(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ゲーム装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/65 20140101AFI20240902BHJP
A63F 13/212 20140101ALI20240902BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20240902BHJP
A63F 13/40 20140101ALI20240902BHJP
【FI】
A63F13/65
A63F13/212
A63F13/58
A63F13/40
(21)【出願番号】P 2019231842
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和智 湧斗
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 茉菜
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/216602(WO,A1)
【文献】特開2014-018444(JP,A)
【文献】特許第5108156(JP,B1)
【文献】特開2002-263362(JP,A)
【文献】特開2016-067537(JP,A)
【文献】特開2000-126464(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02394718(EP,A2)
【文献】特開2006-346003(JP,A)
【文献】特開2002-066141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、ゲームプログラムを実行する制御部と、接触する人の身体部位から
生体インピーダンスを検出する
少なくとも一つのセン
サを有する取得部と、を備えるゲーム装置であって、
前記制御部は、
前記
取得部が取得した利用者の生体インピーダンスに基づいて、前記利用者の
身体機能を示す生体パラメータを演算し、
前記生体パラメータを前記記憶部に記憶させ、
前記ゲームプログラムによって実現される仮想空間に配置されるキャラクタの特性のうち、前記キャラクタが他のオブジェクトに与える影響の大きさを決定する特性パラメータを、前記記憶部に記憶された前記生体パラメータに応じて演算する、
ゲーム装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のゲーム装置であって、
前記特性パラメータは、前記生体パラメータとしての前記利用者
の周囲長、筋肉量、及び体脂肪率のうち少なくとも何れかに対応付けられる、
ゲーム装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項
2に記載のゲーム装置であって、
前記特性パラメータに基づいて、前記キャラクタの画像を生成する、
ゲーム装置。
【請求項4】
請求項
3に記載のゲーム装置であって、
前記特性パラメータは、前記生体パラメータとしての前記利用者の周囲
長に対応付けられ、
前記制御部は、前記利用者の周囲
長に対応付けられた前記特性パラメータに基づいて前記キャラクタの画像の外郭を定める、
ゲーム装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4の何れか一項に記載のゲーム装置であって、
前記制御部は、
前記ゲームプログラムによって実現される仮想空間において、前記キャラクタと他の物体との接触の有無を示す前記特性パラメータを、少なくとも前記生体パラメータとしての前記利用者の周囲長に対応付ける、
ゲーム装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
5の何れか一項に記載のゲーム装置であって、
前記制御部は、
前記ゲームプログラムによって実現される仮想空間において、前記キャラクタが他の物体に作用させる力の大きさを示す前記特性パラメータを、前記生体パラメータとしての前記利用者の筋肉量に対応付ける、
ゲーム装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6の何れか一項に記載のゲーム装置であって、
前記記憶部は、前記生体パラメータと前記特性パラメータとの対応情報を記憶し、
前記制御部は、前記生体パラメータと前記対応情報とを用いて前記特性パラメータを演算する、
ゲーム装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
6の何れか一項に記載のゲーム装置であって、
前記制御部は、前記ゲームプログラムにおいてあらかじめ設定されている、前記生体パラメータと前記特性パラメータとの対応情報と、前記生体パラメータと、を用いて前記特性パラメータを演算する、
ゲーム装置。
【請求項9】
記憶部と、ゲームプログラムを実行する制御部と、接触する人の身体部位から
生体インピーダンスを検出する
少なくとも一つのセン
サを有する取得部と、を備えるコンピュータに、
前記
取得部が取得した利用者の生体インピーダンスに基づいて、前記利用者の
身体機能を示す生体パラメータを演算する生体パラメータ演算ステップと、
前記生体パラメータを前記記憶部に記憶させる記憶ステップと、
前記ゲームプログラムによって実現される仮想空間に配置されるキャラクタの特性のうち、前記キャラクタが他のオブジェクトに与える影響の大きさを決定する特性パラメータを、記憶された前記生体パラメータに応じて演算する特性パラメータ演算ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項
9に記載のプログラムであって、
前記特性パラメータに基づいて、前記キャラクタの画像を生成する画像生成ステップを
さらに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項
9又は請求項
10に記載のプログラムであって、
前記特性パラメータ演算ステップは、前記記憶部から前記生体パラメータと前記特性パラメータとの対応情報を読み出し、前記生体パラメータと前記対応情報とを用いて前記特性パラメータを演算する、
プログラム。
【請求項12】
請求項
9から請求項
11の何れか一項に記載のプログラムであって、
前記特性パラメータ演算ステップは、前記ゲームプログラムにおいてあらかじめ設定されている、前記生体パラメータと前記特性パラメータとの対応情報を読み出し、前記生体パラメータと前記対応情報とを用いて前記特性パラメータを演算する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、没入感を得られるゲームが求められている。特許文献1には、ジャイロセンサを備えるコントローラの姿勢を用いてゲーム上のオブジェクトを操作する情報処理装置が開示されている。また、特許文献2には、コントロール対象であるゲーム上のオブジェクトの形状を生体的信号にもとづいて変化させるゲーム機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている情報処理装置では、例えば身体機能の異なる利用者であっても、コントローラの姿勢が同じになるような操作が行われた場合には、ゲーム上のオブジェクトの動きに違いが生じないため、利用者のゲームに対する没入感が低下する要因になり得る。
【0006】
また、特許文献2に開示されているゲーム機は、ゲームの操作中に取得した利用者の生体情報に基づいてゲーム上のオブジェクトの形状を変化させるため、例えばゲーム上のオブジェクトの形状の変化処理が複雑になるに連れて、変化処理の反映時間が大きくなることによっても、利用者のゲームに対する没入感が低下する要因になり得る。
【0007】
このように、利用者のゲームに対する没入感を低下させる要因として、ゲーム上のオブジェクトに利用者自身の特徴が反映されないこと、及びゲームのリアルタイム性が損なわれることがあり、これらを両立させることが困難であった。
【0008】
上記のような事情を鑑みて、本発明は、利用者に没入感を与えるゲーム装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、記憶部と、ゲームプログラムを実行する制御部と、を備えるゲーム装置であって、制御部は、利用者の身体的な特徴を示す生体情報を取得し、生体情報に基づいて利用者の生体パラメータを演算し、利用者の生体パラメータを記憶部に記憶させ、ゲームプログラムによって生成されるキャラクタの特性を決定する特性パラメータを、記憶部に記憶された生体パラメータに応じて演算するゲーム装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、利用者の身体機能及び外観の少なくとも何れかが、ゲームの進行を妨げることなくゲーム上のキャラクタに反映されるので、利用者に没入感を与えるゲーム装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態のゲームシステムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のゲームシステムの機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のキャラクタ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本実施形態が適用されたゲームプログラムによって生成される特性パラメータ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、生体パラメータと特性パラメータとの対応関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係るキャラクタ生成処理によって生成される画像の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る特性パラメータ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態が適用された特性パラメータ生成処理によるパラメータの分布の一例を示す概念図である。
【
図9】
図9は、第4の実施形態に係るキャラクタ生成処理によって生成されるキャラクタの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第5の実施形態のゲーム装置に係る機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態に係るゲームシステム1について説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
[システム構成]
まず、
図1を参照して、第1の実施形態に係るゲーム装置10が適用されるゲームシステム1について説明する。
図1は、ゲームシステム1の概略構成を示す図である。
【0014】
本実施形態のゲームシステム1は、ゲームの利用者Pの特徴を、電子ゲームに登場するキャラクタに反映させることができるシステムである。ここにいう利用者Pの特徴とは、例えば、利用者Pの身体機能及び利用者Pの外観(体型)の少なくとも何れかである。本実施形態では、この利用者Pの特徴を主に「生体情報」、「生体パラメータ」、「身体機能」、又は「外観」と称して説明する。
【0015】
ゲームシステム1は、ゲーム装置10と表示装置20とを含む。また、ゲーム装置10は、コントローラ12と生体センサ14とを有する。
【0016】
ゲーム装置10は、着脱自在な記憶媒体30に記憶されたゲームプログラム300を実行する装置である。本実施形態のゲームプログラム300は、利用者Pが表示装置20に映し出されたキャラクタを操作することによって進行するようなゲームであればよく、特に限定されない。ゲームプログラム300は、例えば、いわゆるアクションゲーム、ロールプレイングゲーム、シューティングゲーム、又はスポーツゲームなどの電子ゲームを生成するプログラムであればよい。
【0017】
ゲーム装置10がゲームプログラム300を実行すると、表示装置20には、ゲーム装置10が生成したキャラクタの画像であるキャラクタ像22が表示される。
【0018】
コントローラ12は、利用者Pが、表示装置20に表示されたキャラクタ像22を操作することができる操作部である。コントローラ12は、利用者Pのボタン操作に応じたコントロール信号を、無線又は有線の通信を介してゲーム装置10に送信する。本実施形態のコントローラ12は、一例としてゲーム装置10に有線接続されている。ゲーム装置10は、コントローラ12から受信したコントロール信号に応じて、表示装置20の画面上のキャラクタ像22の動作を制御する。
【0019】
生体センサ14は、利用者Pとの接触、例えば把持によって利用者Pの身体的な特徴を数値化した情報である利用者Pの生体情報を取得し、無線又は有線の通信を介してゲーム装置10に送信する。本実施形態の生体センサ14は、一例としてゲーム装置10に対して有線接続されている。
【0020】
生体センサ14から送信された利用者Pの生体情報は、ゲーム装置10において、キャラクタの特性を決定するために用いられる。以下で詳述するように、ゲーム装置10は、利用者Pの生体情報から演算される生体パラメータを用いて、キャラクタの特性として、キャラクタの外観及びキャラクタの身体機能の少なくとも何れかを決定する。
【0021】
表示装置20は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、ゲーム装置10からの画像信号に応じて画像を表示する。例えば、表示装置20は、ゲーム装置10からキャラクタ像22の画像信号を受信すると、キャラクタ像22を表示する。
【0022】
記憶媒体30は、例えば、CD-ROM、又はSDカード(登録商標)によって構成される。本実施形態の記憶媒体30は、ゲーム装置10によって読み込み可能なゲームプログラム300を記憶している。
【0023】
以上の構成により、ゲーム装置10は、ゲームプログラム300を実行する際に、利用者P固有の生体情報を用いて演算された利用者Pの特徴を、当該ゲームプログラム300に規定されるキャラクタに反映する。そして、利用者Pは、自身の特徴が反映されたキャラクタ像22を操作してゲームを遊技することができる。
【0024】
[用語の定義]
ここで、本実施形態における用語について説明する。本実施形態において、生体パラメータとは、利用者Pの身体機能及び外観の少なくとも何れかを示すパラメータをいう。この生体パラメータの種類には、例えば、筋肉量、及び体脂肪率が含まれる。また、生体パラメータの値は、利用者Pの特徴を数値化した生体情報から求められる。
【0025】
そして、本実施形態において、特性パラメータとは、仮想空間におけるキャラクタの身体機能及び外観の少なくとも何れかを示すパラメータをいう。この特性パラメータの種類には、例えば、キャラクタの身体機能としてのジャンプ力及び攻撃力が含まれる。また、この特性パラメータの値は、以下で詳述するように、生体パラメータの値を用いて演算される。
【0026】
[機能構成]
次に、本実施形態のゲームシステム1の機能的な構成について説明する。
図2は、本実施形態のゲームシステム1の機能構成の一例を示す図である。
【0027】
まず、生体センサ14について説明する。生体センサ14は、利用者Pの特徴を生体情報として検出可能な少なくとも一つのセンサを備える。本実施形態の生体センサ14は、一例として、利用者Pの生体情報としての生体インピーダンスを検出するための一対の電極を備える。なお、生体センサ14は、生体情報として、生体インピーダンスに代えて、又はこれとともに、利用者Pの身体画像データ、身体温度分布データ、及び皮膚の弾力指数のうち少なくとも一つを検出可能な構成であってもよい。
【0028】
本実施形態の生体センサ14は、利用者Pに把持された状態で一対の電極を通電させることによって、利用者Pの生体インピーダンスを検出する。生体インピーダンスは、一般にオームを単位とする抵抗値として検出される。生体センサ14は、検出した利用者Pの生体インピーダンスの数値をゲーム装置10に送信する。
【0029】
また、生体センサ14は、図示しない入力部を備えていてもよい。この場合、生体センサ14は、この入力部を介して利用者Pの身長などの数値入力を受け付けるように構成されてもよい。生体センサ14は、利用者Pの身長などの生体情報が入力されたことを検出すると、当該数値をゲーム装置10に送信する。なお、この入力部は、身長に代えて、又はこれとともに体重などその他の生体情報の入力を受け付けてもよい。
【0030】
本実施形態では、理解を容易にするために、生体情報として生体インピーダンス及び身長が用いられる場合を想定して説明する。
【0031】
続いて、ゲーム装置10について説明する。ゲーム装置10は、制御部100と、記憶部130と、を含む。
【0032】
制御部100は、ゲーム装置10の全体の制御を行う。制御部100は、生体情報受信部110と、生体パラメータ演算部120と、プログラム処理部140と、画像生成部150と、を含む。
【0033】
また、制御部100は、中央演算処理装置(Central Processing Unit)と、入出力インターフェイスと、これらを相互に接続するバスと、により構成される。制御部100は、記憶部130に格納されている制御プログラムを読み出して中央演算処理装置に実行させることにより、入出力インターフェイスを介してゲーム装置10の各部を制御する。
【0034】
生体情報受信部110は、生体センサ14において数値化された利用者Pの生体情報を受信(取得)する。本実施形態では、生体情報受信部110は、利用者Pの生体インピーダンスと利用者Pの身長とを受信し、これらの数値を生体パラメータ演算部120に送信する。
【0035】
生体パラメータ演算部120は、生体情報受信部110から受信した数値化された生体情報の一部又は全部を生体パラメータに変換する。具体的には、生体パラメータ演算部120は、利用者Pの生体インピーダンス及び利用者Pの身長から、利用者Pの生体パラメータとしての体脂肪率及び筋肉量を演算する。
【0036】
記憶部130は、例えば、不揮発性メモリ(Read Only Memory)及び揮発性メモリ(Random Access Memory)の少なくとも何れかにより構成される。記憶部130には、ゲーム装置10の動作を制御する制御プログラムが格納されている。すなわち、記憶部130は、本実施形態の機能を実現するプログラムを格納する記憶媒体である。
【0037】
また、記憶部130は、記憶領域の一部に生体パラメータ記憶部131を備える。生体パラメータ記憶部131は、生体パラメータ演算部120において演算された生体パラメータを記憶する。本実施形態では、生体パラメータとしての体脂肪率及び筋肉量が、利用者Pの識別情報と紐付けられて記憶される。
【0038】
プログラム処理部140は、特性パラメータを演算し、この特性パラメータを画像生成部150に送信する。より詳細には、プログラム処理部140は、後述の対応情報保持部310から特性パラメータを演算するためのプログラムを受信し、このプログラムを用いて特性パラメータを演算する。ここにいう特性パラメータとは、ゲームプログラム300を実行することによりゲームに登場するキャラクタごとにあらかじめ設定されている、キャラクタの特性を示す固有のパラメータである。以下で詳述するように、この特性パラメータは生体パラメータと対応付けられているため、特性パラメータの値は利用者Pの生体情報の値に応じて変化する。
【0039】
画像生成部150は、キャラクタの画像であるキャラクタ像22を生成する。本実施形態の画像生成部150は、例えば、記憶部130にあらかじめ記憶されている複数のキャラクタの画像から選択することによってキャラクタ像22を生成してもよい。このキャラクタ像22の生成処理については以下で詳述する。画像生成部150は、生成したキャラクタ像22の画像信号を記憶部130の一領域に記憶する。
【0040】
また、画像生成部150は、生成したキャラクタ像22の画像信号を、表示装置20の画像出力部210に送信する。画像出力部210は、キャラクタ像22の画像信号を用いて、表示装置20の画面上にキャラクタ像22の画像を出力する。
【0041】
次に、記憶媒体30について説明する。
【0042】
記憶媒体30は、利用者Pの遊技対象であるゲームプログラム300を記憶している。本実施形態のゲームプログラム300は、いわゆるアクションゲームに類するプログラムであり、利用者Pによるコントローラ12の操作に応じて仮想空間におけるキャラクタが動作し、当該キャラクタの動作に応じて処理を進行させるプログラムである。本実施形態のゲームプログラム300によって生成されるキャラクタの特性、すなわち、仮想空間におけるキャラクタの身体機能については、以下で詳述する。
【0043】
本実施形態のゲームプログラム300は、対応情報保持部310を含む。
【0044】
対応情報保持部310は、生体パラメータと特性パラメータとを対応付ける情報を有する。本実施形態の対応情報保持部310は、利用者Pの生体パラメータをキャラクタの特性パラメータに変換するための演算式を有する。特性パラメータは、ゲームプログラム300によるゲームに登場するキャラクタごとに設定されている固有のパラメータである。
【0045】
具体的には、利用者Pの生体情報が反映される特性パラメータの一例として、仮想空間におけるキャラクタの力の大きさを示す攻撃力が挙げられる。この場合、本実施形態の対応情報保持部310は、利用者Pの脂肪量及び筋肉量を、キャラクタの特性パラメータとしての攻撃力に変換する演算式を有している。そして、対応情報保持部310は、制御部100の制御信号に応じて、生体パラメータを特性パラメータに変換する演算式をゲーム装置10のプログラム処理部140に送信する。
【0046】
なお、対応情報保持部310は、生体パラメータと特性パラメータとを対応付ける対応情報を、演算式に代えて、又はこれとともにテーブル形式などの他の形式で保持していてもよい。
【0047】
このように、本実施形態のゲームシステム1では、利用者Pの身体的な特徴が数値化された生体パラメータが演算される。そして、演算された生体パラメータを用いて、記憶媒体30が備えるゲームプログラム300の実行によって生成されるキャラクタの特性を決定する特性パラメータが演算される。
【0048】
なお、
図2に示される本実施形態のゲーム装置10の各部の機能は、ハードウエア又はソフトウエアのいずれによって実現されてもよい。すなわち、各部の機能がソフトウエアで実現される場合には、制御部100に含まれる各機能は、プログラムとして、あらかじめ記憶部130に記憶されている。
【0049】
[キャラクタ生成処理]
次に、上記機能構成を備えるゲームシステム1において、ゲーム装置10が実行するキャラクタ生成処理について説明する。
図3は、キャラクタ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0050】
本実施形態のキャラクタ生成処理では、利用者Pの特徴を反映した特性パラメータに応じたキャラクタが生成される。
【0051】
ステップS10において、制御部100は、生体情報受信部110によって、利用者Pの特徴が数値化された生体情報を受信する。制御部100は、生体情報を受信するとステップS11の処理に進む。
【0052】
ステップS11において、制御部100は、生体パラメータ演算部120によって、生体パラメータを演算する。制御部100は、生体パラメータを演算すると、生体パラメータ記憶部131に当該生体パラメータを記憶させるとともに、ステップS12の処理に進む。
【0053】
上記のステップS10からステップS11の処理は、利用者Pがゲームの遊技を開始する前、具体的には、制御部100が記憶媒体30に記憶されたゲームプログラム300を読み込む前に実行されることが望ましい。例えば、ステップS10からステップS11の処理は、ゲームを行う数日前、その他の所定時間前に実行されていてもよい。または、ステップS10及びステップS11の処理は、ゲーム装置10がゲームプログラム300を読み込む間、又は仮想空間の場面変更による処理時間など、その他の遊技の待機時間中に実行されてもよい。
【0054】
すなわち、ステップS10からステップS11の処理は、ゲームの進行遅延を抑制するために、遅くともキャラクタの特性が決定される前、すなわち特性パラメータが設定される前の任意のタイミングで実行されることが望ましい。
【0055】
ステップS12において、制御部100は、キャラクタの身体機能を表す特性パラメータを演算する。特性パラメータは、後述の特性パラメータ生成処理を実行することにより決定される。制御部100は、特性パラメータを演算すると、ステップS13の処理に進む。
【0056】
ステップS13において、制御部100は、キャラクタの画像であるキャラクタ像22を生成する。制御部100は、キャラクタ像22を生成すると、ステップS14の処理に進む。
【0057】
ステップS14において、制御部100は、特性パラメータ及びキャラクタ像22の少なくとも何れかを記憶部130に記憶させる。
【0058】
[特性パラメータ生成処理]
ここで、上記キャラクタ生成処理に組み込まれている特性パラメータ生成処理について説明する。
図4は、本実施形態の特性パラメータ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
この特性パラメータ生成処理は、上記キャラクタ生成処理のステップS12のサブルーチンとして制御部100によって実行される。
【0060】
ステップS121において、制御部100は、生体パラメータ記憶部131から利用者Pの生体パラメータを読み出し、当該生体パラメータをプログラム処理部140へ送信する。制御部100は、生体パラメータを送信すると、ステップS122の処理に進む。
【0061】
ステップS122において、制御部100は、対応情報保持部310から、生体パラメータを特性パラメータに変換する演算式を読み出し、プログラム処理部140において受信する。そして、制御部100は、生体パラメータを当該演算式に適用することによって特性パラメータを演算する。
【0062】
ここで、生体パラメータと特性パラメータとの対応関係について説明する。
図5は、生体パラメータと特性パラメータとの対応関係の一例を示す図である。
【0063】
図5では、生体パラメータとしての利用者Pの周囲長が示されている。ここにいう周囲長には、利用者Pの体の幅、例えば腹囲、胸囲、肩周りの周囲長、腕又は脚の周囲長などを示す数値が含まれる。利用者Pの周囲長の演算には、例えば生体インピーダンス及び身長の値から算出可能な、脂肪量及びBMIなどが用いられる。なお、利用者Pの周囲長の演算にはいかなる周知の手法が用いられてもよい。
【0064】
そして、利用者Pの生体パラメータとしての周囲長は、特性パラメータとして仮想空間におけるキャラクタの体幅に対応付けられる。
【0065】
例えば、制御部100は、キャラクタの体幅を用いてコライダの有無を判定する。このコライダとは、ゲームプログラム300によって物理法則を模擬する場合において、仮想空間におけるキャラクタと他の物体との接触をいう。
【0066】
上記コライダについて、例えば、ゲームプログラム300によって実現される仮想空間においてキャラクタが二つの柱の間を通り抜ける動作を行う場合を仮定して詳細に説明する。利用者Pの周囲長に対応付けられたキャラクタの体幅が二つの柱の間隔よりも大きい場合、キャラクタは柱に接触して通り抜けることができない。逆に、利用者Pの周囲長に対応付けられたキャラクタの体幅が二つの柱の間隔よりも小さい場合、キャラクタは柱に接触せずに通り抜けることができる。このように、制御部100は、二つの柱の間隔とキャラクタの体幅との大小関係を判定することにより、キャラクタと他の物体とのコライダの有無を判定する。
【0067】
すなわち、制御部100は、ゲームプログラム300によって実現される仮想空間において、コライダの有無を判定するとき、判定の閾値としてキャラクタの体幅を用いる。なお、本実施形態の特性パラメータとしての体幅は、例えば、利用者Pの生体パラメータとしての周囲長を仮想空間に適した数値に換算して対応付けられてもよい。
【0068】
また、
図5に示される他の例として、利用者Pの生体パラメータとしての筋肉量及び体脂肪率と、仮想空間におけるキャラクタの力の大きさを示す攻撃力とが対応付けられる場合について説明する。この場合、例えば、生体パラメータとしての筋肉量と体脂肪率との積算値が、キャラクタの特性パラメータとしての攻撃力の数値に対応付けられてもよい。なお、攻撃力は、筋肉量及び体脂肪率ではなく、筋肉量、体脂肪量、及び体重の少なくとも何れかに対応付けられてもよい。
【0069】
なお、生体パラメータと特性パラメータとの対応関係は、上記したような単純な積算に限られず、除算、減算、又はこれらの組み合わせ、その他の演算によって対応付けられてもよい。すなわち、生体パラメータが、特性パラメータに対してどのように、どの程度対応付けられるかは適宜設定されてもよい。
【0070】
このように、本実施形態の特性パラメータ生成処理では、特性パラメータは、利用者Pの特徴を示す生体パラメータとしての利用者Pの周囲長、筋肉量、及び体脂肪量のうち少なくとも何れかに対応付けられる。
【0071】
また、生体パラメータは利用者Pの身体機能、すなわち健康状態を示す指標とすることができる。例えば、健康状態の悪い利用者Pの健康状態が改善すると、生体パラメータの数値が標準値に近付くとともに、仮想空間におけるキャラクタの特性パラメータの数値も標準値に近付く傾向を示すようにしてもよい。なお、ここにいう健康状態の改善とは、生体パラメータの数値がいわゆる正常範囲内の数値に近付くこと、又は生体パラメータのうち運動機能を示す数値が改善することなど、生体パラメータの数値が利用者Pの健康状態が良好であることを示す数値に近付くことを意味する。
【0072】
なお、当然ながら、生体パラメータの種類と特性パラメータの種類と対応関係は、本実施形態において開示される対応関係に限定されるものではない。
【0073】
上記実施形態によれば、以下の作用及び効果を奏する。
【0074】
本実施形態のゲーム装置10は、ゲームプログラム300を実行するゲーム装置10であって、ゲームプログラム300を制御する制御部100と、記憶部130と、を備える。制御部100は、利用者Pの身体的な特徴を示す生体情報を取得し、生体情報に基づいて利用者Pの生体パラメータを演算し、生体パラメータを記憶部130に記憶させ、ゲームプログラム300によって生成されるキャラクタの特性を決定する特性パラメータを、記憶部130に記憶された生体パラメータに応じて演算する。
【0075】
このように、本実施形態では、利用者Pの特徴を示す生体情報が、ゲームプログラム300に登場するキャラクタの特性に反映される。具体的には、キャラクタの特性に利用者Pの身体機能が反映されるので、利用者Pの身体機能、例えば俊敏性又は持久力などが低下している場合には、仮想空間におけるキャラクタの身体機能が低下する。このように、ゲーム装置10は、利用者Pの身体機能を含む身体的な特徴をキャラクタに反映させるので、利用者Pは、キャラクタに感情移入しやすくなり、利用者Pのゲームへの没入感を高めることができる。
【0076】
また、ゲーム装置10は、生体パラメータを記憶部130に記憶させるので、ゲームの遊技前に生体パラメータを演算して保持しておくことができる。または、ゲーム装置10は、遊技中のシーン変更などの待機時間に生体パラメータを演算して保持することもできる。これにより、遊技中にリアルタイムで生体パラメータを演算する必要がないので、ゲームの進行遅延を抑制することができる。このように、本実施形態によれば、ゲームが円滑に進行するため、利用者Pはゲームに対する没入感を損なわずに遊技することができる。
【0077】
より詳細には、本実施形態の生体パラメータは、利用者Pの生活習慣に基づく身体的な特徴を示すパラメータであることが望ましい。例えば、利用者Pの生体情報は、例えば筋肉量及び体脂肪率のような身体的な特徴を示すものであり、ゲームの遊技中に刻々と変化するものではないので、遊戯中にリアルタイムで生体情報を取得する必要がない。言い換えると、本実施形態のゲーム装置10では、利用者Pの特徴として長い時間をかけて変化する生体情報が用いられるため、刻々と変化する脈拍などと比較して、利用者Pの生体情報を取得するタイミングの自由度が高くなる。このため、本実施形態のゲーム装置10は、ゲームの進行を妨げないタイミングで取得された利用者Pの生体情報に基づいて、キャラクタの特性パラメータを演算させることができる。ここにいうゲームの進行を妨げないタイミングとは、例えば、ゲームの遊技前、遊技中の待機時間などの、特性パラメータが設定される前の任意のタイミングである。
【0078】
すなわち、利用者Pの身体的な特徴を示す生体情報とは、生活習慣に関する生体情報であり、また長期的に変化する生体情報であってもよい。この場合、制御部100は、当該生体情報をゲームの進行を妨げないタイミングで検出し、記憶部130において保持することができる。
【0079】
一方、近年、WHO(World Health Organization)においてゲーム依存症(Gaming Disorder)が疾患として登録されている(出典:International Classification of Diseases 11th Revision)。ゲーム依存症は、長時間に亘ってゲームを遊技することによる生活習慣の乱れが指摘されている。このゲーム依存症について、本実施形態によれば、利用者Pに対してゲーム依存症の治療に寄与することができる。
【0080】
具体的には、本実施形態では、利用者Pの身体機能がゲームのキャラクタの身体機能に反映されるので、利用者Pはキャラクタを通して自身の健康状態を把握することができる。例えば、利用者Pの身体機能が低下すれば仮想空間におけるキャラクタの身体機能が低下するので、キャラクタに利用者Pの理想とする動作を行わせることができないことによって、利用者Pは自身の身体機能の低下又は健康状態の悪化を認識する。そして、利用者Pは、仮想空間におけるキャラクタの身体機能を向上させるために、利用者P自身の身体機能の向上を図ろうとする。このように、本実施形態のゲーム装置10は、利用者Pに対して、身体機能を向上させる契機を与える。これにより、ゲーム装置10は、利用者Pの運動意欲の向上によってもたらされる生活習慣の改善を促進し、結果としてゲーム依存症の予防及び疾患の治療に寄与する。
【0081】
より具体的には、本実施形態の生体パラメータは、利用者Pの健康状態を示すパラメータでもあり、例えば利用者Pの健康状態が悪化している状態から標準の状態に改善すると、生体パラメータの数値が標準値に近付くとともに特性パラメータの数値も標準値に近付く関係を有することが望ましい。このような関係によれば、例えば、利用者Pが運動などを行うことによって、利用者Pの身体機能が向上すると、キャラクタの身体機能を示す特性パラメータの数値も向上する。これにより、利用者Pは、運動を行う前と比較して、仮想空間におけるキャラクタに高度な動作をさせることができるため、利用者P自身の運動意欲が向上し、ひいては利用者Pの運動不足の解消などの生活習慣の改善に寄与する。
【0082】
また、本実施形態のゲーム装置10は、利用者Pの生体情報を数値化する一対の電極(センサ)を少なくとも一つ有する生体センサ(取得部)14を備える。
【0083】
このように、本実施形態によれば、生体センサ14に備えられた一対の電極部によって、利用者Pの特徴を生体インピーダンスとして測定することができる。したがって、利用者Pの生活習慣に基づく自身の生体情報を数値化し、仮想空間におけるキャラクタの身体機能として、ゲームに反映させることができる。これにより、利用者Pは、ゲームに対して没入感を得られるとともに、ゲームのキャラクタを通して自身の健康状態を認識するとともに、自身の健康状態を改善する契機を得ることができる。
【0084】
また、本実施形態の特性パラメータは、生体パラメータとしての利用者Pの身長、体重、周囲長、筋肉量、及び体脂肪率のうち少なくとも何れかに対応付けられる。
【0085】
本実施形態によれば、利用者Pの身体的な特徴を顕著に表すパラメータとしての身長、体重、周囲長、筋肉量、及び体脂肪率の何れか又は二つ以上の数値が、特性パラメータを介してキャラクタの画像又はキャラクタの身体機能に反映される。したがって、利用者Pの身体機能がキャラクタに反映されるので、利用者Pは自身の身体機能を容易に認識することができる。これにより、ゲーム装置10は、利用者Pに対して身体機能の向上を促す効果を奏する。
【0086】
また、本実施形態のゲーム装置10は、ゲームプログラム300によって実現される仮想空間において、キャラクタと他の物体との接触の有無を示す特性パラメータとしての体幅を、少なくとも生体パラメータとしての利用者Pの周囲長に対応付けることが望ましい。
【0087】
このように、本実施形態のゲーム装置10は、仮想空間において、利用者Pの周囲長が反映されたキャラクタと他の物体との接触の有無を判定するので、キャラクタが他の物体と接触することを契機として、利用者P自身の体型を認識することができる。
【0088】
言い換えると、ゲーム装置10は、利用者Pの体型の良し悪し、すなわち太り過ぎやせ過ぎなどが、仮想空間におけるキャラクタと他の物体との接触の有無によって判定されることになる。これにより、利用者Pは、自身の太り過ぎのためにキャラクタが仮想空間において接触を生じさせる場合には、自身の体型をやせ型に近付けるなど、より健康的な体型に改善する契機を得ることができる。このように、ゲーム装置10は、利用者Pの体型の判定機能も包含しているため、利用者Pの健康増進に具体的に寄与することができる。
【0089】
また、本実施形態のゲーム装置10は、ゲームプログラム300によって実現される仮想空間において、キャラクタが他の物体に作用させる力の大きさを示す攻撃力(特性パラメータ)を、生体パラメータとしての利用者Pの筋肉量及び体重の少なくとも一方に対応付けてもよい。
【0090】
本実施形態によれば、利用者Pの筋肉量及び体重から連想されやすいキャラクタの特性として、攻撃力を生体パラメータに応じて設定することができる。このように、一般的に連想しやすい特性パラメータと生体パラメータとが対応付けられることによって、利用者Pのゲームへの没入感を一層高めることができる。
【0091】
また、本実施形態において、制御部100は、ゲームプログラム300においてあらかじめ設定されている、生体パラメータと特性パラメータとの対応情報としての演算式と、生体パラメータと、を用いて特性パラメータを演算する。
【0092】
本実施形態によれば、ゲーム装置10は、ゲームプログラム300に記憶されている固有の演算式を用いて、利用者Pの生体パラメータを、ゲームプログラム300固有のキャラクタの特性パラメータに変換することができる。これにより、ゲーム装置10は、種々のゲームプログラム300固有のキャラクタに対して、利用者Pの特徴を反映させることができる。
【0093】
また、生体センサ(取得部)14は、利用者Pの電気抵抗値、身体画像データ、身体温度分布データ、及び皮膚の弾力指数のうち少なくとも一つを取得することが望ましい。
【0094】
このように、利用者Pの詳細な身体的な特徴がキャラクタの特性として反映されることによって、利用者Pは、ゲームに対する没入感を一層高めることができる。また、これらの利用者Pの生体情報は、利用者Pの生活習慣に関するパラメータであり、短時間で比較的変化しにくいものであるため、ゲームの進行を妨げないタイミングで記憶部130に記憶させておくことができる。
【0095】
また、本実施形態の特性パラメータは、利用者Pの身体機能及び外観の少なくとも何れかを特徴づける生体パラメータに関連付けられるパラメータであることが望ましい。
【0096】
本実施形態の生体パラメータは、利用者Pの身体機能及び外観の少なくとも何れかの特徴を示す生体パラメータから連想されるいかなる特性パラメータに変換されてもよい。これにより、現実の利用者Pの身体機能などと仮想空間のキャラクタのそれらとの類似性をより高めることができるため、利用者Pのゲームへの没入感をより向上させることができる。
【0097】
また、本実施形態の生体パラメータは、利用者Pの体組成を示す数値を含む。
【0098】
本実施形態によれば、利用者Pの生体情報である体組成の数値を生体パラメータに用いることによって、利用者Pの身体機能が直接的に生体パラメータに反映される。これにより、生体パラメータに基づいて演算される特性パラメータもまた利用者Pの身体機能をより顕著に反映することになるので、利用者Pはゲームに没入感を得ることができる。さらに、キャラクタに利用者Pの身体機能が顕著に反映されるため、利用者Pはキャラクタを通して自身の健康状態をより正確に把握することが可能となる。
【0099】
また、利用者Pの体組成は生活習慣に関する生体情報であり、刻々と変化する脈拍など生体情報と比較して長期的に変化する生体情報であるため、ゲームの進行を妨げないタイミングで取得して記憶部130に記憶させておくことができる。この体組成は、大きく分けて、脂肪、筋肉、骨、及び水分に分類される。また、これらの体組成から演算される利用者Pの生体パラメータには、体重、筋肉量、基礎代謝量、内蔵脂肪レベル、推定骨量、及び体水分率の少なくとも何れかが含まれる。
【0100】
また、本実施形態のプログラム(ステップS10からステップS14)は、記憶部130と、ゲームプログラム300を実行する制御部100と、を備えるコンピュータに用いられるプログラムである。当該プログラムは、利用者Pの身体的な特徴を示す生体情報を取得する取得ステップと、生体情報に基づいて利用者Pの生体パラメータを演算する生体パラメータ演算ステップと、生体パラメータを記憶部130に記憶させる記憶ステップと、ゲームプログラム300によって生成されるキャラクタの特性を決定する特性パラメータを、記憶された生体パラメータに応じて演算する特性パラメータ演算ステップと、を実行させる。このように、上記制御部100の各部の機能はソフトウエアによって実現されてもよい。
【0101】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るゲームシステム1について説明する。本実施形態のゲームシステム1は、第1の実施形態とキャラクタ生成処理の一部が異なる。
【0102】
具体的には、上記キャラクタ生成処理のステップS13におけるキャラクタ像22の生成方法が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、ステップS12において生成された特性パラメータを用いてキャラクタ像22が生成される。
【0103】
[キャラクタの画像生成]
図6は、本実施形態が適用されたキャラクタ生成処理によって生成されるキャラクタ像22の一例を示す図である。
【0104】
図6は、特性パラメータの値に応じて変化するキャラクタ像22を示している。上記のキャラクタ生成処理において説明したように、特性パラメータとしてのキャラクタの体幅は、少なくとも利用者Pの生体パラメータとしての周囲長に対応付けられている。
【0105】
ここでは、理解を容易にするために、本実施形態のキャラクタ像22の生成に用いられる特性パラメータは体幅であり、生体パラメータとしての利用者Pの周囲長に対応付けられているものとする。この周囲長は、具体的には利用者Pの腹囲であってもよい。利用者Pの腹囲は、例えば胸部の周囲長と比較して性差による偏りが大きくならない利点がある。
【0106】
図6に示されるように、利用者Pの周囲長が標準的である場合、キャラクタ像22aは、生体パラメータとして標準的な周囲長に応じて算出された特性パラメータを有するので、標準的な体幅を有している。
【0107】
そして、利用者Pの周囲長が標準より小さい場合、すなわち利用者Pが細めの体型である場合、キャラクタ像22bは、生体パラメータとして標準よりも細めの周囲長に応じて算出された特性パラメータを有するので、標準よりも細めの体幅を有している。
【0108】
さらに、利用者Pの周囲長が標準より大きい場合、すなわち利用者Pが太めの体型である場合、キャラクタ像22cは、生体パラメータとして標準よりも太めの周囲長に応じて算出された特性パラメータを有するので、標準よりも太めの体幅を有している。
【0109】
このように、本実施形態の特性パラメータは、少なくとも、生体パラメータとしての利用者Pの周囲長に対応付けられ、利用者Pの周囲長に応じてキャラクタ像22の外郭、
図6に示される例においてはキャラクタ像22の体幹の幅が定められる。そして、キャラクタ像22の体幅は、利用者Pの周囲長に応じて変化する。なお、キャラクタ像22の外郭を示す特性パラメータは、生体パラメータとしての周囲長又は体脂肪率だけではなく、身長に対応付けられてもよい。この場合、利用者Pの身長がキャラクタ像22に反映される。
【0110】
本実施形態によれば以下の作用及び効果を奏する。
【0111】
本実施形態のゲーム装置10は、特性パラメータに基づいて、キャラクタ像(キャラクタの画像)22を生成する。
【0112】
このように、本実施形態によれば、利用者Pの外観の特徴がキャラクタの特性として反映されるので、利用者Pは、ゲームを通して自身の外観の変化を認識することができる。例えば、利用者Pの外観が不健康な様子に見える場合には、キャラクタ像22もまた不健康な様子を示す外観として出力される。これにより、利用者Pは、自身の特徴がキャラクタの外観に反映されるため、ゲームに対する没入感を得ることができる。また、利用者Pは、自身の生活習慣に起因する外観の変化を視認することができるので、生活習慣が乱れている場合には、生活習慣を改善する契機を得ることができる。
【0113】
また、本実施形態の特性パラメータは、少なくとも、生体パラメータとしての利用者Pの周囲長及び身長の少なくとも一方に対応付けられ、制御部100は、利用者Pの周囲長及び身長の少なくとも一方に対応付けられた特性パラメータに基づいてキャラクタの画像の外郭を定める。
【0114】
本実施形態によれば、キャラクタの画像の外郭が利用者Pの周囲長に対応付けられるので、利用者Pは、ゲームの遊技中にキャラクタ像22を見ることによって、自身の体型を認識することができる。そして、キャラクタの体型が悪い場合、例えばキャラクタ像22が肥満体型である場合には、利用者Pは自身の体型を標準型に改善するための運動の契機を得ることができる。結果として、利用者Pは、ゲーム装置10に運動を促進されることによって健康状態及び生活習慣を改善することができる。また、利用者Pの周囲長は生活習慣に基づいて刻々と変化する脈拍など生体情報と比較して長期的に変化する生体情報であるとともに、利用者Pの身長は一般にほとんど変化しない生体情報であるため、ゲームの進行を妨げないタイミングで記憶部130に記憶させておくことができる。
【0115】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るゲームシステム1について説明する。本実施形態のゲームシステム1は、第1の実施形態と特性パラメータ生成処理の一部が異なる。
【0116】
図7は、本実施形態に係る特性パラメータ生成処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態と同一の処理には同一の符号を付すとともに説明を省略する。
【0117】
本実施形態では、特性パラメータの数値に上限値U及び下限値Bが設定される場合の特性パラメータの演算方法について説明する。
【0118】
制御部100は、
図7に示される特性パラメータ生成処理を実行することにより特性パラメータを演算する。ステップS121からステップS122において、生体パラメータから特性パラメータが演算されると、処理はステップS123に進む。
【0119】
ステップS123において、制御部100は、特性パラメータの数値が上限値Uより大きいか否か判定する。
【0120】
ステップS123において、制御部100は、特性パラメータの数値が上限値Uより大きいと判定した場合には、ステップS124において、当該特性パラメータの数値を上限値Uに決定して処理を終了する。すなわち、制御部100は、特性パラメータの数値が過大になることを抑制するために数値の最大値に制限をかける。
【0121】
一方、ステップS123において、制御部100は、特性パラメータの数値が上限値Uよりも大きくないと判定した場合、すなわち当該数値が上限値Uよりも小さいと判定した場合には、ステップS125において、当該数値が下限値Bよりも大きいか否か判定する。
【0122】
ステップS125において、制御部100は、算出された特性パラメータの数値が下限値Bよりも大きいと判定した場合には、ステップS126において、特性パラメータの数値を当該数値に決定して処理を終了する。
【0123】
一方、ステップS125において、制御部100は、算出された特性パラメータの数値が下限値Bよりも大きくないと判定した場合、すなわち当該数値が下限値Bよりも小さいと判定した場合には、ステップS127において、特性パラメータの数値を、当該特性パラメータの数値に補正値αを加算した数値に決定して処理を終了する。すなわち、制御部100は、特性パラメータの数値が過小になることを抑制するために数値の最小値に制限をかける。
【0124】
図8は、本実施形態の特性パラメータ生成処理によって生成された生体パラメータの数値の分布を表す図である。
図8の横軸は特性パラメータのうちキャラクタの攻撃力を示し、縦軸は、キャラクタの出現数を示している。
図8に示されるように、95%の生体パラメータの数値が平均から2σの範囲に収まり、略全ての生体パラメータの数値が3σの範囲に収まる結果となる。
【0125】
本実施形態によれば、以下の作用及び効果を奏する。
【0126】
本実施形態の特性パラメータ生成処理は、生体パラメータを用いて演算されたキャラクタの特性を決定する特性パラメータの数値を補正し、特性パラメータの数値をあらかじめ定められた範囲に制限する。
【0127】
例えば、利用者Pの筋力の数値が極端に大きい場合、筋力に対応付けられた特性パラメータの数値も極端に大きくなることがある。本実施形態では、このような極端な特性パラメータに対して上限値U及び下限値Bを設定することによって、演算された特性パラメータの値を補正するので、キャラクタが極端な特性を有することを抑制できる。
【0128】
これにより、当該利用者Pの生体情報が反映されたキャラクタの特性が、他のキャラクタに対して相対的に有利になり過ぎたり、不利になり過ぎたりする現象を抑制することができる。また、
図8を用いて説明したように、仮想空間におけるキャラクタの出現率として、現実においても妥当と考えられる分布を再現できるため、利用者Pはゲームに対する納得感を得ることができる。これにより、利用者Pのゲームへの没入感を損なうことを抑制できる。
【0129】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るゲームシステム1について説明する。
【0130】
本実施形態では、特性パラメータとして、体幅、攻撃力、ジャンプ力、及び炎攻撃力が設定される。以下では、特性パラメータと利用者Pの生体パラメータとの対応関係について説明する。
【0131】
[キャラクタの類型]
図9は、本実施形態に係るキャラクタ生成処理によって生成されるキャラクタの一例を示す図である。本実施形態では、利用者Pの生体パラメータに応じて生成される九つの類型のキャラクタを示す図である。なお、
図9において、生体パラメータは括弧内に表記されている。
【0132】
図9の横軸は生体パラメータとしての周囲長又は体脂肪率の程度を示しており、
図9の縦軸は生体パラメータとしての筋肉量の程度を示している。この九種のキャラクタの類型は、利用者Pの生体パラメータのうち筋肉量と、周囲長又は体脂肪率と、から判定される体型判定の結果に基づいて分類される。この体型判定では、周囲長又は体脂肪率に三段階の判定基準を設け、また筋肉量に三段階の判定基準を設けることにより、利用者Pの体型が九つの類型のうちのいずれの体型に該当するかが判定される。
【0133】
本実施形態では、この体型判定に応じてキャラクタ32a~32iが生成される。具体的には、利用者Pの体型が「標準」と判定された場合、対応するキャラクタの特性としてキャラクタ32aが生成される。また、利用者Pの周囲長又は体脂肪率及び筋肉量が標準よりも少ない場合、この体型に対応するキャラクタ32hが生成される。また、利用者Pの周囲長又は体脂肪率及び筋肉量が標準よりも多い場合、この体型に対応するキャラクタ32fが生成される。このように、利用者Pの体型判定の結果に対応するように、キャラクタの特性が決定される。
【0134】
一例として、利用者Pの筋肉量が標準より低くなるにつれて、特性パラメータとしての攻撃力が低下するとともにジャンプ力が向上する。また、利用者Pの筋肉量が標準より高くなるにつれて、特性パラメータとしての攻撃力が上昇するとともにジャンプ力が低下する。そして、利用者Pの周囲長又は体脂肪率が少なくなるほど体幅は細くなり、利用者Pの周囲長又は体脂肪率が多くなるほど体幅は太くなる。ここでは、特性パラメータとしての、攻撃力、ジャンプ力、及び体幅は3段階で変化する。
【0135】
また、キャラクタの特性パラメータとしての炎攻撃力も決定される。ここでは、特性パラメータとしての炎攻撃力は、生体パラメータとしての基礎代謝に対応付けられる。炎攻撃力は、紙面に対して垂直方向の軸に沿って変化する。すなわち、炎攻撃力は、生体パラメータとしての利用者Pの基礎代謝に応じて変化するが、キャラクタの外観は変化しない。
【0136】
そして、画像生成部150において、キャラクタの外観として上記九つの体型に対応するような、キャラクタ32a~32iの画像が生成される。すなわち、利用者Pの実際の体型を反映するようなキャラクタ32a~32iの画像が生成される。
【0137】
[キャラクタの出現率]
続いて、上記九つの類型のキャラクタ32a~32iの出現率について説明する。
図10A及び
図10Bは、複数の利用者Pの生体パラメータとして周囲長に応じた九種類のキャラクタ32a~32iの出現率を示している。
【0138】
図9を用いて説明したように、キャラクタの体幅は3段階に分けられる。ここでは、理解を容易にするために、この3段階のキャラクタの体幅の分類を、細型、標準型、及び太型と称して説明する。具体的には、細型に分類されるキャラクタはキャラクタ32b,32e,32hであり、標準型に分類されるキャラクタはキャラクタ32a,32d,32gであり、また太型に分類されるキャラクタはキャラクタ32c,32f,32iである。
【0139】
図10Aには、この細型、標準型、及び太型のキャラクタの出現率が図示されている。すなわち、生体パラメータとしての周囲長が閾値Th1より小さい場合、出現するキャラクタは細型のキャラクタ32b,32e,32hである。また、周囲長が閾値Th1~Th2の間である場合、出現するキャラクタは標準型のキャラクタ32a,32d,32gである。そして、周囲長が閾値Th2より大きい場合、出現するキャラクタは太型のキャラクタ32c,32f,32iである。
【0140】
また、
図10Aに示される分布曲線L1は、例えば、一定数「N」(Nは自然数)の日本人を標本とした場合の周囲長の分布と略一致する曲線である。
図10Aに示される例では、閾値Th1から閾値Th2の間の数値の周囲長を有する人数が「N」の略33%となるように、閾値Th1,Th2が設定されている。この場合、細方、標準型、及び太型のキャラクタが均等に出現することになる。
【0141】
このように、
図10Aに示される閾値Th1,Th2の設定によれば、三種類のキャラクタが均等な確率で出現するため、利用者Pは、三種三様のキャラクタを操作する機会を得ることができる。また、閾値Th1,Th2は、標準値に近い値に設定されているため、利用者Pの体型が標準からわずかに変化する場合においても、周囲長の数値が閾値Th1,Th2をまたぐ可能性が高くなる。したがって、利用者Pの体型のわずかな変化に応じて、出現するキャラクタが変化するので、利用者Pは自身のわずかな体型の変化を視覚的に、また仮想空間においてキャラクタの発揮できる機能によって認識することができる。
【0142】
一方、
図10Bに示される分布曲線L1もまた、
図10Aの分布曲線L1と同一の曲線である。
【0143】
図10Bに示される例では、閾値Th3から閾値Th4の人数が「N」の略95%となるように、閾値Th3,Th4が設定されている。したがって、
図10Bに示される例では、細型及び太型のキャラクタは滅多に出現しない一方で、標準型のキャラクタは頻繁に出現することになる。
【0144】
図10Bに示される例によれば、閾値Th3,Th4は、一般にほとんどの利用者Pがとり得ない周囲長であるため、細型及び太型のキャラクタは出現しない。これは、現実の標本の分布と同じ傾向、すなわち、利用者Pが現実に低い確率でしか細型及び太型の人に出会わない傾向と類似している。したがって、利用者Pは、仮想空間においても、現実の感覚と類似した感覚を体験することができるので、利用者Pのゲームへの没入感の低減を抑制することができる。
【0145】
なお、利用者Pの生体パラメータの値が、そのまま体型判定に適用されることによって、キャラクタ32a~32iの出現確率に偏りが生じる場合には、生体パラメータを特性パラメータに変換する際に、仮想空間におけるキャラクタの性別、年齢又は職業などの属性に応じて特性パラメータの値を調節してもよい。
【0146】
例えば、利用者Pの性別が女性の場合には、一般に男性よりも周囲長が小さいので、
図9の分類によれば、体幅の細いキャラクタ32b,32e,32hの出現率が高くなることが想定される。このような場合、利用者Pの性別が女性である場合には、特定種類のキャラクタの出現率が上がり過ぎないように、特性パラメータの値が、性別に応じて調節されることが望ましい。または、利用者Pの性別に応じて、キャラクタの出現率に偏りが生じないように、上記の閾値Th1~Th4が調節されてもよい。
【0147】
本実施形態によれば、以下の作用及び効果を奏する。
【0148】
本実施形態では、ゲーム装置10が、生体パラメータに対して、キャラクタの出現率を調節するための閾値Th1~Th4を設定することにより、当該閾値Th1~Th4に応じた特性パラメータを有するキャラクタの出現率を決定する。
【0149】
図10A及び
図10Bにおいて説明したように、閾値Th1~Th4を調節することによって、現実と仮想空間との類似性を高めることができるので、利用者Pのゲームへの没入感を高めることができる。
【0150】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態のゲームシステム1について説明する。
図11は、本実施形態のゲーム装置10に係る機能構成の一例を示す図である。
【0151】
本実施形態のゲーム装置10は、特性パラメータ演算部170を備える点において第1の実施形態と異なる。また、本実施形態の記憶媒体30は、対応情報保持部310に代えてキャラクタ情報保持部350を備えている点において第1の実施形態と異なる。
【0152】
以下では、第1の実施形態と異なる構成について説明する。また、第1の実施形態と同様の構成には同一の符号を付すとともに説明を省略する。
【0153】
特性パラメータ演算部170は、制御部100の制御信号に応じて、キャラクタ情報保持部350から、キャラクタの特性パラメータの種類の情報を受信する。また、特性パラメータ演算部170は、生体パラメータ記憶部131から生体パラメータを読み出す。そして、特性パラメータ演算部170は、生体パラメータと特性パラメータとを対応付けるための演算を行う。
【0154】
また、本実施形態の特性パラメータ演算部170は、生体パラメータと特性パラメータとの対応関係(対応情報)、すなわち特性パラメータを演算するための演算式を決定する。なお、本実施形態の演算式は予め記憶部130に記憶されていてもよい。
【0155】
キャラクタ情報保持部350は、ゲームプログラム300を実行することによって登場するキャラクタの特性を決定するための特性パラメータの種類を記憶している。この特性パラメータの種類としては、上記で例示したように、体幅、攻撃力、又はジャンプ力などが含まれる。
【0156】
なお、キャラクタ情報保持部350は、キャラクタの特性を決定するための特性パラメータの種類のみが記憶されており、生体パラメータと特性パラメータとを対応付ける情報、例えば、第1の実施形態で説明したような演算式は記憶されていない。
【0157】
本実施形態のゲーム装置10では、制御部100は、キャラクタ情報保持部350から特性パラメータの種類を読み出し、この特性パラメータの種類を特性パラメータ演算部170に送信する。そして、制御部100は、生体パラメータ記憶部131から読み出した生体パラメータを、ゲーム装置10において決定される演算式に適用することによって特性パラメータを演算する。
【0158】
上記実施形態によれば、以下の作用及び効果を奏する。
【0159】
本実施形態のゲーム装置10は、記憶部130が前記生体パラメータと特性パラメータとの演算式(対応情報)を記憶し、制御部100は、生体パラメータと当該演算式とを用いて特性パラメータを演算する。
【0160】
本実施形態によれば、ゲーム装置10が、生体パラメータと特性パラメータとの関係を決定し、ゲーム装置10において決定された対応関係に基づいて特性パラメータの演算を行う。このため、生体パラメータと特性パラメータとの対応付けを行うプログラムを、ゲームプログラム300自体に含めることを要しないので、ゲームプログラム300を簡易な構成とすることができる。
【0161】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0162】
例えば、上記実施形態では、生体パラメータが記憶部130に記憶されている。しかしながら、生体パラメータだけではなく生体情報も記憶部130に記憶されていてもよい。これらの情報は、ゲーム装置10と通信可能なクラウドなどのサーバに記憶されてもよい。例えば、利用者Pの過去の生体情報、当該生体情報から生成された特性パラメータ、又はキャラクタの画像などが当該クラウドに存されている場合、ゲーム装置10は、当該クラウドからこれらのデータを取得してゲーム装置10に適用してもよい。これにより、過去の利用者Pの特徴が反映されたキャラクタが生成される。
【0163】
また、記憶部130は、必ずしもゲーム装置10に備えられている必要はなく、別体として設けられていてもよい。例えば、記憶部130は、SSD(Solid State Drive)などの独立した外付けの記憶媒体、又は記憶媒体30に含まれていてもよい。
【0164】
また、ゲーム装置10と通信可能なクラウドに、画像生成部150が設けられていてもよい。この場合、当該クラウドは、利用者Pのスマートフォンなどの電子機器に記憶されている生体情報又は生体パラメータを受信し、特性パラメータを演算すると、画像生成部150においてキャラクタ像22を生成する。そして、当該クラウドは、生成したキャラクタの特性を示す特性パラメータ及びキャラクタ像22をゲーム装置10に送信してもよい。
【0165】
また、本実施形態の生体センサ14は、利用者Pの特徴を生体情報として数値化する機能のみを有している。しかしながら、生体センサ14は、利用者Pの特徴を生体情報として数値化し、生体パラメータを演算する機能を有していてもよい。
【0166】
さらに、上記各実施形態に加えて、利用者Pの生体パラメータとして、刻々と変化する生体情報がさらに用いられてもよい。例えば、生体工学などの理論に基づいて、脈拍の数値と人間の緊張の度合いとの相関性を推定し、生体パラメータとしての脈拍数から、特性パラメータとしてのキャラクタの緊張度合いを数値化してもよい。より具体的には、例えばアクションシューティングゲームの仮想空間におけるキャラクタに対して、利用者Pの脈拍数に対応付けられる特性パラメータとして緊張レベルを設け、当該緊張レベルに応じてシューティングの命中率を変化させてもよい。
【0167】
さらに、上記実施形態における生体パラメータと特性パラメータとの対応付けは、上記したものに限られない。例えば、生体パラメータから演算される特性パラメータに応じて、生体パラメータから連想される動物の種類が設定されても良い。例えば、利用者Pの生体パラメータとしての脈拍が高い場合には、仮想空間におけるキャラクタとして小動物が生成されるとともに、キャラクタとしての小動物の外観及び身体機能は、生体パラメータに対応付けられた特性パラメータによって決定される。同様に、利用者Pの脈拍が低い場合には、キャラクタとして大型動物が生成される。他の例として、利用者Pの生体パラメータとしての体脂肪率が高い場合には、特性パラメータとして連想される仮想空間におけるキャラクタとして牛又はトドが生成され、逆に利用者Pの生体パラメータとしての体脂肪率が低い場合には、ヒョウ又は馬などが生成されてもよい。
【0168】
すなわち、本発明において、ゲームプログラム300におけるキャラクタの特性を示す特性パラメータと、利用者Pの特徴を示す生体パラメータとは、その対応関係が連想できる限り、いかなる対応関係であってもよい。
【0169】
他の変形例としては、ゲームプログラム300に対して、上記した特性パラメータを用いて生成されるキャラクタの仮想空間における生活リズムと、利用者Pの現実の生活リズムとを連携させるプログラム、いわゆる箱庭ゲーム、又はキャラクタ育成ゲームなどが組み込まれてもよい。これらのゲームが組み込まれることにより、利用者Pの睡眠状態が箱庭ゲームのキャラクタの睡眠状態に反映されたり、利用者Pの活動量がキャラクタの活動量に反映されたり、利用者Pの食事の内容がキャラクタの食事の内容に反映されたりすることが可能になる。なお、当該睡眠状態は睡眠計、当該活動量は活動量計、及び当該食事の内容は画像センサによって数値化されて生体情報としてゲーム装置10に送信されることにより、キャラクタの特性を示す特性パラメータが生成される。これにより、利用者Pは、自身の外観及び身体機能を仮想空間のキャラクタに反映させることができるとともに、自身の生活リズムなどの特徴もキャラクタに反映させることができる。
【0170】
特に、遊技時間を費やすほどゲームの進行が有利になるような、時間の捻出が必要なゲームにおいては、遊技時間以外の利用者Pの活動時間、例えば、利用者Pの勤務時間、及び食事の時間がゲームの進行の障害となる。このような時間の捻出が必要なゲームに対して、仮想空間におけるキャラクタの生活リズムと現実の利用者Pの生活リズムとを関連付けることも可能である。一例としては、利用者Pが勤務又は食事などを適切な生活リズムにおいて実施している場合には、ゲームの進行が有利になるような設定が行われてもよい。これにより、利用者Pは、ゲームを通して、乱れた生活リズムを整えるなどの生活習慣の改善することができる。
【0171】
なお、生体情報として取得される利用者Pの特徴は、上記した身体情報に限定されない。例えば、利用者Pの特徴として、利用者Pの目の動きなど、生体情報として生体センサ14において数値化できる利用者Pの特徴は、本発明の技術的範囲に含まれる。また、ゲーム装置10は、当然ながら、ゲームプログラム300実行専用の装置である必要はなく、生体情報を受け付けることが可能な機器であれば、いかなる電子機器であってもよい。
【符号の説明】
【0172】
10 ゲーム装置
100 制御部
130 記憶部
300 ゲームプログラム
P 利用者