(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】搬送器具
(51)【国際特許分類】
B65D 21/032 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B65D21/032
(21)【出願番号】P 2020214537
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】隅田 晃雄
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-092469(JP,A)
【文献】米国特許第05797508(US,A)
【文献】実公昭47-007650(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0193260(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が載置される平面視四角形のベース部材の下面四隅から脚部が突出し、
各前記脚部の上方には、前記ベース部材の上面外縁部上で起立する側壁が直交してなる側壁コーナー部が備えられ、
各前記脚部の下面には、前記側壁コーナー部の真下となるL形載置部を除く範囲から段付き状に突出する下端突部が設けられて、前記下端突部の下端面が地面又は床面と接する接地面をなす搬送器具であって、
搬送器具同士が段積みされると、上段側の搬送器具の各前記下端突部が、下段側の搬送器具の各前記側壁コーナー部の内側に係合すると共に、上段側の搬送器具の各前記L形載置部が、下段側の搬送器具の各前記側壁コーナー部の上面におけるL形被載置部に載置される搬送器具において、
前記L形被載置部の隣で前記側壁コーナー部の上面から突出して、前記L形被載置部上の前記脚部の側面に対向する脚部対向突部
と、
前記L形載置部から下方に突出する載置部突部と、
前記L形被載置部に陥没形成されて、搬送器具が段積みされたときに前記載置部突部を受容する被載置部凹部と、が備えられ、
前記載置部突部の下端面は、前記接地面より上方に位置し、
前記被載置部凹部のうち前記L形被載置部の角部から離れた側の内側面である第1内側面と、前記脚部対向突部のうち前記L形被載置部側の外側面である第2外側面とが連続して連続側面となるように前記被載置部凹部と前記脚部対向突部とが隣り合わせに配置され、
前記連続側面は、上方に向かうに従って前記L形被載置部の角部から離れるように傾斜し、
前記脚部対向突部と隣合う前記被載置部凹部のうち前記L形被載置部の角部に近い側の内側面は、上方に向かうに従って前記L形被載置部の角部に接近するように傾斜しかつその上下方向に対する傾斜角が前記連続側面の傾斜角より大きい第2内側面をなし、
前記被載置部凹部と隣合う前記脚部対向突部のうち前記L形被載置部から離れた側の外側面は、上方に向かうに従って前記被載置部凹部に接近するように傾斜しかつその上下方向に対する傾斜角が前記第2内側面の傾斜角より大きい第1外側面をなしている搬送器具。
【請求項2】
荷物が載置される平面視四角形のベース部材の下面四隅から脚部が突出し、
各前記脚部の上方には、前記ベース部材の上面外縁部上で起立する側壁が直交してなる側壁コーナー部が備えられ、
各前記脚部の下面には、前記側壁コーナー部の真下となるL形載置部を除く範囲から段付き状に突出する下端突部が設けられて、前記下端突部の下端面が地面又は床面と接する接地面をなす搬送器具であって、
搬送器具同士が段積みされると、上段側の搬送器具の各前記下端突部が、下段側の搬送器具の各前記側壁コーナー部の内側に係合すると共に、上段側の搬送器具の各前記L形載置部が、下段側の搬送器具の各前記側壁コーナー部の上面におけるL形被載置部に載置される搬送器具において、
前記L形被載置部の隣で前記側壁コーナー部の上面から突出して、前記L形被載置部上の前記脚部の側面に対向する脚部対向突部と、
前記L形載置部から下方に突出する載置部突部と、
前記L形被載置部に陥没形成されて、搬送器具が段積みされたときに前記載置部突部を受容する被載置部凹部と
、が備えられ、
前記載置部突部の下端面は、前記接地面より上方に位置してい
る搬送器具。
【請求項3】
各前記脚部対向突部のうち前記L形被載置部から離れた側には、前記L形被載置部に接近するに従って上方に向かうように傾斜する第1外側面が備えられ、各前記脚部対向突部のうち前記L形被載置部側に近い側は、前記L形被載置部に接近するに従って下方に向かうように傾斜しかつ前記第1外側面に比べて上下方向に対する傾斜角が小さい第2外側面が備えられている請求項
1又は2に記載の搬送器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、段積み可能な搬送器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の搬送器具として、下面四隅から突出する脚部の下面に下端突部を備えたものが知られている。この搬送器具は、段積みされると、上段側の搬送器具の下端突部が、下段側の搬送器具の側壁コーナー部の内側に係合し、上段側の搬送器具の各脚部の下面外縁部であるL形載置部が、下段側の搬送器具の側壁コーナー部の上面のL形被載置部に載置される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-192938号公報(
図1,
図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の搬送器具では、下端突部が摩耗して上下の搬送器具同士が掛かり代が減り、段積み状態が不安定になることがある。そこで、段積み状態が従来より安定する搬送器具の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた態様1の発明は、荷物が載置される平面視四角形のベース部材の下面四隅から脚部が突出し、各前記脚部の上方には、前記ベース部材の上面外縁部上で起立する側壁が直交してなる側壁コーナー部が備えられ、各前記脚部の下面には、前記側壁コーナー部の真下となるL形載置部を除く範囲から段付き状に突出する下端突部が設けられて、前記下端突部の下端面が地面又は床面と接する接地面をなす搬送器具であって、搬送器具同士が段積みされると、上段側の搬送器具の各前記下端突部が、下段側の搬送器具の各前記側壁コーナー部の内側に係合すると共に、上段側の搬送器具の各前記L形載置部が、下段側の搬送器具の各前記側壁コーナー部の上面におけるL形被載置部に載置される搬送器具において、前記L形被載置部の隣で前記側壁コーナー部の上面から突出して、前記L形被載置部上の前記脚部の側面に対向する脚部対向突部を備える搬送器具である。
【0006】
態様2の発明は、前記L形載置部から下方に突出する載置部突部と、前記L形被載置部に陥没形成されて、搬送器具が段積みされたときに前記載置部突部を受容する被載置部凹部とが備えられ、前記載置部突部の下端面は、前記接地面より上方に位置している態様1に記載の搬送器具である。
【0007】
態様3の発明は、各前記脚部対向突部のうち前記L形被載置部から離れた側には、前記L形被載置部に接近するに従って上方に向かうように傾斜する第1外側面が備えられ、各前記脚部対向突部のうち前記L形被載置部側に近い側は、前記L形被載置部に接近するに従って下方に向かうように傾斜しかつ前記第1外側面に比べて上下方向に対する傾斜角が小さい第2外側面が備えられている態様2に記載の搬送器具である。
【0008】
態様4の発明は、前記被載置部凹部のうち前記L形被載置部の角部から離れた側の内側面である第1内側面と、前記脚部対向突部のうち前記L形被載置部側の外側面である第2外側面とが連続して連続側面となるように前記被載置部凹部と前記脚部対向突部とが隣り合わせに配置され、前記連続側面は、上方に向かうに従って前記L形被載置部の角部から離れるように傾斜し、前記脚部対向突部と隣合う前記被載置部凹部のうち前記L形被載置部の角部に近い側の内側面は、上方に向かうに従って前記L形被載置部の角部に接近するように傾斜しかつその上下方向に対する傾斜角が前記連続側面の傾斜角より大きい第2内側面をなし、前記被載置部凹部と隣合う前記脚部対向突部のうち前記L形被載置部から離れた側の外側面は、上方に向かうに従って前記被載置部凹部に接近するように傾斜しかつその上下方向に対する傾斜角が前記第2内側面の傾斜角より大きい第1外側面をなしている態様2又は3に記載の搬送器具である。
【発明の効果】
【0009】
態様1の搬送器具は、段積みされると、上段側の搬送器具の各脚部のL形載置部が、下段側の搬送器具の側壁コーナー部のL形被載置部に載置される。そして、上段側の搬送器具の脚部の下端突部が、下段側の搬送器具の側壁コーナー部の内側に係合することで上下の搬送器具の横ずれが規制される。このことに加え、本開示の搬送器具では、側壁コーナー部のうちL形被載置部の隣から脚部対向突部が突出していて、段積みしたときには、下段側の搬送器具の脚部対向突部が上段側の搬送器具の脚部の側面に対向することとによっても上下の搬送器具同士の横ずれが規制される。これにより、仮に下端突部が摩耗しても脚部対向突部により上下の搬送器具の横ずれが規制されるので、搬送器具同士の段積み状態が従来より安定する。
【0010】
また、態様2の搬送器具では、L形載置部とL形被載置部とに設けられた載置部突部と被載置部凹部との凹凸係合によっても上下の搬送器具同士の横ずれが規制される。
【0011】
態様3の搬送器具では、脚部対向突部のうちL形被載置部から離れた側の第1外側面とその反対側の第2外側面が共に傾斜し、第1外側面の上下方向に対する傾斜角より第2外側面の傾斜角の方が小さいので、下段側の搬送器具に対して上段側の搬送器具をずらした状態から正しい段積み位置まで移動させるときには、上段側の搬送器具の脚部は、容易に下段側の搬送器具の脚部対向突部を乗り越えることができ、一度、正しい位置に段積みされたら脚部の戻り方向への移動が規制される。つまり、本開示の搬送器具は、段積み作業が容易でありながらも段積み状態が安定するという効果を奏する。
【0012】
態様4の搬送器具では、被載置部凹部の第1内側面と脚部対向突部の第2外側面とが連続してなる連続側面により上下の搬送器具の横ずれが防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図5】段積みされた搬送器具の当接部分の拡大斜視図
【
図6】第1側壁側の脚部対向突部と脚部との対向状態を示す側断面図
【
図7】第2側壁側の脚部対向突部と脚部との対向状態を示す側断面図
【
図8】第2側壁と下端突部との対向状態を示す側断面図
【
図9】第1側壁と下端突部との対向状態を示す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図9を参照して本開示の一実施形態に係る搬送器具10Aについて説明する。
図1に全体を示された搬送器具10Aは、平面視長方形で板状のベース部材11の外縁部から1対の第1側壁31と1対の第2側壁32とが起立した略直方体構造をなし、上面全体に開口する上面開口10Jと、1対の第2側壁32に開口して互いに対向する1対の側面開口10Sとを有する。また、1対の側面開口10Sは、各第2側壁32の横方向の中間部の上端から上下方向の中間位置に亘る横長の長方形になっている。さらには、第1側壁31と第2側壁32とが直交してなる側壁コーナー部30Zの内側には、第1側壁31と第2側壁32との間を連絡する平面視略三角形の複数の連絡リブ46が上下方向に並べて設けられている。
【0015】
なお、本実施形態の搬送器具10Aは、複数の樹脂の射出成形品に分かれていて、それらが互いに固定されて上記構造になっている。また、ベース部材11、第1側壁31、第2側壁32は、何れも全体が格子構造になっている。
【0016】
ベース部材11の下面四隅からは脚部15が突出している。各脚部15は、平断面が四角形をなし、脚部15の2つの外側面は、ベース部材11の2つの外側面と面一になっている。以下、脚部15の角部のうちベース部材11の角部の真下の角部を外側角部といい、その対角となる角部を内側角部ということとして脚部15の構造について詳説する。
【0017】
図2に示すように、脚部15の下面のうち第1側壁31及び第2側壁32の真下に位置する部分は、L形載置部15Jをなし、脚部15の下面のうちL形載置部15Jを除く範囲から下端突部20が段付き状に突出している。また、下端突部20の2つの外側面は、脚部15の内側角部の両側の外側面と面一になっている。そして、下端突部20の下端面が、地面(床面も含む)と接地する接地面15Kになっている。
【0018】
L形載置部15Jには、載置部突部21X,21Yが備えられている。一方の載置部突部21Xは、L形載置部15Jのうち第2側壁32の真下に位置する部分の長手方向の途中位置に配置され、他方の載置部突部21Yは、L形載置部15Jのうち第1側壁31の真下に位置する部分の端部に配置されている。
【0019】
また、載置部突部21X,21Yは、下端突部20をバックにして見た形状が、両側辺が斜辺の台形状をなし、それら載置部突部21X,21Yの下端面21Aは、共通の水平面内に位置しかつ接地面15Kより僅かに上方に位置している。また、載置部突部21X,21Yのうち下端突部20をバックにして見たときの前面は、脚部15の外側面と共にベース部材11の2つの外側面と面一になっている。さらには、載置部突部21X,21Yのうち脚部15の外側角部から離れた第1外側面21Cの上下方向に対する傾斜角は、その反対側の第2外側面21Bの上下方向に対する傾斜角より小さくなっている。
【0020】
図3には、側壁コーナー部30Zの上面が拡大して示されている。側壁コーナー部30Zの上面のうち脚部15の真上に位置する部分は、搬送器具10A同士を段積みした際に上段側の搬送器具10AのL形載置部15Jと重なるL形被載置部30Jになっている。そのL形被載置部30Jには、側壁コーナー部30Zの角部30Kを挟んだ両側に被載置部凹部41X,41Yが形成されている。被載置部凹部41X,41Yは、共に側壁コーナー部30Zを内外に貫通する溝状をなし、それらの断面形状は、載置部突部21X,21Yの断面形状と同一の台形をなしている。即ち、被載置部凹部41X,41Yは、水平な底面41Aの両側に上下方向に対して傾斜する第1内側面41Cと第2内側面41Bとを有する。そして、側壁コーナー部30Zの角部30Kから遠い側の第1内側面41Cの上下方向に対する傾斜角が、側壁コーナー部30Zの角部30Kに近い側の第2内側面41Bの上下方向に対する傾斜角より小さくなっている。
【0021】
なお、本実施形態では、第1内側面41C及び第1外側面21Cの上下方向に対する傾斜角は、例えば、1~15[DEG]になっていて、第2内側面41B及び第2外側面21Bの上下方向に対する傾斜角は、例えば、20~60[DEG]になっている。
【0022】
図4に示すように、搬送器具10Aは、段積みされると、
図5に示すように、上段側の搬送器具10Aにおける脚部15の載置部突部21X,21Yが、下段側の搬送器具10Aの被載置部凹部41X,41Yに受容されて上段側の搬送器具10Aの脚部15の下面におけるL形載置部15Jが、下段側の搬送器具10Aの側壁コーナー部30Zの上面におけるL形被載置部30Jに当接する。より詳細には、
図6及び
図7に示すように、被載置部凹部41X,41Yの底面41A,第1内側面41C、第2内側面41Bに対し、載置部突部21X,21Yの下端面21A、第1外側面21C、第2外側面21Bが僅かに隙間を空けて対向した状態になり、L形載置部15JがL形被載置部30Jに当接する。また、
図8及び
図9に示すように、側壁コーナー部30Zの内側では、上段側の搬送器具10Aの下端突部20が、下段側の搬送器具10Aの第1側壁31及び第2側壁32の内側面に隙間を空けて対向する。
【0023】
図3に示すように、側壁コーナー部30Zの上面のうち第1側壁31上のL形被載置部30Jの隣には、脚部対向突部42が設けられ、第2側壁32上のL形被載置部30Jの隣には、脚部対向突部43が設けられている。
【0024】
第1側壁31の上方の脚部対向突部42は、第1側壁31全体の上面より上方で水平になった上面42Aを有し、その両側に第1外側面42Bと第2外側面42Cとを有する。被載置部凹部41Y側の第2外側面42Cは、被載置部凹部41Yの第1内側面41Cと面一の平面をなして連続し、第2外側面42Cと第1内側面41Cとから連続側面41Rが形成されている。そして、
図6に示すように、搬送器具10Aが段積みされると、脚部対向突部42の第2外側面42Cが被載置部凹部41Yの第1内側面41Cと共に、脚部15の側面に対して隙間を介して対向する。また、被載置部凹部41Yと反対側の第1外側面42Bは、上面42Aから離れるに従ってなだらかに下っている。これにより、上面42Aを利用して段積み作業を容易に行えるようになっている。具体的には、搬送器具10A同士を段積みする際に、例えば、上段側の搬送器具10Aを、下段側の搬送器具10Aに対して1対の第2側壁32の対向方向にずらして、上段側の搬送器具10Aのうち下段側の搬送器具10A上から外れた側である一端部を持ち上げて、他端部の1対の脚部15における両載置部突部21Yを、下段側の搬送器具10Aの1対の第1側壁31上に載置する。
【0025】
この状態で、上段側の搬送器具10Aを、正しい段積み位置に向けてスライド移動すると、上段側の搬送器具10Aの載置部突部21Yが、下段の搬送器具10Aの1対の脚部対向突部42に当接する。このとき、脚部対向突部42の載置部突部21Y側には、側壁コーナー部30Zの角部30K側に向かって緩やかに上るように傾斜する第1外側面42Bが備えられ、載置部突部21Yの脚部対向突部42側には、脚部対向突部42の第1外側面42Bと同じ側に傾斜する第2外側面21Bが備えられているので、載置部突部21Yが脚部対向突部42にスムーズに乗り上がる。そして、載置部突部21Yが脚部対向突部42の上面42Aをスライドし、その上面42Aから急峻に下方に下る第2外側面42Cも通過して、脚部対向突部42の隣の被載置部凹部41Yに載置部突部21Yが受容される。そして、上段側の搬送器具10Aを水平姿勢にすれば、上段側の搬送器具10Aが下段側の搬送器具10Aに対する正しい段積み位置に段積みされる。
【0026】
なお、本実施形態では、第1外側面42Bの水平方向に対する傾斜角は、例えば、5~30[DEG]になっている。また、連続側面41Rの上下方向に対する傾斜角は、前述した第1内側面41Cと同じ1~15[DEG]になっている。
【0027】
一方、第2側壁32の上方の脚部対向突部43は、脚部対向突部42の上面42Aと同一の水平面に収まる上面43Aと、上面43AのL形被載置部30Jから略垂直に起立する第2外側面43Cと、上面43AのうちL形被載置部30Jから離れた側の端部から斜め下方に延びる第1外側面43Bとを有する。そして、
図7に示すように、搬送器具10Aが段積みされると、脚部対向突部43の第2外側面43Cが脚部15の側面に隙間を介して対向する。また、第1外側面43Bは、L形被載置部30Jの上面より下方まで連続して延びてから屈曲して略鉛直に下方に延び、側面開口10Sの内側面を形成している。
【0028】
本実施形態の搬送器具10Aの構成に関する説明は以上である。上記したように本実施形態の搬送器具10Aは、
図4に示すように段積みされると、
図5に示すように、上段側の搬送器具10Aの各脚部15のL形載置部15Jが、下段側の搬送器具10Aの側壁コーナー部30ZのL形被載置部30Jに載置される。そして、
図8及び
図9に示すように、上段側の搬送器具10Aの脚部15の下端突部20が、下段側の搬送器具10Aの側壁コーナー部30Zの内側に係合することで上下の搬送器具10Aの横ずれが規制される。このことに加え、本開示の搬送器具10Aでは、
図5に示すように、側壁コーナー部30ZのうちL形被載置部30Jの隣から脚部対向突部42,43が突出していて、段積みしたときには、下段側の搬送器具10Aの脚部対向突部42,43が上段側の搬送器具10Aの脚部15の側面に対向することとによっても上下の搬送器具10A同士の横ずれが規制される。これにより、仮に下端突部20が摩耗しても脚部対向突部42,43により上下の搬送器具10Aの横ずれが規制されるので、搬送器具10A同士の段積み状態が従来より安定する。また、L形載置部15JとL形被載置部30Jとに設けられた載置部突部21X,21Yと被載置部凹部41X,41Yとの凹凸係合によっても上下の搬送器具10A同士の横ずれが規制される。
【0029】
また、脚部対向突部42のうちL形被載置部30Jから離れた側の第1外側面42Bとその反対側の第2外側面42Cが共に傾斜し、第1外側面42Bの上下方向に対する傾斜角より第2外側面42Cの傾斜角の方が小さいので、下段側の搬送器具10Aに対して上段側の搬送器具10Aをずらした状態から正しい段積み位置まで移動させるときには、上段側の搬送器具10Aの脚部15は、容易に下段側の搬送器具10Aの脚部対向突部42を乗り越えることができ、一度、正しい位置に段積みされたら脚部15の戻り方向への移動が防がれる。しかも、被載置部凹部41Yの第1内側面41Cと脚部対向突部42の第2外側面42Cとが連続してなる連続側面41Rにより脚部15の戻り方向の移動が規制される。また、脚部対向突部42,43と同様に、載置部突部21X,21Yの第1外側面21Cと第2外側面21Bの傾斜角が異なることによっても、搬送器具10Aの正しい段積み位置への移動は容易で、それとは逆の移動が規制される。
【0030】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態の搬送器具10Aには、1対の第2側壁32に側面開口10Sが備えられていたが、1対の第1側壁31にも側面開口10Sが備えられていてもよいし、何れの側壁にも側面開口10Sが備えられていなくてもよい。
【0031】
(2)前記実施形態の搬送器具10Aは、第1側壁31及び第2側壁32が折畳不能であったが、折り畳み可能になっていてもよい。
【0032】
(3)前記実施形態の搬送器具10Aでは、下面の四隅のみに脚部15が備えられていたが、下面の四隅以外の位置にも脚部15が備えられていてもよい。
【0033】
(4)前記実施形態の搬送器具10Aには、側壁コーナー部30Zの角部30Kを挟んだ両側に脚部対向突部42,43が設けられていたが、一方側のみに設けられていても良い。
【0034】
(5)前記実施形態の搬送器具10Aでは、L形被載置部30J及びL形載置部15Jに被載置部凹部41X,41Yと載置部突部21X,21Yとが備えられていたが、それらを備えず、L形被載置部30J及びL形載置部15Jが平坦になっていてもよい。
【0035】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0036】
10A 搬送器具
10J 上面開口
10S 側面開口
11 ベース部材
15 脚部
15J L形載置部
15K 接地面
20 下端突部
21A 下端面
21B 第2外側面
21C 第1外側面
21X,21Y 載置部突部
30J L形被載置部
30Z 側壁コーナー部
31 第1側壁
32 第2側壁
41B 第2内側面
41C 第1内側面
41R 連続側面
41X,41Y 被載置部凹部
42,43 脚部対向突部
42B,43B 第1外側面
42C,43C 第2外側面