(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】浮釣り遠投カゴ
(51)【国際特許分類】
A01K 97/02 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A01K97/02 B
(21)【出願番号】P 2021027619
(22)【出願日】2021-02-24
(62)【分割の表示】P 2019237264の分割
【原出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】518233291
【氏名又は名称】有限会社吉田モールド
(74)【代理人】
【識別番号】100098279
【氏名又は名称】栗原 聖
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-141770(JP,U)
【文献】特開平09-248113(JP,A)
【文献】実開昭54-132694(JP,U)
【文献】登録実用新案第3077300(JP,U)
【文献】特開2001-190197(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169082(JP,U)
【文献】登録実用新案第3203835(JP,U)
【文献】特開2012-157247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/02-97/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中での先端側(水中での下側)にな
り、先端には錘が一体的に取り付けられている錘取り付け部と、内部に餌収納部を含む中空のカゴ本
体とが、先頭側から見て突起部分が無くなめらかな形状の略円筒形状に一体的に形成された浮釣り遠投カゴであって、前記カゴ本
体の周面を所定の大きさに切り欠いた開口部と、前記カゴ本体の内周面に摺動可能に取り付けられ、前記錘取り付け部側に摺動することで前記開口部を閉じ、
前記錘取り付け部側とは反対側に摺動することで前記開口部を開ける円筒形の開閉蓋(内蓋方式)が設けられ、更に、前記浮釣り遠投カゴが着水して水中に沈んでいく際に、内部の空気を放出すると共に周囲の水を内部に漸次取り込む空気穴と、前記開閉蓋に設けられた浮力構造とを有し、前記空気穴を介して水が内部に取り込まれて前記遠投カゴ内の内圧と外圧としての水圧が均衡に達した時に、前記浮力構造により前記開閉蓋が上側に摺動することで前記開口部を開くことを特徴とする浮釣り遠投カゴ。
【請求項2】
請求項1記載の浮釣り遠投カゴにおいて、前記浮力構造は、前記開閉蓋そのものに浮力のある部材を用いることで付与することを特徴とする浮釣り遠投カゴ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮釣り遠投カゴに関し、特に、内部にコマセ等の餌を詰めて遠投し、水中にて内部の餌を放出することで撒き餌とすることができる浮釣り遠投カゴに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海釣り等において、内部にコマセ等の餌を詰めて遠投し、水中にて内部の餌を放出することで撒き餌とすることができる浮釣り遠投カゴが用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、スライドプレートを移動することにより開口部を通して撒き餌等を海中等に放出することができるスライド式撒き餌カゴ装置が開示されており、このスライド式撒き餌カゴ装置では、カゴ本体の開口部とスライドプレートの開口部が重なることによって撒き餌を海中等に放出する構造である。しかし、遠投し着水する前の空中において、スライドプレートが移動しコマセ等の餌が空中に放出されてしまう虞がある一方、空中での放出は避けれても、海中等でスライドプレートが的確に移動して開口部同士がうまく重なるための構造上の工夫が無く、開口部も小さいので、オキアミ等の小さな撒き餌しか収納できない構造であった。
【0004】
また、特許文献2には、形状を円筒形にし収納口に上下スライドする開閉蓋を設けた浮釣り遠投カゴが開示されており、この浮釣り遠投カゴでは、中小型の活き餌又は生餌1尾を内部に収納し、これらの餌を損傷無く遠投着水させることを企図している。しかしながら、遠投し着水する前の空中において、空気抵抗等を受けて開閉蓋が開いてしまう虞があり、魚の棚まで届く前の水中を沈んでいく途中で餌が放出されてしまうことを防止する構造上の工夫はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3190473号公報
【文献】実用新案登録第3169082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の浮釣り遠投カゴでは、遠投し着水する前の空中において、開閉蓋等が空気抵抗等により開いてしまうのを防止するという課題に着目した発明等は無かったため、そのための構造的工夫は考慮されていなかった。このため、実際には、内部に詰めたコマセ等の餌が空中に放出されてしまう可能性があり、餌が殆ど無い状態で水中に投下されてしまう事態も生じていた。この場合、数十メートル以上遠投する場合では、餌が空中で放出されてしまうのを肉眼で確認し難く、撒き餌が有効になされないにも拘らず、釣果を待つ無駄を生じる。また、空中では餌が放出されなくても、着水の衝撃等により、魚の棚まで届く前の水中を沈んでいく途中で餌が放出されてしまうものもあった。更に、着水の衝撃や水中の岩等に衝突することで破損してしまう場合もあり、その分を見越した代替品を予め用意して釣りに出かけねばならない不便さもあった。以上のような浮釣り遠投カゴの遠投や着水のさせ方にも巧拙があり、プロやベテランの釣り人は上手い投げ方や餌の詰め方により、魚の棚まで届いてから撒き餌を放出させるコツを心得ていることも多い。しかしながら、比較的初心者では、そのような熟練が要求される技を要求するのは酷である。
【0007】
本発明は上述のような事情から為されたものであり、その目的は、上記の問題点を解消し、初心者を含む万人にとって、遠投し着水する前の空中や着水後魚の棚まで届く前の途中で餌が放出されてしまうのを防止し易く、魚の棚まで届いてから餌を放出し易い浮釣り遠投カゴを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の問題点を解消することができる新たな浮釣り遠投カゴの構造について地道な実証的研究を鋭意重ねた結果、(1)コマセ等の餌の収納部と錘部分を一体化させることで、着水時の衝撃等に対する構造的強度を高められること、(2)先頭側から見て突起部分が無く、なめらかな形状とすることで、遠投時に空中で空気抵抗を受け難く開口窓が開くのを防止できること、(3)開口窓を適度の浮力構造のものにすることで、水中で魚の棚まで届いたら開口窓が開いて餌を放出可能となることを見出した。
【0009】
また、特に、(1)(2)の空気抵抗や衝撃対策について、空中での先端側(水中での下側)になる錘取り付け部を円錐形状に形成し、この円錐形状の底面部に円筒形のカゴ本体を固定し、その円筒形のカゴ本体の外周と錘取り付け部の円錐形状の外縁部との間に溝を形成する一方、前記円筒形のカゴ本体の周面に摺動可能に取り付けられ、前記錘取り付け部側に摺動することでカゴ本体の中空の餌収納部を閉じる円筒形の開閉蓋が前記溝に遊嵌する構造とすることで、遠投時に受ける空気抵抗や着水時の衝撃等によって前記開閉蓋が開いてしまう虞を解消し易くなる、(3)について、水中で遠投カゴ内の内圧と外圧(水圧)で水圧の差が生じるので、その水圧差が無くなることで開口部が開く構造とすることが可能であることも見出した。
【0010】
即ち、上記目的を達成するため、本発明の浮釣り遠投カゴは、空中での先端側(水中での下側)になり、先端には錘が一体的に取り付けられている錘取り付け部と、内部に餌収納部を含む中空のカゴ本体とが、先頭側から見て突起部分が無くなめらかな形状の略円筒形状に一体的に形成された浮釣り遠投カゴであって、前記カゴ本体の周面を所定の大きさに切り欠いた開口部と、前記カゴ本体の内周面に摺動可能に取り付けられ、前記錘取り付け部側に摺動することで前記開口部を閉じ、前記錘取り付け部側とは反対側に摺動することで前記開口部を開ける円筒形の開閉蓋(内蓋方式)が設けられ、更に、前記浮釣り遠投カゴが着水して水中に沈んでいく際に、内部の空気を放出すると共に周囲の水を内部に漸次取り込む空気穴と、前記開閉蓋に設けられた浮力構造とを有し、前記空気穴を介して水が内部に取り込まれて前記遠投カゴ内の内圧と外圧としての水圧が均衡に達した時に、前記浮力構造により前記開閉蓋が上側に摺動することで前記開口部を開くことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記浮力構造は、開閉蓋そのものに浮力のある部材を用いることで付与しても良い。尚、前記カゴ本体内の後端部には、釣り糸との連結部がクッション部材を介して取り付けられているのが望ましい。
【0012】
以上のように、前記カゴ本体と開閉蓋は、内蓋式である。
【0013】
本発明の浮釣り遠投カゴは、餌収納部を含むカゴ本体と、カゴ本体の外周面又は内周面を摺動可能な開閉蓋と、錘取り付け部とを備え、前記錘取り付け部と、カゴ本体と、カゴ本体を閉じた状態の開閉蓋とは、遠投カゴ全体の先頭側から見て、より径の大きくなる突起部分が無いか、又はなめらかに一体化された略円筒形状に構成されているので、(a)カゴ本体と錘取り付け部は、遠投時の空気抵抗等により開閉蓋が開いてしまうことが少ないので、遠投時に撒き餌がバラけない、(b)水中で遠投カゴ内の内圧と外圧(水圧)で水圧の差が生じるので、その水圧差が無くなるまで開閉蓋が開かないで、魚の棚等に達し内圧と外圧としての水圧が均衡に達した時に前記浮力構造により開閉蓋が上側に摺動して餌収納部を開くので、効果的な撒き餌が可能である。また、実施形態として、(c)針から餌が外れにくいという効果や、(d)開口が大きめなので餌を収納し易いという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る浮釣り遠投カゴ(外蓋式)の構成を示す図であり、その開口蓋が閉じた状態の正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る浮釣り遠投カゴ(外蓋式)の構成を示す図であり、その開口蓋が開いた状態を示す正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る浮釣り遠投カゴ(外蓋式)の構成を示す図であり、その開口蓋が閉じた状態の断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る浮釣り遠投カゴ(内蓋式)の構成を示す図であり、その開口蓋が閉じた状態の断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る浮釣り遠投カゴ(内蓋式)の構成を示す図であり、その開口蓋が開いた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1乃至
図3は、本発明の第1の実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)の構成を示す図であり、
図1は、その開口蓋が閉じた状態の正面図、
図2は、その開口蓋が開いた状態を示す正面図、
図3は、その開口蓋が閉じた状態の断面図である。本発明の第1の実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10は、
図1乃至
図3に示すように、空中での先端側(水中では、
図1乃至
図3に示すように下側)になる錘取り付け部12を略円錐形状に形成し、この略円錐形状の上面部12Bに、内部が餌収納部14Aとして構成される中空円筒形に形成され、該円筒形の周面を所定の大きさに切り欠いた開口部14Bを含むカゴ本体14を固定して形成されている。錘取り付け部12の先端には錘12aが一体的に取り付けられている。また、浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10には、該円筒形のカゴ本体14の外周と錘取り付け部12の略円錐形状の上側の環状周縁部12cとの間に溝16を形成する一方、カゴ本体14の外径より大きい内径とカゴ本体14の長さより小さい長さを有しつつカゴ本体14の外周面に摺動自在に取り付けられ、錘取り付け部12側に摺動することでカゴ本体14の開口部14Bを閉じ、その反対側に摺動することで開口部14Bを開ける円筒形の開閉蓋18(外蓋方式)が溝16に遊篏する構造を有している。ここで、「遊嵌」とは、開閉蓋18が溝16に嵌った状態でも指で押さえて、くるくる回すことができ、また、浮釣り遠投カゴ10を逆さにすれば開閉蓋18が自重により溝16から外れて反対側に落下する程度に嵌っている態様を意味する。尚、錘取り付け部12の環状周縁部12cには、
図1及び
図2に示すように、糸通し溝17が形成されている。
【0016】
ここで、本発明の第1の実施形態の重要な特徴の1つ目として、カゴ本体14、開閉蓋18及び錘取り付け部12の3つの部材の外径(外形)関係は、開閉蓋18(外蓋方式)が閉じた状態(
図1と
図3参照)で、空中での先端側(水中では、
図1乃至
図3に示すように下側)になる錘取り付け部12の外径が最も大きく、開閉蓋18は錘取り付け部12より小さい外径で、カゴ本体14は開閉蓋18より小さい外径となり、換言すれば、空中での先端側(水中では、
図1乃至
図3に示すように下側)から後端側(水中では、
図1乃至
図3に示すように上側)に向かって、外径がより大きくなったような突起部分が無い(緩やかな段差状の尻すぼみ)の略円筒形に構成されている。更に、カゴ本体14には、浮釣り遠投カゴ10が着水して水中に沈んでいく際に、内部の空気を放出すると共に周囲の水を内部に漸次取り込む空気穴14Hが形成されている。また、開閉蓋18は水に対する浮力構造を有するように、水に浮く素材で形成されている。尚、
図1及び
図2に示すように、カゴ本体14の上部周面には、突起状のストッパ19が形成されており、開閉蓋18は、浮力により水中で上側にスライドしても、
図2に示すように、ストッパ19により停止される。以上により、本発明の第1の実施形態の重要な特徴の2つ目として、空気穴14Hを介してカゴ本体14内に水が取り込まれてカゴ本体14内の内圧と外圧としての水圧が均衡に達した時に、上記の浮力構造により開閉蓋18が上側に摺動することで開口部14Bを開くように構成されている。以上の構成の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10が、
図3に示すように、連結具11の一端側にクッションゴム15を介して取り付けられる。尚、連結具11の他端側の連結環(輪)11aには、例えば、図示しない天秤が接続され、その天秤は釣り竿から伸長する道糸に接続されると共に、その天秤の腕の先端にはハリスを介して釣針が接続される。その釣針は、例えば、オキアミ等の付け餌が付けられた状態で、ハリス(の糸)を錘取り付け部12の糸通し溝17を介して開口部14Bの隙間からコマセ等を収納した餌収納部14A内にいっしょに収納される。尚、カゴ本体14の中空の内部は、略全体が餌収納部14Aとして構成されており、餌収納部14A内に収納されたコマセ等の餌が開口部14Bが開くこと
で、カゴ本体14内から放出されることで上記の撒き餌が実行されるようになっている。即ち、魚の棚に到達して開口部14Bが開くと、餌収納部14A内からコマセ等が放出されると共に、ハリスを介した釣針もカゴ本体14外に放出されることで、撒き餌がなされた中で、天秤を介して付け餌が付けられた釣針が浮遊することになる。尚、クッションゴム15は、遠投時や着水時に浮釣り遠投カゴ10と上述した天秤等との間にかかる衝撃を和らげる役目を果たす。
【0017】
本発明の第1の実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10は以上のように構成され、特に、その重要な特徴の1つ目として、空中での先端側(水中では、
図1乃至
図3に示すように下側)から後端側(水中では、
図1乃至
図3に示すように上側)に向かって、外径がより大きくなったような突起部分が無い(緩やかな段差状の尻すぼみ)の略円筒形に構成されている。従って、遠投し着水する前の空中において、突起部分が空気抵抗を受けることで開閉蓋が開いてしまう虞が無くなる。また、空中での先端側から後端側に向かって突起部分が無い緩やかな段差状に構成されているので、空中で風を受けて生じる乱流が開閉蓋18部分を巻き込んで後端側にスライドさせてしまう虞が少なくなる。この結果、遠投し着水する前の空中で開閉蓋18が後端側にスライドして餌が放出されてしまうのを防止し易い構造となっている。また、水中での下側から上側に向かって外径がより大きくなったような突起部分が無い緩やかな段差状に構成されているので、着水後魚の棚まで届く前の途中で、突起部分が水の抵抗を受けることで開閉蓋が開いてしまう虞が無く、水流が開閉蓋18部分を巻き込んで上側にスライドさせてしまう虞が少なくなる。この結果、浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10は、着水後魚の棚まで届く前の途中で餌が放出されてしまうのを防止し易い構造にもなっている。更に、その重要な特徴の2つ目として、浮釣り遠投カゴ(外蓋式)10では、空気穴14Hを介してカゴ本体14内に水が取り込まれてカゴ本体14内の内圧と外圧としての水圧が均衡に達した時に、開閉蓋18の浮力構造により上側に摺動することで開口部14Bを開くように構成されているので、着水後魚の棚まで届く前の短時間に餌が放出されてしまうのを防止し易く、魚の棚まで届いてから餌を放出し易い構造にもなっている。更に、開閉蓋18(外蓋方式)が溝16に遊篏する構造を有し、開閉蓋18が溝16に嵌った状態でも指で押さえて、くるくる回すことができ、また、浮釣り遠投カゴ10を逆さにすれば開閉蓋18が自重により溝16から外れて反対側に落下するようになっている。従って、浮釣り遠投カゴ10を手元まで一旦回収し、再度コマセ等を詰めて遠投しようとする場合、仮にコマセ等の残餌が開閉蓋18の内周面とカゴ本体14の外周面との間に詰まっていても、開閉蓋18をくるくる回し、或いは浮釣り遠投カゴ10を逆さにしたりして、詰まった残餌を落としたり、水洗いし易くなっている。
【0018】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
図4及び
図5は、本発明の第2の実施形態の浮釣り遠投カゴ(内蓋式)の構成を示す図であり、
図4は、その開口蓋が閉じた状態の断面図、
図5は、その開口蓋が開いた状態の断面図である。本発明の第2の実施形態の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)20は、
図4及び
図5に示すように、内部が餌収納部24Aとして構成される中空円筒形状のカゴ本体24と円錐形状の錘取り付け部22とを備え、カゴ本体24と錘取り付け部22が一体的に形成されている。錘取り付け部22の先端には錘22aが一体的に取り付けられている。
【0019】
ここで、本発明の第2の実施形態の重要な特徴の1つ目として、カゴ本体24と錘取り付け部22が一体的に形成されることで、遠投カゴ20全体が空中での先端側(水中では、
図4及び
図5に示すように下側)から見て突起部分が無くなめらかな形状の略円筒形に構成されている。また、浮釣り遠投カゴ(内蓋式)20には、カゴ本体24の内周面に摺動可能に取り付けられ、錘取り付け部22側に摺動することでカゴ本体24の開口部24Bを閉じ、その反対側に摺動することで開口部24Bを開ける円筒形の開閉蓋(内蓋方式)28が設けられている。更に、カゴ本体24には、浮釣り遠投カゴ20が着水して水中に沈んでいく際に、カゴ本体24内の空気を放出すると共に周囲の水をカゴ本体24内に漸次取り込む空気穴24Hが形成されている。また、開閉蓋28は水に対する浮力構造を有するように、水に浮く素材で形成されている。尚、
図4及び
図5に示すように、カゴ本体24には、第1の実施形態のストッパ19に相当するものは設けられていないが、開閉蓋28は、カゴ本体24の円筒形部の略半分弱の長さに形成されているので、浮力により水中で上側にスライドしても、
図5に示すように、カゴ本体24の円錐形に変化する部分に閊える(突き当たって上に進めなくなる)ことで停止される。以上により、本発明の第2の実施形態の重要な特徴の2つ目として、空気穴24Hを介してカゴ本体24内に水が取り込まれてカゴ本体24内の内圧と外圧としての水圧が均衡に達した時に、上記の浮力構造により開閉蓋28が上側に摺動することで開口部24Bを開くように構成されている。以上の構成の浮釣り遠投カゴ(外蓋式)20が、
図4及び
図5に示すように、連結具21の一端側にクッションゴム25を介して取り付けられる。尚、連結具21の他端側の連結環(輪)21aには、例えば、図示しない天秤が接続される等、その余の仕掛けの構成は、第1の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。尚、クッションゴム25は、遠投時や着水時に浮釣り遠投カゴ20と図示しない天秤等との間にかかる衝撃を和らげる役目を果たすのも、第1の実施形態と同様である。
【0020】
本発明の第2の実施形態の浮釣り遠投カゴ(内蓋式)20は以上のように構成され、特に、その重要な特徴の1つ目として、空中での先端側(水中では、
図4及び
図5に示すように下側)から後端側(水中では、
図4及び
図5に示すように上側)に向かって、突起部分が無くなめらかな形状の略円筒形に構成されている。従って、遠投し着水する前の空中において、突起部分が空気抵抗を受けることで開閉蓋が開いてしまう虞が無くなる。また、空中での先端側から後端側に向かって突起部分が無くなめらかな形状の略円筒形に構成されているので、空中で風を受けて生じる乱流が開閉蓋28部分を巻き込んで後端側にスライドさせてしまう虞が少なくなる。この結果、遠投し着水する前の空中で開閉蓋28が後端側にスライドして餌が放出されてしまうのを防止し易い構造となっている。また、水中での下側から上側に向かって突起部分が無くなめらかな形状の略円筒形に構成されているので、着水後魚の棚まで届く前の途中で、突起部分が水の抵抗を受けることで開閉蓋が開いてしまう虞が無く、水流が開閉蓋28部分を巻き込んで上側にスライドさせてしまう虞が少なくなる。この結果、浮釣り遠投カゴ(内蓋式)20は、着水後魚の棚まで届く前の途中で餌が放出されてしまうのを防止し易い構造にもなっている。更に、その重要な特徴の2つ目として、浮釣り遠投カゴ(内蓋式)20では、空気穴24Hを介してカゴ本体24内に水が取り込まれてカゴ本体24内の内圧と外圧としての水圧が均衡に達した時に、開閉蓋28の浮力構造により上側に摺動することで開口部24Bを開くように構成されているので、着水後魚の棚まで届く前の短時間に餌が放出されてしまうのを防止し易く、魚の棚まで届いてから餌を放出し易い構造にもなっている。尚、第2の実施形態の浮釣り遠投カゴ(内蓋式)20においても、開閉蓋28(内蓋方式)は指で押さえて、くるくる回すことができ、また、浮釣り遠投カゴ20を逆さにすれば開閉蓋28が自重により反対側に落下するようになっている。従って、浮釣り遠投カゴ20を手元まで一旦回収し、再度コマセ等を詰めて遠投しようとする場合、仮にコマセ等の残餌が開閉蓋28の外周面とカゴ本体24の内周面との間に詰まっていても、開閉蓋28をくるくる回し、或いは浮釣り遠投カゴ20を逆さにしたりして、詰まった残餌を落としたり、水洗いし易くなっている。尚、変形例として、カゴ本体24を上下略半分ずつの2分割に構成し、一方の端部(上下で言う中央側)を他方の端部(上下で言う中央側)に圧入することで一体化するようにしても良い。この場合、上側の半分と下側の半分の材質や色を変えても良い。例えば、上側の半分を透明の樹脂で形成し、先端に錘取り付け部22が形成された下側の半分に圧入することで一体化するようにしても良い。このように上側の半分を透明の樹脂で形成すると、コマセ等の餌収納部24A内への詰め具合を外部から観察することができるので、便利である。
【0021】
以上のように、本発明の浮釣り遠投カゴは、餌収納部を含むカゴ本体と、カゴ本体の外周面又は内周面を摺動可能な開閉蓋と、錘取り付け部とを備え、前記錘取り付け部と、カゴ本体と、カゴ本体を閉じた状態の開閉蓋とは、遠投カゴ全体の先頭側から見て、より径の大きくなる突起部分が無いか、又はなめらかに一体化された略円筒形状に構成されているので、(a)カゴ本体と錘取り付け部は、遠投時の空気抵抗等により開閉蓋が開いてしまうことが少ないので、遠投時に撒き餌がバラけない、(b)水中で遠投カゴ内の内圧と外圧(水圧)で水圧の差が生じるので、その水圧差が無くなるまで開閉蓋が開かないで、魚の棚等に達し内圧と外圧としての水圧が均衡に達した時に前記浮力構造により開閉蓋が上側に摺動して餌収納部を開くので、効果的な撒き餌が可能である。また、上記実施形態として、(c)針から餌が外れにくいという効果や、(d)開口が大きめなので餌を収納し易いという効果も得られる。従って、初心者を含む万人にとって、遠投し着水する前の空中や着水後魚の棚まで届く前の途中で餌が放出されてしまうのを防止し易く、魚の棚まで届いてから餌を放出し易い浮釣り遠投カゴが得られる。尚、空気穴14Hや24Hを設ける位置、その個数、及びその大きさは、図面中に示したものに限られず、任意の位置、個数及び大きさに設けることができる。
【0022】
尚、本願明細書において、「空中での先端側(水中での下側)」とは、錘取り付け部12が形成されている
図1乃至
図3における下側である。これに対し、連結環(輪)11aが形成されている
図1乃至
図3における上側が「空中での後端側(水中での上側)」になる。即ち、投げ釣りの当業者であれば自明のように、連結環(輪)11aに(一例では、図示しない天秤を介するとしても)釣り竿から伸長する道糸側が接続されるのであり、従って、連結環(輪)11aが形成されている
図1乃至
図3における上側が釣り竿から伸長する道糸に近い側、ひいては釣り竿及び釣り人の利き腕に近い側になる。本発明の浮釣り遠投カゴは、投げ釣りで用いるので、釣り人が利き腕側(及び反対側の)手で釣り竿の基端側を把持し、肩より後ろ側におもいきり引いてから前方側に勢いよく釣り竿を倒す動作により、道糸に繋がれた浮釣り遠投カゴを遠くに投げるのであり、従って、釣り竿から伸長する道糸側が接続される連結環(輪)11aが形成されている
図1乃至
図3における上側が、投げた後の空中では後端側に、錘取り付け部12が形成されている(錘が付いた)
図1乃至
図3における下側が、投げた後の空中では先端側になる。物理の法則からも、錘取り付け部12が形成されている(錘が付いた)
図1乃至
図3における下側が着水時とその後の水中では下側になり沈下していくことも自明である。尚、一例として天秤を使用する場合でも、当業者には自明にように、天秤の重量及び構造から、以上の先端側と後端側の関係を逆転させるようなものではない。また、「・・・錘取り付け部12の環状周縁部12cには、
図1及び
図2に示すように、糸通し溝17が形成されている。」と記載されているが、この糸通し溝17は、上述した天秤とは異なる使い方として、生餌となる魚等が付けられた釣針が接続された糸(ハリス)が通される溝になるのは、勿論である。
【符号の説明】
【0023】
10 浮釣り遠投カゴ(外蓋式)、 11 連結具、 11a 連結環(輪)、12 錘取り付け部、 12B 上面部、 12a 錘、12c 環状周縁部、14 カゴ本体、 14A 餌収納部、 14B 開口部、 14H 空気穴、15 クッションゴム、16 溝、 17 糸通し溝、18 開閉蓋(外蓋方式)、19 ストッパ、 20 浮釣り遠投カゴ(内蓋式)、 21a 連結環(輪)、22 錘取り付け部、22a 錘、 24 カゴ本体、24A 餌収納部、24B 開口部、24H 空気穴、25 クッションゴム、28 開閉蓋(内蓋方式)