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特許7546858PEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージ及びその製造方法
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  • 特許-PEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージ及びその製造方法 図1
  • 特許-PEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージ及びその製造方法 図2
  • 特許-PEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージ及びその製造方法 図3
  • 特許-PEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージ及びその製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】PEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024532253
(86)(22)【出願日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2024010483
【審査請求日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2023048051
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】598024226
【氏名又は名称】株式会社高山医療機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100126826
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克之
(72)【発明者】
【氏名】吉井俊貴
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-518619(JP,A)
【文献】特開平05-317407(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026540(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0276053(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0030544(US,A1)
【文献】特開平03-275055(JP,A)
【文献】特公平03-063898(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎体間固定術に用いるPEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージであって、

前記脊椎ケージは、略砲弾形状のPEEK製本体の上面と下面にそれぞれチタン製薄板が貼り付けられて構成されており、

前記PEEK製本体の上面と下面は表面活性化処理が施されて改質されており、

前記PEEK製本体の上面と下面にそれぞれ貼り付けられた二枚の前記チタン製薄板が前記PEEK製本体に接する面は粗面化処理が施されて微細な凹凸構造が形成されており、

前記PEEK製本体と前記二枚のチタン製薄板とは、それぞれ両者の間に塗布された生体適合性接着剤の層が前記PEEK製本体の前記表面活性化処理が施された面に接着すると共に、前記チタン製薄板の面に形成された微細な凹凸構造の凹部に前記生体適合性接着剤が入り込んで硬化して物理的嵌合を形成することによって、前記生体適合性接着剤の層を介して前記2枚のチタン製薄板がそれぞれ前記PEEK製本体の上面と下面に強固に接合されており、

前記脊椎ケージを患者の椎体間に挿入してインプラントすると、前記PEEK製本体に貼り付けられた前記二枚のチタン製薄板がそれぞれ周囲の椎骨と接触し、患者の動きに伴って前記椎骨から応力を受けながら前記PEEK製本体から分離することなく椎骨と結合する、

前記椎体間固定術に用いるPEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージ。
【請求項2】
前記チタン製薄板の厚さは0.5~5mmである、請求項1に記載の 脊椎ケージ。
【請求項3】
前記生体適合性接着剤は、エポキシ系接着剤である、請求項1又は2に 記載の 脊椎ケージ。
【請求項4】
前記表面活性化処理は、オゾン処理、紫外線照射処理、各種放電処理、又は粗面化処理を含む、請求項1又は2に 記載の 脊椎ケージ。
【請求項5】
椎体間固定術に用いるPEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージを製造する方法であって、

略砲弾形状のPEEK製本体と、前記PEEK製本体の上面と下面に貼り付ける二枚のチタン製薄板を用意し、

前記PEEK製本体の上面と下面を表面活性化処理を施して改質し、

前記二枚のチタン製薄板の前記PEEK製本体と接する面に粗面化処理を施して微細な凹凸構造を形成し、

前記PEEK製本体の上面と下面にそれぞれ前記チタン製薄板を生体適合性接着剤を用いて貼り付け、それによって、前記生体適合性接着剤の層が前記PEEK本体の前記表面活性化処理が施された上面と下面と接着すると共に、前記チタン製薄板の面に形成された微細な凹凸構造の凹部に前記生体適合性接着剤が入り込んで硬化することによって前記生体適合性接着剤の層と前記チタン製薄板の面が物理的嵌合を形成する、

前記椎体間固定術に用いるPEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージの製造方法。
【請求項6】
前記チタン製薄板の厚さは0.5~5mmである、請求項5に記載の 脊椎ケージの製造方法。
【請求項7】
前記生体適合性接着剤は、エポキシ系接着剤である、請求項5又は6に 記載の 脊椎ケージの製造方法。
【請求項8】
前記表面活性化処理は、オゾン処理、紫外線照射処理、各種放電処理を含む、請求項5又は6に 記載の 脊椎ケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会が進む中で、加齢に伴う脊椎疾患を有する患者が増加している。脊椎疾患の中で、椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・脊椎圧迫骨折等の治療には、脊椎ケージという器具が用いられる。脊椎ケージを椎骨と椎骨の間に挿入することによって、椎間の高さを保ちながら骨の再生と癒合を促し、脊椎ケージの上下に位置する椎間板を固定することができる。
【0003】
図3は脊椎ケージを椎骨と椎骨の間の椎間板腔に挿入した状態を示す。脊椎ケージに用いられているチタンは生体親和性に優れており、骨と直接強固に結合する性質を有する優れた材料である。しかし、チタンは骨よりも硬いので、ケージが椎骨間に挿入されて患者の身体の動きに応じて応力を受けた時に、周囲の骨の動きとの間にギャップを生じてしまうという問題が指摘されている。
【0004】
この問題を解決するために、ケージを構成する材料としてPEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)が用いられている。PEEKは生体適合性を有しており、尚且つ硬さがチタンよりも骨に近いため、インプラントしたときに周囲の骨から受ける応力に応じて変形することができる。しかし、PEEKはチタンと異なり骨と結合することがないので、ケージを構成する材料としては問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2007-512874公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の相反する二つの課題を解決するために、PEEKとチタンの複合体からなるケージが提案されている。ケージをPEEK製本体とチタンの複合体で構成することによって本体がPEEKの硬度を有しチタンは骨と結合するので、上記の問題を解決することが期待される。しかし、PEEK樹脂は接着性が乏しく、PEEKの面を接着剤を用いて他の材料と接着することは難しい。また、チタンは金属であり、金属と樹脂を接着剤を用いて強固に結合するのは困難である。それ故、ケージを体内にインプラントした後でチタン面から接着が剥離して、その結果PEEK製本体からチタンが分離してしまうリスクが避けられない。
【0007】
この問題を解決する方法として、PEEKケージにチタンをプラズマ照射してコーティングすることが提案されている。PEEKケージにプラズマコーティングされたチタンがPEEKから剥離する恐れは少ない。しかし、チタンをプラズマ照射してコーティングした面と骨との結合性は、チタン製ケージよりも劣り、チタン製ケージと同等の骨との結合を得ることは期待できない。以上のような状況下で、PEEKの硬度を有しつつ、骨との結合性に優れた新たな脊椎ケージが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の発明者は鋭意検討した結果、PEEK製本体の樹脂面とチタン板の金属面を接着剤を用いて分離の恐れなく接合する方法として、PEEK製本体の樹脂面に表面活性化処理を施すことによって接着性を持たせると共に、チタン板の金属面に微細な凹凸構造を形成する粗面化処理を施して、生体適合性接着剤を塗布してPEEK製本体の面にチタン板を貼り付けることに想到した。この方法を用いてPEEK製本体にチタン製の薄板を強固に接合することによって、ケージが椎骨から受けた応力を薄板を通してPEEK製本体にそのまま伝えて、骨に近い硬度を有するPEEK製本体で受けた応力を吸収させることができることに想到した。
【0009】
上記想到に基づいて本発明の発明者は、椎体間固定術に用いるPEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージであって、

前記脊椎ケージは、略砲弾形状のPEEK製本体の上面と下面にそれぞれチタン製薄板が貼り付けられて構成されており、

前記PEEK製本体の上面と下面は表面活性化処理が施されて改質されており、

前記チタン製薄板が前記PEEK製本体に接する面は粗面化処理が施されて微細な凹凸構造が形成されており、

前記PEEK製本体と前記チタン製薄板とは、両者の間に塗布された生体適合性接着剤の層が前記PEEK製本体の前記表面活性化処理が施された面に接着すると共に、前記チタン製薄板の面に形成された微細な凹凸構造の凹部に前記生体適合性接着剤が入り込んで硬化して物理的嵌合を形成することによって、前記生体適合性接着剤の層を介して前記チタン製薄板が前記PEEK製本体に強固に接合されており、

前記脊椎ケージを患者の椎体間に挿入してインプラントすると、前記PEEK製本体に貼り付けられた前記チタン製薄板が周囲の椎骨と接触し、患者の動きに伴って前記椎骨から応力を受けながら前記PEEK製本体から分離することなく椎骨と結合する、

前記椎体間固定術に用いるPEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージ、という発明に到達した。
【0010】
本発明の発明者はさらに、椎体間固定術に用いるPEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージを製造する方法であって、

略砲弾形状のPEEK製本体と、前記PEEK製本体の上面と下面に貼り付ける二枚のチタン製薄板を用意し、

前記PEEK製本体の上面と下面を表面活性化処理を施して改質し、

前記二枚のチタン製薄板の前記PEEK製本体と接する面に粗面化処理を施して微細な凹凸構造を形成し、

前記PEEK製本体の上面と下面にそれぞれ前記チタン製薄板を生体適合性接着剤を用いて貼り付け、それによって、前記生体適合性接着剤の層が前記PEEK本体の前記表面活性化処理が施された上面と下面と接着すると共に、前記チタン製薄板の面に形成された微細な凹凸構造の凹部に前記生体適合性接着剤が入り込んで硬化することによって前記生体適合性接着剤の層と前記チタン製薄板の面が物理的嵌合を形成する、

前記椎体間固定術に用いるPEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージの製造方法、という発明に到達した。
【0011】
好ましくは、前記チタン製薄板の厚さは0.5~5mm、より好ましくは1~3mmである。
【0012】
好ましくは、前記生体適合性接着剤は、強度と剛性に優れたエポキシ樹脂系接着剤を用いる。
【0013】
好ましくは、前記チタンは64チタン合金(Ti-6Al-4V)を含む。
【0014】
好ましくは、前記表面活性化処理は、オゾン処理、紫外線照射処理、各種放電処理、又は粗面化処理を用いる。
【0015】
好ましくは、前記粗面化処理は、チタン製薄板の表面に微細な凹凸構造を形成するための化学的処理又は物理的処理を含む。化学的処理としては、脱脂処理の後苛性ソーダ水溶液に浸漬し、次いで硝酸水溶液に浸漬して洗浄乾燥する方法、陽極酸化処理が可能であり、物理的処理としては、レーザースキャニングによる凹凸構造の形成が可能である。
【0016】
好ましくは、前記チタン製薄板が貼り付けられた脊椎ケージの上面及び/又は下面には凹凸形状が形成されており、脊椎ケージが椎体間に挿入された後に前記脊椎ケージが挿入方向と逆方向に後戻りすることが前記上面及び/又は下面の凹凸形状によって防止される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の脊椎ケージは、PEEK製本体の上面と下面にチタン製薄板がそれぞれ貼り付けられているので、脊椎ケージを患者の椎体間に挿入して固定すると、ケージの上下に位置する椎骨がチタン製薄板に接触し、椎骨から受けた応力がチタン製薄板を介してPEEK製本体に伝えられて、受けた応力に応じてPEEK製本体が変形する。その結果、本発明の複合脊椎ケージは、チタン製の脊椎ケージを用いる場合と比べて周囲の骨の動きとの間に生じるギャップが格段に小さい。
【0018】
本発明の脊椎ケージは、PEEK製本体の面にチタン製薄板が強固に接合されているので、患者の動きに伴って椎間板腔に挿入埋植された脊椎ケージが周囲の椎骨から応力を受けてもチタン製薄板がPEEK製本体の面から剥離することがない。
【0019】
本発明の脊椎ケージは、チタン製薄板の面が椎骨と接触して結合するので、PEEK製本体にチタンをコーティングした場合と比べて、脊椎ケージと骨との間で優れた結合を得ることができる。
【0020】
本発明の脊椎ケージの一つの実施態様では、PEEK製本体とチタン製薄板を接合する接着剤としてエポキシ樹脂系の生体適合性接着剤を用いているので、体内にインプラントできる安全な脊椎ケージとして用いることができる。
【0021】
本発明の脊椎ケージは、埋植された位置で周囲の骨の動きとの間で生じるギャップが少なく、なおかつ脊椎ケージの上下面がPEEK製本体に貼り付けられたチタン製薄板を介して椎骨と接触して癒合するので、従来のチタン製脊椎ケージ以上の骨との結合を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1(A)は、本発明の脊椎ケージの一つの実施態様の斜視図を示す。図1(B)は、本発明の脊椎ケージの一つの実施態様のチタン製薄板をPEEK製本体に貼り付ける前の状態を示す。
図2図2(A)は、本発明の脊椎ケージの一つの実施態様のチタン製薄板とPEEK製本体が接着剤を介して接合されている状態を示す。図2(B)は、本発明の脊椎ケージの一つの実施態様の、チタン製薄板に形成された微細な凹凸構造に硬化した接着剤が物理的に嵌合した状態を示す。
図3図3は、本発明の脊椎ケージが患者の椎骨の間に挿入された状態を示す。
図4図4は、本発明の脊椎ケージを製造する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0024】
<用語の定義>
(1)表面活性化処理
本発明において表面活性化処理とは、PEEKの樹脂面に接着性を持たせるために施される表面改質処理をいう。PEEK樹脂は接着性に乏しく、接着剤を用いて接着するためには、樹脂の面に表面処理をして改質することが必要である。表面活性化処理には、化学的処理(薬品処理、溶剤処理、モノマー又はポリマーコーティング処理、カップリング剤処理、表面グラフト化、蒸気処理等)、及び物理的処理(紫外線照射処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、表面粗面化処理)が含まれる。
(2)生体適合性接着剤
本発明において、生体適合性接着剤とは、人体に対して悪影響を与えず医療用に用いることができるグレードの接着剤をいう。生体適合性接着剤は医療機器の部品を接合するのに用いられる。エポキシ系接着剤は、生体適合性を有し、かつ強度と剛性に優れるので、広く医療用器具に用いられており、本発明の実施態様において好適に用いることができる。
【0025】
図1(A)(B)は、本発明の一つの実施形態にかかる脊椎ケージの斜視図を示し、図2(A)は、本発明の脊椎ケージの一つの実施態様のチタン製薄板とPEEK製本体が接着剤を介して接合されている状態を示し、図2(B)は、本発明の脊椎ケージの一つの実施態様の、チタン製薄板に形成された微細な凹凸構造に硬化した接着剤が物理的に嵌合した状態示す。
【0026】
図1(A)を参照して、本発明の一つの実施形態にかかる脊椎ケージ100は略砲弾形状をなし、上面と下面にはそれぞれ凹凸形状が形成されて、椎骨間に挿入したケージが容易に抜けてしまうことが防止される。図1(B)を参照して、本発明の脊椎ケージ100はPEEK製本体10とPEEK製本体の上面に貼り付けられたチタン製薄板20とPEEK製本体の下面に貼り付けられたチタン製薄板30とからなる。
【0027】
図2(A)を参照して、PEEK製本体10の上面にチタン製薄板20が接着剤によって貼り付けられる。接着剤は生体適合性であり、硬化して強い接着が得られるものを用い、エポキシ系接着剤を好適に用いることができる。PEEK製本体10の上面は表面活性化処理を施すことによって、PEEK面が接着剤の層と強固に接着することを可能にしてある。チタン製薄板20の下面は粗面化処理が施されて、粗面の凹凸構造の凹部に接着剤が侵入して硬化して、チタン製薄板20と接着剤層とが物理的に嵌合している(図2(B)参照)。PEEK製本体の上面はプラズマ処理等の化学的表面処理を施すことによって、接着性を有しているが、表面活性化処理として粗面化処理を施すことも可能であり、その場合には、接着剤層とPEEK本体上面とは、PEEK本体の上面の凹凸構造の凹部に接着剤が入り込んで硬化することによって、物理的嵌合を形成する。尚、図2(A)(B)はPEEK製本体10の上面にチタン製薄板20が接着剤によって貼り付けられた場合を示すが、PEEK製本体10の下面にチタン製薄板30が接着剤によって貼り付けられた場合も同様である。
【0028】
チタン製薄板20は、チタン製薄板20が椎骨から応力を受けてその力をPEEK製本体に伝えて、PEEK製本体の変形が可能になるよう程度に薄い板であることが望ましい。他方、チタン製薄板に粗面化処理を施して、尚且つチタンが椎骨に融合することが可能な厚さを有することが必要である。この二つの相反する要求を満たすチタン製薄板の厚さは、0.5~5mmが好ましく、より好ましくは1~3mmである。
【0029】
図4は、本発明の脊椎ケージを製造する方法のフローチャートを示す。
【0030】
以上、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内において種々の実施形態に変更して実施することが可能である。
【符合の説明】
【0031】
100 脊椎ケージ
10 PEEK製本体
20 チタン製薄板(PEEK製本体の上面に貼着)
30 チタン製薄板(PEEK製本体の下面に貼着)




























【要約】
【課題】 生体内にインプラントされて、チタン製薄板とPEEK製本体が分離することがないPEEKとチタンの複合体からなる脊椎ケージを提供する。
【解決手段】
脊椎ケージはPEEK製の本体と、PEEK製本体の上下面にチタン製薄板が生体適合性接着剤を用いて貼り付けられて構成し、PEEK製本体の上下面は、表面活性化処理を施して改質されており、チタン製薄板が前記PEEK製本体に接する面は微細な凹凸の構造を形成するように粗面化処理が施されており、前記PEEK製本体の上下面とチタン製薄板の間に塗布された生体適合性接着剤が前記微細な凹凸の構造の凹部に入り込んで硬化することによって、前記チタン製薄板が前記接着剤の層を介して前記PEEK製本体に物理的嵌合によって接合される。
【選択図】 図2(A)(B)
図1
図2
図3
図4