て
【数1】
に関する無線通信ネットワークの性能を表すメトリックの値を記更新された確率の集合から推定することは、
+Mを、タイムスロットの数として、全ての可能な干渉アクティベーション構成の少なくとも部分集合
【数2】
の各干渉アクティベーション構成について、
Np個の値
【数3】
を、周波数チャネルシーケンスn(n(p)-M),...,n(n(p))に関連付けられたメモリ付きマルコフ連鎖から取得することである。ここで、pは1からNpまで変化し、n(n(p))は、周波数ホッピングシーケンスに従って定義された第pのパケットの送信に使用される周波数チャネルのインデックスであることと、
取得されたNp個の値
【数4】
の積として第1の値を計算することと、
【数5】
に等しい第2の値を取得することであって、ここで、f()は、アプリケーションレイヤにおける無線通信ネットワークの性能を表し、
【数6】
であり、
【数7】
は、いずれかの干渉体が活性であるときに周波数チャネルn(n(p))上で測定される信号対雑音比であり、
【数8】
は、いずれの干渉体も活性でないときに周波数チャネルn(n(p))上で測定される信号対雑音比であることと、
第1の値と第2の値との積として第3の値を計算することと、
部分集合の全ての干渉アクティベーション構成にわたって第3の値を合算することと、
を含む。
【0010】
一実施の形態において、全ての可能な干渉アクティベーション構成の部分集合
【数9】
の各干渉アクティベーション構成について取得されたNp個の値
【数10】
の積として第1の値を計算することは、2分木の実施態様を使用することを含む。
【0011】
一実施の形態において、
【数11】
である。ここで、P(・)は、パケットを受信するときのエラーの確率を表す関数である。
【0012】
一実施の形態において、
【数12】
である。ここで、D(・)は、時間-周波数リソース上で送信することができるビット数を表す関数である。
【0013】
一実施の形態において、干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合を受信機から取得することは、少なくとも1つのタイムスロットについて、
干渉プラス雑音レベルを測定することと、
測定された干渉プラス雑音レベルを閾値と比較することと、
比較に応じて干渉の存在を推論することと、
を含む。
【0014】
一実施の形態において、取得された干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に従って、特定されたマルコフ連鎖の確率の集合を更新することは、
干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に対応するイベントの全ての発生の数を記憶する値に1単位を加算することと、
特定されたマルコフ連鎖の発生の総数に1単位を加算することと、
これらの値に応じて、確率p(b|bt-1,...,bt-M)の集合を計算することと、
を含む。
【0015】
一実施の形態において、取得された干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に従って、特定されたマルコフ連鎖の確率の集合を更新することは、少なくとも1つの観測値が未知の状態にある場合には、
少なくとも1つの観測値が未知の状態にある干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に対応する各イベントについて、そのイベントの全ての発生の数を記憶する値に1単位を加算することと、
特定されたマルコフ連鎖の発生の総数に1単位を加算することと、
これらの値に応じて、確率p(b|bt-1,...,bt-M)の集合を計算することと、
を含む。
【0016】
一実施の形態において、方法は、更新された確率の集合に応じて、第2の所与の時間-周波数リソース割り当てに関する無線通信ネットワークの性能を表すメトリックの値を推定することと、最良のメトリックの値に関連付けられた時間-周波数リソース割り当ての所与の集合を選択することとを更に含む。
【0017】
少なくとも1つの実施の形態の全般的な態様によれば、所与の時間-周波数リソース割り当てに関する無線通信ネットワークの性能を推定するように構成されるデバイスが開示される。無線通信ネットワークにおける通信は、周波数ホッピングシーケンスに従って定義された時間リソース及び周波数リソースのサブセット上で行われる。通信は、干渉体が時刻tにおいて活性であるか否かを示す2値確率変数bによってアクティベーションがモデル化される干渉を受け、離散時間確率過程{bt∈[-∞;+∞]は、有限空間上でのメモリM付きマルコフ連鎖によってモデル化され、Mは整数である。デバイスは、
干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合を受信機から取得することと、
干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に関連付けられた周波数チャネルシーケンスを周波数ホッピングシーケンスから求めることと、
求められた周波数チャネルシーケンスに関連付けられたマルコフ連鎖を特定することと、
取得された干渉アクティベーションの連続した観測値の少なくとも1つの集合に従って、特定されたマルコフ連鎖の確率の集合を更新することと、
の少なくとも1つの反復を実施するように構成される少なくとも1つのプロセッサを備える。
【0018】
一実施の形態において、プロセッサは、更新された確率の集合に応じて、第1の所与の時間-周波数リソース割り当てに関する無線通信ネットワークの性能を表すメトリックの値を推定するように更に構成される。
【0019】
本発明は、前述の方法の実施をその実施の形態のうちのいずれか1つにおいて引き起こすマイクロプロセッサ等の処理デバイスが読み出して実行することができるプログラムコード命令を含む、通信ネットワークからダウンロードすることができ及び/又は非一時的情報記憶媒体に記憶することができるコンピュータプログラムにも関する。本発明は、そのようなコンピュータプログラムを記憶する非一時的情報記憶媒体にも関する。
【0020】
本発明の特徴は、実施形態の少なくとも1つの例の以下の説明を読むことによってより明らかになる。この説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を実施することができる無線通信ネットワークを概略的に表す図である。
図2】周波数ホッピングシステム上での広帯域散発的干渉の影響を示す図である。
図3】第1の実施形態による、メモリ付きマルコフ連鎖を学習する方法のフローチャートである。
図4】第2の実施形態による、メモリ付きマルコフ連鎖を学習する方法のフローチャートである。
図5】一実施形態による、無線通信ネットワークの性能を推定する方法のフローチャートである。
図6】1つの実施形態による、最重要の条件付き確率の選択に使用される2分木を示す図である。
図7】一実施形態による、無線通信ネットワークにおけるリソース割り当て方法のフローチャートである。
図8】一実施形態による、無線通信ネットワークの通信デバイスを概略的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明を実施することができる、例えばCBTCシグナリングを使用する無線通信ネットワークを概略的に表している。無線式列車制御(CBTC)は、列車と鉄道線路機器との間の通信を交通管理及びインフラストラクチャ制御に利用する鉄道シグナリングシステムである。
【0023】
無線通信ネットワークは、経路、すなわち、列車130が走行している鉄道線路170に沿って配置されたAP110、111を備える。列車に関して開示されている本発明は、例えばバス等の他のタイプの車両にも適用することができ、その場合には、経路はバスが従う既定のルートである。
【0024】
AP110、111は、列車130内に位置する通信デバイス131等の通信デバイスに無線通信ネットワークのサービスを提供する。通信デバイス131は、例えば、モバイル端末又は、列車内に位置するモバイル端末がAPを介して無線通信ネットワークのサービスにアクセスすることを可能にする中継局である。
【0025】
無線通信ネットワークは、例えば、集中型の無線リソース管理機能及び/又は移動管理機能を実施するコアネットワークに実装されるサーバ100を更に備えることができる。
【0026】
AP110、111は、互いに相互接続することができる。したがって、非集中型の無線リソース管理機能及び/又は移動管理機能を実施することができる。
【0027】
静的干渉体150、151、152、153は、列車130の鉄道線路170の十分近くに位置し、AP110、111から列車130内に位置する通信デバイス131へのダウンリンク通信に影響を与える場合がある。そのような干渉体150、151、152、153は、例えば、IEEE802.11標準規格に準拠したWi-Fi(登録商標)アクセスポイントである。
【0028】
他の静的干渉体140、141は、AP110の十分近くに位置し、列車130内に位置する通信デバイス131からAP110へのアップリンク通信に影響を与える場合がある。そのような干渉体140、141は、例えば、IEEE802.11標準規格に準拠したWi-Fi(登録商標)アクセスポイントである。
【0029】
図2は、周波数ホッピングシステム上の広帯域散発的干渉の影響を示している。図2において、周波数帯域は、等しいサイズのNc個の周波数チャネルに分割される。例えば、周波数帯域は80MHz幅であり、それぞれが5MHzの16個のチャネルに分割されている。換言すれば、図2に示すグリッドの各行は、5MHz幅の周波数帯域を表している。周波数キャリアは、例えば、約2.4GHzである。2.4GHzのISM帯域では、Wi-Fi干渉体が最も発生可能性の高いユーザであることに留意すべきである。
【0030】
時間はフレーム期間に分割される。次に、各フレーム期間は、例えば4msの等しいサイズのタイムスロットに分割される。そのようなタイムスロット1つの間の1つの周波数チャネルの使用は、1つの時間リソース及び周波数リソースを定義する。
【0031】
送信は、周波数ホッピングシーケンスに従ってこのグリッドの時間リソース及び周波数リソースを使用して実行される。すなわち、パケットの送信は、周期的パターンによって定義された時間リソース及び周波数リソースのサブセットに対して行われる。したがって、図2において、黒色の正方形は、表された20個のタイムスロットのフレームにわたるそのような周期的な周波数ホッピングシーケンスの説明例を示している。このパターンは、通常、所与の周波数帯域において定められた全てのチャネルの順次使用を並べ換えたものである。言い換えると、周波数ホッピングシーケンスは、タイムスロットに従った周波数チャネルのパターン使用を定義する。したがって、時間リソース及び周波数リソースは、タイムスロットインデックスt及び対応する周波数チャネルインデックスn(t)によって識別される。タイムスロットは、マイナス無限大からプラス無限大までの間でインデックス付けされる。
【0032】
図2において、グレーの長方形P1及びP2は、周波数ホッピングシステムの4つの隣接する5MHzチャネルに対応する20MHz帯域を使用するWi-Fi干渉体のパケットを表している。Wi-Fi干渉体のパケットP1及びP2の時間が、周波数ホッピングシステムによって定義される上述した4つの隣接するチャネルのうちのいずれかの2つの使用の間の通常の期間よりも長い場合には、同じWi-Fiパケットが、所与の時間窓において送信される周波数ホッピングシステムの少なくとも2つのパケットにおいて干渉する。Wi-Fiパケットが、より短いがバーストで送信される場合には、所与の時間窓において送信される周波数ホッピングシステムの少なくとも2つのパケットにおいて干渉が発生する確率は高い。
【0033】
したがって、干渉源にさらされるとともに、周波数ホッピングシステムを時間-周波数リソース割り当てに使用する無線通信ネットワークの性能を適切に評価するには、干渉体の時間/周波数相関を正しくモデル化することが望ましい。この目的のために、メモリ付きマルコフ連鎖が使用され、受信機によって行われる干渉の測定に応じて学習される。
【0034】
アプリケーションレイヤにおける性能は、所与の時間窓の間における一方の端末から他方の端末への少なくとも1つのデータパケットの転送が成功する確率を表す。例えば、アプリケーションレイヤはCBTCに関係し、少なくとも1つのパケットが、所与の時間窓の間に一方の端末から他方の端末に交換されなければならず、そうでない場合には、列車停止手順が開始される。別の例では、アプリケーションレイヤは障害物検出を行う。この特定の場合には、適切な時点で任意の障害物の検出を可能にするために、十分なセンサデータが列車からサーバに送信されなければならない。この直前の例では、アプリケーションレイヤは、CCTV(閉回路テレビ)に関係し、十分なビデオデータが列車とサーバとの間で送信されることが必要である。
【0035】
以下では、時刻インデックスt=0に開始し、N個のタイムスロットに分割される時間窓を考慮する。第tのタイムスロットの間に行われる(その結果、インデックスn(t)の周波数チャネル上で行われる)通信の受信機が経験する信号対雑音比をρで表す。考慮対象のシステムにおけるデータセットの1つの送信は、N個のタイムスロットのサブセット上で送信されるN個のパケットに分割される。第pのパケットが送信されるタイムスロットのインデックスをn(p)で表す。したがって、
【数13】
は、パケットが考慮対象の時間窓の間に送信されるタイムスロットを識別するN個のインデックスの集合を表す。周波数ホッピングシステムが使用されるので、N個のパケットのそれぞれが送信される周波数チャネルは、パケット送信ごとに変化する。第pのパケットの送信に使用される周波数チャネルのインデックスをn(n(p))で表す。
【0036】
特定の実施形態において、干渉体のアクティベーションは、干渉体が時刻tにおいて活性であるか否かを示す2値確率変数bによってモデル化される。離散時間確率過程{bt∈[-∞;+∞]は、有限空間において定義されるメモリM付きマルコフ連鎖によって近似的にモデル化することができる。なお、Mは整数である。Mの値が大きく、通常は10から20までの間にある場合、離散時間確率過程{bt∈[-∞;+∞]は良好に近似される。所与の時間-周波数リソース割り当て
【数14】
に関する無線通信ネットワークの性能は、以下のメトリックを推定することによって評価される。
【数15】
ここで、
【数16】
は、タイムスロットn(p)の間に周波数チャネルn(n(p))上で経験する信号対雑音比であり、確率変数bに関係し、以下のように定義される。
【数17】
ここで、ρactive,nは、何らかの干渉体が周波数チャネルn上で活性であるときに観測される基準信号対雑音比であり、ρinactive,nは、いずれの干渉体も周波数チャネルn上で活性でないときに観測される基準信号対雑音比であり、
【数18】
及び
【数19】
は、時間tに依存しない。
【0037】
一変形形態において、更に、
【数20】
及び
【数21】
は、時間tに依存する。これは、受信機又は送信機が移動している場合に該当する。この変形形態において、信号対雑音比のフィンガープリントデータベース又は予測アルゴリズムを使用して、各時刻インデックスtの
【数22】
及び
【数23】
を得ることができる。そのようなフィンガープリントデータベースは、各周波数チャネルインデックスのそのような信号対雑音比に関するデータ及び空間領域インデックスに関連付けられた空間領域を記憶する。したがって、列車軌道及び周波数ホッピングシーケンスから、
【数24】
及び
【数25】
の2つの値を取得することが可能である。実際、所与の時刻tについて、周波数ホッピングシーケンスは、周波数チャネルインデックスn(t)を提供し、列車軌跡は、列車位置が属する空間領域のインデックスの計算を可能にする列車位置を提供する。
【数26】
及び
【数27】
の2つの値は、周波数チャネルインデックスn(t)と空間領域インデックスとに関連付けられたデータベースエントリーの形で読み込まれる。
【0038】
関数
【数28】
は、例えば、
【数29】
と定義される。ここで、P(・)は、パケットを受信するときのエラーの確率を表す関数である。したがって、この関数は、考慮対象の時間窓の間に送信されたN個のパケットの中でいずれのパケットも受信に成功していない確率を表す。一変形形態において、f()は、
【数30】
と定義される。ここで、D(・)は、時間-周波数リソース上で送信することができるビット数を表す関数である。確率
【数31】
は、周波数ホッピングシステムの構造を本質的に保持する。換言すれば、タイムスロットn(p)-M~n(p)は、周波数ホッピングシーケンスによる周波数チャネルn(n(p)-M),...,n(n(p))に関連付けられる。したがって、関数f()は、アプリケーションレイヤにおける無線通信ネットワークの性能に関係する。
【0039】
(式1)によって定義されるメトリックを推定するには、マルコフ連鎖を学習して確率
【数32】
を得ることが望ましい。
【0040】
図3は、第1の実施形態による、メモリ付きマルコフ連鎖を学習する方法のフローチャートを示している。この無線通信ネットワークにおける通信は、周期的周波数ホッピングシーケンスに従って定義された時間リソース及び周波数リソースのサブセット上で行われる。この周波数ホッピングシーケンスは、TFHの周期を有する。この第1の実施形態において、受信機は、周波数ホッピングシーケンによって事前に定められた周波数チャネル使用に従う全てのタイムスロット上で干渉を測定することができる。
【0041】
この方法はS300から開始する。
【0042】
S302において、干渉アクティベーションの連続した観測値bt-M,...,bの少なくとも1つの集合が取得される。1つの特定の実施形態において、干渉アクティベーションの連続した観測値は、受信機から取得される。実際、受信機は、周波数ホッピングシーケンスによって事前に定められた周波数チャネル使用に従う全てのタイムスロット上の干渉を測定することができる。これらの測定から、受信機は、各タイムスロットtについて、例えば、測定された干渉プラス雑音レベルに対して閾値を適用し、このレベルを2値観測値(干渉の存在/干渉の非存在)に変換することによって干渉アクティベーションの観測値bを求めることができる。干渉プラス雑音レベルが閾値を越えている場合には、干渉は存在するとみなされ、干渉プラス雑音レベルが閾値未満である場合には、干渉は存在しないとみなされる。
【0043】
S304において、干渉アクティベーションの連続した観測値bt-M,...,bの少なくとも1つの集合に関連付けられた周波数チャネルシーケンスn(t-M),...,n(t)が、周波数ホッピングシーケンスから求められる。周波数ホッピングシーケンスから得られる、異なるM+1個の要素からなる周波数チャネルシーケンスn(t-M),...,n(t)の個数をnMCとする。各周波数チャネルシーケンスn(t-M),...,n(t)は、各シーケンスが干渉の時間/周波数相関の特定の構成をモデル化するので、メモリ付きマルコフ連鎖に関連付けられる。したがって、nMC個のメモリ付きマルコフ連鎖が定義される。ここで、2≦nMC≦TFHである。各メモリ付きマルコフ連鎖は、確率p(b|bt-1,...,bt-M)の集合に関連付けられる。nMCは、周波数ホッピングシーケンスに基づいてあらかじめ算出される。S306において、S304において求められた周波数チャネルシーケンスに関連付けられた(nMC個のマルコフ連鎖の中の)メモリ付きマルコフ連鎖が特定される。
【0044】
S308において、特定されたマルコフ連鎖の確率p(b|bt-1,...,bt-M)の集合が、それに応じて更新される。一例として、特定の実施態様において、各メモリ付きマルコフ連鎖は、2M+1個のエントリーを有するベクトルを使用することによって実施され、各エントリーインデックスは、干渉アクティベーションの所与の構成bt-M,...,bに対応し、推定された確率p(b|bt-1,...,bt-M)を記憶する。この場合、S302において取得された干渉アクティベーションの連続した観測値bt-M,...,bの集合に対応する特定されたマルコフ連鎖に関連付けられたベクトルの行が特定されて更新される。更新は、学習プロセスの開始以降のそのようなイベントの全ての発生の数を記憶する値に1単位を加算することと、所与のメモリ付きマルコフ連鎖の発生の総数に1単位を加算することと、これらの2つの値を除算することによってp(b|bt-1,...,bt-M)を計算することとを含む。学習方法の開始時に、確率は0又は1/2M+1に初期化され、発生の数は0に初期化される。一例として、M=1の場合に、ベクトルX=(X1,X2,X3,X4)が記憶される。ここで、X1=p(b=0|bt-1=0)、X2=p(b=0|bt-1=1)、X3=p(b=1|bt-1=0)及びX4=p(b=1|bt-1=1)である。干渉アクティベーションの連続した観測値bt-1=1及びb=0の集合がS302において取得された場合に、X2は更新される。このために、1単位が、学習プロセスの開始以降のイベント(bt-1=1,b=0)の発生の数を記憶する値に加算され、1単位が、所与のメモリ付きマルコフ連鎖の発生の総数に加算され、最後に、全てのp(b|bt-1,...,bt-M)が、イベントの発生の数を発生の総数によって除算することによって計算される。
【0045】
一例では、X2=p(b=0|bt-1=1)=Nb_occurrence(b=0,bt-1=1)/Total_Nb_occurencesである。Total_Nb_occurencesの値は1ずつ増分されるので、新たな値Total_Nb_occurencesを考慮するために、他の全ての確率、すなわちX1、X3及びX4も更新される。
【0046】
一変形形態において、指数平滑関数が使用される(Vが記憶された値である場合に、この値は、新たな値vを用いて、VをV×(1-μ)+v×μに置き換えることによって更新される。ここで、μは、通常は小さなパラメータである)。この場合に、特定された行に記憶された値は、新たな値v=1を使用して更新される一方、他の行は、新たな値v=0を使用して更新される。これによって、発生の総数を記憶せず、除算の実行を回避できる。その場合、確率は合計すると1でなければならないので、確率を使用する前に行の正規化が必要である。
【0047】
この方法はステップS310において終了する。
【0048】
図3の方法は、送信機、例えばAP110、111、サーバ100において実施することもできるし、受信機、例えば通信デバイス131において実施することもできる。一例として、受信機は、干渉アクティベーションの連続した観測値bt-M,...,bの少なくとも1つの集合を取得し、マルコフ連鎖の更新を担当する送信機に送信することができる。一変形形態において、受信機は、干渉アクティベーションの連続した観測値bt-M,...,bの少なくとも1つの集合を取得し、マルコフ連鎖を更新し、更新されたマルコフ連鎖を送信機に送信する。
【0049】
図4は、第2の実施形態による、メモリ付きマルコフ連鎖を学習する方法のフローチャートを示している。この無線通信ネットワークにおける通信は、周期的周波数ホッピングシーケンスに従って定義された時間リソース及び周波数リソースのサブセット上で行われる。この周波数ホッピングシーケンスは、TFHの周期を有する。この方法は、送信機、例えばAP110、111、サーバ100において実施することもできるし、受信機、例えば通信デバイス131において実施することもできる。この方法の開始時に、確率は0又は1/2M+1に初期化され、発生の数は0に初期化される。この実施形態において、受信機は、考慮対象の時間窓のN個のタイムスロットの全てのタイムスロット上の干渉を測定することができない。実際、受信機は、例えば、エネルギーを節約するためにいくつかのタイムスロットの間、オフに切り替わる場合もあるし、送信モードに切り替わる場合もある。この場合、いくつかの情報は欠けているので、すなわち、bt-M,...,bの中のいくつかの値は未知の状態にある場合があるので、干渉アクティベーションbt-M,...,bは一意に定義されないものとすることができる。
【0050】
この方法はS400から開始する。
【0051】
S402において、干渉アクティベーションの連続した観測値bt-M,...,b,...,bの少なくとも1つの集合が取得され、この集合の少なくとも1つの観測値bは未知の状態にある。未知の状態にあるということは、bの値が0であるのか又は1であるのかが未知であることを意味する。1つの特定の実施形態において、干渉アクティベーションの連続した観測値は、受信機から取得される。実際、受信機は、周波数ホッピングシーケンスによって事前に定められた周波数チャネル使用に従う少なくともいくつかのタイムスロット上の干渉を測定することができる。これらの測定から、受信機は、少なくともいくつかのタイムスロットについて、例えば、第jのタイムスロットを除く各タイムスロットについて、干渉アクティベーションの観測値を求めることができる。例えば、受信機は、測定された干渉プラス雑音レベルに対して閾値を適用し、このレベルを2値観測値(干渉の存在/干渉の非存在)に変換することによって干渉アクティベーションの観測値bを求める。干渉プラス雑音レベルが閾値を越えている場合には、干渉は存在するとみなされ、干渉プラス雑音レベルが閾値未満である場合には、干渉は存在しないとみなされる。
【0052】
S404において、干渉アクティベーションの連続した観測値bt-M,...,bの少なくとも1つの集合に関連付けられた周波数チャネルシーケンスn(t-M),...,n(t)が、周波数ホッピングシーケンスから求められる。各周波数チャネルシーケンスn(t-M),...,n(t)は、各シーケンスが干渉の時間/周波数相関の特定の構成を特徴付けるので、メモリ付きマルコフ連鎖に関連付けられる。したがって、nMC個のメモリ付きマルコフ連鎖が定義される。ここで、2≦nMC≦TFHである。各メモリ付きマルコフ連鎖は、確率p(b|bt-1,...,bt-M)の集合に関連付けられる。
【0053】
S406において、S404において求められた周波数チャネルシーケンスに関連付けられた(2≦nMC≦TFHであるnMC個のマルコフ連鎖の中の)メモリ付きマルコフ連鎖が特定される。
【0054】
S408において、特定されたマルコフ連鎖の確率p(b|bt-1,...,bt-M)の集合は、bが未知の状態にあることを考慮して更新される。一例として、特定の実施態様において、各メモリ付きマルコフ連鎖は、2M+1個のエントリーを有するベクトル(主ベクトルとも呼ばれる)を使用することによって実施され、各エントリーインデックスは、干渉アクティベーションの所与の構成bt-M,...,bに対応し、推定された確率p(b|bt-1,...,bt-M)を記憶する。この場合、S402において取得された干渉アクティベーションの連続した観測値bt-M,...,b,...,bの集合と合致する特定されたマルコフ連鎖に関連付けられたベクトルの行が特定されて更新される。1つの観測値bのみが未知である場合には、2つの行p(b|bt-1,...,b=0,...,bt-M)及びp(b|bt-1,...,b=1,...,bt-M)が更新される。更新は、このイベントのそれぞれについて、学習プロセスの開始以降の所与のこのイベントの全ての発生の数を記憶する値に1単位を加算することと、所与のメモリ付きマルコフ連鎖の発生の総数に1単位を加算することと、これらの2つの値を除算することによって2つの確率を計算することとを含む。
【0055】
所与のメモリ付きマルコフ連鎖の発生の総数は1ずつ増分されるので、他の全ての確率も更新される。
【0056】
この方法はステップS410において終了する。
【0057】
図4に関して開示された方法では、単一の観測値bが未知の状態にある。本原理は、2つ以上の未知の観測値に拡張することができる。
【0058】
特定の実施形態において、干渉アクティベーション構成の部分集合のみ、すなわち(式1)におけるメトリックに対して関連した寄与を有するものが、関係のあるものとみなされる。これらの関係のある干渉アクティベーション構成のみを考慮することによって、複雑度及びメモリ使用量の削減が可能になる。例えば、特定されたメモリ付きマルコフ連鎖に関連付けられた干渉アクティベーション構成bt-M,...,bは、以下の場合に関係のあるものとみなされない。
a)
【数33】
が、所与の閾値、例えば10dBを越えている場合。実際、この場合には、信号対雑音比は非常に高いので、エラーレートに与える影響は小さい。したがって、値
【数34】
、より正確には、
【数35】
を計算するのに使用される
【数36】
及び
【数37】
は記憶されない、又は
b)p(b|bt-1,...,bt-M)が、所与の閾値未満、例えば10-5未満である場合。
【0059】
実際、この場合には、他の全ての項が最大値を取る最悪の場合であっても、干渉アクティベーション構成bt-M,...,bは、(式1)におけるメトリックの最終値に影響を与えない。したがって、確率p(b|bt-1,...,bt-M)は、この場合に記憶されない。
【0060】
しかしながら、或る時点において関係のあるものとみなされない干渉アクティベーション構成bt-M,...,bが、例えば、新たな測定値に応じて、将来的に関係のあるものとなる場合がある。したがって、一変形形態において、干渉アクティベーション構成は、一時ベクトルにエントリーとして加えられる。特定されたマルコフ連鎖の関連付けられた確率p(b|bt-1,...,bt-M)は、既定の時間の間又は干渉アクティベーション構成の既定の数の観測値について、特定されたメモリ付きマルコフ連鎖の主ベクトルの場合と同様に更新される。最後に、確率p(b|bt-1,...,bt-M)は、上述の条件b)の成立が確認されない場合には、主ベクトルに挿入される。
【0061】
図5は、一実施形態による、所与の時間-周波数リソース割り当て
【数38】
に関する無線通信ネットワークの性能を推定する方法のフローチャートを示している。学習されたマルコフ連鎖から、(式1)によって定義される推定されたメトリックを計算することが可能である。
【0062】
この方法は、所与の干渉アクティベーション構成
【数39】
を用いてS500から開始する。
【0063】
S502において、Np個の確率値
【数40】
が、周波数チャネルシーケンスn(n(p)-M),...,n(n(p))に関連付けられている記憶されたメモリ付きマルコフ連鎖から取得される。ただし、pは1からNpまで変化する。
【0064】
S504において、以下の積が計算される。
【数41】
【0065】
S506において、1とNとの間の全てのpについて、値
【数42】
が取得される。これらの値
【数43】
は、(式2)に事前に開示したように、測定されるか又はデータベースから読み出される信号対雑音比
【数44】
及び
【数45】
から取得される。次に、値
【数46】
が計算される。一例では、
【数47】
である。別の例では、
【数48】
である。
【0066】
S508において、所与の干渉アクティベーション構成の積C=A*Bが計算される。
【0067】
ステップS502~S508は、全ての干渉アクティベーション構成
【数49】
が考慮されるまで繰り返される(S510)。この方法がS502を通過するごとに、
【数50】
個の干渉アクティベーション構成の中の新たな干渉アクティベーション構成が考慮される。
【0068】
S512において、Cが、全ての干渉アクティベーション構成にわたって合算される。
【0069】
この方法は、S514において終了する。
【0070】
一変形形態において、全ての干渉アクティベーション構成の部分集合のみが考慮される。実際、全ての干渉アクティベーション構成のリストを[bΩ(1),...,bΩ(|Ω|)]∈{0,1}|Ω|に制限することができる。ここで、集合Ωは、以下のように定義される。
【数51】
【0071】
換言すれば、a=n(p)-mとなるようなpが[1,N]に存在するとともにmが[0,M]に存在するときかつそのときに限り、インデックスaはΩに属する。その結果、Ωの最大濃度|Ω|は、全てのインデックス集合[n(p)-M,...,n(p)]が互いに素であるときは(M+1)Nであり、その最小値は、n(p)個の時刻インデックスが連続する整数であるときにM+Nである(それらのインデックスは、異なるパケット送信時刻に対応するので、等しくなるはずはない)。
【0072】
メトリックの値の計算には、考慮対象の時間窓内のタイムスロットのインデックスにメモリM内のものを加えた|Ω|個のタイムスロットのインデックスしか実際に有用でない。したがって、干渉アクティベーション構成のリストは、全ての可能な干渉アクティベーション構成の部分集合である[bΩ(1),...,bΩ(|Ω|)]∈{0,1}|Ω|に制限することができる。
【0073】
この場合に、ステップS502~S508は、この部分集合内の全ての干渉アクティベーション構成が考慮されるまで繰り返される(S510)。この変形形態において、S512において、Cは、部分集合の全ての干渉アクティベーション構成にわたって合算される。
【0074】
特定の実施形態において、最重要(most relevant)確率p(b|bt-1,...,bt-M)が、図6に示すような2分木の実施態様を使用して選択される。これによって、(式1)のメトリック算出複雑度を削減することが可能になる。実際、全ての干渉アクティベーション構成のリストは、[bΩ(1),...,bΩ(|Ω|)]∈{0,1}|Ω|に関する2分木として見ることができ、各葉(すなわち、木の枝の末端)は、
【数52】
に関連付けられる。
【0075】
初期確率値「1」を保持する2分木の根ノードから開始して、bΩ(1)=0及びbΩ(1)=1の2つの枝が生成される。このように生成される各子ノードは、確率p(bΩ(1)|bΩ(1)-1,...,bΩ(1)-M)に関連付けられる。この操作は、以下のように再帰的に繰り返される。bΩ(k-1)に対応する深さk-1において確定された全ての枝から、bΩ(k)=0及びbΩ(k)=1の2つの追加の枝が生成される。この操作の各繰り返し後、Ω(k)=n(pcurrent)となるようなpcurrentが存在するか否かがチェックされる。存在しない場合には、深さk-1に由来する親ノードによって保持される値は、対応する2つの子ノードに関連付けられる。この場合には、確率
【数53】
は、周波数チャネルシーケンスn(n(pcurrent)-M),...,n(n(pcurrent))及び干渉アクティベーション構成
【数54】
に関連付けられたメモリ付きマルコフ連鎖から読み取られる。
【0076】
この読み取り値には、深さk-1に由来する親ノードによって保持される値が乗算され、この乗算の結果の値は、対応する子ノードに関連付けられる。新たな各子ノードについて、この値(すなわち、
【数55】
)が、所与の閾値未満である場合には(例えば、図6におけるP1、P2、P4、P5及びP7)、その枝は継続されず、したがって切断される。図6では、P1、P2、P4、P5及びP7に対応する枝は切断される一方、P3、P6及びP8に対応する枝は継続される。最後に、木の葉に関連付けられ、かつ、所与の閾値を越えている
【数56】
の値のみが残る。したがって、これらの値は、メモリ及び計算リソースを妥当なものに維持する効率的な方法で計算される。
【0077】
一変形形態において、閾値処理を介して枝を切断するのではなく、新たな子ノードに関連付けられる最良の値に対応する所定の数の枝、例えば20個の枝のみが各ステップにおいて保持される。
【0078】
【数57】
を閾値処理することによって、複雑度を制限することが可能になるが、残りの枝が最終的に小さな値
【数58】
に結び付いている場合には、関連付けられた枝をより早期に廃棄することがより適切である。一方、f(・)の一般形を用いると、
【数59】
の全ての値がその計算に必要とされ、f(・)の評価に関与するいずれの枝も切断することができない。したがって、別の実施形態において、f(・)を以下の式
【数60】
のように分解することができる場合に、上述した手順は、
【数61】
に適用される。
(式1)における総和の内項は、
【数62】
と記述することができる。この場合に、全ての干渉アクティベーション構成のリストは、[bΩ(1),...,bΩ(|Ω|)]∈{0,1}|Ω|に関する2分木として見ることができ、各葉(すなわち、木の枝の末端)は、
【数63】
に関連付けられる。
【0079】
その結果、上記で詳述した閾値処理手順を
【数64】
に適用する代わりに、閾値処理手順は、いくつかの枝を切断する閾値を定義することによって、又は、各ステップにおける最良の値に対応する所定の数の枝のみを保存することによって、
【数65】
に直接適用される。なお、pcurrentは現在の深さである。
【0080】
【数66】
は、
【数67】
及び
【数68】
を用いて、上記特性を検証する。
【0081】
学習されたマルコフ連鎖及びその結果として(式1)によって定義される推定されたメトリックは、いくつかの用途、例えばリソース割り当てにおいて使用することができる。
【0082】
図7は、一実施形態による、無線通信ネットワークにおけるリソース割り当て方法のフローチャートを示している。
【0083】
ステップS600において、送信機100は、可能な各リソース割り当て、すなわち、集合
【数69】
のいくつかの構成のメトリックの値を推定する。一例として、送信機は、所定のリソース割り当てのコードブックを有する。
【0084】
任意選択のステップS602において、送信機100は、可能なリソース割り当てを、既定の基準に従って、すなわち、推定されたメトリック値の昇順(又は、メトリックの値が最大化されるのか若しくは最小化されるのかに応じて降順)にソートする。可能なリソース割り当てをソートすることによって、次のステップS604の実行が容易になる。
【0085】
ステップS604において、送信機100は、推定された最良のメトリックの値に関連付けられたリソース割り当てを選択する。最良のメトリック値は、メトリックの値が最大化されるのか又は最小化されるのかに応じて、推定された最も高いメトリックの値又は最も低いメトリックの値とすることができる。f()がPe(・)から定義されている場合には、メトリックの値は最小化される一方、f()がD(・)から定義されている場合には、メトリックの値は最大化される。
【0086】
別の特定の実施形態において、マルコフ連鎖の集合は、地理的エリアの所与の集合の地理的エリアごとにデータベースに記憶される。この場合には、第1の受信機、例えば第1の列車からのフィードバックを使用して、これらの記憶されたマルコフ連鎖を更新することができ、更新されたマルコフ連鎖は、その後の時刻に同じ地理的エリアを横断する第2の受信機、例えば第2の列車のリソース割り当てに使用される。より正確には、第1の受信機において行われた干渉測定の測定値がデータベースに送信され、データベースは、送信された測定値に基づいて、記憶されたマルコフ連鎖を更新する。一変形形態において、新たなマルコフ連鎖が第1の受信機において計算され、データベースに送信される。新たなマルコフ連鎖を受信したデータベースは、記憶された従前のマルコフ連鎖を新たなマルコフ連鎖と取り替えるか又はそれらのマルコフ連鎖を組み合わせる。実際、受信機が移動している場合には、フィードバックが過度に長くなる場合があり、すなわち、受信機の状態が、測定が行われた時刻と、マルコフ連鎖が更新される時刻との間で激変している場合がある。マルコフ連鎖の集合を地理的エリアごとにデータベースに記憶することによって、この問題を解決することが可能になる。
【0087】
別の特定の実施形態において、リソース割り当ては、オンラインスケジューリング技法に従って行われる。この場合に、いくつかの受信機は、送信機と通信することができる。送信機は、次のタイムスロットをどの受信機に割り当てるのかを過去の割り当てに従って決定しなければならない。この場合に、残りの枝の直近のステータスから開始し、受信機のそれぞれに新たなリソースを割り当て、受信機の中で最小値を最大にすることによってリソースをどのユーザに割り当てなければならないのかを決定することに対応する推定されたメトリックを計算することが容易であることから、K最良木計算を使用する一実施態様を使用することができる。より正確には、考慮対象の受信機に関連付けられた従前のN-1個のリソース割り当てn(p),...,n(N-1)が回復され、次の時間リソースn(N)がこの受信機に向けた送信用に割り当てられると仮定される。したがって、式1を計算し、この受信機に関連付けられたメトリック
【数70】
を記憶することが可能である。この動作は、受信機ごとに繰り返される。実施の複雑度は、各受信機にK最良木計算を並列に使用することによって削減することができる。各受信機のメトリックの計算後、現在のリソースは、最良のメトリックを示す受信機に割り当てられる。集合n(p),...,n(N-1)は、それに応じて更新される。
【0088】
一変形形態において、マルコフ連鎖から計算される推定されたメトリック値は、いくつかの特定の構成においてのみ使用される。一例では、送信機が、第1のメトリックの値を、従来どおり、すなわちメモリ付きマルコフ連鎖を使用せずに推定する。この第1の推定されたメトリックの値が受信機に送信される。受信機は、例えば、図3又は図4に関して開示された方法を使用してマルコフ連鎖を学習し、例えば、図5に関して開示された方法を使用してこれらのマルコフ連鎖から第2のメトリックの値を推定する。第1の推定されたメトリックの値と第2の推定されたメトリックの値との間の絶対差が閾値を越えている場合には、受信機は、メトリックの値を推定するのにこれらのマルコフ連鎖を使用するように送信機に通知する。このために、受信機は、リソース割り当てを改善するために、学習されたマルコフ連鎖を送信機に送信することができる。そうでない場合、すなわち、この2つの推定されたメトリックの値の差が閾値未満である場合には、メトリックの値は従来どおりに推定される。この変形形態において、学習されたマルコフ連鎖は、それらを使用することが有益であるいくつかの特定の場合にのみ使用される。これによって、全体的な複雑度を削減することが可能になる。
【0089】
推定されたメトリックは、CBTC無線環境における無線状態の監視等の他の用途に使用することができる。そのような監視は、列車停止イベントの予測を提供するのに使用することができ、したがって、望ましくない状況にあらかじめ対処するのに使用することができる。別の実施形態において、推定されたメトリックは、受信機の仮想的な展開の性能を推定するのに使用することができる。
【0090】
図8は、一実施形態による無線通信ネットワークの通信デバイス750を概略的に表している。通信デバイス750は、AP110等のAPを表したものとすることもできるし、及び/又は、通信デバイス131等の通信デバイスを表したものとすることもできるし、及び/又は、サーバ100を表したものとすることもできる。
【0091】
図示したアーキテクチャによれば、通信デバイス750は、通信バス710によって相互接続された次の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はCPU(中央処理ユニット)700と、RAM(ランダムアクセスメモリ)701と、ROM(リードオンリーメモリ)702と、HDD(ハードディスクドライブ)若しくはSD(セキュアデジタル)カードリーダー703、又は記憶手段に記憶された情報を読み出すように適合された他の任意のデバイスと、少なくとも1つの通信インターフェース704の集合とを備える。
【0092】
少なくとも1つの通信インターフェース704の集合は、通信デバイス750が無線通信ネットワークの少なくとも1つの他の通信デバイスと通信することを可能にする。
【0093】
CPU700は、ROM702又はSDカード等の外部メモリからRAM701内にロードされた命令を実行することが可能である。通信デバイス750に電源が投入された後、CPU700は、RAM701から命令を読み出し、これらの命令を実行することが可能である。これらの命令は、上述した方法のステップのうちのいくつか又は全てをCPU700に実行させ、したがって、通信デバイス750に実行させる1つのコンピュータプログラムを形成する。
【0094】
上述した方法のありとあらゆるステップは、PC(パーソナルコンピュータ)、DSP(デジタル信号プロセッサ)若しくはマイクロコントローラ等のプログラマブルコンピューティング機械によって命令若しくはプログラムのセットの実行によってソフトウェアにおいて実施することもできるし、又は別様に、機械、若しくはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途集積回路)等の専用コンポーネントによってハードウェアにおいて実施することもできる。通信デバイス750は、上述した方法のステップのうちのいくつか又は全てを実行するように構成された電子回路類を備えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8