(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】電極乾燥装置及び電極乾燥方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20240902BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20240902BHJP
F26B 3/30 20060101ALI20240902BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20240902BHJP
F26B 21/06 20060101ALI20240902BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/04 Z
F26B3/30
F26B21/00 A
F26B21/06
G01N21/27 A
(21)【出願番号】P 2022546532
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(86)【国際出願番号】 KR2020015817
(87)【国際公開番号】W WO2022055018
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0116020
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ミ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ジン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・スプ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・チャン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ミョン・ハン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ウン・キム
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-209074(JP,A)
【文献】特開2013-239348(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0084470(KR,A)
【文献】特開2013-178024(JP,A)
【文献】特開2016-186371(JP,A)
【文献】国際公開第2011/104843(WO,A1)
【文献】特開2007-066821(JP,A)
【文献】国際公開第2014/118934(WO,A1)
【文献】特開平11-032600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/139
H01M 4/04
F26B 3/30
F26B 21/00
F26B 21/06
G01N 21/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が乾燥される空間を提供し、熱風ノズルまたは赤外線ヒーターを備えるオーブンと、
前記オーブンの出口に位置し、乾燥された電極に対する電極活物質層の色座標値を一定の標準光源で測定する色座標測定部と、
前記色座標値から電極の乾燥結果を分析し、電極の乾燥不良を判定して、電極の乾燥条件を制御する制御部と、
前記オーブン外部の空気である外気の温度及び湿度を測定する外気状態測定部とを含
み、
前記制御部は、電極が不良として判定された場合に、既存の乾燥条件及び外気の温度と湿度を反映して乾燥条件を再設定し、再設定される乾燥条件は、前記電極の移送速度、前記熱風ノズルから噴射される熱風の温度、熱風の流速及び前記赤外線ヒーターの出力のうちの少なくとも一つを含む、電極乾燥装置。
【請求項2】
前記色座標値は、CIEで規定したL
*a
*b
*色差計を表す変数のうちのL
*である、請求項1に記載の電極乾燥装置。
【請求項3】
前記色座標値は、グレースケールよる灰色度である、請求項1に記載の電極乾燥装置。
【請求項4】
前記色座標測定部は、分光測色計または色彩計を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電極乾燥装置。
【請求項5】
前記色座標測定部は、電極活物質層の表面のイメージを撮影するイメージセンサーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電極乾燥装置。
【請求項6】
前記制御部は、色座標値から電極の乾燥度合い又は電極内のバインダー分布を分析し、電極に対する不良の有無を判定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電極乾燥装置。
【請求項7】
前記制御部は、再設定された乾燥条件を反映して、電極の乾燥条件をリアルタイムで変更する、請求項
1から6のいずれか一項に記載の電極乾燥装置。
【請求項8】
前記制御部は、再設定された乾燥条件を機械学習を通じて自動で更新する、請求項
1から7のいずれか一項に記載の電極乾燥装置。
【請求項9】
集電体上に電極活物質を含む電極活物質層を形成して電極を製造し、電極を請求項1から
8のいずれか一項に記載の電極乾燥装置のオーブンに投入して乾燥するステップと、
乾燥された電極に対して電極活物質層の色座標値を一定の標準光源で測定するステップと、
前記色座標値から電極の乾燥結果を分析し、電極の乾燥不良の有無を判定するステップと、
前記オーブン外部の空気である外気の温度及び湿度を測定するステップと、
電極の乾燥条件を制御するステップとを含
み、
前記電極の乾燥条件を制御するステップは、電極が不良として判定される場合、既存の乾燥条件及び外気の温度と湿度を反映して乾燥条件を再設定するステップを含み、再設定される乾燥条件は、前記電極の移送速度、前記熱風ノズルから噴射される熱風の温度、熱風の流速及び前記赤外線ヒーターの出力のうちの少なくとも一つを含む、電極乾燥方法。
【請求項10】
前記色座標値は、CIEで規定したL
*a
*b
*色差計を表す変数のうちのL
*である、請求項
9に記載の電極乾燥方法。
【請求項11】
前記色座標値は、グレースケールによる灰色度である、請求項
9に記載の電極乾燥方法。
【請求項12】
前記電極活物質層の色座標値を測定するステップは、分光測色計または色彩計を介して行われる、請求項
9から
11のいずれか一項に記載の電極乾燥方法。
【請求項13】
前記電極活物質層の色座標値を測定するステップは、照明及びイメージセンサーを介して電極の表面を撮影してイメージを取得し、前記イメージの色情報を色座標に変換する過程を含む、請求項
9から
11のいずれか一項に記載の電極乾燥方法。
【請求項14】
前記電極の乾燥結果を分析し、電極の乾燥不良の有無を判定するステップは、色座標値から電極の乾燥度合い又は電極内のバインダー分布を分析し、電極に対する不良の有無を判定する過程を含む、請求項
9から
13のいずれか一項に記載の電極乾燥方法。
【請求項15】
前記電極の乾燥条件を制御するステップは、再設定された乾燥条件を反映して、電極の乾燥条件をリアルタイムで変更する過程をさらに含む、請求項
9から14のいずれか一項に記載の電極乾燥方法。
【請求項16】
前記電極の乾燥条件を制御するステップは、再設定された乾燥条件を機械学習を通じて自動で更新する過程をさらに含む、請求項
9から15のいずれか一項に記載の電極乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年09月10日付の韓国特許出願第10-2020-0116020号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極乾燥装置及び電極乾燥方法に関するものであって、詳細には、灰色度値の測定による電極乾燥自動制御システム及び電極乾燥自動制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
最近、充放電が可能な二次電池は、ワイヤレスモバイル機器のエネルギー源として広く使用されている。また、二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン車、ディーゼル車などに起因する大気汚染などを解決するための方案として提示されている電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源としても注目されている。したがって、二次電池を使用するアプリケーションの種類は、二次電池の長所により非常に多様化しており、今後は今よりも多くの分野と製品に二次電池が適用されると予想される。
【0004】
このような二次電池は、電極と電解液の構成によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムポリマー電池などに分類されることもあり、その中に電解液の漏液の可能性が少なく製造が容易なリチウムイオンポリマー電池の使用量が増えている。一般的に、二次電池は電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内蔵されている円筒形電池および角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池とに分類される。そして、電池ケースに内蔵される電極組立体は、正極、負極、及び上記正極と上記負極との間に介在された分離膜構造からなる充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介在して巻取したゼリーロール型と、所定のサイズの多数の正極と負極を分離膜に介在された状態で順次に積層したスタック型とに分類される。
【0005】
上記正極及び上記負極はそれぞれ、正極集電体及び負極集電体に正極活物質を含む正極スラリー及び負極活物質を含む負極スラリーを塗布して正極活物質層及び負極活物質層を形成した後、それを乾燥及び圧延して形成される。
【0006】
このとき、乾燥条件によって電極の品質が決定される。乾燥熱量が多すぎると、乾燥過程で電極スラリー内のバインダーの相当数が表面に移動して電極の接着力を低下させる。そして、乾燥熱量が少ないと、電極内に溶媒が残留してコーティング及び圧延工程のロール汚染を惹起する。
【0007】
なお、一般的な電極乾燥過程において、電極を乾燥するための熱量は、熱風及び赤外線ヒーターによって供給されるが、同じ乾燥条件でもオーブンの内外部の環境によって乾燥品質の変化が発生する。そのため、リアルタイムで電極品質を確認して乾燥条件を自動で変更させることができる制御システムが必要である。
【0008】
それに関連して、従来には、電極接着力のような電極品質の変化をリアルタイムで確認し、そこから電極の乾燥条件を変化させることができる方法がなかった。これにより、電極生産が完了された後に、電極の品質を確認して不良の有無を判別し、それが不良率の上昇の原因となった。
【0009】
したがって、上記のような問題を解決し得る電極のリアルタイム乾燥条件制御のための技術開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するために案出されたものであって、電極の品質をリアルタイムで確認し、それによって電極の乾燥条件をリアルタイムで調整することで、電極の品質を向上させることができる電極乾燥装置及び電極乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一例において、本発明に係る電極乾燥装置は、電極が乾燥される空間を提供し、熱風ノズルまたは赤外線ヒーターを備えるオーブンと、オーブンの出口に位置し、乾燥された電極に対して電極活物質層の色座標値を測定する色座標測定部と、上記色座標値から電極の乾燥結果を分析し、電極の乾燥不良の有無を判定し、電極の乾燥条件を制御する制御部とを含む。
【0012】
一例において、上記色座標値はL*であり得る。
【0013】
他の一例において、上記色座標値はグレースケールによる灰色度(gray value)である。
【0014】
一例において、上記色座標測定部は分光測色計(spectrophotometer)または色彩計(colorimeter)を含む。
【0015】
具体的な例において、上記制御部は、色座標値から電極の乾燥度合い又は電極内のバインダー分布を分析し、それに対する不良の有無を判定する。
【0016】
他の一例において、本発明に係る電極乾燥装置は、外気の温度及び湿度を測定する外気状態測定部をさらに含む。
【0017】
具体的な例において、上記制御部は、電極が不良であると判定された場合、既存の乾燥条件および外気の温度と湿度を反映して乾燥条件を再設定し得る。
【0018】
具体的な例において、上記制御部は、再設定された乾燥条件を反映して、電極の乾燥条件をリアルタイムで変更する。
【0019】
具体例な例において、上記制御部は、再設定された乾燥条件を機械学習を通じて自動で更新する。
【0020】
また、本発明は電極乾燥方法を提供するところ、本発明に係る電極乾燥方法は、集電体上に電極活物質を含む電極活物質層を形成して電極を製造し、それを上述したような電極乾燥装置のオーブンに投入して乾燥するステップと、乾燥された電極に対して電極活物質層の色座標値を測定するステップと、上記色座標値から電極の乾燥結果を分析し、電極の乾燥不良の有無を判定するステップと、電極の乾燥条件を制御ステップとを含む。
【0021】
一例において、上記色座標値はL*であり得る。
【0022】
他の一例において、上記色座標値はグレースケールによる灰色度(gray value)である。
【0023】
一例において、電極活物質層の色座標値を測定するステップは、分光測色計(spectrophotometer)または色彩計(colorimeter)を介して行われる。
【0024】
他の一例において、電極活物質層の色座標値を測定するステップは、照明およびイメージセンサを介して電極の表面を撮影してイメージを取得し、上記イメージの色情報を色座標に変換する過程を含む。
【0025】
一例において、電極の乾燥結果を分析し、電極の乾燥不良の有無を判定するステップは、色座標値から電極の乾燥度合い又は電極内のバインダー分布を分析し、それに対する不良の有無を判定する過程を含む。
【0026】
他の一例において、本発明に係る電極の乾燥方法は、外気の温度および湿度を測定するステップをさらに含む。
【0027】
具体的な例において、電極の乾燥条件を制御するステップは、電極が不良であると判定された場合に、既存の乾燥条件および外気の温度と湿度を反映して乾燥条件を再設定する過程を含む。
【0028】
具体的な例において、電極の乾燥条件を制御するステップは、再設定された乾燥条件を反映して、電極の乾燥条件をリアルタイムで変更する過程をさらに含む。
【0029】
具体的な例において、電極の乾燥条件を制御するステップは、再設定された乾燥条件を機械学習を通じて自動で更新する過程をさらに含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、乾燥後の電極の色座標測定を通じて電極の接着力又は電極の乾燥完了の有無のような電極品質をリアルタイムで撮影し、それを反映して電極の乾燥条件をリアルタイムで調整することで、電極の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電極乾燥装置の構成を示したブロック図である。
【
図2】本発明に係る電極乾燥装置において、電極の色座標値を測定する過程を示す模式図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る電極乾燥装置の構成を示したブロック図である。
【
図4】本発明に係る電極乾燥方法の手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明について詳細に説明する。その前に、本明細書および特許請求の範囲で使用された用語または単語は、通常的或いは辞書的な意味に限定されて解釈されてはならず、発明者が彼自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るという原則に立脚して、本発明の技術的思想に合致する意味と概念として解釈されるべきである。
【0033】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、本明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、これは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0034】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係る電極乾燥装置の構成を示したブロック図である。
【0036】
図1を参照すると、本発明に係る電極乾燥装置100は、電極が乾燥される空間を提供し、熱風ノズルまたは赤外線ヒーターを備えるオーブン120と、オーブン120の出口に位置し、乾燥された電極に対して電極活物質層の色座標値を測定する色座標測定部130と、上記色座標値から電極の乾燥結果を分析して電極の乾燥不良の有無を判定し、電極の乾燥条件を制御する制御部140とを含む。
【0037】
上述したように、同じ乾燥条件においてもオーブンの内外部の環境によって乾燥品質の変化が発生する。従来には、電極接着力のような電極品質の変化をリアルタイムで確認し、そこから電極の乾燥条件を変化させることができる方法はなかった。これにより、電極生産が完了された後に、電極の品質を確認して不良の有無を判別した。そして、それが不良率上昇の原因となった。
【0038】
そこで、本発明は、乾燥後の電極の色座標測定を通じて電極の接着力又は電極の乾燥完了の有無のような電極品質をリアルタイムで撮影し、それを反映して電極の乾燥条件をリアルタイムに調整することで、電極の品質を向上させることができる。
【0039】
以下、本発明に係る電極乾燥装置の構成について詳しく説明する。
【0040】
図2は、本発明に係る電極乾燥装置において、電極の色座標値を測定する過程を示した模式図である。
【0041】
図2を参照すると、本発明に係る電極乾燥装置100はオーブン120を含む。上記オーブン120はチェンバー形状であって、電極110が乾燥される空間を提供する。そのため、乾燥対象電極110が乾燥過程で一時的に収容され、乾燥のために内部の熱が外部へと抜け出ることを防止し得る。
【0042】
一方、上記電極110は、集電体上に電極活物質を含む電極スラリーが塗布されて、電極活物質層が形成された構造であり得る。上記電極スラリーは、集電体の少なくとも一面に塗布され得る。
【0043】
図2を参照すると、集電体は別途のアンワインディングローラー111に巻取されていて、そこから巻出される。巻出された集電体の少なくとも一面に電極スラリーを塗布する。電極スラリーは、たとえば、スロットダイ112によって塗布され得る。電極スラリーが塗布された電極110はオーブン120に投入されて乾燥される。
【0044】
このとき、上記集電体は正極集電体または負極集電体であってもよく、上記電極活物質は正極活物質または負極活物質であってもよい。また、上記電極スラリーは、電極活物質の外に導電材及びバインダーをさらに含見える。
【0045】
本発明において、正極集電体の場合、一般的に3~500μmの厚さで作る。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、高い導電性を有するものであれば特に制限されない。例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。集電体は、それの表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など、多様な形態が可能である。
【0046】
負極集電体用シートの場合、一般的に3~500μmの厚さで作られる。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面エカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など、多様な形態で使用され得る。
【0047】
本発明において正極活物質は、電気化学的反応を起こし得る物質であって、リチウム遷移金属酸化物として、2以上の遷移金属を含む。例えば、1以上の遷移金属で置換されたリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物、1またはそれ以上の遷移金属で置換されたリチウムマンガン酸化物、化学式LiNi1-yMyO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B、Cr、ZnまたはGaであり、上記元素のうちの少なくとも1つ以上の元素を含み、0.01≦y≦0.7である)で表現されるリチウムニッケル系酸化物、Li1+zNi1/3Co1/3Mn1/3O2、Li1+zNi0.4Mn0.4Co0.2O2などのように、Li1+zNibMncCo1-(b+c+d)MdO(2-e)Ae (ここで、-0.5≦z≦0.5、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.8、0≦d≦0.2、0≦e≦0.2、b+c+d<1であり、M=Al、Mg、Cr、Ti、SiまたはYであり、A=F、PまたはClである)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、化学式Li1+xM1-yM'yPO4-zXz(ここで、M=遷移金属、好ましくはFe、Mn、CoまたはNi、M'=Al、MgまたはTi、X=F、SまたはNであり、0.5≦x≦+0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.1である)で表されるオリビン系リチウム金属ホスフェート等が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0048】
負極活物質は、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe’yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;珪素系合金;スズ系合金;SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、Bi2O5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li‐Co‐Ni系材料などが使用し得る。
【0049】
上記導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物全体の重量に基づいて、1~30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維、フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用され得る。
【0050】
上記バインダーは、活物質と導電材等の結合と集電体に対する結合に助力する成分であって、通常、正極活物質を含む混合物全体の重量を基準にして、1~30重量%で添加される。そのようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン‐ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
【0051】
一方、このような電極スラリーは、電極活物質、導電材及びバインダーなどを溶媒に溶解させて製造され得る。上記溶媒は、電極活物質等を分散させることができるものであればその種類に特別な制限はなく、水系溶媒または非水系溶媒のいずれも使用可能である。例えば、上記溶媒は、当該技術分野で一般的に使用される溶媒であってよく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N‐メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)、水などであってもよく、これらのうちの1種単独または2種以上の混合物を使用され得る。上記溶媒の使用量は、スラリーの塗布厚さ、製造収率、作業性等を考慮して、スラリーが適切な粘度を有するように調節され得る程度であればよく、特に限定されない。
【0052】
上記オーブン120は、内部に電極110を乾燥させるための熱風ノズルおよび赤外線ヒーターを備えることができる。熱風ノズルおよび赤外線ヒーターは、電極の移送方向(MD方向)に沿って一定間隔で離隔して配置され得る。そして、電極に垂直な方向に熱風または赤外線を印加する。
【0053】
一方、熱風ノズルは、本体部及び噴射部を含む。上記本体部は、熱風ノズルの本体を構成し、熱風ノズルをオーブンの天井に固定する。また本体部は内部が空であり、熱風供給源(図示せず)から伝達される熱風を噴射部に伝達する。一方、本体部の下面には噴射部が設けられる。上記噴射部は本体部と連通されて、噴射部の下面には熱風が噴射される噴射口が形成される。上記噴射口は、複数個の気孔が一定間隔で配列されている構造であり得る。
【0054】
一方、赤外線ヒーターは、赤外線を電極に照射する赤外線ランプおよび上記赤外線ランプを支持または据え置く据置台を含み得る。赤外線ランプの形態は特に制限されず、例えば、棒状のランプが電極の幅方向に延長された状態で電極の移送方向に沿って平行に配置され得る。
【0055】
上記オーブン120は、多数個の乾燥ゾーンに区画され得る。電極の乾燥過程において、過乾燥または未乾燥の状況が発生する場合、乾燥強度を変更しながら電極を適切に乾燥させる必要があるが、オーブンを多数個の乾燥ゾーンに区画することで、各乾燥ゾーンごとに乾燥条件を独立的に管理し得る。
図2には、オーブン120が2つの乾燥ゾーンに区画された形状で図示した。このとき、各乾燥ゾーンは、乾燥ゾーンの間に実際に内壁を設けて、物理的に分画された空間であってもよく、当該乾燥ゾーンで行われる乾燥条件に応じて抽象的に区画された空間であってもよい。
【0056】
一方、
図2を参照すると、色座標測定部130は、オーブン120の出口部分に位置し、乾燥された電極110に対して電極活物質層の色座標値を測定する。このとき、電極の色座標値とは、ある電極活物質層のある特定地点で測定された色座標値であってもよく、電極活物質層でいくつもの測定地点で選定した後、上記測定点で測定された色座標値の平均値を色座標値としてもよい。また、
図2では、集電体の一面に電極活物質層が形成されるので、電極活物質層が形成された面に色座標測定部が位置したが、集電体の両面に電極活物質層が形成される場合は色座標測定部が電極の両面に位置し得る。
【0057】
上記色座標測定部は、電極110の表面に光を照射し得る照明及び電極の表面の色及び明るさを感知し得るセンサーとを含見える。このとき、上記照明としては、電極活物質層の表面に光を当てることができれば、その種類に特に制限はないが、例えば、LED照明を用いることができる。また、後述するように、電極の表面を撮影する場合、そのためのカメラ装置をさらに備えてもよい。
図2の場合、集電体の一面に電極スラリーが塗布されて電極活物質が形成されるので、電極の一面のみに色座標測定部が位置した。しかし、集電体の両面に電極活物質層が形成された場合は、各電極活物質層の乾燥状態を測定するために、電極の両面に色座標測定部を備えることができる。
【0058】
本発明は、オーブン120の出口部分に色座標を測定し得る簡単な装置のみを設け、色座標測定を通じて電極の乾燥品質を定量化することによって、測定装置の構成が簡単であり、評価に要する時間および費用を節減し得る。
【0059】
一例において、色座標値はL*であり得る。上記L*はCIEで規定したL*a*b*色差計を表す変数のうちの一つである。上記L*a*b*色差計において、色座標L*は対象に測定された明度(Lightness)に関連された値で0~100まで表示され、a値とb値は色および彩度を示す色度に関連された値として、横軸がa、縦軸がbであり、+a側は赤色(red)、-a側は緑色(green)、+b側は黄色(yellow)、-b側は青色(blue)を示す。すなわち、本発明は、色座標のうちの明暗と関連されたL*値を測定して、電極の乾燥品質を判断し得る。
【0060】
他の一例において、上記色座標値はグレースケールによる灰色度(gray value)であり得る。すなわち、電極表面の乾燥状態を撮影したイメージを、明暗のみを確認し得るグレースケールに変換し、そこから灰色度値を測定して電極の乾燥品質を判断し得る。
【0061】
このように、本発明において、上記色座標は、電極表面の明暗を一律的に測定し得るものを用い、電極活物質層の表面の明暗を定量的に測定することで、電極の乾燥品質を直観的に判断し得る。
【0062】
このとき、一例において、電極活物質層の色座標値を測定するセンサとしては、色差計を用いることができる。具体的に、上記色座標測定部130は、分光測色計(spectrophotometer)または色彩計(colorimeter)を含む。この場合、電極活物質層の表面に対して直接に色座標値を測定し得る。
【0063】
このような色差計としては、例えば、色差計としてコニカミノルタ社のCM2600dを用いて測定することであり得る。具体的には、色差計としてコニカミノルタ社のCM2600dを用いて、測定モードをSCI(Specular Component Included)またはSCE(Specular Component Excluded)、標準光源D65(色温度:6500K)、CIE1964 10°標準観察者に設定した後に白色補正後、測定しようとする位置に色差計を接触させて測定し得る。
【0064】
このように、色差計を電極110に対して直接使用して色座標値を測定することもできるが、電極活物質層の表面を撮影したイメージを用いて色座標値を間接的に測定することもできる。
【0065】
他の一例において、上記色座標測定部130は、電極活物質層の表面のイメージを撮影し得るイメージセンサーを含む。この場合、イメージセンサーを介して電極、具体的には電極活物質層の表面をイメージセンサーを介して撮影し、電極表面のイメージを得る。このとき、上記イメージセンサーはカメラを使用し得る。イメージが得られると、それを測定しようとする色座標体系に変換して、色座標値を測定する。例えば、カメラを介して撮影されたイメージをグレースケールに変換した後、当該イメージの灰色度またはL*値を測定することができる。
【0066】
一方、制御部140は、色座標値から電極110の乾燥結果を分析して電極110の乾燥不良の有無を判定し、電極110の乾燥条件を制御する。上記制御部140は、色座標値から電極110の乾燥度合いまたは電極110内のバインダー分布を分析し、それに対する不良の有無を判定する。そのために、制御部には、別途の演算プログラムが設置され得る。
【0067】
具体的に、上記制御部140は、電極内のバインダー分布を分析して、電極の乾燥による電極活物質層の接着力を評価し得る。例えば、電極乾燥の過程において、バインダーが電極の表面、すなわち、電極活物質層の表面に多く分布することになる場合、バインダーによって電極表面の色が黒に近い方向に変化することになり、それにより、色座標(L*)値が減少する。すなわち、色座標値が小さいほど、電極活物質の表面にバインダーが多く分布することであり、電極活物質層の集電体に対する接着力が減少することになる。
【0068】
また、上記制御部140は、色座標値の測定を通じて電極の乾燥度および乾燥完了の有無を分析し得る。電極が未乾燥された場合、電極活物質層内に残留する溶媒に起因する電極活物質層の表面での平均屈折率の減少に伴って反射率が減少するので、乾燥された電極に比べて暗い色を示し、L*値が小さく測定され得る。
【0069】
すなわち、本発明において、色座標値が既設定された値より小さい場合、上記制御部140は電極の乾燥品質を不良として判定し得る。上記既設定された値は、多数の電極に対する乾燥品質を測定し、良品として判定される電極の色座標値から選定され得る。例えば、上記既設定された値は、電極の接着力または電極内の溶媒含有量に応じた色座標値のプロファイルから導出され得る。そのために、多数の電極サンプルに対する色座標値を測定し、それによる接着力および電極内の溶媒含有量を測定してデータベース化することができる。その後、電極活物質層の接着力及び電極内溶媒の含量の基準を全て満足し得る色座標値を導出し得る。
【0070】
図3は、本発明の他の実施形態に係る電極乾燥装置の構成を示したブロック図である。
【0071】
図3を参照すると、他の一例において、電極乾燥装置200は、電極が乾燥される空間を提供し、熱風ノズルまたは赤外線ヒーターを備えるオーブン120と、オーブン120の出口に位置し、乾燥された電極に対して電極活物質層の色座標値を測定する色座標測定部130と、上記色座標値から電極の乾燥結果を分析し、電極の乾燥不良の有無を判定し、電極の乾燥条件を制御する制御部140とを含み、かつ外気の温度及び湿度を測定する外気状態測定部150をさらに含み得る。
【0072】
上述したように、電極の乾燥過程において、同じ乾燥条件を適用してもオーブンの内外部の環境によって乾燥品質の変化が発生することになる。例えば、オーブン外部の空気の湿度が高い場合は同じ乾燥条件でも電極の未乾燥が発生し得る。逆に、外部空気の湿度が低い場合は同じ乾燥条件においても電極の過乾燥が発生し得る。
【0073】
そこで、本発明に係る電極乾燥装置において、上記外気状態測定部150は、外気の温度および湿度を測定し、測定値を制御部に送って外気の状態を乾燥条件に反映し得るようにする。上記外気状態測定部150は、オーブン120の外部に設けられてもよく、オーブン120から出る熱気に影響されないように、オーブン120と離隔して設置され得る。
【0074】
一方、上記制御部140が色座標値から電極の乾燥不良の有無を判定した結果、電極が不良と判定された場合は、既存の乾燥条件および外気の温度と湿度を反映して乾燥条件を再設定することができる。さらに、上記制御部140は、既存に測定された色座標値を乾燥条件を再設定するときに反映し得る。
【0075】
このとき、再設定される乾燥条件には様々なものがあり、例えば、電極の移送速度、熱風ノズルから噴射される熱風の温度、熱風の流速及び赤外線ヒーターの出力等を調節することができる。また、赤外線ヒーターまたは熱風ノズルの間に赤外線および熱風を遮断するためのスクリーンが設置されている場合、スクリーンの位置またはスクリーンの個数を調節して電極が熱風または赤外線に露出される面積を調節することができる。
【0076】
上記制御部140は、再設定された乾燥条件を反映して、電極の乾燥条件をリアルタイムで変更する。これにより、電極の不良率を下げ、電極の品質を向上させることができる。
【0077】
また、上記制御部140は、再設定された乾燥条件を機械学習を通じて自動で更新し得る。これにより、製造しようとする電極のスペック及び外気の状態等に応じた乾燥条件を確立することができ、後で当該電極の生産時に乾燥条件を自動的に選定及び調整することができる。
【0078】
例えば、上記機械学習はディープラーニングなどの方式を通じて行われ得る。上述したように、制御部140には演算プログラムが設けられており、まず多数個の電極に対する乾燥品質を測定しながら得られた多数のデータから学習データを構成し、そこから製造しようとする電極のスペック及び外気の状態などに応じた乾燥条件を学習することができる。これは、後に他の電極の乾燥品質評価に反映され得る。
【0079】
このように、本発明は、乾燥後の電極の色座標測定を通じて電極の接着力又は電極の乾燥完了の有無のような電極品質をリアルタイムで評価し、これを反映して電極の乾燥条件をリアルタイムに調整し、それを再び電極品質の評価に反映することで、電極の品質を向上させることができる。
【0080】
また、本発明は電極乾燥方法を提供する。
【0081】
図4は、本発明の一実施形態に係る電極乾燥方法の手順を示したフローチャートである。
【0082】
図4を参照すると、本発明に係る電極乾燥方法は、集電体上に電極活物質を含む電極活物質層を形成して電極を製造し、それを上述したような電極乾燥装置のオーブンに投入して乾燥するステップ(S10)と、乾燥された電極に対して電極活物質層の色座標値を測定するステップ(S20)と上記色座標値から電極の乾燥結果を分析し、電極の乾燥不良の有無を判定するステップ(S30)と、電極の乾燥条件を制御するステップ(S40)とを含む。
【0083】
本発明は、乾燥後の電極の色座標測定により電極の接着力又は電極の乾燥完了の有無のような電極品質をリアルタイムで評価し、それを反映して電極の乾燥条件をリアルタイムで調整し、それを再び電極品質評価に反映することで、電極の品質を向上させることができる。
【0084】
以下、本発明に係る電極乾燥方法の各ステップについて説明する。
【0085】
<電極の製造及び乾燥>
図4を参照すると、まず、色座標値の測定のために、集電体上に電極活物質を含む電極活物質層を形成して電極が作製される。電極に関する具体的な内容は、上述したのと同じである。
【0086】
電極の製造が完了されると、電極をオーブンに入れて乾燥する。このとき、乾燥時間及び乾燥熱量は、電極のスペック、例えば、電極活物質のローディング量又は電極スラリー内の溶媒含有量、電極スラリー内のバインダー含有量等によって決定され得る。乾燥された電極はオーブンの外に排出される。
【0087】
<色座標値の測定>
電極の乾燥が完了されると、乾燥された電極に対して色座標値を測定する。このとき、電極活物質層の色座標値は、上述したように電極乾燥装置による色座標測定部によって測定される。上記色座標測定部はオーブンの出口付近に位置しているので、オーブンから排出された電極に対して、直に色座標値を測定することができる。上述したように、電極の色座標値とは、ある電極活物質層のある特定地点で測定された色座標値であってもよく、電極活物質層でいくつもの測定地点を選定した後、上記測定点で測定された色座標値の平均値を色座標値にしてもよい。
【0088】
本発明は、オーブンの出口付近に色座標を測定し得る簡単な装置のみを設置し、色座標測定を通じて電極の乾燥状態を定量化することによって、測定方法が簡単で、評価に要する時間及びコストを低減し得る。
【0089】
一方、本発明の具体的な例において、上記電極は圧延されないものであり得る。すなわち、本発明は、圧延工程を経た電極を評価するのではなく、圧延工程を経ない電極に対して評価を行うことによって、圧延工程前の不良電極を取り除き、圧延工程後の不良率を著しく下げることができる。これにより、圧延工程における電極内の残留溶媒に起因する圧延ロール等の汚染を防止し得る。ただし、本発明がそれに制限されるものではなく、電極乾燥後であれば、いずれの段階においても色座標を測定することができる。
【0090】
一例において、色座標値はL*であり得る。上述したように、L*は、対象に測定された明度(Lightness)と関連する値として、0~100まで表示され得る。
【0091】
他の一例において、上記色座標値はグレースケールによる灰色度(gray value)であり得る。すなわち、電極表面の乾燥状態を撮影したイメージを、明暗のみが確認できるグレースケールに変換し、そこから灰色度値を測定して電極の乾燥有無を判断することができる。
【0092】
このように、本発明において、上記色座標は、電極表面の明暗を一律的に測定できるものを用い、電極活物質層の表面の明暗を定量的に測定することによって、電極の乾燥品質を判断することができる。
【0093】
一例において、電極活物質層の色座標値を測定するステップは、分光測色計(spectrophotometer)または色彩計(colorimeter)を介して行われ得る。この場合、電極活物質層の表面に対して直接色座標値を測定することができる。
【0094】
他の一例において、電極活物質層の色座標値を測定するステップは、照明およびイメージセンサーを介して電極の表面を撮影してイメージを取得し、上記イメージの色情報を色座標に変換する過程を含み得る。このとき、上記イメージセンサーはカメラを使用することができる。イメージが得られたら、それを測定しようとする色座標体系に変換して、色座標値を測定する。例えば、カメラを介して撮影されたイメージをグレースケールに変換した後、当該イメージの灰色度またはL*値を測定することができる。
【0095】
このように、色差計を電極に対して直接使用して色座標値を測定することもできるが、電極活物質層の表面を撮影したイメージを用いて色座標値を間接的に測定することができる。
【0096】
<乾燥結果の分析及び乾燥不良の有無の判定>
色座標値が測定されると、そこから電極の乾燥不良の有無を判定する。具体的に、色座標値から電極の乾燥度合いまたは電極内のバインダー分布を分析し、それに対する不良の有無を判定する過程が行われ得る。具体的に、電極内のバインダー分布の分析を通じて電極の乾燥による電極活物質層の接着力を評価することができ、色座標値を通じて電極の乾燥度及び乾燥完了の有無を評価し得る。
【0097】
このとき、色座標値が既設定値より小さい場合、電極の乾燥品質が不良であると判定され得る。上記既設定された値は、多数の電極に対する乾燥品質を測定し、良品として判断される電極の色座標値から選定され得る。例えば、上記既設定された値は、電極の接着力または電極内の溶媒含有量に応じた色座標値のプロファイルから導出され得る。そのために、多数の電極サンプルに対する色座標値を測定し、それによる接着力および電極内溶媒含有量を測定してデータベース化することができる。その後、電極活物質層の接着力及び電極内溶媒の含量の基準を全て満足し得る色座標値を導出し得る。
【0098】
一方、本発明に係る電極乾燥方法は、外気の温度および湿度を測定するステップをさらに含み得る。ここで、外気とは、オーブン外部の空気を意味する。電極の乾燥過程において、同じ乾燥条件を適用してもオーブンの内外部の環境に応じて乾燥品質の変化が発生するので、本発明は外気の温度及び湿度を測定して、それを乾燥過程に反映することができる。
【0099】
<電極の乾燥条件の制御>
本発明において、電極の乾燥条件を制御するステップは、電極が不良として判定された場合に、既存の乾燥条件及び外気の温度と湿度を反映して乾燥条件を再設定する過程を含む。このとき、既存に測定された色座標値を乾燥条件の再設定時に反映することができる。
【0100】
このとき、再設定される乾燥条件には様々なものがあり、例えば、電極の移送速度、熱風ノズルから噴射される熱風の温度、熱風の流速及び赤外線ヒーターの出力等を調節することができる。また、赤外線ヒーターまたは熱風ノズルの間に赤外線および熱風を遮断するためのスクリーンが設けられている場合、スクリーンの位置またはスクリーンの個数を調節して電極が熱風または赤外線に露出される面積を調節することができる。
【0101】
さらに、電極の乾燥条件を制御するステップは、再設定された乾燥条件を反映して、電極の乾燥条件をリアルタイムで変更する過程をさらに含む。これにより、電極の不良率を下げ、電極の品質を向上させることができる。
【0102】
さらに、電極の乾燥条件を制御するステップは、再設定された乾燥条件を機械学習を通じて自動で更新する過程をさらに含む。これにより、製造しようとする電極のスペック及び外気の状態等に応じた乾燥条件を確立することができ、後の当該電極の生産時の乾燥条件を自動で選定及び調整することができる。
【0103】
このとき、例えば、上記機械学習はディープラーニングのような方式を通じて行われ得る。多数個の電極に対する乾燥品質を測定しながら得られた多数のデータから学習データを構成し、そこから製造しようとする電極のスペックおよび外気の状態などに係る乾燥条件を学習し得る。これは、後に他の電極の乾燥品質評価に反映され得る。
【0104】
このように、本発明は、乾燥後の電極の色座標測定を通じて、電極の接着力又は電極の乾燥完了の有無のような電極の乾燥品質をリアルタイムで評価し、これを反映して電極の乾燥条件をリアルタイムに調整し、それを再び電極品質評価に反映することによって、電極の品質を向上させることができる。
【0105】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
【0106】
一方、本明細書では、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものであって、対象となる物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、自明である。
【符号の説明】
【0107】
100、200:電極乾燥装置
110: 電極
111: アンワインディングローラー
112: スロットダイ
120: オーブン
130:色座標測定部
140: 制御部
150:外気状態測定部