(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】プロジェクションスクリーン
(51)【国際特許分類】
G03B 21/56 20060101AFI20240902BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G03B21/56
G02B5/08 A
(21)【出願番号】P 2022571276
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 CN2020091900
(87)【国際公開番号】W WO2021232428
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】519233216
【氏名又は名称】深▲せん▼市光科全息技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】郭 濱剛
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-175522(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123543(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/204009(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110542939(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 ー 21/64
G02B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクションスクリーンであって、反射層と前記反射層に重畳された導光層とを含み、前記反射層内に微細孔が設けられ、前記反射層及び前記導光層の材質はいずれも樹脂であり、前記導光層内に屈折率が前記導光層よりも小さい第1の粒子及び屈折率が前記導光層よりも大きい第2の粒子が分散されて
おり、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子は、前記導光層とは異なり、
前記反射層の前記導光層から離れた側に重畳された第1の保護層をさらに含み、
前記導光層の屈折率は前記反射層の屈折率よりも大きく、前記反射層の屈折率は前記第1の保護層の屈折率よりも大きい、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーン。
【請求項2】
前記反射層の厚さ方向において、前記微細孔の面積は、前記反射層の断面積の30%~70%を占め、前記微細孔の長さは3μm~7μmであり、前記微細孔の高さは0.5μm~1μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項3】
前記反射層の屈折率は1.42~1.7であり、前記導光層の屈折率は1.6~1.8である、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項4】
前記導光層の厚さは10μm~50μmであり、前記反射層の厚さは130μm~160μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項5】
前記第1の保護層の材質は樹脂である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項6】
前記第1の保護層の厚さは10μm~50μmである、
ことを特徴とする請求項
1に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項7】
前記反射層と前記導光層との間に位置する第2の保護層をさらに含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項8】
前記導光層の屈折率は前記第2の保護層の屈折率よりも大きく、前記第2の保護層の屈折率は前記反射層の屈折率よりも大きく、前記反射層の屈折率は前記第1の保護層の屈折率よりも大きい、
ことを特徴とする請求項
7に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項9】
前記第2の保護層の材質は樹脂である、
ことを特徴とする請求項
7に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項10】
前記第2の保護層の厚さは10μm~50μmである、
ことを特徴とする請求項
7に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項11】
前記プロジェクションスクリーンの厚さは250μm以下である、
ことを特徴とする請求項
7に記載のプロジェクションスクリーン。
【請求項12】
プロジェクションスクリーンであって、反射層と前記反射層に重畳された導光層とを含み、前記反射層内に微細孔が設けられ、前記反射層及び前記導光層の材質はいずれも樹脂であり、前記導光層内に屈折率が前記導光層よりも小さい第1の粒子及び屈折率が前記導光層よりも大きい第2の粒子が分散されており、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子は、前記導光層とは異なり、
前記導光層の屈折率は前記反射層の屈折率よりも大きい、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーン。
【請求項13】
プロジェクションスクリーンであって、反射層と前記反射層に重畳された導光層とを含み、前記反射層内に微細孔が設けられ、前記反射層及び前記導光層の材質はいずれも樹脂であり、前記導光層内に屈折率が前記導光層よりも小さい第1の粒子及び屈折率が前記導光層よりも大きい第2の粒子が分散されており、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子は、前記導光層とは異なり、
前記導光層の厚さは10μm~50μmであり、前記反射層の厚さは130μm~160μmである、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーン。
【請求項14】
プロジェクションスクリーンであって、反射層と前記反射層に重畳された導光層とを含み、前記反射層内に微細孔が設けられ、前記反射層及び前記導光層の材質はいずれも樹脂であり、前記導光層内に屈折率が前記導光層よりも小さい第1の粒子及び屈折率が前記導光層よりも大きい第2の粒子が分散されており、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子は、前記導光層とは異なり、
前記反射層の前記導光層から離れた側に重畳された第1の保護層をさらに含み、
前記反射層と前記導光層との間に位置する第2の保護層をさらに含み、
前記導光層の屈折率は前記第2の保護層の屈折率よりも大きく、前記第2の保護層の屈折率は前記反射層の屈折率よりも大きく、前記反射層の屈折率は前記第1の保護層の屈折率よりも大きい、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーン。
【請求項15】
プロジェクションスクリーンであって、反射層と前記反射層に重畳された導光層とを含み、前記反射層内に微細孔が設けられ、前記反射層及び前記導光層の材質はいずれも樹脂であり、前記導光層内に屈折率が前記導光層よりも小さい第1の粒子及び屈折率が前記導光層よりも大きい第2の粒子が分散されており、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子は、前記導光層とは異なり、
前記反射層の前記導光層から離れた側に重畳された第1の保護層をさらに含み、
前記反射層と前記導光層との間に位置する第2の保護層をさらに含み、
前記プロジェクションスクリーンの厚さは250μm以下である、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーン。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のプロジェクションスクリーンの製造方法であって、
第1の樹脂組成物及び微細孔を含む第1のスラリー層を形成し、前記第1のスラリー層を硬化させ、反射層を得るステップであって、前記反射層内に微細孔が設けられるステップと、
第2の樹脂組成物、第1の粒子及び第2の粒子を含む第2のスラリー層を形成し、前記第2のスラリー層を硬化させ、導光層を得るステップと、
前記反射層と前記導光層とを組み合わせて前記プロジェクションスクリーンを形成するステップと、を含む、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーンの製造方法。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載のプロジェクションスクリーンの製造方法であって、
第1の樹脂組成物及び微細孔を含む第1のスラリー層を形成し、前記第1のスラリー層を硬化させ、反射層を得るステップであって、前記反射層内に微細孔が設けられるステップと、
前記反射層上に第2の樹脂組成物、第1の粒子及び第2の粒子を含む第2のスラリー層を形成し、前記第2のスラリー層を硬化させ、前記プロジェクションスクリーンを得るステップと、を含む、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、投影技術分野に関し、特にプロジェクションスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
光のエネルギーは保存されているため、利得と可視角度との関係は相対的であり、利得が小さいほど可視角度が大きく、逆に、利得が大きいほど可視角度が小さくなる。
【0003】
最小利得(利得値1)のプロジェクションスクリーンは入射光を均一に各方向に反射することができ、異なる角度から見ても光強度値は同じである。利得の低いプロジェクションスクリーンは画像を忠実に復元することができるが、環境光の影響を極めて受けやすい。
【0004】
利得の高いプロジェクションスクリーンは、強力な環境適応能力を備えているが、その可視角度は小さ過ぎ、例えば、ビーズスクリーンのように、利得は2倍以上あるが、可視角度は30度未満で、わずかに見る角度を変えると、異なる見る効果が生じる。例えば、人が立って見ても座って見ても、正面から見ても側面から見ても、プロジェクタのつり投げと座り投げでも、その見る効果は異なる。また例えばメタルスクリーンでは、高利得の場合、可視角度は向上されるが、60度を超えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高利得で広い可視角度のプロジェクションスクリーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明の技術案は、以下のとおりである。
プロジェクションスクリーンであって、反射層と前記反射層に重畳された導光層とを含み、前記反射層内に微細孔が設けられ、前記反射層及び前記導光層の材質はいずれも樹脂であり、前記導光層内に屈折率が前記導光層よりも小さい第1の粒子及び屈折率が前記導光層よりも大きい第2の粒子が分散されている。
【0007】
上記プロジェクションスクリーンの製造方法は、
第1の樹脂組成物及び微細孔を含む第1のスラリー層を形成し、前記第1のスラリー層を硬化させ、反射層を得るステップであって、前記反射層内に微細孔が設けられるステップと、
第2の樹脂組成物、第1の粒子及び第2の粒子を含む第2のスラリー層を形成し、前記第2のスラリー層を硬化させ、導光層を得るステップと、
前記反射層と前記導光層とを組み合わせて前記プロジェクションスクリーンを形成するステップと、を含む。
【0008】
上記プロジェクションスクリーンの別の製造方法は、
第1の樹脂組成物及び微細孔を含む第1のスラリー層を形成し、前記第1のスラリー層を硬化させ、反射層を得るステップであって、前記反射層内に微細孔が設けられるステップと、
前記反射層上に第2の樹脂組成物、第1の粒子及び第2の粒子を含む第2のスラリー層を形成し、前記第2のスラリー層を硬化させ、前記プロジェクションスクリーンを得るステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本願の実施形態を実施すると、以下の有益な効果を有する。
本願の実施形態は、反射層に微細孔を設けることにより、微細孔中の媒質が気体であり、その屈折率が最小であり、1であり、気体と反射層の屈折率の差が大きいため、反射層から微細孔に光線が入ると、反射層と微細孔との界面で光線が屈折し、入射角が臨界角よりも大きいと、屈折光線が消え、入射光線が全反射され、即ち微細孔の存在は光線の反射率を大幅に増加させ、プロジェクションスクリーンの輝度を保証し、それによってプロジェクションスクリーンの利得を向上させ、導光層と結合し、導光層中に導光層の屈折率差を向上させることができる第1の粒子及び第2の粒子を増加させることにより、光線は導光層を介して屈折した後、可視角度を拡大し、それによって高利得で広い可視角度のプロジェクションスクリーンを得、第1の粒子及び第2の粒子はプロジェクションスクリーン表面の光沢度及び均光性を改善する作用もある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
次に、本願の実施形態又は従来技術による技術的解決手段をより明確に説明するために、実施形態又は従来技術の説明に使用する図面を簡単に説明する。言うまでもないことであるが、次に説明される図面は本願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者が進歩性のある作業をすることなく、これらの図面から別の図面を得ることもできる。
【0011】
【
図1】本願の一実施形態のプロジェクションスクリーンの断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本願の実施形態の図面を参照して、本願の実施形態に係る技術的解決手段を明瞭かつ完全に説明する。言うまでもないことであるが、説明される実施形態は本願の実施形態の一部に過ぎず、実施形態のすべてではない。当業者が本願の実施形態に基づいて、進歩性のある作業をすることなく得ているその他の実施形態は、いずれも本願の保護範囲に含まれる。
【0013】
図1を参照すると、本発明は、プロジェクションスクリーンを開示し、反射層1と前記反射層1に重畳された導光層3とを含み、反射層1内に微細孔2が設けられ、反射層1及び導光層3の材質はいずれも樹脂であり、導光層3内に屈折率が導光層3よりも小さい第1の粒子及び屈折率が導光層3よりも大きい第2の粒子が分散されている。
【0014】
導光層3は主に光線を導光し、投影光線は導光層3を通過すると屈折し、反射された光線は導光層3を通過して屈折した後、プロジェクションスクリーンの可視角度を広げる。導光層中の第1の粒子及び第2の粒子は導光層の屈折率差範囲を広げ、光線により広い角度の拡散反射を発生させることができ、プロジェクションスクリーンの可視角度を広げるだけでなく、プロジェクションスクリーンの均光性を向上させる。また、上記の第1の粒子及び第2の粒子は導光層3の表面光沢度を調整する作用も有し、粒子が粗いほど、表面光沢度が高くなる。光線は上記粒子を通過して屈折及び拡散反射を起こすことができるため、上記粒子はさらに均光の作用を有する。
【0015】
反射層1内に微細孔2が設けられ、微細孔2中の媒質が気体であるため、その屈折率が最小であり、1であり、反射層1の屈折率が気体の屈折率よりも大きい。光線が光学的に密な媒質から光学的に疎な媒質に射出されると、屈折角は入射角よりも大きくなり、入射角がある数値の場合、屈折角は90°に等しく、この入射角は臨界角と呼ばれる。臨界角θの計算式は、
θ=arcsinn2/n1
であり、ここで、n2は低密度媒質の屈折率であり、n1は高密度媒質の屈折率である。
【0016】
光線が反射層1から微細孔2に入ると、光線が反射層1と微細孔2との界面で屈折し、入射角が臨界角よりも大きいと、屈折光線が消え、入射光線が全反射され、つまり、微細孔2の存在は光線の反射率を大幅に増加させ、プロジェクションスクリーンの輝度を保証し、それによってプロジェクションスクリーンの利得を向上させる。
【0017】
以上より、導光層3と反射層1とを結合することで、高利得で広い可視角度のプロジェクションスクリーンを得ることができる。
【0018】
好ましくは、第1の粒子及び第2の粒子は、それぞれ酸化マグネシウム、酸化イットリウム、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、ガリウム砒素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、酸化アルミニウム、SiOx、TiOx及びNbOxのうちのいずれか1種又は2種以上から選ばれる。ここで、SiOx、TiOx及びNbOxにおける下付き文字Xは任意の値であってもよく、通常、SiOxはSiO2及びSiOなどを含み、TiOxはTiO2、Ti3O5、Ti2O3及びTiOなどを含み、NbOxはNb2O5などを含む。
【0019】
好ましい実施形態では、導光層に対する第1の粒子の質量百分率は3%~30%であり、第1の粒子の粒径は5μm~200μmであり、第1の粒子の表面光沢度は2~30であり、導光層に対する第2の粒子の質量百分率は3%~30%であり、第2の粒子の粒径は5μm~200μmであり、第2の粒子の表面光沢度は2~30である。
【0020】
好ましい実施形態では、導光層3の屈折率は反射層1の屈折率よりも大きく、投影光線は導光層3から反射層1に入り、即ち投影光線は光学的に密な媒質から光学的に疎な媒質に入り、屈折角は入射角よりも大きく、逆に、投影光線が光学的に疎な媒質から光学的に密な媒質に入ると、屈折角は入射角よりも小さいので、投影光線が光学的に疎な媒質から光学的に密な媒質に入るのと比較して、投影光線は光学的に密な媒質から光学的に疎な媒質に入ることで、より広い可視角度を得ることができる。
【0021】
好ましい実施形態では、導光層3は屈折率の異なる多層導光層3を順次重ねて構成することができ、可視角度を向上させ、好ましくは、各導光層3は、導光層3から反射層1の方向への屈折率を順次小さくし、より広い可視角度を得ることができる。
【0022】
反射層1中の微細孔2はランダムに分布し、微細孔2の形状は任意の形状であってもよく、例えば、円形、楕円形、不定形などであり、微細孔2内の気体は任意の気体であってもよく、好ましくは、反射層1の厚さ方向において、微細孔2は反射層1の断面積の約30%~70%を占め、微細孔2の長さは約3μm~7μmであり、微細孔2の高さは約0.5μm~1μmであり、この条件下では、微細孔2はより多くの光線を全反射させることができる。
【0023】
より好ましくは、反射層1の厚さは約130μm~160μmであり、導光層3の厚さは約10μm~50μmである。
【0024】
より好ましくは、導光層3の光透過率は80%以上であり、導光層3の表面光沢度は2~30であり、高利得のプロジェクションスクリーンを得ることができる。
【0025】
より好ましくは、導光層3の屈折率は1.6~1.8であり、反射層1の屈折率は1.42~1.7であり、広い可視角度のプロジェクションスクリーンを得ることができる。
【0026】
より好ましい実施形態では、反射層1の導光層3から離れた側には、反射層1を保護する第1の保護層4をさらに有し、反射層1内の微細孔2が破壊されることを防止し、また、保護層は反射層1に滑らかな表面を提供することができる。好ましくは、保護層の材質も樹脂である。好ましくは、保護層の厚さは10μm~50μmである。好ましくは、導光層3の屈折率は反射層1の屈折率よりも大きく、反射層1の屈折率は第1の保護層4の屈折率よりも大きく、プロジェクションスクリーンの可視角度を向上させる。
【0027】
より好ましい実施形態では、反射層1の両側にそれぞれ保護層、即ち前記反射層1の前記導光層3から離れた側に重畳された第1の保護層4と、前記反射層1と前記導光層3との間に位置する第2の保護層5とを有する。好ましくは、第2の保護層5の材質も樹脂である。好ましくは、導光層3の屈折率は第2の保護層5の屈折率よりも大きく、第2の保護層5の屈折率は反射層1の屈折率よりも大きく、反射層1の屈折率は第1の保護層4の屈折率よりも大きく、より優れた可視角度を得ることができる。好ましくは、第2の保護層5の厚さは10μm~50μmである。より好ましい実施形態では、プロジェクションスクリーンの厚さは250μm以下である。
【0028】
好ましくは、反射層1は、主に光透過性を有する樹脂層であり、例えばPU(polyurethane、ポリウレタン)樹脂層、PP(polypropylene、ポリプロピレン)樹脂層、PMMA(polymethyl methacrylate、ポリメチルメタクリレート)樹脂層、PET(Polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)樹脂層、PC(Polycarbonate、ポリカーボネート)樹脂層、PE(polyethylene、ポリエチレン)樹脂層、ビニル樹脂層及びPS(Polystyrene、ポリスチレン)樹脂層などのいずれかであってもよく、又は反射層1は、PU、PP、PMMA、PET、PC、PE、ビニル樹脂及びPSのうちの2種以上を含む混合樹脂からなる樹脂層である。
【0029】
上記ビニル樹脂は、メタクリル酸とビスフェノールAエポキシ樹脂との反応により合成されたビニル樹脂である標準型ビスフェノールAエポキシビニル樹脂であってもよい。フェノールエポキシ樹脂をビニルエステル樹脂の骨格に導入し、合成したビニルエステル樹脂であるNovolacビニルエステル樹脂であってもよい。また、ウレタン(例えばTDI)によりエポキシビニルエステル樹脂を変性したPU変性ビニル樹脂であってもよい。及びアクリル酸型ビニルエステル樹脂又はフマル酸変性ビスフェノールAエポキシビニル樹脂などであってもよい。
【0030】
好ましくは、導光層3及び第2の保護層は、主に光透過性を有する樹脂層であり、例えばアクリル系樹脂層、ポリウレタン系樹脂層及びポリプロピレン樹脂層のいずれかからそれぞれ選ばれてもよいか、又は、導光層3及び第3の樹脂層は、それぞれアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリプロピレン樹脂のうちの2種以上を含む混合樹脂からなる樹脂層である。
【0031】
好ましくは、第1の保護層は、上述した光透過性を有する樹脂層であってもよいし、上述した光反射性を有する樹脂層であってもよい。
【0032】
上記プロジェクションスクリーンの製造方法は、以下のステップを含む。
【0033】
1)第1の樹脂組成物及び微細孔2を含む第1のスラリー層を形成し、第1のスラリー層を硬化させ、反射層1を得、反射層1内に微細孔2が設けられる。
【0034】
具体的には、微細孔2は、物理的方法により得ることができ、発泡剤を発泡させることにより得ることができる。第1のスラリー層の形成は、塗布や流延などの方式により形成することができる。
【0035】
具体的には、第1の樹脂組成物は、主に光反射性を有する樹脂であり、PU(polyurethane、ポリウレタン)、PP(polypropylene、ポリプロピレン)、PMMA(polymethyl methacrylate、ポリメチルメタクリレート)、PET(Polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)、PC(Polycarbonate、ポリカーボネート)、PE(polyethylene、ポリエチレン)、ビニル樹脂及びPS(Polystyrene、ポリスチレン)などのいずれか1種、2種以上から選ばれてもよい。
【0036】
2)第2の樹脂組成物、第1の粒子及び第2の粒子を含む第2のスラリー層を形成し、第2のスラリー層を硬化させ、導光層3を得る。
【0037】
第2の樹脂組成物は、主に光透過性を有する樹脂であり、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリプロピレン樹脂などのいずれか1種、2種以上から選ばれてもよい。
【0038】
ドープされた第1の粒子及び/又は第2の粒子は、導光層3の表面光沢度、均光性、可視角度などを改善することができる。もちろん、第2のスラリー層には、他の成分、例えば、成膜剤、消泡剤、界面活性剤、分散剤、非水溶媒(例えばメタノール、エタノールなど)などをドープしてもよい。
【0039】
3)反射層1と導光層3とを組み合わせてプロジェクションスクリーンを形成する。
【0040】
具体的には、圧着、貼着などの方式により反射層1と導光層3とを組み合わせてプロジェクションスクリーンを形成することができる。
【0041】
好ましくは、反射層1の一側又は両側に圧着、貼着又は複合などの方式により第3の樹脂組成物を含む第2の保護層5及び第4の樹脂組成物を含む第1の保護層4を追加することができる。
【0042】
第3の樹脂組成物は、主に光透過性を有する樹脂であり、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリプロピレン樹脂などのいずれか1種、2種以上から選ばれてもよい。
【0043】
第4の樹脂組成物は、上記光透過性を有する樹脂であってもよいし、上記光反射性を有する樹脂であってもよく、ここでは説明を省略する。
【0044】
上記プロジェクションスクリーンの第2の製造方法は、以下のステップを含む。
【0045】
1)第1の樹脂組成物及び微細孔2を含む第1のスラリー層を形成し、第1のスラリー層を硬化させ、反射層1を得、前記反射層1内に微細孔2が設けられる。
【0046】
2)反射層1上に第2の樹脂組成物、第1の粒子及び第2の粒子を含む第2のスラリー層を形成し、第2のスラリー層を硬化させ、導光層3複合反射層1のプロジェクションスクリーンを得る。
【0047】
表1は多種のプロジェクションスクリーン及びその性能パラメータを提供し、表1から分かるように、本願のプロジェクションスクリーンの利得はいずれも高く、かつ従来技術で最も高い可視角度(60°)を有する金属スクリーンに比べて、可視角度は顕著に向上される。
【0048】
【0049】
(付記)
(付記1)
プロジェクションスクリーンであって、反射層と前記反射層に重畳された導光層とを含み、前記反射層内に微細孔が設けられ、前記反射層及び前記導光層の材質はいずれも樹脂であり、前記導光層内に屈折率が前記導光層よりも小さい第1の粒子及び屈折率が前記導光層よりも大きい第2の粒子が分散されている、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーン。
【0050】
(付記2)
前記反射層の厚さ方向において、前記微細孔の面積は、前記反射層の断面積の30%~70%を占め、前記微細孔の長さは3μm~7μmであり、前記微細孔の高さは0.5μm~1μmである、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクションスクリーン。
【0051】
(付記3)
前記導光層に対する前記第1の粒子の質量百分率は3%~30%であり、前記第1の粒子の粒径は5μm~200μmであり、前記第1の粒子の表面光沢度は2~30であり、
前記導光層に対する前記第2の粒子の質量百分率は3%~30%であり、前記第2の粒子の粒径は5μm~200μmであり、前記第2の粒子の表面光沢度は2~30である、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクションスクリーン。
【0052】
(付記4)
前記導光層の屈折率は前記反射層の屈折率よりも大きい、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクションスクリーン。
【0053】
(付記5)
前記反射層の屈折率は1.42~1.7であり、前記導光層の屈折率は1.6~1.8である、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクションスクリーン。
【0054】
(付記6)
前記導光層の光透過率は80%以上であり、前記導光層の表面光沢度は2~30である、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクションスクリーン。
【0055】
(付記7)
前記導光層の厚さは10μm~50μmであり、前記反射層の厚さは130μm~160μmである、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクションスクリーン。
【0056】
(付記8)
前記反射層の前記導光層から離れた側に重畳された第1の保護層をさらに含む、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクションスクリーン。
【0057】
(付記9)
前記導光層の屈折率は前記反射層の屈折率よりも大きく、前記反射層の屈折率は前記第1の保護層の屈折率よりも大きい、
ことを特徴とする付記8に記載のプロジェクションスクリーン。
【0058】
(付記10)
前記第1の保護層の材質は樹脂である、
ことを特徴とする付記8に記載のプロジェクションスクリーン。
【0059】
(付記11)
前記第1の保護層の厚さは10μm~50μmである、
ことを特徴とする付記8に記載のプロジェクションスクリーン。
【0060】
(付記12)
前記反射層と前記導光層との間に位置する第2の保護層をさらに含む、
ことを特徴とする付記8に記載のプロジェクションスクリーン。
【0061】
(付記13)
前記導光層の屈折率は前記第2の保護層の屈折率よりも大きく、前記第2の保護層の屈折率は前記反射層の屈折率よりも大きく、前記反射層の屈折率は前記第1の保護層の屈折率よりも大きい、
ことを特徴とする付記12に記載のプロジェクションスクリーン。
【0062】
(付記14)
前記第2の保護層の材質は樹脂である、
ことを特徴とする付記12に記載のプロジェクションスクリーン。
【0063】
(付記15)
前記第2の保護層の厚さは10μm~50μmである、
ことを特徴とする付記12に記載のプロジェクションスクリーン。
【0064】
(付記16)
前記プロジェクションスクリーンの厚さは250μm以下である、
ことを特徴とする付記12に記載のプロジェクションスクリーン。
【0065】
(付記17)
プロジェクションスクリーンの製造方法であって、
第1の樹脂組成物及び微細孔を含む第1のスラリー層を形成し、前記第1のスラリー層を硬化させ、反射層を得るステップであって、前記反射層内に微細孔が設けられるステップと、
第2の樹脂組成物、第1の粒子及び第2の粒子を含む第2のスラリー層を形成し、前記第2のスラリー層を硬化させ、導光層を得るステップと、
前記反射層と前記導光層とを組み合わせて前記プロジェクションスクリーンを形成するステップと、を含む、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーンの製造方法。
【0066】
(付記18)
プロジェクションスクリーンの製造方法であって、
第1の樹脂組成物及び微細孔を含む第1のスラリー層を形成し、前記第1のスラリー層を硬化させ、反射層を得るステップであって、前記反射層内に微細孔が設けられるステップと、
前記反射層上に第2の樹脂組成物、第1の粒子及び第2の粒子を含む第2のスラリー層を形成し、前記第2のスラリー層を硬化させ、前記プロジェクションスクリーンを得るステップと、を含む、
ことを特徴とするプロジェクションスクリーンの製造方法。