(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】電線誘導具、及び、電線誘導具を備えた電線被覆層削取器
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20240902BHJP
B26B 27/00 20060101ALI20240902BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H02G1/12 026
B26B27/00 G
B26D3/00 603Z
(21)【出願番号】P 2023122191
(22)【出願日】2023-07-27
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221409
【氏名又は名称】東神電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝口 亮
(72)【発明者】
【氏名】増川 景斗
(72)【発明者】
【氏名】田中 健二
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/183614(WO,A1)
【文献】特開2002-199534(JP,A)
【文献】米国特許第6161289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
B26B 27/00
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線被覆層削取器に取り付けられる電線誘導具であって、
電線が挿通可能な第一誘導孔及び第二誘導孔が設けられた基部と、
前記基部の前記第一誘導孔から延出し、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔に挿入される第一誘導部と、を備え、
前記基部は、前記第一誘導孔及び前記第二誘導孔が交互に、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔と直線状に整列できるように、前記電線被覆層削取器に対して着脱可能に取り付けられる、ことを特徴とする、電線誘導具。
【請求項2】
前記第二誘導孔が、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔と直線状に整列した際に、
前記第一誘導部は、前記電線被覆層削取器の外周壁の凹部に当接することを特徴とする請求項1に記載の電線誘導具。
【請求項3】
前記基部は、磁力によって、前記電線被覆層削取器の取付部に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電線誘導具。
【請求項4】
前記基部は、前記電線被覆層削取器の取付部に対して、突起と当該突起が挿入される穴部によって、固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の電線誘導具。
【請求項5】
前記基部は、前記電線が挿通可能な第三誘導孔を備え、
前記基部の前記第二誘導孔から延出し、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔に挿入される第二誘導部と、を備え、
前記第三誘導孔が、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔と直線状に整列した際に、
前記第二誘導部は、前記電線被覆層削取器の外周壁の凹部に当接することを特徴とする請求項2に記載の電線誘導具。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の電線誘導具を備えたことを特徴とする電線被覆層削取器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、低圧電線等の被覆層を削り取る電線被覆層削取器に取り付けられる電線誘導具、及び電線誘導具を備えた電線被覆層削取器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業員が電線被覆層削取器の電線挿通孔に電線を挿通させ、その状態で電線被覆層削取器を回動させることで、電線被覆層削取器に内蔵された切削刃によって電線の被覆層を削り取っていた。ただ、電線の種類によって、電線の直径や形状が異なるため、挿通させた電線が電線挿通孔内で捻れるなど位置や姿勢が安定せず、被覆層を上手く削り取ることが出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本願発明は、上記問題に鑑み、様々な種類の電線に対応できるように、被覆層を安定して削り取ることが出来る電線誘導具、及び、電線誘導具を備えた電線被覆層削取器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明の電線誘導具は、電線被覆層削取器に取り付けられる電線誘導具であって、電線が挿通可能な第一誘導孔及び第二誘導孔が設けられた基部と、前記基部の前記第一誘導孔から延出し、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔に挿入される第一誘導部と、を備え、前記基部は、前記第一誘導孔及び前記第二誘導孔が交互に、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔と直線状に整列できるように、前記電線被覆層削取器に対して着脱可能に取り付けられる、ことを特徴とする。
【0006】
上記特徴によれば、電線の直径や形状等に合わせた、適切な誘導孔へと容易に変更でき、被覆層を安定して削り取ることが出来る。
【0007】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の電線誘導具は、前記第二誘導孔が、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔と直線状に整列した際に、前記第一誘導部は、前記電線被覆層削取器の外周壁の凹部に当接することを特徴とする。
【0008】
上記特徴によれば、電線の被覆層を削り取る際に、電線誘導具が外力によって回転しそうになっても、第一誘導部が、電線被覆層削取器の凹部に当接して回転を防止できる。
【0009】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の電線誘導具は、前記基部は、磁力によって、前記電線被覆層削取器の取付部に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記特徴によれば、電線誘導具は電線被覆層削取器に磁力によって固定されているので、簡単に着脱ができる。
【0011】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の電線誘導具は、前記基部は、前記電線被覆層削取器の取付部に対して、突起と当該突起が挿入される穴部によって、固定されることを特徴とする。
【0012】
上記特徴によれば、電線誘導具が取付部上で回転しないように、しっかりと固定されている。
【0013】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の電線誘導具は、前記基部は、前記電線が挿通可能な第三誘導孔を備え、前記基部の前記第二誘導孔から延出し、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔に挿入される第二誘導部と、を備え、前記第三誘導孔が、前記電線被覆層削取器の電線挿通孔と直線状に整列した際に、前記第二誘導部は、前記電線被覆層削取器の外周壁の凹部に当接することを特徴とする。
【0014】
上記特徴によれば、第一誘導部と第二誘導部の2箇所で、各凹部に当接しているので、電線誘導具の回転を効果的に防止している。
【0015】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の電線被覆層削取器は、上記電線誘導具を備えたことを特徴とする。
【0016】
上記特徴によれば、電線の直径や形状等に合わせた、適切な誘導孔へと容易に変更でき、被覆層を安定して削り取ることが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の電線誘導具、及び、電線誘導具を備えた電線被覆層削取器は、様々な種類の電線に対応できるように、被覆層を安定して削り取ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本願発明の電線被覆層削取器の全体斜視図である。
【
図2】(a)は、内部構造を分かりやすく説明するために、電線被覆層削取器を中央で切断し、展開して示した展開図、(b)は、電線被覆層削取器の側面図である。
【
図3】(a)は、電線誘導具の右正面側の全体斜視図、(b)は、電線誘導具の左正面側の全体斜視図、(c)は、電線誘導具の裏面側の全体斜視図である。
【
図4】(a)は、電線誘導具の正面図、(b)は、電線誘導具の裏面図、(c)は、電線誘導具の側面図である。
【
図5】(a)は、電線誘導具を電線被覆層削取器に取り付ける前の状態の全体斜視図、(b)は、電線誘導具を電線被覆層削取器に取り付けた状態の背面図、(c)は、電線誘導具を電線被覆層削取器に取り付けた状態の平面図である。
【
図6】(a)は、電線誘導具を電線被覆層削取器に取り付ける前の状態の全体斜視図、(b)は、電線誘導具を電線被覆層削取器に取り付けた状態の背面図、(c)は、電線誘導具を電線被覆層削取器に取り付けた状態の平面図である。
【
図7】(a)は、電線誘導具を電線被覆層削取器に取り付ける前の状態の全体斜視図、(b)は、電線誘導具を電線被覆層削取器に取り付けた状態の背面図、(c)は、電線誘導具を電線被覆層削取器に取り付けた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本願発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0020】
まず、
図1及び
図2に、本願発明の電線誘導具100を取り付ける対象である電線被覆層削取器600を示す。なお、
図1は、電線被覆層削取器600の全体斜視図、
図2(a)は、内部構造を分かりやすく説明するために、電線被覆層削取器600を中央で切断し、展開して示した展開図、
図2(b)は、電線被覆層削取器600の側面図である。
【0021】
電線被覆層削取器600は、中心に電線を挿通させる電線挿通孔630を備えた筒型形状をしており、全体が合成樹脂等で構成されている。電線挿通孔630は、電線被覆層削取器600の長尺方向に沿って直線状に延出している。
【0022】
また、電線被覆層削取器600の外周壁602には、凹部603が複数設けられている。凹部603は、断面が略半円形状に内側へ窪んだ形状をしており、電線被覆層削取器600の長尺方向に沿って直線状に延出している。凹部603を設けることで、電線被覆層削取器600の外周壁602の表面は凹凸状になり、作業員が電線被覆層削取器600を手で把持して回動させやすい。なお、凹部603は、断面が略半円形状に内側へ窪んだ形状をしているが、これに限定されず、任意の形状としてもよい。
【0023】
また、電線挿通孔630には、内外に貫通する貫通孔631が設けられている。そして、貫通孔631に隣接する位置には削取刃609が取り付けられており、削取刃609の先端は、電線挿通孔630の内側へ突出している。そのため、電線挿通孔630に電線を挿通させた状態で、電線被覆層削取器600を回動させれば、削取刃609が電線の被覆層を削り取り、その削り取られた被覆層は、貫通孔631を介して外部へ排出されるのである。
【0024】
また、電線挿通孔630には、電線挿通孔630の長尺方向に沿って延出する確認窓632が設けられている。確認窓632は、内外に貫通しており、電線挿通孔630に挿通された電線を外部から視認できる。そして、作業員は、電線の被覆がどの程度剥ぎ取られたかを、確認窓632を介して確認できる。なお、確認窓632の外面には目盛633が設けられており、電線の被覆が剥ぎ取られた長さを測る目安として利用できる。目盛633は溝により構成されているが、これに限定されず、目盛633は塗料等によって線状に引かれた構成など、その他の任意の構成であってもよい。
【0025】
また、電線被覆層削取器600の先端側の端面は、後述する電線誘導具100を取り付ける取付部640となっている。取付部640は、電線誘導具100を安定して取り付けることが出来るように、平坦面となっている。さらに、取付部640には、電線誘導具100が磁力によって着脱できるように、金属体641が配置されている。また、取付部640には、電線誘導具100の穴部に挿入される突起642が配置されている。なお、取付部640は平坦面となっているが、これに限定されず、電線誘導具100を取り付けることが出来るのであれば、任意の形状であってもよい。
【0026】
次に、
図3及び
図4に、本願発明の電線誘導具100を示す。なお、
図3(a)は、電線誘導具100の右正面側の全体斜視図、
図3(b)は、電線誘導具100の左正面側の全体斜視図、
図3(c)は、電線誘導具100の裏面側の全体斜視図、
図4(a)は、電線誘導具100の正面図、
図4(b)は、電線誘導具100の裏面図、
図4(c)は、電線誘導具100の側面図である。
【0027】
電線誘導具100は、平坦な板状の基部110を備えており、全体が合成樹脂等で構成されている。基部110は、平面視略三角形状をしており、各角部のそれぞれに、第一誘導孔120、第二誘導孔130、及び第三誘導孔140が設けられている。第一誘導孔120、第二誘導孔130、及び第三誘導孔140は、電線が挿通可能なように前後に貫通した形状をしている。また、第二誘導孔130は、直径がより大きな電線を挿通できるように、第一誘導孔120よりも直径が大きくなっている。さらに、第三誘導孔140は、直径が更に大きな電線を挿通できるように、第二誘導孔130よりも直径が大きくなっている。
【0028】
また、第一誘導孔120の内面121は、表面の先端122側から裏面の末端123側にかけて傾斜しているので、第一誘導孔120は、先端122から末端123へ向けて縮径するように構成されている。同様に、第二誘導孔130の内面131は、表面の先端132側から裏面の末端133側にかけて傾斜しているので、第二誘導孔130は、先端132から末端133へ向けて縮径するように構成されている。同様に、第三誘導孔140の内面141は、表面の先端142側から裏面の末端143側にかけて傾斜しているので、第三誘導孔140は、先端142から末端143へ向けて縮径するように構成されている。
【0029】
また、第一誘導孔120の裏面には、裏側へ延出した筒状の第一誘導部150が設けられている。この第一誘導部150は、電線被覆層削取器600の電線挿通孔630に挿入できるように構成されており、さらに、電線を挿通可能な挿通孔151を備える。挿通孔151と第一誘導孔120は直線状に配置されて、互いに連通している。また、挿通孔151の一部には、側方へ向けて開いた開口152が設けられており、開口152は、第一誘導部150が電線挿通孔630に挿入された時に、電線挿通孔630の貫通孔631と削取刃609に相対するように配置される。
【0030】
また、第二誘導孔130の裏面には、裏側へ延出した筒状の第二誘導部160が設けられている。この第二誘導部160は、電線被覆層削取器600の電線挿通孔630に挿入できるように構成されており、さらに、電線を挿通可能な挿通孔161を備える。挿通孔161と第二誘導孔130は直線状に配置されて、互いに連通している。また、挿通孔161の一部には、側方へ向けて開いた開口162が設けられており、開口162は、第二誘導部160が電線挿通孔630に挿入された時に、電線挿通孔630の貫通孔631と削取刃609に相対するように配置される。
【0031】
また、基部110の裏面側の中央には、磁石170が取り付けられている。磁石170は、電線被覆層削取器600の金属体641と磁力によって結合することが出来る。また、基部110の裏面側には、複数の穴部180が設けられている。穴部180は、電線被覆層削取器600の突起642が挿入可能に構成されている。
【0032】
なお、基部110に磁石170を取り付け、電線被覆層削取器600に金属体641を取り付けているが、これに限定されず、基部110に金属体641を取り付け、電線被覆層削取器600に磁石170を取り付けてもよい。その他、磁力によって、基部110を電線被覆層削取器600に取り付けることが出来るのであれば、任意の構成であってもよい。さらに、磁力によって、基部110を電線被覆層削取器600に取り付けているが、これに限定されず、マジックテープ(登録商標)や、吸盤や、接着剤など、基部110を電線被覆層削取器600に着脱可能に固定できるものであれば、任意の構成であってもよい。また、基部110に穴部180を設け、電線被覆層削取器600に突起642を設けているが、これに限定されず、基部110に突起642を設け、電線被覆層削取器600に穴部180を設けてもよい。また、電線誘導具100は、磁石170の磁力と、穴部180と突起642の嵌合力によって、電線被覆層削取器600に固定されているが、これに限定されず、電線誘導具100は、磁石170の磁力のみ、又は、穴部180と突起642の嵌合力のみによって、電線被覆層削取器600に固定されてもよい。
【0033】
なお、第一誘導孔120、第二誘導孔130、及び第三誘導孔140の形状や大きさは、電線を挿通させることが出来るのであれば、任意の形状や大きさであってもよい。また、基部110には、3つの誘導孔が設けられているが、これに限定されず、2つの誘導孔又は4つ以上の誘導孔を設けてもよい。さらに、第一誘導孔120には第一誘導部150が設けられているが、これに限定されず、第一誘導部150を設けなくてもよい。また、第二誘導孔130には第二誘導部160が設けられているが、これに限定されず、第二誘導部160を設けなくてもよい。また、第三誘導孔140には、裏側へ延出する誘導部が設けられていないが、これに限定されず、裏側へ延出する誘導部を設けてもよい。
【0034】
次に、
図5を参照して、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付ける態様について説明する。なお、
図5(a)は、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付ける前の状態の全体斜視図、
図5(b)は、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付けた状態の背面図、
図5(c)は、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付けた状態の平面図である。
【0035】
まず、
図5(a)では、直径が大きな電線の被覆層を削り取ることを想定している。その場合は、電線誘導具100の最も直径が大きな第三誘導孔140を、電線被覆層削取器600の電線挿通孔630と直線状に配置する。具体的には、第三誘導孔140が電線被覆層削取器600の電線挿通孔630と直線状に並ぶように、電線誘導具100を電線被覆層削取器600の取付部640に宛てがい、電線誘導具100の磁石170と電線被覆層削取器600の金属体641とを磁力により結合する。すると、電線誘導具100が電線被覆層削取器600の取付部640に取り付けられた状態となる。その際、取付部640の突起642が電線誘導具100の穴部180に挿入されているので、電線誘導具100が取付部640上で回転しないように、しっかりと固定されている。
【0036】
そして、電線の被覆層を削り取る際は、電線を、第三誘導孔140から電線挿通孔630へ挿通させた状態で、作業員は、電線被覆層削取器600を把持して回動させる。電線挿通孔630内の電線の被覆層は、削取刃609で削り取られ、貫通孔631から外部へ排出される。さらに、作業員は、電線被覆層削取器600を回動させながら電線に沿って移動させると(図面上、左側に移動させる)、電線の被覆層は、所定の長さで螺旋状に削り取られる。その際、電線は、第三誘導孔140から電線挿通孔630へと押し入れられていく。第三誘導孔140の内面141は、電線挿通孔630へ向けて傾斜しているので、電線に僅かな潰れや膨れ上がりなどが生じていても、電線を電線挿通孔630に向けて真っ直ぐに送り込むことができ、被覆層の剥ぎ取りを安定して行えるのである。
【0037】
また、
図5(b)に示すように、電線誘導具100の第一誘導部150と第二誘導部160は、電線被覆層削取器600の凹部603に嵌まるように配置されている。そのため、電線の被覆層を削り取る際に、電線誘導具100が外力によって回転しそうになっても、電線誘導具100の第一誘導部150と第二誘導部160が、電線被覆層削取器600の凹部603に当接して回転を防止できる。その結果、被覆層の剥ぎ取りを安定して行えるのである。特に、第一誘導部150と第二誘導部160の2箇所で、各凹部603に当接しているので、電線誘導具100の回転を効果的に防止している。
【0038】
次に、
図6を参照して、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に付け替える態様について説明する。なお、
図6(a)は、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付ける前の状態の全体斜視図、
図6(b)は、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付けた状態の背面図、
図6(c)は、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付けた状態の平面図である。
【0039】
図6(a)では、
図5で説明した電線よりも直径が小さい電線の被覆層を削り取ることを想定している。その場合は、まず、
図5に示す状態から、電線誘導具100を電線被覆層削取器600から取り外す。電線誘導具100は電線被覆層削取器600に磁力によって固定されているので、簡単に着脱ができる。そして、
図6(a)に示すように、電線誘導具100の2番目に直径が大きな第二誘導孔130が、電線被覆層削取器600の電線挿通孔630と直線状に並ぶように、電線誘導具100の姿勢を回転させる。具体的には、第二誘導孔130が電線被覆層削取器600の電線挿通孔630と直線状に並ぶように、電線誘導具100を回転させて電線被覆層削取器600の取付部640に宛てがい、第二誘導孔130から延出する第二誘導部160を電線挿通孔630に挿入し、電線誘導具100の磁石170と金属体641とを磁力により固定する。すると、電線誘導具100が電線被覆層削取器600の取付部640に取り付けられた状態となる。その際、取付部640の突起642が電線誘導具100の穴部180に挿入されているので、電線誘導具100が取付部640上で回転しないように、しっかりと固定されている。
【0040】
そして、電線の被覆層を削り取る際は、電線を電線被覆層削取器600の電線挿通孔630内に挿通させた状態で、作業員は、電線被覆層削取器600を把持して回動させる。具体的には、電線は、第二誘導孔130から挿入されて、第二誘導部160の挿通孔161へ挿通される。さらに、電線は、第二誘導部160の挿通孔161から電線被覆層削取器600の電線挿通孔630へと挿通される。
図6(c)に示すように、第二誘導部160が電線挿通孔630に挿入された状態では、第二誘導部160の開口162が、電線挿通孔630の貫通孔631に重なっている。
【0041】
そして、電線を第二誘導部160の挿通孔161及び電線被覆層削取器600の電線挿通孔630内に挿通させた状態で、作業員は、電線被覆層削取器600を把持して回動させる。第二誘導部160の挿通孔161内の電線の被覆層は、削取刃609で削り取られ、貫通孔631から外部へ排出される。さらに、作業員は、電線被覆層削取器600を回動させながら電線に沿って移動させると(図面上、左側に移動させる)、電線の被覆層は、所定の長さで螺旋状に削り取られる。その際、電線は、第二誘導孔130から電線挿通孔630へ押し入れられていく。第二誘導孔130の内面131は、第二誘導部160及び電線挿通孔630へ向けて傾斜しているので、電線に僅かな潰れや膨れ上がりなどが生じていても、電線を第二誘導部160及び電線挿通孔630に向けて真っ直ぐに送り込むことができ、被覆層の剥ぎ取りを安定して行えるのである。
【0042】
また、
図6(b)に示すように、電線誘導具100の第一誘導部150は、電線被覆層削取器600の凹部603に嵌まるように配置されている。そのため、電線の被覆層を削り取る際に、電線誘導具100が外力によって回転しそうになっても、電線誘導具100の第一誘導部150が、電線被覆層削取器600の凹部603に当接して回転を防止できる。その結果、被覆層の剥ぎ取りを安定して行えるのである。
【0043】
次に、
図7を参照して、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に付け替える態様について説明する。なお、
図7(a)は、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付ける前の状態の全体斜視図、
図7(b)は、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付けた状態の背面図、
図7(c)は、電線誘導具100を電線被覆層削取器600に取り付けた状態の平面図である。
【0044】
図7(a)では、
図6で説明した電線よりも直径が小さい電線の被覆層を削り取ることを想定している。その場合は、まず、
図6に示す状態から、電線誘導具100を電線被覆層削取器600から取り外す。電線誘導具100は電線被覆層削取器600に磁力によって固定されているので、簡単に着脱ができる。そして、
図7(a)に示すように、電線誘導具100の直径が最も小さい第一誘導孔120が、電線被覆層削取器600の電線挿通孔630と直線状に並ぶように、電線誘導具100の姿勢を回転させる。具体的には、第一誘導孔120が電線被覆層削取器600の電線挿通孔630と直線状に並ぶように、電線誘導具100を回転させて電線被覆層削取器600の取付部640に宛てがい、第一誘導孔120から延出する第一誘導部150を電線挿通孔630に挿入し、電線誘導具100の磁石170と金属体641とを磁力により固定する。すると、電線誘導具100が電線被覆層削取器600の取付部640に取り付けられた状態となる。その際、取付部640の突起642が電線誘導具100の穴部180に挿入されているので、電線誘導具100が取付部640上で回転しないように、しっかりと固定されている。
【0045】
そして、電線の被覆層を削り取る際は、電線を電線被覆層削取器600の電線挿通孔630内に挿通させた状態で、作業員は、電線被覆層削取器600を把持して回動させる。具体的には、電線は、第一誘導孔120から挿入されて、第一誘導部150の挿通孔151へ挿通される。さらに、電線は、第一誘導部150の挿通孔151から電線被覆層削取器600の電線挿通孔630へと挿通される。
図7(c)に示すように、第一誘導部150が電線挿通孔630に挿入された状態では、第一誘導部150の開口152が、電線挿通孔630の貫通孔631に重なっている。
【0046】
そして、電線を第一誘導部150の挿通孔151及び電線被覆層削取器600の電線挿通孔630内に挿通させた状態で、作業員は、電線被覆層削取器600を把持して回動させる。第一誘導部150の挿通孔151内の電線の被覆層は、削取刃609で削り取られ、貫通孔631から外部へ排出される。さらに、作業員は、電線被覆層削取器600を回動させながら電線に沿って移動させると(図面上、左側に移動させる)、電線の被覆層は、所定の長さで螺旋状に削り取られる。その際、電線は、第一誘導孔120から電線挿通孔630へと押し入れられていく。第一誘導孔120の内面121は、第一誘導部150及び電線挿通孔630へ向けて傾斜しているので、電線に僅かな潰れや膨れ上がりなどが生じていても、電線を第一誘導部150及び電線挿通孔630に向けて真っ直ぐに送り込むことができ、被覆層の剥ぎ取りを安定して行えるのである。
【0047】
また、
図7(b)に示すように、電線誘導具100の第二誘導部160は、電線被覆層削取器600の凹部603に嵌まるように配置されている。そのため、電線の被覆層を削り取る際に、電線誘導具100が外力によって回転しそうになっても、電線誘導具100の第二誘導部160が、電線被覆層削取器600の凹部603に当接して回転を防止できる。その結果、被覆層の剥ぎ取りを安定して行えるのである。
【0048】
なお、電線挿通孔630が電線に対して大きく隙間が空いていると、電線が電線挿通孔630内でズレやすく、被覆層を安定して削り取ることが難しい。そこで、
図5から
図7に示すように、本願発明の電線誘導具100では、電線の直径や形状等に合わせた、適切な誘導孔へ簡単に変更できるようにした。そして、その誘導孔によって、電線が電線挿通孔630内でズレにくくして、被覆層を安定して削り取ることが出来るようにしたのである。
【0049】
なお、本願発明の電線誘導具及び電線被覆層削取器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
【符号の説明】
【0050】
100 電線誘導具
110 基部
120 第一誘導孔
130 第二誘導孔
140 第三誘導孔
150 第一誘導部
160 第二誘導部
180 穴部
600 電線被覆層削取器
602 外周壁
603 凹部
640 取付部
642 突起
630 電線挿通孔
【要約】
【課題】
様々な種類の電線に対応できるように、被覆層を安定して削り取ることが出来る電線誘導具、及び、電線誘導具を備えた電線被覆層削取器を提供する。
【解決手段】
電線被覆層削取器600に取り付けられる電線誘導具100であって、
電線が挿通可能な第一誘導孔120及び第二誘導孔130が設けられた基部110と、基部110の第一誘導孔120から延出し、電線被覆層削取器600の電線挿通孔630に挿入される第一誘導部150と、を備え、基部110は、第一誘導孔120及び第二誘導孔130が交互に、電線被覆層削取器600の電線挿通孔630と直線状に整列できるように、電線被覆層削取器600に対して着脱可能に取り付けられる、ことを特徴とする。
【選択図】
図3