(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】配線接続検査方法及び配線接続検査システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/55 20200101AFI20240902BHJP
【FI】
G01R31/55
(21)【出願番号】P 2021212626
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390025623
【氏名又は名称】共立電気計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】弓山 直樹
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-143913(JP,A)
【文献】特開2003-066089(JP,A)
【文献】特開2019-086321(JP,A)
【文献】特開2012-255712(JP,A)
【文献】米国特許第5521491(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用三相交流電源と接続される活電線と中性線と接地線とを含む
三相商用電力ラインの基端側と、前記
三相商用電力ラインの屋内引込配線側と、における配線接続の正誤を検査する配線接続検査方法において、
前記
三相商用電力ラインで供給される
前記商用
三相交流電源の
任意の相の電圧波形におけるゼロクロス点を基準として、前記商用
三相交流電源の周波数を6n倍(nは任意の自然数)した周波数で基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成ステップと、
前記基準クロック信号に同期した交流電圧信号を検査用信号として生成する検査用信号生成ステップと、
前記検査用信号を、前記
三相商用電力ラインの前記基端側における前記中性線または前記接地線のいずれか一方に注入する検査用信号注入ステップと、
前記
三相商用電力ラインで供給される前記商用
三相交流電源の
任意の相の電圧波形におけるゼロクロス点を基準として、前記基準クロック信号と同期した同周波数の同期クロック信号を生成する同期クロック信号生成ステップと、
前記屋内引込配線側における前記中性線と前記接地線との間の電圧信号から商用
三相交流電源周波数帯域のノイズを除去して、前記検査用信号に基づく周波数成分を抽出した抽出信号を取得する抽出信号取得ステップと、
前記抽出信号取得ステップにて取得した前記抽出信号と、前記同期クロック信号生成ステップにて生成した前記同期クロック信号との極性が、同一サイクル内で一致しているか否かに基づいて、前記中性線と前記接地線との配線接続の正誤を判定する配線接続判定ステップと、
前記配線接続判定ステップによる判定結果を報知する検査結果報知ステップと、
を行うことを特徴とする配線接続検査方法。
【請求項2】
商用三相交流電源と接続される活電線と中性線と接地線とを含む
三相商用電力ラインの基端側と、前記
三相商用電力ラインの屋内引込配線側と、における配線接続の正誤を検査する配線接続検査システムにおいて、
前記
三相商用電力ラインの前記基端側にて用いる第1装置と、前記
三相商用電力ラインの前記屋内引込配線側にて用いる第2装置とから成り、
前記第1装置は、
前記
三相商用電力ラインで供給される
前記商用
三相交流電源の
任意の相の電圧波形におけるゼロクロス点を基準として、前記商用
三相交流電源の周波数を6n倍(nは任意の自然数)した周波数で基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成手段と、
前記基準クロック信号に同期した交流電圧信号を検査用信号として、前記
三相商用電力ラインの前記中性線または前記接地線のいずれか一方に注入する検査用信号注入手段と、
を備え、
前記第2装置は、
前記
三相商用電力ラインで供給される前記商用
三相交流電源の
任意の相の電圧波形におけるゼロクロス点を基準として、前記基準クロック信号と同期した同周波数の同期クロック信号を生成する同期クロック信号生成手段と、
前記屋内引込配線側における前記中性線と前記接地線との間の電圧信号から商用
三相交流電源周波数帯域のノイズを除去して、前記検査用信号に基づく周波数成分を抽出した抽出信号を取得する抽出信号取得手段と、
前記抽出信号取得手段により取得した前記抽出信号と、前記同期クロック信号生成手段により生成した前記同期クロック信号との極性が、同一サイクル内で一致しているか否かに基づいて、前記中性線と前記接地線との配線接続の正誤を判定する配線接続判定手段と、
前記配線接続判定手段による判定結果を報知する検査結果報知手段と、
を備える、
ことを特徴とする配線接続検査システム。
【請求項3】
前記第2装置の前記配線接続判定手段は、
前記同期クロック信号を用いて前記抽出信号を同期整流することにより整流信号とする同期整流回路と、
前記整流信号を積分して判定用直流電圧信号を生成する積分回路と、
前記判定用直流電圧信号による測定電圧値と、予め定めた判定基準電圧値とを比較することに基づいて、前記中性線と前記接地線との配線接続の正誤を判定する判定回路と、
で構成したことを特徴とする請求項2に記載の配線接続検査システム。
【請求項4】
前記第1装置の前記検査用信号注入手段は、前記
三相商用電力ラインの前記中性線より前記検査用信号を注入するものとし、
前記第2装置の前記抽出信号取得手段は、前記接地線の電位を基準とした前記中性線の電位の変化である検出電圧信号に基づいて前記抽出信号を取得するものとし、
前記第2装置の前記同期整流回路は、前記同期クロック信号のオフ時またはオン時に前記抽出信号を反転させる全波整流により、正極側もしくは負極側が反転された前記整流信号にするものとし、
前記第2装置の前記判定回路は、前記判定用直流電圧信号による前記測定電圧値が前記判定基準電圧値よりも高い場合に前記中性線と前記接地線との配線接続を正常と判定し、前記判定用直流電圧信号による前記測定電圧値が前記判定基準電圧値よりも低い場合に前記中性線と前記接地線との配線接続を誤りと判定するものとしたことを特徴とする請求項3に記載の配線接続検査システム。
【請求項5】
前記第2装置の前記配線接続判定手段は、前記中性線と前記接地線との配線接続の正誤を判定不能であった場合、前記同期クロック信号生成手段により、前記同期クロック信号の位相を90度進ませ
た補正同期クロック信号を生成させるようにしたことを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の配線接続検査システム。
【請求項6】
検査対象の配線は、前記屋内引込配線側の前記中性線と前記接地線が接続される接地線極E付きコンセントへの接続配線とし、
前記第2装置には、前記接地線極E付きコンセントの活電線極Lと中性線極Nと接地線極Eに、それぞれ差し込まれる栓刃を設けたことを特徴とする請求項2~請求項5のいずれか1項に記載の配線接続検査システム。
【請求項7】
検査対象の配線は、前記屋内引込配線側の分電盤とし、
前記第2装置には、前記分電盤内の配線と接触可能な接触端子を設けたことを特徴とする請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の配線接続検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活電線と中性線と接地線とを含む商用電力ラインの基端側と、該商用電力ラインの屋内引込配線側と、における配線接続の正誤を検査する配線接続検査方法及びこの方法を適用した配線接続検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
社団法人日本電気協会より発行の内線規程によれば、電気洗濯機,電子レンジ,電気冷蔵庫等の水気を帯びる家電製品の電源コンセントについて、接地線極E付きコンセントの使用が義務的事項として明記されている。
【0003】
接地線極E付きコンセントは、一般的に、商用電源ラインに含まれる柱上トランスTRの二次側と接続される活電線極L及び中性線極Nと、アースに接続される接地線極Eの3つの端子を備えている。接地線の露出導電性部分を大地に直接接続するT-T接地の場合、中性線極NにはB種接地(系統接地)工事が適用され、接地線極EにはD種接地(機器接地)工事が適用される。
【0004】
また、高層ビル等のように階ごとの独立接地が困難な状況では、接地線の露出導電性部分を電力系統の接地点へ接続するT-N接地方式が採られる。このT-N接地方式の場合、接地線極E付きコンセントは、商用電源ラインに含まれる柱上トランスTRの二次側と接続される活電線極L及び中性線極Nと、中性極Nの基端側と共用接地極にて大地に接続されている接地線極Eとの3つの端子を備えている。この場合、共用接地工事及び構造体利用接地工事が適用される。
【0005】
商用電力ラインにおいて、配線間や対接地間、あるいは配電線に接続された電気機器等に漏電が生じると、人体等に対する安全性の確保が困難になるだけでなく、火災等の発生原因にも繋がり、危険である。そこで、分電盤内の漏電遮断器(ELCB:Earth Leakage Circuit Breaker、GFCI:Ground Fault Circuit Interrupter等)を介して、活電線極L及び中性線極Nを屋内に引き込むことで漏電の検出を行い、漏電検出時には活電線極L及び中性線極Nを遮断して、安全を図れるようになっている。
【0006】
上述したような商用電力ラインの活電線極L、中性線極N、接地線極Eからなる3種類の配線を、受配電盤や分電盤を介して電源コンセントまで敷設配線する工事において、中性線極Nと接地線極Eとの逆接続、中性線極Nと接地線極Eとを一緒に結線する等の電源配線の接続ミスをすることがある。
【0007】
このような電源配線の接続ミスを見過ごしたまま使用すると、分電盤に設けられている漏電遮断器による電源遮断が発生するおそれがある。漏電遮断器が作動すると、配線への給電が即座に断たれるため、これによる停電は需要家に大きな影響(例えば操業の停止等)を及ぼすことになる。よって、商用電力ラインにおいて、電源配線の接続確認や完成検査を行うときに、漏電遮断器の遮断を招かないことが極めて重要である。
【0008】
また、商用電力ラインにおいて敷設確認や完成検査を行うために、商用電力ラインの基端側(柱上トランスTRの二次側など)の配線設備と、屋内引込配線末端側の電源コンセントとの電気的導通を確認する方法を用いる場合がある。この場合、基端側と末端側(電源コンセント側)、両方の状態を確認する必要がある。例えば、電源コンセント側で敷設確認や完成検査を行う場合、基端側の測定状態を知っておく必要があるので、基端側測定器に無線送信機能等を設けておき、基端側の測定結果を電源コンセント側へ送信して、作業者に知らせるといった工夫が必要になる。しかし、高層ビル等では基端側が地下にあるとともに各階がコンクリート等で遮断されている状態のため、無線送信機能等では基端側の測定状態を電源コンセント側の作業者へ知らせることが困難な場合もある。
【0009】
また、昨今は、電力線を通信回線として用いる電力線搬送通信も実用化されているので、基端側から電源コンセント側へ電力線を介して通信を行うことも可能である。しかしながら、電力線搬送通信を行うには、電源配線の敷設そのものが正しく行われていることが前提となるため、電源配線の接続ミスがあった場合、基端側の測定状態を電源コンセント側の作業者へ知らせることはできない。
【0010】
そのため、このような現場では基端側と電源コンセント側との両方に作業者を配置して検査を行っており、作業性及び効率が大幅に低下してしまう。
【0011】
そこで、誤配線の有無を判定する配線チェッカーも提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この配線チェッカーは、活電線極Lに接続されるべき電圧側栓刃、中性線極Nに接続されるべき中性極栓刃及び接地線極Eに接続されるべき接地線栓刃の3つの栓刃を備える。そして、電圧側栓刃と中性極栓刃との間に、高抵抗素子RHと低抵抗素子RLとを直列に含む抵抗回路を接続するとともに低抵抗素子RLの両端間に電圧計を接続し、接地線栓刃をスイッチSW1を介して低抵抗素子RLの低電位側に接続する。スイッチSW1をオンにしたときの電圧計の測定電圧Vonと、スイッチSW1をオフにしたときの電圧計の測定電圧Voffとにより(即ち、接地抵抗の差分の電圧が発生するか否かにより)、誤配線の有無を判定できる。
【0012】
また、基端側に検査用機器を用いるものの、基端側の測定状態を電源コンセント側へ知らせることなく配線接続状態を判定できる配線接続判定装置も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この配線接続判定装置は、電源配線の基端側で接地線Gに短絡された中性線に発信器からの単発正負のパルス性電圧信号をトランス接続部を介して注入し、末端側の三端子コンセントの中性端子nと接地端子gとの間の信号を判定器で検出する。検出した信号の極性が注入した信号と同一なら端子n,gに配線N,Gが正しく接続されていると判定でき、逆の場合には各々の接続が逆であると判定できる。
【0013】
さらに、接地工事の方式に制限されずに、漏電遮断器を作動させることなく、配線接続の正誤判定を行える配線チェッカーも提案されている(例えば、特許文献3を参照)。この配線チェッカーは、親機と子機とからなり、親機は、商用交流電源電圧波形のゼロクロス点を注入開始位置とする検査用信号を、基端側から中性線Nに注入する。子機は、電源コンセントのN-E間電圧から、親機で注入した検査用信号の周波数成分のみを抽出して抽出信号を生成するとともに、電源コンセントのL-N間から商用交流電源電圧波形のゼロクロス点を発振開始位置として生成した同期クロック信号に基づいて、抽出信号を同期整流し、その後積分して生成した判定用直流電圧信号の電圧値が、判定基準電圧値より高いか低いかで中性線と接地線との配線接続の正誤を判定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2012-173023号公報
【文献】特開平6-6916号公報
【文献】特開2020-143913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された配線チェッカーをT-T接地方式の商用電源ラインの配線検査に用いる場合、接地抵抗Reが小さいと、接地抵抗による電圧の差分も小さくなるため、コンセントの誤配線の有無を精度よく正確に判定することは困難である。さらに、特許文献1に記載された配線チェッカーをT-N接地方式の商用電源ラインの配線検査に用いる場合、接地抵抗による電圧の差分はほぼ無くなるため、コンセントの誤配線の有無を判定することはできない。
【0016】
上記特許文献2に記載された配線接続判定装置は、中性線極Nにトランス接続部を介在させパルス性電圧信号を注入するものであるが、中性線極Nと接地線極Eとの間の電圧信号には、パルス性電圧信号の周波数帯域を含んだ広い周波数帯域にわたる地電圧Veが常に重畳される。このため、ノッチフィルタやローパスフィルタ等を用いて中性線極Nと接地線極Eとの間の電圧信号から地電圧Veの影響を適正に除去し、中性線極Nにトランス接続部を介在させて注入した単発正負のパルス性電圧信号の極性を正確に検出することは困難である。よって、特許文献2に記載された配線接続判定装置を用いても、中性線極Nと接地線極Eとの配線が正しいか逆であるかを精度よく正確に判別することはできない。
【0017】
上記特許文献3に記載された配線チェッカーは、商用交流電源電圧波形のゼロクロス点を基準として親機から、中性線Nに検査用信号を注入するとともに、子機では、同期クロック信号を生成するものであり、接地方式の影響を受けることなく判定が可能である。しかし、親機と子機とを三相4線式及び三相3線式のような商用三相交流電源の配線接続検査に適用する場合、検査用信号に対応した適正な同期クロック信号を生成できない状態がある。具体的には、子機側から親機側または親機側から子機側の各々が商用交流電源電圧波形のゼロクロス点検出に用いている活電線を互いに特定できないために、親機側と子機側とで商用交流電源電圧波形のゼロクロス点検出に用いた活電線が異なっていた状態がこれに当たり、検査用信号と同期クロック信号との位相が各商用交流電源電圧波形の位相差分ずれてしまう。その結果、子機で得られる判定用直流電圧信号の電圧値が変化するため、中性線と接地線との配線接続の正誤を適切に判定することはできない。
【0018】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、新規敷設工事、増設工事等に伴う配線接続の検査に際して、多様な接地方式及び交流送電方式に対応し、漏電遮断器を作動させることなく、配線接続の正誤判定を精度よく正確に、且つ効率よく行える配線接続検査方法及び配線接続検査システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、第1の発明は、活電線と中性線と接地線とを含む商用電力ラインの基端側と、前記商用電力ラインの屋内引込配線側と、における配線接続の正誤を検査する配線接続検査方法において、前記商用電力ラインで供給される商用交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点を基準として、前記商用交流電源の周波数を6n倍(nは任意の自然数)した周波数で基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成ステップと、前記基準クロック信号に同期した交流電圧信号を検査用信号として生成する検査用信号生成ステップと、前記検査用信号を、前記商用電力ラインの前記基端側における前記中性線または前記接地線のいずれか一方に注入する検査用信号注入ステップと、前記商用電力ラインで供給される前記商用交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点を基準として、前記基準クロック信号と同期した同周波数の同期クロック信号を生成する同期クロック信号生成ステップと、前記屋内引込配線側における前記中性線と前記接地線との間の電圧信号から商用交流電源周波数帯域のノイズを除去して、前記検査用信号に基づく周波数成分を抽出した抽出信号を取得する抽出信号取得ステップと、前記抽出信号取得ステップにて取得した前記抽出信号と、前記同期クロック信号生成ステップにて生成した前記同期クロック信号との極性が、同一サイクル内で一致しているか否かに基づいて、前記中性線と前記接地線との配線接続の正誤を判定する配線接続判定ステップと、前記配線接続判定ステップによる判定結果を報知する検査結果報知ステップと、を行うことを特徴とする。
【0020】
上記の課題を解決するために、第2の発明は、活電線と中性線と接地線とを含む商用電力ラインの基端側と、前記商用電力ラインの屋内引込配線側と、における配線接続の正誤を検査する配線接続検査システムにおいて、前記商用電力ラインの前記基端側にて用いる第1装置と、前記商用電力ラインの前記屋内引込配線側にて用いる第2装置とから成り、前記第1装置は、前記商用電力ラインで供給される商用交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点を基準として、前記商用交流電源の周波数を6n倍(nは任意の自然数)した周波数で基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成手段と、前記基準クロック信号に同期した交流電圧信号を検査用信号として、前記商用電力ラインの前記中性線または前記接地線のいずれか一方に注入する検査用信号注入手段と、を備え、前記第2装置は、前記商用電力ラインで供給される前記商用交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点を基準として、前記基準クロック信号と同期した同周波数の同期クロック信号を生成する同期クロック信号生成手段と、前記屋内引込配線側における前記中性線と前記接地線との間の電圧信号から商用交流電源周波数帯域のノイズを除去して、前記検査用信号に基づく周波数成分を抽出した抽出信号を取得する抽出信号取得手段と、前記抽出信号取得手段により取得した前記抽出信号と、前記同期クロック信号生成手段により生成した前記同期クロック信号との極性が、同一サイクル内で一致しているか否かに基づいて、前記中性線と前記接地線との配線接続の正誤を判定する配線接続判定手段と、前記配線接続判定手段による判定結果を報知する検査結果報知手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0021】
また、第2の発明において、前記第2装置の前記配線接続判定手段は、前記同期クロック信号を用いて前記抽出信号を同期整流することにより整流信号とする同期整流回路と、前記整流信号を積分して判定用直流電圧信号を生成する積分回路と、前記判定用直流電圧信号による測定電圧値と、予め定めた判定基準電圧値とを比較することに基づいて、前記中性線と前記接地線との配線接続の正誤を判定する判定回路と、で構成しても良い。
【0022】
また、第2の発明において、前記第1装置の前記検査用信号注入手段は、前記商用電力ラインの前記中性線より前記検査用信号を注入するものとし、前記第2装置の前記抽出信号取得手段は、前記接地線の電位を基準とした前記中性線の電位の変化である検出電圧信号に基づいて前記抽出信号を取得するものとし、前記第2装置の前記同期整流回路は、前記同期クロック信号のオフ時またはオン時に前記抽出信号を反転させる全波整流により、正極側もしくは負極側が反転された前記整流信号にするものとし、前記第2装置の前記判定回路は、前記判定用直流電圧信号による前記測定電圧値が前記判定基準電圧値よりも高い場合に前記中性線と前記接地線との配線接続を正常と判定し、前記判定用直流電圧信号による前記測定電圧値が前記判定基準電圧値よりも低い場合に前記中性線と前記接地線との配線接続を誤りと判定するものとしても良い。
【0023】
また、第2の発明において、前記第2装置の前記配線接続判定手段は、前記中性線と前記接地線との配線接続の正誤を判定不能であった場合、前記同期クロック信号生成手段により、前記同期クロック信号の位相を90度進ませた、または90度遅らせた補正同期クロック信号を生成させるようにしても良い。
【0024】
また、第2の発明において、検査対象の配線は、前記屋内引込配線側の前記中性線と前記接地線が接続される接地線極E付きコンセントへの接続配線とし、前記第2装置には、前記接地線極E付きコンセントの活電線極Lと中性線極Nと接地線極Eに、それぞれ差し込まれる栓刃を設けても良い。
【0025】
また、第2の発明において、検査対象の配線は、前記屋内引込配線側の分電盤とし、前記第2装置には、前記分電盤内の配線と接触可能な接触端子を設けしても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、多様な接地方式及び交流送電方式に対応し、漏電遮断器を作動させることなく、配線接続の正誤判定を精度よく正確に、且つ効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る配線接続検査方法を適用した配線接続検査システムの第1実施形態である配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントまで適正に接続されているT-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図2】第1実施形態に係る配線チェッカーの第1装置である親機の概略構成図である。
【
図3】三相4線式商用交流電源における各相電圧波形と、中性線または接地線に重畳する検査用信号波形との位相関係についての説明図である。
【
図4】(A)は、第1実施形態に係る配線チェッカーの親機から中性線または接地線へ注入する周波数1.8kHzの検査用信号の一例を示す波形図である。(B)は、第1実施形態に係る配線チェッカーの子機が電源コンセントより受信する検出電圧信号の一例を示す波形図である。
【
図5】第1実施形態に係る配線チェッカーの第2装置である子機の概略構成図である。
【
図6】(A)は、
図1の商用電力ラインの配線検査に適用した第1実施形態に係る配線チェッカーにおける商用三相交流電源電圧波形と各商用三相交流電源電圧波形のゼロクロス点と各ゼロクロス点を発振開始の基準位置とした3種類の同期クロック信号CLK-S(1.8kHz)との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、3種類の同期クロック信号CLK-Sの時間軸を、L1基準の同期クロック信号CLK-Sの位相に合わせて拡大して併記した信号波形図である。
【
図7】第1実施形態に係る配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントに誤って接続されている(各電源コンセントの中性線と接地線とが逆に接続されている)T-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図8】(A)は、適正配線された
図1の商用電力ラインの配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL1基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、誤配線された
図7の商用電力ラインの配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL1基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。
【
図9】(A)は、適正配線された
図1の商用電力ラインの配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、誤配線された
図7の商用電力ラインの配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。
【
図10】(A)は、適正配線された
図1の商用電力ラインの配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、誤配線された
図7の商用電力ラインの配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。
【
図11】従来の配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントまで適正に接続されているT-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図12】
図11の商用電力ラインの活電線L1に接続した従来の配線チェッカーの親機から中性線または接地線へ注入する周波数2.5kHzの検査用信号の一例を示す波形図である。
【
図13】(A)は、
図11の商用電力ラインの配線検査に適用した従来の配線チェッカーにおける商用三相交流電源電圧波形と各商用三相交流電源電圧波形のゼロクロス点と各ゼロクロス点を発振開始の基準位置とした3種類の同期クロック信号CLK-S(2.5kHz)との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、3種類の同期クロック信号CLK-Sの時間軸を、L1基準の同期クロック信号CLK-Sの位相に合わせて拡大して併記した信号波形図である。
【
図14】従来の配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントに誤って接続されている(各電源コンセントの中性線と接地線とが逆に接続されている)T-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図15】(A)は、適正配線された
図11の商用電力ラインの配線検査に適用した従来の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL1基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、誤配線された
図14の商用電源ラインの配線検査に適用した従来の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL1基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。
【
図16】(A)は、適正配線された
図11の商用電力ラインの配線検査に適用した従来の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、誤配線された
図14の商用電源ラインの配線検査に適用した従来の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。
【
図17】(A)は、適正配線された
図11の商用電力ラインの配線検査に適用した従来の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、誤配線された
図14の商用電源ラインの配線検査に適用した従来の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。
【
図18】(A)は、適正配線された
図1の商用電力ライン(T-N接地による寄生容量Ceの影響有り)の配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL1基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、適正配線された
図1の商用電力ライン(T-N接地による寄生容量Ceの影響有り)の配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(C)は、適正配線された
図1の商用電力ライン(T-N接地による寄生容量Ceの影響有り)の配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。
【
図19】(A)は、誤配線された
図7の商用電力ライン(T-N接地による寄生容量Ceの影響有り)の配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL1基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(B)は、誤配線された
図7の商用電力ライン(T-N接地による寄生容量Ceの影響有り)の配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。(C)は、誤配線された
図7の商用電力ライン(T-N接地による寄生容量Ceの影響有り)の配線検査に適用した第1実施形態の配線チェッカーにおけるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。
【
図20】第1実施形態に係る配線チェッカーを、三相3線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントまで適正に接続されているT-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図21】第1実施形態に係る配線チェッカーを、三相3線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントに誤って接続されている(各電源コンセントの中性線と接地線とが逆に接続されている)T-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図22】三相3線式商用交流電源における各線間電圧波形と、中性線または接地線に重畳する検査用信号波形との位相関係についての説明図である。
【
図23】第1実施形態に係る配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントまで適正に接続されているT-T接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図24】第1実施形態に係る配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントに誤って接続されている(各電源コンセントの中性線と接地線とが逆に接続されている)T-T接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図25】第1実施形態に係る配線チェッカーを、三相3線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントまで適正に接続されているT-T接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図26】第1実施形態に係る配線チェッカーを、三相3線式の商用三相交流電源が屋内の電源コンセントに誤って接続されている(各電源コンセントの中性線と接地線とが逆に接続されている)T-T接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図27】任意箇所で導通可能な接触端子を備える第2実施形態である配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の分電盤に正しく接続されているT-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図28】第2実施形態に係る配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の分電盤に誤って接続されている(中性線と接地線とが分電盤内で逆に接続されている)T-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図29】第2実施形態に係る配線チェッカーを、三相3線式の商用三相交流電源が屋内の分電盤に正しく接続されているT-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図30】第2実施形態に係る配線チェッカーを、三相3線式の商用三相交流電源が屋内の分電盤に誤って接続されている(中性線と接地線とが分電盤内で逆に接続されている)T-N接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図31】第2実施形態に係る配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の分電盤に正しく接続されているT-T接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図32】第2実施形態に係る配線チェッカーを、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の分電盤に誤って接続されている(中性線と接地線とが分電盤内で逆に接続されている)T-T接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図33】第2実施形態に係る配線チェッカーを、三相3線式の商用三相交流電源が屋内の分電盤に正しく接続されているT-T接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【
図34】第2実施形態に係る配線チェッカーを、三相3線式の商用三相交流電源が屋内の分電盤に誤って接続されている(中性線と接地線とが分電盤内で逆に接続されている)T-T接地方式の商用電力ラインの配線検査に適用する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、配線接続検査方法を適用した配線接続検査システムの概略構成を示す。
【0029】
第1実施形態として示す配線チェッカー1は、配線接続検査システムを構成するもので、商用三相交流電源を含む商用電力ラインの基端側から検査用信号を注入する第1装置としての親機10と、商用三相交流電源を含む商用電力ラインの末端側から検査用信号を抽出する第2装置としての子機20から成る。本発明に係る配線接続検査システムを実施するとき、親機10と子機20は使用する場所が物理的に離れているため、別体(着脱可能な分離構造を含む)として構成する。
【0030】
配線チェッカー1による検査対象の三相4線式商用電力ライン30は、柱上トランスTRの二次側と接続される3本の活電線(第1相L1に接続される第1活電線30L1、第2相L2に接続される第2活電線30L2、第3相L3に接続される第3活電線30L3)及び中性線30N、大地に接続される接地線30Eで構成される。屋内に引き込まれた三相4線式商用電力ライン30は、配電盤50を介して宅内各所の電源コンセント(例えば、第1電源コンセント41、第2電源コンセント42、第3電源コンセント43)に接続される。これら第1~第3電源コンセント41~43は、いずれも接地線極E付きコンセントであり、配電盤50からの接続配線により、第1~第3活電線30L1~30L3のいずれか一本と、中性線30Nと、接地線30Eとが接続される。また、
図1に示す三相4線式商用電力ライン30の接地線30Eにおいては、中性極差込口Nと接地極差込口Eとが基端側の共用接地極にて一つに纏められている接地方式(以下、T-N接地方式という)であり、中性線30Nと接地線30Eとは、ほぼ同電位となるが、線材自体の抵抗成分と三相4線式商用電力ライン30の漏洩電流等によって数ボルトの地電圧Veが生じている場合がある。さらに、屋内における中性線と接地線(例えば、後述する屋内配電用中性線32Nと屋内配電用接地線32E)とを隣接させて配線すると、2線間に寄生容量Ce(
図1中に破線で示す)が生じる場合がある。
【0031】
そして、第1活電線30L1は後述する屋内配線を介して第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続され、活電極差込口Lとなる。第2活電線30L2は後述する屋内配線を介して第2電源コンセント42の活電線用刃受け42Lに接続され、活電極差込口Lとなる。第3活電線30L3は後述する屋内配線を介して第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続され、活電極差込口Lとなる。中性線30Nは後述する屋内配線を介して第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N,42N,43Nにそれぞれ接続され、第1~第3電源コンセント41~43の中性極差込口Nとなる。接地線30Eは後述する屋内配線を介して第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E,42E,43Eにそれぞれ接続され、第1~第3電源コンセント41~43の接地極差込口Eとなる。これら屋内配線の接続が適正に行われていれば、配線接続は正常であるが、これら屋内配線の接続を誤っていれば誤配線となる。
【0032】
屋内配線は、例えば、配電盤50を介して行う。第1活電線30L1は屋内引込み第1活電線31L1を介して配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の基端側端子に接続され、第1活電線用ブレーカ51L1の他方の端子は屋内配電用第1活電線32L1を介して第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続される。第2活電線30L2は屋内引込み第2活電線31L2を介して配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の基端側端子に接続され、第2活電線用ブレーカ51L2の他方の端子は屋内配電用第2活電線32L2を介して第2電源コンセント42の活電線用刃受け42Lに接続される。第3活電線30L3は屋内引込み第3活電線31L3を介して配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の基端側端子に接続され、第3活電線用ブレーカ51L3の他方の端子は屋内配電用第3活電線32L3を介して第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続される。中性線30Nは屋内引込み中性線31Nを介して配電盤50の中性線用ブレーカ51Nの基端側端子に接続され、中性線用ブレーカ51Nの他方の端子は屋内配電用中性線32Nを介して第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nにそれぞれ接続される。接地線30Eは屋内引込み接地線31Eを介して配電盤50の接地用の中継端子52に接続され、接地用の中継端子52は屋内配電用接地線32Eを介して第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eにそれぞれ接続される。
【0033】
本実施形態に係る配線チェッカー1が、第1装置である親機10と第2装置である子機20の連携により行う配線接続検査方法を概説する。先ず、親機10が、商用電力ラインで供給される商用交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点(電圧がプラスからマイナス、あるいはマイナスからプラスに変化する時間軸上の点)を基準として、商用交流電源の周波数を6n倍(nは任意の自然数)した周波数で基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成ステップを行う。次いで、親機10は、基準クロック信号に同期した交流電圧信号を検査用信号として生成する検査用信号生成ステップを行う。次いで、親機10は、検査用信号を、この商用電力ラインの基端側における中性線または接地線のいずれか一方に注入する検査用信号注入ステップを行う。次いで、子機20は、商用電力ラインで供給される商用交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点を基準として、基準クロック信号と同期した同周波数の同期クロック信号を生成する同期クロック信号生成ステップを行う。次いで、子機20は、屋内引込配線側における中性線と接地線との間の電圧信号から商用交流電源周波数帯域のノイズを除去して、検査用信号に基づく周波数成分を抽出した抽出信号を取得する抽出信号取得ステップを行う。次いで、子機20は、抽出信号取得ステップにて取得した抽出信号と、同期クロック信号生成ステップにて生成した同期クロック信号との極性が、同一サイクル内で一致しているか否かに基づいて、中性線と接地線との配線接続の正誤を判定する配線接続判定ステップを行う。最後に、子機20は、配線接続判定ステップによる判定結果を報知する検査結果報知ステップを行う。
【0034】
上記のような配線接続検査方法を実行する配線チェッカー1は、多様な接地方式及び交流送電方式に対応し、漏電遮断器を作動させることなく、中性極差込口Nと接地極差込口Eの配線接続の正誤判定を精度よく正確に、且つ効率よく行うことができる。なお、本実施形態の配線チェッカー1は、中性極差込口Nと接地極差込口Eの配線接続検査機能のみを備えるものとしたが、公知既存の配線チェッカーと同様、活電極差込口Lも含めた接続判定機能を備える構成としても良い。
【0035】
次に、配線チェッカー1の詳細構成について説明する。
【0036】
先ず、配線チェッカー1の親機10は、
図2に示すように、各種の制御及び処理を実行するCPU11と、一定の周波数でクロック信号をCPU11へ出力する発振回路12と、基準クロック信号生成手段13(例えば、CPU11内の機能として構成)と、検査用信号注入手段14と、電源エッジ検出回路15とを備える。
【0037】
電源エッジ検出回路15は、電圧測定コード15Lを配電盤50の第1~第3活電線用ブレーカ51L1~51L3のいずれかの端子に接続し、電圧測定コード15Nを配電盤50の中性線用ブレーカ51Nの端子に接続する。すなわち、配電盤50における第1~第3活電線用ブレーカ51L1~51L3の少なくとも1つの端子と、中性線用ブレーカ51Nの端子とから、商用三相交流電源電圧信号を取得し、商用三相交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点を検出する。
【0038】
基準クロック信号生成手段13は、分周器と、基準クロック信号調整機能とを備え、電源エッジ検出回路15で検出した商用三相交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点を基準にして、基準クロック信号を生成して出力する。具体的には、発振回路12のクロック信号に基づいて、商用三相交流電源周波数を6n倍した周波数にて発振を開始することにより、基準クロック信号CLK-Oが生成され、検査用信号注入手段14へ基準クロック信号CLK-Oが供給される。検査用信号注入手段14は、基準クロック信号CLK-Oに同期した交流電圧信号を検査用信号として屋内引込み中性線31Nから屋内配電用中性線32Nの範囲内の適所または屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲内の適所、いずれかに注入する。なお、検査用信号は、漏電遮断器を作動させない低い電流に抑制しておくことが望ましい。
【0039】
検査用信号注入手段14は、注入電圧波形生成回路14aとトランス接続部14bとから成る。注入電圧波形生成回路14aは、基準クロック信号CLK-Oに同期した交流電圧信号をトランス接続部14bに出力するもので、トランス接続部14bは、注入電圧波形生成回路14aからの注入電圧波形に準じた誘導信号を屋内引込み中性線31Nから屋内配電用中性線32Nの範囲内適所に発生させる。なお、検査用信号注入手段14による検査用信号の注入は、
図1中、破線で示すように、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲内適所に対して行うようにしても構わない。
【0040】
図3は、三相4線式の商用三相交流電源電圧波形L1,L2,L3と、屋内引込み中性線31Nから屋内配電用中性線32Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所に重畳する検査用信号波形との位相関係を示す。三相4線式の商用三相交流電源電圧波形L1,L2,L3は、それぞれの位相が±120°ずつずれている。したがって、第1相の交流電源電圧波形L1の半周期ごとのゼロクロス点を基準(位相0°)として、第2相の交流電源電圧波形L2及び第3相の交流電源電圧波形L3のゼロクロス点(半周期)を見た場合には、第2相の交流電源電圧波形L2のゼロクロス点が位相-120°(+60°)、第3相の交流電源電圧波形L3のゼロクロス点が-60°(+120°)ずれている。
【0041】
そのため、第1~第3相の交流電源電圧波形L1~L3のゼロクロス点は、第1相の交流電源電圧波形L1の半周期を3等分した位置に一致する。これは、第1相の交流電源電圧波形L1の1周期を6等分した位置が第1~第3相の交流電源電圧波形L1~L3のゼロクロス点と一致することを示す。つまり、商用三相交流電源周波数を6n倍した周波数にて発振する基準クロック信号CLK-Oを生成すれば、第1相~第3相の交流電源電圧波形L1~L3のいずれのゼロクロス点を基準に発振を開始したとしても、全て同じ位相状態で基準クロック信号CLK-Oを生成できる。
【0042】
たとえば、
図3に示す基本波L1の6次高調波(商用三相交流電源周波数の6×1倍:n=1)として生成された検査用信号波形は、その発振開始位置が、第1~第3相の交流電源電圧波形L1~L3の各ゼロクロス点と一致している。同様に、基本波L1の12次高調波(商用三相交流電源周波数の6×2倍:n=2)として生成された検査用信号波形及び基本波L1の18次高調波(商用三相交流電源周波数の6×3倍:n=3)として生成された検査用信号波形の発振開始位置も、第1~第3相の交流電源電圧波形L1~L3のゼロクロス点と一致している。したがって、電源エッジ検出回路15が第1~第3相の交流電源電圧波形L1~L3のいずれからゼロクロス点を検出した場合でも、基準クロック信号生成手段13は、同じ位相状態で基準クロック信号CLK-Oを生成でき、検査用信号注入手段14から同じ位相状態で検査用信号を注入できる。
【0043】
図4(A)に、配線チェッカー1の親機10が検出する各相の商用三相交流電源電圧波形と、L1基準のゼロクロス点と、検査用信号波形の一例とを示す。親機10は、電圧測定コード15Lを第1活電線用ブレーカ51L1の端子に接続し、電圧測定コード15Nを中性線用ブレーカ51Nの端子に接続することでL1基準のゼロクロス点を検出して、そのタイミングから検査用信号を注入する。親機10より検査用信号が注入されると、子機20では、
図4(B)に示すようなN-E間電圧信号波形が検出される。このような信号波形となるのは、屋内配電用中性線32Nと屋内配電用接地線32Eとの間に生じる寄生容量Ceと、接地抵抗Reと配電システムの漏洩電流等との影響によって、電源の公称周波数を基準とした広い周波数帯域に及ぶ数ボルトの地電圧VeがN-E間に重畳されるためである。
【0044】
一方、配線チェッカー1の子機20は、
図5に示すように、電源エッジ検出回路21とCPU22と発振回路23と同期クロック信号生成手段24(CPU22内の機能として構成)と抽出信号取得手段25と配線接続判定手段26と検査結果報知手段27とを備える。
【0045】
電源エッジ検出回路21は、第1~第3電源コンセント41~43いずれかの活電極差込口Lと中性極差込口Nとの間の商用三相交流電源電圧波形からゼロクロス点を検出する。CPU22は、子機20の制御及び処理を実行する。発振回路23は、一定周波数のクロック信号をCPU22へ出力する。同期クロック信号生成手段24は、同期クロック信号調整機能を備え、発振回路23のクロック信号を分周して、商用三相交流電源周波数を6n倍した周波数のクロック信号を、電源エッジ検出回路21で検出した商用三相交流電源電圧波形のゼロクロス点を基準にして発振を開始させ、同期クロック信号CLK-Sを生成して配線接続判定手段26に出力する。抽出信号取得手段25は、第1~第3電源コンセント41~43における中性極差込口Nと接地極差込口Eとの間の電圧信号から商用三相交流電源周波数帯域のノイズを除去して、検査用信号に基づく周波数成分を抽出した抽出信号を取得する。配線接続判定手段26は、抽出信号と同期クロック信号との極性が同一サイクル内で一致しているか否かに基づいて、屋内引込み中性線31Nから第1~第3電源コンセント41~43までの屋内配線及び屋内引込み接地線31Eから第1~第3電源コンセント41~43までの屋内配線における配線接続の正誤を判定する。検査結果報知手段27は、配線接続判定手段26による配線接続の判定結果を検査結果として報知する。
【0046】
上記電源エッジ検出回路21は、配線接続の判定対象となる第1~第3電源コンセント41~43の活電線用刃受け41L~43Lに接続される活電線極用栓刃251Lより、活電線極電位送信ライン252Lを介して、活電線極電位を取得する。また、電源エッジ検出回路21は、配線接続の判定対象となる第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続される中性線極用栓刃251Nより、中性線極電位送信ライン252Nを介して、中性線極電位を取得する。電源エッジ検出回路21は、商用三相交流電源電圧波形のゼロクロス点を検出するための判定用ゼロ電位を基準電位としたコンパレータで構成された比較器を備え、取得した活電線極電位と中性線極電位とから商用三相交流電源電圧波形のゼロクロス点を検出する。
【0047】
上記同期クロック信号生成手段24は、分周器と同期クロック信号調整機能とを備え、電源エッジ検出回路21から通知される商用三相交流電源電圧波形のゼロクロス点(あるいはゼロクロス点から一定時間遅延させたタイミング)を基準として、同期クロック信号CLK-Sを生成する。具体的には、基準クロック信号CLK-Oと同じ商用三相交流電源周波数を6n倍した周波数となるように、発振回路23からのクロック信号を分周し、電源エッジ検出回路21によるゼロクロス点検出に基づいて発振を開始することで、同期クロック信号CLK-Sを出力するのである。また、同期クロック信号生成手段24は、同期クロック信号調整機能により、同期クロック信号CLK-Sの位相を90度進ませた、または90度遅らせた補正同期クロック信号CLK-S′を生成できる。補正同期クロック信号CLK-S′の生成は、後述するように、中性線Nと接地線Eの配線が適正な配線状態か、または誤った配線状態か判定不能であった場合に行う。
【0048】
図6(A)に、三相4線式商用三相交流電源電圧波形(50Hz)と、L1~L3各相の商用三相交流電源電圧波形におけるゼロクロス点を発振開始の基準位置とした3種類の同期クロック信号CLK-S(1.8kHz)とを、時間軸を合わせて示す。
図6(B)は、3種類の同期クロック信号CLK-Sを、L1基準の同期クロック信号CLK-Sの位相に合わせて時間軸を拡大し併記した信号波形図である。それぞれの同期クロック信号CLK-Sは、商用交流電源周波数50Hzの6×6倍(n=6)でかつ、商用交流電源周波数60Hzの6×5倍(n=5)である1.8kHzの周波数として生成できる。L1基準で生成した同期クロック信号CLK-S、L2基準で生成した同期クロック信号CLK-S、L3基準で生成した同期クロック信号CLK-Sのいずれも、オン・オフのタイミングが揃っている。なお、
図6に示す同期クロック信号CLK-Sを生成するための発振開始タイミングは、ゼロクロス点ではなく、所定の遅延時間Tdだけ遅らせてある。これは、親機10及び子機20を構成した装置及び制御から生じる各遅延時間Tdを調整するためであり、遅延時間Tdの調整は、同期クロック信号生成手段24が備える同期クロック信号調整機能により行う。
【0049】
上記抽出信号取得手段25は、配線接続の判定対象となる第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続される中性線極用栓刃251Nから中性線極電位送信ライン252Nを介して、中性線極電位を取得する。また、抽出信号取得手段25は、配線接続の判定対象となる第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eに接続される接地線極用栓刃251Eより接地線極電位送信ライン252Eを介して、接地線極電位を取得する。例えば、屋内配電用中性線32Nに検査用信号を注入した場合、抽出信号取得手段25は、屋内引込み接地線31Eの接地線極電位を基準とした中性線極電位の変化を検出電圧信号として受信する。また、抽出信号取得手段25は、商用交流電源周波数を6×n倍を中心周波数とするBPF(バンドパスフィルタ)で構成された帯域通過フィルタを備え、検出電圧信号から商用交流電源周波数帯域のノイズを除去して、検査用信号に基づく周波数成分を抽出した抽出信号を取得する。
【0050】
上記配線接続判定手段26は、同期整流回路26aと反転積分回路26bとA/D変換回路26cと判定回路26d(CPU22内に構築)とを備える。同期整流回路26aは、同期クロック信号生成手段24からの同期クロック信号CLK-Sを基に、抽出信号取得手段25からの抽出信号に対して全波整流を行う。反転積分回路26bは、同期整流回路26aからの信号を積分して判定用直流電圧信号とする。A/D変換回路26cは、反転積分回路26bからの判定用直流電圧信号の電圧値をデジタル信号に変換する。判定回路26dは、A/D変換回路26cからの測定電圧値とメモリ22aに記憶している判定基準電圧値とに基づいて、中性極差込口Nと接地極差込口Eとに対する配線が正常であるか誤りであるかを判定する。
【0051】
同期整流回路26aは、例えば、同期クロック信号CLK-Sのオン(またはオフ)に同期して抽出信号を反転させる全波整流機能を有する。したがって、親機10の検査用信号注入手段14から屋内配電用中性線32Nに注入された検査用信号が、正しく中性線極用栓刃251Nより受信されていれば、抽出信号取得手段25が取得した抽出信号の正極側が同期整流回路26aにて反転された整流信号となる。一方、親機10の検査用信号注入手段14から屋内配電用中性線32Nに注入された検査用信号が誤って接地線極用栓刃251Eに受信されていれば抽出信号取得手段25が取得した抽出信号の極性が反転する。すなわち、屋内配電用中性線32Nから判定対象である第1~第3電源コンセント41~43までの屋内配線及び屋内引込み接地線31Eから判定対象である第1~第3電源コンセント41~43までの屋内配線に誤接続があれば、抽出信号取得手段25が取得した抽出信号の負極側が同期整流回路26aにて反転された整流信号となる。
【0052】
反転積分回路26bは、同期整流回路26aにて全波整流された整流信号を積分して判定用直流電圧信号を生成するものである。したがって、親機10の検査用信号注入手段14から屋内配電用中性線32Nに注入された検査用信号が、正しく中性線極用栓刃251Nより受信されていれば、反転積分回路26bにより正の判定用直流電圧信号が生成される。一方、親機10の検査用信号注入手段14から屋内配電用中性線32Nに注入された検査用信号が誤って接地線極用栓刃251Eに受信されていれば(屋内配電用中性線32Nから判定対象である第1~第3電源コンセント41~43までの屋内配線及び屋内引込み接地線31Eから判定対象である第1~第3電源コンセント41~43までの屋内配線に誤接続があれば)、反転積分回路26bにより負の判定用直流電圧信号が生成される。なお、反転積分回路26bは、一般的な積分回路に置き換えてもよい。一般的な積分回路で反転積分回路26bを構成する場合には、生成した判定用直流電圧信号の正負の極性が逆になるため、これに応じた正誤判定アルゴリズムを判定回路26dに設ければよい。
【0053】
A/D変換回路26cは、反転積分回路26bにて生成されたアナログの判定用直流電圧信号を適宜なサンプリング周波数でデジタル値に変換するものである。なお、同期整流回路26aにて、同期クロック信号CLK-Sのオンに同期して抽出信号の極性をカットする半波整流を行った場合には、反転積分回路26bにより得られる判定用直流電圧信号の絶対値が小さくなるので、A/D変換回路26cによりデジタル値に変換された判定用直流電圧信号の測定電圧値の絶対値も小さくなる。
【0054】
判定回路26dは、A/D変換回路26cにより変換された判定用直流電圧信号の測定電圧値と、メモリ22aに記憶している判定基準電圧値(例えば、0V)とを比較する。測定電圧値が判定基準電圧値よりも高い場合(反転積分回路26bにより正の判定用直流電圧信号が生成された場合)には、中性線Nと接地線Eとの配線接続を正常と判定する。一方、測定電圧値が判定基準電圧値よりも低い場合(反転積分回路26bにより負の判定用直流電圧信号が生成された場合)には、中性線Nと接地線Eとの配線接続を誤りと判定する。
【0055】
なお、判定回路26dにおける配線接続の正誤判定は、必ずしも測定電圧値が判定基準電圧値よりも高い場合を正常、測定電圧値が判定基準電圧値よりも低い場合を誤りと判定するのではない。例えば、親機10の検査用信号注入手段14によって検査用信号を屋内引込み接地線31Eに注入した場合、検査用信号が正しく接地線極用栓刃251Eより受信されていれば、反転積分回路26bにより負の判定用直流電圧信号が生成される。一方、検査用信号が誤って中性線極用栓刃251Nより受信されていれば、反転積分回路26bにより正の判定用直流電圧信号が生成される。この場合、判定回路26dは、測定電圧値が判定基準電圧値よりも低い場合に中性線Nと接地線Eとの配線接続を正常と判定し、測定電圧値が判定基準電圧値よりも高い場合に中性線Nと接地線Eとの配線接続を誤りと判定する必要がある。このように、判定回路26dにおける配線接続の正誤判定は、検査用信号の注入箇所、抽出信号取得手段25や同期整流回路26a等の構成に応じた正誤判定アルゴリズムを判定回路26dに設定しておく必要がある。
【0056】
また、本実施形態の配線チェッカー1においては、子機20のCPU22によって判定回路26dを構成するものとしたので、A/D変換回路26cを設けて判定用直流電圧信号をデジタル値に変換する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、判定回路26dを、コンパレータ等のアナログ回路で構成すれば、反転積分回路26bにより生成された判定用直流電圧信号をそのまま判定回路26dに入力して用いることができる。
【0057】
検査結果報知手段27は、配線接続判定手段26の判定回路26dによる配線接続の判定結果を検査結果として報知するもので、表示パネルやランプ等の可視表示機器、あるいは合成音声出力機能やブザー等の可聴報知機器を用いて構成することができる。
【0058】
次に、配線チェッカー1(親機10及び子機20)による判定動作について、具体的な例を用いて説明する。適正配線である
図1の三相4線式商用電力ラインと対比するため、
図7に、三相4線式商用三相交流電源が屋内の電源コンセントに誤って接続され(各電源コンセントの中性線と接地線とが逆に接続され)、誤配線となっているT-N接地方式の商用電力ラインを示す。
【0059】
図7の配線において、第1活電線用ブレーカ51L1の端子は屋内配電用第1活電線32L1を介して第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続されており、これは適正である。また、第2活電線用ブレーカ51L2の端子は屋内配電用第2活電線32L2を介して第2電源コンセント42の活電線用刃受け42Lに接続されており、これは適正であるる。また、第3活電線用ブレーカ51L3の端子は屋内配電用第3活電線32L3を介して第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続されており、これは適正である。しかし、中性線用ブレーカ51Nの端子は屋内配電用中性線32Nを介して第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eに接続されており、これは誤配線である。また、接地用の中継端子52は屋内配電用接地線32Eを介して第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続されており、これは誤配線である。
【0060】
すなわち、
図7に示す三相4線式商用電力ライン30においては、第1~第3活電線30L1~30L3は、第1~第3電源コンセント41~43の活電線用刃受け41L~43Lにそれぞれ接続されて活電極差込口Lとなり、適正配線であるが、中性線30Nと接地線30Eとは相互に逆の接続となる。具体的には、中性線30Nは第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eに接続されて中性極差込口N(形状と位置は接地極差込口Eのまま)となり、接地線30Eは第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続されて接地極差込口E(形状と位置は中性極差込口Nのまま)となる。このため、配線チェッカー1における子機20の中性線極用栓刃251Nを第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N,42N,43Nに接続すると、屋内配電用接地線32Eと接続されることとなる。同様に、子機20の接地線極用栓刃251Eを第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E,42E,43Eに接続すると、屋内配電用中性線32Nと接続されることとなる。
【0061】
以下では、説明を簡単にするため、
図1に示す三相4線式商用電力ライン30を単に適正配線電源ラインとよび、
図7に示す三相4線式商用電力ライン30を単に誤配線電源ラインとよぶ。
【0062】
配線チェッカー1による配線検査を行う場合、適正配線電源ライン及び誤配線電源ラインのいずれにおいても、先ず、親機10の電圧測定コード15Lを配電盤50の第1~第3活電線用ブレーカ51L1~51L3のいずれかの端子に接続し、電圧測定コード15Nを配電盤50の中性線用ブレーカ51Nの端子に接続する。次いで、商用三相交流電源電圧(AC100V、50Hz)波形L1,L2,L3のいずれかを電源エッジ検出回路15にて取得する。次いで、取得した商用三相交流電源電圧波形L1~L3のゼロクロス点を基準として基準クロック信号CLK-Oを生成し、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて、検査用信号注入手段14から検査用信号を注入する。
【0063】
親機10による検査用信号の注入動作が開始された後、子機20による検査を開始する。子機20では、電源エッジ検出回路21によって第1~第3電源コンセント41~43の活電線用刃受け41L~43L及び中性線用刃受け41N~43Nから電圧信号を得る。なお、子機20を第1電源コンセント41に接続して配線検査を行う場合は、L1-N間電圧信号が得られる。そして、電源エッジ検出回路21は、電圧信号のゼロクロス点を検出する。同期クロック信号生成手段24は、電源エッジ検出回路21から通知されたゼロクロス点の検出タイミングに基づいて発振を開始し、同期クロック信号CLK-Sを生成する。
【0064】
同時に、子機20では、抽出信号取得手段25によって第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43N及び接地線用刃受け41E~43Eから得られるN-E間電圧信号から商用交流電源周波数帯域のノイズ等、不要なノイズ成分を取り除く。これにより、N-E間電圧信号から検査用信号の周波数帯域(1.8kHz)と同じ周波数帯のみを取り出した抽出信号S1を取得する。
図8(A),(B)に示すように、適正配線電源ラインと誤配線電源ラインとで、それぞれ取得した抽出信号S1は、各信号の位相が180゜ずれた信号として取得される。この抽出信号S1は、配線接続判定手段26の同期整流回路26aに入力されて、同期クロック信号CLK-Sに基づく整流処理が行われることで、整流信号S2が生成される。
【0065】
適正配線電源ラインにおいては、
図8(A)に示すように、L1基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路26aにて同期整流することで、正極側のサイクルが反転された整流信号S2となる。一方、誤配線電源ラインにおいては、
図8(B)に示すように、L1基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路26aにて同期整流すると、負極側のサイクルが反転された整流信号S2となる。このようにして得られた整流信号S2は、反転積分回路26bへ供給される。
【0066】
適正配線電源ラインにおいては、
図8(A)に示すように、この整流信号S2を反転積分回路26bにて積分すると、同期クロック信号CLK-Sに対してランダムに極性変動を繰り返す地電圧Veの影響成分を減衰させることができ、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性に準じたほぼ直流のプラス電圧信号になる。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、ほぼ一定のプラス電圧値(測定電圧値)として得られる。したがって、判定回路26dによる判定結果は「適正配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41に誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0067】
一方、誤配線電源ラインにおいては、
図8(B)に示すように、この整流信号S2を反転積分回路26bにて積分すると、同期クロック信号CLK-Sに対してランダムに極性変動を繰り返す地電圧Veの影響成分を減衰させることができ、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性に準じたほぼ直流のマイナス電圧信号になる。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、ほぼ一定のマイナス電圧値(測定電圧値)として得られる。したがって、判定回路26dによる判定結果は「誤配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41に誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0068】
次に、配線チェッカー1によって第2電源コンセント42の配線チェックする場合を説明する。第2電源コンセント42の活電線用刃受け42Lは屋内配電用第2活電線32L2に接続されているので、親機10の電圧測定コード15Lを配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子に接続変更することで、L2基準の検査用信号を親機10から注入すれば良いが、親機10からは、子機20で商用交流電源電圧波形のゼロクロス点検出に用いている活電線を特定できないため、親機10の接続を第2電源コンセント42に合わせて適切に変更することができない。しかしながら、本実施形態の配線チェッカー1は、親機10の電圧測定コード15Lを配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子に接続したまま、L1基準の検査用信号を親機10から注入しても、子機20で適切に配線チェックを行うことができる。
【0069】
図9(A)は、
図1に示す適正配線電源ラインの第2電源コンセント42の配線検査を配線チェッカー1で行った場合に、子機20で得られるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形の一例である。
図9(B)は、
図7に示す誤配線電源ラインの第2電源コンセント42の配線検査を配線チェッカー1で行った場合に、子機20で得られるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形の一例である。
【0070】
適正配線電源ラインにおいては、
図9(A)に示すように、L2基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路26aにて同期整流すると、整流信号S2のように、正極側のサイクルが反転されている。更に、この整流信号S2を反転積分回路26bにて積分すると、同期クロック信号CLK-Sに対してランダムに極性変動を繰り返す地電圧Veの影響成分を減衰させることができ、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性に準じたほぼ直流のプラス電圧信号になる。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、ほぼ一定のプラス電圧値(測定電圧値)として得られる。したがって、判定回路26dによる判定結果は「適正配線」となり、検査対象である第2電源コンセント42に誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0071】
一方、誤配線電源ラインにおいては、
図9(B)に示すように、L2基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路26aにて同期整流すると、整流信号S2のように、負極側のサイクルが反転されている。更に、この整流信号S2を反転積分回路26bにて積分すると、同期クロック信号CLK-Sに対してランダムに極性変動を繰り返す地電圧Veの影響成分を減衰させることができ、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性に準じたほぼ直流のマイナス電圧信号になる。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、ほぼ一定のマイナス電圧値(測定電圧値)として得られる。したがって、判定回路26dによる判定結果は「誤配線」となり、検査対象である第2電源コンセント42に誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0072】
次に、配線チェッカー1によって第3電源コンセント43の配線チェックする場合を説明する。第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lは屋内配電用第3活電線32L3に接続されているので、親機10の電圧測定コード15Lを配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子に接続変更することで、L3基準の検査用信号を親機10から注入すれば良いが、親機10からは、子機20で商用交流電源電圧波形のゼロクロス点検出に用いている活電線を特定できないため、親機10の接続を第3電源コンセント43に合わせて適切に変更することができない。しかしながら、本実施形態の配線チェッカー1は、親機10の電圧測定コード15Lを配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子に接続したまま、L1基準の検査用信号を親機10から注入しても、子機20で適切に配線チェックを行うことができる。
【0073】
図10(A)は、
図1に示す適正配線電源ラインの第3電源コンセント43の配線検査を配線チェッカー1で行った場合に、子機20で得られるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形の一例である。
図10(B)は、
図7に示す誤配線電源ラインの第3電源コンセント43の配線検査を配線チェッカー1で行った場合に、子機20で得られるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形の一例である。
【0074】
適正配線電源ラインにおいては、
図10(A)に示すように、L3基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路26aにて同期整流すると、整流信号S2のように、正極側のサイクルが反転されている。更に、この整流信号S2を反転積分回路26bにて積分すると、同期クロック信号CLK-Sに対してランダムに極性変動を繰り返す地電圧Veの影響成分を減衰させることができ、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性に準じたほぼ直流のプラス電圧信号になる。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、ほぼ一定のプラス電圧値(測定電圧値)として得られる。したがって、判定回路26dによる判定結果は「適正配線」となり、検査対象である第3電源コンセント43に誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0075】
一方、誤配線電源ラインにおいては、
図10(B)に示すように、L3基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路26aにて同期整流すると、整流信号S2のように、負極側のサイクルが反転されている。更に、この整流信号S2を反転積分回路26bにて積分すると、同期クロック信号CLK-Sに対してランダムに極性変動を繰り返す地電圧Veの影響成分を減衰させることができ、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性に準じたほぼ直流のマイナス電圧信号になる。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、ほぼ一定のマイナス電圧値(測定電圧値)として得られる。したがって、判定回路26dによる判定結果は「誤配線」となり、検査対象である第3電源コンセント43に誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0076】
このように、本実施形態に係る配線チェッカー1は、親機10が注入する検査用信号の生成基準とした活電線と、子機20が同期クロック信号CLK-Sの生成基準とする活電線とが異なっていても、適切な配線チェックを行うことが可能である。これは、第1~第3相の交流電源電圧波形L1~L3におけるゼロクロス点を基準として、商用交流電源周波数を6n倍した周波数の基準クロック信号CLK-Oを親機10で生成するとともに、子機20では、基準クロック信号CLK-Oと同じ周波数で同期した同期クロック信号CLK-Sを生成するからである。
【0077】
これに対して、前述した特許文献3に記載の従来技術では、本実施形態の配線チェッカー1と同様な配線チェックを行うことはできない。本実施形態の配線チェッカー1と対比するため、特許文献3に記載の配線チェッカー101による配線チェック動作を説明する。
図11は、三相4線式の商用三相交流電源が屋内の第1~第3電源コンセント41~43まで適正に接続されているT-N接地方式の商用電力ライン30の配線検査を従来の配線チェッカー101で行う場合の接続構成例を示す。なお、従来の配線チェッカー101も、検査用信号を注入する親機1010と、検査用信号を抽出して検査結果を出力する子機1020とから成る。
【0078】
配線チェッカー101の親機1010は、電圧測定コード1015Lを配電盤50における第1~第3活電線用ブレーカ51L1~51L3の端子に接続し、電圧測定コード1015Nを配電盤50における中性線用ブレーカ51Nの端子に接続して商用交流電源電圧信号を取得する。そして、取得した商用交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点を検出し、そのゼロクロス点を発振開始位置として基準クロック信号CLK-O(例えは、周波数2.5kHz)を生成する。そして、生成した基準クロック信号CLK-Oに同期した交流電圧信号を検査用信号として屋内引込み中性線31Nから屋内配電用中性線32Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所に注入する。
図12は、第1活電線用ブレーカ51L1の端子に接続した配線チェッカー101の親機1010から屋内配電用中性線32Nへ注入する周波数2.5kHzの検査用信号の一例を示す波形図である。仮に、電圧測定コード1015Lを第2活電線用ブレーカ51L2の端子に接続した場合、L2基準のゼロクロス点はL1基準のゼロクロス点より-120°位相が遅れ、L2基準の検査用信号の発振開始位置の位相はL1基準の検査用信号の発振開始位置の位相と同期しない。また、電圧測定コード1015Lを第3活電線用ブレーカ51L3の端子に接続した場合、L3基準のゼロクロス点はL1基準のゼロクロス点より+120°位相が進み、L3基準の検査用信号の発振開始位置の位相はL1基準の検査用信号の発振開始位置の位相と同期しない。
【0079】
一方、配線チェッカー101の子機1020は、活電線極用栓刃10251Lと中性線極用栓刃10251Nと接地線極用栓刃10251Eとを備え、第1~第3電源コンセント41~43に接続可能であり、それぞれ活電線極電位送信ライン10252Lと中性線極電位送信ライン10252Nとを介して、商用交流電源電圧信号を取得する。そして、取得した商用交流電源電圧波形におけるゼロクロス点を検出し、そのゼロクロス点を発振開始位置として同期クロック信号CLK-Sを生成する。同時に、子機1020は、それぞれ中性線極電位送信ライン10252Nと接地線極電位送信ライン10252Eとを介して、第1~第3電源コンセント41~43における中性極差込口Nと接地極差込口Eとの間の電圧信号を取得し、商用交流電源周波数帯域のノイズを除去して、検査用信号に基づく周波数成分を抽出した抽出信号を取得する。
【0080】
図13(A)は、従来の配線チェッカー101における三相4線式商用三相交流電源電圧波形と各商用三相交流電源電圧波形のゼロクロス点と各ゼロクロス点を発振開始の基準位置とした3種類の同期クロック信号CLK-S(2.5kHz)との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。
図13(B)は、各同期クロック信号CLK-Sを、L1基準の同期クロック信号CLK-Sの位相に合わせて時間軸を拡大し併記した信号波形図である。三相4線式の商用三相交流電源電圧波形L1,L2,L3は、それぞれの位相が±120°ずつずれている。よって、L1基準の同期クロック信号CLK-Sの発振開始位置を基準(位相0°)とすると、L2基準の同期クロック信号CLK-Sの発振開始位置は-120°遅れており、L3基準の同期クロック信号CLK-Sの発振開始位置は+120°進んだ状態になる。このとき、基準クロック信号CLK-O及び同期クロック信号CLK-Sを、2.5kHzの周波数として生成する従来の配線チェッカー101では、L1基準で生成した同期クロック信号CLK-S、L2基準で生成した同期クロック信号CLK-S、L3基準で生成した同期クロック信号CLK-Sのいずれも、オン・オフのタイミングがずれてしまう。なお、
図13に示す同期クロック信号CLK-Sを生成する発振開始のタイミングは、ゼロクロス点から所定の遅延時間Td′だけ遅らせてある。これは、親機1010及び子機1020を構成した装置及び制御から生じる各遅延時間Td′を調整するためであり、遅延時間Td′は、親機1010により注入された検査用信号と同じ周波数で同期した同期クロック信号CLK-Sを、子機1020が生成するときの発振開始タイミングで調整する。
【0081】
上記のような同期クロック信号CLK-Sを取得する子機1020は、同期クロック信号CLK-Sのオン(またはオフ)に同期して抽出信号を反転させる全波整流機能を有しており、抽出信号の負極側または正極側を反転して整流信号S2とする。この同期整流回路にて全波整流された整流信号を反転積分回路にて積分することで、判定用直流電圧信号S3を生成する。
【0082】
次に、生成されたアナログの判定用直流電圧信号S3は、A/D変換回路により適宜なサンプリング周波数でデジタル値に変換され、判定回路による判定動作に用いられる。判定回路は、A/D変換回路により変換された判定用直流電圧信号の測定電圧値と、メモリに記憶している判定基準電圧値(例えば、0V)とを比較し、測定電圧値が判定基準電圧値よりも高い場合には、適正配線と判定する。一方、測定電圧値が判定基準電圧値よりも低い場合、判定回路は誤配線と判定する。この判定結果が検査結果報知手段により報知される構成となっている。
【0083】
しかしながら、従来の配線チェッカー101では、適正配線である
図11の三相4線式商用電力ラインに対し、親機1010と子機1020とに接続する第1~第3活電線32L1~32L3の組み合わせが異なると、前述したように、検査用信号と同期クロック信号CLK-Sとの位相が、各活電線の位相差分ずれてしまう。その結果、判定用直流電圧信号S3の電圧値に誤差が生じ、配線接続の判定を的確に行えなくなってしまう。これについて詳細を、以下に説明する。
【0084】
先ず、適正配線である
図11の三相4線式商用電力ラインと対比するため、
図14に、三相4線式商用三相交流電源が屋内の電源コンセントに誤って接続されて(各電源コンセントの中性線と接地線とが逆に接続されて)誤配線となっているT-N接地方式の商用電力ラインを示す。
図14における商用電力ライン30の配線検査を従来の配線チェッカー101で行うと、子機1020は、配線接続の判定対象となる第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続される中性線極用栓刃10251Nから中性線極電位送信ライン10252Nを介して、接地線極電位を取得し、配線接続の判定対象となる第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eに接続される接地線極用栓刃10251Eより接地線極電位送信ライン10252Eを介して、中性線極電位を取得することとなる。
【0085】
適正配線電源ラインである
図11の第1電源コンセント41の配線検査では、
図15(A)に示すように、L1基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路にて同期整流すると、整流信号S2のように、正極側のサイクルが反転されている。更に、この整流信号S2を反転積分回路にて積分すると、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性に準じたほぼ直流のプラス電圧信号になる。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路にてデジタル値に変換すると、ほぼ一定のプラス電圧値(測定電圧値)として得られる。すなわち、従来の配線チェッカー101を用いて、適正配線である
図11の三相4線式商用電力ラインを検査するとき、親機1010より商用三相交流電源電圧波形L1のゼロクロス点を発振開始位置として生成した基準クロック信号CLK-Oに同期する検査用信号を屋内配電用中性線32Nに注入して、第1電源コンセント41に子機1020を接続すれば、適正配線であることを判定できる。
【0086】
一方、誤配線電源ラインである
図14の第1電源コンセント41の配線検査では、
図15(B)に示すように、L1基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路にて同期整流すると、整流信号S2のように、負極側のサイクルが反転されている。更に、この整流信号S2を反転積分回路にて積分すると、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性に準じたほぼ直流のマイナス電圧信号になる。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路にてデジタル値に変換すると、ほぼ一定のマイナス電圧値(測定電圧値)として得られる。すなわち、従来の配線チェッカー101を用いて、誤配線である
図14の三相4線式商用電力ラインを検査するとき、親機1010より商用三相交流電源電圧波形L1のゼロクロス点を発振開始位置として生成した基準クロック信号CLK-Oに同期する検査用信号を屋内配電用中性線32Nに注入して、第1電源コンセント41に子機1020を接続すれば、誤配線であることを判定できる。
【0087】
しかしながら、適正配線電源ラインである
図11の第2電源コンセント42の配線検査では、
図16(A)に示すように、L1基準の抽出信号S1に対して約+120°進んだL2基準の同期クロック信号CLK-Sとなる。L1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sとの位相差は、以下のようにして求めることができる。
【0088】
先ず、三相4線式の商用三相交流電源電圧波形L1とL2との位相差-120°に対する時間差を下記の式(1)にて求める。なお、商用交流電源の周波数は50〔Hz〕とする。
【0089】
【0090】
上式(1)で求めた時間差を、抽出信号S1及び同期クロック信号CLK-Sの発振周波数2.5kHzの1周期の時間0.4ms(1/2.5kHz)で除算した下式(2)の剰余から、L1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sとの位相差が下式(3)により求まる。
【0091】
【0092】
【0093】
上式(3)にて求めたように、L1基準の抽出信号S1に対して約+120°進んだL2基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路にて同期整流すると、整流信号S2のように、約+120°進んだ位置のサイクルが反転される。更に、この整流信号S2を反転積分回路26bにて積分すると、判定用直流電圧信号S3のように、極小さい直流のプラス電圧信号になる。計算上の理想状態では、L1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sの位相は+120°進むために、位相差が0°の状態の半分の直流電圧信号として、検査用信号の極性と逆の判定用直流電圧信号S3が生成されるはずである。しかしながら、検証回路の生成誤差により、
図16(A)では、約+90°弱(約-30°の誤差)進んだ状態になっている。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、本来の検査用信号の極性とは異なる電圧値(測定電圧値)を得ることになる。したがって、従来の配線チェッカー101を用いて、適正配線である
図11の三相4線式商用電力ラインを検査するとき、親機1010より商用三相交流電源電圧波形L1のゼロクロス点を発振開始位置として生成した基準クロック信号CLK-Oに同期する検査用信号を屋内配電用中性線32Nに注入して、第2電源コンセント42に子機1020を接続すると、適正配線であることを的確に判定できないのである。
【0094】
一方、誤配線電源ラインである
図14の第2電源コンセント42の配線検査では、
図16(B)に示すように、L2基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路にて同期整流すると、整流信号S2のように、約-120°遅れた位置のサイクルが反転される。更に、この整流信号S2を反転積分回路にて積分すると、判定用直流電圧信号S3のように、極小さい直流のマイナス電圧信号になる。計算上の理想状態では、L1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sの位相は-120°遅れるために、位相差が0°の状態の半分の直流電圧信号として、検査用信号の極性と逆の判定用直流電圧信号S3が生成されるはずである。しかしながら、検証回路の生成誤差により、
図16(B)では、約-90°強(約+30°の誤差)遅れた状態になっている。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、本来の検査用信号の極性とは異なる電圧値(測定電圧値)を得ることになる。したがって、従来の配線チェッカー101を用いて、誤配線である
図14の三相4線式商用電力ラインを検査するとき、親機1010より商用三相交流電源電圧波形L1のゼロクロス点を発振開始位置として生成した基準クロック信号CLK-Oに同期する検査用信号を屋内配電用中性線32Nに注入して、第2電源コンセント42に子機1020を接続すると、誤配線であることを的確に判定できないのである。
【0095】
適正配線電源ラインである
図11の第3電源コンセント43の配線検査では、
図17(A)に示すように、L1基準の抽出信号S1に対して約-120°遅れたL3基準の同期クロック信号CLK-Sとなる。L1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sとの位相差は、以下のようにして求めることができる。
【0096】
先ず、三相4線式の商用三相交流電源電圧波形L1とL3との位相差+120°に対する時間差を下記の式(4)にて求める。
【0097】
【0098】
上式(4)で求めた時間差を、抽出信号S1及び同期クロック信号CLK-Sの発振周波数2.5kHzの1周期の時間0.4ms(1/2.5kHz)で除算した下式(5)の剰余から、L1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sとの位相差が下式(6)により求まる。
【0099】
【0100】
【0101】
上式(6)にて求めたように、L1基準の抽出信号S1に対して約-120°遅れたL3基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路にて同期整流すると、整流信号S2のように、約-120°遅れた位置のサイクルが反転される。更に、この整流信号S2を反転積分回路にて積分すると、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性とは逆のほぼ直流のマイナス電圧信号になる。計算上の理想状態では、L1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sの位相は-120°遅れるため、位相差が0°の状態の半分の直流電圧信号として、検査用信号の極性と逆の判定用直流電圧信号S3が生成されるはずである。しかしながら、検証回路の生成誤差により、
図17では、約-180°(約-60°の誤差)遅れた状態になっている。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、本来の検査用信号の極性とは異なる電圧値(測定電圧値)を得ることになる。したがって、従来の配線チェッカー101を用いて、適正配線である
図11の三相4線式商用電力ラインを検査するとき、親機1010より商用三相交流電源電圧波形L1のゼロクロス点を発振開始位置として生成した基準クロック信号CLK-Oに同期する検査用信号を屋内配電用中性線32Nに注入して、第3電源コンセント43に子機1020を接続すると、適正配線であることを的確に判定できないのである。
【0102】
一方、誤配線電源ラインである
図14の第2電源コンセント42の配線検査では、
図17(B)に示すように、L3基準の同期クロック信号CLK-Sのオン・オフに同期してL1基準の抽出信号S1を同期整流回路にて同期整流すると、整流信号S2のように、約+120°進んだ位置のサイクルが反転される。更に、この整流信号S2を反転積分回路にて積分すると、判定用直流電圧信号S3のように、検査用信号の極性とは逆のほぼ直流のプラス電圧信号になる。計算上の理想状態では、L1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sの位相は+120°進むために、位相差が0°の状態の半分の直流電圧信号として、検査用信号の極性と逆の判定用直流電圧信号S3が生成されるはずである。しかしながら、検証回路の生成誤差により、
図17(B)では、約+180°(約+60°の誤差)進んだ状態になっている。この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換すると、本来の検査用信号の極性とは異なる電圧値(測定電圧値)を得ることになる。したがって、従来の配線チェッカー101を用いて、誤配線である
図14の三相4線式商用電力ラインを検査するとき、親機1010より商用三相交流電源電圧波形L1のゼロクロス点を発振開始位置として生成した基準クロック信号CLK-Oに同期する検査用信号を屋内配電用中性線32Nに注入して、第3電源コンセント43に子機1020を接続すると、誤配線であることを的確に判定できないのである。
【0103】
上記のように、従来の配線チェッカー101では、三相4線式のような商用三相交流電源の電源ラインに対して、親機1010と子機1020のそれぞれを、別々の活電線に接続した場合、判定用直流電圧信号S3の電圧値に誤差が生じるため、中性線と接地線との配線接続の正誤を判定できない。
【0104】
これに対して、本実施形態の配線チェッカー1は、親機10と子機20のそれぞれを、別々の活電線に接続しても、判定用直流電圧信号S3の電圧値に誤差が生じないので、中性線と接地線との配線接続の正誤を的確に判定できる。加えて、本実施形態の配線チェッカー1においては、屋内配電用中性線32Nと屋内配電用接地線32Eとを隣接させて配線した場合のように、2線間に寄生容量Ceの影響が顕著な場合でも、配線接続の正誤判定を的確に行うことが可能である。
【0105】
そこで、寄生容量Ceの影響が有る
図1の適正配線電源ラインに対して、配線チェッカー1で配線接続の正誤判定を行う場合を説明する。
【0106】
図18(A)は、親機10がL1基準の基準クロック信号用いて生成した検査用信号を注入し、子機20が第1電源コンセント41に接続された配線チェッカー1におけるL1基準の抽出信号S1とL1基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。寄生容量Ceの影響により、前述した
図8(A)の信号波形図と異なっているのが分かる。
図18(B)は、親機10がL1基準の基準クロック信号用いて生成した検査用信号を注入し、子機20が第2電源コンセント42に接続された配線チェッカー1におけるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。寄生容量Ceの影響により、前述した
図9(A)の信号波形図と異なっているのが分かる。
図18(C)は、親機10がL1基準の基準クロック信号用いて生成した検査用信号を注入し、子機20が第3電源コンセント43に接続された配線チェッカー1におけるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。寄生容量Ceの影響により、前述した
図10(A)の信号波形図と異なっているのが分かる。
【0107】
図18(A)~(C)示すように、寄生容量Ceの影響が加わると、
図8(A)、
図9(A)、
図10(A)の抽出信号S1に比べて、位相が90進んだ抽出信号S1となる。このため、
図18(A)~(C)に示す判定用直流電圧信号S3のように、ほぼ一定のゼロ電圧値となり、変化しない。この状態では、屋内配電用中性線32Nと屋内配電用接地線32Eの配線が適正な配線状態か誤った配線状態かを、判定回路26dが判定できない。このような判定不能の場合、判定回路26dから同期クロック信号生成手段24へ、同期クロック信号CLK-Sの位相を90度進ませる指示を出す。これにより、同期クロック信号生成手段24から同期整流回路26aには、同期クロック信号CLK-Sの位相を90度進ませた補正同期クロック信号CLK-S′が供給されるようになる。同期整流回路26aが補正同期クロック信号CLK-S′を用いて抽出信号S1の同期整流を行うと、
図8(A)、
図9(A)、
図10(A)に示す判定用直流電圧信号S3と同様に、主に正極側のサイクルが反転される。すなわち、寄生容量Ceの影響で判定不能となる場合には、補正同期クロック信号CLK-S′を用いることで、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3を得られる。したがって、配線チェッカー1により、適正配線である
図1の三相4線式商用電力ラインを検査するとき、寄生容量Ceの影響が強い場合には、補正同期クロック信号CLK-S′を用いることで、適正配線であることを的確に判定できる。
【0108】
次に、寄生容量Ceの影響が有る
図7の誤配線電源ラインに対して、配線チェッカー1で配線接続の正誤判定を行う場合を説明する。
【0109】
図19(A)は、親機10がL1基準の基準クロック信号用いて生成した検査用信号を注入し、子機20が第1電源コンセント41に接続された配線チェッカー1におけるL1基準の抽出信号S1とL1基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。寄生容量Ceの影響により、前述した
図8(B)の信号波形図と異なっているのが分かる。
図19(B)は、親機10がL1基準の基準クロック信号用いて生成した検査用信号を注入し、子機20が第2電源コンセント42に接続された配線チェッカー1におけるL1基準の抽出信号S1とL2基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。寄生容量Ceの影響により、前述した
図9(B)の信号波形図と異なっているのが分かる。
図18(C)は、親機10がL1基準の基準クロック信号用いて生成した検査用信号を注入し、子機20が第3電源コンセント43に接続された配線チェッカー1におけるL1基準の抽出信号S1とL3基準の同期クロック信号CLK-Sと整流信号S2と判定用直流電圧信号S3との時間軸を合わせて併記した信号波形図である。寄生容量Ceの影響により、前述した
図10(B)の信号波形図と異なっているのが分かる。
【0110】
図18(A)~(C)示すように、寄生容量Ceの影響が加わると、
図8(B)、
図9(B)、
図10(B)の抽出信号S1に比べて、位相が90進んだ抽出信号S1となる。このため、
図19(A)~(C)に示す判定用直流電圧信号S3のように、ほぼ一定のゼロ電圧値となり、変化しない。この状態では、屋内配電用中性線32Nと屋内配電用接地線32Eの配線が適正な配線状態か誤った配線状態かを、判定回路26dが判定できない。このような判定不能の場合、判定回路26dから同期クロック信号生成手段24へ、同期クロック信号CLK-Sの位相を90度進ませる指示を出す。これにより、同期クロック信号生成手段24から同期整流回路26aには、同期クロック信号CLK-Sの位相を90度進ませた補正同期クロック信号CLK-S′が供給されるようになる。同期整流回路26aが補正同期クロック信号CLK-S′を用いて抽出信号S1の同期整流を行うと、
図8(B)、
図9(B)、
図10(B)に示す判定用直流電圧信号S3と同様に、主に負極側のサイクルが反転される。すなわち、寄生容量Ceの影響で判定不能となる場合には、補正同期クロック信号CLK-S′を用いることで、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3を得られる。したがって、配線チェッカー1により、誤配線である
図7の三相4線式商用電力ラインを検査するとき、寄生容量Ceの影響が強い場合には、補正同期クロック信号CLK-S′を用いることで、誤配線であることを的確に判定できる。
【0111】
ここまで、配線チェッカー1を用いて三相4線式商用電力ライン30に対する配線検査を行う場合を説明したが、本実施形態に係る配線チェッカー1による配線検査は、その他の商用三相交流電源方式の電源ラインに対しても適用可能である。例えば、適正配線である
図20のような三相3線式商用電力ライン60及び誤配線である
図21のような三相3線式商用電力ライン60にも適用可能である。
【0112】
三相3線式商用電力ライン60は、屋内の配電盤50を介して第1,第3電源コンセント41,43に接続されるものである。例えば、柱上トランスTRの二次側と接続される基端側の第1活電線60L1は、屋内引込み第1活電線61L1を介して配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1に、第3活電線60L3は、屋内引込み第3活電線61L3を介して配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3に接続される。同様に、基端側の中性線60Nは屋内引込み中性線61Nを介して配電盤50の中性線用ブレーカ51Nに、接地線60Eは屋内引込み接地線61Eを介して配電盤50の中継端子52に、それぞれ接続される。
【0113】
適正配線である
図20の配線では、第1活電線用ブレーカ51L1の端子は屋内配電用第1活電線62L1を介して第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続される。第3活電線用ブレーカ51L3の端子は屋内配電用第3活電線62L3を介して第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続される。中性線用ブレーカ51Nの端子は屋内配電用中性線62Nを介して第1,第3電源コンセント41,43の中性線用刃受け41N,43Nに接続される。接地用の中継端子52は屋内配電用接地線62Eを介して第1,第3電源コンセント41,43の接地線用刃受け41E,43Eに接続される。すなわち、三相3線式商用電力ライン60の第1活電線60L1は第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続されて活電極差込口Lとなり、第3活電線60L3は第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続されて活電極差込口Lとなる。同様に、屋内引込み中性線61Nは第1,第3電源コンセント41,43の中性線用刃受け41N,43Nに接続されて中性極差込口Nとなり、屋内引込み接地線61Eは第1,第3電源コンセント41,43の接地線用刃受け41E,43Eに接続されて接地極差込口Eとなる。これが適正な配線状態(適正配線電源ライン)である。
【0114】
一方、誤配線である
図21の配線では、第1活電線用ブレーカ51L1の端子は屋内配電用第1活電線62L1を介して第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続される。第3活電線用ブレーカ51L3の端子は屋内配電用第3活電線62L3を介して第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続される。しかし、中性線用ブレーカ51Nの端子は屋内配電用中性線62Nを介して第1,第3電源コンセント41,43の接地線用刃受け41E,43Eに、接地用の中継端子52は屋内配電用接地線62Eを介して第1,第3電源コンセント41,43の中性線用刃受け41N,43Nに、それぞれ接続される。すなわち、三相3線式商用電力ライン60の第1活電線60L1は第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続されて活電極差込口Lとなり、第3活電線60L3は第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続されて活電極差込口Lとなるが、中性線60Nと接地線60Eは相互に逆の接続となる。具体的には、中性線60Nは第1,第3電源コンセント41,43の接地線用刃受け41E,43Eに接続されて中性極差込口N(形状と位置は接地極差込口Eのまま)となり、接地線60Eは第1,第3電源コンセント41,43の中性線用刃受け41N,43Nに接続されて接地極差込口E(形状と位置は中性極差込口Nのまま)となる。これは誤った配線状態(誤配線電源ライン)である。
【0115】
図22は、上述した三相3線式の商用三相交流電源電圧波形L1,L3と、屋内引込み中性線61Nから屋内配電用中性線62Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて重畳する検査用信号波形との位相関係を示す。三相3線式電源の第2相の交流電源電圧波形L2は接地されて中性線Nとなり、第1相の交流電源電圧波形L1と第3相の交流電源電圧波形L3の位相はそれぞれ+60°ずれている。第1相の交流電源電圧波形L1の半周期ごとのゼロクロス点を基準(位相0°)として、第3相の交流電源電圧波形L3のゼロクロス点(半周期)を見た場合には、第3相の交流電源電圧波形L3のゼロクロス点が-120°(+60°)ずれている。
【0116】
そのため、第3相の交流電源電圧波形L3のゼロクロス点は、第1相の交流電源電圧波形L1の半周期を3等分した位置に一致する。これは、第1相の交流電源電圧波形L1の1周期を6等分した位置が第3相の交流電源電圧波形L3のゼロクロス点と一致することを示す。つまり、商用三相交流電源周波数を6n倍した周波数にて発振する基準クロック信号CLK-Oを生成すれば、第1相の交流電源電圧波形L1及び第3相の交流電源電圧波形L3のいずれのゼロクロス点を基準に発振を開始したとしても、全て同じ位相状態で基準クロック信号CLK-Oを生成できる。
【0117】
たとえば、
図22に示す基本波L1の6次高調波(商用三相交流電源周波数の6×1倍:n=1)として生成された検査用信号波形は、その発振開始位置が、第1,第3相の交流電源電圧波形L1,L3の各ゼロクロス点と一致している。同様に、基本波L1の12次高調波(商用三相交流電源周波数の6×2倍:n=2)として生成された検査用信号波形、基本波L1の18次高調波(商用三相交流電源周波数の6×3倍:n=3)として生成された検査用信号波形のいずれも、その発振開始位置が、第1,第3相の交流電源電圧波形L1,L3のゼロクロス点と一致している。したがって、電源エッジ検出回路15が第1,第3相の交流電源電圧波形L1,L3のいずれからゼロクロス点を検出した場合でも、基準クロック信号生成手段13は、同じ位相状態で基準クロック信号CLK-Oを生成でき、検査用信号注入手段14から同じ位相状態で検査用信号を注入できる。
【0118】
次に、適正配線である
図20に示す三相3線式商用電力ライン60及び誤配線である
図21に示す三相3線式商用電力ライン60の検査を配線チェッカー1により行う場合を説明する。
【0119】
親機10の電圧測定コード15Lは、配電盤50の第1,第3活電線用ブレーカ51L1,L3のいずれかの端子に接続し、電圧測定コード15Nは、配電盤50の中性線用ブレーカ51Nの端子に接続する。親機10による検査用信号の注入は、電源エッジ検出回路15にて取得した商用三相交流電源電圧(AC100V、50Hz)波形のゼロクロス点を基準として基準クロック信号CLK-Oを生成し、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号注入手段14から検査用信号を注入する。この検査用信号が第1,第3電源コンセント41,43に印加され、屋内の第1,第3電源コンセント41,43の中性線用刃受け41N,43Nに中性線極用栓刃251Nを、接地線用刃受け41E,43Eに接地線極用栓刃251Eを、それぞれ接続した子機20によって受信される。
【0120】
子機20による検査が開始されると、子機20は電源エッジ検出回路21によって第1,第3電源コンセント41,43の活電線用刃受け41L,43L及び中性線用刃受け41N,43Nから得られる商用三相交流電源の電圧波形におけるゼロクロス点を検出する。同期クロック信号生成手段24は、電源エッジ検出回路21から通知されたゼロクロス点の検出タイミングを発振開始位置として同期クロック信号CLK-Sを生成する。同時に、子機20の抽出信号取得手段25によって、第1,第3電源コンセント41,43の中性線用刃受け41N,43N及び接地線用刃受け41E,43Eから得られるN-E間電圧信号から商用交流電源電圧周波数帯域のノイズ等、不要なノイズ成分を取り除き、検査用信号の周波数帯域(1.8kHz)の抽出信号S1を取得する。この抽出信号S1は、配線接続判定手段26の同期整流回路26aへ入力される。この同期整流回路26aにて、同期クロック信号CLK-Sに基づく整流処理が行われて、整流信号S2として反転積分回路26bへ供給され、判定用直流電圧信号S3が得られる。上記のようにして得られた判定用直流電圧信号S3は、A/D変換回路26cにてデジタル値(測定電圧値)に変換された後、判定回路26dへ供給される。判定回路26dは、予め定めた判定基準電圧値(例えば、0V)と測定電圧値とを比較し、配線接続の判定を行う。
【0121】
図20に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図20に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み用中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0122】
また、
図20に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合は、
図9(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図20に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み用中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0123】
一方、
図21に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図21に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0124】
また、
図21に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合は、
図9(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図21に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0125】
すなわち、本実施形態の配線チェッカー1を三相3線式商用電力ライン60の検査に用いた場合でも、親機10が検査用信号の生成基準に用いた活電線種別に影響されることなく、第1,第3電源コンセント41,43どちらの配線検査も的確に行うことが可能である。なお、T-N接地方式に起因した寄生容量Ceの影響で判定不能となる場合には、補正同期クロック信号CLK-S′を用いて適切な判定用直流電圧信号S3を得るようにすれば、「適正配線」もしくは「誤配線」の判定を的確に行うことが可能となる。
【0126】
上述した三相4線式商用電力ライン30及び三相3線式商用電力ライン60は、T-N接地方式であったが、本実施形態に係る配線チェッカー1による配線検査は、その他の接地方式の電源ラインに対しても適用可能である。
【0127】
例えば、適正配線である
図23に示す三相4線式商用電力ライン30′及び誤配線である
図24に示す三相4線式商用電力ライン30′は、接地線の露出導電性部分を大地に直接接続するT-T接地方式であり、中性極差込口NにはB種接地(系統接地)工事が適用され、接地極差込口EにはD種接地(機器接地)工事が適用される接地方式である。T-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30′は、屋内の配電盤50を介して第1~第3電源コンセント41~43に接続されるもので、前述した三相4線式商用電力ライン30と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0128】
適正配線である
図23に示す配線では、第1活電線30L1が第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続されて活電極差込口Lとなり、第2活電線30L2が第2電源コンセント42の活電線用刃受け42Lに接続されて活電極差込口Lとなり、第3活電線30L3が第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続されて活電極差込口Lとなる。同様に、屋内引込み中性線31Nが第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続されて中性極差込口Nとなり、屋内引込み接地線31Eが第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eに接続されて接地極差込口Eとなる。これが適正な配線状態(適正配線電源ライン)である。
【0129】
誤配線である
図24に示す配線では、第1活電線30L1が第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続されて活電極差込口Lとなり、第2活電線30L2が第2電源コンセント42の活電線用刃受け42Lに接続されて活電極差込口Lとなり、第3活電線30L3が第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続されて活電極差込口Lとなる。しかしながら中性線30Nは第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eに接続されて中性極差込口N(形状と位置は接地極差込口Eのまま)となり、接地線30Eは第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続されて接地極差込口E(形状と位置は中性極差込口Nのまま)となる。これは誤った配線状態(誤配線電源ライン)である。
【0130】
ここで、T-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30′の検査を配線チェッカー1により行う場合を説明する。
【0131】
図23に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図23に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第2電源コンセント42に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図23に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である第1~第3電源コンセント41~43に誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0132】
また、
図23に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第2電源コンセント42または第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合は、
図9(A)あるいは
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図23に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合も、
図9(A)あるいは
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図23に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41または第2電源コンセント42に接続して検査を行った場合も、
図9(A)あるいは
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である第1~第3電源コンセント41~43に誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0133】
一方、
図24に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図24に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第2電源コンセント42に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図24に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0134】
また、
図24に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第2電源コンセント42または第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合は、
図9(B)あるいは
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図24に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合も、
図9(B)あるいは
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図24に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41または第2電源コンセント42に接続して検査を行った場合も、
図9(B)あるいは
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0135】
すなわち、本実施形態の配線チェッカー1をT-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30′の検査に用いた場合でも、親機10が検査用信号の生成基準に用いた活電線種別に影響されることなく、第1~第3電源コンセント41~43いずれの配線検査も的確に行うことが可能である。
【0136】
上述したT-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30′と同様に、T-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60′に対しても、本実施形態に係る配線チェッカー1による配線検査を適用可能である。
【0137】
例えば、適正配線である
図25に示す三相3線式商用電力ライン60′及び誤配線である
図26に示す三相3線式商用電力ライン60′は、接地線の露出導電性部分を大地に直接接続するT-T接地方式であり、中性極差込口NにはB種接地(系統接地)工事が適用され、接地極差込口EにはD種接地(機器接地)工事が適用される接地方式である。T-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60′は、屋内の配電盤50を介して第1,第3電源コンセント41,43に接続されるもので、前述した三相3線式商用電力ライン60と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0138】
適正配線である
図25に示す配線では、第1活電線60L1が第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続されて活電極差込口Lとなり、第3活電線60L3が第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続されて活電極差込口Lとなる。同様に、屋内引込み中性線61Nが第1,第3電源コンセント41,43の中性線用刃受け41N,43Nに接続されて中性極差込口Nとなり、屋内引込み接地線61Eが第1,第3電源コンセント41,43の接地線用刃受け41E,43Eに接続されて接地極差込口Eとなる。これが適正な配線状態(適正配線電源ライン)である。
【0139】
誤配線である
図26に示す配線では、第1活電線60L1が第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続されて活電極差込口Lとなり、第3活電線60L3が第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続されて活電極差込口Lとなる。しかしながら、中性線60Nは第1,第3電源コンセント41,43の接地線用刃受け41E,43Eに接続されて中性極差込口N(形状と位置は接地極差込口Eのまま)となり、接地線60Eは第1,第3電源コンセント41,43の中性線用刃受け41N,43Nに接続されて接地極差込口E(形状と位置は中性極差込口Nのまま)となる。これは誤った配線状態(誤配線電源ライン)である。
【0140】
ここで、T-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60′の検査を配線チェッカー1により行う場合を説明する。
【0141】
図25に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図25に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0142】
また、
図25に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合は、
図9(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図25に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0143】
一方、
図26に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図26に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0144】
また、
図26に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第3電源コンセント43に接続して検査を行った場合は、
図9(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図26に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20を第1電源コンセント41に接続して検査を行った場合は、
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である第1電源コンセント41または第3電源コンセント43に誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0145】
すなわち、本実施形態の配線チェッカー1をT-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60′の検査に用いた場合でも、親機10が検査用信号の生成基準に用いた活電線種別に影響されることなく、第1,第3電源コンセント41,43どちらの配線検査も的確に行うことが可能である。
【0146】
以上のように、本実施形態に係る配線チェッカー1は、T-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30、T-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60、T-N接地方式の三相4線式商用電力ライン30′、T-N接地方式の三相3線式商用電力ライン60′のいずれにおいても、配電盤50内の漏電遮断器(活電線用ブレーカ51L及び中性線用ブレーカ51N)を作動させることなく、配線接続の正誤判定を精度よく正確に、且つ効率よく行うことができる。また、本実施形態の配線チェッカー1は、親機10と子機20における測定回路の大部分をアナログ回路にて構成しているが、各回路構成をデジタル回路に置き換えて構成するようにしても構わない。
【0147】
なお、上述した実施形態の配線チェッカー1における子機20は、第1~第3電源コンセント41~43に接続するための活電線極用栓刃251Lと中性線極用栓刃251Nと接地線極用栓刃251Eとを備えるので、第1~第3電源コンセント41~43の配線を検査対象にできる。すなわち、配線チェッカー1は、第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43N及び接地線用刃受け41E~43Eが適正配線か誤配線かを判定することが可能である。しかしながら、配線チェッカー1では、商用電力ライン30,30′,60,60′の基端側から第1~第3電源コンセント41~43の間のどこに誤配線があるのかまで知ることはできない。
【0148】
そこで、
図27~
図34に示す第2実施形態の配線チェッカー1′の子機20′には、商用電力ライン30,30′,60,60′内の各配線と接触可能な活電線用接触端子281Lと中性線用接触端子281Nと接地線用接触端子281Eを設け、任意の箇所で配線検査を行えるようにした。以下では、分電盤70内の配線を検査対象として、配線チェッカー1′の機能を説明する。なお、第2実施形態の配線チェッカー1′における親機10は、第1実施形態の配線チェッカー1の親機10と同一構成であるから、説明を省略する。また、第2実施形態の配線チェッカー1′における子機20′の内部機能も第1実施形態の配線チェッカー1の子機20と同一構成であるから、説明を省略する。
【0149】
第2実施形態の配線チェッカー1′を用いれば、屋内引込み第1~第3活電線31L1~31L3や屋内配電用第1~第3活電線32L1~32L3、屋内引込み中性線31Nや屋内配電用中性線32Nの任意箇所に接続して(例えば、配電盤50から配電された分電盤70内の第1~第3活電線用ブレーカ71L1~71L3の端子に活電線用接触端子281Lを接続し、中性線用ブレーカ71Nの端子に中性線用接触端子281Nを接続して)、商用三相交流電源電圧波形のゼロクロス点を子機20′にて検出できる。同様に、屋内引込み中性線31Nや屋内配電用中性線32N、屋内引込み接地線31Eや屋内配電用接地線32Eの任意箇所に接続して(例えば、配電盤50から配電された分電盤70内の中性線用ブレーカ71Nの端子に中性線用接触端子281Nを接続し、接地中継端子72に接地線用接触端子281Eを接続して)、N-E間電圧を子機20′にて取得できる。なお、子機20′に設ける接触端子としての活電線用接触端子281Lと中性線用接触端子281Nと接地線用接触端子281Eとは、テストプローブやテストクリップ等の既製品を用いることができる。また、活電線用接触端子281Lと中性線用接触端子281Nと接地線用接触端子281Eとは、それぞれ線活電線極電位送信ライン282L,中性線極電位送信ライン282N,接地線極電位送信ライン282Eを介して子機20′の電源エッジ検出回路21と抽出信号取得手段25に接続される。これにより、各接触箇所の電圧信号が電源エッジ検出回路21と抽出信号取得手段25にそれぞれ供給される。
【0150】
図27に示すT-N接地方式の商用電力ライン30は適正配線である。屋内配電用第1活電線32L1は、分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1を介して第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続される。屋内配電用第2活電線32L2は、分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2を介して第2電源コンセント42の活電線用刃受け42Lに接続される。屋内配電用第3活電線32L3は、分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3を介して第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続される。屋内配電用中性線32Nは、分電盤70の中性線用ブレーカ71Nを介して第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続される。屋内配電用接地線32Eは、分電盤70の接地中継端子72を介して第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eに接続される。これが適正な配線状態(適正配線電源ライン)である。
【0151】
一方、
図28に示すT-N接地方式の商用電力ライン30は誤配線である。屋内配電用第1活電線32L1は、分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1を介して第1電源コンセント41の活電線用刃受け41Lに接続される。屋内配電用第2活電線32L2は、分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2を介して第2電源コンセント42の活電線用刃受け42Lに接続される。屋内配電用第3活電線32L3は、分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3を介して第3電源コンセント43の活電線用刃受け43Lに接続される。しかしながら、屋内配電用中性線32Nは、分電盤70の接地中継端子72を介して第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eに接続される。屋内配電用接地線32Eは、分電盤70の中性線用ブレーカ71Nを介して第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続される。
【0152】
このため、分電盤70の中性線用ブレーカ71Nから第1~第3電源コンセント41~43へ接続される屋内配電線は屋内配電用接地線32Eとなり、第1~第3電源コンセント41~43の中性線用刃受け41N~43Nに接続されて接地極差込口E(形状と位置は中性極差込口Nのまま)となる。同様に、分電盤70の接地中継端子72から第1~第3電源コンセント41~43へ接続される屋内配電線は屋内配電用中性線32Nとなり、第1~第3電源コンセント41~43の接地線用刃受け41E~43Eに接続されて中性極差込口N(形状と位置は接地極差込口Eのまま)となる。これは不適正な配線状態(誤配線電源ライン)である。
【0153】
上述した
図27、
図28に示すT-N接地方式の商用電力ライン30の配線検査を、第2実施形態の配線チェッカー1′にて行う場合、先ず、親機10より検査用信号を屋内引込み中性線31Nや屋内配電用中性線32N(あるいは、屋内引込み接地線31Eや屋内配電用接地線32E)に注入する。なお、親機10の電圧測定コード15Lは、配電盤50の第1~第3活電線用ブレーカ51L1~51L3のいずれの端子に接続してもよく、接続した第1~第3相L1~L3のいずれかと中性線Nとより取得した商用三相交流電源電圧波形のゼロクロス点を基準として基準クロック信号を生成し、検査用信号を注入する。
【0154】
図27に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図27に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図27に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0155】
また、
図27に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2または第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合は、
図9(A)あるいは
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図27に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1または第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図9(A)あるいは
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図27に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1または第2活電線用ブレーカ71L2に接続して検査を行った場合も、
図9(A)あるいは
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0156】
一方、
図28に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図28に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図28に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0157】
また、
図28に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2または第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合は、
図9(B)あるいは
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図28に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1または第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図9(B)あるいは
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図28に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1または第2活電線用ブレーカ71L2に接続して検査を行った場合も、
図9(B)あるいは
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0158】
すなわち、本実施形態の配線チェッカー1′をT-N接地方式の三相4線式商用電力ライン30の検査に用いた場合、親機10が検査用信号の生成基準に用いた活電線種別に影響されることなく、分電盤70内の配線検査を的確に行うことが可能である。たとえば、配線チェッカー1による第1~第3電源コンセント41~43の検査で誤配線ありと判定され、配線チェッカー1′による分電盤70の検査で誤配線がないと判定された場合には、分電盤70と第1~第3電源コンセント41~43の間で配線ミスが生じていると分かる。なお、第1~第3電源コンセント41~43の検査と分電盤70内の検査を1つの配線チェッカーで行うことができるように、子機20の機能と子機20′の機能を一体に設け、活電線極用栓刃251Lと活電線用接触端子281L、中性線極用栓刃251Nと中性線用接触端子281N、接地線極用栓刃251Eと接地線用接触端子281Eとをそれぞれ取り替えて使い分けるようにすれば、利便性の高いものとなる。また、T-N接地方式に起因した寄生容量Ceの影響で判定不能となる場合には、補正同期クロック信号CLK-S′を用いて適切な判定用直流電圧信号S3を得るようにすれば、「適正配線」もしくは「誤配線」の判定を的確に行うことが可能となる。
【0159】
次に、適正配線である
図29に示すT-N接地方式の三相3線式商用電力ライン60及び誤配線である
図30に示すT-N接地方式の三相3線式商用電力ライン60の検査を第2実施形態の配線チェッカー1′により行う場合を説明する。
図29に示すT-N接地方式の三相3線式商用電力ライン60は、分電盤70内を含めて適正な配線状態(適正配線電源ライン)である。一方、
図30に示すT-N接地方式の三相3線式商用電力ライン60は、分電盤70内の誤配線により屋内配電用中性線62Nと屋内配電用接地線62Eが逆になった不適正な配線状態(誤配線電源ライン)である。
【0160】
図29に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図29に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0161】
また、
図29に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合は、
図9(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図29に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0162】
一方、
図30に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図30に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0163】
また、
図30に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合は、
図9(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図30に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0164】
すなわち、本実施形態の配線チェッカー1′をT-N接地方式の三相3線式商用電力ライン60の検査に用いた場合でも、親機10が検査用信号の生成基準に用いた活電線種別に影響されることなく、分電盤70内の配線検査を的確に行うことが可能である。なお、T-N接地方式に起因した寄生容量Ceの影響で判定不能となる場合には、補正同期クロック信号CLK-S′を用いて適切な判定用直流電圧信号S3を得るようにすれば、「適正配線」もしくは「誤配線」の判定を的確に行うことが可能となる。
【0165】
次に、適正配線である
図31に示すT-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30′及び誤配線である
図32に示すT-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30′の検査を第2実施形態の配線チェッカー1′により行う場合を説明する。
図31に示すT-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30′は、分電盤70内を含めて適正な配線状態(適正配線電源ライン)である。一方、
図32に示すT-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30′は、分電盤70内の誤配線により屋内配電用中性線32Nと屋内配電用接地線32Eが逆になった不適正な配線状態(誤配線電源ライン)である。
【0166】
図31に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図31に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図31に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0167】
また、
図31に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2または第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合は、
図9(A)あるいは
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図31に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1または第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図9(A)あるいは
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図31に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1または第2活電線用ブレーカ71L2に接続して検査を行った場合も、
図9(A)あるいは
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0168】
一方、
図32に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図32に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図32に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0169】
また、
図32に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第2活電線用ブレーカ71L2または第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合は、
図9(B)あるいは
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図32に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第2活電線用ブレーカ51L2の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第2相の交流電源電圧波形L2におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1または第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図9(B)あるいは
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図32に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線32Nから屋内引込み中性線31Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線31Eから屋内配電用接地線32Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1または第2活電線用ブレーカ71L2に接続して検査を行った場合も、
図9(B)あるいは
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0170】
すなわち、本実施形態の配線チェッカー1′をT-T接地方式の三相4線式商用電力ライン30′の検査に用いた場合、親機10が検査用信号の生成基準に用いた活電線種別に影響されることなく、分電盤70内の配線検査を的確に行うことが可能である。
【0171】
次に、適正配線である
図33に示すT-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60′及び誤配線である
図34に示すT-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60′の検査を第2実施形態の配線チェッカー1′により行う場合を説明する。
図33に示すT-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60′は、分電盤70内を含めて適正な配線状態(適正配線電源ライン)である。一方、
図34に示すT-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60′は、分電盤70内の誤配線により屋内配電用中性線62Nと屋内配電用接地線62Eが逆になった不適正な配線状態(誤配線電源ライン)である。
【0172】
図33に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図33に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図8(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0173】
また、
図33に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合は、
図9(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図33に示す適正配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図10(A)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のプラス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「適正配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線は無いという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0174】
一方、
図34に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図34に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合も、
図8(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0175】
また、
図34に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第1活電線用ブレーカ51L1の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第1相の交流電源電圧波形L1におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第3活電線用ブレーカ71L3に接続して検査を行った場合は、
図9(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。同様に、
図34に示す誤配線電源ラインにおいては、親機10が配電盤50の第3活電線用ブレーカ51L3の端子と中性線用ブレーカ51Nの端子とより取得した第3相の交流電源電圧波形L3におけるゼロクロス点を基準として、屋内配電用中性線62Nから屋内引込み中性線61Nの範囲(あるいは、屋内引込み接地線61Eから屋内配電用接地線62Eの範囲)内適所にて検査用信号を注入し、子機20′の活電線用接触端子281Lを分電盤70の第1活電線用ブレーカ71L1に接続して検査を行った場合は、
図10(B)のように、検査用信号の極性に準じた直流値(ほぼ一定のマイナス電圧値)として判定用直流電圧信号S3が得られる。そして、この判定用直流電圧信号S3をA/D変換回路26cにてデジタル値に変換して判定回路26dで判定した結果は「誤配線」となり、検査対象である分電盤70までに誤配線が有るという検査結果が検査結果報知手段27により報知される。
【0176】
すなわち、本実施形態の配線チェッカー1′をT-T接地方式の三相3線式商用電力ライン60′の検査に用いた場合でも、親機10が検査用信号の生成基準に用いた活電線種別に影響されることなく、分電盤70内の配線検査を的確に行うことが可能である。
【0177】
なお、本実施形態の配線チェッカー1及び配線チェッカー1′では、配電盤50を親機10の接続先として説明したが、これに限定されるものではなく、配電盤50から電源コンセントまでの間に配設された分電盤70内に親機10を接続し、第1~第3電源コンセント41~43のいずれかに子機20を接続して配線検査を実施してもよいし、親機10を接続している分電盤70から第1~第3電源コンセント41~43の間に配設された他の分電盤70に子機20′を接続して配線検査を実施してもよい。
【0178】
以上、本発明に係る配線接続検査方法を適用した配線接続検査システムの実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない範囲で、公知既存の等価な技術手段を転用することにより実施しても構わない。
【符号の説明】
【0179】
1 配線チェッカー
10 親機(第1装置)
14 検査用信号注入手段
15 電源エッジ検出回路
20 子機(第2装置)
24 同期クロック信号生成手段
25 抽出信号取得手段
26 配線接続判定手段
27 検査結果報知手段
30 三相4線式商用電力ライン(T-N接地方式)
60 三相3線式商用電力ライン(T-N接地方式)
41 第1電源コンセント
42 第2電源コンセント
43 第3電源コンセント