(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20240902BHJP
F24F 3/14 20060101ALI20240902BHJP
F24F 1/0358 20190101ALI20240902BHJP
【FI】
B01D53/26 220
F24F3/14
F24F1/0358
(21)【出願番号】P 2020166327
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2020053343
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏和
(72)【発明者】
【氏名】福増 一人
(72)【発明者】
【氏名】瀬野尾 真世
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-098261(JP,A)
【文献】特開2009-189944(JP,A)
【文献】特開2002-239513(JP,A)
【文献】特開2011-036782(JP,A)
【文献】特開2004-216229(JP,A)
【文献】特開2004-239600(JP,A)
【文献】特開平11-300144(JP,A)
【文献】特開2019-095106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/06、53/26
F24F 3/14
F24F 1/0358
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持された除湿ローターと、
前記除湿ローターを加熱する加熱器と、
前記加熱器により加熱され且つ前記除湿ローターを通過した空気を冷却する冷却器と、
前記加熱器に空気を送り込む送風器と
を備え、
前記加熱器は、
前記除湿ローターの一部を覆う扇状のヒータケース本体と、前記送風器により送り込まれた空気を整流してヒータに供給する
扇状の整流部材
とを備え
、
前記ヒータケース本体は、径方向に延伸する一方の壁部分に、前記送風器から送り込まれる空気の流入口を有し、
前記整流部材は、複数の貫通孔を有する板状をし、前記送風器から送り込まれる空気が流れる流路において、前記貫通孔による開口面積が、上流側領域の方が下流側領域よりも大きく、
前記整流部材を周方向に三分割し、前記流入口側から、近領域、中領域、遠領域とし、前記整流部材を径方向に三分割し、内周側から、内領域、中領域、外領域とすると、前記周方向の近領域と、前記周方向の中領域であって前記径方向の内領域と、前記周方向の中領域であって前記径方向の外領域とにおける前記各貫通孔の開口面積が、前記周方向の遠領域と、前記周方向の中領域であって前記径方向の中領域とにおける前記各貫通孔の開口面積よりも大きい
除湿機。
【請求項2】
前記ヒータは、前記除湿ローターに対して遠近する方向に2個あり、
前記除湿ローターに近い側のヒータの単位面積当たりのワット密度が6~8W/cm
2に設定されている
請求項
1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記除湿ローターに対して前記加熱器と反対側にレシーバを備え、
前記レシーバは、前記除湿ローターの厚み方向と直交する反射部材を内蔵する
請求項1
又は2に記載の除湿機。
【請求項4】
前記送風器は、送風ファンにより送り出された空気を前記加熱器に案内する案内流路を内部に有する流路体を有し、当該流路体は前記除湿ローターから離間する離間部分を有している
請求項1~
3の何れか1項に記載の除湿機。
【請求項5】
前記送風器により前記加熱器に空気を送り込む流路には起立壁が設けられて
おり、
前記起立壁は、前記送風機により前記加熱器に送り込まれる空気が前記整流部材と前記ヒータケース本体の底壁部分との間に流入するのを抑制する、前記加熱器に送り込まれる空気の流れに垂直な板状の部材である
請求項1~
4の何れか1項に記載の除湿機。
【請求項6】
前記冷却器は、熱交換用の複数本の樹脂パイプを備え、
前記樹脂パイプは、当該樹脂パイプを構成する樹脂材料よりも熱伝導率が高い材料により構成された熱交換促進成分を含む
請求項1~
5の何れか1項に記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の水分を除く除湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中の水分を吸脱着するための除湿ローターと、この除湿ローターを加熱する発熱ユニットとを設け、発熱ユニットは加熱ヒータを備えている除湿機があった(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の除湿機は、加熱ヒータの表面温度が均一ではなく、除湿ローターの水分脱着性能が低下するという欠点があった。
本発明は、加熱ヒータの表面温度が均一な除湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る除湿機は、本実施形態に係る一態様の除湿機は、回転可能に支持された除湿ローターと、前記除湿ローターを加熱する加熱器と、前記加熱器により加熱され且つ前記除湿ローターを通過した空気を冷却する冷却器と、前記加熱器に空気を送り込む送風器とを備え、前記加熱器は、前記送風器により送り込まれた空気を整流してヒータに供給する整流部材を備える。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、整流部材を有するため、表面温度を均一化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(a)は実施形態に係る除湿機を前側上方から見た斜視図であり、(b)は除湿部と送風部とを分離させた状態を後側上方から見た斜視図である。
【
図3】除湿機の分解状態を前側上方から見た斜視図である。
【
図4】除湿機の分解状態を後側上方から見た斜視図である。
【
図5】除湿機能部の分解状態を後側下方から見た斜視図である。
【
図6】除湿機能部の分解状態を前側上方から見た斜視図である。
【
図7】(a)は除湿ローターユニットと加熱ユニットを前側から見た図であり、(b)は(a)のB-B断面を矢印の方向から見た拡大断面図である。
【
図8】除湿ローターの分解状態を後側上方から見た斜視図である。
【
図9】除湿ローターの分解状態を前側上方から見た斜視図である。
【
図10】(a)は加熱器を後側から見た図であり、(b)は整流部材を後側から見た図である。
【
図11】除湿機能部の後部断面を後側上方から見た斜視図である。
【
図12】(a)は除湿機能部の断面図であり、(b)及び(c)は除湿ローターの上部周辺の拡大斜視図である。
【
図13】流路体の分解斜視図であり、(a)は前側上方から見た図であり、(b)は後側上方から見た図である。
【
図14】フレームにレシーバが取り付けられた状態を前側上方から見た斜視図である。
【
図15】(a)は除湿機能部を前側から見た図であり、(b)は除湿機能部の後部断面を前側から見た図である。
【
図16】送風機能部の分解斜視図であり、(a)は前側上方から見た図であり、(b)は後側下方から見た図である。
【
図17】ベース部の分解状態を前側上方から見た斜視図である。
【
図18】ベース部の分解状態を後側上方から見た斜視図である。
【
図19】変形例に係る送風ユニットの断面図であり、(a)は側方から見た側面図であり、(b)は前側から見た斜視図である。
【
図20】変形例に係る送風ユニットの第2部材の図であり、(a)は後側から見た斜視図であり、(b)は上部の拡大斜視図であり、(c)は後側から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
本実施形態に係る一態様の除湿機は、回転可能に支持された除湿ローターと、前記除湿ローターを加熱する加熱器と、前記加熱器により加熱され且つ前記除湿ローターを通過した空気を冷却する冷却器と、前記加熱器に空気を送り込む送風器とを備え、前記加熱器は、前記送風器により送り込まれた空気を整流してヒータに供給する整流部材を備える。
本実施形態に係る別態様の除湿機において、前記整流部材は、複数の貫通孔を有する板状をし、前記送風器から送り込まれる空気が流れる流路において、前記貫通孔による開口面積が、上流側領域の方が下流側領域よりも大きい。これにより、除湿ローターに供給される空気の温度を均一化できる。
本実施形態に係る別態様の除湿機において、前記ヒータは、前記除湿ローターに対して遠近する方向に2個あり、前記除湿ローターに近い側のヒータの単位面積当たりのワット密度が6~8W/cm2に設定されている。これにより、除湿ローターに有機物が堆積するのを抑制できる。
本実施形態に係る別態様の除湿機において、前記除湿ローターに対して前記加熱器と反対側にレシーバを備え、前記レシーバは、前記除湿ローターの厚み方向と直交する反射部材を内蔵する。これにより、加熱器の加熱効率を高めることができる。
本実施形態に係る別態様の除湿機において、前記送風器は、送風ファンにより送り出された空気を前記加熱器に案内する案内流路を内部に有する流路体を有し、当該流路体は前記除湿ローターから離間する離間部分を有している。これにより、除湿ローターの温度を早く下げることができる。
本実施形態に係る別態様の除湿機において、前記送風器により前記加熱器に空気を送り込む流路には起立壁が設けられている。これにより、除湿ローターに供給される空気の温度を均一化できる。
本実施形態に係る別態様の除湿機において、前記冷却器は、熱交換用の複数本の樹脂パイプを備え、前記樹脂パイプは、当該樹脂パイプを構成する樹脂材料よりも熱伝導率が高い材料により構成された熱交換促進成分を含む。これにより、除湿性能を向上することができる。
【0009】
<実施形態>
1.全体
実施形態では、吸湿材等で水分を取り除く、所謂、デシカント式の除湿機について説明する。
除湿機Xは、
図1に示すように、筐体55の吸気口55aから吸気した空気を除湿して排気口55bから排出する除湿部Aと、除湿部Aから排出された空気又は室内の空気を循環させる送風部Bとを備える。例えば、送風部Bは除湿部Aの上側に設けられている。
ここで、吸気口55aがある側を前後方向の後側とし、送風部Bがある側を上下方向の上側とし、前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向と便宜上規定する。
なお、送風部Bは左右軸及び上下軸の回りに回転可能に設けられ、
図1では前を向いた状態で上を向いている。
【0010】
2.除湿部
除湿部Aは、
図3及び
図4に示すように、除湿部Aは、除湿機能部1と、除湿機能部1を収容する筐体55と、筐体55に着脱可能に設けられた排水タンク6とを備える。
除湿機能部1は、筐体55の吸気口55aから吸込んだ空気中の水分を除湿ローター11で吸着し、除湿ローター11が加熱されることで吸着した水分を放出し、放出された水分を熱交換ユニット20により回収し、乾いた空気をファンにより筐体55の外部(ここでは送風部Bである)へと排出する。なお、熱交換ユニットは本発明の冷却器の一例に相当する。
以下、各部について説明する。
【0011】
(1)除湿機能部
除湿機能部1は、上記機能を発揮するために、
図5及び
図6に示すように、水分を吸着する除湿ローターユニット10と、除湿ローターユニット10を加熱する加熱ユニット15と、加熱された空気から水分を取り出す熱交換ユニット20と、加熱ユニット15へ空気を送り込む送風ユニット25と、筐体55内に吸気すると共に筐体55外へと排出する吸排ユニット40等をフレーム50に有する。
各ユニットについて説明する。
【0012】
(1-1)除湿ローターユニット
除湿ローターユニット10は、
図5及び
図6に示すように、例えばゼオライト等の吸水材(吸湿材)から構成され円盤状の除湿ローター11と、除湿ローター11を保持する除湿フレーム12と、除湿フレーム12を回転させる駆動モータ13とを備える。
除湿ローター11はフレーム50の支持軸51に回転可能に支持される。
除湿ローター11の回転は、
図5に示す駆動モータ13のピニオン13aが除湿フレーム12の外周のギア部123と螺合し回転することで行われる。
除湿フレーム12は、
図5及び
図6の拡大図に示すように、環状体120と、円筒体125と、環状体120と円筒体125とを連結する枠体126とを備える。なお、環状体120は円筒部121と内鍔部122(
図12の(b)及び(c)参照)とギア部123とを有する。
枠体126は、断面が「L」状のL字環状部126aと、円筒体125に固定される円盤部126bと、L字環状部126aと円盤部126bとを放射状に連結する放射状部126cとを有している。
【0013】
(1-2)加熱ユニット
加熱ユニット15は、
図5及び
図6に示すように、加熱器16とレシーバ17とを除湿ローター11の両側に備える。加熱器16及びレシーバ17は、除湿ローター11の一部を覆う扇状をし、前側からフレーム50に取り付けられている。
【0014】
(1-2-1)加熱器
加熱器16は、
図8及び
図9に示すように、ヒータ160と、ヒータ160を収容し且つ流入口161dを有するヒータケース本体161と、ヒータケース本体161の開口側(後側)に設けられ且つ流出口162bを有するヒータケース蓋体162と、ヒータケース本体161の内部に配された整流部材163とを備える。加熱器16は、流入口161dから流出口162bへと流れる空気をヒータ160で加熱する。
ここでの加熱器16は、
図8、
図9及び
図15の(b)に示すように、ヒータケース本体161内に配される断熱部材165や、ヒータ160を保持するヒータ保持体166を備える。
【0015】
(1-2-1-1)ヒータ
ヒータ160は、ここでは、空気の流動方向に沿って上ヒータ160aと下ヒータ160bとの2個を有する。上ヒータ160a及び下ヒータ160bを区別する必要がない場合は、単に、ヒータ160とする。
上ヒータ160aは、加熱器16内を流れる空気の流路の上流側に位置し、下ヒータ160bは下流側に位置する。換言すると、上ヒータ160aと下ヒータ160bは、
図7の(b)に示すように、除湿ローター11に対して遠近する方向(ここでは、除湿ローター11の厚み方向でもあり、また、前後方向でもある)に間隔をおいて配され、上ヒータ160aが前側、下ヒータ160bが後側にそれぞれ位置する。
ヒータ160は、例えば、ニッケル・クロム(所謂、ニクロム)線や鉄・クロム線等をコイル状にして全体として線状をし、
図15(b)に示すように、除湿ローター11の周方向に沿って延伸した後に逆向きに折り返されるジグザグ状をしている。なお、鉄・クロム線の方が、ニッケル・クロム線よりも耐熱性が高く、耐久性を向上できる。
【0016】
下ヒータ160bの出力(加熱温度)は、上ヒータ160aの出力(加熱温度)よりも大きい。より具体的には、下ヒータ160bに流す電流値は、上ヒータ160aに流す電流値よりも高く設定されている。換言すると、下ヒータ160bの単位面積当たりのワット密度が6~8W/cm2に設定されている。下ヒータ160bは、除湿ローター11との距離によって変動するが、下ヒータ160bの加熱により除湿ローター11の温度が300℃以上となるように、設定されている。なお、下ヒータ160bと除湿ローター11との距離は3~6mmの範囲が好ましい。3mm未満の場合除湿ローター11が過熱され、6mmを超えると除湿ローター11を十分に加熱できず、有機物の除去ができない。
これにより、上ヒータ160aをオフ、下ヒータ160bをオンの運転(例えば、後述の「除湿中モード」である)においても、除湿ローター11の温度が300℃以上となり、除湿ローター11の細孔に吸着された可燃性の有機物を揮発させることができ、可燃性の有機物が除湿ローター11に堆積するのを防止できる。したがって、除湿ローター11の水分の吸着が有機物により阻害されるのを防止でき、また、有機物が多く堆積することによる発火の危険性を低くできる。
なお、有機物の堆積を規制する除湿機として、例えば、特許5522289号公報に記載されている。この除湿機は、除湿ローターに近い位置にあるヒータを常時オンにしているため、省エネルギーの観点から好ましくない。
【0017】
(1-2-1-2)ヒータケース本体
ヒータケース本体161は、前側から見たときに部分円環形状をするヒータ収容部161aと、ヒータ収容部161aの開口端(後端)から径方向に張り出す鍔部161bとを有する。なお、部分円環形状は、半径が異なる2本の円弧を周方向に離間し且つ径方向に延伸する2本の直線で接続した形状である。
ヒータケース本体161は、
図8に示すように、ヒータ収容部161aを後側から見たときに、径方向に延伸する一方の第1壁部分161cに流入口161dを有している。流入口161dは、前後方向を短辺、径方向を長辺とする矩形状をしている。
【0018】
(1-2-1-3)ヒータケース蓋体
ヒータケース蓋体162は、
図8及び
図9に示すように、扇状をした板状部162aを有し、板状部162aに流出口162bが設けられ、板状部162aにおける流出口162bの周辺部分が後側に隆起する隆起部162cとなっている。なお、隆起部162cにより板状部162aが補強される。
流出口162bは、ヒータ収容部161aを後側から見た形状に対応し、部分円環形状をしている。ヒータケース蓋体162は、板状部の162aにおける隆起部162cの外側部分が、ヒータケース本体161の鍔部161bに当接する状態で、ヒータケース本体161と結合する。
【0019】
(1-2-1-4)整流部材
整流部材163は、
図8及び
図9に示すように、ここでは板状をしている。ここでは、整流部材163は1枚である。これにより、ヒータケース本体161(ヒータ収容部161a)への組み込み工程を少なくできる。形状は、ヒータ収容部161aに対応して部分円環状又はこれに似た形状をしている。材料は、ヒータ160の動作中の熱に耐え得る材料であれば、特に限定はなく、金属材料、高耐熱樹脂材料、マイカ材料、ガラス材料、セラミック材料等を利用できる。断熱性の観点から、マイカ材料が好ましい。
整流部材163は、
図7の(b)に示すように、ヒータ収容部161aの底壁部分161eと平行であって底壁部分161eに対して間隔をおいて設けられる。整流部材163の前後方向の位置は、前後方向に幅のある流入口161dの前後方向の中央付近である。つまり、整流部材163は、流入口161dの前端から、流入口161dの前後方向の寸法の1/3~2/3だけ後側に移った位置である。これにより、整流部材163の前側を通る空気と整流部材163の後側を通る空気との流量バランスを良くできる。
【0020】
整流部材163は複数個の貫通孔を板状部163aに有する。
板状の整流部材163は、ヒータ160と平行となるように配され、貫通孔が設けられている。これにより、貫通孔を通過する空気が前後方向に流れ、ヒータ160を保持するヒータ保持体166の抵抗を低減できる。換言すると、整流部材163は、ヒータ収容部161aの底壁部分161eや整流部材163に平行に流入してきた空気を、ヒータ160に向かわせるための進路変更部として機能する。特にヒータ保持体166と平行な流れ(前後方向の流れ)に空気の流れを変更している。
整流部材163は、
図10に示すように、加熱器16の流出口162bを後側から見たときに、流出口162bの開口面積の60~80%の面積を有する。整流部材163は、加熱器16の流出口162bを後側から見たときに、流入口161d側に近い領域であって開口面積の20~40%の面積に相当する領域を除いて、流出口162b内に露出するように配されている。これにより、整流部材163の貫通孔を通過する空気量を増やすことができ、整流効果を高めることができる。
整流部材163は、加熱器16の流出口162bを後側から見たときに、ヒータ160の面積の60~80%と重なるように配されている。これにより、ヒータ60の広い範囲に均一化した空気を送ることができ、ヒータ160で加熱される空気の温度のばらつきを小さくできる。
【0021】
整流部材163の貫通孔は、少なくとも大・小の2種類がある。大きさの異なる2種類の内、開口面積の小さい貫通孔はヒータケース本体161における流入口161dから遠い側に設けられている。換言すると、空気が流れる流路において、流入口161dと、当該流入口161dに対向する他方の第2壁部分161fとの間であって、第2壁部分161f側の領域(下流側領域である)に開口面積の小さい貫通孔が設けられている。つまり、流入口161dと第2壁部分161fとの間であって、第2壁部分161fに近い領域(下流側領域)に形成されている貫通孔の合計の開口面積が、流入口161dに近い領域(上流側領域である)に形成されている貫通孔の合計の開口面積よりも小さい。
これにより、流入口161dからヒータ収容部161aに流入した空気は、一部が整流部材163の貫通孔から流出口162bに向かい、残りが第2壁部分161fで跳ね返される。この際にも一部の空気が整流部材163の貫通孔から流出口162bに向かう。しかしながら、整流部材163における第2壁部分161f側に形成されている貫通孔の合計の開口面積が小さいため、跳ね返された空気は流入口161d側に向かいながら整流部材163の貫通孔を通過して流出口162bに向かう。このように、流入口161dから流入した空気は、ヒータケース蓋体162の流出口162bの全範囲から均一化して流出するようになる。
【0022】
少なくとも2類以上の貫通孔は、例えば、小貫通孔として第1小貫通孔163cと第2小貫通孔163dとがあり、大貫通孔として第1大貫通孔163eと第2大貫通孔163fとがある。開口面積は、第1小貫通孔163c、第2小貫通孔163d、第1大貫通孔163e、第2大貫通孔163fの順で大きい。
小貫通孔163c,163dは、
図10の(b)に示すように、流入口161dから遠い側と中央部に設けられている。なお、
図10の(b)には流入口161dが現れていないが、整流部材163の右側に位置する端縁側に流入口161dがある。
整流部材163を周方向に三分割し、流入口161d側から、近領域C1、中領域C2、遠領域C3とし、整流部材163を径方向に三分割し、内周側から、内領域r1、中領r2域、外領域r3とし、整流部材163の所定の領域を表わす場合、周方向の領域名と径方向の領域名とを前後に組み合わせる。例えば、流入口161dに近い領域であって内周側の領域を「近内領域C1r1」とし、周方向の中領域であって径方向の中領域を、「中中領域C2r2」とする。
【0023】
図10の(b)に示すように、第1小貫通孔163cは遠中領域C3r2に、第2小貫通孔163dは中中領域C2r2、遠内領域C3r1及び遠外領域C3r3に、第1大貫通孔163eは、近中領域C1r2及び近外領域C1r3に、第2大貫通孔163fは近内領域C1r1、中内領域C2r1及び中外領域C2r3にそれぞれ設けられている。
これにより、流入口161dから流入した空気が均等にヒータ160を通過することとなり、流出口162bでの温度が均一化する。
流出口162bから流出する空気の温度を均一化することで、下ヒータ160bの加熱によって、除湿ローター11の温度を300℃以上に管理しやすくできる。
【0024】
(1-2-1-5)断熱部材
断熱部材165は、
図8及び
図9に示すように、例えばマイカ材料を用いた板状をしている。ここでは、ヒータ収容部161aの底壁部分161eに対向して配される底壁材165a、ヒータ収容部161aの第2壁部分161fに対向して配される端壁材165b、ヒータ収容部161aの外周壁部分161gに対向して配される外周壁材165cの3つを備える。
断熱部材165は、
図8に示すように、整流部材163の張出部163gやヒータ保持体166の張出部と嵌合するための溝165eを有する。これにより、整流部材163とヒータ160とを所定位置に配置できる。
【0025】
(1-2-1-6)ヒータ保持体
ヒータ保持体166は、
図8及び
図9に示すように、複数枚の板状部材により構成され、前後方向を径方向に延伸する径板状部材166aと、前後方向を周方向に延伸する周板状部材166bとから構成される。
径板状部材166aは、
図7の(b)に示すように、ヒータ160が配される溝166c,166dを複数個有する。周板状部材166bは複数枚の径板状部材166aを周方向に間隔をおいて保持する。なお、保持は、周板状部材166b又は周板状部材166bの溝が径板状部材166a又は径板状部材166aの溝に嵌合することで行われる。
このような構成により、空気が加熱器16を通過する際の摩擦(抵抗)を少なくできる。
【0026】
(1-2-2)レシーバ
図8及び
図9を用いて説明する。
レシーバ17は、加熱器16と対向する状態で、フレーム50に装着される。レシーバ17は、除湿ローター11が加熱器16により加熱され、蒸発した水分を含んだ空気を熱交換ユニット20へと案内する機能を有する。
レシーバ17は、レシーバ本体171と、レシーバ本体171の内部に配される反射部材173とを有する。
【0027】
(1-2-2-1)レシーバ本体
レシーバ本体171は、加熱器16のヒータケース蓋体162の外観形状に似た形状をし且つヒータケース蓋体162と対向する扇状部171aと、扇状部171aの円弧部分から前方に延伸した後に径方向の外方へ延伸する延伸部171bと、扇状部171aにおける加熱器16の流出口162bに対向する部分に形成され且つ部分円環状に後側に凹入する凹入部171cと、凹入部171cの底部分171dに形成された開口部171eと、開口部171eの周縁から後側に張り出す張出部171fとを有している。なお、張出部171fは、前延伸部分171jと外延伸部分171gとを有する。
レシーバ本体171における延伸部171bの径方向の外方へ延伸する外延伸部分171gは、
図7の(b)に示すように、ヒータケース蓋体162の板状部162aに当接する。
レシーバ本体171の扇状部171aの中心角側がヒータケース本体161とヒータケース蓋体162と共にフレーム50に支持軸51(
図5及び
図6参照)を利用して固定される。
レシーバ本体171は、
図14に示すように、部分円環状の凹入部171cの中心角側の下部側の角部分が最下点となるようにフレーム50に取り付けられる。レシーバ本体171は、凹入部171cの角部分に、下方に凹入し且つ凹入部171cの開口側(前側)が開放する溝部分171hを有している。これにより、レシーバ本体171内で結露した結露水を除湿ローター11側に流すことができ、レシーバ17の内部に結露水が貯留するのを防止できる。
【0028】
(1-2-2-2)反射部材
反射部材173は、
図8及び
図9に示すように、レシーバ本体171の凹入部171c内に配され、固定される。反射部材173は、金属材料、セラミック材料等で構成され、板状をしている。反射部材173は、
図7の(b)に示すように、凹入部171cの開口からの距離D1が10~15mmとなる位置に設けられている。反射部材173は、ステンレス(SUS)により構成されてもよい。特に、光沢BA材により構成されてもよく、この場合、除湿ローター11から漏れてくる、赤熱したヒータ160からの熱エネルギーを除湿ローター11側に反射させることで、熱効率を高めることができる。
反射部材173は、レシーバ本体171の凹入部171cの底部分171dと離間させた状態で設けられている。これにより、底部分171dの過度な温度上昇を防止することができ、レシーバ本体171を耐熱性樹脂で構成できる。
【0029】
(1-3)熱交換ユニット
主に、
図5及び
図6を用いて説明する。
熱交換ユニット20は、多数本の樹脂パイプ21からなる熱交換部22と、熱交換部22の上端部を支持する上支持部23と、熱交換部22の下端部を支持する下支持部24とを備える。
以下、主に
図11及び
図12を用いて説明する。
【0030】
(1-3-1)熱交換部
樹脂パイプ21は、横断面が矩形状又は方形状をしている。多数本の樹脂パイプ21はその筒軸が平行となるように支持されている。
熱交換部22は、前後方向に複数本(例えば6本)の樹脂パイプ21を密着する状態で備えるパイプ群を、左右方向に間隔(ここでは等間隔である)をおいて複数配されてなる。
熱交換部22は筐体55の吸気口55aの裏側(ここでは前側になる)に位置する。
【0031】
(1-3-2)上支持部
上支持部23は、加熱ユニット15と連通し且つ下方が開放する上連通路231と、上連通路231の開口側に設けられ且つ熱交換部22の上部を支持する上支持体233とを備える。
上連通路231は、左右方向に長い箱状をし、
図12に示すように、加熱ユニット15の開口部171e周囲の張出部171fと嵌合する受入口231aを有している。
上支持体233は、
図11の拡大図に示すように、パイプ群の上端部と嵌合する嵌合溝233aを左右方向に複数個有し、上連通路231の開口に嵌合する。
これにより、上連通路231内に受け入れられた空気がパイプ群を構成する複数本の樹脂パイプ21へと案内される。
【0032】
(1-3-3)下支持部
下支持部24は、
図12に示すように、送風ユニット25と連通し且つ上方が開放する下連通路241と、下連通路241の開口側に設けられ且つ熱交換部22の下部を支持する下支持体243とを備える。
下連通路241は、左右方向に長い箱状をし、
図6及び
図12に示すように、フレーム50の接続口52と嵌合する排出口241aを前壁部241bに有している。
図11に示すように、下連通路241の底壁部241cは、熱交換部22で冷却された水を排水タンク6(
図1~
図4参照)へと案内する傾斜面となっている。ここでは、左右方向の略中央が最も低くなっており、低くなった部分に貫通孔241dを有している。
下支持体243は、パイプ群の下端部と嵌合する嵌合溝243aを左右方向に複数個有し、下連通路241の開口に嵌合する。
これにより、複数本の樹脂パイプ21を通過した空気は下連通路241から送風ユニット25へと送出される。
下連通路241は、上連通路231の下方に位置し、上方から見たときに、下連通路241は上連通路231より大きく構成されている。つまり、下連通路241は、
図12に示すように、下支持体243が嵌合する側壁部241fの上端から上拡がりの張り出す張出部241gを有している。これにより、上支持部23から水が滴下又は流下しても下支持部24の張出部241gで受けることができる。換言すると、張出部241gは、水受部ともいえ、側壁部241fの全周に亘って設けられている。
【0033】
(1-3-4)シール部
上支持部23は、上連通路231と上支持体233との間に上シール材(図示省略)を有してもよい。これにより、水漏れや空気漏れを抑制できる。下支持部24は、下連通路241と下支持体243との間に下シール材(図示省略)を有してもよい。これにより、水漏れや空気漏れを抑制できる。上シール材及び下シール材として、例えば発泡性材料を用いることができる。
特に、上シール材の発泡性材料は、独立発泡又は連続発泡の材料であってもよい。なお、上シール材として独立発泡材料を用いることでシール性能を向上できる。なお、シール部分から水が漏れた場合でも、上記のように、下連通路241で受けることができる。
一方、下シール材の発泡性材料は、独立発泡又は連続発泡の材料であってもよく、連続発泡性材料が好ましい。連続発泡性材料を用いることで、上支持部23から流下してきた水を下連通路241の内部へと浸透させることができる。なお、下シール材の圧縮率は3~5割の範囲内が好ましい。
【0034】
(1-4)送風ユニット
送風ユニット25は、
図6及び
図7の(a)に示すように、熱交換ユニット20の排出口241aと加熱ユニット15(加熱器)の流入口161dとをつなぐ流路26を有する流路体27と、流路26内の空気を加熱ユニット15側に送る送風器28とを備える。
流路体27は、送風器28により送り出された空気を加熱器16に案内する案内流路を内部に有する。流路体27は、
図13に示すように、除湿ローター11の前面に沿った第1部材271と、第1部材271を前側から覆い且つ内部に流路26を形成する第2部材273とを備える。送風器28は、
図12に示すように、流路26内に配されるファン281と、ファン281を駆動させる駆動モータ283とを備える。流路体27には、スペーサ275が設けられる。
【0035】
(1-4-1)第1部材
第1部材271は、
図13に示すように、前側から見たときに「L」字状をする第1板状部271aと、第1板状部271aに形成された貫通孔271bとを有する。
第1部材271は、第1板状部271aの「L」字の長辺に相当する部分に、除湿ローター11から離間するための離間部分271cを有している。離間部分271cは除湿ローター11から離れる側(前側)に凹入する凹入部分により構成される。
図12の(d)に示すように、離間部分271cと除湿ローター11の間隔D3は、離間部分271cと除湿ローター11との間に空気が流れ込み、除湿ローター11の温度を下げることができるように設定されている。具体的には、間隔D3は、10~18mm程度であり、前後方向の除湿機Xの寸法を考慮すると16mm以下が好ましい。なお、貫通孔271bは、流路26の入口であり、フレーム50の接続口52と対向する。
【0036】
(1-4-2)第2部材
第2部材273は、第1板状部271aにおける上端を除く端部と当接する第2板状部273aと、第2板状部273aから第1部材271と反対側に凹入する凹入部273bとを有し、凹入部273bの上端部分273cが開放している。
凹入部273bは、送風器28のファン281(
図12参照)を収容する収容部分273dと、ファン281の回転で送り出される空気が通過する流路部分273eとを有する。なお、第2板状部273aは、第1部材271の離間部分271cに合わせて前側に凹入する凹入部分273fを有している。
第2部材273の収容部分273dの底部分の表面(前面)には、駆動モータ283を保護するカバー部273gが設けられている。
(1-4-3)スペーサ
スペーサ275は薄肉の板状をしている。スペーサ275は、流路体27の上端、つまり、流路26の出口に近接して設けられている。ここでは、第1部材271に設けられ、離間部分271cの凹入に対応して湾曲又は屈曲している。スペーサ275は、送風ユニット25がフレーム50に取り付けられた際、除湿ローター11との隙間を小さくしてエア漏れを抑制する。
【0037】
(1-5)吸排ユニット
吸排ユニット40は、
図2に示すように、筐体55の後側の吸気口55aから吸気して、上側の排気口55bから排気する。
吸排ユニット40は、
図5及び
図6に示すように、吸排フレーム41と、吸排フレーム41の前側に回転可能に支持されたファン42と、吸排フレーム41の後面に設けられ且つファン42を駆動する駆動モータ43と、ファン42から送り出される空気を上部側へと案内する案内壁44と、案内された空気を筐体55の排気口55bへと案内する案内フード45とを有する。
駆動モータ43は、
図15の(b)に示すように、ヒータケース本体161からの距離D2が10mm以上となるように設けられている。駆動モータ43は加熱ユニット15の下方に対して左右方向に離れた位置に設けられている。これにより、加熱ユニット15のヒータ160から漏れた空気が駆動モータ43に接触するのを抑制できる。なお、除湿機Xの大型化を考慮すると、30mm以下が好ましい。
具体的には、前側から見たときに、加熱ユニット15と送風ユニット25の流路体27とが重なる部分に隣接する領域46(図中のハッチングを施した領域である)から、流路体27から離れる方向(左右方向の右側である)に設けられている。これにより、加熱された空気は、加熱ユニット15と除湿ローター11との間の隙間であって前側から見たときに流路体27が存在しない領域46に漏出しても、当該領域46に対して漏出する空気が流れる軌道から離れた位置に駆動モータ43が設けられているため、熱の影響を受け難くできる。なお、露出する空気が流れる軌道は、加熱ユニット15の下端と直交する方向であり、ここでは下方となる。なお、駆動モータ43が加熱されると、モータのグリスが熱に耐えきれず、グリス枯れを生じる。グリス枯れは、駆動モータ43の回転不良を招き、温度異常や異音を発生させる。
【0038】
(1-6)回路ユニット
回路ユニット35は、コンセントを介して受電した商用電源から、除湿機能部1や送風機能部8を駆動させるための駆動電力を生成する電源部と、除湿機能部1や送風機能部8を使用者の指示に従って制御する制御部とを有する。電源部及び制御部は、
図11に示すように、複数個の電子部品36が回路構成された回路基板37に実装されることで構成され、回路ケース38に収容されている。
制御部は、操作部92(
図17参照)の操作により選択された除湿運転を制御する。制御部は、CPU、メモリ、タイマ等を備え、メモリに記憶されているコンピュータプログラムや各種の設定データに基づき、運転を制御する。
除湿運転には、例えば、除湿強モード、除湿中モード、除湿弱モード、除湿送風モード、クーリングモードの5種類ある。
ヒータ210のオン・オフの観点からは、上ヒータ160aと下ヒータ160bとがオンの除湿強モード、上ヒータ160aがオフで下ヒータ160bがオンの除湿中モード、上ヒータ160aがオンで下ヒータ160bがオフの除湿弱モード、上ヒータ160aと下ヒータ160bとがオフの除湿送風モードとクーリングモードの5種類である。
除湿弱モードが選択されると、制御部は、駆動モータ13,43,283を駆動させると共に上ヒータ160aをオンし、所定時間(例えば、1時間)毎に除湿ローター11が少なくとも1回転する時間、下ヒータ160bをオンする。これにより、除湿弱モードの運転中、除湿ローター11の温度が除湿ローター11に堆積又は付着した有機物が揮発可能な温度よりも低くなるが、下ヒータ160bのオンにより除湿ローター11に有機物が堆積するのを防止できる。
【0039】
(1-7)フレーム
フレーム50は、
図5及び
図6に示すように、水平方向に広がる水平板部501と、水平板部501の前後方向の中央部分を左右に亘る部位から立設する主立設部502と、水平板部501の左右方向の両側部分を前後に亘る部位から立設して主立設部502に連結する側立設部503と、主立設部502の上端に左右方向と前後方向とに広がり且つ上方が開放する箱状部504とを有する。
【0040】
以下、主に
図14を用いて説明する。
水平板部501は、熱交換ユニット20の下支持部24の貫通孔241d(
図11参照)に対向する部位に、
図5に示すように貫通孔501aを有している。熱交換ユニット20で生じた水分は、下支持部24から貫通孔501aを通り排水タンク6へと回収される。
水平板部501は、
図14に示すように、送風ユニット25の下方に貫通溝501bを有する。貫通溝501bは、主立設部502よりも前側であって基部側に設けられている。貫通溝501bは、主立設部502に沿って左右方向に設けられている。貫通溝501bは送風ユニット25内で発した水分を排水タンク6へ誘導するためのものである。
【0041】
主立設部502は、板状部502aと、板状部502aに形成された除湿ローター11用の貫通孔502bを有する。ここでの貫通孔502bは、
図5に示すように、全体として円形状をし、その中心部502cと、貫通孔502bの周辺部と中心部502cとを径方向に連結する複数本の連結部502dとを除く領域で貫通している。なお、貫通孔502bは、
図14に示すように、有底筒部502eの底部分502kに設けられ、有底筒部502eの円筒部分502f内に除湿ローター11が配される。
主立設部502は、板状部502aの前面であって円筒部分502fと水平板部501との間におけるレシーバ17の下方に位置する部分に送風ユニット25を位置決めするための一対の縦リブ502mを有している。なお、水平板部501における一対の縦リブ502m間であって下端部に対応する部分に貫通溝501bを有している。
主立設部502の円筒部分502fは、レシーバ本体171の溝部分171hの開放側端(前端)の下方に位置している。これにより、レシーバ17から滴下又は流下した結露水を有底筒部502eで受けることができる。
【0042】
主立設部502は、円筒部分502fの最下点又はその周辺部であって前側端から下方に延伸する誘導溝502gを有し、水平板部501は誘導溝502gの下端に対応する部分に貫通孔501dを有している。これにより、レシーバ17からの結露は、
図14の矢印で示すように、円筒部分502f、誘導溝502gを通り、貫通孔501dから排水タンク6へと回収される。なお、誘導溝502gは一対の縦リブ502m,502nにより構成され、縦リブ502mは、送風ユニット25の位置決め用の縦リブ502mを兼用している。
水平板部501の貫通溝501bの位置は、主立設部502の円筒部分502fにおけるレシーバ17の下方に位置する部分502j(図中のハッチング部分)に対応している。これにより、レシーバ17から有底筒部502eに滴下又は流下した結露水は、円筒部分502fの最下点へ流れる途中で円筒部分502fから板状部502aに沿って流下する場合も、当該貫通溝501bから排水タンク6へと回収される。
【0043】
板状部502aには、送風ユニット25や熱交換ユニット20、吸排ユニット40等が取り付けられる。中心部502cには、除湿ローター11等を支持する支持軸51が取り付けられる。連結部502dには、加熱ユニット15が取り付けられる。
側立設部503はフレーム50を補強する。箱状部504には、電源回路や制御回路等を収容する回路ユニット35が配される。
【0044】
(1-8)除湿効果
除湿機Xは、
図12の(b)及び(c)の拡大に示すように、加熱器16と除湿ローター11との間、除湿ローター11とレシーバ17との間からエア漏れを抑制するための機構を有している。
(1-8-1)加熱器と除湿ローターとの間
除湿ローター11は、
図12の(b)及び(c)に示すように、除湿フレーム12の円筒部121に嵌合し、円筒部121の前端の内鍔部122により前側から支持されている。つまり、除湿ローター11の前面と、除湿フレーム12の内鍔部122の前面との間に段差が生じている。
一方、加熱器16(ヒータケース蓋体162)と除湿フレーム12の内鍔部122との間の隙間を小さくしているが、除湿フレーム12は回転するため、加熱器16(ヒータケース蓋体162)と除湿フレーム12の内鍔部122とを接触させることは好ましくない。
ヒータケース蓋体162の流出口162bは、除湿フレーム12の内鍔部122よりも内周側(中心軸側)に位置している。流出口162bの周辺部に設けられている隆起部162cは、
図12の(b)に示すように、除湿フレーム12の内鍔部122の内周縁から除湿ローター11側(後側)に入り込むように隆起している。これにより、加熱器16と除湿ローター11との間の隙間からエアが漏れる漏れ経路を長くでき、エアの漏れを抑制することができる。
つまり、加熱器16は、除湿ローター11と対向する流出口162bと、当該流出口162bの周辺部であって除湿フレーム12の内鍔部122と除湿ローター11との段差に沿って除湿ローター11側に隆起する隆起部162cとを有している。
【0045】
(1-8-2)除湿ローターとレシーバ
除湿ローター11は、
図12の(c)に示すように、レシーバ17の扇状部171aと対向する状態で配される。
除湿フレーム12のL字環状部126aは、
図12の(b)及び(c)に示すように、円筒部121の外周面と後端面、除湿ローター11の後面の外周縁部に当接する。これにより、除湿ローター11は、除湿フレーム12により前後からその外周縁部が支持されることとなり、回転時の除湿ローター11の前面と後面の変動幅を小さくできる。したがって、除湿ローター11と加熱器16との間隔及び除湿ローター11とレシーバ17との間隔を小さくでき、エア漏れを低減している。
枠体126のL字環状部126aは、
図12の(b)及び(c)に示すように、レシーバ17の扇状部171aの段差171kの内側部分で対向する。これにより、レシーバ17と除湿ローター11との間の隙間からエアが漏れる漏れ経路を長くでき、エアの漏れを抑制することができる。
つまり、レシーバ17は、除湿ローター11と対向する対向部(扇状部171a)から除湿フレーム12の環状体120の円筒部121の外周側へと張り出す段差171kを有し、除湿フレーム12は、環状体120の円筒部121の外周面と端面とを覆うL字環状部126aを有し、L字環状部126aがレシーバ17の対向部の段差171kの内側部分に入り込むように配される。
【0046】
(2)筐体
筐体55は、
図1に示すように全体として箱状をし、
図3及び
図4に示すように後筐体551と前筐体552とを備え、後筐体551と前筐体552とに跨る部位に取手具553を備える。
後筐体551は、下部側に配水タンク用の開口551aを有し、その上部側に貫通孔551bを複数個備える、貫通孔551bは、フィルタ付きの前カバー554により覆われている。なお、
図4に見えている吸気口55aは、前カバー554の貫通孔である。前筐体552は、上壁部552aに排気口55bを有している。
筐体55は、排水タンク6の上部に除湿機能部1を支持する支持部555を内部に有する。筐体55の上壁556(
図1の(b)参照)は送風部Bを支持する。なお、筐体55の上壁部55cは、後筐体551の上壁551cと前筐体552の上壁部552aとで構成される。
【0047】
3.送風部
送風部Bは、
図1~
図4に示すように、送風機能部8と、送風機能部8を支持するベース部9とを備える。
(1)送風機能部
送風機能部8は、
図16に示すように、送風ファン81と、送風ファン81を駆動させる駆動モータ82と、送風ファン81と駆動モータ82とを収容する送風筐体83とを備える。
送風筐体83は、下筐体84と中筐体85と上筐体86とから構成され、駆動モータ82と送風ファン81は下筐体84に取り付けられている。
送風筐体83は、左右軸回りに回転可能にベース部9に支持される。下筐体84における上筐体86と反対側の面は、左右軸を中心軸とし且つ半径が一定な半円筒状をしている。これにより、
図2に示すように、ベース部9の膨出部分931aと下筐体84との距離は、送風機能部8が左右軸回りに回転しても、つまり、送風機能部8の向きに関係なく、一定となり、送風機能部8の向きによる送風能率の変動を小さくできる。
なお、下筐体84には吸気用の貫通孔84aが、上筐体86には排気用の貫通孔86aがそれぞれ設けられている。
【0048】
(2)ベース部
主に
図17及び
図18を用いて説明する。
ベース部9は、全体形状として箱状の上壁と前壁とに跨る凹入部を有するような形状をし、凹入部に送風機能部8が配される。
ベース部9は、除湿部Aに対して上下軸回りに回転する回転機構部91と、使用者が除湿部Aや送風部Bを操作するための操作部92とをベース本体部90(
図2参照)に有する。
【0049】
ベース本体部90は、ベースフレーム93、下ベース94、上カバー95、前カバー96、後カバー97、横カバー98を有している。
ベースフレーム93は、下水平部931と、下水平部931の左右両側から立設する一対の立設部932と、立設部932の上部側から下水平部931と平行に左右方向の外方へ延伸する上水平部933と、一対の立設部932の後側を連結する連結部934とを有している。一対に立設部932間に送風機能部8が配される。
【0050】
下水平部931は、後部側に形成され且つ上方へ膨出する膨出部分931aに回転機構部91の駆動モータ912(
図2参照)を収容し、収容蓋936から延出する回転駆動軸にピニオン913が設けられている。下水平部931における膨出部分931aよりも前側部分は、除湿機能部1の排気口55bに上方に位置し、排気口55bに連通する貫通孔931bが下水平部931に設けられている。
下水平部931の上面(膨出部分931aを含める)は、
図2に示すよう、後方上がりの傾斜面となっている。つまり、下水平部931の上面は、送風機能部8の下面に沿って傾斜している。これにより、下水平部931と送風機能部8とが近接することとなり、除湿された空気を効率よく送風できる。
膨出部分931aの上面の傾斜角は、膨出部分931aよりも前側部分の傾斜角よりも大きい。これにより、除湿された空気が後方に逃げるのを防止できる。
【0051】
下ベース94は、除湿部Aの筐体55の上壁部55cに固定される固定板部941と、固定板部941の上面に設けられ且つ回転機構部91のピニオン913と噛み合う固定ギア942と、ベースフレーム93から延出し且つ下ベース94と結合するためのボス部931c用の貫通溝943と、筐体55の排気口55bとベースフレーム93の下水平部931の貫通孔931bとを連通させる貫通孔944とを有している。
貫通溝943は回転可能な送風機能部8に合わせて円弧状している。ベースフレーム93のボス部931cは、貫通溝943を上側から貫通して下ベース94の下側でベースフレーム93が回転可能な状態で固定される。これにより、ベースフレーム93が下ベース94に回転可能に支持され、回転機構部91により回転する。
【0052】
上カバー95は、上水平部933の上面に配された操作部92を覆う。前カバー96は、一対の立設部932の前側であって左右方向の外側を覆う。後カバー97は、一対の立設部932の間であって後側を覆う。後カバー97は、送風機能部8側へと空気を供給するための貫通孔971を有している。横カバー98は下水平部931と上水平部933との間を左右両側から覆う。
【0053】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していていない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0054】
1.送風機能部
実施形態では、送風部Bを備えていたが、送風部を備えない除湿機でもよい。送風部Bを備える場合、制御部は、除湿機能部1の運転に合わせて送風機能部8を稼働させてもよいし、除湿機能部1が稼働していなくても送風機能部8だけを稼働させてもよい。
【0055】
2.整流部材
(1)位置
実施形態では、整流部材163をヒータケース内に備えていたが、ヒータケース外に備えてもよい。なお、実施形態のヒータケースは、ヒータ160を収容するケースであり、ヒータケース本体161とヒータケース蓋体162とから構成されている。
(1-1)例1
例えば、ヒータケースに送り込む空気(送風ユニットからの空気)を受け入れるケースと、当該ケースの下流側であってケースの流出口に対向する位置に受け入れ口を有するヒータケースとを備え、上流側のケースの流出口に整流部材を設けてもよい。つまり、実施形態の整流部材163の上流側と下流側とに独立したケースを設け、上流側のケースの流出口に整流部材を配置し、下流側のケースにヒータを収容する形態である。
(1-2)例2
例えば、ヒータケースに送り込む空気(送風ユニットからの空気)を受け入れると共にヒータを収容するヒータケースと、当該ヒータケースの下流側であって加熱された空気を受け入れるケースとを備え、下流側のケースに整流部材を設けてもよい。この場合、整流部材は、下流側のケースの受入口付近、流出口付近、受入口と流出口との間の何れかに1箇所配してもよいし、受入口付近、流出口付近、中間の少なくとも2箇所に配してもよい。
(1-3)例3
上記の例1と例2を組み合わせ、中央にヒータを収容するケースと、ヒータを収容するケースの上流側に配される上ケースと、ヒータを収容するケースの下流側に配される下ケースとの3つのケースを有し、上ケースと下ケースに整流部材を備えてもよい。この場合、整流部材は、同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0056】
(2)構造
実施形態では、ヒータケース本体161内に収容される整流部材163は、ヒータケース本体161の流入口161dから流入する空気の進行方向と平行な状態で配されていたが、整流部材を板状とし、ヒータケース本体161に流入する空気の進行方向と直交する状態で配されてもよいし、進行方向と交差する状態で配されてもよい。
【0057】
(3)形状
実施形態の貫通孔は、円形状をしていたが、矩形状、方形状、三角形等の多角形、楕円、長円、星形状等の他の形状であってもよいし、これらの形状を組み合わせてもよい。
実施形態の貫通孔は、すべて円形状であったが、円形状と上記の他の形状とから選択された2種類以上の形状であってもよい(例えば、円形状と方形状の2種類である)し、上記の他の形状から選択された2種類以上の形状であってもよい(例えば、方形状、三角形及び五角形の3種類である)。
【0058】
(4)開口面積(開口率)
実施形態では、大きさの異なる貫通孔163c~163fを用いて、整流部材の上流側領域の開口面積を下流側領域の開口面積よりも大きくしている。しかしながら、他の方法で開口面積を大きくしてもよい。
例えば、貫通孔の形状と大きさを全て同じにし、貫通孔を設ける密度を変えることで実施してもよい。また、貫通孔の形状の相違による面積の違いを利用して、密度を同じにし、場所によって貫通孔の形状を変えることで実施してもよい。
【0059】
3.ヒータ
(1)構造
実施形態では、ニッケル・クロム線や鉄・クロム線を利用した線状タイプを利用し、周方向の両端が折り返されたジグザグ状をしているが、例えば、径方向の両端で折り返したジグザグ状であってもよいし、渦巻き状であってもよい。
(2)実施形態では、2本のヒータ160a,160bを備えていたが、2本のヒータに着目しない場合、1本のヒータを利用してもよい。この場合、例えば、除湿モードによって印加電力の設定を切り替えて対応してもよい。
(3)実施形態では、除湿ローター11に近い側のヒータ(下ヒータ160b)の出力が、除湿ローター11に遠い側のヒータ(上ヒータ160a)の出力より大きくしているが、除湿運転のヒータの設定によっては、近い側のヒータの出力を遠い側のヒータの出力よりも小さくしてもよいし、同じにしてもよい。
【0060】
4.制御部
(1)実施形態では、除湿弱モードが選択されると、制御部は、例えば1時間毎に除湿ローター11が少なくとも1回転する時間、下ヒータ160bをオンしていたが、例えば、除湿弱モードの終了に合わせて、所定時間(例えば、1時間程度、)、下ヒータ160bをオンしてもよいし、除湿モードの運転に関係なく、自動的に、1日又は数日(2、3日)に1~2時間、少なくとも下ヒータ160bをオンしてもよい。これにより、除湿ローターが吸着した有機物を揮発させることができる。
(2)実施形態では、除湿弱モードの際に下ヒータ160bをオンするように清書しているが、例えば、使用者が操作部92の操作により、有機物を揮発させるようにしてもよい。つまり、除湿機は、有機物を揮発させる揮発モードを除湿モードやクーリングモードと別に備えてもよい。
(3)実施形態では、除湿弱モードが選択されると、制御部は下ヒータ160bを所定時間オンしていたが、例えば、所定時間だけ、上ヒータ160aの印加電力を有機物が揮発する温度以上に高めてもよい。また、揮発モードを設ける場合、下ヒータ160bをオンしてもよいし、上ヒータ160aの印加電力を高めてもよい。
【0061】
5.熱交換ユニット
実施形態の樹脂パイプ21は、例えばPP(ポリプロピレン)樹脂を利用していたが、樹脂材料に熱交換促進成分を添加してもよい。なお、樹脂パイプ21は、例えば、押出成形により製造される。つまり、樹脂パイプ21は押出成形品である。
熱交換促進成分は、樹脂パイプを構成する樹脂材料(PP樹脂)よりも熱伝導率が高い材料により構成される。熱交換促進成分として、例えば、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム等の金属粒子やこれら複数種類を組み合わせたものを利用でき、軽量化の観点からアルミニウム粒子が好ましい。なお、熱交換促進成分は、複数種類の金属粒子又は金属酸化物を含んでいても良い。
熱交換促進成分の添加率は、30~50%(重量%)の範囲が好ましく、35~45%(重量%)の範囲が好ましい。粒子径は、樹脂パイプ21の板厚の1/100倍の粒径としても良いが、この実施例に何ら限定されるものではない。
これにより、樹脂パイプの熱伝導率が向上して、熱交換率が向上し、結果的に、除湿量を増やすことができる。
【0062】
6.流路体
実施形態の流路体27は、熱交換ユニット20と加熱器16とをつなぐ流路26を有していたが、加熱器16に流入する空気の流れを調整する流れ調整部を有してもよい。
調整部を有する流路体について、主に
図19及び
図20を用いて説明する。
【0063】
流路体1027は、複数の部材から構成され、ここでは、第1部材271と第2部材1273とを有する。第1部材271は実施形態で説明した通りである。つまり、ここでは、流れ調整部は第2部材1273に設けられている。
なお、第2部材1273において、実施形態と同じ名称及び符号を用いる場合は、その構成は実施形態で説明した構成と同じであり、その説明を省略する場合がある。
第2部材1273は、
図20に示すように、第1部材271の第1板状部271a(
図13参照)の上端を除く周辺部と当接する第2板状部273aと、第2板状部273aから第1部材271と反対側に凹入する凹入部1273bとを有し、凹入部1273bに流れ調整部1273hが設けられている。なお、実施形態の第1部材271と第2部材273とを前後に反転させて、板状の第1部材に流れ調整部を設けるようにしてもよい。
第2部材1273は、実施形態で説明した第2部材273に対して流れ調整部1273hが設けられたものである。なお、凹入部1273bは収容部分273d、流路部分273eを有している。第2板状部273aは、第1板状部271aの離間部分271cに対応して凹入部分273fを有している。
【0064】
凹入部1273bは、
図20に示すように、底壁部分1273jと一対の側壁部分1273kとを有している。底壁部分1273jは第1部材271と略平行に設けらている。換言すると、底壁部分1273jは第1部材271と対向している。
流れ調整部1273hは、凹入部1273bの底壁部分1273j側に設けられている。なお、底壁部分1273jは、
図19の(a)に示すように、加熱器16内の整流部材163が配されている側である。
流れ調整部1273hは、底壁部分1273jから第1部材271に向かって板状に延伸する起立壁により構成される。流れ調整部1273hにおける側壁部分1273k側の端が側壁部分1273kと連結してもよいし、連結しなくてもよい。ここでは、側壁部分1273k側の端部は側壁部分1273kと連結している。これにより、流路1026内の空気が幅方向(一対の側壁部分1273kと直交する方向)に安定した状態で流れる。また、連結することで、流れ調整部1273hを補強できる。
第2部材1273は樹脂材料により構成され、流れ調整部1273hは、凹入部1273bと一体に設けられるため、一体成形品として容易に実施できる。なお、流れ調整部を別体として、第1部材271又は第2部材273に取り付けるようにしてもよい。
【0065】
流れ調整部1273hの延伸先端は、
図19の(a)に示すように、整流部材163から送風器28側(図において下方側)に延伸させた仮想線L1の近傍に達する。ここでの近傍は、仮想線L1を超える場合、仮想線L1に一致する場合、仮想線L1を超えない場合を含む。これにより、流路1026を流れる空気が、そのまま、整流部材163とヒータ収容部161aの底壁部分161e(正確には断熱部材165)との間に流入するのを抑制できる。この結果、ヒータ収容部161aに流入した空気が、外周壁部分161gの流入奥側に偏るのを防止でき、整流部材163の貫通孔163c~163fを通過する空気量が全領域で均等化し、加熱温度のバラつきを小さくできる。
また、流れ調整部1273hを設けることで、整流部材163から供給され且つヒータ160を通過する空気の流速が遅くなり、効率よく加熱されることとなる。
【0066】
流れ調整部1273hは、流路1026における下流側、つまり、加熱器16側の開口(流出口)側にある。これにより、効果的に流れを調整できる。流路1026は、中間部分1026aが、除湿ローター11と離間し、その下流側(加熱器16側)部分は除湿ローター11側に再び近接している。流れ調整部1273hは、中間部分1026aの下流側であって中間部分1026a側に設けられている。これにより、流れ調整部1273hの延伸端と、延伸方向に対向する第1部材271との間隔を小さくでき、流路1026の中間部分1026aを流れる空気の勢い(速度)を効率よく弱めることができる。
板状の流れ調整部1273hは、厚みが1~10mmの範囲が好ましく、底壁部分1273jからの延伸量(本体部分1273mである)が3~15mmの範囲が好ましい。この範囲とすることで、空気の流れを効果的に変更できる。
図19の(a)に示すように、流路1026の中間部分1026aを構成する第2部材1273の底壁部分1273jから流れ調整部1273hの延伸端までの距離D4は、流路1026の中間部分1026aの底壁部分1273jと第1部材271との間隔D5の略半分である。ここでの略半分とは、半分の値に対して、0.7~1.3倍の範囲内にあることをいう。
流路1026の中間部分1026aを構成する第2部材1273の底壁部分1273jから流れ調整部1273hの延伸端までの距離D4は、加熱器16における断熱部材165と整流部材163との距離D6に略等しい。ここでの略等しいとは、等しい値に対して、0.7~1.3倍の範囲内にあることをいう。
【0067】
図19の(b)に示すように、流れ調整部1273hと、整流部材163の流入口側の端縁163hとの距離D7は、流れ調整部1273hの底壁部分1273jからの延伸方向と直交する方向の距離D8に対して、略70%である。ここでの略70%とは、70%の値に対して、0.7~1.3倍の範囲内にあることをいう。これにより、流れ調整部1273hによる流れの調整が、加熱器16の流入口の略全範囲で可能となる。
【0068】
流れ調整部1273hは、
図20の(b)及び(c)に凹入部1273bの底壁部分1273jから延伸量が略一定な本体部分1273mと、本体部分1273mに対して側壁部分1273kの少なくとも一方側の端部からさらに第1部材271側に延伸する延伸部1273nとを有する。これにより、流れ調整部1273hを補強できる。
【0069】
6.その他
実施形態の除湿機には、整流部材に関する特徴、除湿ローターの有機物の堆積を従来品よりも規制できるヒータの配置と出力に関する特徴、除湿ローターの有機物を揮発させる制御部に関する特徴、熱効率を従来品よりも高めることできるレシーバの反射部材に関する特徴、除湿ローターの温度を早く下げて従来品よりも吸着効率を高めることができる除湿ローターと送風ユニットに関する特徴、レシーバ内に貯留する結露水を従来品よりも低減することができるレシーバ及び排水路に関する特徴、吸排ユニットの駆動モータの温度上昇を従来品よりも低減することができる駆動モータに関する特徴、送風機能部の向きに関係なく送風効率を一定にすることができる送風機能部に関する特徴、シール性を従来よりも高めてエア漏れや水漏れを従来よりも抑制できる熱交換ユニットに関する特徴、本項目で挙げていない他の特徴等が記載されている。
これら特徴の少なくとも1つに着目する除湿機の場合、着目する特徴以外の他の特徴を有してもよいし、有さなくてもよい。
【0070】
X 除湿機
1 除湿機能部
11 除湿ローター
16 加熱器
17 レシーバ
20 熱交換ユニット(冷却器)
25 送風ユニット(送風器)
163 整流部材