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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】乾燥機器
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/00 20200101AFI20240902BHJP
【FI】
D06F58/00 D
D06F58/00 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023116114
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2024-02-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512269546
【氏名又は名称】株式会社カドー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健
(72)【発明者】
【氏名】喜内 一彰
(72)【発明者】
【氏名】古賀 宣行
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-093007(JP,A)
【文献】中国実用新案第204417877(CN,U)
【文献】特開2023-056295(JP,A)
【文献】特開2021-019744(JP,A)
【文献】実開昭54-066266(JP,U)
【文献】特許第6018655(JP,B2)
【文献】特開2020-130334(JP,A)
【文献】特開2017-184948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/00
A45D 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布団用の乾燥機器であって、
前記布団から露出するように配置される吸気口および前記布団に差し込まれる吐出口を有し、軸方向に延びる略円筒状に形成されたケースと、
前記ケースに収容され、前記吸気口から空気を吸い込み、前記吐出口に向けて前記空気を送る送風ユニットと、
前記ケースに収容され、前記送風ユニットから送られてきた前記空気を加熱する加熱ユニットと、を備え、
前記吸気口、前記送風ユニット、前記加熱ユニットおよび前記吐出口は、この順で前記軸方向に沿って並び、
前記吐出口からは、前記加熱ユニットによって加熱された前記空気が吐出される、
乾燥機器。
【請求項2】
前記吸気口と前記送風ユニットとの間で前記ケースに収容され、前記送風ユニットおよび前記加熱ユニットを制御可能に構成された制御ユニットをさらに備えている、
請求項1に記載の乾燥機器。
【請求項3】
前記吸気口は、前記軸方向と交差する方向に前記ケースを貫通している、
請求項に記載の乾燥機器。
【請求項4】
前記吐出口は、前記軸方向に開口している、
請求項に記載の乾燥機器。
【請求項5】
前記吐出口に設けられるとともに、前記吐出口から吐出される前記空気を整流するための複数の貫通孔を有する吐出部材をさらに備えている、
請求項4に記載の乾燥機器。
【請求項6】
前記軸方向と反対の方向に延びる電源ケーブルをさらに備え、
前記ケースは、前記吐出口と反対側に設けられるとともに、前記電源ケーブルが通る貫通孔を有している、
請求項4に記載の乾燥機器。
【請求項7】
前記送風ユニットは、前記軸方向に沿う回転軸を有するファンを有し、
前記ファンは、前記回転軸に沿って流れる前記空気の流れを形成する、
請求項1に記載の乾燥機器。
【請求項8】
前記送風ユニットは、前記ファンと前記加熱ユニットとの間で前記ケースに収容され、前記回転軸に連結されたモータをさらに有している、
請求項7に記載の乾燥機器。
【請求項9】
前記送風ユニットと前記吐出口との間で前記ケースに収容されたオゾン発生部を有するオゾン発生ユニットをさらに備えている、
請求項1に記載の乾燥機器。
【請求項10】
前記ケースの外径は、35mm以上50mm以下である、
請求項1に記載の乾燥機器。
【請求項11】
前記ケースの前記軸方向における長さは、250mm以上350mm以下である、
請求項10に記載の乾燥機器。
【請求項12】
前記吐出口から吐出される前記空気の風速は、毎秒10m以上である、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の乾燥機器。
【請求項13】
布団用の乾燥機器であって、
吸気口および前記布団に差し込まれる吐出口を有し、軸方向に延びる略円筒状に形成されたケースと、
前記ケースに収容され、前記吸気口から空気を吸い込み、前記吐出口に向けて前記空気を送る送風ユニットと、
前記ケースに収容され、前記送風ユニットから送られてきた前記空気を加熱する加熱ユニットと、を備え、
前記吸気口、前記送風ユニット、前記加熱ユニットおよび前記吐出口は、この順で前記軸方向に沿って並び、
前記吐出口からは、前記加熱ユニットによって加熱された前記空気が吐出される、
乾燥機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥機器に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥機器としては、布団、衣類、靴類などを乾燥させるための種々の機器が知られている。特許文献1には、例えば布団乾燥機が開示されている。
【0003】
当該布団乾燥機は、一端側に位置された吸込部と、他端側に位置された吐出部とを有し、前記吸込部に吸込口が形成されるとともに、前記吐出部に吐出口が形成される外装体と、前記外装体内に設けられ、前記吸込口および前記吐出口を連通させた送風路と、前記送風路内に配置され、外気を前記吸込口から吸い込んで前記吐出口から吐出する送風手段と、前記送風路内に配置され、前記送風手段により吸い込んだ外気を加熱する加熱手段とを備え、前記吐出口から加熱した温風を直接吐出するようにしたエアマットを用いない布団乾燥機であって、前記加熱手段は、前記送風路を構成するヒータケース内に配設され、前記ヒータケースの下壁は、前記外装体の底壁に近接して面しており、前記底壁の底面は突出部を有さない平面である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6018655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乾燥機器を使用する場合、ユーザには乾燥機器を目的の場所まで移動し、設置するといった準備が必要である。乾燥機器のサイズが大きいと、これらの作業に手間がかかる。そのため、ユーザが乾燥機器を容易に取り扱うことができるようにしたいということが要望の一つとしてある。
【0006】
そこで、本発明は、利便性を向上させることが可能な乾燥機器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る乾燥機器は、布団用の乾燥機器であって、前記布団から露出するように配置される吸気口および前記布団に差し込まれる吐出口を有し、軸方向に延びる略円筒状に形成されたケースと、前記ケースに収容され、前記吸気口から空気を吸い込み、前記吐出口に向けて前記空気を送る送風ユニットと、前記ケースに収容され、前記送風ユニットから送られてきた前記空気を加熱する加熱ユニットと、を備える。前記吸気口、前記送風ユニット、前記加熱ユニットおよび前記吐出口は、この順で前記軸方向に沿って並んでいる。前記吐出口からは、前記加熱ユニットによって加熱された前記空気が吐出される。
【0008】
前記乾燥機器は、前記吸気口と前記送風ユニットとの間で前記ケースに収容され、前記送風ユニットおよび前記加熱ユニットを制御可能に構成された制御ユニットをさらに備えてもよい
【0009】
前記吸気口は、前記軸方向と交差する方向に前記ケースを貫通してもよい。前記吐出口は、前記軸方向に開口してもよい。前記乾燥機器は、前記吐出口に設けられるとともに、前記吐出口から吐出される前記空気を整流するための複数の貫通孔を有する吐出部材をさらに備えてもよい。前記乾燥機器は、前記軸方向と反対の方向に延びる電源ケーブルをさらに備えてもよい。前記ケースは、前記吐出口と反対側に設けられるとともに、前記電源ケーブルが通る貫通孔を有してもよい。前記送風ユニットは、前記軸方向に沿う回転軸を有するファンを有し、前記ファンは、前記回転軸に沿って流れる前記空気の流れを形成してもよい。
【0010】
前記送風ユニットは、前記ファンと前記加熱ユニットとの間で前記ケースに収容され、前記回転軸に連結されたモータをさらに有してもよい。前記乾燥機器は、前記送風ユニットと前記吐出口との間で前記ケースに収容されたオゾン発生部を有するオゾン発生ユニットをさらに備えてもよい。前記ケースの外径は、35mm以上50mm以下であってもよい。前記ケースの前記軸方向における長さは、250mm以上350mm以下であってもよい。前記吐出口から吐出される前記空気の風速は、毎秒10m以上であってもよい。本発明の一態様に係る乾燥機器は、布団用の乾燥機器であって、吸気口および前記布団に差し込まれる吐出口を有し、軸方向に延びる略円筒状に形成されたケースと、前記ケースに収容され、前記吸気口から空気を吸い込み、前記吐出口に向けて前記空気を送る送風ユニットと、前記ケースに収容され、前記送風ユニットから送られてきた前記空気を加熱する加熱ユニットと、を備える。前記吸気口、前記送風ユニット、前記加熱ユニットおよび前記吐出口は、この順で前記軸方向に沿って並んでいる。前記吐出口からは、前記加熱ユニットによって加熱された前記空気が吐出される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利便性を向上させることが可能な乾燥機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る乾燥機器の概略的な斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る乾燥機器の概略的な斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係る乾燥機器の概略的な分解斜視図である。
図4図4は、図1に示された第1端部を示す概略的な平面図である。
図5図5は、図1に示された第1端部を示す概略的な側面図である。
図6図6は、図1に示された第2端部を示す概略的な側面図である。
図7図7は、図1に示されたVII-VII線に沿う乾燥機器の概略的な断面図である。
図8図8は、図7に示されたVIII部を示す拡大図である。
図9図9は、一実施形態に係る乾燥機器が備える送風ユニットの概略的な斜視図である。
図10図10は、図9に示された送風ユニットを示す概略的な分解斜視図である。
図11図11は、一実施形態に係る乾燥機器が備える加熱ユニットの概略的な斜視図である。
図12図12は、図11に示された加熱ユニットを示す概略的な分解斜視図である。
図13図13は、乾燥機器を設置した状態の一例を示す概略的な平面図である。
図14図14は、乾燥機器を使用した場合における布団の温度変化を示すグラフである。
図15図15は、比較例に係る布団乾燥機を使用した場合における温度分布を説明するための図である。
図16図16は、乾燥機器を使用した場合における温度分布を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状などを実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合がある。
【0014】
本実施形態においては、乾燥機器の一例として、主に布団に適用することができる乾燥機器を開示する。ただし、本実施形態において開示する構成、特に各部材の配置態様は、他種の乾燥機器にも適用し得る。
【0015】
図1および図2は、本実施形態に係る乾燥機器100の概略的な斜視図である。図3は、本実施形態に係る乾燥機器100の概略的な分解斜視図である。図4は、図1に示された第1端部1aを示す概略的な平面図である。
【0016】
図5は、図1に示された第1端部1aを示す概略的な側面図である。図6は、図1に示された第2端部1bを示す概略的な側面図である。図7は、図1に示されたVII-VII線に沿う乾燥機器100の概略的な断面図である。図2においては、図1とは異なる方向から乾燥機器100を見ている。
【0017】
乾燥機器100は、図1および図2に示すように、軸線CXに沿って延びる形状を有している。ここで軸線CXに沿う方向を軸方向Xと定義する。乾燥機器100は、図1乃至図3に示すように、ケース1と、送風ユニット2と、加熱ユニット3と、制御ユニット4と、を備えている。
【0018】
送風ユニット2、加熱ユニット3、および制御ユニット4は、ケース1にそれぞれ収容されている。乾燥機器100は、電源ケーブル5によって、外部から電力が供給可能に構成されている。
【0019】
ケース1は、軸方向Xに延びる筒形状を有している。ケース1は、例えば、軸線CXを中心とし、軸方向Xに延びる略円筒形状を有している。言い換えると、ケース1は、略円形の断面形状を有している。なお、ケース1の断面形状は、楕円形でもよいし、四角形などの多角形状でもよい。
【0020】
ここでケース1の断面形状とは、軸線CXに直交する断面の形状である。ケース1の直径(外径)は、例えば約35mmから約50mmである。ケース1の軸方向Xにおける長さは、例えば約250mmから約350mmである。
【0021】
ケース1は、図1および図2に示すように、軸方向Xの一方に設けられた第1端部1aと、軸方向Xの他方に設けられた第2端部1bと、を有している。図5においては、第1端部1aを軸方向Xに見ている。図6においては、第2端部1bを軸方向Xの反対の方向に見ている。
【0022】
第2端部1bは、軸方向Xにおいて、第1端部1aの反対側に相当する。ここで端部には、端とその近傍の領域が含まれる。電源ケーブル5は、軸方向Xの反対の方向に第1端部1aからケース1の外部に延びている。
【0023】
ケース1は、吸気口11と、吐出口13と、をさらに有している。吸気口11は第1端部1aに設けられ、吐出口13は第2端部1bに設けられている。吸気口11は軸方向Xと交差する方向にケース1を貫通し、吐出口13は軸方向Xに開口している。
【0024】
空気は、吸気口11において、主に軸方向Xと交差する方向に沿って吸い込まれる。これに対し、空気は、吐出口13において、軸方向Xに沿ってケース1の外部に吐出される。言い換えると、空気が吸気口11から吸い込まれる方向は、空気が吐出口13から吐出される方向と交差している。ケース1においては、第1端部1aが上流側に相当し、第2端部1bが下流側に相当する。
【0025】
ケース1は、例えば複数の部材によって構成されている。ケース1を構成する部材は、例えば樹脂材料によってそれぞれ形成されているが、金属材料で形成される部分を含んでいてもよい。ケース1は、図3に示す例において、内ケース21と、内ケース21を覆う外ケース22と、を備えている。
【0026】
内ケース21および外ケース22は、軸線CXを中心とするとともに、軸方向Xに延びる略円筒形状をそれぞれ有している。内ケース21は、第1の部材23と、第2の部材24と、を有している。外ケース22は、第3の部材25と、第4の部材26と、を有している。
【0027】
部材23,24は、図3に示すように、軸方向Xに見て、互いに離れるように湾曲した形状を有している。第2の部材24が第1の部材23に重なることで、内ケース21が略円筒状に形成される。
【0028】
第1の部材23と第2の部材24との間には、送風ユニット2、加熱ユニット3、および制御ユニット4が収容される収容部15が規定される。収容部15は、軸方向Xに沿う長尺な形状を有している。部材23,24の内面には、収容されるユニットなどを支持するための複数のサポートがそれぞれ設けられている。
【0029】
第1の部材23は、端部23aと、端部23aの反対側の端部23bと、を有している。第2の部材24は、端部24aと、端部24aの反対側の端部24bと、を有している。端部23a,24aは第1端部1a側に位置し、端部23b,24bは第2端部1b側に位置している。
【0030】
端部23aには第1の部材23を貫通する複数の吸気部231が設けられている。端部24aには第2の部材24を貫通する複数の吸気部241が設けられている。複数の吸気部231,241は、軸方向Xと交差する方向に部材23,24を貫通している。
【0031】
複数の吸気部231,241は、軸線CXを中心とする周方向θ(図3に示す)に並ぶとともに、軸方向Xに並んでいる。複数の吸気部231が形成される領域は、例えば複数の吸気部241が形成される領域に向かい合っている。
【0032】
吸気部231,241は例えば略四角形状を有しているが、吸気部231,241の形状はこの例に限られない。第1の部材23の吸気部231の位置、形状および数量は、第2の部材24の吸気部241の位置、形状および数量と等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
第2の部材24は、外面において、軸線CXに向けて凹む凹部243を有している。凹部243は、制御ユニット4に重なる領域に形成されている。凹部243は、軸方向Xに所定の長さを有している。凹部243の底面には、後述の操作部45が設けられる複数の貫通孔245が形成されている。
【0034】
第2端部1b側における内ケース21の先端には、吐出部211が形成されている。部材23,24の端部23b,24bによって、吐出部211が規定されている。吐出部211は、軸方向Xに開口している。吐出部211は、軸方向Xの反対の方向に見て、略円形状を有している。
【0035】
第3の部材25は、内ケース21に対し着脱自在に設けられている。第3の部材25は、内ケース21に対して、軸方向Xに沿って移動させることで取り付けることができる。ケース1においては、例えば第3の部材25が設けられている領域が第1端部1aに相当する。
【0036】
第3の部材25は、軸方向Xに延びる略円筒形状を有している。第3の部材25は、図4および図5に示すように、周壁251と、周壁251につながる端壁253と、を有している。周壁251は、例えば端壁253と一体で形成されている。第3の部材25は、複数の吸気部255をさらに有している。吸気部255は、周壁251から端壁253にわたり形成されている。
【0037】
吸気部255は、周壁251に形成された第1の開口部2551と、端壁253に形成された第2の開口部2553と、を有している。第1の開口部2551は、第2の開口部2553につながっている。
【0038】
第1の開口部2551は、軸方向Xと交差する方向に周壁251を貫通している。第1の開口部2551は、周壁251において軸方向Xに沿って形成されている。第1の開口部2551は、軸方向Xに所定の長さを有している。
【0039】
第2の開口部2553は、軸方向Xに端壁253を貫通している。第2の開口部2553は、図5に示すように、端壁253において端縁の近傍に形成されている。言い換えると、第2の開口部2553は、端壁253の中央部までは延びていない。
【0040】
複数の吸気部255は、例えば周方向θに等間隔に設けられている。内ケース21との関係において、複数の第1の開口部2551は、内ケース21の吸気部231,241にそれぞれ重なっている。第1の開口部2551の軸方向Xにおける長さは、内ケース21において複数の吸気部231,241が形成された領域の軸方向Xにおける長さとおおよそ等しい。
【0041】
吸気口11は、内ケース21の複数の吸気部231,241に外ケース22の複数の吸気部255が重なることによって構成されている。これにより、乾燥機器100は、第1端部1aにおいて、軸方向Xと交差する方向(具体的には、軸線CXに向かう方向)に沿って、ケース1の外部から空気を吸い込むことができる。端壁253は、図5に示すように、電源ケーブル5が通る貫通孔257を中央部にさらに有している。
【0042】
第4の部材26は、図3に示すように、軸方向Xに延びる略円筒形状を有している。第4の部材26は、内ケース21を覆っている。具体的には、第4の部材26は、内ケース21のうち、第3の部材25によって覆われていない領域を覆っている。第4の部材26は、内ケース21に対して、軸方向Xの反対の方向に沿って移動させることで取り付けることができる。
【0043】
第4の部材26は、第2端部1b側に位置する端部26bを有している。端部26bの先端には、端壁261が設けられている。端壁261には、図6に示すように、吐出部263が形成されている。これにより、第4の部材26は、端部26bにおいて、軸方向Xに開口している。
【0044】
吐出部263は、図6に示すように、軸方向Xの反対の方向に見て、略円形状を有している。略円形状に開口している。吐出部263の直径は、例えば20mm以上30mm以下である。
【0045】
内ケース21の吐出部211および第4の部材26の吐出部263は、軸方向Xの反対の方向に見て、重なっている。吐出口13は、内ケース21の吐出部211および第4の部材26の吐出部263によって構成されている。これにより、乾燥機器100は、第2端部1bにおいて、軸方向Xに沿って、ケース1の外部へ空気を吐出することができる。
【0046】
第4の部材26は、図3に示すように、貫通孔265をさらに有している。貫通孔265は、内ケース21の凹部243に対応する位置に形成されている。貫通孔265の大きさは、凹部243の大きさとおおよそ等しい。これにより、内ケース21に外ケース22を取り付けた際、内ケース21の凹部243が露出する。
【0047】
乾燥機器100は、図3に示すように、フィルタ部材6をさらに備えていてもよい。フィルタ部材6は、複数の吸気部255と複数の吸気部231,241との間に設けられている。フィルタ部材6は、例えばステンレス鋼などの金属材料によって形成されているが、この例に限られない。
【0048】
フィルタ部材6は、軸方向Xに延びる略円筒状の周壁61を有している。周壁61には、複数の貫通孔(図示しない)が形成されている。複数の貫通孔は、網目状に形成されている。当該貫通孔の大きさは、とても小さく、例えば直径が約1mm以下である。吸気部255を通過した、ちり、ほこりなどの異物は、フィルタ部材6によって回収される。これにより、異物がケース1の内部に侵入することを抑制できる。
【0049】
第3の部材25は内ケース21に対し着脱自在に設けられているため、第3の部材25を取り外すことによって、フィルタ部材6に回収された異物を容易に除去することができる。
【0050】
乾燥機器100は、図6に示すように、吐出部材7をさらに備えていてもよい。吐出部材7は、吐出口13に設けられている。吐出部材7は、例えば第1の部材23と第2の部材24とによって保持されている。
【0051】
吐出部材7は、略円板形状を有している。吐出部材7は、軸方向Xの反対の方向に見て、吐出部263に重なっている。吐出部材7には、図6に示すように、軸方向Xに貫通する複数の貫通孔71が設けられている。貫通孔71は、例えば略六角形状を有しているが、この例に限られない。
【0052】
吐出部材7は、複数の貫通孔71によって、吐出口13から吐出される空気を整流することを1つの機能として有している。これにより、吐出される空気を整流し、軸方向Xに沿って空気を送りやすくなる。吐出部材7の貫通孔71の大きさ、形状などは、吐出される空気の風速、風圧などに応じて、適宜変更される。
【0053】
続いて、収容部15における送風ユニット2、加熱ユニット3、および制御ユニット4の関係について説明する。吸気口11、制御ユニット4、送風ユニット2、加熱ユニット3および吐出口13は、図7に示すように、この順で軸方向Xに並んでいる。ここで、軸方向Xに並んでいるとは、軸方向Xに見て、少なくとも一つの要素が重なっていない状態も含む。
【0054】
吸気口11との関係において、送風ユニット2は、軸方向Xに吸気口11から離れて設けられている。言い換えると、送風ユニット2は、軸方向Xと交差する方向において、吸気口11と重なっていない。そのため、吸気口11と送風ユニット2との間には、軸方向Xに一定の空間が形成されている。制御ユニット4は、当該空間に位置している。
【0055】
制御ユニット4は、吸気口11と送風ユニット2との間に位置している。送風ユニット2は、制御ユニット4と加熱ユニット3との間に位置している。加熱ユニット3は、送風ユニット2と吐出口13との間に位置している。
【0056】
図7においては、乾燥機器100における空気の流れを矢印にて示している。送風ユニット2が駆動されると、空気がケース1の吸気口11から吸い込まれる。具体的には、空気は、第3の部材25の吸気部255、フィルタ部材6および第1の部材23の吸気部231を通過して吸い込まれたり、第3の部材25の吸気部255、フィルタ部材6および第2の部材24の吸気部241を通過して吸い込まれたりする。
【0057】
吸気口11から吸い込まれた空気は、軸方向Xに沿って、制御ユニット4、送風ユニット2および加熱ユニット3をこの順で通過しながら収容部15を進み、吐出口13から吐出される。このように、収容部15は、空気の流路としても機能している。
【0058】
制御ユニット4は、送風ユニット2および加熱ユニット3を制御可能に構成されている。制御ユニット4は、図3および図7に示すように、制御基板41と、操作基板43と、を備えている。制御基板41は、操作基板43、送風ユニット2および加熱ユニット3とそれぞれ電気的に接続されている。制御基板41は、例えば後述のモータ35の回転数、ヒータ53の温度などを制御するための制御回路を含んでいる。制御基板41および操作基板43は、例えば軸方向Xに長尺な平板形状を有している。
【0059】
制御基板41および操作基板43は、軸方向Xに沿ってそれぞれ設けられている。操作基板43は、制御基板41と第2の部材24との間に設けられている。制御基板41と第1の部材23との間および制御基板41と操作基板43との間の空間は、図7に示すように、空気の流路の一部を構成している。
【0060】
操作基板43には、操作部45が設けられている。操作部45には、電源スイッチ47および複数のボタン49が含まれる。電源スイッチ47および複数のボタン49は、第2の部材24の貫通孔245(図3に示す)にそれぞれ設けられている。ユーザは、操作部45を介して、乾燥機器100を操作できる。
【0061】
ユーザは、例えば、電源スイッチ47を操作することによって乾燥機器100に電力を供給したり、複数のボタン49を操作することによって予め設定された動作モードを選択したりすることができる。
【0062】
図8は、図7に示されたVIII部を示す拡大図である。図9は、本実施形態に係る乾燥機器100が備える送風ユニット2の概略的な斜視図である。図10は、図9に示された送風ユニット2を示す概略的な分解斜視図である。図11は、本実施形態に係る乾燥機器100が備える加熱ユニット3の概略的な斜視図である。図12は、図11に示された加熱ユニット3を示す概略的な分解斜視図である。
【0063】
送風ユニット2は、乾燥機器100における軸方向Xに沿う空気の流れ(気流)を形成する。具体的には、乾燥機器100は、送風ユニット2によって、吸気口11から空気を吸い込み、軸方向Xに沿って、吐出口13に向けて空気を送る。
【0064】
送風ユニット2は、図9および図10に示すように、保持部材31と、ファン33と、モータ35と、防振部材37と、を有している。保持部材31は、軸方向Xに延びる略円筒形状を有している。モータ35の一部およびファン33は、保持部材31に収容されている。図10に示す例においては、ファン33およびモータ35は、この順で軸方向Xに並んでいる。
【0065】
保持部材31は、外筒311と、外筒311の内側に設けられた内筒(図示しない)と、外筒311と内筒とをつなぐ複数のサポート(図示しない)と、を有している。内筒は、モータ35を覆っている。複数のサポートは、軸線CXを中心に等間隔に設けられている。
【0066】
ファン33は、一例では軸流ファンである。ファン33は、例えばアルミニウム合金などの金属材料によって形成されているが、この例に限られない。ファン33は、図9および図10に示すように、ベース部331と、複数の羽根333と、を有している。ベース部331は、カップ状に形成されている。
【0067】
ファン33は、図8に示すように、軸方向Xに沿う回転軸337をさらに有している。回転軸337は、ベース部331を軸方向Xに貫通することによって形成されている。回転軸337は、例えば中空の軸である。
【0068】
複数の羽根333は、図9に示すように、ベース部331と保持部材31との間に設けられている。複数の羽根333は、ベース部331の外周面から保持部材31に向けて延びている。
【0069】
複数の羽根333は、周方向θに等間隔に設けられている。複数の羽根333は、例えば11枚である。複数の羽根333は、10枚以下でもよいし、12枚以上でもよい。回転軸337に対する複数の羽根333の傾きなどは、ファン33が回転した際、空気が回転軸337に沿って流れるように設定されている。
【0070】
ファン33が図10に示す矢印の方向R1に回転することによって、回転軸337に沿う空気の流れ(矢印R2で示す)が形成される。具体的には、ファン33よりも上流側に位置する空気が吸い込まれ、軸方向Xに沿って下流側に向けて流れる。これにより、空気が保持部材31の内部を軸方向Xに流れる。保持部材31の内部は、空気の流路の一部を構成している。
【0071】
モータ35は、図8に示す例において、ファン33と加熱ユニット3との間に位置している。モータ35がファン33よりも下流側に設けられているため、流れる空気によってモータ35が冷却され、モータ35の温度が上昇しにくい。
【0072】
モータ35は、図8に示すように、軸方向Xに延びる回転軸351を有している。モータ35は、回転軸351を介して、ファン33の回転軸337に連結されている。回転軸337,351の中心軸線は、乾燥機器100の軸線CXとおおよそ一致している。
【0073】
モータ35は、図示しないロータ、ステータなどをさらに有している。モータ35の回転軸351が回転することで、ファン33のベース部331および複数の羽根333が回転する。
【0074】
ファン33は、モータ35によって高速に回転可能に構成されている。モータ35は、例えばDCモータ(一例ではブラシレスDCモータ)である。モータ35の回転数は、例えば5万rpm以上11万rpm以下である。ファン33の回転数は、モータ35の回転数に相当する。
【0075】
防振部材37は、例えば防振ゴムである。防振部材37は、保持部材31よりも外側に設けられている。防振部材37は、軸方向Xに延びる略円筒形状を有している。防振部材37の軸方向Xにおける長さは、保持部材31の軸方向Xにおける長さとおおよそ等しい。防振部材37は、例えばゴム材料によって形成されているが、この例に限られない。
【0076】
防振部材37は、図10に示すように、保持部材31に向かい合う内周面371と、内ケース21に向かう合う外周面373と、を有している。外周面373には、複数の突起375が形成されている。内周面371の一部は、保持部材31に接触している。
【0077】
外周面373の一部は、内ケース21に接触している。具体的には、外周面373は、内ケース21が有する周方向θに沿って形成された環状のサポートと接触している。このように防振部材37が保持部材31、内ケース21とそれぞれ部分的に接触することによって、送風ユニット2を駆動させた際に発生する振動が内ケース21まで伝わりにくい。
【0078】
加熱ユニット3は、送風ユニット2から送られてきた空気を加熱する。加熱ユニット3は、図11および図12に示すように、ヒータケース51と、ヒータ53と、フィン部55,57と、を有している。
【0079】
ヒータケース51は、軸方向Xに延びる略円筒形状を有している。ヒータ53およびフィン部55,57は、図11に示すように、ヒータケース51に収容されている。ヒータケース51は、第1の部材23側に設けられた第1のケース511と、第2の部材24側に設けられた第2のケース513と、を有している。
【0080】
第1のケース511および第2のケース513は、軸方向Xに見て、互いに離れるように湾曲した形状を有している。第2のケース513が第1のケース511に重なることで、ヒータケース51が略円筒状に形成される。これにより、第1のケース511と第2のケース513との間には、ヒータ53およびフィン部55,57が収容される収容部が形成される。
【0081】
ヒータ53は、一例ではPTCヒータである。ヒータ53は、例えば、軸方向Xに長尺な平板形状を有している。ヒータ53は、図8に示すように、第1の部材23に向かい合う面531と、第2の部材24に向かい合う面533と、を有している。面533は、面531の反対側の面に相当する。
【0082】
フィン部55,57は、例えば熱伝導率の高い金属材料(一例ではアルミニウム合金)によって形成されている。フィン部55は面531に設けられ、フィン部57は面533に設けられている。フィン部55,57の軸方向Xにおける長さは、ヒータ53の軸方向Xにおける長さとおおよそ等しい。
【0083】
フィン部55,57は、図11に示すように、複数のフィン59をそれぞれ有している。フィン59は、軸方向Xに長尺な平板形状を有している。フィン59の厚さは、例えばヒータ53の厚さよりも小さい。
【0084】
フィン59は、面531,533に対して略垂直に設けられている。ヒータケース51の断面形状が略円形であるため、フィン59の高さは、軸線CXから離れるに従って、徐々に小さくなっている。
【0085】
複数のフィン59は、軸方向Xと交差する方向に間隔を置いて並んでいる。これにより、隣り合うフィン59の間には、軸方向Xに延びるスリットSLが形成されている。複数のスリットSLは、ヒータ53の面531と第1のケース511との間、およびヒータ53の面533と第2のケース513との間にそれぞれ形成されている。複数のスリットSLは、送風ユニット2から送られた空気の流路の一部を構成している。
【0086】
電流が流れるとヒータ53が発熱し、ヒータ53の熱が面531,533を介して複数のフィン59にそれぞれ伝わり、フィン部55,57が加熱される。そして、空気が複数のスリットSLを通過すると加熱され、温風が形成される。
【0087】
通過した空気の温度は、例えば40度以上70度以下である(一例では55度)。スリットSLの軸方向Xにおける長さ、スリットSLの数量などは、吐出口13における空気の温度に応じて適宜変更される。
【0088】
乾燥機器100は、オゾン発生ユニット8をさらに備えていてもよい。オゾン発生ユニット8は、ケース1の収容部15に収容されている。オゾン発生ユニット8は、図3に示すように、高圧電源81と、オゾン発生部83と、を有している。
【0089】
高圧電源81は、吸気口11と送風ユニット2との間に位置している。具体的には、高圧電源81は、制御ユニット4よりも上流側に位置している。高圧電源81は、制御基板41と電気的に接続されている。言い換えると、制御ユニット4は、オゾン発生ユニット8を制御可能に構成されている。
【0090】
オゾン発生部83は、送風ユニット2と吐出口13との間に位置している。オゾン発生部83は、図8に示す例において、送風ユニット2と加熱ユニット3との間に位置している。なお、オゾン発生部83は、加熱ユニット3よりも下流側に位置していてもよい。
【0091】
オゾン発生部83は、高圧電源81と電気的に接続されている。オゾン発生部83は、図示しない放電部を有している。オゾン発生部83は、当該放電部が放電することによって空気中の酸素を分解し、オゾンを生成する。生成されたオゾンは、加熱ユニット3を通過して、吐出口13から吐出される。
【0092】
乾燥機器100は、シート部材91,93(図3に示す)と、シート部材95(図12に示す)と、をさらに備えていてもよい。シート部材91,93,95は、例えば難燃性を有する樹脂材料によって形成されている。シート部材91,93,95の厚さは、例えばケース1を構成する各部材の厚さよりも小さい。シート部材91,93,95の厚さは、例えば約0.25mmである。
【0093】
シート部材91は、図3に示すように、収容部15において、制御ユニット4を覆っている。シート部材91は、軸方向Xに延びる略円筒形状を有している。シート部材91は、第1の部材23側に設けられた第1のシート911と、第2の部材24側に設けられた第2のシート913と、を有している。
【0094】
第1のシート911および第2のシート913は、軸方向Xに見て、互いに離れるように湾曲した形状を有している。第2のシート913が第1のシート911に重なることで、シート部材91が略円筒状に形成される。
【0095】
シート部材93は、内ケース21と外ケース22との間に位置している。シート部材93は、内ケース21を挟んで、制御ユニット4、送風ユニット2および加熱ユニット3に重なるように設けられている。シート部材93は、図3に示すように、内ケース21の凹部243に対応する位置に形成された貫通孔を有している。
【0096】
シート部材95は、図12に示すよう、ヒータケース51の内部において、ヒータ53およびフィン部55,57を覆っている。シート部材95は、軸方向Xに延びる略円筒形状を有している。シート部材95の軸方向Xにおける長さは、フィン部55,57の軸方向Xにおける長さとおおよそ等しい。
【0097】
続いて、吐出口13から吐出される空気(温風)について説明する。吐出口13から吐出される空気は、送風ユニット2のモータ35およびファン33の回転数、収容部15(流路)の形状、吐出口13の大きさなどによって設定される。本実施形態において、吐出口13から吐出される空気は、以下のように設定されている。
【0098】
吐出口13から吐出される空気の風速は、例えば毎秒10m以上20m以下である。風速は、好ましくは毎秒12m以上18m以下であり、より好ましくは毎秒14m以上16m以下である。上述の風速は、例えば吐出口13から軸方向Xに約3cm離れた位置における値である。風速は、例えば風車型風速計や熱式風速計によって測定することができる。乾燥機器100であれば、例えば、風速が毎秒10m以上16m以下であり、温度が40度以上70度以下である空気(温風)を吐出することができる。
【0099】
このような風速であれば、吐出される空気の風圧を大きくすることができる。例えば、吐出口13から軸方向Xに約10cm離れた位置に設置された重量計に向けて乾燥機器100の空気を吐出すると、重量計の示す値は、例えば40g以上である。
【0100】
図13は、乾燥機器100を設置した状態の一例を示す概略的な平面図である。図13においては、布団10の長手方向LD、および布団10の短手方向SDをそれぞれ定義する。乾燥機器100は、図13に示す例において、布団10の長手方向LDの一方側(頭側)に設けられている。布団10の長手方向LDは、図13に示す例において、乾燥機器100の軸方向Xに沿う方向である。
【0101】
乾燥機器100は、敷布団10Aと掛け布団10Bとの間に配置されている。具体的には、乾燥機器100のうち、吸気口11は敷布団10Aから露出し、その他の部分は掛け布団10Bに重なっている。掛け布団10Bとの関係において、送風ユニット2、加熱ユニット3および制御ユニット4は、掛け布団10Bに重なっている。
【0102】
図13においては、乾燥機器100の吐出口13から吐出された空気Aの流れを矢印にて示している。吐出口13から吐出された空気Aは、布団10の長手方向LD(乾燥機器100における軸方向X)に沿って敷布団10Aと掛け布団10Bとの間を進む。
【0103】
上述の通り、乾燥機器100から吐出される空気の風圧は大きい。これにより、空気Aは、敷布団10Aと掛け布団10Bとの間を長手方向LDに進みながら、布団10の他方側(脚側)まで進むことができる。
【0104】
さらに空気Aの一部は、長手方向LDに進みながら、布団10の短手方向SDにも進む。このように乾燥機器100から吐出された空気Aが布団10の全体に行き渡ることで、布団10の全体を所定の温度に温めることができる。
【0105】
図14は、乾燥機器100を使用した場合における布団10の温度変化を示すグラフである。ここでは、図13に示すように乾燥機器100を布団10に設置し、敷布団10Aの隅部C(図13に示す)における温度を測定した結果を示す。隅部Cは、乾燥機器100が配置された端部とは反対側に位置している。
【0106】
乾燥機器100から吐出される空気の温度は、約60度である。図14において、横軸は時間(min)を示し、縦軸は温度(℃)を示している。ここで時間とは、乾燥機器100の動作開始からの経過時間に相当する。
【0107】
隅部Cの温度は、試験開始から約40分後に約45度以上に上昇することが確認できた。その後、隅部Cの温度は、XIV部に示すように、乾燥機器100の動作を停止するまで、約47度から約49度の間で安定することが確認できた。
【0108】
この結果より、本実施形態に係る乾燥機器100であれば、布団10の隅部Cまで確実に温めることできる。言い換えると、布団10の頭側に乾燥機器100を設置した場合であっても布団10の脚側まで確実に温めることができる。
【0109】
図15は、比較例に係る布団乾燥機を使用した場合における温度分布を説明するための図である。図16は、乾燥機器100を使用した場合における温度分布を説明するための図である。
【0110】
比較例に係る布団乾燥機は、例えば、乾燥機器本体と、乾燥機器本体から延びるノズルと、を備えている。比較例に係る布団乾燥機では、乾燥機器本体で加熱された空気がノズルの先端から吐出される。ノズルの先端から吐出される空気の風速は、毎秒約5mである。
【0111】
すなわち、乾燥機器100から吐出される空気の風速は、比較例に係る布団乾燥機よりも大きく、約2倍以上である。乾燥機器100と同様に、ノズルの先端を布団10に設置した。ノズルの先端は、図13に示された乾燥機器100の吐出口13とおおよそ等しくなるように設けられている。
【0112】
図15および図16においては、20分間温められた敷布団10Aおよび掛け布団10Bの表面温度をサーモグラフィによって取得し、その結果を示している。図15および図16においては、温度が約40度以上の領域を領域Bとして示している。
【0113】
図16に示された領域Bの大きさは、図15に示された領域Bの大きさよりも大きい。すなわち、乾燥機器100を使用した場合は、比較例に係る布団乾燥機を使用した場合よりも布団10の全体の温度が上昇していることが確認できた。
【0114】
敷布団10Aおよび掛け布団10Bの表面における平均温度は、以下の通りであった。乾燥機器100の場合、敷布団10Aが48度であり、掛け布団10Bが44度であった。比較例に係る布団乾燥機の場合、敷布団10Aが42度であり、掛け布団10Bが37度であった。これより、敷布団10Aおよび掛け布団10Bの各々において、乾燥機器100のほうが、比較例に係る布団乾燥機よりも温めることができることを確認できた。
【0115】
これらより、本実施形態に係る乾燥機器100であれば、比較例に係る布団乾燥機よりも布団10の全体を確実に温めることができる。図13乃至図16においては、一例として布団10に設置する例を説明したが、ベッド装置などに設置する場合にも同様な効果を得ることができる。
【0116】
以上のように構成された乾燥機器100であれば、利便性を向上させることができる。具体的には、乾燥機器100において、吸気口11、送風ユニット2、加熱ユニット3および吐出口13は、この順で軸方向Xに沿って並んでいる。
【0117】
吸気口11、送風ユニット2、加熱ユニット3および吐出口13をこのように並べることによって、乾燥機器100を構成する各部材の配置態様がコンパクトになり、ケース1を小型化できる。具体的には、吸気口11および吐出口13を有するケース1に、送風ユニット2および加熱ユニット3を収容することができる。
【0118】
ケース1を小型化することによって、乾燥機器100の移動、設置に伴うユーザの手間を抑制できる。その結果、本実施形態であれば、乾燥機器100の利便性を向上させることができる。さらに、乾燥機器100が小型化されているので、使用していない場合における乾燥機器100を収容するためのスペースも小さくてよい。
【0119】
本実施形態であれば、筒形状を有するケース1を備えるため、敷布団と掛け布団との間に乾燥機器100を容易に差し込み、設置することができる。乾燥機器100は、例えば布団袋やノズルなどを備えていないため、布団10に設置するための手間が布団袋やノズルを備える機器よりも抑制できる。本実施形態に係る乾燥機器は、これらの機器と比較しても利便性が向上している。
【0120】
本実施形態において、制御ユニット4は、吸気口11と送風ユニット2との間に位置している。具体的には、制御ユニット4が加熱ユニット3よりも上流に位置している。これにより、加熱ユニット3による制御ユニット4への熱の影響が抑制されている。
【0121】
本実施形態において、送風ユニット2が備えるファン33は、軸方向Xに沿う回転軸337を有し、回転軸337に沿って空気を流すことができる。ケース1の収容部15を通過する気流を形成することができる。
【0122】
本実施形態において、ファン33は、モータ35によって高速に回転可能に構成されている。具体的には、モータの回転数は、例えば5万rpm以上11万rpm以下(一例では約10万rpm)である。このようなモータ35およびファン33を有する送風ユニット2を備えることによって、大きな風速の空気を吐出することができる。小型化された乾燥機器100であっても、このような風速によって、大きな風圧の空気を吐出することができる。
【0123】
これにより、確実に対象物(例えば、布団)を温めるのに十分な温風を吐出することができる。具体的には、図13乃至図16を用いて説明したように、風圧が大きいため、空気が布団10の全体に行き渡り、布団10の全体を確実に温めることができる。また、送風ユニット2によって吸引力を大きくすることができるので、吸気口11と送風ユニット2とを軸方向Xに間隔を置いて、配置することができる。
【0124】
本実施形態において、乾燥機器100は、オゾン発生ユニット8をさらに備えている。これにより、吐出口13からオゾンを吐出することによって、対象物(例えば布団)を温めるだけでなく、対象物に付着したニオイなどを抑制できる。乾燥機器100は、サーモスタット、温度ヒューズなどの安全装置をさらに備えていてもよい。
【0125】
本実施形態においては一例として乾燥機器100を布団に適用する例について説明したが、乾燥機器100は、例えば衣類の乾燥、衣類のしわ伸ばし、靴の乾燥などの他の用途に適用することができる。本実施形態に係る乾燥機器100であれば、布団以外であっても、対象物に温風を送り、対象物を目的に応じた所定の温度に温めることができる。
【符号の説明】
【0126】
1…ケース、1a…第1端部、1b…第2端部、2…送風ユニット、3…加熱ユニット、4…制御ユニット、8…オゾン発生ユニット、11…吸気口、13…吐出口、33…ファン、35…モータ、83…オゾン発生部、100…乾燥機器、337…回転軸。
【要約】
【課題】 利便性を向上させることが可能な乾燥機器を提供する。
【解決手段】 乾燥機器は、軸方向に延びるとともに、前記軸方向の一方に設けられた吸気口と、前記軸方向の他方に設けられた吐出口と、を有するケースと、前記ケースに収容され、前記吸気口から空気を吸い込み、前記吐出口に向けて前記空気を送る送風ユニットと、前記ケースに収容され、前記送風ユニットから送られてきた前記空気を加熱する加熱ユニットと、を備える。前記吸気口、前記送風ユニット、前記加熱ユニットおよび前記吐出口は、この順で前記軸方向に沿って並んでいる。
【選択図】 図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16