(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】真空作動式外科用グラスパ用吸引ヘッド
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A61B17/02
(21)【出願番号】P 2021533386
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(86)【国際出願番号】 US2019047571
(87)【国際公開番号】W WO2020041518
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-18
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】306000186
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア
(73)【特許権者】
【識別番号】521072571
【氏名又は名称】エレスワープ,チェサン
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エレスワープ,チェサン
(72)【発明者】
【氏名】ランガラジャン,サチン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】スー,インスー
(72)【発明者】
【氏名】チュムフォング,イザベル
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-502473(JP,A)
【文献】特開平10-24047(JP,A)
【文献】特開2002-113009(JP,A)
【文献】特表2001-503649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
A61B 17/30
B25J 15/06
F16B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空作動式外科用グラスパ用の吸引ヘッドであって、前記吸引ヘッドは、
近位部と、
前記近位部から延びる遠位部であって、前記遠位部は、前記遠位部の近位端から前記遠位部の遠位端に増大する外寸を有するようにフレア状である、遠位部と、
前記吸引ヘッドを貫通する内部通路であって、前記内部通路は、前記吸引ヘッドの前記近位部を貫通する近位部および前記吸引ヘッドの前記遠位部を貫通する遠位部を含み、前記内部通路の前記遠位部はまた、前記吸引ヘッドの前記遠位部の前記近位端から前記吸引ヘッドの前記遠位部の前記遠位端に増大する内寸を有するようにフレア状であり、前記内部通路の前記遠位部は、それぞれが前記内部通路に吸い込まれる組織を把持するように構成され、
前記内部通路の前記遠位部の長手方向に沿って互いに離間する複数
の環状の内部リブであって、前記内部リブのそれぞれが、弧状の端部を形成する三角形の断面を有し、前記内部リブは前記弧状の端部が前記吸引ヘッドの前記近位部に面するように、前記吸引ヘッドの前記近位部に向かって後方向に角度がついている内部リブを含む、内部通路と、を備える、吸引ヘッド。
【請求項2】
前記吸引ヘッドは、生体適合性エラストマ材料製である、請求項1に記載の吸引ヘッド。
【請求項3】
前記生体適合性エラストマ材料は、医療用シリコン材料である、請求項2に記載の吸引ヘッド。
【請求項4】
前記生体適合性エラストマ材料は、約40A~100AのショアA硬度である、請求項2に記載の吸引ヘッド。
【請求項5】
前記吸引ヘッドの前記近位部は、円筒形であり、一定の外径を有する、請求項1に記載の吸引ヘッド。
【請求項6】
前記近位部の前記外径は、約9mmである、請求項5に記載の吸引ヘッド。
【請求項7】
前記吸引ヘッドの前記遠位部は、前記吸引ヘッドの前記遠位部の前記近位端で最小であり、前記吸引ヘッドの前記遠位部の前記遠位端で最大である外径を有する、請求項1に記載の吸引ヘッド。
【請求項8】
前記遠位部の前記最小の外径は約9mmであり、前記遠位部の前記最大の外径は約17mmである、請求項7に記載の吸引ヘッド。
【請求項9】
前記吸引ヘッドの前記遠位部は、その外径が、前記吸引ヘッドの前記遠位部の前記近位端から前記吸引ヘッドの前記遠位部の遠位端に幾何学的に増大する態様のフレア状である、請求項1に記載の吸引ヘッド。
【請求項10】
前記吸引ヘッドの前記遠位部は、12mm以下の内径を有するシース内に畳まれて後退するように構成される、請求項1に記載の吸引ヘッド。
【請求項11】
前記内部リブは、弧状で連続する、請求項1に記載の吸引ヘッド。
【請求項12】
前記内部リブは、全体的に三角形の断面を有する、請求項11に記載の吸引ヘッド。
【請求項13】
前記内部リブはそれぞれ、弧状近位面、弧状遠位面、および前記近位面と遠位面が交わる場所に形成される弧状縁を有する、請求項12に記載の吸引ヘッド。
【請求項14】
前記内部リブの前記弧状近位面はそれぞれ、前記内部リブが湾曲できるようにする前記弧状縁の近くに凹面弧状溝を含む、請求項13に記載の吸引ヘッド。
【請求項15】
本体と、
前記本体から延びる細長い吸引チューブと、
前記吸引チューブに接続され、それと流体連通する吸引ヘッドであって、前記吸引ヘッドは、
近位部と、
前記近位部から延びる遠位部であって、前記遠位部は、前記遠位部の近位端から前記遠位部の遠位端に増大する外寸を有するようにフレア状である、遠位部と、
前記吸引ヘッドを貫通する内部通路であって、前記内部通路は、前記吸引ヘッドの前記近位部を貫通する近位部および前記吸引ヘッドの前記遠位部を貫通する遠位部を含み、前記内部通路の前記遠位部はまた、前記吸引ヘッドの前記遠位部の前記近位端から前記吸引ヘッドの前記遠位部の前記遠位端に増大する内寸を有するようにフレア状であり、前記内部通路の前記遠位部は、それぞれが前記内部通路に吸い込まれる組織を把持するように構成され、
前記内部通路の前記遠位部の長手方向に沿って互いに離間する複数
の環状の内部リブであって、前記内部リブのそれぞれが弧状の端部を形成する三角形の断面を有し、前記内部リブは前記弧状の端部が前記吸引ヘッドの前記近位部に面するように、前記吸引ヘッドの前記近位部に向かって後方向に角度がついている内部リブを含む、内部通路と、を備える、吸引ヘッドと、
を備える真空作動式外科用グラスパ。
【請求項16】
前記吸引ヘッドは、生体適合性エラストマ材料製である、請求項15に記載の外科用グラスパ。
【請求項17】
前記吸引ヘッドの前記遠位部は、その外径が、前記吸引ヘッドの前記遠位部の前記近位端から前記吸引ヘッドの前記遠位部の遠位端に幾何学的に増大する態様のフレア状である、請求項15に記載の外科用グラスパ。
【請求項18】
前記内部リブは、弧状で連続し、全体的に三角形の断面を有する、請求項15に記載の外科用グラスパ。
【請求項19】
前記内部リブはそれぞれ、弧状近位面、弧状遠位面、および前記近位面と遠位面が交わる場所に形成される弧状縁を有する、請求項18に記載の外科用グラスパ。
【請求項20】
前記内部リブの前記弧状近位面はそれぞれ、前記内部リブが湾曲できるようにする前記弧状縁の近くに凹面弧状溝を含む、請求項19に記載の外科用グラスパ。
【請求項21】
前記吸引ヘッドが内腔を通過できるようにする畳まれた状態で前記吸引ヘッドを囲むように構成される前記吸引チューブ上に設けられた後退可能なシースをさらに備える、請求項15に記載の外科用グラスパ。
【請求項22】
前記外科用グラスパは、人間のユーザによる手動操作用に構成される、請求項15に記載の外科用グラスパ。
【請求項23】
前記外科用グラスパは、ロボットシステムによる自動化操作用に構成される、請求項15に記載の外科用グラスパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月21日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第62/720,471号の優先権を主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
機械的外科用グラスパは、患者の組織を処置(圧排)するため、外科手術において何十年もの間使用されている。こうしたグラスパは、典型的には、組織を把持できる対向するアゴを開閉するため使用される鋏状のハンドルを含む鉗子の形態を取る。
【0003】
こうした機械的グラスパは、概して効果的である一方、そのアゴは、患者の繊細な組織を損傷する可能性がある。このため、真空作動式外科用グラスパが開発されている。こうしたグラスパは、吸引ヘッドを使用して組織に弱い吸引を加え、患者の繊細な組織を損傷する可能性がある対向したアゴの代わりに、組織を把持する。しかし、組織をしっかりと把持し、処置することができるとともに、手術部位への狭い通路を通過することもできる真空作動式外科用グラスパ用の吸引ヘッドが必要とされる。
【0004】
本開示は、以下の図面を参照することでより良く理解することができる。
一致する参照符号は、必ずしも一定の比率の縮尺で描かれてはいない図面を通して、対応する部品を示している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】
図1Aは、グラスパの吸引ヘッドがそれぞれ展開されない、および展開されたグラスパを示す、真空作動式外科用グラスパの一実施形態の側面図である。
【
図1B】
図1Bは、グラスパの吸引ヘッドがそれぞれ展開されない、および展開されたグラスパを示す、真空作動式外科用グラスパの一実施形態の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のグラスパと一緒に使用され得る吸引ヘッドの第1の実施形態の側面図である。
【
図7】
図7は、
図1の外科用グラスパと一緒に使用され得る吸引ヘッドの第2の実施形態の断面側面図である。
【
図8】
図8は、吸引ヘッドを含む真空作動式外科用グラスパを組み込むロボットシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
上述のように、患者の組織をしっかりと把持し、処置することができるとともに、手術部位への狭い通路を通過することもできる真空作動式外科用グラスパ用の吸引ヘッドが必要とされる。こうした吸引ヘッドの例は、以下の開示において説明される。いくつかの実施形態では、吸引ヘッドは、ヘッドの横寸法(例えば、直径)が、その近位端からその遠位端に増大するフレア状構成を有する。いくつかの実施形態では、吸引ヘッドは、ヘッドをより小さいサイズに畳んで、トロカールなどの狭い内腔を通るその通過を容易にすることができる、エラストマ材料製である。吸引ヘッドが、内腔を通過して、手術部位(例えば、腹腔内の部位)に到達すると、吸引ヘッドは、展開することができ、したがって、その通常のフレア形状に展開することができる。こうした場合、吸引ヘッドの寸法は、ヘッドを通す内腔の内寸(例えば、直径)より実質的に大きくてもよい。吸引ヘッドの比較的大きい寸法により、組織の確実な把持が容易になる。
【0007】
以下の開示では、様々な特定の実施形態が説明される。これらの実施形態は、開示された発明の例示的な実装であり、別に開示された実施形態の態様を含む混成の実施形態を含む、代替の実施形態が可能であることを理解されたい。すべてのこうした実施形態は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0008】
図1Aおよび1Bは、腹腔鏡下手術などの外科手術において使用され得る真空作動式外科用グラスパ10の例示的な実施形態を示す。このグラスパ10は、人による手動の使用を対象とする。図に示すように、グラスパ10は、一般に本体12および本体から延びる細長い吸引チューブ14を備える。グラスパ10は、真空チューブ16を介して、真空源(図示せず)に接続され、吸引チューブ14に吸引力を送達するように構成される。図示の実施形態では、本体12は、吸引チューブ14、グリップ要素20、および作動レバー22が延びるハウジング18を含む。こうした構成で、グリップ要素20に向けて作動レバー22を移動することによって、吸引力が、人間のユーザによって加えられ得る。
【0009】
図1Aおよび1Bをさらに参照すると、シース24が、吸引チューブ14の遠位端に取り付けられている。いくつかの実施形態では、シース24は、真空作動式外科用グラスパ10の吸引ヘッド26を包含し、それを展開するように構成された剛性円筒要素を一般に備える。いくつかの実施形態では、シース24は、約12mmの外寸(例えば、外径)および約11mmの内寸(例えば、内径)を有する。
図1Aでは、シース24は、吸引ヘッド26が、畳まれた定位でシース内に包含される伸張した位置に示される。
図1Bでは、シース24は、吸引ヘッド26がその元の通常のフレア形状に延びることができるようにシースが、近位方向に(すなわち、本体12の方に)吸引チューブ14に沿って直線的に後退している場合の後退位置に示される。いくつかの実施形態では、こうした後退は、シース24に延び、近位方向に吸引チューブ14に沿ってシースを引っ張るために使用されるワイヤまたはケーブル(図示せず)を用いて達成される。吸引ヘッド26の包含および展開は、吸引ヘッド26が作製される材料によって容易になる。具体的には、吸引ヘッド26は、吸引ヘッドをシース24内に畳むことができるようにし、シース24が引き戻されると、
図1Bに示すその元の通常の伸張した(すなわち、フレア状)状態に跳ね返るようにできる医療用シリコン材料などの生体適合性エラストマ材料製である。
【0010】
図2~6は、参照符号30によって識別される、吸引ヘッドの第1の実施形態を示す。まず
図2を参照すると、吸引ヘッド30は、一般に近位部32および近位部から延びる遠位部34を備える。いくつかの実施形態では、近位部32および遠位部34の両方は、吸引ヘッド30が単体構造を有するように同一の材料で作製される。上述したように、吸引ヘッド30は、医療用シリコン材料などのエラストマ材料製であり得る。いくつかの実施形態では、エラストマ材料は、約40A~100A(例えば、ショア60A)のショアA硬度である。
【0011】
近位部32は、ほぼ円筒形であり、一定の外寸(例えば、外径)を有するが、遠位部34は、遠位部の外寸(例えば、外径)が、その近位端からその遠位端に徐々に増大するフレア形状を有する。吸引ヘッド30の断面が、ほぼ円形の場合、吸引ヘッドは、幾何学的に(すなわち、非線形に)その近位端からその遠位端に増大する直径を有する円錐形状を形成すると言うことができるトランペットの「ベル」の端に類似のフレア状の端を組み込むほぼトランペット形状と説明することができる。いくつかの実施形態では、近位部32は、約9mmの一定の外径を有するが、遠位部34は、その近位端で近位部の外径(例えば、約9mm)に等しい外径を有するが、幾何学的にその遠位端で約17mmに増大する。
【0012】
図4および5を参照すると、吸引ヘッド30は、ヘッドの長さに沿ってその近位端からその遠位端に延びる細長い内部通路36を形成する。ヘッド30が、チューブの遠位端に取り付けられた場合、この通路36は、吸引チューブ14の内部通路と流体連通して配置される。いくつかの実施形態では、吸引チューブ14の遠位端は、近位部32の内部通路36内に摩擦嵌合で受けられる。
図4および5に示すように、内部通路36は、近位部32内に一定の寸法(例えば、内径)で、ヘッド30の外面のように、遠位部34の近位端から遠位部の遠位端に徐々に(幾何学的に)増大する寸法(例えば、内径)を有することができる。いくつかの実施形態では、通路36は、近位部32内では約5mmの内径を、遠位部34内で約5mm~約17mmに増大する内径を有する。
図4から理解できるように、遠位部34の壁の厚さは、その近位端からその遠位端に徐々に減少し得る。
【0013】
図4~6を参照すると、吸引ヘッド30の遠位部34内に包含される内部通路36の遠位部は、真空作動式外科用グラスパ10が使用される場合、内部通路に引き込まれる組織の把持を容易にする複数の内部連続環状リブ38を備える。図示の実施形態では、吸引ヘッド30は、5つのこうしたリブ38を備え、内部通路36の遠位部の長手方向に沿って互いに離間する。いくつかの実施形態では、リブ38のサイズは、ヘッド30の遠位部34の遠位端から近位端に増大する。
【0014】
図4に示すように、各リブ38は全体的に断面が三角形であり、全体的に吸引ヘッド30の近位端に向く弧状の近位面40、全体的にヘッドの遠位端に向く弧状の遠位面42、および近位面と遠位面が交わる場所に形成される弧状縁44を含む。図にさらに示すように、各リブ38の遠位面42は、近位面40より大きい(すなわち、内部通路36の壁からより遠い距離に延びる)。この構成により、各リブは、吸引ヘッド30の近位端に対して後方に角度付けされ、各リブの弧状縁44(したがって、三角形の断面の先端)は、組織が引き込まれるヘッドの入口46と反対の近位端を向く、スウェプト(湾曲状の)配向を有する各リブ38がもたらされる。このスウェプト配向により、ヘッド30によって組織に加えることができる把持力が増大する。
【0015】
次に
図6を参照すると、各リブ38は、リブの近位面40に形成され、したがって、また吸引ヘッド30の近位端に向く、凹面弧状溝48をさらに備え得る。提供された場合、溝48は、リブが吸引ヘッド30の入口46に対して後方に湾曲できるようにするリブ38の弧状縁44を形成する材料の量を低減する。この湾曲により、特にヘッドが、組織を圧排するために使用される場合、組織に対する吸引ヘッド30の把持がさらに強化される。
【0016】
図7は、吸引ヘッド60のさらなる実施形態を示す。吸引ヘッド60は、吸引ヘッド30の構成と同様の構成を有し得る。したがって、吸引ヘッド60は、円筒形近位部62およびフレア状遠位部64を備え得る。吸引ヘッド60も、医療用シリコン材料などのエラストマ材料製であり得る。
【0017】
また、吸引ヘッド30同様、吸引ヘッド60は、ヘッドの長さに沿ってその近位端からその遠位端に延びる細長い内部通路66を含む。内部通路66は、真空作動式外科用グラスパ10が使用される場合、内部通路に引き込まれる組織の把持を容易にする複数の内部連続環状リブ68を含む。図示の実施形態では、吸引ヘッド60は、それぞれが、ヘッドの遠位部64内で内部通路66の長さに沿って互いにすぐ隣に位置する12個のこうしたリブ68を備える。いくつかの実施形態では、リブ68のサイズは、ヘッド60の遠位部64の遠位端から近位端に増大する。
【0018】
図7に示すように、各リブ68は、全体的に断面が三角形であり、全体的に吸引ヘッド60の近位端を向く弧状近位面70、全体的にヘッドの遠位端を向く弧状遠位面72、および近位面と遠位面が交わる場所に形成される鋭い弧状縁74を含む。他の実施形態と同様に、各リブ68の遠位面72は、近位面70より大きい(すなわち、内部通路66の壁からより遠い距離に延びる)。この構成により、各リブは、吸引ヘッド60の近位端に対して後方に角度付けされ、各リブの弧状縁74(したがって、三角形の断面の先端)は、組織が内部通路36に引き込まれるヘッドの入口76と反対の近位端を向く、スウェプト配向をまた有する各リブ68がもたらされる。しかし、吸引ヘッド30のリブ38と異なり、吸引ヘッド60のリブ68は、弧状溝を含まない。これにより、吸引ヘッド60は、製造がより簡単かつより安価である。
【0019】
吸引ヘッドの特定の構成に関わらず、真空作動式外科用グラスパ10(
図1)を使用して、患者の組織を把持し、それを処置(例えば、圧排)することができる。こうした使用中、真空源は、空気または別の気体などの流体が、吸引ヘッド(例えば、吸引ヘッド26)、吸引チューブ14、および本体12を通して引き込まれ得るように、真空チューブ16に接続することができる。真空が適用されている間に、吸引ヘッドが、組織に接触して配置される場合、組織の一部は、吸引ヘッドに引き込まれ、したがって、確実にヘッドによって把持される。いくつかの実施形態では、組織は、従来のアゴ付きグラスパに匹敵する約10Nの力で把持され得る。しかし、アゴ付きグラスパと異なり、鋭い縁または固い材料が組織に接触しないので、組織への損傷は回避される。
【0020】
人間のユーザによる手動操作用に構成された真空作動式外科用グラスパについて説明し図示してきたが、同様の真空作動式外科用グラスパが、ロボットの文脈で使用され得ることに留意されたい。これについては、
図8に概略的に図示する。この図に示すように、真空作動式外科用グラスパ80は、ロボットシステム84のロボットマニピュレータ82の端に取り付けられる。この場合、外科用グラスパ80は、システム84のエンドエフェクタとして機能し、その位置および配向は、ロボットマニピュレータ82を使用して、ロボットのように制御することができる。例えば、吸引ヘッド86が必要に応じて配置され配向されると、それにより、ヘッドは、処置される組織と接触して配置され、吸引が、ロボットマニピュレータに沿ってまたはその中で真空源(図示せず)に延びる真空チューブ88を介してヘッドに供給され得る。したがって、
図1Aおよび1Bに示す実施形態と同様に、吸引を手動で移動し、供給する代わりに、こうした移動および供給する吸引は、ロボットシステム84によって自動化される。