IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 網矢 貞幸の特許一覧

<>
  • 特許-後付巻降ろし器 図1
  • 特許-後付巻降ろし器 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-29
(45)【発行日】2024-09-06
(54)【発明の名称】後付巻降ろし器
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A01G9/24 F
A01G9/24 K
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024040636
(22)【出願日】2024-03-15
【審査請求日】2024-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391011113
【氏名又は名称】網矢 貞幸
(72)【発明者】
【氏名】網矢 貞幸
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-076895(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第2018-0000690(KR,U)
【文献】特開2017-006003(JP,A)
【文献】特開2003-143973(JP,A)
【文献】特開平06-079234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後付巻降ろし器は、巻取り器(1)と紐(2)と既存のロール(3)で構成されており、
該巻取り器(1)は、弾力性のある多数の該紐(2)を巻取り、
該紐(2)のもう一方は、既存のビニール(4)と一緒に、既存のロール(3)に巻かれており、
該既存のロール(3)を巻き取るときには、該既存のロール(3)のハンドルで巻き取ることを特徴とする後付巻降ろし器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニルハウスをビニールで囲うとき、巻取り器が紐を巻き取ると、ビニールは降りる後付巻降ろし器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のビニルハウスは、年中葉物を出荷するために、温度を一定に保つものである。また、外の天気に作用されないために既存のビニールで囲い、外気の温度を遮断して、適当な温度に保っていた。またトマトなどの野菜は、雨天などの日には、必要以上に水分を与えると、トマトが割れることがあり、それを防ぐためビニールハウスの中で、野菜などを一年中出荷していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-136945
【文献】特開2021-36905
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のビニルハウスは、外の天気に作用されないために既存のビニールを開閉をしていたが、ビニルハウスの奥行きが30メートルある場合、既存のロールも30メートルあるため、既存のビニールを丸めて閉じる作業はスムーズに閉じる。しかし、開く時は手間がかかっていた。それは、30メートルもあれば既存のビニールが弛み、既存のロールを回転さすのに、表面では回らないところができ、降りてこないところもできる。
【0005】
それは勾配の緩やかな天井部分で、既存のロールを回転させても、既存のビニールの表面が回らないところができる。すると、既存のロールを巻いても一部が引っ掛かり、それ以上に既存のロールは回らない。そこで逆に回すと、今度は違うところが絡まり、回らない状態になる。仕方が無いので、絡まったところに梯子を架け、その絡まったところを手で回し、直して降ろしていた。それが30メートルもあれば、絡まったところを発見するのに、人手がかかっていたため、既存のビニール(4)でビニルハウス(5)を囲うのは大変であった。
【0006】
そこで、本発明の後付巻降ろし器は、巻取り器(1)に多数の紐(2)を巻取り、紐(2)のもう一方は既存のロール(3)に、既存のビニール(4)と紐(2)を一緒に巻かれていることで、降ろす時は紐(2)を引っ張り降ろすと、既存のロール(3)を引っ張り降ろすことになる、後付巻降ろし器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の後付巻降ろし器は、巻取り器(1)と紐(2)と既存のロール(3)で構成されており、その巻取り器(1)は多数の紐(2)を巻き取っている。
【0008】
その紐(2)のもう一方の端は、既存のビニール(4)と一緒に、既存のロール(3)に巻かれていて、巻取り器(1)の紐(2)を巻き取ることで、紐(2)は既存のロール(3)を下に降ろし、既存のビニール(4)はビニルハウス(5)を囲うことで目的を達成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明の後付巻降ろし器は、次のような効果がある。
(イ) ビニールを下げるときは、巻取り器を回して、紐がロールを下げるので簡単である。
(詳しくは0012段落参照)
(ロ) 後付の巻降ろし器は、従来のビニルハウスに取り付けるため、無駄が無い。
(詳しくは0015段落参照)
(ハ) 巻き下げ、巻き上げが簡単なため、一人でできる。
(詳しくは0012段落参照)
(ニ)台風などの緊急事態も、1人で対処できる。 (詳しくは0027段落参照)
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】図は、ビニルハウスの斜視図である。
図2】図は、本発明の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の後付巻降ろし器は、ビニルハウス(5)の既存のビニール(4)を最後まで降ろし、既存のロール(3)に紐(2)を数ヶ所巻き付ける。その既存のロール(3)を巻き取るように回転させると、既存のビニール(4)と紐(2)が一緒に巻き取られる。最後まで巻き取られた既存のビニール(4)は、紐(2)も巻き取られており、もう一方の紐(2)の端を巻取り器(1)に取り付ける。
【0012】
そして、巻取り器(1)に紐(2)を巻き取ることで、既存のロール(3)に巻かれた既存のビニール(4)と紐(2)は、紐(2)が張ることで、既存のロール(3)全体を下に誘導する回転と、既存のビニール(4)は巻いているものを解くような力となる。その紐(2)が多数あることで、片側1.5メートルになるので絡むことなく、既存のビニール(4)の緩みも、その紐(2)が解消するので、一人で巻き降しができる。また、既存のビニール(4)を開放するときは、既存のロール(3)で簡単に巻ける。
【0013】
したがって、ビニルハウス(5)を改造することなく、新たに後付巻降ろし器を設置するだけで、巻き下ろしが簡単にできる。そしてビニルハウス(5)の既存のビニール(4)を巻き上げるときは、従来と同じく、既存のロール(3)を巻くことで、自然と紐(2)は巻取り器(1)を逆に回転させて、紐(2)は供給されて、既存のビニール(4)と一緒に既存のロール(3)に巻かれる。そのとき、紐(2)は抵抗になるので、既存のビニール(4)は確りと巻かれている。
【実施例1】
【0014】
本発明の枝切機を、図面を参照して説明する。
図1はビニルハウス(5)の斜視図で、通常は裏側の面もあり、裏表の面で後付巻降ろし器が2個あり、その右側だけを描いている。そのビニルハウス(5)は、縦6メートルの奥行30メートルで、高さ4メートルである。そして、既存のロール(3)は鉄パイプΦ34の長さ約30メートルで、9本の紐(2)で、約3メートル置きに巻かれており、その紐(2)は既存のビニール(4)と一緒に、既存のロール(3)に巻かれている。
【0015】
その紐(2)を引っ張ることで、既存のロール(3)は降りてくるが、その9本の紐(2)を同じように引っ張ることは無理であるため、巻取り器(1)を用意する。したがって、本発明の後付巻降ろし器は、既存のビニール(4)などはそのままに、新たに巻取り器(1)を設置するだけでよく、既存のビニール(4)の解き降ろしは簡単にできる。
【0016】
その巻取り器(1)は、固定滑車でΦ34のパイプに、9本の紐(2)が時計回りに巻かれており、巻取り器(1)のハンドル(1a)を右に回転させることで、動滑車の既存のロール(3)が右に回転して、巻かれた既存のビニール(4)と紐(2)が解け、降りてきて、既存のロール(3)全体が下に降りてくる。
【0017】
したがって、この巻取り器(1)は、既存のロール(3)を下げるためだけに使用するもので、既存のロール(3)を巻くときには、既存のロール(3)のハンドルを左に回して動滑車を巻き、既存のロール(3)自体を上げる。なお、既存のロール(3)のハンドルは特許文献1の特開2021-136945のハンドルと同じで、図面に描くのを省略している。
【0018】
今度は暖かくなって、ビニルハウス(5)の既存のビニール(4)を巻いて、外の気温と同じにするときは、動滑車の既存のロール(3)を時計と反対方向に回して、ビニルハウス(5)の上まで巻き上げる。そのとき既存のロール(3)に、既存のビニール(4)と一緒に紐(2)も巻き取られ、巻き取られた紐(2)は、巻取り器(1)が時計の針と逆の方向に回転することで、巻取り器(1)に巻いた紐(2)は解けて、既存のロール(3)に巻かれる。
【0019】
したがって、巻いて既存のビニール(4)を開けるときは、既存のロール(3)を左に回し、閉じるときは巻取り器(1)を右に回す。したがって、既存のロール(3)と巻取り器(1)を使い分けることで、開閉が簡単にできる。
【0020】
図2は、本発明の正面図であり、巻取り器(1)のハンドル(1a)を矢印のように回転させると、紐(2)は巻かれて点線の既存のロール(3´)のように、ビニルハウス(5)の既存のビニール(4)を解いているところである。
【0021】
既存のビニール(4)は、縦4メートルで、横幅30メートルで、約1.5メートル巻かれた既存のロール(3)があり、その下には点線で描かれた既存のロール(3´)がある。その既存のロール(3´)は、ハンドル(1a)を矢印の方向に1回転させたところである。
【0022】
その既存のビニール(4)でビニルハウス(5)を囲むには、巻取り器(1)のハンドル(1a)の操作だけで出来るもので、巻取り器(1)のハンドル(1a)を時計の針と同じく、矢印の方向に回転さす。それに具備した巻取り器(1)は、紐(2)を巻取り器(1)に巻き取られ、紐(2)は既存のロール(3)を時計回りに回転させて、下の既存のロール(3´)の点線になる。更に既存のビニール(4)を降ろすと、ビニルハウス(5)は既存のビニール(4)で囲われる。
【0023】
ビニルハウス(5)を開くときは、既存のロール(3)に取り付けてあるハンドルなどで、時計の針と反対の左に回すと、動滑車の既存のロール(3)は上に上がり、紐(2)は既存のビニール(4)と一緒に巻き込まれる。既存のロール(3)に巻き込まれた紐(2)は、巻取り器(1)を自然と逆の左回転に回って、紐(2)を供給する。
【0024】
したがって、紐(2)を供給する動力も既存のロール(3)の巻く抵抗に加わるので、既存のロール(3)に巻かれた既存のビニール(4)は確りと巻かれている。そして、ビニルハウス(5)の天井まで、既存のビニール(4)をしまうことができ、紐(2)は巻かれた天井の既存のロール(3)から、巻取り器(1)まで垂れ下がっている。
【実施例2】
【0025】
紐(2)の取り付け方を説明する。ビニルハウス(5)の既存のロール(3)をいっぱい下げ、既存のロール(3)のパイプに、紐(2)を3メートル間隔で9本を、既存のビニール(4)に孔を開けて既存のロール(3)に縛る。すると、紐(2)が既存のビニール(4)の間に挟まり、既存のロール(3)を巻くことで紐(2)が巻かれ、天井で止まる。
【0026】
そして、もう一方の紐(2)の端を、巻取り器(1)に縛る。既存のビニール(4)を閉じたいときは、図2のハンドル(1a)を、矢印の方向に回すと紐(2)は張り、既存のロール(3)は巻かれた既存のビニール(4)を解くように、紐(2)1本1本が、巻いた既存のビニール(4)の外側を下げるように支持する。そして、全体で9本の紐(2)が介在して、紐(2)が張った分だけ既存のビニール(4)は、時計回りに回って、既存のビニール(4)が下に降りると同時に、既存のロール(3)に巻かれた紐(2)も降りてきて、巻取り器(1)に巻かれる。
【実施例3】
【0027】
台風のときの使用例を説明する。普段の開け閉めは簡単にできるが、台風などの強風が吹くと予想される場合、そのまま放置してビニルハウス(5)が潰れるかも知らないが、その不運を天にまかすか、それともビニルハウス(5)の既存のビニール(4)を巻いて、風の抵抗を少しでも少なくし、ビニルハウス(5)を守るかは自由である。しかし本発明を使用していると、既存のビニール(4)を簡単に巻き取ることができるため、思い付き易い。
【0028】
そのとき、台風の被害が予想されるとき、既存のロール(3)に既存のビニール(4)を巻き込み、ビニルハウス(5)の風の抵抗を少なくすると、後はビニルハウス(5)の支柱だけであるから、風の抵抗で破壊されることは少ない。
【0029】
ただし、中の作物は風雨にさらされ、多少の被害があるが、既存のビニール(4)が風で飛ばされることや、最悪支柱が変形したと思えば、既存のビニール(4)を開けておいてよかったと思う。
【実施例4】
【0030】
符号の詳しい説明をする。
巻取り器(1)はΦ34のパイプであり、固定滑車であるためビニルハウス(5)に固定部(1b)で固定されていて、紐(2)を9本巻き取る。この巻取り器(1)は、既存のビニール(4)で、ビニルハウス(5)を囲うときだけに使用するものであり、既存のビニール(4)を巻き取るときには、既存のロール(3)で巻き取る。その既存のロール(3)で巻き取ると、紐(2)は引っ張られ巻取り器(1)を紐(2)が引っ張り、巻取り器(1)を逆回転させて、巻取り器(1)に巻かれた紐(2)が既存のビニール(4)と一緒に巻き取られる。
【0031】
ハンドル(1a)は、巻取り器(1)の部品で、巻取り器(1)のパイプを回すためにΦ34の小さいパイプを回すよりも、Φ400のハンドル(1a)を回すほうが、少ない力で回るので取り付けた。また略L字状のハンドル(1a)にしても良いが、ハンドル(1a)として認識しやすいのは、大きなバルブのハンドルで、そのような形にした。そのハンドル(1a)は既存のビニール(4)を巻き取ってしまうとき、巻取り器(1)は、その力で自動的に逆転する仕組みであるから、回転したときに突起物で引っ掛かったりしないように、することが必要である。
固定部(1b)は、全部で3箇所以上あり、巻取り器(1)のパイプを上にも下にも移動させないようになっている。したがって、固定部(1b)と名づけたが、巻取り器(1)の中のパイプは回転自在になっている。
紐(2)は、この発明では1番大切なもので、紐(2)さえあれば、その紐(2)を引っ張って、既存のビニール(4)でビニルハウス(5)を囲うことは可能である。しかし、紐(2)を1人で操作するのは難しいので、巻取り器(1)を取り付けた。紐(2)は、全部で9箇所あり、30メートルを3メートルづつ取り付けている。そして両端の紐(2)は、既存のビニール(4)の端に取り付け、既存のビニール(4)のたくれが無いようにする。また紐(2)は、多少の弾力があるほうが既存のビニール(4)はむら無く、均等にしまる。
【0032】
既存のロール(3)は、横幅が30メートルの動滑車で、本来ならロールを巻くハンドルが必要であるが、本発明は巻き下ろしだけの発明であるから、既存のロール(3)のハンドルは図面には描いていない。この既存のロール(3)は巻く方向だけで、解く方は巻取り器(1)が紐(2)を引っ張るので、解ける。したがって、既存のロール(3)は巻き取ることだけを行う、一方方向のギヤが付いていることが望ましい。
既存のロール(3´)は、図2のハンドル(1a)を矢印の方向に1回回したところで、点線で描かれている。
既存のビニール(4)は、横幅30メートルの物で、ビニルハウス(5)に元々付いているもので、いっぱい既存のロール(3)を下に降ろした状態で、既存のロール(3)のパイプに紐(2)を取り付け、既存のビニール(4)と紐(2)を一緒に巻いたことが、本発明の特徴である。
ビニルハウス(5)は、Φ23のパイプを支柱として、回りに既存のビニール(4)で囲った物である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この後付巻降ろし器は、平行に巻き取ることが得意で、玉露のお茶は日光に当てないように、黒い遮蔽するシートをお茶の上に並べていたが、本発明を利用するとビニルハウス(5)全体を1度の操作で、巻き戻しができる。
【符号の説明】
【0034】
1 巻取り器 1a ハンドル 1b 固定部
2 紐 3 既存のロール 4 既存のビニール 5 ビニルハウス
【要約】
【課題】 従来のビニルハウス(5)の、既存のビニール(4)を降ろして閉めるときは、既存のロール(3)を回転させても、一部がまくれて、そのしわが回転を妨げていた。そこで、本発明の後付巻降ろし器の閉めるときには、既存のロール(3)が、紐(2)と既存のビニール(4)を一緒に巻き込んでいることで、紐(2)が既存のロール(3)を引っ張り降ろす。
【解決手段】 本発明の後付巻降ろし器は、巻取り器(1)がたくさんの紐(2)を巻取り、その片方は既存のロール(3)に、紐(2)と既存のロール(3)を一緒に巻きかんでいるので、巻取り器(1)を回転させ、紐(2)で降ろすと、既存のビニール(4)が下へ降りてくる。
【選択図】図1
図1
図2