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特許7546864レゾルバステータ構造及びそのハウジングへの組み付け方法
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  • 特許-レゾルバステータ構造及びそのハウジングへの組み付け方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】レゾルバステータ構造及びそのハウジングへの組み付け方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20240902BHJP
   G01D 5/12 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G01D5/20 110H
G01D5/12 Q
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021041330
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022141150
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】平 彰介
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140871(JP,A)
【文献】特開2017-198591(JP,A)
【文献】特開2014-33588(JP,A)
【文献】特許第4605307(JP,B1)
【文献】特開平8-264350(JP,A)
【文献】特開2006-191702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/252
G01B 7/00-7/34
H02K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコイル(23)が巻回された複数の突出磁極(22)を有する輪状ステータコア(1)と、前記輪状ステータコア(1)に形成された複数の空隙部(41,41A)と、前記輪状ステータコア(1)の前記各空隙部(41,41A)間に形成された締結孔(61)と、前記輪状ステータコア(1)をハウジング(60)に取り付けるための締結部材(61A)と、を備え、
前記輪状ステータコア(1)は、前記締結孔(61)を貫通した前記締結部材(61A)が前記ハウジング(60)内の孔(62)に挿入又は螺入することによって、前記ハウジング(60)に対して締結され、
前記輪状ステータコア(1)の内周(1E)に前記複数の突出磁極(22)が設けられている場合には、前記輪状ステータコア(1)の外周(1F)から前記ステータコイル(23)の方向に流れる外部磁束(80)の少なくとも一部は、少なくとも内部応力発生部(70)か前記空隙部(41,41A)の何れかと交差し、
前記輪状ステータコア(1)の前記外周(1F)に前記複数の突出磁極(22)が設けられている場合には、前記輪状ステータコア(1)の前記内周(1E)から前記ステータコイル(23)の方向に流れる前記外部磁束(80)の少なくとも一部は、少なくとも内部応力発生部(70)か前記空隙部(41,41A)の何れかと交差することを特徴とするレゾルバステータ構造。
【請求項2】
前記空隙部(41,41A)は、スリット、長孔、丸孔及び角孔の何れか1つよりなることを特徴とする請求項1記載のレゾルバステータ構造。
【請求項3】
前記輪状ステータコア(1)と前記ハウジング(60)は、前記輪状ステータコア(1)の軸方向(P)に沿って積み重ねられていることを特徴とする請求項1又は2記載のレゾルバステータ構造。
【請求項4】
前記締結部材(61A)は、ねじ又はボルト又は長棒からなることを特徴とする請求項1ないし3の何れか項に記載のレゾルバステータ構造。
【請求項5】
前記突出磁極(22)と前記締結孔(61)の各位置は、前記輪状ステータコア(1)の半径方向(r)に沿っていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか項に記載のレゾルバステータ構造。
【請求項6】
前記各空隙部(41,41A)は、平面で見て長方形をなすことを特徴とする請求項1ないし5の何れか項に記載のレゾルバステータ構造。
【請求項7】
前記突出磁極(22)と前記締結孔(61)との間には、スリット形状空隙部(42)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6の何れか項に記載のレゾルバステータ構造。
【請求項8】
ステータコイル(23)が巻回された複数の突出磁極(22)を有する輪状ステータコア(1)と、前記輪状ステータコア(1)に形成された複数の空隙部(41,41A)と、前記輪状ステータコア(1)の前記各空隙部(41,41A)間に形成された締結孔(61)と、前記輪状ステータコア(1)をハウジング(60)に取り付けるための締結部材(61A)と、を用い、
前記輪状ステータコア(1)は、前記締結孔(61)を貫通した前記締結部材(61A)が前記ハウジング(60)内の孔に挿入又は螺入することによって、前記ハウジング(60)に対して締結され、
前記輪状ステータコア(1)の内周(1E)に前記複数の突出磁極(22)が設けられている場合には、前記輪状ステータコア(1)の外周(1F)から前記ステータコイル(23)の方向に流れる外部磁束(80)の少なくとも一部は、少なくとも内部応力発生部(70)か前記空隙部(41,41A)の何れかと交差し、
前記輪状ステータコア(1)の前記外周(1F)に前記複数の突出磁極(22)が設けられている場合には、前記輪状ステータコア(1)の前記内周(1E)から前記ステータコイル(23) の方向に流れる外部磁束(80)の少なくとも一部は、少なくとも内部応力発生部(70)か前記空隙部(41,41A)の何れかと交差することを特徴とするレゾルバステータ構造のハウジングへの組み付け方法。
【請求項9】
前記空隙部(41,41A)は、スリット、長孔、丸孔及び角孔の何れか1つよりなることを特徴とする請求項8記載のレゾルバステータ構造のハウジングへの組み付け方法。
【請求項10】
前記輪状ステータコア(1)と前記ハウジング(60)は、前記輪状ステータコア(1)の軸方向(P)に沿って積み重ねられていることを特徴とする請求項8又は9記載のレゾルバステータ構造のハウジングへの組み付け方法。
【請求項11】
前記締結部材(61A)は、ねじ又はボルト又は長棒からなることを特徴とする請求項8ないし10の何れか項に記載のレゾルバステータ構造のハウジングへの組み付け方法。
【請求項12】
前記突出磁極(22)と前記締結孔(61)の各位置は、前記輪状ステータコア(1)の半径方向(r)に沿っていることを特徴とする請求項8ないし11の何れか項に記載のレゾルバステータ構造のハウジングへの組み付け方法。
【請求項13】
前記各空隙部(41,41A)は、平面で見て長方形をなすことを特徴とする請求項8ないし12の何れか項に記載のレゾルバステータ構造のハウジングへの組み付け方法。
【請求項14】
前記突出磁極(22)と前記締結孔(61)との間には、スリット形状空隙部(42)が形成されていることを特徴とする請求項8ないし13の何れか項に記載のレゾルバステータ構造のハウジングへの組み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバステータ構造及びそのハウジングへの組み付け方法に関し、特に、輪状ステータコアを相手側であるハウジングに取付ける際に発生する内部応力発生部か空隙部を用い、外部からの外部磁束が輪状ステータコアのステータコイルに流入することを抑えるための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の輪状ステータコア1の多数の突出磁極22に対して、モータ等から発生した外部磁束Mが前記突出磁極22のステータコイル23に流れ込まないようにしたレゾルバとしては、例えば、特許文献1及び2の構成として開示することができる。
すなわち、図4に示される第1従来構成においては、輪状ステータコア1の周縁1Aに、円弧状に形成された多数の第1、第2空隙部41、42が形成されている。
【0003】
前記各空隙部41、42は、前記輪状ステータコア1の半径方向に沿って二重状となるように形成され、前記輪状ステータコア1の周縁1Aには、所定角度間隔毎に切欠部43が外部開放形の形状で∪字状に形成されている。
【0004】
また、図5で示される第2従来構成において、図4と同一又は同等部分においては同一符号を用いて説明する。
すなわち、輪状ステータコア1の内周には、所定角度間隔で、ステータコイル23を有する多数の突出磁極22が設けられている。
前記輪状ステータコア1の外縁1Bには、図4の構成のように、第1、第2空隙部41、42が、前記輪状ステータコア1の半径方向rに沿って見た時に、互いに重合するように、互いに径の異なる位置に配設されている。
前記輪状ステータコア1の軸中心に形成された内孔11内には、VR型のレゾルバを形成するためのロータ10が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-64409号公報
【文献】特開2018-133989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のレゾルバは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、図4の第1従来構成の場合、ステータコイルの外側には、半径方向に沿って二重構成の空隙が形成され、例えば、この輪状ステータコア1の周縁1Aに、図示しないモータからの外部磁束Mが流れ込んだ場合、前述の第1、第2空隙部41、42による磁気抵抗では限界があり、小径のレゾルバの場合には、大形の空隙部を形成することが不可能であった。また、特許文献1の図5等には、切欠部43と各空隙部41、42とを互いに接近させて、磁気抵抗を少しでも大きくしようとしているが、空気だけに頼って大きい磁気抵抗を得るには限界があった。
【0007】
また、図5で示される第2従来構成の場合、前述の第1、第2空隙部41、42を形成し、一対の第2空隙部42間の隙間50の外側に第1空隙部41を形成し、この隙間50を半径方向rで見て、埋めることができるようにしているが、ステータコイル23と第1空隙部41の外側との間には、磁気抵抗が殆んどない部分が存在しているため、外部磁束がステータコイルに流れることを防ぐことは不可能であった。
【0008】
また、本出願人は、レゾルバステータを、ピン、リベット、及び、ねじ等の組み付け部品によってハウジングに締結する時、レゾルバステータコアに内部応力が発生し、輪状ステータコアに内部応力が発生すると、内部応力発生部分の透磁率が悪化することによって、磁束が通りにくくなることを利用した。
そこで、本出願人は、レゾルバステータの円周方向に沿う各空隙部(スリット、長穴、丸穴)の間に締結部を設け、意図的に内部応力を発生させ、その部分の透磁率を低下させ、モータ等からの外部磁束が突出磁極のステータコイルに流れることを抑制し、レゾルバ性能の低下を防止するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるレゾルバステータ構造は、ステータコイルが巻回された複数の突出磁極を有する輪状ステータコアと、前記輪状ステータコアに形成された複数の空隙部と、前記輪状ステータコアの前記各空隙部間に形成された締結孔と、前記輪状ステータコアをハウジングに取付けるための締結部材と、を備え、前記輪状ステータコアは、前記締結孔を貫通した前記締結部材が前記ハウジングの孔に挿入又は螺入することによって、前記ハウジングに対して締結され、前記輪状ステータコアの内周に前記複数の突出磁極が設けられている場合には、前記輪状ステータコアの外周から前記ステータコイルの方向に流れる外部磁束の少なくとも一部は、少なくとも前記内部応力発生部か前記空隙部の何れかと交差し、前記輪状ステータコアの前記外周に前記複数の突出磁極が設けられている場合には、前記輪状ステータコアの前記内周から前記ステータコイルの方向に流れる前記外部磁束の少なくとも一部は、少なくとも内部応力発生部か前記空隙部の何れかと交差する構成であり、また、前記空隙部は、スリット、長孔、丸孔及び角孔の何れか1つよりなる構成であり、また、前記輪状ステータコアと前記ハウジングは、前記輪状ステータコアの軸方向に沿って積み重ねられている構成であり、また、前記締結部材は、ねじ又はボルト又は長棒からなる構成であり、また、前記突出磁極と前記締結孔の各位置は、前記輪状ステータコアの半径方向に沿っている構成であり、また、前記各空隙部は、平面で見て長方形をなす構成であり、また、前記突出磁極と前記締結孔との間には、スリット形状空隙部が形成されている構成であり、また、本発明によるレゾルバステータ構造のハウジングへの組み付け方法は、ステータコイルが巻回された複数の突出磁極を有する輪状ステータコアと、前記輪状ステータコアに形成された複数の空隙部と、前記輪状ステータコアの前記各空隙部間に形成された締結孔と、前記輪状ステータコアをハウジングに取付けるための締結部材と、を用い、前記輪状ステータコアは、前記締結孔を貫通した前記締結部材が前記ハウジングの孔に挿入又は螺入することによって、前記ハウジングに対して締結され、前記輪状ステータコアの内周に前記複数の突出磁極が設けられている場合には、前記輪状ステータコアの外周から前記ステータコイルの方向に流れる外部磁束の少なくとも一部は、少なくとも内部応力発生部か前記空隙部の何れかと交差し、前記輪状ステータコアの前記外周に前記複数の突出磁極が設けられている場合には、前記輪状ステータコアの前記内周から前記ステータコイルの方向に流れる外部磁束の少なくとも一部は、少なくとも前記内部応力発生部か前記空隙部の何れかと交差する方法であり、また、前記空隙部は、スリット、長孔、丸孔及び角孔の何れか1つよりなる方法であり、また、前記輪状ステータコアと前記ハウジングは、前記輪状ステータコアの軸方向に沿って積み重ねられている方法であり、また、前記締結部材は、ねじ又はボルト又は長棒からなる方法であり、また、前記突出磁極と前記締結孔の各位置は、前記輪状ステータコアの半径方向に沿っている方法であり、また、前記各空隙部は、平面で見て長方形をなす方法であり、また、前記突出磁極と前記締結孔との間には、スリット形状空隙部が形成されている方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるレゾルバステータ構造及びそのハウジングへの組み付け方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、ステータコイルが巻回された複数の突出磁極を有する輪状ステータコアと、前記輪状ステータコアに形成された複数の空隙部と、前記輪状ステータコアの前記各空隙部間に形成された締結孔と、前記輪状ステータコアをハウジングに取付けるための締結部材と、を備え、前記輪状ステータコアは、前記締結孔を貫通した前記締結部材が前記ハウジングの孔に挿入又は螺入することによって、前記ハウジングに対して締結され、前記ステータコイルと前記輪状ステータコアの外周又は内周とを結ぶ線は、少なくとも内部応力発生部か前記空隙部の何れかと交差することにより、従来存在していなかった第1空隙部と締結孔との間、及び、締結孔と第2空隙部との間、に各々形成された内部応力発生部における透磁率の低下によって、外部磁束のステータコイルへの流入を防止し、さらに、この締結孔の両側の第1、第2空隙部による磁気抵抗部分によって、さらに、外部磁界がステータコイルに流入することを防止することによって、S/N比の大きい、かつ、信頼性の高いレゾルバ信号を得ることができる。
また、前記空隙部は、スリット、長孔、丸孔及び角孔の何れか1つよりなることにより、効果的な磁気抵抗部分を得ることができる。
また、前記輪状ステータコアと前記ハウジングは、前記輪状ステータコアの軸方向に沿って積み重ねられていることにより、小型のレゾルバモータを得ることができる。
また、前記締結部材は、ねじ又はボルト又は長棒からなることにより、締結をコンパクトに行うことができる。
また、前記突出磁極と前記締結孔の各位置は、前記輪状ステータコアの半径方向に沿っていることにより、ステータコイルの外部磁束流入防止を効率的に行うことができる。
また、前記各空隙部は、平面で見て長方形をなすことにより、大きい磁気抵抗領域を得ることができる。
また、前記突出磁極と前記締結孔との間には、スリット形状空隙部が形成されていることにより、内部応力発生部に空隙部が位置しているため、さらなる磁気抵抗の増大となることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態によるレゾルバステータ構造の要部の斜視図である。
図2図1の要部を示す断面図である。
図3図1の要部の下側から見た斜視説明図である。
図4】第1従来構成を示す平面図である。
図5】第2従来構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるレゾルバステータ構造及びそのハウジングへの組み付け方法においては、輪状ステータコアを相手側であるハウジングに取付ける際に発生する内部応力発生部を用い、外部からの外部磁束が輪状ステータコアのステータコイルに流入することを抑える構成である。
【実施例
【0013】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバステータ構造及びそのハウジングへの組み付け方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来構成と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号1で示されるものは、輪状ステータコアであり、この輪状ステータコア1のインナロータの場合は内周1E(又はアウタロータコアの場合は外周1F)には、所定角度間隔毎にステータコイル23が巻回された多数の突出磁極22が一体に形成されている。
【0014】
前記輪状ステータコア1の裏面側1Gには、例えば、モータのハウジング60が設けられ、前記輪状ステータコア1の周縁1Aには、前記各突出磁極22と同一の半径方向rに沿って、ねじやボルト等の締結部材61Aを挿入又は螺入させるための締結孔61が形成されている。
【0015】
前記各締結孔61に対応するハウジング60の下側には、図2に示されるように、ねじ又は挿入孔からなる孔62が形成されている。
従って、図2のように、前記締結孔61を経て、前記孔62に締結部材61Aを螺入又は挿入して前記孔62に締結部材61Aを締結すると、前記輪状ステータコア1は、例えば、モータの前記ハウジング60に圧縮して締結される。
【0016】
前記輪状ステータコア1が締結部材61Aでハウジング60に締結されると、輪状ステータコア1の前記締結孔61の周辺又は周囲に内部圧縮応力が発生し、この内部圧縮応力による内部応力発生部70の輪状ステータコア1には、透磁率が低下(減少)し、この内部応力発生部70を外部からの外部磁束80が流れようとすると、内部応力発生部70の透磁率が当初の材料の時から大幅に低下又は減少しているため、外部磁界の強さがその以前よりも大幅に減少する。すなわち、前記ステータコイル23と輪状ステータコア1の外周1F又は内周1Eとを結ぶ仮の線(ライン)75は、少なくとも内部応力発生部70か空隙部41、41Aの何れかと交差するように構成されている。従って、外部磁束80が外部の何れの方向から流入する場合でも、外部磁束80の勢いは、内部応力発生部70か各空隙部41、41Aによって弱まり、外部雑音の少ない、かつ、S/N比の良好なレゾルバ信号を得ることができる。前述の外部磁束80の輪状ステータコア1への流れ方を線75として示すと、ステータコイル23と輪状ステータコア1の外周1F又は内周1Eとを結ぶ状態として示すと、この線75は、少なくとも内部応力発生部70か空隙部41、41Aの何れかと交差している。尚、図1の線75は1本のみ示しているが、外部磁束80を示しているため、無数にあるが、分りやすいように1本としている。
【0017】
前記輪状ステータコア1に形成された前記締結孔61の両側に、前記周縁1A(前記外周1Fと同じ)の方向に沿って形成された一対の長方形をなす貫通孔からなる第1、第2空隙部41、41Aが形成されており、各空隙部41、41Aは、磁気抵抗としての空気層からなり、前記外部磁束80が突出磁極22のステータコイル23に流れることを抑止するように構成されている。
従って、外部から流れ込む外部磁束80の流れは、前記締結部材61Aの締結孔61及び孔62への締結による輪状ステータコア1の透磁率が低下した内部応力発生部70か、各空隙部41、41Aの何れか、又は、その両方(前記内部応力発生部70と各空隙部41、41A)と交差することにより、ステータコイル23側への磁束の流れを抑制することができる。
また、前記突出磁極22と前記締結孔61との間には、スリット形状空隙部42が形成されているので、内部応力発生部70に空隙部が位置しているため、さらなる磁気抵抗の増大となることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によるレゾルバステータ構造及びそのハウジングへの組み付け方法は、輪状ステータコアに形成された締結孔に設けた締結部材をハウジングの孔に締結することにより、この締結孔の周辺に透磁率が低下する内部応力発生部が形成され、外部からの漏れ磁束が突出磁極のステータコイルに流れにくくすることにより、レゾルバ信号の高精度化を達成できる。
【符号の説明】
【0019】
1 輪状ステータコア
1A 周縁
1E 内周
1F 外周
1G 裏面側
22 突出磁極
23 ステータコイル
41、41A 空隙部
42 スリット形状空隙部
60 ハウジング
61 締結孔
61A 締結部材(ねじ等)
62 孔
70 内部応力発生部
75 線
80 外部磁束
P 軸方向
r 半径方向
図1
図2
図3
図4
図5