(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】樹脂封止方法及び樹脂封止装置
(51)【国際特許分類】
B29C 43/18 20060101AFI20240902BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20240902BHJP
B29C 33/00 20060101ALI20240902BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B29C43/18
B29C43/34
B29C33/00
H01L21/56 R
(21)【出願番号】P 2023529765
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2022022265
(87)【国際公開番号】W WO2022264810
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/023080
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-162710(JP,A)
【文献】特開2018-020445(JP,A)
【文献】特開2015-128908(JP,A)
【文献】特開2010-036542(JP,A)
【文献】実開昭59-184970(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/18
B29C 43/34
B29C 33/00
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内に搬入されるフィルムの上面又は前記金型内に搬入されるワークの上面に区画された供給エリアに対して粉状又は顆粒状の樹脂材料を供給すること、
前記供給エリア内の樹脂材料を均一な厚みにすること、
均一な厚みの樹脂材料を前記金型内に搬入すること、並びに、
前記金型内で樹脂材料を成形することにより該樹脂材料でワークを樹脂封止すること、を含み、
前記樹脂材料を均一な厚みにすることは、樹脂材料を水平方向に移動させて前記供給エリア内に拡散させる第1段階の工程を含み、
前記第1段階の工程は、水平方向における所定のX方向、水平方向においてX方向と交差するY方向及び鉛直方向であるZ方向の三方向を含む動きで前記供給エリアを加振する加振運転と、該加振運転を停止することにより加振による運動エネルギーを与えられた樹脂材料を水平方向に転がす運転停止と、を交互に繰り返す、
樹脂封止方法。
【請求項2】
前記樹脂材料を均一な厚みにすることは、前記第1段階の工程により前記供給エリア内に広がった樹脂材料を平坦化する第2段階の工程を更に含み、
前記第2段階の工程は、前記運転停止を挟まずに前記供給エリアを連続して前記三方向を含む動きで加振する、
請求項1に記載の樹脂封止方法。
【請求項3】
前記樹脂材料を供給することにおいて、前記供給エリアに対して樹脂材料の投入口を相対移動させずに一か所に樹脂材料を供給する、
請求項1に記載の樹脂封止方法。
【請求項4】
前記樹脂材料を供給することにおいて、供給する樹脂材料の重量を増加させるに従い、
前記樹脂材料を均一な厚みにすることにおいて、前記第1段階の工程の時間に対する前記第2段階の工程の時間の比を大きく設定する、
請求項2に記載の樹脂封止方法。
【請求項5】
ワークを樹脂材料で封止するための樹脂封止装置であって、
上型と下型との間に搬入された樹脂材料を成形することにより該樹脂材料でワークを樹脂封止する金型と、
前記金型内に搬入されるフィルムの上面又は前記金型内に搬入されるワークの上面に区画された供給エリア内に対して粉状又は顆粒状の樹脂材料を供給する樹脂供給部と、
水平方向における所定のX方向、水平方向においてX方向と交差するY方向及び鉛直方向であるZ方向を含む動きで前記供給エリアを加振
することにより、当該供給エリア内の樹脂材料を均一な厚みにするように構成された加振機構と、を備え、
前記加振機構は、
あらかじめ設定された所定の回数に達するまで、水平方向における所定のX方向、水平方向においてX方向と交差するY方向及び鉛直方向であるZ方向の三方向を含む動きで前記供給エリアを加振する加振運転と、前記加振運転を停止することにより加振による運動エネルギーを与えられた樹脂材料を水平方向に転がす運転停止と、を交互に繰り返すことにより、樹脂材料を水平方向に移動させて前記供給エリア内に拡散させ
る第1動作を行い、
第1動作の後、前記運転停止を挟まずに前記供給エリアを連続して前記三方向を含む動きで加振することにより、前記供給エリア内に広がった樹脂材料を平坦化する
第2動作を行う、
製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止方法及び樹脂封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮成形金型において顆粒状の樹脂材料を用いてワイヤボンディングされたワークを成形するときには、金型を保護するリリースフィルムに貫通孔を有した枠状のレジンガードを載せ、レジンガードで囲んだ供給エリアに樹脂材料を均一に供給することが行われている。ここでは、樹脂フィーダの所定幅のノズルから一定速度で顆粒状の樹脂材料を吐出し、リリースフィルムが載置されたステージを前後左右方向に水平移動させることにより、供給エリア内で厚さが均一になるように樹脂材料を散布していた。例えば、供給エリア内を一筆書きで描いて塗りつぶすように樹脂材料を散布することで、樹脂材料を供給エリアにおいて全体的に散布をすることができる。
【0003】
従来の方法では、所定量の樹脂材料を均一に供給することが難しい場合があった。例えば、ノズルから樹脂材料を供給する幅と供給エリアの幅との関係で、レジンガードの壁際は樹脂材料を散布しにくく未散布又は不足になりやすい。所定量を供給したときに供給エリア内に未散布又は不足のエリアがあると、樹脂材料を溶かしてワークを封止する際に、相対的に供給量が多い部位から供給量が少ない部位へ樹脂が流れる。樹脂の流れによってワイヤボンディングのワイヤが変形してしまうおそれがあった。また、樹脂材料が少ない場合は投下時に跳ねてしまい、投下位置に留まっていない場合もあるし、一筆書きの様に軌跡を描きながら塗布しても塗布に時間がかかる。
【0004】
加えて、従来技術では想定したとおりに過不足なく樹脂材料を供給できても、樹脂材料の供給幅と供給エリアの幅との関係で、ノズルの移動軌跡に沿って生じる筋模様がかまぼこ(バレルルーフ)状に盛り上がった山ができてしまう。隣接する山と山との間に供給量が少ない谷ができるため、谷の部位に樹脂が流れてしまうおそれがあった。また、樹脂が散布されることで出来た山同士が重なってしまうことでそこにより高い山ができて、樹脂が流れてしまうおそれもあった。このような樹脂の流動を抑制しワイヤ流れ等を抑えるため、特許文献1には、プレートを水平方向に振動させてフィーダからプレート上に落下した顆粒状の樹脂材料を均一な厚さに平坦化する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、水平方向にプレートを振動させるだけでは、顆粒状等の樹脂材料がプレートの振幅の範囲内で同じ場所で行ったり来たりするだけで大きく位置が変わらないので樹脂材料を均等化することを効率的に行うことができない。
【0007】
そこで、本発明は、所定量の樹脂材料を短時間で均一に供給できる樹脂封止方法及び樹脂封止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る樹脂封止方法は、金型内に搬入されるフィルムの上面又は金型内に搬入されるワークの上面に区画された供給エリアに対して粉状又は顆粒状の樹脂材料を供給すること、供給エリア内の樹脂材料を均一な厚みにすること、均一な厚みの樹脂材料を金型内に搬入すること、並びに、金型内で樹脂材料を成形することにより該樹脂材料でワークを樹脂封止すること、を含んでいる。樹脂材料を均一な厚みにすることは、樹脂材料を水平方向に移動させて供給エリア内に拡散させる第1段階の工程を含んでいる。第1段階の工程は、水平方向における所定のX方向、水平方向においてX方向と交差するY方向及び鉛直方向であるZ方向の三方向を含む動きで供給エリアを加振する加振運転と、該加振運転を停止することにより加振による運動エネルギーを与えられた樹脂材料を水平方向に転がす運転停止と、を交互に繰り返す。
【0009】
この態様は、加振運転と運転停止とを交互に繰り返す第1段階の工程を含んでいる。運転停止を挟まずにずっと連続で供給エリアを加振しても、顆粒状等の樹脂材料がプレートの振幅の範囲内で同じ場所を行ったり来たりして大きく位置が変わらないことがある。この態様によれば、加振運転の時間において樹脂材料にX方向、Y方向及びZ方向の三方向の運動エネルギーを与え、運転停止の時間において運動エネルギーを与えられた樹脂材料を水平方向に転がすため、所定量の樹脂材料を短時間で均一に広げることができる。
【0010】
上記態様において、樹脂材料を均一な厚みにすることは、第1段階の工程により供給エリア内に広がった樹脂材料を平坦化する第2段階の工程を更に含み、第2段階の工程は、運転停止を挟まずに供給エリアを連続して三方向を含む動きで加振してもよい。
【0011】
この態様は、運転停止を挟まずに供給エリアを連続して加振する第2段階の工程を含んでいる。一度に多量の樹脂材料を供給すると、第1段階の工程だけでは、樹脂材料の高さにばらつきが生じることがある。この態様によれば、第1段階の工程において樹脂材料を供給エリア内に広げて、仮に樹脂材料の高さにばらつきが残っていても、第2段階の工程においてばらつきを小さくできる。一度に供給する樹脂材料の重量が増加しても確実に樹脂材料を平坦化することができる。
【0012】
上記態様において、樹脂材料を供給することにおいて、供給エリアに対して樹脂材料の投入口を相対移動させずに一か所に樹脂材料を供給してもよい。
【0013】
この態様によれば、供給エリア内の一か所から移動することなく樹脂材料を同じ場所に一括して投入できるため、一筆書きで移動しながら樹脂材料を徐々に投入する場合と比較して短時間で樹脂材料を供給できる。供給された樹脂材料は、加振運転と運転停止とを交互に繰り返す第1段階の工程において、供給エリア内に均一に広げることができる。
【0014】
上記態様において、樹脂材料を供給することにおいて、供給する樹脂材料の重量を増加させるに従い、樹脂材料を均一な厚みにすることにおいて、第1段階の工程の時間に対する第2段階の工程の時間の比を大きく設定してもよい。
【0015】
この態様は、供給する樹脂材料の重量が増えるほど第2段階の工程の時間の割合が大きくなる。第1段階の工程は、樹脂材料が少量であっても多量であっても同じような時間で供給エリアの隅まで広げることができる。一方、第2段階の工程は、樹脂材料が少量であれば省略でき、樹脂材料が多量であれば時間が長くかかる。この態様によれば、樹脂材料の重量に合わせて第1段階の工程の時間と第2段階の工程との時間との比を設定するため、無駄を省いてより短時間で樹脂材料の厚みを均一にすることができる。
【0016】
上記態様において、第1段階の工程において、加振運転と運転停止とを交互に三回繰り返してもよい。
【0017】
この態様によれば、加振運転と停止運転とを十分に繰り返して供給エリア内の隅まで樹脂材料を水平移動させることができる。
【0018】
本発明の他の一態様に係る樹脂封止装置は、ワークを樹脂材料で封止するためのものであって、上型と下型との間に搬入された樹脂材料を成形することにより該樹脂材料でワークを樹脂封止する金型と、金型内に搬入されるフィルムの上面又は金型内に搬入されるワークの上面に区画された供給エリア内に対して粉状又は顆粒状の樹脂材料を供給する樹脂供給部と、水平方向における所定のX方向、水平方向においてX方向と交差するY方向及び鉛直方向であるZ方向を含む動きで供給エリアを加振可能に構成された加振機構と、を備えている。加振機構は、水平方向における所定のX方向、水平方向においてX方向と交差するY方向及び鉛直方向であるZ方向の三方向を含む動きで供給エリアを加振する加振運転と、加振運転を停止することにより加振による運動エネルギーを与えられた樹脂材料を水平方向に転がす運転停止と、を交互に繰り返すことにより、樹脂材料を水平方向に移動させて供給エリア内に拡散させ、運転停止を含まずに供給エリアを連続して三方向を含む動きで加振することにより、供給エリア内に広がった樹脂材料を平坦化する。
【0019】
この態様は、供給エリアの加振運転と運転停止とを交互に繰り返したのち、連続して供給エリアを加振する加振機構を備えている。加振運転と運転停止とを交互に繰り返すことにより、所定量の樹脂材料を短時間で均一に広げることができる。連続して供給エリアを加振することにより、供給エリア内に広げた樹脂材料をより平坦化して金型内に供給する樹脂材料の厚みのばらつきを更に小さくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、所定量の樹脂材料を短時間で均一に散布できる樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の樹脂封止装置の概略的な構成を示す図である。
【
図2】
図1に示された加振機構の要部を拡大して示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る樹脂封止方法の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図1に示された金型の一例を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図1に示された金型の他の一例を模式的に示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る樹脂封止方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図6に示された供給エリア内の樹脂材料を均一な厚みにする工程の詳細を示すフローチャートである。
【
図8】
図7に示された第1段階の工程を含み第2段階の工程を含まない動作モードAの一例を示す図である。
【
図9】
図7に示された第1段階の工程と第2段階の工程とを含む動作モードBの一例を示す図である。
【
図10】
図7に示された第2段階の工程の時間の比率が動作モードA,Bよりも大きい動作モードCの一例を示す図である。
【
図11】
図8に示された動作モードAとの比較のために示す第1段階の工程を含まない動作モードDの一例を示す図である。
【
図12】樹脂材料の供給量及び形状を変化させて動作モードA,B,C,Dを実施した実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本実施形態の樹脂封止装置1は、例えば、圧縮成形機であって、上型42と下型43との間に搬入されたワークWを樹脂材料Rで封止する(
図1、
図4及び
図5参照)。樹脂材料Rは供給エリアAにおいて均一に平坦化されてから金型41内に搬入される(
図3及び
図6参照)。樹脂封止装置1は、供給エリアAに鉛直方向Zの振動を加える(
図2参照)。
【0023】
本実施形態の樹脂封止装置1を用いる樹脂封止方法は、加振運転と運転停止とを交互に繰り返す第1段階の工程S31を含んでいることが特徴の一つである(
図7参照)。第1段階の工程S31の後工程として、運転停止を挟まずに供給エリアAを連続して加振する第2段階の工程S34を更に含んでいることが好ましい(
図9及び
図10参照)。なお、樹脂材料Rが少量であれば第2段階の工程S34を省略してもよい(
図8参照)。以下、
図1から
図10を参照して各構成について詳しく説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態の樹脂封止装置1の概略的な構成を示す図である。
図1に示すように、樹脂封止装置1は、ワーク供給ユニット20、樹脂供給ユニット30、プレスユニット40、ワーク収納ユニット50、搬送ユニット60等を備えた圧縮成形機であって、加振機構10を更に備えている。
【0025】
ワーク供給ユニット20は、搬送ユニット60にワークWを供給する。樹脂供給ユニット30は、搬送ユニット60に樹脂材料Rを供給する。搬送ユニット60は、供給されたワークW及び樹脂材料Rをプレスユニット40の金型41内に搬入し、金型41内で樹脂封止されたワークWを搬出する。ワーク収納ユニット50は、樹脂封止された状態のワークWを搬送ユニット60から受け取ってワーク収納ユニット50内に収納する。
【0026】
ワーク供給ユニット20は、ワークWを供給する供給マガジン、搬送ユニット60の第1ローダ61が把持しやすいようにワークWを移動させるレールやピックアンドプレイス機構等を備えている。ワーク収納ユニット50は、ワークWを収納する収納マガジン等を備えている。樹脂供給ユニット30は、供給エリアAに樹脂材料を供給する樹脂供給部31等を備えている。樹脂供給部31は、樹脂材料Rが貯留されているホッパ、樹脂材料Rを計量して吐出するフィーダ等を備えている。
【0027】
樹脂供給ユニット30は、本発明におけるフィルムであるリリースフィルムFを供給可能なフィルム供給部を更に備えている(不図示)。なお、フィルム供給部はプレスユニット40に備えていてもよい。リリースフィルムFは、金型41内に搬入され、例えば顆粒状の樹脂材料Rが溶融した液状の樹脂が金型41の可動部に侵入しないように金型41のキャビティ面を覆う。金型41については、
図4及び
図5を参照して後で詳しく説明する。プレスユニット40は、金型41に加えて、金型41を開閉するトグルリンク機構やモータ等を更に備えている。
【0028】
樹脂供給部31から樹脂材料Rが供給される供給エリアAは、例えば
図4に示すように下型43にキャビティ44を設ける構成においては、リリースフィルムF上に区画されることになる。また、
図5に示すように、上型42にキャビティ44を設ける構成において供給エリアAは、ワーク供給ユニット20から樹脂供給ユニット30に搬入されたワークW上に区画されてもよい。加振機構10は、供給エリアAに鉛直方向Zの振動を加える。加振機構10は、樹脂供給ユニット30に配置してもよいし、他のユニットに配置してもよい。加振機構10については、
図2を参照して後で詳しく説明する。
【0029】
搬送ユニット60は、各種ユニット20,30,40,50に跨って配置されたガイドレール63と、ガイドレール63に沿って移動する第1ローダ61及び第2ローダ62と、を備えている。第1ローダ61は、ワークWを金型41内に搬入する。第2ローダ62は、樹脂材料Rを金型41内に搬入する。第2ローダ62は、リリースフィルムFごと樹脂材料Rを搬送してもよい。第1ローダ61及び第2ローダ62は、樹脂封止された状態のワークWを金型41から搬出するオフローダの機能を有していてもよい。
【0030】
ワークWは、例えば、基材に複数の電子部品がマトリクス状に搭載された構成を有している。基材として、例えば、樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウエハ等が挙げられる。電子部品として、例えば、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。
【0031】
樹脂材料Rは、例えば0.5mm~数mmの粒径の顆粒状の熱硬化性樹脂(以下「顆粒樹脂」という場合がある)であり、流動性を有している。流動性を有する樹脂材料Rの形状は、顆粒状に限定されず、粒径が小さい粉状であってもよいし、液状であってもよい。熱硬化性樹脂として、例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等が挙げられる。顆粒樹脂は、例えば成形用の樹脂材料やフィラーを混錬して所定形状に押し固めた後に破砕する破砕状のものや、混錬後に円形の孔を有する型を使って押し出しながら一定長で切断して成形し円柱状のものが用いられる。これらの円柱状や破砕状の顆粒樹脂は、跳ね上げるように振動を加えられることでその形状によって落下時に無作為な方向に広がりやすい。
【0032】
リリースフィルムFは、例えば、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材である。そのようなフィルム材として、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が挙げられる。
【0033】
図2は、
図1に示された加振機構10の要部を拡大して示す断面図である。
図2に示すように、加振機構10は、上方に開口したボックス状に形成されたフレーム11と、平板状に形成され、フレーム11の開口に蓋をするプレート12と、プレート12の下面に固定された少なくとも一つの振動サポート13と、各々の振動サポート13に配置された少なくとも一つのアクチュエータ14と、を備えている。
【0034】
図示した例では、プレート12が略矩形の平板状に形成され、プレート12の四隅に振動サポート13が配置されている。各々のアクチュエータ14は、いずれかの振動サポート13とフレーム11との間に配置されて両者を接続している。アクチュエータ14は、例えばボイスコイルモータであり、内蔵されたコイルボビン及びヨークのいずれか一方が他方に対して微小移動する。各モータに固有の移動方向においてコイルボビン等が往復運動することにより振動サポート13に振動を加えることができる。
【0035】
アクチュエータ14は、ボイスコイルモータに限定されず、他種の振動子であってもよい。各々の振動サポート13には、当該振動サポート13を鉛直方向であるZ方向に加振するアクチュエータ14Zが配置されている。図示した例では、振動サポート13が略直方体に形成され、当該振動サポート13の一端がプレート12の下面に接続され、一端とは反対側の他端がアクチュエータ14Zに接続されている。
【0036】
図示した例では、鉛直方向Zのアクチュエータ14Zに加えて、水平方向であるX方向及びY方向に振動サポート13を加振するアクチュエータ14X、14Yが更に配置されている。X方向の一例は、樹脂封止装置1のオペレータから見て左右方向であり、Y方向の一例は、オペレータから見て前後方向である。加振機構10は、振動サポート13の設置箇所において、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の三軸の振動を発生させることができるため、プレート12に載置された供給エリアAを立体的に加振することができる。
【0037】
図3は、樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法の一例を模式的に示す図である。図示した例では、樹脂封止装置1が、供給エリアAを囲繞するレジンガード15を更に備えている。レジンガード15は、樹脂材料Rが供給エリアA外へ移動することを規制して該供給エリアの外形を区画する規制部材の一例である。
【0038】
図3に示すように、本実施形態に係る樹脂封止方法では、例えば、加振機構10のプレート12の上面にリリースフィルムFを配置し、リリースフィルムFの上に重ねるように矩形枠状の金属部材であるレジンガード15を配置する(工程S1)。プレート12に載置されたリリースフィルムFの上面は、供給エリアAの一例である。
【0039】
レジンガード15の枠内である供給エリアAの所定の位置に顆粒状等の流動性を有した樹脂材料Rを供給する(工程S2)。供給エリアA内の所定の位置は、特に限定されず、供給エリアAの中央部であってもよいし、他の場所であってもよい。加振機構10を用いて供給エリアAを鉛直方向Zに加振すると、樹脂供給部31の吐出口の直下に形成されていた樹脂材料Rの山が崩れて樹脂材料Rが広がる。樹脂材料Rが顆粒状であれば、鉛直方向Zの振動でホッピングして供給エリアA内を転がり速やかに広がってゆく。例えば、供給エリア内Aを一筆書きで描いて塗りつぶすように樹脂材料Rを散布する従来の方法と比較して、所定量の顆粒樹脂を所定の位置に供給すればよいため短時間で樹脂材料Rを供給することができる。
【0040】
その後、広がった樹脂材料Rが鉛直方向Zの振動で供給エリアAの隅々まで均一に広がり、供給された樹脂材料Rが平坦化される(工程S3)。この樹脂材料Rの振動工程は数秒で完了するため、工程S2と工程S3を合わせても従来の方法と比較して十分に樹脂供給にかかる時間を短縮することができる。平坦化された樹脂材料RをリリースフィルムFごと金型41内に搬入すれば、金型41内で樹脂材料Rを成形してワークWを樹脂封止することができる(工程S4)。
【0041】
図4は、
図1に示された金型41の一例を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、金型41は、上型42及び下型43で構成されている。図示した例では、下型43側にキャビティが形成されるように構成されている。詳しく述べると、下型43は、平板状に形成された下型プレート431と、下型プレート431に固定されたキャビティ駒432と、キャビティ駒432を囲繞するように配置されたクランパ433と、を含んでいる。
【0042】
クランパ433は、ばねを介して下型プレート431に接続され、キャビティ駒432に対して摺動可能に構成されている。クランパ433は、キャビティ駒432よりも上型42に向かって突出し、キャビティ駒432とともに樹脂材料Rを成形する空間であるキャビティ44を構成している。図示した例では、リリースフィルムFに凹部f1が形成されている。凹部f1は、キャビティ駒432に面した底部分f2と、底部分f2の外周部からクランパ433に沿って起立した起立部分f3と、を有している。
【0043】
金型41内に搬入された樹脂材料Rは、樹脂材料Rの厚み(底部分f2からの高さ)が略一定になるように平坦化されている。供給エリアAの外形はキャビティ44の外形と略同一であり、供給エリアAの方がキャビティ44よりも僅かに小さい。起立部分f3よりも内側が供給エリアAである。フィルムFの起立部分f3は、平坦化された樹脂材料Rが凹部f1から漏出しないように樹脂材料Rの移動を規制する規制部材の一例であり、キャビティ44の形状に応じて規定されている。
【0044】
図5は、
図1に示された金型41の他の一例を模式的に示す断面図である。図示した例では、上型42側にキャビティ44が形成されるように構成されている。
図4に示された下型43と同様に、
図5に示す上型42は、平板状に形成された上型プレート421と、上型プレート421に固定されたキャビティ駒422と、キャビティ駒422を囲繞するように配置されたクランパ423と、を含んでいる。
【0045】
リリースフィルムFはクランパ423に固定されている。樹脂材料Rは、ワークWの上に区画された供給エリアAに供給され、ワークWの凹凸を埋めるように平坦化されている。ワークW上に供給エリアAを構成する方法としては、供給エリアAを区画するレジンガード(規制部材)15をワークWの上に配置したうえで樹脂材料Rを供給し、レジンガード15を取り外すことにより樹脂材料Rが載せられたワークWを金型41に搬送することができる。
【0046】
図6は、樹脂封止方法の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態の樹脂封止方法では、まず、供給エリアAから樹脂材料Rが漏出しないように規制部材を用意することが好ましい(工程S1)。これまで説明したように、規制部材は、枠状のレジンガード15であってもよいし、リリースフィルムFに凹部f1の起立部分f3であってもよい。リリースフィルムFに凹部f1を設ける方法としては、リリースフィルムの成形用の型でリリースフィルムFを挟み込んで凹部f1を形成する。これにより、キャビティに対応する凹部のうち起立部分f3が規制部材として機能し、供給エリアAから外へ樹脂材料Rが広がってしまうのを防止することができる。
【0047】
次いで、供給エリアAに顆粒状等の流動性を有した樹脂材料Rを供給する(工程S2)。工程S1で説明したように、供給エリアAは、金型41内に搬入されるリリースフィルムFの上面に区画されていてもよいし、金型41内に搬入されるワークWの上面に区画されていてもよい。工程S2において、従来のように供給エリアAを相対移動させる必要がない。また、供給エリアAの中央部等に樹脂材料Rを供給してその場所の樹脂材料Rが他の場所よりも盛り上がっても、工程S2に続く工程S3において樹脂材料Rを平坦に均すことができる。
【0048】
樹脂材料Rを平坦化するには、供給エリアAを鉛直方向Zに加振して、供給エリアAに供給されていた樹脂材料Rを均一に広げる(工程S3)。樹脂材料Rが平坦化した状態になったら、金型41内に樹脂材料Rを搬入する(工程S4)。金型41内で樹脂材料Rを成形することにより該樹脂材料RでワークWを樹脂封止できる(工程S5)。
【0049】
図7から
図12を参照し、供給エリアA内の樹脂材料Rを均一な厚みにする工程S3について更に詳しく説明する。
図7は、
図6に示された工程S3の詳細を示すフローチャートである。
図7に示すように、工程S3の第1段階として、樹脂材料Rを水平方向に移動させて供給エリアA内に拡散させる(工程S31)。
【0050】
第1段階の工程S31は、供給エリアAを加振する加振運転と、該加振運転を停止することにより加振による運動エネルギーを与えられた樹脂材料Rを水平方向に転がす運転停止と、を交互に繰り返す。この加振運転において、加振機構10は、鉛直方向であるZ方向に加え、水平方向であるX方向及びY方向の三方向を含む動きで供給エリアAを加振する。
【0051】
このとき、加振運転及び運転停止があらかじめ設定された所定の回数(例えば三回)に達しているか否かを確認する(工程S32)。加振運転及び運転停止があらかじめ設定された所定の回数に達しておらず不足しているとき(工程S32:No)、加振機構10は加振運転と運転停止とを交互に繰り返す。加振運転及び運転停止があらかじめ設定された所定の回数に達したことにより第1段階の工程が完了し(工程S32:Yes)、かつ第2段階の工程が設定されていない場合(工程S33:No)、工程S3が終了する。
【0052】
加振運転及び運転停止があらかじめ設定された所定の回数に達したことにより第1段階の工程が完了し(工程S32:Yes)、かつ第2段階の工程が設定されている場合(工程S33:Yes)、工程S3の第2段階として、第1段階の工程S31により供給エリアA内に広がった樹脂材料Rをより確実に平坦化する(工程S34)。
【0053】
第2段階の工程S34では、第1段階の工程S31と同様に、鉛直方向であるZ方向に加え、水平方向であるX方向及びY方向の三方向を含む動きで加振機構10が供給エリアAを加振する。ただし、第1段階の工程S31とは異なり、あらかじめ設定された時間ずっと連続して供給エリアAを加振機構10が加振し続ける。連続加振時間が設定時間に達しているか否かを確認し(工程S35)、連続加振時間が所定の設定時間に達しておらず不足している場合(工程S35:No)、第2段階の工程S34を継続する。連続加振時間が所定の時間に達したことにより第2段階の工程が完了した場合(工程S35:Yes)、工程S3が終了する。
【0054】
図8は、
図7に示された第1段階の工程S31を含む動作モードAの一例を示す図である。本実施形態の樹脂封止方法は、供給エリアA内の樹脂材料Rを均一な厚みにする工程S3において、加振運転と運転停止とを交互に繰り返す第1段階の工程S31を含んでいることが特徴の一つである。
【0055】
図11は、
図8に示された動作モードAとの比較のために示す第1段階の工程S31を含まない動作モードDの一例を示す図である。
図12は、樹脂材料Rの供給量(1g/2g/5g/10g/20g)及び形状(円柱状の樹脂ペレット/破砕状の樹脂ペレット)を変化させて動作モードA,D及び後述する動作モードB,Cを実施した実験結果を示す図である。各々の実験において、加振機構10は、レジンガード15に囲繞された55mm×125mmの供給エリアAを60Hzで加振している。
図12に示された実験結果において、加振運転と運転停止とを三回繰り返す動作モードAは、連続して加振する動作モードDに比べて所定量の樹脂材料Rを短時間で均一に散布できている。
【0056】
図9は、
図7に示された第1段階の工程S31と第2段階の工程S34とどちらも含む動作モードBの一例を示す図である。
図10は、
図7に示された第2段階の工程S34の時間の比率が動作モードA,Bよりも大きい動作モードCの一例を示す図である。本実施形態の樹脂封止方法は、供給エリアA内の樹脂材料Rを均一な厚みにする工程S3において、運転停止を挟まずに供給エリアAを連続して加振する第2段階の工程S34を含んでいることが好ましい。
【0057】
動作モードAでは、第1段階の工程S31にかかった時間に対する第2段階の工程S34にかかった時間の比が、0秒間/1.95秒間=0倍である。動作モードBでは、第1段階の工程S31にかかった時間に対する第2段階の工程S34にかかった時間の比が、4.50秒間/1.95秒間≒2.3倍である。動作モードCでは、第1段階の工程S31にかかった時間に対する第2段階の工程S34にかかった時間の比が、9.25秒間/2.70秒間≒3.4倍である。
【0058】
つまり、第1段階の工程S31にかかった時間に対する第2段階の工程S34にかかった時間の比は、動作モードA<動作モードB<動作モードCの大小関係になっている。
図12に示された実験結果において、樹脂材料Rの重量が増加したとき、動作モードBは、動作モードAよりも確実に樹脂材料Rを平坦化することができている。動作モードCは、動作モードBよりも確実に樹脂材料Rを平坦化することができている。
【0059】
なお、本実施形態の樹脂封止方法は、
図10に示された動作モードCのように、加振運転と運転停止とを交互に繰り返す第1段階の工程S31において第1回目の加振運転の時間と第2回目の加振運転の時間とが異なっていてもよい。第2回目の加振運転の時間と第3回目の加振運転の時間とが異なっていてもよい。図示した例では、加振運転の時間が徐々に長くなっている。図示しないが、第1回目の運転停止の時間と第2回目の運転停止の時間とが異なっていてもよいし、第2回目の運転停止の時間と第3回目の運転停止の時間とが異なっていてもよい。
【0060】
以上のように構成された本実施形態の樹脂封止装置1及び該樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法によれば、ワークWを封止する樹脂材料Rが供給される供給エリアAに鉛直方向であるZ方向の振動を加えることができるため、樹脂材料Rが顆粒状等であれば、鉛直方向Zの振動で樹脂材料Rがホッピングして供給エリアA内に速やかに広がる。樹脂材料Rを短時間で均一に広げることができる。
【0061】
加振機構10は、供給エリアAに対して、鉛直方向Zの振動だけでなく、水平方向に含まれる左右方向X及び前後方向Yの振動も加えることができるため、顆粒状等の樹脂材料Rがホッピングしたとき、樹脂材料Rの前後左右の移動を促進して、より効率的に樹脂材料Rの高さを平坦化することができる。また、供給エリアA内の中央部等から移動することなく樹脂材料Rを一括で手早く投入できるため、一筆書きで移動しながら樹脂材料Rを徐々に投入する場合と比較して短時間で樹脂材料Rを供給できる。
【0062】
本実施形態の樹脂封止装置1を用いる樹脂封止方法は、
図7から
図10を参照して説明したように、加振運転と運転停止とを交互に繰り返す第1段階の工程S31を含んでいる。そのため、加振運転の時間において樹脂材料RにX方向、Y方向及びZ方向の三方向の運動エネルギーを与え、運転停止の時間において運動エネルギーを与えられた樹脂材料Rを水平方向に転がすことができる。動作モードDのように、運転停止を挟まずにずっと連続で供給エリアAを加振すると、樹脂材料Rが振幅の範囲内で同じ場所を行ったり来たりして大きく位置が変わらないことがあるが、モードA,B,Cのように加振運転と運転停止とを交互に繰り返すと、樹脂材料Rを転がして短時間で均一に広げることができる。
【0063】
本実施形態の樹脂封止方法は、第1段階の工程S31により供給エリアA内に広がった樹脂材料Rを平坦化する第2段階の工程S34を更に含んでいる。第2段階の工程S34では、樹脂材料Rの高さにばらつきがあっても供給エリアAを連続して加振してばらつきを小さくすることができる。供給エリアA内の樹脂材料Rを均一な厚みにする工程S3において、第1段階として、樹脂材料Rを水平方向に移動させて供給エリアAの隅まで短時間で拡散させ(工程S31)、第2段階として、供給エリアA内に広がった樹脂材料Rをより確実に平坦化するため(工程S34)、本実施形態の樹脂封止方法によれば、所定量の樹脂材料Rを短時間で均一に散布できる。
【0064】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0065】
例えば、本発明の他の一態様に係る樹脂封止装置は、ワークを樹脂材料で封止するための樹脂封止装置である。樹脂封止装置は、金型と、樹脂供給部と、加振機構と、を備えている。金型は、上型と下型との間に搬入された樹脂材料を成形することにより該樹脂材料でワークを樹脂封止する。樹脂供給部は、金型内に搬入されるフィルムの上面、又は金型内に搬入されるワークの上面に区画された供給エリア内に樹脂材料を供給する。加振機構は、供給エリアを鉛直方向に加振可能に構成されていてもよい。この態様によれば、供給エリアに鉛直方向の振動を加えることができるため、当該供給エリアにおいて樹脂材料を短時間で均一に広げて樹脂材料を供給することができる。
【0066】
上記態様において、加振機構は、鉛直方向の振動に水平方向の振動を加えた振動で供給エリアを加振可能に構成されていてもよい。この態様によれば、樹脂材料に鉛直方向の振動を加えたとき、樹脂材料の水平方向の移動を促進して、より効率的に樹脂材料を平坦化することができる。加振機構は、水平方向における所定のX方向と、水平方向においてX方向と交差するY方向と、鉛直方向であるZ方向に供給エリアを加振可能に構成されていてもよい。この態様によれば、樹脂材料に鉛直方向の振動を加えたとき、水平方向に含まれる複数の方向において樹脂材料の移動を促進して、より効率的に樹脂材料を平坦化することができる。
【0067】
上記態様において、樹脂封止装置は、樹脂材料が供給エリア外へ移動することを規制して該供給エリアの外形を区画する規制部材を更に備え、規制部材は、フィルムの上面又はワークの上面に載置された枠状の部材であってもよい。この態様によれば、枠状に形成された規制部材によって樹脂材料が規制部材の枠外に漏出することを未然に防止できる。加振時間や加振条件を厳密にコントロールしなくても樹脂材料が広がりすぎることがない。規制部材の枠内において再現性よく樹脂材料を配置できる。
【0068】
上記態様において、供給エリア外へ移動することを規制して該供給エリアの外形を区画する規制部材を更に備え、規制部材は、供給エリアにおいてフィルムを凹ませた凹部の起立部分であってもよい。この態様によれば、規制部材として、枠状のレジンガード等ではなく離型フィルム等のフィルムの一部を採用できる。規制部材の選択の幅が広がり設計の自由度が向上する。
【0069】
上記態様において、規制部材の形状は、キャビティの形状に応じて規定されてもよい。この態様によれば、例えば、キャビティの形状と略同一の形状に樹脂材料を配置したいとき、キャビティの形状に応じて規定された規制部材を用いて供給エリアの範囲を区画するため、キャビティに対して大きすぎたり小さすぎたりすることなく好適な範囲に樹脂材料を配置できる。
【0070】
本発明の他の態様に係る樹脂封止方法は、金型内に搬入されるフィルムの上面、又は金型内に搬入されるワークの上面に区画された供給エリアに樹脂材料を供給すること、供給エリアを鉛直方向に加振すること、加振された状態の樹脂材料を金型内に搬入すること、及び、金型内で樹脂材料を成形することにより該樹脂材料でワークを樹脂封止すること、を含んでいてもよい。この態様によれば、供給エリアを鉛直方向に加振する工程において樹脂材料を供給エリア内に樹脂材料を短時間で均一に広げることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…樹脂封止装置、10…加振機構、11…フレーム、12…プレート、13…振動サポート、14,14X,14Y,14Z…アクチュエータ、15…レジンガード、20…ワーク供給ユニット、30…樹脂供給ユニット、31…樹脂供給部、40…プレスユニット、41…金型、42…上型、43…下型、44…キャビティ、50…ワーク収納ユニット、60…搬送ユニット、61…第1ローダ、62…第2ローダ、63…ガイドレール、421…上型プレート、422,432…キャビティ駒、423,433…クランパ、431…下型プレート、A…供給エリア、F…リリースフィルム、f1…凹部、f2…底部分、f3…起立部分、R…樹脂材料、S1~S5,S31~S35…工程、W…ワーク、X,Y…水平方向、Z…鉛直方向。