(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】巡回業務分担システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20240830BHJP
【FI】
G06Q10/0631
(21)【出願番号】P 2024004343
(22)【出願日】2024-01-16
【審査請求日】2024-01-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】飯野 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】紙本 恵吏
(72)【発明者】
【氏名】笹谷 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】久森 政弘
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-227751(JP,A)
【文献】特開2013-254241(JP,A)
【文献】特開平08-297697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の巡回作業員が巡回業務を分担するための巡回順を作成する巡回業務分担システムであって、
1または複数のプロセッサを備え、
前記1または複数のプロセッサは、
巡回先に関する情報と、能力別の作業員の人数とを取得し、
前記巡回先に関する情報と前記能力別の作業員の人数とに基づいて
、当該能力別の作業員の人数に関する項目を含む予め定められた評価項目への違反量に当該評価項目ごとに予め定められた重みを付与した値の合計値を最小化する巡回順を算出する
ことを特徴とする巡回業務分担システム。
【請求項2】
前記予め定められた評価項目は能力が必要な業務を担当する人数に関する項目を含む
ことを特徴とする請求項
1に記載の巡回業務分担システム。
【請求項3】
前記能力別の作業員の人数は、簡単な業務のみを担当する作業員の人数である
ことを特徴とする請求項1に記載の巡回業務分担システム。
【請求項4】
前記簡単な業務のみを担当する作業員は、他の業務もできる作業員、および他の業務はできない作業員を含み、この各々の作業員の人数に対して異なる重み
を付与して前記巡回順を算出する
ことを特徴とする請求項
3に記載の巡回業務分担システム。
【請求項5】
前記能力別の作業員の人数は、特定の能力が必要な業務を実施可能な作業員の人数である
ことを特徴とする請求項1に記載の巡回業務分担システム。
【請求項6】
前記評価項目ごとに予め定められた重みは、当該評価項目の重要度に応じて変更される
ことを特徴とする請求項1に記載の巡回業務分担システム。
【請求項7】
複数の巡回作業員が巡回業務を分担するための巡回順を作成するコンピュータに、
巡回先に関する情報と、能力別の作業員の人数とを取得する機能と、
前記巡回先に関する情報と前記能力別の作業員の人数とに基づいて
、当該能力別の作業員の人数に関する項目を含む予め定められた評価項目への違反量に当該評価項目ごとに予め定められた重みを付与した値の合計値を最小化する巡回順を算出する機能と
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巡回業務分担システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、評価項目の重み付け合計値を目的関数とし、巡回先情報及び巡回作業員制約情報に従って、目的関数を最小化する巡回作業員ごとの巡回順を算出し、算出された巡回順を出力することで、巡回業務を効率的に分担することができる、とする巡回業務分担システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばガス会社等において、約束時間内に各顧客を訪問する巡回業務が行われている。このような巡回業務においては、システムによって効率的に巡回業務を分担するための巡回順を作成することが好ましい。従来の巡回業務分担システムは、業務に当たる作業員の能力を考慮した巡回順を作成するために作業員ごとの能力を個別に入力することが必要となる。作業員ごとの能力情報をすべて入力することは大きな労力が必要となり、また作業員ごとの能力情報は時間によって変動することも問題となる。
本発明は、作業員ごとに能力を入力する場合に比べ、入力作業を軽減して巡回順の算出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、複数の巡回作業員が巡回業務を分担するための巡回順を作成する巡回業務分担システムであって、1または複数のプロセッサを備え、前記1または複数のプロセッサは、巡回先に関する情報と、能力別の作業員の人数とを取得し、前記巡回先に関する情報と前記能力別の作業員の人数とに基づいて、当該能力別の作業員の人数に関する項目を含む予め定められた評価項目への違反量に当該評価項目ごとに予め定められた重みを付与した値の合計値を最小化する巡回順を算出することを特徴とする巡回業務分担システムである。
請求項2に記載の発明は、前記予め定められた評価項目は能力が必要な業務を担当する人数に関する項目を含むことを特徴とする請求項1に記載の巡回業務分担システムである。
請求項3に記載の発明は、前記能力別の作業員の人数は、簡単な業務のみを担当する作業員の人数であることを特徴とする請求項1に記載の巡回業務分担システムである。
請求項4に記載の発明は、前記簡単な業務のみを担当する作業員は、他の業務もできる作業員、および他の業務はできない作業員を含み、この各々の作業員の人数に対して異なる重みを付与して前記巡回順を算出することを特徴とする請求項3に記載の巡回業務分担システムである。
請求項5に記載の発明は、前記能力別の作業員の人数は、特定の能力が必要な業務を実施可能な作業員の人数であることを特徴とする請求項1に記載の巡回業務分担システムである。
請求項6に記載の発明は、前記評価項目ごとに予め定められた重みは、当該評価項目の重要度に応じて変更されることを特徴とする請求項1に記載の巡回業務分担システムである。
請求項7に記載の発明は、複数の巡回作業員が巡回業務を分担するための巡回順を作成するコンピュータに、巡回先に関する情報と、能力別の作業員の人数とを取得する機能と、前記巡回先に関する情報と前記能力別の作業員の人数とに基づいて、当該能力別の作業員の人数に関する項目を含む予め定められた評価項目への違反量に当該評価項目ごとに予め定められた重みを付与した値の合計値を最小化する巡回順を算出する機能とを実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、9の発明によれば、作業員ごとに能力を入力する場合に比べ、入力作業を軽減して巡回順の算出を行うことができる。
請求項2の発明によれば、評価項目ごとの重要度合いを考慮した巡回順を算出することができる。
請求項3の発明によれば、能力別の作業員の人数を考慮した巡回順を算出することができる。
請求項4の発明によれば、簡単な業務のみ実施可能な作業員の人数を考慮した巡回順を算出することができる。
請求項5の発明によれば、簡単な業務のみ実施可能な作業員のうちでも、能力により異なる重み付けを付与することができる。
請求項6の発明によれば、業務に必要な特定の能力を有する作業員の人数を考慮した巡回順を算出することができる。
請求項7の発明によれば、特定の能力が必要な業務を行う人数を最小化することができる。
請求項8の発明によれば、作業員の人数を入力せずとも巡回順を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態に係る巡回業務分担システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る管理サーバおよび端末のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施の形態に係る管理サーバの機能構成例を示す図である。
【
図4】本実施の形態に係る受付情報の例を示す図である。
【
図5】本実施の形態に係るマスタ情報の例を示す図であり、(a)は作業に関するマスタ情報の例を示す図であり、(b)は勤務時間に関するマスタ情報の例を示す図である。
【
図6】本実施の形態に係る案件情報作成部により作成される案件情報の例を示す図である。
【
図7】本実施の形態に係る巡回順を算出する際に実施される処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施の形態に係る評価基準を示す図である。
【
図9】
図7のステップS9において実施される処理を示すフローチャートである。
【
図10】本実施の形態に係る巡回順算出部が作成した巡回順案の例を示す図である。
【
図11】
図10に示す巡回順案における、巡回先が希望する訪問時間に関する項目についての重み付け違反量の計算例を示す図である。
【
図12】
図10に示す巡回順案における、業務に必要な能力に関する項目および巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目についての重み付け違反量の計算例を示す図であり、(a)は重み付け違反量の計算に必要な要素を示す図であり、(b)は評価項目ごとの重み付け違反量を示す図である。
【
図13】変形例に係る評価項目ごとの重み付けの例を示す図である。
【
図14】
図10に示す巡回順案における、業務に必要な能力に関する項目および巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目についての重み付け違反量の変形例に係る計算例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<巡回業務分担システムの構成>
図1は、本実施の形態に係る巡回業務分担システム1の構成例を示す図である。巡回業務分担システム1は、複数の巡回作業員が巡回業務を分担するための巡回順を算出するためのシステムである。
巡回業務分担システム1は、管理サーバ10と、端末30とを備える。管理サーバ10と端末30とは、ネットワーク40を介して接続されている。
【0009】
管理サーバ10は、端末30から巡回先に関する情報および能力別の作業員の人数を取得し、巡回先に関する情報と能力別の作業員の人数とに基づいて作成した巡回順の良さの評価により巡回順を算出する。
管理サーバ10は、例えば、コンピュータにより実現される。管理サーバ10は、単一のコンピュータにより構成しても良いし、複数のコンピュータによる分散処理により実現しても良い。
【0010】
端末30は、ユーザが巡回業務分担システム1を利用するために使用する情報処理装置である。端末30は、巡回先に関する情報および能力別の作業員の人数の入力を受け付ける。端末30は、他の情報処理装置から巡回先に関する情報および能力別の作業員の人数を取得してもよい。端末30は、取得した情報をネットワーク40を介して管理サーバ10に送信する。そして端末30は、管理サーバ10により算出される巡回順をネットワーク40を介して受信し、表示画面上に表示する。
端末30は、例えば、コンピュータ、タブレット型情報端末、その他の情報処理装置により実現される。
【0011】
ネットワーク40は、管理サーバ10と端末30との間の通信を担う情報通信ネットワークである。ネットワーク40は、データの送受信が可能であれば、その種類は特に限定されず、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等として良い。データ通信に用いられる通信回線は、有線であっても無線であってもよい。また、複数のネットワークや通信回線を介して各装置を接続する構成としてもよい。
【0012】
<管理サーバ10および端末30のハードウェア構成>
図2は、本実施の形態に係る管理サーバ10および端末30のハードウェア構成例を示す図である。管理サーバ10および端末30は、プロセッサ51と、ROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53とを備える。プロセッサ51は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、RAM53を作業エリアに使用し、ROM52から読み出したプログラムを実行する。また、管理サーバ10および端末30は、ネットワークに接続するための通信インターフェイス54と、ディスプレイに表示出力を行うための表示機構55とを備える。また、管理サーバ10および端末30は、操作者による入力操作が行われる入力デバイス56を備える。なお、
図2に示す管理サーバ10および端末30の構成は一例にすぎず、本実施形態で用いられるコンピュータは
図2の構成例に限定されるものではない。
【0013】
<管理サーバ10の機能構成>
次に、管理サーバ10の機能構成について説明する。
図3は、本実施の形態に係る管理サーバ10の機能構成例を示す図である。
図3に示すように、管理サーバ10は、作業員情報取得部11と、作業員情報記憶部12と、受付情報取得部13と、受付情報記憶部14と、マスタ情報取得部15と、マスタ情報記憶部16と、案件情報作成部17と、案件情報記憶部18と、巡回順算出部19と、評価項目記憶部20とを備える。
【0014】
作業員情報取得部11は、作業員の人数、予め定められた一の業務のみを担当する作業員の人数、および特定の能力が必要な業務を実施可能な作業員の人数を取得する。予め定められた一の業務のみを担当する作業員の人数および特定の能力が必要な業務を実施可能な作業員の人数は、能力別の作業員の人数の一例である。
予め定められた一の業務とは、例えば閉栓作業等、資格保持者の相対的に少ない特定の資格をその実施に必要としない簡単な業務である。予め定められた一の業務のみを担当する作業員とは、例えば難しい業務を実施することができず、閉栓作業のみ実施可能であるような作業員である。以下において、資格保有者の相対的に少ない特定の資格をその実施に必要としない簡単な業務を「第1のまとめ対象」であると記載する場合がある。
特定の能力が必要な業務とは、例えば作業時間のかかるガス機器を対象とした案件等、その実施に資格保持者の特に少ない難易度の高い資格が必要な業務である。以下において、特定の能力が必要な業務を「第2のまとめ対象」であると記載する場合がある。
作業員情報記憶部12は、作業員情報取得部11が取得した作業員の人数、予め定められた一の業務のみを担当する作業員の人数、および特定の能力が必要な業務を実施可能な作業員の人数の情報を記憶する。
【0015】
受付情報取得部13は、受付情報を取得する。受付情報とは、巡回先から受け付けた依頼内容に関する情報である。受付情報取得部13が取得する受付情報の例について、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態に係る受付情報の例を示す図である。受付情報は、案件番号101と、訪問時間帯開始102と、訪問時間帯終了103と、訪問指定開始時分104と、分類105とを含む。
案件番号101は、案件を識別する番号である。訪問時間帯開始102、訪問時間帯終了103は巡回先が希望する訪問時間の開始時間と終了時間をそれぞれ表している。
図4に示す例においては、「案件番号1」の案件は「9:00」以降に訪問を開始し、「19:00」までに終了する必要がある。
訪問指定開始時分104は、巡回先が訪問を希望する時間である。訪問指定開始時分104は、訪問時間に幅を持たせず、指定時間に巡回先を訪問することを巡回先が希望する場合に入力される。
分類105は、巡回先で実施する業務内容の分類である。
受付情報記憶部14は、受付情報取得部13が取得した受付情報を記憶する。
【0016】
マスタ情報取得部15は、マスタ情報を取得する。マスタ情報とは、例えば巡回先で実施する作業や巡回先の場所、巡回作業員の勤務時間等に関する予め設定された情報である。マスタ情報はユーザにより設定の変更が可能である。マスタ情報取得部15が取得するマスタ情報の例について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係るマスタ情報の例を示す図であり、(a)は作業に関するマスタ情報の例を示す図であり、(b)は勤務時間に関するマスタ情報の例を示す図である。作業に関するマスタ情報は、分類111と、第1のまとめ対象112と、第2のまとめ対象113と、作業時間114とを含む。勤務時間に関するマスタ情報は、始業時間115と、休憩開始時間116と、休憩終了時間117と、帰社時間118とを含む。
【0017】
分類111は、巡回先で実施する業務内容である。
第1のまとめ対象112、第2のまとめ対象113は、それぞれ業務内容が第1のまとめ、第2のまとめ対象であるか否かを示す。
図5(a)に示す例は、「閉栓」は第1のまとめ対象であり、「時間のかかるガス機器」は第2のまとめ対象であることを表している。
作業時間114は、業務の実施に要する時間である。
始業時間115、休憩開始時間116、休憩終了時間117、および帰社時間118は、作業員の勤務時間に関する情報である。
マスタ情報記憶部16は、マスタ情報取得部15が取得したマスタ情報を記憶する。
【0018】
案件情報作成部17は、受付情報記憶部14に記憶された受付情報およびマスタ情報記憶部16に記憶されたマスタ情報に基づいて案件情報を作成する。作成される案件情報の例について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る案件情報作成部17により作成される案件情報の例を示す図である。ここでは、
図4に示す受付情報および
図5に示すマスタ情報に基づいて案件情報が作成される場合の例について説明する。
案件情報は、案件番号131と、訪問時間帯開始132と、訪問時間帯終了133と、訪問指定開始時分134と、第1のまとめ対象135と、第2のまとめ対象136と、滞在合計時間137とを含む。
【0019】
案件番号131、訪問時間帯開始132、訪問時間帯終了133、および訪問指定開始時分134は、
図4に示す受付情報と同様である。
第1のまとめ対象135、第2のまとめ対象136は、それぞれ各案件に含まれる第1のまとめ対象業務、第2のまとめ対象業務の数である。各案件に含まれる第1のまとめ対象業務、第2のまとめ対象業務の数は、
図4に示す分類105と
図5(a)に示す作業に関するマスタ情報とを参照して算出される。例えば、
図6に示す例において、「案件番号1」は第1のまとめ対象業務である閉栓を含むため、第1のまとめ対象135は「1」となる。
滞在合計時間137は、巡回先における業務時間である。滞在合計時間137は、
図4に示す分類105と
図5(a)に示す作業時間114とを参照して算出される。例えば、
図6に示す例において、「案件番号1」は閉栓業務であるため、作業時間114を参照して滞在合計時間137は5分となる。
また、案件情報作成部17は、各案件の住所から案件間の移動にかかる時間を算出する。
案件情報記憶部18は、案件情報作成部17が作成した案件情報および案件間の移動にかかる時間を記憶する。
【0020】
巡回順算出部19は、作業員情報記憶部12に記憶された作業員情報と案件情報記憶部18に記憶された案件情報とに基づいて複数の巡回作業員が巡回業務を分担するための巡回順を算出する。
巡回順算出部19は、予め定められた評価項目の評価の遵守度合いである違反量に評価項目ごとに予め定められた重みを付与した値の合計値を最小化する巡回順を算出する。評価項目としては、例えば(1)巡回先が希望する訪問時間に関する項目、(2)業務に必要な能力に関する項目、(3)巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目がある。
巡回順算出部19は、巡回順作成処理と、巡回順評価処理との二つの処理を繰り返し実施することにより重み付けを行った違反量の合計値を最小化する巡回順を算出する。
評価項目記憶部20は、巡回順算出部19が巡回順を算出する際に使用する評価項目および評価項目ごとに付与された重みを記憶する。
【0021】
なお、本実施の形態に係る巡回業務分担システム1の各機能は、1または複数のプロセッサによって実行される。例えば、管理サーバ10が有する単独のプロセッサで実行されてもよいし、各機能を複数のコンピュータ装置(例えばサーバ等)で実行するように構成することもできる。また、例えば、管理サーバ10は入力された情報を記憶する機能のみを備え、端末30において巡回順の算出が行われる構成としてもよい。また、端末30が有する単独のプロセッサによって実行されるように構成することもできる。
【0022】
<巡回順の算出>
本実施の形態に係る巡回業務分担システム1が巡回順を算出する際に実施される処理の例について、
図7乃至
図13を用いて説明する。
図7は、本実施の形態に係る巡回順を算出する際に実施される処理の流れの例を示すフローチャートである。
図7において、まず、作業員情報取得部11は作業員情報を取得する(ステップS1)。この作業員情報としては、例えば作業員の人数、簡単な業務のみを担当する作業員の人数、および特定の能力が必要な業務を実施可能な作業員の人数等がある。作業員情報取得部11は、例えば端末30の入力デバイス56から、入力されたこれらの作業員情報を取得する。
次に、作業員情報記憶部12は作業員情報を記憶する(ステップS2)。ステップS2において、作業員情報記憶部12は、この作業員情報として、例えば作業員の人数、簡単な業務のみを担当する作業員の人数、および特定の能力が必要な業務を実施可能な作業員の人数を記憶する。
【0023】
次に、受付情報取得部13は受付情報を取得する(ステップS3)。ここでは、例えば巡回先から依頼を受け付けたユーザが端末30の入力デバイス56を介して入力した受付情報が取得される。次に、受付情報記憶部14は受付情報を記憶する(ステップS4)。
次に、マスタ情報取得部15はマスタ情報を取得する(ステップS5)。ここでは、マスタ情報取得部15は、例えば
図5に示すような作業に関するマスタ情報および勤務時間に関するマスタ情報を取得する。次に、マスタ情報記憶部16はマスタ情報を記憶する(ステップS6)。
【0024】
次に、案件情報作成部17は、受付情報記憶部14に記憶された受付情報およびマスタ情報記憶部16に記憶されたマスタ情報に基づいて案件情報を作成する(ステップS7)。案件情報は、案件ごとに、例えば、巡回先が希望する訪問時間、第1のまとめもしくは第2のまとめ対象業務が含まれているか、業務に係る時間に関する情報について、これらのいずれか、またはこれらを幾つかまとめた情報として作成される。
図6にその例を示している。案件情報記憶部18は作成された案件情報を記憶する(ステップS8)。
【0025】
次に、管理サーバ10の巡回順算出部19は、巡回作業員が巡回業務を分担するための巡回順を算出する(ステップS9)。ステップS9において、巡回順算出部19は予め定められた評価項目の評価の遵守度合いである違反量に評価項目ごとに予め定められた重み付けを行った合計値を最小化する巡回順を算出する。以下において、予め定められた評価項目の違反量に評価項目ごとに予め定められた重みを付与した値(違反量に重み計数を掛け合わせた値)を「重み付け違反量」と称する場合がある。巡回順算出部19は重みづけ違反量の合計値を最小化する巡回順を算出する。
【0026】
評価項目ごとの重み付けの例について、
図8を用いて説明する。
図8は、本実施の形態に係る評価基準を示す図であり、本実施の形態に係る評価項目ごとの重み付けの例を示している。
重み番号141は評価項目を識別する番号である。制約条件名142は各重み番号141に対応する評価内容を示す。
重み143は評価項目ごとに付与される重みを示す。重みはユーザにより設定可能であり、重要な評価項目に対しては大きい重みが付与される。例えば、「重み番号1」の評価内容は「作業開始<ご希望時間帯終了」であり、重み143は「100」となっている。この条件に違反すると、その違反量に重み「100」を掛け合わせた値が「重み番号1」に関する重み付け違反量として算出される。また、例えば「重み番号2」の「人数の最小化」のように閾値が定められていない条件については、人数に重み「10」を掛け合わせた値が重み付け違反量として算出される。例えば、巡回業務を10人に分担する巡回順が作成された場合、「重み番号2」に関する重み付け違反量は「100」と算出される。同様に、「重み番号3」の「移動時間の最小化」については、移動時間の合計値に重み「1」を掛け合わせた値が重み付け違反量として算出される。このように、閾値が定められていない条件については、その条件に関するパラメータに重みを掛け合わせた値が重み付け違反量として算出される。なお、このような条件についても、閾値を予め設定し、閾値との差異に基づいて重みづけ違反量を算出する構成としてもよく、また、入力された人数との差異に基づいて重みづけ違反量を算出する構成としてもよい。
【0027】
なお、重み付けは
図8に示すものに限定されない。例えば、ユーザごとに重視する項目は異なる場合があり、重視する項目に付される重みを大きくするなど、付与される重みは適宜変更可能である。また、
図8に示した以外の評価項目を追加してもよく、
図8に示した項目の一部についてのみ適用してもよい。
【0028】
図8に示す例において、重み番号1は、巡回先が希望する訪問時間に関する項目である。重み番号4、5は、業務に必要な能力に関する項目である。重み番号2、3は、巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目である。
巡回先が希望する訪問時間に関する項目は、案件ごとに重みづけ違反量が算出される。業務に必要な能力に関する項目、巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目は、巡回順全体で重みづけ違反量が算出される。
【0029】
次に、
図7のステップS9において実施される処理について、
図9を用いて説明する。
図9は、
図7のステップS9において実施される処理を示すフローチャートである。
図9において、巡回順算出部19は、まず、作業員の人数および案件情報に基づいて仮の巡回順案を作成する(ステップS901)。仮の巡回順の作成方式は特に限定されず、任意の公知の方法により作成されてよい。仮の巡回順は、例えば、案件をランダムに作業員に振り分ける形で作成される。ここでは、仮の巡回順案として
図10に示す巡回順案が作成された場合について説明する。
【0030】
図10は、本実施の形態に係る巡回順算出部19が作成した巡回順案の例を示す図である。
図10に示す例においては、巡回順算出部19は、3人の作業員に案件を分担するための巡回順を作成している。
巡回順は、作業員151と、案件番号152と、作業スケジュール153と、次案件への移動時間154と、ご希望時間155と、第1のまとめ対象156と、第2のまとめ対象157とを含む。
作業員151は、案件を担当する作業員を示す。ここで、作業員151は、実際に作業に当たる作業員と紐付けられていなくともよい。
図10に示す例においては、案件を作業員A、B、Cに振り分けているが、A、B、Cは実際に作業に当たる作業員と紐付けられていない。ユーザは、作成された巡回順に基づき、各分担を個別の作業員へと振り分ける。「A-1」、「A-2」は、それぞれAが担当する一つ目の案件、二つ目の案件に対応する。
【0031】
案件番号152は、案件を識別する番号である。また、「拠点出発」や「休憩」、「拠点到着」等案件以外で時間の管理がされている要素も案件番号152として示される。
作業スケジュール153は、案件ごとのタイムスケジュールである。
図10に示す例においては、例えば、「案件番号311426」は、「11:30~12:30」に実施される予定となる。
次案件への移動時間154は、案件間の移動に要する時間である。
図10に示す例においては、例えば、作業員Aが拠点を出発してから「案件番号311426」を実施する巡回先に到着するまでの移動時間は「30分」である。
ご希望時間155は、巡回先が希望する訪問時間である。
図10に示す例においては、例えば、「案件番号311426」は、「9:00~12:00」の間に訪問することを巡回先が希望している。
【0032】
第1のまとめ対象156、第2のまとめ対象157は、それぞれ各案件に含まれる第1のまとめ対象業務、第2のまとめ対象業務の数である。
図10に示す例においては、例えば、「案件番号311426」は、第1のまとめ対象業務を1つ含んでいる。
【0033】
次に、
図9にて、巡回順算出部19は、案件ごとに巡回先が希望する訪問時間に関する項目の重み付け違反量を算出する(ステップS902)。
案件ごとに巡回先が希望する訪問時間に関する項目の重み付け違反量を算出する例について、
図11を用いて説明する。
図11は、
図10に示す巡回順案における、巡回先が希望する訪問時間に関する項目についての重み付け違反量の計算例を示す図である。
作業員161、案件番号162、作業スケジュール163、ご希望時間164は、
図10に示す作業員151、案件番号152、作業スケジュール153、ご希望時間155と同様であり、案件に対応する部分が示されている。
【0034】
違反量165は、案件ごとに、
図8に示す評価項目のいずれに違反があるのかを示しており、
図8に示す重み付けに従って評価項目ごとに算出される重み付け違反量が示される。
図11においては、巡回先が希望する訪問時間に関する項目が評価対象であり、
図8に示す重み番号1が評価対象である。
図10に示す巡回順案において、例えば、「案件番号311417」は、ご希望時間「13:00~15:00」に対し、作業スケジュールが「15:30~16:00」となっている。これは、
図8に示す重み番号1「作業開始<ご希望時間帯終了」に30分違反している。この違反した分数に、
図8に示す各重み番号に付与された重みを掛け合わせることにより重み付け違反量が算出される。
【0035】
案件ごとの総違反量166は、案件ごとの巡回先が希望する訪問時間に関する項目に対する重み付け違反量の合計値である。
図11に示す例において、例えば、「案件番号311417」は、案件ごとの総違反量166は「3000」となる。
【0036】
次に、
図9にて、巡回順算出部19は、巡回順案全体における業務に必要な能力に関する項目、巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目の重み付け違反量を算出する(ステップS903)。巡回順全体における業務に必要な能力に関する項目、巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目の重み付け違反量を算出する例について、
図12を用いて説明する。
図12は、
図10に示す巡回順案における、業務に必要な能力に関する項目および巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目についての重み付け違反量の計算例を示す図であり、(a)は重み付け違反量の計算に必要な要素を示す図であり、(b)は評価項目ごとの重み付け違反量を示す図である。
作業員181は、案件を担当する作業員を示す。
移動時間182は、各作業員の移動時間である。
図10に示す巡回順案において、例えば、作業員Aの移動時間は30+90+30で「150分」となる。作業員全体の移動時間の合計は「390分」と算出され、この値が重み付け違反量の算出に使用される。
【0037】
第1のまとめ対象だけか183は、各作業員が担当する案件が第1のまとめ対象の業務のみであるか否か、および第1のまとめ対象の業務のみを担当する人数を示す。第2のまとめ対象が含まれているか184は、各作業員が担当する案件が第2のまとめ対象の業務を含んでいるか否か、および第2のまとめ対象の業務を担当する人数を示す。
図10に示す巡回順案において、作業員A、Cが担当する案件はいずれも第2のまとめ対象の業務が含まれており、一方で作業員Bが担当する案件はいずれも第1のまとめ対象の業務である。第1のまとめ対象の業務のみを担当するのは「1人の作業員」であり、第2のまとめ対象の業務を担当するのは「2人の作業員」である。
作業人数185は、案件を担当する作業員の人数である。
図10に示す巡回順案においては、案件を担当する作業員の人数は「3人」である。
【0038】
巡回順案全体にどの違反があるか186は、
図12(a)に示す各要素が
図8に示す評価項目のいずれに違反があるのかを示しており、
図8に示す重み付けに従って評価項目ごとの重み付け違反量が示される。
図12においては、巡回順全体における業務に必要な能力に関する項目、巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目が評価対象であり、
図8に示す重み番号2乃至5が評価対象である。
【0039】
重み番号2に関する重み付け違反量は、作業人数(3人)に、
図8に示す重み(10)を掛け合わせることにより算出される。
重み番号3に関する重み付け違反量は、各作業員の移動時間の合計(390分)に、
図8に示す重み(1)を掛け合わせることにより算出される。
重み番号5に関する重み付け違反量は、第2のまとめ対象の業務を担当する人数(2人)に、
図8に示す重み(1000)を掛け合わせることにより算出される。
【0040】
重み番号4に関する重み付け違反量の計算に当たり、巡回順算出部19は、ユーザにより入力された簡単な業務のみを担当する作業員の人数と、作成された巡回順において第1のまとめ対象の業務のみを担当する作業員の人数とを比較する。
図12においては、簡単な業務のみを担当する作業員の人数が1人として入力された場合について説明する。ユーザにより入力された予め定められた一の業務のみを担当する作業員の人数と、作成された巡回順において第1のまとめ対象の業務のみを担当する作業員の人数との差に、
図8に示す重みを掛け合わせた値が重み付け違反量として算出される。
図12(a)に示すように、
図10に示す巡回順において第1のまとめ対象の業務のみを担当する作業員は1人である。ユーザにより入力された簡単な業務のみを担当する作業員の人数が1人である場合、重み番号4に関する重み付け違反量は(1-1)×1000で0と算出される。
総違反量187は、巡回順全体における業務に必要な能力に関する項目、巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目に対する重み付け違反量の合計値である。
図12に示す例においては、総違反量187は「2420」と算出される。
【0041】
次に、
図9にて、巡回順算出部19は、算出された各重み付け違反量を足し合わせることで巡回順案の各評価項目に対する重み付け違反量の合計値を算出する(ステップS904)。
図10に示す巡回順案において、予め定められた評価項目の違反量に評価項目ごとに予め定められた重みを付与した値の合計値は
図11および
図12において算出された重み付け違反量を合計することにより、「17420」と算出される。この値が、
図10に示す巡回順案の良さを示す評価値となる。評価値が低い巡回順案ほど、大きい重みの付与された評価項目への遵守度合いが高い巡回順案となる。
【0042】
次に、巡回順算出部19は、ステップS901乃至ステップS904の処理が規定の回数以上実施されたか否かを判定する(ステップS905)。規定の回数は予め設定された回数であり、ユーザにより設定可能である。規定の回数以上実施されていない場合(ステップS905でNO)、ステップS901の処理に戻り、新たな巡回順案を作成する。一方、規定の回数以上実施された場合(ステップS905でYES)、巡回順算出部19は、重み付け違反量の合計値を最小化する巡回順を算出する(ステップS906)。ステップS906において、巡回順算出部19は、作成された巡回順案の中で重み付け違反量の合計値が最小のものを巡回順として算出する。
なお、ステップS905において、処理の回数によりステップS901乃至ステップS904の処理を繰り返すか否かを判定しているが、これに限定されない。例えば、処理を実行する時間が予め定められており、予め定められた時間が経過したことにより処理をステップS906に進める構成としてもよい。
また、例えば二回目以降の巡回順案の作成において、先に作成した巡回順案に対し重み付け違反量の合計値が小さくなるような変更を加えて巡回順案を作成するアルゴリズムを使用してもよい。この場合、後に作成された巡回順案の重み付け違反量の合計値が先に作成された巡回順案よりも小さくすることができない場合に、ステップS901乃至ステップS904の処理が終了し、ステップS906の処理へと進む。
【0043】
このように、巡回順算出部19は、巡回順の作成処理(ステップS901)と、巡回順の評価処理(ステップS902乃至ステップS904)とを繰り返し実施することにより、この評価値が最小となる巡回順を探索し、巡回順を算出する。
ユーザは、作成された巡回順に基づき、分担された案件を個別の作業員へと振り分けることができる。
本実施の形態による
図7および
図9に示す処理は、それぞれ管理サーバ10により実行されるプログラムによって実施される。しかし、その実施形態は、その態様に限定されず、複数の機器により分散して実行される他、端末30にプログラムをインストールされて実行される形態でもよい。
【0044】
なお、本実施の形態において、能力別の作業員として、第1のまとめ対象の業務のみを行う作業員、第2のまとめ対象の業務を実施可能な作業員を挙げているが、これに限定されない。例えば、実施に必要な資格を、その取得の難易度に応じてさらに細かく分類し、異なる重みを付与してもよい。
また、
図7のステップS1において、作業員情報取得部11は作業員の人数を取得しない構成としてもよい。この場合、巡回順算出部19は、
図8に示す「人数の最小化」に関する評価項目に基づいて、業務に当たる作業員の人数を最小化する巡回順を算出する。また、巡回順算出部19は、
図8に示す「スキルや資格対象案件の第2のまとめ」に関する評価項目に基づいて、特定の能力が必要な業務を行う作業員の人数を最小化する巡回順を算出することができる。
【0045】
<変形例>
変形例に係る巡回業務分担システム2は、巡回業務分担システム1と同様に、管理サーバ10と端末30とを備え、管理サーバ10と端末30とは、ネットワーク40を介して接続され、これらはそれぞれ巡回業務分担システム1と同様の構成を有する。巡回業務分担システム2は、巡回業務分担システム1と同様に、巡回順の作成処理と巡回順の評価処理とを繰り返し実施することにより巡回順を算出する。
変形例に係る巡回業務分担システム2は、資格保有者の相対的に少ない特定の資格をその実施に必要としない簡単な業務である「第1のまとめ対象」に関する評価項目において、巡回業務分担システム1と異なる。変形例においては、簡単な業務のみを担当する作業員のうち他の業務も実施できる作業員、および他の業務は実施できない作業員の人数を取得し、この各々の作業員の人数に対して異なる重み付けにより巡回順の良さを評価する。
【0046】
変形例に係る評価項目ごとの重み付けの例について、
図13および
図14を用いて説明する。
図13は、変形例に係る評価項目ごとの重み付けの例を示す図である。重み番号191は評価項目を識別する番号である。制約条件名192は各重み番号191に対応する評価内容を示す。重み193は評価項目ごとに付与される重みを示す。
変形例においては、第1のまとめ対象に関する評価項目として、重み番号4「スキルや資格対象案件の第1のまとめ」と、重み番号4´「スキルや資格対象案件の第1のまとめ(希望)」とが設定されている。これ以外の評価項目は、
図8に示す重み付けの例と同様である。
【0047】
重み番号4「スキルや資格対象案件の第1のまとめ」は、ユーザにより入力された簡単な業務のみを担当する作業員のうち他の業務は実施できない作業員の人数に関する評価項目である。重み番号4´「スキルや資格対象案件の第1のまとめ(希望)」は、ユーザにより入力された簡単な業務のみを担当する作業員のうち他の業務も実施できる作業員の人数に関する評価項目である。
これら評価項目に基づいて
図10に示す巡回順案を評価する例について、
図14を用いて説明する。
図14は、
図10に示す巡回順案における、業務に必要な能力に関する項目および巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目についての重み付け違反量の変形例に係る計算例を示す図である。
【0048】
図10に示す巡回順案における重み付け違反量の計算に必要な要素は
図12(a)に示すとおりである。
図14においては、
図12(a)および
図13に基づいて重み付け違反量が計算される。
巡回順案全体にどの違反があるか201は、
図12(a)に示す各要素が
図13に示す評価項目のいずれに違反があるのかを示しており、
図13に示す重み付けに従って評価項目ごとの重み付け違反量が示される。
図14においては、巡回順全体における業務に必要な能力に関する項目、巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目が評価対象であり、
図13に示す重み番号2、3、4、4´、5が評価対象である。
【0049】
図14においては、簡単な業務のみを担当する作業員のうち、他の業務も実施できる作業員が2人、他の業務は実施できない作業員が1人として入力された場合について説明する。
重み番号4に関する重み付け違反量の計算に当たり、巡回順算出部19は、ユーザにより入力された簡単な業務のみを担当する作業員のうち他の業務は実施できない作業員の人数と、作成された巡回順において第1のまとめ対象の業務のみを担当する作業員の人数とを比較する。
図12(a)に示すように、
図10に示す巡回順において第1のまとめ対象の業務のみを担当する作業員は1人である。ユーザにより入力された簡単な業務のみを担当する作業員のうち他の業務は実施できない作業員の人数が1人である場合、重み番号4に関する重み付け違反量は(1-1)×1000で0と算出される。
【0050】
重み番号4´に関する重み付け違反量の計算に当たり、巡回順算出部19は、ユーザにより入力された簡単な業務のみを担当する作業員のうち他の業務も実施できる作業員の人数と、作成された巡回順において第1のまとめ対象の業務のみを担当する作業員の人数とを比較する。
図12(a)に示すように、
図10に示す巡回順案において第1のまとめ対象の業務のみを担当する作業員は1人である。ユーザにより入力された簡単な業務のみを担当する作業員のうち他の業務も実施できる作業員の人数が2人である場合、重み番号4´に関する重み付け違反量は(2-1)×10で10と算出される。
重み番号2、3、5に関する重み付け違反量は
図12(b)に示す例と同様に計算される。
総違反量202は、巡回順全体における業務に必要な能力に関する項目、巡回業務に当たる作業員の人数および移動時間に関する項目に対する重み付け違反量の合計値である。
図14に示す例においては、総違反量202は「2430」と算出される。
【0051】
変形例に係る巡回順算出部19は、巡回先が希望する訪問時間に関する項目に対する重み付け違反量を、
図11に示す例と同様に算出する。そして予め定められた評価項目の違反量に評価項目ごとに予め定められた重みを付与した値の合計値を算出する。巡回順算出部19は巡回順の作成処理と、巡回順の評価処理との二つの処理を繰り返し実施することにより、重み付け違反量の合計値が最小となる巡回順を探索し、巡回順を算出する。
変形例においては、簡単な業務のみを担当する作業員のうちでも、他の業務を実施する能力の有無により異なる重みづけを付与することができる。これにより、例えば他の業務を実施する能力を有するが、簡単な業務のみを担当することをユーザが希望する人数を考慮した巡回順を算出することができる。
【符号の説明】
【0052】
1,2…巡回業務分担システム、10…管理サーバ、11…作業員情報取得部、12…作業員情報記憶部、13…受付情報取得部、14…受付情報記憶部、15…マスタ情報取得部、16…マスタ情報記憶部、17…案件情報作成部、18…案件情報記憶部、19…巡回順算出部、20…評価項目記憶部、30…端末、40…ネットワーク
【要約】
【課題】作業員ごとに能力を入力する場合に比べ、入力作業を軽減して巡回順の算出を行う。
【解決手段】巡回業務分担システムは、複数の巡回作業員が巡回業務を分担するための巡回順を作成する巡回業務分担システムであって、1または複数のプロセッサを備え、1または複数のプロセッサは、巡回先に関する情報と、能力別の作業員の人数とを取得し、巡回先に関する情報と能力別の作業員の人数とに基づいて作成した巡回順の良さの評価により巡回順を算出する。
【選択図】
図1