(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20240902BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20240902BHJP
F24H 1/54 20220101ALI20240902BHJP
F24H 15/215 20220101ALI20240902BHJP
F24H 15/258 20220101ALI20240902BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20240902BHJP
F24H 15/36 20220101ALI20240902BHJP
F24H 15/457 20220101ALI20240902BHJP
【FI】
F24H15/196 301H
F24H1/14 B
F24H1/54 303E
F24H15/215
F24H15/258
F24H15/269
F24H15/36
F24H15/457
(21)【出願番号】P 2020181292
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 武司
(72)【発明者】
【氏名】太田 剛
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-149621(JP,A)
【文献】特開2011-141101(JP,A)
【文献】特開2016-109362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/10-1/16,1/54,15/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から導入される水を通す通水管と、
ガスを燃焼させるバーナと、
前記通水管の一部を通る水に対し、前記バーナで生じた熱を伝達する熱交換器と、
を有し、
前記熱交換器で加熱された水を浴槽に供給する動作を少なくとも行う給湯装置であって、
前記通水管内の水温の情報又は前記通水管内の水温に影響を及ぼす要素の情報のいずれかを含む温度関連情報を取得する取得部と、
前記通水管内の水を前記浴槽に供給する供給部と、
前記バーナ及び前記供給部の動作を制御する制御部と、
を有し、
前記取得部は、インターネットを介して外部から外気温の情報を含む気象データを断続的に取得し、
前記温度関連情報は、前記外気温の情報を含み、
前記制御部は、前記バーナに燃焼を行わせない状態で前記供給部に前記通水管の水を前記浴槽に供給させる制御を、前記温度関連情報が前記通水管内の水温の上昇を示す所定条件を満たす毎に繰り返し行
い、
前記所定条件は、前記通水管内の水が外部に供給されない状態で前記外気温が閾値温度以上となっている状態が所定時間以上継続したことを条件として含む
給湯装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記バーナに燃焼を行わせない状態で前記供給部に基準水量の前記通水管の水を前記浴槽に供給させる制御を、前記温度関連情報が前記所定条件を満たす毎に繰り返し行う
請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
外部から導入される水を通す通水管と、
ガスを燃焼させるバーナと、
前記通水管の一部を通る水に対し、前記バーナで生じた熱を伝達する熱交換器と、
を有し、
前記熱交換器で加熱された水を浴槽に供給する動作を少なくとも行う給湯装置であって、
前記通水管内の水温の情報又は前記通水管内の水温に影響を及ぼす要素の情報のいずれかを含む温度関連情報を取得する取得部と、
前記通水管内の水を前記浴槽に供給する供給部と、
前記バーナ及び前記供給部の動作を制御する制御部と、
筐体と、
前記熱交換器を含む給湯側回路と、
前記給湯側回路から分岐した配管を有する風呂側回路と、
を有し、
前記筐体内に前記給湯側回路と前記風呂側回路とが収容され、
前記制御部は、前記バーナに燃焼を行わせない状態で前記供給部に基準水量の前記通水管の水を前記浴槽に供給させる制御を、前記温度関連情報が前記通水管内の水温の上昇を示す所定条件を満たす毎に繰り返し行い、
前記通水管は、前記給湯側回路に設けられる第1通水管と、前記風呂側回路に設けられる第2通水管と、を備え、
前記基準水量は、前記第1通水管の保有水量である第1水量と、前記第2通水管の保有水量である第2水量と、前記第1通水管に通じる配管であって前記筐体の外側に設けられる第3通水管の保有水量である第3水量と、に基づいて定められ、
前記給湯側回路及び前記風呂側回路の動作に基づいて前記第1水量と前記第2水量の和を算出する水量算出部を有する
給湯装置。
【請求項4】
外部から導入される水の温度を検出する入水温検出部と、
当該給湯装置が非出湯状態から出湯状態に移行したときから前記入水温検出部による検出温度が所定温度低下するまでの時間に基づいて前記第3水量を算出する第3水量算出部と、
を有する
請求項3に記載の給湯装置。
【請求項5】
外部から導入される水を通す通水管と、
ガスを燃焼させるバーナと、
前記通水管の一部を通る水に対し、前記バーナで生じた熱を伝達する熱交換器と、
を有し、
前記熱交換器で加熱された水を浴槽に供給する動作を少なくとも行う給湯装置であって、
前記通水管内の水温の情報又は前記通水管内の水温に影響を及ぼす要素の情報のいずれかを含む温度関連情報を取得する取得部と、
前記通水管内の水を前記浴槽に供給する供給部と、
前記バーナ及び前記供給部の動作を制御する制御部と、
筐体と、
前記熱交換器を含む給湯側回路と、
前記給湯側回路から分岐した配管を有する風呂側回路と、
を有し、
前記制御部は、前記バーナに燃焼を行わせない状態で前記供給部に基準水量の前記通水管の水を前記浴槽に供給させる制御を、前記温度関連情報が前記通水管内の水温の上昇を示す所定条件を満たす毎に繰り返し行い、
前記筐体内に前記給湯側回路と前記風呂側回路とが収容され、
前記通水管は、前記給湯側回路に設けられる第1通水管と、前記風呂側回路に設けられる第2通水管と、を備え、
前記基準水量は、前記第1通水管の保有水量である第1水量と、前記第2通水管の保有水量である第2水量と、前記第1通水管に通じる配管であって前記筐体の外側に設けられる第3通水管の保有水量である第3水量と、に基づいて定められ、
更に、
外部から導入される水の温度を検出する入水温検出部と、
当該給湯装置が非出湯状態から出湯状態に移行したときから前記入水温検出部による検出温度が所定温度低下するまでの時間に基づいて前記第3水量を算出する第3水量算出部と、
を有する給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、消費エネルギーの低減を図り得る給湯器が開示されている。特許文献1に開示される給湯器は、給水制御手段を備える。この給水制御手段は、予約設定手段により予約時刻および予約温度が設定された以降、予約時刻が到来する前に、通水路を介した浴槽への非加熱での給水を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給湯器では、予約運転における予約時刻が到来する前に、浴槽への給水が非加熱で行われるため、外気温度が高ければ、非加熱での給水によって浴槽内に貯留された水に対して外気の熱が伝達され、貯留水の温度が上昇する。この給湯器は、浴槽内の水を適温にするために費やすエネルギーの一部を自然エネルギーによって賄うことができるため、消費するガスエネルギーの低減を図ることができる。しかし、単に非加熱で給水を行うだけでは、外気に基づく熱を効率的に利用できない場面が生じる懸念がある。例えば、浴槽が断熱性に優れた構造を採用している場合、外気からの熱が浴槽内の貯留水に伝達されにくく、非加熱で貯留された水の温度を効率的に上昇させにくい。また、このような場面以外でも、外気に基づく熱を効率的に利用できない場合は想定される。
【0005】
そこで、本開示では、バーナを燃焼させずに、より高い温度の水を浴槽に繰り返し供給し得る給湯装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである給湯装置は、
外部から導入される水を通す通水管と、
ガスを燃焼させるバーナと、
前記通水管の一部を通る水に対し、前記バーナで生じた熱を伝達する熱交換器と、
を有し、
前記熱交換器で加熱された水を浴槽に供給する動作を少なくとも行う給湯装置であって、
前記通水管内の水温の情報又は前記通水管内の水温に影響を及ぼす要素の情報のいずれかを含む温度関連情報を取得する取得部と、
前記通水管内の水を前記浴槽に供給する供給部と、
前記バーナ及び前記供給部の動作を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記バーナに燃焼を行わせない状態で前記供給部に前記通水管の水を前記浴槽に供給させる制御を、前記温度関連情報が前記通水管内の水温の上昇を示す所定条件を満たす毎に繰り返し行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る給湯装置は、バーナを燃焼させずに、より高い温度の水を浴槽に繰り返し供給し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る給湯装置の外観を例示する正面図である。
【
図2】
図2は、
図1の給湯装置の内部構成を概念的に例示する概略回路図である。
【
図3】
図3は、
図1、
図2の給湯装置を構成するコントローラ及びリモートコントローラの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の給湯装置で行われる供給制御の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明は、給湯装置の実施形態の一例に関する。なお、以下で示される〔1〕~〔7〕の特徴は、矛盾しない態様でどのように組み合わされてもよい。
【0010】
〔1〕外部から導入される水を通す通水管と、
ガスを燃焼させるバーナと、
前記通水管の一部を通る水に対し、前記バーナで生じた熱を伝達する熱交換器と、
を有し、
前記熱交換器で加熱された水を浴槽に供給する動作を少なくとも行う給湯装置であって、
前記通水管内の水温の情報又は前記通水管内の水温に影響を及ぼす要素の情報のいずれかを含む温度関連情報を取得する取得部と、
前記通水管内の水を前記浴槽に供給する供給部と、
前記バーナ及び前記供給部の動作を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記バーナに燃焼を行わせない状態で前記供給部に前記通水管の水を前記浴槽に供給させる制御を、前記温度関連情報が前記通水管内の水温の上昇を示す所定条件を満たす毎に繰り返し行う
給湯装置。
【0011】
上記〔1〕の給湯装置は、バーナに燃焼を行わせない状態で通水管の水を浴槽に供給する動作を、通水管内の水温の上昇を示す所定条件が満たされる毎に繰り返し行うことができる。この給湯装置は、通水管内の水温の上昇を示す条件が満たされる毎に通水管の水を非加熱(バーナの燃焼を行わない状態)で供給するため、ガスエネルギーを消費せずに、より高い温度の水を繰り返し浴槽に供給することができる。よって、ガスエネルギーの削減を図りつつ、湯張りを行うことができる。
【0012】
〔2〕上記〔1〕に記載の給湯装置において以下の特徴を有する。上記温度関連情報は、外気温の情報を含む。上記所定条件は、上記通水管内の水が外部に供給されない状態で上記外気温が閾値温度以上となっている状態が所定時間以上継続したことを条件として含む。
【0013】
上記〔2〕の給湯装置は、バーナに燃焼を行わせない状態で通水管の水を浴槽に供給する動作を、「通水管内の水が外部に供給されない状態で外気温が閾値温度以上となっている状態が所定時間以上継続する」という条件が満たされる毎に繰り返し行うことができる。この給湯装置は、通水管が外気温によって所定時間以上温められたことを確実に確認した上で、通水管の水を非加熱(バーナの燃焼を行わない状態)で浴槽に供給することができる。よって、水温の低い状態で非加熱供給動作が行われることを抑制することができ、温かい水が繰り返し供給されやすくなる。
【0014】
例えば、夏期のように外気温が十分に高い場合においては、断熱性の高い浴槽内の水よりも通水管のほうが外気によって加熱されやすく、内部の水温が上昇しやすい。従って、外気温が反映された通水管の水を浴槽に供給すれば、バーナを燃焼させずとも、より温度の高い水を浴槽に供給しやすくなる。しかも、外気温が高い場合、非加熱での供給後に通水管内に冷水が再度貯留された場合、この冷水も再び加熱されやすいため、貯留後の冷水の温度も上昇しやすい。このように加熱されやすい通水管内の水を繰り返し浴槽に供給すれば、バーナを燃焼させずともより温度の高い水をより多く浴槽に供給しやすくなる。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕に記載の給湯装置において以下の特徴を有する。上記温度関連情報は、上記通水管に入り込む水の入水温の情報を含む。上記所定条件は、上記入水温が所定値以上となっていることを条件として含む。
【0015】
上記〔3〕の給湯装置は、バーナに燃焼を行わせない状態で通水管の水を浴槽に供給する動作を、入水温が所定値以上になったことを確認した上で行うことができる。よって、水温の低い状態で非加熱供給動作が行われることを抑制することができ、温かい水が繰り返し供給されやすくなる。
【0016】
〔4〕上記〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載の給湯装置において以下の特徴を有する。上記制御部は、上記バーナに燃焼を行わせない状態で上記供給部に基準水量の上記通水管の水を上記浴槽に供給させる制御を、上記温度関連情報が上記所定条件を満たす毎に繰り返し行う。
【0017】
上記〔4〕の給湯装置は、上記の所定条件を満たす毎に基準水量の通水管の水を供給するため、条件成立時に供給される水の温度のばらつきを抑えやすい。
【0018】
〔5〕上記〔4〕の給湯装置において以下の特徴を有する。〔5〕の給湯装置は、筐体と、上記熱交換器を含む給湯側回路と、上記給湯側回路から分岐した配管を有する風呂側回路と、を有する。上記筐体内に上記給湯側回路と上記風呂側回路とが収容される。上記通水管は、上記給湯側回路に設けられる第1通水管と、上記風呂側回路に設けられる第2通水管と、を備える。上記基準水量は、上記第1通水管の保有水量である第1水量と、上記第2通水管の保有水量である第2水量と、上記第1通水管に通じる配管であって上記筐体の外側に設けられる第3通水管の保有水量である第3水量と、に基づいて定められる。
【0019】
上記〔5〕の給湯装置は、予め定められた位置の通水管(第1通水管、第2通水管、第3通水管)の保有水量に基づいて条件成立時の供給水量(基準水量)を定めることができるため、条件成立時に供給される水の温度がより一層安定化しやすい。
【0020】
〔6〕上記〔5〕の給湯装置において、更に、上記給湯側回路及び上記風呂側回路の動作に基づいて上記第1水量と上記第2水量の和を算出する水量算出部を有する。
【0021】
上記〔6〕の給湯装置は、給湯側回路及び風呂側回路の動作に基づいて第1水量と第2水量の和を算出することができるため、コストを抑制しやすく且つ汎用性を高めやすい。
【0022】
〔7〕上記〔5〕又は〔6〕の給湯装置において、更に、外部から導入される水の温度を検出する入水温検出部と、当該給湯装置が非出湯状態から出湯状態に移行したときから上記入水温検出部による検出温度が所定温度低下するまでの時間に基づいて上記第3水量を算出する第3水量算出部と、を有する。
【0023】
上記〔7〕の給湯装置は、給湯装置の外部に存在する水をどの程度用いるべきかを、入水温に基づいて決定することができる。
【0024】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に関する。
(基本構成)
図1、
図2に示される給湯装置1は、熱交換器6,56で加熱された水を浴槽60に供給する動作を少なくとも行う装置であり、浴槽60へ湯を供給する機能と浴槽60内の水を循環させつつ加熱する機能とを備えた風呂・給湯システムとして構成されている。給湯装置1は、
図1のような外観をなす。給湯装置1は、
図2のような構成をなし、主に、給湯側回路2と風呂側回路3とを備える。
図1、
図2のように、給湯装置1は、筐体5と、熱交換器6を含む給湯側回路2と、給湯側回路2から分岐した配管(落とし込み管70)を有する風呂側回路3と、を有する。
図1、
図2のように、給湯装置1は、筐体5内に給湯側回路2及び風呂側回路3が収容される。
【0025】
図2のように、給湯側回路2は、給湯側通水路、ガスバーナ4、熱交換器6などを備える。給湯側回路2は、外部から供給された水道水を加熱し出湯させる回路として機能する。風呂側回路3は、風呂側通水路、ガスバーナ54、熱交換器56、循環ポンプ62、サーミスタ64,65などを備える。風呂側回路3は、湯張りの際の循環加熱、風呂の追い炊き等に利用される。
【0026】
給湯側回路2では、入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10によって構成される管路が上記の給湯側通水路として機能する。入水管12は、水入口16からの水が流れ込む流路(管路)である。出湯管10は、出湯口18へ湯を送り出す流路(管路)である。ガスバーナ4は、バーナの一例に相当する。ガスバーナ4は、給湯側バーナとして機能し、燃焼ガスを燃焼させて燃焼排気を発生させる。熱交換器6は、給湯側熱交換器として機能する。熱交換器6は、給湯側通水路(入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10によって構成される管路)を通る水に対してガスバーナ4で生じた熱を伝達して湯を沸かす部分である。熱交換器6は、給湯側通水路の途中の位置に設けられ、給湯側通水路の内部を通る水に対してガスバーナ4での燃焼によって生じた熱を伝える。熱交換器6は、一次熱交換器7及び二次熱交換器8を備える。一次熱交換器7は、給湯燃焼室90内においてガスバーナ4の燃焼排気経路の上流側に配置されている。二次熱交換器8は、給湯燃焼室90内において燃焼排気経路の下流側に配置されている。
【0027】
給湯側回路2において、二次熱交換器8の入口には、水道水を供給する構成で入水管12が接続されている。入水管12には、入水管12を通る水の温度(具体的には、通水管内における熱交換器よりも上流側の位置であって且つ水入口16よりも下流側の位置の水温)を検出するサーミスタ25と、入水管12内の通水量(即ち、通水管を流れる水の量)を検出する水量検出部としての水量センサ34とが設けられている。サーミスタ25は、入水温検出部の一例に相当し、外部から導入される水の温度を検出する機能を有する。入水管12の下流側には、二次熱交換器8の伝熱管8aが接続され、更にその下流側には、二次熱交換器8の伝熱管8aと一次熱交換器7の伝熱管7aとを連結する配管20が接続される。この配管20に連結された構成で一次熱交換器7の伝熱管7aが接続され、一次熱交換器7の出口には、一次熱交換器7で加熱された湯を出湯する構成で出湯管10が接続されている。出湯管10には、出湯管10内の水の温度を検出するサーミスタ26が設けられている。本構成では、給湯側通水路及び風呂側通水路が「外部から導入される水を通す通水管」の一例に相当する。これらのうち、入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10からなる給湯側通水路は、第1通水管の一例に相当し、給湯側回路2に設けられる通水路として機能する。一方、落とし込み管70及び配管66からなる風呂側通水路は、第2通水管の一例に相当し、風呂側回路3に設けられる第2通水管として機能する。
【0028】
熱交換器6は、給湯側通水管の一部を通る水に対し、ガスバーナ4で生じた熱を伝達する。熱交換器6は、一次熱交換器7及び二次熱交換器8を備える。熱交換器6は、一次熱交換器7によって燃焼排気の顕熱を回収した後、二次熱交換器8によって潜熱を回収するように機能する。一次熱交換器7は、一次熱交換器7内の通水経路となる伝熱管7aを備えており、伝熱管7a内を通る水に対してガスバーナ4で発生した燃焼排気に含まれる燃焼熱を伝熱し、顕熱の熱エネルギーを通水に伝達する形で熱交換する。二次熱交換器8は、二次熱交換器8内の通水経路となる伝熱管8aを備えており、伝熱管8a内を通る水に対し、ガスバーナ4で発生した燃焼排気が一次熱交換器7を通過した後の燃焼熱を伝熱し、潜熱の熱エネルギーを通水に伝達するように熱交換する。
【0029】
入水管12と出湯管10との間をバイパスする通水経路として、熱交換器6とは異なる通水経路として構成されたバイパス路14が設けられている。バイパス路14には、バイパス路14の通水を遮断した閉塞状態と、この閉塞状態よりも開度を増大させた開放状態とに移行可能なバイパス弁32が設けられている。入水管12において、バイパス路14が連結する分岐位置よりも上流側には、通水量制御弁33が設けられている。通水量制御弁33は、コントローラ22からの指示を受けて駆動軸の回転角度が制御されるモータを備え、入水管12を閉塞状態と全開状態との間で様々な開度に連続的に変更できる構成となっている。本構成では、通水量制御弁33が、通水管を流れる水の量を調節するように機能する。
【0030】
ガスバーナ4へのガスの供給を行うガス管40には、上流側からガス元電磁弁42、給湯ガス比例制御弁44、各ガスバーナ4への分岐管ごとの給湯切替電磁弁46,46・・が夫々設けられている。また、給湯燃焼室90の下方には、燃焼用空気を各ガスバーナ4及びガスバーナ54へ供給するファン48が設けられている。ガスバーナ54に接続されるガス管からの分岐管には、切替電磁弁53が設けられている。給湯ガス比例制御弁44、給湯切替電磁弁46は、ガスバーナ4へのガス量を調整するように機能する。
【0031】
風呂側回路3において、配管66は、浴槽60側からの水を熱交換器56側へと導くための配管67と、熱交換器56側からの水を浴槽60側へと導くための配管68と、配管67と配管68とに連結されて熱交換器56内を通る中間配管69とを備える。配管66は、一端側及び他端側が浴槽60内に連通するとともに浴槽60から出た水を通過させて浴槽60内に戻す経路として構成される。配管66は、例えば追い炊き動作時や沸かしあげ動作時に浴槽60から引き込まれる水を配管67によって熱交換器56に導き、この熱交換器56を通過した水を配管68によって浴槽60に導くように循環させる経路となっている。ガスバーナ54は、風呂側バーナとして機能し、燃焼ガスを燃焼させて燃焼排気を発生させる。熱交換器56は、風呂側通水管の一部を通る水(具体的には、配管66を通る水)に対し、ガスバーナ54で生じた熱を伝達する。熱交換器56は、一次熱交換器57と二次熱交換器58とを備え、配管66を通る水に対してガスバーナ54で生じた熱を伝達するように機能する。
【0032】
配管67は、浴槽60と二次熱交換器58との間に配置されており、配管67には、循環ポンプ62と配管67を通る水の温度を検出するサーミスタ64(風呂サーミスタ)とが設けられている。サーミスタ64は、浴槽60から排出される水の水温(即ち、浴槽60内の水温)を検出するように機能する。循環ポンプ62は、配管66内の水を流動させる装置であり、浴槽60側から水を引き込み、引き込んだ水を熱交換器56側に向けて排出するように機能する。
【0033】
配管68は、一次熱交換器57と浴槽60との間に配置される。配管68には、出湯管10から分岐された落とし込み管70が接続されており、落とし込み管70から供給される湯水が配管68に流れ込む構成をなす。落とし込み管70には、給湯用電磁弁72及び落とし込み水量センサ74が設けられている。落とし込み管70に設けられた給湯用電磁弁72を開弁させることで、給湯側回路2で加熱された湯を浴槽60へ供給することが可能となっている。落とし込み水量センサ74は、落とし込み管70を介して浴槽60へと供給される供給水量を検出する機能を有する。
【0034】
落とし込み管70は、給湯側回路2の給湯側通水路から風呂側回路3の配管66(循環路)へと湯を通す経路となっている。落とし込み管70は、出湯管10より分岐するとともに配管67に連通し、給湯側通水路を通って熱交換器6で加熱された水を浴槽60に導くように機能する。
【0035】
図2のように、給湯装置1には、コントローラ22が設けられる。
図3のように、コントローラ22は、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御部22Aと、公知の半導体メモリ等として構成されるメモリ22Bと、外部との通信を行うためのインタフェースとして構成される通信部22Cとを備える。コントローラ22は、給湯側回路2や風呂側回路3に設けられた様々なセンサからの信号を取得可能に構成され、給湯側回路2や風呂側回路3に設けられた様々なアクチュエータを制御し得る。本構成では、コントローラ22、給湯用電磁弁72及び落とし込み水量センサ74が供給部の一例に相当し、通水管内の水を浴槽に供給する動作を行うように機能する。更に、コントローラ22は、制御部の一例に相当し、ガスバーナ4,54(バーナ)及び上記供給部の少なくとも一部の動作を制御する。
【0036】
また、コントローラ22は、インターネット等の通信網を介して給湯装置1の外部に設けられた外部装置と通信可能に構成されており、外部装置から情報を取得し得る構成をなす。本構成では、コントローラ22は、取得部の一例に相当し、温度関連情報を取得する機能を有する。また、コントローラ22は、外気温情報取得部の一例に相当し、給湯装置1の外部から外気温に関する情報を取得する機能を有する。
【0037】
図3のように、複数のリモートコントローラ80は、コントローラ22と通信し得る構成で配置される。
図2、
図3の例では、複数のリモートコントローラ80として、浴室内に設けられる第1リモートコントローラ81と、浴室とは異なる場所(例えば台所等)に設けられる第2リモートコントローラ82とが設けられる。
【0038】
図3のように、第1リモートコントローラ81は、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御部81Aと、液晶表示装置等として構成される表示部81Bと、押圧ボタン等の公知のスイッチが複数設けられてなる操作部81Cと、コントローラ22や第2リモートコントローラ82と通信を行う通信部81Dと、音声を出力するスピーカなどからなる音声出力部81Eとを備える。操作部81Cは、複数の操作部によって構成されており、浴槽60への湯張りを指示する入力操作(自動湯張りを指示する入力操作や省エネルギー湯張りを指示する入力操作)、湯張りを予約する入力操作、上述した付加機能のオンオフ状態を切り替える入力操作などに用いられる。
【0039】
第2リモートコントローラ82も同様であり、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御部82Aと、液晶表示装置等として構成される表示部82Bと、押圧ボタン等の公知のスイッチが複数設けられてなる操作部82Cと、第2リモートコントローラ82で生成された信号等をコントローラ22に伝達するための通信部82Dと、音声を出力するスピーカなどからなる音声出力部82Eとを備える。第2リモートコントローラ82は第1リモートコントローラ81と同様の構成、或いは簡略化された構成をなし、第1リモートコントローラ81と同様の設定が可能である。両リモートコントローラ80は、オンオフ状態が連動するようになっている。両リモートコントローラ80において、一方で設定された内容は、相互に反映される。
【0040】
(供給制御)
コントローラ22は、例えば
図4のような流れで浴槽60への供給制御を行う。
図4の供給制御は、給湯装置1において所定モードの設定(具体的には省エネ湯張りモードの設定)がなされた場合にコントローラ22によって開始され、上記所定モードの設定がなされている間に繰り返し実行される制御である。コントローラ22は、例えば、第1リモートコントローラ81や第2リモートコントローラ82に対して所定の設定操作(例えば、1以上の所定ボタンに対する所定の押圧操作等)がなされた場合に給湯装置1の動作モードを上記所定モード(省エネ湯張りモード)に設定する。そして、コントローラ22は、給湯装置1の動作モードを上記所定モード(省エネ湯張りモード)に設定した場合には、その設定後に、
図4の供給制御の実行を開始する。コントローラ22は、給湯装置1の動作モードを上記所定モード(省エネ湯張りモード)に設定している場合、
図4の供給制御を繰り返し実行する。コントローラ22は、所定の解除条件が成立した場合(例えば、自動湯張りモードなどの他のモードに設定する条件が成立した場合)に上記所定モード(省エネ湯張りモード)を解除する。なお、コントローラ22は、第1リモートコントローラ81や第2リモートコントローラ82に対して自動湯張りを指示する操作がなされた場合には、給湯装置1を自動湯張りモードに設定する。この場合には、コントローラ22は、給湯装置1を自動湯張りモードで動作させ、一般的な自動湯張り動作を行うように制御する。コントローラ22は、一般的な自動湯張り動作を行う場合、給湯用電磁弁72を開弁状態で維持するとともに、ガスバーナ4を燃焼させて給湯側回路2で湯を沸かし、給湯側回路2で沸かした設定量の湯を、落とし込み管70(連通管)を通じて浴槽60に供給するように湯張りを行う。このように、代表例では、自動湯張りモードの設定と省エネ湯張りモードの設定とがユーザの操作によって切り替えられるようになっている。
【0041】
コントローラ22は、
図4の供給制御の開始後、ステップS1において非加熱供給条件が成立したか否かを判断する。非加熱供給条件は、「通水管内の水温の上昇を示す条件」であり、予め定められた条件である。以下の代表例では、非加熱供給条件は、「通水管内の水が給湯装置1の外部に供給されない状態で外気温が閾値温度以上となっている状態が所定時間以上継続した」という条件である。ここでいう「外部に供給されない状態」とは、通水管内の水が、出湯管10から給湯装置1の外部に供給されておらず且つ浴槽60にも供給されていない状態をいう。コントローラ22は、図示されていない外気温サーミスタの検出値を断続的に取得することで、外気温を継続的に把握してもよい。この場合、外気温サーミスタは、筐体5の外側に配置されていてもよく、筐体5の内側において筐体外の空気が流れ込む空間に配置されていてもよい。或いは、コントローラ22は、当該コントローラ22の設置位置の外気温の情報を含む気象データをインターネット等の通信網を介して外部サイトから断続的に取得し、外気温を継続的に把握してもよい。なお、上記の所定時間は、予め定められた固定時間であってもよい。或いは、外気温に対応して上記所定時間が定められていてもよい。例えば、外気温(例えば、直近の一定時間の外気温の平均値)が高くなるほど上記所定時間が短くなるように上記所定時間を設定する演算式又はテーブルによって、外気温と所定時間との関係が複数定められ、コントローラ22は、上記演算式又はテーブルによって外気温に対応した所定時間を設定してもよい。
【0042】
コントローラ22は、ステップS1において非加熱供給条件が成立したと判断した場合、ステップS2で非加熱供給動作を行う。コントローラ22がステップS2で行う制御は、「バーナに燃焼を行わせない状態で供給部に通水管の水を浴槽に供給させる制御」である。具体的には、コントローラ22は、ガスバーナ4,54に燃焼を行わせない状態で給湯用電磁弁72を開弁させ、その後、落とし込み水量センサ74が予め定められた「基準水量」の水を検出するまで給湯用電磁弁72の開弁を継続する。「基準水量」は、浴槽60の内部に収容可能な水の体積よりも小さい水量とされる。具体的には、「基準水量」は、上述した第1通水管(入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10)の保有水量である第1水量と、上述した第2通水管(落とし込み管70及び配管66)の保有水量である第2水量と、第1通水管に通じる配管であって筐体の外側に設けられる第3通水管の保有水量である第3水量と、に基づいて定められる。基準水量は、第1水量と第2水量と第3水量とを加算した加算値であってもよい。或いは、この加算値に予め定められた係数を乗じた値であってもよい。或いは、第1水量と第2水量と第3水量とを変数とする演算式又はテーブルによって定まる値であってもよい。第1水量、第2水量、第3水量は、予め定められた設計値(固定値)であってもよく、コントローラ22によって算出されてもよい。
【0043】
コントローラ22は、第1水量、第2水量、第3水量を算出する場合、給湯側回路2及び風呂側回路3の動作に基づいて第1水量、第2水量、第3水量を算出してもよい。この場合、コントローラ22は、水量算出部、第3水量算出部の一例に相当する。例えば、コントローラ22は、浴槽60内に湯が張られた状態で給湯側回路2から浴槽60に水を供給して給湯装置1内の配管を水に置換した後、循環ポンプ62を作動させてから戻り配管のサーミスタが所定の温度変化を検出するまでの時間T1と、循環ポンプ62の単位時間当たりの供給量W1と、給湯装置1内の配管の径D1とに基づいて第1水量と第2水量の和を算出してもよい。この例では、時間T1(変数)及び供給量W1(変数)と径D1(定数)とに基づいて第1水量と第2水量の和を算出する演算式又はテーブルを予め用意しておき、時間T1及び供給量W1が検出された場合に、上記演算式又は上記テーブルによって第1水量と第2水量の和Waを算出すればよい。なお、第1水量と第2水量の和(給湯装置1内の通水管内の水量)が推定し得る方法であれば、この方法以外の方法を用いてもよい。例えば、非加熱での浴槽60への湯水の供給開始直後のサーミスタ25の温度を基準温度とした場合、非加熱で浴槽へ湯水の供給が開始されてからサーミスタ65が検出する水温が上記基準温度に達するまでに浴槽内に供給された湯水の量を第1水量と第2水量の和と推定してもよい。
【0044】
コントローラ22は、給湯装置1が非出湯状態から出湯状態に移行したときからサーミスタ25(入水温検出部)による検出温度が所定温度低下するまでの時間T3と、上記非出湯状態から上記出湯状態に移行したときからサーミスタ25(入水温検出部)による検出温度が所定温度低下するまでの出湯量W2と、水入口16に接続される外側の配管191(第3通水管)の径D3とに基づいて第3水量W3を算出してもよい。この例では、時間T3(変数)及び出湯量W2(変数)と径D3(定数)とに基づいて第3水量Wbを算出する演算式又はテーブルを予め用意しておき、時間T3及び出湯量W2が検出された場合に、上記演算式又は上記テーブルによって第3水量Wbを算出すればよい。或いは、給湯装置1からの湯水の供給が開始された時点からサーミスタ25(入水温検出部)による検出温度が所定温度低下するまでの間に配管191から入水管12内に供給された水量を第3水量と定めてもよい。
【0045】
このように、本構成では、コントローラ22は、ガスバーナ4,54に燃焼を行わせない状態で供給部に「基準水量」の通水管の水を浴槽60に供給させる制御を、温度関連情報が所定条件(通水管内の水温の上昇を示す条件)を満たす毎(即ち、ステップS1でYesと判断される毎)に繰り返し行う。なお、繰り返し行われる非加熱供給動作によって1日に供給された総供給量が制限値(例えば、設定湯量)に達した場合には、その後にステップS1においてYesと判断されないようにして、その日の非加熱供給動作を制限(禁止)してもよい。
【0046】
コントローラ22は、ステップS1でNoと判断する場合、又はステップS2の後、ステップS3にて省エネルギー湯張り条件が成立したか否かを判断する。この省エネルギー湯張り条件は、例えば、「日付が変更されてから、予め定められた設定時間が最初に到来したこと」である。省エネルギー湯張り条件は、省エネ湯張り条件とも称される。省エネルギー湯張り条件が成立している場合(日付が変更されてから、予め定められた設定時間が最初に到来した場合)、ステップS6の処理が終了するまで条件成立状態が維持され、ステップS6の処理が終了した場合、条件成立状態が解除される。設定時間は、予め定められた時間である。以下で説明される代表例では、設定時間は、湯張り完了の予定時刻である「予約時間」に基づいて定められる。この予約時間は、例えばユーザが第1リモートコントローラ81や第2リモートコントローラ82を操作することによって時刻情報を入力することに応じて、入力された時刻に設定される。そして、設定時間は、予約時間よりも所定時間前(例えば、30分前)の時刻に設定される。なお、上述された省エネルギー湯張り条件はあくまで一例であり、他の条件(例えば、何らかの特別操作がなされたこと)であってもよい。
【0047】
コントローラ22は、ステップS3において省エネルギー湯張り条件が成立していないと判断した場合、ステップS3ではNoの判断となり、この場合、
図4の制御を終了する。
図4の制御を終了した場合、短い時間間隔で
図4の制御を開始する。
【0048】
コントローラ22は、ステップS3において省エネルギー湯張り条件が成立していると判断した場合、ステップS3ではYesの判断となり、この場合、ステップS4において貯留水量を確認する。コントローラ22は、ステップS4で貯留水量を確認する場合、ステップS2で供給した供給水量(前回の追い焚き動作の終了から複数回ステップS2が行われている場合には、複数回の総供給水量)を貯留水量とみなすことができる。或いは、浴槽60に設けられた水位センサによって貯留水量を確認してもよい。
【0049】
コントローラ22は、ステップS4の後、ステップS5において省エネルギー湯張り動作を行う。省エネルギー湯張り動作は、省エネ湯張り動作とも称される。コントローラ22は、ステップS5において省エネルギー湯張り動作を行う場合、供給量(落とし込み量)を算出する。コントローラ22は、予め設定された設定湯量からステップS4で確認された貯留水量を減じた値を供給量(落とし込み量)とする。設定湯量は、例えば、給湯装置1において予め定められた値である。なお、設定湯量は、ユーザによって補正又は設定変更できるようになっていてもよい。そして、コントローラ22は、ガスバーナ4を燃焼させるように給湯側回路2を動作させつつ、落とし込み管70(連通管)を通じて浴槽60に上記供給量の湯を落とし込ませる。具体的には、コントローラ22は、落とし込み管70に設けられた給湯用電磁弁72を開弁させてから、落とし込み水量センサ74での検出水量が上記「供給量」に達するまで、落とし込み管70(連通管)を通じて浴槽60へと予め設定された給湯温度の湯を供給する制御を実行する。そして、落とし込み水量センサ74での検出水量が上記「供給量」に達した場合には、給湯用電磁弁72を閉弁させ、給湯側回路2から風呂側回路3への湯の供給を停止する制御を実行する。
【0050】
コントローラ22は、ステップS5にて省エネルギー湯張り動作(落とし込み動作)を行った後、ステップS6にて追い焚き動作を行う。追い焚き動作は、公知の方法を用いることができ、風呂側回路3を動作させて浴槽60内の湯を循環加熱し、予め定められた設定温度まで上昇させる。コントローラ22は、浴槽60内の湯の温度が設定温度に達した場合、ステップS6の追い焚き動作を終了する。コントローラ22は、ステップS6の追い焚き動作を終了した後、
図4の制御を終了する。コントローラ22は、上述の所定モード(省エネ湯張りモード)に設定されている間は、
図4の制御を終了した場合に短い時間間隔で
図4の制御を再び開始する。
【0051】
例えば、上述の代表例において予約時間(湯張り完了の予定時間)が17:00であるとする。そして、コントローラ22が、予約時間よりも30分前の時刻を設定時間として設定する構成であるとする。この場合、上述の所定モード(省エネ湯張りモード)に設定されているときには、日付が変更されてから最初に設定時間が到来するまでの期間(即ち、0:00~16:30の期間)は、ステップS3の判定を行ってもNoとなる。従って、この期間は、ステップS1にて非加熱供給条件が成立したと判定される毎に、ステップS2の非加熱供給動作が繰り返されることになる。その後、上記期間が経過して設定時間(16:30)が到来した場合には、ステップS4~S6の処理が行われ、上述の省エネ湯張り動作によって設定湯量までの湯の補充及び設定温度までの循環加熱がなされる。省エネ湯張り動作が行われた後には、その日が終わるまでは「日付が変更されてから設定時間が最初に到来したこと」の条件を満たすことはないため、ステップS3の判定を行ってもNoとなる。
【0052】
次の説明は、本構成の効果の一例に関する。
給湯装置1は、バーナに燃焼を行わせない状態で通水管の水を浴槽60に供給する動作を、通水管内の水温の上昇を示す所定条件が満たされる毎に繰り返し行うことができる。この給湯装置1は、通水管内の水温の上昇を示す条件が満たされる毎に通水管の水を非加熱(バーナの燃焼を行わない状態)で供給するため、ガスエネルギーを消費せずに、温度が上昇した水を繰り返し浴槽60に供給することができ、ガスエネルギーの削減を図りつつ、湯張りを行うことができる。
【0053】
給湯装置1は、バーナに燃焼を行わせない状態で通水管の水を浴槽60に供給する動作を、「通水管内の水が外部に供給されない状態で外気温が閾値温度以上となっている状態が所定時間以上継続する」という条件が満たされる毎に繰り返し行うことができる。この給湯装置1は、通水管が外気温によって所定時間以上温められたことを確実に確認した上で、通水管の水を非加熱(バーナの燃焼を行わない状態)で浴槽60に供給することができる。よって、水温の低い状態で非加熱供給動作が行われることを抑制することができ、温かい水が繰り返し供給されやすくなる。
【0054】
より具体的には、コントローラ22(制御部)は、バーナに燃焼を行わせない状態で供給部に基準水量の通水管の水を浴槽60に供給させる制御を、温度関連情報が所定の温度条件を満たす毎に繰り返し行う。このように、給湯装置1は、所定の温度条件を満たす毎に基準水量の通水管の水を供給するため、条件成立時に供給される水の温度のばらつきを抑えやすい。
【0055】
給湯装置1は、筐体と、上記熱交換器を含む給湯側回路2と、上記給湯側回路2から分岐した連通管70(配管)を有する風呂側回路3と、を有する。そして、筐体内に給湯側回路2と風呂側回路3とが収容される。通水管は、給湯側回路2に設けられる第1通水管と、風呂側回路3に設けられる第2通水管と、を備える。基準水量は、第1通水管の保有水量である第1水量と、第2通水管の保有水量である第2水量と、第1通水管に通じる配管であって筐体の外側に設けられる第3通水管の保有水量である第3水量と、に基づいて定められる。この給湯装置1は、予め定められた位置の通水管(第1通水管、第2通水管、第3通水管)の保有水量に基づいて条件成立時の供給水量(基準水量)を定めることができるため、条件成立時に供給される水の温度がより一層安定化しやすい。
【0056】
給湯装置1は、給湯側回路2及び風呂側回路3の動作に基づいて第1水量を算出する第1水量算出部を有するため、コストを抑制しやすく且つ汎用性を高めやすい。
【0057】
給湯装置1は、外部から導入される水の温度を検出する入水温検出部と、給湯装置1が非出湯状態から出湯状態に移行したときから入水温検出部による検出温度が所定温度低下するまでの時間に基づいて第3水量を算出する第3水量算出部と、を有するため、給湯装置1の外部に存在する水をどの程度用いるべきかを、入水温に基づいて決定することができる。
【0058】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略されてもよい。更に、上述の実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0059】
上述の実施形態の説明では、「コントローラ22がステップS2の制御(ガスバーナ4,54に燃焼を行わせない状態で供給部に「基準水量」の通水管の水を浴槽に供給させる制御)を、温度関連情報が所定条件を満たす毎に繰り返し行う例」が示されたが、ステップS2の動作で供給する量は「基準水量」でなくてもよい。例えば、供給毎に水量が変化してもよい。例えば、ステップS2の動作を開始してから、供給水の温度が一定温度以上である間は供給動作を継続し、一定温度未満に達した場合に供給動作を停止してもよい。
【0060】
上述の実施形態の説明では、「温度関連情報が通水管内の水温の上昇を示す所定条件」の例として、第1実施形態のステップS1の判断条件である「通水管内の水が外部に供給されない状態で外気温が閾値温度以上となっている状態が所定時間以上継続したこと」が示されたが、この例に限定されない。例えば、「入水温が所定値以上となっていること」が「温度関連情報が通水管内の水温の上昇を示す所定条件」であってもよい。具体的には、例えば、サーミスタ25、64、65の検出温度(例えば、サーミスタ25が検出する入水温)が所定値以上である場合に、ステップSS1にてYesと判断するようにしてもよい。このような判断処理は、第1実施形態のステップS1の判断処理に代えて行うようにしてもよく、ステップS1において「第1実施形態においてステップS1でYesと判定する条件」だけでなく、サーミスタ25、64、65の検出温度(例えば、サーミスタ25が検出する入水温)が所定値以上である場合にもステップSS1にてYesと判断してもよい。いずれの場合でも、サーミスタ25、25、64、65のいずれかの検出温度が所定値以上である場合にステップS1にてYesと判断してもよく、サーミスタ25、25、64、65の全ての検出温度が所定値以上である場合にステップSS1にてYesと判断してもよく、サーミスタ25、25、64、65の平均検出温度が所定値以上である場合にステップSS1にてYesと判断してもよい。
【0061】
非加熱供給条件は、温度に関する条件以外の条件が付加されてもよい。例えば、非加熱供給条件は、時間帯の情報が付加されてもよい。例えば、「12:00~18:00の間に温度関連情報が所定条件を満たした場合」を非加熱条件が成立した場合としてもよい。
【0062】
通水管内の水温に影響を及ぼす要素の情報として外気温を例示したが、例えば、給湯器内の所定部品の温度であってもよい。
【0063】
上記の実施形態では、非加熱供給条件は、「通水管内の水が外部に供給されない状態で外気温が閾値温度以上となっている状態が所定時間以上継続した」という条件であったが、「前回の給湯装置外部への湯水の供給動作から一定時間経過後に、外気温が閾値温度以上となっている」という条件であってもよい。
【0064】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0065】
1…給湯装置
2…給湯側回路
3…風呂側回路
4,54…ガスバーナ
5…筐体
6,56…熱交換器
7a、8a…伝熱管(通水管、第1通水管)
10…出湯管(通水管、第1通水管)
12…入水管(通水管、第1通水管)
20…配管(通水管、第1通水管)
22…コントローラ(供給部、制御部、取得部、外気温情報取得部、第1水量算出部、第3水量算出部)
25…サーミスタ(入水温検出部)
60…浴槽
66…配管(通水管、第2通水管)
70…落とし込み管(通水管、第2通水管)
72…給湯用電磁弁(供給部)
191…配管(第3通水管)